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特許7239486予定磁気飛行経路に対する車両の経路補正
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】予定磁気飛行経路に対する車両の経路補正
(51)【国際特許分類】
   B60L 13/06 20060101AFI20230307BHJP
   B61B 13/06 20060101ALI20230307BHJP
   B61B 13/08 20060101ALI20230307BHJP
   B61B 13/12 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
B60L13/06 Z
B61B13/06 N
B61B13/08 B
B61B13/12 E
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019556678
(86)(22)【出願日】2018-04-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 US2018028187
(87)【国際公開番号】W WO2018195213
(87)【国際公開日】2018-10-25
【審査請求日】2021-04-16
(31)【優先権主張番号】62/486,860
(32)【優先日】2017-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517074613
【氏名又は名称】スカイトラン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001531
【氏名又は名称】弁理士法人タス・マイスター
(72)【発明者】
【氏名】ベルチュ, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ワンブル, ジョーン リー, サード
(72)【発明者】
【氏名】コール, ジョン
(72)【発明者】
【氏名】フォスター, クラーク ビー
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-315204(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02933132(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 13/06
B61B 13/06
B61B 13/08
B61B 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行経路上で車両を案内するための方法であって、前記方法は、以下を含む、
前記車両の制御装置により、金属製軌道と関連付けられた一つ以上のガイドウェイセンサにより生成された2本以上の支柱の間に配設される軌道セグメントに対応する情報を含むガイドウェイデータを受信し、前記ガイドウェイデータは、さらに軌道セグメントの区間を含み、
前記制御装置により、三次元(3D)空間での座標の集合を表す前記車両の飛行経路データを受信し、
前記制御装置により、少なくとも前記軌道セグメントの前記区間と、前記軌道セグメントの区間に対する前記車両の速度に基づいて、前記3D空間での前記軌道セグメントの撓みを判断し、
前記制御装置により、前記飛行経路データの一つ以上の座標と前記軌道セグメントの撓みに基づく前記車両の位置との間の偏差量を判断し、
磁気懸架システムにより、前記軌道セグメントに対する前記車両の位置を調節して前記3D空間の少なくとも一つの次元での前記偏差量を最小化する。
【請求項2】
前記軌道セグメントに対する前記車両の位置の調節がさらに、前記車両の高度、経度または緯度のうち少なくとも一つを調節することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記磁気懸架システムは複数の浮上発生器を含み、前記軌道セグメントに対する前記車両の前記位置の調節は、さらに以下を含む、
前記軌道セグメントに対する前記複数の浮上発生器のうち少なくとも一つの浮上発生器の角度を変化させて前記3D空間での前記少なくとも一つの次元の偏差量を最小化する、または、一つ以上の浮上発生器での浮上力を変化させて前記3D空間での前記少なくとも一つの次元の偏差量を最小化する、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
駆動発生器で駆動力を調節して前記軌道セグメントに対する前記車両の速度を変化させ、前記3D空間での少なくとも一つの次元の偏差量を最小化すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
光学センサ、エンコーダ、またはレーダセンサのうち一つに基づいて前記軌道セグメントに対する前記車両の速度を判断すること
をさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記一つ以上のガイドウェイセンサが、光学センサ、エンコーダ、無線周波数識別(RFID)センサ、前方監視レーダセンサのうち一つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ガイドウェイデータの受信は、さらに、
前記軌道セグメントを表す情報と前記飛行経路データの前記座標の集合とを格納するデータベースから前記ガイドウェイデータを受信すること、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記偏差量の判断が、さらに、
前記飛行経路データの前記一つ以上の座標と前記軌道セグメントに対する前記車両の現在位置との間の差分を判断すること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記軌道セグメントに対する前記車両のピッチとロールとヨーのうち少なくとも一つを前記偏差量に基づいて判断すること、
を含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
飛行経路上で車両を案内するためのシステムであって、
金属製軌道と関連付けられた複数のガイドウェイセンサであって、2本以上の支柱の間に配設される一つ以上の軌道セグメントに対応するガイドウェイデータを生成する複数のガイドウェイセンサと、前記ガイドウェイデータは、さらに軌道セグメントの区間を含み、
軌道セグメントに対して車両に揚力を付与する複数の浮上発生器と、
少なくとも一つのプロセッサユニットを含む制御装置と含み、前記制御装置は、以下を含む、
金属製軌道と関連付けられた一つ以上のガイドウェイセンサにより生成されて、2本以上の支柱の間に配設される軌道セグメントに対応する情報を含むガイドウェイデータを受信し、
三次元(3D)空間での座標集合を表す前記車両のための飛行経路データを受信し、
前記制御装置により、少なくとも前記軌道セグメントの前記区間と、前記軌道セグメントの区間に対する前記車両の速度に基づいて、前記3D空間での前記軌道セグメントの撓みを判断し、
前記飛行経路データの一つ以上の座標と前記軌道セグメントの撓みに基づく前記車両の位置との間の偏差量を判断し、
前記浮上発生器のうち一つ以上を調節して前記軌道セグメントに対する前記車両の位置を変化させ、前記3D空間での少なくとも一つの次元の偏差量を最小化する。
【請求項11】
符号化された命令を有する有形の非一時的コンピュータ可読媒体であって、
プロセッサにより実行された場合に、以下のように機能する、
金属製軌道と関連付けられた一つ以上のガイドウェイセンサにより生成されて2本以上の支柱の間に配設される軌道セグメントに対応する情報を含むガイドウェイデータを受信し、前記ガイドウェイデータは、さらに軌道セグメントの区間を含み、
前記軌道セグメントを通過するように構成される車両についての、三次元(3D)空間での座標の集合を表す飛行経路データを受信し、
少なくとも前記軌道セグメントの前記区間と、前記軌道セグメントの区間に対する前記車両の速度に基づいて、前記3D空間での前記軌道セグメントの撓みを判断し、
前記飛行経路データの一つ以上の座標と前記軌道セグメントの撓みに基づく前記車両の位置との間の偏差量を判断し、
磁気懸架システムに命令して前記軌道セグメントに対する前記車両の位置を調節し前記3D空間での少なくとも一つの次元の偏差量を最小化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガイドウェイでの磁気式飛行中の車両制御に関する。より具体的には、本開示は、ガイドウェイでの磁気式飛行中に車両の予定飛行経路からの垂直偏差を最小化することに関する。
【背景技術】
【0002】
輸送システムは、人と貨物を長距離にわたって移動させるように設計されている。輸送システムは、車道、軌道、ガイドウェイなどを通過するように構成される車両を含むことができる。車両はたいてい、乗員室または貨物室の動きおよび/または向きを修正して軌道に対する振動や他の不要な動きを軽減または減衰する懸架システムを含んでいる。例えば、磁気輸送システムの環境では、車両と軌道の導電板との間の磁場が調節されて振動を軽減することができる。この環境では、導電板の渦電流のような垂直力により車両が持ち上げられまたは浮揚される。磁場の特定の側面(例えば強度、方向、角度等)を調整することにより、制御システムは、車両が軌道に沿って予定経路を通るように、これらの垂直力を調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
添付の図を参照して、本願技術の具現例が単なる例としてこれから記載される。
図1A】ガイドウェイの区間へ進入する車両の一例の概略図である。
図1B】ガイドウェイの区間での車両の一例の概略上面図である。
図2】撓んだガイドウェイ上で車両の所定高度を維持する浮上発生器の一例の概略図である。
図3】所定の高度を維持するように速度を増加させる車両の一例の概略図である。
図4】ピッチ偏差を有する車両の一例の概略図である。
図5】ロール偏差を有する車両の一例の概略図である。
図6】高度制御方法の一例のフローチャートである。
図7】高度制御方法の別の例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0004】
上述の実施例は、例示であり、縮尺通りでなくてもよく、開示の範囲を限定すると解釈されるべきではない。それゆえ、詳細の多くは図示も記載もされていない。本技術の多数の特徴および利点は、本開示の構造および機能の詳細とともに、上記説明に提示されているが、開示は単に例示的であり、添付の特許請求の範囲で使用される用語の広い一般的な意味により表される範囲すべてにわたって本開示の原理内での部品の詳細、特に形状、大きさ、配置について変更することができる。それゆえ、上術の実施例は添付の特許請求の範囲内で修正可能であることが理解される。集合を示す「少なくとも一つ」と記載されたクレーム文言は、その集合の一つの部材またはその集合の多くの部材が請求項を満たすことを示している。
【0005】
説明を簡単かつ明瞭にするために、適宜に異なる図の間で参照番号が繰り返し対応するまたは類似する要素を示している。さらに、本明細書に記載される実施形態の完全な理解を得るため多数の特定の詳細が記載されている。しかしながら、当業者であれば、本明細書に記載された実施形態はこれらの特定の詳細なしに実施可能であると理解する。他の実施例では、記載される関連特徴を曖昧にしないように方法と手順と構成要素とが詳しく記載されていない。また、説明は、本明細書に記載される実施形態の範囲を限定するものとみなしてはならない。
【0006】
本開示全体に適用される幾つかの定義を提示する。本明細書で使用される「浮上(levitation)」の語は、物体間の機械的接触が存在せず、或る物体を他の物体に対して持ち上げて懸架をすることを示す。「浮上力(levitation force)」は浮上をもたらす力である。浮上力は、垂直方向(重力の方向と反対の方向)に作用しうるが、同じ力を使用して水平方向または垂直と水平の両成分を含むいずれかの方向に二つの物体を移動または配置することができる。一般化すると、ここで使用される「浮上」および「浮上力」の語は、主な走行方向に実質的に直交する方向での二つの物体間での非接触配置および力をそれぞれ示す。さらに本明細書で使用されているように、「浮上磁束(levitation magnetic flux)」および「浮上力(levitation force)」は互換性を持ち、同じ要素を示す。「浮上発生器(levitation generator)」は、浮揚部材と相互作用を行って可動物体を静止物体に対して浮上させる磁波を発生させるように構成される装置である。
【0007】
「駆動力(drive force)」は、一つの物体を他の物体に対して加速、動きを維持または減速させるのに必要な力を示す。本明細書中で使用される際に、「駆動力」は、二つの物体間に機械的接触を伴わずにもたらされる主要走行方向と実質的に一致する力を意味する。さらに本明細書中で使用される際に、「駆動磁束(drive magnetic flux)」、「磁気駆動力(magnetic drive force)」、および/または「駆動力(drive force)」は互換性を有し、同じ要素を示す。「駆動発生器(drive generator)」は、駆動部材と相互作用して磁波を発生させて可動物体を静止物体に対して駆動するように構成された装置である。
【0008】
「ガイドウェイ(guideway)」または「軌道(track)」は、二箇所の間で走行する車両(例えば車両、台車(bogie:ボギー台車)、輸送機器等)の経路となる構成要素または構造を示す。本明細書中で使用される際に、ガイドウェイおよび/または軌道の用語は互換性を有し、同じ要素を示す。車両は、ガイドウェイに沿って走行するように構成された装置を示す。車両は少なくとも部分的に包囲されてもよいし、全体的に包囲されてもよく、または物体または人が載せられる面を有する。車両は台車に結合され、台車はガイドウェイに結合される。台車は車両の一体的な構成要素であるか、車両が結合可能な独立した構成要素であってもよい。本明細書中で使用される台車は必ずしも車輪を含まず、その代わりにガイドウェイとの係合のための構成を有する。
【0009】
「制御装置(controller)」は一般的に、プログラムを実行してデータを分析し、決定し、コマンドを送信する(車両に搭載の)コンピュータである。制御装置は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、メモリ(ROMおよび/またはRAM)、および/または記憶装置を含むが、これらに限定されない電子デバイスを含むことができる。制御装置は、市販の既製(COTS)電子デバイスまたは制御システムに実装用に特別に設計されたものである。
【0010】
「結合(coupled)」は、二つの物体の連結または接続を示す。結合は直接的または間接的であってもよい。間接的な結合は、一つ以上の仲介の物体を通して二つの物体を接続することを含む。結合は電気的または機械的な接続も示す場合がある。結合は、物理的接触を伴わない磁気連結も含む。「実質的に(substantially)」とは、或る構成要素が特定の寸法、形状、または実質的に修正する他の語に本質的に一致することを示すので、構成要素そのままである必要はない。例えば、実質的に円筒形は、その物体が円筒体に類似しているが真の円筒体から一つ以上の偏差を含みうることを意味する。「含む」の語は「必ずしもこれに限定されるのもではない」ことを意味する。具体的には、前述の組み合わせ、グループ、シリーズなどを無制限に含める、または、これらのメンバーシップを示す。「近く」は強い類似性または関係性を伴う意味として定義される。「近く」の語は、ほぼ、同様に、あるいは所望または所定の範囲内としても定義されうる。「磁気源」は、自然に磁場を発生させるか、誘起されると磁場を発生させる何らかの材料である。例えば、磁気源は、永久磁石、電磁石、超伝導体、あるいは磁場を発生させるか誘起されると磁場を発生させうる他の何らかの材料を含みうる。「ロール」の語は、縦軸またはX軸を中心とする回転または振動として定義される。縦軸は前後の間に延びる。「ピッチ」の語は、走行方向に対する浮上発生器の長軸の垂直角度として定義される。ピッチは横軸またはZ軸を中心とする回転または振動であり、横軸は縦軸に対して垂直であって、横軸は二つの側面の間に延びる。ここで使用される際に「高度」の語は、ガイドウェイの上部または底部からの浮上発生器の中心点または旋回点までの距離を示す。
【0011】
「飛行経路(flight path)」は、ガイドウェイまたは軌道上での車両のための想定または予定経路を規定する三次元座標の集合である。飛行経路の語は、ここでは予定飛行経路の語と互換可能に使用することができる。
【0012】
上記の様々な実施例は、単に例示であり、開示の範囲を制限するものと解釈されるべきではない。それゆえ、このような詳細の多くは図示も記載もされない。本願技術の多数の特徴および利点は、本開示の構造および機能の詳細とともに上記の説明に記載されているが、本開示は単に例示的であって、添付の特許請求の範囲で使用される用語の広い一般的な意味により示される全範囲にわたって本開示の原理内の部品の、特に形状、大きさ、配置について詳細に変更することができる。それゆえ、上記の実施例は添付の特許請求の範囲内で修正されうることが理解される。集合の「少なくとも一つ(at least one of)」と記されている請求項の文言は、集合の一つの部材または集合の多数の部材を満たすことを表している。例えば、A,B,Cのうち少なくとも一つは、部材はAのみ、Bのみ、Cのみ、AとB、AとC、BとC、またはAとBとCでありうることを示している。
【0013】
本開示は、ガイドウェイまたは軌道に対して飛行経路上で車両を案内するための技術に関する。これらの技術は例えば車両(例えば、および/またはその下位構成要素)により実施される方法を含み、車両の制御装置は、金属製軌道と関連付けられた一つ以上のガイドウェイセンサ(例えば光学センサ、エンコーダ、無線周波数識別センサ(RFID)、レーダセンサ等)により生成または記憶されるガイドウェイデータを受信する。ガイドウェイデータは、例えば、2本以上の支柱の間に配設される軌道セグメントに対応する情報を含むことができる。さらに、ガイドウェイセンサは、軌道セグメント、飛行経路の座標集合、撓み等を表す情報を格納するデータベースからのガイドウェイデータを送信することができる。この方法はさらに、車両の飛行経路または予定飛行経路に関係する飛行経路データ(例えば三次元(3D)空間での座標集合)を制御装置で受信することに加えて、飛行経路データの一つ以上の座標とガイドウェイデータに基づく車両の位置との間の偏差量を判断することも含む。この方法は、磁気懸架システムにより軌道セグメントに対する車両の位置を調節して3D空間での少なくとも一つの次元の偏差量を最小化することも含む。
【0014】
幾つかの実施形態において、軌道セグメントに対する車両の位置の調節は、車両の高度、経度、緯度のうち少なくとも一つを調節することを含む。例えば、車両は、一つ以上の浮上発生器を有する磁気懸架システムを含むことができる。浮上発生器は、より多く/より少ない浮上力を付与するように調節されうる、および/または、(軌道セグメントに対する)浮上発生器の角度が変更されて、軌道セグメントに対する車両の位置および/または方向(例えばピッチ、ロール、および/またはヨー)を修正して偏差量を最小化してもよい。特に、浮上発生器は個別的または独立的に調節されうるか、協働的または協調的に調節されうる。
【0015】
また、車両に速度を与える駆動力を付与するように機能する一つ以上の駆動発生器を車両が含むことができる。ここで、駆動発生器は、軌道セグメントに対する車両の速度を変えて3D空間での一つ以上の次元の偏差量を最小化するように調節することができる。例えば、より高いまたはより速い速度で走行している車両が軌道セグメントに発生させる撓みをより少なくすることができる。したがって、車両の速度を上昇させると偏差量を最小化することができる。代替的に、幾つかの実施形態では、より低いまたはより遅い速度は、車両の速度を低下させることが偏差量を最小化することができるように、軌道セグメント内でより少ない撓みを発生することができるさらに、駆動発生器は浮上発生器と協働してこれとともに作用し、軌道セグメントに対する車両の位置を変化させることができる。車両の速度に関して、この方法は、光学センサ、エンコーダ、および/またはレーダセンサに基づいて速度を判断するステップを含む。
【0016】
この方法では、軌道セグメントの撓みを判断することも記載される。例えば、ガイドウェイデータは、軌道セグメントに対応する区間を含むことができる。制御装置は上記のようにガイドウェイデータを受信し、軌道セグメントの区間と軌道セグメントの区間に対する車両の速度とに基づいて3D空間での撓み量を判断する。例えば、軌道セグメントの既知の区間、車両の重量、および/またはこの区間の軌道セグメントを通過している車両の速さまたは速度に基づいて、特定の関係が存在し、軌道セグメントの撓みを規定することができる。このようにして、制御装置は、軌道セグメント上での推定または予想撓み、そして飛行経路データの座標と車両の位置との間の偏差量とを判断できる。
【0017】
他の実施形態において、本開示は、磁気式飛行用のガイドウェイ上で移動している車両の高度を制御する方法を含む。この方法では、一つ以上のセンサにより生成されるデータを制御装置で受信する。またこの方法では、車両の飛行経路に関係するデータを制御装置で受信する。制御装置は、磁気式飛行用のガイドウェイに対する車両の速さを判断し、飛行経路からの車両の偏差を計算する。制御装置は、車両に飛行経路のより近くを通行させる磁気式飛行懸架システムの或る側面を変化させることにより、磁気式飛行用のガイドウェイに対する車両の高度を調節する。
【0018】
センサは、対応の制御装置と関連する少なくとも一つのセンサを含む。少なくとも一つのセンサは超音波センサであってもよく、制御装置は浮上発生器であってもよい。磁気式飛行用のガイドウェイに対する車両の速さを判断するため、制御装置は、光学センサ、エンコーダ、RFID、または前方監視レーダのうち一つから、検知された水平速度を受信する。磁気式飛行用のガイドウェイの車両の高度は、レーザセンサ、光学センサ、カメラセンサ、機械センサ、または磁気センサのうち少なくとも一つであってもよく高度センサから制御装置がデータを受信することにより判断される。車両の飛行経路に関係する受信データは、ガイドウェイセグメントを表す情報を格納するデータベースからのものである。データは、車両の出発地点および行き先に基づく想定飛行経路の対応のガイドウェイセグメントである。予定飛行経路からの車両の偏差は、飛行経路とガイドウェイに対する車両の現在位置との差分を求めることにより計算され、偏差は三次元であり、ゆえにロール、高度、ピッチが判断される。
【0019】
磁気式飛行懸架システムの或る態様は、複数の浮上発生器のうち一つ以上の角度を変化することにより変更することができる。浮上発生器の各々の角度は互いに独立して変えることができ、駆動モータにより調節することができる。また、駆動発生器は、磁気式飛行懸架システムを変更すする際に車両に異なる速度を発生させるように変更することができる。
【0020】
本開示は、磁気式飛行用のガイドウェイで移動している車両を制御するように構成されるシステムに関するものでもある。このシステムは、これと関連する少なくとも一つのセンサと、ガイドウェイに対する位置を検出するように機能する複数のセンサと、複数のセンサに機能結合される少なくとも一つのプロセッサユニットを含む制御装置とを有する複数の浮上発生器を含むことができる。制御装置は、複数のセンサにより生成されるデータと、車両の飛行経路に関係するデータとを受信するように構成することができる。制御装置はまた、複数のセンサのうち一つ以上を使用して、ガイドウェイに対する車両の高度と、磁気式飛行用のガイドウェイに対する車両の速度とを判断することができる。そして制御装置は飛行経路からの車両の偏差を計算し、データを送信して、車両に飛行経路のより近くを通行させる磁気式飛行懸架システムの特定に態様を変更することにより磁気式飛行用のガイドウェイに対する車両の高度を調節することができる。
【0021】
本開示は、磁気式飛行用のガイドウェイを移動している車両の高度を制御する方法にも関している。この方法は、一つ以上のセンサにより生成されるデータと、車両の飛行経路に関係するデータとを制御装置で受信することを含む。制御装置は、磁気式飛行用のガイドウェイに対する車両の高度と、磁気式飛行用のガイドウェイに対する車両の速度とを判断する。そして制御装置は、飛行経路からの車両の偏差と磁気式飛行経路からの偏差を減少させるのに必要とされる浮上調整とを計算する。浮上調整信号は一つ以上の浮上発生器へ送信される。制御装置は、飛行経路からの偏差と同等の浮上調整により磁気式飛行用のガイドウェイに対する車両の高度を調節し、それにより飛行経路により近い経路を維持する。
【0022】
実施例では実質的な水平面に構築されるガイドウェイに関して図示されているが、ここに開示された本開示および技術は、垂直方向のガイドウェイ、傾斜ガイドウェイ、および/またはその組み合わせにも等しく適用可能である。幾つかの垂直方向ガイドウェイでは、システムはエレベータにより近似している。他のシステムでは、ガイドウェイは、水平、垂直、傾斜、またはその組み合わせである構成要素を含むことができる。
【0023】
図1Aは、車両102がガイドウェイ106内にあるかガイドウェイに進入する状態の浮上輸送システム100の一例を図示している。ガイドウェイ106は、支柱108の間に配設される複数の軌道セグメントまたは軌道区分により形成される。支柱108は、各ガイドウェイ106区分または軌道セグメントに構造的一体性と懸架とを提供する。特に、ガイドウェイ106区分は様々な区間110を有し、たいていは金属製要素(例えば鉄または非鉄等)で製作される。図の例は、両側の端部に支柱108を有するガイドウェイ106のセグメントを示しており、分割軌道は、中央支柱とこれから延出する二次支柱とを有するなど、様々な配置を有する支柱108を含むことができる。
【0024】
ガイドウェイ106区分は、浮上輸送システム100内で車両102を移動させる軌道のネットワークを形成できる。図示されている分割ガイドウェイ106区分は2本の支柱108の間の部分に延在しているが、区分が延在範囲の一部分であっていずれかの側で別のガイドウェイ106区分に結合されて、複数の区分が2本の支柱108の間の部分に延在してもよい。
【0025】
車両102は、ガイドウェイ106に対する車両102の位置を調節して飛行経路111のより近くを通るように機能する磁気式飛行懸架システム101を有する。例えば、磁気式飛行懸架システム101は、制御装置10とともに複数の浮上発生器104を含むことができる。複数の浮上発生器104は少なくとも一部がガイドウェイ106に収容され、浮上輸送システム100内で車両102を走行させる。浮上発生器104はガイドウェイ106と磁気により係合して相互作用し、輸送システム100上で車両102を案内する。動作時に、浮上発生器104およびガイドウェイ106は一般的に、浮上輸送システム100内で車両102が走行する際に或る距離だけ物理的に離間している。特に、浮上発生器104は磁力または浮上力を発生させて、ガイドウェイ106の上方またはガイドウェイから離間距離内(しかし分割軌道内)で車両102を上昇させる。一つ以上の浮上発生器104が具現されてもよい。ここで、図1Aは二つの浮上発生器104を示しているが、図1Bのように、図示されている他の例では、四つの浮上発生器104が使用され、二つ以上の浮上発生器104が、図1に示されている二つの浮上発生器104と断面において平行に位置している。四つの浮上発生器104は各々がZ軸を中心にピッチ動作を行うか回転して、車両102の高度、ロール、および/またはピッチを調節できる。
【0026】
浮上発生器104は、浮上発生器104のうち一つ以上の角度を変更することによりピッチを調節するように機能できる。そのため、浮上発生器104の組み合わせを変更することにより、浮上発生器104は車両102の高度、ロール、および/またはピッチを調節することができ、これについては以下で詳しく記載する。浮上発生器104は互いに独立的に作動または調節されうるので、車両102はガイドウェイ106に対して三つの次元で調節することができる。浮上発生器104は駆動モータ1040により調節することができる。一実施形態では、各浮上発生器104が個々の駆動モータ1040に結合されるが、他の実施形態では、単一の駆動モータ1040が(例えばギヤ比の変更等を用いて)対応する二つの浮上発生器104を調節するように、多数の浮上発生器104が二つ以上の浮上発生器104に結合することができる。例えば、浮上発生器104は、2015年7月28日に発行された米国特許第9,090,167号に記載されている浮上発生器のように機能することができ、同特許の内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
磁気式飛行懸架システム101は、駆動発生器103の変化および変更も含むことができる。浮上輸送システム100には一つ以上の駆動発生器が含むことができる。駆動発生器103は駆動力を付与するように構成される。駆動発生器103により発生される駆動力を変更すると推力を発生させ、車両102を特定の速度まで加速する。特に、駆動発生器103は、揚力成分とともに推力成分を含みうる角度のある駆動力を発生することができる。このようにして、駆動発生器103は浮上発生器104と協働し、車両102(またはその部分)をガイドウェイ106の上方に上昇または浮揚させることができる。幾つかの実施形態では、高いまたは速い速度は大きな揚力に対応する。四つの浮上発生器104の各々と駆動発生器103との間の駆動力を変更すると、地面に対する、および/またはガイドウェイ106のセグメントに対する車両102の高度118を調節できる。例えば、駆動発生器は上述した米国特許第9,090,167号に記載の駆動発生器のように機能できる。
【0028】
車両102は、浮上発生器104と駆動発生器103(そしてその組み合わせ)を含む磁気式飛行懸架システム101を変更、調節する、または他の形で命令して、車両102の位置を飛行経路111のより近くを追従するように車両102の位置を変更することが可能な制御装置114を含むことができる。例えば、幾つかの実施形態において、制御装置114は、車両102がガイドウェイ106を通過する際に、地面に対する所定の高度118を維持するように磁気式飛行懸架システムに命令することができる。例えば、図2に示されているガイドウェイ106は、車両102の飛行経路111(または予定飛行経路)のガイドウェイ106の区間110にわたって撓み116を有することがある。撓み116は多様な要因により起こりうる。例えば、ガイドウェイ106の経路の変化のために撓み116が起こりうる。他の例では、ガイドウェイ106の自重によって撓み116が起こりうる。加えて、撓み116は、ガイドウェイ106を走行している一つ以上の車両102の重量によって起こりうる。飛行経路111の撓み116は、図2のように垂直撓み、図4のようにピッチ撓み、図5のように回転撓み、またはこれらの組み合わせでありうる。垂直撓みについては、車両の高度が調節される。ピッチ撓みについては車両のピッチが調節される。回転撓みについては車両のロールが調節される。制御装置114は、磁気式飛行懸架システム101の特定の態様を変更することにより、車両102のロール、高度、および/またはピッチを調節して、飛行経路111におけるガイドウェイ106の撓み116をオフセットし、飛行経路111のより近くを追従させる。制御装置114は、車両102およびガイドウェイ106についての情報を受信して判断するように構成することができる。制御装置114は、一つ以上のセンサから受信された情報に応じてガイドウェイ106の区画110の撓みを判断することが可能なプロセッサ、マイクロプロセッサ、コンピュータ、サーバ、または他の電子装置であってもよい。
【0029】
車両102は、制御装置114が磁気式飛行懸架システム101の特定の態様を変更して車両102の変動を調節し、飛行経路111のより近くを追従させることによっても調節することができる。例えば、以下にさらに説明するように、乗員が車両102内で動き回って、X軸を中心とする回転など不要な回転を起こすことがある。制御装置114は個々の浮上発生器104を調節して車両102の位置を補正できる。
【0030】
制御装置114は、飛行経路111、高度118、支柱108の間隔、分割軌道の区画110など浮上輸送システム100に関係する関連情報またはデータを受信する。少なくとも一つの例で、車両102の飛行経路111に関係する受信データは、ガイドウェイ106のセグメントを表す情報を格納するデータベースからのものである。車両102の飛行経路111に関係するデータは、車両102の出発地点および行き先に基づいて想定飛行経路の対応のガイドウェイセグメント106に基づいている。
【0031】
車両102の高度118を判断する際に、制御装置114は高度センサ112からデータを受信できる。高度センサ112は車両102に設けられるか、他の例では高度センサ112はガイドウェイ106および/または支柱108に設けることができる。高度センサ112は、レーザセンサ、光学センサ、カメラセンサ、機械センサ、磁気センサ、または車両102の高度を判断するのに適当なセンサのうち少なくとも一つであってもよい。制御装置114は、車両102の重量および速度のような情報も判断できる。磁気式飛行用のガイドウェイ106に対する車両102の速度を判断する際に、制御装置114は検知された水平速度を受信する。水平速度はガイドウェイ106に関係している。車両102の速度は、光学センサ、エンコーダ、RFID、前方監視レーダの一つから受信したデータ、または車両102の速度を判断するのに適当な他のセンサまたは方法に基づくことができる。車両102の重量は、車両102の重量、乗員の重量、有効荷重、貨物、またはその何らかの組み合わせを含むことができる。少なくとも一つの例で、制御装置114は車両102の重量を瞬時に判断する。少なくとも一つの例で、制御装置114は、車両102の内容物とともに車両102の重量を瞬時に判断し、内容物は、乗員、有効荷重、および/または貨物のうち一つ以上を含むことができる。他の例で、制御装置114は、浮上輸送システム100内での車両102の出発時に車両102の重量を受信する。
【0032】
制御装置114は、浮上輸送システム100と結合された一つ以上のセンサ120からデータを受信できる。一つ以上のセンサ120は、車両102、ガイドウェイ106、および/または支柱108に配設することができる。一つ以上のセンサ120は、高度、速度、重量、場所、またはこれらの組み合わせを判断するように構成される光学、無線、および/または近距離通信装置であってもよい。一つ以上のセンサ120は、ガイドウェイ106の撓み116を判断するのに必要なデータを制御装置114に提供する。少なくとも一つの例において、一つ以上のセンサ120は、浮上発生器104のような対応の制御装置10と関連する少なくとも一つのセンサ105を含む。例えば、一つ以上のセンサが少なくとも四つの超音波センサ105を含み、その各々が対応の浮上発生器104と関連している。図示されているように、センサ105は浮上発生器104と結合される。他の例で、センサ105は他の箇所、例えば車両102に結合することができる。一つ以上のセンサ105は、ガイドウェイ106と相互作用を行うように構成される超音波センサであってもよい。
【0033】
さらなる例で、一つ以上のセンサ120は、データを符号化する、および/または隣接の車両102の間でデータを送信するように構成されるレーザセンサを含むことができる。符号化/送信データは、分割軌道の区間110、分割軌道の撓み、隣接車両の速度、隣接車両の重量、および/または制御装置114に必要な他のデータでありうる。
【0034】
図1に見られるように、一つ以上のセンサ120は、支柱108に配設されてガイドウェイ106の区間110に関するデータを受信できる送信器122と通信結合することができる。データは、車両102がガイドウェイ106上を走行する際のガイドウェイ106の次の区間110の予想撓み116を判断する際に制御装置114を補助する。また、データは、飛行経路111からの車両102の何らかの偏差を判断する際に制御装置114を補助する。
【0035】
一つ以上のセンサ120のうち少なくとも一つは、支柱108に配設される送信器122と通信して、ガイドウェイセグメント106の区間110に関係するデータを受信できる。送信器122は、クイックレスポンス(QR)コードのようなバーコード124、無線周波数識別(RFID)タグ、または一つ以上のセンサ120へデータを提供するように構成される類似の装置であってもよい。
【0036】
送信器122は、支柱108、ガイドウェイ106、または一つ以上のセンサ120の通信範囲を含む浮上輸送システム100のいずれかの部分に配設することができる。図示されている例では、送信器122は支柱108にある。送信器122は、浮上輸送システム100の異なる部分に設けられてもよい。例えば、送信器122は、接合部または中央でガイドウェイ106に設けることができる。送信器122と関連するデータは静的または動的であってもよい。送信器122と関連するデータが動的である状況では、車両102により受信されるデータは、先行車両102の重量、レールの温度、大気温度、後続車両102の重量、または他の必要な情報を含むことができる。
【0037】
送信器122は、飛行経路111に関係するデータ、例えば2本以上の支柱108の間でのガイドウェイ106の区画110または経路を記憶できる。図1で、送信器122は2本の支柱108の間でのガイドウェイ106の区画110について通信する。他の例で、送信器122はガイドウェイ106の二つ以上の区間に関係するデータについて通信し、これにより浮上輸送システム100内で必要な送信器122の総数を減少させることができる。
【0038】
制御装置114は、一つ以上のセンサ120により生成されるデータ、車両102の飛行経路111に関係するデータを受信した後、そして磁気式飛行用のガイドウェイに対する車両102の高度118および速度を判断した後に、飛行経路111からの車両102の偏差を計算する。飛行経路111からの車両102の偏差は、ガイドウェイ106の撓み、あるいは風、乗員の動き、または他の要因のような他の要因によって起こりうる。飛行経路111からの車両102の偏差は、駆動発生器103の回転、浮上発生器104の角度、車両102の重量、または考えられる他の要因に基づく速度などの要因によっても起こりうる。
【0039】
次に、制御装置114は、飛行経路111からの偏差を減少させるのに必要とされる浮上調整を計算し、浮上発生器104がピッチを調節するように一つ以上の浮上発生器104へ浮上調整信号を送信する。制御装置114は、飛行経路111からの偏差と同等の浮上調整により磁気式飛行用のガイドウェイに対する車両102の高度を調節し、これにより飛行経路111の近い経路を維持する。浮上発生器104の角度またはピッチの調整は各浮上発生器104での揚力ベクトルを変化させ、これにより車両102の上下動に影響を与える。個々の浮上発生器104の角度またはピッチの変化の組み合わせにより、制御装置114は高度、ロール、および/またはピッチについて車両102を調節できる。
【0040】
図2は、浮上輸送システム100のガイドウェイ106の撓み区画110内の車両102を図示している。ガイドウェイ106の区画110は車両102の重量により撓みうるか、飛行経路111のために撓む。図2に図示されているように、撓みは一時的であり、ガイドウェイ106は元の高度に戻る。他の例で、飛行経路111のガイドウェイ106の傾斜は異なる勾配を有するか、長距離にわたって延在することができる。また他の例で、例えば車両102が地面へ戻った場合に、ガイドウェイ106の高さは以前の高さには戻らない。撓み116は数学的に予測可能であり、車両102の既知の重量および速度並びにガイドウェイ106の区間(長さ)110を用いて計算することができる。制御装置114は飛行経路111からの車両102の偏差を計算し、高度、ロール、および/またはピッチについて偏差を判断できる。飛行経路111とガイドウェイ106に対する車両102の現在位置との差分を求めることにより、制御装置114は車両102の偏差を計算する。制御装置114は、車両102の重量、速度、ガイドウェイ106の区画110を考慮して、ガイドウェイ106の撓み116を計算できる。そして制御装置114は車両102の浮上を調節し、撓み116に適応して所定の高度118を維持する。
【0041】
図3に図示されているように、制御装置114は、車両102の速さを上げること、浮上発生器104のピッチを調節することを含むが、これらに限定されない多くの方法で、車両102の浮上または高度を調節して所定の高度118を維持することができる。図2は、図1の浮上発生器に対する浮上を増加させて所定の高度118を維持するようにピッチ制御される浮上発生器104を有する車両102を図示している。高度を補正するため、浮上発生器104は、車両102がバランスを維持するように上向きまたは下向きに所望のように同時ピッチ制御を行う。例えば、高度を下げるには、浮上発生器104が下向きに同時ピッチ制御を行う。逆に高度を上げるには、浮上発生器104が上向きに同時ピッチ制御を行う。
【0042】
ガイドウェイ106は、その内面に配設される一つ以上のマーキング107を有することができる。一つ以上のマーキング107は、ガイドウェイ106上の想定または予定飛行経路に対応することができる。一つ以上のマーキング107は、着色塗料、反射テープ、反射塗料のような物理的なマーキングであるか、レーザ光などのようなオーバーレイ/プロジェクトマーキングを含むことができる。マーキング107はガイドウェイ106の内面とのコントラストを提供し、構成要素制御装置114により光学的に認識または検知することができる。幾つかの事例では、一つ以上のマーキング107が内面に配設されて、異なるガイドウェイ106の状況、つまり1台の車両、2台の車両、3台の車両の状況において水平な飛行経路を示す。
【0043】
浮上発生器104のセンサ105は、飛行経路111および/または一つ以上のマーキング107に対する自身の位置を判断して水平飛行経路を維持することが可能である。センサ105はマーキング107の間の偏差を検出し、浮上発生器104のピッチを調節して水平飛行経路を維持するように制御装置114に命令できる。制御装置114は、様々な状況下の各ガイドウェイ106について予め計算され記憶された撓みを有することができる。制御装置114は、輸送システム100の条件が変化した、例えば車両がガイドウェイ106に進入/退出する場合に、一つのマーキング107から別のマーキング107まで浮上発生器104および高度センサを調節できる。
【0044】
図3は、分割軌道に対する速さが上昇している一方で、図1の浮上発生器104と実質的に類似したピッチを浮上発生器104が有する車両102を図示している。駆動発生器103はガイドウェイ106に対する速度を上昇させ、こうして浮上発生器104により発生される浮上力を増加することで車両102に所定の高度118を維持させる。
【0045】
制御装置114は車両102の浮上を調節して実質的に線形の走行方向と所定の高度118とを維持する。同様に、車両102の高度は、乗員の重量や動きまたは風など他の要因により変化しうる。制御装置114はまた車両102の高度を調節し、車両102に飛行経路111のより近くを追従させることができる。
【0046】
下降傾斜または上昇傾斜など実質的に非水平の構成で分割軌道が配置される状況では、図4に図示されているように、制御装置114は車両102のピッチを調節し、実質的に非水平の分割ガイドウェイ102の撓みを相殺してより近くを追従させることができる。図4は連続下向き傾斜で図示されているが、車両102のピッチは、上向き傾斜、可変傾斜、および/または何らかの垂直撓みを補正するように調節されるので、車両102のピッチはガイドウェイ106および飛行経路111のより近くで追従できるように調節される。また、車両102のピッチは、車両102の前部と後部との間で車両102内での重量のシフトまたはアンバランスを補正するように調節されうる。図4では、ガイドウェイ106は下向き傾斜を有するので、車両102のピッチはガイドウェイ106内での飛行経路111のより近くを追従するように調節される。車両102のピッチは、前部および後部の浮上発生器104の間のピッチまたは角度を変更することにより、調節することができる。そのため、車両102の端部が下降するように高い方の端部を補正するため、高い方の端部の浮上発生器104が下向きにピッチ制御される、および/または下端部の浮上発生器104が上向きにピッチ制御される。逆に、車両102の下端部が上がるようにこの端部を補正するため、下端部の浮上発生器104が上向きにピッチ制御され、および/または、高い方の端部の浮上発生器104が下向きにピッチ制御される。
【0047】
図5は、輸送システム100の正面図であり、車両102を回転させる、すなわち、ロールさせて飛行経路111のより近くを追従させる磁気式飛行懸架システム101の特定の態様の変更を示す。予定飛行経路からの車両102の偏差はロールとして図示されている。制御装置114は飛行経路111からの車両102の偏差を計算し、偏差をロールと判断することができる。制御装置114は、飛行経路111と、ガイドウェイ106に対する車両102の現在位置との差分を求めることにより車両102の偏差を計算する。車両102は、乗員の動き、風、方向の変化、または考えられる他の要因を含む多くの要因のために回転またはロールする場合がある。個々の、または対になった浮上発生器104は、車両102に飛行経路111のより近くを追従させる、および/または、不要なロールを補正するように調節することができる。片側での浮上発生器104のピッチを調節することにより、車両102はX軸を中心にロール動作を行い、所望の飛行経路111のより近くを追従するか、望ましくないアライメントを補正する。ロールを補正するため、下側の浮上発生器104が上向きにピッチ動作を行う、および/または、高い側の浮上発生器104が下向きにピッチ動作を行う。図4に図示されているように、(図解から)右側1022が左側1024より低い高度まで降下するように、車両102がロール制御されている。(図解から)反時計方向に車両102を回転させると、右側の浮上発生器104は上向きにピッチ動作を行う、および/または、左側の浮上発生器104が下向きにピッチ動作を行うことができる。左側1024が右側1022よりも低い高度まで下降する、および/または(斜視図の)時計方向に車両102を回転させるように車両102がロール制御された場合には、左側の浮上発生器104が上向きにピッチ動作を行う、および/または、右側の浮上発生器104が下向きにピッチ動作を行う。
【0048】
上記では、高度、ピッチ、ロールの変更を別々に説明したが、いかなる組み合わせも実現することができる。4個の個々の浮上発生器104のピッチは三つの次元での偏差の調節することができる。
【0049】
ガイドウェイ106の区間110での車両の数は、分割軌道の区間(軌道の長さ)110、車両102の速度、車両の間の間隔、浮上輸送システム100内の車両の数、および/または経路の使用度/密集度に応じて変動しうる。或るルート、目的地、または分割ガイドウェイ106は異なる使用頻度を有してガイドウェイ106の区間110での車両102の潜在数が変化する。
【0050】
図6を参照すると、一例によるフローチャートが提示されている。方法600を実行するのに様々な手法があるので、この方法例600は例として挙げられている。以下で説明する方法600は、例えば図1~5に図示された構成を用いて実行することができる。図6に示された各ブロックは、方法例600で実行される一つ以上のプロセス、方法、またはサブルーチンを表す。さらに、図示されたブロックの順序は単に例示的であって、本開示によりブロックの順序は変化しうる。本開示から逸脱することなく付加的なブロックが追加してもよく、またはより少ないブロックを利用してもよい。方法例600はブロック602から始まる。
【0051】
ブロック602で、方法600は一つ以上のセンサにより生成されたデータを制御装置で受信する。一つ以上のセンサは、対応の制御装置と関連する少なくとも一つのセンサを含む。制御装置は浮上発生器であり、少なくとも一つのセンサは超音波センサであってもよい。少なくとも一つの例において、一つ以上のセンサは少なくとも4個の超音波センサを含み、その各々が対応の浮上発生器と関連している。
【0052】
ブロック604で、方法600は車両の予定飛行経路に関係するデータを制御装置で受信する。車両の予定飛行経路は、ガイドウェイセグメントを表す情報を格納するデータベースからのものである。データは、車両の出発地および行き先に基づく想定飛行経路の対応のガイドウェイセグメントでありうる。
【0053】
ブロック606で、方法600は、磁気飛行用のガイドウェイに対する車両の高度を制御装置で判断する。制御装置は高度センサからデータを受信できる。高度センサは、レーザセンサ、光学センサ、カメラセンサ、機械センサ、磁気センサ、または他の適当なセンサのうち少なくとも一つを含みうる。
【0054】
ブロック608で、方法600は、磁気式飛行用のガイドウェイに対する車両の速度を制御装置で判断する。制御装置は検知された水平速度を受信しうる。車両の速度は、光学センサ、エンコーダ、RFID、前方監視レーダ、あるいは他の適当なセンサまたは方法のうち一つから受信されたデータに基づきうる。
【0055】
ブロック610で、方法600は、予定飛行経路からの車両の偏差を制御装置で計算する。偏差を計算するため、制御装置は予定飛行経路とガイドウェイに対する車両の現在位置との差分を求める。制御装置は、三つの次元で偏差を計算することでロール、高度、ピッチを判断することができる。
【0056】
ブロック612で、方法600は、制御装置からデータを送信し、磁気式飛行懸架システムの特定の態様を変更して車両に予定飛行経路のより近くを追従させることにより、磁気式飛行用のガイドウェイに対する車両の高度を調節する。複数の浮上発生器のうち一つ以上の角度を変更することにより、車両が調節されうる。複数の浮上発生器の各々の角度は互いから独立して変更され、複数の浮上発生器の各々の角度は駆動モータにより調節されうる。また、駆動発生器は、車両の異なる速度を生じるように変更することができる。
【0057】
図7を参照すると、一例によるフローチャートが示されている。例示される方法700は、実行するのに様々な手法があるので、一例として挙げられている。以下に記載される方法800は、例えば図1~5に図示された構成を用いて実行することができる。図7に示されている各ブロックは、例示する方法700で実行される一つ以上のプロセス、方法、またはサブルーチンを表す。さらに、図示されたブロックの順序は単に例示的であって、本開示によりブロックの順序を変更することができる。本開示から逸脱することなく付加的なブロックが追加されるか、より少ないブロックが利用されてもよい。例示する方法700はブロック702から始まる。
【0058】
ブロック702で、方法700は一つ以上のセンサにより生成されるデータを制御装置で受信する。一つ以上のセンサは、対応の制御装置と関連する少なくとも一つのセンサを含む。制御装置は浮上発生器であり、少なくとも一つのセンサは超音波センサであってもよい。少なくとも一つの例で、一つ以上のセンサは少なくとも四つの超音波センサを含み、その各々が対応の浮上発生器と関連する。
【0059】
ブロック704で、方法700は車両の予定飛行経路に関係するデータを制御装置で受信する。車両の予定飛行経路は、ガイドウェイセグメントを表す情報を格納するデータベースからのものである。データは、車両の出発地および行き先に基づく想定飛行経路の対応のガイドウェイセグメントでありうる。
【0060】
ブロック706で、方法700は磁気式飛行用のガイドウェイに対する車両の高度を制御装置で判断する。制御装置は高度センサからデータを受信できる。高度センサは、レーザセンサ、光学センサ、カメラセンサ、機械センサ、磁気センサ、または他の適当なセンサのうち少なくとも一つを含むことができる。
【0061】
ブロック708で、方法700は磁気式飛行用のガイドウェイに対する車両の速度を制御装置で判断する。制御装置は検知された水平速度を受信することができる。車両の速度は、光学センサ、エンコーダ、RFID、前方監視レーダ、あるいは他の適当なセンサまたは方法のうち一つから受信されたデータに基づきうる。
【0062】
ブロック710で、方法700は予定飛行経路からの車両の偏差を制御装置で計算する。偏差を計算するため、制御装置は予定飛行経路と、ガイドウェイに対する車両の現在位置との差分を求める。制御装置は三つの次元で偏差を計算することにより、ロール、高度、ピッチを判断することができる。
【0063】
ブロック712で、方法700は、磁気式飛行経路からの偏差を減少させるのに必要な浮上調整を制御装置で計算する。浮上調整は、ロール、高度、および/またはピッチについて行うことができる。
【0064】
ブロック714で、方法700は、制御装置から一つ以上の浮上発生器へ浮上調整信号を送信する。制御装置は、予定飛行経路からの偏差と同等の浮上調整により磁気式飛行用のガイドウェイに対する車両の高度を調節し、それにより予定飛行経路の近くに経路を維持する。複数の浮上発生器のうち一つ以上の角度を変更することにより、車両が調節されうる。複数の浮上発生器の各々の角度は互いから独立して変更され、複数の浮上発生器の各々の角度は駆動モータにより調節することができる。また駆動発生器は車両の異なる速度を生じるように変更することができる。
【0065】
上記の説明は特定の実施形態に関するものである。しかしながら、他の変更および修正が上記の実施形態に加えられてその利点の幾つかまたはすべてが達成されうることは明確である。例えば、本明細書に記載される構成要素および/または要素は、コンピュータ、ハードウェア、ファームウェア、またはその組み合わせで実行されるプログラム命令を有する有形の(非一時的な)コンピュータ可読媒体、装置、そしてメモリ(例えばディスク/CD/RAM/EEPROM等)に記憶されるソフトウェアとして具現されうると考えられるのは明確である。さらに、本明細書に記載される様々な機能および技術を表す方法は、コンピュータ可読媒体に記憶されるか他の形でこれから入手可能であるコンピュータ実行可能命令を使用して実行することができる。このような命令は、例えば、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、専用処理装置に或る機能または機能グループを実施させるか、あるいはそのように構成される命令およびデータを包含することができる。使用されるコンピュータリソースの部分はネットワーク経由でアクセス可能である。コンピュータ実行可能命令は、例えば、二進法、アセンブリ言語、ファームウェア、またはソースコードのような中間フォーマット命令であってもよい。記載の例による方法において命令、使用される情報、および/または作成される情報を記憶するのに使用されうるコンピュータ可読媒体の例は、磁気または光学ディスク、フラッシュメモリ、不揮発性メモリを備えるUSBデバイス、ネットワーク記憶装置などを含む。さらに、これらの開示による方法を具現する装置はハードウェア、ファームウェア、および/またはソフトウェアを包含し、様々なフォームファクタのいずれかを取りうる。このようなフォームファクタの典型例は、ラップトップ、スマートフォン、スモールフォームファクタのパーソナルコンピュータ、携帯情報端末などを含む。本明細書に記載される機能は周辺機器またはアドインカードでも具体化されうる。このような機能性は、さらなる例として挙げると、異なるチップ、または単一の装置で実行される異なるプロセスのうち回路基板でも具現されうる。命令と、このような命令を伝達するための媒体と、これらを実行するためのコンピューティングリソースと、このようなコンピュータリソースをサポートするための他の構造は、これらの開示で記載される機能を提供するための手段である。したがって、この説明は例としてのみ解釈され、実施形態の範囲を他に制限するものではない。それゆえ、実施形態の趣旨および範囲に含まれる変形および修正をすべて含むことが、添付の特許請求の範囲の目的である。
【符号の説明】
【0066】
10 制御装置
100 浮上輸送システム
101 磁気式飛行懸架システム
102 車両
103 駆動発生器
104 浮上発生器
105 センサ
106 ガイドウェイ
107 マーキング
108 支柱
110 区間
111 飛行経路
112 高度センサ
114 制御装置
116 撓み
118 高度
120 センサ
122 送信器
1022 右側
1024 左側
1040 駆動モータ
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7