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特許7239474チップを装填するためのモーションシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】チップを装填するためのモーションシステム
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20230307BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
G01N35/10 G
G01N1/00 101K
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019538209
(86)(22)【出願日】2018-01-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-21
(86)【国際出願番号】 US2018012959
(87)【国際公開番号】W WO2018132376
(87)【国際公開日】2018-07-19
【審査請求日】2020-11-11
(31)【優先権主張番号】62/446,124
(32)【優先日】2017-01-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510005889
【氏名又は名称】ベックマン コールター, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】デイビス, マシュー エス.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン, ロナルド ダグラス
(72)【発明者】
【氏名】ニーアズウィック, マーク エー.
(72)【発明者】
【氏名】ハドソン, クレイグ エー.
(72)【発明者】
【氏名】ニーズ, チャールズ エム.
(72)【発明者】
【氏名】サウアーバーガー, マーク エフ.
(72)【発明者】
【氏名】スナイダー, ジョン エス.
【審査官】倉持 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0258578(US,A1)
【文献】特開2001-059799(JP,A)
【文献】特開2006-177948(JP,A)
【文献】特表2011-516893(JP,A)
【文献】特開2008-304447(JP,A)
【文献】特表2013-530818(JP,A)
【文献】特開2001-165942(JP,A)
【文献】特開2016-123922(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0268628(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/10
G01N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モーションシステムであって、
a)第1の駆動要素と、
b)前記第1の駆動要素に平行な第2の駆動要素であって、前記第1の駆動要素が、前記第2の駆動要素に対して独立して回転可能であり、かつ独立して制御可能である、第2の駆動要素と、
c)プラットフォームであって、前記プラットフォームが、少なくとも第1の領域及び第2の領域を含む複数の領域に細分化され、前記プラットフォームが、前記第1の駆動要素及び前記第2の駆動要素に係合するように構成され、前記第1の駆動要素及び前記第2の駆動要素の起動が、前記プラットフォームを移動させ、前記第1の領域が、前記第1の駆動要素及び前記第2の駆動要素から離間されており、前記プラットフォームが、複数のピペットチップに係合するように構成されている、プラットフォームと、
d)前記第1の駆動要素及び前記第2の駆動要素の前記起動による移動方向に沿った前記プラットフォームの前記第1の領域の第1の位置を測定するように構成された第1の位置センサと、
e)前記第1の駆動要素及び前記第2の駆動要素の前記起動による前記移動方向に沿った前記プラットフォームの前記第2の領域の第2の位置を測定するように構成された第2の位置センサと、
f)前記第1の駆動要素によって印加される第1の力に応答して前記複数のピペットチップに対して前記プラットフォームを通して印加される第1の挿入力を検出するように構成された第1の力センサであって、前記第1の挿入力が、不均一に配分されている、第1の力センサと、
g)前記プラットフォームを駆動するためのデータ命令を記憶しているコンピュータ読み取り可能な媒体であって、前記データ命令が、プロセッサによって実行されるときに、前記モーションシステムに、前記第1の挿入力、前記第1の位置及び前記第2の位置を含む一組のパラメータに基づいて第1及び第2のトルクを算出することと、前記第1のトルクを前記第1の駆動要素に印加し、前記第2のトルクを前記第2の駆動要素に印加することにより、前記不均一に配分されている第1の挿入力に対抗することとを実行させる、コンピュータ読み取り可能な媒体と、を備え、前記第1の力センサが、前記第1の駆動要素に動作可能に結合されている、モーションシステム。
【請求項2】
前記第1の駆動要素が、第1の駆動ねじであり、前記第2の駆動要素が、第2の駆動ねじである、請求項1に記載のモーションシステム。
【請求項3】
前記第2の駆動ねじに動作可能に結合された第2の力センサを更に備え、前記第2の力センサは、前記第2の駆動ねじから印加される第2の力に応答して前記複数のピペットチップに対して前記プラットフォームを通して印加される第2の挿入力を検出するように構成されている、請求項2に記載のモーションシステム。
【請求項4】
前記第2の領域が、前記第1の駆動ねじから離間されており、前記第2の駆動ねじから離間されており、かつ前記第1の領域から離間されている、請求項2に記載のモーションシステム。
【請求項5】
前記第2の領域が、中心線及び中央線によって前記第1の領域と斜めに対向し、前記中心線が、前記第1の駆動ねじ及び前記第2の駆動ねじの径方向軸の中心と交差し、前記中央線が、前記中心線に対して垂直に交差する、請求項4に記載のモーションシステム。
【請求項6】
前記第1の位置センサが、前記第1の領域に隣接する第1のリニアエンコーダを含み、前記第2の位置センサが、前記第2の領域に隣接する第2のリニアエンコーダを含む、請求項5に記載のモーションシステム。
【請求項7】
前記第1の駆動ねじに動作可能に結合されたモータを更に備え、前記第1の力センサが、前記モータの巻線を含む、請求項6に記載のモーションシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2017年1月13日に出願された、米国仮特許出願第62/446,124号に対する優先権を主張し、その開示は、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本明細書に開示される方法及びシステムは、一般に、ラボ自動化ワークステーション、及び液体を正確に取り扱うための関連するデバイスに関する。より具体的には、本明細書に開示される種々の設計及び技法は、ピペットチップの装填をラボワークフローにより良好に統合するために、ラボ自動化ワークステーションと共に使用し、ピペットチップのより好都合かつより効率的な装填をもたらすことができる。
【背景技術】
【0003】
液体取り扱いロボット又はピペットワークステーションと称されることがある、ラボ自動化ワークステーションは、液体の正確な取り扱いを容易にするために、化学及び生化学研究室の自動化において頻繁に使用される。これらのロボットは、しばしば、モータ付きピペット又はシリンジを使用して、選択された容量の液体(例えば、試薬、試料など)を指定された容器に分配する。
【0004】
より複雑なラボ自動化ワークステーションは、液体の輸送を行うために、人間の動作を模倣すること、及び人間によって使用されるピペッティング手順を再現することを可能にする、設計構成を有することができる。例えば、そのようなワークステーションは、液体の混合などの高度な動作を行うために、ピペットディスペンサ及び容器の位置を正確に操作することが可能であり得る。これらのワークステーションのうちのいくつかは、ピペットディスペンサの正確な3軸運動を可能にするアームを有することができる。
【0005】
ラボ自動化ワークステーションの種々の構成要素は、接続されたコンピュータ上にある、又はシステム自体に統合された、制御ソフトウェアによって管理することができる。制御ソフトウェアによって、ユーザが液体取り扱い手順をカスタマイズすること、及び容量を移送すること、並びにワークステーションの種々の構成要素を操作して、所望の液体取り扱い手順を行うことを可能にすることができる。
【0006】
いくつかのラボ自動化ワークステーションは、多数のピペットディスペンサ、及び多数のピペットチップの同時使用のために構成される場合がある。しかしながら、これらのワークステーションによって使用するための多数のピペットチップの同時装填は、ピペットチップに適切に印加しなければならない、比較的大量の力の使用を必要とする場合がある。したがって、ラボ自動化ワークステーションは、その力を適切に印加するように特別に設計しなければならない場合がある。本発明の実施形態は、これら及び他の問題を、個々に又はまとめて解決する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
ピペットチップと共にピペッティング動作を行うポッドがピペットチップ装填機能と統合された、ラボ自動化ワークステーションの実施形態を開示する。ピペットチップ装填機能を統合するために、Z軸における2つ以上の駆動のための構成要素をポッドに含めて、適切な場所で所望のチップ装填力を発生させることができる。いくつかの実施形態では、Y軸を中心に対称形である二重駆動システムを使用することができる。このシステムは、反力荷重を超える駆動力(例えば、チップ装填力)を動的にセンタリングすることによって、オフセットされた、又は部分的なチップボックスの装填を可能にする。そのようなシステムはまた、大型過ぎる直線モーション構成要素に対する必要性も最小にするが、それでも、同時に多数のピペットチップ適切に装填するために必要とされる高いチップ装填力の発生を可能にする。更に、二重駆動システムにおける同じ二組の構成要素の使用は、駆動のための各一組の構成要素が、必要とされる総チップ装填力の約半部を発生させることだけしか必要とされないので、その構成要素を小型化することを可能にする。
【0008】
いくつかの実施形態では、モーションシステムを開示し、本モーションシステムは、第1の駆動ねじと、第1の駆動ねじと平行な第2の駆動ねじであって、第1の駆動ねじが、第2の駆動ねじに対して独立して回転可能である、第2の駆動ねじと、第1の場所を含むプラットフォームであって、プラットフォームが、第1の駆動ねじ及び第2の駆動ねじに係合するように構成され、第1の駆動ねじ及び第2の駆動ねじの起動が、プラットフォームを移動させ、第1の場所が、第1の駆動ねじから、かつ第2の駆動ねじからオフセットされる、プラットフォームと、第1の場所でのプラットフォームの第1の位置を測定するように構成された位置センサと、第1の駆動ねじからの第1の力を検出するように構成された第1の力センサと、を含む。
【0009】
特定の実施形態において、モーションシステムは、第2の駆動ねじからの第2の力を検出するように構成された第2の力センサを更に備えることができる。特定の実施形態において、プラットフォームは、第1の駆動ねじから、第2の駆動ねじから、かつ第1の場所からオフセットされた第2の場所を更に含み、位置センサは、第2の場所でのプラットフォームの第2の位置を測定するように更に構成される。特定の実施形態において、プラットフォームは、中心線及び中央線によって第1の領域及び斜めに対向する第2の領域に細分化され、中心線は、第1の駆動ねじ及び第2の駆動ねじの中心と交差し、中央線は、中心線の中間点を通って、中心線に対して垂直であり、第1の場所は、第1の領域内に配置され、第2の場所は、第2の領域内に配置される。特定の実施形態において、位置センサは、第1の場所に隣接する第1のリニアエンコーダと、第2の場所に隣接する第2のリニアエンコーダと、を含む。特定の実施形態において、モーションシステムは、第1の駆動ねじに動作可能に結合されたモータを更に備え、第1の力センサは、モータの巻線を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、ピペットワークステーションを開示し、本ピペットワークステーションは、複数のピペットチップを支持するように構成されたデッキと、第1の駆動ねじ及び第2の駆動ねじに係合されたピペッタヘッドであって、ピペッタヘッドが、デッキの上側に配置され、かつ第1の駆動ねじに印加されたトルク及び第2の駆動ねじに印加されたトルクに応じてデッキに対して移動可能であり、複数のピペットチップが存在するときに、複数のピペットチップが、ピペッタヘッドに対する挿入力を生成する、ピペッタヘッドと、第1の駆動ねじに結合され、かつ挿入力の第1の値を検出するように構成された第1の力センサと、挿入力の検出した第1の値に応じて、第1の駆動ねじのトルクを調整するように構成されたコントローラと、を備える。
【0011】
特定の実施形態において、ピペットワークステーションは、第2の駆動ねじに結合され、かつ挿入力の第2の値を検出するように構成された第2の力センサを更に備えることができる。特定の実施形態において、ピペットワークステーションは、第1のリニアエンコーダと、第1のリニアエンコーダからオフセットされた第2のリニアエンコーダと、を更に備えることができ、第1のリニアエンコーダは、ピペッタヘッドの第1の位置を測定するように構成され、第2のリニアエンコーダは、ピペッタヘッドの第2の位置を測定するように構成され、コントローラは、第1の位置及び第2の位置に応じて、第2の駆動ねじのトルクを調整するように更に構成される。特定の実施形態において、コントローラは、トルクを第1の駆動ねじに印加して、挿入力の所定の第1の値を生成するように構成される。特定の実施形態において、コントローラは、トルクを第2の駆動ねじに印加して、測定された第2の位置を、測定された第1の位置と水平に維持するように構成される。特定の実施形態において、コントローラは、トルクを第2の駆動ねじに印加して、挿入力の所定の第2の値を生成するように構成される。特定の実施形態において、ピペッタヘッドは、中心線及び中央線によって第1の領域及び斜めに対向する第2の領域に細分化され、中心線は、第1の駆動ねじ及び第2の駆動ねじの中心と交差し、中央線は、中心線の中間点を通って、中心線に対して垂直であり、第1の位置は、第1の領域内で測定され、第2の位置は、第2の領域内で測定される。特定の実施形態において、ピペッタヘッドは、ピペットチップに係合するように各々が構成された複数のマンドレルを含み、複数のマンドレルが複数のピペットチップに係合するときに、全てよりも少ない複数のマンドレルが係合される。
【0012】
いくつかの実施形態では、ピペッタヘッドが偏心荷重を受けるように駆動する方法を開示し、本方法は、ピペッタヘッドを移動させて、偏心荷重に係合させることであって、ピペッタヘッドが、第1の駆動ねじ、及び第1の駆動ねじに対して独立して回転可能な第2の駆動ねじに係合している、偏心荷重に係合させることと、第1の場所でのピペッタヘッドの第1の位置、及び第2の場所でのピペッタヘッドの第2の位置を測定することと、第1の駆動ねじによる偏心荷重から伝達される第1の力を測定することと、第1の力、第1の位置、第2の位置、及び偏心荷重の代表を含む一組のパラメータに基づいて、第1のトルク及び第2のトルクを算出することと、第1のトルクを第1の駆動ねじに印加し、第2のトルクを第2の駆動ねじに印加することと、を含む。
【0013】
特定の実施形態において、第1のトルクは、第2のトルクよりも大きい。特定の実施形態において、本方法は、第2の駆動ねじによる荷重から伝達される第2の力を測定することを更に含む。特定の実施形態において、一組のパラメータは、第1の力、並びに第2の力、第1の位置、第2の位置、及び偏心荷重の代表、のうちの2つ以上を含む。特定の実施形態において、第1のトルク及び第2のトルクは、偏心荷重において所定の力を生成する。特定の実施形態において、第1のトルク及び第2のトルクは、偏心荷重と係合されている間、ピペッタヘッドを水平にする。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
モーションシステムであって、
a)第1の駆動要素と、
b)前記第1の駆動要素に平行な第2の駆動要素であって、前記第1の駆動要素が、前記第2の駆動要素に対して独立して回転可能であり、かつ独立して制御可能である、第2の駆動要素と、
c)第1の場所を含むプラットフォームであって、前記プラットフォームが、前記第1の駆動要素及び前記第2の駆動要素に係合するように構成され、前記第1の駆動要素及び前記第2の駆動要素の起動が、前記プラットフォームを移動させ、前記第1の場所が、前記第1の駆動要素から、かつ前記第2の駆動要素からオフセットされる、プラットフォームと、
d)前記第1の場所での前記プラットフォームの第1の位置を測定するように構成された位置センサと、
e)前記第1の駆動要素からの第1の力を検出するように構成された第1の力センサと、を備える、モーションシステム。
(項目2)
前記第1の駆動要素が、第1の駆動ねじであり、前記第2の駆動要素が、第2の駆動ねじである、項目1に記載のモーションシステム。
(項目3)
前記第2の駆動ねじからの第2の力を検出するように構成された第2の力センサを更に備える、項目2に記載のモーションシステム。
(項目4)
前記プラットフォームが、前記第1の駆動ねじから、前記第2の駆動ねじから、かつ前記第1の場所からオフセットされた第2の場所を更に含み、前記位置センサが、前記第2の場所での前記プラットフォームの第2の位置を測定するように更に構成される、項目2に記載のモーションシステム。
(項目5)
前記プラットフォームが、中心線及び中央線によって第1の領域及び斜めに対向する第2の領域に細分化され、前記中心線が、前記第1の駆動ねじ及び前記第2の駆動ねじの中心と交差し、前記中央線が、前記中心線の中間点を通って、前記中心線に対して垂直であり、前記第1の場所が、前記第1の領域内に配置され、前記第2の場所が、前記第2の領域内に配置される、項目4に記載のモーションシステム。
(項目6)
前記位置センサが、前記第1の場所に隣接する第1のリニアエンコーダと、前記第2の場所に隣接する第2のリニアエンコーダと、を含む、項目5に記載のモーションシステム。
(項目7)
前記第1の駆動ねじに動作可能に結合されたモータを更に備え、前記第1の力センサが、前記モータの巻線を含む、項目6に記載のモーションシステム。
(項目8)
ピペットワークステーションであって、
a)複数のピペットチップを支持するように構成されたデッキと、
b)第1の駆動ねじ及び第2の駆動ねじに係合されたピペッタヘッドであって、前記ピペッタヘッドが、前記デッキの上側に配置され、かつ前記第1の駆動ねじに印加されたトルク及び前記第2の駆動ねじに印加されたトルクに応じて前記デッキに対して移動可能であり、前記複数のピペットチップが存在するときに、前記複数のピペットチップが、前記ピペッタヘッドに対する挿入力を生成する、ピペッタヘッドと、
c)前記第1の駆動ねじに結合され、かつ前記挿入力の第1の値を検出するように構成された第1の力センサと、
d)前記挿入力の前記検出した第1の値に応じて、前記第1の駆動ねじの前記トルクを調整するように構成されるコントローラと、を備える、ピペットワークステーション。
(項目9)
前記第2の駆動ねじに結合され、かつ前記挿入力の第2の値を検出するように構成された第2の力センサを更に備える、項目8に記載のピペットワークステーション。
(項目10)
第1のリニアエンコーダと、前記第1のリニアエンコーダからオフセットされた第2のリニアエンコーダと、を更に備え、前記第1のリニアエンコーダが、前記ピペッタヘッドの第1の位置を測定するように構成され、前記第2のリニアエンコーダが、前記ピペッタヘッドの第2の位置を測定するように構成され、前記コントローラが、前記第1の位置及び前記第2の位置に応じて、前記第2の駆動ねじの前記トルクを調整するように更に構成される、項目9に記載のピペットワークステーション。
(項目11)
前記コントローラが、トルクを前記第1の駆動ねじに印加して、前記挿入力の所定の第1の値を生成するように構成される、項目10に記載のピペットワークステーション。
(項目12)
前記コントローラが、トルクを前記第2の駆動ねじに印加して、前記測定された第2の位置を、前記測定された第1の位置と水平に維持するように構成される、項目11に記載のピペットワークステーション。
(項目13)
前記コントローラが、トルクを前記第2の駆動ねじに印加して、前記挿入力の所定の第2の値を生成するように構成される、項目11に記載のピペットワークステーション。
(項目14)
前記ピペッタヘッドが、中心線及び中央線によって第1の領域及び斜めに対向する第2の領域に細分化され、前記中心線が、前記第1の駆動ねじ及び前記第2の駆動ねじの中心と交差し、前記中央線が、前記中心線の中間点を通って、前記中心線に対して垂直であり、前記第1の位置が、前記第1の領域内で測定され、前記第2の位置が、前記第2の領域で測定される、項目10に記載のピペットワークステーション。
(項目15)
前記ピペッタヘッドは、ピペットチップに係合するように各々が構成された複数のマンドレルを含み、前記複数のマンドレルが前記複数のピペットチップに係合するときに、全てよりも少ない前記複数のマンドレルが係合される、項目8に記載のピペットワークステーション。
(項目16)
ピペッタヘッドが偏心荷重を受けるように駆動する方法であって、前記方法が、
a)ピペッタヘッドを移動させて、偏心荷重に係合させることであって、前記ピペッタヘッドが、第1の駆動ねじ、及び前記第1の駆動ねじに対して独立して回転可能な第2の駆動ねじに係合している、偏心荷重に係合させることと、
b)第1の場所での前記ピペッタヘッドの第1の位置、及び第2の場所での前記ピペッタヘッドの第2の位置を測定することと、
c)前記第1の駆動ねじによる前記偏心荷重から伝達される第1の力を測定することと、
d)前記第1の力、前記第1の位置、前記第2の位置、及び前記偏心荷重の代表を含む一組のパラメータに基づいて、第1のトルク及び第2のトルクを算出することと、
e)前記第1のトルクを前記第1の駆動ねじに印加し、前記第2のトルクを前記第2の駆動ねじに印加することと、を含む、方法。
(項目17)
前記第1のトルクが、前記第2のトルクよりも大きい、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記第2の駆動ねじによる前記荷重から伝達される第2の力を測定することを更に含む、項目16に記載の方法。
(項目19)
前記一組のパラメータが、前記第1の力、並びに前記第2の力、前記第1の位置、前記第2の位置、及び前記偏心荷重の代表、のうちの2つ以上を含む、項目16に記載の方法。
(項目20)
前記第1のトルク及び前記第2のトルクが、前記偏心荷重において所定の力を生成する、項目16に記載の方法。
(項目21)
前記第1のトルク及び前記第2のトルクが、前記偏心荷重と係合されている間、前記ピペッタヘッドを水平にする、項目16に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示は、添付図面と併せて説明する。
【0015】
図1A】外部のチップ装填器を利用するラボ自動化ワークステーションの例示的な実施形態の斜視図を示す。
【0016】
図1B】ラボ自動化ワークステーションの例示的な実施形態で使用されるポッドの斜視図を示す。
【0017】
図1C】ラボ自動化ワークステーションの例示的な実施形態で使用されるマンドレルの斜視図を示す。
【0018】
図1D】ピペットチップトレイの例示的な実施形態の斜視図を示す。
【0019】
図2】ラボ自動化ワークステーションの例示的な実施形態で使用されるポッドの内部構成要素の底面斜視図を示す。
【0020】
図3】ラボ自動化ワークステーションの例示的な実施形態で使用されるポッドの内部構成要素の上面斜視図を示す。
【0021】
図4A】ラボ自動化ワークステーションの例示的な実施形態で使用されるポッドの内部構成要素の側面斜視図を示す。
【0022】
図4B】ラボ自動化ワークステーションの例示的な実施形態で使用されるポッドの内部構成要素の上面図を示す。
【0023】
図5】ラボ自動化ワークステーションの例示的な実施形態で使用されるインターフェースプレートの上面図を示す。
【0024】
図6A】ラボ自動化ワークステーションの例示的な実施形態による、部分的な一組の、又は選択的な量のチップの装填を表すフローチャートを示す。
【0025】
図6B】ラボ自動化ワークステーションの例示的な実施形態による、部分的な一組のチップの装填の側面斜視図を示す。
【0026】
図7】ラボ自動化ワークステーションの例示的な一実施形態によるシステムのブロック図を示す。
【0027】
添付図面において、類似する構成要素及び/又は特徴は、同じ参照ラベルを有し得る。更に、同じ種類の種々の構成要素は、類似する構成要素の間で区別するダッシュ及び第2のラベルにより、参照ラベルに従うことによって区別することができる。第1の参照ラベルのみが本明細書において使用される場合、その説明は、第2の参照ラベルに関係なく、同じ第1の参照ラベルを有する類似する構成要素のうちのいずれか1つに適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の説明は、好ましい例示的な実施形態だけを提供するものであり、本開示の範囲、適用性、又は構成を限定することを意図しない。むしろ、以下の好ましい例示的な実施形態の説明は、種々の実施形態を実施するための実施可能な説明を当業者に提供するであろう。添付の特許請求の範囲に記載されているような趣旨及び範囲から逸脱することなく、種々の変更が要素の機能及び配設に行われ得ることを理解されたい。
概要及び文脈
【0029】
いくつかのラボ自動化ワークステーションは、多数のピペットディスペンサ、及び多数のピペットチップの同時使用のために構成される場合がある。しかしながら、これらのワークステーションのための多数のピペットチップの同時装填は、ピペットチップに適切に印加しなければならない、比較的大きい力の使用を必要とする場合がある。したがって、ラボ自動化ワークステーションは、その力を適切に印加するように特別に設計しなければならない場合がある。
【0030】
図1A図1Dは、ワークステーションによって使用するためのピペットチップを装填するために必要とされる大量の必要な力を供給するために外部チップ装填器を利用する、ラボ自動化ワークステーションの例示的な実施形態を示すことに留意されたい。しかしながら、外部チップ装填器を利用するワークステーションのそのような実施形態は、例示的な目的で提供されるものであり、限定することを意図しない。代わりに、外部チップ装填器は、本開示の理解をより容易にし、かつ文脈を提供するために説明される。
【0031】
図に関して、図1Aは、示される種々のシステム又は構成要素の任意の組み合わせを含むことができる、ラボ自動化ワークステーション100の例示的な一実施形態を示す。例えば、ラボ自動化ワークステーション100は、アーム102、ポッド104、チップトレイ106、及び外部チップ装填ステーション108の各々の1つ以上を含む(又は含まない)ことができる。ラボ自動化ワークステーション100のこれらの種々の構成要素の概要を下に提供する。
【0032】
いくつかの実施形態において、ラボ自動化ワークステーション100は、アーム102を含むことができる。そのような実施形態のいくつかにおいて、アーム102は、1つ以上の軸に沿って移動可能とすることができる。例えば、アーム102は、ラボ自動化ワークステーション100の長さに沿って、横方向に摺動可能とすることができる。いくつかの実施形態において、ラボ自動化ワークステーション100は、アーム102に機械的に結合されたポッド104を含むことができる。図に示されるように、ポッド104は、アーム102によって直立して保持された垂直軸内に細長いハウジングを有することができる。図1Bにより詳細に示されるポッド104の底部は、1つ以上のピペットチップにインターフェース接続及び/又は接続するように構成することができる。そのような実施形態のいくつかにおいて、ポッド104は、1つ以上の軸内でアーム102に沿って移動可能とすることができる。例えば、図に示されるように、ポッド104は、アーム102の長さに沿って横方向に摺動可能とすることができる。更に、いくつかの実施形態において、ポッド104は、ポッド104の底部をより高く又はより低く位置付けることができるように、アームに対して垂直に摺動可能とすることができる。したがって、ポッド104の底部は、アーム102に対するポッド104の高さ(例えば、Z軸)、アーム102に沿ったポッド104の横方向の位置(例えば、Y軸)、及びラボ自動化ワークステーション100の長さに沿ったアーム102の横方向の位置(例えば、X軸)の組み合わせを調整することによって、正確な3軸運動で再位置付けすることができる。
【0033】
いくつかの実施形態において、ポッド104は、ピペッティング動作を行うために同時に使用することができる多数のピペットチップとインターフェース接続するように、かつそれに接続するように構成された、マルチチャネルポッドとすることができる。いくつかの実施形態において、ポッド104は、取り付けたピペットチップを使用して、種々のピペッティング動作及び流体取り扱い動作を行うことを可能にする、種々の構成要素を含むことができる。
【0034】
いくつかの実施形態において、ラボ自動化ワークステーション100は、図に示されるように、ポッド104の底部をチップトレイ106の上に再位置付けすることを可能にするように構成することができる。そのような実施形態のいくつかにおいて、チップトレイ106は、外部チップ装填ステーション108の上に置くことができる。チップトレイ106は、液体の取り扱いに使用可能な1つ以上のピペットチップを含むことができる。これらのピペットチップは、しばしば滅菌され、チップトレイ106の行及び/又は列に保持される。種々のサイズ又は形状のピペットチップ、及びピペットチップを保持するために使用されるチップトレイ106もまた、異なる数及び構成のピペットチップを収容するために、異なるサイズ又は形状とすることができる。チップトレイ106の非限定的な例を図1Dに更に詳細に示す。チップトレイ106のいくつかの一般的な構成は、96個又は384個のピペットチップを保持するための設計を含む。これは、ウエルごとのピペットチップで、液体を96ウエルプレート又は384ウエルプレートの中へピペッティングすることを可能にする。
【0035】
いくつかの実施形態において、ラボ自動化ワークステーション100は、チップトレイ106に保持されたピペットチップの頂部の上に、ポッド104の底部を再位置付けするように構成される。そのような実施形態のいくつかにおいて、外部チップ装填ステーション108は、チップトレイ106に保持されたピペットチップの底部に対して上向きの力を提供するように構成することができ、この力は、ポッド104の底部に向かってピペットチップを上方に押す。いくつかの実施形態において、ポッド104は、ピペットチップの頂部を受容するように構成された一組のマンドレルを有することができる。マンドレルの非限定的な例を図1B及び図1Cに示す。ピペットチップの頂部は、摩擦嵌めを介してマンドレルに取り付けるように構成することができる。したがって、(ピペットチップを通じて位置付けられる)ポッド104の底部に位置付けられたマンドレルに向かってチップトレイ106内のピペットチップを上方に押すことで、ピペットチップをマンドレルの上へ押し付けて、ピペットチップとマンドレルとの間に気密接続を提供することができる。
【0036】
しかしながら、各ピペットチップは、摩擦嵌めを介してマンドレルに取り付けるように構成することができるので、ピペットチップをマンドレルの上へ押すために、及びピペットチップとマンドレルとの間に気密接続を作成するために必要な力の量を比較的大きくすることができる。更に、チップトレイ106が多数の(例えば、96個、又は384個、更にはより多くの)ピペットチップを有する場合があるので、そうした全てのピペットチップをマンドレルの上へ同時に押して、気密接続を生成するために必要な力の量は、非常に大きくなり得る。いくつかの実施形態において、384個のピペットチップを同時にマンドレルの上へ装填するには、500ポンド以上の力が必要であり得る。
【0037】
図1Bは、ラボ自動化ワークステーション100のポッド104の例示的な一実施形態を示す。いくつかの実施形態において、ポッド104は、ポッド104の底部にマンドレル110を含むことができる。各マンドレルは、ピペットチップに取り付けるように構成することができ、各マンドレルは、マンドレルの垂直長さにわたる細長いチャネル(図示せず)を有することができる。この細長いチャネルは、各マンドレルが、取り付けたピペットヘッドに対するピペッティング動作行うことを容易にすることを可能にすることができる。例えば、細長いチャネルは、取り付けたピペットチップ内に異なる程度の圧力を作り出すために使用することができ、液体を、そのピペットチップの底部の中へ吸い込む、又は底部から排出することを可能にする。
【0038】
いくつかの実施形態において、ポッド104は、1つ以上のグリッパ112を含むことができる。グリッパ112は、対象物を担持するために、又は対象物をポッド104に対して再位置付けするために使用することができる。例えば、いくつかの実施形態において、グリッパ112は、チップトレイ106内のピペットチップの頂部がマンドレル110の各々と整列されることを確実にするために、チップトレイ106上で使用することができる。いくつかの実施形態において、グリッパ112は、ピペットチップをポッド104の上へ装填するために外部チップ装填ステーション108の上にチップトレイ106を配置することなどの、チップトレイ106を把持して、チップトレイ106を再位置付けすることを可能にするために使用することができる。
【0039】
いくつかの実施形態において、ポッド104は、ポッド104の底部にヘッド114を含むことができる。そのような実施形態のいくつかにおいて、マンドレル110は、ヘッド114に存在し得る。
【0040】
図1Cは、マンドレル110の例示的な一実施形態を示す。図に示されるように、マンドレル110は、合計96本のマンドレルの場合、8×12本の構成である。したがって、マンドレル110は、96個のピペットチップに同時に取り付けることができる。いくつかの実施形態において、各マンドレルは、マンドレルの垂直長さにわたる細長いチャネルを有する、略円筒形とすることができる。この細長いチャネルは、各マンドレルが、取り付けたピペットヘッドに対するピペッティング動作行うことを容易にすることを可能にすることができる。例えば、細長いチャネルは、取り付けたピペットチップ内に異なる程度の圧力を作り出すために使用することができ、液体を、そのピペットチップの底部の中へ吸い込む、又は底部から排出することを可能にする。いくつかの実施形態において、各マンドレルは、底端部に向かってテーパ付きとすることができ、又は対応するピペットチップの頂部との気密摩擦嵌めを容易にする底端部の特徴を有することができる。
【0041】
図1Dは、チップトレイ106の例示的な一実施形態を示す。図に示されるように、ピペットチップは、合計384個のピペットチップの場合、16×24個の構成でチップトレイ106内に直立した状態で保持される。これらのピペットチップは、ピペッティング動作を最高384個のピペットチップで行うことを可能にするために、同じ16×24本の構成を有する対応する一組のマンドレル110と共に使用される。先に述べたように、384個ものピペットチップをマンドレル110の上へ装填するには、500lb以上もの大量の力を必要とする場合がある。
【0042】
この必要な力は、図1Aに示される外部チップ装填ステーション108などの外部チップ装填ステーションの使用を通じて発生させることができ、この力は、ピペットチップを上方に押してポッド104のマンドレル110の上へ着座させる。したがって、外部チップ装填ステーション108は、垂直軸内で相当量の力を発生させ、かつ提供することができる。
【0043】
しかしながら、いくつかの実施形態では、ラボ自動化ワークステーションが、外部チップ装填ステーション108を必要としないことが望ましい場合がある。外部チップ装填ステーション108の厳密な動作方法に応じて、多大な利用可能デッキ空間を占有する場合がある。更に、外部チップ装填ステーション108の使用は、ピペットチップを装填するために、ポッド104を外部チップ装填ステーション108の上に再位置付けすることが必要になる-ピペットチップを装填することができる場所を大幅に制限する-場合がある。これは、チップの装填を行うために、外部チップ装填ステーション108に/からピペットチップを移動させること、及び外部チップ装填ステーション108の上にポッド104を再位置付けすることに繰り返し時間が費やされるので、ラボ自動化ワークステーション100によって行われる任意のワークフローのための処理時間を増加させる。
統合した駆動システム
【0044】
いくつかの実施形態では、外部チップ装填ステーション108及びポッド104の機能を組み合わせることが望ましい場合がある。より具体的には、外部チップ装填ステーション108の力提供機能をポッド104に加えて、外部チップ装填ステーション108に対する必要性を完全に取り除くことが望ましい。
【0045】
特に、チップ装填機能をポッド104に統合することは、ピペットチップを、ワークステーションのデッキ上のどこにでも装填することを可能にする。これは、(例えば、チップの装填が行われる任意のときに、外部チップ装填ステーションの頂部に全チップトレイを移動させる必要がある)ワークフロー中の実験器具のシャッフリングをより少なくすることになり、ワークフローの効率を向上させ、かつ全体の動作時間を低減させる。更に、ポッド104にチップ装填機能を統合することもまた、実験器具又は使用することができる他の機器のためのラボ自動化ワークステーション内の追加的な空間を解放することによって、作業空間の柔軟性を向上させる。
【0046】
しかしながら、ポッド104にチップ装填機能を統合することと関連付けられる種々の課題が存在し得る。先に述べたように、1つのそのような課題は、全チップトレイ106からピペットチップをポッド104の上へ同時に装填することが、大量の力を必要とする場合があることである。外部チップ装填ステーション108がなければ、この力は、ポッド104自体によって提供しなければならない。ポッド104がそれ自体のチップ装填能力を有しない実施形態において、ポッド104は、主に、少量の流体を吸い込むために必要な構成要素を含むように構成することができる。チップ装填能力のポッド104への追加は、チップを装填するために必要とされる500lbを超える下向きの力をポッド104が発生させることが必要である場合があり、多数の追加的な構成要素をポッド104に加えなければならないことを意味する。
【0047】
いくつかの実施形態では、余分の構成要素のポッド104への追加が問題でない場合があり、必要なチップ装填力を発生させるための余分の構成要素を収容するために、ポッド104の寸法を拡大することができる。しかしながら、他の実施形態において、ポッド104の寸法は、いくつかの理由で制約される場合がある。例えば、細長いポッド104の高さが制約される場合がある。より高いポッド104は、ラボ自動化ワークステーション100が収まり得る空間を制限するので、審美的及び機能的両方の目的に対して望ましくない場合がある。
【0048】
空間的問題に対処する1つの方法は、チップを装填するために必要とされる力を低減させることである。必要とされるチップ装填力の低減は、ポッド104の構成要素に生成されるより小さい垂直荷重及びモーメントをもたらし、それでもそうした垂直荷重に耐えることができる、ポッド104内でより小さい構成要素を使用することを可能にする。これは、チップ装填能力を有するポッドが、チップ装填能力を有しないポッドと同程度の寸法、更にはそれと同じ予め定義された設置面積を保持することを可能にする。必要とされる最大チップ装填力は、ポッド104のマンドレルの上へ各ピペットチップを着座させるために必要とされる挿入力に依存する。この挿入力を低減させる4つの主な方法、すなわち、(1)オーバーショット/共成型ピペットチップの使用、(2)薄肉ピペットチップの使用、(3)Oリングを有する、又はエラストマーで作製されたマンドレルの使用、並びに(4)マンドレルジオメトリ及び材料の最適化、が存在する。
【0049】
しかしながら、必要とされるチップ装填力を低減させるこれらの方法は、必ずしも実現可能とは限らない場合がある。例えば、オーバーショット/共成型ピペットチップに依存することは、特別なピペットチップの使用を必要とするが、これは、必ずしも利用可能でない場合があり、かつより標準的なピペットチップよりもコストが高くなる可能性がある。Oリング付きマンドレルは、累積誤差に影響されやすく、かつOリングの高頻度な交換を必要とする場合があり、受動エラストマーマンドレルは、同様に、高頻度なメンテナンスを必要とする場合がある。最後に、マンドレルのジオメトリ及び材料を最適化することは、必要とされるチップ装填力の低減に向けた単一の解決策としての役割を果たすのに十分な挿入力の低減を生じさせない場合がある。必要とされるチップ装填力を低減させるためのこれらの代替の方法のうちのいくつかもまた、チップを装填する位置の再現性に影響を及ぼす可能性がある。
【0050】
したがって、必要とされるチップ装填力を低減させることは困難であるので、空間的問題に対処するためのより良好な解決策は、代わりに、(チップ装填力を確実に低減させることができないので、構成要素自体を小型化することができないことを考慮しながら)ポッド104の寸法を大幅に拡大する必要性を伴うことなく、余分の力発生構成要素をポッド104に加えることであり得る。いくつかの実施形態において、ポッド104内でチップ装填力を発生させるための構成要素は、駆動システムと総称することができる。
【0051】
ポッド104の寸法を大幅に増加させることを必要とすることなく、駆動システムをポッド104に加える1つの方法は、親ねじ又はボールスクリューなどを使用することである。本開示は、容易さ及び簡潔さのために親ねじに言及するが、(図2で説明されるように、載置プレートに対して)正確なリニアモーションを提供するための、ボールねじ、ピストン、リニアアクチュエータを含む、任意の適切な代替物が想到される。
【0052】
いくつかの実施形態において、ポッド104は、第1の駆動要素又は第2の駆動要素などの1つ以上の「駆動要素」を有すことができる。駆動要素は、ほんのいくつかの例として親ねじ、ボールスクリュー、ピストン、リニアアクチュエータを含む、正確なリニアモーションを提供することができる、任意のデバイス又は構成要素とすることができる。
【0053】
いくつかの実施形態において、ポッド104は、ポッド104の垂直軸にわたる1つ以上の親ねじを含む駆動システムを有することができる。親ねじは、チップを装填するために必要とされる必要な力によってマンドレルをピペットチップの上へ押し下げるために、1つ以上のモータによって駆動することができる。
【0054】
例えば、いくつかの実施形態において、ポッド104は、ポッド104の垂直軸にわたる単一の親ねじを有することができる。そのような実施形態のいくつかにおいて、単一の親ねじは、ポッド104のX軸及びY軸の中央に位置付けることができる。換言すれば、親ねじは、ポッド104の中心を通ってポッド104の頂部からポッド104の底部に向かって進むことができ、かつ対称荷重を提供することができる。そのような実施形態のいくつかにおいて、この親ねじは、少なくとも500lbの力を提供することが可能であり得る。この例は、ポッド104の幾何学的中心の上に垂直に位置付けられた、中心駆動システムを示し、これは、ポッド104内で発生するモーメントを最小化する。しかしながら、この例において、ポッド104は、ポッド104の底部でマンドレル110を通して種々のピペッティング動作を行うための構成要素も含む。これらの構成要素は、マンドレルの各々のためのポンプを含むことができ、このポンプは、マンドレル110もまたポッド104の底部を中心とするので、ポッド104の中心を下方に進む。これらのポンプはまた、「プランジャ」又は「ピストン」とも称することができる。したがって、一組の384本のマンドレルのためのピペッティングハードウェアで構成されるポッド104の場合、それらは、384個もの別個のポンプになり得る。したがって、単一の親ねじがポッド104の中心を下降するためには、可能であるそれらのポンプの中心を経由しなければならないが、ポッド104の寸法を増加させずに収容することが困難である。
【0055】
他の代替の実施形態において、ポッド104は、代わりに、偏心させた、又はポッド104の側面の1つに沿って進む単一の親ねじを有することができる。そのようなオフセット駆動システムは、中心駆動システムよりも垂直にコンパクトなポッド104を可能にすることができ、それでも、親ねじは、少なくとも500lbの力を提供することができる。しかしながら、オフセット駆動システムを使用すると、対称でない片持ち荷重となる。換言すれば、オフセット駆動システムでは、インターフェース面(ポッド104がピペットチップに接続する)の水平安定性を維持しながら、ポッド104全体の幾何学的中心において力を印加する能力が困難になる。システムの剛性が十分でない場合、ピペットチップに印加される荷重は、チップトレイ106全体にわたって勾配を有し、不均等にロードしたピペットチップの末端効果を伴う(例えば、いくつかのピペットチップは、他のものよりも確実に、又はより遠くに、マンドレルの上へ着座される)。これは、ピペットチップの各々との気密接続が所望されるので、問題になり得る。更に、チップを同じ一貫した高さに装填することも極めて重要である。オフセット駆動システムで生じ得る、チップが同じ高さでない場合は、チップのいくつかがピペットウエルの底部に到達し、他のチップは、到達しないことになる。これは、チップ(例えば、ピペットウエルの底部に到達しないチップ)のいくつかが所望の試薬ではなく気泡を吸い上げることになり得るので、低容量のピペッティング動作を行うための能力及びピペッティングのための全体的な変動係数に影響を及ぼす場合がある。システムに印加されるモーメントに対抗するために、ポッド104及びその構成要素は、荷重中心の周りで揺動することに抵抗することができるように強化される。曲げモーメントに抵抗するために、ポッド104内のリニアモーション構成要素の全てのサイズを増加させることは、オフセット荷重を可能にするが、それでも、インターフェースプレートの配向を維持する。オフセット駆動システムと共に使用される、結果として生じるポッドは、結局、同じ装填力を送達することができる中心駆動システムを伴う同等のポッドよりも、X軸及びY軸の両方においてはるかに大きくなるだけでなく、重くなる。ポッド104が予め定義された次元の設置面積に制約されるシナリオにおいて、オフセット駆動システムを収容するために大型化され、強化された構成要素をポッド104内に収めることは、可能であるが、困難であり得る。
【0056】
したがって、中心駆動システムを使用するか、オフセット駆動システムを使用するにかかわらず、ポッド104の寸法を増加させることなく、単一の親ねじをポッド104で使用することは、可能であるが、困難であり得る。他の実施形態では、ポッド104の中心を通して進めるためのいかなる親ねじも必要とすることなく、必要とされるチップ装填力をポッド104全体の幾何学的中心に提供するために、2つ以上の親ねじを同時に使用することができる。したがって、2つ以上の任意の数の親ねじを使用することができる。例えば、ポッド104の両側又はポッド104の各隅部に親ねじを伴って、4つの親ねじを使用することができる。追加的な親ねじの使用は、本出願において後で開示されるように、荷重を一致させる目的に有益であり得る。しかしながら、多過ぎる親ねじの使用は、ポッド104内で追加的な空間を占有し、それらの親ねじを収容するためにより大きいポッド104を必要とし得ることに留意されたい。図に表される以下の例示的な実施形態は、2つの親ねじを利用し、その構成は、非限定であることを意図しており、単に駆動システムの動作を理解することを容易にする目的のためにだけ提供される。
【0057】
図に関して、図2図5は、2つの親ねじを利用するポッドの例示的な実施形態を対象としており、各親ねじは、ポッドの対抗する側部に位置付けられ、かつポッドのZ軸に平行に進む。どちらの親ねじも、両側で下向きに押すことによってチップ装填に使用される力を送達するように構成することができ、これは、荷重が2つの親ねじの間の中心に置かれたときに、荷重が2つの親ねじの間に均等に分割されるといった追加的な利点を可能にする。
【0058】
図2は、1つの例示的な実施形態による、2つの親ねじを利用するポッドの内部の底面斜視図を示す。
【0059】
より具体的には、ポッド200は、ポッド200の垂直軸にわたり、かつポッド200の両側にある、第1の親ねじ202及び第2の親ねじ204を含むことができる。ポッド200の底端部には、載置プレート206、インターフェースプレート208、及びマンドレルを担持する中央部分210がある。したがって、中央部分210は、ポッド200の中央で保持されるポンプ(及びピペッティング動作のための他の構成要素)とインターフェース接続し、結果として生じるピペッティング動作は、ポッド200の底部において中央部分210で行われる。
【0060】
図に示されるように、いくつかの実施形態において、第1の親ねじ202及び第2の親ねじ204は、ポッド200の頂部及び底部に固定することができる。いくつかの実施形態において、第1の親ねじ202及び第2の親ねじ204は、載置プレート206並びにインターフェースプレート208を通って進む。第1の親ねじ202及び第2の親ねじ204の底端部は、インターフェースプレート208に固定することができ、図で分かるように、第1の親ねじ202は、ポッド200の底端部で終端し、第2の親ねじ204は、ポッド200の底端部で終端する。親ねじの長さは、任意の好適な長さとすることができる。いくつかの実施形態において、親ねじは、ポッド200の垂直長さとほぼ同じ長さとすることができる。
【0061】
いくつかの実施形態において、載置プレート206及び中央部分210は、親ねじに対して上下に移動させることができ、一方で、インターフェースプレート208は、親ねじの底端部に固定されたままである。そのような実施形態のいくつかにおいて、載置プレート206及び中央部分210は、親ねじを時計回り又は反時計回りに回転させた結果として、親ねじに対して上下に移動させることができる。いくつかの実施形態において、インターフェースプレート208は、駆動システムの一部であり、かつ必要なチップ装填力を供給するのを補助する。インターフェースプレート208がピペットチップのトレイの上に位置付けられたときに、親ねじを回転させることが、載置プレート206及び中央部分210(マンドレルを含む)のピペットチップに向かう下向きの駆動をもたらす。マンドレルが必要なチップ装填力によって下向きに押されると、マンドレルは、摩擦嵌めを介して、ピペットチップに取り付けられる。
【0062】
図3は、例示的な一実施形態による、2つの親ねじを利用するポッドの内部の上面斜視図を示す。
【0063】
より具体的には、図3は、ポッド200の種々の実施形態において、どのように第1の親ねじ202及び第2の親ねじ204などの親ねじを回転させることができるのかを例示する。親ねじを回転させるための任意の方法及び構成を使用することができ、親ねじに機械的に結合されたモータの使用を通じたものだけではないことが想定される。更に、任意の数の親ねじに機械的に結合された任意の数のモータが存在し得る。
【0064】
図に示されるように、各個々の親ねじは、独立したモータに機械的に結合される。例えば、第1の親ねじ202の頂部は、第1のモータ302に機械的に結合させることができる。いくつかの実施形態において、第1のモータ302は、エンクロージャ内とすることができ、かつどちらも同じくエンクロージャ内に収容することができるプーリ及びベルトによって第1の親ねじ202に機械的に結合させることができる。第1のモータ302の動作は、第1の親ねじ202を時計回り及び反時計回りに回転させるために使用することができる。第2の親ねじ204の頂部は、第2のモータ304に機械的に結合させることができる。いくつかの実施形態において、第2のモータ304もまた、エンクロージャ内とすることができ、かつどちらも同じくエンクロージャ内に収容することができるプーリ及びベルトによって第2の親ねじ204に機械的に結合させることができる。第2のモータ304の動作は、第2の親ねじ204を時計回り及び反時計回りに回転させるために使用することができる。先の図にあるように、親ねじは、ポッド200の垂直次元にわたることができ、ポッド200の頂部及びポッド200の底部に固定することができる。
【0065】
したがって、種々の実施形態において、駆動システムで使用される各親ねじは、それを駆動する独立したモータに機械的に結合させることができる。この構成はまた、全てのピペットチップをチップトレイに装填するものとは対照的に、ピペットチップの部分的なラックの装填を可能にする、多数の利点も提供することができる。全チップトレイが装填される典型的なシナリオでは、対称的な下向きの力を使用することができる。例えば、ワークステーションは、ポッドの底部が全チップトレイの上を中心とするように再位置付けすることができる。チップ装填中に、ポッド104の底部のX軸及びY軸を中心とするZ軸において反力が生成される。したがって、下向きのチップ装填力が反力と整列されるので、対称の下向きのチップ装填力を送達することができる任意の駆動システムを使用して、トレイ内のピペットチップの全てを取り出すことができる。
【0066】
しかしながら、ピペットチップの部分的な装填に関しては、トレイ全体ではなくチップトレイ内のピペットチップのいくつかだけが装填される場合、ポッドの底部は、チップトレイ又はチップトレイ内に残存しているチップのアレイを完全に中心とすることができない。例えば、チップトレイの右側にピペットチップを装填するために、それらのピペットチップは、ポッドの底部の左側と整列させることができる。これは、ポッドが、チップトレイの右側のそれらのピペットチップだけを取り出し、トレイ内の他のピペットチップ(例えば、チップトレイの左側のピペットチップ)のいずれも取り出さないことを可能にする。このシナリオにおいて、チップトレイによって生成される反力は、ポッドの底部を中心とせず、むしろポッドの底部の左側に向かって位置付けられる。一般に、チップトレイの部分的な装填中に、総反力は、減少し得るが、ポッドのX軸及びY軸のうちの1つ以上において偏心して移動し得る。換言すれば、反力は、ポッドの底部の中心ではなく、側面又は隅部に向かって生成され得る。
【0067】
これは、オフセット荷重(ポッド上の不均一な装填)を作り出し、適正な量のチップ装填力をピペットチップに印加すること、又はポッドをチップのアレイに対して平行に保つことを困難にする。不十分な力がそれらの特定のピペットチップに印加されている場合、又はポッドがチップのアレイと平行な状態を維持していない場合、ピペットチップは、マンドレルに取り付けることができるが、マンドレル上に十分に着座されない場合がある。この接続は、空気が漏出する場合があり、それらのピペットチップは、ピペッティング動作を十分に取り扱わない。それらの固有のピペットチップに印加されている力が大き過ぎる場合は、ピペットチップを圧壊する場合がある。
【0068】
本出願において後で図5に関して説明されるように、この問題に対処するために、親ねじを独立して駆動することができ、よって、ピペットチップの全トレイ、ピペットチップの部分的なトレイ、更には単一のピペットチップを装填するために、ポッド200を使用することができる。ポッド200は、レール306(図3において視認できない、ポッド200の片側の対応するレールが存在し得る)などの1つ以上のレール又はガイドを有することができ、これは、載置プレート206の運動を案内し、かつ-独立して駆動される親ねじが同期しなくなる場合、又は親ねじのうちの1つが回転し過ぎる場合のように-載置プレート206が傾き過ぎるのを防止する。載置プレート206が傾き過ぎると、ポッド200が引っ掛かる場合があり、載置プレート206の更なる運動を不可能にする場合がある。したがって、レール又はガイドは、載置プレート206を水平に保持することができる。更に、モータを通じて及ぼされる制御はまた、親ねじが互いに線から外れないことを確実にするが、線から外れると、載置プレート206を傾かせる場合がある。
【0069】
図4Aは、例示的な一実施形態による、2つの親ねじを利用するポッドの内部の側面斜視図を示す。
【0070】
図4Bは、例示的な一実施形態による、2つの親ねじを利用するポッドの内部の上面図を示す。
【0071】
図4A及び図4Bの両方に関して、先に説明したポッドの多くの構成要素は、互いに関連していると認識することができる。
【0072】
例えば、第1の親ねじ202(例えば、第1の駆動要素の一例)は、タイミングプーリ及びベルト402を介して、第1のモータ302に動作可能かつ機械的に結合され、かつポッドの頂部に固定されると認識することができる。第1の親ねじ202はまた、載置プレート206を通って進み、かつインターフェースプレート208においてポッドの底部に固定される。類似的に、第2の親ねじ204(例えば、第2の駆動要素の一例)は、タイミングプーリ及びベルト404を介して、第2のモータ304に動作可能かつ機械的に結合され、かつポッドの頂部に固定されると認識することができる。第2の親ねじ204はまた、載置プレート206を通って進み、かつインターフェースプレート208においてポッドの底部に固定される。いくつかの実施形態では、第1の駆動要素に由来する第1の力を検出するように構成された第1の力センサが存在し得る。いくつかの実施形態において、第1の力センサは、第1のモータ302の構成要素とすることができる。いくつかの実施形態において、第1の力センサは、第1のモータ302の巻線を含むことができる。いくつかの実施形態では、第2の駆動要素に由来する第2の力を検出するように構成された第2の力センサが存在し得る。いくつかの実施形態において、第2の力センサは、第2のモータ304の構成要素とすることができる。いくつかの実施形態において、第2の力センサは、第2のモータ304の巻線を含むことができる。
【0073】
載置プレート206(例えば、プラットフォーム又はピペッタヘッドの一例)は、第1の親ねじ202及び第2の親ねじ204、並びに載置プレート206が上下に移動するときに傾くことを防止するのを補助するレール306及び308に沿って、上下に移動する。いくつかの実施形態において、載置プレート206又はプラットフォームは、第1の場所を含むことができる。いくつかの実施形態において、載置プレート206又はプラットフォームは、第1の駆動要素及び第2の駆動要素に係合するように構成することができ、第1の駆動要素及び第2の駆動要素の起動は、載置プレート206又はプラットフォームを移動させることができる。いくつかの実施形態において、載置プレート206又はプラットフォーム上のこの第1の場所は、第1の駆動要素から、かつ第2の駆動要素からオフセットすることができる。いくつかの実施形態において、載置プレート206又はプラットフォームは、第1の駆動要素から、第2の駆動要素から、かつ第1の場所からオフセットされた第2の場所を更に含むことができる。いくつかの実施形態において、載置プレート206又はプラットフォームは、中心線及び中央線によって第1の領域及び斜めに対向する第2の領域に細分化することができる。中心線は、第1の駆動要素及び第2の駆動要素の中心と交差し、中央線は、中心線の中間点を通って、中心線に対して直角とすることができる。特定の実施形態において、プラットフォームの第1の場所は、第1の領域内に配置され、プラットフォームの第2の場所は、第2の領域内に配置される。
【0074】
いくつかの実施形態において、載置プレート206又はピペッタヘッドは、第1の駆動ねじ及び第2の駆動ねじ(第1の親ねじ202及び第2の親ねじ204など)に係合させることができる。ピペッタヘッドは、デッキ(図2に示される中央部分210など)の上に配置することができ、又はマンドレル110を親ねじに対して上下に移動させることができ、一方で、インターフェースプレート208は、親ねじの底端部に固定された状態を維持する。そのような実施形態のいくつかにおいて、載置プレート206は、第1の駆動ねじに印加されるトルク及び第2の駆動ねじに印加されるトルクに応じて、デッキに対して移動可能とすることができる。複数のピペットチップが存在するときに、複数のピペットチップは、ピペッタヘッドに対する挿入力を生成することができる。いくつかの実施形態において、デッキは、複数のピペットチップを支持するように構成することができる。いくつかの実施形態では、第1の駆動ねじに結合され、複数のピペットチップによって生成された挿入力の第1の値を検出するように構成された第1の力センサが存在し得る。例えば、第1の力センサは、第1の駆動ねじに動作可能に結合された第1のモータの巻線とすることができる。いくつかの実施形態では、第2の駆動ねじに結合され、複数のピペットチップによって生成された挿入力の第2の値を検出するために構成された第2の力センサが存在し得る。例えば、第2の力センサは、第2の駆動ねじに動作可能に結合された第2のモータの巻線とすることができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、第1の力センサによって検出された挿入力の検出した第1の値に応じて、第1の駆動ねじのトルクを調整するように構成されたコントローラ(例えば、図7に示される中央コントローラ700)が存在し得る。コントローラはまた、第2の力センサによって検出された挿入力の検出した第2の値に応じて、第2の駆動ねじのトルクを調整するように構成することもできる。いくつかの実施形態において、コントローラは、トルクを第1の駆動ねじに印加して、第1の力センサによって検出される挿入力の所定の第1の値を生成するように構成することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、第1の親ねじ202の長さに沿って平行に進む第1のエンコーダストリップ412(例えば、第1のリニアエンコーダの一例)が存在し得る。いくつかの実施形態では、第2の親ねじ204の長さに沿って進む第2のエンコーダストリップ414(例えば、第2のリニアエンコーダの一例)も存在し得る。いくつかの実施形態では、載置プレート206上の(例えば、プラットフォームの第1の場所の)第1のエンコーダヘッド422(例えば、第1の位置センサの一例)、及び載置プレート206上の(例えば、プラットフォームの第2の場所の)第2のエンコーダヘッド424(例えば、第2の位置センサの一例)が存在し得る。エンコーダストリップ及びエンコーダヘッドは、親ねじに沿った載置プレート206の位置を測定するために使用することができる。この情報は、独立して駆動されるように先に述べたモータを制御する際にフィードバックの目的で使用することができる。いくつかの実施形態において、第1の位置センサは、第1の場所でのプラットフォームの第1の位置を測定するように構成することができる。いくつかの実施形態において、第2の位置センサは、第2の場所でのプラットフォームの第2の位置を測定するように構成することができる。いくつかの実施形態において、第1の位置センサは、第1の場所に隣接する第1のリニアエンコーダを含むことができる。いくつかの実施形態において、第2の位置センサは、第2の場所に隣接する第2のリニアエンコーダを含むことができる。図5に関して説明されるように、モータ及び親ねじを独立して駆動すること、並びにそれらの独立して駆動されるモータの制御に有用なフィードバック情報を収集することは、ポッドが、オフセット荷重に対処しながら、トレイからピペットチップの部分的な装填を行うことを可能にすることができる。
【0077】
いくつかの実施形態では、第1のエンコーダストリップ412(例えば、第1のリニアエンコーダ)及び第2のエンコーダストリップ414(例えば、第2のリニアエンコーダ)が存在し得る。第2のリニアエンコーダは、第1のリニアエンコーダからオフセットすることができる。第1のリニアエンコーダは、載置プレート206(例えば、ピペッタヘッド)の第1の位置を測定するように構成することができ、第2のリニアエンコーダは、ピペッタヘッドの第2の位置を測定するように構成することができる。いくつかの実施形態において、コントローラ(図7に示される中央コントローラ700など)は、第1及び第2のリニアエンコーダによって測定されたピペッタヘッドの第1の位置及び第2の位置に応じて、第2の駆動ねじのトルクを調整するように構成することができる。いくつかの実施形態において、コントローラは、トルクを第2の駆動ねじに印加して、挿入力の所定の第2の値を生成して、測定された第2の位置を、測定された第1の位置と水平に維持するように構成することができる。いくつかの実施形態において、コントローラは、トルクを第2の駆動ねじに印加して、挿入力の所定の第2の値を生成するように構成することができる。いくつかの実施形態において、2つのオフセットされたエンコーダストリップ(第1のエンコーダストリップ412及び第2のエンコーダストリップ414)は、ポッドがチップトレイのチップの部分的なアレイによって作成されたオフセット力に逆らって押しているときに、チップのアレイに対するポッドの水平度を維持するために有用であり得る。
【0078】
先に述べたように、いくつかの実施形態において、載置プレート206又はピペッタヘッドは、中心線及び中央線によって第1の領域及び斜めに対向する第2の領域に細分化することができる。中心線は、第1の駆動ねじ及び第2の駆動ねじの中心と交差し、中央線は、中心線の中間点を通って、中心線に対して直角とすることができる。第1の位置は、第1の領域内で第1の位置センサを使用して測定することができ、第2の位置は、第2の領域内で第2の位置センサを使用して測定することができる。いくつかの実施形態において、ピペッタヘッドは、ピペットチップに係合するように各々が構成された複数のマンドレルを含むことができる。いくつかの事例において、複数のマンドレルが複数のピペットチップに係合するときに、全てよりも少ない複数のマンドレルが係合される。これは、好都合に、ピペットチップを保護しながら、液体移送の限定された一組のためにピペッタヘッドを柔軟に使用することを可能にする。
【0079】
図5は、インターフェースプレートの上面図を示す。より具体的には、図5は、インターフェースプレートの中心に関する種々の構成要素の位置決めを示す。
【0080】
先に述べたように、親ねじ202及び204などの多数の親ねじの使用は、ピペットチップの部分的な装填を可能にすることができる。換言すれば、384個のピペットチップを含むチップトレイにおいて、ラボ自動化ワークステーションは、ポッドを制御して、それらのピペットチップのうちのサブセットだけ(例えば、1つのチップから384個のチップの全数までの任意の数)を取り出すことが可能であり得る。
【0081】
一般に、ポッドは、一度にトレイから特定の配設のチップだけを取り出すことが可能であり得る。これは、典型的に、チップが取り出されているチップトレイの領域に対向するマンドレルの領域を使用することを含み得る。例えば、全チップトレイ内のチップのうちの最右列を取り出すためには、マンドレルの左側をそれらのチップ上に降ろす。全チップトレイのチップの最上行を取り出すためには、マンドレルの底部側をそれらのチップの上へ降ろす。トレイの右上隅部からチップを取り出すためには、マンドレルの左下隅部をそれらのチップ上へ降ろすことができる。
【0082】
より複雑な配設のチップは、多数のチップ装填手順の組み合わせを通して取り出すことができる。例えば、2つのチップ装填手順の組み合わせを使用して、最左端の列及び再下端の行を含む「L」字形状の配設のチップを取り出すことができる。いくつかの実施形態において、ラボ自動化ワークステーションは、チップトレイ内で保持されている利用可能なチップの位置を検出し、決定するために、撮像装置、カメラ、又はセンサを備えることができる。そのような実施形態のいくつかにおいて、撮像装置、カメラ、又はセンサは、ポッドと統合することができる。いくつかの実施形態において、ラボ自動化ワークステーションのための制御ソフトウェアは、チップ装填手順の必要な組み合わせを自動的に決定して、特定の配設のピペットチップを取り出し、次いで、チップ装填手順のその組み合わせを自動的に行うことが可能であり得る。
【0083】
先に説明したように、ピペットチップの部分的な装填を含むこれらの例において、ポッドは、(チップの全装填を伴う場合のように)チップトレイの真上を中心としていないので、ポッド上には不均一な荷重が存在する。換言すれば、384個のチップを保持しているチップトレイ内の最右列のチップだけを装填することと関連付けられた反力は、中心からオフセットされる。しかしながら、その不均一な荷重の強度、場所、及び分布は、決定することができる。いくつかの実施形態において、その不均一な荷重の強度、場所、及び配分は、数学的にモデル化し、前もって知っておくことができる。例えば、単に、最右列のチップだけをマンドレルの上へ装填すべきであることを知ることによって、荷重の強度及び配分を決定することができる。
【0084】
ねじは、独立したモータを使用して駆動されているので、モータの各々によって提供されるトルクを調整することによって、一方の親ねじを通して他方よりも多くの力を供給することができる。親ねじは、回転モータトルクをポッドに印加される力に変換する。異なるが、正確な量の力を、ポッド上の不均一な荷重に対抗する様態で、各親ねじを通して送達することができ、よって、印加されている下向きのチップ装填力は、マンドレルが水平に保たれている間、荷重と一致する。適正な量のチップ装填力がピペットチップに送達されることによって、ポッド(及びマンドレル)が水平に保たれ得る結果になる。別様には、マンドレルが水平に保たれない場合は、ポッドがある角度でチップ取り出し、詰まる可能性がある。又は、力が小さ過ぎる場合、ピペットチップは、ウエルをマンドレル上に着座させず、空気が漏出する場合があり、又はピペットチップは、マンドレルに対して一貫しない高さに装填される場合がある。又は、力が大き過ぎる場合、ピペットチップは、その力によって圧壊されることになる。
【0085】
先に述べたように、この概念は、Z軸(例えば、第3の親ねじ)について多重駆動に拡大することができる。第3の駆動を加えることは、例えば、追加的な軸(例えば、Y軸に加えてX軸)の周りの力を正規化するのを補助することができる。したがって、いくつかの実施形態において、ポッドは、各親ねじが独立したモータに機械的に結合された、3つの親ねじを利用することができる。例えば、3つの親ねじは、2つの親ねじがポッドの両側にある示される図とは対照的に、三角形の形状に位置付けることができ、かつポッドの垂直軸にわたることができる。
【0086】
しかしながら、マンドレルを水平に保ちながら、親ねじによって提供される力を調整して、不均一な荷重に対抗することを可能にするために、ラボ自動化ワークステーションは、各親ねじによって提供される力を測定すること、並びにマンドレルが水平に保たれているかどうか(又はマンドレルが傾いているかどうか、及び傾斜の程度)を判定することが可能でなければならない。親ねじによって提供される力を測定するための、及びマンドレルが水平であるかどうかを判定するための種々の方法及び実施形態を下で説明する。
【0087】
いくつかの実施形態において、ラボ自動化ワークステーションは、親ねじに結合されたモータの電流を測定することによって、親ねじによって提供される力を測定することが可能であり得る。そうした電流は、駆動システムの数学モデルを通して、力と相関させることができる。
【0088】
マンドレルは、載置プレートと共により上に又はより下に移動するので、マンドレルが同じ高さに保たれているかどうかを判定するために、良好なプロキシは、載置プレートが水平に保たれているかどうかを判定することである。いくつかの実施形態において、ラボ自動化ワークステーションは、載置プレートがX平面又はY平面において傾いているかどうかを判定するために使用することができる、垂直軸に沿った載置プレートの隅位置を判定することが可能であり得る。そのような実施形態のいくつかにおいて、ラボ自動化ワークステーションは、親ねじと一緒に進むリニアエンコーダストリップを有することができる。これらのストリップは、各リニアエンコーダストリップの長さに沿って変動する磁区、又は光学マーキング、又は他の検出可能な特性を含むことができる。載置プレートは、親ねじと一緒に進むエンコーダストリップに対応するエンコーダヘッドを有することができ、よって、ラボ自動化ワークステーションは、(エンコーダヘッドがある)載置プレートの隅位置が親ねじに沿ってどのくらい遠くにあるのかを測定することができる。載置プレートの傾斜を測定することによって、ラボ自動化ワークステーションが、前もって荷重配分を知っているにもかかわらず、載置プレートの傾斜が生じていることを検出した場合、ラボ自動化ワークステーションは、親ねじのうちの1つが過剰な力を送達していると推測することができ、それに応じて、モータを調整することができる。
【0089】
図を参照すると、リニアエンコーダの磁気ストリップは、親ねじと一緒に動作する図4Aに示されるようなエンコーダストリップ412及び414とすることができる。しかしながら、エンコーダストリップ、並びにそれらに対応する載置プレート上のエンコーダヘッド(図4Bに示されるようなエンコーダヘッド422及び424など)は、必ずしも親ねじ自体に存在しない場合があり、代わりに、それらからオフセットされている場合がある。このオフセットは、図5でより良好に認識することができる。インターフェースプレートの中心に対して、エンコーダヘッド422(及び対応するエンコーダストリップ412)は、インターフェースプレートの中心からのXオフセット及びYオフセットの両方を有する。類似的に、エンコーダヘッド424(及び対応するエンコーダストリップ412)もまた、インターフェースプレートの中心からのXオフセット及びYオフセットの両方を有する。両隅部(前方右側、後方左側)に位置する2つのリニアエンコーダによって、マンドレルを水平に保つことができ、両方のモータの同期を保つことができる。
【0090】
インターフェースプレートの両側部にX及びYオフセットを有する状態で両方のエンコーダヘッドを位置付けることによって、2つのエンコーダヘッドだけが、X及びY平面の両方における載置プレートの傾斜を決定するために必要とされる。これは、同じY座標上に両方のエンコーダヘッドを有することに勝る改善であり、検出手段がなければ、X軸の周りにマンドレルの潜在的な傾斜をもたらす。
【0091】
対照的に、単一のエンコーダを使用した場合は、マンドレルがどのくらい水平であるのかを知ることができないので、モータを適切に同期させることが困難な場合があり、また、動的にポッドを水平にする能力が存在しない。これは、一方のモータを他方のモータよりも苛酷に、かつ速く駆動し、かつ過剰な摩耗及び拘束状況を誘導し、ポッドを詰まらせる可能性がある。
【0092】
図6Aは、ラボ自動化ワークステーションの例示的な実施形態による、部分的な一組のチップの装填を表すフローチャートを示す。
【0093】
先の図では、統合したチップ装填機能を有するポッドの実施形態を、2つの親ねじ(例えば、Z軸の二重駆動)を利用して示した。この二重駆動Z軸構成は、2つのフィードバックシステム-1つがねじを通して送達されている力に関し、1つが載置プレートの傾斜に関する-を利用するものとして説明した。いくつかの実施形態において、二重駆動Z軸構成は、独立して動作するが単一のマイクロプロセッサの中に存在する、これらの2つのフィードバックシステムを利用することができる。どちらのフィードバックシステムも、各モータの状態を同期させる共通モーションシステムによって同時に開始又は停止され、かつ管理される。これは、機器ソフトウェアが二重駆動を単一のモータとして扱うような様態の二重駆動システムを抽象化する。例えば、二重モータのうちの一方が問題に遭遇し、モータの停止をもたらす場合、共通モーションシステムは、エラーを機器ソフトウェアに報告する前に、他方のモータを自動的に停止させることができる。
【0094】
ブロック602で、ラボ自動化ワークステーションは、ポッドのマンドレルの上へ装填するべきチップを決定することができる。これは、ユーザがチップトレイ内のどのチップを装填するべきかに関して制御ソフトウェアにおいて選択を行った場合などの、ユーザからの入力に応じることができる。したがって、チップトレイ内の単一のチップから全てのチップまでの範囲の任意の数を装填するように選択することができる。いくつかの実施形態において、ラボ自動化ワークステーションは、チップトレイ内のどのチップが装填に利用可能であるのかを検出することができる撮像装置、カメラ、又はセンサを含むことができる。
【0095】
先に述べたように、いくつかのシナリオにおいて、装填されるチップの配設は、より複雑で、かつ多数の装填を行うことが必要である場合がある。そのようなシナリオにおいて、ラボ自動化ワークステーションは、行われるべき装填手順の必要な組み合わせを自動的に決定して、それらを実行することが可能であり得、これは、ブロック604、606、608、及び610を複数回-組み合わせの装填手順ごとに1回-行うことが必要であり得る。
【0096】
ブロック604で、ラボ自動化ワークステーションは、二重駆動システムを原点復帰させ、その状態を判定することができる。システムが原点復帰される前に、二重駆動システムの状態(例えば、モータの位置)は未知である。適切な動作のために、モータは、物理的なハードストッパなどの既知の場所に原点復帰させなければならない。いくつかの実施形態では、構成された時間量にわたってその力の限度に到達するまで、両方のモータがハードストッパの方向に同時に駆動される。各モータのハードストッパが見出されると、それらのそれぞれのエンコーダ位置が原点復帰位置に設定される。原点復帰位置を誤って見出すことを防止するには、時間要素が特に重要である。いくつかの実施形態において、ハードストッパの検索を開始する前に、2つのモータが拘束を伴わずに移動するように十分に整列されていることを確実にすることが重要であり得る。これは、各モータを反対方向に駆動し、各位置を記録し、次いで、各モータの方向を逆にし、再度位置を記録し、次いで、各モータを平均の見出された位置に移動させることによって達成される。共通モーションシステムは、原点復帰させることの一部としてこのプロセスを自動的に管理する。
【0097】
ブロック606で、ラボ自動化ワークステーションは、装填するべきチップに応じて、チップ装填力の送達を制御するために使用する動作モードを決定することができる。いくつかの実施形態において、ラボ自動化ワークステーションは、人間の入力を必要とすることなく、チップを装填するために使用する動作モードを自動的に決定することが可能であり得る。種々の動作モードを以下に開示する。
【0098】
1つの動作モードは押し運動であり、所望の力の出力が得られるまで、モータが駆動される。トレイの全チップを装填するなどの用途では、全てのチップが装填されることを確実にするために、均一な力の配分が必要とされる。チップトレイの水平度などの種々の要因のため、単に載置プレートを特定の位置へ駆動することが妥当でない場合があり、シャーシ又はデッキプレートのチップトレイの撓みは、チップトレイの各側部両に対する不均一な力を生じさせ得る。各モータを一定の力に駆動することは、構成された力が定義された時間量にわたって得られるまで、両方のモータを移動させることを可能にする。力は、力ゲージ(例えば、トランスデューサ又は歪み計)によって、又はモータに流れている電流を測定することによって、測定することができる。押し運動を行うために、二重駆動システムの両方のモータに、モータの電流値に変換される目標力が与えられる。両方のモータは、同時に起動され、特定の時間量にわたってモータの電流制限に到達するまで、モータのそれぞれの軌道をたどる。両方のモータが制限又は目標位置に達したときに、押し運動が完了する。機械的構成要素(例えば、シャシー又はデッキプレート)が撓むときに、これは、チップトレイの表面にわたって力をより均等に配分する補償効果を有する。チップトレイの部分的な装填の場合、各モータによって必要とされる力が異なる場合がある。種々の力の配分が適用可能であり得る。例えば、システムは、各チップに必要とされる力のモデル、及びポッドに対するピペットチップの幾何配分に基づいて、荷重の幾何中心を算出することができる。システムは、次いで、算出した幾何中心を、親ねじに接続している中心線に投影し、親ねじの各々についてトルクを算出することができ、各トルクの少なくとも一部分は、それぞれの親ねじと投影された幾何中心との間の距離に反比例する。
【0099】
別の動作モードは、位置ベースのフィードバック運動であり、両方のモータが、モータが所望の位置になるまで、フィードバックのためにリニアエンコーダを使用する閉ループ様式で駆動される。単一のモータの典型的な位置ベースのフィードバック運動は、経時的にモータの所望の位置を設定するための軌道発生器、実際の位置と所望の位置とを比較するためのエンコーダ、及びモータ駆動システムへの入力である制御変数を発生させるための制御ループを利用する。二重駆動システムにおいて、各モータは、同じ目標位置への軌道をプロットする、それ自体の軌道発生器を有する。2つのモータが移動の開始時に完全に整列していない場合、開始位置が異なる可能性がある。いくつかの実施形態では、両方のエンコーダからのフィードバックが多入力/多出力(multi-input/multi-output、MIMO)のPID(proportional-integral-derivative、比例-積分-微分)制御ループで利用されるように、モータ間で共有されるエンコーダフィードバックが存在得る。その理論的根拠は、一方のモータが他方のモータに先行し、二重駆動ポッドを傾かせ得ることであり、これが更に、リニアガイド構成要素の拘束をもたらすことである。両方のモータから各モータの制御時にエンコーダフィードバックを含むことは、傾斜を検出して、モータの位置を等しくする。
【0100】
別の動作モードは、片側押し運動であり、一方のモータは、そのモータの所望の力の出力が得られるまで駆動され、一方で、他方のモータは、位置を使用して追跡される。例えば、ポッドが左側のチップの列を装填していて、かついかなる他のチップも装填していない場合、左側モータは、特定の力で移動するようにプログラムされる。右側モータの目標位置は、左側エンコーダがその開始位置から移動した相対距離によって決定される。換言すれば、左側モータが目標の力に到達した場合、その開始位置からNエンコーダカウントだけ移動した後に、右側モータの目標位置は、右側モータの開始位置をNエンコーダカウントだけ過ぎた所になる。
【0101】
別の動作モードは、非対称の押し運動であり、押し運動が行われるが、2つの異なる所望の力の出力がモータの間で得られるまで、モータが駆動される。これは、力を意図的に不均等に配分するために所望の力の出力が算出されるので、チップトレイの部分的な装填に有用であり得る。力の配分は、装填されているチップの場所及び数に基づく。
【0102】
ブロック608で、ラボ自動化ワークステーションは、選択された動作モードに従って、載置プレートを下方に移動させてマンドレルをピペットチップに取り付けるために、親ねじを駆動することによってチップの装填を開始することができる。
【0103】
ブロック610で、ラボ自動化ワークステーションは、モータと関連付けられた所望の位置又は力が得られるまで、フィードバックシステムを監視することができる。
【0104】
図6Bは、ラボ自動化ワークステーションの例示的な実施形態による、チップの部分的な一組の装填の側面斜視図を示す。
【0105】
より具体的には、この図は、ポッド104、及び16×24個の構成で384個のピペットチップを含むチップトレイ106を例示する。ポッド104には、チップトレイ106から4行かつ16列のピペットチップを取り出すタスクが与えられている。したがって、ポッド104は、チップトレイ106の中心の真上に位置付けられていない。代わりに、ポッド104は、チップの4×16個のアレイだけがポッド104と接触して取り出されるように、中心からオフセットされて位置付けられている。チップトレイ106からこの部分的な一組のチップを装填する実際の実装形態は、図6Aと関連する上の説明を参照することによって理解することができる。
代替の実施形態
【0106】
いくつかの実施形態において、ポッドは、片側駆動システムを有するオフセット装填方式を利用することができる。例えば、偏心した単一の親ねじがポッド内に存在し得る。リニアモーション構成要素は、オフセット反力によって作成されるモーメントに対処するために、サイズを増大させることが必要であり得る。
【0107】
いくつかの実施形態において、ポッドは、ポッド内を中心とする駆動システムを利用することができ、ポッドの幾何中心に対してゼロ又は最小のZ駆動を伴う。例えば、ポッド内を中心とする単一の親ねじが存在し得る。これは、ポットが、より大きい垂直高さを有して、ポッドの中心領域の分注機構との衝突を回避することを必要とし得る。
【0108】
いくつかの実施形態において、2つのねじに結合された単一のモータがポッド内に存在し得る。このシステムは、ねじに載置された2つの被駆動プーリを駆動するために、蛇行したベルトの配設又は重複する一組の駆動プーリのいずれかを使用する、単一のモータを有する。位置を追跡するために使用される単一のエンコーダが存在し得る。この構成に関しては、ベルトの張力、初期タイミング(又はクロッキング)又は構成要素、及び許容範囲がはるかに重要になる。任意の不均一性又は傾斜を補償するための、一方のねじを他方よりも多く駆動する能力が失われる。
【0109】
いくつかの実施形態では、2つのモータ及び2つのねじが存在し得るが、単一のエンコーダだけが存在し得る。2つの駆動の間の抗力に任意の違いがある場合、システムがマンドレルの水平度を検出することができず、かつ読み出し点に対する各駆動の真の位置を知らないので、潜在的な拘束状態が生じることになる。
【0110】
図7は、ラボ自動化ワークステーションの例示的な一実施形態による、システムのブロック図を示す。
【0111】
いくつかの実施形態では、第1の駆動要素702及び第2の駆動要素704などのいくつかの駆動要素が存在し得る。n番目の駆動要素706まで、より多くの駆動要素も存在し得る。各駆動要素は、チップ装填のための正確なリニアモーション及び下向きの力を提供することができる、任意のデバイス又は構成要素とすることができる。駆動要素の例としては、親ねじ、ボールスクリュー、ピストン、リニアアクチュエータなどが挙げられる。各駆動要素は、中央コントローラ700とインターフェース接続することができる。中央コントローラ700は、信号又は命令を送信して、種々の駆動要素を制御し、動作させることができる。先に説明したように、これらの駆動要素は、ワークステーションのポッド内とすることができる。いくつかの実施形態では、第1の場所を含むプラットフォームが存在し得、プラットフォームは、第1の駆動要素702及び第2の駆動要素704に係合するように構成され、第1の駆動要素702及び第2の駆動要素704の起動は、プラットフォームを変位させる。いくつかの実施形態において、第1の場所は、第1の駆動要素702から、及び第2の駆動要素704からオフセットすることができる。
【0112】
中央コントローラ700と通信する1つ以上の力センサ712も存在し得る。力センサ712は、種々の駆動要素を通して印加されている力を測定するように構成することができる。いくつかの実施形態では、各駆動要素に対応する力センサが存在し得る。例えば、第1の駆動要素702からの第1の力を検出するように構成された第1の力センサが存在し得、第2の駆動要素704からの第2の力を検出するように構成された第2の力センサが存在し得る。いくつかの実施形態において、力センサは、駆動要素と、又は駆動要素を移動させる構成要素と統合することができる。力センサ712は、中央コントローラ700にフィードバックが提供されるように、異なる駆動要素と関連付けられた力を報告するために、中央コントローラ700と通信することができる。
【0113】
中央コントローラ700と通信する1つ以上の位置センサ714も存在し得る。いくつかの実施形態において、位置センサ714は、プラットフォームと関連付けられた種々の位置を測定するように構成することができる。例えば、第1の場所のプラットフォームの第1の位置を測定するように構成された第1の位置センサ、並びに第2の場所のプラットフォームの第2の位置を測定するように構成された第2の位置センサが存在し得る。本明細書で説明されるように、これらの位置センサ714は、プラットフォームと関連付けられた傾斜を検出するために使用することができる。いくつかの実施形態において、位置センサ714は、エンコーダヘッドに対応する磁気リニアエンコーダストリップとすることができ、プラットフォームの位置は、対応するエンコーダストリップに沿ったエンコーダヘッドの位置に基づいて、磁気的に決定することができる。
【0114】
中央コントローラ700と通信する撮像装置708が存在し得る。いくつかの実施形態において、撮像装置708は、チップトレイ内のピペットの位置に関する情報を中央コントローラ700に中継することができる。その情報は、それらのピペットチップを装填するための種々の手法及びアルゴリズムを決定するために、中央コントローラ700によって使用することができる。
【0115】
中央コントローラ700と通信するポンプ構成要素710も存在し得る。中央コントローラ700は、それらのポンプ構成要素710と流体連通するピペットによってピペッティング動作を行うために、ポンプ構成要素710に信号又は命令を発行することができる。いくつかの実施形態において、ポンプ構成要素710は、プラットフォーム及び種々の駆動要素と共に、ポッド内にある。
【0116】
ポッド運動716の種々のデバイス又は構成要素はまた、中央コントローラ700と通信することもできる。いくつかの実施形態において、中央コントローラ700は、X軸、Y軸、及び/又はZ軸の周りでポッドを移動させるために、ポッドの運動716のためのそれらの構成要素に信号又は命令を発行することができる。したがって、中央コントローラ700は、チップ装填及びピペッティング動作を行うために、ポッドの再位置付けを制御することができる。
【0117】
上に記載したような本発明は、モジュール様態又は統合様態のコンピュータソフトウェアを使用して、制御論理の形態で実施され得ることを理解すべきである。本明細書に提供された開示及び教示に基づいて、当業者は、ハードウェア及びハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを使用して本発明を実施するための他の方式及び/又は方法を知り、かつ認識するであろう。
【0118】
この出願において記載されたソフトウェア構成要素又は機能のいずれかは、任意の適切なコンピュータ言語、例えば、Java(登録商標)、C++又はPerlなどを使用し、例えば、従来又はオブジェクト指向技術を使用して、プロセッサにより実行されるソフトウェアコードとして実行され得る。ソフトウェアコードは、一連の命令又はコマンドとして、コンピュータ読み取り可能な媒体、例えば、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAM)、読み出し専用メモリ(Read Only Memory、ROM)、磁気媒体、例えば、ハードドライブ若しくはフロッピディスク又は光学媒体、例えば、CD-ROM上に保存され得る。任意のこのようなコンピュータ読み取り可能な媒体は、1つのコンピュータ装置上に属するか、又は、同装置内にあることができ、システム又はネットワーク内の種々のコンピュータ装置上に存在するか、又は、同装置内に存在することができる。
【0119】
上の説明は、例示であり、限定的ではない。本発明の多くの変更は、本開示のレビューに基づいて、当業者に明らかとなるであろう。したがって、本発明の範囲は、上の説明を参照して決定されるべきではなく、代わりに、添付の特許請求の範囲を参照して、その完全な範囲又は均等物に沿って決定されるべきである。
【0120】
任意の実施形態からの1つ以上の特徴は、本発明の範囲から逸脱することなく、任意の他の実施形態の1つ以上の特徴と組み合わせられ得る。
【0121】
「a」、「an」又は「the」の詳細説明は、特に反対に示さない限り、「1つ以上(one or more)」を意味することを意図する。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図7