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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】熱電併給システム
(51)【国際特許分類】
   F02C 6/18 20060101AFI20230307BHJP
   F02G 5/02 20060101ALI20230307BHJP
   F02C 7/08 20060101ALI20230307BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20230307BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20230307BHJP
   B22F 3/16 20060101ALI20230307BHJP
   B22F 3/105 20060101ALI20230307BHJP
   F02C 7/00 20060101ALN20230307BHJP
【FI】
F02C6/18 Z
F02G5/02 A
F02C7/08 B
F02C7/08 A
F01D25/00 X
B33Y10/00
B22F3/16
B22F3/105
F02C7/00 D
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020557190
(86)(22)【出願日】2019-02-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-30
(86)【国際出願番号】 GB2019050371
(87)【国際公開番号】W WO2019207276
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2022-01-07
(31)【優先権主張番号】1806745.4
(32)【優先日】2018-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515137174
【氏名又は名称】ハイエタ・テクノロジーズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ、サイモン ロイド
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05105617(US,A)
【文献】国際公開第2017/212211(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0292450(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 6/18
F02G 5/02
F02C 7/08
F01D 25/00
B33Y 10/00
B22F 3/16
B22F 3/105
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
吸気ガスを圧縮して圧縮ガスを生成するための、前記シャフトに結合されている圧縮器と、
前記圧縮ガスを加熱して加熱圧縮ガスを生成するための回収熱交換器と、
燃料及び前記加熱圧縮ガスを燃焼させて燃焼ガスを生成するための燃焼器と、
前記燃焼ガスを膨脹させて排気ガスを生成するための、前記シャフトに結合されているタービンと、
前記シャフトに結合されている負荷と、
前記排気ガスからの熱に基づいて流体を加熱するための加熱器へと前記排気ガスを排出するための、排気出口と、
前記排気ガスが前記タービンから前記排気出口へと前記回収熱交換器を通って流れるための経路を提供する、回収熱交換器チャネルと、
前記圧縮器からの前記圧縮ガスを前記回収熱交換器に供給するための、圧縮器出口マニホールドと、
前記排気ガスが前記タービンから前記排気出口へと前記回収熱交換器を迂回して流れるための経路を提供する、バイパス・チャネルと、を備える熱電併給システムであって
前記燃焼器は、前記タービン及び前記排気ガスを前記タービンから前記回収熱交換器に供給するためのディフューザの少なくとも一方の周囲に延在する、環状の燃焼器を備え、
前記圧縮器出口マニホールドは前記環状の燃焼器の周囲に延在する環状のチャネルを備え、
前記回収熱交換器、前記燃焼器のケーシング、前記タービンのケーシング、前記排気出口、前記回収熱交換器チャネル、及び前記バイパス・チャネルは、結合された材料の一体化したまとまりを形成している、熱電併給システム。
【請求項2】
前記回収熱交換器チャネルを通って案内される前記排気ガスの第1の分量と前記バイパス・チャネルを通って案内される前記排気ガスの第2の分量との比を変更可能に調整するための、比選択器を備える、請求項1に記載の熱電併給システム。
【請求項3】
前記比選択器は、前記第1の分量及び前記第2の分量の両方が非ゼロである少なくとも1つの動作モードをサポートするように構成されている、請求項2に記載の熱電併給システム。
【請求項4】
前記バイパス・チャネルを通して案内される前記排気ガスの前記第2の分量に応じて前記燃焼器への燃料供給比を変更するように構成されている、燃料供給制御装置を備える、請求項2又は3に記載の熱電併給システム。
【請求項5】
前記比選択器は調整可能な防壁を備え、前記調整可能な防壁がブロックする前記バイパス・チャネルへの入口の分量が調整されるようになっている、請求項2から4までのいずれか一項に記載の熱電併給システム。
【請求項6】
前記回収熱交換器は、前記タービンからの前記排気ガスを前記回収熱交換器に供給するためのディフューザの出口の周囲に環形に配置された、環状の熱交換器を備え、
前記バイパス・チャネルは、前記回収熱交換器よりも下流の前記ディフューザの前記出口の周囲に延在する、環状のバイパス・チャネルを備え、
前記調整可能な防壁は、前記環状のバイパス・チャネルの中央開口に出入りして前記バイパス・チャネルの前記入口の一部を選択的にブロックするように構成されている、請求項5に記載の熱電併給システム。
【請求項7】
前記タービンのケーシング及び前記燃焼器のケーシングの少なくとも一方に沿って前記圧縮ガスの一部を導くための、前記圧縮器出口マニホールドからの抽気チャネルを備える、請求項又はに記載の熱電併給システム。
【請求項8】
前記燃焼ガスを前記燃焼器から前記タービンに案内するための、複数のノズル・ガイド・ベーンを備え、
前記抽気チャネルは、前記ノズル・ガイド・ベーンを通って延在する1つ又は複数の空洞を備える、請求項に記載の熱電併給システム。
【請求項9】
前記抽気チャネルは、前記圧縮ガスの前記一部を前記燃焼器の前記ケーシングにある少なくとも1つの穴を通して前記燃焼器内へと排出するように構成されている、請求項又はに記載の熱電併給システム。
【請求項10】
前記加熱器もまた前記結合された材料の一体化したまとまりの一部である、請求項1から9までのいずれか一項に記載の熱電併給システム。
【請求項11】
前記回収熱交換器は、前記排気ガスを前記タービンから前記回収熱交換器に供給するためのディフューザの出口の周囲に環形に配置された、環状の熱交換器を備え、
前記加熱器は、前記環状の熱交換器の周囲を取り囲んで配置された更なる環状の熱交換器を備える、請求項10に記載の熱電併給システム。
【請求項12】
前記結合された材料の一体化したまとまりはまた、
前記排気ガスを前記タービンから前記回収熱交換器に供給するためのディフューザ、
前記圧縮ガスを前記圧縮器から前記回収熱交換器に供給するための圧縮器出口マニホールドの少なくとも一部、
前記燃焼ガスを前記燃焼器から前記タービンに供給するためのタービン入口マニホールドの少なくとも一部、及び
前記燃料を前記燃焼器に供給するための燃料入口チャネルの少なくとも一部
のうちの少なくとも1つも備える、請求項1から11までのいずれか一項に記載の熱電併給システム。
【請求項13】
前記回収熱交換器チャネルは、前記排気ガスに前記タービンと前記排気出口の間で90度以下の曲がりを通過させるように構成されている、請求項1から12までのいずれか一項に記載の熱電併給システム。
【請求項14】
熱電併給システム用の構成要素であって、
圧縮器から受け入れた圧縮ガスを加熱して加熱圧縮ガスを生成するための、回収熱交換器と、
燃料及び前記加熱圧縮ガスを燃焼させて燃焼ガスを生成するための燃焼器を収容するための、燃焼器ケーシングと、
前記燃焼ガスを膨脹させて排気ガスを生成するためのタービンが形成されるようにタービン・ロータを収容している、タービン・ケーシングと、
前記排気ガスからの熱に基づいて流体を加熱するための加熱器へと前記排気ガスを排出するための、排気出口と、
前記排気ガスが前記タービンから前記排気出口へと前記回収熱交換器を通って流れるための経路を提供する、回収熱交換器チャネルと、
前記圧縮器からの前記圧縮ガスを前記回収熱交換器に供給するための、圧縮器出口マニホールドと、
前記排気ガスが前記タービンから前記加熱器へと前記回収熱交換器を迂回して流れるための経路を提供する、バイパス・チャネルと、を備え、
前記燃焼器は、前記タービン及び前記排気ガスを前記タービンから前記回収熱交換器に供給するためのディフューザの少なくとも一方の周囲に延在する、環状の燃焼器を備え、
前記圧縮器出口マニホールドは前記環状の燃焼器の周囲に延在する環状のチャネルを備え、
前記回収熱交換器、前記燃焼器ケーシング、前記タービン・ケーシング、前記排気出口、前記回収熱交換器チャネル、及び前記バイパス・チャネルは、結合された材料の一体化したまとまりを形成している、構成要素。
【請求項15】
前記加熱器を更に備える、請求項14に記載の構成要素。
【請求項16】
前記排気ガスを前記タービンから前記回収熱交換器に供給するためのディフューザ、
前記圧縮ガスを前記圧縮器から前記回収熱交換器に供給するための圧縮器出口マニホールドの少なくとも一部、
前記燃焼ガスを前記燃焼器から前記タービンに供給するためのタービン入口マニホールドの少なくとも一部、及び
前記燃料を前記燃焼器に供給するための燃料入口チャネルの少なくとも一部
のうちの少なくとも1つを更に備える、請求項14又は15に記載の構成要素。
【請求項17】
請求項14から16までのいずれか一項に記載の構成要素を製造するための方法であって、前記構成要素を付加製造によって製造することを含む、方法。
【請求項18】
請求項14から16までのいずれか一項に記載の構成要素の設計を表す、コンピュータ可読データ構造。
【請求項19】
請求項18に記載のデータ構造を記憶しているコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
熱電併給システムの構成要素を表す電子的設計ファイルを作成するための、コンピュータ実装方法であって、
圧縮器から受け入れた圧縮ガスを加熱して加熱圧縮ガスを生成するための、回収熱交換器と、
燃料及び前記加熱圧縮ガスを燃焼させて燃焼ガスを生成するための燃焼器を収容するための、燃焼器ケーシングと、
前記燃焼ガスを膨脹させて排気ガスを生成するためのタービンが形成されるようにタービン・ロータを収容している、タービン・ケーシングと、
前記排気ガスからの熱に基づいて流体を加熱するための加熱器へと前記排気ガスを排出するための、排気出口と、
前記排気ガスが前記タービンから前記排気出口へと前記回収熱交換器を通って流れるための経路を提供する、回収熱交換器チャネルと、
前記圧縮器からの前記圧縮ガスを前記回収熱交換器に供給するための、圧縮器出口マニホールドと、
前記排気ガスが前記タービンから前記加熱器へと前記回収熱交換器を迂回して流れるための経路を提供する、バイパス・チャネルと、
を備える構成要素であって
前記燃焼器は、前記タービン及び前記排気ガスを前記タービンから前記回収熱交換器に供給するためのディフューザの少なくとも一方の周囲に延在する、環状の燃焼器を備え、
前記圧縮器出口マニホールドは前記環状の燃焼器の周囲に延在する環状のチャネルを備え、
前記回収熱交換器、前記燃焼器ケーシング、前記タービン・ケーシング、前記排気出口、前記回収熱交換器チャネル、及び前記バイパス・チャネルは、結合された材料の一体化したまとまりを形成している、
前記構成要素、を指定する、前記電子的設計ファイルを作成することを含む、コンピュータ実装方法。
【請求項21】
前記方法は、前記熱電併給システムの設計要件を指定する設計仕様データに従って、前記構成要素の少なくとも1つのパラメータを調整することを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記少なくとも1つのパラメータは、
前記回収熱交換器チャネルの水力直径と前記バイパス・チャネルの水力直径との比、
前記回収熱交換器の前面面積又は流れの長さ、
前記タービン・ケーシングのサイズ、
前記燃焼器ケーシングのサイズ、
前記加熱器のサイズ、のうちの少なくとも1つ含む、請求項21に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明の技法は熱電併給システムの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
熱電併給(CHP:combined heat and power)システムは、熱機関を使用して、電力(例えば発電のために使用され得るか、又は機械システムを駆動するために使用できる)、及び有用な熱の両方を、同時に生み出す。例えばこのことにより、発電電力プラントで生み出された排熱を、水の加熱又は他の目的に再利用することが可能になる。より小さいスケールでの別の実例は、家屋又は商業施設内に提供されるCHPシステムであり得るが、これは、単に空間又は水を加熱するために燃料を燃焼させる代わりに、エネルギーの一部を燃料から電気へと変換できる。CHPシステムの他の多くの用途が可能であることが諒解されるであろう。いくつかのタイプの熱機関、例えばガスタービン、内燃機関、又は燃料セルなどを、CHPシステムの基礎として使用できる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
少なくともいくつかの実例は、
シャフトと、吸気ガスを圧縮して圧縮ガスを生成するための、シャフトに結合されている圧縮器と、圧縮ガスを加熱して加熱圧縮ガスを生成するための回収熱交換器と、燃料及び加熱圧縮ガスを燃焼させて燃焼ガスを生成するための燃焼器と、燃焼ガスを膨脹させて排気ガスを生成するための、シャフトに結合されているタービンと、シャフトに結合されている負荷と、排気ガスからの熱に基づいて流体を加熱するための加熱器へと排気ガスを排出するための排気出口と、排気ガスがタービンから排気出口へと回収熱交換器を通って流れるための経路を提供する、回収熱交換器チャネルと、排気ガスがタービンから排気出口へと回収熱交換器を迂回して流れるための経路を提供する、バイパス・チャネルと、を備え、回収熱交換器、燃焼器のケーシング、タービンのケーシング、排気出口、回収熱交換器チャネル、及びバイパス・チャネルは、結合された材料の一体化したまとまりを形成している、熱電併給システムを提供する。
【0004】
少なくともいくつかの実例は、熱電併給システム用の構成要素を提供し、この構成要素は、圧縮器から受け入れた圧縮ガスを加熱して加熱圧縮ガスを生成するための、回収熱交換器と、燃料及び加熱圧縮ガスを燃焼させて燃焼ガスを生成するための燃焼器を収容するための、燃焼器ケーシングと、燃焼ガスを膨脹させて排気ガスを生成するためのタービンが形成されるようにタービン・ロータを収容している、タービン・ケーシングと、排気ガスからの熱に基づいて流体を加熱するための加熱器へと排気ガスを排出するための、排気出口と、排気ガスがタービンから排気出口へと回収熱交換器を通って流れるための経路を提供する、回収熱交換器チャネルと、排気ガスがタービンから加熱器へと回収熱交換器を迂回して流れるための経路を提供する、バイパス・チャネルと、を備え、回収熱交換器、燃焼器ケーシング、タービン・ケーシング、排気出口、回収熱交換器チャネル、及びバイパス・チャネルは、結合された材料の一体化したまとまりを形成している。
【0005】
構成要素が付加製造によって製造される、上記した構成要素を製造するための方法が提供され得る。
【0006】
上記した構成要素の設計を表すコンピュータ可読データ構造が提供され得る。データ構造はコンピュータ可読記憶媒体に記憶され得る。記憶媒体は非一時的記憶媒体であってもよい。
【0007】
少なくともいくつかの実例は、熱電併給システムの構成要素を表す電子的設計ファイルを作成するための、コンピュータ実装方法を提供し、方法は、圧縮器から受け入れた圧縮ガスを加熱して加熱圧縮ガスを生成するための、回収熱交換器と、燃料及び加熱圧縮ガスを燃焼させて燃焼ガスを生成するための燃焼器を収容するための、燃焼器ケーシングと、燃焼ガスを膨脹させて排気ガスを生成するためのタービンが形成されるようにタービン・ロータを収容している、タービン・ケーシングと、排気ガスからの熱に基づいて流体を加熱するための加熱器へと排気ガスを排出するための、排気出口と、排気ガスがタービンから排気出口へと回収熱交換器を通って流れるための経路を提供する、回収熱交換器チャネルと、排気ガスがタービンから加熱器へと回収熱交換器を迂回して流れるための経路を提供する、バイパス・チャネルと、を備え、回収熱交換器、燃焼器ケーシング、タービン・ケーシング、排気出口、回収熱交換器チャネル、及びバイパス・チャネルは、結合された材料の一体化したまとまりを形成している、構成要素、を指定する、電子的設計ファイルを作成することを含む。
【0008】
本願発明の技法の更なる態様、特徴、及び利点は、添付の図面と関連させて読まれることになる、以下の実例の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】熱電併給システムの概略図である。
図2】熱電併給システム用の構成要素の概略図である。
図3A】熱電併給システム用の構成要素を通る様々な断面の概略図である。
図3B】熱電併給システム用の構成要素を通る様々な断面の概略図である。
図4】熱電併給システム用の構成要素を通る様々な断面の概略図である。
図5】熱電併給システム用の構成要素を通る様々な断面の概略図である。
図6】熱電併給システム用の構成要素を通る様々な断面の概略図である。
図7】熱電併給システム用の構成要素及び比選択器の実例の概略図である。
図8】熱電併給システム用の構成要素及び比選択器の実例の概略図である。
図9】付加製造の概略図である。
図10】付加製造を用いて構成要素を作製する方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
いくつかのCHPシステムでは、発熱及び発電の基礎として、ガス・タービン・エンジンを使用する場合がある。例えば、CHPシステムは、シャフトと、吸気ガスを圧縮して圧縮ガスを生成するための、シャフトに結合されている圧縮器と、圧縮ガスを加熱して加熱圧縮ガスを生成するための回収熱交換器と、燃料及び加熱圧縮ガスを燃焼させて燃焼ガスを生成するための燃焼器と、燃焼ガスを膨脹させて排気ガスを生成するための、シャフトに結合されているタービンと、を備え得る。シャフトには負荷を結合することができる。負荷は例えば、タービンによって駆動されるカム、ピストン、若しくは駆動シャフトなどの機械的な負荷であってもよく、又は、シャフトの回転に基づいて発電するための発電機であってもよい。この結果、発電モードでの使用中、燃焼器における燃料の燃焼によってタービンが駆動されてシャフトを回転させ、この結果、負荷を駆動するための電力が提供される。
【0011】
CHPシステムはまた、タービンからの排気ガスを、排気ガスからの熱に基づいて流体を加熱するための加熱器へと排出するための、排気出口も有する。この結果、発熱モードでは、燃料及び加熱圧縮ガスの燃焼の結果生じる排気ガスからの熱を使用して、他の流体(空気又は水)を加熱することができ、その後この流体を、例えば供給水又は空間若しくは建築物内の空気を加熱するための、有用な熱を提供するために使用することができる。動作のいくつかのモードにおいて、CHPシステムは、発電及び発熱の両方が同時に行われている熱/電力の2重のモードで動作し得るが、CHPシステムはまた、熱/電力の一方のみが生み出される単一の動作モードもサポートし得る。
【0012】
典型的なタービン・ベースのCHPシステムでは、ガスタービンからの全ての排気は、回収熱交換器を通して案内されてから、加熱器への排気出口に達することになる。このことは、圧縮器からの圧縮ガスを加熱して燃焼器に供給される加熱圧縮ガスを生成するために、熱の一部が既に使用されてしまうと、加熱器には何らかの残りの熱しか供給されないことを意味する。回収熱交換器内の圧縮ガスを加熱するために熱が使用され、このことにより燃焼器の効率を高めることができるが、その理由は、燃焼器内へと供給される圧縮ガスがより高温であるときに、燃料をより効率的に燃焼させることができるからである。
【0013】
以下で検討する技法では、CHPシステムは、排気ガスがタービンから排気出口へと回収熱交換器を通って流れるための経路を提供する回収熱交換器チャネル、及び、排気ガスがタービンから排気出口へと回収熱交換器を迂回して流れるための経路を提供するバイパス・チャネルの、両方を有する。この結果、一部の排気ガスは決して回収熱交換器を通って流れない場合があり、その代わりに、回収熱交換器内で圧縮ガスを加熱するために使用されることなく、排気出口へと及び加熱器表面へと、直接流れる。このことは、回収熱交換器が迂回され、このことにより燃焼器による燃焼の効率が下がる可能性があるので、直感に反するように見えるかもしれない。しかしながら、本発明者は、この低下した燃焼器の効率は、加熱器における流体加熱のより高い効率とトレード・オフされ得ることを認識した。この結果、追加のバイパス・チャネルを提供することによって、CHPシステムによって、より大きい融通性を提供するべく、生み出される熱/電力間の相対的な比を制御することが可能になる。例えば、いくつかの用途において、少なくともいくつかの動作モードでは発電よりも発熱を優先する方が好ましい場合があるが、全ての排気ガスが回収熱交換器を通過する場合には、このことが可能ではない場合がある。
【0014】
いくつかの実例では、回収熱交換器チャネル及びバイパス・チャネルを通過する排気ガスの量は、稼働時において、回収熱交換器チャネルを通過する排気ガスの分量とバイパス・チャネルを通過する排気ガスの分量との比の変更が不可能となるように、固定的に構成され得る。例えば、CHPシステムを設計するとき、回収熱交換器チャネル及びバイパス・チャネルの相対的なサイズ決定は、各チャネルを通過する排気ガスのそれぞれの分量の間の所望の比を提供するように選択され得る。より大きな発熱が望まれる場合には、回収熱交換器チャネルに対してバイパス・チャネルをより大きくしてもよく、一方、燃焼器の効率を高めるために熱のより大きな分量が使用されることになる他のシステムにおいては、バイパス・チャネルは、排気ガスの全流量のより少ない分量がバイパス・チャネルに通されるように構成され得る。例えば、バイパス・チャネルへの入口の幾何形状は、回収熱交換器チャネルに対してバイパス・チャネルを通る流量を異ならせるために、変更されてもよい。
【0015】
他の実例は、回収熱交換器チャネルを通って案内される排気ガスの第1の分量とバイパス・チャネルを通って案内される排気ガスの第2の分量との比を変更可能に調整するための、比選択器を提供し得る。このことにより、使用者は、CHPシステムによってそれぞれ生み出される熱及び電力の量を、それらの現在の必要に応じて調整することができる。例えば、CHPシステムが冬季に家庭内で発電及び熱水の両方を提供するために使用される場合、使用者は電力生成に使用されるエネルギーをより小さくして、加熱器で水を加熱するために使用されるエネルギーの生成の割合をより大きくすることを選好する可能性があり、一方で夏季であれば、水を加熱するために必要なエネルギーはより小さくなる可能性があり、したがってより多くのエネルギーを発電に使用できる。この結果、冬季よりも夏季において第2の分量に対する第1の分量の比をより高く選択することによって、使用者の要望により良好に対処することができるであろう。したがって、比選択器によって、発熱又は発電が適宜優勢になるように、システムにバイアスをかけることができる。
【0016】
比選択器は、第1の分量及び第2の分量の両方が非ゼロである少なくとも1つの動作モードをサポートし得る。この結果、全ての排気ガスが回収熱交換器チャネルを通して案内されるか又は全ての排気ガスがバイパス・チャネルを通して案内される、二値のオン/オフの様式で単純に動作するのではなく、比選択器は、中間動作点(第1の分量と第2の分量との異なる比に対応するいくつかの異なる中間動作点)をサポートすることができる。このことにより、熱及び電力の出力の量の比が調整可能な、発熱及び発電の両方を同時に行うことのできる動作モードが提供される。
【0017】
バイパス・チャネルを通して案内される排気ガスの第2の分量に応じて燃焼器への燃料供給比を変更するための、燃料供給制御装置が提供され得る。例えば、燃料供給は、第2の分量が増加するにつれて燃料供給比が大きくなるように、燃料供給比を制御し得る。排気ガスのより多くの分量がバイパス・チャネルを通過するとき、回収熱交換器における温度は降下する傾向があり、燃焼器の効率が低下し、加熱器における熱出力が僅かに低下するが、これはバイパス・チャネルが提供する熱出力の利得と部分的に相殺され得る。いくつかの用途では、この熱の降下は許容可能であり得る。しかしながら、燃焼器に供給される燃料の比が大きくなる場合には、このことにより燃焼器の温度を上げて、所望のレベルの熱出力を得ることができる。
【0018】
例えば、比選択器は、防壁によってブロックされるバイパス・チャネルへの入口の分量を調整するための、調整可能な防壁を備え得る。例えば調整可能な防壁は、所定位置へと移動されて、回収熱交換器チャネルを迂回することを望まれる排気ガスの量に応じてバイパス・チャネルへの入口のある分量を覆う、ピストン又は壁であってもよい。この手法は回収熱交換器チャネルを覆う調整可能な防壁がない場合であってさえも機能し得るが、その理由は、通常は回収熱交換器を通る回収熱交換器チャネルよりもバイパス・チャネルの方が圧力降下が低く、このため両方のチャネルが開いているときに、ガス流が回収熱交換器チャネルと比較して優先的にバイパス・チャネルを通って流れる傾向を有することになるからである。防壁で覆われるバイパス・チャネル入口の量が多いほど、代わりに回収熱交換器チャネルを通過する排気ガスの分量が多くなる。
【0019】
1つの実例では、回収熱交換器は、ガスタービンからの排気ガスを回収熱交換器に供給するためのディフューザの出口の周囲に環形に配置された、環状の熱交換器を備えることができ、バイパス・チャネルは、回収熱交換器よりも下流のディフューザ出口の周囲に延在する、環状のバイパス・チャネルを備えることができる。この配置はコンパクトに製造できる。また、調整可能な防壁は、環状のバイパス・チャネルの中央開口から出入りして、バイパス・チャネルへの入口(環状のバイパス・チャネルの内径の周囲に延在し得るバイパス・チャネルへの入口)の一部を選択的にブロックし得る。この手法を用いれば、比較的小さい防壁(バイパス・チャネルの中央開口に出入りする円筒形のピストン)を使用して、回収熱交換器チャネルを通って送られる排気ガスの分量とバイパス・チャネルを通して案内される排気ガスの分量との比を制御することができる。
【0020】
圧縮器から回収熱交換器に圧縮ガスを供給するため、圧縮器出口マニホールドが提供され得る。燃焼器は、いくつかの実例では、タービン及びディフューザの少なくとも一方の周囲に延在する、環状の燃焼器として実装され得る。場合によっては、圧縮器出口マニホールドは、環状の燃焼器の周囲に延在する環状のチャネルを備え得る。環状の燃焼器の外面の周囲に圧縮器出口マニホールドを位置付けることにより、このことは、圧縮ガス(燃焼器又は回収熱交換器にまだ達していないので、通常はCHPシステムを通る最も低温のガスである)がCHPシステムの外側末端上に設けられたチャネルを通って広がることを意味する場合が多い。このことは、特にCHPシステムが家庭又は使用者がシステムの外面と密に接触する可能性の高い他の環境内で使用されることになる場合に、有用であり得る。最も低温のガスをシステムの外面上に位置付けることで、このことにより、システムの高温のケーシング上で使用者がやけどをし得る可能性が低減される。実際上、圧縮器出口マニホールドは、使用者をより高温の燃焼器から隔離するために使用され得る。
【0021】
いくつかの実例では、システムは一般に環状の設計を有することができ、この場合、燃焼器だけでなく、圧縮器出口マニホールド、回収熱交換器チャネル、バイパス・チャネル(及び、加熱器もその他の構成要素と一体化される実施例では、加熱器自体)が環状の設計を有し、このことにより、システムが要求する空間の合計体積が減少するような、よりコンパクトなシステムが可能になる。
【0022】
しかしながら、燃焼器がシステム内部に位置付けられる場合には、燃焼器は外部の周囲空気に暴露されない場合があり、このことは過熱に関する問題を引き起こす可能性がある。また、燃焼器からの熱はタービン・ケーシングも加熱する場合があり、このことによりタービン・ケーシングが膨脹し、より多くの燃焼ガスがタービン・ロータのブレードの先端とタービン・ケーシングの内面との間に漏れることを許し、タービンの効率を低下させる可能性がある。これらの問題は、タービンのケーシング及び燃焼器のケーシングの少なくとも一方に沿って圧縮ガスの一部を導くための、圧縮器出口マニホールドからの抽気チャネルを提供することによって対処され得る。より具体的には、燃焼器の環状の設計が使用される場合、抽気チャネルは、環状の燃焼器の内径に対応する燃焼器の表面にわたって、圧縮ガスを供給し得る。タービン及び/又は燃焼器のケーシングを覆うようにより低温の圧縮ガスの一部を導くことで、その場合このことは、これらの構成要素がCHPシステムの単一の一体化した構成要素の内部に位置付けられている場合であってさえ、より高い効率をもたらすようにそのような構成要素を冷却するのを助ける。
【0023】
しかしながら、燃焼器からタービンに燃焼ガスを案内する必要がある場合があるので、タービン及び/又は燃焼器のケーシングに沿って圧縮ガスを導くためのそのような抽気チャネルを提供することは、困難な場合がある。システムは、燃焼ガスを燃焼器からタービンに案内するための、いくつかのノズル・ガイド・ベーン(NGV:nozzle guide vane)を含み得る。例えばNGVは、燃焼ガスが回転軸に対して接線方向にタービンのロータ上へと導かれるように、燃焼ガスの流れに対して接線方向の成分を導入し得る。タービン・ケーシング及び/又は燃焼器ケーシング上へと圧縮ガスを供給するために使用される抽気チャネルは、NGVを通って延在する1つ又は複数の空洞を備え得る。この結果、各NGVは中空の構造を備えることができ、各NGVの外側表面は燃焼ガスを燃焼器からタービン内へと導き、NGVの内側表面は、タービン・ケーシング及び/又は燃焼器ケーシングに沿って圧縮ガスを案内して冷却をもたらす。そのような中空のNGVは製造するのに複雑な場合があるが、これは例えば以下で検討するような付加製造技法を使用して可能となる。
【0024】
したがって、通常であれば圧縮器からの圧縮ガスが全て回収熱交換器へと、及び次いで回収熱交換器の通過後に燃焼器内へと導かれると考えるであろうが、抽気チャネルが提供されると、圧縮ガスのうち抽気チャネルを通過する部分は、燃焼器/タービン・ケーシングを冷却するために、燃焼器のケーシング及び/又はタービンのケーシングに沿って広がり得る。その後、圧縮ガスを、抽気チャネルの下流の様々な箇所で流体の流れの中に再導入することができる。
【0025】
1つの実例では、圧縮ガスのうちの、抽気チャネルを通り燃焼器のケーシングにある少なくとも1つの穴を通って燃焼器内へと流れた部分を排出するための、抽気チャネル。通常であれば効率的な燃焼のためには圧縮ガスの温度が低過ぎると考えるであろうが、圧縮ガスは比較的高温のタービン/燃焼器ケーシングに沿って移動すると加熱される場合があり、この場合には圧縮ガスは回収熱交換器を通過する必要なく効率的な燃焼を支援するのに十分な高温となる。したがって、抽気流体の流れを燃焼器内に直接注入することにより、例えば、圧縮器出口マニホールド及びタービン入口マニホールドの複雑さを軽減することができる。
【0026】
他の実例では、抽気チャネルを通る圧縮ガスの流れを、燃焼器に関して上流の、回収熱交換器よりも手前又は後ろのいずれかで排出することができる。別の実例では、抽気チャネルのガスは、燃焼器よりも下流だがタービンよりも上流において、抽気チャネルから流れの中へと注入され得る。このことは、燃焼ガスを抽気チャネルを通って流れた圧縮ガスで希釈することで受ける温度を下げるのに有用である場合があり、このことはタービンの冷却に役立ち得る。
【0027】
いくつかの実例では、回収熱交換器、燃焼器のケーシング、タービンのケーシング、排気出口、回収熱交換器チャネル、及びバイパス・チャネルは、結合された材料の一体化したまとまりを形成し得る。この結果、CHPシステムをいくつかの別々に製造された構成要素から組み立てるのではなく、回収熱交換器、燃焼器ケーシング、タービン・ケーシング、排気出口、回収熱交換器チャネル、及びバイパス・チャネルの各々を、例えば付加製造によって、単一の構成要素として形成することができる。このことにより、全体的なシステムをよりコンパクトにすることができる。
【0028】
いくつかの実装形態では、加熱器は、上記した一体化した材料とは別個の構成要素として提供され得る。この場合、排気出口は、回収熱交換器チャネル又はバイパス・チャネルのいずれかを通って流れてきた排気ガスを外部に単純に排出することができ、次いで別々に製造されたダクトによって排気出口から排気ガスを回収し、これを、排気ガスからの熱に基づいて水又は別の流体を加熱するための別個のヘッダに供給することができる。
【0029】
別法として、加熱器をCHPシステムのその他の構成要素と一体化して、回収熱交換器、燃焼器ケーシング、タービン・ケーシング、排気出口、回収熱交換器チャネル、及びバイパス・チャネルと同じ、結合された材料の一体化したまとまりの一部として形成してもよい。この場合、回収熱交換器/バイパスのチャネルと加熱器の間にある排気出口は、別個のダクトへの外的な出口ではなく、一体化した構成要素内の内的な出口であってもよい。
【0030】
シャフト、圧縮器、及びタービンのロータは、上で検討したその他の構成要素と同じ材料のまとまりとして形成する必要はない。これらは別個に組み付けることができる。
【0031】
加熱器が上で検討したような他の構成要素と一体化される実施例では、場合によっては、回収熱交換器は、ディフューザの出口の周囲に環形に配置された環状の熱交換器を備えることができ、加熱器は、この環状の熱交換器の周囲を取り囲んで配置された、更なる環状の熱交換器を備えることができる。この配置は、比較的空間効率の良い様式で所与の体積の流量を取り扱うための、コンパクトな設計を提供することができる。
【0032】
上で検討したこの構成要素とやはり一体化され得る他の構成要素は、以下のうちの少なくとも1つを含む:排気ガスをタービンから回収熱交換器に供給するためのディフューザ、圧縮ガスを圧縮器から回収熱交換器に供給するための圧縮器出口マニホールドの少なくとも一部、燃焼ガスを燃焼器からタービンに供給するためのタービン入口マニホールドの少なくとも一部、及び燃焼器に燃料を供給するための燃料入口チャネルの少なくとも一部。
【0033】
いくつかの実例では、回収熱交換器チャネルは、排気ガスにタービンと排気出口の間で90度以下の曲がりを通過させる。例えば、環状の設計では、排気ガスは回収熱交換器の中央開口内のディフューザを離れ、90度の曲がりを通過し、その後それ以上曲がることなく真っ直ぐに、回収熱交換器チャネルを通り、任意選択的に加熱器を通り、外に向かう。このことは効率性に関して有利であり得るが、その理由は、90度よりも大きい曲がりの必要を回避することにより、システムにわたる圧力降下の軽減を助けることができるからである。
【0034】
材料の一体化したまとまりの中に回収熱交換器、燃焼器ケーシング、タービン・ケーシング、排気出口、回収熱交換器チャネル、及びバイパス・チャネルを含む、上で検討した構成要素は、後から後段の当事者が、シャフト、圧縮器、負荷、及びタービン・ロータなどの他の構成要素と1つに組み付けてCHPシステムとすることができるように、CHPシステムの他の要素とは別個の構成要素として製造及び販売してもよい。場合によっては、CHP構成要素はまた、検討したような加熱器、ディフューザ、圧縮器出口マニホールドの一部、タービン入口マニホールドの一部、及び燃料入口チャネルの一部のうちの、1つ又は複数も含み得る。
【0035】
本願における実例のいずれかで検討されるCHP構成要素は、付加製造によって形成され得る。付加製造においては、物品の製造は、材料の層を次々と連続的に積み上げて完全な物品を作り出すことによって行われ得る。例えば付加製造は、選択的レーザ溶融、選択的レーザ焼結、電子ビーム溶融、等によるものであってよい。CHP構成要素を生成するために使用される材料は様々であり得るが、いくつかの実例では金属又は合金、例えばアルミニウム、チタン、又は鋼であり得る。
【0036】
付加製造工程は、製造すべき設計の特徴を表す電子的設計ファイルを供給すること、及び、設計ファイルを製造機器に供給される命令に翻訳するコンピュータにこの設計ファイルを投入することによって、制御することができる。例えば、コンピュータで3次元設計を連続的な2次元の層へとスライスすることができ、各層を表す命令を付加製造機に供給して、例えば粉体床を横断するレーザの走査を制御して対応する層を形成することができる。このように、いくつかの実施例では、物理的なCHP構成要素を提供するのではなく、この技法を、上で検討したようなCHP構成要素の設計を表す、コンピュータ可読データ構造(例えばコンピュータ自動化設計(CAD:computer automated design)ファイル)において実装することもできる。この場合、CHP構成要素はまた、その物理的な形態で販売するのではなく、そのようなCHP構成要素を形成するための付加製造機を制御するデータの形態で販売してもよい(CHP構成要素はその後、後段の当事者がその自らの付加製造機を使用して製造できる)。データ構造を記憶する記憶媒体が提供され得る。
【0037】
また、上で検討したようなCHP構成要素を表す電子的設計ファイルを作成するための、コンピュータ実装方法が提供され得る。場合によっては、方法は、熱電併給システムの設計要件を指定する設計仕様データに従って、構成要素の少なくとも1つのパラメータを調整することを含む。例えば、設計仕様データは熱モード及び電力モードの両方について意図する電力出力を指定することができ、この結果コンピュータ実装方法は、要求される電力のレベルに基づいて、設計の様々なパラメータを自動的に選択することができる。例えば、調整されたパラメータは、設計の様々な構成要素の全体サイズ、及び設計の異なる要素のサイズ間の比を含み得る。例えば、少なくとも1つのパラメータは、以下のうちの少なくとも1つを含み得る:回収熱交換器チャネルの水力直径とバイパス・チャネルの水力直径との比、回収熱交換器の前面面積、回収熱交換器の流れの長さ、タービン・ケーシングのサイズ、燃焼器ケーシングのサイズ、及び加熱器のサイズ。
【0038】
例えば、回収熱交換器チャネルの水力直径とバイパス・チャネルの水力直径との比を調整することで、このことにより、システムが生み出す熱及び電力の相対的な量の調整が可能になり得るが、その理由は、一般により広いバイパス・チャネルによって、電力用よりも熱用に多くのエネルギーを使用することが可能となり、他方で、回収熱交換器チャネルと比較してより狭いバイパス・チャネルによって、動作点に電力モードに向かうバイアスをかけることが可能となり得る。
【0039】
より一般的には、CHPシステムを通る質量流量を制御する任意のパラメータを、設計仕様データに基づいて適合させることができる。例えば、回収熱交換器の前面面積、タービン・ハウジングのサイズ、燃焼器の前側面積、又は燃料送達通路のサイズを調整することができる。また、回収熱交換器の効率に影響するパラメータ、例えば回収熱交換器チャネルの前面面積及び流れの長さも、変更することができる。加熱器のサイズもまた変更できる。
【0040】
上で検討した技法は、任意のCHPシステムに適用できる。しかしながらこれらは、より小さいスケールのCHPシステム、例えばマイクロCHPシステム又は100kW以下の最大電力出力を有するCHPシステムにとって特に有用であり得る。その理由は、上で検討したCHP構成要素の設計が、そのような用途に適したシステムの特にコンパクトな設計を提供するからである。
【0041】
図1は、熱電併給(CHP)システム2の概略図である。熱電併給システム2は、回転可能なシャフト4を備え、その上に圧縮器6及びタービン8が装着される。シャフト4には負荷24を結合する又は取り付けることができる。熱電併給システム2はまた、回収熱交換器10及び燃焼器12も含む。
【0042】
動作時、シャフト4上での圧縮器6及びタービン8の高速の回転により、吸気ガス、例えば空気が圧縮器6内に引き込まれ、ここでそのガスが圧縮されて、圧縮ガスが生成される。圧縮器6から出る圧縮ガスの流れはシャフト4から外に向かう半径方向の成分、及びシャフト4の周囲の回転方向の成分を有する。圧縮ガスは圧縮器6から流出し、回収熱交換器10内へと供給され、ここで更に加熱されて、加熱圧縮ガスが生成される。回収熱交換器10内での更なる加熱による加熱圧縮ガスの生成は、異なるチャネルで同じく回収熱交換器10を通って案内される、排気ガスとの熱交換によって達成可能である(すなわち、回収熱交換器10は熱交換器である)。回収熱交換器10から出るガスの流れは、回収熱交換器10の少なくとも最後の部分内のダクト形状を、燃焼器12に注入される燃料の効率的な燃焼を助けるためにガスの流れに渦流をもたらすように制御することによって、制御され得る。
【0043】
回収熱交換器10から出た加熱圧縮ガスは燃焼器12に入り、そこで燃料(例えば燃焼可能な液体又は気体)と混合され、高温の燃焼ガスが生み出されるように燃焼を支援する役割を果たし、この燃焼ガスは燃焼器12から外に導かれてタービン8に入る。タービン8に入る燃焼ガスはタービン8を通過する際に膨脹し、そこから仕事が抽出されて、排気ガスが生成される。タービン8はこの結果、圧縮器6、及びシャフト4に取り付けられた任意の負荷24、例えば発電機又は変速機若しくはギアボックスなどの機械的なオフテーク(mechanical offtake)の、回転を駆動する。
【0044】
CHPシステム2は、排気ガスがタービン8から排気出口18へと回収熱交換器10を通って流れるための経路を提供する、回収熱交換器チャネル28を備え、排気ガスからの熱は回収熱交換器10において、加熱圧縮ガスが燃焼器12に達する前に、圧縮器6からの圧縮ガスを加熱する。CHPシステム2はまた、排気ガスがタービンから排気出口へと回収熱交換器10を迂回して流れるための経路を提供する、バイパス・チャネル22も備える。排気出口18は、排気ガスからの熱に基づいて水などの流体を加熱するための加熱器26へと、排気ガスを排出するように構成されている。
【0045】
CHPシステム2はまた、回収熱交換器チャネル28を通って案内される排気ガスの第1の分量とバイパス・チャネル22を通って案内される排気ガスの第2の分量との比を変更可能に調整するための、比選択器30も含み得る。比選択器30は必須ではないこと、並びに、いくつかのシステムでは、上記した比を、例えば回収熱交換器チャネルの28及びバイパス・チャネル22の相対的な断面積を選択することによって、システムの設計時に固定的に設定してもよいことが、諒解されるであろう。いくつかの実例では、比選択器30は調整可能な防壁を備え、この調整可能な防壁がブロックするバイパス22チャネルへの入口の分量が調整されるようになっている。例えば、調整可能な防壁がバイパス・チャネル22への入口を完全に覆っているとき、バイパス・チャネルを通して案内される排気ガスの分量(第2の分量)は実質的にゼロであり、回収熱交換器チャネルを通って案内される排気ガスの分量(第1の分量)は1、であり、したがって比もまた1である。いくつかの実例では、比選択器は、第1の分量及び第2の分量の両方が非ゼロである、例えば1/2と1/2又は1/4と3/4である、少なくとも1つの動作モードをサポートするように構成されている。これらの実例では、比はしたがって、ゼロと1の間の値を有する。
【0046】
燃焼器12への燃料の供給を制御するための、燃料供給制御装置13が提供され得る。燃料供給制御装置13は、いくつかの実施例では、CHPシステムの動作モードに関係なく一定の燃料供給比を提供する。しかしながら、他の実施例では、燃料供給制御装置13は、燃焼器12に供給される燃料の比を変更することができる。比選択器30を含む実施例では、燃料供給比は、バイパス・チャネルを通して案内される排気ガスの第2の分量に依存し得る。例えば、燃料供給比は、第2の分量がより小さいときよりも第2の分量がより大きいときに、より高くなり得る。このことは、より多くの燃料を供給してバイパス・チャネルを通る排気流の分量を増やすことによって引き起こされる燃焼効率の僅かな低下を相殺することによって、所望のレベルの熱出力を維持するのに役立ち得る。
【0047】
図2図3A図3B、及び図4から図6は、CHPシステムにおいて使用するためのCHP構成要素200を示す。図3Aは、(図2の切断線Aに沿った)構成要素の中心軸線に沿った、図2に示すCHP構成要素200を通る断面を示す。この実例では、CHP構成要素200は、タービン8のケーシング(タービン・ケーシング34)と、燃焼器12のケーシング(燃焼器ケーシング36)と、回収熱交換器10と、回収熱交換器チャネル28と、バイパス・チャネル22と、排気出口18と、加熱器26と、を含む。この場合、この実例では、排気出口は、CHP構成要素200の本体内(の加熱器26の入口)にある、中間出口である。他の実例では、その他の構成要素とは別個の外部の加熱器が使用されてもよく、この場合、排気出口18は、排気ガスがCHP構成要素から離れ、外部のダクトを通過して加熱器に至る箇所であり得る。加熱器26によって加熱されることになる水は、図2に示すような水入口47を通って加熱器内へと供給することができ、水入口47は、図3Aに示すようなCHP構成要素の周囲の周りを通る周方向の(環状の)チャネル48内に、水を供給する。同様に、加熱された水は、図3Aに示す環状の水出口チャネル49を通って加熱器26を離れることができ、水出口チャネル49は、環状の加熱器26の周囲から高温の水を集めることができる。この高温の水は、環状の水出口チャネル49の、チャネル49から延びる単一の水出口から取り出すことができる(図2から図6に示す図では見えていない)。
【0048】
図3Bは、図2に示すCHP構成要素200を通る、構成要素の直径に跨る(図3Aの切断線Bに沿った)断面を示す。図3A及び図3Bに示すように、回収熱交換器10は、ディフューザ20(すなわち、排気ガスを回収熱交換器10の中央開口21内へと排出するディフューザ20)の出口の周囲に環形に配置された、環状の熱交換器を備え得る。ディフューザ20は、排気ガスをタービン8から回収熱交換器10に供給するように構成されている。ディフューザ20の使用により、タービン8にわたるより大きい圧力降下の確立が促進され、排気ガスを大気への放出に適した圧力にしながら、燃焼ガスからより大きい仕事を抽出することが可能になる。いくつかの実例では、熱電併給システム2は、燃焼ガスを燃焼器からタービンに供給するための、タービン入口マニホールド16を備える。回収熱交換器チャネル28はまた、排気ガスにタービンと排気出口の間で90度以下の曲がりを通過させるように構成されている。回収熱交換器10を通るチャネルは図3Aでは垂直方向に延びているように見えるが、これは断面による不自然な効果であり、このチャネルは図3Bから、実際にはチャネルが半径方向成分及び接線方向成分の両方を有しており、これらは排気ガスを回収熱交換器の内側開口21から回収熱交換器10の外周へと湾曲した経路で導く(又は、圧縮ガスを回収熱交換器10の外周から燃焼器12に供給する準備のできた内側開口21に向けて湾曲した経路で導く)ことを、見て取ることができる。
【0049】
図3Aに示すように、バイパス・チャネル22は、回収熱交換器10よりも下流のディフューザ20の出口の周囲に延在する、環状のバイパス・チャネルを備える。いくつかの実例では、比選択器30は、回収熱交換器10の内側開口21に出入りして環状のバイパス・チャネル22への入口22aの一部を選択的にブロックするように構成されている、調整可能な防壁(例えばピストン)を備える。
【0050】
CHP構成要素200はまた、圧縮ガスを圧縮器から回収熱交換器10に供給するための、圧縮器出口マニホールド14も備え得る。いくつかの実例では、燃焼器12は、タービン8及びディフューザ20の少なくとも一方の周囲に延在する、環状の燃焼器を備える。圧縮器出口マニホールド14はその場合、環状の燃焼器12の周囲に延在する環状のチャネルを備えるが、これは必須ではない。例えば、圧縮器出口マニホールド14は、燃焼器12の周囲に周方向に(例えばシャフト4に対して垂直な平面内に)配置された、複数の圧縮器出口マニホールド・ダクトを備え得る。更に、少なくとも圧縮器出口マニホールド14の第1の部分内に、チャネルを更に分割するための流れ誘導ベーン140又は他の流れ誘導構造が提供され得る。したがって、一般に本願における「チャネル」、「マニホールド」、「ダクト」等の用語は、単一のチャネルを、又は流体の様々な部分を搬送する、複数の更に分割されたチャネルを、指す場合がある。圧縮器出口マニホールド14を通って流れる圧縮ガスを使用して、燃焼器12の外部表面を冷却することができる。CHP構成要素200において、筒型燃焼器又はチューブ状の燃焼器などの、他の構成の燃焼器12を使用してもよいことも、諒解されるであろう。
【0051】
CHP構成要素200は、燃焼器12を収容するための燃焼器ケーシング36と、タービン8が形成されるようにタービン・ロータ(図3Aには示されていない)を収容している、タービン・ケーシング34と、を備える。CHP構成要素200はまた、タービン・ケーシング34及び燃焼器ケーシング36の少なくとも一方に沿って圧縮ガスの一部を導くための、圧縮器出口マニホールド14からの抽気チャネル32も備え得る。この場合、タービン8の効率を上げるような方法で、タービン・ケーシング34から圧縮ガスへと熱が伝達され得る。例えば、タービン・ケーシング34は使用時にタービン・ロータよりも膨脹するので、タービン・ロータとタービン・ケーシング34の間の間隙が大きくなり、このことによりロータの効率が低下する。タービン・ケーシング34からの熱を圧縮ガスに伝達することによって、使用時のタービン・ケーシングの膨脹が小さくなり、したがってタービン・ロータとタービン・ケーシング34の間の間隙が小さくなり、効率が改善される。また更に、タービン・ケーシング34を圧縮ガスで冷却してそこから熱を除去することによって、タービン・ケーシング34に対する設計制約を緩和することができる、例えば、そのピーク温度が小さくなるので、タービン・ケーシング34にそれほど高価でない材料を使用することが可能になる。
【0052】
より具体的には、抽気チャネル32は、環状の燃焼器12の内径に対応する燃焼器ケーシング36の表面にわたって圧縮ガスを供給するように構成され得る。CHP構成要素200はまた、燃焼ガスを燃焼器12からタービン8に案内するための、複数のノズル・ガイド・ベーン38も含み得る。抽気チャネル32は、圧縮ガスの一部を燃焼器ケーシング36に沿って、例えば環状の燃焼器12の内径に対応する燃焼器ケーシング36の表面に沿って導くための、ノズル・ガイド・ベーン38を通って延在する1つ又は複数の空洞を備える。いくつかの実例では、抽気チャネル32は、前記圧縮ガスの一部を、燃焼器ケーシング36にある少なくとも1つの穴36aを通して燃焼器12内へと排出するように構成されている。例えば、1つ又は複数の穴36aは、環状の燃焼器12の内径に対応する燃焼器ケーシング36の表面上に位置付けることができる。
【0053】
いくつかの実例では、回収熱交換器10、燃焼器ケーシング36、タービン・ケーシング34、排気出口18、回収熱交換器チャネル28、及びバイパス・チャネル22は、結合された材料の一体化したまとまりを形成している。いくつかの実例では、加熱器26もまた、結合された材料の一体化したまとまりの一部である。例えば、回収熱交換器10は、ディフューザ20の出口の周囲に環形に配置された、環状の熱交換器を備え得る。加熱器26はその場合、環状の熱交換器の周囲を取り囲んで配置された、更なる環状の熱交換器を備える。ディフューザ20、圧縮器出口マニホールド14の少なくとも一部、及びタービン入口マニホールド16の少なくとも一部もまた、結合された材料の一体化したまとまりの一部を形成し得る。結合された材料の一体化したまとまりはまた、(一体化されたCHP構成要素200とは別個の構成要素であり得る燃料供給制御装置13の制御下で)燃焼器12に燃料を供給するための、燃料入口チャネル42の少なくとも一部も含み得る。燃料入口チャネル42は、構成要素200の周囲の周りに延びる環状の燃料分配チャネル43内に、燃料を供給し得る。燃焼器内には、分配チャネル43からの燃料が注入される。
【0054】
図3Aに示すように、一体化した構成要素の底部に回収熱交換器10及び加熱器18用の熱交換器を形成することの利点は、これらの要素が最も多くの金属を必要とし、したがって(熱交換器チャネルを分割する壁の追加の質量に起因して)最も重く、したがってこれらを構成要素の同じ側に位置付けることで、構成要素の他の部品が製造中に熱交換器の重量を担う必要がないので、このことにより付加製造による構成要素の製造をより簡単にできる、ということである。構成要素は、図3Aに見られるように、バイパス・チャネル22及び熱交換器構成要素10、18が最初に堆積され、次いで燃焼器10、タービン・ケーシング34等に対応するより密度の低い部分が熱交換器の構成要素上に堆積されるような、底部から頂部への構築方向で製造することができる。
【0055】
図4及び図5は、図3Aに示したものと同じCHP構成要素200を通る断面を概略的に示すが、タービン入口マニホールド16及び圧縮器出口マニホールド14の第1の部分が拡大されている(図5は斜視断面図を示し、図4は端面図を示す)。矢印は、異なる流体が構成要素を通って流れる方向を示す。CHPシステム2に関連して上記したように、圧縮器からの圧縮ガスは、圧縮器出口マニホールド14を通ってCHP構成要素200に入る。圧縮器出口マニホールド14は、圧縮ガスの渦流及び周方向の流れを低減しながら燃焼器12の外面の周囲に圧縮ガスを導くための、流れ誘導ベーン140を備える。図3Aに示すように、流れ誘導構造140は、圧縮器出口マニホールド14の長さの大部分に沿って延在して、燃焼器12の周囲に周方向に配置された複数の圧縮器出口マニホールド・ダクトを形成し得る。このことにより、燃焼器12の周囲の周りでの圧縮ガスの均等な分配が保証されるとともに、圧縮ガスの周方向の流れが更に減少される。別法として、流れ誘導ベーン140は、圧縮器出口マニホールド14の第1の部分、例えば図4で見えている部分の中に、完全に包含されてもよい。いくつかの実例では、例えば、燃焼器12に燃料を供給するために1つ又は複数の燃料入口チャネル42が流れ誘導構造140の中を通ることができるように、流れ誘導構造140のうちの1つ又は複数は中空であってもよい。流れ案内構造140はまた、構成要素が付加製造によって作られるときに、CHP構成要素200の他の部分をこの構成要素の下側の部分の上に形成可能にする、機械的支持部も提供し得る。
【0056】
熱電併給システム2に関連して上記したように、圧縮ガスは圧縮器出口マニホールドから回収熱交換器10内へと流れ、ここで圧縮ガスは過熱され、その後燃焼器12内へと流れ、ここで燃料と混合されて、高温の燃焼ガスが生み出される。上記した実例では、燃料は(燃料入口チャネル42及び燃料分配チャネル43を介して)燃焼器12内へと直接供給されるが、このことは必須ではない。例えば、燃料の少なくとも一部を燃焼器12の上流で、例えば圧縮器出口マニホールド14内で、圧縮ガスに追加することができる。燃料の少なくとも一部は、圧縮器よりも更に上流で追加することができる。そのような実例では、燃料及び圧縮ガスの混合物の点火は、燃焼器12内に入ったときにだけ行われる。
【0057】
燃焼ガスはその後、燃焼器12から出てタービン入口マニホールド16内へと流れる。図4及び図5に示す実例では、タービン入口マニホールド16は、燃焼ガスを燃焼器12からタービン8に案内するための、複数のノズル・ガイド・ベーン38を備える。
【0058】
圧縮器出口マニホールド14を通ってCHP構成要素200に入る圧縮ガスの一部は、抽気チャネル32内へと導かれて抽気ガスを生成する。図4及び図5に示す実例では、抽気チャネル32は、抽気ガス(圧縮ガス)がノズル・ガイド・ベーン38の内部を通って流れることを可能にする、ノズル・ガイド・ベーン38を通って延在する1つ又は複数の空洞32aを備える。このことはまた、ノズル・ガイド・ベーン38からの熱を除去するようにも作用し、それらの構造的完全性及び耐用年数を改善するが、その理由は、ノズル・ガイド・ベーン38の外部表面が、高温の燃焼ガスに暴露されるからである。
【0059】
ノズル・ガイド・ベーン38を通って延在する空洞32aは、圧縮ガスの一部を、抽気チャネルの一部を形成する抽気ダクト32b内へと導く。抽気ダクト32bは、タービン8の周囲に環形に配置されており、ノズル・ガイド・ベーン38の空洞32aの各々を通って流れる圧縮ガスが、単一の抽気ダクト32b内へと流れるようになっている。このことにより、タービン8の周囲の周りでの抽気ガスの均等な分配が保証される。
【0060】
抽気ガスは抽気ダクト32bから、燃焼器ケーシング抽気マニホールド32c及びタービン・ケーシング抽気マニホールド32dの、2つのマニホールド内へと導かれる。燃焼器ケーシング抽気マニホールド32cは、抽気ガス(すなわち圧縮ガス)の一部を燃焼器ケーシング36に沿って導くための、環状の燃焼器ケーシング36の内径の内部に形成された流れの通路である。言い換えれば、燃焼器ケーシング抽気マニホールド32cは、抽気ガスが中を流れることのできる燃焼器ケーシング36内に、別個の内部燃焼器のライニングを形成する。別法として、抽気ガスは、燃焼器ケーシング36上に直接当たるように導かれてもよい。タービン・ケーシング抽気マニホールド32dは、抽気ガス(すなわち圧縮ガス)の一部をタービン・ケーシング34及びディフューザ・ケーシング40に沿って導くための、タービン・ケーシングの外径及び環状のディフューザ・ケーシング40の外径の内部に形成された流れの通路である。上記したように、このことはタービン・ケーシングから熱を除去するのに役立ち、タービンの効率を改善する。燃焼器ケーシング抽気マニホールド32c及びタービン・ケーシング抽気マニホールド32dの両方を有することは必須ではなく、いくつかの例では、抽気チャネル32は、燃焼器ケーシング抽気マニホールド32c又はタービン・ケーシング抽気マニホールド32dのみを備えることになることが、諒解されるであろう。
【0061】
圧縮器出口マニホールド内の流れ誘導構造140と同様の様式で、燃焼器ケーシング抽気マニホールド32c及び/又はタービン・ケーシング抽気マニホールド32dは、燃焼器ケーシング抽気マニホールド32c及びタービン・ケーシング抽気マニホールド32dへの入口においてそれぞれ、抽気ガスの渦流及び周方向の流れを低減しながら周囲の抽気ガスを対応する抽気マニホールド内に導くための、1つ又は複数の流れ誘導構造321、322を備え得る。流れ誘導構造321は、燃焼器ケーシング抽気マニホールド32cの長さの大部分に沿って延在して、燃焼器ケーシング36の周囲に周方向に配置された複数の燃焼器ケーシング抽気マニホールド・ダクトを形成し得る。同様の様式で、流れ誘導構造322は、タービン・ケーシング抽気マニホールド32dの長さの大部分に沿って延在して、タービン・ケーシング34及びディフューザ・ケーシング40の周囲に周方向に配置された、複数のタービン・ケーシング抽気マニホールド・ダクトを形成し得る。このことが図6に示されており、図6は、図2から図5に示すものと同じCHP構成要素200を通る、構成要素の直径に跨る(図3Aの切断線Cに沿った)断面を示す。図6は、複数の流れ誘導構造140によって複数の圧縮器出口マニホールド・ダクトへと分離された、圧縮器出口マニホールド14を示す。燃焼器ケーシング抽気マニホールド32cは、流れ誘導構造321によって複数の燃焼器ケーシング抽気マニホールド・ダクトへと分離され、タービン・ケーシング抽気マニホールド32dは、流れ誘導構造322によって複数のタービン・ケーシング抽気マニホールド・ダクトへと分離される。図6は、それぞれ圧縮器出口マニホールド14、燃焼器ケーシング抽気マニホールド32c、及びタービン・ケーシング抽気マニホールド32dによって環状形態の周囲に均等に分布させた、流れ誘導構造140、321、322の各々を示すが、このことは必須ではなく、流れ誘導構造140、321、322の任意の分布が可能であり得ることが、諒解されるであろう。上述したように、流れ誘導構造140、321、322はまた、構成要素が付加製造によって作られるときに、CHP構成要素200の他の部分をこの構成要素の下側の部分の上に形成可能にするのに必要な、機械的支持部も提供し得る。
【0062】
燃焼器ケーシング抽気マニホールド32cを通って流れる抽気ガスの一部は、環状の燃焼器12の内径に対応する燃焼器ケーシング36の表面上に位置付けられた1つ又は複数の穴36aを通って、燃焼器ケーシング抽気マニホールド32c(及び抽気チャネル32)から出る。図5に示すように、穴36aは、抽気ガスを燃焼器12の内周の周りで燃焼器12の長さの一部に沿って均等に分配するための、穴36aのグリッドへと形成され得る。図3Aに示すように、穴36aのグリッドは、燃焼器12の全長に沿って延在して、燃焼器ケーシング36の内部表面全体が抽気ガスによって冷却されることを保証し得るか、又は、燃焼器ケーシングの一部に沿ってのみ延在し得る。このことによりまた、燃焼器12内への抽気ガスの均一な分配も保証され、このことにより抽気ガス、加熱圧縮ガス、及び燃料の混合が向上し、この結果燃焼効率が改善される。
【0063】
タービン・ケーシング抽気マニホールド32dを通って流れる抽気ガスの一部は、タービン・ケーシング34及びディフューザ・ケーシング40に沿って流れ、燃焼器ケーシング36の長さに沿ったある位置で外に出て燃焼器ケーシング抽気マニホールド32c内に入る。この抽気ガスの一部はその後、上記したように、穴36aのグリッドを通って、燃焼器内へと流れることができる。タービン・ケーシング抽気マニホールド32dは、異なる場所において、例えば、タービン入口マニホールド16に対応する燃焼器ケーシング36の一部において又は回収熱交換器10からの燃焼器12への入口において、燃焼器抽気マニホールド32cと接合し得る。タービン・ケーシング抽気マニホールド32dと燃焼器ケーシング抽気マニホールドが接合される場所は、穴36aの各々を通して実質的に同じ質量流量の抽気ガスが達成されることを保証するように選択することができ、このことにより、燃焼ガスが燃焼器12から抽気チャネル32のいずれかの中へと移動しないことが保証される。
【0064】
抽気ガスを燃焼器12内に排出することは必須でないことが、諒解されるであろう。例えば、燃焼器12に入る前に抽気ガスを加熱圧縮ガスと混合するために、燃焼器12の上流で抽気ガスを、例えば回収熱交換器10と燃焼器12の間のマニホールド内に排出してもよい。別法として又は加えて、抽気ガスは、タービンに入るガスの温度を下げるために燃焼ガスをタービン8に入る前に希釈する目的で、燃焼器12の下流で、例えばタービン入口マニホールド16内で排出されてもよい。例えば、ノズル・ガイド・ベーン38を通って延在する1つ又は複数の空洞32aは、抽気ガスがタービン入口マニホールド16内へと流れることができるように、ノズル・ガイド・ベーン38の後縁にあるスロット、又はノズル・ガイド・ベーン38の表面上の1つ若しくは複数の穴から、抽気ガスを排出するように構成され得る。
【0065】
図7及び図8は、CHP構成要素200を通る図3Aに示したものと同じ断面及びCHPシステム2に関連して上記したような比選択器30を、概略的に示す。図7及び図8に示す実例では、比選択器30はCHP構成要素200とは別個であり、調整可能な防壁を備え、この調整可能な防壁がブロックするバイパス・チャネル22への入口22aの分量が調整されるようになっている。比選択器30はCHP構成要素200とは別個であるが、比選択器30及びCHP構成要素200の少なくとも一方は、比選択器30とCHP構成要素200の間の何らかの間隙から排気ガスなどの流体が漏れるのを防止するための、Oリング又はピストン・リングなどの流体シールを備え得る。図7は第1の位置にある比選択器30を示し、一方、図8は第2の位置にある比選択器30を示す。
【0066】
電力モード(比選択器30が第1の位置にある)では、圧縮器から低温のガス流が流入して、この圧縮ガスの大部分が圧縮器出口マニホールド14を通って回収熱交換器10の低温のチャネルへと流れるように分割され、ここでこのガス流は、回収熱交換器10の高温のチャネルを通る排気ガスからの熱に基づいて加熱され、その後加熱圧縮ガスは燃焼器12内へと供給される。圧縮ガス(抽気ガス)の残りの部分は抽気チャネル32を通って流れて、燃焼器及びタービン・ケーシングに沿って冷却流を提供し、そこで燃焼器12及びタービン8内のより高温の流体によって加熱され、その後、燃焼器ケーシングにある穴を通して燃焼器に注入される。
【0067】
他方で、燃焼器内で生み出された高温ガス流(排気ガス)はタービン入口マニホールドを通過するが、そこでノズル・ガイド・ベーンによってタービン・ロータ(タービン・ホイール)のブレード上へと案内されて、タービン及びしたがってシャフトを駆動する。排気ガスはタービンによって膨脹され、ディフューザ21を通って回収熱交換器10内を開口へと流れる。図7に示すような第1の位置では、比選択器30は、CHP構成要素200内、例えば回収熱交換器10の内側開口21内に、少なくとも部分的に包含されている。この位置では、比選択器30はバイパス・チャネル22への入口22aを完全にブロックしており、この結果、バイパス・チャネル22を通して案内される排気ガスの分量はゼロであり、全ての排気ガスが回収熱交換器チャネル28を通って案内される。言い換えれば、回収熱交換器チャネル28を通して案内される排気ガスの分量は1であり、この結果、回収熱交換器チャネル28を通して案内される排気ガスの分量とバイパス・チャネル22を通して案内される排気ガスの分量との比もまた1である。これはCHPシステム2の電力モードと見なすことができるが、その理由は、排気の全てが回収熱交換器チャネルを通して案内され、このことにより、回収熱交換器10における排気ガスと圧縮ガスの間の熱伝達が向上するからである。燃焼器12に入る圧縮ガス及びタービン8に入る燃焼ガスはしたがって、温度がより高くなる。このことによりタービン8の熱効率が向上し、その結果、シャフト4に結合されている負荷24での出力が上がる。電力モードでは、回収熱交換器10を離れる排気ガスが水加熱器18を通して外部に排気される際に、加熱器26での水のある程度の加熱も提供される。
【0068】
図8に示すような第2の位置では、圧縮ガス(高圧又はHP流れ)の低温の流れは図7の場合と同じである。しかしながら、比選択器30は、例えばCHP構成要素200の外面201と当接して、CHP構成要素200の外部に完全に包含されている。この位置では、比選択器30はバイパス・チャネル22への入口22aをブロックせず、この結果、バイパス・チャネル22を通して案内される排気ガス(低圧又はLP流れ)の分量は非ゼロである。この位置では、回収熱交換器チャネル28を通して案内される排気ガスの分量もまた非ゼロであり、この結果、回収熱交換器チャネル28を通して案内される排気ガスの分量とバイパス・チャネル22を通して案内される排気ガスの分量との比は、ゼロよりも大きくかつ1未満、例えば0.2、0.5、又は0.8である。この位置では、回収熱交換器チャネル28を通して案内される排気ガスの分量とバイパス・チャネル22を通して案内される排気ガスの分量との比は、CHP構成要素200のパラメータ、例えば、回収熱交換器チャネル28の水力直径とバイパス・チャネル22の水力直径との比、又は回収熱交換器10にわたる圧力降下とバイパス・チャネル22にわたる圧力降下との比によって、規定される。これはCHPシステム2の熱モードと見なすことができるが、その理由は、排気ガスのある分量が依然として回収熱交換器チャネル28を通して案内されるが、回収熱交換器10におけるこの分量の排気ガスと圧縮ガスの間の熱伝達は、非常に低くできるからである。排気出口18における排気ガスはしたがって、ディフューザ20の出口における排気ガスと、実質的に同じ温度である。このことにより、加熱器26において生じる熱伝達の量が増加し、したがって加熱器26によって加熱される、水などの流体の温度が上がる。
【0069】
比選択器30は図8ではCHP構成要素200の外部に完全に包含されているものとして示されているが、このことは必須ではない。例えば、比選択器30の位置の範囲は、CHP構成要素200内に完全に包含されてもよい。例えば、比選択器30は、排気ガスが比選択器30の内側開口を通って流れることができるように、実質的に環形状であってもよい。比選択器30は、比選択器30が回収熱交換器チャネル28への入口の一部をブロックするように、図7に示す第1の位置よりも、CHP構成要素200の更に奥まで移動されるように構成されてもよい。この位置では、排気ガスは、比選択器30の内側開口を通ってバイパス・チャネルへの入口22a内へと流れることによって、バイパス・チャネル22内へと流れることができる。
【0070】
比選択器は、回収熱交換器チャネルを通して案内される排気ガスの第1の分量とバイパス・チャネルを通して案内される排気ガスの第2の分量との比を調整するために、第1の位置と第2の位置の間の1つ又は複数の中間位置で動作し得ることが、諒解されるであろう。このことにより次いで、構成要素200によるエネルギー出力の比が変更され、シャフト4において動力に変換され、負荷24に伝達され、例えば電気エネルギーを生み出すために使用されることになり、また構成要素200によるエネルギー出力は、加熱器26によって熱へと変換される。上記したように、比選択器30は、ピストンなどのアクチュエータによって第1の位置、第2の位置、及び任意の中間位置の間で移動可能であってもよい。アクチュエータは制御装置によって、比選択器30を選択的に移動させ、その結果CHPシステム2の動作中に環状のバイパス・チャネル22への入口22aの一部が選択的にブロックされるように、制御され得る。
【0071】
図2から図8に示すCHP構成要素200は、例えば付加製造工程の一部としての金属粉末のエネルギー線溶融によって、結合された粉末材料から形成され得る。そのような技法は、図2から図8に示すような、導管、マニホールド、及び開口部の、複雑な配置の形成に非常に適している。そのような付加製造された構造の特徴は、そのような構造を、材料がガス流に対して透過性となるような方法で生成できることである。したがって、例えば、上記した燃焼器ケーシング36の穴36aは代わりに(又は追加的に)、燃焼器ケーシング36の透過性部分を通る透過性の開口部によって提供され得る。
【0072】
付加製造においては、物品の製造は、材料の層を次々と連続的に積み上げて完全な物品を作り出すことによって行われ得る。例えば付加製造は、選択的レーザ溶融、選択的レーザ・センタリング、電子ビーム溶融、等によるものであってよい。CHP構成要素200に使用される材料は様々であり得るが、いくつかの実例では金属、例えばアルミニウム、チタン、若しくは鋼であってもよく、又は合金であってもよい。
【0073】
図9は付加製造の概略図である。この実例では、CHP構成要素200又は上記したCHPシステム2の構成要素といった物品を形成するために、レーザ融着金属粉末88が使用される。物品200の形成は降下する粉体床80上で層状に行われ、粉体床80の上には融着されることになる金属パワーの薄い層が粉体散布器82によって散布され、その後レーザ84が提供する走査レーザ・ビームによって溶融(融着)される。レーザ84によるレーザ・ビームの走査、及び床80の降下は、制御コンピュータ86によってコンピュータ制御される。そして制御コンピュータ86は、コンピュータ・プログラム(例えば、製造すべき物品200を規定するコンピュータ・データ)によって制御される。この物品を規定するデータは、コンピュータ可読非一時的媒体98に記憶される。図9は、付加製造を行うために使用できる機械の1つの実例を示す。様々な他の機械及び付加製造工程もまた、熱交換器のコア部分と入口/出口の間で第1の流体及び第2の流体を案内するための導通チャネルが間挿される、本願発明の技法に従って使用するのに適している。
【0074】
付加製造工程は、製造すべき物品200を規定するコンピュータ・データ、例えば製造すべき設計の特徴を表す電子的設計ファイルを供給すること、及び、設計ファイルを製造機器に供給される命令に翻訳するコンピュータ、例えば制御コンピュータ86に、この設計ファイルを投入することによって、制御することができる。例えば、コンピュータで3次元設計を連続的な2次元の層へとスライスすることができ、各層を表す命令を制御コンピュータ86に供給して、例えば粉体床80を横断するレーザ84の走査を制御して対応する層を形成することができる。このように、いくつかの実施例では、物理的な装置を提供するのではなく、この技法を、上で検討したような装置の設計を表すコンピュータ可読データ構造(例えばコンピュータ自動化設計(CAD)ファイル)において実装することもできる。この場合、CHP構成要素200はまた、その物理的な形態で販売するのではなく、そのような構成要素200を形成するための付加製造機を制御するデータの形態で販売してもよい。データ構造を記憶する記憶媒体が提供され得る。記憶媒体は非一時的記憶媒体であってもよい。
【0075】
熱電併給システム2の構成要素200を表す電子的設計ファイルを作成するための、コンピュータ実装方法が提供され得る。方法は、構成要素200を指定する電子的設計ファイルを作成するステップを含む。上述したように、構成要素200は、図2から図6に関連して上記したような、回収熱交換器10と、燃焼器ケーシング36と、燃焼器12と、タービン・ケーシング34と、排気出口18と、回収熱交換器チャネル28と、バイパス・チャネル22と、を備える。
【0076】
特定の用途又は使用、例えば100kWの最大電力出力を有するCHPシステムに合わせて調節された構成要素200を作り出すために、いくつかの実例では、方法は、熱電併給システムの設計要件を指定する設計仕様データに従って、構成要素の少なくとも1つのパラメータを調整することを含む。例えば、少なくとも1つのパラメータは、回収熱交換器チャネルの水力直径とバイパス・チャネルの水力直径との比を含み得る。少なくとも1つのパラメータは、回収熱交換器10における圧力降下に寄与するパラメータ、例えば回収熱交換器10の水力直径、流れの長さ、及び前面面積に関連し得る。別法として又は加えて、構成要素200の質量流量を電力について最適化するのが望ましい場合がある。この実例では、回収熱交換器10の前面面積、タービン・ケーシング32のサイズ決定、燃焼器12の前面面積、及び/又は燃料送達通路のサイズが、設計仕様データに従って調整される。別の実例では、回収熱交換器10の有効性を最適化するのが望ましい場合がある。この実例では、回収熱交換器10の前面面積及び/又は流れの長さが、設計仕様データに従って調整される。別の実例では、構成要素200と共に使用されることになる加熱器のサイズ、又は構成要素200に含まれる加熱器のサイズは、設計仕様データに従って調整される。
【0077】
図10は、付加製造を用いて構成要素を、例えば上記したようなCHP構成要素200を、作製する方法1000を示す。方法1000は設計仕様データを受け取るステップ1010から始まる。ステップ1020では、例えばコンピュータ支援設計(CAD)ファイルの形態の、電子的設計ファイルが作成される。電子的設計ファイルは、設計仕様データに従って少なくとも1つのパラメータが調整されている、上記したようなCHP構成要素を表す。ステップ1030では、CADファイルなどの電子的設計ファイルが、(例えば、3D設計を2D層にスライスし、2D層の各々についてレーザ走査のパターンを制御するための命令を生み出すことによって)付加製造機を制御するための命令に変換される。ステップ1040では、CHP構成要素が、付加製造を用いて、結合された材料の一体化したまとまりとして製造される。
【0078】
本願では、「…ように構成されている」という語は、装置のある要素が、規定された動作を実行できる構成を有することを意味するように使用される。「ように構成されている」は、規定された動作を提供するためにその装置の要素を何らかの点で変更する必要があることは示唆していない。
【0079】
本発明の例示的な実施例を添付の図面を参照して本明細書で詳細に説明したが、本発明はこれらの厳密な実施例に限定されないこと、並びに、当業者はそれらにおいて、付属の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、様々な変更及び修正を実施できることを理解されたい。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10