IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア シーネンファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

特許7239681空気供給装置およびその構成要素を診断および監視するためのシステム
<>
  • 特許-空気供給装置およびその構成要素を診断および監視するためのシステム 図1
  • 特許-空気供給装置およびその構成要素を診断および監視するためのシステム 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】空気供給装置およびその構成要素を診断および監視するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20230307BHJP
   G01M 17/08 20060101ALI20230307BHJP
   F04B 51/00 20060101ALI20230307BHJP
   F04B 49/10 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
G01M17/08
F04B51/00
F04B49/10 331Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021512544
(86)(22)【出願日】2019-08-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 EP2019070962
(87)【国際公開番号】W WO2020048704
(87)【国際公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-04-02
(31)【優先権主張番号】102018215108.3
(32)【優先日】2018-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503159597
【氏名又は名称】クノル-ブレムゼ ジステーメ フューア シーネンファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Knorr-Bremse Systeme fuer Schienenfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80,D-80809 Muenchen,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ハートル
(72)【発明者】
【氏名】マーティン リナー
(72)【発明者】
【氏名】ベンヤミン ベーマン
(72)【発明者】
【氏名】ハイメ ヴァルガス
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-064962(JP,A)
【文献】特開平05-264404(JP,A)
【文献】特開2015-092121(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03093206(EP,A1)
【文献】特開2002-364553(JP,A)
【文献】特開2009-281783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/00 - 13/045
G01M 99/00
G01M 17/00 - 17/10
F04B 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気供給装置を診断および監視するためのシステムであって、当該システムは、
圧縮空気を供給するように構成されているコンプレッサ(1)と、
システム内の圧縮された空気から湿度を除去するように構成されている空気乾燥機と、
1つのセンサ(2)が、監視すべき部品の状態信号を検出するように構成され配置されており、別のセンサ(2)が、監視すべき部品に関する基準信号を検出するように構成され配置されているようにした、少なくとも2つのセンサ(2)と、
前記状態信号と前記基準信号との比較により前記少なくとも2つのセンサ(2)の前記状態信号と前記基準信号とを評価するように構成されている評価ユニット(3)と、
を有し、
前記評価ユニット(3)はさらに、センサ信号を評価ロジックに基づき、前記空気供給装置の動作モードを制御するメンテナンス信号および/または制御信号に変換するように構成されており、
前記センサ(2)は、基準信号として冷却空気入口における空気温度を求め、状態信号として部品温度またはオイル温度を求め、かつ/または基準信号としてプロセス入口における空気の温度を求め、状態信号として部品温度またはオイル温度を求め、かつ/または基準信号として外気温度、吸入空気温度または冷却空気温度を求め、状態信号として、コンプレッサ内の空気の空中湿度および温度について測定された値に基づき圧力露点を求める、ように構成され配置されている、
空気供給装置を診断および監視するためのシステム。
【請求項2】
前記センサ(2)のうちの少なくとも1つは、前記コンプレッサ(1)の形式に応じて、冷却空気温度、吸入温度、シリンダ壁温度、オイル温度、出口温度、最終圧力、および/または吸入負圧を、前記コンプレッサ(1)の状態監視および制御のために検出する、ように構成され配置されている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記システムは、車両に配置されたデータ伝送ユニット(4)を有し、該データ伝送ユニット(4)は、前記車両に配置された前記少なくとも2つのセンサ(2)により検出され、車両側の評価ユニット(3)により評価されたまたは評価されていない情報を、前記車両から地上側のデータ処理装置(14)へ伝達するように構成されている、請求項1または2項記載のシステム。
【請求項4】
前記システムは、車両側の評価ユニット(3)と地上側のデータ処理装置(14)を有し、前記車両側の評価ユニット(3)において評価された前記情報を、前記地上側のデータ処理装置(14)においてさらに評価するように構成されている、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
前記地上側のデータ処理装置(14)は当該システムの一部であり、少なくとも1つのデータベースおよび/またはウェブサーバ(7)を有する、請求項3または4記載のシステム。
【請求項6】
前記システムは、前記車両と前記地上側のデータ処理装置(14)との間のデータ伝送がWLANおよび/または移動無線によって実施されるように構成されている、請求項3から5までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項7】
前記地上側のデータ処理装置は、種々の車両からデータを収集するように構成されており、種々の車両からの前記データをまとめて出力するように構成されている出力ユニット(9)を有する、請求項5記載のシステム。
【請求項8】
CANバスネットワークまたはイーサネットが設けられており、前記センサ(2)および前記評価ユニット(3)は、CANバスネットワーク内もしくはイーサネット内に配置されており、前記評価ユニット(3)はCANバスネットワークにおいて、バスマスタとして動作するように構成されており、当該システムは信号変換器を有し、該信号変換器は、前記状態信号および前記基準信号が対応するネットワーク内で、もしくは前記地上側のデータ処理装置(14)へ、伝送されるのに適しているよう、前記状態信号および前記基準信号を変換するように構成されている、請求項3から7までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項9】
前記システムは信号変換器を有し、該信号変換器は、前記評価ユニット(3)へ伝送するために前記センサ信号を変換するように構成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載のシステム。
【請求項10】
前記車両側の評価ユニットは中央制動制御装置内に実装されている、請求項3からまでのいずれか1項記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気供給装置およびその構成要素を診断および監視するためのシステムに関する。
【0002】
空気供給装置の状態を監視するために、特に軌道車両における空気圧式制動システムの空気供給装置のコンプレッサの状態を監視するために、従来技術においては通例、いくつかの個別のセンサまたはスイッチが使用される。これらはたとえば、オイル温度センサまたは空気出口温度を監視するためのセンサである。
【0003】
これらの部品は一般に、たいていは安全性に関連する最大限界値の遵守を保証する役割を果たす。これらは典型的には、オイル温度または部品温度自体に関する最高温度値である。センサに対応する評価ロジックは通例、一次元であり、したがって1つのセンサ値が対応する最大限界値と比較され、限界値を上回っているならばシステムの緊急遮断がトリガされる。
【0004】
このやり方の欠点は、空気供給装置の構成要素の機能に関して実際の状態監視が得られないことである。この場合に確認できるのは、限界値を上回ったならば、機能を規定どおりには実施できず、それゆえ緊急遮断が行われる、ということにすぎない。しかしながら故障が起きる前の動作具合に関して、または発生しているエラーに関して、推定を行うことはできない。したがって故障を回避するためには、決められたメンテナンスインターバルに従いメンテナンスを行わなければならない。その際に起こり得るのは、設定された時点ではまだメンテナンスを必要としない部品についても、技術的に見れば早すぎる時点で頻繁にメンテナンスが行われる、ということである。よって、このようなやり方は非効率であると見なさなければならない。
【0005】
さらに別の欠点として挙げられるのは、たとえば騒音放出、エネルギー効率またはこれに類するものに対する指針などのように、技術的な装置に対する仕様要求が絶えず厳しくなることに起因して、要請に即した装置の動作モードを可能にし、保証しなければならない、ということである。このことは、従来の状態監視をベースにしたのでは目下のところ不可能である。
【0006】
したがって本発明の課題は、空気供給装置を診断および監視するためのシステムにおいて、その信頼性を高め、動作効率的に有用な動作のために必要に応じたメンテナンスインターバルを可能にすることである。
【0007】
この課題は、独立請求項記載の本発明によるシステムによって解決される。従属請求項には、本発明の有利な発展形態が記載されている。
【0008】
この課題は特に、空気供給装置のための以下のような診断システムによって解決される。すなわちこの診断システムによれば、一方ではシステム全体の機能を維持するために、他方では外部からの仕様要求に適合させることができるようにするために、状態における変化ならびに空気供給装置およびその構成要素の機能における変化を検出して、それらの情報に基づき最適な動作モードを選択できるようにすることが可能となる。
【0009】
したがって得られた情報を用いて、メンテナンスインターバルをもはや固定したままで計画するのではなく、個々の構成要素の状態をもとに決めて、必要なときにだけ実施するようにすることも可能である。
【0010】
本発明によるシステムは、システムに対し圧縮空気を供給するためのコンプレッサ、圧縮された空気から湿度を除去するための空気乾燥機、1つのセンサが空気供給装置の状態信号を検出し、別のセンサが基準信号を検出するようにした、少なくとも2つのセンサ、ならびに状態信号と基準信号との比較によってセンサにより検出されたデータを評価するための評価ユニットを有し、その際にこの評価ユニットはさらに、センサ信号を評価ロジックに基づきメンテナンス信号および/または制御信号に変換するように構成されており、これらの信号自体は、空気供給装置の動作モードまたはメンテナンスインターバルを制御する。
センサは、基準信号として冷却空気入口における温度を検出し、状態信号として、たとえばコンプレッサのシリンダ壁の温度のような部品温度またはオイル温度を検出し、かつ/または基準信号としてプロセス入口における空気の温度を検出し、状態信号として部品温度、出口における空気温度またはオイル温度を検出し、かつ/または基準信号として吸入圧力を検出し、状態信号として中間圧力または最後の圧縮機段の後に加わる最終圧力を検出し、かつ/または基準信号として空気温度を検出し、状態信号として、コンプレッサ内の圧縮されたプロセス空気の空中湿度および温度について測定された値に基づき圧力露点を検出する。
【0011】
本発明の有利な実施形態によれば、センサはコンプレッサの形式に応じて部品およびプロセス量を検出し、たとえば冷却空気温度、吸入温度、コンプレッサのシリンダのシリンダ壁温度、オイル温度、出口温度、最終圧力および/または吸入負圧を検出し、これらのパラメータに基づき、コンプレッサに加わる電圧の周波数および振幅つまりはコンプレッサの動作量を調整するコンプレッサインバータの状態監視および制御を実施する。
【0013】
これに加え1つの有利な実施形態によれば、本発明はデータ伝送ユニットを有し、このデータ伝送ユニットは、センサデータ、すでに車両側の、つまり車両内にある第1段において評価された情報を、評価のためにやはり重要な車両情報と共に、地上側の、つまり車両内には存在していないデータ処理装置へ伝達し、それによりそこにおいてデータをさらに評価することができる。したがってデータの処理は、この実施形態によれば多段階で順々に相前後して行われる。このようにすれば、評価の形式および複雑さに応じて、種々の装置が様々なタスクを引き受けることができる。
【0014】
多段階の評価の利点はたとえば、車両側の評価ユニットは比較的僅かな計算能力を有すればよい、ということである。これに対し中央の評価ユニットの計算能力は、必要に応じて簡単に拡張することができる。しかも、たとえば他の車両のデータなど、車両自体においてはアクセスできないさらに別のデータを考慮することができ、このようすれば包括的な評価を行うことができる。したがって中央の地上側の評価ユニットによってたとえば、類似した車両構成を世界的規模で比較することができる。かくして中央の評価ユニットは、同じ問題が普遍的に発生しているが、個々の車両には知られていない場合に、他の車両または車両群の個々の評価事例について学習することができる。したがって起こり得るエラーを予め検知する目的で、著しく多くのデータ量を評価のために利用することができる。
【0015】
上述の段落において説明した有利な実施形態の場合、地上側のデータ処理装置をシステムの一部と見なすことができ、この装置は少なくとも1つのデータベースおよび/またはウェブサーバを有する。
【0016】
上述の2つの段落で説明した有利な実施形態の場合、遅滞なくより長い距離にわたり機能するデータ交換を保証する目的で、通信は有利にはWLANおよび/または移動無線を介して行われる。
【0017】
さらなる有利な実施形態によれば、地上側の装置は、種々の車両からのデータを長期にわたり記憶することができるように構成されており、それらのデータをユーザにまとめて出力できるように出力ユニットを有する。
【0018】
さらなる有利な実施形態によれば、センサおよび車両側の評価ユニットは、CANバスネットワーク内に配置されており、その際に評価ユニットはバスマスタとして機能し、またはイーサネット内に配置されている。必要であればセンサは、対応するネットワーク内で信号を伝達できるように信号を変換する信号変換器を有する。この場合、センサ信号は、有利にはシールド線を介してセンサから評価ユニットへ案内される。
【0019】
さらにシステムは、さらなる有利な実施形態によれば、信号を変換する必要のある場所に、たとえばセンサ信号を、評価ユニットへの伝送のために、または地上側のデータ受信ユニットへの伝送のために変換する信号変換器を有する。システムの種々の構成要素間での伝送のために、信号をもっと頻繁に変換する必要がある場合には、それに応じて複数の信号変換器が設けられている。これらをすでにセンサに組み込まれた状態で実装することができる。
【0020】
本発明のさらなる有利な実施形態によれば、システムは中央制動制御装置内に実装されている。このようにすれば評価ユニットは、付加的に車両のさらなる診断信号および制御信号にアクセスすることができ、たとえば空気供給装置のコンプレッサの周波数変換器のデータ、天候データ、または目下の車両動作に関する情報にアクセスすることができる。
【0021】
次に、2つの図面を参照しながら本発明の実施例について詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】空気供給装置のコンプレッサの監視に限定して表された本発明の1つの実施形態を概略的に示す図である。
図2】空気供給装置のコンプレッサを監視するためのセンサの可能な配置に関する1つの実施形態を示す図である。
【0023】
図1のセンサ2は、コンプレッサ1の動作にとって重要な温度および圧力を検出する。この場合、これらのセンサの一部は、コンプレッサ1の状態信号を求め、たとえばシリンダ壁温度、オイル温度、2つの圧縮機段の間の中間圧力、最後の圧縮機段よりも後の最終圧力を求め、またはコンプレッサ内の空気の空中湿度および温度について測定された値に基づき間接的に圧力露点を求める。これらのセンサの別の一部はパラメータを検出し、それらのパラメータの測定信号が基準信号として用いられる。これらはたとえば外気温度、吸入空気温度、冷却空気温度または吸入圧力である。その際にセンサ機構は、各状態信号に対し同じタイプの基準信号が検出されるように構成されている。この場合、1つの基準信号を、複数の状態信号に対して基準として用いることもできる。
【0024】
選択されたセンサの例示的な配置の記述については、あとで図2を参照しながら説明する。
【0025】
さらに評価ユニット3が設けられており、このユニットはセンサ2の求められた信号を評価する。この場合、センサ2と評価ユニット3は、(図示されていない)CANバスネットワーク内に配置されており、その際に評価ユニット3はCANバスマスタを成している。センサデータを引き渡すために、信号が信号変換器によってCANバス信号に変換される。
【0026】
評価ユニット3において簡単な評価プロセスを行うことができ、たとえば状態信号と基準信号との比較、または状態信号と対応する最大値との比較などを行うことができる。これらの比較の結果が、車両に関連するすべてのデータと共に、もしくは検出されたすべてのセンサ信号が、データ伝送ユニット4へ転送される。
【0027】
データ伝送ユニット4は、空気供給装置の制御ユニット10へ、または地上側のデータ受信ユニット5へ、データを転送する。制御ユニット10は情報を処理して、空気供給ユニットひいてはコンプレッサ1への制御命令を形成し、これによってコンプレッサ1のインバータ13を制御することでコンプレッサ1の動作モードの変化を実現することができる。しかも評価ユニット3は同様に、たとえばインバータ温度および電流消費などインバータ監視の内部信号も取り出して利用することができる。このようにすることで、予期しない状況に対し速やかに短期間で応答することができ、動作挙動に対する結果を導き出すことができる。
【0028】
制御ユニットを列車制御装置全体に組み込むことによって、不可避の緊急動作の場合に、診断装置の信号を列車制御装置からの信号によって否決することができる。つまり制御ユニットにおいて信号の重み付けが可能となる。
【0029】
これに加え、地上側のデータ処理装置(14)のデータ受信ユニット5へデータを伝達することによって、それらのデータを長期にわたりデータベースにおいてアクセスできるようにすることができ、本実施形態の場合にはウェブサーバ7を介して種々のユーザがアクセスできるようにすることができる。
【0030】
さらにそれらのデータは、データ受信ユニット5から中央の地上側評価ユニット8に到達する。このユニットも同様にウェブサーバ7のデータベースへの接続を有し、したがって車両のセンサによって検出されなかった付加的な情報へのアクセスも有する。これらの付加的な情報および簡単に拡張可能な計算能力に基づき、たとえば計算機センタなどにおいてデータの包括的な評価を行うことができる。
【0031】
次いでこの評価の結果が、地上側のデータ処理装置(14)の出力ユニット9を介してユーザに出力され、もしくは制御ユニット10内に組み込まれた受信ユニットを介して制御ユニット10へ送り戻され、制御ユニット10自体はコンプレッサ1の動作ストラテジの変更を生じさせる。
【0032】
システムがたとえば、ピストンコンプレッサのシリンダまたはスクリューコンプレッサのオイル温度の最高温度を超過する危険が迫っていることを識別したならば、制御ユニット10はコンプレッサの回転数を低減することができ、このようにすることでシステムにさらに加わる温度が低減され、許容可能な温度を維持することができ、それにもかかわらず最低限の所要システム圧力を確保することができる。
【0033】
コンプレッサにおいて、所要空気量が少ないことに起因して動作温度に到達せず、それによりオイル内の水溜まりによってコンプレッサ損傷の危険がある場合には、コンプレッサの監視と制御ユニットとの組み合わせによって、コンプレッサ1の回転数が上昇する方向に調節するオプションが可能となる。かくしてコンプレッサは許容可能な高い圧力レベルで駆動され、それによって水が蒸発するように高められた温度レベルに急速に到達する。これと同時に、車両内の圧力レベル自体がさらに高められないように弁が開放され、そのようにすれば、水が水蒸気の形態で可能なかぎり急速にシステム外に到達できるようになる。回転数上昇によって、つまり水のより急速な搬出によって、オイル内の水溜まりによるコンプレッサ損傷の危険を、低い回転数で動作しているときよりも迅速に解消することができる。同様に必要であれば、コンプレッサまたはインバータを冷却するための電動ファンの冷却出力を高めることができ、または低減することもできる。したがって動作に起因する影響も外部の影響も所期のように識別し、必要に応じた対抗措置をとることができる。
【0034】
なお、ここで述べておくと、他の実施形態において、センサデータの評価をもっぱら車両側で、つまり車両自体の中で行うことができ、またはもっぱら地上側で、つまり車両外部で行うことができる。
【0035】
図2には、空気供給装置のコンプレッサ1を監視するための様々なセンサの可能な配置について示されている。図示されている実施形態の場合、コンプレッサ1は2段式ピストンコンプレッサであり、この場合、2つのシリンダヘッド1aおよび1bが一方の側に、さらに別の1つのシリンダヘッドが他方の側に設けられている。コンプレッサのシリンダのすぐ横において、一方の側にファン11が配置されており、これによりシリンダ1が周囲空気により冷却される。他方の側には、コンプレッサ1の空気吸入ボックス12が示されている。シリンダは、コンプレッサのファン11とは反対側の端部に位置するモータにより駆動される。1つのシリンダが設けられている側には低圧シリンダが位置しており、このシリンダは図示の視点では見分けにくい。2つのシリンダが設けられている側において、前方のファン側の小さい方のシリンダは高圧シリンダ(1b)であり、後方のモータ側のシリンダはやはり低圧シリンダ(1a)である。
【0036】
前方から冷却器に向かって見た場合、これは水平方向に分割されている。下方の領域には両方の低圧シリンダによる第1の圧縮の圧力(中間圧力)が存在し、上方の領域には第2の圧縮後の圧力(システム圧力、最終圧力)が存在する。
【0037】
ファン11のすぐ手前に配置された温度センサ温度センサは、ファン11に入る直前の周囲空気の温度を測定する。したがってこの周囲空気温度は、システムの冷却空気温度Tを表す。さらに別の温度センサは、シリンダ壁1bにおける温度Tを測定する。最後に第3の温度センサは、コンプレッサから出た後であり図示されていない空気乾燥機に入る前の圧縮空気の温度を測定する。この場合、ホース13は、コンプレッサ1と空気乾燥機との間の接続を表す。つまりこの温度は、空気乾燥機入口温度Tである。
【0038】
1つの圧力センサは、空気吸入ボックス12において吸入負圧pを測定するのに対し、さらに別の圧力センサは、2段式ピストンコンプレッサの2つの圧縮機段の間の中間回路において、中間回路圧力pを測定する。空気乾燥機入口温度Tの測定と同様に、第3の圧力センサは、コンプレッサから空気が出た後であり図示されていない空気乾燥機へ入る前の最終圧力pを測定する。
【0039】
これらの測定信号に基づき、コンプレッサ1を監視するために状態信号と基準信号とから成る値のペアを形成することができる。この場合、空気吸入温度Tを基準信号として用い、シリンダ壁温度Tおよび空気乾燥機入口温度Tを状態信号として用いることができる。これと同様に、吸入負圧pを基準信号として規定し、中間回路圧力pもしくは最終圧力pを状態信号として規定することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 コンプレッサ
1a シリンダヘッド コンプレッサ段a
1b シリンダヘッド コンプレッサ段b
2 センサ
3 (車両側の)評価ユニット
4 データ伝送ユニット
5 データ受信ユニット
6 データベース
7 ウェブサーバ
8 (地上側の)評価ユニット
9 出力ユニット
10 制御ユニット
11 ファン
12 空気吸入ボックス
13 ホース
冷却空気温度
シリンダ壁温度
空気乾燥機入口温度
吸入負圧
中間回路圧力
最終圧力
図1
図2