(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】車体下部構造
(51)【国際特許分類】
B62D 21/00 20060101AFI20230307BHJP
B62D 25/20 20060101ALI20230307BHJP
B60K 1/04 20190101ALI20230307BHJP
【FI】
B62D21/00 B
B62D25/20 F
B60K1/04 Z
(21)【出願番号】P 2020003794
(22)【出願日】2020-01-14
【審査請求日】2022-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000005348
【氏名又は名称】株式会社SUBARU
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直樹
(72)【発明者】
【氏名】柴田 峻志
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-088264(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102017010670(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00 - 29/04
B60K 1/00 - 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のそれぞれの側方下部に配置されており、車体前後方向に延びている中空の一対のロッカと、
一対の前記ロッカの間に配置されている電源と、
前記電源と連結されているとともに一対の前記ロッカのそれぞれの下方に位置している中空の一対のエネルギ吸収メンバと、
前記ロッカと前記エネルギ吸収メンバの間に挟まれているカラーと、
を備えており、
前記ロッカの底板から下方
の前記エネルギ吸収メンバへ向けてフランジが延びており、
前記カラーの前記エネルギ吸収メンバより上の高さが前記フランジの高さよりも大きい、車体下部構造。
【請求項2】
前記カラーは、前記エネルギ吸収メンバの上板を貫通しており、
前記カラーの上端が前記ロッカの底板に当接しているとともに下端が前記エネルギ吸収メンバの下板に当接しており、
前記ロッカと前記エネルギ吸収メンバが前記カラーを通るボルトで共締めされている、請求項1に記載の車体下部構造。
【請求項3】
前記電源から延びている支持板を備えており、前記支持板が前記ボルトで前記エネルギ吸収メンバに共締めされている、請求項1または2に記載の車体下部構造。
【請求項4】
それぞれの前記エネルギ吸収メンバは、第1エネルギ吸収メンバと、前記第1エネルギ吸収メンバと前記電源の間に位置する第2エネルギ吸収メンバを含んでおり、
前記第1エネルギ吸収メンバと前記第2エネルギ吸収メンバと前記支持板が別のボルトで共締めされている、請求項3に記載の車体下部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、車体下部構造に関する。特に、一対のロッカの間に電源が配置されている車体の下部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車では、走行用のモータに電力を供給する電源が一対のロッカの間に配置されている場合がある。なお、電源は、バッテリ、燃料電池などである。一対のロッカは、車体のそれぞれの側方下部にて車体の前後方向に延びる一対のフレームである。ロッカは、サイドシルと呼ばれることもある。
【0003】
側方衝突の衝撃から電源を保護するため、電源の側方に衝撃のエネルギを吸収する部材(エネルギ吸収メンバ)が配置される場合がある。特許文献1、2に、エネルギ吸収メンバの例が開示されている。エネルギ吸収メンバは、車体の前後方向に延びており、ロッカと電源に連結される。エネルギ吸収メンバは、ロッカの底板に固定される。以下では、説明を簡略化するため、エネルギ吸収メンバをEAメンバ(Energy Absorbing メンバ)と称することにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-133046号公報
【文献】特開2018-075939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロッカはロッカインナパネルとロッカアウタパネルで構成される。ロッカインナパネルとロッカアウタパネルは下へ延びるフランジ(下フランジ)と上へ延びるフランジ(上フランジ)を備えており、それぞれの下フランジ同士が接合され、それぞれの上フランジ同士が接合される。接合された下フランジは、ロッカの底板から下方へ延びる。特許文献1に開示された構造では、EAメンバは下フランジよりも車体中心寄りだけにEAメンバを配置する。そのような構造であると、EAメンバの幅が短くなり、衝撃のエネルギを十分に吸収できなくなるおそれがある。特許文献2に開示された構造では、下フランジを挟むように、2個のEAメンバを配置している。下フランジを挟む2個のEAメンバは複雑な構造を有している。本明細書は、下フランジを有するロッカに対して十分な幅を有するとともにシンプルな構造のEAメンバを採用することができる車体下部構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書が開示する車体下部構造は、電源と連結されているとともに一対のロッカのそれぞれの下方に位置している中空の一対のエネルギ吸収メンバと、ロッカとEAメンバの間に挟まれているカラーを備えている。先に述べたように、ロッカの底板から下方へフランジ(下フランジ)が延びている。カラーの高さ(EAメンバより上のカラーの高さ)が下フランジの高さよりも大きい。すなわち、ロッカとEAメンバの間にカラーを挟むことで、下フランジの下方でEAメンバをロッカに固定することができる。EAメンバは下フランジの下方に位置するので、単純な構造のEAメンバを採用することができる。
【0007】
カラーの一態様は次の通りである。カラーはEAメンバの上板を貫通している。カラーの上端はロッカの底板に当接しており、下端はEAメンバの下板に当接している。ロッカEAメンバは、カラーを通るボルトで共締めされている。1本のボルトでロッカとEAメンバとカラーを相互に固定することができる。
【0008】
本明細書が開示する車体下部構造は、さらに、電源から延びている支持板を備えており、支持板がボルトでエネルギ吸収メンバに共締めされていてもよい。一方のボルトでロッカとEAメンバと支持板(電源)とカラーを相互に固定することができる。
【0009】
一対のEAメンバのそれぞれは、第1EAメンバと、第1EAメンバと電源の間に位置する第2EAメンバを含んでいてもよい。第1EAメンバと第2EAメンバと支持板が別のボルトで共締めされていてもよい。EAメンバを、ロッカに固定される第1EAメンバと、電源側の第2EAメンバに分ける。第1EAメンバを交換するだけで同一タイプの電源を異なる車幅の車体に適用することが可能となる。
【0010】
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図1の平面IIでカットした車体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照して実施例の車体下部構造3を説明する。
図1に、車体2の斜視図を示す。なお、
図1の座標系の「Left」は、車両の後方から前方をみたときの「左」を示している。以後の図でも、座標系の「Left」の意味は同じである。
【0013】
車体2は一対のロッカ10を備えている。一対のロッカ10のそれぞれは、車体2の車幅方向のそれぞれの側方下部に配置されている。ロッカ10は細長形状であり、車両の前後方向に延びている。それぞれのロッカ10の長手方向の概ね中央に、センターピラー51の下端が接続されている。一対のロッカ10、および、センターピラー51は、車体の強度を確保するフレームの一種である。ロッカ10は金属板(典型的には鋼板)のプレス加工で作られる。
【0014】
一対のロッカ10の間に電池パック40とフロアパネル50が配置されている。電池パック40には多数の電池セルが含まれている。多数の電池セルは直列に接続されており、高電圧の出力が可能である。電池パック40(電池セル)は、不図示の走行用モータに電力を供給する。
【0015】
フロアパネル50はキャビンの床に相当する。フロアパネル50の車幅方向の両端のそれぞれは一対のロッカ10のそれぞれに固定される。電池パック40は、フロアパネル50の下に配置されている。詳しくは後述するが、ロッカ10に沿ってエネルギ吸収メンバ(
図1では不図示)が配置されており、電池パック40は、エネルギ吸収メンバを介して一対のロッカ10に支持される。電池パック40は、エネルギ吸収メンバを介してロッカ10に支持されていると同時にフロアパネル50を介してロッカ10に支持されていてもよい。
【0016】
エネルギ吸収メンバは、電池パック40の車幅方向の両側に配置される。先に述べたように、説明の便宜上、エネルギ吸収メンバをEAメンバ(Energy Absorbing メンバ)と称する。
【0017】
図1の平面IIで車体2をカットした断面を
図2に示す。
図2は車体2の左側における車体下部構造3を示している。先に述べたように、電池パック40は、車両の右下と左下のそれぞれで、EAメンバ20(エネルギ吸収メンバ20)を介してロッカ10に固定されている。以下では、車体2の左側の下部構造を説明する。車体2は左右対称であり、車体2の右側の下部構造も
図2と同じである。すなわち、実施例の車体下部構造3は、一対のロッカ10と一対のEAメンバ20を備えており、それぞれのEAメンバ20は、対応するロッカ10に沿って配置される。
【0018】
電池パック40は、ロアカバー41、アッパカバー42、複数の電池セル43を含む。ロアカバー41とアッパカバー42でコンテナが形成されており、その中に複数の電池セル43が収容されている。ロアカバー41とアッパカバー42のそれぞれは、フランジを備えており、フランジ同士が接合されて、ロアカバー41とアッパカバー42は一つのコンテナを構成する。
【0019】
ロッカ10は、ロッカインナパネル11とロッカアウタパネル12で構成される。ロッカインナパネル11は、横を向いている角張ったU字形状(溝形状)をなしているとともに、下フランジ11aと上フランジ11bを有している。下フランジ11aはロッカインナパネル11の横向きU字の下側の縁から下方へ延びており、上フランジ11bは、ロッカインナパネル11の横向きU字の上側の縁から上方へ延びている。ロッカアウタパネル12もロッカインナパネル11と同じ形状を有しており、ロッカインナパネル11の下フランジ11aと上フランジ11bのそれぞれと対向する下フランジ12aと上フランジ12bを有している。下フランジ11a、12aが溶接され、上フランジ11b、12bが溶接され、中空の角筒形状のロッカ10が完成する。
図2では理解を助けるためにロッカアウタパネル12はロッカインナパネル11から離して描いてある。
【0020】
ロッカ10の内部にはバルク60が配置されている。バルク60はロッカ10の強度を高める補強材である。バルク60は、ロッカインナパネル11とロッカアウタパネル12を接合するのに先立ってロッカインナパネル11の内側に取り付けられる。バルク60は、溶接にて、あるいは、ボルト(不図示)にて、ロッカインナパネル11に固定される。バルク60については後述する。バルク60の内側にナット32が固定されている。ナット32は溶接にてロッカインナパネル11に固定される。
【0021】
EAメンバ20は、第1EAメンバ21と第2EAメンバ22で構成される。第1EAメンバ21は、ロッカ10の下に配置される。第2EAメンバ22は、第1EAメンバ21と電池パック40の間に配置される。第1EAメンバ21はロッカ10に固定される。第2EAメンバ22は、第1EAメンバ21と連結されるとともに、電池パック40にも連結される。
【0022】
EAメンバ20(第1EAメンバ21と第2EAメンバ22)は、中空の角筒形状をなしている。EAメンバ20は、車両が側方衝突したときのエネルギを吸収し、電池パック40を保護する。EAメンバ20は、衝突の衝撃によって車幅方向につぶれることで衝突エネルギを吸収する。ロッカ10も衝突エネルギの吸収に寄与するが、ロッカ10だけでは衝突エネルギを十分に吸収しきれない。そこで、中空のEAメンバ20をロッカ10に沿って配置する。
【0023】
EAメンバ20の強度は、衝突エネルギを効果的に吸収するようにシミュレーションなどによって予め決められる。第1EAメンバ21の内部空間は、上板23と下板24を連結する複数の仕切板25によって幾つかのセル空間CSに区画されている。仕切板25の数と厚みを調整することで、第1EAメンバ21の強度を調整することができる。EAメンバ20の強度は、少なくとも電池パック40の強度よりも低く設定されている。
【0024】
先に述べたように、第1EAメンバ21はロッカ10の下方に配置されるが、ロッカ10は、底板13から下方に延びる下フランジ11a(12a)を備えている。第1EAメンバ21は、下フランジ11a(12a)との干渉を避けて配置されなければならない。第1EAメンバ21を、下フランジ11a(12a)の内側(車幅方向の車両中心側)の部分と外側の部分に分けるとEAメンバの構造が複雑になってしまう。実施例の車体下部構造3では、第1EAメンバ21とロッカ10の間にカラー30を配置し、第1EAメンバ21の下フランジ11a(12a)との干渉を回避する。第1EAメンバ21を下フランジ11a(12a)よりも下方に配置することで、シンプルな形状であり、かつ、下フランジ11a(12a)よりも車幅方向の外側へ延びる第1EAメンバ21を実現することが可能となる。
【0025】
カラー30は、金属製の円筒である。カラー30は、別言すれば、ロッカ10と第1EAメンバ21との間に隙間を確保するためのスペーサである。
図2に示すように、カラー30の第1EAメンバ21よりも上の高さh1は、下フランジ11a(12a)の高さh2よりも大きい。カラー30によって、ロッカ10の底板13と第1EAメンバ21の上板23との間には、距離h1の隙間が確保される。下フランジ11a(12a)の高さはh2(<h1)なので、下フランジ11a(12a)は、第1EAメンバ21と干渉しない。それゆえ、第1EAメンバ21として単純な角筒形状を採用することができ、製造コストを抑えることができる。
【0026】
カラー30の周辺の構造を説明する。カラー30は、第1EAメンバ21の上板23に設けられた孔23aを貫通している。カラー30の上端はロッカ10の底板13の下面に当接している。カラー30の下端は下板24の上面に当接している。第1EAメンバ21とロッカ10とバルク60は、カラー30の内側を通るボルト31とナット32で共締めされ、相互に固定される。
【0027】
走行中に電池パック40が上下に振動すると、カラー30も上下に振動し、ロッカ10に上下方向の振動荷重が加わる。カラー30とナット32の間には底板13とバルク60が挟まれているので、カラー30の上下方向の振動に対するロッカ10の撓みは小さい。
【0028】
電池パック40の下面から車幅方向の外側へ向けて支持板44が延びている。支持板44も、ボルト31とナット32により、第1EAメンバ21と共締めされ、相互に固定される。電池パック40から延びている支持板44を第1EAメンバ21に固定することで、電池パック40がEAメンバ20に強固に固定される。
【0029】
第1EAメンバ21と第2EAメンバ22の連結構造について説明する。第1EAメンバ21の上板23の端から車両中心に向けてフランジ26が延びている。第2EAメンバ22は、ボルト33とナット34により、第1EAメンバ21のフランジ26に固定される。電池パック40から延びている支持板44も、ボルト33で第2EAメンバ22に固定される。第2EAメンバ22は、第1EAメンバ21のフランジ26と、電池パック40の支持板44に挟まれて固定される。第2EAメンバ22は、電池パック40のロアカバー41の側面に接着される。電池パック40と第2EAメンバ22は、接着剤とボルト33によって強固に連結される。
【0030】
EAメンバ20は、ロッカ10に固定される第1EAメンバ21と、電池パック40に接着される第2EAメンバ22に分割されている。第2EAメンバ22は第1EAメンバ21から着脱可能である。EAメンバ20は、第1EAメンバ21と第2EAメンバ22の組み合わせを調整することで、異なる車幅の複数の自動車に対応可能である。
【0031】
図3に、車体2の底面図を示す。EAメンバ20(第1EAメンバ21)とロッカ10は、車両前後方向に配置された複数のボルト31で共締めされる。複数のボルト31のそれぞれが、
図2で示したようにカラー30を通っているとともに、第1EAメンバ21をロッカ10に固定する。共締めにより、EAメンバ20(第1EAメンバ21)とロッカ10は少ない数のボルトで強固に連結される。
図3ではカラー30の図示は省略した。
【0032】
ロッカ10の内部には車両前後方向に沿って複数のバルク60が配置されており、それぞれのバルク60もボルト31でEAメンバ20(第1EAメンバ21)に共締めされる。1本のボルト31が、EAメンバ20(第1EAメンバ21)をロッカ10に固定するとともに、1個のバルク60をロッカ10に固定する。EAメンバ20とバルク60をそれぞれ個別にロッカ10に固定する構造と比較して、構造がシンプルになり、軽量化が図れる。
【0033】
電池パック40から、車両前後方向に沿って複数の支持板44が並んでいる。それぞれの支持板44は、電池パック40から車幅方向の外側へ向けて延びている。それぞれの支持板44は、ボルト31、33でEAメンバ20(第1EAメンバ21と第2EAメンバ22)に固定される。
【0034】
電池パック40のロアカバー41には車幅方向に延びるクロスメンバ45が形成されている。クロスメンバ45は、ロアカバー41に設けられた細長の凸部である。支持板44はクロスメンバ45の端に連結されている。クロスメンバ45の端に支持板44を取り付け、その支持板44がEAメンバ20に固定されることで、電池パック40とEAメンバ20の連結構造の強度が向上する。
【0035】
バルク60について説明する。バルク60は、一枚の金属板を折り曲げて作られた補強部材である。バルク60もボルト31でEAメンバ20(第1EAメンバ21)と共締めされる。共締めにより、バルク60を効率よく固定することができる。
【0036】
図4にバルク60の斜視図を示す。バルク60は、底板61、天板62、一対の側板63、背板64で構成される。底板61には、ボルト31が通る貫通孔65が設けられている。
図2に示したナット32は、貫通孔65と中心線が一致するように底板61に溶接される(
図4ではナット32の図示は省略した)。
【0037】
バルク60は、ロッカ10を構成するロッカインナパネル11とロッカアウタパネル12が接合されるのに先立ってロッカインナパネル11の内側に取り付けられる。
【0038】
先に述べたように、ロッカ10の中に、複数のバルク60が配置されている。
図5に、センターピラー51(
図1参照)の下部の側面図を示す。
図5では、ロッカ10、第1EAメンバ21、カラー30、支持板44、ボルト31は断面を描いてある。
図5に示すように、センターピラー51の下にもバルク60が配置されている。別言すれば、複数のバルク60の少なくとも1個は、鉛直方向でセンターピラー51と重なるように配置されている。センターピラー51は、車体2の強度を確保するフレームの一種である。特にセンターピラー51は、車の横転に対する強度を確保する。センターピラー51の下にバルク60を配置することで、車の横転に対する強度が向上する。
【0039】
先に述べたように、バルク60は、金属板から曲げ加工によって形成される。
図4はバルク60の形状を示す模式図であり、金属板の重なりや、詳細な輪郭の図示は省略してある。
図4の形状はバルク60の一例であり、バルク60は、
図6のバルク60a-60cのように、様々な形状であってよい。
【0040】
実施例で説明した技術に関する留意点を述べる。EAメンバ20(第1EAメンバ21、第2EAメンバ22)は、車両前後方向に交差する平面でカットした断面形状が、車両前後方向の位置によらず同じである。EAメンバ20(第1EAメンバ21、第2EAメンバ22)は、金属(典型的にはアルミニウム)の押出成形で作られる。
【0041】
1個のバルク60は1本のボルト31でロッカ10に固定される。1個のバルク60は複数のボルトでロッカ10に固定されてもよい。1個のバルク60を固定する複数のボルトのそれぞれにカラー30が挿通されており、それぞれのボルトがカラー30を介してEAメンバ20をロッカ10に固定する構造であってもよい。
【0042】
電池パック40が電源の一例である。電池パックは、複数の電池セルを収容している。一対のロッカ10の間に配置される電源は、電池パック40に限られず、燃料電池、あるいはキャパシタを収容しているデバイスであってもよい。
【0043】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0044】
2:車体 3:車体下部構造 10:ロッカ 11:ロッカインナパネル 11a、12a:下フランジ 11b、12b:上フランジ 12:ロッカアウタパネル 13:底板 20:エネルギ吸収メンバ(EAメンバ) 21:第1EAメンバ 22:第2EAメンバ 30:カラー 31、33:ボルト 32、34:ナット 40:電池パック 41:ロアカバー 42:アッパカバー 43:電池セル 44:支持板 45:クロスメンバ 50:フロアパネル 51:センターピラー 60、60a-60c:バルク