(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】美白剤
(51)【国際特許分類】
A61K 8/44 20060101AFI20230307BHJP
A61Q 19/02 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
A61K8/44
A61Q19/02
(21)【出願番号】P 2020521800
(86)(22)【出願日】2019-04-24
(86)【国際出願番号】 JP2019017350
(87)【国際公開番号】W WO2019230274
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-04-12
(31)【優先権主張番号】P 2018101963
(32)【優先日】2018-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000113470
【氏名又は名称】ポーラ化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々 祥子
(72)【発明者】
【氏名】森 靖仁
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 優子
【審査官】松本 要
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-046049(JP,A)
【文献】特開昭57-024337(JP,A)
【文献】特開平3-083912(JP,A)
【文献】特開昭63-270650(JP,A)
【文献】特開2013-001660(JP,A)
【文献】特開2008-110967(JP,A)
【文献】特開2009-256329(JP,A)
【文献】国際公開第95/03818(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0016442(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で表される化合物又はその酸付加塩を含有する、美白剤。
【化1】
(式中、Xは水素原子がメチル基で置換されていてもよい炭素数1~2のアルキレン基を表し、YはCOOR
1又はCH
2OR
2を表し、R
1は水素原子又は分岐を有してもよい炭素数1~6のアルキル基を表し、R
2は水素原子又は分岐を有してもよい炭素数1~6のアシル基を表す。)
【請求項2】
請求項1に記載の美白剤を含有する、美白用の皮膚外用組成物。
【請求項3】
化粧料である、請求項2に記載の皮膚外用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた美白作用を有する美白剤に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線曝露による日焼けのほか、シミ、そばかす、肝斑、薬剤による皮膚の黒化症等の色素沈着による皮膚症状は、色素細胞(メラノサイト)のメラニン産生が亢進された後、産生されたメラニン色素がターンオーバー異常等によって皮膚に沈着することにより生じることが知られている。
このような色素沈着が関連する皮膚症状は外観から容易に認められるため、顔の印象に大きく影響する。そのため、皮膚の色素沈着の予防や改善に対する関心は、肌を美しく見せたいという願望を持つ人を中心にとても高く、美白剤や美白用化粧料の需要は近年大きいものとなっている。
【0003】
皮膚の色素沈着の予防又は改善を目的とする美白剤としては、アスコルビン酸やハイドロキノン等が古くから知られており、これらを配合した皮膚外用剤が、皮膚の色素沈着の予防又は改善用に広く使用されてきた。また、近年、色素沈着が生じる作用機序の解明により、メラニン産生抑制剤、チロシナ-ゼ阻害剤、チロシナ-ゼ遺伝子発現抑制剤、α-MSH阻害剤、抗酸化剤、メラノサイトのデンドライド伸長抑制剤、メラノサイトのケラチノサイトへのメラノソ-ム受け渡し阻害剤等の従来の美白剤とは異なる作用機序を有する美白剤の開発も盛んに行われている。
しかしながら、従来の美白剤では一定の美白効果が認められるものの十分に満足いくものではない場合があったり、美白作用を発揮する濃度では望まない他の作用(副反応)が生じたりする場合がある。そのため、安全性が高く、かつ優れた美白作用を発揮する新たな成分の需要があり、研究開発が進められている。
【0004】
セトラキサート又はその塩も、近年開発された美白剤の有効成分の1つであり、代謝によりトラネキサム酸に分解される化合物である(特許文献1)。トラネキサム酸は、メラノサイトを活性化するプロスタグランジンE2の産生抑制作用と、チロシナーゼ阻害作用とを有し、美白効果を奏することが知られている。セトラキサートはその代謝物であるトラネキサム酸による美白作用に加え、化合物本体の活性による美白作用も有することが報告されている。
【0005】
ところで、特許文献2に記載のアミノカルボン酸誘導体は、抗潰瘍作用があることが確認されており医薬品としての用途が提案されている。なお、該化合物の構造はトラネキサム酸と部分的に一致する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-110967号公報
【文献】特公昭64-4508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、安全性が高く、かつ優れた美白作用を有する美白剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、美白作用を有する化合物を求めて鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有するアミノカルボン酸誘導体及びその酸付加塩が、優れた美白作用を発揮することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明の一の態様は、下記一般式(1)で表される化合物又はその酸付加塩を含有する、美白剤である。
【0010】
【化1】
(式中、Xは水素原子がメチル基で置換されていてもよい炭素数1~2のアルキレン基を表し、YはCOOR
1又はCH
2OR
2を表し、R
1は水素原子又は分岐を有してもよい炭素数1~6のアルキル基を表し、R
2は水素原子又は分岐を有してもよい炭素数1~6のアシル基を表す。)
【0011】
また、本発明の別の態様は、前記美白剤を含有する、美白用の皮膚外用組成物である。前記皮膚外用組成物は、好ましくは化粧料である。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、優れた美白作用を有する美白剤が提供される。また、該美白剤を含有する、美白用の皮膚外用組成物も提供され、これは化粧料として好適である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の美白剤は、下記一般式(1)で表される化合物又はその酸付加塩を含有する。
【0014】
【0015】
一般式(1)中、Xは、水素原子がメチル基で置換されていてもよい炭素数1~2のアルキレン基を表す。炭素数1~2のアルキレン基としては、メチレン基、及びエチレン基である。Xは-CH2-CH(CH3)-、又は-CH2-CH2-が好ましい。
【0016】
一般式(1)中、Yは、COOR1又はCH2OR2を表し、R1は水素原子又は分岐を有してもよい炭素数1~6のアルキル基を表し、R2は水素原子又は分岐を有してもよい炭素数1~6のアシル基を表す。
【0017】
すなわち、YがCOOR1の場合、R1が水素原子のときYはカルボキシル基であり、R1が分岐を有してもよい炭素数1~6のアルキル基のときYはエステル基である。分岐を有してもよい炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、iso-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基等が挙げられる。美白作用の観点から、R1は水素原子であることが特に好ましく、またR1がアルキル基のときはその炭素数は小さい方がより好ましい。
【0018】
また、YがCH2OR2の場合、R2が水素原子のときYはヒドロキシメチル基であり、R2が分岐を有してもよい炭素数1~6のアシル基のときYはエステル基である。分岐を有してもよい炭素数1~6のアシル基としては、例えば、ホルミル基、アセチル基、アクリロイル基、プロピオニル基、プロピオロイル基、ブチリル基、イソブチリル基、メタクリロイル基、バレリル基、カプロイル基等が挙げられる。美白作用の観点から、R2は水素原子であることが特に好ましく、またR2がアシル基のときはその炭素数は小さい方がより好ましい。
【0019】
一般式(1)において、1,4-シクロヘキシレン基は、いす型又はボート型のいずれの形態でもよい。また、2つの結合手は、シス又はトランスのいずれの関係でもよい。好ましくは、いす型の形態でトランスの関係にあるものである。
【0020】
下記一般式(1)で表される化合物の酸付加塩としては、無機酸、有機カルボン酸、又は有機スルホン酸との塩が挙げられる。無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられ、有機カルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、マレイン酸、フマル酸、シュウ酸、クエン酸、酪酸、乳酸、酒石酸等が挙げられ、有機スルホン酸としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等が挙げられる。これらのうち無機酸塩が好ましく、塩酸塩がより好ましい。
本発明の美白剤の有効成分としては、一般式(1)で表される化合物又はその酸付加塩のいずれでもよいが、酸付加塩のほうがより好ましい。
【0021】
一般式(1)で表される化合物の具体例を以下に挙げるが、これらにのみ限定されないことはいうまでもない。
2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]酢酸、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]酢酸メチル、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]酢酸エチル、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]酢酸プロピル、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]酢酸ブチル、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]酢酸ペンチル、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]酢酸ヘキシル;
2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]エタノール、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]エチルホルメート、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]エチルアセテート、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]エチルプロピオネート、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]エチルブチレート、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]エチルペンタノエート、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]エチルヘキサノエート;
2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸メチル、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸エチル、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸プロピル、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸ブチル、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸ペンチル、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸ヘキシル;
2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロパノール、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルホルメート、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルアセテート、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルプロピオネート、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルブチレート、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルペンタノエート、2-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルヘキサノエート;
3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸(化合物1)、3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸メチル、3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸エチル、3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸プロピル、3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸ブチル、3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸ペンチル、3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピオン酸ヘキシル(化合物2);
3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロパノール(化合物3)、3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルホルメート、3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルアセテート、3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルプロピオネート、3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルブチレート、3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルペンタノエート、3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルヘキサノエート(化合物4);
2-メチル-3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロパノール、2-メチル-3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルホルメート、2-メチル-3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルアセテート、2-メチル-3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルプロピオネート、2-メチル-3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルブチレート、2-メチル-3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルペンタノエート、2-メチル-3-[p-(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル]プロピルヘキサノエート(化合物5)。
【0022】
【0023】
【0024】
【0025】
【0026】
【0027】
一般式(1)で表される化合物は、定法により合成・精製して取得することができる。例えば、特許文献2に記載の、アミノカルボン酸ハライドの酸付加塩のルイス酸存在下でのアシル化反応によって合成し、適当な単離・精製方法を経て製造することができる。
【0028】
一般式(1)で表される化合物及びその酸付加塩は、優れた美白作用を有するため、美白剤の有効成分となる。
なお、本明細書において美白とは、色素沈着の予防及び/又は改善をいい、より具体的には、シミ、くすみ、そばかす、日焼け、皮膚の炎症や刺激による黒ずみ等のメラニン産生亢進、過剰蓄積、及び沈着異常等により生じる色素沈着症状、並びにステロイド等の薬物による皮膚の黒化症等の色素沈着をもたらす疾患等による色素沈着症状などの、予防及び/又は改善をいう。
本発明の美白剤の作用機序については、詳細は不明であるが、チロシナ-ゼ阻害作用、チロシナ-ゼ遺伝子発現抑制作用、チロシナ-ゼ蛋白発現抑制作用、チロシナ-ゼ関連蛋白分解作用等のチロシナ-ゼ活性阻害作用、プロトンポンプ阻害作用、メラノサイトのケラチノサイトへのメラノソ-ム受け渡し阻害作用、又は新たな作用機序により、色素沈着を予防及び/又は改善することが推測される。
【0029】
本発明は、別の側面から、一般式(1)で表される化合物又はその酸付加塩を適用することを含む、美白方法あるいは色素沈着の予防及び/又は改善方法ということもできる。
本発明は、別の側面から、一般式(1)で表される化合物又はその酸付加塩の、美白のためのあるいは色素沈着の予防及び/又は改善のための使用ということもできる。
本発明は、別の側面から、一般式(1)で表される化合物又はその酸付加塩の、美白剤の製造における使用ということもできる。
本発明は、別の側面から、美白あるいは色素沈着の予防及び/又は改善のために使用される一般式(1)で表される化合物又はその酸付加塩ということもできる。
【0030】
一般式(1)で表される化合物の構造は、トラネキサム酸と部分的に一致するが、生体内でトラネキサム酸には代謝されないことが分かっている。すなわち、一般式(1)で表される化合物の美白作用は、トラネキサム酸とは異なるメカニズムによるものと考えられ、少なくとも(4-アミノメチルシクロヘキシルカルボニル)フェニル基の構造が該作用の発揮に関与するものと推測される。
なお、特許文献1に記載のセトラキサートは、トラネキサム酸のエステル誘導体であり、それ自体の構造により、及び代謝によりエステル結合が切断されてトラネキサム酸になることにより美白作用を発揮する。
【0031】
【0032】
【0033】
本発明の美白剤は、美白用の組成物に含有させることができ、特に経皮吸収による効果が期待できる皮膚外用組成物とすることが好ましい。皮膚外用組成物の態様としては、皮膚に外用で適用されるものであれば特に限定されないが、化粧料(医薬部外品を含む)、医薬品等が好ましく挙げられる。一般式(1)で表される化合物は、高い安全性が確認されており、日常的に使用される化粧料の態様で連続的に塗布することが可能である。
皮膚外用組成物の剤型としては、特に限定されず、例えば、ローション剤型、乳液やクリーム等の乳化剤型、オイル剤型、ジェル剤型、パック、洗浄料等が挙げられる。
【0034】
本発明の美白剤を美白用の皮膚外用組成物に含有させる場合は、その量を組成物全量に対して総量で、好ましくは0.01%~20質量%、より好ましくは0.1~10質量%、さらに好ましくは1~5質量%の含有量とすると、所望の効果を得やすく、また処方設計の自由度を確保できる。
【0035】
本発明の美白用の皮膚外用組成物は、本発明の美白剤以外に通常の皮膚外用組成物に配合される成分を、本発明の効果を損なわない限りにおいて任意に含有することができる。
かかる成分としては、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ-2-エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;
【0036】
脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE-ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE-グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2-オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2-デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2-ペンタンジオール、2,4-ヘキサンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール等の多価アルコール類;
【0037】
ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていてもよい、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類;表面を処理されていてもよい、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていてもよい、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパ-ル剤類;レ-キ化されていてもよい赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤;桂皮酸系紫外線吸収剤;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;
【0038】
エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α-トコフェロール、β-トコフェロール、γ-トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール等の抗菌剤(防腐剤);グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等の消炎剤;レチノール、アスコルビン酸、トコフェロール、又はファルネシル酢酸エステル等のシワ改善剤;各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等);ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等の賦活剤;ノニル酸ワレニルアミド、カプサイシン、ジンゲロン、タンニン酸等の血行促進剤;硫黄、チアントール等の抗脂漏剤;トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等の抗炎症剤;コラーゲン、ヒアルロン酸等の水溶性高分子;などが挙げられる。
【0039】
また、本発明の美白剤以外の美白剤を共に配合しても構わない。例えば、アルキルレゾルシノール、アスコルビン酸又はその誘導体、胎盤抽出物、ユキノシタやハトムギ等の植物抽出物、アルブチン等が挙げられる。
【実施例】
【0040】
以下、具体的な実験例をあげて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の態様にのみ限定されない。
【0041】
<美白効果の試験>
表1に記載の化粧料(実施例1~9、比較例、及び参考例)を、それぞれ定法で調製した。
調製した各化粧料について、以下の方法で美白効果(色素沈着の改善効果)を評価した。すなわち、自由意思で参加したパネラー10名の左右上腕内側部に0.5cm×0.5cmの試験部位を合計8ケ所設けた。設けた部位に最少紅斑量(1MED)の紫外線照射を1日1回、3日連続して3回照射した。試験1日目の紫外線照射終了時(1回目照射終了後)より、1日2回25日連続して比較例と残りの7か所に実施例1~9及び参考例のいずれかの化粧料を各50μL塗布した。25日間の塗布終了24時間後に色彩色差計(CR-300、コニカミノルタ株式会社)にて各試験部位の皮膚明度(L*値)を測定し、実施例又は参考例の化粧料の塗布部位のL*値から比較例の化粧料の塗布部位のL*値を減じることにより皮膚明度の差(ΔL*値)を算出した。L*値は、色素沈着の程度が強いほど低い値となるため、ΔL*値が大きいほど、色素沈着が改善されたと判断することができる。
【0042】
【0043】
【0044】
<製造例1>
表3に示す処方で、本発明の皮膚外用剤である化粧水を調製した。すなわち、Aの成分を常温で、Bの成分を60℃でそれぞれ加温して混合し、攪拌下でAにBを徐々に加え、攪拌冷却して化粧水を得た。
この化粧水は皮膚に適用したときに美白効果が得られることが確認された。
【0045】
【0046】
<製造例2>
表4に示す処方で、本発明の皮膚外用剤である化粧水を調製した。すなわち、Aの成分を常温で、Bの成分を60℃でそれぞれ加温して混合し、攪拌下でAにBを徐々に加え、攪拌冷却して化粧水を得た。
この化粧水は皮膚に適用したときに美白効果が得られることが確認された。
【0047】
【0048】
<製造例3>
表5に示す処方で、本発明の皮膚外用剤であるエッセンスを調製した。すなわち、A及びBの成分を80℃でそれぞれ加温して混合し、攪拌下でAにBを徐々に加え、攪拌冷却してエッセンスを得た。
このエッセンスは皮膚に適用したときに美白効果が得られることが確認された。
【0049】
【0050】
<製造例4>
表6に示す処方で、本発明の皮膚外用剤である乳液を調製した。すなわち、A及びBの成分を80℃でそれぞれ加温して混合し、攪拌下でAにBを徐々に加え、攪拌冷却して乳液を得た。
この乳液は皮膚に適用したときに美白効果が得られることが確認された。
【0051】
【0052】
<製造例5>
表7に示す処方で、本発明の皮膚外用剤であるO/Wクリームを調製した。すなわち、A及びBの成分を80℃でそれぞれ加温して混合し、攪拌下でAにBを徐々に加え、攪拌冷却してO/Wクリームを得た。
このO/Wクリームは皮膚に適用したときに美白効果が得られることが確認された。
【0053】
【0054】
<製造例6>
表8に示す処方で、本発明の皮膚外用剤であるW/Oクリームを調製した。すなわち、A及びBの成分を80℃でそれぞれ加温して混合し、攪拌下でBにAを徐々に加え、攪拌冷却してW/Oクリームを得た。
このW/Oクリームは皮膚に適用したときに美白効果が得られることが確認された。
【0055】
【0056】
<製造例7>
表9に示す処方で、本発明の皮膚外用剤であるO/Wファンデーションを調製した。すなわち、A及びBの成分を80℃でそれぞれ加温して混合し、攪拌下でAにBを徐々に加え、攪拌冷却してO/Wファンデーションを得た。
このO/Wファンデーションは皮膚に適用したときに美白効果が得られることが確認された。
【0057】
【0058】
【0059】
<製造例8>
表10に示す処方で、本発明の皮膚外用剤であるW/Oファンデーションを調製した。すなわち、A及びBの成分を80℃でそれぞれ加温して混合し、攪拌下でBにAを徐々に加え、攪拌冷却してW/Oファンデーションを得た。
このW/Oファンデーションは皮膚に適用したときに美白効果が得られることが確認された。
【0060】
【0061】
【0062】
<製造例9>
表11に示す処方で、本発明の皮膚外用剤であるO/W日焼け止めを調製した。すなわち、A及びBの成分を80℃でそれぞれ加温して混合し、攪拌下でAにBを徐々に加え、攪拌冷却してO/W日焼け止めを得た。
このO/W日焼け止めは皮膚に適用したときに美白効果が得られることが確認された。
【0063】
【0064】
【0065】
<製造例10>
表12に示す処方で、本発明の皮膚外用剤であるW/O日焼け止めを調製した。すなわち、A及びBの成分を80℃でそれぞれ加温して混合し、攪拌下でBにAを徐々に加え、攪拌冷却してW/O日焼け止めを得た。
このW/O日焼け止めは皮膚に適用したときに美白効果が得られることが確認された。
【0066】
【0067】
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の美白剤は、優れた美白効果を奏するため、美白用の皮膚外用組成物に好適に含有させ得、産業上非常に有用である。