(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】織布、床敷材料及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
D03D 15/283 20210101AFI20230307BHJP
A47G 27/02 20060101ALI20230307BHJP
D01F 6/06 20060101ALI20230307BHJP
D03D 1/00 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
D03D15/283
A47G27/02 E
A47G27/02 102
D01F6/06
D03D1/00 Z
(21)【出願番号】P 2021506498
(86)(22)【出願日】2020-08-11
(86)【国際出願番号】 CN2020108378
(87)【国際公開番号】W WO2021208303
(87)【国際公開日】2021-10-21
【審査請求日】2021-02-05
(31)【優先権主張番号】202010291247.9
(32)【優先日】2020-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518357793
【氏名又は名称】江蘇共創人造草坪股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100146374
【氏名又は名称】有馬 百子
(72)【発明者】
【氏名】季 麗
(72)【発明者】
【氏名】趙 春貴
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-339835(JP,A)
【文献】特開2009-050407(JP,A)
【文献】特開2009-108427(JP,A)
【文献】特開平07-070814(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101671903(CN,A)
【文献】中国実用新案第203602989(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第110495330(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104060519(CN,A)
【文献】中国実用新案第202925422(CN,U)
【文献】米国特許第04356220(US,A)
【文献】特開2008-184860(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 27/00 - 27/06
D01F 6/06
D01F 6/46
D02G 1/00 - 3/48
D02J 1/00 - 13/00
D03D 1/00 - 27/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基布層を含む織布の製造方法であって、
前記基布層の縦
糸及び横糸
を得るための複数ステップのヒートセット処理工程を含み、
前記基布層がポリプロピレン樹脂を主要原料として、かつプロピレンの前記基布層における質量パーセントは90%以上であることを特徴とする織布の製造方法。
【請求項2】
前記基布層の縦
糸、横糸の複数ステップのヒートセット処理の中には少なくとも一回のオーブンによるヒートセット処理が含まれており、オーブンによる処理の温度が100~130℃で、処理時間が5~24hである
ことを特徴とする請求項1に記載の織布の製造方法。
【請求項3】
前記基布層の原料はさらに低収縮率ポリマー樹脂を含み、低収縮率ポリマー樹脂は、ポリエチレンテレフタラート、ナイロン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスチレン、ポリ乳酸の中の一つ又は複数の種類から選ばれる
ことを特徴とする請求項1に記載の織布の製造方法。
【請求項4】
さらに複合層を含み、前記複合層は前記基布層の外側に位置し、かつ前記複合層は混交織綿織物、グリッド布と不織布を含む
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の織布の製造方法。
【請求項5】
さらにガラス繊維布を含み、前記ガラス繊維布は前記基布層と前記複合層との間にあること
を特徴とする請求項4に記載の織布の製造方法。
【請求項6】
前記織布が基布層であって、前記製造方法は、
(1)ポリプロピレン樹脂、カラーマスターと他の助剤を押出機内に注入して押出しさせて、押し出された繊維を水で冷却してから熱い金属ローラで熱いローラによるヒートセット処理を行ない、巻き取ってそれぞれ縦糸玉と横糸玉を得るステップと、
(2)縦糸玉と横糸玉をオーブン内に入れてオーブンによるヒートセット処理を行い、オーブンによるヒートセットが終了してから、糸玉を取り出して予備に取っておくステップと、
(3)オーブンによるヒートセット処理をされた縦糸玉を整経により、縦糸巻きを得て、オーブンによるヒートセット処理をされた横糸玉とともに織機で、一定の長さ及び横幅で織ることで、
織布を得るステップと
を含むことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の織布の製造方法。
【請求項7】
ステップ(1)における前記熱いローラによるヒートセット処理の温度が110~160℃で、ローラの回転速度が200~350r/minで、ローラの数が5~10個である
ことを特徴とする請求項6に記載の織布の製造方法。
【請求項8】
さらに、ステップ(3)で得られた
織布に対して引き続き接触式ヒートセット、熱風幅出しセット或いは赤外放射セットを行うステップを含む
ことを特徴とする請求項6に記載の織布の製造方法。
【請求項9】
請求項1~5に何れか一項に記載の織布の製造方法により製造された織布と、紡績繊維と背面粘着剤層を含む床敷材料の製造方法であって、前記紡績繊維は前記織布の上面にタフティングされ、前記背面粘着剤層は前記織布の背面に塗布されている
ことを特徴とする床敷材料の製造方法。
【請求項10】
(1)紡績繊維をタフティング機により既定のライン間隔と針目間隔で紡績繊維を
織布上にタフティングして、半製品を形成するステップと、
(2)前記半製品の背面に粘着剤を塗布し、オーブンによって硬化することで、
床敷材料を得るステップと
を含むことを特徴とする請求項9に記載の床敷材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は織布と床敷材料の技術分野に関し、より具体的に、織布、床敷材料及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人工芝生、絨毯などは、ここ数十年来迅速な発展を遂げた床敷材料であり、それらは、プラスチック化学繊維を主な原料として人工的により作られる床舗装製品であり、ナチュラルで快適な触感を持ち、さらにその比較的長い使用周期、均一性及び比較的低い保守管理要求で、人々に広く受け入れられている。しかしながら、人々の床敷材料の安定性、平坦度への要求の向上により、各種類の場所ではますます多くの品質問題が明らかにされている。その原因としては、主にこの種類の床敷材料で使われる織布の収縮行為によって引き起こされているのである。
【0003】
織布の主な基材原料としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリスチレンなどのプラスチックで、かつ引き伸ばし、整経及び製織などのプロセスによって作られている。現在では、糸の収縮率が高いので、織布が収縮しやすく、作られる床敷材料は照射、高温環境において、収縮し、寸法が短くなり、製品が膨れて平らではなくなる等の問題があり、床敷材料の使用価値をひどく低下させてしまう。
【0004】
従って、如何にして低収縮率、良好な耐変形性を有する織布及びその調製方法を提供できるかは、当業者にとって早急に解決したい問題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに鑑みて、本発明は極めて低い熱収縮率を有する織布を提供し、床敷材料の高温環境における膨張や隆起、悪い寸法安定性、収縮などの問題を有効に解決した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を実現するために、本発明は以下のような技術案を採用する。
【0007】
基布層を含む織布であって、この基布層の縦糸、横糸は何れも複数ステップのヒートセット処理により得られて、
基布層がポリプロピレン樹脂を主要原料として、プロピレンの前記基布層における質量パーセントは90%以上である。
【0008】
ポリプロピレンは汎用性プラスチックであり、その総合性能が優れており、市場での供給量が大きい。基布層の原料は、ポリプロピレン以外に、さらに老化防止剤を加えて、織布の光、熱に対する安定作用を向上させてもよく、若干の加工助剤を加えて織布の加工性能を向上させてもよく、充填材を加えることである程度その収縮率を下げてもよく、異なる顔料を加えて異なる色を得てもよい。
【0009】
本発明では、ポリプロピレンの基布層における質量パーセントが90%以上であることが要求され、90%より低ければ、織布の強度を損ねることになる。
【0010】
好ましくは、上記の織布において、前記基布層の縦糸、横糸の複数ステップのヒートセット処理の中には少なくとも一回のオーブンによるヒートセット処理が含まれており、かつオーブンによるヒートセット処理の温度が100~130℃で、処理時間が5~24hで、さらに好ましくは8~20hである。
【0011】
上記技術案の有益効果は以下になる、複数ステップのヒートセット処理により、縦、横糸の結晶化度を向上させて、収縮率を下げて、織布とする鍵である。ヒートセットの処理温度が100℃より低くても、或いは130℃より高くても、いずれも縦、横糸結晶化度の向上に不利であり、処理後の糸の収縮率を依然として比較的高くしてしまい、処理時間が5hより少なければ、糸の受けた熱が足りず、その結晶化度の向上も不足し、収縮率も比較的大きく、織布収縮率の低下に対する顕著な作用が見られず、かつ生産効率を低く、コストを高くしてしまう。
【0012】
好ましくは、上記の織布において、前記基布層の原料はさらにポリプロピレン以外の低収縮率ポリマー樹脂を含み、低収縮率ポリマー樹脂としては、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ナイロン(PA)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリスチレン(PS)、ポリ乳酸(PLA)の中の一つ又は複数の種類から選ばれる。これらのポリマー樹脂を取り入れることで、基布層の収縮率をさらに下げることができる。
【0013】
さらに、前記ポリマー樹脂の質量パーセントは1~8%であり、好ましくは2~5%である。ポリマー樹脂の質量パーセントが1%より低ければ、果たす作用が非常に小さくなり、8%より高ければ、基布層の強度に影響してしまう。
【0014】
好ましくは、上記の織布においては、さらに複合層を含み、前記複合層は前記基布層の外側に位置し、かつ前記複合層は混交織綿織物、グリッド布と不織布を含むが、それらに限定されない。
【0015】
さらに、前記複合層は針による突き刺し、粘着剤により接着などの方式により前記基布層とともに一体になった織布を形成することができる。
【0016】
上記技術案の有益効果は、混交織綿織物、不織布などの複合層は容易に針で基布層上に針で突き刺して、一つの全体を形成し、グリッド布は床敷材料の製作過程で(例えばタフティング時)基布層とともに使用できる。複合層を取り入れることで、床敷材料中の粘着剤層の安定性を向上させることが可能になる。
【0017】
好ましくは、上記の織布の中にはさらに、ガラス繊維布が含まれており、前記ガラス繊維布は前記基布層と前記複合層との間にある。
【0018】
上記技術案の有益効果は、ガラス繊維は性能が優れた無機非金属材料であり、絶縁性がよく、耐熱性が強く、耐食性がよく、機械的強度が高く、通常は、複合材料中の強化材料として利用される。ガラス繊維布はロービング平織布で、手貼りハンドペーストガラス強化プラスチックの重要な基材であり、ガラス繊維布の強度は主として織物の縦糸方向にあり、縦或いは横に対する高強度要求の場合に適用し、ガラス繊維の収縮率が非常に低いので、織物の収縮率を大幅に、30%以上低下させることができる。
【0019】
好ましくは、上記織布において、前記基布層は縦糸、横糸結晶化度が60%以上であり、糸収縮率が8‰以下である。
【0020】
上記技術案の有益効果は、結晶化度は示差走査熱量測定法(DSC)により、10℃/minの昇温において測定され、収縮率は132℃/20minの条件で測定される。糸結晶化度が60%より低く、収縮率が8‰より高く、製作される織布の収縮率が比較的高い。
【0021】
本発明はさらに、織布の調製方法を開示し、織布が基布層である場合、その調製方法は以下のステップを含む、
(1)ポリプロピレン樹脂、カラーマスターと他の助剤を一定の割合で押出機内に注入して押出しさせて、押し出された繊維を水で冷却してから熱い金属ローラで熱いローラによるヒートセット処理を行ない、巻き取ってそれぞれ縦糸玉と横糸玉を得て、
(2)縦糸玉と横糸玉をオーブン内に入れてオーブンによるヒートセット処理を行い、オーブンによるヒートセットが終了してから、糸玉を取り出して予備に取っておき、
(3)オーブンによるヒートセット処理をされた縦糸玉を整経により、縦糸巻きを得て、オーブンによるヒートセット処理をされた横糸玉とともに織機で、一定の長さ及び横幅で織ることで、織布の基布層を得る。
【0022】
好ましくは、上記織布の調製方法において、ステップ(1)における前記熱いローラによるヒートセット処理の温度が110~160℃で、ローラの回転速度が200~350r/minで、ローラの数が5~10個である。
【0023】
上記技術案の有益効果は以下になる、熱い金属ローラで加熱する際に、糸がローラの表面に密接して、固体―固体熱伝導の高効率により、ローラの熱が糸の中に迅速に伝導できる。この熱エネルギーは糸の中の余分な水分を蒸発させて、糸が迅速に熱を受けてセットするようにして、後続の使用過程における収縮や変形を減少させることが可能である。
【0024】
好ましくは、上記織布の調製方法において、さらに以下のステップを含む、ステップ(3)で得られた織布に対して引き続き接触式ヒートセット、熱風幅出しセット或いは赤外放射セットを行い、収縮率をさらに下げる。
【0025】
本発明はさらに、織布、紡績繊維と背面粘着剤層を含む床敷材料を開示し、前記紡績繊維は前記織布の上面にタフティングされ、前記背面粘着剤層は前記織布の背面に塗布されている。
【0026】
本発明はさらに、以下のステップを含む床敷材料の調製方法を開示する、
(1)紡績繊維をタフティング機により既定のライン間隔と針目間隔で紡績繊維を織布上にタフティングして、半製品を形成し、(B)半製品の背面に粘着剤を塗布し、オーブンによって硬化することで、床敷材料を得る。
【0027】
上述の技術案により分かるように、従来の技術と比べて、本発明は以下のような有益効果を有する、本発明は主に、織布の基布層の生産プロセスの中に複数ステップのヒートセット処理を加えて、作られる織布及び床敷材料を照射、高温環境において比較的低い熱収縮率を有するようにして、製品の熱安定性を向上させる目的を達成し、床敷材料が高温環境における膨張、縮れ変形、平らではない問題を改善して、床敷材料が良好な耐変形能力を有するようにして、その使用寿命及び価値を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本発明の実施例又は従来技術における技術案をより明確に説明するため、以下では、実施例或いは従来技術の説明に必要とされる添付図面を簡単に説明する。下記説明における添付図面は本発明の実施例に過ぎないことは明らかであって、当業者にとって、創造的な労働を行わないことを前提に、提供された添付図面により他の添付図面を得ることもできる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、本発明の実施例における技術案を明確且つ完全に説明する。説明される実施例は本発明の全ての実施例ではなく、一部の実施例に過ぎないことは明らかである。本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を行わないことを前提に得られる全ての他の実施例は、本発明の保護の範囲に属す。
【0030】
下記の各実施例と比較例では、利用される紡織繊維は何れも人造草糸であり、背面粘着剤層(粘着剤)は何れもブタジエンスチレン粘着剤であり、作られる床敷材料は何れも人工芝生である。
【0031】
実施例1
(1)織布(基布層のみを含む)の調製、
(A)ポリプロピレン(ポリプロピレン、F401)とカラーマスターを質量98、2の割合で押出機に注入して押し出して、引き伸ばし、
(B)水で冷却された糸を熱い金属ローラでセットして、ローラの温度が130℃で、ローラの回転速度が240r/minで、ローラの数は6つで、熱いローラによるヒートセット処理をされた糸を巻き取り、それぞれ縦糸玉、横糸玉を得て、
(C)縦、横糸玉をそれぞれオーブンに入れてヒートセット処理を行い、オーブンの温度は120℃に設定され、処理時間が12hであり、ヒートセットが終了してから取り出して予備に取っておき、
(D)(C)の処理をされた縦糸玉を整経により、縦糸巻きを得て、(C)の処理をされた横糸玉とともに織機により、長さ800m及び横幅4.16mの基布層に織る。
【0032】
この基布層を単独で織布として利用する。
【0033】
(2)床敷材料の調製、
(A)人造草糸をタフティング機により既定のライン間隔と針目間隔で上記(1)により得られた織布層上にタフティングして、半製品の芝生を得て、
(B)半製品の芝生の背面に粘着剤を塗布し、オーブンによって硬化することで背面粘着剤層を形成して、人工芝生を作る。
【0034】
実施例2
(1)織布の調製、
(A)ポリプロピレン(F401、揚子石化)、ポリスチレン(GPPS 525、広州石化)とカラーマスターを質量92、5、3の割合で押出機に注入して押し出して、引き伸ばし、
(B)水で冷却された糸を熱い金属ローラで定型させて、ローラの温度が120℃で、ローラの回転速度が220r/minで、ローラの数は6つで、熱いローラによるヒートセット処理をされた糸を巻き取り、それぞれ縦糸玉、横糸玉を得て、
(C)縦糸玉、横糸玉をそれぞれオーブンに入れてヒートセット処理を行い、オーブンの温度は115℃に設定され、処理時間が20hであり、ヒートセットが終了してから取り出して予備に取っておき、
(D)(C)の処理をされた縦糸玉を整経により、縦糸巻きを得て、(C)の処理をされた横糸玉とともに織機により、長さ800m及び横幅4.16mの基布層に織り、
(E)テリレン不織布を針で突き刺す方法で(D)により得られた基布層とともに一体になった織布を形成して使用する。
【0035】
(2)床敷材料の調製、
(A)人造草糸をタフティング機により既定のライン間隔と針目間隔で上記(1)により得られた織布層上にタフティングして、半製品の芝生を得て、
(B)半製品の芝生の背面に粘着剤を塗布し、オーブンによって硬化することで背面粘着剤層を形成して、人工芝生を作る。
【0036】
実施例3
(1)織布の調製、
(A)ポリプロピレン(F401、揚子石化)、カラーマスター及び炭酸カルシウムを質量94、1、5の割合で押出機に注入して押し出して、引き伸ばし、
(B)水で冷却された糸を熱い金属ローラで定型させて、ローラの温度が140℃で、ローラの回転速度が300r/minで、ローラの数は8つで、熱いローラによるヒートセット処理をされた糸を巻き取り、それぞれ縦糸玉、横糸玉を得て、
(C)縦糸玉、横糸玉をそれぞれオーブンに入れてヒートセット処理を行い、オーブンの温度は125℃に設定され、安定化時間が8hであり、ヒートセットが終了してからオーブンから取り出して予備に取っておき、
(D)(C)の処理をされた縦糸玉を整経により、縦糸巻きを得て、(C)の処理をされた横糸玉とともに織機により、長さ800m及び横幅4.16mの基布層に織り、
(E)(D)によって得られた基布層に対して熱風幅出しセット処理を行い、機械の速度は15m/minで、熱風オーブンの温度が140℃で、停留時間が3minであり、
(F)(E)によって得られた基布層をグリッド布とともに織布として利用する。
【0037】
(2)床敷材料の調製、
(A)人造草糸をタフティング機により既定のライン間隔と針目間隔で上記(1)により得られた織布層上にタフティングして、半製品の芝生を形成して得て、
(B)半製品の芝生の背面に粘着剤を塗布し、オーブンによって硬化することで背面粘着剤層を形成して、人工芝生を作る。
【0038】
実施例4
(1)織布の調製、
基布層は実施例1と同じく、テリレン不織布とガラス繊維布を、ガラス繊維布を中間にして、針で突き刺す方法で基布層とともに一体になった織布を形成する。
【0039】
(2)床敷材料の調製、
(A)人造草糸をタフティング機により既定のライン間隔と針目間隔で上記(1)により得られた織布層上にタフティングして、半製品の芝生を得て、
(B)半製品の芝生の背面に粘着剤を塗布し、オーブンによって硬化することで背面粘着剤層を形成して、人工芝生を作る。
【0040】
比較例1
(1)織布の調製、
(A)ポリプロピレン(F401、揚子石化)とカラーマスターを質量98、2の割合で押出機に注入して押し出して、引き伸ばし、
(B)水で冷却された糸を熱い金属ローラで定型させて、ローラの温度が130℃で、ローラの回転速度が240r/minで、ローラの数は6つで、熱いローラによるヒートセット処理をされた糸を巻き取り、それぞれ縦糸玉、横糸玉を得て、
(D)(B)により得られた縦糸玉を整経により、縦糸巻きを得て、かつ(B)によって得られた横糸玉とともに、長さ800m及び横幅4.16mで基布層に織る。
【0041】
(2)床敷材料の調製、
(A)人造草糸をタフティング機により既定のライン間隔と針目間隔で上記(1)により得られた織布層上にタフティングして、半製品の芝生を得て、
(B)半製品の芝生の背面に粘着剤を塗布し、オーブンによって硬化することで背面粘着剤層を形成して、人工芝生を作る。
【0042】
比較例2
(1)織布の調製、
基布層は比較例1と同じく、テリレン不織布とガラス繊維布を、ガラス繊維布を中間にして、針で突き刺す方法で基布層とともに一体になった織布を形成する。
【0043】
(2)床敷材料の調製、
(A)人造草糸をタフティング機により既定のライン間隔と針目間隔で(1)により得られた織布層上にタフティングして、半製品の芝生を得て、
(B)半製品の芝生の背面に粘着剤を塗布し、オーブンによって硬化することで背面粘着剤層を形成して、人工芝生を作る。
【0044】
比較例3
(1)織布の調製、
(A)ポリプロピレン(F401、揚子石化)、ポリスチレン(GPPS 525、広州石化)とカラーマスターを質量92、5、3の割合で押出機に注入して押し出して、引き伸ばし、
(B)水で冷却された糸を熱い金属ローラでセットして、ローラの温度が135℃で、ローラの回転速度が210r/minで、ローラの数は8つで、熱いローラによるヒートセット処理をされた糸を巻き取り、それぞれ縦糸玉、横糸玉を得て、
(C)(B)によって得られた横糸玉をオーブンに入れて熱安定化処理を行い、オーブンの温度は105℃に設定され、セット時間が20hであり、熱安定化が終了してからオーブンから取り出して予備に取っておき、
(D)(B)により得られた縦糸玉を整経により、縦糸巻きを得て、かつ(C)によって得られた横糸玉とともに、長さ800m及び横幅4.16mで基布層に織り、
(F)(E)によって得られた基布層をグリッド布とともに織布として利用する。
【0045】
(2)床敷材料の調製、
(A)人造草糸をタフティング機により既定のライン間隔と針目間隔で(1)により得られた織布層上にタフティングして、半製品の芝生を得て、
(B)半製品の芝生の背面に粘着剤を塗布し、オーブンによって硬化することで背面粘着剤層を形成して、人工芝生を作る。
【0046】
性能テスト
項目一、糸結晶化度テスト
示差走査熱量測定法、ヒートセット後の糸玉の糸を鋏で細かく切って、予め計量から重さを除かれた坩堝内にピンセットで置いて、天秤で重さを図り、質量をQ(g)として記録して、坩堝をDSC熱分析計の試料セル内において、開始と終了温度の範囲、25~100℃、昇温、10℃/min;N
2防護、N
2流速50mL/minを設定して、熱分析計で熔融熱を自動的に推計し、M(J)として記録する。下記式により結晶化度を計算する(縦
糸、横糸に対してそれぞれテストする)、
【0047】
【0048】
項目二、糸収縮率テスト
GB/T 6505-2017「化学繊維長繊維熱収縮率テスト方法」を参照する。具体的な方法は、長さ100cmのヒートセット後の糸玉の糸を取り、オーブン内に起き、オーブンを132℃に設定して、テスト時間を20minとして、テストが終了してから糸を取り出し、室温まで自然冷却させて、糸の長さを測って、L(cm)として記録し、縦
糸、横糸のテスト方法は同じで、糸の収縮率η(‰)は下記式により計算する、
【0049】
【0050】
項目三、
織布及び人工芝生収縮率テスト
織布縦収縮テストを例として、その具体的な方法は、鋏で
織布を縦300cm、横20cmの長方形試験片に切って、マーカーで試験片の一端で、中央、及び両端から5cm離れた箇所で測定点を一つずつマークして、他端で同じ方法で三つの対応する測定点をマークする。
織布を巻き取り方式でオーブン内に置いてから、時間を測ってテストし、オーブンを100℃に設定し、テスト時間を1hとする。テストが終了してから、
織布を取り出して実験台に広げて、それが室温まで自然冷却してから、対応する測定点でその長さを測定
して、L(cm)として記録し、
織布の横収縮及び人工芝生の収縮テスト方法はこれと一致しており、収縮率η(‰)は下記式により計算する、
【0051】
【0052】
【0053】
上記性能テストの結果から分かるように、本発明の織布及びこの織布によって作られる人工芝生は以下のような特徴を有する、
1.本発明の織布によれば、その基布層の生産プロセスの中に複数ステップのヒートセット処理を加えて、この織布から作られる床敷材料を照射、高温環境において比較的低い熱収縮率を有するようにして、製品の熱安定性、耐変形能力が良好で、床敷材料が高温環境における膨張、縮れ変形、平らではない問題を改善して、床敷材料の使用寿命及び価値を向上させた。
【0054】
2.基布層の収縮率と糸結晶化度とが逆相関関係を示し、ヒートセットプロの主な目的は、糸の結晶化度を向上させることにより、糸の熱安定性を向上させて、温度が許容する範囲内で、ヒートセットは温度ができるだけ高く、時間ができるだけ長いプロセス要求を満たすべきである。
【0055】
3.ポリマー基材の強度が高いほど、結晶化度が大きく、寸法安定性がよく、熱収縮率が低い。即ち、PP基材内に低収縮率ポリマーを取り入れることで、基布層の熱安定性を向上させて、収縮量を現象させることができる。
【0056】
4.織布層の中にガラス繊維布を取り入れることで、床敷材料の収縮率を大いに下げることができる。
【0057】
5.テストの結果、本発明の織布によって作られる床敷材料の収縮率は4‰を超えず、ゴルフ、ホッケー等の寸法安定性の要求が高いグランドに適し、人工芝生の応用分野を大いに広げて、床敷材料の使用価値を向上させた。
【0058】
本明細書における各実施例は漸進的な方式で説明され、各実施例については他の実施例との相違点を重点的に説明され、各実施例間の同様や類似の部分については互いに参照するといい。実施例に開示される装置については、それが実施例に開示される方法と対応するので、簡単に説明されており、関連する部分は、方法の部分の説明と参照するといい。
【0059】
開示された実施例に対する上記説明は、当業者を、本発明を実現或いは利用できるようにする。これらの実施例に対するさまざまな変更は当業者にとって明らかであり、本文で定義された一般的原理は、本発明の精神或いは範囲から逸脱することなく、他の実施例において実現できる。従って、本発明は、本文で示されたこれらの実施例に制限されることなく、本文で開示した原理と新規特徴に一致する最も広い範囲に合致する。
【符号の説明】
【0060】
1 織布
2 紡績繊維
3 背面粘着剤層