(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0251 20230101AFI20230307BHJP
G06F 16/9035 20190101ALI20230307BHJP
【FI】
G06Q30/0251
G06F16/9035
(21)【出願番号】P 2021045125
(22)【出願日】2021-03-18
【審査請求日】2021-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 康貴
(72)【発明者】
【氏名】市丸 朋史
(72)【発明者】
【氏名】荒井 翔真
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-035068(JP,A)
【文献】特開2020-064501(JP,A)
【文献】特開2017-211786(JP,A)
【文献】特開2017-182746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/9035
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク上における複数のユーザの行動履歴を取得する履歴取得部と、
評価対象の属性である対象属性に関して推定されたスコアを含む前記ユーザの推定属性情報に基づき、前記スコアの高い順に第1所定数の前記ユーザを選択することで上位ユーザ群を設定する上位ユーザ群設定部と、
前記推定属性情報に基づき、前記スコアの高い順に前記第1所定数以上の第2所定数の前記ユーザを選択することで対象ユーザ群を設定する対象ユーザ群設定部と、
前記上位ユーザ群の前記行動履歴と前記対象ユーザ群の前記行動履歴との間の類似度を、前記対象ユーザ群において前記対象属性が正解であることの推定確率として算出し、前記第2所定数および前記推定確率を含むスコア評価情報を生成する評価情報生成部と、を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記対象ユーザ群設定部は、前記第2所定数が互いに異なる数である複数の前記対象ユーザ群を設定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記対象ユーザ群に対応する前記第2所定数を第1軸とし、前記対象ユーザ群に対応する前記推定確率を第2軸とするグラフを生成するグラフ生成部をさらに備える、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記対象ユーザ群に対応する前記推定確率に基づいて、前記対象ユーザ群において前記対象属性が正解である推定ユーザ数を算出する推定ユーザ数算出部をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記対象ユーザ群に属する前記ユーザに対して推定された前記スコアのうち、最も小さいスコアを、前記対象ユーザ群の閾値スコアとして算出する閾値算出部をさらに備える、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
コンピュータにより情報を処理する情報処理方法であって、
ネットワーク上における複数のユーザの行動履歴を取得する履歴取得ステップと、
評価対象の属性である対象属性に関して推定されたスコアを含む前記ユーザの推定属性情報に基づき、前記スコアの高い順に第1所定数の前記ユーザを選択することで上位ユーザ群を設定する上位ユーザ群設定ステップと、
前記推定属性情報に基づき、前記スコアの高い順に前記第1所定数以上の第2所定数の前記ユーザを選択することで対象ユーザ群を設定する対象ユーザ群設定ステップと、
前記上位ユーザ群の前記行動履歴と前記対象ユーザ群の前記行動履歴との間の類似度を、前記対象ユーザ群において前記対象属性が正解であることの推定確率として算出し、前記第2所定数および前記推定確率を含むスコア評価情報を生成する評価情報生成ステップと、を実施する、情報処理方法。
【請求項7】
コンピュータにより読み取り実行可能な情報処理プログラムであって、
前記コンピュータを、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の情報処理装置として機能させる、情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザの属性に対するスコアを評価するための情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネット上の各種サービスで推定されたユーザ属性を統合し、各種サービス間で共有可能に管理する情報処理装置が知られている(例えば特許文献1参照)。この情報処理装置は、各種の属性に対してスコアが付与されたユーザ毎の推定属性情報を生成しており、対象属性に対して所定以上のスコアを付与されたユーザのユーザリストなどを、サービスを運営する事業者に提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前述の特許文献1に開示の技術では、属性に対するスコアの評価方法が明らかでないため、事業者が推定属性情報を有効に活用することは難しい。
例えば、「犬を飼っている」という属性に関するユーザリストを要求する事業者は、当該ユーザリストに対してどの程度のスコアを閾値として設定すれば、ユーザリスト内に実際に犬を飼っているユーザがどの程度の確率で含まれるのかを把握できない。
このため、事業者は、ユーザごとの行動履歴をサンプリングし、属性に対するスコアとユーザの行動傾向との関係を把握するなどの手間を必要とする。
【0005】
本発明は、属性に対するスコアを評価可能にする情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の情報処理装置は、ネットワーク上における複数のユーザの行動履歴を取得する履歴取得部と、評価対象の属性である対象属性に関して推定されたスコアを含む前記ユーザの推定属性情報に基づき、前記スコアの高い順に第1所定数の前記ユーザを選択することで上位ユーザ群を設定する上位ユーザ群設定部と、前記推定属性情報に基づき、前記スコアの高い順に前記第1所定数以上の第2所定数の前記ユーザを選択することで対象ユーザ群を設定する対象ユーザ群設定部と、前記上位ユーザ群の前記行動履歴と前記対象ユーザ群の前記行動履歴との間の類似度を、前記対象ユーザ群において前記対象属性が正解であることの推定確率として算出し、前記第2所定数および前記推定確率を含むスコア評価情報を生成する評価情報生成部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、上位ユーザ群の行動履歴を評価基準とすることで、対象ユーザ群において対象属性が正解であることの推定確率が算出される。事業者などは、対象ユーザ群のユーザ数(第2所定数)と推定確率とを含むスコア評価情報を確認することで、スコアの高い順にどの程度の数のユーザを選択すれば、対象属性が正解となるユーザがどの程度の確率で含まれるかを把握でき、対象属性に対するスコアを評価できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態の情報処理システムの概略構成を示す模式図。
【
図2】前記実施形態の情報処理装置の概略構成を示すブロック図。
【
図3】前記実施形態の情報処理装置における情報処理方法を説明するフローチャート。
【
図4】前記実施形態で生成される分析グラフを例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る一実施形態について図面に基づいて説明する。
[情報処理システムの全体構成]
図1は、本実施形態の情報処理システム1の概略構成を示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態の情報処理システム1は、情報処理装置10と、各種サービスを提供する複数のサービス提供サーバ20と、サービスを運営する事業者などが保有する事業者端末30と、サービスを利用するユーザが保有するユーザ端末40とを備え、これらはインターネット等のネットワークを介して通信可能に接続されている。
【0010】
この情報処理システム1において、サービス提供サーバ20は、ユーザ端末40に対してサービスを提供しつつ、ユーザの行動履歴等に基づいてユーザ属性を推定する。情報処理装置10は、各サービス提供サーバ20で推定されたユーザ属性を統合することで、ユーザ毎の推定属性情報を生成し、各種サービス間で共有可能に管理する。
また、情報処理装置10は、事業者端末30などの要求に応じて、推定属性情報におけるスコアを評価したスコア評価情報を提供する。事業者は、事業者端末30に提供されたスコア評価情報を確認することで、推定属性情報を有効に活用することができる。
なお、ここで説明する属性とは、ユーザの興味、関心、生活様式、ライフステージ、および消費傾向などである。
【0011】
[情報処理装置10]
情報処理装置10は、一般的なコンピュータにより構成されており、
図2に示すように、通信部11、記憶部12、プロセッサ13等、コンピュータを構成する各部を備えている。
なお、情報処理装置10を構成するコンピュータの数は特に限定されない。本実施形態では、説明の簡略化のため、1台のコンピュータによって情報処理装置10が構成される例を示すが、複数のコンピュータをネットワークで接続して構築されるクラウドサーバを情報処理装置10としてもよい。
【0012】
通信部11は、インターネットに接続され、インターネットを介してサービス提供サーバ20、事業者端末30およびユーザ端末40等の各装置と通信する。
記憶部12は、情報処理装置10を制御するための各種情報や情報処理プログラムを記録する。
【0013】
また、記憶部12は、行動履歴情報記憶部121および推定属性情報記憶部122などを備える。
なお、本実施形態では、情報処理装置10の記憶部12に、行動履歴情報記憶部121および推定属性情報記憶部122が設けられる例を示すが、情報処理装置10とネットワークを介して通信可能に接続された他のデータサーバやクラウドストレージに、これらの情報が記録される構成としてもよい。
【0014】
行動履歴情報記憶部121は、ユーザ毎に、ユーザ識別情報(ユーザID)と、行動履歴情報とを記憶している。
行動履歴情報は、インターネットを通じて取得されるユーザの行動に関する履歴情報である。例えば、ユーザ行動履歴情報は、ユーザが実施した検索処理における検索履歴情報、ユーザが閲覧したコンテンツの閲覧履歴情報、ユーザが商品の売買を行った商品売買履歴情報、ユーザが実店舗で電子決済手段を利用した決済履歴情報などを含む。また、ユーザ行動履歴情報は、インターネットを通じてユーザに実施されたアンケートの結果を含んでもよい。
なお、本実施形態では、スコア評価情報を生成する処理のために検索履歴情報が用いられる。この検索履歴情報は、検索クエリおよび検索日時などの項目を含む。
【0015】
推定属性情報記憶部122は、ユーザ毎に、ユーザ識別情報(ユーザID)と、推定属性情報とを記憶している。
推定属性情報は、ユーザの行動履歴に基づいて推定された属性に関する情報である。例えば、推定属性情報は、1以上の属性と、各属性に対して付与されたスコアと、を含む。属性は、例えば属性識別情報(属性ID)などで管理される。
【0016】
プロセッサ13は、CPU等の演算回路、RAM等の記録回路により構成される。プロセッサ13は、記憶部12に記録されている情報処理プログラムをRAMに展開し、RAMに展開されたプログラムとの協働で、各種処理を実行する。
そして、プロセッサ13は、情報処理プログラムを読み込み実行することで、
図2に示すように、履歴取得部131、推定属性情報生成部132、上位ユーザ群設定部133、対象ユーザ群設定部134、評価情報生成部135、グラフ生成部136、注釈情報生成部137および提供部138等として機能する。
【0017】
履歴取得部131は、ユーザ端末40やサービス提供サーバ20などから、ユーザの行動履歴を取得し、行動履歴情報記憶部121に記憶させる。
推定属性情報生成部132は、各サービス提供サーバ20から取得するユーザ属性などに基づいて、ユーザ毎の推定属性情報を生成し、推定属性情報記憶部122に記憶させる。なお、推定属性情報を生成する方法については、従来文献(例えば特開2020-35068号公報)に記載の方法を参照可能であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0018】
上位ユーザ群設定部133は、対象属性に関する上位ユーザ群を設定する。この上位ユーザ群は、対象属性に対応するスコア評価情報を生成するための基準となるユーザ群である。
対象ユーザ群設定部134は、対象属性に関する1以上の対象ユーザ群Cxを設定する。この対象ユーザ群は、対象属性に対応するスコア評価情報を生成するために、上位ユーザ群に対する比較対象として使用されるユーザ群である。
評価情報生成部135は、上位ユーザ群Sおよび対象ユーザ群Cxの各検索履歴に基づいて、スコア評価情報を生成する。スコア評価情報は、対象ユーザ群Cxのユーザ数(第2所定数)と、対象ユーザ群Cxにおいて対象属性が正解である推定確率(以下、推定正解確率)とを含む。
【0019】
グラフ生成部136は、スコア評価情報に基づく分析グラフを生成する。
注釈情報生成部137は、本発明の推定ユーザ数算出部および閾値算出部に相当し、分析グラフの注釈情報(例えば、後述する推定ユーザ数や閾値)を生成する。
提供部138は、分析グラフや注釈情報を事業者端末30に提供する。
【0020】
[サービス提供サーバ20]
サービス提供サーバ20は、ユーザ端末40からアクセスされた場合に、サービスを提供するサーバ装置である。例えば、サービス提供サーバ20は、サービスとして、ウェブ検索サービス、ショッピングサービス、オークションサービス、コンテンツ提供サービス、ニュースサービス、天気予報サービスなどを提供する。
このサービス提供サーバ20は、サービスを利用したユーザの行動履歴(例えば検索履歴、購買履歴および閲覧履歴など)に基づいて、ユーザの属性を推定し、情報処理装置10に提供する。
なお、本実施形態において、情報処理装置10とサービス提供サーバ20とは別々に構成されているが、情報処理装置10がいずれかのサービス提供サーバ20の機能の一部または全部を代替してもよい。
【0021】
[事業者端末30]
事業者端末30は、サービスを運営する事業者によって利用される端末装置であり、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピューター等により構成されている。
事業者端末30の具体的な構成の図示は省略するが、事業者端末30は、一般的なコンピュータが有する基本的な構成を有する。すなわち、事業者端末30は、操作者の操作を受け付ける入力操作部、画像情報を表示させるディスプレイ、各種情報を記録する記録装置、各種情報を演算処理する演算回路(CPU等)を備えている。
事業者端末30は、情報処理装置10が提供するサイトにアクセスし、各種の要求操作を行うことで、情報処理装置10に対して各種情報を要求する。また、事業者端末30は、情報処理装置10から提供される各種情報をディスプレイ等に表示させる。
【0022】
[ユーザ端末40]
ユーザ端末40は、ユーザが管理するコンピュータであり、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピューター等により構成されている。
ユーザ端末40の具体的な構成の図示は省略するが、ユーザ端末40は、一般的なコンピュータが有する基本的な構成を有する。すなわち、ユーザ端末40は、操作者の操作を受け付ける入力操作部、画像情報を表示させるディスプレイ、各種情報を記録する記録装置、各種情報を演算処理する演算回路(CPU等)を備えている。
【0023】
[スコア評価情報の提供方法]
次に、情報処理装置10がスコア評価情報を提供する処理手順について、
図3に示すフローチャートを参照して説明する。なお、以下の処理手順を開始する前の任意のタイミングで、履歴取得部131は、ユーザの検索履歴を取得し、行動履歴情報記憶部121に記憶させておく(履歴取得ステップ)。
【0024】
まず、事業者端末30は、事業者の操作に従い、情報処理装置10が提供する所定のサイトにアクセスする。そして、評価対象となる属性(対象属性)を指定する操作を行うことで、スコア評価情報の要求を情報処理装置10に送信する。この要求は、例えば、対象属性に対応する属性IDや、事業者端末30に対応する事業者IDを含む。
【0025】
情報処理装置10が事業者端末30から要求を受信した場合(ステップS1;YES)、上位ユーザ群設定部133は、要求に含まれる属性IDに基づいて、推定属性情報記憶部122を参照し、対象属性に対応する上位ユーザ群Sを設定する(ステップS2;上位ユーザ群設定ステップ)。
具体的には、上位ユーザ群設定部133は、推定属性情報記憶部122を参照し、対象属性に対するスコアの高い順に第1所定数のユーザを選択することで上位ユーザ群Sを設定する。ここで、第1所定数は、例えば、対象属性に対して0より大きいスコアを付与されたユーザの数に対し、所定割合(例えば数%)となる数である。あるいは、第1所定数は、予め定められた数でもよいし、予め定められた閾値以上のスコアを付与されたユーザの数でもよい。
【0026】
次に、対象ユーザ群設定部134は、要求に含まれる属性IDに基づいて、推定属性情報記憶部122を参照し、対象属性に対応する複数(n個)の対象ユーザ群Cx(C0、C1、C2・・・Cn)を設定する(ステップS3;対象ユーザ群設定ステップ)。
具体的には、対象ユーザ群設定部134は、推定属性情報記憶部122を参照し、対象属性に対するスコアの高い順に第2所定数のユーザを選択することで対象ユーザ群Cxを設定する。
ここで、第2所定数は、第1所定数以上の数であって、対象ユーザ群Cx間で互いに異なる数である。
例えば、本実施形態において、対象ユーザ群C0のユーザ数(第2所定数)は、上位ユーザ群Sのユーザ数(第1所定数)と同じであり、対象ユーザ群C0は、実質的には上位ユーザ群Sと等しい。
また、対象ユーザ群C1、C2・・・Cn-1のユーザ数(第2所定数)は、10万、20万、30万・・・というように、所定数ごと(例えば10万ごと)に増加するように設定された数である。
また、対象ユーザ群Cnのユーザ数は、対象属性に対して0より大きいスコアを付与されたユーザの数である。
【0027】
次に、評価情報生成部135は、行動履歴情報記憶部121を参照し、対象ユーザ群Cxごとに、上位ユーザ群Sと対象ユーザ群Cxとの間における検索履歴の類似度を算出する(ステップS4)。
具体的には、評価情報生成部135は、上位ユーザ群Sに属する各ユーザの検索履歴情報に基づいて、上位ユーザ群Sに対応するクエリベクトルを算出する。また、評価情報生成部135は、対象ユーザ群Cxに属する各ユーザの検索履歴情報に基づいて、対象ユーザ群Cxに対応するクエリベクトルを算出する。ここで、クエリベクトルの算出方法としては、TF-IDFなどの手法により、検索履歴情報に含まれる検索クエリに検索回数による重みを割り当て、検索クエリに割り当てられた重みを成分とするベクトルを算出できる。そして、評価情報生成部135は、t-SNEという手法を用いて、上位ユーザ群Sに対応するクエリベクトルと、対象ユーザ群Cxに対応するクエリベクトルとの間の近さ(類似度)を算出する。
このステップS4で算出される類似度は、0~1.0の間のいずれかの値であり、対象ユーザ群Cxにおいて対象属性が正解であることの推定確率(推定正解確率)とみなされる。
そして、評価情報生成部135は、評価情報生成部135は、対象ユーザ群Cxごとに、ユーザ数(第2所定数)および推定正解確率を含むスコア評価情報を生成する(ステップS5)。なお、ステップS4,S5は、本発明の評価情報生成ステップに相当する。
【0028】
次に、グラフ生成部136は、ステップS5で生成されたスコア評価情報をイメージ化した分析グラフを生成する(ステップS6)。
図4は、対象属性が「東京都在住」である場合に生成されるスコア評価情報をイメージ化した分析グラフの一例である。この分析グラフは、対象ユーザ群Cxのユーザ数(第2所定数)を横軸(第1軸)とし、対象ユーザ群Cxに対応する推定正解確率を縦軸(第2軸)としている。また、この分析グラフでは、対象ユーザ群C0,C1,C2・・・Cnごとの推定正解確率が左から右へ順にヒストグラム状に表されている。なお、
図4では、推定正解確率が百分率で表示されている。
【0029】
例えば、
図4の分析グラフにおいて、実質的に上位ユーザ群Sと等しい対象ユーザ群C0に対応する推定正解確率は100%である。また、スコアが上位10万人となる対象ユーザ群C1に対応する推定正解確率は98%である。また、スコアが上位90万人となる対象ユーザ群C9に対応する推定正解確率は58%である。
このような分析グラフによれば、対象ユーザ群Cxのユーザ数(第2所定数)が多くなるほど、推定正解確率が低くなる様子を読み取ることができる。
【0030】
次に、注釈情報生成部137は、ステップS5で生成されたスコア評価情報に基づいて、対象ユーザ群Cxごとの注釈情報を生成する(ステップS7)。
具体的には、注釈情報生成部137は、対象ユーザ群Cxに対応する推定正解確率に基づいて、対象ユーザ群Cx内で対象属性が正解である推定ユーザ数を算出する。例えば、対象ユーザ群Cxのユーザ数に対して、対応する推定正解確率を乗じることで、推定ユーザ数が算出される。
また、注釈情報生成部137は、対象属性に関して、対象ユーザ群Cxに属するユーザに対応するスコアのうち、最も小さいスコアを、対象ユーザ群Cxの閾値スコアとして算出する。例えば、対象ユーザ群C9に属するユーザのスコア帯が0.346~0.350である場合、当該スコア帯の最小値0.346を閾値スコアとして算出する。
そして、注釈情報生成部137は、対象ユーザ群Cxごとに、推定ユーザ数および閾値スコアを含む注釈情報を生成する。
なお、ステップS6,S7の順序は入れ替えられてもよい。
【0031】
次に、提供部138は、要求の送信元である事業者端末30に対して、スコア評価情報、分析グラフおよび注釈情報を提供する(ステップS8)。
以上により、
図3のフローが終了する。
【0032】
事業者端末30は、情報処理装置10から送信された分析グラフをディスプレイ上に表示させる。また、事業者端末30は、事業者が分析グラフにおける任意の対象ユーザ群Cxを選択する操作(例えばカーソルを任意の対象ユーザ群Cxに対応する領域に合わせる等)を行った場合、選択された対象ユーザ群Cxのユーザ数(「取得件数」として表示)、推定ユーザ数(「推定件数」として表示)および閾値スコア(「しきい閾」として表示)などをポップアップ表示させる(
図4参照)。
【0033】
例えば、
図4では、対象ユーザ群C9が選択された場合において、この対象ユーザ群C9に対応するユーザ数(取得件数:536,744)、推定ユーザ数(推定件数:1,000,000)および閾値スコア(閾値;0.3460)がポップアップ表示された様子が示される。
【0034】
事業者は、事業者端末30に表示された分析グラフやポップアップを確認することで、スコア上位からどの程度の数のユーザを取得すれば、対象属性が正解となるユーザがどの程度の確率で含まれるかを把握でき、対象属性に対応するスコアを評価できる。
【0035】
[本実施形態の効果]
本実施形態の情報処理装置10は、記憶部12と、プロセッサ13とを備え、プロセッサ13は、記憶部12に記憶された情報処理プログラムを読み込むことで、履歴取得部131、上位ユーザ群設定部133、対象ユーザ群設定部134、評価情報生成部135として機能し、前述の処理を実施する。
このような本実施形態では、対象属性が正解である確率が高い上位ユーザ群Sの検索履歴情報を評価基準とすることで、対象ユーザ群Cxに対応する推定正解確率が算出される。事業者は、対象ユーザ群Cxのユーザ数および推定正解確率を含むスコア評価情報を確認することで、スコア上位からどの程度の数のユーザを取得すれば、対象属性が正解となるユーザがどの程度の確率で含まれるかを把握でき、対象属性に対応するスコアを評価できる。その結果、事業者の提供するサービスのマーケティングなどにおいて、推定属性情報を積極的に活用することができる。
特に、本実施形態では、各種のサービス提供サーバ20で推定された属性が統合されることで推定属性情報が生成されており、事業者は、情報処理装置10から提供される属性提供情報について、スコアのイメージを持ちにくい。このため、本実施形態のスコア評価情報の重要性が大きいと考えられる。
【0036】
本実施形態において、対象ユーザ群設定部134は、ユーザ数が互いに異なる複数の対象ユーザ群Cx(C0、C1、C2・・・Cn)を設定する。
このような本実施形態において、事業者は、複数の対象ユーザ群Cxに関するスコア評価情報を確認することで、対象ユーザ群Cxのユーザ数の変化に対する推定正解確率の変化について把握することができる。
【0037】
本実施形態において、プロセッサ13は、スコア評価情報をグラフ化した分析グラフを生成するグラフ生成部136としても機能する。
このような本実施形態において、事業者は、分析グラフを確認することで、対象ユーザ群Cxのユーザ数の変化に対する推定正解確率の変化について、視覚的に把握することができる。
【0038】
本実施形態において、プロセッサ13は、スコア評価情報の注釈情報(推定ユーザ数、閾値スコア)を生成する注釈情報生成部137として機能する。
このような本実施形態において、事業者は、注釈情報を確認することで、スコア評価情報によるスコア評価をより正確に行うことができる。
【0039】
[変形例]
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で、以下に示される変形をも含むものである。
【0040】
(変形例1)
前記実施形態において、評価情報生成部135は、ユーザの検索履歴情報を利用して推定正解確率を算出するが、本発明はこれに限られない。例えば、評価情報生成部135は、検索履歴に替えて、または、検索履歴と共に、閲覧履歴や購買履歴などの各種の行動履歴を利用して、推定正解確率を算出してもよい。
【0041】
(変形例2)
前記実施形態において、対象ユーザ群Cxに対応する推定ユーザ数や閾値スコアなどの注釈情報は、対象ユーザ群Cxに対する選択操作に応じてポップアップ表示されるが、本発明はこれに限られず、他の形式(例えばテーブル等)で表示されてもよい。
【0042】
(変形例3)
前記実施形態において、スコア評価情報は、対象ユーザ群Cxのユーザ数を第1軸とし、対象ユーザ群Cxに対応する推定正解確率を第2軸とする分析グラフとして表示されるが、本発明はこれに限られず、他の形式(例えばテーブル等)で表示されてもよい。
【0043】
(変形例4)
前記実施形態において、グラフ生成部136は、対象ユーザ群Cxのユーザ数や対象ユーザ群Cxに対応する推定正解確率などの指標とは異なる指標を用いてグラフを生成してもよい。例えば、グラフ生成部136は、対象ユーザ群Cxのユーザ数を第1軸とし、対象ユーザ群Cxに対応する推定ユーザ数または閾値スコアを第2軸とする他のグラフを生成してもよい。この場合、情報処理装置10は、前記実施形態の分析グラフに替えて、または、当該分析グラフと共に、他のグラフを事業者端末30に提供してもよい。
【0044】
(変形例5)
前記実施形態において、対象ユーザ群Cx(C1、C2・・・Cn)のユーザ数は、所定間隔で増加する数であることに限られず、任意の間隔で異なってもよい。事業者の要求にユーザ数の範囲指定が含まれる場合には、当該範囲と他の範囲との間で、複数の対象ユーザ群Cx間のユーザ数の間隔が異なってもよい。
【0045】
(変形例6)
前記実施形態では、少なくとも1つの対象ユーザ群Cxが設定され、この対象ユーザ群Cxに対応するスコア評価情報が生成されればよい。事業者の要求にユーザ数の指定が含まれる場合には、このユーザ数に対応する対象ユーザ群が設定され、この対象ユーザ群に対応するスコア評価情報が生成されればよい。
【0046】
(変形例7)
前記実施形態では、情報処理装置10は、各サービス提供サーバ20で推測されたユーザの属性を統合することで、ユーザごとの推定属性情報を生成するが、本発明はこれに限られない。例えば、情報処理装置10は、各サービス提供サーバ20またはユーザ端末40からユーザの行動履歴情報(例えば、検索履歴、閲覧履歴および購買履歴など)を取得し、取得された行動履歴情報に基づいてユーザの属性を推定することで、推定属性情報を生成してもよい。なお、ユーザの属性の推定方法としては、モデルなどを用いた公知技術を利用できる。
【符号の説明】
【0047】
1…情報処理システム、10…情報処理装置、11…通信部、12…記憶部、121…行動履歴情報記憶部、122…推定属性情報記憶部、13…プロセッサ、131…履歴取得部、132…推定属性情報生成部、133…上位ユーザ群設定部、134…対象ユーザ群設定部、135…評価情報生成部、136…グラフ生成部、137…注釈情報生成部、138…提供部、20…サービス提供サーバ、30…事業者端末、40…ユーザ端末、Cx…対象ユーザ群、S…上位ユーザ群。