(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/12 20120101AFI20230307BHJP
G06F 3/16 20060101ALI20230307BHJP
G06Q 10/04 20230101ALI20230307BHJP
G10L 15/10 20060101ALI20230307BHJP
G10L 15/00 20130101ALI20230307BHJP
【FI】
G06Q50/12
G06F3/16 650
G06Q10/04
G10L15/10 200W
G10L15/10 500Z
G10L15/00 200D
(21)【出願番号】P 2020188941
(22)【出願日】2020-11-12
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】辻田 元久
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬張 太士
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-085045(JP,A)
【文献】特開2009-162007(JP,A)
【文献】特開2014-219756(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0232514(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06F 3/16
G10L 15/10
G10L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の人が集まる場所の中での音声を検知する音声検知部と、
検知された前記音声から前記場所の満空を推定する推定部と、
を備え、
前記音声検知部は、前記場所からの退出者の退出時に前記場所の関係者が発した前記退出者の人数に関する前記音声を検知し、
前記推定部は、前記退出者の人数に関する前記音声から前記場所の満空を推定する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記音声検知部は、前記場所の中で前記場所の関係者が発する定型句に関する前記音声を検知し、
前記推定部は、前記定型句に関する前記音声から前記場所の満空を推定する
ことを特徴とする請求項
1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記音声検知部は、前記場所の中で前記場所への来訪者に対して前記関係者が発する前記定型句に関する前記音声を検知し、
前記推定部は、前記定型句に関する前記音声の検知回数から前記場所の満空を推定する
ことを特徴とする請求項
2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記音声検知部は、前記場所の中で前記場所からの退出者に対して前記関係者が発する前記定型句に関する前記音声を検知し、
前記推定部は、前記定型句に関する前記音声の検知回数から前記場所の満空を推定する
ことを特徴とする請求項
2又は
3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記推定部は、前記定型句に関する前記音声の検知回数の所定期間内の統計値に基づいて前記場所の満空を推定する
ことを特徴とする請求項
2~
4のうちいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記音声検知部は、前記場所への来訪者の来訪時に前記場所の関係者が発した前記来訪者の人数に関する前記音声を検知し、
前記推定部は、前記来訪者の人数に関する前記音声から前記場所の満空を推定する
ことを特徴とする請求項1~
5のうちいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記音声検知部は、前記場所の中で前記場所の関係者が発する卓番に関する前記音声を検知し、
前記推定部は、前記卓番に関する前記音声から前記場所の満空を推定する
ことを特徴とする請求項1~
6のうちいずれか1つに記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
複数の人が集まる場所の中での音声を検知する音声検知工程と、
検知された前記音声から前記場所の満空を推定する推定工程と、
を含み、
前記音声検知工程では、前記場所からの退出者の退出時に前記場所の関係者が発した前記退出者の人数に関する前記音声を検知し、
前記推定工程では、前記退出者の人数に関する前記音声から前記場所の満空を推定する
ことを特徴とする情報処理方法。
【請求項9】
複数の人が集まる場所の中での音声を検知する音声検知手順と、
検知された前記音声から前記場所の満空を推定する推定手順と、
をコンピュータに実行させ、
前記音声検知手順では、前記場所からの退出者の退出時に前記場所の関係者が発した前記退出者の人数に関する前記音声を検知し、
前記推定手順では、前記退出者の人数に関する前記音声から前記場所の満空を推定する
ことを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1施設の利用状況に関する第1条件が満たされているか否かを判定し、第1条件が満たされている場合は、第1施設との間の関係が所定の第2条件を満たす第2施設を検索し、検索部による検索結果を利用者に対して提供する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、利用者が使用する端末装置から受付けた位置情報が必要となる。近年は、個人情報保護の観点から、スマートフォン等の端末装置の仕様により、個人の端末装置の位置情報を外部に送信することに対して制約が厳しくなる傾向にあり、事業者が個人の端末装置の位置情報を取得することが著しく困難になっている。例えば、個人の端末装置の位置情報の利用の許可について、「常に許可」する設定が選択肢からなくなりつつある。また、OS(Operating System)側の制御によりアプリケーションがバックグラウンドで稼働している際には位置情報を送信できない場合がある。そのため、端末装置の位置情報に依存せず、また高度かつ複雑なシステムを必要とせずに、より容易かつセキュア(安全)に複数の人が集まる場所の満空を推定する技術が求められている。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、より容易かつセキュアに複数の人が集まる場所の満空を推定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る情報処理装置は、複数の人が集まる場所の中での音声を検知する音声検知部と、検知された前記音声から前記場所の満空を推定する推定部と、を備え、前記音声検知部は、前記場所からの退出者の退出時に前記場所の関係者が発した前記退出者の人数に関する前記音声を検知し、前記推定部は、前記退出者の人数に関する前記音声から前記場所の満空を推定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、より容易かつセキュアに複数の人が集まる場所の満空を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、店舗情報データベースの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、満空情報データベースの一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
〔1.情報処理方法の概要〕
まず、
図1を参照し、実施形態に係る情報処理装置が行う情報処理方法の概要について説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す説明図である。なお、
図1では、複数の人が集まる場所の中での音声から当該施設の満空を推定する場合を例に挙げて説明する。
【0011】
図1に示すように、情報処理システム1は、端末装置10と情報提供装置100とを含む。端末装置10と情報提供装置100とは、それぞれネットワークN(
図2参照)を介して有線又は無線で互いに通信可能に接続される。
【0012】
端末装置10は、音声を検知可能であり、4G(Generation)やLTE(Long Term Evolution)等の無線通信網を介して任意のサーバ装置と通信を行うことができる情報処理装置である。例えば、端末装置10は、店舗R(施設)の店員A(従業員)等により業務上使用されるスマートフォン又はタブレット等のスマートデバイスや、音声入力可能なウェアラブルデバイス又はハンディターミナル等である。また、端末装置10は、スマートデバイスやウェアラブルデバイス等に限らず、店舗R(施設)の出入口付近(ドア・レジ周辺等)等の特定の場所(客Cが入退店時に必ず通過する場所)に設置されたスピーカーやマイク等であってもよい。例えば、スマートスピーカー等のワイヤレススピーカーや、ワイヤレスマイクであってもよい。実際には、ワイヤレス機器に限らず、有線機器であってもよい。また、端末装置10は、デスクトップPC(Personal Computer)やノートPC等の情報処理装置であってもよい。また、端末装置10は、音センサであってもよいし、音センサを備えた電子機器等であってもよい。
【0013】
本実施形態では、端末装置10は、店舗Rの中で発せられる音声を検知し、ネットワークN(
図2参照)を介して情報提供装置100に通知する。
【0014】
情報提供装置100は、端末装置10による音声の検知結果に基づいて、店舗Rの満空を推定(又は予測)する情報処理装置であり、サーバ装置やクラウドシステム等により実現される。本実施形態では、情報提供装置100は、音声認識技術により、端末装置10による音声の検知結果の中から特定のフレーズ(定型句等)や特定のキーワードに関する音声を検出し、特定のフレーズや特定のキーワードに関する音声の検知回数等に基づいて、店舗Rの満空を推定する。また、情報提供装置100は、店舗Rの満空に関する情報を、店舗Rの各店員Aや、店舗Rへの来訪を予定・希望している客Cに提供する。
【0015】
店舗Rは、例えばレストラン、喫茶店、酒場、料亭、ファストフード店、コーヒーチェーン店等の飲食店であってもよいし、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、量販店、ドラッグストア、ディスカウントストア、ホームセンター、倉庫型店舗等の小売店であってもよい。また、店舗Rは、商業施設等のフロア内に出店したテナント等であってもよい。また、店舗Rは、上記以外の商品を販売する店舗や、上記以外のサービスを提供する店舗等であってもよい。例えば、店舗Rは、床屋や美容室、マッサージ店等であってもよい。
【0016】
なお、店舗Rは、複数の人が集まる場所の一例に過ぎない。実際には、上記のような店舗に限らず、企業等のオフィスビルや事務所、ホテル等の宿泊施設、役所等の官公庁、銀行等の金融機関、郵便局等の物流拠点、病院等の医療機関、学校等の教育機関等であってもよい。また、イベント会場や会議室・会議場、パーティ会場、ホテル宴会場、待合室、講義室等であってもよい。なお、パーティ会場は、立食形式であってもよいし、ビュッフェスタイルやバイキング形式であってもよい。さらに、大型商業施設(百貨店/ショッピングセンター/アウトレットモール/地下街)や大型レジャー施設(テーマパーク/遊園地/遊戯場/動物園/水族館/プール/入浴施設/公園/庭園/名所)、文化施設(ホール/劇場/映画館/美術館/博物館)、スポーツ施設(運動場(グラウンド)/体育館/競技場/屋内プール)、寺社仏閣、観光スポット、鉄道駅や空港、港湾(乗船場)、サービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)等であってもよい。
【0017】
また、店舗Rは、売り場や集合場所等の一例に過ぎない。例えば、店舗Rの少なくとも一部(全部でも可)は、屋内に限らず、屋外であってもよい。すなわち、店舗Rの少なくとも一部は、建物に限らず、野外の一定規模の敷地であってもよい。また、店舗Rは、屋台やテント等の仮設販売所等であってもよい。
【0018】
また、店員Aは、店舗Rの関係者の一例に過ぎない。実際には、従業員に限らず、店舗Rの経営者、運営者、責任者等であってもよいし、雇用関係になくても店舗Rのために働く協力者(個人事業主の家族等)等であってもよい。また、店員Aは、受付(レセプションやフロントを含む)であってもよいし、窓口業務に従事する人等であってもよい。また、店員Aは、接客スタッフやホールスタッフ等に限らず、厨房スタッフや事務員等であってもよい。
【0019】
〔1-1.基本動作〕
本実施形態では、店舗Rとして、飲食店を例に説明する。例えば、
図1に示すように、端末装置10は、店舗Rの中で発せられる音声を検知し、ネットワークN(
図2参照)を介して情報提供装置100に通知する(ステップS1)。
【0020】
続いて、情報提供装置100は、端末装置10による音声の検知結果を収集する(ステップS2)。本実施形態では、情報提供装置100は、音声認識技術により、端末装置10による音声の検知結果の中から、例えば「いらっしゃいませ」(歓迎)、「ありがとうございました」(感謝)等の客Cの入店時、退店時に店舗Rの店員Aから発せられる特定のフレーズに関する音声の検知結果を収集する。
【0021】
続いて、情報提供装置100は、収集された音声の検知回数をカウントする(ステップS4)。さらに、情報提供装置100は、単位時間(10分、30分等)ごと、時間帯ごと、又は曜日ごとに、カウントされた音声の検知回数を集計してもよい。
【0022】
続いて、情報提供装置100は、カウントされた音声の検知回数に基づいて、店舗Rの満空を推定する(ステップS3)。本実施形態では、情報提供装置100は、端末装置10による特定のフレーズの検知回数に基づいて、店舗Rの満空を推定する。例えば、情報提供装置100は、「いらっしゃいませ」等の客Cの入店時に発せられる特定のフレーズを1回検出すると、店舗Rのテーブル(座席)が1つ埋まることを推定する。また、情報提供装置100は、「ありがとうございました」等の客Cの退店時に発せられる特定のフレーズを1回検出すると、店舗Rのテーブル(座席)が1つ空くことを推定する。なお、テーブルは、個室と読み替えてもよい。
【0023】
続いて、情報提供装置100は、所定の検証期間(例えば一週間)を設け、当該検証期間内における単位時間ごとの音声の検知回数の統計値(平均値、最大値、最小値)を算出する(ステップS5)。なお、情報提供装置100は、単位時間ごとに限らず、時間帯ごと又は曜日ごとの音声の検知回数の統計値を算出してもよい。
【0024】
続いて、情報提供装置100は、当該単位時間における音声の検知回数と、当該単位時間の音声の検知回数の統計値とを比較することで、店舗Rの満空の推定の精度(又は確度)が高いか否か(信用できるか否か)を判定する(ステップS6)。なお、実際には、上記の単位時間に限らず、時間帯や曜日であってもよい。本実施形態では、情報提供装置100は、当該単位時間における音声の検知回数と、当該単位時間の音声の検知回数の統計値との差分が閾値以内であるか否かを判定する。このとき、情報提供装置100は、差分が閾値以内である場合、店舗Rの満空の推定の精度が高い(信用できる)と判定する。反対に、情報提供装置100は、差分が閾値以内ではない場合、店舗Rの満空の推定の精度が低い(信用できない)と判定する。そして、情報提供装置100は、この判定結果を店舗Rの各店員Aに通知する。あるいは、情報提供装置100は、この判定結果を受けて、次回以降の店舗Rの満空の推定を改善する(又は改善案を店舗R側に提案する)。
【0025】
続いて、情報提供装置100は、ネットワークN(
図2参照)を介して、店舗Rの満空に関する情報を、店舗Rの各店員Aや、店舗Rへの来訪を予定・希望している客Cに提供する(ステップS7)。例えば、情報提供装置100は、客Cが店舗Rについて検索(又は予約)した際に、店舗Rの満空情報を、当該客Cの端末装置へプッシュ通知してもよいし、検索(又は予約)用のサイトやアプリケーション(アプリ)の画面に優先的に表示してもよい。なお、実際には、情報提供装置100は、上記のステップS4の直後に、店舗Rの満空に関する情報を、店舗Rの各店員Aや、店舗Rへの来訪を予定・希望している客Cに提供してもよい。
【0026】
〔1-2.他の実施形態〕
なお、情報提供装置100は、「いらっしゃいませ」、「ありがとうございました」等に限らず、店員Aから発せられる他の特定のフレーズに関する音声の検知結果を収集して、店舗Rの満空を推定してもよい。例えば、店舗Rが満員(満席)である場合でも、店員Aは来店した客Cに対して「いらっしゃいませ」という可能性がある。また、同じテーブル(座席)に着く団体(グループ)のメンバーが少し遅れて来店する場合もある。そのため、情報提供装置100は、「いらっしゃいませ」ではなく、「お席にご案内します」、「ご注文をお伺いします」等の客Cの座席案内時、サービス利用開始時に店舗Rの店員Aから発せられる他の特定のフレーズに関する音声の検知結果を収集して、店舗Rの満空を推定してもよい。例えば、情報提供装置100は、「お席にご案内します」というフレーズ単体の音声、又は「いらっしゃいませ」と「お席にご案内します」というフレーズの組み合わせの音声に基づいて、店舗Rの満空を推定してもよい。
【0027】
また、情報提供装置100は、店員Aから発せられる来店した客Cの人数に関する音声の検知結果から、店舗Rの満空を推定してもよい。例えば、情報提供装置100は、「○○名様ご案内」、「○○名様お帰りです」等の客Cの人数が含まれる音声の検知結果から、店舗Rの満空を推定してもよい。また、情報提供装置100は、「○○名です」等の来店した客Cが発した自身のグループの人数に関する音声の検知結果から、店舗Rの満空を推定してもよい。
【0028】
また、情報提供装置100は、店員Aから発せられる卓番に関する音声の検知結果から、店舗Rの満空を推定してもよい。例えば、情報提供装置100は、「お客様、○○番テーブルへご案内」、「○○番テーブルのお客様お帰りです」等の卓番が含まれる音声の検知結果から、店舗Rの満空を推定してもよい。すなわち、情報提供装置100は、卓番が含まれる音声の検知結果から、使用中のテーブル(座席)や空いたテーブル(座席)を推定することで、店舗Rの満空を推定してもよい。
【0029】
本実施形態によれば、より容易かつセキュアに複数の人が集まる場所の満空を推定することができる。これまで、当該技術分野において、本実施形態のような手法で複数の人が集まる場所の満空を推定するという着想はなかった。また、近年は、「3密」、「ソーシャルディスタンス」という言葉が用いられるほど、人の密集を避ける傾向にあるため、複数の人が集まる場所の満空を推定する技術には、これまで以上に需要及び社会的意義がある。本実施形態によれば、高度かつ複雑なシステムを設置・構築しなくても、店舗や各施設等の出入口周辺に、音声を検知可能な端末装置と、客の応対をするスタッフとを配置するだけで実施することが可能である。店舗や施設によっては、既存の設備やスタッフを利用することも可能である。そのため、新規導入が非常に容易であり、導入作業に要する時間や労力、コストの面で非常に有利である。
【0030】
また、店員から発せられる他の特定のフレーズに関する音声の検知結果を利用しているため、ミスや漏れがないように、来店客に対する店員の挨拶や声掛け、はっきりとしゃべること等をこれまで以上に徹底することになり、導入した店舗の活気やサービスの向上も期待される。
【0031】
〔2.情報処理システムの構成例〕
次に、
図2を用いて、実施形態に係る情報提供装置100が含まれる情報処理システム1の構成について説明する。
図2は、実施形態に係る情報処理システム1の構成例を示す図である。
図2に示すように、実施形態に係る情報処理システム1は、端末装置10と情報提供装置100とを含む。これらの各種装置は、ネットワークNを介して、有線又は無線により通信可能に接続される。ネットワークNは、例えば、LAN(Local Area Network)や、インターネット等のWAN(Wide Area Network)である。
【0032】
また、
図2に示す情報処理システム1に含まれる各装置の数は図示したものに限られない。例えば、
図2では、図示の簡略化のため、端末装置10を1台のみ示したが、これはあくまでも例示であって限定されるものではなく、2台以上であってもよい。
【0033】
端末装置10は、店舗R(施設)の店員A(従業員)等により業務上使用される情報処理装置である。例えば、端末装置10は、スマートフォンやタブレット端末等のスマートデバイス、音声入力可能なウェアラブルデバイスやハンディターミナル、ウェアラブルマイク端末、スマートスピーカー等のワイヤレススピーカーやワイヤレスマイク、PC(Personal Computer)、上記以外の音声検知可能な電子機器等である。すなわち、端末装置10は、店舗R(施設)内に設置された据置型/可搬型の機器であってもよいし、店員A(従業員)等が携帯する機器であってもよい。
【0034】
また、かかる端末装置10は、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation:第5世代移動通信システム)等の無線通信網や、Bluetooth(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)等の近距離無線通信を介してネットワークNに接続し、情報提供装置100と通信することができる。
【0035】
情報提供装置100は、例えばPCやサーバ装置、あるいはメインフレーム又はワークステーション等である。なお、情報提供装置100は、クラウドコンピューティングにより実現されてもよい。
【0036】
〔3.情報処理装置の構成例〕
次に、
図3を用いて、実施形態に係る情報提供装置100の構成について説明する。
図3は、実施形態に係る情報提供装置100の構成例を示す図である。
図3に示すように、情報提供装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。
【0037】
(通信部110)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。また、通信部110は、ネットワークN(
図2参照)と有線又は無線で接続される。
【0038】
(記憶部120)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。
図3に示すように、記憶部120は、店舗情報データベース121と、満空情報データベース122とを有する。
【0039】
(店舗情報データベース121)
店舗情報データベース121は、飲食店等の店舗に関する各種情報を記憶する。
図4は、店舗情報データベース121の一例を示す図である。
図4に示した例では、店舗情報データベース121は、「店舗ID」、「カテゴリ」、「所在地」、「営業時間」、「座席数」、「連絡先」といった項目を有する。
【0040】
「店舗ID」は、店舗を識別するための識別情報を示す。例えば、「店舗ID」は、個々の店舗の名称であってもよいし、店舗番号であってもよい。なお、店舗の名称は、「グループ名(チェーン名)+地域名」等であってもよい。
【0041】
また、「カテゴリ」は、店舗の種別に関する情報を示す。例えば、「カテゴリ」は、レストランや居酒屋といった業務内容や、フレンチやイタリアンといった料理ジャンル等に関する情報であってもよい。
【0042】
また、「所在地」は、店舗の所在している場所を示す。例えば、「所在地」は、位置情報であってもよいし、住所等であってもよい。また、「所在地」は、店舗が所在している建物の名称や、その建物のフロア(階)を示す情報を含んでいてもよい。また、「所在地」は、地図上での位置を示す情報であってもよい。また、「所在地」は、店舗までの交通手段や最寄駅、店舗までの経路案内に関する情報を含んでいてもよい。
【0043】
また、「営業時間」は、店舗が営業している時間帯を示す。例えば、「営業時間」は、平日/土日祝日といった曜日や祝日に関する情報とともに、それぞれの日の開店から閉店までの時間帯(7:00~21:00、17:00~23:00等)を示す。また、「営業時間」は、店舗の定休日に関する情報を記憶していてもよい。
【0044】
また、「座席数」は、店舗内に設置されているテーブル(座席)の総数を示す。なお、店舗内は、店舗の敷地内を示す。すなわち、店舗内は、店舗の建物の屋内に限らず、屋外であってもよい。例えば、オープンテラス(テラス席)やバルコニーであってもよいし、ビアガーデン等であってもよい。
【0045】
また、「連絡先」は、店舗の電話番号やメールアドレス等の連絡先情報を示す。なお、「連絡先」は、店舗の予約・問合せ用のWebページのURL(Uniform Resource Locator)や、SNS(Social Networking Service)等であってもよい。
【0046】
例えば、
図4に示す例において、店舗ID「店舗#1」により識別される店舗は、「カテゴリ#1」に属する店舗であり、「所在地#1」に所在し、「営業時間#1」の間に営業しており、座席やテーブルの数は「座席数#1」であり、「連絡先#1」にて店舗への問合せや予約を行うことができることを示す。
【0047】
ここで、
図4に示す例では、「店舗#1」、「カテゴリ#1」、「所在地#1」、「営業時間#1」、「座席数#1」及び「連絡先#1」といった抽象的な値を用いて図示するが、「店舗#1」、「カテゴリ#1」、「所在地#1」、「営業時間#1」、「座席数#1」及び「連絡先#1」には、具体的な文字列や数値等の情報が記憶されるものとする。以下、他の情報に関する図においても、抽象的な値を図示する場合がある。
【0048】
なお、店舗情報データベース121は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。例えば、店舗情報データベース121は、店舗の特徴(2階建て/平屋、ビルの一室等)に関する情報を記憶してもよい。また、店舗情報データベース121は、予約や貸切の可否に関する情報や、個室の有無、最大予約可能人数に関する情報を記憶してもよい。また、店舗情報データベース121は、駐車場の有無や、喫煙の可否、子供連れの可否に関する情報を記憶してもよい。
【0049】
(満空情報データベース122)
満空情報データベース122は、店舗の空席状況に関する各種情報を記憶する。
図5は、満空情報データベース122の一例を示す図である。
図5に示した例では、満空情報データベース122は、「店舗ID」、「フレーズ」、「音声検知回数」、「使用席数」、「空席数」、「満空状態」といった項目を有する。
【0050】
「店舗ID」は、店舗を識別するための識別情報を示す。例えば、「店舗ID」は、個々の店舗の名称であってもよいし、店舗番号であってもよい。なお、店舗の名称は、「グループ名(チェーン名)+地域名」等であってもよい。
【0051】
また、「フレーズ」は、計測対象となる特定のフレーズ(定型句等)や特定のキーワード等を示す。例えば、「フレーズ」は、「いらっしゃいませ」(歓迎)、「ありがとうございました」(感謝)等の来店客の入店時、退店時に店舗の店員から発せられる特定のフレーズを示す。また、「お席にご案内します」、「ご注文をお伺いします」等の来店客の座席案内時、サービス利用開始時に店舗の店員から発せられる他の特定のフレーズ等であってもよい。また、「音声検知回数」は、上記の特定のフレーズに関する音声を検知した回数を示す。
【0052】
また、「使用席数」は、現在、店舗内において来店客が使用中の席数を示す。本実施形態では、「使用席数」は、「音声検知回数」に応じて増減する。例えば、「使用席数」は、来店客の入店時の挨拶「いらっしゃいませ」の音声の検知回数の分だけ増加し、来店客の退店時の挨拶「ありがとうございました」の音声の検知回数の分だけ減少する。すなわち、「使用席数」は、「いらっしゃいませ」の音声の検知回数と「ありがとうございました」の音声の検知回数との差分である。
【0053】
また、「空席数」は、現在、店舗内において新規の来店客が利用可能な席数を示す。本実施形態では、「空席数」は、「音声検知回数」に応じて増減する。例えば、「空席数」は、店舗内の座席数(
図4に示した「座席数」)から、上記の「使用席数」を差し引いた値である。すなわち、「空席数」は、店舗内の座席数から、「いらっしゃいませ」の音声の検知回数と「ありがとうございました」の音声の検知回数との差分を差し引いた値である。なお、座席が満席になった場合、空席待ち等を行う来店客のため、「使用席数」が「空席数」よりも多くなる場合がある。このとき、「空席数」は、「0」を下限値としてもよいし、空席待ち等の数を示すように負数としてもよい。
【0054】
また、「満空状態」は、店舗内の混雑の程度(満空状態)を示す。例えば、「満空状態」は、単に「満席」・「空席あり」等の状況を示してもよいし、座席数に占める空席数の割合(=「空席数」/「座席数」×100%)を示してもよい。あるいは、「使用席数」が所定の閾値を超えたときに「混雑状態」と示してもよい。
【0055】
例えば、
図5に示す例において、店舗ID「店舗#1」により識別される店舗において、当該店舗の店員が発した「フレーズ#1」に関する音声の検知回数に基づいて「使用席数#1」と「空席数#1」を算出し、「満空状態#1」を判定することを示す。
【0056】
ここで、
図5に示す例では、「店舗#1」、「フレーズ#1」、「使用席数#1」、「空席数#1」及び「満空状態#1」といった抽象的な値を用いて図示するが、「店舗#1」、「フレーズ#1」、「使用席数#1」、「空席数#1」及び「満空状態#1」には、具体的な文字列や数値等の情報が記憶されるものとする。
【0057】
なお、満空情報データベース122は、上記に限らず、目的に応じて種々の情報を記憶してもよい。例えば、満空情報データベース122は、現在使用中の座席やテーブル等の数に関する情報を記憶してもよい。
【0058】
(制御部130)
図3に戻り、説明を続ける。制御部130は、コントローラ(Controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等によって、情報提供装置100の内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAM等の記憶領域を作業領域として実行されることにより実現される。
図3に示す例では、制御部130は、音声検知部140と、推定部150とを有する。
【0059】
(音声検知部140)
音声検知部140は、複数の人(客C)が集まる場所(店舗R)の中での音声を検知する。本実施形態では、音声検知部140は、当該場所の中で当該場所の関係者(店員A)が発する定型句(特定のフレーズ)に関する音声を検知する。例えば、音声検知部140は、当該場所の中で当該場所への来訪者に対して関係者が発する定型句に関する音声を検知する。また、音声検知部140は、当該場所の中で当該場所からの退出者に対して関係者が発する定型句に関する音声を検知する。さらに、音声検知部140は、当該場所への来訪者の来訪時に関係者が発した来訪者の人数に関する音声を検知する。あるいは、音声検知部140は、当該場所からの退出者の退出時に関係者が発した退出者の人数に関する音声を検知する。
【0060】
(推定部150)
推定部150は、検知された音声から複数の人が集まる場所の満空を推定(又は予測)する。本実施形態では、推定部150は、定型句に関する音声から当該場所の満空を推定する。例えば、推定部150は、定型句に関する音声の検知回数から当該場所の満空を推定する。また、また、推定部150は、定型句に関する音声の検知回数の所定期間内の統計値に基づいて当該場所の満空を推定する。さらに、推定部150は、関係者が発した来訪者や退出者の人数に関する音声から当該場所の満空を推定する。また、推定部150は、推定された当該場所の満空に関する情報を提供する。
【0061】
ここで、音声検知部140は、取得部131と、検出部132とを有する。また、推定部150は、集計部133と、判定部134と、学習部135と、提供部136とを有する。すなわち、制御部130は、取得部131と、検出部132と、集計部133と、判定部134と、学習部135と、提供部136とを有する。
【0062】
(取得部131)
取得部131は、店舗R(施設)内に設置された端末装置10や、店員A(従業員)が携帯する端末装置10から、通信部110を介して、音声の検知結果を取得する。
【0063】
(検出部132)
検出部132は、音声認識技術により、取得された音声の検知結果の中から、店員Aが発した特定のフレーズ(定型句等)に関する音声を検出する。本実施形態では、例えば「いらっしゃいませ」(歓迎)、「ありがとうございました」(感謝)等の客Cの入店時、退店時に店舗Rの店員Aから発せられる特定のフレーズに関する音声を検出する。
【0064】
(集計部133)
集計部133は、特定のフレーズに関する音声の検知回数をカウントする。そして、集計部133は、カウントされた音声の検知回数に基づいて、店舗Rの満空を推定する。本実施形態では、集計部133は、端末装置10による特定のフレーズの検知回数に基づいて、店舗Rの満空を推定する。例えば、集計部133は、「いらっしゃいませ」等の客Cの入店時に発せられる特定のフレーズを1回検出すると、店舗Rのテーブル(座席)が1つ埋まることを推定する。また、集計部133は、「ありがとうございました」等の客Cの退店時に発せられる特定のフレーズを1回検出すると、店舗Rのテーブル(座席)が1つ空くことを推定する。
【0065】
さらに、集計部133は、単位時間(10分、30分等)ごと、時間帯ごと、又は曜日ごとに、カウントされた音声の検知回数を集計する。
【0066】
また、集計部133は、所定の検証期間(例えば一週間)を設け、当該検証期間内における単位時間ごとの音声の検知回数の統計値(平均値、最大値、最小値)を算出する。なお、集計部133は、単位時間ごとに限らず、時間帯ごと又は曜日ごとの音声の検知回数の統計値を算出してもよい。
【0067】
(判定部134)
判定部134は、当該単位時間における音声の検知回数と、当該単位時間の音声の検知回数の統計値とを比較することで、店舗Rの満空の推定の精度(又は確度)が高いか否か(信用できるか否か)を判定する。本実施形態では、判定部134は、当該単位時間における音声の検知回数と、当該単位時間の音声の検知回数の統計値との差分が閾値以内であるか否かを判定する。このとき、判定部134は、差分が閾値以内である場合、店舗Rの満空の推定の精度が高い(信用できる)と判定する。反対に、判定部134は、差分が閾値以内ではない場合、店舗Rの満空の推定の精度が低い(信用できない)と判定する。
【0068】
(学習部135)
学習部135は、特定のフレーズに関する音声の検知回数を入力データとし、実際の人数を正解データとして学習し、モデルを構築する。そして、学習部135は、特定のフレーズに関する音声の検知回数をモデルに入力した際に人数を出力する。例えば、学習部135は、店舗Rの店員Aに実際の人数をモデルに入力してもらい、「いらっしゃいませ」、「ありがとうございました」等の特定のフレーズに関する音声の検知回数をモデルに入力した際に人数を出力するように学習する。このとき、学習部135は、店舗ごとにモデルを作成する。特定のフレーズに関する音声の検知回数と人数(客数)との関係は、店舗ごとに異なると予想される。そこで、音声の検知回数と人数との関係を実績ベースで予測するモデルを生成する。なお、学習部135は、集計部133であってもよい。すなわち、学習部135は、集計部133と一体化していてもよい。
【0069】
なお、学習部135は、単位時間ごと(例えば1時間おき)店舗Rの店員Aに実際の使用席数や空席数を入力してもらい、音声の検知回数に基づいて推定した使用席数や空席数とのずれ(乖離)を学習するようにしてもよい。
【0070】
また、学習部135は、特定のフレーズに関する音声の検知回数をモデルに入力し、出力として満空情報を得るようにしてもよい。例えば、学習部135は、10~15分ごとに「いらっしゃいませ」、「ありがとうございました」等の特定のフレーズに関する音声の検知回数をモデルに入力し、出力として混雑度を得る。音声が入らないときは、自動的に減衰していく。このとき、学習部135は、特定のフレーズに関する音声の検知回数を入力データ、満空状態を正解データとして機械学習を行い、モデルを構築してもよい。その後、特定のフレーズに関する音声の検知回数をモデルに入力し、出力として満空情報を得る。
【0071】
なお、モデルは、任意の種別のモデルが採用可能である。例えば、学習部135は、SVM(Support Vector Machine)やDNN(Deep Neural Network)をモデルとして採用してもよい。ここで、DNNは、CNN(Convolutional Neural Network)やRNN(Recurrent Neural Network)であってもよい。また、RNNは、LSTM(Long short-term memory)等であってもよい。すなわち、モデルは、任意の形式のモデルが採用可能である。また、モデルは、例えば、CNNとRNNとを組み合わせたモデル等、複数のモデルを組み合わせることで実現されるモデルであってもよい。また、データマイニングやその他の機械学習アルゴリズムを利用してもよい。学習部135は、上述した各種の学習手法により、モデルの学習を行う。
【0072】
(提供部136)
提供部136は、通信部110を介して、店舗Rの満空に関する情報を、店舗Rの各店員Aや、店舗Rへの来訪を予定・希望している客Cに提供する。例えば、提供部136は、通信部110を介して、リアルタイムで、店舗Rの満空情報を客Cに提供してもよい。また、提供部136は、通信部110を介して、上記の判定部134による判定結果を、店舗Rの各店員Aに通知してもよい。
【0073】
〔4.処理手順〕
次に、
図6を用いて実施形態に係る情報提供装置100による処理手順について説明する。
図6は、実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。なお、以下に示す処理手順は、情報提供装置100の制御部130によって繰り返し実行される。
【0074】
図6に示すように、情報提供装置100の取得部131は、店舗R(施設)内に設置された端末装置10や、店員A(従業員)が携帯する端末装置10から、通信部110を介して、音声の検知結果を取得する(ステップS101)。
【0075】
続いて、情報提供装置100の検出部132は、音声認識技術により、取得された音声の検知結果の中から、店員Aが発した特定のフレーズ(定型句等)に関する音声を検出する(ステップS102)。
【0076】
続いて、情報提供装置100の集計部133は、特定のフレーズに関する音声の検知回数をカウントし、カウントされた音声の検知回数に基づいて、店舗Rの満空を推定する。(ステップS103)。
【0077】
続いて、情報提供装置100の判定部134は、所定の検証期間(例えば一週間)を設け、当該検証期間内における単位時間ごとの音声の検知回数の統計値(平均値、最大値、最小値)を算出する(ステップS104)。
【0078】
続いて、情報提供装置100の判定部134は、当該単位時間における音声の検知回数と、当該単位時間の音声の検知回数の統計値とを比較することで、店舗Rの満空の推定の精度が高いか否か(信用できるか否か)を判定する(ステップS105)。
【0079】
続いて、情報提供装置100の学習部135は、店舗Rの店員Aに実際の人数をモデルに入力してもらい、特定のフレーズに関する音声の検知回数をモデルに入力した際に人数を出力するように学習する(ステップS106)。
【0080】
続いて、情報提供装置100の提供部136は、通信部110を介して、店舗Rの満空に関する情報を、店舗Rの各店員Aや、店舗Rへの来訪を予定・希望している利用客に提供する(ステップS107)。
【0081】
なお、上記のステップS101及びステップS102の処理において、取得部131及び検出部132を、音声検知部140と読み替えてもよい。また、上記のステップS103~ステップS107の処理において、集計部133、判定部134、学習部135及び提供部136を、推定部150と読み替えてもよい。
【0082】
〔5.変形例〕
上述した端末装置10及び情報提供装置100は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。そこで、以下では、実施形態の変形例について説明する。
【0083】
上記の実施形態において、情報提供装置100が実行している処理は、実際には、端末装置10が実行してもよい。すなわち、スタンドアロン(Standalone)で(端末装置10単体で)処理が完結してもよい。この場合、端末装置10に、上記の実施形態における情報提供装置100の機能が備わっているものとする。
【0084】
また、上記の実施形態において、情報提供装置100は、端末装置10として機能してもよい。例えば、情報提供装置100は、音声検知機能を有し、店舗R(施設)の出入口付近(ドア・レジ周辺等)等の特定の場所(客Cが入退店時に必ず通過する場所)に設置され、音声の検知結果の中から特定のフレーズ(定型句等)や特定のキーワードに関する音声を検出し、特定のフレーズや特定のキーワードに関する音声の検知回数等に基づいて、店舗Rの満空を推定してもよい。あるいは、情報提供装置100は、店舗内に存在する端末装置10のうちの1台であってもよい。この場合、情報提供装置100に、上記の実施形態における端末装置10の機能が備わっているものとする。
【0085】
また、上記の実施形態において、端末装置10は、店舗R(施設)のテーブル(座席)周辺等に設置されていてもよい。例えば、端末装置10は、各テーブル(座席)において発せられる客Cの注文や会話の音声又は店員A(従業員)の注文対応の音声を検知し、ネットワークN(
図2参照)を介して情報提供装置100に通知する。情報提供装置100は、端末装置10により検知された音声に基づいて、店舗Rの満空を推定する。
【0086】
また、上記の実施形態において、情報提供装置100は、「いらっしゃいませ」、「ありがとうございました」等の客Cの入店時、退店時に店員Aから発せられる特定のフレーズを検知しているが、実際には、客Cから発せられる特定のフレーズを検知してもよい。例えば、店舗Rは、当該店舗Rの規則(ルール)として、客Cが入店時、退店時に店舗Rが指定した特定のフレーズを発するように規定してもよい。
【0087】
〔6.効果〕
上述してきたように、本願に係る情報提供装置100は、複数の人(客C)が集まる場所(店舗R)の中での音声を検知する音声検知部140と、検知された音声から場所の満空を推定する推定部150と、を備える。
【0088】
これにより、より容易かつセキュアに複数の人が集まる場所の満空を推定することができる。
【0089】
また、音声検知部140は、上記場所の中で場所の関係者(店員A)が発する定型句に関する音声を検知する。推定部150は、定型句に関する音声から場所の満空を推定する。
【0090】
これにより、例えば店舗の店員等の発した特定のフレーズ(定型句)に基づいて店舗の満空を推定することができる。
【0091】
また、音声検知部140は、上記場所の中で場所への来訪者に対して関係者が発する定型句に関する音声を検知する。推定部150は、定型句に関する音声の検知回数から場所の満空を推定する。
【0092】
これにより、例えば店舗の店員の発した来店者(客)への挨拶に基づいて店舗の満空を推定することができる。
【0093】
また、音声検知部140は、上記場所の中で場所からの退出者に対して関係者が発する定型句に関する音声を検知する。推定部150は、定型句に関する音声の検知回数から場所の満空を推定する。
【0094】
これにより、例えば店舗の店員の発した退店者(客)への挨拶に基づいて複数の人が集まる場所の満空を推定することができる。
【0095】
また、推定部150は、定型句に関する音声の検知回数の所定期間内の統計値に基づいて場所の満空を推定する。
【0096】
これにより、例えば店舗の店員の発した音声の検知回数の統計値(平均値、最大値、最小値)に基づいて店舗の満空を推定することができる。
【0097】
また、音声検知部140は、場所への来訪者の来訪時に場所の関係者が発した来訪者の人数に関する音声を検知する。推定部150は、来訪者の人数に関する音声から場所の満空を推定する。
【0098】
これにより、例えば店舗の店員の発した来店者の人数に関する発言に基づいて店舗の満空を推定することができる。
【0099】
また、音声検知部140は、場所からの退出者の退出時に場所の関係者が発した退出者の人数に関する音声を検知する。推定部150は、退出者の人数に関する音声から場所の満空を推定する。
【0100】
これにより、例えば店舗の店員の発した退店者の人数に関する発言に基づいて店舗の満空を推定することができる。
【0101】
また、音声検知部140は、上記場所の中で場所の関係者が発する卓番に関する音声を検知する。推定部150は、卓番に関する音声から場所の満空を推定する。
【0102】
これにより、例えば店舗の店員の発した卓番に関する発言に基づいて店舗の満空を推定することができる。
【0103】
また、音声検知部140は、上記場所の中で場所への来訪者が発する音声を検知する。推定部150は、来訪者が発する音声から場所の満空を推定する。
【0104】
これにより、例えば店舗の来店者(客)の発言を検知して店舗の満空を推定することができる。
【0105】
〔7.ハードウェア構成〕
また、上述した実施形態に係る端末装置10や情報提供装置100は、例えば
図7に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。以下、情報提供装置100を例に挙げて説明する。
図7は、ハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置1040、二次記憶装置1050、出力I/F(Interface)1060、入力I/F1070、ネットワークI/F1080がバス1090により接続された形態を有する。
【0106】
演算装置1030は、一次記憶装置1040や二次記憶装置1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。演算装置1030は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等により実現される。
【0107】
一次記憶装置1040は、RAM(Random Access Memory)等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するメモリ装置である。また、二次記憶装置1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。二次記憶装置1050は、内蔵ストレージであってもよいし、外付けストレージであってもよい。また、二次記憶装置1050は、USBメモリやSD(Secure Digital)メモリカード等の取り外し可能な記憶媒体であってもよい。また、二次記憶装置1050は、クラウドストレージ(オンラインストレージ)やNAS(Network Attached Storage)、ファイルサーバ等であってもよい。
【0108】
出力I/F1060は、ディスプレイ、プロジェクタ、及びプリンタ等といった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインターフェイスであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現される。また、入力I/F1070は、マウス、キーボード、キーパッド、ボタン、及びスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインターフェイスであり、例えば、USB等により実現される。
【0109】
また、出力I/F1060及び入力I/F1070はそれぞれ出力装置1010及び入力装置1020と無線で接続してもよい。すなわち、出力装置1010及び入力装置1020は、ワイヤレス機器であってもよい。
【0110】
また、出力装置1010及び入力装置1020は、タッチパネルのように一体化していてもよい。この場合、出力I/F1060及び入力I/F1070も、入出力I/Fとして一体化していてもよい。
【0111】
なお、入力装置1020は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、又は半導体メモリ等から情報を読み出す装置であってもよい。
【0112】
ネットワークI/F1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0113】
演算装置1030は、出力I/F1060や入力I/F1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行う。例えば、演算装置1030は、入力装置1020や二次記憶装置1050からプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
【0114】
例えば、コンピュータ1000が情報提供装置100として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部130の機能を実現する。また、コンピュータ1000の演算装置1030は、ネットワークI/F1080を介して他の機器から取得したプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行してもよい。また、コンピュータ1000の演算装置1030は、ネットワークI/F1080を介して他の機器と連携し、プログラムの機能やデータ等を他の機器の他のプログラムから呼び出して利用してもよい。
【0115】
〔8.その他〕
以上、本願の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0116】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0117】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0118】
例えば、上述した情報提供装置100は、複数のサーバコンピュータで実現してもよく、また、機能によっては外部のプラットホーム等をAPI(Application Programming Interface)やネットワークコンピューティング等で呼び出して実現するなど、構成は柔軟に変更できる。
【0119】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0120】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0121】
1 情報処理システム
10 端末装置
100 情報提供装置
110 通信部
120 記憶部
121 店舗情報データベース
122 満空情報データベース
130 制御部
131 取得部
132 検出部
133 集計部
134 判定部
135 学習部
136 提供部
140 音声検知部
150 推定部