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特許7239689生分解性高分子ナノ粒子を含むメモリ素子及びこの製造方法
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  • 特許-生分解性高分子ナノ粒子を含むメモリ素子及びこの製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】生分解性高分子ナノ粒子を含むメモリ素子及びこの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H10B 99/00 20230101AFI20230307BHJP
   H01L 21/316 20060101ALI20230307BHJP
   H10K 10/88 20230101ALI20230307BHJP
   H10K 85/10 20230101ALI20230307BHJP
【FI】
H10B99/00 449
H01L21/316 A
H10K10/88
H10K85/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021518756
(86)(22)【出願日】2019-10-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 KR2019013007
(87)【国際公開番号】W WO2020071837
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-06-07
(31)【優先権主張番号】10-2018-0118827
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508139664
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CJ CHEILJEDANG CORPORATION
【住所又は居所原語表記】CJ Cheiljedang Center,330,Dongho-ro,Jung-gu,Seoul,Republic Of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヒョン・ホ・リ
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・キュ・カン
(72)【発明者】
【氏名】ホン・サン・ジョン
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2013-0104820(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0108580(KR,A)
【文献】国際公開第2015/141988(WO,A1)
【文献】特開2006-303493(JP,A)
【文献】特開2016-513090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 99/00
H01L 21/316
H10K 85/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリカ(SiO)を含むシリコン層;充電/放電層、有機半導体層及び電極層を含み、
前記充電/放電層は、
シランマトリックス(silane matrix)内に生分解性高分子ナノ粒子が分散された構造を含む、メモリ素子であって、前記生分解性高分子はポリアミノ酸を含み、前記ポリアミノ酸のアミノ酸は1つ以上のアミン基を有するものである、メモリ素子
【請求項2】
シランマトリックスは、平均厚さが5nm以下である、請求項1に記載のメモリ素子。
【請求項3】
シランマトリックスは、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン[(3-Glycidyloxypropyl)trimethoxysilane]を含む、請求項1に記載のメモリ素子。
【請求項4】
生分解性高分子ナノ粒子は、平均直径が50nm以下である、請求項1に記載のメモリ素子。
【請求項5】
生分解性高分子は、ポリ-L-アルギニン(poly-L-arginine)、ポリヒスチジン(polyhistidine)、ポリトリプトファン(polytryptophan)及びポリ-L-リシン(poly-L-lysine)のうちいずれか1つである、請求項1に記載のメモリ素子。
【請求項6】
有機半導体層は、ペンタセン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリチエニレンビニレン及びオリゴチオフェンのうち1種以上を含むものである、請求項1に記載のメモリ素子。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のメモリ素子を含む生体適合性電子素子。
【請求項8】
シリカ(SiO)を含むシリコン層に、シランマトリックス内に生分解性高分子ナノ粒子が分散された充電/放電層を形成する段階であって、前記生分解性高分子はポリアミノ酸を含み、前記ポリアミノ酸のアミノ酸は1つ以上のアミン基を有するものである段階;及び
充電/放電層に有機半導体層及び電極層を形成する段階を含む、メモリ素子の製造方法。
【請求項9】
シリカ(SiO)を含むシリコン層に、シランマトリックス内に生分解性高分子ナノ粒子が分散された充電/放電層を形成する段階は、
シリカ(SiO)を含むシリコン層にシランカップリング剤(silane coupling agent)との結合のためにUV-オゾン(UV-ozone)又は塩基処理を介してシランマトリックスを官能化する段階、及びシランマトリックスに生分解性高分子ナノ粒子溶液を塗布する段階を含む、請求項8に記載のメモリ素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性高分子ナノ粒子を含むメモリ素子及びこの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近数年間、生体物質を用いてメモリ素子を製造する方法に対して研究と開発が進められており、特に、メモリ素子の静電容量(Capacitance)を増大させるために充電/放電層に対する研究が活発に進められてきた。
【0003】
既存の電荷の充電/放電層に対する研究は、金属ナノ粒子を用いて研究を進行中であるが、生体適合性物質からなるメモリ素子に対する研究は不足していた。
【0004】
また、金属蒸着過程には、物理的に蒸着する真空熱蒸着法、スパッタリング法と化学的な蒸着法などがあるが、このような工程は難しく複雑であり、追加の工程などが要求されることにより、高価な装備が必要であるという問題がある。
【0005】
したがって、前記問題点を解決しながら、静電容量(Capacitance)を増大させて効率的に電子素子に適用することができる生体適合性物質からなるメモリ素子に対する研究と開発が急を要する実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】韓国公開特許第2013-0104820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、生体適合性メモリ素子(biocompatible electronic device)に適用可能な生分解性高分子ナノ粒子を含むメモリ素子を提供することにある。
【0008】
また、本発明は、既存の複雑な工程ではなく簡単な溶液工程(solution process)によって生分解性高分子ナノ粒子を含むメモリ素子を製造する方法を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は、一実施形態において、シリカ(SiO)を含むシリコン層;充電/放電層、有機半導体層及び電極層を含み、前記充電/放電層は、シランマトリックス内に生分解性高分子ナノ粒子が分散された構造を含むメモリ素子を提供する。
【0010】
また、本発明は、一実施形態において、前記メモリ素子を含む生体適合性電子素子(biocompatible electronic device)を提供する。
【0011】
また、本発明は、一実施形態において、シリカ(SiO)を含むシリコン層にシランマトリックス内に生分解性高分子ナノ粒子が分散された充電/放電層を形成する段階;及び充電/放電層に有機半導体層及び電極層を形成する段階を含むメモリ素子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるメモリ素子を生体適合性電子素子(biocompatible electronic device)に適用時、半導体分野でより効率的に集積化が可能であり、シランカップリング剤(silane coupling agent)を処理して形成されたシランマトリックスを含むことにより優れた静電容量(Capacitance)を有するメモリ素子を提供することができる。
【0013】
また、本発明によるメモリ素子の製造方法は、溶液工程(solution process)を用いるため、非常に簡単な方法でメモリ素子を製造することができるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のメモリ素子を示した図である。
図2】本発明のメモリ素子の一構成であるシリカを含むシリコン層を示した図である。
図3】本発明のメモリ素子の一構成である充電/放電層を示した図である。
図4】本発明の一実施形態であるメモリ素子の製造方法を示した図である。
図5】実施形態によるメモリ素子の静電容量(Capacitance)-電圧(capacitance-Voltage;以下「C-V」)の測定結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、多様な変更を加えることができ、様々な実施形態を有することができるので、特定の実施形態を図に例示して詳細な説明に詳しく説明する。
【0016】
しかし、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物ないし代替物を含むものとして理解されなければならない。
【0017】
本発明において、「含む」又は「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、1つ又はそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加の可能性を予め排除するものではないと理解されなければならない。
【0018】
また、本発明の図は、説明の便宜のために拡大又は縮小して示されたものとして理解されなければならない。
【0019】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0020】
メモリ素子(memory device)
図1は、本発明のメモリ素子を示した図である。図を参照すると、本発明のメモリ素子100は、シリカ(SiO)を含むシリコン層10;充電/放電層20、有機半導体層30及び電極層40を含む。
【0021】
図2は、本発明のメモリ素子の一構成であるシリカを含むシリコン層(silicon layer)を示した図である。図を参照すると、シリカを含むシリコン層10、シリコン基板11にシリカ層12が蒸着されている。
【0022】
このとき、シリコン基板11の種類は特に制限されるものではないが、p型シリコン基板であってよい。
【0023】
シリカ層12は、平均厚さが300nm以下であってよく、具体的に、5から300nm、10から100nm又は10から30nm範囲内の厚さを有してよい。
【0024】
シリコン基板11にシリカ層12を蒸着させることにより、ヒドロキシ基(hydroxy group)で官能化(functional)が可能であり、UV-オゾン(UV-ozone)又は塩基処理によるヒドロキシ基(hydroxy group)への官能化を介してシランカップリング剤(silane coupling agent)との結合が可能となる。
【0025】
図3は、本発明のメモリ素子の一構成である充電/放電層を示した図である。図を参照すると、充電/放電層20は、シランマトリックス21内に生分解性高分子ナノ粒子22が分散された構造を含む。本明細書において、用語「充電」は、蓄電池又は二次電池に外部から電流が入っていくようにして貯蔵された電荷量を増加させることを意味し、用語「放電」は、充電と反対となる概念であって、蓄電池又は二次電池から電流が放出して貯蔵された電荷量を減少させることを意味し、用語「充電/放電層」は、充電/放電が可能な電荷を帯びる層を意味する。
【0026】
シランマトリックス21は、平均厚さが5nm以下であってよく、具体的に、0.1から5nmの範囲内であってよい。
【0027】
シランマトリックス21は、シランカップリング剤(silane coupling agent)を含み、その種類は特に制限されるものではないが、具体的に、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン[(3-Glycidyloxypropyl)trimethoxysilane;以下、「GPTMS」]であってよい。
【0028】
本発明のメモリ素子100にシランマトリックス21を含む場合、より高い電圧印加時に、メモリ効果が大きくなるという特性を示すことができ、メモリ素子の安定性を確保することができるという長所がある。
【0029】
本明細書における用語「生分解性高分子」は、少なくとも分解の一過程で生物の代謝が関与して低分子量化合物に変わる高分子物質を意味し、用語「ナノ粒子」は、少なくとも一次元が100nm、つまり、千万分の1メートル以下の粒子を意味し、用語「生分解性高分子ナノ粒子」は、代謝関与を介して低分子量化合物に変わる高分子物質からなる100nm以下の粒子を意味する。
【0030】
具体的に、生分解性高分子ナノ粒子22は、シランカップリング剤(silane coupling agent)のエポキシ基と生分解性高分子に含まれているアミン基(aminegroup)との反応を介して形成されてシランマトリックス内に分散されており、このとき、生分解性高分子ナノ粒子22の平均直径が50nm以下であってよく、具体的に、1から50nmの範囲内であってよい。平均直径は、通常知られているレーザー回折法などの方法により測定されてよい。
【0031】
本発明のメモリ素子100に生分解性高分子ナノ粒子22を含む場合、生体適合性メモリ素子(biocompatible electronic device)に適用することができるという利点がある。
【0032】
生分解性高分子は、アミン基を1つ以上有するアミノ酸であれば大きく制限されず、具体的に、ポリ-L-アルギニン(poly-L-arginine)、ポリヒスチジン(polyhistidine)、ポリトリプトファン(polytryptophan)及びポリ-L-リシン(poly-L-lysine)のいずれか1つであってよい。本明細書における用語「ポリ-L-アルギニン(poly-L-arginine)」は、アルギニン単位当り1つのHClを有する量で荷電された合成ポリアミノ酸(Poly amino acid)を意味する。
【0033】
本明細書における用語「有機半導体」は、炭素物質から作られた半導体であって、有機化合物は大部分絶縁体であるが、一般的に有機半導体は、電離して電子を出しやすい物質と電子を受け取りやすい物質とを化合して分子化合物を作るときに得られる有機物質の結晶構造である外因性半導体を意味する。
【0034】
有機半導体層は、メモリ素子に適用できるものであれば特に制限されるものではなく、具体的に、ペンタセン(pentacene)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリチエニレンビニレン及びオリゴチオフェンのうち1種以上を含んでよく、特に有機半導体層は22個のπ結合からなるペンタセンを含んでよい。
【0035】
有機半導体層30は、平均厚さが100nm以下であってよく、10から100nmの範囲内の厚さを有してよい。具体的に、有機半導体層30は、10から50nmの範囲内の厚さを有してよい。
【0036】
電極層40は、メモリ素子に適用できるものであれば特に制限されるものではなく、具体的に、金(Au)電極層であってよく、平均直径が100から500μmの金ドット(Au dot)を含み、金(Au)電極層の平均厚さは、10から200nmであってよい。
【0037】
生体適合性電子素子(biocompatible electronic device)
また、本発明は、一実施形態において、メモリ素子を含む生体適合性電子素子を提供する。
【0038】
生体適合性電子素子(biocompatible electronic device)の構造及び構成要素などは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者に既知なので、以下ではこれに対する詳細な説明は省略する。
【0039】
生体適合性電子素子(biocompatible electronic device)の構造及び構成要素に対しては、本発明の属する分野において通常の知識を有する者に既知の内容は、本発明の内容に合体される。
【0040】
メモリ素子の製造方法
また、本発明は、一実施形態において、シリカ(SiO)を含むシリコン層にシランマトリックス内に生分解性高分子ナノ粒子が分散された充電/放電層を形成する段階;及び充電/放電層に有機半導体層及び電極層を形成する段階を含むメモリ素子の製造方法を提供する。
【0041】
具体的に、図4は、本発明の一実施形態であるメモリ素子の製造方法を示した図である。図を参照すると、シリカ層(SiO)12が蒸着されたシリコン基板11にUV-オゾン(UV-ozone)又は塩基で処理し、ヒドロキシ基(hydroxy group)(-OH)で官能化させる(S1段階)。このとき、シリコン基板11としては、p型シリコン基板であってよく、シリカ層12は10から300nmの範囲内の厚さを有してよく、具体的に、シリカ層12は300nm以下の厚さを有してよく、具体的に、5から300nm、10から100nm、又は10から30nm範囲内の厚さを有してよい。シリカ層12の表面をヒドロキシ基(hydroxy group)で官能化させるために用いられる塩基としては、特に制限されるものではないが、水酸化ナトリウム(NaOH)を用いるのが好ましい。
【0042】
ヒドロキシ基(hydroxy group)で官能化されたシリコン層10にシランカップリング剤(silane coupling agent)を処理し、ヒドロキシ基(hydroxy group)とシランカップリング剤(silane coupling agent)との結合を介してシランマトリックス21を形成する(S2段階)。このとき、シランカップリング剤(silane coupling agent)は、その種類が特に制限されるものではないが、GPTMSであってよい。シランマトリックス21は、平均厚さが5nm以下であってよく、具体的に、0.1から5nmの範囲内であってよい。本発明のメモリ素子100にシランマトリックス21を含む場合、さらに高い電圧の印加時に、メモリ効果が大きくなるという特性を示すことがあり、メモリ素子の安定性を確保することができるという長所がある。
【0043】
その後、シランマトリックス21に含まれているエポキシ基(epoxy group)と生分解性高分子に含まれているアミン基(amine group)との反応を介してシランマトリックス21上に生分解性高分子ナノ粒子22が分散され、生分解性高分子ナノ粒子の製造は溶液工程(solution process)を用いる(S3段階)。このとき、生分解性高分子は、ポリ-L-アルギニン(Poly-L-arginine)であってよく、生分解性高分子ナノ粒子22の平均直径が50nm以下であってよく、具体的に、1から50nmの範囲内であってよい。本発明のメモリ素子100に生分解性高分子ナノ粒子22を含む場合、生体適合性メモリ素子(biocompatible electronic device)に適用することができるという利点がある。
【0044】
その後、生分解性高分子ナノ粒子22に熱蒸発蒸着法を用い、有機半導体層30及び電極層40を蒸着して形成する(S4段階及びS5段階)。このとき、有機半導体層は、メモリ素子に適用できるものであれば特に制限されるものではなく、具体的に、ペンタセン(pentacene)、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、ポリチエニレンビニレン及びオリゴチオフェンのうち1種以上を含んでよく、特に有機半導体層は22個のπ結合からなるペンタセンを含んでよい。
【0045】
有機半導体層30は、平均厚さが100nm以下であってよく、10から100nmの範囲内の厚さを有してよい。具体的に、有機半導体層30は、10から50nmの範囲内の厚さを有してよい。
【0046】
電極層40は、メモリ素子に適用できるものであれば特に制限されるものではなく、具体的に、金(Au)電極層であってよく、平均直径が100から500μmの金ドット(Au dot)を含み、金(Au)電極層の平均厚さは10から200nmであってよい。
【0047】
以下、本発明である生分解性高分子ナノ粒子を含むメモリ素子及びこの製造方法を実施例及び実験例によってより詳しく説明する。
【0048】
但し、下記実施例及び実験例は、本発明である生分解性高分子ナノ粒子を含むメモリ素子及びこの製造方法を例示するものに過ぎず、本発明の内容が下記実施例及び実験例に限定されるものではない。
【0049】
実施例.メモリ素子の作製
10nm厚さのシリカ層(SiO)が蒸着されたp型シリコン基板(大きさ:1.5cm×3.0cm、厚さ:0.6T)の表面をUV-オゾン(UV-ozone)で処理し、シリカ層の表面をヒドロキシ基(hydroxy group)で官能化させた。
【0050】
その後、GPTMS溶液(エタノール中5%)に含浸させ、ヒドロキシ基(hydroxy group)とGPTMSとの反応を介してシランマトリックスを形成した(シランマトリックスの厚さ:約0.1から5nm)。
【0051】
シランマトリックスの表面にポリ-L-アルギニン(Poly-L-arginine)(Mw:1700Da)を分散させるために、1時間穏やかにディップコーティング(dip coating)した。ポリ-L-アルギニン(Poly-L-arginine)を最終濃度が2mg/ml(1mM)となるように添加した後、1時間ディップコーティングしてGPTMS層にポリ-L-アルギニン(Poly-L-arginine)ナノ粒子(直径:1~50nm)を形成した(溶液工程(solution process))。
【0052】
その後、ペンタセン半導体層(厚さ:50~80nm)及び金電極(金ドットの直径:500μm、金電極の厚さ:150~200nm)を熱蒸発蒸着法によって蒸着することでメモリ素子を製造した。
【0053】
実験例1.C-V特性の分析
1MHzの周波数でHP Agilent 4284Aを用いて実施例によるメモリ素子のC-V性能を測定し、その結果をそれぞれ図5に示した。
【0054】
具体的に、シリコンウェハ(silicon wafer)をグラウンド(ground)と仮定し、金(Au)電極に電圧を加えて変化する静電容量(Capacitance)を確認した。-3Vで、3V、そして-3Vに2V電圧ずつ高め、±3V、±5V及び±7V電圧をスイープ(sweep)し、静電容量(Capacitance)を確認した。
【0055】
スイープ(sweep)の模様が特定のヒステリシス(hysteresis)を形成することが見られる。より高い電圧の印加時に、メモリ効果が大きくなるという特性を示した。
【符号の説明】
【0056】
100:メモリ素子
10:シリカ(SiO)を含むシリコン層
11:シリコン層
12:シリカ層
20:充電/放電層
21:シランマトリックス
22:生分解性高分子ナノ粒子
30:有機半導体層
40:電極層
図1
図2
図3
図4
図5