(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】調理器具及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20230307BHJP
【FI】
A47J27/00 109G
A47J27/00 103R
(21)【出願番号】P 2021505846
(86)(22)【出願日】2019-06-25
(86)【国際出願番号】 CN2019092780
(87)【国際公開番号】W WO2020034764
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-02-02
(31)【優先権主張番号】201810918484.6
(32)【優先日】2018-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201821304631.2
(32)【優先日】2018-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201810917389.4
(32)【優先日】2018-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201821304632.7
(32)【優先日】2018-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515117198
【氏名又は名称】佛山市▲順▼▲徳▼区美的▲電▼▲熱▼▲電▼器制造有限公司
【氏名又は名称原語表記】FOSHAN SHUNDE MIDEA ELECTRICAL HEATING APPLIANCES MANUFACTURING CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】San Le Road #19,Beijiao,Shunde Foshan,Guangdong 528311 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】劉化勇
(72)【発明者】
【氏名】羅飛龍
(72)【発明者】
【氏名】梁志佳
(72)【発明者】
【氏名】黄韋銘
(72)【発明者】
【氏名】▲シン▼勝華
(72)【発明者】
【氏名】羊小亮
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-284388(JP,A)
【文献】特開2017-079833(JP,A)
【文献】特開2016-054835(JP,A)
【文献】特開2018-086247(JP,A)
【文献】特開2006-075476(JP,A)
【文献】中国実用新案第206213904(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂部が開放された調理チャンバを有する鍋体と、抽気孔及び圧力抜き孔を有し、前記鍋体に開き位置と閉じ位置との間を移動可能に取り付けられた鍋蓋と、前記調理チャンバ内が負圧状態になるように抽気するための抽気装置と、前記圧力抜き孔を開閉するための圧力抜き装置と、を含み、前記鍋蓋または前記鍋体には、タッチパネルとして構成されるタッチボタンと、前記タッチボタンに作用するタッチ動作を感知し、前記タッチ動作に基づい
て開蓋信号を生成するための、タッチセンサとして構成されるタッチモジュールと、を含む開蓋タッチコンポーネントが設けられる調理器具の制御方法であって、
前記制御方法は、
前記開蓋タッチコンポーネントが送信した
前記開蓋信号を取得するステップと、
その後、前記調理チャンバ内の気圧が負圧状態であるか否かを検出するステップと、
前記調理チャンバ内の気圧が負圧状態である場合、前記調理チャンバ内の気圧が常圧状態に回復して鍋蓋が開かれるまで、前記圧力抜き孔を開けるように圧力抜き装置を制御するステップと、を含む、
ことを特徴とする調理器具の制御方法。
【請求項2】
前記開蓋タッチコンポーネントが送信した
前記開蓋信号を取得する前記ステップの前に、前記タッチモジュールが第1の予め設定された時間持続した前記タッチ動作を感知した場合、前記タッチ動作に基づいて前記開蓋信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の調理器具の制御方法。
【請求項3】
ユーザが前記調理器具に接近したか否かを検出するための人体感知モジュールをさらに含み、
前記開蓋タッチコンポーネントが送信した
前記開蓋信号を取得する前記ステップの前に、ユーザが前記調理器具に接近した時間が第2の予め設定された時間に達したことを検出し、且つ前記タッチモジュールが前記タッチ動作を感知した場合、前記タッチモジュールは、前記タッチ動作に基づいて前記開蓋信号を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の調理器具の制御方法。
【請求項4】
前記開蓋タッチコンポーネントが送信した
前記開蓋信号を取得する前記ステップの前に、前記第2の予め設定された時間の間、ユーザと前記調理器具との間の距離が予め設定された距離以下であることを検出し、且つ前記タッチモジュールが前記タッチ動作を感知した場合、前記タッチモジュールは、前記タッチ動作に基づいて前記開蓋信号を生成する、
ことを特徴とする請求項3に記載の調理器具の制御方法。
【請求項5】
前記人体感知モジュールは、赤外線感知センサ、距離センサ、またはカメラである、
ことを特徴とする請求項3に記載の調理器具の制御方法。
【請求項6】
前記鍋体または前記鍋蓋には補助機能キーがさらに設けられ、前記開蓋タッチコンポーネントが送信した
前記開蓋信号を取得する前記ステップの前に、前記タッチボタンと前記補助機能キーが同時または連続的に操作された場合、前記タッチモジュールは前記タッチ動作に基づいて前記開蓋信号を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の調理器具の制御方法。
【請求項7】
前記抽気装置、前記圧力抜き装置、及び前記開蓋タッチコンポーネントと通信するコントローラを含み、前記コントローラは、請求項1~6のいずれか1項に記載の調理器具の制御方法を実行する、
ことを特徴とする調理器具。
【請求項8】
前記開蓋タッチコンポーネントは、
一方が開放された収容チャンバを画定するボタン台を含み、
前記タッチボタンは、前記収容チャンバ内に設けられ、
前記タッチモジュールは、前記タッチボタンに接続されるとともに前記コントローラと通信する、
ことを特徴とする請求項7に記載の調理器具。
【請求項9】
ロック位置と分離位置との間を移動可能なロック部材をさらに含み、前記ロック部材が前記ロック位置にある時、前記鍋蓋は前記閉じ位置にロッキングされ、前記ロック部材が前記分離位置にある時、前記鍋蓋は前記閉じ位置から離脱する、
ことを特徴とする請求項7または8に記載の調理器具。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、出願番号が201810918484.6、201821304631.2、201810917389.4、201821304632.7で、出願日が2018年8月13日である中国特許出願に基づいて提出され、前記中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全てが参照によって本願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本願は、調理機器の技術分野に関し、特に調理器具及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術における調理器具は、調理器具の調理チャンバが負圧状態になるように抽気する抽気装置を設けることにより、米飯を長時間新鮮に保つことができる。しかし、調理チャンバが負圧状態であると、ユーザは鍋蓋を開けることができない。
【0004】
上記の課題を解決するために、調理器具に微動スイッチ付きの開蓋ボタンコンポーネントが設けられ、ユーザが開蓋ボタンを押すと微動スイッチが起動されることにより、さらに調理チャンバの負圧状態を解除し、続いて開蓋動作を実行する。しかし、開蓋ボタンコンポーネントが係り止ってしまう現象が生じると、微動スイッチが正常に起動されず、すなわち蓋を開ける前の圧力抜き動作を実現することができず、ユーザ体験に影響を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は、先行技術における技術的問題の少なくとも1つを解決することを目的とする。そのため、本願の1つの目的は、手順が簡単で、蓋を開ける前の圧力抜き動作を実現し、調理器具の使用信頼性を向上させることができる調理器具の制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願は、調理器具をさらに提供する。
【0007】
本願の第1の態様の実施例に係る調理器具の制御方法によれば、頂部が開放された調理チャンバを有する鍋体と、抽気孔及び圧力抜き孔を有し、前記鍋体に開き位置と閉じ位置との間を移動可能に取り付けられた鍋蓋と、前記調理チャンバ内が負圧状態になるように抽気するための抽気装置と、前記圧力抜き孔を開閉するための圧力抜き装置と、を含み、前記鍋蓋または前記鍋体には開蓋タッチコンポーネントが設けられる調理器具の制御方法であって、前記制御方法は、前記開蓋タッチコンポーネントが送信した開蓋信号を取得するステップと、前記調理チャンバ内の気圧が負圧状態であるか否かを検出するステップと、前記調理チャンバ内の気圧が負圧状態である場合、前記調理チャンバ内の気圧が常圧状態に回復して鍋蓋が開かれるまで、前記圧力抜き孔を開けるように圧力抜き装置を制御するステップと、を含む。
【0008】
本願の実施例に係る調理器具の制御方法によれば、開蓋タッチコンポーネントの設置により、ユーザは開蓋タッチコンポーネントを制御することで安全に蓋を開くことができ、関連技術におけるボタンコンポーネントを用いて微動スイッチを起動させる開蓋方式と比較して、ボタンコンポーネントが係り止められる現象の発生により正常に開蓋することができないという問題がなく、使用体験がよりよい。
【0009】
本願の一実施例によれば、前記開蓋タッチコンポーネントは、タッチボタンと、前記タッチボタンに作用するタッチ動作を感知し、前記タッチ動作に基づいて前記開蓋信号を生成するためのタッチモジュールと、を含む。
【0010】
本願の好ましい一実施例によれば、前記開蓋タッチコンポーネントが送信した開蓋信号を取得する前記ステップの前に、前記タッチモジュールが第1の予め設定された時間持続した前記タッチ動作を感知した場合、前記タッチ動作に基づいて前記タッチ信号を生成する。
【0011】
本願の別の好ましい一実施例によれば、ユーザが前記調理器具に接近したか否かを検出するための人体感知モジュールをさらに含み、前記開蓋タッチコンポーネントが送信した開蓋信号を取得する前記ステップの前に、ユーザが前記調理器具に接近した時間が第2の予め設定された時間に達したことを検出し、且つ前記タッチモジュールが前記タッチ動作を感知した場合、前記タッチモジュールは、前記タッチ動作に基づいて前記開蓋信号を生成する。
【0012】
一部の例示では、前記開蓋タッチコンポーネントが送信した開蓋信号を取得する前記ステップの前に、前記第2の予め設定された時間の間、ユーザと前記調理器具との間の距離が予め設定された距離以下であることを検出し、且つ前記タッチモジュールが前記タッチ動作を感知した場合、前記タッチモジュールは、前記タッチ動作に基づいて前記開蓋信号を生成する。
【0013】
一部の例示では、前記人体感知モジュールは、赤外線感知センサ、距離センサ、またはカメラである。
【0014】
本願の好ましいさらなる一実施例によれば、前記鍋体または前記鍋蓋には補助機能キーがさらに設けられ、前記開蓋タッチコンポーネントが送信した開蓋信号を取得する前記ステップの前に、前記タッチボタンと前記補助機能キーが同時または連続的に操作された場合、前記タッチモジュールは前記タッチ動作に基づいて前記開蓋信号を生成する。
【0015】
本願の第2の態様の実施例に係る調理器具によれば、前記抽気装置、前記圧力抜き装置、及び前記開蓋タッチコンポーネントと通信するコントローラを含み、前記コントローラは、上記の実施例による調理器具の制御方法を実行する。
【0016】
本願の一実施例によれば、前記開蓋タッチコンポーネントは、一方が開放された収容チャンバを画定するボタン台と、前記収容チャンバ内に設けられるタッチボタンと、前記タッチボタンに接続されるとともに前記コントローラと通信するタッチモジュールと、を含む。
【0017】
本願の一実施例によれば、ロック位置と分離位置との間を移動可能なロック部材をさらに含み、前記ロック部材が前記ロック位置にある時、前記鍋蓋は前記閉じ位置にロッキングされ、前記ロック部材が前記分離位置にある時、前記鍋蓋は前記閉じ位置から離脱する。
【0018】
本願の第3の態様の実施例に係る調理器具によれば、内部に調理チャンバが画定されている内鍋を有する鍋体と、前記鍋体に開閉可能に設けられており、第1の封止部材と、前記調理チャンバに対向して設けられた圧力抜き孔及び圧力抜きチャンバを有する上蓋本体と、電気制御されることにより前記第1の封止部材を駆動して前記圧力抜き孔を開閉するように構成された電動圧力抜き部材とを有する鍋蓋と、前記鍋体または前記鍋蓋に設けられた開蓋ボタンと、前記開蓋ボタンに接続または連動され、前記開蓋ボタンが押された場合、前記第1の封止部材を駆動して前記圧力抜き孔を開放し、及び/または前記鍋蓋と前記内鍋との密閉を解除するように構成される機械的圧力抜き部材と、を含む。
【0019】
本願の実施例の調理器具によれば、開蓋ボタン及び機械的圧力抜き部材の設置により、開蓋ボタンを押す時に調理チャンバの圧力を抜き、開蓋ボタンを押しながら圧力を抜いて蓋体を開くことができ、操作が容易で素早い。このように、電動圧力抜き部材と機械的圧力抜き部材が互いに干渉しないという前提で、操作者は、電動圧力抜き部材が故障して、圧力を抜けないか、または突然停電した場合に、手動で調理チャンバから圧力を抜くことができるだけでなく、調理器具が負圧状態で長時間放置されることを回避し、調理器具の使用の安全性を向上させ、さらには安全性の潜在的なリスクも低減または解消することができる。
【0020】
本願の一部の実施例によれば、前記機械的圧力抜き部材は、前記開蓋ボタンが押された場合、前記第1の封止部材を駆動して前記圧力抜き孔を開放し、前記開蓋ボタン及び前記機械的圧力抜き部材が、いずれも前記上蓋本体に設けられるように構成される。
【0021】
一部の実施例では、前記第1の封止部材は封止ボールであり、前記機械的圧力抜き部材は圧力抜きプッシュロッドであり、前記圧力抜きプッシュロッド及び前記開蓋ボタンは、前記上蓋本体に前記圧力抜き孔の中心軸線に平行な方向に沿って摺動可能に設けられ、前記圧力抜きプッシュロッドは、前記第1の封止部材に向かって設けられ、上から下に向かって徐々に前記圧力抜き孔から離れるように延びる傾斜押付面を有し、前記傾斜押付面は、前記第1の封止部材に当接して前記圧力抜き孔を開放する。
【0022】
さらに、前記上蓋本体は、順番に接続される表面蓋と、内蓋と、蓋板とを含み、前記圧力抜き孔は少なくとも前記蓋板を貫通し、前記圧力抜きチャンバは前記表面蓋と前記内蓋との間に形成され、前記表面蓋の頂壁に前記開蓋ボタンと摺動係合する第1の取り付け用貫通孔を有し、前記内蓋の頂壁に前記圧力抜きプッシュロッドと摺動係合する第2の取り付け用貫通孔を有し、前記圧力抜きプッシュロッドの上端が前記開蓋ボタンの底部に接続され、下端が前記第2の取り付け用貫通孔を貫通して前記圧力抜きチャンバ内まで伸びる。
【0023】
一部の実施例では、前記機械的圧力抜き部材は、前記開蓋ボタンが押された場合、前記第1の封止部材を駆動して前記圧力抜き孔を開放し、前記開蓋ボタンが前記鍋体に設けられ、前記機械的圧力抜き部材は前記鍋蓋に設けられるように構成される。
【0024】
さらに、前記機械的圧力抜き部材は圧力抜きリンクロッドであり、前記開蓋ボタンの上端には、前記鍋体の上端から突出して前記鍋蓋内まで伸び、前記鍋蓋内に位置する圧力抜きリンクロッドを駆動する延長ロッドが設けられる。
【0025】
さらに、前記圧力抜きリンクロッドは、前記上蓋本体に前記圧力抜き孔の中心軸線に垂直な方向に沿って摺動可能に設けられる。
【0026】
好ましくは、前記上蓋本体は、順番に接続された表面蓋と、内蓋と、蓋板とを含み、前記圧力抜き孔は、少なくとも前記蓋板を貫通し、前記圧力抜きチャンバは、前記表面蓋と前記内蓋との間に形成され、前記圧力抜きリンクロッドは、前記内蓋を貫通する縦方向ロッドと、前記内蓋と前記表面蓋との間に位置する横方向ロッドとを含み、前記横方向ロッドは、前記鍋蓋内に位置する第1の封止部材に当接係合するように、前記圧力抜きチャンバ内まで伸びる。
【0027】
一部の実施例では、前記開蓋ボタンは、前記機械的圧力抜き部材に枢動接続されるか、または当接係合される。
【0028】
さらに、前記調理器具は、前記開蓋ボタン及び前記機械的圧力抜き部材の少なくとも一方に接続されて、それぞれをリセットさせる弾性リセット部材をさらに含む。
【0029】
一部の実施例では、前記鍋蓋は、鍋蓋が閉じられた時に前記内鍋に係合して前記調理チャンバを密閉する第2の封止部材を有し、前記機械的圧力抜き部材は、前記開蓋ボタンが押された場合、前記第2の封止部材に作用して前記内鍋と前記鍋蓋との密閉を解除するように構成される。
【0030】
さらに、前記第2の封止部材は、前記上蓋本体の下端に接続される封止リングであり、前記機械的圧力抜き部材は、前記開蓋ボタンが押下される際に、前記第2の封止部材と前記内鍋との間に隙間が形成されるように、前記第2の封止部材と前記内鍋との間に挿入される梃子動かし爪を有する。
【0031】
好ましくは、前記機械的圧力抜き部材と前記開蓋ボタンは、一体に成形されるとともに前記鍋体に設けられ、前記鍋体の外側壁に第3の取り付け用貫通孔を有し、前記鍋体の頂壁に第4の取り付け用貫通孔を有し、前記開蓋ボタンは、前記第3の取り付け用貫通孔を貫通するとともに、バネを介して前記鍋体の内側壁に当接され、前記機械的圧力抜き部材は、前記第4の取り付け用貫通孔に摺動可能に設けられる。
【0032】
本発明の一部の実施例によれば、前記開蓋ボタンは、押される場合、前記鍋蓋と前記鍋体とのロックが解除されるように構成される。
【発明の効果】
【0033】
本願の付加的な態様及び利点は、一部は以下の説明に示され、一部は以下の説明からより明らかになるか、または本願の実践を通じて理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
本願の上記及び/または付加的な特徴及び利点は、下記の図面を参照して実施例を説明することにより明らかになり、理解しやすくなる。
【0035】
【
図1】本願の実施例に係る調理器具の構造概略図である。
【
図2】本願の実施例に係る調理器具の鍋蓋の構造概略図である。
【
図3】本願の実施例に係る調理器具の開蓋タッチコンポーネントの構造概略図である。
【
図4】本願の実施例に係る調理器具のボタン台の構造概略図である。
【
図5】本願の実施例による調理器具の制御方法のフローチャートである。
【
図6】本願の第1の実施例に係る調理器具の概略図である。
【
図7】本願の第1の実施例に係る調理器具の部分拡大概略図(圧力抜き孔を閉鎖する機械的圧力抜き部材)である。
【
図8】本願の第1の実施例に係る調理器具の別の部分拡大概略図(圧力抜き孔を開放する機械的圧力抜き部材)である。
【
図9】本願の第2の実施例に係る調理器具の概略図である。
【
図10】本願の第3の実施例に係る調理器具の概略図である。
【
図11】本願の第3の実施例に係る調理器具の部分拡大概略図(圧力抜き孔を閉鎖する機械的圧力抜き部材)である。
【
図12】本願の第3の実施例に係る調理器具の別の部分拡大概略図(圧力抜き孔を開放する機械的圧力抜き部材)である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本願の実施例について詳細に説明する。前記実施例の例示を図面に示し、ただし、同一または類似する符号は、常に同一または類似する部品、または同一または類似する機能を有する部品を表す。以下、図面を参照しながら説明される実施例は例示的なものであり、本願を解釈するものにすぎず、本願を限定するものと理解されるべきではない。
【0037】
以下、本願の第1の形態の実施例に係る調理器具の制御方法について、
図1~
図5を参照しながら説明する。
【0038】
図1から
図5に示すように、本願の実施例に係る調理器具100は、頂部が開放された調理チャンバaを有する鍋体10と、抽気孔214及び圧力抜き孔bを有し、開き位置と閉じ位置との間で鍋体10に移動可能に取り付けられた鍋蓋20と、前記調理チャンバa内が負圧状態になるように抽気するための、抽気孔214に連通する抽気装置70と、圧力抜き孔bを開閉するための圧力抜き装置80と、を含み、鍋蓋20または鍋体10には開蓋タッチコンポーネント90が設けられる。ここでの「負圧状態」は、調理チャンバ内の気圧が常圧(すなわち、1つの大気圧)よりも低い状態である。
【0039】
ここで、内蓋212と、内蓋212の調理チャンバaに向く側に設けられた蓋板213と、内蓋212の調理チャンバaに背向く側に設けられた表面蓋211とを含む鍋蓋20が、鍋体10に枢動可能に取り付けられ、抽気孔214及び圧力抜き孔bが蓋板213に設けられる。
【0040】
さらに、調理器具の制御方法は、
開蓋タッチコンポーネントが送信する開蓋信号を取得するステップS1と、
調理チャンバ内の気圧が負圧状態であるか否かを検出するステップS2と、
調理チャンバ内の気圧が負圧状態である場合、調理チャンバ内の気圧が常圧状態に回復して鍋蓋が開かれるまで、圧力抜き装置を制御して圧力抜き孔を開いているステップS3と、を含む。
【0041】
具体的には、調理器具100が作動時に、ユーザが途中で蓋を開く必要がある場合、まず、開蓋タッチコンポーネント90が開蓋信号を発するように、開蓋タッチコンポーネント90を操作し、調理チャンバa内の気圧が負圧状態であることを検出する場合、圧力抜き装置80を制御して圧力抜き孔bを開けることにより、圧力抜きを行い、調理チャンバa内の気圧が常圧に回復した場合、開蓋動作を実行し、調理チャンバa内の気圧が常圧状態であることを検出する場合、直接開蓋動作を実行する。
【0042】
本願の実施例に係る調理器具の制御方法によれば、開蓋タッチコンポーネントの設置により、ユーザは開蓋タッチコンポーネントを制御することにより蓋を安全に開くことができ、関連技術におけるボタンコンポーネントで微動スイッチをトリガする開蓋方式と比較して、ボタンコンポーネントが係り止められる現象の発生により正常に開蓋することができないという問題がなく、使用体験がよりよい。
【0043】
本願の一実施例によれば、開蓋タッチコンポーネント90は、タッチボタン91と、タッチボタン91に作用するタッチ動作を感知し、タッチ動作に基づいて開蓋信号を生成するためのタッチモジュール92と、を含む。具体的には、ユーザが途中で蓋を開く必要がある場合、まず手でタッチボタン91を押し、タッチモジュール92がタッチボタン91に作用するタッチ動作を感知し、続いて感知されたタッチ動作から開蓋信号を生成して、後続の制御を行う。
【0044】
一部の例示では、タッチモジュール92は、圧力センサ、すなわち、タッチボタン91に作用する作用力を感知し、感知された作用力から開蓋信号を生成するための圧力センサであってもよく、当然ながら、タッチモジュール92は、他のタイプのセンサであってもよい。
【0045】
本願の好ましい一実施例によれば、開蓋タッチコンポーネント90が送信する開蓋信号を取得する前に、タッチモジュール92がタッチ動作を第1の予め設定された時間持続することを感知した後、タッチ動作に基づいてタッチ信号を生成する。
【0046】
つまり、調理器具100が作動時に、ユーザが途中で蓋を開く必要がある場合、まず、人が手でタッチボタン91を長押しするが、ここでのタッチボタン91の押しがタッチ動作であり、人が手でタッチボタン91を長押しする時間が第1の予め設定された時間に達することをタッチモジュール92が感知する場合、タッチ動作に基づいてタッチ信号を生成することにより、ユーザの誤操作により蓋が開いてしまうという問題の発生を防止できる。
【0047】
本願の別の好ましい一実施例によれば、調理器具100は、ユーザが調理器具に接近したか否かを検出するための人体感知モジュール(図示せず)をさらに含み、開蓋タッチコンポーネント90が送信する開蓋信号を取得する前に、ユーザが調理器具100に接近した時間が第2の予め設定された時間に達することを検出し、タッチモジュール92がタッチ動作を感知する場合、タッチモジュール92は、タッチ動作に基づいて開蓋信号を生成する。
【0048】
具体的には、調理器具100が作動時に、ユーザが途中で蓋を開く必要がある場合、まず、人が手でタッチボタン91を操作し、同時に人体感知モジュールが調理器具100に近づく人がいるか否かを検出し、ユーザが調理器具100に接近した時間が第2の予め設定された時間に達することを検出する場合、タッチモジュール92はタッチ動作に基づいて開蓋信号を生成する。これにより、ユーザの誤操作により蓋が開いてしまうという問題の発生を防止できる。
【0049】
一部の例示では、開蓋タッチコンポーネントが送信する開蓋信号を取得する前に、第2の予め設定された時間内に、ユーザと調理器具との間の距離が予め設定された距離以下であることを検出し、タッチモジュールがタッチ動作を感知する場合、タッチモジュールは、タッチ動作に基づいて開蓋信号を生成する。例えば、人体感知モジュールは調理器具100の正面に設けられ、第2の予め設定された時間内で、ユーザが調理器具100の前面から予め設定された距離を離れた位置に立っている時、タッチボタン91を押すことにより、タッチモジュール92をトリガして、開蓋信号を出力する。
【0050】
一部の例示では、人体感知モジュールは、赤外線感知センサ、距離センサ、またはカメラであり、人体感知モジュールは、構造が簡単で、調理器具に近づく人がいるか否かを直観的に検出することができ、それにより、後続の制御が容易になる。
【0051】
本願の別の好ましい実施例によれば、鍋体10または鍋蓋20には補助機能キー(図示せず)がさらに設けられ、開蓋タッチコンポーネント90が送信する開蓋信号を取得する前に、タッチボタン91と補助機能キーを同時または連続的に操作制御する場合、タッチモジュール92はタッチ動作に基づいて開蓋信号を生成する。これにより、ユーザがタッチボタン91に対してのみ誤操作することにより誤操作により蓋が開いてしまうことを防止できる。
【0052】
本願の実施例に係る調理器具100は、コントローラ(図示せず)を含み、つまり、調理器具100は、鍋体10と、鍋蓋20と、抽気装置70と、圧力抜き装置80と、開蓋タッチコンポーネント90と、コントローラとを含む。コントローラは、抽気装置70、圧力抜き装置80及び開蓋タッチコンポーネント90と通信し、コントローラは、上記の実施例による調理器具の制御方法を実行する。
【0053】
本願の実施例に係る調理器具100によれば、上記の制御方法を実行することにより、ユーザは開蓋タッチコンポーネント90を操作制御することにより蓋を安全に開くことができ、関連技術におけるボタンコンポーネントで微動スイッチをトリガする開蓋方式と比較して、ボタンコンポーネントが係り止められる現象の発生により正常に開蓋することができないという問題がなく、使用体験がよりよい。
【0054】
本願の一実施例によれば、開蓋タッチコンポーネント90は、一方が開放された収容チャンバ931が画定されているボタン台93と、収容チャンバ931内に設けられたタッチボタン91と、タッチボタン91に接続されるとともに、コントローラと通信するタッチモジュール92と、を含む。
【0055】
ユーザが途中で蓋を開く必要がある場合、まず、手でタッチボタン91を押し、タッチモジュール92がタッチボタン91に作用するタッチ動作を感知し、続いて感知されたタッチ動作から開蓋信号を生成して、コントローラにフィードバックし、次にコントローラが圧力抜き装置80を制御して圧力抜き孔bを開けて圧力を抜き、調理チャンバa内の気圧が常圧に回復すると、開蓋動作を実行する。
【0056】
一部の例示では、タッチボタン91は、収容チャンバ931に移動可能に設けられ、タッチボタン91は、ガイドコラム911を有し、ボタン台93は、ガイドコラム911に係合するガイド溝932を有し、タッチモジュール92は、タッチボタン91とボタン台93との間に位置する。ガイドコラム911と、ガイドコラム911に係合するガイド溝932との設置により、タッチボタン91の正常な移動を保証し、係り止められる現象の発生を防止することができる。
【0057】
本願の実施例に係る調理器具100は、ロック位置と分離位置との間で移動可能なロック部材をさらに含み、ロック部材がロック位置にある時、鍋蓋20は閉じ位置にロッキングされ、ロック部材が分離位置にある時、鍋蓋20は閉じ位置から係合解除される。
【0058】
調理器具100が動作時に、ユーザが途中で開蓋する必要がある場合、タッチボタン91を押すことにより、調理チャンバa内の気圧が常圧状態に回復した後、ユーザは手動で開蓋するか、またはコントローラによりロック部材がより一層分離位置へ動くように制御し、それにより鍋蓋20を閉じ位置から係合解除する。
【0059】
以下、
図1~
図5を参照しながら、本願の第2の態様の実施例に係る調理器具100について詳細に説明する。ここでの調理器具100は、炊飯器、電気圧力鍋などであり得る。
【0060】
本願の実施例に係る調理器具100は、鍋体10と、鍋蓋20と、抽気装置70と、圧力抜き装置80と、開蓋タッチコンポーネント90とコントローラとを含む。鍋体10は、頂部が開放された調理チャンバaを画定する内鍋11を有する。鍋蓋20は、前記鍋体10に開き位置と閉じ位置との間で枢動可能に取り付けられた。鍋蓋20は、内蓋212と、蓋板213と、表面蓋211とを含み、蓋板213は内蓋212の調理チャンバaに向く側に設けられ、蓋板213には抽気孔214及び圧力抜き孔bが設けられており、表面蓋211は内蓋212の調理チャンバaに背向く側に設けられる。
【0061】
抽気装置70は、内蓋212に設けられ、且つ真空ポンプ71と、電磁弁72と、抽気管73とを含み、真空ポンプ71は、抽気管73を介して抽気孔214に連通し、調理チャンバaが負圧状態になるように抽気するために用いられ、電磁弁72は、真空ポンプ71と抽気孔214との間に設けられ、真空ポンプ71と抽気孔214との間の通気路の連通と遮断を制御するために用いられ、真空ポンプ71及び電磁弁72は、それぞれコントローラと通信する。
【0062】
圧力抜き孔bを開閉するための圧力抜き装置80は内蓋212に設けられる。圧力抜き装置80は、コントローラと通信する。開蓋タッチコンポーネント90は、鍋体10または鍋蓋20に設けられルとともに、コントローラと通信し、開蓋タッチコンポーネント90は、ボタン台93と、タッチボタン91と、タッチモジュール92とを含み、タッチモジュール92は、コントローラと通信するとともに、タッチボタン91に接続される。
【0063】
調理器具100が作動時に、ユーザが途中で蓋を開く必要がある場合、まず、開蓋タッチコンポーネント90が開蓋信号を発するように、開蓋タッチコンポーネント90を操作制御し、調理チャンバa内の気圧が負圧状態であることを検出する場合、圧力抜き装置80を制御して圧力抜き孔bを開けることにより、圧力抜きを行い、調理チャンバa内の気圧が常圧に回復すると、開蓋動作を実行し、調理チャンバa内の気圧が常圧状態であることを検出する場合、直接開蓋動作を実行する。
【0064】
ユーザが誤ってタッチボタン91を触って負圧状態が解除されることを防止するために、タッチボタン91を第1の予め設定された時間長押ししてからこそ開蓋信号を出力するようにしてもよいし、または調理器具100の正面に人体感知モジュールを設置して、ユーザが第2の予め設定された時間内に調理器具100の前面に立ちながら、タッチボタン91を押すと、タッチモジュール92がトリガされ、開蓋信号を出力し、それにより負圧状態を解除してもよいし、タッチボタン91やコントロールインタフェースの補助機能キーを操作することにより、負圧状態を解除するようにしてもよい。
【0065】
さらに、関連技術では、先に真空でロック解除し(電磁石でボールを押すなどの方法でロック解除する)、続いて開蓋ボタンを押して開蓋することは、操作ステップが複雑であるだけでなく、ユーザが開蓋ボタンを押すだけで、鍋蓋を開けることができず、消費者が、製品が壊れたと認識して、保守またはクレームしやすい。また、電磁石が壊れて、製品が始終負圧状態で保管されると、非常に危険である。そのため、本願は、電気制御での圧力抜き及び手動での圧力抜き機能を兼ね備えるとともに、互いに干渉せず、開蓋ボタンを押しながら圧力を抜いて蓋体を開くことができ、操作が容易で素早く、信頼性及び安全性により優れた調理器具を提供する。
【0066】
以下、
図6から
図12を参照しながら、本願の第3の態様の実施例に係る調理器具100について説明する。
【0067】
図6、
図9及び
図10に示すように、本願の実施例に係る調理器具100は、鍋体10と、鍋蓋20と、開蓋ボタン30と、機械的圧力抜き部材40とを含む。
【0068】
ここで、鍋体10は、内鍋を有し、内鍋11内に調理チャンバaが画定され、鍋蓋20は、鍋体10に開閉可能に設けられ、鍋蓋20は、調理チャンバaに対向して設けられた圧力抜き孔b及び圧力抜きチャンバcを有する上蓋本体21と、電気制御されて第1の封止部材23を駆動して圧力抜き孔bを開閉するように構成された電動圧力抜き部材22と、第1の封止部材23とを含み、開蓋ボタン30は、鍋体10または鍋蓋20に設けられ、機械的圧力抜き部材40は、開蓋ボタン30に接続または連動される。
【0069】
機械的圧力抜き部材40は、開蓋ボタン30が押される場合、第1の封止部材23を駆動して圧力抜き孔bを開放し、及び/または鍋蓋20と内鍋11との密閉を解除するように構成される。
【0070】
つまり、機械的圧力抜き部材40は、圧力抜き孔bを開放するように、第1の封止部材23を駆動して移動させることにより、調理チャンバを圧力抜きチャンバcに連通させて圧力を抜くために用いられてもよいし、または、機械的圧力抜き部材40は、鍋蓋20と内鍋11との密閉係合部に作用することにより、圧力抜きのために調理チャンバaを外部に連通させてもよい。
【0071】
上記の2つの機械的圧力抜き方式のうち1つを選択してもよく、調理器具に同時に適用されてもよく、上記の態様はいずれも本願の保護範囲内に含まれる。例を挙げると、一部の実施例では、機械的圧力抜き部材40が調理チャンバaを圧力保持状態から圧力抜き状態へ切り替えることは、第1の封止部材23を駆動して圧力抜き孔bを開放することにより実現され、他の一部の実施例では、機械的圧力抜き部材40が調理チャンバaを圧力保持状態から圧力抜き状態へ切り替えることは、内蓋212と鍋蓋20との密閉を解除することにより実現され、さらに、他の一部の実施例では、第1の圧力抜き部材を駆動して圧力抜き孔bを開放することと、鍋蓋20と内蓋212との密閉を解除することを同時に行う。
【0072】
具体的には、電動圧力抜き部材22は、調理チャンバa内の温度、圧力などの複数項目のデータに基づいて現在の調理チャンバa内の食物の状態を判断して、自動的に第1の封止部材23を駆動して圧力抜き孔bを開閉し、それにより調理チャンバa内の圧力を安定に維持することができ、機械的圧力抜き部材40は、調理チャンバa内の圧力抜きを行うように、第1の封止部材23を人為的に(すなわち、開蓋ボタン30を押して)駆動して圧力抜き孔bを開放することができる。
【0073】
開蓋ボタン30は、押される場合、鍋蓋20と鍋体10とのロックを解除するように構成される。
【0074】
つまり、開蓋ボタン30は同時に鍋蓋20が開くように連動することができ、さらに開蓋ボタン30を押すと、先に圧力を抜きしてから蓋を開けるので、従来の調理器具100のように、先に真空ロック解除装置のトリガ機構を押し、次に開蓋ボタンを押すという煩雑なステップを省き、調理器具100の開蓋操作がより簡単で、容易になり、使用体験がより向上し、さらに、開蓋ボタン30を押すと、直接鍋蓋20を開けることができ、本願の実施例の調理器具100を初めて使用する操作者が、調理器具100の動作状態を誤って判断することがない。
【0075】
本願の実施例に係る調理器具100は、開蓋ボタン30及び機械的圧力抜き部材40の設置により、開蓋ボタン30を押した時に、調理チャンバaの圧力を抜く。このように、調理器具100は、電動圧力抜きと機械的圧力抜きの2つの圧力抜き方法を兼ね備え、操作者は、電動圧力抜き部材22が故障して圧力抜きができなくなった場合、または突然停電した場合、手動で調理チャンバaから圧力を抜いて、調理器具100が負圧状態に長時間放置されることを回避するだけでなく、調理器具100の使用の安全性を高め、安全性の潜在的なリスクを低減及び解消することもできる。
【0076】
以下、
図6から
図12を参照しながら、3つの具体的な実施例を用いて、本願の実施例の調理器具100が機械的圧力抜き部材40を介して圧力を抜く動作原理について詳細に説明する。
【0077】
(第1の実施例)
図7及び
図8に示すように、機械的圧力抜き部材40は、開蓋ボタン30が押される場合、第1の封止部材23を駆動して圧力抜き孔bを開放し、開蓋ボタン30及び機械的圧力抜き部材40はいずれも上蓋本体21に設けられるように構成される。つまり、第1の実施例では、機械的圧力抜き部材40は、圧力抜き孔bの開閉を制御することにより調理チャンバa内の圧力抜きを実現するものである。
【0078】
図6、
図7及び
図8に示すように、第1の封止部材23は封止ボールであり、機械的圧力抜き部材40は圧力抜きプッシュロッド40aであり、圧力抜きプッシュロッド40a及び開蓋ボタン30は、圧力抜き孔bの中心軸線に平行する方向に沿って上蓋本体21に摺動可能に設けられ、圧力抜きプッシュロッド40aは、第1の封止部材23に向かって設けられた、圧力抜き孔bから上から下に向かって徐々に離れるように延びる傾斜押付面41aを有し、傾斜押付面41aは、第1の封止部材23に押し当てて圧力抜き孔bを開放することに適合する。
【0079】
具体的には、傾斜押付面41aは、第1の封止部材23に当接し、下から上へ圧力抜き孔bの中心軸線に向かって延び、それにより、圧力抜きプッシュロッド40aの下端の幅が上端の幅よりも小さくなり、さらに、開蓋ボタン30を押すと、第1の封止部材23を駆動して徐々に圧力抜き孔bを開放する。
【0080】
これにより、第1の封止部材23に対向する傾斜押付面41aを介して第1の封止部材23を押して圧力抜きを実現し、構造が簡単で、コストが低く、作動の信頼性及び作動の安定性が両方とも高い。
【0081】
図6に示すように、上蓋本体21は、順番に接続される表面蓋211と、内蓋212と、蓋板213とを含み、圧力抜き孔bは、少なくとも蓋板213を貫通し、圧力抜きチャンバcは、表面蓋211と内蓋212との間に形成され、表面蓋211の頂壁は、開蓋ボタン30に摺動係合する第1の取り付け用貫通孔dを有し、内蓋212の頂壁は圧力抜きプッシュロッド40aと摺動係合する第2の取り付け用貫通孔eを有し、圧力抜きプッシュロッド40aの上端は開蓋ボタン30の底部に接続され、下端は第2の取り付け用貫通孔eを貫通して圧力抜きチャンバc内まで伸びる。
【0082】
つまり、開蓋ボタン30と第1の取り付け用貫通孔dとが摺動係合し、圧力抜きプッシュロッド40aと第2の取り付け用貫通孔eとが摺動係合し、すなわち、第1の取り付け用貫通孔dで開蓋ボタン30にガイド及び軸方向の位置制限を提供し、第2の取り付け用貫通孔eで圧力抜きプッシュロッド40aにガイド及び軸方向の位置制限を提供し、それにより開蓋ボタン30及び圧力抜きプッシュロッド40aの運動の円滑性を向上させることができ、機械的圧力抜き部材40の作動の安定性をさらに向上させ、迅速な圧力抜きを実現する。
【0083】
以上のように、鍋蓋20内に取り付けられた開蓋ボタン30及び圧力抜きプッシュロッド40aにより、第1の実施例では、開蓋ボタン30が上下移動する際に、圧力抜きを実現する。
【0084】
(第2の実施例)
図9に示すように、機械的圧力抜き部材40は、開蓋ボタン30が押される場合、第1の封止部材23を駆動して圧力抜き孔bを開放し、開蓋ボタン30は鍋体10に設けられ、機械的圧力抜き部材40は鍋蓋20に設けられるように構成される。つまり、第2の実施例では、鍋蓋20に位置する開蓋ボタン30により機械的圧力抜き部材40を駆動することにより、圧力抜き孔bを開放して圧力抜きを行う。
【0085】
図9に示す具体的な実施例では、機械的圧力抜き部材40は圧力抜きリンクロッド40bであり、開蓋ボタン30の上端には、鍋体10の上端から鍋蓋20内まで伸びて、鍋蓋20内に位置する圧力抜きリンクロッド40bを駆動することに適合する延長ロッド60が設けられている。
【0086】
具体的には、開蓋ボタン30を左右方向に押す場合、第1の圧力抜き部材を押して移動させるように、圧力抜きリンクロッド40bが延長ロッド60に連動されて第1の封止部材23側に移動し、それにより圧力抜き孔bを開放する。これにより、圧力抜きリンクロッド40bが第1の封止部材23を押すことで圧力抜きを実現することにより、開蓋ボタン30を鍋体10に配置することができて、調理中に誤って開蓋ボタン30に触れることを回避することができるだけでなく、圧力抜きリンクロッド40bが第1の封止部材23に直接作用し、構造が簡単で、コストが低い。
【0087】
さらに、圧力抜きリンクロッド40bは、圧力抜き孔bの中心軸線に垂直な方向に沿って上蓋本体21に摺動可能に設けられる。つまり、圧力抜きリンクロッド40bは上蓋本体21に摺動係合され、さらに、圧力抜きリンクロッド40bは上蓋本体21のガイド及び位置制限の下で第1の封止部材23に作用して、圧力抜きリンクロッド40bが第1の圧力抜き部材に対して揺れることを回避でき、それにより圧力抜きリンクロッド40bの第1の封止部材23に対する押し効果を向上させ、機械的圧力抜き部材40の動作の安定性をさらに向上させることができる。
【0088】
図9に示すように、上蓋本体21は、順番に接続された表面蓋211と、内蓋212と、蓋板213とを含み、圧力抜き孔bは、少なくとも蓋板213を貫通し、圧力抜きチャンバcは、表面蓋211と内蓋212との間に形成され、圧力抜きリンクロッド40bは、内蓋212を貫通する縦方向ロッド41bと、内蓋212と表面蓋211との間に位置する横方向ロッド42bとを含み、横方向ロッド42bは、圧力抜きチャンバc内に伸びて、鍋蓋20内に位置する第1の封止部材23に押し当て係合することに適合する。
【0089】
つまり、L字状の圧力抜きリンクロッド40bは、縦方向ロッド41bと、横方向ロッド42bとを含み、鍋体10に位置する開蓋ボタン30によって提供される動力を鍋蓋20内に位置する縦方向ロッド41bに伝達するように、横方向ロッド42bは、開蓋ボタン30に押されて調理チャンバaに向かって移動することができ、それにより縦方向ロッド41bが第1の封止部材23に向かって移動することにより、機械的圧力抜き部材40の動力の伝達がより安定かつ迅速になり、機械的圧力抜き部材40の圧力抜きの応答速度がより迅速になる。
【0090】
好ましくは、開蓋ボタン30は、機械的圧力抜き部材40に枢動接続されるか、または押し当て係合される。つまり、第2の実施例における開蓋ボタン30と機械的圧力抜き部材40との動力伝達は、枢動接続によって実現され手もよく、押し当て係合されることにより実現されてもよく、ここでは、具体的に限定しない。
【0091】
なお、開蓋ボタン30が機械的圧力抜き部材40に押し当て係合される実施例では、縦方向ロッド41bは、鍋蓋20内で圧力抜き孔bの軸線に垂直な直線に沿って往復移動し、開蓋ボタン30が機械的圧力抜き部材40に枢動接続される実施例では、縦方向ロッド41bは、鍋蓋20内で圧力抜き孔bの軸線に垂直な直線に沿って往復移動してもよく、鍋蓋20内で圧力抜き孔bの軸線に垂直な平面の範囲内でスイングしてもよいことを理解されたい。
【0092】
図9に示すように、調理器具100は弾性リセット部材50をさらに含み、弾性リセット部材50は、開蓋ボタン30及び機械的圧力抜き部材40がリセットするように駆動するために、両者のうち少なくとも一方に接続される。このように、開蓋ボタン30及び機械的圧力抜き部材40をリセットするように、弾性リセット部材50を設置することにより、機械的圧力抜き部材40及び開蓋ボタン30の動作の安定性を効果的に向上させることができる。
【0093】
以上のように、第2の実施例では、鍋蓋20内に取り付けられた圧力抜きリンクロッド40bと、鍋体10に取り付けられた開蓋ボタン30とにより、開蓋ボタン30が左右に移動するときに圧力抜きを実現する。
【0094】
第3の実施例
図10、
図11及び
図12に示すように、鍋蓋20は、鍋蓋20が閉じられた時に内鍋11に係合して調理チャンバaを密閉することに適合する第2の封止部材24を有し、機械的圧力抜き部材40は、開蓋ボタン30が押される場合、第2の封止部材24に作用して内鍋11と鍋蓋20との密閉を解除するように構成される。つまり、第3の実施例では、機械的圧力抜き部材40は、第2の封止部材24に作用することにより、調理チャンバaの圧力抜きを直接実現する。
【0095】
図11及び
図12に示すように、第2の封止部材24は、上蓋本体21の下端に接続される封止リングであり、機械的圧力抜き部材40は、開蓋ボタン30が押下される際に、第2の封止部材24と内鍋11との間に隙間が形成されるように、第2の封止部材24と内鍋11との間に挿入される梃子動かし爪40cを有する。
【0096】
具体的には、鍋体10内に位置する開蓋ボタン30に連動して梃子動かし爪40cが調理チャンバaに向かって移動し、それにより梃子動かし爪40cで封止リングを上方に梃子開いて、鍋蓋20と鍋体10との間の密閉を解除し、それにより空気が封止リングと鍋体10との間の隙間を介して調理チャンバa内に入ることができ、圧力抜きを実現する。
【0097】
これにより、梃子動かし爪40cで第2の封止部材24を梃子動かして圧力抜きを実現し、応答速度が速く、構造が簡単で作動の安定性が高い。
【0098】
好ましくは、機械的圧力抜き部材40と開蓋ボタン30は、一体に成形されるとともに鍋体10に設けられ、鍋体10の外側壁に第3の取り付け用貫通孔fがあり、鍋体10の頂壁に第4の取り付け用貫通孔gがあり、開蓋ボタン30は、第3の取り付け用貫通孔hを貫通するとともに、バネを介して鍋体10の内側壁に当接され、機械的圧力抜き部材40は、第4の取り付け用貫通孔gに摺動可能に設けられる。
【0099】
つまり、開蓋ボタン30は第3の取り付け用貫通孔fに摺動係合され、梃子動かし爪40cは第4の取り付け用貫通孔gに摺動係合され、すなわち、第3の取り付け用貫通孔fにより開蓋ボタン30にガイド及び位置制限を提供し、第4の取り付け用貫通孔gにより梃子動かし爪40cに対してガイド及び位置制限を行い、それにより機械的圧力抜き部材40の動作の安定性を向上させることに加え、機械的圧力抜き部材40の圧力抜きの応答速度がより速くなり、構造がより簡単で、生産コストがより低い。
【0100】
当然ながら、第3の実施例では、本願の梃子動かし爪40c及び開蓋ボタン30の取り付け位置は、鍋体10に限らず、鍋蓋20内に取り付けてもよい。
【0101】
以上のように、第3の実施例では、鍋体10内に取り付けられた開蓋ボタン30及び梃子動かし爪40cにより、開蓋ボタン30が左右に移動するときに、鍋蓋20と鍋体10との密閉を解除して圧力抜きを実現する。
【0102】
本願の説明において、「中心」、「縦方向」、「横方向」、「長さ」、「幅」、「厚さ」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「頂」、「底」、「内側」、「外側」、「時計回り」、「反時計回り」、「軸方向」、「ラジアル方向」、「周方向」などの用語が示す方位または位置関係は、図面に示す方位または位置関係に基づくものであり、単に本願の説明を容易にし、説明を簡単にするためのモノであり、指定された装置またはユニットが必ず特定の方位にあり、特定の方位において構造され、操作されることを指示または暗示することではないので、本願を限定するものと理解してはならない。また、「第1」、「第2」付きの特徴は、1つまたは複数の当該特徴を明示的または暗示的に含み得る。本願の説明において、特別な説明がない限り、「複数」は、2つまたは2つ以上を意味する。
【0103】
本明細書の説明において、「一実施例」、「一部の実施例」、「例示的な実施例」、「例示」、「具体的な例示」、または「一部の例示」などの用語を用いた説明とは、当該実施例または例示の記述を参照した具体的な特徴、構造、材料または特性が、本願の少なくとも1つの実施例または例示に含まれていることを意図するものである。本明細書において、上記用語に関する例示的な記述は、必ずしも同一の実施例または例示を示すものとは限らない。また、いずれかの1つまたは複数の実施例または例示において、記述される具体的な特徴、構造、材料または特性を適切な方式で組み合わせることができる。
【0104】
本願の実施例を示し、説明したが、当業者であれば、本願の原理及び趣旨を逸脱しない範囲でこれらの実施例に対して様々な変更、修正、置換及び変形を行うことができ、本願の範囲は特許請求の範囲及びそれと同等なもの限定されることを理解できるだろう。
【符号の説明】
【0105】
100…調理器具、
10…鍋体、11…内鍋、…
20…鍋蓋、21…上蓋本体、211…表面蓋、212…内蓋、213…蓋板、214…抽気孔、22…電動圧力抜き部材、23…第1の封止部材、24…第2の封止部材、
30…開蓋ボタン、
40…機械的圧力抜き部材、40a…圧力抜きプッシュロッド、41a…傾斜押付面、40b…圧力抜きリンクロッド、41b…縦方向ロッド、42b…横方向ロッド、40c…梃子動かし爪、50…弾性リセット部材、60…延長ロッド、
70…抽気装置、71…真空ポンプ、72…電磁弁、73…抽気管、80…圧力抜き装置、…
90…開蓋タッチコンポーネント、91…タッチボタン、911…ガイドコラム、92…タッチモジュール、93…ボタン台、931…収容チャンバ、932…ガイド溝、
a…調理チャンバ、b…圧力抜き孔、c…圧力抜きチャンバ、d…第1の取り付け用貫通孔、e…第2の取り付け用貫通孔、f…第3の取り付け用貫通孔、g…第4の取り付け用貫通孔。