(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】携帯型分子診断デバイスおよび標的ウイルスの検出方法
(51)【国際特許分類】
C12M 1/34 20060101AFI20230307BHJP
C12Q 1/68 20180101ALI20230307BHJP
C12Q 1/6844 20180101ALI20230307BHJP
C12N 15/09 20060101ALN20230307BHJP
【FI】
C12M1/34 B
C12Q1/68
C12Q1/6844 Z
C12Q1/6844
C12N15/09 Z
(21)【出願番号】P 2020518677
(86)(22)【出願日】2018-11-09
(86)【国際出願番号】 US2018060117
(87)【国際公開番号】W WO2019094784
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-11-08
(32)【優先日】2017-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517200212
【氏名又は名称】ビスビュー メディカル,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】アンドレーエフ,ボリス
(72)【発明者】
【氏名】ブリオネス,ビクター
(72)【発明者】
【氏名】セナ,ライアン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】デ ラ ゼルダ,アダム
(72)【発明者】
【氏名】ケリー,コリン
(72)【発明者】
【氏名】ローニー,グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】スクールニク,ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】スウェンソン,デイビッド
【審査官】小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0259263(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0310948(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12Q 1/00- 3/00
C12M 1/00- 3/10
C12N 15/00-15/90
G01N 33/48-33/98
G01N 35/00-37/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子診断試験デバイスを使用して核酸を検出する方法であって、
前記分子診断試験デバイス内の試料調製モジュール内に試料投入開口部を介して生体試料を移すことと、
前記分子診断試験デバイスに連結された蓋で前記試料投入開口部を被覆することであって、前記蓋がスイッチ部分を含み、前記試料投入開口部を前記被覆することが、前記スイッチ部分を移動させて、前記分子診断試験デバイス内の電子制御モジュールのスイッチを作動させることを含む、被覆することと、
前記分子診断試験デバイスを、前記試料投入開口部を前記蓋で被覆する単一の動作のみによって作動させて、前記作動させることが前記分子診断試験デバイスに、
A)前記試料調製モジュール内で投入試料を生成すること、
B)前記投入試料を前記分子診断試験デバイス内の増幅モジュールに移すことであって、前記増幅モジュールが、加熱器を含み、かつ反応体積を画定する、移すこと、
C)前記スイッチの作動に応じて、前記加熱器に電力を供給して、前記反応体積内の前記投入試料を加熱して、前記投入試料中の前記核酸を増幅させ、それによって、標的アンプリコンを含む増幅物溶液を生成すること、ならびに
D)前記分子診断試験デバイス内の検出モジュール内で、(i)前記増幅物溶液、および(ii)前記増幅物溶液中の前記標的アンプリコンの存在を示す信号を生成するように配合された試薬の各々を反応させることを行わせることと、
前記信号に関連付けられている結果を読み取ることと、を含む、方法。
【請求項2】
前記分子診断試験デバイスを電力源に連結することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記蓋を閉鎖する前記単一の動作が、A)前記試料投入開口部上に前記蓋のカバー部分を移動させることと、B)前記電力源から前記加熱器に電力を供給するように前記スイッチを作動させることと、C)前記分子診断試験デバイス内の封止された試薬容器から前記試薬を放出することと、を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
分子診断試験デバイスを使用して核酸を検出する方法であって、
前記分子診断試験デバイスを電力源に連結することと、
前記分子診断試験デバイス内の試料調製モジュールによって画定される試料投入体積内に試料投入開口部を介して生体試料を移すことと、
前記試料投入開口部を中心として蓋を閉鎖位置に配置するように前記蓋を操作することであって、前記蓋のカバー部分は、前記蓋が前記閉鎖位置にあるときに前記試料投入開口部を被覆し、前記蓋のスイッチ部分は、前記蓋が前記閉鎖位置へと移動されることに応じて、前記分子診断試験デバイス内のスイッチを作動させる、操作することと、
前記蓋を操作することのみに応じて、前記分子診断試験デバイスに、
A)前記スイッチが作動された後に、加熱器に電力を供給して、前記生体試料を逆転写温度範囲内の第1の温度に加熱して、相補的デオキシリボ核酸(cDNA)を生成すること、
B)前記分子診断試験デバイス内
の反応体積内の前記生体試料を加熱して、前記cDNAを増幅し、それによって、標的アンプリコンを含む検出溶液を生成すること、ならびに
C)(i)前記検出溶液、および(ii)前記検出溶液中の前記標的アンプリコンの存在を示す信号を生成するように配合された試薬の各々を反応させることを行わせることを行わせることと、
前記信号に関連付けられている結果を読み取ることと、
前記読み取ることの後に、前記分子診断試験デバイスを廃棄することと、を含む、方法。
【請求項5】
前記蓋を操作することの後に、前記蓋の係止部分が不可逆的に係合されて、前記試料投入開口部を開放することを防止する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記分子診断試験デバイスが制御モジュールを含み、前記制御モジュールが、前記スイッチおよびプロセッサを含み、前記プロセッサが、前記分子診断試験デバイスの前記加熱器への電力の伝送を制御するように構成されている、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記蓋を操作することが、前記試料投入開口部を中心に前記蓋を押し下げることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記生体試料が前記反応体積内で加熱され、前記cDNAを等温増幅プロセスにより増幅する、請求項
4~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記分子診断試験デバイスが、独立型分子診断試験デバイスであり、前記検出する方法が、いかなる外部器具も伴わずに実施される、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内の試料調製モジュールであって、前記試料調製モジュールが、加熱器および試料調製ハウジングを含み、前記試料調製ハウジングが、投入開口部を介して未処理の生体試料を受容する試料投入体積を画定し、前記試料調製ハウジングが、前記試料投入体積と流体連通している流動チャネルを画定し、前記加熱器が、前記未処理の生体試料が前記流動チャネルを通って流動する際に前記未処理の生体試料を加熱して、A)前記未処理の生体試料内の標的ウイルスからRNAを抽出し、B)cDNAを含む逆転写溶液生成するように構成されている、試料調製モジュールと、
前記ハウジング内の増幅モジュールであって、前記増幅モジュールが、前記試料調製モジュールからの前記逆転写溶液を受容するように構成されており、前記増幅モジュールが、前記逆転写溶液を加熱して、前記逆転写溶液内の前記cDNAを増幅して、標的アンプリコンを含む検出溶液を生成するように構成されている、増幅モジュールと、
前記ハウジング内の試薬モジュールであって、前記試薬モジュールが、前記標的アンプリコンの存在を示す信号の生成を容易にするように配合された検出試薬を含む試薬容器を含む、試薬モジュールと、
前記検出溶液から前記標的アンプリコンを捕捉するように構成された検出表面を含む検出モジュールであって、前記検出モジュールは、前記信号が、前記検出試薬が前記検出モジュール内に移されていることに応じて生成されるように、前記試薬モジュールと流体連通している、検出モジュールと、
前記ハウジングに移動可能に連結された蓋であって、前記蓋が、カバー部分、スイッチ部分、および試薬アクチュエータを含み、前記蓋が、第1の蓋位置と第2の蓋位置との間で前記ハウジングに対して移動するように構成され、前記投入開口部は、前記蓋が前記第1の蓋位置にあるときに露出され、前記蓋の前記カバー部分は、前記蓋が前記第2の蓋位置にあるときに前記投入開口部を被覆し、前記スイッチ部分は、前記蓋が前記第1の蓋位置から前記第2の蓋位置に移動されることに応じて、スイッチを作動させ、前記加熱器に電力を供給するように構成されており、前記試薬アクチュエータは、前記蓋が前記第1の蓋位置から前記第2の蓋位置に移動されることに応じて、前記試薬容器から前記検出試薬を放出させるように構成されている、蓋と、を備える、装置。
【請求項11】
前記加熱器がプリント回路基板上に構築され、前記プリント回路基板が、前記試料投入体積を蛇行流動チャネルから熱的に隔離するスロットを画定する、請求項
10に記載の装置。
【請求項12】
装置であって、
ハウジングと、
前記ハウジング内の試料調製モジュールであって、前記試料調製モジュールが、加熱器および試料調製ハウジングを含み、前記試料調製ハウジングが、投入開口部と、前記投入開口部を介して未処理の生体試料を受容する試料投入体積と、前記試料投入体積と流体連通している流動チャネルとを画定し、前記加熱器が、前記未処理の生体試料が前記流動チャネルを通って流動する際に前記未処理の生体試料を加熱して、A)前記未処理の生体試料内の標的ウイルスからRNAを抽出し、B)cDNAを含む逆転写溶液生成するように構成されている、試料調製モジュールと、
前記ハウジング内の増幅モジュールであって、前記増幅モジュールが、前記試料調製モジュールからの前記逆転写溶液を受容するように構成されており、前記増幅モジュールが、前記逆転写溶液を加熱して、前記逆転写溶液内の前記cDNAを増幅して、標的アンプリコンを含む検出溶液を生成するように構成されている、増幅モジュールと、
前記ハウジング内の検出モジュールであって、前記検出モジュールが、前記増幅モジュールからの前記検出溶液を受容するように、かつ前記検出溶液内の前記標的アンプリコンを検出試薬と反応させて、前記標的アンプリコンの存在を示す信号を生成するように構成された検出チャネルを画定する、検出モジュールと、
前記ハウジングに移動可能に連結された蓋であって、前記蓋が、カバー部分およびスイッチ部分を含み、前記蓋が、第1の蓋位置と第2の蓋位置との間で前記ハウジングに対して移動するように構成され、前記投入開口部は、前記蓋が前記第1の蓋位置にあるときに露出され、前記蓋の前記カバー部分は、前記蓋が前記第2の蓋位置にあるときに前記投入開口部を被覆し、前記スイッチ部分は、前記蓋が前記第1の蓋位置から前記第2の蓋位置に移動されることに応じて、スイッチを作動させ、前記加熱器に電力を供給するように構成されている、蓋と、を備える、装置。
【請求項13】
前記蓋の係止部分が、前記ハウジングに不可逆的に係合して、前記蓋が前記第2の蓋位置から前記第1の蓋位置に向けて戻ることを防止するように構成されている、請求項
12に記載の装置。
【請求項14】
前記ハウジング内に配設された流体ポンプであって、前記流体ポンプが、前記増幅モジュール内で前記逆転写溶液の投入流動を生成するように構成されている、流体ポンプと、
前記ハウジング内の制御モジュールであって、前記制御モジュールが、前記スイッチおよびプロセッサを含み、前記スイッチは、前記蓋が前記第1の蓋位置から前記第2の蓋位置に移動することに応じて、前記プロセッサに電力を供給し、前記プロセッサが、前記増幅モジュール内の前記逆転写溶液の前記投入流動の速度を制御するために、前記流体ポンプへの電力投入を規制するように構成されている、制御モジュールと、をさらに備える、請求項
12に記載の装置。
【請求項15】
前記ハウジング内の試薬モジュールであって、前記試薬モジュールが前記検出試薬を含み、前記蓋が、前記蓋が前記第1の蓋位置から前記第2の蓋位置に移動されることに応じて、前記試薬モジュールから前記検出試薬を放出させるように構成されている試薬アクチュエータを含む、試薬モジュール、をさらに備える請求項
12に記載の装置。
【請求項16】
前記ハウジング内の制御モジュールであって、前記制御モジュールが、前記スイッチおよびプロセッサを含み、前記プロセッサが、前記加熱器への電力の伝送を制御するように構成されており、前記蓋の前記スイッチ部分がスイッチ突出部を含む、制御モジュール、をさらに備える、請求項
12に記載の装置。
【請求項17】
前記試料投入体積が、前記試料投入体積内の未処理の生体試料に溶解するように配合された固体形態の逆転写酵素を含む、請求項
10~
16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記試料投入体積が、リボヌクレアーゼ阻害剤を欠いている、請求項
10~
16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記試料調製モジュールが、前記抽出されたRNAを精製するためのフィルタまたは捕捉機構のいずれかを欠いている、請求項
10~
16のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年11月9日に出願され、「Portable Molecular Diagnostic Test Device with Reverse Transcription Module」と題される、米国特許仮出願第62/583,789号、および2017年12月5日に出願され、「Portable Molecular Diagnostic Test Device and Methods for the Detection of Target Viruses」と題される、米国特許仮出願第62/594,905号に対する優先権の利益を主張するものであり、これらの各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載される実施形態は、分子診断試験のためのデバイスおよび方法に関する。より具体的には、本明細書に記載される実施形態は、逆転写能力を含む分子診断試験のための使い捨ての自己完結型デバイスおよび方法に関する。
【0003】
米国内では毎年10億を超える感染症が存在し、それらのうちの大半は、不正確な診断結果または診断結果の遅れに起因して、誤って治療される。多くの既知のポイントオブケア(POC)試験が、乏しい感度(30~70%)を有する一方で、核酸の特異的検出を伴う試験または病原体標的に関連付けられている分子試験などのより感度の高い試験は、研究室でしか利用可能ではない。したがって、分子診断試験は、多くの場合、集中型研究室で実施されている。しかしながら、研究室に基づく分子診断試験を実施するための既知のデバイスおよび方法は、訓練された人材、規制されたインフラストラクチャ、および高価なハイスループット器具類を必要とする。既知のハイスループット研究室設備は、一般に、多く(96~384以上)の試料を一度に処理するため、集中研究室試験は、多くの場合、数回に分けて行われる。試験資料を処理するための既知の方法は、典型的には、1回の大規模な稼働で、ある時間期間(例えば、1日)に収集された全ての試料を処理することを含み、その結果、試料が収集された後に、数時間から数日間のターンアラウンドタイムが生じる。さらに、そのような既知の器具類および方法は、試薬を添加し、処理を監視し、かつステップごとに試料を移動させる熟練技術者の指導下で、ある特定の動作を実施するように設計されている。したがって、既知の研究室試験および方法は、非常に正確であるが、それらは多くの場合、かなりの時間およびかなりの費用を要する。
【0004】
いくつかの既知の研究室に基づく分子診断検査方法および設備は、柔軟性(例えば、複数の異なる適応症に対する試験能力)を提供するが、そのような方法および設備は、ポイントオブケア(「POC」)の使用または訓練を受けていない使用者による家庭内での使用に容易に適応可能ではない。具体的には、そのような既知のデバイスおよび方法は、使用が複雑であり、高価で精緻な構成要素を含む。したがって、そのような既知の研究室に基づく方法およびデバイスを分散型設定(例えば、POCまたは家庭内使用)で使用すると、誤用の増加をもたらし、不正確な結果または安全性の懸念につながる可能性が高い。例えば、多くの既知の研究室に基づくシステムは、精緻な光学系およびレーザ光源を含んでおり、訓練を受けていない使用者に安全上の危険をもたらす可能性がある。いくつかの既知のシステムはまた、使用者が試薬を取り扱うか、または試薬にさらされることを必要とする場合があり、これは訓練を受けていないにとって安全上の危険となり得る。例えば、いくつかの既知のシステムは、比較的大量の試薬を使用し、かつ/または(例えば、器具内での)試薬の補充を必要とする。これらの既知のシステムはまた、分散型使用には適していないことに加えて、長期の保管および輸送にも適していない。例えば、軍事用途のためのアッセイの備蓄を可能にするために、CDC戦略的国家備蓄プログラムの一環として、または他の緊急事態への備えのためのイニシアチブとして、長期保管が望ましい場合がある。
【0005】
さらに、多くの既知の研究室に基づくシステムによって提供される柔軟性のため、そのようなシステムは、訓練を受けていない使用者が、適切な順序に従わずに特定の動作を完了することを防止するロックアウトまたは機構を含まない。例えば、多くの既知のシステムおよび方法は、標的核酸を保存するための試料調製試薬の濾過、洗浄、溶解、および添加などのいくつかの別個の試料調製動作を含む。そのような動作が所定の順序で、および/または所定の時間制限内で実施されない場合、試験の精度が低下する可能性がある。いくつかの既知のシステムは、分析を「クリーンな」試料のみに限定することによって、試料調製に関連付けられている複雑さを制限することを試みている。その結果、詳細な試料調製を依然として上流のプロセスで実施する必要があるため、このようなシステムは、真のエンドツーエンドの分子診断方法を可能にしない。
【0006】
最近の技術の進歩により、「ラボオンチップ」デバイスの開発が可能になったが、そのようなデバイスは、多くの場合、ポイントオブケア試験または家庭内使用には最適化されていない。例えば、いくつかの既知のデバイスおよび方法は、試験カートリッジとインターフェースするために高価または複雑な器具を必要とし、したがって、誤用可能性を増加させる。さらに、多くの既知の「ラボオンチップ」デバイスは、非常に小さい体積の試料(例えば、1マイクロリットル未満)を増幅するため、複数の異なる適応症(の分析例えば、3プレックスまたは4プレックス試験)には適していない。さらに、このような少量の試料体積を生成するデバイスは、多くの場合、フォトセル、電荷結合デバイス(CCDカメラ)などを使用した光学検出を含み、というのも、試料体積が小さすぎると、肉眼またはあまり精緻化されていない(かつ高価な)検出器によって読み取ることができる増幅物を生成できないためである。
【0007】
いくつかの既知の分子診断システムおよび方法は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を実施することによって、ウイルス病原体の検出を容易にする。そのような方法は、ウイルスの隔離および検出に有用であるが、それらは複雑になる可能性があり、したがって、多くの既知のシステムおよび方法は、分散型および/またはポイントオブケア使用に適さないものになる。例えば、いくつかの既知のRT-PCR法は、リボヌクレアーゼ(RNase)による迅速な分解から標的RNAを隔離および保護するための追加のステップを含む。このような方法を実施するときの不整合は、RNA分解のばらつきに起因して、不正確な結果につながる可能性がある。したがって、訓練を受けていない使用者による使用に適していない既知のRT-PCRデバイスおよび方法。
【0008】
HIVなどのウイルスを検出するためのいくつかの既知の方法は、感染に応じて体内で生成される抗体を検出することを含む。このような抗体ベースの試験は、このような試験が、最初の感染から数週間、血清陰性期の間は陰性であるため、急性および早期のHIV感染者の識別には効果的ではない場合がある。さらに、多くの既知の診断試験は、最初の診断を決定するために1回で実施されるが、いくつかの治療レジメンは、治療レジメンの反応を評価するために試験を繰り返すことを含む。例えば、HIVと診断された多くの人々は抗レトロウイルス(ARV)療法を受けている。多くの場合、ARVレジメンは血中のHIVウイルス負荷を検出不可能なレベルまで低下させるが、一部の患者は、アドヒアランス、薬剤耐性の発達、および毒性の問題に起因して、ウイルス負荷レベルのリバウンドを経験する。したがって、ARVレジメンはまた、ウイルス負荷試験を繰り返すことも含む。
【0009】
したがって、分子診断試験のための改良されたデバイスおよび方法に対する必要性が存在する。特に、長期保管に適した改良されたデバイスおよび方法の必要性が存在する。また、使用が容易で、最小限の使用者入力で実施できる改良されたデバイスおよび方法の必要性も存在する。また、広範囲の試料(例えば、尿、唾液、および血液などの生試料)を受容することができる改良されたデバイスおよび方法の必要性も存在する。逆転写モジュールを含むか、または別の方法で標的RNAの検出を可能にする改良されたデバイスおよび方法の必要性も存在する。
【発明の概要】
【0010】
試料中の核酸を増幅し、試料中の標的分子(例えば、DNAまたはRNA)の指標を生成するための分子診断試験デバイスが本明細書に記載される。いくつかの実施形態では、標的分子を検出する方法は、「ワンステップ」またはデバイスの「単一のボタン」作動を含む。例えば、いくつかの実施形態では、方法は、分子診断試験デバイスを電力源に連結することを含む。生体試料は、分子診断試験デバイス内の試料調製モジュール内に投入開口部を介して移される。次いで、分子診断試験デバイスは、単一の動作のみによって、さらなる使用者の動作を伴わずに、分子診断試験デバイスに以下の機能を実施させるように作動される。第1に、デバイスは、試料調製モジュールの加熱器を介して生体試料を加熱し、生体試料の一部分を溶解して、投入試料を生成する。第2に、デバイスは、分子診断試験デバイス内の増幅モジュールに投入試料を移す。次いで、デバイスは、増幅モジュールの反応体積内で投入試料を加熱して、投入試料中の核酸分子を増幅し、それによって、標的アンプリコンを含む増幅物溶液を生成する。次いで、デバイスは、分子診断試験デバイスの検出モジュール内で、(i)増幅物溶液、および(ii)増幅物溶液中の標的アンプリコンの存在を示す信号を生成するように配合された試薬の各々を反応させる。検出モジュールは、標的アンプリコンを捕捉して、信号を生成するように構成された検出表面を含む。次いで、信号に関連付けられている結果が読み取られる。
【0011】
いくつかの実施形態では、分子診断試験デバイスおよび関連する方法は、表面遮断機能と洗浄機能との両方を実施するための多目的試薬(緩衝液とも呼ばれる)を使用することを含む。このようにして、試薬の量およびデバイスの簡便性を向上させることができ、それによって、ポイントオブケア使用、デバイスの使い捨て、および/またはCLIAが免除された方法に従うデバイスの動作が容易になる。具体的には、いくつかの実施形態では、多目的試薬は、検出イベント中に付着の望ましくない粒子に関連付けられているバックグラウンド信号を低減するための遮断剤を含み得る。信号品質を向上させることによって、そのようなデバイスおよび方法は、制限された試料調製での使用に適応され得る。さらに、多目的試薬は、結合していない成分を検出モジュール内から除去する洗浄剤を含み得る。そのような方法は、試薬の所望の機能に従って、異なる時間に多目的試薬の量を送達することを含み得る。
【0012】
例えば、いくつかの実施形態では、分子診断試験デバイスを使用して核酸を検出する方法は、第1の時間に分子診断試験デバイス内の試薬モジュールから分子診断試験デバイス内の検出モジュールに、第1の試薬溶液の第1の体積を移すことを含む。検出モジュールは、核酸に関連付けられている標的アンプリコンを捕捉するように構成された検出表面を含む。第1の試薬溶液は、遮断剤および洗浄緩衝液を含む。第1の試薬溶液の第1の体積は、検出モジュール内の表面に吸着するのに十分な量の遮断溶液を含む。標的アンプリコンを含む試料溶液は、標的アンプリコンが検出表面上に捕捉されるように、第2の時間に検出モジュール内に移される。第2の時間の後に、第2の試薬溶液が検出モジュール内に移される。第2の試薬溶液は、生成される試料溶液内の標的アンプリコンの存在を示す信号を引き起こすように配合される。この方法は、第2の時間の後に、検出モジュール内に第1の試薬溶液の第2の体積を移すことをさらに含む。第1の試薬溶液の第2の体積は、検出モジュールからの試料溶液または第2の試薬溶液のうちの少なくとも1つから、結合していない成分を除去するのに十分な量の洗浄緩衝液を収容する。
【0013】
いくつかの実施形態では、方法は、生試料を溶解することと、同じ環境において、溶解された試料の逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施することと、を含む。別の言い方をすれば、いくつかの実施形態では、デバイスは、生試料を溶解し、単一のチャンバで高速RT-PCRを実施することを含む方法を容易にするために、単一の溶解/RT-PCRモジュールを含む。そのような方法は、溶解後の標的RNAの分解を制限し、それによって、正確な結果を生み出す方法で実施され得る。したがって、そのような方法は、CLIAが免除されたポイントオブケアデバイスによって実施されるのに適している。
【0014】
例えば、いくつかの実施形態では、核酸を検出する方法は、試料調製モジュール内で、逆転写酵素を生体試料と混合して、逆転写溶液を形成することを含む。逆転写溶液は、試料調製モジュール内で、溶解温度範囲内の第1の温度に加熱されて、リボ核酸(RNA)分子を放出する。同じ試料調製モジュール内で、逆転写溶液は、逆転写温度範囲内の第2の温度に加熱されて、相補的デオキシリボ核酸(cDNA)分子を生成する。次いで、逆転写溶液は、同じ試料調製モジュール内で、不活性化温度を上回る第3の温度に加熱されて、逆転写酵素の不活性化を引き起こす。方法は、逆転写溶液を増幅モジュールに移すことをさらに含み、そこで、cDNAは、後の検出のために増幅され得る。
【0015】
いくつかの実施形態では、使い捨ての分子診断試験デバイスを使用して、標的RNA分子を検出する方法は、使い捨ての分子診断試験デバイスのハウジング内の逆転写モジュールに投入試料を移すことを含む。投入試料は、逆転写モジュール内で加熱されて、標的RNA分子に関連付けられている標的cDNA分子を生成する。投入試料は、逆転写モジュールからハウジング内の増幅モジュールに移される。増幅モジュールは、反応体積を画定し、加熱器を含む。方法は、加熱器を介して反応体積のうちの少なくとも一部分内で投入試料を加熱して、投入試料内の標的cDNA分子を増幅し、それによって、標的アンプリコンを含む増幅物溶液を生成することをさらに含む。方法は、A)増幅物溶液、およびB)増幅物溶液中の標的アンプリコンの存在を示す信号を生成するように配合された試薬の各々を検出モジュール内に移すことをさらに含み、検出モジュールは、信号を生成するために標的アンプリコンを保持するように構成された検出表面を含む。投入試料のウイルス負荷が1ミリリットル当たり10コピーよりも大きいときに信号を生成する、使い捨ての分子診断試験デバイス。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1-3】一実施形態による、それぞれ、分子診断試験デバイスの第1の構成、第2の構成、および第3の構成にあるの概略図である。
【
図4】一実施形態による、単一の作動動作を含む核酸検出方法のフローチャートである。
【
図5-6】一実施形態による、それぞれ第1の構成および第2の構成にある、分子診断試験デバイスの概略図である。
【
図7】一実施形態による、核酸検出方法のフローチャートである。
【
図8-11】一実施形態による、それぞれ、第1の構成、第2の構成、第3の構成、および第4の構成にある、多目的試薬を使用する分子診断試験デバイスの概略図である。
【
図12】一実施形態による、多目的試薬を使用する核酸の検出方法のフローチャートである。
【
図13】一実施形態による、試薬を再利用することを含む、核酸を検出する方法のフローチャートである。
【
図14】信号の生成をもたらす、一実施形態による、酵素連結反応を示す図である。
【
図15】一実施形態による、分子診断試験デバイスの概略図である。
【
図16】一実施形態による、単一の溶解およびRT-PCRモジュールを含む分子診断試験デバイスの一部分の概略図である。
【
図17A-17C】実施形態による、様々な溶解およびRT-PCRの方法の温度対時間プロファイルを示すグラフである。
【
図18】一実施形態による、溶解およびRT-PCRを単一の環境で実施することを含む、核酸を検出する方法のフローチャートである。
【
図19】一実施形態による、分子診断試験デバイスの概略図である。
【
図20-21】それぞれ、一実施形態による、分子診断試験デバイスの斜視図および上面図である。
【
図24-25】
図20および
図21に示される分子診断試験デバイスの正面斜視図(
図24)および背面斜視図(
図25)であり、モジュールを示すためにハウジングが取り外されてしている。
【
図26】
図20および
図21に示される分子診断試験デバイスのハウジングアセンブリの分解斜視図である。
【
図27】
図20および
図21に示される分子診断試験デバイスの上側ハウジングの底面斜視図である。
【
図33-34】
図21の線X-Xに沿って取られた側面断面図であり、それぞれ、第1の(作動前)構成および第2の(作動後)の構成にある分子診断試験デバイスを示している。
【
図37-38】
図20および
図21に示される分子診断試験デバイスの試料調製(またはステージング)モジュールの斜視図(
図37)および上面図(
図38)である。
【
図41】
図37および
図38に示される試料調製モジュールの混合アセンブリの
図38の線X-Xに沿って取られた断面図である。
【
図42】
図20および
図21に示される分子診断試験デバイスの増幅モジュールの流動部材の上面図である。
【
図43】
図20および
図21に示される分子診断試験デバイスの検出モジュールの分解図である。
【
図46】
図20および
図21に示される分子診断試験デバイスの回転弁アセンブリの正面斜視図である。
【
図47-52】
図46に示される回転弁アセンブリの正面図であり、排出ハウジングが「透明」であり、6つの異なる動作構成の各々における弁円板を示している。
【
図53A-C】一実施形態による、
図20および21に示される分子診断デバイスの、動作の様々な段階における斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
いくつかの実施形態では、装置は、使い捨ての持ち運び可能な単回使用の安価な分子診断手段のために構成されている。装置は、試料調製、核酸増幅(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応または等温増幅などを介する)、および検出を含むが、これらに限定されない高品質の分子診断試験を実施するように構成された1つ以上のモジュールを含み得る。いくつかの実施形態では、試料調製は、標的病原体/実体を隔離し、望ましくない増幅(例えば、PCR)阻害剤を除去することによって行うことができる。続いて標的実体を溶解して、増幅のために標的核酸を放出させることができる。標的実体中の標的核酸は、温度サイクルを受けるポリメラーゼを用いて、または等温インキュベーションを介して増幅して、検出のためにより多数の標的核酸配列コピーを産出することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される装置は、本明細書に記載される分子診断試験のいずれかを実施するために必要な全ての物質、機構、およびサブアセンブリを含む独立型デバイスである。このような独立型デバイスは、生体試料を操作するためのいかなる外部器具を必要とせず、本明細書に記載される方法を完了するために、電力源への接続(例えば、A/C電力源への連結、電池への結合など)を必要とするだけである。例えば、本明細書に記載されるデバイスは、試料を加熱するため、試料を撹拌または混合するため、流動部材内の流体をポンプで送る(または移動する)ためなどの、いかなる外部器具も必要としない。むしろ、本明細書に記載される実施形態は完全に収容されており、生体試料を追加して電力源に連結されると、デバイスは、本明細書に記載される分子診断試験を実施するために作動され得る。いくつかの実施形態では、デバイスを作動させる方法は、デバイスがCLIAが免除されたデバイスであるようなものであり得、かつ/またはCLIAが免除された方法に従って動作し得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、標的分子を検出する方法は、「ワンステップ」またはデバイスの「単一のボタン」作動を含む。例えば、いくつかの実施形態では、方法は、分子診断試験デバイスを電力源に連結することを含む。生体試料は、分子診断試験デバイス内の試料調製モジュール内に投入開口部を介して移される。次いで、分子診断試験デバイスは、単一の動作のみによって、さらなる使用者の動作を伴わずに、分子診断試験デバイスに以下の機能を実施させるように作動される。第1に、デバイスは、試料調製モジュールの加熱器を介して生体試料を加熱し、生体試料の一部分を溶解して、投入試料を生成する。第2に、デバイスは、分子診断試験デバイス内の増幅モジュール内に投入試料を移す。次いで、デバイスは、増幅モジュールの反応体積内の投入試料を加熱して、投入試料中の核酸を増幅し、それによって、標的アンプリコンを含む増幅物溶液を生成する。次いで、デバイスは、分子診断試験デバイスの検出モジュール内で、(i)増幅物溶液、および(ii)増幅物溶液中の標的アンプリコンの存在を示す信号を生成するように配合された試薬の各々を反応させる。検出モジュールは、標的アンプリコンを捕捉して、信号を生成するように構成された検出表面を含む。次いで、信号に関連付けられている結果が読み取られる。
【0020】
いくつかの実施形態では、装置は、投入試料ポートを被覆すること、および蓋が閉鎖されたときにデバイスの1つ以上の機構を作動させることの両方のために機能する蓋(カバーとも呼ばれる)を含むことができる。このようにして、蓋を閉鎖する単一の動作はまた、デバイスの全ての側面を作動させ、したがって、デバイスの作動および方法を簡便化する。特に、いくつかの実施形態では、核酸を検出する方法は、分子診断試験デバイスを電力源に連結することと、分子診断試験デバイス内の試料調製モジュールに投入開口部を介して生体試料を移すことと、を含む。これらの動作の順序は重要ではない。デバイスを作動させるために、投入開口部は、分子診断試験デバイスに連結された蓋で被覆される。この被覆のみに応じて、デバイスは次いで、さらなる使用者動作を伴わずに、次の機能を実施する。第1に、デバイスは、試料調製モジュールの加熱器を介して生体試料を加熱し、生体試料の一部分を溶解して、投入試料を生成する。第2に、デバイスは、分子診断試験デバイス内の増幅モジュールに投入試料を移す。次いで、デバイスは、増幅モジュールの反応体積内で投入試料を加熱して、投入試料中の核酸を増幅し、それによって、標的アンプリコンを含む増幅物溶液を生成する。次いで、デバイスは、分子診断試験デバイスの検出モジュール内で、(i)増幅物溶液、および(ii)増幅物溶液中の標的アンプリコンの存在を示す信号を生成するように配合された試薬の各々を反応させる。検出モジュールは、標的アンプリコンを捕捉して、信号を生成するように構成された検出表面を含む。次いで、信号に関連付けられている結果が読み取られる。
【0021】
いくつかの実施形態では、装置は、ハウジングと、ハウジング内の試料調製モジュールと、ハウジング内の試薬モジュールと、検出モジュールと、ハウジングに移動可能に連結された蓋と、を含む。試料調製モジュールは、生体試料を受容する試料投入体積、および試料投入体積がアクセスされ得る投入開口部を画定する。試料調製モジュールは、生体試料を加熱して、投入溶液を生成するように構成された加熱器を含む。試薬モジュールは、投入溶液からの標的アンプリコンの存在を示す信号の生成を容易にするように配合された検出試薬を含む試薬容器を含む。検出試薬は、試薬容器内に封止される。封止部は、例えば、試薬の保管寿命を維持し、試薬の漏出を防止する箔封止部であってもよい。検出モジュールは、投入溶液から標的アンプリコンを捕捉するように構成された検出表面を含む。検出モジュールは、信号が試薬が検出モジュール内に移されていることに応じて信生成されるように、試薬モジュールと流体連通している。蓋は、封止部分と、スイッチ部分と、試薬アクチュエータと、を含む。蓋は、第1の蓋位置と第2の蓋位置との間でハウジングに対して移動する。蓋が第1の蓋位置にあるときに、投入開口部は露出され、蓋が第2の蓋位置にあるときに、蓋の封止部分は投入開口部を被覆する。蓋が第1の蓋位置から第2の蓋位置に移動したときに、A)スイッチ部分は、スイッチを作動させて、加熱器に電力を供給し、B)試薬アクチュエータは、封止された試薬容器から試薬を放出する。
【0022】
いくつかの実施形態では、装置は、試料調製モジュールからの投入溶液を受容するハウジング内の増幅モジュールをさらに含む。増幅モジュールは、投入溶液を加熱して、投入溶液内の核酸を増幅して、標的アンプリコンを含む検出溶液を生成するように構成されている。
【0023】
いくつかの実施形態では、蓋は、ハウジング、試料調製モジュール、または試薬モジュールのうちの少なくとも1つに不可逆的に係合して、第2の蓋位置に蓋を維持する係止部分を含む。このようにして、分子診断デバイスは不可逆的に使用されるように構成されている。同様に述べると、この配置により、デバイスの再使用、またはデバイスが作動した後に生体試料を補足する後続の試みが防止される。
【0024】
いくつかの実施形態では、試薬モジュールは、試薬ハウジングと、穿孔器と、を含む。試薬ハウジングは、穿孔器が試薬容器の一部分を貫通したときに、試薬が封止された試薬容器から放出される試薬リザーバを画定する。試薬アクチュエータは、蓋が第1の蓋位置から第2の蓋位置に移動されたときに、穿孔器に試薬容器の部分を貫通させる力を及ぼす突出部を含む。いくつかの実施形態では、装置は、穿孔器および/または試薬容器を、それらが離間された位置に維持するように構成された変形可能な支持部材を含む。変形可能な支持部材は、蓋が第2の位置に移動されたときに及ぼされる力に応じて、穿孔器および/または試薬容器を互いに接触するように移動するように変形するように構成されている。
【0025】
いくつかの実施形態では、装置は、分子診断デバイスのハウジングと、ハウジング内の試薬モジュールと、を含む。試薬モジュールは、試薬ハウジングと、内部に封止された試薬を収容する試薬容器と、穿孔器と、変形可能な支持部材と、を含む。試薬ハウジングは、穿孔器が試薬容器の一部分を貫通したときに、試薬が試薬容器から放出される試薬リザーバを画定する。変形可能な支持部材は、封止部分と、連結部分と、を含む。封止部分は、試薬リザーバを流体隔離するために試薬ハウジングに連結される。連結部分は、穿孔器または試薬容器のうちの少なくとも1つに連結される。変形可能な支持部材は、変形可能な支持部材に及ぼされる作動力に応じて、第1の構成から第2の構成に変形するように構成されている。変形可能な支持部材は、変形可能な支持部材が第1の構成にあるときに、穿孔器を試薬容器の部分から離間させて維持する。穿孔器は、変形可能な支持部材が第2の構成にあるときに、試薬容器の部分を貫通する。
【0026】
いくつかの実施形態では、試薬は第1の試薬または第2の試薬のうちの1つである。第1の試薬は、第1の試薬が検出モジュールに移されることに応じて、標的分子に結合するように配合され、第2の試薬は、第1の試薬によって触媒されるときに信号を生成するように配合される。第2の試薬は、例えば、第2の試薬が第1の試薬と接触したときに、不溶性着色粒子を生成するように配合された沈殿基質であり得る。
【0027】
いくつかの実施形態では、試薬は、第1の試薬であり、第1の試薬が検出モジュール内に移されていることに応じて、標的分子に結合するように配合された触媒試薬、または触媒試薬によって触媒されたときに、信号を生成するように配合された沈殿試薬のうちの1つである。試薬モジュールは、洗浄緩衝液および遮断緩衝液を収容する溶液を含む第2の試薬容器を含み、遮断緩衝液は、検出モジュール内の標的アンプリコンまたは他の分子の付着を低減するように配合されている。変形可能な支持部材の連結部分は、第2の穿孔器または第2の試薬容器のうちの少なくとも1つに連結される。変形可能な支持部材は、変形可能な支持部材が第1の構成にあるときに、第2の試薬容器から離間された第2の穿孔器を維持する。第2の穿孔器は、変形可能な支持部材が第2の構成にあるときに、第2の試薬容器を貫通する。
【0028】
いくつかの実施形態では、分子診断試験デバイスおよび関連する方法は、表面遮断機能と洗浄機能との両方を実施するための多目的試薬(緩衝液とも呼ばれる)を使用することを含む。このようにして、試薬の量およびデバイスの簡便性を向上させることができ、それによって、ポイントオブケア使用、デバイスの使い捨て、および/またはCLIAが免除された方法に従うデバイスの動作が容易になる。具体的には、いくつかの実施形態では、多目的試薬は、検出イベント中に付着の望ましくない粒子に関連付けられているバックグラウンド信号を低減するための遮断剤を含み得る。信号品質を向上させることによって、そのようなデバイスおよび方法は、制限された試料調製での使用に適応され得る。さらに、多目的試薬は、結合していない成分を検出モジュール内から除去する洗浄剤を含み得る。そのような方法は、試薬の所望の機能に従って、異なる時間に、多目的試薬の量を送達することを含み得る。
【0029】
例えば、いくつかの実施形態では、分子診断試験デバイスを使用して核酸を検出する方法は、第1の時間に分子診断試験デバイス内の試薬モジュールから分子診断試験デバイス内の検出モジュールに、第1の試薬溶液の第1の体積を移すことを含む。検出モジュールは、核酸に関連付けられている標的アンプリコンを捕捉するように構成された検出表面を含む。第1の試薬溶液は、遮断剤および洗浄緩衝液を含む。第1の試薬溶液の第1の体積は、検出モジュール内の表面に吸着するのに十分な量の遮断溶液を含む。標的アンプリコンを含む試料溶液は、標的アンプリコンが検出表面上に捕捉されるように、第2の時間に検出モジュール内に移される。第2の時間の後に、第2の試薬溶液が検出モジュール内に移される。第2の試薬溶液は、生成される試料溶液内の標的アンプリコンの存在を示す信号を引き起こすように配合される。この方法は、第2の時間の後に、検出モジュール内に第1の試薬溶液の第2の体積を移すことをさらに含む。第1の試薬溶液の第2の体積は、検出モジュールからの試料溶液または第2の試薬溶液のうちの少なくとも1つから、結合していない成分を除去するのに十分な量の洗浄緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、第1の試薬溶液は、0.02パーセント~5パーセントのウシ血清アルブミン、および0.05パーセント~10パーセントの界面活性剤を含む。
【0030】
いくつかの実施形態では、分子診断試験デバイスを使用した核酸の検出方法は、多目的試薬を再利用することを含む。具体的には、試薬を第1の時間に使用して遮断機能を実施することができ、次いで、検出モジュールを通じて移して、第2の時間に洗浄機能を実施することができる。この配置および方法により、分子診断試験デバイスに収容される試薬の量を減らすことができ、それによって、より効率的でより低いコストの単回使用の独立型デバイスを容易にすることができる。具体的には、いくつかの実施形態では、分子診断試験デバイスを使用して核酸を検出する方法は、分子診断試験デバイス内の試料調製モジュール内に投入開口部を介して生体試料を移すことを含む。次いで、デバイスが作動されて、デバイスに以下の機能を実施させる。第1に、デバイスは、分子診断試験デバイス内の試薬モジュールから、核酸に関連付けられている標的アンプリコンを捕捉するように構成された検出表面を含む検出モジュールに試薬溶液の第1の体積を移す。試薬溶液は、遮断剤と洗浄緩衝液を含み、遮断剤は検出モジュール内の表面に吸着するように配合される。次いで、デバイスは、試薬溶液の第1の体積を検出モジュールから移して、試薬モジュールに戻す。次に、核酸に関連付けられている標的アンプリコンを含む増幅物溶液が生体試料から生成される。これは、本明細書に記載される試料調製モジュールまたは増幅モジュールのいずれかを介して実施することができる。次いで、増幅物溶液は、標的アンプリコンが検出表面上に捕捉されるように、検出モジュール内に移される。次いで、デバイスは、試薬溶液の第2の体積を試薬モジュールから検出モジュール内に移して、検出モジュールから、増幅物溶液からの結合していない成分を除去する。次いで、検出表面上に捕捉された標的アンプリコンに関連付けられている結果が読み取られる。
【0031】
いくつかの実施形態では、方法は、生試料を溶解することと、同じ環境において、溶解された試料の逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施することと、を含む。別の言い方をすれば、いくつかの実施形態では、デバイスは、生試料を溶解し、単一のチャンバで高速RT-PCRを実施することを含む方法を容易にするために、単一の溶解/RT-PCRモジュールを含む。そのような方法は、溶解後の標的RNAの分解を制限し、それによって、正確な結果を生成する様式で実施され得る。したがって、そのような方法は、CLIAが免除されたポイントオブケアデバイスによって実施されるのに適している。
【0032】
例えば、いくつかの実施形態では、核酸を検出する方法は、試料調製モジュール内で、逆転写酵素を生体試料と混合して、逆転写溶液を形成することを含む。逆転写溶液は、試料調製モジュール内で、溶解温度範囲内の第1の温度に加熱されて、リボ核酸(RNA)分子を放出する。逆転写溶液は、同じ試料調製モジュール内で、逆転写温度範囲内の第2の温度に加熱されて、相補的デオキシリボ核酸(cDNA)分子を生成する。次いで、逆転写溶液は、同じ試料調製モジュール内で、不活性化温度を上回る第3の温度に加熱されて、逆転写酵素の不活性化を引き起こす。方法は、逆転写溶液を増幅モジュールに移すことをさらに含み、そこで、cDNAは、後の検出のために増幅され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、核酸を検出する方法は、試料調製モジュール内で、逆転写酵素を生体試料と混合して、逆転写溶液を形成することを含む。逆転写溶液は、試料調製モジュール内で溶解温度範囲内の第1の温度に加熱されて、リボ核酸(RNA)分子を放出する。同じ試料調製モジュール内で、逆転写溶液は、逆転写温度範囲内の第2の温度に加熱されて、相補的デオキシリボ核酸(cDNA)分子を生成する。第1の温度への加熱および第2の温度への加熱は、RNA分子が放出されたときから1秒未満でcDNAが生成されるように、連続的に実施される。
【0034】
いくつかの実施形態では、使い捨ての分子診断試験デバイスを使用して、標的RNA分子を検出する方法は、使い捨ての分子診断試験デバイスのハウジング内の逆転写モジュールに投入試料を移すことを含む。投入試料は、逆転写モジュール内で加熱されて、標的RNA分子に関連付けられている標的cDNA分子を生成する。投入試料は、逆転写モジュールからハウジング内の増幅モジュールに移される。増幅モジュールは、反応体積を画定し、加熱器を含む。方法は、加熱器を介して反応体積のうちの少なくとも一部分内で投入試料を加熱して、投入試料内の標的cDNA分子を増幅し、それによって、標的アンプリコンを含む増幅物溶液を生成することをさらに含む。方法は、A)増幅物溶液、およびB)増幅物溶液中の標的アンプリコンの存在を示す信号を生成するように配合された試薬の各々を検出モジュール内に移すことをさらに含み、検出モジュールは、信号を生成するために標的アンプリコンを保持するように構成された検出表面を含む。使い捨ての分子診断試験デバイスは、投入試料のウイルス負荷が1ミリリットル当たり1000コピーよりも大きいときに、信号を生成する。他の実施形態では、使い捨ての分子診断試験デバイスは、投入試料のウイルス負荷が1ミリリットル当たり100コピーよりも大きいときに、信号を生成し得る。さらに他の実施形態では、使い捨ての分子診断試験デバイスは、投入試料のウイルス負荷が1ミリリットル当たり10コピーよりも大きいときに、信号を生成することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、装置は、ハウジングと、試料調製モジュールと、逆転写モジュールと、増幅モジュールと、を含み、各モジュールは、ハウジング内にある。試料調製モジュールは、血液試料を受容するように構成された投入リザーバを画定する。試料調製モジュールは、血液試料から血漿試料を分離するように構成されており、血漿試料は標的RNA分子を含む。逆転写モジュールは、血漿試料を加熱して、標的RNA分子に関連付けられている標的cDNA分子を生成し、それによって、増幅溶液を生成するように構成されている。増幅モジュールは、流動部材と、加熱器と、を含む。流動部材は、増幅溶液を受容するように構成された反応体積を画定する。加熱器は、熱エネルギーを反応体積内に移して、増幅溶液内の標的cDNA分子を増幅して、標的アンプリコンを含む増幅物を生成するように構成されている。
【0036】
いくつかの実施形態では、分子診断試験デバイスを使用して、標的RNA分子を検出する方法は、まず、使い捨ての分子診断試験デバイス内の試料調製モジュール内に生体試料を移すことを含む。次いで、デバイスが作動されて、デバイスに以下の機能を実施させる。デバイスは、試料調製モジュールの逆転写部分内の生体試料を加熱して、標的RNA分子に関連付けられている標的cDNA分子を生成し、それによって、増幅試料を生成する。標的cDNAは、標的cDNA分子の複数の標的配列に関連付けられているプライマー組成物と混合される。次いで、増幅試料は、デバイス内の増幅モジュールに移され、次いで加熱されて、増幅試料内の標的cDNA分子の複数の標的配列の各々を増幅し、それによって、複数の標的アンプリコンを含む増幅物溶液を生成する。次いで、デバイスは、検出モジュール内に、A)増幅物溶液、およびB)増幅物溶液中の標的アンプリコンの存在を示す信号を生成するように配合された試薬の各々を移す。単一の領域内に複数の標的アンプリコンを保持して信号を生成するように構成された検出表面を含む検出モジュール。方法は、検出表面から信号を読み取ることをさらに含む。
【0037】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用されるように、「試薬」という用語は、本明細書に記載される反応のいずれかに関連して使用される任意の物質を含む。例えば、試薬は、溶出緩衝液、PCR試薬、酵素、基質、洗浄溶液、遮断溶液などを含み得る。試薬は、1つ以上の成分の混合物を含み得る。試薬は、それらの物質の状態(例えば、固体、液体、または気体)にかかわらず、そのような成分を含み得る。さらに、試薬は、混合された状態、混合されていない状態および/または部分的に混合された状態の物質に含まれ得る複数の成分を含み得る。試薬は、活性成分と不活性成分との両方を含み得る。したがって、本明細書で使用される場合、試薬は、水、着色剤などのような非活性成分を含み得る。
【0038】
「核酸分子」、「核酸」または「ポリヌクレオチド」という用語は、本明細書で互換的に使用されてもよく、別段の指示がない限り、既知のアナログまたはその組み合わせを含む、デオキシリボ核酸(DNA)またはリボ核酸(RNA)を指してもよい。本明細書でプロファイリングされる核酸分子は、任意の核酸源から取得することができる。核酸分子は、一本鎖または二本鎖であり得る。場合によっては、核酸分子はDNAである。DNAは、ミトコンドリアDNA、相補的DNA(cDNA)、またはゲノムDNAであり得る。場合によっては、核酸分子は、ゲノムDNA(gDNA)である。DNAは、プラスミドDNA、コスミドDNA、細菌人工染色体(BAC)、または酵母人工染色体(YAC)であり得る。DNAは1つ以上の染色体に由来し得る。例えば、DNAがヒトに由来する場合、DNAは、染色体1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、X、またはYのうちの1つ以上に由来する。場合によっては、核酸分子はRNAであり、これらに限定されないが、mRNA、tRNA、snRNA、rRNA、レトロウイルス、小さな非コードRNA、microRNA、ポリソームRNA、プレmRNA、イントロンRNA、ウイルスRNA、無細胞RNA、およびそれらの断片を含み得る。非コードRNA、またはncRNAは、snoRNA、microRNA、siRNA、piRNA、および長いncRNAを含み得る。本明細書に記載されるデバイス、方法、および組成で使用するための核酸源は、核酸を含む試料であり得る。
【0039】
別段の指示がない限り、装置、診断装置、診断システム、診断試験、診断試験システム、試験ユニットという用語、およびそれらの変形は、互換的に使用され得る。
【0040】
本明細書に記載される方法は、本明細書に示され記載される診断デバイス、または各々が、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Devices and Methods for Molecular Diagnostic Testing」と題される、国際特許公開第WO2016/109691号、「Printed Circuit Board Heater for an Amplification Module」と題される、国際特許公開第WO2017/185067号、「Devices and Methods for Detection of Molecules Using a Flow Cell」と題される、国際特許公開第WO2018/005710号、「Devices and Methods for Nucleic Acid Extraction」 と題される、国際特許公開第WO2018/005870号など、任意の好適な分子診断デバイス上で実施することができる。
【0041】
図1~
図3は、一実施形態によれば、分子診断試験デバイス1000(「試験デバイス」または「デバイス」とも呼ばれる)の概略図である。試験デバイス1000は、本明細書に記載される方法のいずれかに従って、生体試料を操作して、標的細胞に関連付けられている1つ以上の出力信号を生成するように構成されている。いくつかの実施形態では、試験デバイス1000は、ポイントオブケア設定(例えば、診療所、薬局など)、分散型試験施設、または使用者の自宅での使用に適した一体化されたデバイスであり得る。同様に述べると、いくつかの実施形態では、後述されるデバイスのモジュールは、試験デバイスが、いかなる追加の器具、ドッキングステーションなども伴わずに完全に動作され得るように、単一のハウジング内に収容される。さらに、いくつかの実施形態では、デバイス1000は、デバイス1000が使用者の手で運ばれ、保持され、使用され、かつ/または操作され得るようなサイズ、形状、および/または重量を有し得る(すなわち、それは「手持ち式」デバイスであり得る)。いくつかの実施形態では、試験デバイス1000は、使い捨ての自己完結型デバイスであり得る。
【0042】
使用の容易さを促進するために、生体試料を投入し、デバイスを電力源に接続することに加えて、デバイス1000は、単一のステップまたは動作によって作動されるように構成されている。「単一のボタン」作動は、動作ステップの複雑さを低減し、それによって、デバイスおよび方法を訓練を受けていない使用者による使用に適したものにする。後述されるように、デバイスは、試料調製を引き起こすために、複数の異なるアクチュエータ(またはボタン)を操作する必要がなく、振盪または外部撹拌は必要がなく、複雑な「信号読み取り」ステップは必要がない。
【0043】
いくつかの実施形態では、デバイス1000(および本明細書に示され記載されるデバイスのいずれか)は、CLIA免除のデバイスであり得、かつ/またはCLIA免除の方法に従って動作し得る。同様に述べると、いくつかの実施形態では、デバイス1000(および本明細書に示され記載される他のデバイスのいずれか)は、十分に単純な様式で動作されるように構成され、誤用の限られた可能性をもたらし、かつ/または誤用可能性を制限し、かつ/または不適切に使用された場合に危害の危険を制限するのに十分な精度で結果を生成することができる。いくつかの実施形態では、デバイス1000(および本明細書に示され記載される他のデバイスのいずれか)は、使用者の判断をほとんど必要としない方法、および/または特定の動作ステップが容易にかつ/または自動的に制御される方法に従って、最低限の科学的訓練を受けた(または科学的訓練を受けていない)使用者によって動作され得る。いくつかの実施形態では、分子診断試験デバイス1000は、誤用(試薬(複数可)の腐敗、試薬(複数可)の有効期限切れ、試薬(複数可)の漏出など)の限定された可能性をもたらす様式で長期保管のために構成され得る。いくつかの実施形態では、分子診断試験デバイス1000は、最大約36か月、最大約32か月、最大約26か月、最大約24か月、最大約20か月、最大約18か月、最大12か月、最大6か月、またはこれらの間の任意の値の期間、保管されるように構成されている。
【0044】
試験デバイス1000は、アクチュエータ1050と、試料調製モジュール1200(試料ステージングモジュールとも呼ばれる)と、増幅モジュール1600と、検出モジュール1800と、ハウジング1001と、を含む。いくつかの実施形態では、試験デバイス1000は、内蔵型試薬を含む試薬モジュール(例えば、試薬モジュール6700)、回転弁(例えば、弁6300などの試薬および/または試料の流動を制御するためのもの)、または流体移送モジュール(例えば、流体移送モジュール6400)など、本明細書に記載される任意の他の構成要素またはモジュールを含み得る。ハウジング1001は、試料調製および/または分子試験のための一体化されたデバイスを形成するために、試料調製モジュール1200または他の構成要素が収容される(または部分的に収容される)任意の構造であり得る。ハウジング1001は、モノリシックに構成されたハウジングであり得、または後で一緒に接合されてハウジング1001を形成する複数の別々に構成された部材を含み得る。
図2に示されるように、ハウジングは、生体試料S1が試料調製モジュール1200に移され得る投入開口部1021を画定する。
【0045】
試料調製モジュール1200は、加熱器1230を含み、さらに診断試験のための生体試料S1を操作するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態では、試料調製モジュール1200は、生体試料S1から核酸分子を抽出することができ、増幅モジュール1600内に移される増幅物溶液S2(
図3を参照)を生成することができる。試料調製モジュール1200は、例えば、溶解のための加熱器、RT-PCRが実施され得るチャンバ、および/または不活性化チャンバ(例えば、溶解ハウジング6201を参照)などの、本明細書に記載される任意の他の構成要素を含み得る。
【0046】
増幅モジュール1600は、内部体積(例えば、反応チャンバまたは反応体積)を画定し、加熱器1630を含む。反応体積は、投入溶液S2(すなわち、生体試料S1からの抽出された核酸を含む溶液)が流動し、かつ/または、内部で標的核酸分子を増幅して、検出される標的アンプリコンを含む増幅物検出溶液S3を生成するように維持され得る、単一の体積または一連の体積であり得る。いくつかの実施形態では、反応体積は、流路が複数の位置で加熱器1630と交差するように湾曲した流路を含む。このようにして、増幅モジュール1600は、投入溶液S2が複数の異なる温度領域を通って流動する「環流」増幅反応を実施することができる。
【0047】
加熱器1630は、本明細書に記載されるように増幅動作のいずれかを実施するために、投入溶液S2を加熱できる任意の好適な加熱器または加熱器群であり得る。いくつかの実施形態では、加熱器1630は、調製された溶液が流動する複数の温度ゾーンを確立することができ、かつ/または所望の試験感度を確保するための所望の数の増幅サイクル(例えば、少なくとも30サイクル、少なくとも34サイクル、少なくとも36サイクル、少なくとも38サイクル、または少なくとも40サイクル)を定義することができる。加熱器1630(および本明細書に記載される任意の加熱器)は、任意の好適な設計であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、加熱器1630は、抵抗加熱器、熱電デバイス(例えば、ペルチェ素子)などであり得る。
【0048】
いくつかの実施形態では、増幅モジュール1600(または本明細書に記載される増幅モジュールのいずれか)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Printed Circuit Board Heater for an Amplification Module」と題される、米国特許公開第2017/0304829号に示され記載される増幅モジュールと同様であり得る。他の実施形態では、増幅モジュール1600(または本明細書に記載される増幅モジュールのいずれか)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Devices and Methods for Molecular Diagnostic Testing」と題される、国際特許公開番号WO2016/109691に示され記載される増幅モジュールと同様であり得る。増幅モジュール1600は、一般に、投入溶液S2上で熱サイクル動作を実施するように記載されているが、他の実施形態では、増幅モジュール1600(および本明細書に記載される増幅モジュールのいずれか)は、溶液中の核酸を増幅するために、任意の好適な熱反応を実施することができる。いくつかの実施形態では、増幅モジュール1600(および本明細書に記載される増幅モジュールのいずれか)は、例えば、ループ媒介等温増幅(LAMP)、標的RNA分子を検出するのに有用であり得る核酸配列ベース増幅(NASBA)、鎖置換増幅(SDA)、多重置換増幅(MDA)、分岐増幅法(RAM)、または任意の他のタイプの等温プロセスを含む、任意の好適なタイプの等温増幅プロセスを実施することができる。
【0049】
検出モジュール1800は、増幅モジュール1600からの増幅物溶液S3を1つ以上の試薬と反応させて、生体試料S1中の標的生物の存在の有無を示す信号(または増幅物)OP1を生成するように構成されている。具体的には、検出モジュール1800は、検出チャネルを画定し、検出チャネル内に検出表面1821を含む。検出チャネルは、増幅モジュール1600と流体連通している(またはその中に配置され得る)。このようにして、標的アンプリコンを含む増幅物溶液S3は、検出チャネル内に、かつ検出表面1821を横切って移され得る。さらに、
図3に示されるように、標的アンプリコンの存在を示す信号を生成する、触媒する、またはその生成を促進するために配合された試薬Rは、検出チャネル内に、検出表面1821にわたって移され得る。検出表面1821は、増幅物溶液S3が検出表面1821にわたって流動するときに、標的アンプリコンが結合され得る一連の捕捉プローブを含む。捕捉プローブは、標的アンプリコンを捕捉または結合するように配合された、本明細書に記載されるタイプの任意の好適なプローブであり得る。
【0050】
分子診断試験デバイス1000(および本明細書に記載される分子診断試験デバイスのいずれか)は、本明細書に記載される「ワンタッチ」作動方法のいずれかを実施することができる。例えば、
図4は、一実施形態による、核酸を検出する方法10のフローチャートである。方法10は、デバイス1000で実施されるものとして記載されているが、他の実施形態では、方法10は、後述されるデバイス6000などの任意の好適なデバイスで実施することができる。方法10は、12において、分子診断試験デバイスを電力源に連結することを含む。
図1および
図2を参照すると、電力源1905は、矢印AAによって示されるように、デバイスの端子1940に連結され得る。電力源1905は、交流(A/C)電力源、直流(D/C)電力源(例えば、電池)、燃料電池などの任意の好適な電力源であり得る。いくつかの実施形態では、電力源1905は、A/C電力源であり得、接続することは、電力源コードを使用してデバイスを電力源コンセントに差し込むことを含み得る。他の実施形態では、電力源1905は、D/C電力源であり得、接続することは、電池をデバイスの端子1940の端子に連結することを含み得る。さらに他の実施形態では、電力源1905は、デバイスのハウジング内に存在するD/C電力源であり得、連結することは、電力源とデバイスの電子コントローラの残りの部分との間から電気絶縁部材を除去することを含み得る(
図1~
図3には示されていない)。
【0051】
生体試料は、13において、分子診断試験デバイス内の試料調製モジュール内に投入開口部を介して移される。
図2を参照すると、いくつかの実施形態では、生体試料S1は、試料移送デバイス1110によってデバイス内に移され得る。試料移送デバイス1110は、試料カップ、容器などから試料S1を吸引または引き出し、次いで、開口部1021を介して所望の量の試料を送達するために使用され得るように構成されたピペットまたは他の機構などの、任意の好適なデバイスであり得る。生体試料S1は、例えば、血液、尿、男性尿道検体、膣検体、頸部スワブ検体、鼻腔スワブ検体、喉スワブ検体、直腸スワブ検体、または本明細書に記載される他の生体試料などの任意の好適な試料であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、生体試料S1は、「生の」(または未処理の)試料であり得る。
【0052】
次いで、分子診断試験デバイスは、14において、単一の動作のみによって作動され、これにより、分子診断試験デバイスにいかなるさらなる使用者入力も伴わずに一連の動作を実施させる。別の言い方をすれば、分子診断試験デバイスは、
図2の矢印BBおよびアクチュエータ1050によって示されるように、「単一のボタン」のみを介して作動される。アクチュエータ1050は、押しボタン式のアクチュエータとして示されているが、動作14における「単一の動作」は、任意の好適な機構によって実施され得る。例えば、いくつかの実施形態では、デバイスは、アクチュエータがデバイスハウジングに対して摺動するときにデバイスを作動させる摺動アクチュエータを含み得る。他の実施形態では、デバイスは、回転アクチュエータ、またはデバイスの動作を開始するために、デバイスから除去される(例えば、剥がされる)アクチュエータを含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、アクチュエータは、信号が読み取られる窓を被覆する剥離ストリップであり得る。さらに他の実施形態では、アクチュエータは、蓋2050または6050と同様の蓋であってもよく、これは、閉鎖したときに、デバイスの複数の態様も作動させる。
【0053】
「単一のボタン」によって作動された後に、分子診断試験デバイスは、本明細書に記載される方法のいずれかを実施することができる。具体的に、デバイスは、14Aにおいて、試料調製モジュールの加熱器を介して生体試料を加熱し、生体試料の一部分を溶解して、投入試料を生成することができる。
図3を参照すると、生体試料S1は、加熱器1230によって加熱され得、得られた溶解試料(すなわち、投入試料S2)は、増幅モジュール1600に向かって移され得る。デバイス1000は、いかなる追加の試料調製も示していないが、他の実施形態では、生体試料は、好適な投入試料S2を生成するために、濾過、分離、溶出、酵素不活性化加熱動作の実施などが行われる。しかしながら、他の実施形態では、方法は、いかなる濾過も他の分離技術も含む必要はない。
【0054】
次いで、投入試料は、
図14Bにおいて、分子診断試験デバイス内の増幅モジュールに移される。
図3を参照すると、上述されたように、増幅モジュールは反応体積を画定する。したがって、投入試料は、反応体積内で加熱されて投入試料内の核酸を増幅し、それによって、14Cで標的アンプリコンを含む増幅物溶液を生成する。投入溶液は、本明細書に記載されるように、任意の好適な技術(例えば、PCR、等温増幅など)を使用することによって増幅され得る。
【0055】
増幅の後、デバイスは、次いで、分子診断試験デバイス内の検出モジュール内で、(i)増幅物溶液、および(ii)増幅物溶液中の標的アンプリコンの存在を示す信号を生成するように配合された試薬の各々を、14Dで反応させる。
図3に示されるように、検出モジュール1800は、標的アンプリコンを捕捉して出力信号OP1を生成するように構成された検出表面1821を含む。出力信号OP1は、任意の好適な信号であり得る。いくつかの実施形態では、出力信号OP1は、結合したアンプリコンの存在を示す比色信号であり得る。標的病原体、標的アンプリコンおよび/または標的生物が存在する場合、着色生成物が形成され、標的アンプリコンおよび/または標的生物が存在しない場合、色生成物は形成されない。
【0056】
試薬Rは、本明細書に記載されるタイプの任意の好適な試薬であり得、任意の好適な機構によって検出モジュール1800内に導入され得る。例えば、いくつかの実施形態では、試薬は、検出モジュール1800に移されたときに応じて、標的分子に結合するように配合された触媒であり得る。他の実施形態では、試薬は、検出モジュール1600にすでに存在する別の試薬によって触媒されたときに、信号を生成するように配合され得る。いくつかの実施形態では、試薬は、試薬が触媒剤と接触したときに、不溶性着色粒子を生成するように配合された沈殿基質であり得る。試薬Rは、デバイスが作動される前に検出モジュール内に存在し得、または代替的に、試薬Rは、デバイスの作動の結果として検出モジュールに移され得る。例えば、いくつかの実施形態では、デバイスは、内蔵型試薬モジュール(例えば、試薬モジュール6700)を含み得、デバイスが作動されたときに、デバイスは、手順中に後で使用するために、試薬をマニホールドまたは「保持タンク」内に放出することができる。いくつかの実施形態では、デバイスは、本明細書に記載される流体移送デバイス6400と同様の流体移送デバイスまたはポンプを含み得る。
【0057】
方法は、15において、信号に関連付けられている結果を読み取ることをさらに含む。いくつかの実施形態では、読み取ることは、比色信号のためにデバイスおよび検出表面1821を視覚的に検査することを含み得る。他の実施形態では、検出表面1821によって生成される信号OP1は、肉眼で視認可能である必要はない。例えば、いくつかの実施形態では、読み取りは、信号OP1をスキャンするかまたは別の方法で受信するために、モバイルコンピューティングデバイスなどの二次デバイスを使用することを含み得る。さらに他の実施形態では、結果を読み取ることは、検出表面1821からの一次出力に関連付けられている(またはそれを記述している)結果を伝達する二次信号を間接的に読み取ることを含み得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、方法10は、任意に、読み取り後、分子試験デバイスを廃棄することを含む。いくつかの実施形態では、試料および試薬の量は、デバイスが標準の非規制廃棄物手順を介して処分され得るようなものであり得る。他の実施形態では、廃棄することは、標準的な医療廃棄物手順を介して使用済みデバイスを処分することを含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、方法10は、任意に、使用前に少なくとも6か月間、内部に封止された任意の試薬を含む、分子診断試験デバイスを保管することを含む。
【0060】
方法10は、生体試料がデバイス内に移される前に発生するものとして、デバイスを電力源に連結する動作を示しているが、他の実施形態では、方法10(または本明細書に記載される方法のいずれか)のステップのいずれかは、任意の順序で実施することができ、または同時に実施することができる。例えば、いくつかの実施形態では、生体試料S1を最初にデバイス内に移すことができ、デバイスを(アクチュエータ1050を介して)作動させ、次いで作動後に、デバイスをコンセントに差し込んでデバイスにA/C電力を供給することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、装置は、投入開口部を被覆すること、および蓋が閉鎖されたときにデバイスの1つ以上の機構を作動させることの両方のために機能する蓋(カバーとも呼ばれる)を含み得る。このようにして、蓋を閉鎖する単一の動作はまた、デバイスの全ての側面を作動させ、したがって、デバイスの作動および方法を簡便化する。
【0062】
例えば、
図5および
図6は、一実施形態による、分子診断試験デバイス2000(「試験デバイス」または「デバイス」とも呼ばれる)の概略図である。試験デバイス2000は、本明細書に記載される方法のいずれかに従って、生体試料を操作して、標的細胞に関連付けられている1つ以上の出力信号を生成するように構成されている。いくつかの実施形態では、試験デバイス2000は、ポイントオブケア設定(例えば、診療所、薬局など)、分散型試験施設、または使用者の自宅での使用に適した一体化されたデバイスであり得る。同様に述べると、いくつかの実施形態では、後述されるデバイスのモジュールは、試験デバイスが、いかなる追加の器具、ドッキングステーションなども伴わずに完全に動作され得るように、単一のハウジング内に収容される。さらに、いくつかの実施形態では、デバイス2000は、デバイス2000が使用者の手で運ばれ、保持され、使用され、かつ/または操作され得るようなサイズ、形状、および/または重量を有し得る。いくつかの実施形態では、試験デバイス2000は、使い捨ての自己完結型デバイスであり得る。
【0063】
いくつかの実施形態では、デバイス2000(および本明細書に示され記載されるデバイスのいずれか)は、CLIAが免除されたデバイスであり得、かつ/またはCLIAが免除された方法に従って動作し得る。同様に述べると、いくつかの実施形態では、デバイス2000(および本明細書に示され記載される他のデバイスのいずれか)は、十分に単純な様式で動作するように構成されており、制限された誤用の可能性をもたらし、かつ/または誤って使用された場合に制限された危害危険をもたらすのに十分な精度で結果を生成することができる。いくつかの実施形態では、デバイス2000(および本明細書に示され記載される他のデバイスのいずれか)は、使用者の判断をほとんど必要としない方法、および/または特定の動作ステップが容易にかつ/または自動的に制御される方法に従って、最低限の科学的訓練を受けた(または科学的訓練を受けていない)使用者によって動作され得る。いくつかの実施形態では、分子診断試験デバイス2000は、誤用(試薬(複数可)の腐敗、試薬(複数可)の有効期限切れ、試薬(複数可)の漏出など)の制限された可能性をもたらす様式で、長期保管のために構成され得る。いくつかの実施形態では、分子診断試験デバイス2000は、最大約36か月、最大約32か月、最大約26か月、最大約24か月、最大約20か月、最大約18か月、最大12か月、最大6か月、またはこれらの間の任意の値の期間、保管されるように構成されている。
【0064】
試験デバイス2000は、ハウジング2001と、蓋2050と、試料調製モジュール2200(試料ステージングモジュールとも呼ばれる)と、試薬モジュール2700と、検出モジュール2800と、電子制御モジュール2950と、を含む。いくつかの実施形態では、試験デバイス2000は、例えば、増幅モジュール(例えば、増幅モジュール1600もしくは6600)、回転弁(例えば、弁6300などの試薬および/または試料の流動を制御するためのもの)、または流体移送モジュール(例えば、流体移送モジュール6400)などの、本明細書に記載される任意の他の構成要素またはモジュールを含み得る。ハウジング2001は、試料調製および/または分子試験のための一体化されたデバイスを形成するために、試料調製モジュール2200または他の構成要素が収容される(または部分的に収容される)任意の構造であり得る。
【0065】
試料調製モジュール2200は、生体試料S1を受容する試料投入体積2211、および生体試料S1が試料調製モジュール2200内に移され得る投入開口部2212を画定する。試料調製モジュール2200は、加熱器2230を含み、さらなる診断試験のための生体試料S1を操作するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態では、試料調製モジュール2200は、生体試料S1から核酸分子を抽出することができ、任意に増幅モジュール(図示せず)内に、または検出モジュール2800内に移される投入溶液S2(
図6を参照)を生成することができる。試料調製モジュール2200は、例えば、溶解のための加熱器、RT-PCRが実施され得るチャンバ、および/または不活性化チャンバ(例えば、溶解ハウジング6201を参照)などの、本明細書に記載される任意の他の構成要素を含み得る。
【0066】
試薬モジュール2700は、ハウジング2001内に配設され、試薬容器2701と、プランジャ2755と、試薬リザーバ2730と、を含む。試薬モジュール2700は、本明細書に記載される分子診断試験に関連して使用される試薬Rの内蔵型保管を提供する。試薬Rは、本明細書に示され記載されるタイプの任意の試薬であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、試薬Rは、投入溶液S2からの標的アンプリコンの存在を示す信号の生成を容易にするように配合された検出試薬であり得る。したがって、試薬Rは、結合部分および西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)またはアルカリホスフェートなどの任意の好適な酵素を含むように配合され得る。いくつかの実施形態では、HRP酵素は、ストレプトアビジン分子にすでに接合されている。いくつかの実施形態では、試薬Rは、触媒されたときに、色分子を生成する基質であり得る。他の実施形態では、試薬Rは、本明細書に記載されるように、各々が(例えば、偽出力を低減することによって)信号の生成を容易にすることができる洗浄緩衝液または遮断剤であり得る。
【0067】
作動前に、試薬Rは、試薬容器2701内に封止される。いくつかの実施形態では、試薬Rは、試薬容器2701の壊れやすい部分2713によって封止され得る。他の実施形態では、試薬容器2701は、任意の好適な封止機構を含み得る。試薬Rを試薬容器2701内に封止することによって、デバイス2000は長期保管に適することができ、試薬Rは分解などから保護され得る。試薬プランジャ2755は、穿孔器2754を含む。
図5に示されるように、作動前に、穿孔器は、壊れやすい部分2713から離間され、それによって、容器の封止された配置を維持する。
図6に示されるように、デバイスが作動された後に、穿孔器は、壊れやすい部分2713を貫通し、それによって、試薬Rが、本明細書に記載される分子診断方法中に後で使用するために試薬リザーバ2730に流入することを可能にする。具体的には、示されるように、試薬プランジャ2755および穿孔器2754は、集合的に試薬容器2701内を移動して、壊れやすい部分2713を貫通し、試薬Rを試薬リザーバ2730に向けて押す。試薬モジュール2700は、移動しない試薬容器2701および移動する穿孔器2754を含むものとして示されているが、他の実施形態では、穿孔器は移動しないことがあり、試薬容器は、移動することがある(例えば、試薬モジュール6700を参照)。
【0068】
検出モジュール2800は、試料調製モジュール2200(または任意に、増幅モジュール)からの投入溶液S2を1つ以上の試薬と反応させて、生体試料S1中の標的生物の存在の有無を示す信号(または出力)OP1を生成するように構成されている。具体的には、検出モジュール2800は、検出チャネルを画定し、検出チャネル内に検出表面2821を含む。検出チャネルは、試料調製モジュール2200および試薬モジュール2700の各々と流体連通している(またはその中に配置され得る)。このようにして、標的アンプリコンを含む投入溶液S2は、検出チャネル内に、かつ検出表面2821にわたって移され得る。さらに、
図6に示されるように、試薬Rはまた、検出チャネル内に、かつ検出2821にわたって移され得る。検出表面2821は、投入溶液S2が検出表面2821にわたって流動するときに標的アンプリコンが結合され得る一連の捕捉プローブを含む。捕捉プローブは、標的アンプリコンを捕捉または結合するように配合された、本明細書に記載されるタイプの任意の好適なプローブであり得る。試薬Rが捕捉された投入溶液S2と反応したときに、信号OP1が検出表面2821から生成される。
【0069】
電子制御モジュール2950は、ハウジング2001内にあり、本明細書に記載されるような分子試験を容易にするために、診断デバイス2000の加熱器(例えば、加熱器223)、弁、ポンプ、電力送達、および/または他の任意の構成要素を自動的に制御することができる。電子制御モジュール2950は、メモリ、プロセッサ、入力/出力モジュール(またはインターフェース)、および本明細書に記載される機能を実施するための他の任意の好適なモジュールまたはソフトウェアを含み得る。
図5および
図6に示されるように、電子制御モジュール2950は、作動されたときに、分子診断試験を開始するスイッチ2906を含む。電子制御モジュール2950は、上述される電力源1905を含む、本明細書に記載される任意の好適な電力源によって電力を供給され得る。
【0070】
蓋2050は、ハウジング2001に移動可能に連結されており、様々な機能を実施し、それによって、単一の動作を介したデバイス2000の作動を容易にする。示されるように、蓋2050は、封止部分2053と、スイッチ部分2060と、試薬アクチュエータ2064と、を含む。矢印CCによって示されるように、蓋2050は、ハウジング2001に対して第1の(または開放された)位置(
図5)から第2の(または閉鎖された)位置(
図6)に移動するように構成されている。
図5に示されるように、封止部分2053(カバー部分とも呼ばれる)は、蓋2050が開放位置にあるときに、投入開口部2212から離間される。同様に述べると、蓋2050が開放位置にあるときに、投入開口部2212は露出され、それによって、生体試料S1が試料調製モジュール2200内に移されることを可能にする。生体試料S1が載置された後に、使用者は、蓋2050を閉鎖することができる(すなわち、蓋をその第2の位置に移動することができる)。
図6に示されるように、封止部分2053は、蓋2050が閉鎖位置にあるときに、投入開口部2212を被覆する。いくつかの実施形態では、封止部分2053は、蓋2050が第2の蓋位置にあるときに、試料投入体積2211を流体隔離するための封止部、ガスケット、または他の材料を含む。
【0071】
投入開口部2212を被覆することに加えて、蓋2050を閉鎖することは、デバイス2000内の他の機構も作動させる。具体的には、
図6に示されるように、蓋2050が開放位置から閉鎖位置に移動したときに、スイッチ部分2060は、スイッチ2906を作動させて、電子制御モジュール2950および/または加熱器2230に電力を供給する。さらに、試薬アクチュエータ2064は、蓋2050が開放位置から閉鎖位置に移動されるときに、試薬Rを封止された試薬容器2701から放出する。具体的には、
図6に示されるように、試薬アクチュエータ2064は、試薬プランジャ2755に力を及ぼし、それによって、試薬プランジャ2755および穿孔器2754を移動させる。
図6に示されるように、穿孔器は、壊れやすい部分2713を貫通し、それによって、試薬Rが試薬リザーバ2730に流入することを可能にする。
【0072】
分子診断試験デバイス2000(および本明細書に記載される分子診断試験デバイスのいずれか)は、本明細書に記載される「ワンタッチ」作動方法のいずれかを実施することができる。例えば、
図7は、一実施形態による、核酸を検出する方法20のフローチャートである。方法20は、デバイス2000で実施されるものとして説明されているが、他の実施形態では、方法20は、後述のデバイス6000などの任意の好適なデバイスで実施され得る。方法20は、22において、分子診断試験デバイスを電力源に連結することを含む。電力源(
図5および
図6には示されていない)は、交流(A/C)電力源、直流(D/C)電力源(例えば、電池)、燃料電池などの任意の好適な電力源であり得る。
【0073】
生体試料は、23において、分子診断試験デバイス内の試料調製モジュール内に投入開口部を介して移される。生体試料S1は、上述される試料移送デバイス1110などの任意の好適な機構によってデバイス内に移され得る。生体試料S1は、例えば、血液、尿、男性尿道検体、膣検体、頸部スワブ検体、鼻スワブ検体、喉スワブ検体、直腸スワブ検体、または本明細書に記載される他の生体試料などの任意の好適な試料であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、生体試料S1は、「生の」(または未処理の)試料であり得る。
【0074】
分子診断試験デバイスは次いで、24において、投入開口部を被覆するために蓋を閉鎖するという単一の動作によって作動される。デバイスを閉鎖するというこの単一の動作により、分子診断試験デバイスは、任意のさらなる使用者入力も伴わずに一連の動作を実施する。
図6を参照すると、蓋2050は、蓋の相対的なハウジング2001を回転させることによって閉鎖され得る。他の実施形態では、蓋2050は、蓋の一部分または任意の他の好適な閉鎖機構を押し下げる摺動動作(例えば、デバイス6000を参照)によって閉鎖され得る。開口部を被覆することによって作動された後に、分子診断試験デバイスは、本明細書に記載される方法のいずれかを実施することができる。具体的には、蓋を閉鎖する動作はまた、電子制御モジュール(例えば、電子制御モジュール2950)を作動させ、試験で使用するために1つ以上の試薬を放出し(例えば、試薬Rを試薬リザーバ2730内に放出する)、かつ/または本明細書に記載される分子診断方法を容易にするために、デバイス内の任意の他の機構を作動させることもできる。具体的に、デバイスは、24Aにおいて、試料調製モジュールの加熱器を介して生体試料を加熱し、生体試料の一部分を溶解して、投入試料を生成することができる。
図6を参照すると、生体試料S1は、加熱器2230によって加熱され得、得られた溶解試料(すなわち、投入試料S2)は、検出モジュール2800または増幅モジュール(
図6には示されていない)に向かって移され得る。いくつかの実施形態では、方法20は任意に、24Bにおいて、分子診断試験デバイス内の増幅モジュールに投入試料を移すことを含む。次いで、動作24Cにおいて、投入試料を反応体積内で加熱して、投入試料内の核酸を増幅し、それによって、標的アンプリコンを含む増幅物溶液を生成することができる。投入溶液は、本明細書に記載されるように、任意の好適な技術(例えば、PCR、等温増幅など)を使用することによって増幅され得る。
【0075】
増幅後に、デバイスは次いで、24Dにおいて、分子診断試験デバイス内の検出モジュール内で、(i)増幅物溶液、および(ii)増幅物溶液中の標的アンプリコンの存在を示す信号を生成するように配合された試薬の各々を反応させる。
図6に示されるように、検出モジュール2800は、標的アンプリコンを捕捉して出力信号OP1を生成するように構成された検出表面2821を含む。出力信号OP1は、任意の好適な信号であり得る。いくつかの実施形態では、出力信号OP1は、結合したアンプリコンの存在を示す比色信号であり得る。標的病原体、標的アンプリコンおよび/または標的生物が存在する場合、着色生成物が形成され、標的アンプリコンおよび/または標的生物が存在しない場合、色生成物は形成されない。
【0076】
方法は、25において、信号に関連付けられている結果を読み取ることをさらに含む。いくつかの実施形態では、読み取ることは、比色信号のためにデバイスおよび検出表面2821を視覚的に検査することを含み得る。他の実施形態では、検出表面2821によって生成される信号OP1は、肉眼で視認可能である必要はない。例えば、いくつかの実施形態では、読み取ることは、信号OP1をスキャンするかまたは別の方法で受信するために、モバイルコンピューティングデバイスなどの二次デバイスを使用することを含み得る。さらに他の実施形態では、結果を読み取ることは、検出表面2821からの一次出力に関連付けられている(またはそれを記述している)結果を伝達する二次信号を間接的に読み取ることを含み得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、方法20は任意に、読み取りの後に、分子試験デバイスを廃棄することを含む。いくつかの実施形態では、試料および試薬の量は、デバイスが標準の非規制廃棄物手順を介して処分され得るようなものであり得る。他の実施形態では、廃棄することは、標準的な医療廃棄物手順を介して使用済みデバイスを処分することを含む。いくつかの実施形態では、方法20は任意に、使用前に少なくとも6か月間、内部に封止された任意の試薬を含む、分子診断試験デバイスを保管することを含む。
【0078】
いくつかの実施形態では、分子診断試験デバイスおよび関連する方法は、表面遮断機能と洗浄機能との両方を実施するための多目的試薬を使用することを含む。このようにして、試薬の量およびデバイスの簡便性を向上させることができ、それによって、ポイントオブケア使用、デバイスの使い捨て、および/またはCLIAが免除された方法に従うデバイスの動作が容易になる。具体的には、いくつかの実施形態では、多目的試薬は、検出イベント中に望ましくない粒子の付着に関連付けられているバックグラウンド信号を低減するための遮断剤を含み得る。信号品質を向上させることによって、そのようなデバイスおよび方法は、制限された試料調製での使用に適応され得る。さらに、多目的試薬は、結合していない成分を検出モジュール内から除去する洗浄剤を含み得る。そのような方法は、試薬の所望の機能に従って、異なる時間に多目的試薬の量を送達することを含み得る。
【0079】
図8~
図11は、一実施形態による、多目的試薬を含む分子診断試験デバイス3000(「試験デバイス」または「デバイス」とも呼ばれる)の概略図である。試験デバイス3000は、本明細書に記載される方法のいずれかに従って、生体試料を操作して、標的細胞に関連付けられている1つ以上の出力信号を生成するように構成されている。いくつかの実施形態では、試験デバイス3000は、ポイントオブケア設定(例えば、診療所、薬局など)、分散型試験施設、または使用者の自宅での使用に適した一体化されたデバイスであり得る。同様に述べると、いくつかの実施形態では、後述されるデバイスのモジュールは、試験デバイスが、いかなる追加の器具、ドッキングステーションなども伴わずに完全に動作され得るように、単一のハウジング内に収容される。さらに、いくつかの実施形態では、デバイス3000は、デバイス3000が使用者の手で運ばれ、保持され、使用され、かつ/または操作され得るようなサイズ、形状、および/または重量を有し得る(すなわち、それは「手持ち式」デバイスであり得る)。いくつかの実施形態では、試験デバイス3000は、使い捨ての自己完結型デバイスであり得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、デバイス3000(および本明細書に示され記載されるデバイスのいずれか)は、CLIA免除のデバイスであり得、かつ/またはCLIA免除の方法に従って動作し得る。同様に述べると、いくつかの実施形態では、デバイス3000(および本明細書に示され記載される他のデバイスのいずれか)は、十分に単純な様式で動作するように構成されており、制限された誤用の可能性をもたらし、かつ/または誤って使用された場合に制限された危害危険をもたらすのに十分な精度で結果を生成することができる。いくつかの実施形態では、デバイス3000(および本明細書に示され記載される他のデバイスのいずれか)は、使用者の判断をほとんど必要としない方法、および/または特定の動作ステップが容易にかつ/または自動的に制御される方法に従って、最低限の科学的訓練を受けた(または科学的訓練を受けていない)使用者によって動作され得る。いくつかの実施形態では、分子診断試験デバイス3000は、誤用(試薬(複数可)の腐敗、試薬(複数可)の有効期限切れ、試薬(複数可)の漏出など)の制限された可能性をもたらす様式で、長期保管のために構成され得る。いくつかの実施形態では、分子診断試験デバイス3000は、最大約36か月、最大約32か月、最大約28か月、最大約24か月、最大約20か月、最大約18か月、最大12か月、最大6か月、またはこれらの間の任意の値の期間、保管されるように構成されている。
【0081】
試験デバイス3000は、ハウジング3001と、試料調製モジュール3200(試料ステージングモジュールとも呼ばれる)と、試薬モジュール3700と、検出モジュール3800と、を含む。いくつかの実施形態では、試験デバイス3000は、例えば、増幅モジュール(例えば、増幅モジュール1600もしくは6600)、回転弁(例えば、弁6300などの試薬および/または試料の流動を制御するためのもの)、または流体移送モジュール(例えば、流体移送モジュール6400)などの、本明細書に記載される任意の他の構成要素またはモジュールを含み得る。ハウジング3001は、試料調製および/または分子試験のための一体化されたデバイスを形成するために、試料調製モジュール3200または他の構成要素が収容される(または部分的に収容される)任意の構造であり得る。
【0082】
試料調製モジュール3200は、生体試料S1を受容する試料投入体積3211を画定する。試料調製モジュール3200は、さらなる診断試験のために生体試料S1を操作するために、および/または核酸の検出のための溶液を生成するために、本明細書に記載されるような任意の構成要素を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、試料調製モジュール3200は、1つ以上の加熱器、生体試料S1が操作され得る1つ以上のチャンバ、1つ以上の混合チャンバ、および/または特定の内蔵型試薬(例えば、溶解緩衝液、RT酵素、対照生物など)を含み得る。いくつかの実施形態では、試料調製モジュール3200は、生体試料S1から核酸分子を抽出するように構成されており、任意に増幅モジュール(図示せず)内に、または検出モジュール3800内に移される投入溶液S2(
図10を参照)を生成することができる。
【0083】
試薬モジュール3700は、ハウジング3001内に配設され、第1の試薬容器3701と、第1の試薬アクチュエータ3755と、第2の試薬容器3702と、第2の試薬のアクチュエータ3765と、を含む。試薬モジュール3700は、本明細書に記載される分子診断試験に関連して使用される(第1の試薬容器3701内の)第1の試薬R1および(第2の試薬容器3702内の)第2の試薬R2の内蔵型保管装置を提供する。いくつかの実施形態では、第1の試薬R1は、第1の試薬容器3701内に封止され、第2の試薬R2は、第2の試薬容器3702内に封止される。いくつかの実施形態では、試薬モジュール3700は、デバイスの作動時に使用のために試薬を放出できる1つ以上の穿孔器(例えば、試薬モジュール2700の穿孔器または試薬モジュール6700の穿孔器を参照)を含み得る。
【0084】
第1の試薬R1は、多目的試薬であり、遮断剤および洗浄緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、遮断剤はウシ血清アルブミンを含み、洗浄緩衝液は界面活性剤を含む。さらに、いくつかの実施形態では、第1の試薬R1は、0.02パーセント~5パーセントのウシ血清アルブミン、および0.05パーセント~10パーセントの界面活性剤を含む。遮断剤の含有は、本明細書に記載されるものと同様に、制限された試料調製(すなわち、制限された濾過、分離など)を使用する方法において、再現可能で正確な結果の達成を容易にし得る。具体的には、生体試料S1が制限された試料調製を施される場合、標的核酸に関連付けられている出力信号を生成するのに望ましくない分子(すなわち、「不要な分子」)は、検出モジュール3800の表面に付着し得る。特に非検出表面での不要な分子の付着は、望ましくないバックグラウンド信号の生成をもたらす。遮断剤を含めることによって、第1の試薬R1を使用して、遮断剤を検出モジュール3800内に移し、不要な分子の付着を制限することができる。同様に述べると、本明細書に記載されるように、第1の試薬R1は、検出モジュール内にコーティングを塗布して、望ましくないバックグラウンド信号を制限するために使用され得る。他の実施形態では、第1の試薬R1内の遮断剤は、カゼイン、脱脂乳固形物、ゼラチンなどであり得る。さらに他の実施形態では、第1の試薬R1内の遮断剤は、非生物学的遮断剤であり得る。さらに、第1の試薬R1に界面活性剤を含めることにもよって、第1の試薬R1を使用して(例えば、異なる時間に)、検出イベント中に結合していない成分を検出モジュール3800から除去することもできる。
【0085】
いくつかの実施形態では、第1の試薬R1はまた、第1の試薬R1が検出モジュール3800内の表面を十分に被覆する可能性を向上させるために、湿潤剤も含み得る。いくつかの実施形態では、第1の試薬R1はまた、デバイス3000の貯蔵寿命を向上させるための抗菌成分も含み得る。
【0086】
第2の試薬R2は、投入溶液S2からの標的アンプリコンの存在を示す信号の生成を容易にするように配合された検出試薬であり得る。いくつかの実施形態では、第2の試薬R2は、結合部分および西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)またはアルカリホスフェートなどの任意の好適な酵素を含むように配合され得る。いくつかの実施形態では、HRP酵素は、ストレプトアビジン分子にすでに接合されている。他の実施形態では、第2の試薬R2は、触媒されたときに色分子を生成する基質であり得る。
【0087】
検出モジュール3800は、試料調製モジュール3200(または任意に、増幅モジュール)からの投入溶液S2を第2の試薬R2と反応させて、生体試料S1中の標的生物の存在の有無を示す1つ以上の信号(または出力)OP1、OP2を生成するように構成されている。具体的には、検出モジュール3800は、検出チャネルを画定し、検出チャネル内に第1の検出表面3821および第2の検出表面3822を含む。検出モジュール3800はまた、第1の検出表面3821および第2の検出表面3822のいずれかまたは両方に隣接する、それを包囲する、またはそれに接触する非検出表面3826を含む。上述されたように、非検出表面3826から生成される任意のバックグラウンド信号を制限することによって、デバイス3000および関連する分子診断方法の全体的な精度を向上させることができる。
【0088】
検出チャネルは、試料調製モジュール3200および試薬モジュール3700の各々と流体連通している(またはその中に配置され得る)。このようにして、標的アンプリコンを含む投入溶液S2は、検出チャネル内に、かつ検出表面3821にわたって移され得る。さらに、
図11に示されるように、第2の試薬R2はまた、検出チャネル内に、かつ検出表面3821、3822にわたって移され得る。検出表面3821、3822は、投入溶液S2が検出表面3821、3822にわたって流動するときに標的アンプリコンが結合され得る一連の捕捉プローブを含む。捕捉プローブは、標的アンプリコンを捕捉または結合するように配合された、本明細書に記載されるタイプの任意の好適なプローブであり得る。第2の試薬R2が捕捉された投入溶液S2と反応したときに、第1の検出表面3821から第1の信号OP1が生成され、第2の検出表面3822から第2の信号OP2が生成される。
【0089】
分子診断試験デバイス3000(および本明細書に記載される分子診断試験デバイスのいずれか)は、本明細書に記載される方法のいずれかを実施することができる。例えば、
図12は、一実施形態による、核酸を検出する方法30のフローチャートである。方法30は、デバイス3000で実施されるものとして記載されているが、他の実施形態では、方法30は、後述されるデバイス6000などの任意の好適なデバイスで実施され得る。32において、方法30は任意に、使用前に少なくとも6か月間、内部に封止された任意の試薬を含む分子診断試験デバイスを保管することを含む。例えば、第1の試薬R1および第2の試薬R2を含むデバイス3000は、備蓄プログラムの一部として少なくとも6か月間保管され得る。
【0090】
分子診断試験を開始するために、方法30は任意に、生体試料を分子診断試験デバイス内の試料調製モジュールに移すことを含む。
図8を参照すると、生体試料S1は、試料移送デバイス3110などの任意の好適な機構によってデバイス内に移され得る。生体試料S1は、例えば、血液、尿、男性尿道検体、膣検体、頸部スワブ検体、鼻腔スワブ検体、喉スワブ検体、直腸スワブ検体、または本明細書に記載される他の生体試料などの任意の好適な試料であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、生体試料S1は、「生の」(または未処理の)試料であり得る。
【0091】
33において、第1の試薬R1の第1の体積は、第1の時間に、分子診断試験デバイス内の試薬モジュールから、分子診断試験デバイス内の検出モジュールに移される。検出モジュールは、検出モジュール3800と同様であり得、核酸に関連付けられている標的アンプリコンを捕捉するように構成された検出表面3821、および1つ以上の非検出表面3826を含む。上述されたように、第1の試薬R1の第1の体積は、検出モジュール3800内の表面(検出表面3821および非検出表面3826を含む)に吸着するのに十分な量の遮断溶液を収容する。
図9を参照すると、第1の体積は、矢印DDによって示されるように、第1の試薬アクチュエータ3755を移動させることによって移され得る。第1の試薬R1の第1の体積の流動は、矢印EEによって示されている。いくつかの実施形態では、第1の時間(すなわち、第1の部分が検出モジュール内に移される時間)は、遮断剤が検出モジュール3800内に十分にコーティングおよび吸着することを可能にするために、方法の残りの動作の十分前に発生する。例えば、いくつかの実施形態では、第1の時間は、溶液を検出モジュールに流入させることを含む後続のステップの少なくとも3分前に発生する。いくつかの実施形態では、例えば、第1の試薬R1の第1の体積は、生体試料S1が試料投入モジュール3200内で加熱および/または処理されている間に、検出モジュール3800に移され得る。このようにして、「遮断動作」は合計試験継続時間に加算されない。
【0092】
生体試料S1は、試料調製モジュール3200内で加熱され得、得られた溶解試料(すなわち、投入試料S2)は、検出モジュール3800または増幅モジュール(
図8~
図11には示されていない)に向かって移され得る。いくつかの実施形態では、34において、方法30は任意に、分子診断試験デバイス内の増幅モジュールに投入試料を移すことを含む。次いで、35において、投入試料を反応体積内で加熱して、投入試料内の核酸を増幅し、それによって、標的アンプリコンを含む増幅物溶液を生成することができる。投入溶液は、本明細書に記載されるように、任意の好適な技術(例えば、PCR、等温増幅など)を使用することによって増幅され得る。
【0093】
任意の増幅の後に、36において、方法は、標的アンプリコンが検出表面上に捕捉されるように、第2の時間に、標的アンプリコンを含む試料溶液を検出モジュール内に移すことを含む。
図10を参照すると、試料(または投入)溶液が矢印S2によって示されている。上述されたように、第1の検出表面3821および第2の検出表面3822は各々、投入溶液S2が検出表面3821、3822にわたって流動するときに、標的アンプリコンが結合され得る一連の捕捉プローブを含む。さらに、検出モジュール内の表面に遮断剤を塗布することによって、非特異的タンパク質の吸着の可能性が低減される。いくつかの実施形態では、方法は任意に、ある量の第1の試薬R1を検出モジュール内に移して、検出モジュールからの結合していない成分を洗浄することを含み得る。具体的には、第1の試薬溶液は、検出モジュールからの試料溶液または第2の試薬溶液のうちの少なくとも1つから、結合していない成分を除去するのに十分な量の洗浄緩衝液を収容する。
図10に示されるように、第1の試薬R1は、第1の試薬アクチュエータ3755をさらに作動させることによって、検出モジュール内に移され得る。
【0094】
図12を参照すると、37において、第2の時間の後に、第2の試薬が検出モジュール内に移される。
図11に示されるように、第2の試薬R2は、矢印FFによって示されるように、第2の試薬アクチュエータ3765を移動させることによって移され得る。示されるように、第2の試薬R2は、検出表面にわたって流動し得る。第2の試薬は、上述される試薬R2であり得、試料溶液中の標的アンプリコンの存在を示す信号を生成させるように配合される。38において、方法は、第2の時間の後に、検出モジュール内に第1の試薬の第2の体積を移すことをさらに含む。第1の試薬溶液の第2の体積は、検出モジュールからの試料溶液または第2の試薬溶液のうちの少なくとも1つから、結合していない成分を除去するのに十分な量の洗浄緩衝液を収容する。
【0095】
いくつかの実施形態では、39において、方法は任意に、検出モジュール内に第3の試薬を移すことを含む。第3の試薬は、例えば、第2の試薬R2によって触媒されたときに信号を生成するように配合された基質または他の物質であり得る。このようにして、デバイスは、(i)増幅物溶液、および(ii)増幅物溶液中で標的アンプリコンの存在を示す信号を生成するように配合された試薬の各々をできる。いくつかの実施形態では、方法は、検出モジュールを通る第3の試薬の連続的な流動を提供することを含む。具体的には、いくつかの実施形態では、第3の試薬は、検出表面上に捕捉された第2の試薬R2によって触媒されたときに、色分子を生成するように配合された沈殿基質を含む。第3の試薬は沈殿基質であるため、生成された色分子は検出表面上に定着する。さらに、第3の試薬(すなわち、沈殿基質)を連続的に補充することによって、色分子を生成する反応は、第3の試薬の濃度(または量)によって制限されない。同様に述べると、第3の試薬を検出表面上(および捕捉された第2の試薬R2)に連続的に流動させることによって、色分子を生成する反応は制限されない拡散になる。むしろ、反応は運動学的(または速度的)に制限され、したがって、第3の試薬の設定量が検出モジュール内に維持されている場合よりも速くなる。
【0096】
いくつかの実施形態では、方法は任意に、本明細書に記載されるように、信号に関連付けられている結果を読み取ることを含む。
【0097】
図9および
図10は、第1の試薬アクチュエータ3755を同じ方向に移動させて第1の試薬R1の第1の体積および第1の試薬R1の第2の体積を移す様子を示しているが、他の実施形態では、第1の試薬R1の所望の量を移すための任意の好適な機構が適用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1の試薬は、デバイス3000(または任意の他のデバイス)内でリサイクル(または再利用)され得る。具体的には、第1の試薬の第1の体積を遮断の目的で適用し、次いで、洗浄の目的で後で再使用するために試薬モジュールに戻すことができる。複数の目的で第1の試薬をリサイクルすることによって、必要な試薬の量が減少され、パッケージの小型化、コストの低下などが可能になる。
【0098】
例えば、
図13は、一実施形態による、核酸を検出する方法40のフローチャートである。方法40は、デバイス3000で実施されるものとして記載されているが、他の実施形態では、方法40は、後述されるデバイス6000などの任意の好適なデバイスで実施され得る。分子診断試験を開始するために、42において、方法40は、生体試料を分子診断試験デバイス内の試料調製モジュール内に移すことを含む。生体試料S1は、例えば、血液、尿、男性尿道検体、膣検体、頸部スワブ検体、鼻腔スワブ検体、または本明細書に記載される他の生体試料などの任意の好適な試料であり得る。したがって、いくつかの実施形態では、生体試料S1は、「生の」(または未処理の)試料であり得る。
【0099】
次いで、43において、分子診断試験デバイスは、分子診断試験デバイスに一連の動作を実施させるように(例えば、いくつかの実施形態では、単一の動作によって)作動させれる。作動の結果として、43Aにおいて、第1の試薬R1の第1の体積は、第1の時間に、分子診断試験デバイス内の試薬モジュールから、分子診断試験デバイス内の検出モジュール内に移される。検出モジュールは、検出モジュール3800と同様であり得、核酸に関連付けられている標的アンプリコンを捕捉するように構成された検出表面3821、および1つ以上の非検出表面3826を含む。上述されたように、第1の試薬R1の第1の体積は、検出モジュール3800内の表面(検出表面3821および非検出表面3826を含む)に吸着するのに十分な量の遮断溶液を収容する。次に、43Bにおいて、デバイスは、第1の試薬R1の第1の体積を試薬モジュールに向かって戻すように移す。これは、例えば、第1の試薬アクチュエータ3755を
図9の矢印DDによって示される方向とは反対の方向に移動させることによって、第1の試薬R1を試薬モジュール3700に引き戻すことによって達成され得る。いくつかの実施形態では、方法は、遮断機能(すなわち、吸着)を発生させる滞留時間の間、第1の試薬の第1の体積が検出モジュール内に維持されることを可能にすることを含み得る。滞留時間は、例えば、少なくとも1分、2分、少なくとも3分、または少なくとも4分であり得る。いくつかの実施形態では、方法は、吸着を容易にするために、検出モジュールを(例えば、少なくとも30C、40C、または50Cの温度に)加熱することを含み得る。
【0100】
動作43Cにおいて、デバイスは、加熱器を介して生体試料を加熱して、標的アンプリコンを含む増幅物試料を生成することができる。別の言い方をすれば、投入試料は反応体積内で加熱されて、投入試料内の核酸を増幅し、それによって、標的アンプリコンを含む増幅物溶液を生成することができる。投入溶液は、本明細書に記載されるように、任意の好適な技術(例えば、PCR、等温増幅など)を使用することによって増幅され得る。
【0101】
任意の増幅の後に、43Dにおいて、方法は、標的アンプリコンが検出表面上に捕捉されるように、第2の時間に、標的アンプリコンを含む試料溶液を検出モジュール内に移すことを含む。次いで、43Eにおいて、デバイスは、第1の試薬の第2の体積を検出モジュール内に移す。第1の試薬溶液の第2の体積は、検出モジュールからの試料溶液または第2の試薬溶液のうちの少なくとも1つから、結合していない成分を除去するのに十分な量の洗浄緩衝液を収容する。
【0102】
44において、方法は、信号に関連付けられている結果を読み取ることをさらに含む。いくつかの実施形態では、読み取ることは、比色信号のためにデバイスおよび検出表面3821、3822を視覚的に検査することを含み得る。他の実施形態では、検出表面によって生成される信号OP1は、肉眼で視認可能である必要はない。例えば、いくつかの実施形態では、読み取ることは、信号OP1、OP2をスキャンするかまたは別の方法で受信するために、モバイルコンピューティングデバイスなどの二次デバイスを使用することを含み得る。さらに他の実施形態では、結果を読み取ることは、検出表面からの一次出力に関連付けられている(またはそれを記述している)結果を伝達する二次信号を間接的に読み取ることを含み得る。
【0103】
図14は、一実施形態による、検出モジュール3800、検出モジュール4800、または本明細書に記載される任意の他の検出モジュール(例えば、検出モジュール6800)によって、またはこれらの内部で実施され得る、酵素反応に関連付けられている動作および/または機能の一部分を示す。いくつかの実施形態では、酵素反応は、デバイス3000、デバイス4000、デバイス5000、デバイス6000、または本明細書に記載される任意の他のデバイスもしくはシステムを使用して、分子診断試験結果の視覚的検出を容易にするために実行され得る。他の実施形態では、視覚的検出を生成するために酵素反応を実施する必要はない。例えば、本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、示された酵素反応を使用する方法は、生成された信号に関連付けられている結果を読み取るために代替的な方法を使用することができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、反応、検出モジュール4800、および/またはデバイス4000(またはデバイス6000)内の残りの構成要素は、デバイスが、ポイントオブケア設定および/または使用者の自宅で使用され得る単回使用デバイスであるように集合的に構成され得る。同様に述べると、いくつかの実施形態では、デバイス4000(および本明細書に示され記載される他のデバイスのいずれか)は、分散型試験施設で使用するように構成され得る。さらに、いくつかの実施形態では、
図14に示される反応は、CLIAが免除されたデバイスとなるのに十分な簡便性および精度で動作するデバイス4000(および本明細書に示され記載される他のデバイスのいずれか)を容易にすることができる。同様に述べると、いくつかの実施形態では、
図14に示される反応は、制限された誤用の可能性をもたらし、かつ/または誤って使用した場合に制限された危害の危険をもたらす様式で出力信号OP1を提供することができる。いくつかの実施形態では、反応は、使用者の判断をほとんど必要としない方法、および/または特定の動作ステップが容易にかつ/または自動的に制御される方法に従って、最低限の科学的訓練を受けた(または科学的訓練を受けていない)使用者による作動に基づいて、デバイス4000(または本明細書に記載される他の任意のデバイス)内で正常に完了され得る。
【0105】
示されるように、検出モジュール4800は、読み取りレーンまたは流動チャネル内に検出表面4821を含む。検出表面4821は、オリゴヌクレオチドなどの特異的ハイブリダイズプローブ4870でスポット付けされ、かつ/またはそれに共有結合する。ハイブリダイズプローブ4870(捕捉プローブとも呼ばれる)は、検出表面3821に関連して記載されたものを含む、本明細書に記載される捕捉プローブのいずれかと同様であり得る。いくつかの実施形態では、ハイブリダイズプローブ4870は、標的生物、核酸、および/またはアンプリコンに特異的である。ハイブリダイズプローブ4870の検出表面4821への結合は、任意の好適な手順または機構を使用して実施され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ハイブリダイズプローブ4870は、検出表面4821に共有結合し得る。
【0106】
参照S3は、例えば、
図15の増幅モジュール4600(または本明細書に記載される任意の他の増幅モジュール)などによって増幅ステップから生成されたビオチン化アンプリコンを示す。ビオチンは、任意の好適な様式で増幅動作に、かつ/または増幅モジュール4600内に組み込まれ得る。矢印XXによって示されるように、ビオチン化アンプリコンS3を含む増幅モジュールからの増幅物は、読み取りレーン内に、かつ検出表面4821にわたって移される。ハイブリダイズプローブ4870は、流動チャネル内に、かつ/または検出表面4821に近接して存在する標的アンプリコンS3にハイブリダイズするように配合される。検出モジュール4800および/または検出表面4821が加熱されて、ハイブリダイズプローブ4870の存在下で読み取りレーン内のビオチン化アンプリコンS3を数分間インキュベートして、結合が発生することを可能にする。このようにして、標的アンプリコンS3は、示されるように、捕捉され、および/または検出表面4821に付着される。ビオチンで標識されるものとして開示されているが、他の実施形態では、標的分子は、試料分子結合部分および比色反応を促進することができる酵素を含む複合体の結合を可能にする任意の好適な様式で標識され得る。例えば、いくつかの実施形態では、標的分子は、ストレプトアビジン、フルオレセイン、テキサスレッド、ジゴキシゲニン、またはフコースのうちの1つ以上で標識され得る。
【0107】
いくつかの実施形態では、第1の洗浄溶液(
図14には示されていない)は、検出表面4821にわたって、かつ/または流動チャネル内に移されて、結合していないPCR生成物および/またはあらゆる残留溶液を除去することができる。そのような洗浄溶液は、例えば、デバイス3000、ならびに方法30および方法40の第1の試薬R1を参照して上述されたように、多目的試薬であり得る。しかしながら、他の実施形態では、洗浄動作は実施されない。
【0108】
矢印YYによって示されるように、検出試薬R5は、読み取りレーン内に、かつ検出表面4821にわたって移される。検出試薬R5は、本明細書に記載される検出試薬のいずれかであり得る。いくつかの実施形態では、検出試薬R5は、ストレプトアビジンリンカーを有する西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)酵素(「酵素」)であり得る。いくつかの実施形態では、ストレプトアビジンおよびHRPは架橋されて、二機能性を提供する。示されるように、検出試薬は捕捉されたアンプリコンS3に結合している。検出モジュール4800および/または検出表面4821は加熱されて、ビオチン化アンプリコンS3の存在下で読み取りレーン内で検出試薬R5を数分間インキュベートして結合を容易にする。
【0109】
いくつかの実施形態では、第2の洗浄溶液(
図14には示されていない)は、検出表面4821にわたって、かつ/または流動チャネル内に移されて、結合していない検出試薬R5を除去することができます。そのような洗浄溶液は、例えば、デバイス3000、ならびに方法30および方法40の第1の試薬R1を参照して上述されたように、多目的試薬であり得る。しかしながら、他の実施形態では、第2の洗浄動作は実施されない。
【0110】
矢印ZZによって示されるように、検出試薬R6は、読み取りレーン内に、かつ検出表面4821にわたって移される。検出試薬R6は、本明細書に記載される検出試薬のいずれかであり得るあり得る。検出試薬R6は、例えば、検出試薬R5と反応したときに信号OP1の生成を増強、触媒および/または促進するように配合された基質であり得る。具体的には、基質は、検出試薬R5(HRP/ストレプトアビジン)との接触時に色分子が生成されるように配合される。このように、HRPがアンプリコンに付着する比色出力信号OP1が発生される。出力信号OP1は、結合したアンプリコンの存在を示す。標的病原体、標的アンプリコンおよび/または標的生物が存在する場合、色生成物が形成され、標的アンプリコンおよび/または標的生物が存在しない場合、色生成物は形成されない。
【0111】
方法30に関して上述されたように、いくつかの実施形態では、検出試薬R6は、検出試薬の利用 可能性によって色分子を生成する反応が制限されないように、検出表面4821にわたって連続的に流動され得る。さらに、いくつかの実施形態では、検出試薬R6は、沈殿基質であり得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、方法は、生試料を溶解することと、例えば、標的ウイルスを検出するために、標的RNAの検出を容易にするために、溶解試料上で逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施することと、を含む。このような方法を容易にするために、いくつかの実施形態では、デバイスは、ウイルスを隔離および検出するこのような方法を容易にする逆転写モジュールを含み得る。一例として、
図15は、一実施形態による、逆転写モジュール4270を含む分子診断試験デバイス4000(「試験デバイス」または「デバイス」とも呼ばれる)の概略図である。概略図は、試験デバイス4000の主要な構成要素を示している。
【0113】
試験デバイス4000は、ポイントオブケア設定(例えば、診療所、薬局など)、分散型試験設備、または使用者の自宅での使用に好適な一体化されたデバイスである(すなわち、モジュールが単一のハウジング内に収容される)。いくつかの実施形態では、デバイス4000は、デバイス4000が使用者の手で運ばれ、保持され、使用され、かつ/または操作され得るようなサイズ、形状、および/または重量を有し得る(すなわち、それは「手持ち式」デバイスであり得る)。手持ち式デバイスの寸法は、15cmx15cmx15cm未満、または15cmx15cmx10cm未満、または12cmx12cmx6cm未満であってもよい。他の実施形態では、試験デバイス4000は、自己完結型の単回使用デバイスであり得る。同様に述べると、試験デバイス4000は、本明細書に記載される分子診断試験のいずれかを実施するために必要な全ての物質、機構、およびサブアセンブリを含む独立型デバイスである。したがって、デバイス4000は、生体試料を操作するためのいかなる外部器具も必要とせず、本明細書に記載される方法を完了するために、電力源への接続(例えば、A/C電力源への接続、電池への連結など)を必要とするだけである。いくつかの実施形態では、試験デバイス4000は、デバイスの再使用または再使用の試みを防止するために、ロックアウトまたは他の器具機構で構成され得る。
【0114】
さらに、いくつかの実施形態では、デバイス4000は、CLIAが免除されたデバイスであり得、かつ/またはCLIAが免除された方法に従って動作し得る。同様に述べると、いくつかの実施形態では、デバイス4000(および本明細書に示され記載される他のデバイスのいずれか)は、十分に単純な様式で動作するように構成されており、制限された誤用の可能性をもたらし、かつ/または誤って使用された場合に制限された危害危険をもたらすのに十分な精度で結果を生成することができる。いくつかの実施形態では、デバイス4000(および本明細書に示され記載される他のデバイスのいずれか)は、使用者の判断をほとんど必要としない方法、および/または特定の動作ステップが容易にかつ/または自動的に制御される方法に従って、最低限の科学的訓練を受けた(または科学的訓練を受けていない)使用者によって動作され得る。いくつかの実施形態では、分子診断試験デバイス4000は、誤用(試薬(複数可)の腐敗、試薬(複数可)の有効期限切れ、試薬(複数可)の漏出など)の限定された可能性をもたらす様式で長期保管のために構成され得る。いくつかの実施形態では、分子診断試験デバイス4000は、最大約36か月、最大約32か月、最大約26か月、最大約24か月、最大約20か月、最大48か月、またはこれらの間の任意の値の期間、保管されるように構成されている。
【0115】
試験デバイス4000は、生体試料S1を操作して、標的細胞に関連付けられている1つ以上の出力信号を生成するように構成されている。具体的には、デバイス4000は、アクチュエータ4050と、試料調製(またはステージング)モジュール4200と、流体駆動(または流体移送)モジュール4400と、混合モジュール4250と、増幅モジュール4600と、検出モジュール4800と、試薬モジュール4700と、弁4300と、電力および制御モジュール(図示せず)と、を含む。試験デバイスおよびその中の特定の構成要素は、
図19を参照して示され記載されるデバイス6000の構成要素の多くと同様であり得る。したがって、アクチュエータ4050、流体駆動(または流体移送)モジュール4400、混合モジュール4250、増幅モジュール4600、検出モジュール4800、試薬モジュール4700、および弁4300は、本明細書では詳述されない。さらに、逆転写モジュールを含むデバイスは、各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Devices and Methods for Nucleic Acid Extraction」と題される、国際特許公開第WO2018/005870号に示され記載される逆転写デバイスと同様である。
【0116】
デバイス4000は、試料調製モジュール4200が溶解チャンバ4201および逆転写モジュール4270を含むという点で、デバイス1000、デバイス2000、デバイス3000、およびデバイス6000とは異なる。溶解チャンバ4201は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Devices and Methods for Detection of Molecules Using a Flow Cell」と題される、国際特許公開第WO2018/005710号に示され記載される溶解チャンバと同様であり得る。具体的には、溶解モジュール4300は、チャンバ本体と、加熱器と、を含む。使用中、試料(濾過された試料または生の生体試料S1のいずれか)はチャンバ本体内に移され、溶解温度範囲内の第1の温度に加熱されて、リボ核酸(RNA)分子を放出することができる。加熱器は、溶解モジュール4300に熱エネルギー伝達して、溶解モジュール4300の任意の所望の部分内に、本明細書に記載される任意の時間期間にわたって溶解温度ゾーンを生成することができる。したがって、溶解モジュールは、生体試料内の細胞を溶解し、また細胞内に存在する可能性がある標的ウイルスを溶解して、逆転写プロセスに適したRNAを生成することもできる。
【0117】
溶解が完了すると、溶解した試料は、次いで、逆転写溶液を形成するために、逆転写酵素と混合され得る。混合は、例えば、溶解モジュール4201と逆転写モジュール4270との間の流路などのデバイスの任意の好適な部分で実施され得る。あるいは、いくつかの実施形態では、溶解試料と逆転写酵素との混合は、混合モジュール4250内で発生し得る。
【0118】
逆転写モジュール4270は、デバイス内に一体化され、流動部材および加熱器を含む。流動部材は、RNAを含む溶解試料を移すことができる逆転写流路を画定する。逆転写モジュール4270は、逆転写溶液を逆転写温度範囲内の第2の温度に加熱して、相補的デオキシリボ核酸(cDNA)分子を生成するように構成されている。いくつかの実施形態では、逆転写モジュール4270は、逆転写溶液を不活性化温度を上回る第3の温度に加熱して、逆転写酵素の不活性化を引き起こすように構成されている。次いで、逆転写溶液は、混合モジュール4250に移されて、PCR試薬と混合され得る。混合の後に、溶液は、次いで、増幅モジュール4600に移され、本明細書に記載される様式で増幅され得る。
【0119】
デバイス4000は、逆転写モジュール4270とは別個の溶解モジュール4300を含むものとして示され記載されているが、他の実施形態では、デバイスおよび分子診断方法は、A)試料を溶解してRNAを生成することができ、B)RNAを加熱して相補的デオキシリボ核酸(cDNA)を生成することができ、C)溶液をさらに加熱して逆転写酵素(すなわち、RT酵素)を不活性化することができる、単一のチャンバまたはモジュールを含み得る。同様に述べると、いくつかの実施形態では、方法は、生試料を溶解することと、同じ環境において、溶解された試料の逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を実施することと、を含む。別の言い方をすれば、いくつかの実施形態では、デバイスは、生試料を溶解し、単一のチャンバで高速RT-PCRを実施することを含む方法を容易にするために、単一の溶解/RT-PCRモジュールを含む。そのような方法は、溶解後の標的RNAの分解を制限し、それによって、正確な結果を生成する様式で実施され得る。したがって、そのような方法は、CLIAが免除されたポイントオブケアデバイスによって実施されるのに適している。
【0120】
図16は、溶解、RT-PCR、酵素不活性化を単一の環境(またはモジュール)内で実施することができる試料調製(またはステージング)モジュール5200を含む分子診断試験デバイス5000(「試験デバイス」または「デバイス」とも呼ばれる)の一部分の概略図である。試験デバイス5000は、上述されたデバイス4000と同様の特性を有し得、ポイントオブケア設定(例えば、診療所、薬局など)、分散型試験設備、または使用者の自宅での使用に適した一体化されたデバイスである(すなわち、モジュールが単一のハウジング内に収容される)。試料調製モジュール5200は、他の方法の中でも、投入(または保持)リザーバ5211と、投入試料S1を加熱してRT-PCRを実施することができる流動チャネル5214と、を含む。試料調製モジュールはまた、生体試料S1と混合される逆転写酵素R2も含む。RT-PCRプロセスの完了後に、溶液は、次いで、混合モジュール5250に移され、そこで溶液は、所望の増幅(例えば、PCRまたは他の増幅方法)を実施するのに適した増幅試薬R3と混合される。デバイス5000の全てまたは部分は、本明細書に記載されるデバイスのいずれかに含まれ得る。さらに、デバイス5000は、本明細書に記載されるRT-PCR方法のいずれかを実施するために使用され得る。
【0121】
図17Aは、時間の関数としての温度のグラフを示し、
図18は、溶解、逆転写、および不活性化プロセスを、手持ち式の単回使用デバイス内の単一のモジュールで実施する方法50のフローチャートである。方法50は、
図17Aの温度性能チャート、デバイス5000、およびデバイス6000(後述される)に関連して記載されているが、他の実施形態では、RT-PCR方法50は、本明細書に記載されるような任意の好適なデバイスで実施され得る。方法50は、52において、試料調製モジュール内で、逆転写酵素を生体試料と混合して、逆転写溶液を形成することを含む。試料調製モジュールは、後述される試料調製モジュール6200のような単一の環境またはモジュールであり得る。いくつかの実施形態では、逆転写酵素は、試料調製モジュールの保持または混合体積(例えば、保持体積6211)に捕捉的に維持される、凍結乾燥または固体形態の試薬R4であり得る。いくつかの実施形態では、生体試料は、生および/または濾過されていない試料であり得る。いくつかの実施形態では、逆転写溶液は、リボヌクレアーゼ阻害剤を欠いていることがある。具体的には、本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、方法50は、リボヌクレアーゼによるRNAの分解が制限されるように、放出されたRNAが迅速に逆転写を受けるような様式で実施され得る。
【0122】
53において、逆転写溶液は、次いで、試料調製モジュール内で溶解温度範囲内の第1の温度に加熱されて、リボ核酸(RNA)分子を放出する。溶解温度範囲は、本明細書に記載される範囲のいずれかであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1の温度範囲は、約25C~約40Cであり得る。いくつかの実施形態では、加熱は、試料調製モジュールの初期体積6211内に熱エネルギーを伝達する、セグメント化されたまたは「マルチゾーン」加熱器(例えば、加熱器6230)によって実施され得る。
図17Aを参照すると、いくつかの実施形態では、第1の温度への加熱は、
図17Aの領域61によって示されるように、ランプレートに沿って逆転写溶液を加熱することを含み得る。別の言い方をすれば、いくつかの実施形態では、逆転写溶液は、初期温度から逆転写温度T
rtに向けてランプに沿って加熱することができ、設定された時間の間、一定の溶解温度に維持される必要はない。このようにして、溶液は、標的の逆転写温度に向かって加熱されている間、溶解温度範囲(例えば、25C~35C)を通過することができる。しかしながら、他の実施形態では、方法50は、逆転写溶液を一定の溶解温度で設定された時間期間維持することを含み得る。
【0123】
54において、逆転写溶液は次いで、同じ試料調製モジュール内で、逆転写温度範囲内の第2の温度に加熱されて、放出されたRNから相補的なデオキシリボ核酸(cDNA)分子を生成する。逆転写温度範囲は、本明細書に記載される範囲のいずれかであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1の温度範囲は、約40C~約60Cであり得る。いくつかの実施形態では、加熱は、試料調製モジュールの初期体積6211内に熱エネルギーを伝達する、セグメント化されたまたは「マルチゾーン」加熱器(例えば、加熱器6230)によって実施され得る。他の実施形態では、逆転写溶液は、蛇行流動チャネル(例えば、チャネル6214)を通って移されて、加熱器6230による加熱を容易にすることができる。
図17を参照すると、いくつかの実施形態では、第2の温度への加熱は、逆転写溶液を加熱し、次いで、逆転写溶液を、
図17の領域62によって示されるように、t1とt2との間の時間期間、実質的に一定の標的逆転写温度T
rtに維持することを含み得る。しかしながら、他の実施形態では、逆転写溶液は、温度が不活性化温度T
inactに向けて第2のランプレートに沿って増加するように連続的に加熱され得、設定された時間期間の間、一定の逆転写温度に維持する必要はない。
【0124】
いくつかの実施形態では、溶液は、逆転写反応を完了させるための好適な期間(例えば、
図17Aを参照すると、第1の時間(tl)と第2の時間(t2)との間)の間、第2の温度(例えば、Trt)に維持され得る。いくつかの実施形態では、時間は、約30秒、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも3、少なくとも4分、および少なくとも5分であり得る。
【0125】
方法は、55において、試料調製モジュール内で、逆転写溶液を不活性化温度を上回る第3の温度に加熱して、逆転写酵素の不活性化を引き起こすことをさらに含む。不活性化温度範囲は、本明細書に記載される範囲のいずれかであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1の温度範囲は、約92C、93C、94C、95C、96C、97C、98C、および約99Cを上回ることがある。他の実施形態では、RT酵素ははるかに低い温度で不活性化され得、第1の温度範囲は、約56C、58C、60C、62C、64C、68C、75C、および約80Cを上回ることがある。いくつかの実施形態では、第3の温度は、好適な時間期間維持され得る(
図17Aを参照すると、RT酵素を不活性化するための好適な時間の量を提供する、時間t3から時間t4まで)。いくつかの実施形態では、加熱は、試料調製モジュールの初期体積6211内に熱エネルギーを伝達する、セグメント化されたまたは「マルチゾーン」加熱器(例えば、加熱器6230)によって実施され得る。他の実施形態では、逆転写溶液は、加熱器6230による加熱を容易にするために、蛇行流動チャネル(例えば、チャネル6214)を通って移され得る。
【0126】
逆転写溶液は、次いで56において、増幅モジュールに移される。cDNAのさらなる増幅などの、核酸を検出するための任意の追加の方法は、本明細書に記載される方法に従って完了され得る。
【0127】
図17Aは、溶解およびRT-PCRが別個のステップで実施されるものとして示しているが、いくつかの実施形態では、方法は、これらの動作を連続的な様式で実施することを含み得る。同様に述べると、いくつかの実施形態では、方法は、細胞および/またはウイルスを溶解してRNAを放出し、放出されたRNAから、連続した実質的に同時の動作でcDNAを生成することを含み得る。このようにして、RNAの放出とcDNAを生成するための転写プロセスとの間の時間を最小化して、常駐リボヌクレアーゼによるRNAの潜在的な分解を制限することができる。これにより、リボヌクレアーゼ阻害剤または他のRNA保護機構(例えば、ビーズ捕捉、追加の濾過など)を使用せずに、本明細書に記載される方法のいずれかを完了することがさらに可能になる。このような方法は、MSバクテリオファージおよびインフルエンザA型ウイルスを含む特定のウイルスに対して有効であることが有利に見出されている。他の実施形態では、そのような連続溶解/RT-PCR法は、HIVおよび全ての種のハンタウイルスの検出アッセイで実施され得る。
【0128】
図17Bは、一実施形態による方法の温度/時間性能チャートを示している。RT-PCR法は、本明細書に記載されるような任意の好適なデバイスで実施され得、試料調製モジュール内で、逆転写酵素を生体試料と混合して、逆転写溶液を形成することを含み得る。試料調製モジュールは、後述される試料調製モジュール6200のような単一の環境またはモジュールであり得る。いくつかの実施形態では、逆転写酵素は、試料調製モジュールの保持または混合体積(例えば、保持体積6211)に捕捉的に維持される、凍結乾燥または固体形態の試薬R4であり得る。いくつかの実施形態では、生体試料は、生および/または濾過されていない試料であり得る。いくつかの実施形態では、逆転写溶液は、リボヌクレアーゼ阻害剤を欠いていることがある。具体的には、本明細書に記載されるように、方法は、リボヌクレアーゼによるRNAの分解が制限されるように、放出されたRNAが迅速に逆転写を受けるような様式で実施され得る。
【0129】
逆転写溶液は、次いで、試料調製モジュールの反応体積内で溶解温度範囲内の第1の温度に加熱されて、リボ核酸(RNA)分子を放出する。溶解温度範囲は、本明細書に記載される範囲のいずれかであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1の温度範囲は、約25C~約40Cであり得る。
図17Bを参照すると、いくつかの実施形態では、第1の温度への加熱は、領域71によって示されるように、ランプレートに沿って逆転写溶液を加熱することを含み得る。別の言い方をすれば、いくつかの実施形態では、逆転写溶液は、初期温度から逆転写温度T
RTに向けてランプに沿って加熱することができ、設定された時間期間の間、一定の溶解温度に維持される必要はない。このようにして、溶液は、標的逆転写温度に向かって加熱されている間に、溶解温度範囲(例えば、25C~35C)および/または特定の溶解温度T
LYSISを通過することができる。
【0130】
逆転写溶液は、次いで、反応体積内で、逆転写温度範囲内の第2の温度に加熱されて、放出されたRNAから相補的デオキシリボ核酸(cDNA)分子を生成する。逆転写温度範囲は、本明細書に記載される範囲のいずれかであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、第1の温度範囲は、約40C~約60Cであり得る。いくつかの実施形態では、加熱は、試料調製モジュールの初期体積6211内に熱エネルギーを伝達する、セグメント化されたまたは「マルチゾーン」加熱器(例えば、加熱器6230)によって実施され得る。他の実施形態では、逆転写溶液は、加熱器6230による加熱を容易にするために、蛇行流動チャネル(例えば、チャネル6214)を通って移され得る。
図17Bを参照すると、いくつかの実施形態では、逆転写溶液は、領域72によって示されるように、温度が逆転写温度に向かって第2のランプレートに沿って、かつ/または逆転写温度を通過して上昇するように連続的に加熱され得、設定された時間期間、一定の逆転写温度に維持される必要はない。
【0131】
いくつかの実施形態では、第1の温度への加熱および第2の温度への加熱は、RNA分子が放出されたときから1秒未満でcDNAが生成されるように、連続的に実施される。いくつかの実施形態では、第1の温度への加熱および第2の温度への加熱は、RNA分子が放出されたときから30秒未満でcDNAが生成されるように、連続的に実施される。
【0132】
いくつかの実施形態では、溶液は、次いで、DNAポリメラーゼが溶液に混合される混合モジュール(例えば、混合アセンブリ6250)に移され得る。これは、
図17Bの領域73によって示されている。いくつかの実施形態では、次いで、溶液は、増幅モジュール(例えば、増幅モジュール6600)に移され得、そこで溶液は、さらに加熱されて、A)DNAポリメラーゼを活性化し、B)RT酵素を不活性化することができる。これは、
図17Bの領域74によって示されている。次いで、
図17Bの領域75によって示されるように、溶液は、本明細書に記載される方法に従って熱サイクルを受けることができる。
【0133】
いくつかの実施形態では、第1の温度(溶解のための)への加熱と第2の温度(RT-PCRのための)への加熱は、
図17Cに示されるように、異なるランプレートで実施され得る。
【0134】
図19は、一実施形態による、分子診断試験デバイス6000の概略図である。概略図は、
図20~
図52に示されるような試験デバイス6000の主要な構成要素を説明する。試験デバイス6000は、ポイントオブケア設定(例えば、診療所、薬局など)、分散型検査施設、または使用者の自宅での使用に適した一体化されたデバイスである(すなわち、モジュールは、単一のハウジング内に収容される)。いくつかの実施形態では、デバイス6000は、デバイス6000が使用者の手で運ばれ、保持され、使用され、かつ/または操作され得るようなサイズ、形状、および/または重量を有し得る(すなわち、それは「手持ち式」デバイスであり得る)。手持ち式デバイスの寸法は、15cmx15cmx15cm未満、または15cmx15cmx10cm未満、または12cmx12cmx6cm未満であってもよい。他の実施形態では、試験デバイス6000は、自己完結型の単回使用デバイスであり得る。同様に述べると、試験デバイス6000は、本明細書に記載される分子診断試験のいずれかを実施するために必要な全ての物質、機構、およびサブアセンブリを含む独立型デバイスである。したがって、デバイス6000は、生体試料を操作するためのいかなる外部器具も必要とせず、本明細書に記載される方法を完了するために、電力源への接続(例えば、A/C電力源への接続、電池への連結など)を必要とするだけである。いくつかの実施形態では、試験デバイス6000は、デバイスの再使用または再使用の試みを防止するために、ロックアウトまたは他の器具機構で構成され得る。
【0135】
さらに、いくつかの実施形態では、デバイス6000は、CLIAが免除されたデバイスであり得、かつ/またはCLIAが免除された方法に従って動作し得る。同様に述べると、いくつかの実施形態では、デバイス6000(および本明細書に示され記載される他のデバイスのいずれか)は、十分に単純な様式で動作するように構成されており、制限された誤用の可能性をもたらし、かつ/または誤って使用された場合に制限された危害危険をもたらすのに十分な精度で結果を生成することができる。いくつかの実施形態では、デバイス6000(および本明細書に示され記載される他のデバイスのいずれか)は、使用者の判断をほとんど必要としない方法、および/または特定の動作ステップが容易にかつ/または自動的に制御される方法に従って、最低限の科学的訓練を受けた(または科学的訓練を受けていない)使用者によって動作され得る。いくつかの実施形態では、分子診断試験デバイス6000は、誤用(試薬(複数可)の腐敗、試薬(複数可)の有効期限切れ、試薬(複数可)の漏出など)の限定された可能性をもたらす様式で長期保管のために構成され得る。いくつかの実施形態では、分子診断試験デバイス6000は、最大約36か月、最大約32か月、最大約26か月、最大約24か月、最大約18か月、最大6か月、またはこれらの間の任意の値の期間、保管されるように構成されている。
【0136】
試験デバイス6000は、生体試料S1を操作して、標的細胞に関連付けられている1つ以上の出力信号を生成するように構成されている。具体的には、デバイス6000は、試料調製モジュール6200と、流体駆動(または流体移送)モジュール6400と、増幅モジュール6600と、検出モジュール6800と、試薬モジュール6700と、弁6300と、制御モジュール(図示せず)と、を含む。試験デバイスおよびその中の特定の構成要素は、本明細書、または参照により本明細書に組み込まれる、「Devices and Methods for Molecular Diagnostic Testing」と題される、国際特許公開第WO2016/109691号に示され記載される任意の分子試験デバイスのいずれかと同様であり得る。したがって、特定のモジュール(例えば、流体駆動モジュール6400)の詳細な説明は、本明細書では提供されない。モジュールの各々の説明は、以下に提供される。
【0137】
図20~
図53Cは、分子診断試験デバイス6000の様々な図を示す。試験デバイス6000は、本明細書に記載される方法のいずれかに従って、投入試料を操作して、標的細胞に関連付けられている1つ以上の出力信号を生成するように構成されている。診断試験デバイス6000は、ハウジング6001(上部分6010および底部分6030を含む)を含み、その中に本明細書に記載されるモジュールが完全にまたは部分的に収容される。同様に述べると、(上部分6010および/または底部分6030を含む)ハウジング6001は、モジュールを少なくとも部分的に包囲および/または封入する。
図22~
図25は、試料調製モジュール6200、流体駆動(または流体移送)モジュール6400、増幅モジュール6600、検出モジュール6800、試薬モジュール6700、流体移送弁6300、およびハウジング6001内に位置している電子制御モジュール6900を示す様々な図である。各モジュールおよび/またはサブシステムの説明が後に続く場合のハウジングアセンブリ6001の説明。
【0138】
ハウジングアセンブリ6001は、上側ハウジング6010と、底側ハウジング6030と、蓋6050(カバーおよびアクチュエータとして機能する)と、を含む。示されるように、上側ハウジング6010は、検出開口部(または窓)6011および一連の状態光開口部6012を画定する。上側ハウジング6010はまた、試料投入部分6020およびラベル6013も含む。状態光開口部6012は、電子制御モジュール6950の1つ以上の光出力デバイス(例えば、LED)と整列されている。このようにして、そのような状態光によって生成される光出力は、状態光開口部6012を通して視認可能である。そのような光出力は、例えば、デバイス6000が電力源から電力を受け取っているかどうか、エラーが発生したかどうか(例えば、不十分な試料体積などに関連付けられているエラー)、および試験が正常に完了したかどうかを示すことができる。
【0139】
検出開口部(または窓)は、検出モジュール6800と整列する。このようにして、検出モジュール6800の各検出表面によって、かつ/またはその上で生成された信号は、検出開口部6011を通して視認可能である。いくつかの実施形態では、上側ハウジング6010および/またはラベル6013は、不透明(または半不透明)であり、それによって、検出開口部を「枠付け」または際立たせる。いくつかの実施形態では、例えば、上側ハウジング6010は、検出開口部6011を強調するためにマーキング(例えば、太線、色など)を含み得る。例えば、いくつかの実施形態では、上側ハウジング6010は、特定の疾患(例えば、クラミジアトラコマチス(CT)、淋菌(NG)、および膣トリコモナス(TV))または対照に対して検出開口部を識別する印6014を含み得る。他の実施形態では、上側ハウジング6010は、検出開口部6011を含む必要はない。例えば、そのような実施形態では、検出モジュール6800によって生成された信号は肉眼では視認可能ではないが、代わりに別の方法を使用して読み取られる。例えば、いくつかの実施形態では、読み取ることは、信号OP1をスキャンするかまたは別の方法で受信するために、モバイルコンピューティングデバイスなどの二次デバイスを使用することを含み得る。さらに他の実施形態では、結果を読み取ることは、検出モジュール6800からの一次出力に関連付けられている(またはそれを記述している)結果を伝達する二次信号を間接的に読み取ることを含み得る。
【0140】
図26および
図27を参照すると、試料投入部分6020は、上側ハウジング6010の底面(または内側表面)の両方にある1セットのガイドレール6023と、係止凹部6024と、を含む。試料投入部分6020はまた、試料投入開口部6021およびアクチュエータ開口部6022も画定する。試料投入開口部6021は、(試料調製モジュール6200の)投入開口部6212と整列しており、生体試料S1がデバイス6000内に移され得る開口部を提供する。さらに、試料投入部分はまた、蓋(またはアクチュエータ)6050が上側ハウジング6010に移動可能に連結されることも可能にする。具体的には、
図20、
図33、および
図34に示されるように、蓋6050は、アクチュエータのハンドル6070がアクチュエータ開口部6022を通って延在するように、上側ハウジング6010に連結される。本明細書に記載されるように、アクチュエータ開口部6022は、上側ハウジング6010に対する蓋6050の摺動移動を可能にするように細長い。さらに、ガイドレール6023は、蓋6050の対応するガイドスロット6055に連結され(
図28および
図29を参照)、蓋6050の摺動移動を容易にする。
図33および
図34に示されるように、上側ハウジング6010の係止凹部6024は、蓋が第2の(または閉鎖)位置にあるときに、蓋6050(
図28および
図29を参照)の係止突出部6072を受容して、蓋の移動を防止するように構成されている。このようにして、上側ハウジング6010は、診断デバイス6000の再使用、デバイス6000内への追加試料の移送、または蓋6050を複数回作動させようとする試みを防止するために、蓋6050をその第2の(または閉鎖)位置に維持する係止機構を含む。
【0141】
底側ハウジング6030は、底板6031を含み、デバイス6000のモジュールおよびまたは構成要素が配設される体積を画定する。
図26に示されるように、底板6031は、チューブ、クランプなどを必要とせずに様々なモジュールおよび構成要素間の流体移送を可能にするために、デバイス内の他の構成要素の流動チャネルと整列した一連の流動チャネル6035を画定する。具体的には、
図45に示されるように、試薬モジュール6700の底部は、底板6031の流動チャネル6035に対応する一連の流動チャネル6735を画定し、したがって、デバイス内の流体の移送を容易にする。
図26に示されるように、底側ハウジング6030は、電子制御モジュール6950の電力入力ポートと整列した開口部6038を画定する。使用中、電力源コードの端部は、開口部6038を介して電子制御モジュール6950に連結され得る(例えば、
図53Cの電力源コード6905の連結を参照)。
【0142】
図28~
図30に示されるように、蓋6050は、第1の(または外側)表面6051と、第2の(または内側)表面6052と、を含む。
図33および
図34を参照すると、蓋6050は、ハウジング6001に連結され、上側ハウジング6010と可撓性板6080との間に位置付けられる。後述されるように、蓋6050がハウジング6001に対して移動されるときに、蓋6050および可撓性板6080は、試薬モジュール6700を集合的に作動させる。
図30に示されるように、内側表面6052は、一対のガイドスロット6055を画定し、一対のガイドレール6056を含む。上述されたように、ガイドスロット6055は、ハウジング6001の対応するガイドレール6023に連結され、蓋6050の摺動移動を容易にする。蓋6050のガイドレール6056は、可撓性板6080と係合するように構成され、したがって、(可撓性板6080に対する)蓋6050の摺動移動も容易にする。
図34の矢印GGによって示されるように、蓋6050は、ハウジング6001に対して第1の(または開放)位置(
図33)から第2の(または閉鎖)位置(
図34)に移動するように構成されている。
【0143】
上述された蓋2050と同様に、蓋6050は、ハウジング6001に対して移動したときに様々な機能を実施するように構成されており、それによって、単一の動作を介したデバイス6000の作動を容易にする。具体的には、蓋6050は、封止部分6053、スイッチ部分6060、および3つの試薬アクチュエータ6064を含む。封止部分6053(カバー部分とも呼ばれる)は、カバー表面6057を含み、投入開口部6054を画定する。蓋6050が開放位置にあるときに(例えば、
図20、
図21、および
図53Aを参照)、投入開口6054は、上側ハウジング6010の試料投入開口部6021および試料調製モジュール6200の投入開口部6212の各々と整列しており、したがって、生体試料S1がデバイス6000内に移され得る開口部を提供する。カバー表面6057は、蓋が閉鎖位置にあるときに(
図53Bおよび
図53Cを参照)、上側ハウジング6010の試料投入開口部6021および投入開口部6212の各々を被覆(または閉塞する平面である。具体的には、カバー表面6057は、蓋6050が開放位置にあるときに、投入開口部6212および/または試料投入開口部6021から離間されているが、蓋6050が閉鎖位置にあるときに、投入開口部6212および/または試料投入開口部6021を被覆する。いくつかの実施形態では、封止部分6053および/またはカバー表面6057は、蓋6050が閉鎖位置にあるときに、(試料調製モジュール6200の)試料投入体積6211を流体隔離するための封止部、ガスケット、または他の材料を含む。
【0144】
投入開口部6212を被覆することに加えて、蓋6050を閉鎖することはまた、デバイス6000内の他の機構も作動させる。具体的には、
図29および
図30に示されるように、スイッチ部分6060は、蓋6050が開放位置から閉鎖位置に移動したときに、スイッチ6906(
図23)を作動させる突出部を含む。スイッチが作動された(すなわち、第1の状態から第2の状態に移動された)ときに、電力源(例えば、電力源6905)からの電力は、電子制御モジュール6950および動作のために電力を必要とするデバイス6000内の他の任意の構成要素に提供され得る。例えば、いくつかの実施形態では、電力は、任意の加熱器(例えば、試料調製モジュール6200の加熱器6230、増幅モジュール6600の加熱器6630、および検出モジュール6800の加熱器6840)のいずれかに直接または電子制御モジュール6950を介して提供される。例えば、これにより、蓋6050が閉鎖され、デバイス6050が電力源6905に連結された後に、さらなる使用者動作を必要とせずに、加熱器6230は溶解動作のための予熱を開始できるようになる。スイッチ6906は、スイッチ部分6060の突出部によって直接作動されるロッカースイッチとして示されているが、他の実施形態では、スイッチ6906(および対応するスイッチ部分6060)は、本明細書に記載される機能を実施する任意の好適なスイッチであり得る。例えば、いくつかの実施形態では、スイッチは、電力源6905を電子制御モジュール6950の残りの構成要素から電気的に絶縁する絶縁部材であり得る。そのような実施形態では、スイッチ部分6060は、絶縁部材に連結されてもよく、それを除去してもよく(それにって、電力源6905を電子制御モジュール6950に電気的に連結する)。他の実施形態では、スイッチ部分6060は、絶縁部材であり、電子制御モジュール6950には別個のスイッチは含まれていない。
【0145】
図30および
図31を参照すると、試薬アクチュエータ6064は、蓋6050が開放位置(
図33)から閉鎖位置(
図34)に移動されたときに、可撓性板6080の対応する1セットの変形可能なアクチュエータ6083に作動力を及ぼす一連の傾斜面を含む。このようにして、以下により詳細に後述されるように、試薬アクチュエータ6064(および可撓性板6080の変形可能なアクチュエータ6083)は、試薬を試薬モジュール6700内の封止された試薬容器から放出する。
【0146】
蓋6050の外側表面6051は、ハンドル6070と係止突出部6072と、を含む。ハンドル6070は、上側ハウジング6010のアクチュエータ開口部6022を通って延在し、使用者によって操作されて、蓋6050を開放位置から閉鎖位置に移動させることができる構造を提供する。係止突出部6072は、上側ハウジング6010の内側表面(
図27に示される内側表面を参照)との摺動接触で維持される傾斜した(または角度の付いた)突出部を有する。係止突出部6072の傾斜表面は鋭角を形成するので、係止突出部は、
図34の矢印GGによって示される方向に移動されて、蓋6050を閉鎖することができる。さらに、係止突出部6072と上側ハウジング6010との間の連続的な接触は、蓋を閉鎖することに対するいくらかの抵抗(すなわち、摩擦力)を提供することによって、蓋6050の不注意による閉鎖を防止する。
図34に示されるように、蓋6050が閉鎖位置にあるときに、係止突出部6072は、上側ハウジング6010の係止凹部6024内に受容される。傾斜表面とは反対にある係止突出部6072の表面は、実質的に90度の角度を形成し、したがって、係止突出部6072が凹部6024内にあるときに、反対方向への蓋6050の移動を防止する。このようにして、蓋6050は、デバイス6000の再使用および/または補足的な試料流体の追加を防止するために閉鎖された後に、不可逆的に係止される。
【0147】
可撓性板6080(
図31および
図32に示される)は、外側表面6081と、内側表面6082と、を含む。上述されたように、蓋6050は、上側ハウジング6010と可撓性板6080との間に移動可能に配設される。同様に述べると、蓋6050の外側表面6051は、上側ハウジング6010の内側表面に面しており、蓋6050の内側表面6052は、可撓性板6080の外側表面6081に面している。可撓性プレートは、3つの変形可能なアクチュエータ6083を含み、その各々は、蓋6050の対応する試薬アクチュエータ6064および試薬容器6701、6702、6703のうちの1つと整列している。したがって、蓋6050がハウジング6001に対して移動されたときに、試薬アクチュエータ6064および変形可能なアクチュエータ6083は、試薬モジュール6700を作動させる。特に、詳細に後述されるように、試薬アクチュエータ6064および変形可能アクチュエータ6083は、試薬マニホールド6730内で試薬容器6701、6702、6703を移動させて、容器内に封止されている試薬を放出する。
【0148】
可撓性板6080は、変形可能なアクチュエータ6083の各々の少なくとも3つの側面を包囲するためのチャネル6084を画定する。したがって、変形可能なアクチュエータ6083の各々は、材料の小さなストリップ(またはリビングヒンジ)6085によって可撓性板6080に連結されたままである。したがって、試薬アクチュエータ6064が変形可能アクチュエータ6083の外側表面6086に内向きの力を及ぼしたときに、変形可能なアクチュエータは、
図34の矢印HHによって示されるように、試薬モジュール6700に向かって内向きに屈曲または変形する。この動作により、変形可能なアクチュエータ6083の各々の内側表面6087は、試薬容器(および変形可能な支持部材6770に内向きの力を加え、それによって、
図34の矢印HHで示されるように、試薬マニホールド6730内で試薬容器を下向きに移動させる。
【0149】
図33、
図34、
図44および
図45を参照すると、試薬モジュール6700は、試薬マニホールド(またはハウジング)6730、3つの試薬容器6701、6702、6703、および変形可能な支持部材6770を含む(
図35および
図36を参照)。試薬モジュール6700は、封止された試薬容器内での試薬の長期保管、本明細書に記載される方法の間の使用のために、試薬容器から試薬を放出するための試薬容器の作動のための機構を提供する。保管および作動機能を提供することに加えて、試薬モジュール6700はまた、試薬および/または他の流体がデバイス6000内に移されることを可能にする流体相互接続も提供する。具体的には、本明細書に記載されるように、試薬モジュール6700は、デバイス6000内での試薬および物質の選択的な排出、流体連結、および/または移すことを可能にする様式で、流体移送弁6300に流体的に結合される。
【0150】
試薬モジュール6700は、本明細書では試薬R4(二重目的遮断および洗浄液溶液)、試薬R5(酵素試薬)、および試薬R6(基質)として識別されるパッケージ化された試薬を保管し、検出モジュール6800におけるこれらの試薬の容易な開封および使用を可能にする。
図19に概略的に示されるように、試薬モジュール6700は、第1の試薬容器6701(試薬R4を収容する)と、第2の試薬容器6702(試薬R5を収容する)と、第3の試薬容器6703(試薬R6を収容する)と、を含む。試薬容器の各々は、第1の端部部分にコネクタを含み、第2の対向する端部部分に壊れやすい封止部を含む。具体的には、
図33および
図34に示されるように、第1の試薬容器6701は、コネクタ6712と、壊れやすい封止部6713と、を含む。コネクタ6712は、第1の試薬容器6701を変形可能な支持部材6770の嵌合連結部分6775に接続する。壊れやすい封止部6713は、例えば、熱封止されたBOPPフィルム(または任意の他の好適な熱可塑性フィルム)などの任意の好適な封止部である。そのようなフィルムは、試薬容器内の流体と外部湿度との相互作用を防止する優れた障壁特性を有するが、構造的特性も弱いため、必要なときにフィルムを簡単に破壊することができる。試薬容器が穿孔器に押し込まれたときに、後述されるように、壊れやすい封止部が破壊し、液体試薬が、流体移送弁6300によって排出されたときに、適切な試薬リザーバに流入することを可能にする。第1の試薬容器6701の詳細のみが本明細書に示され記載されているが、第2の試薬容器6702および第3の試薬容器6703は、同様の構造および機能を有する。
【0151】
図44および
図45を参照すると、試薬マニホールド6730は、上側(または外側)表面6731と、底側(または内側)表面6732と、を含む。試薬マニホールド6730は、上側表面6731から延在し、その中に試薬容器が配設される3つの試薬タンクを含む。具体的には、試薬マニホールドは、第1の試薬容器6701が内部に配設される第1の試薬タンク6741と、第2の試薬容器6702が内部に配設される第2の試薬タンク6742と、第3の試薬容器6703が内部に配設される第3の試薬タンク6743と、を含む。試薬ハウジング6730は、各試薬タンクの底部分に一対の穿孔器を含む。穿孔器は、試薬容器が試薬ハウジング6730内で下向きに移動されたときに、それぞれの試薬容器の壊れやすい封止を貫通するように構成される。同様に述べると、試薬ハウジング6730は、試薬モジュール6700が作動されたときに、対応する壊れやすい封止部を貫通して、対応する試薬容器を開放する1セットの穿孔器を含む。
図33および
図34を参照すると、一例として、試薬ハウジング6730は、第1の試薬タンク6741内に1セットの穿孔器6754を含む。試薬ハウジング6730は、第2の試薬タンク6742および第3試薬タンク6743に同様の穿孔器を含む。さらに、穿孔器は、壊れやすい封止部が穿孔された後に、試薬モジュール6700の出口ポートと流体連通する試薬容器および/または試薬タンクの内部体積を配置する流路を画定する。
【0152】
変形可能な支持部材6770は、外側表面6771と、内側表面6772と、を含む。上述されたように、外側表面6771は、可撓性板6080の変形可能なアクチュエータ6083のうちの1つと整列した作動領域を含む。内側表面6772は、3つの封止部分6773と、3つの連結部分6775と、を含む。
図33および
図34に示されるように、封止部分6773の各々は、対応する試薬タンクの内部体積(すなわち、試薬リザーバ)を流体隔離するように、試薬ハウジング6730に連結される。連結部分6775は各々、対応する試薬容器のコネクタのうちの1つに連結される。一例として、封止部分6773のうちの1つが第1試薬タンク6741の上部分に連結されて、第1の試薬タンク6741の内部体積を流体隔離(または封止)する。さらに、連結部分6775のうちの1つは、第1の試薬容器6701のコネクタ6712に結合される。
【0153】
変形可能な支持部材6770は、そこに及ぼされる作動力(例えば、変形可能なアクチュエータ6083によって)に応じて、第1の構成(
図33)から第2の構成(
図34)に変形するように構成されている。さらに、変形可能な支持部材6770は、第1の(または変形されていない)構成で付勢される。このようにして、変形可能な支持部材6770は、変形可能な支持部材6770が第1の構成にあるときに、「保管状態」で試薬容器の各々を支持する。同様に述べると、変形可能な支持部材6770は、変形可能な支持部材が第1の構成にあるときに、試薬容器6701の壊れやすい封止6713から離間された穿孔器6754を維持する。
【0154】
蓋6050が移動されたときに、変形可能なアクチュエータ6083によって及ぼされる下向きの力は、変形可能支持部材6770に第2の(または変形された構成)に移行させる(
図34)。同様に述べると、下向きの力が変形可能な支持部材6770の反対の付勢力を克服するのに十分である場合、変形可能な支持部材6770は、
図34の矢印HHによって示されるように、第2の構成に移行する。これにより、試薬容器の各々が対応する試薬タンク内で下向きに移動し、穿孔器を各試薬容器の壊れやすい封止部に接触させる。同様に述べると、変形可能な支持部材6770が第2の構成にあるときに、穿孔器6754は、試薬容器6701の壊れやすい封止6713を貫通し、それによって、試薬R4を試薬容器6701内から放出する。
図34では、第1試薬容器6701のみの作動を示しているが、試薬モジュール6700が作動されたときに、第1の試薬容器6701、第2の試薬容器6702、第3の試薬容器6703の各々は、このように作動される。したがって、試料投入開口部を被覆し、電子制御モジュール6950に電力を供給することに加えて、蓋6050を閉鎖することはまた、全ての試薬容器も作動させる。
【0155】
3つの試薬容器を含むように示されているが、他の実施形態では、試薬モジュール6700(または本明細書に記載される試薬モジュールのいずれか)は、任意の好適な数の試薬容器を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、試薬モジュールは、本明細書に記載される試薬モジュール2700と同様に、1つの試薬容器のみを含み得る。
【0156】
図44を参照すると、試薬マニホールド6730の外側表面6731は、1セットの弁流体相互接続部6736と、1セットの混合チャンバ流体相互接続部6737と、1セットの検出モジュール流体相互接続部6738と、を含む。これらの流体相互接続部の各々は、内側表面6732に画定された流動チャネル6735によって、デバイス6000内の試薬タンクおよび/または他の構成要素のうちの1つに連結される。さらに、外側表面6731は、複数の装着クリップ6790を含む。したがって、弁流体相互接続部6736(および適切なチャネル6735)は、クリップ6790のうちの1つによって上側表面6731に連結される流体移送弁6300への流体連結を提供する。混合チャンバ流体相互接続部6737(および適切なチャネル6735)は、上側表面6731に連結された混合アセンブリ6250への流体連結を提供する。検出モジュールの流体相互接続部6738(および適切なチャネル6735)は、検出モジュール6800への流体連結を提供する。
【0157】
図37~
図41は、試料調製モジュール6200の様々な図を示す。本明細書に記載されるように、試料調製(またはステージング)モジュール6200は、A)生体試料S1を受容すること、B)生体試料を所望の試薬(例えば、陽性対照試薬R1および逆転写酵素R2)と混合すること、C)生体試料S1から標的RNAを放出するための溶解動作を実施すること、D)cDNAを生成するための逆転写反応を実施すること、およびE)逆転写酵素を不活性化するために得られた溶液を加熱することのいずれかまたは全てを実施することができる。したがって、いくつかの実施形態では、試料調製モジュールは、単一の環境またはモジュール内で実施される効率的で高速なRT-PCRを可能にする。外部の試料調製および煩雑な器具の必要性を排除することによって、デバイス6000は、ポイントオブケア設定(例えば、診療所、薬局など)内または使用者の自宅での使用に適しており、任意の好適な生体試料S1を受容することができる。生体試料S1(および本明細書に記載される投入試料のいずれか)は、例えば、市販の試料収集キットを使用して集められた血液、尿、男性尿道検体、膣検体、子宮頸部スワブ検体、および/または鼻腔スワブ検体であり得る。
【0158】
試料調製モジュール6200は、上側本体6201と、底側本体6202と、加熱器6230と、混合アセンブリ6250と、を含む。上側本体6201および底側本体6202は、集合的に、試料調製ハウジング、流動部材または逆転写チャンバと呼ぶことができる。流動部材は、一緒に連結された2つの部品(上側本体6201および底側本体6202)から構成されるように示されているが、他の実施形態では、流動部材は、モノリシックに構成され得る。試料調製ハウジング(すなわち、上側本体6201および底側本体6202)は、試料投入開口部6212、第1の(または保持)体積6211、および蛇行流動チャネル6214を画定する。いくつかの実施形態では、上側本体6201および/または底側本体6202は、1つ以上の排出口を画定することができる。そのような排出口は、試料が試料調製モジュール6200内に、かつ/または試料調製モジュール6200から移されるときに、試料調製モジュール6200(第1の体積6211および蛇行流動チャネル6214を含む)に空気が流入または流出することを可能にする。さらに、上側本体6201は、デバイス6000内の流体移送弁6300および他の構成要素への試料調製モジュール6200の流体連結を可能にする1セットの流体相互接続部6215を含む。
【0159】
試料投入開口部6212は、第1の(または保持)体積6211がアクセスされ得る開口部である。上述されたように、蓋6050が開放位置にあるときに、生体試料S1は、試料投入開口部6212を介して保持体積6211内に移され得る。第1の(または保持)体積6211は、生体試料S1を試薬と混合し、また加熱することもできる体積である。例えば、いくつかの実施形態では、生体試料S1は、保持体積6211に収集され、対照生物(試薬R1として識別される)および逆転写酵素(試薬R2として識別される)のいずれかまたは両方と混合され得る。対照生物および逆転写酵素は、各々、凍結乾燥するか、または別の方法で固体形態にすることができる。さらに、試薬R1およびR2は、例えば、保管、輸送、または使用中に、試薬R1およびR2がデバイス6000から不注意に脱落するのを防止するために、保持体積6211内に固定され得る。例えば、いくつかの実施形態では、試薬は、カバー、バスケット、または保持体積6211内の他の構造によって、保持体積6211内に固定され得る。
【0160】
いくつかの実施形態では、試薬R1は、陽性対照生物、例えばAliivibrio fischeri、N.subflava、または任意の他の好適な生物である。具体的には、Aliivibrio fischeriは、グラム陰性であり、非病原性であり、生物学的安全性レベル1であり、環境に有害ではなく、ヒトから発見される可能性が極めて低いため、好適である。検出モジュール内の陽性対照表面は、対照生物(例えば、A.fischeri)および標的生物の各々の両方の捕捉プローブを収容する。この配置により、デバイスが正しく機能する場合に、陽性対照表面が色を常に生成することが確実になる。対照生物のみが存在する場合、標的生物のうちの1つの非常に強い陽性が、PCR中の対照生物の増幅を「圧倒する」または「打ち負かす」ことができるであろう。そのような状況下では、陽性対照スポットは、使用者を混乱させるであろう色変化を生成しない。この配置により、検出方法およびデバイス6000が判断をほとんど必要としない方法に従って、最低限の科学的訓練を受けた(または科学的訓練を受けていない)使用者によって動作されることが容易になる。
【0161】
いくつかの実施形態では、試薬R2は、本明細書に記載されるRT-PCR方法を容易にするために、逆転写酵素および他の構成要素を含む。例えば、いくつかの実施形態では、試薬R2は、RT-PCRのための正しい緩衝環境を生成するために必要な塩を含む。試薬R2は、保持体積6211内の生体試料に溶解するように配合される。
【0162】
生体試料は、保持体積6311内で加熱されて、生体試料S1内の細胞を溶解し、生体試料S1と共に含まれる任意のウイルスから標的RNAをさらに溶解(または放出)することができる。言い換えれば、生体試料S1を加熱して、細胞を分解すると共に、そこでウイルスを破壊して、検出のための標的RNAを放出させることもできる。具体的には、加熱器6230は、加熱器6230の第1の部分が保持体積6211内に熱エネルギーを伝達することができるように、試料調製ハウジングおよび/または底側本体6202に連結される。加熱器6230の第1の部分は、生体試料S1を、本明細書に記載される任意の好適な温度および任意の時間期間維持することができる。例えば、いくつかの実施形態では、生体溶液は、溶解温度範囲内の温度に維持されて、リボ核酸(RNA)分子を放出することができる。溶解温度範囲は、例えば、約25C~約70Cであり得る。他の実施形態では、溶解温度範囲は、約25C~約50Cであり得る。
【0163】
試料調製ハウジングの上面図断面を示す
図39を参照すると、第1の体積6211は、入口開口部6213を介して、蛇行流動チャネル6214と流体連通している。このようにして、RT酵素(逆転写溶液とも呼ばれる)と混合される溶解された生体試料は、第1の(または保持)体積6211から蛇行流動チャネル6214を通って流動することができる。より具体的には、圧力勾配が入口開口部6213および増幅物開口部6215にわたって(例えば、流体駆動モジュール6400を介して)適用されたときに、逆転写溶液は、保持体積6211(第1の体積)から蛇行流動チャネル6214を通って流動することができる。蛇行チャネルは、高い表面積対体積比を提供し、したがって、迅速なRT-PCRおよび溶液中の溶解および/またはRT酵素の不活性化を可能にする。
【0164】
使用時には、逆転写溶液は、RT-PCRを実施し、酵素をさらに不活性化するために、蛇行流動チャネル6214を通って流動するように加熱され得る。具体的には、加熱器6230は、加熱器6230の第2の部分が蛇行流動チャネル6214内に熱エネルギーを伝達することができるように、試料調製ハウジングおよび/または底側本体6202に連結される。加熱器6230の第2の部分は、本明細書に記載される任意の好適な温度で、かつ任意の時間期間にわたって逆転写溶液を維持することができる。例えば、いくつかの実施形態では、逆転写溶液は、逆転写温度範囲内の温度に維持されて、相補的デオキシリボ核酸(cDNA)分子を生成することができる。逆転写に迅速に進むことによって、放出されたRNAが逆転写溶液中に存在する滞留時間を最小化することができる。滞留時間を短縮すると、放出されたRNAがリボヌクレアーゼ(RNase)によって分解される可能性を低減することができる。単一の環境で溶解およびRT-PCRを実施することによって、このような潜在的な分解を制限すると、RNA分解のばらつきに起因する不整合を低減することができる。さらに、試料調製モジュール6200によって可能になる迅速かつ単一環境方法は、リボヌクレアーゼ阻害剤を使用せずに、および/または濾過されていない試料上で、本明細書に記載されるRT-PCR法を完了することを可能にすることができる。逆転写温度範囲は、例えば、約30C~約80Cであり得る。他の実施形態では、逆転写温度範囲は、約50C~約60Cであり得る。
【0165】
迅速なRT-PCRを可能にすることに加えて、試料調製モジュール6200はまた、逆転写溶液を、そこに含まれる1つ以上の溶解またはRT酵素を不活性化するのに十分な温度に加熱することもできる。例えば、加熱要素は、チャネル6214内の逆転写溶液を約57℃、約58℃、約59℃、約60℃、約61℃、約62℃、約63℃、約64℃、約65℃、約66℃、約67℃、約68℃、約69℃、約70℃、約71℃、約72℃、約73℃、約74℃、約75℃、約76℃、約77℃、約78℃、約79℃、約80℃、約81℃、約82℃、約83℃、約84℃、約85℃、約86℃、約87℃、約88℃、約89℃、約90℃、約91℃、約92℃、約93℃、約94℃、約95℃、約96℃、約97℃、約98℃、約99℃、約100℃、または100℃以上に加熱してもよい。逆転写溶液を高温に加熱することによって、酵素を失活させることができる。いくつかの実施形態では、試料は、約95℃に約4分間加熱され得る。
【0166】
上述されたように、流動部材は、加熱要素6230と接触しており、これは、例えば、プリント回路基板(PCB)加熱器とすることができる。加熱要素6230は、コネクタ6231および複数のセグメント化された部分を含み、したがって、独立して、保持体積6211および蛇行流動チャネル6214内に熱エネルギーを生成することができる。いくつかの実施形態では、加熱要素6230は、保持体積6211を加熱せずに、試料調製モジュール6200の蛇行部分6214を加熱するように設計されており、逆もまた同様である。
【0167】
保持体積6211と蛇行チャネル6214の様々な部分との間、またはさらには蛇行チャネル6214の異なる部分間で不用意に移送し得る熱エネルギーを最小化するために、1つ以上のスロット6232をPCB6330に切り込み、加熱器6230の様々な部分を隔離することができる。例えば、いくつかの実施形態では、加熱器6230は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Printed Circuit Board Heater for an Amplification Module」と題される、米国特許公開第2017/0304829号に記載されるように、一連のスロットおよび/または開口部を含み得る。さらに、いくつかの実施形態では、加熱器6230の加熱要素は内層上に位置しているため、上部の銅流し(図示せず)を熱拡散器として使用して、蛇行経路に沿った温度変動を最小化することができる。
【0168】
逆転写溶液は、不活性化プロセスを通って流動された後に、流体制御弁6300を通って増幅物ポート6215を介して、混合アセンブリ6250の入口ポート6217に流動されてもよい。混合アセンブリ6250は、蛇行流動チャネル6214からの増幅物を試薬(R3として識別される)と混合して、増幅反応を成功させる。同様に述べると、混合モジュール6250は、所定の投入体積で試薬R3を再構成するように構成される一方で、体積全体で試薬R3の局所的な濃度が均等になるようにする。いくつかの実施形態では、混合アセンブリ6250は、増幅モジュール6600が検出モジュール6800に十分な体積の増幅物を提供するのに十分な体積の液体を生成し、かつ/または移すように構成されている。
【0169】
図40および
図41を参照すると、混合アセンブリ6250は、上側本体6201に連結されており、底側ハウジング6251と、上側ハウジング6260と、振動モータ6265と、を含む。底側ハウジング6251は、混合リザーバ6255を画定し、その中に増幅試薬R3を含む。底側ハウジング6251は、入口連結部6252と、出口連結部6253と、を含み、支持部材6254によって上側本体6201に連結される。上側ハウジング6260は、混合リザーバ6255を囲み、振動モータ6265が装着される表面を提供する。入口連結部6252、出口連結部6253、および支持部材6254は、任意の好適な材料から構築され得、任意の好適なサイズを有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、入口連結部6252、出口連結部6253、および支持部材6254は、試料調製モジュール6200の残りの部分内に移送されるモーター6265からの振動エネルギーの量を制限するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態では、入口結合部6252、出口連結部6253、および/または支持部材6254は、そのようなエネルギーを上側本体6201に伝達しながら、底側ハウジング6251および上側ハウジング6260の振動運動を可能にするように、弾性材料またはエラストマー材料から構成され得る。
【0170】
混合アセンブリ6250内で混合された後に、調製された試料は、次いで、増幅モジュール6600に移される。逆転写溶液、試薬などを含む流体の移送は、流体駆動(または移送)モジュール6400によって引き起こされる。流体駆動(または移送)モジュール6400は、診断試験デバイス6000内の溶液の圧力差および/または流動を生成するように構成されたポンプまたは一連のポンプであり得る。同様に述べると、流体移送モジュール6400は、流体圧力、流体流動を生成し、かつ/または別の方法で、デバイス6000の様々なモジュールを通して生体試料および試薬を移すように構成されている。流体移送モジュール6400は、その中の試料流動と接触しする、かつ/またはそれを受容するように構成されている。したがって、いくつかの実施形態では、デバイス6000は、流体移送モジュール6400および/または試料調製モジュール6200の汚染が以前の実行から汚染され、それによって、結果の精度に悪影響を与える可能性を排除するように、単回使用のために特別に構成されている。示されるように、流体移送モジュール6400は、クリップ6790の1つによって、試薬モジュール6700に連結されるピストンポンプであり得る。流体駆動モジュール6400は、電子制御モジュール6950によって駆動および/または制御され得る。例えば、いくつかの実施形態では、流体駆動モジュール6400は、DCモータを含むことができ、その位置は、回転エンコーダ(図示せず)を使用して制御され得る。他の実施形態では、電子制御モジュール6950のプロセッサ6951は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Devices and Methods for Molecular Diagnostic Testing」と題される、国際特許公開第WO2016/109691号に記載されているように、モータの電流引き込みを監視することによってモータの位置を追跡する閉ループ方法を実装するためのコードを含み、かつ/または方法を実施するように構成され得る。
【0171】
増幅モジュール6600は、流動部材6610と、加熱器6630と、ヒートシンク6690と、を含む。流動部材6610は、調製された溶液S3が内部で流動および/または維持されて溶液S3中の標的核酸分子を増幅することができる体積または一連の体積を画定する任意の好適な流動部材であり得る。加熱器6630は、流動部材6610内で調製された溶液を加熱して、本明細書に記載されるような増幅動作のいずれかを実施できる、流動部材6610に連結された任意の好適な加熱器または加熱器群であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、増幅モジュール6600(または本明細書に記載される増幅モジュールのいずれか)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Printed Circuit Board Heater for an Amplification Module」と題される、米国特許公開第2017/0304829号に示され記載される増幅モジュールと同様であり得る。
【0172】
いくつかの実施形態では、流動部材6610は、内部で、調製された溶液が維持され、調製された溶液内の核酸分子を増幅するために加熱される単一の体積を画定する。他の実施形態では、流動部材6610は、調製された溶液が流動する「スイッチバック」または蛇行流路を画定することができる。同様に述べると、流動部材6610は、流路が複数の位置で加熱器6630と交差するように湾曲した流路を画定する。このようにして、増幅モジュール6600は、調製された溶液が複数の異なる温度領域を通って流動する「環流」増幅反応を実施することができる。
【0173】
流動部材6610(および本明細書に記載される流動部材のいずれか)は、任意の好適な材料から構成され得、試料の所望の体積に対する所望の増幅性能を容易にするために、任意の好適な寸法を有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、増幅モジュール6600(および本明細書に記載される増幅モジュールのいずれか)は、15分未満の時間で6000倍以上の増幅を実施することができる。例えば、いくつかの実施形態では、流動部材6610(および本明細書に記載される流動部材のいずれか)は、環状オレフィンコポリマーまたはグラファイトベースの材料のうちの少なくとも1つから構成される。そのような材料は、流路内への望ましい熱移送特性を促進する。さらに、いくつかの実施形態では、流動部材6610(および本明細書に記載される流動部材のいずれか)は、約0.5mm未満の厚さを有し得る。いくつかの実施形態では、流動部材6610(および本明細書に記載される流動部材のいずれか)は、約150マイクロリットル以上の体積を有し得、流動は、少なくとも10マイクロリットルの試料が増幅されるようなものであり得る。他の実施形態では、少なくとも20マイクロリットルの試料が、本明細書に記載される方法およびデバイスによって増幅される。他の実施形態では、少なくとも30マイクロリットルの試料が、本明細書に記載される方法およびデバイスによって増幅される。さらに他の実施形態では、少なくとも50マイクロリットルの試料が、本明細書に記載される方法およびデバイスによって増幅される。
【0174】
加熱器6630は、調製された溶液を増幅するために本明細書に記載される機能を実施することができる任意の好適な加熱器または加熱器の集合体であり得る。いくつかの実施形態では、加熱器6630は、調製された溶液が流動する複数の温度ゾーンを確立することができ、かつ/または所望の試験感度を確保するための所望の数の増幅サイクル(例えば、少なくとも30サイクル、少なくとも34サイクル、少なくとも36サイクル、少なくとも38サイクル、または少なくとも60サイクル)を定義することができる。加熱器6630(および本明細書に記載される任意の加熱器)は、任意の好適な設計であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、加熱器6630は、抵抗加熱器、熱電デバイス(例えば、ペルチェ素子)などであり得る。いくつかの実施形態では、加熱器6630は、流路が複数の異なる点で加熱器と交差するように配置された1つ以上の線形「ストリップ加熱器」であり得る。他の実施形態では、加熱器6630は、流路内に複数の異なる温度ゾーンを生成するために、流動部材6610の形状に対応する形状を有する1つ以上の湾曲した加熱器であり得る。
【0175】
増幅モジュール6600は、一般に、調製された溶液に対して熱サイクル動作を実施するように記載されているが、他の実施形態では、増幅モジュール6600は、溶液内の核酸を増幅するために、任意の好適な熱反応を実施することができる。いくつかの実施形態では、増幅モジュール6600(および本明細書に記載される増幅モジュールのいずれか)は、例えば、ループ媒介等温増幅(LAMP)、標的RNA分子を検出するのに有用であり得る核酸配列ベース増幅(NASBA)、鎖置換増幅(SDA)、多重置換増幅(MDA)、分岐増幅法(RAM)、または任意の他のタイプの等温プロセスを含む、任意の好適なタイプの等温増幅プロセスを実施することができる。
【0176】
検出モジュール6800は、増幅モジュール6600からの増幅物および試薬モジュール6700からの試薬を受容して、初期投入試料中の標的生物の存在の有無を示す比色変化を生成するように構成されている。検出モジュール6800はまた、試験の一般的な正しい動作(陽性対照および陰性対照)を示す比色信号も生成する。いくつかの実施形態では、反応によって誘発された色変化は、読み取りが容易な二進法であり、陰影または色相の解釈は必要ではない。検出モジュール6800は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Devices and Methods for Molecular Diagnostic Testing」と題される、国際特許公開第WO2016/109691号に示され記載される検出モジュールと同様であり得る。
【0177】
図64および
図65を参照すると、検出モジュールは、蓋と、検出ハウジング6810と、加熱器6840と、を含む。加熱器6840は、本明細書に記載される回路基板加熱器のいずれかと同様であり得、また、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Devices and Methods for Molecular Diagnostic Testing」と題される、国際特許公開第WO2016/109691号にも示され記載されている。蓋および検出ハウジング6810は、検出のための流動セルを形成する。ハウジング6810は、試料投入ポート6814、第1の試薬入口/出口ポート6815、第2の試薬入口/出口ポート6816を有する検出チャンバ/チャネル6812を画定する。試料入口ポート6814は、増幅モジュール6600の出口に流体連結され、増幅された試料を受容する。第1の試薬ポート6815および第2の試薬ポートは、流体相互接続部6738を介して試薬モジュール6700に連結される。したがって、使用中、洗浄/遮断試薬(例えば、以前にR4として識別された)は、第1の試薬ポート6815または第2の試薬ポート6816を介して検出チャネル6812内に移され得る。同様に、検出酵素(例えば、以前にR5として識別された)および検出基質(例えば、以前にR6として識別された)は、第1の試薬ポート6815または第2の試薬ポート6816を介して検出チャネル6812に移され得る。さらに、第1の試薬ポート6815または第2の試薬ポート6816はまた、廃棄物もしくは過剰な試薬または第1の試薬ポート6815もしくは第2の試薬ポート6816から流出した流動を受容するために使用することもできる。
【0178】
検出チャネル6812は、1つ以上の検出表面6821および非検出表面6826を含む表面6820によって包囲または画定される。検出表面6821は、検出溶液が検出表面6821にわたって流動するときに、標的アンプリコンが結合され得る一連の捕捉プローブを含む。捕捉プローブは、標的アンプリコンを捕捉するか、またはそれに結合するように配合された任意の好適なプローブであり得る。具体的には、いくつかの実施形態では、検出部分6821は5つの検出表面を含む。検出表面の各々は、所望の捕捉プローブ構成を含むように化学的に修飾されている。具体的には、いくつかの実施形態では、第1の検出表面は、淋菌(NG)に特異的なハイブリダイゼーションプローブを含み得る。第2の検出表面は、クラミジアトラコマチス(CT)に特異的なハイブリダイゼーションプローブを含み得る。第3の検出表面は、膣トリコモナス(TV)に特異的なハイブリダイゼーションプローブを含み得る。第4の検出表面は、陰性対照の非標的プローブを含み得る。第5の検出表面は、陽性対照(A.fischeri、N.subflavaなど)のためのハイブリダイゼーションプローブを含み得る。
【0179】
非検出表面6826は、検出表面6821を包囲する表面であり得る。検出モジュール3800を参照して上述されたように、いくつかの実施形態では、表面6820全体(検出表面6821および非検出表面6826を含む)は、本明細書に記載される方法の一部として遮断溶液でコーティングされ得る。
【0180】
流体移送弁6300は、
図19(概略的に)および
図46に示されている。
図47~
図52は、いくつかの異なる動作構成にある流体移送弁6300を示しており、流動(または排出)ハウジング6310は、弁円板6320の位置が見えるように透明な線で示されている。流体移送弁6300は、流動ハウジング6310と、弁本体(または円板)6320と、主ハウジング6330と、モータ6340と、を含む。流動ハウジング6310は、弁円板6320が回転可能に配設される弁ポケットを画定する。流動ハウジング6310は、
図47~
図52に示される、少なくとも6つの移送(または排出)流路を画定する流動構造を含む。具体的には、流路は、試料入口経路6312と、試料出口経路6313と、増幅経路6314と、洗浄溶液(試薬R4)排出経路6315と、検出酵素(試薬R5)排出経路6316と、検出基質(試薬R6)排出経路6317と、を含む。流動ハウジング6310は、移送または排出経路の各々が、本明細書に記載される相互接続部を介してそれぞれのモジュールに連結され得る接続部分を含む。上述された流体接続/排出ポートの各々は、弁ポケット内に開口している。このようにして、弁本体6320が(矢印JJで示されるように)弁ポケットの中心の周りを回転したときに、弁本体6320のスロットチャネル6321は、それらの半径方向および角度方向の位置に応じて、様々な中心ポートを他のポートに接続することができる。複数の半径を使用することにより、単一のポートだけでなく、構成に応じて一度に複数のポートを流体連結させるかまたは排出させることができる。
【0181】
弁アセンブリ6300は、弁ポケット内で弁本体6320の角度方向位置に応じて、様々な異なる構成間で移動され得る。
図47~
図52は、様々な異なる構成のアセンブリを示している。
図47は、試料入口経路6312および試料出口経路6313、ならびに他の流体接続/排出ポートが閉鎖している、ホーム(または初期位置)にある弁アセンブリ6300を示している。
図48は、試料入口経路6312および試料出口経路6313が開放している第1の回転位置にある弁アセンブリ6300を示している。弁アセンブリ6300が第1の位置にある状態で、流体駆動モジュール6400の作動は、蛇行チャネル6214の中に、かつそれを通り、次いで混合アセンブリ6250への生体試料の流動を生成することができる。このようにして、デバイス6000は、本明細書に記載されるようなRT-PCR方法(例えば、方法50、または他のRT-PCR方法のいずれか)を実施することができる。さらに、弁作動のタイミングおよび流体駆動モジュール6400(例えば、ポンプ)に供給される電力は、電子制御モジュール6950によって制御されて、試料調製モジュール6200(蛇行チャネル6214を含む)を通る流量を、RT-PCRのための所望の性能が達成され得る範囲内に維持することができる。
【0182】
混合アセンブリ6250内の混合プロセスが完了した後に、弁アセンブリ6300は、さらに、第2の位置(図示せず)に移動され得る。弁が第2の位置にあるときに、増幅経路6314が開放され(すなわち、流動スロット6321と整列する)、したがって、混合溶液(すなわち、ポストRT-PCR)を増幅モジュール6600内に移送することを可能にする。弁作動のタイミングおよび流体駆動モジュール6400(例えば、ポンプ)に供給される電力は、電子制御モジュール6950によって制御されて、増幅モジュール6600を通る流量を増幅のための所望の性能が達成され得る範囲内に維持することができる。さらに、弁アセンブリ6300が第2の位置にある状態で、流体駆動モジュール6400を連続的に作動させると、増幅された溶液が検出モジュール6800の中に、かつそれを通って移される。
【0183】
本明細書に記載されるように、検出動作は、特定の時間に一連の試薬を検出モジュール内に移すことによって達成される。蓋6050を閉鎖すると、試薬モジュール6700が作動して、それぞれの封止された容器から試薬を開放(または放出)するが、試薬は、検出モジュール6800内で必要になるまで試薬モジュール6700内に留まる。特定の試薬が必要なときに、回転弁6300は、試薬モジュール6700への適切な排出経路(すなわち、洗浄溶液排出経路6315、検出酵素排出経路6316、および検出基質排出経路6317)を開放する。流体駆動モジュール6400の作動は、(検出モジュール6800を介して)試薬モジュール6700の増幅物ポートに真空を適用し、したがって、選択された試薬を試薬モジュール6700から検出モジュール6800内に移す。
図49は、検出酵素排出経路6316が開放された第3の回転位置にある弁アセンブリ6300を示す。弁アセンブリ6300が第3の位置にある状態で、流体駆動モジュール6400の作動は、検出酵素(試薬R5)の流動を検出モジュール6800内に生成することができる。
図50は、洗浄溶液(試薬R4)の排出経路6315が開放された第4の回転位置にある弁アセンブリ6300を示している。弁アセンブリ6300が第4の位置にある状態で、流体駆動モジュール6400の作動は、洗浄(または多目的洗浄/遮断)溶液(試薬R4)の流動を検出モジュール6800内に生成することができる。
図51は、検出基質(試薬R6)排出経路6317が開放された第5の回転位置にある弁アセンブリ6300を示している。弁アセンブリ6300が第4の位置にある状態で、流体駆動モジュール6400の作動は、検出モジュール6800内への基質(試薬R6)の流動を生成することができる。
図52は、排出経路が閉鎖された最終位置にある弁アセンブリ6300を示している。
【0184】
上記の装置3000、方法30、および方法40を参照して記載されたように、いくつかの実施形態では、デバイス6000は、多目的洗浄/遮断試薬(例えば、試薬R4)を含み得、別個の時間で、多目的洗浄/遮断試薬の一部分を検出モジュール6800内に移すことができる。具体的には、いくつかの実施形態では、弁アセンブリ6300は、最初に第4の位置(
図50)に配置され得、多目的洗浄/遮断試薬の一部分は、本明細書に記載される方法30または方法40に従って、検出モジュール6800内に移され得る。さらに、所定の滞留時間(例えば、30秒)の後に、弁アセンブリ6300がまだ第4の位置にある状態で、流体駆動モジュール6400の動きを逆にして、多目的洗浄/遮断試薬を試薬モジュール6700内に引き戻すことができる。次いで、弁アセンブリ6300は、第1の位置に移動されて、生体試料の処理を開始することができる。
【0185】
デバイス6000は、本明細書に記載される方法のいずれかを実施するために使用され得る。
図53A~
図53Cを参照すると、デバイスを使用するために、生体試料S1は、上述されるように、(例えば、試料移送ピペット6110を使用して)最初に試料投入開口部6021内に配置される。次いで、蓋6050は、
図53Bの矢印KKによって示されるように、閉鎖位置に移動される。上述されたように、蓋6050を閉鎖することは、試料投入体積6211を封入し、電子制御モジュール6950(および/またはその中に含まれるプロセッサ6951)を作動させ、上述されたように試薬モジュール6700も作動させる。次いで、デバイス6000は、電力源コード6905を介して差し込まれて、デバイス6000を電力源に連結する。このようにして、デバイス6000は、試料S1をその中に配置し、デバイスに差し込むことに加えて、単一の動作(すなわち、蓋の閉鎖)によって作動され得る。
【0186】
ポイントオブケア試験のためのフィンガースティック血液中のHIV-1 RNAを検出するためにRT-PCRデバイスを使用する方法およびデバイス
いくつかの実施形態では、デバイス6000または本明細書に記載されるデバイスのいずれかを使用して、HIV-1 RNA検出アッセイを実施することができる。HIV-1 RNA検出アッセイにより、非技術者が、安価で使い捨ての器具を必要としないデバイスを使用して、家庭で、またはあまり発達していない国の設定で、自己収集したフィンガースティック血液試料を試験することを可能にするであろう。このデバイスの使用は、急性または早期のHIV感染の診断および抗レトロウイルス治療の監視を変える可能性がある。いくつかの実施形態では、分子診断試験デバイスは、ウイルスRNAからのデバイス上のcDNA生成を可能にする増幅および検出プラットフォームを含む。いくつかの実施形態では、cDNAは、蛇行PCRモジュールを通って増幅される。
【0187】
いくつかの実施形態では、分子診断試験デバイスは、HIV-1 RNA検出プラットフォーム(RT強化プラットフォーム(RTEP)とも呼ばれる)を含む。診断試験デバイスのいくつかのバージョンは、投入ポート、不活性化チャンバ、混合チャンバ、2つの逆止弁、必要な試薬容器を有するPCRモジュールおよび検出モジュール、ピストンポンプ、ならびに回転弁から構成される。
図15および
図19は、各々、RTEPバージョンの2つの例をそれぞれ示しており、これは、本明細書に記載されるようなRT-PCRを実施できる試料調製モジュールを含む。さらに、試料調製モジュールは、ウイルスRNAの処理を可能にする逆転写ステップを一体化している。RTステップは、プロセスの残りの部分とインラインであり、したがって、それを必要としないパネルのためのファームウェア制御を介してバイパスされ得る。加熱することは、溶解加熱器ボード上の別個の独立した加熱回路によって提供される。
【0188】
使用時には、血漿(または血液)が溶解チャンバに分注され、シリンジポンプが起動されて真空を生成し、これにより、ウイルス溶解が発生する加熱されたチャネルを通って試料が流動し、ゲノムRNAを放出する。チャネルの温度はウイルスRNAの変性を確実にするために、92Cに制御されて、試料流体はこの温度で約30秒間保持される。次いで、試料流体は逆止弁を通り、いくつかの凍結乾燥ビーズ(PCRマスター混合試薬およびRT酵素)を保持する混合チャンバ内に進み、試料流体によって水和される。チャンバは、小さな振動モータによって混合され、次いで、試料は、ウイルスRNAのcDNAへの逆転写を可能にするために、55Cでインキュベートされる。この時点で、シリンジポンプは方向を逆にし、混合チャンバを加圧して、チャンバ内容物を95Cで追加の加熱器を介して移動させて、RT酵素を不活性化し、熱安定性ホットスタートDNAポリメラーゼを活性化する。次いで、プロセスは、本明細書に記載されているか、または本明細書に組み込まれている特許出願もしくは刊行物のいずれかに記載されるように、PCRおよび検出モジュールへと続く。
【0189】
いくつかの実施形態では、方法およびデバイスは、HIV-1ゲノムの著しい変動に対処するための複数のプライマーセットを含み得る。例えば、標的配列(複数可)は2つの遺伝子の高度に保存された領域を含み得、プライマーセットは両方ともマルチプレックスアッセイの一部として含まれ得る。さらに、方法およびデバイスは、溶解および増幅対照として機能するであろうMS2 RNAバクテリオファージのプライマーを含み得る。したがって、結果として得られるマルチプレックスアッセイは、3つのプライマーセット、HIV-1ゲノムの別個の保存領域に対応する2つのセット、およびMS2ファージゲノムに対応する1つのセットを含むであろう。より詳細に後述されるように、各セットの1つのプライマーは、本明細書で使用されるワンステップRT-PCRアッセイのための逆転写ステップのプライミングに使用される。
【0190】
いくつかの実施形態では、方法およびデバイスは、2つのHIV-1遺伝子およびMS2ファージ陽性対照(表1)のための順方向プライマーおよび逆方向プライマー、ならびにTaqManプローブを含み得る。順方向プライマーは、5’ビオチン化されている。また、逆方向プライマーは、ワンステップRT-PCRの逆転写反応を開始するためにも使用される。示された配列を有するTaqManプローブは、5’末端にFAMフルオロフォアを有し、3’末端にBHQ2クエンチャーを有する。
【表1】
【0191】
いくつかの実施形態では、最適化されたマルチプレックスPCRアッセイは、HIV-1およびMS2ファージ逆方向PCRプライマーを使用して、cDNA合成をプライミングするワンステップマルチプレックス逆転写(RT)-PCRアッセイを含み得る。方法およびデバイスは、逆転写酵素と耐熱性DNAポリメラーゼ酵素との両方を含む、検証されたプライマーセットおよび最適化されたマスターミックスを含み得る。このようにして、デバイスは「超高速」ワンステップマルチプレックスRT-PCRアッセイを実施して、2つのHIV-1遺伝子およびMS2陽性対照遺伝子に対応するアーマードRNAテンプレートを増幅することができる。PCRを開始する前のRNAテンプレートからのcDNAの生成に必要な時間は、試料から回答までのターンアラウンドタイムをアッセイのための20分の仕様を超えて延長されてはならないので、非常に重要である。3つのウイルスアーマードRNAテンプレートの各々は、TE緩衝液で個別に連続的に希釈され、次いで、各希釈は、cDNAを生成するための超高速RTステップを実施するようにプログラムされた研究室器具を使用して、シンプレックスワンステップRT-PCRを受け、続いて、cDNAの「高速」サイクルPCR増幅を行う。
【0192】
いくつかの実施形態では、マルチプレックスRT-PCRアッセイは、以下によって特徴付けられる:1)アッセイは、アッセイされた2つのHIV-1遺伝子およびMS2ファージ遺伝子のアンプリコン配列に対応するアーマードRNAを、これらがプールされたEDTA血漿試料中に希釈されたときに検出および識別し、2)アッセイは、所望のLoDに対応するプールされたEDTA血漿試料中の各HIV-1アーマードRNAの低濃度を検出および識別する。所望の結果を確実にするために、いくつかの実施形態では、アッセイ(またはデバイス)は、別個の専用のRTプライマーを含み得る。いくつかの実施形態では、方法は、RNA二次構造を低減するために、RTステップの温度を上昇させることを含み得る。
【0193】
現在のデバイスおよび方法によって対処される1つの潜在的な問題は、EDTA、ヘム、およびIgGを含む血漿中のPCR阻害剤の存在に関連している。一部には、試料調製モジュールおよび方法は、核酸を結合するナイロンフィルタを使用することによって、この問題を回避しており、というのも、いったん結合した核酸は、洗浄され、次いで、血漿成分をほとんど有さない緩衝液中で溶出され得るためである。MS2ファージ処理および増幅制御の使用により、阻害剤の存在の高感度な測定基準が提供される。PCR阻害が持続する場合、熱溶解ステップは延長されてもよく、かつ/またはアッセイは、Omni Klentaqなどの糞便阻害剤に耐性のある熱安定性DNAポリメラーゼのバリアントをで使用してもよい。EDTAによるMgのキレート化がPCR効率を低下させる場合、PCRマスターミックス中のその濃度を高めることができる。
【0194】
いくつかの実施形態では、HIVを検出する方法は、血漿を分離することを含み得る。特に、血漿は、ARV治療を受けている人のウイルス学的制御を監視するための、および急性/初期HIV感染におけるHIV-1RNAの検出のための好ましい試料マトリックスである。他の試料のタイプ(例えば、乾燥血液スポット)は、遠隔地では許容可能な代替手段であり、ウイルスはまた、膣分泌物および精液を含む他の体液中にも見出され得ることが理解される。しかしながら、いくつかの実施形態では、デバイスおよび方法は、任意の所望の分離方法を使用する任意の好適な血漿分離モジュールを含み得る。
【0195】
いくつかの実施形態では、方法は、家庭内または遠隔地の発展途上国の設定で実施され得る段階的な使用者指示プロセスを含む。動作は、以下を含む:(1)使用者が市販のランセットを使用してフィンガースティック血液を得る;(2)血液を直接またはキットに含まれる市販のキャピラリーチューブを使用して血漿分離モジュールに堆積させる;(3)血漿分離モジュールによって血漿が血液から自動的に分離される;(4)使用者がキットに含まれるトランスファーピペットを使用して血漿分離モジュールからHIV分子診断デバイス(試料投入ポート)に血漿を移送する;(5)使用者が任意の数のボタンを押すことによってデバイスを起動する;(6)使用者が結果を記録する。いくつかの実施形態では、デバイスは、物理的に一体化された(すなわち、分子診断デバイス内にある)血漿分離モジュールを含む。
【0196】
血漿体積は、フィンガースティック血液の投入体積と分離効率との関数である。フィンガースティックの血液体積の推定値は、広範囲にわたることが理解されているが、少なくとも1つの市販のランセット(BDブルー)は、平均400ulの血液を産出することが報告されている(参照)。フィンガースティック血液は、市販のEDTAコーティングされたキャピラリーチューブを使用して収集され得、その内容物は、血漿分離モジュールの投入ポート内に堆積され得る。分離効率は平均でフィンガースティック血液体積の約30%である。したがって、クリックHIV-1デバイスの予想されるLoDが200ウイルスコピー/ml以下の血漿および30%の血漿分離効率であることを考えると、このLoDを満たすために必要な最小の投入体積は、150ulの血液であり、これは、血漿HIV-1濃度200コピー/mlで8つのHIV-1ウイルスコピーを含む45ulの血漿を産出することになる。
【0197】
いくつかの実施形態では、方法は、ペンシルバニア大学のChangchun Liu教授のグループによって開発され、Drummond Scientificにライセンスされたタイプと同様の超疎水性血漿分離器を使用して血漿を分離することを含む。そのような機構は、200ulのEDTA抗凝固血液から65ulのヘモグロビンを含まないPCR適合血漿を10分未満で抽出することが示されている。いくつかの実施形態では、分離器は、フィンガースティック血液が堆積される超疎水性試料ウェル、および逆非対称ポリスルホン膜(Vivid(登録商標)Plasma Separation membrane、Pall)を収容するためにクラムシェルスタイルのケーシングを使用する1.5×1×0.3インチ幅の使い捨てデバイスを含み得る。この組み合わせにより、試料中の赤血球(RBC)が膜を通過するのではなく、膜から離れて沈殿することが可能になり、膜の詰まりを防止し、より効率的な分離手段を提供する。次いで、血漿は血漿出口ポートに集合し、ぴったりと収まるピペットのプランジャを引き抜くことによって生成される簡単な低圧真空を使用して除去され得る。
【0198】
いくつかの実施形態では、方法は、最小限の溶血で無細胞血漿から血液の細胞成分の側方流動分離を可能にする保護カートリッジ内に収容されたスパイラルガラス繊維膜を使用して血漿を分離することを含む。そのような分離デバイスは、少量のフィンガースティック血液試料を受容するHemaSpot-SEデバイスを含み得る。4~5滴のフィンガースティック血液(約150μL)がデバイスの中心に適用されたときに、約50μLの血漿の収量が生成され、したがって、上述された超疎水性膜によって得られるものと同様に、約33%の血漿分離効率を提供する。ここにもたらされる連携の一部として、現在のデバイスは150~400ulの血液体積を受け入れ、乾燥剤を除去するように変更される。フィンガースティック血液試料が投入ポートに適用されると、カートリッジは閉鎖される。3分以内に血漿分離が完了し、カートリッジが開放され、静止湿潤スパイラルフィルタの血液を含まない血漿含有端子の半分が切り離され、ユニバーサル輸送媒体を含むキャップ付きチューブに移される。チューブを旋回させて膜からウイルスを溶出させ、次いで、液体をピペットでHIV-1分子診断試験デバイスの試料処理リザーバに移送する。
【0199】
いくつかの実施形態では、方法は、血漿分離を必要としないが、分子診断試験デバイス内のETDA抗凝固血液試料中のHIV-1RNA(プロウイルスDNAではない)のみを選択的に増幅する。
【0200】
上気道感染症を検出するためのRT-PCRデバイスを使用し方法およびデバイス
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるデバイスのいずれかは、鼻腔スワブ試料からインフルエンザA(Flu A)、インフルエンザB(Flu B)、および呼吸器合胞体ウイルス(RSV)を検出するための単回使用(使い捨て)、ポイントオブニードの診断試験を実施するために使用され得る。これにより、臨床医は抗ウイルス剤の効果が高い患者を識別しやすくなり、抗菌薬耐性につながる不要で効果のない抗生物質の処方を減少させることができる。
【0201】
いくつかの実施形態では、試験デバイス(および方法)は、鼻腔スワブを含むことができ、本明細書に記載されるデバイスのいずれかで実施され得る。
【0202】
いくつかの実施形態では、方法およびデバイスは、以下の病原体(表2に列挙される)との交差反応が確実に制限されるように最適化され得る。
【表2】
【0203】
さらに、アッセイ性能は、感染した鼻分泌物(以下のリストを参照)中に存在する可能性があり、一般的な局所鼻粘膜充血除去剤(Afrin)、局所ステロイド鼻スプレー(Flonase)、ならびにヒト全血およびムチンを含むデバイス性能を妨害する可能性がある無生物物質の存在下での性能低下を回避するように最適化され得る。いくつかの実施形態では、各アッセイは、試料処理ステップから、検出プラットフォーム上でのRT-PCR増幅からアンプリコン検出まで、アッセイ性能を監視するMS2バクテリオファージを陽性対照として含む。これらまたは他の物質がアッセイ性能のいずれかの側面を阻害する場合、陽性対照は「検出されなかった」と登録され、アッセイ結果は不確定になる。
【表3】
【0204】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるシステムのいずれかは、DNA細菌(すなわち、ジェジュニ(jejuni)、サルモネラエンテリカ(S.enterica)、赤痢菌SPS(Shigella sps))とRNAウイルス標的(ノロウィルス)との両方を同時に検出する腸管病原診断アッセイを実施するように改変することができる。
【0205】
増幅モジュールは、一般に、調製された溶液上で熱サイクル動作を実施するように本明細書に記載されているが、他の実施形態では、増幅モジュールは、溶液中の核酸を増幅するための任意の好適な熱反応を実施することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される増幅モジュールのいずれかは、例えば、ループ媒介等温増幅(LAMP)、標的RNA分子を検出するのに有用であり得る核酸配列ベース増幅(NASBA)、鎖置換増幅(SDA)、多重置換増幅(MDA)、分岐増幅法(RAM)、または任意の他のタイプの等温プロセスを含む、任意の好適なタイプの等温増幅プロセスを実施することができる。
【0206】
本発明の様々な実施形態が上述されたが、それらは、例示としてのみ提示されており、限定的なものではないことが理解されるべきである。上述された方法および/または概略図が特定の順序で発生する特定のイベントおよび/またはフローパターンを示す場合、特定のイベントおよび/またはフローパターンの順序は変更されてもよい。実施形態が特に示され記載されてきたが、形態および詳細の様々な変更が行われ得ることが理解されるであろう。
【0207】
例えば、本明細書に示され記載される試料投入モジュール、試料調製モジュール、増幅モジュール、加熱器アセンブリ、および検出モジュールのいずれかは、任意の好適な診断装デバイスに使用され得る。そのようなデバイスは、例えば、ポイントオブケア設定および/または使用者の自宅で使用され得る単回使用のデバイスを含み得る。同様に述べると、いくつかの実施形態では、デバイス(および本明細書に示され記載される他のデバイスのいずれか)は、分散型試験施設で使用するように構成され得る。さらに、いくつかの実施形態では、本明細書に示され記載される試料投入モジュール、試料調製モジュール、増幅モジュール、加熱器アセンブリ、および検出モジュールのいずれかは、CLIAが免除されたデバイス内に含まれてもよく、かつ/またはCLIAが免除された方法に従ってデバイスの動作を容易にすることができる。同様に述べると、いくつかの実施形態では、本明細書に示され記載される試料投入モジュール、試料調製モジュール、増幅モジュール、および検出モジュールは、制限された誤用の可能性をもたらし、かつ/または誤って使用された場合に制限された危害危険をもたらすのに十分な精度で結果を生成することができる十分に単純な様式で、デバイスの動作を容易にすることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に示され記載される試料投入モジュール、試料調製モジュール、増幅モジュール、および検出モジュールは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、「Devices and Methods for Molecular Diagnostic Testing」と題される、国際特許公開第WO2016/109691号に示され記載される診断デバイスのいずれかに使用され得る。
【0208】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法50および
図17A~
図17Cに関して記載される方法のいずれかは、表4に提供される以下の時間、温度、および体積の範囲を含み得る。
【表4】
【0209】
本明細書に記載されるデバイスおよび方法は、組織試料(例えば、血液試料)などの任意の好適なタイプの生体試料を分析するために使用され得る。場合によっては、生体試料は、対象から採取された体液を含む。場合によっては、体液は、核酸を含む1つ以上の細胞を含む。場合によっては、1つ以上の細胞は、細菌、古細菌、原生生物、および真菌を含むがこれらに限定されない1つ以上の微生物細胞を含む。場合によっては、生体試料は、1つ以上のウイルス粒子を含む。場合によっては、生体試料は、性感染症を引き起こす1つ以上の微生物を含む。試料は、対象からの試料、例えば、全血、血液製剤;赤血球;白血球;バフィーコート;スワブ;尿;喀痰;唾液;精液;リンパ液;内リンパ;外リンパ;胃液;胆汁;粘液;皮脂;汗;涙;膣分泌;嘔吐物;排泄物;母乳;耳垢;羊水;脳脊髄液;腹水;胸水;生検試料;嚢胞からの液体;滑液;硝子体液;房水;滑液;洗眼液;眼球吸引液;血漿;血清;肺洗浄液;肺吸引液;動物(ヒトを含む)の組織(肝臓、脾臓、腎臓、肺、腸、脳、心臓、筋肉、膵臓、細胞培養を含むが、これらに限定されない)、ならびに上述された試料から得られた溶解物、抽出物、または材料および画分、または試料の上にまたは中に存在し得る任意の細胞、微生物、およびウイルスを含み得る。試料は、一次培養の細胞または細胞株を含み得る。細胞株の例としては、293-Tヒト腎臓細胞、A2870ヒト卵巣細胞、A431ヒト上皮細胞、B35ラット神経芽腫細胞、BHK-21ハムスター腎臓細胞、BR293ヒト乳房細胞、CHO中国ハムスター卵巣細胞、CORL23ヒト肺細胞、HeLa細胞、またはJurkat細胞が挙げられるが、これらに限定されない。試料は、ウイルス、細菌、原生生物、モネラン、クロム肺胞、古細菌、または真菌の1つ以上を含む、微生物の均一または混合した集団を含み得る。生体試料は、尿試料、膣スワブ、子宮頸部スワブ、肛門スワブ、または頬スワブであり得る。生体試料は、病院、研究室、臨床または医療研究室から入手され得る。
【0210】
しかしながら、本明細書に記載されるデバイスおよび方法は、ヒト試料で分子診断試験を実施することに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるデバイスおよび方法のいずれかは、獣医試料、食品試料、および/または環境試料と共に使用され得る。環境源の例としては、農地、湖、河川、貯水池、通気孔、壁、屋根、土壌試料、植物、プールが挙げられるが、これらに限定されない。工業用供給源の例としては、クリーンルーム、病院、食品加工エリア、食品生産エリア、食品、医療研究室、薬局、および調剤センターが含まれるが、これらに限定されない。ポリヌクレオチドが隔離され得る対象の例としては、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、および哺乳類などの多細胞生物が挙げられる。哺乳類の例としては、霊長類(例えば、類人猿、猿、ゴリラ)、げっ歯類(例えば、マウス、ラット)、牛、豚、羊、馬、犬、猫、またはウサギが含まれる。いくつかの例では、哺乳動物はヒトである。
【0211】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるデバイスまたは方法のいずれかは、試料緩衝液を含むことができ(例えば、試料調製モジュール、試料移送マニホールド、または試薬モジュール内)、かつ/または試料緩衝液を生体試料と混合することができ、または本明細書に記載されるように、試料緩衝液を洗浄/遮断溶液として使用することができる。場合によっては、試料緩衝液は、ウシ血清アルブミンおよび/または界面活性剤を含み得る。場合によっては、試料緩衝液は、約0.1%~5%のウシ血清アルブミンを含む。場合によっては、試料緩衝液は、約0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、1%、1.5%、2%、2.5%、3%、4%、または5%のウシ血清アルブミンを含む。場合によっては、試料緩衝液は、約0.1%~20%の界面活性剤を含む。場合によっては、試料緩衝液に約1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、または10%の界面活性剤を含む。場合によっては、界面活性剤はTween-20である。使用する試料緩衝液の選択は、意図された方法によって異なり得る。例えば、洗浄ステップを使用する場合と洗浄ステップを使用しない場合とで、試料緩衝液の選択が異なる場合がある。洗浄ステップを使用しない場合、試料緩衝液は、溶解および後続のPCR反応に適した緩衝液であってもよい。
【0212】
いくつかの実施形態では、試料緩衝液は、Tris HCl、Tween-80、BSA、Proclin、およびAntifoam SE-15を含み得る。いくつかの実施形態では、試料緩衝液は、50mM Tris pH 8.4、Tween-80、2%(w/v)、BSA、0.25%(w/v)、Proclin 300 0.03%(w/v)、およびAntifoam SE-15、0.002%(v/v)の精製水で構成された組成を有し得る。Tris HCLは、PCRの一般的な緩衝液である。熱サイクル中に加熱されると、pHが低下することがあり、例えば、25℃の温度で8.4のpHを有するTris緩衝液は、約95℃まで加熱されると、約7.4程度のpHに低下することがある。濃度範囲は0.1mM~1Mである。pH範囲は6~10である。任意の他のPCR互換緩衝液、例えばHEPESを使用することができた。プロクリン300は、収集培地の長期保存性を確保するための防腐剤として使用される広範なスペクトルの抗菌剤である。それは、0.01%(w/v)~0.1%(w/v)で使用され得る。他の多くの抗菌剤が当技術分野で知られており、試料緩衝液で使用され得る。いくつかの実施形態では、試薬または洗浄緩衝液は、製造中の発泡およびデバイスを通る流体の移動を低減するために、Antifoam SE-15を含み得る。それは、0.001%(v/v)~1%(v/v)で使用され得る。任意の他の消泡剤、例えば、消泡剤204、消泡剤A、消泡剤B、消泡剤C、または消泡剤Y-30も使用され得る。
【0213】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される増幅モジュールのいずれかは、「迅速な」PCR(例えば、約10分未満で少なくとも30サイクルを完了する)、および出力信号の迅速な生成(例えば、検出モジュールを介して)を実施するように構成され得る。同様に述べると、本明細書に記載される増幅モジュールは、体積を処理するように、寸法サイズを有するように、かつ/または本明細書に記載されるように、約10分未満、約9分未満、約8分未満、約7分未満、約6分未満、もしくはその間の任意の範囲での迅速なPCRまたは増幅を容易にする材料から構成されるように構成され得る。
【0214】
いくつかの実施形態では、検出モジュールのいずれかは、本明細書に記載される任意の好適な構造または組成の捕捉プローブを含み得る。そのような捕捉プローブは、例えば、一本鎖核酸、抗体、または結合タンパク質のいずれかであり得る。一部の実施形態では、捕捉プローブは、以下の一般的な構造を有する(ここでのDNA塩基配列は単なる例であり、標的アンプリコンによって異なる):
5’末端-/5AmMC6/TCTCGTAAAGGGCAGCCCGCAAG-3’末端
【0215】
他の実施形態では、捕捉プローブは、この構造に従って、スペーサ分子も含むように変更され得る:
5’末端-/5AmMC6//iSpl8/TCTCGTAAAGGGCAGCCCGCAAG-3’末端
【0216】
ここで、/5AmMC6/は、5’アミノ修飾体C6-統合DNAテクノロジーズであり、/iSpl8/は、Intスペーサー18-統合DNAテクノロジーズである。他の実施形態では、捕捉プローブは、この構造に従って、意図されたDNA塩基のみを含むように修飾され得る:
5’末端-TCTCGTAAAGGGCAGCCCGCAAG-3’End
【0217】
他の実施形態では、捕捉プローブはまた、この構造に従って、余分な非標的塩基を含む:
5’末端-GGGGGGG TCTCGTAAAGGGCAGCCCGCAAG-3’末端
【0218】
いくつかの実施形態では、捕捉プローブは、比較的高い融解温度(Tm)値(例えば、約67℃)を有するように配合、設計、または操作され得る。他の実施形態では、捕捉プローブは、35℃~85℃、60℃~85℃、60℃~75℃、65℃~70℃、または66℃~68℃の範囲の融解温度(Tm)値を有し得る。高いTm値を有する捕捉プローブの1つの利点は、動作中にフローセルを広い範囲の温度に加熱することができ、捕捉プローブが標的アンプリコンを放出することを引き起こすことがないことである。
【0219】
いくつかの実施形態では、捕捉プローブは、淋菌、クラミジアトラコマチス、膣トリコモナス、ナイセリアサブフラバ、およびバチルスアトロファエウスまたはランダム塩基からの配列などの陰性対照配列に対して設計される。
【0220】
本明細書に記載のいくつかの実施形態は、様々なコンピュータ実装操作を実行するための命令またはコンピュータコードを、その上に有する非一時的コンピュータ可読媒体(非一時的プロセッサ可読媒体とも称され得る)を有する、コンピュータ記憶製品に関する。コンピュータ可読媒体(またはプロセッサ可読媒体)は、それ自体が一時的伝搬信号(例えば、スペースまたはケーブルなどの伝送媒体に情報を伝達する伝搬電磁波)を含まないという意味で非一時的である。媒体およびコンピュータコード(コードとも呼ぶことができる)は、特定の目的または複数の目的のために設計および構築されたものであり得る。非一時的コンピュータ可読媒体の例には、それだけには限定されないが、ハードディスク、フロッピーディスク、および磁気テープなどの磁気記憶媒体、コンパクトディスク/デジタルビデオディスク(CD/DVD)、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、およびホログラフィックデバイスなどの光記憶媒体、光ディスクなどの光磁気記憶媒体、搬送波信号処理モジュール、ならびに特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、読み取り専用メモリ(ROM)およびランダムアクセスメモリ(RAM)デバイスなどの、プログラムコードを記憶および実行するように特別に構成されているハードウェアデバイスが含まれる。
【0221】
コンピュータコードの例としては、マイクロコードまたはマイクロ命令、コンパイラによって生成されるような機械命令、ウェブサービスを生成するために使用されるコード、およびインタプリタを使用してコンピュータによって実行される、より高レベルの命令を含むファイルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。例えば、実施形態は、命令型プログラミング言語(例えば、C、Fortranなど)、関数型プログラミング言語(Haskell、Erlangなど)、論理プログラミング言語(例えば、Prolog)、オブジェクト指向プログラミング言語(例えば、Java(登録商標)、C++など)、もしくは他の適切なプログラミング言語および/または開発ツールを使用して実装され得る。コンピュータコードのさらなる例は、制御信号、暗号化コード、および圧縮コードを含むが、これらに限定されない。
【0222】
制御モジュール内に含まれるプロセッサ(ならびに本明細書に記載されるプロセッサおよび/またはコントローラのいずれか)は、例えば、コントローラのメモリへのデータの書き込みおよびメモリからのデータの読み出し、ならびにメモリ内に記憶された命令および/または方法の実行を実行するように構成された任意のプロセッサであり得る。さらに、プロセッサは、コントローラ内の他のモジュール(例えば、温度フィードバックモジュールおよび流動モジュール)の動作を制御するように構成され得る。具体的には、プロセッサは、温度データ、電流測定値などを含む信号を受信し、各加熱器アセンブリに供給される電力および/または電流の量、ピストンパルスの所望のタイミングおよびシーケンスなどを決定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、コントローラは、増幅モジュール4600内の様々な加熱アセンブリおよび構成要素に送達される電力を制御する8ビットPICマイクロコントローラであり得る。このマイクロコントローラはまた、電力源の瞬時電力要件を最小化するためのコードを含み、かつ/またはそのように構成され得る。
【0223】
他の実施形態では、本明細書に記載されるプロセッサのいずれかは、例えば、1つ以上の特定の機能を実施するように設計された、特定用途向け集積回路(ASIC)またはASICの組み合わせであり得る。さらに他の実施形態では、マイクロプロセッサは、アナログもしくはデジタル回路、または複数の回路の組み合わせであり得る。
【0224】
本明細書に記載されるメモリデバイスのいずれかは、例えば、読み出し専用メモリ(ROM)構成要素、ランダムアクセスメモリ(RAM)構成要素、電子的にプログラム可能な読み出し専用メモリ(EPROM)、消去可能かつ電子的にプログラム可能な読み出し専用メモリ(EEPROM)、レジスタ、キャッシュメモリ、および/またはフラッシュメモリなどの任意の好適なデバイスであり得る。モジュール(圧力フィードバックモジュールおよび位置フィードバックモジュール)のいずれかは、プロセッサによって実装され、かつ/またはメモリ内に記憶され得る。
【0225】
様々な実施形態が特定の特徴および/または構成要素の組み合わせを有するものとして記載されているが、上述された実施形態のうちのいずれかの任意の特徴および/または構成要素の組み合わせを有する他の実施形態も可能である。
【0226】
本明細書に記載されるデバイスおよび方法のいずれかは、生体試料中の1つ以上の細菌細胞に関連付けられている核酸の存在の有無を検出するために利用され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の細菌細胞は病原体である。いくつかの実施形態では、1つ以上の細菌細胞は感染性である。検出され得る細菌病原体の非限定的な例としては、マイコバクテリア(例えば、結核菌、ウシ結核菌、鳥インフルエンザ菌、らい菌、およびアフリカヌム菌)、リケッチア、マイコプラズマ、クラミジア、およびレジオネラが挙げられる。細菌感染症のいくつかの例としては、グラム陽性桿菌(例えば、リステリア、炭疽菌、エリシペロトリックス種などのバチルス)、グラム陰性桿菌(例えば、バルトネラ、ブルセラ、カンピロバクター、エンテロバクター、エシェリヒア、フランシセラ、ヘモフィルス、クレブシエラ、モルガネラ、プロテウス、プロビデンシア、シュードモナス、サルモネラ、セラチア、シゲラ、ビブリオ、エルシニアの種)、スピロヘータ細菌(例、ライム病を引き起こすボレリアブルグドルフェリを含むボレリア種)、嫌気性細菌(例、放線菌およびクロストリジウム種)、グラム陽性および陰性球菌、腸球菌種、連鎖球菌種、肺炎球菌種、ブドウ球菌種、およびナイセリア種が挙げられるが、これらに限定されない。感染性細菌の具体例としては、ヘリコバクターピロリ菌。レジオネラ肺炎球菌、結核菌、マイコバクテリウムアビウム、マイコバクテリウムイントラセルラーレ、マイコバクテリウムカンサワイ、マイコバクテリウムゴルドーナエ、黄色ブドウ球菌、淋菌、髄膜炎ネイセリア、リステリアモノサイトゲネス、ピオゲネス連鎖球菌(A群連鎖球菌)、アガラクタエ連鎖球菌(B群連鎖球菌)、ビリダンス連鎖球菌、溶連菌フェカリス、ボビス連鎖球菌、肺炎球菌、ヘモフィルスインフルエンザ菌、バチルスアントラシス、エリシペロトリックス、クロストリジウムテタニ、エンテロバクターエアロゲネス、クレブシエラニューモニエ、パシュテラマルチシダ、フソバクテリウムヌクレータム、ストレプトバチルスモニリフォルミス、レポネーマパリディウム、トレポネーマペルテニュ、レプトスピラ、リケッチアおよびアクチノミセスイスラエリイ、アキネトバクター、バチルス、ボルデテラ、ボレリア、ブルセラ、カンピロバクター、クラミジア、クラミドフィラククロストリジウム、コリンバクテリウム、エンテロコッカス、ヘモフィルス、ヘリコバクター、マイコバクテリウム、マイコプラズマ、ステノトロモナス、トレポネーマ、ビブリオ、イェルシニア、アキネトバクターバウマニイ、百日咳菌、ブルセラアボルタス、ブルセラカニス、ブルセラメリテンシス、ブルセラ菌、カンピロバクタージェジュニ、肺炎クラミジア、クラミジアトラコマティス、クラミドフィラプシタチ、クロストリジウムボツリヌス菌、クロストリジウムディフィシル、クロストリジウムペルフリンゲンス、コリネバクテリウムジフテリア、エンテロバクターサザキイ、エンテロバクターアグロメランス、エンテロバクタークロアカエ、エンテロコッカスフェカリス、エンテロコッカスフェシウム、大腸菌、野兎病菌、ヘリコバクターピロリ、レジオネラ肺炎球菌、レプトスピラインターロガンズ、マイコバクテリウムレプラエ、結核菌、マイコバクテリウムウルセランス、肺炎マイコプラズマ、緑膿菌、リケッチアリケッチィ、サルモネラタイピー、サルモネラチフス菌、サルモネラエンティカ、シゲラソンネイ、表皮ブドウ球菌、サプロフィティカスブドウ球菌、ステノトロモナスマルトフィリア、コレラ菌ビブリオ、イェルシニアペスティスなどが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの例では、感染性細菌は淋菌またはクラミジアトラコマチスである。
【0227】
本明細書に記載されるデバイスおよび方法のいずれかは、生体試料中の1つ以上のウイルスに関連付けられている核酸の存在の有無を検出するために利用され得る。ウイルスの非限定的な例としては、ヘルペスウイルス(例えば、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、単純ヘルペスウイルスI(HSV-1)、単純ヘルペスウイルス2(HSV-2)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタインバールウイルス)、インフルエンザAウイルス、C型肝炎ウイルス(HCV)、またはコクサッキーウイルスB3(CVB3)などのピコルナウイルスが挙げられる。他のウイルスとしては、B型肝炎ウイルス、HIVウイルス、ポックスウイルス、ヘパダウイルス、レトロウイルスなどのRNAウイルス、フラビウイルス、トガウイルス、コロナウイルス、D型肝炎ウイルス、オルソミクソウイルス、パラミクソウイルス、ラブドウイルス、バンヤウイルス、フィロウイルスアデノウイルス、ヒトヘルペスウイルス、8型、ヒトパピローマウイルス、BKウイルス、JCウイルス、天然痘、B型肝炎ウイルス、ヒトボカウイルス、パルボウイルスB 19、ヒトアストロウイルス、ノーウォークウイルス、コクサッキーウイルス、A型肝炎ウイルス、ポリオウイルス、ライノウイルス、重症急性呼吸器症候群ウイルス、C型肝炎ウイルス、黄熱病ウイルス、デング熱ウイルス、西ナイルウイルス、風疹ウイルス、E型肝炎ウイルス、およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ウイルスはエンベロープウイルスである。このようなエンベロープウイルスの例としては、ヘパドナウイルス科、ヘルペスウイルス科、イリドウイルス科、ポックスウイルス科、フラビウイルス科、トガウイルス科、レトロウイルス科、コロナウイルス科、フィロウイルス科、ラブドウイルス科、ブニヤウイルス科、オルソミクソウイルス科、パラミクソウイルス科、およびアレナウイルス科のメンバーであるウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。その他の例としては、ヘパドナウイルスB型肝炎ウイルス(HBV)、ウッドチャック肝炎ウイルス、リス(ヘパドナウイルス科)肝炎ウイルス、アヒルB型肝炎ウイルス、サギB型肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス単純ヘルペスウイルス(HSV)タイプ1および2、水痘ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、マウスサイトメガロウイルス(MCMV)、モルモットサイトメガロウイルス(GPCMV)、エプスタインバーウイルス(EBV)、ヒトヘルペスウイルス6(HHVバリアントAおよびB)、ヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)、ヒトヘルペスウイルス8(HHV-8)、カポジ肉腫-関連ヘルペスウイルス(KSHV)、Bウイルスポックスウイルスワクシニアウイルス、痘瘡ウイルス、天然痘ウイルス、サル痘ウイルス、牛痘ウイルス、ラクダ痘ウイルス、エクトロメリアウイルス、マウスポックスウイルス、ウサギポックスウイルス、アライグマウイルス、伝染性軟属腫ウイルス、オルフウイルス、ミルカーノードウイルス、ウシ乳頭口内炎ウイルス、羊痘ウイルス、ヤギ痘ウイルス、ランピー皮膚病ウイルス、鶏痘ウイルス、カナリア痘ウイルス、鳩痘ウイルス、粘液腫ウイルス、ノウサギ線維腫ウイルス、ウサギ線維腫ウイルス、リス線維腫ウイルス、豚痘ウイルス、タナポックスウイルス、ヤバポックスウイルス、フラビウイルスデング熱ウイルス、C型肝炎ウイルス(HCV)、GB肝炎ウイルス(GBV-A、GBV-BおよびGBV-C)、西ナイルウイルス、黄熱病ウイルス、セントルイス脳炎ウイルス、日本脳炎ウイルス、ポワッサンウイルス、ダニ媒介性脳炎ウイルス、キャサヌール森林病ウイルス、トガウイルス、ベネズエラ馬脳炎ウイルス、チクングニアウイルス、ロスリバーウイルス、マヤロウイルス、シンドビスウイルス、風疹ウイルス、レトロウイルスヒト免疫不全ウイルス(HIV)タイプ1および2、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV)タイプ1、2、および5マウス乳癌ウイルス(MMTV)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)、レンチウイルス、コロナウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルス、フィロウイルスエボラウイルス、マールブルグウイルス、メタニューモウイルス(MPV)(ヒトメタニューモウイルス(HMPV)、ラブドウイルス狂犬病ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、ブニヤウイルス、クリミアコンゴ出血熱ウイルスなど)、リフトバレーフィーブウイルス、ラクロスウイルス、ハンタウイルス、オルソミクソウイルス、インフルエンザウイルス(タイプA、B、およびC)、パラミクソウイルス、パラインフルエンザウイルス(PIVタイプ1、2および3)、呼吸器合胞体ウイルス(タイプAおよびB)、麻疹ウイルス、おたふく風邪ウイルス、アリーナウイルス、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、フニンウイルス、マチュポウイルス、グアナリトウイルス、ラッサウイルス、アンパリウイルス、フレクサルウイルス、イッピーウイルス、モバラウイルス、モペイアウイルス、ラテン系ウイルス、パラナウイルス、ピチンデウイルス、プンタ破裂ウイルス(PTV)、タカリベウイルス、およびタミアミウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、ウイルスは非エンベロープウイルスであり、その例としては、パルボウイルス科、サーコウイルス科、ポリローマウイルス科、パピローマウイルス科、アデノウイルス科、イリドウイルス科、レオウイルス科、バーナウイルス科、カリシウイルス科、およびピコルナウイルス科のメンバーであるウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。特定の例としては、イヌパルボウイルス、パルボウイルスBl9、ブタサーコウイルスタイプ1および2、BFDV(くちばしおよび羽病ウイルス、鶏貧血ウイルス、ポリオーマウイルス、サルウイルス40(SV40)、JCウイルス、BKウイルス、セキセイインコ幼虫病ウイルス、ヒトパピローマウイルス、ウシパピローマウイルス(BPV)1型、コットンテールウサギパピローマウイルス、ヒトアデノウイルス(HAdV-A、HAdV-B、HAdV-C、HAdV-D、HAdV-E、およびHAdV-F)、鶏アデノウイルスA、ウシアデノウイルスD、カエルアデノウイルス、レオウイルス、ヒトオルビウイルス、ヒトコルチウイルス、哺乳動物オルソウイルス、ブルータングウイルス、ロタウイルスA、ロタウイルス(グループB~G)、コロラドダニ熱ウイルス、アクアレオウイルスA、サイポウイルス1、フィジー病ウイルス、イネドワーフウイルス、イネゴケステンウイルス、イドノレオウイルス1、マイコレオウイルス1、ビルナウイルス、嚢炎ウイルス、膵臓壊死ウイルス、カリシウイルス、ブタ水疱性発疹ウイルス、ウサギ出血性ウイルス、ノーウォークウイルス、札幌ウイルス、ピコルナウイルス、ヒトポリオウイルス(1-3)、ヒトコックスサッキエウイルスAl-22、24(CAl-22およびCA24、CA23(エコーウイルス9))、ヒトコックスサッキエウイルス(Bl-6(CBl-6))、ヒトエコーウイルス1-7、9、11-27、29-33、ビリュイッシュウイルス、シミアンエンテロウイルス1-18(SEVI-18)、豚エンテロウイルス1~11(PEVl-11)、牛エンテロウイルス1~2(BEVI-2)、A型肝炎ウイルス、ライノウイルス、肝炎ウイルス、カーディオウイルス、アフトウイルスおよびエコーウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。ウイルスは、ファージであってもよい。ファージの例としては、T4、TS、λファージ、T7ファージ、G4、Pl、φ6、サーモプロテウステナックスウイルス1、M13、MS2、Qβ、φX174、Ф29、PZA、Ф15、BS32、Bl03、M2Y(M2)、Nf、GA-I、FWLBcl、FWLBc2、FWLLm3、B4が挙げられるが、これらに限定されない。参照データベースは、病原性、防御性、またはその両方であるファージの配列を含み得る。場合によっては、C型肝炎ウイルス、黄熱ウイルス、ガジュリーウイルス、カダムウイルスなどを含むフラビウイルス科のメンバーから選択され、これは、フラビウイルス、ペスティウイルス、およびヘパウイルス属のメンバー)から選択されたウイルスであって、これは、C型肝炎ウイルス、黄熱ウイルス;ダニ媒介ウイルス、例えば、ガジェットガリーウイルス、カダムウイルス、キャサヌール森林病ウイルス、ランガットウイルス、オムスク出血熱ウイルス、パウワッサンウイルス、ロイヤルファームウイルス、カルシウイルス、ダニ媒介脳炎ウイルス、ネウドエルフウイルス、ソフジンウイルス、ルーピン病ウイルス、および根岸ウイルス;海鳥のマダニ媒介ウイルス、例えば、ミーアバンウイルス、サウマレスリーフウイルス、およびチュレニーウイルス;蚊媒介ウイルス、例えば、アルナウイルス、デング熱ウイルス、ケドゥグーウイルス、カシパコールウイルス、クータンゴウイルス、日本脳炎ウイルス、マレーバレー脳炎ウイルス、セントルイス脳炎ウイルスなど、ルイ脳炎ウイルス、ウスツウイルス、ウエストナイルウイルス、ヤウンデウイルス、ココベラウイルス、バガザウイルス、イルヘウスウイルス、イスラエル七面鳥髄膜炎ウイルス、ンタヤウイルス、テンブスーウイルス、ジカウイルス、バンジウイルス、ブーブイウイルス、エッジヒルウイルス、ジュグラウイルス、サボヤウイルス、セピックウイルス、ウガンダSウイルス、ウェッセルズブロンウイルス、黄熱病ウイルス;ならびに既知の節足動物ベクターを有さないウイルス、例えば、エンテベコウモリウイルス、ヨコセウイルス、アポイウイルス、カウボーンリッジウイルス、ジュティアパウイルス、モドックウイルス、サルビエハウイルス、サンペルリタウイルス、ブカラサコウモリウイルス、カリー島ウイルス、ダカールコウモリウイルス、モンタナミオチス白脳炎ウイルス、プノンペンコウモリウイルス、リオブラボーウイルス、タマナコウモリウイルス、および細胞融合剤ウイルスを含む。場合によっては、ウイルスは、アリーナウイルス科のメンバーから選択され、これは、イッピーウイルス、ラッサウイルス(例えば、ジョサイア、LP、またはGA391株)、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)、モバラウイルス、モペイアウイルス、アマパリウイルス、フレクサルウイルス、グアナリトウイルス、ジュニンウイルス、ラティーノウイルス、マチュポウイルス、オリベロスウイルス、パラナウイルス、ピチンデウイルス、ピリタルウイルス、サビアウイルス、タカリベウイルス、タミアミウイルス、ホワイトウォーターアロヨウイルス、チャパレウイルス、およびルホウイルスを含む。場合によっては、ウイルスはブニヤウイルス科のメンバー(例えば、ハンタウイルス、ナイロウイルス、オルソブニヤウイルス、フレボウイルス属のメンバー)から選択され、これは、ハンタアンウイルス、シンノンブルウイルス、ドゥグベウイルス、ブニャムウェラウイルス、リフトバレー熱ウイルス、ラクロスウイルス、プンタトロウイルス(PTV)、カリフォルニア脳炎ウイルス、クリミアコンゴ出血熱(CCHF)ウイルスを含む。場合によっては、ウイルスは、エボラウイルス(例えば、ザイール、スーダン、コートジボワール、レストン、およびウガンダ株)およびマールブルグウイルス(例えば、アンゴラ、Ci67、ムソーク、ポップ、ラヴン、およびビクトリア湖株)を含む、フィロウイルス科のメンバー;ベネズエラ馬脳炎ウイルス(VEE)、東部馬脳炎ウイルス(EEE)、西部馬脳炎ウイルス(WEE)、シンドビスウイルス、風疹ウイルス、セムリキ森林ウイルス、ロス川ウイルス、バルマー森林ウイルス、オニョンニョンウイルス、およびチクングンヤウイルスを含むトガウイルス科のメンバー(例えば、アルファウイルス属のメンバー);天然痘ウイルス、サル痘ウイルス、およびワクシニアウイルスを含む、ポキシーウイルス科のメンバー(例えば、オルトポキシーウイルス属のメンバー、単純ヘルペスウイルス(HSV;1型、2型および6型)、ヒトヘルペスウイルス(例えば、7型および8型)、サイトメガロウイルス(
CMV)、エプスタインバーウイルス(EBV)、水痘・帯状疱疹ウイルス、およびカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)を含むヘルペスウイルス科のメンバー;H5Nl鳥インフルエンザウイルスまたはHINI豚インフルエンザなどのインフルエンザウイルス(A、BおよびC)を含むオルソミクソウイルス科のメンバー;重症急性呼吸器症候群(SARS)ウイルスを含む、コロナウイルス科のメンバー;狂犬病ウイルスおよび小水疱性口内炎ウイルス(VSV)を含む、ラブドウイルス科のメンバー;ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ニューカッスル病ウイルス、ヘンドラウイルス、ニパウイルス、麻疹ウイルス、リンダーペストウイルス、イヌジステンパーウイルス、センダイウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス(例えば、1、2、3、および4)、ライノウイルス、およびおたふくかぜウイルスを含むパラミクソウイルス科のメンバー;ポリオウイルス、ヒトエンテロウイルス(A、B、C、およびD)、A型肝炎ウイルス、およびコックスサッキーウイルスを含むピコマウイルス科のメンバー;B型肝炎ウイルスを含むヘパドナビル科のメンバー;ヒト乳頭腫ウイルスを含むパピラモウイルス科のメンバー;アデノ随伴ウイルスを含む、パルボウイルス科のメンバー;アストロウイルスを含む、アストロウイルス科のメンバー;JCウイルス、BKウイルスおよびSV40ウイルスを含む、ポリオマウイルス科のメンバー;ノルウォークウイルスを含む、カルシウイルス科のメンバー;ロタウイルスを含むレオウイルス科のメンバー;ならびにヒト免疫不全ウイルス(HIV;例えば、I型および2型)、ヒトTリンパ球症ウイルスI型およびII型(それぞれHTLV-1およびHTLV-2)を含むレトロウイルス科のメンバーから選択される。
【0228】
本明細書に記載されるデバイスおよび方法のいずれかは、生体試料中の1つ以上の真菌に関連付けられている核酸の存在の有無を検出するために利用され得る。感染性真菌剤の例としては、アスペルギルス、ブラストミセス、コクシジオイデス、クリプトコッカス、ヒストプラズマ、パラコクシジオイデス、スポロトリクス、および接合菌類のうちの少なくとも3つの属が挙げられるが、これらに限定されない。上記の真菌は、他の多くの真菌と同様に、ペットおよびコンパニオンアニマルに病気を引き起こす可能性がある。本教示は、直接または間接的に動物と接触する基質を含む。動物に病気を引き起こす生物の例としては、マラセチアフルフル、エピデルモフィトンフロッコス、トリコフィトンメンタグロフィテス、トリコフィトンルブラム、トリコフィトントンスラン、トリコフィトンエクイナム、デルマトフィラスコンゴレンシス、ミクロスポラムカニス、ミクロスポルドオードウスキュアスポステリアス、マラリアスポステリアス、マラリアスポスケラススキ、ススキ、ススキアルビカン。真菌感染性物質のさらなる例には、アスペルギルス、ブラストミセスデルマティディス、カンジダ、コクシディオイデスインミティス、クリプトコッカスネオフォルマンズ、ヒストプラスマキャップスラタム、パラコクシディオイデスブラジレンシス、スポロトリックスシェンキイ、ズィーゴマイセス属、アブシディアコリンビフェラ、リゾムコールプシルス、またはリゾパスアレイズスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0229】
本明細書に記載されるデバイスおよび方法のいずれかは、生体試料中の1つ以上の寄生虫に関連付けられている核酸の存在の有無を検出するために利用され得る。寄生虫の非限定的な例としては、プラスモディウム、リーシュマニア、バベシア、トレポネーマ、ボレリア、トリパノソーマ、トキソプラズマゴンドイ、ファルシパルム原虫、P.vivax、P.ovale、P.malariae、トリパノソーマ属、またはレジオネラ属が挙げられる。場合によっては、寄生虫は膣トリコモナスである。