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▶ シージェイ チェイルジェダン コーポレーションの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】キャンディ製造用組成物
(51)【国際特許分類】
   A23G 3/34 20060101AFI20230307BHJP
【FI】
A23G3/34 101
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021548149
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-30
(86)【国際出願番号】 KR2020002342
(87)【国際公開番号】W WO2020171560
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2021-08-17
(31)【優先権主張番号】10-2019-0019414
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508139664
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CJ CHEILJEDANG CORPORATION
【住所又は居所原語表記】CJ Cheiljedang Center,330,Dongho-ro,Jung-gu,Seoul,Republic Of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ジュ・ヒ・イム
(72)【発明者】
【氏名】ス・ジョン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ユン・キョン・バク
(72)【発明者】
【氏名】ソン・ベ・ビョン
【審査官】堂畑 厚志
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-226080(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0010878(KR,A)
【文献】特開平06-197697(JP,A)
【文献】特開2009-142187(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0271112(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0020412(KR,A)
【文献】米国特許第06780990(US,B1)
【文献】特開昭63-267244(JP,A)
【文献】特表昭61-500826(JP,A)
【文献】特開2013-236594(JP,A)
【文献】特開2014-079205(JP,A)
【文献】国際公開第2018/084535(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/011213(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23G 3/42
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルロースを含む重合度2以下の糖類および重合度3以上の糖類を含む、キャンディ製造用組成物であって、
乾燥固形分基準で、前記重合度2以下の糖類100重量部に対して、前記重合度3以上の糖類を29重量部以上の含量で含み、
乾燥固形分基準で、前記重合度2以下の糖類100重量部に対して、前記アルロースを5重量部~10重量部の含量で含む、
キャンディ製造用組成物。
【請求項2】
前記重合度3以上の糖類は、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、キトオリゴ糖、セロオリゴ糖および大豆オリゴ糖で構成される群から選択される少なくとも一つを含む、請求項1に記載のキャンディ製造用組成物。
【請求項3】
乾燥固形分基準で、全体のキャンディ製造用組成物100重量部に対して、重合度2以下の糖類を70重量部~85重量部の含量で含む、請求項1に記載のキャンディ製造用組成物。
【請求項4】
乾燥固形分基準で、前記重合度2以下の糖類100重量部に対して、前記重合度3以上の糖類を29重量部~50重量部の含量で含む、請求項1に記載のキャンディ製造用組成物。
【請求項5】
乾燥固形分基準で、全体のキャンディ製造用組成物100重量部に対して、重合度3以上の糖類を23重量部~35重量部の含量で含む、請求項1に記載のキャンディ製造用組成物。
【請求項6】
全体のキャンディ製造用組成物の平均分子量が29,000g/mol~45,000g/molである、請求項1に記載のキャンディ製造用組成物。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のキャンディ製造用組成物を用いて製造されたものであって、前記キャンディ製造用組成物を含む、キャンディ。
【請求項8】
前記キャンディは、ハードキャンディである、請求項7に記載のキャンディ。
【請求項9】
前記キャンディは、湿度90%、50℃で10分間露出した後のキャンディの表面に接触させたプローブを引き離す時に入る力が750g以下である、請求項8に記載のキャンディ。
【請求項10】
前記キャンディは、湿度90%、50℃で3時間露出した後の重量の増加量が9.5%以下である、請求項8に記載のキャンディ。
【請求項11】
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の組成物を加熱して濃縮するステップと、
前記濃縮した結果物を成形し、冷却するステップとを含む、キャンディの製造方法。
【請求項12】
前記組成物を加熱して濃縮するステップは、140℃~150℃で加熱を行う、請求項11に記載のキャンディの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャンディ製造用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
キャンディは、砂糖、水飴などを原料として製造されるお菓子の総称であり、ハードキャンディ、ゼリー、キャラメル、羊羹などの様々な種類がある。砂糖、水飴のような糖類や糖アルコールなどを主原料として、これらを混合して製造されるものであり、加熱過程により濃縮した後、有機酸などの副材料を添加して所定の形状に成形、冷却して製造され、基本的に、甘味を出す糖類を含む糖液を用いて製造される。
【0003】
キャンディの中でも硬い食感を有し、製造された後、所定の形態を示すハードキャンディの場合、製造で用いられる砂糖や水飴が甘味を出す役割をする甘味料として用いられたりして、最終的なハードキャンディの物性にも影響を与えることから、ハードキャンディの主な材料として用いられてきた。また、砂糖を材料としたハードキャンディでは、砂糖の再結晶化による問題が発生し得るため、これを補完するために、水飴を多量添加してキャンディを製造する方法が用いられてきた。しかし、水飴は、健康を重視する最近の消費者にとって、健康に否定的な影響を与える原料として認識されているため、消費者のニーズに応えるべく、水飴の代わりに他の糖類を用いたキャンディの製造方法が必要な状況である。
【0004】
ハードキャンディは、特定の形態をなすように成形され、冷却過程を経て製造されるものであるため、流通過程でも変形されず、最初の所定の形態を維持しなければならない。しかし、ハードキャンディが流通過程で、特に、高温や多湿な条件の環境にさらされる場合、溶けやすい可能性があり、かかる場合、ハードキャンディの表面を包装する包装紙の内側面に溶け出したハードキャンディがくっつくか、ともに包装された他のキャンディとくっつくことがある。そのため、消費者がハードキャンディの包装紙を開ける際、手でキャンディを包装紙を分離するときにキャンディ表面のべたつきから不快感を覚えることがあり、食べる過程でも不都合が発生し得るという問題がある。
【0005】
また、ハードキャンディは、吸湿性があり、空気中にさらされた場合、水分を吸収し、その重量が増加することがあり、かかる特性によって、コールドフロー(cold flow)現象が発生し得る。コールドフローは、高温などの条件が与えられなくても常温のような低温条件でも形態の変化が起こる現象である。ハードキャンディでも、常温で空気中の水分を吸収することで、全体の形状が製造完成状態の最初の形状と異なり得る。したがって、最初、ハードキャンディが手でつまみやすく食べやすい形態に製造されても、コールドフロー現象によって、摂取に困難が発生し得、摂取が不可能になる場合もあり、問題が発生する。
【0006】
前記のようなキャンディ表面のべたつきやコールドフロー現象の発生のような問題を解決するために、単糖や二糖類を主な構成成分とする水飴や砂糖などの原料の代わりに糖アルコールを使用しようとする試みがあったが、具体的には、べたつきとコールドフロー現象を効果的に改善するための多糖類の重合度(DP、degree of polymerization)の値や重合度による組成比、平均分子量などについて研究または報告されたことはない。
【0007】
したがって、流通過程で発生し得るキャンディの表面が溶けてべたつく現象とコールドフロー現象によるキャンディ形状の変形を改善することで、消費者がキャンディをより食べやすくし、且つキャンディの甘味度は維持し、消費者の健康にも良いキャンディの開発が必要な状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の水飴を含むキャンディよりも、キャンディの表面のべたつきを低減し、コールドフロー現象を改善するためのキャンディ製造用組成物を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、前記のようなキャンディ製造用組成物を用いて製造される、表面のべたつきおよび/またはコールドフロー現象が改善したキャンディを提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、表面のべたつきおよび/またはコールドフロー現象が改善したキャンディを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の一側面は、重合度2以下の糖類および重合度3以上の糖類を含む、キャンディ製造用組成物であって、乾燥固形分基準で、前記重合度2以下の糖類100重量部に対して、前記重合度3以上の糖類を29重量部以上の含量で含む、キャンディ製造用組成物を提供する。
【0012】
本発明の他の側面は、前記キャンディ製造用組成物を用いて製造されるキャンディを提供する。
【0013】
本発明の他の側面は、前記キャンディ製造用組成物を加熱して濃縮するステップと、前記濃縮した結果物を成形し、冷却するステップとを含むキャンディの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明で提供するキャンディ製造用組成物は、キャンディの製造および流通過程で発生し得るキャンディ表面のべたつきを改善し、流通過程でキャンディが包装紙の内側面にくっつくか、他の隣接したキャンディとくっつく現象を低減すことができる。これにより、消費者が包装紙を除去し食べようとキャンディと接触する時に、べたつきから発生し得る不快で不便な手触りを改善する効果がある。
【0015】
また、本発明のキャンディ製造用組成物は、キャンディが空気中の水分を吸収することで、低温条件でも形態が変化するコールドフロー現象を改善することができる。したがって、流通過程で、常温程度の条件であるにもかかわらずキャンディが溶けて形状が変化する現象を低減し、消費者が最初完成された製造形態のキャンディを食べられるようにして、手でよりつまみやすく、食べやすい形態で提供されることができるキャンディを製造できるという効果がある。
【0016】
さらに、希少糖である低熱量を出すアルロースを含むことで、糖度は砂糖と同様である他種の糖類に類似し、且つ熱量は下げて、消費者の健康により良く、低熱量の製品を好む最近の消費者の嗜好に合致するキャンディを提供できるという利点がある。
【0017】
ただし、本発明の効果は、上記で言及した効果に制限されず、言及していない他の効果は、下記の記載から、当業者が明確に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1a】製造例1-1、1-2および比較例1のキャンディの表面べたつき現象を確認するために、溶けたキャンディの表面に接したプローブが離れる力を測定し、比較したグラフである。
図1b】製造例1-1、1-2および比較例1のキャンディのコールドフロー現象を確認するために、キャンディの初期写真を撮影し、湿度90%、50℃の条件に3時間露出した後のキャンディの写真を撮影し、比較した図である。
図1c】製造例1-1、1-2および比較例1のキャンディのコールドフロー現象を確認するために、前記キャンディを湿度90%、50℃の条件に露出した後、1時間、2時間、3時間ごとに重量の増加量を測定し、比較したグラフである。
図2a】製造例2-1~2-4および比較例2のキャンディの表面べたつき現象を確認するために、溶けたキャンディの表面に接したプローブが離れる力を測定し、比較したグラフである。
図2b】製造例2-1~2-4および比較例2のキャンディのコールドフロー現象を確認するために、キャンディの初期写真を撮影し、湿度90%、50℃の条件に3時間露出した後のキャンディの写真を撮影し、比較した図である。
図2c】製造例2-1~2-4および比較例2のキャンディのコールドフロー現象を確認するために、前記キャンディを湿度90%、50℃の条件に露出した後、1時間、2時間、3時間ごとに重量の増加量を測定し、比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明の一側面は、キャンディを製造するためのシロップ組成物を提供する。
【0021】
本発明のキャンディ製造用組成物は、重合度2以下の糖類および重合度3以上の糖類を含む。また、前記キャンディ製造用組成物は、乾燥固形分基準で、前記重合度2以下の糖類100重量部に対して、前記重合度3以上の糖類を29重量部以上の含量で含む。
【0022】
本発明の用語「重合度(degree of polymerization、DP)」は、高分子鎖に含まれた単量体単位の数を意味する。本発明の糖類において、前記重合島は、前記糖類に含まれた単糖の数を意味する。例えば、前記重合度2以下の糖類は、重合度1および/または重合度2の糖類を意味するため、これは、一つの単糖からなる糖類または2分子の単糖が結合した糖類であり得る。
【0023】
前記重合度2以下の糖類は、単糖類および/または二糖類を含む。例えば、前記単糖類は、六炭糖であり得、前記二糖類は、前記単糖がグリコシド結合によって2分子連結されたものであり得る。前記単糖の連結された二糖類は、同じ種類の単糖が連結されたものであるか、互いに異なる種類の単糖の組み合わせによって連結されたものであり得る。
【0024】
前記重合度2以下の糖類の単糖類は、ブドウ糖、果糖、ガラクトース、またはこれらの組み合わせであり得、二糖類は、マルトース、イソマルトース、砂糖、乳糖、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0025】
また、前記重合度2以下の糖類は、アルロースを含むことができる。前記重合度2以下の糖類は、前記重合度2以下の糖類100重量部に対して、アルロースを5~10重量部の含量で含むことができ、例えば、アルロースを5重量部以上、5.2重量部以上、5.5重量部以上、5.7重量部以上、6重量部以上、6.2重量部以上、6.5重量部以上、6.7重量部以上、7重量部以上、7.2重量部以上、7.5重量部以上、7.7重量部以上、8重量部以上、8.2重量部以上、8.5重量部以上、8.7重量部以上、9重量部以上、9.2重量部以上、9.5重量部以上、9.7重量部以上、または10重量部以上の含量および/または10重量部以下、9.7重量部以下、9.5重量部以下、9.2重量部以下、9重量部以下、8.7重量部以下、8.5重量部以下、8.2重量部以下、8重量部以下、7.7重量部以下、7.5重量部以下、7.3重量部以下、7重量部以下、6.7重量部以下、6.5重量部以下、6.2重量部以下、6重量部以下、5.7重量部以下、5.5重量部以下、5.2重量部以下、または5重量部以下の含量で含むことができる。
【0026】
前記アルロースは、D-アルロースまたはL-アルロースを指し得、サイコース(またはプシコース、psicose)とも称される希少糖の一種であり、砂糖に対して70%の甘味度を有する単糖類である。果糖や砂糖とは異なり、人体内で代謝されず、カロリーが少ないことを特徴とする。本発明のキャンディ製造用組成物に含まれるアルロースは、上述のように、重合度3以上の糖とともに組み合わされて含まれることで、ハードキャンディの表面べたつきを改善し、コールドフロー現象を改善する役割を果たし、カロリーは少なく、且つ砂糖に類似する水準の甘味は維持することができ、低熱量のキャンディを製造することができる。また、歯に対する抗う蝕効果があり、キャンディの摂取による虫歯発生可能性を低減する効果がある。
【0027】
前記アルロースは、自然物からの抽出、化学的合成またはアルロースエピマー化酵素を用いた生物学的方法で合成することができる。例えば、前記アルロースは、前記アルロースエピマー化酵素、前記酵素を生産する菌株の菌体、前記菌株の培養物、前記菌株の破砕物および前記破砕物または培養物のエキスからなる群から選択される1種以上を含むアルロース生産用組成物を、果糖を含有する原料と反応して製造されたものであり得る。前記アルロースは、純度95%以上の液状シロップ形態で含まれることができ、Brixは、70~75、71~74、または71~73であり得、乾燥固形分基準甘味度は、0.45~0.65、0.5~0.6、または0.55~0.6であり得、カロリーは、0.05~0.15 kcal、0.05~0.125 kcal、または0.075~0.125kcal であり得る。
【0028】
前記重合度2以下の糖類は、追加の糖アルコールをさらに含むことができる。前記糖アルコールは、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ポリグリシトール、ラクチトールおよびこれらの組み合わせから選択されることができるが、これに制限されるものではない。前記マルチトールは、ポリオールに分類される重合度2の糖アルコールであり、キャンディの製造時に、砂糖の代わりに使用されて、カロリーを下げ、虫歯を発生させない効果がある。前記マルチトールは、マルチトールシロップの形態で含まれることができる。前記マルチトールシロップのBrixは、65~75であり得、例えば、67~73、または70~73であり得る。前記マルチトールシロップの甘味度は、固形分基準で、0.6~0.8であり得、例えば、0.65~0.75、または0.67~0.72であり得、前記マルチトールシロップのカロリーは、2~4kcalであり得、例えば、2.5~3.7 kcal、または2.7~3.5kcalであり得る。
【0029】
前記重合度2以下の糖類は、本発明の前記キャンディ製造用組成物の全体100重量部に対して、70~85重量部の含量で含まれることができ、例えば、70重量部以上、72重量部以上、75重量部以上、77重量部以上、80重量部以上、82重量部以上、または85重量部以上の含量、および/または、85重量部以下、82重量部以下、80重量部以下、77重量部以下、75重量部以下、72重量部以下、または70重量部以下の含量で含まれることができる。
【0030】
前記重合度3以上の糖類は、単糖がグリコシド結合によって3個~数十個連結された比較的短い長さで構成される多糖類の一種であり、例えば、3個~15個、3個~10個、3個~9個、3個~8個、または3個~7個の単糖が連結されたものであり得る。また、前記のように連結される単糖は、同じ種類であり得、互いに異なる種類の単糖が組み合わされたものであり得る。例えば、前記重合度3以上の糖類は、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、キトオリゴ糖、セロオリゴ糖、大豆オリゴ糖などであり得る。
【0031】
前記重合度3以上の糖類は、乾燥固形分基準重合度2以下の糖100重量部に対して、29重量部~50重量部の含量で含まれる。例えば、前記重合度3以上の糖は、乾燥固形分基準重合度2以下の糖100重量部に対して、29重量部以上、30重量部以上、32重量部以上、35重量部以上、37重量部以上、40重量部以上、42重量部以上、45重量部以上、47重量部以上、または50重量部以上の含量、および/または、50重量部以下、47重量部以下、45重量部以下、42重量部以下、40重量部以下、37重量部以下、35重量部以下、32重量部以下、30重量部以下、または29重量部以下の含量で含まれることができる。
【0032】
また、前記重合度3以上の糖類は、乾燥固形分基準で、全体のキャンディ製造用組成物100重量部に対して、23重量部~35重量部の含量で含まれることができ、例えば、23重量部以上、25重量部以上、27重量部以上、30重量部以上、32重量部以上、または35重量部以上の含量、および/または35重量部以下、32重量部以下、30重量部以下、27重量部以下、25重量部以下、または23重量部以下の含量で含まれることができる。
【0033】
前記重合度3以上の糖類は、本発明のキャンディ製造用組成物を用いて製造されたハードキャンディの表面が溶けてべたつく現象を減少させ、キャンディが水分を吸収する量を減少させて、コールドフロー現象を改善する役割を果たすことができる。
【0034】
前記重合度2以下の糖類および重合度3以上の糖類は、これらが混合されたシロップ形態で含まれることができる。前記シロップは、Brixが65~80であり得、例えば、67~78、69~75、または70~73であり得る。前記シロップは、固形分基準甘味度が、0.1~0.9であり得、例えば、0.2~0.8、0.3~0.7、または0.4~0.6であり得る。前記シロップは、濃縮時に、カロリーが2.5kcal~7kcalであり得、例えば、2.8kcal~6.5kcal、3kcal~6kcal、または3.5kcal~5kcalであり得る。
【0035】
さらに、本発明のキャンディ製造用組成物は、消費者の嗜好を考慮して、味、色を付与するために、緑茶、紅茶、コーヒー、ココア、ハーブおよび高麗人参;前記緑茶、紅茶、コーヒー、ココア、ハーブ、および高麗人参のエキス;および香料からなる群から選択される1種以上をさらに含むことができ、前記組成物は、乳製品、果汁、食塩、植物油脂などの副原料、酸味料、香料、および着色料からなる群から選択される1種以上の追加の添加物などを含むこともできる。
【0036】
本発明のキャンディ製造用組成物は、重量平均分子量が、29,000g/mol~45,000g/molであり得、例えば、29,000g/mol以上、30,000g/mol以上、32,000g/mol以上、35、000g/mol以上、37,000g/mol以上、40,000g/mol以上、42,000g/mol以上、または45,000g/mol以上、および/または45,000g/mol以下、42,000g/mol以下、40,000g/mol以下、37,000g/mol以下、35,000g/mol以下、32,000g/mol以下、30,000g/mol以下、または29,000g/mol以下であり得、平均分子量が大きいほど、本発明のキャンディ製造用組成物を用いて製造されるキャンディのべたつきおよびコールドフローの改善効果が大きい。
【0037】
特に、前記組成物に含まれた重合度2以下の糖類および重合度3以上の糖類の少なくとも一部として含まれるアルロースは、これを用いて製造したキャンディにおいて、表面べたつき現象を減少させ、吸湿性を低減し、コールドフロー現象を改善する役割を果たすことができる。前記のような表面べたつきおよびコールドフローの改善効果は、本発明のキャンディを製造する過程で用いられた組成物の重合度2以下の糖類、その少なくとも一部として含まれるアルロース、および重合度3以上の糖類、また、これらの有機的な結合によって現れる効果であり得る。前記組成物に含まれる重合度3以上の糖類の割合の増加、重合度2以下の糖類の割合の減少および/またはこれによる全組成物の平均分子量の増加によって、キャンディの表面べたつきの効果改善およびコールドフローの改善効果が増加することができる。
【0038】
本発明の他の側面は、前記のようなキャンディ製造用組成物を用いて製造されるキャンディを提供する。
【0039】
前記キャンディは、結晶形キャンディと非晶形キャンディを含むことができる。前記結晶形キャンディには、フォンダン(fondant)、ファッジ(fudge)、ディヴィニティ(divinity)、ヌガー(nougat)が含まれることができ、非晶形キャンディには、ハードキャンディ(hard candy)、キャラメル(caramels)、タフィー(taffy)、トフィー(toffee)、マシュマロ(marshmallows)、またはブリトル(brittle)が含まれることができ、本発明の前記キャンディは、ハードキャンディであり得る。
【0040】
前記のようなキャンディは、表面べたつき現象が改善し、コールドフロー現象が改善したものであり得る。
【0041】
前記キャンディの表面べたつきは、キャンディの表面が粘っこくて他の物体にくっつく特性を意味し、キャンディの表面が溶けて生じた糖液によって発生し得る。前記べたつきは、所定時間の間に溶けたキャンディの表面にプローブを接触させ、これをまた引き離す時に必要な力を測定し、数値化することができる。プローブを引き離す時により多くの力が必要な場合、溶けたキャンディ糖液内の糖類の含量が高く、べたつき程度がより高いことを意味する。前記「キャンディ表面のべたつき現象の改善」は、キャンディ表面のべたつきを減少させることを意味し、例えば、キャンディの表面にプローブを接触させ、これをまた引き離す時に必要な力が減少することであり得る。本発明のキャンディは、湿度90%、50℃の条件で10分間露出した後、物性分析装置(Texture Analyzer)を用いて分析したところ、プローブをキャンディの表面に接触させた後、また引き離す時に入る力が750g(g force)以下であり得、例えば、前記測定された力が、720g以下、700g以下、670g以下、650g以下、620g以下、600g以下、570g以下、550g以下、520g以下、または500g以下であり得る。また、本発明のキャンディは、重合度3以上の糖類を重合度2以下の糖類100重量部に対して、29重量部未満で含ませて製造したキャンディを対象に測定した場合に比べて、表面べたつきが、2%~35%改善したものであり得、例えば、2%以上、5%以上、7%以上、10%以上、12%以上、15%以上、17%以上、20%以上、22%以上、25%以上、27%以上、30%以上、32%以上、または35%以上改善したもの、および/または35%以下、32%以下、30%以下、27%以下、25%以下、22%以下、20%以下、17%以下、15%以下、12%以下、10%以下、7%以下、5%以下、または2%以下改善したものであり得る。
【0042】
また、前記コールドフロー(cold flow)現象は、常温条件でキャンディが水分を吸収して形態が変化する現象を意味し、キャンディの吸湿性を測定することで、コールドフロー現象の改善可否を確認することができる。測定前後のキャンディの重量がより大きく増加する場合、キャンディがより多くの水分を吸収したことを意味する。前記「コールドフロー現象の改善」は、コールドフロー現象を減少させることを意味し、例えば、キャンディの吸湿性が減少するか、空気中に水分が存在する条件で、キャンディの重量変化を測定した時に、重量の増加量がより少ないことであり得る。本発明のキャンディは、湿度90%、50℃の条件で10分間露出した後、測定したキャンディの水分吸収による重量の増加量が9.5%以下であり得、例えば、前記重量の増加量が9.4%以下、9.2%以下、9%以下、8.7%以下、8.5%以下、8.2%以下、または8%以下であり得る。また、本発明のキャンディは、重合度3以上の糖類を重合度2以下の糖類100重量部に対して29重量部未満で含んで製造したキャンディを対象に測定した場合に比べてコールドフロー現象が2%~18%改善したものであり得、例えば、2%以上、5%以上、7%以上、10%以上、12%以上、15%以上、または18%以上改善したもの、および/または18%以下、15%以下、12%以下、10%以下、7%以下、5%以下、または2%以下改善したものであり得る。
【0043】
さらに、重合度2以下の糖類にアルロースを含む組成物を用いて製造した本発明のキャンディは、アルロースの代わりに同量の果糖を含んで製造したキャンディに比べて、キャンディの表面べたつきまたはコールドフロー現象が改善したものであり得る。具体的には、キャンディの表面べたつきは、2%~21%さらに改善したものであり得、例えば、2%以上、5%以上、7%以上、10%以上、12%以上、15%以上、17%以上、20%以上、または21%以上改善したもの、および/または21%以下、20%以下、17%以下、15%以下、12%以下、10%以下、7%以下、5%以下、または2%以下改善したものであり得る。また、コールドフロー現象は、4%~10%改善したものであり得、例えば、4%以上、5%以上、6%以上、7%以上、8%以上、9%以上、または10%以上改善したもの、および/または10%以下、9%以下、8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、または4%以下改善したものであり得る。前記キャンディの表面べたつき、コールドフロー現象の改善および測定方法は、上述のとおりである。
【0044】
本発明の他の側面は、キャンディの表面べたつき現象を改善する方法、および/またはキャンディのコールドフロー現象を改善する方法を提供する。
【0045】
前記キャンディの表面べたつき現象の改善方法、および/または前記キャンディのコールドフロー現象の改善方法は、重合度2以下の糖類および重合度3以上の糖類を含む組成物を加熱して濃縮するステップと、前記濃縮した結果物を成形し、冷却するステップとを含み、前記組成物は、乾燥固形分基準で、前記重合度2以下の糖類100重量部に対して、前記重合度3以上の糖類を29重量部以上の含量で含む。
【0046】
前記重合度2以下の糖類は、アルロースを含むことができる。
【0047】
前記組成物は、上述の「キャンディ製造用組成物」に関する説明と同様であり、例えば、重合度2以下の糖類、重合度3以上の糖類、アルロース、これらの含量、割合、前記組成物の重量平均分子量などに関する説明は、上述のとおりである。また、キャンディ、表面べたつき現象の改善、コールドフロー現象の改善などに関する説明も上述のとおりである。
【0048】
本発明の他の側面は、キャンディの表面べたつきを改善するための、組成物の用途および/またはキャンディのコールドフロー現象を改善するための、組成物の用途を提供する。前記キャンディは、前記組成物を用いて製造され、前記組成物は、重合度2以下の糖類および重合度3以上の糖類を含み、乾燥固形分基準で、前記重合度2以下の糖類100重量部に対して、前記重合度3以上の糖類を29重量部以上の含量で含む。
【0049】
前記重合度2以下の糖類は、アルロースを含むことができる。
【0050】
前記組成物は、上述の「キャンディ製造用組成物」に関する説明と同様であり、例えば、重合度2以下の糖類、重合度3以上の糖類、アルロース、これらの含量、割合、前記組成物の重量平均分子量などに関する説明は、上述のとおりである。また、キャンディ、表面べたつき現象の改善、コールドフロー現象の改善などに関する説明も上述のとおりである。
【0051】
本発明の他の側面は、キャンディを製造する方法を提供する。
【0052】
本発明のキャンディの製造方法は、前記のようなキャンディ製造用組成物を加熱して濃縮するステップと、前記濃縮した結果物を成形し、冷却するステップとを含む。
【0053】
前記重合度2以下の糖類および重合度3以上の糖類に関する内容は、上述のとおりである。
【0054】
前記キャンディ製造用組成物を加熱して濃縮するステップにおいて、前記重合度2以下の糖類および重合度3以上の糖類を順に混合し、撹拌して、完全に溶解させる過程を伴うことができ、撹拌速度は、200~400rpm程度にすることができるが、これに制限されるものではない。前記混合物を加熱して濃縮するステップは、140℃~150℃で加熱することを含むが、これに制限されるものではなく、前記糖類を撹拌する過程と加熱する過程を同時に行うものであり得る。
【0055】
前記濃縮した結果物を成形し、冷却するステップは、濃縮した結果物を成形モルダに注入し、固める過程を経ることができ、常温の条件で、十分な時間をおいて冷却することができる。成形モルダの材質は、制限されないが、金属、ガラス、セラミック、合成樹脂材質またはこれらの混合された材質で製造されたものを用いることが、大量生産が可能な材質であるため、利用に適する。また、前記成形モルダは、キャンディの離型性を増進させるためにコーティングした形態を用いることができ、前記金属は、鉄またはアルミニウムであり得、前記合成樹脂は、プラスチック形態、フッ素樹脂形態であり得、前記プラスチックは、特に、ポリプロピレンなどの耐熱性プラスチックであり得る。モルダの形態は、製造しようとするキャンディの形状に応じて選択されることができ、円形、三角形、四角形、五角形、または六角形のモルダが使用されることができるが、これに制限されるものではない。
【0056】
本発明のキャンディの製造方法は、追加の添加物をさらに添加するステップを含むことができ、前記キャンディ製造用組成物を加熱して濃縮するステップにおいて加熱する前の過程で含むことができる。前記添加物に関する内容は、上述のとおりである。
【0057】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明する。
【0058】
ただし、下記の実施例は、本発明を具体的に例示するものであって、本発明の内容が下記の実施例によって限定されない。
【0059】
[製造例]
ハードキャンディの製造
<製造例1-1および1-2>
重合度2以下の糖類および重合度3以上の糖類を含むキャンディ製造用組成物を用いてハードキャンディを製造するために、先ず、下記表1に記載のような組成および含量で混合した。それぞれの原料を加熱可能なビーカーに秤(Mettler Toledo ML4002)を用いて正確な含量で計量した。前記計量した原料を加熱する前に、液状形態の原料と粉末形態の原料をホモジナイザー(EYELA MAZELA Z、Eyela、Japan)を用いて混合し、プローブは、直径が5cmであり、翼が3個であるものを用いて、200rpmで撹拌して混合した。前記混合物をヒーティングマントル(MSH-20A、WiseStir)により140℃~150℃の温度で直接加熱し、前記と同じホモジナイザーおよびプローブを用いて、350rpmで撹拌し、糖液の温度が150℃に達した時に加熱を中止した。前記のように加熱して濃縮させた糖液を円形のキャンディモルダに分注し、常温条件で十分な時間冷却して、製造例1-1および製造例1-2のハードキャンディをそれぞれ製造した。
【0060】
重合度2以下の糖類および重合度3以上の糖類としては、1)72Brixの重合度3~7の糖が全糖類に対して63重量%の含量で、また、重合度2以下の糖が全糖類に対して37重量%の含量で含まれているイソマルトオリゴ糖糖液(CJ第一製糖社製)と2)72Brixの重合度3~7の糖が全体に対して88重量%の含量で、および重合度2以下の糖は12重量%で含まれている低甘味水飴糖液(CJ第一製糖社製)を用いた。白砂糖(純度99%以上)はCJ第一製糖社製のものを、マルチトールシロップ(72Brix、糖類内の重合度2以下99重量%以上)はsamyang社製のものを使用した。
【0061】
<比較例1>
基本的に、前記製造例1-1と同じ成分を用いて、同じ方法でキャンディを製造し、この際、成分と含量を少しずつ異ならせて比較例1のキャンディを製造した。
【0062】
より具体的には、比較例1は、低甘味水飴糖液は含まず、イソマルトオリゴ糖糖液を全組成物100重量%に対して40重量%使用して製造した。
【0063】
【表1】
【0064】
<製造例2-1~2-4>
キャンディ製造用組成物にアルロースを含む場合の効果を確認するために、基本的に、前記製造例1-1と同じ方法でキャンディを製造し、この際、重合度2以下の糖類のうちアルロースを含み、下記表2に記載のような組成および含量でキャンディを製造した。
【0065】
使用した糖液製品は、前記製造例1-1で使用された製品と同一であり、アルロースシロップは、72Brixのアルロース純度95%以上のシロップ(CJ第一製糖社製)を使用した。
【0066】
<比較例2>
基本的に、前記製造例2-3と同じ成分を用いて、同じ方法でキャンディを製造し、この際、成分と含量を少しずつ異ならせて比較例2のキャンディを製造した。
【0067】
より具体的には、比較例2は、アルロースシロップの代わりに果糖糖液を全組成物100重量部に対して5重量部使用して製造した。
【0068】
【表2】
【0069】
前記製造例および比較例で用いられた各成分は、下記表3のような特性を有する。
【0070】
【表3】
【0071】
[実験例1]
重合度3以上の糖類の含量を増加させたハードキャンディのべたつきおよびコールドフロー改善効果の確認
1-1.キャンディ表面のべたつきの改善効果の確認
前記のような方法および配合比で製造された製造例1-1、1-2および比較例1を対象に、表面べたつきの程度を確認した。キャンディの表面べたつきは、所定時間の間にキャンディが溶けた程度を確認するために、物性分析装置(Texture Analyzer)を用いて、プローブをキャンディの表面に接触してからこれを引き離す過程で、どれ位多くの力が必要であるかを測定した。
【0072】
先ず、所定の温度および湿度を維持するために、恒温恒湿器の条件を50℃とRH90%に設定し、受器にあげておいた各製造例および比較例のキャンディをデシケーターに入れて10分間露出し、キャンディの表面のみ溶けられるようにした。前記各製造例および比較例のキャンディをデシケーターに移動させる過程で、測定までにかかる時間が長くならないようにする必要がある。プレ-テスト速度(pre-test speed)は1.0mm/sec、テスト速度(test speed)は1.0mm/sec、ポスト-テスト速度(post-test speed)は8.0mm/sec、アプライドフォース(applied force)は8.0gにし、トリガーフォース(trigger force)を3.0g、プローブとキャンディ表面の接触時間(contact time)を5.0秒に設定し、プローブをまた引き離す時の力を測定した。
【0073】
結果、下記表4のように、プローブがキャンディの表面から離れるために必要な力が、製造例1-1のキャンディは696.9g(g force)、製造例1-2のキャンディは723.4gとして測定され、比較例1のキャンディの765.5gに比べて減少したことを確認することができた。前記のような結果を参照すると、重合度3以上の糖類の含量がより高い低甘味水飴糖液の割合を高めて製造した製造例1-1および1-2の場合、相対的に重合度2以下の糖類の含量が高い比較例1に比べて表面べたつき現象が改善し、プローブがキャンディの表面から離れる力が減少したことを確認することができる。
【0074】
【表4】
【0075】
1-2.キャンディのコールドフロー現象改善の確認
前記のような本発明のべたつきの改善効果の確認以外にも、製造例1-1、1-2および比較例1を対象に、コールドフロー現象の改善効果を確認した。キャンディの重量の増加量を測定することで、キャンディの吸湿性を確認し、これにより発生するコールドフロー現象の改善可否を確認した。
【0076】
先ず、所定の温度および湿度を維持するために、恒温恒湿器の条件を50℃とRH90%に設定し、受器と各製造例および比較例のキャンディの重量をそれぞれ測定し、記録した。前記製造例および比較例のキャンディを前記条件に設定された恒温恒湿器に1時間、2時間、3時間露出し、各時間ごとに取り出してキャンディの重量を測定し、重量変化を確認した。前記3時間は、キャンディが保形性を維持できない最大の時間であり、前記実験過程で、初期のキャンディの状態および3時間後のキャンディの状態を写真撮影した。
【0077】
結果、下記表5のように、時間の経過による重量の増加量が、製造例1-1のキャンディは、1時間後3.3%、2時間後5.9%、3時間後8.3%として測定され、製造例1-2のキャンディは、1時間後3.2%、2時間後6.0%、3時間後8.8%として測定され、比較例1のキャンディの1時間後3.5%、2時間後6.6%、3時間後9.7%に比べて減少したことを確認することができた。また、キャンディの溶けた程度を肉眼で観察したところ、比較例1のキャンディが、製造例1-1、1-2のキャンディに比べて3時間経過後、より多く溶けていることを確認することができた(図1a参照)。
【0078】
前記のような結果を参照すると、重合度3以上の糖類の含量がより高い低甘味水飴糖液の割合を高めて製造した製造例1-1および1-2の場合、相対的に重合度2以下の糖類の含量が高い比較例1に比べてキャンディが吸収する水分の量が減少して重量の増加量が減少し、これによりコールドフロー現象が改善したことを確認することができる。
【0079】
【表5】
【0080】
[実験例2]
アルロースを含むキャンディのべたつき、コールドフロー改善効果の確認および最適な糖類の割合の確認
1-1.キャンディ表面のべたつきの改善効果の確認
前記のような方法および配合比で製造された製造例2-1~2-4および比較例2を対象に、表面べたつきの程度を確認した。キャンディの表面べたつきは、前記実験例1と同じ方法で測定した。
【0081】
結果、下記表6のように、プローブがキャンディの表面から離れるために必要な力が、製造例2-1のキャンディは1020.6g(g force)、製造例2-2のキャンディは865.4g、製造例2-3のキャンディは595.6g、製造例2-4のキャンディは734.7gとして測定され、比較例2のキャンディは749.0gとして測定されたことを確認することができた。
【0082】
前記のような結果を参照すると、果糖を用いた比較例2に比べて、製造例2-3のように同量のアルロースを用いた場合、べたつきの改善効果がより優れたキャンディを製造することができることを確認した。
【0083】
【表6】
【0084】
1-2.キャンディのコールドフロー現象改善の確認
前記のような本発明のべたつきの改善効果の確認以外にも、製造例2-1~2-4および比較例2を対象に、コールドフロー現象の改善効果を確認した。キャンディのコールドフロー現象は、前記実験例1と同じ方法で測定した。
【0085】
結果、下記表7のように、時間の経過による重量の増加量が、製造例2-1のキャンディは、1時間後3.5%、2時間後6.5%、3時間後9.4%として測定され、製造例2-2のキャンディは、1時間後3.1%、2時間後6.4%、3時間後9.1%として測定され、製造例2-3のキャンディは、1時間後2.9%、2時間後5.7%、3時間後8.3%として測定され、製造例2-4のキャンディは、1時間後3.0%、2時間後5.4%、3時間後8.2%として測定され、比較例2のキャンディは、1時間後3.2%、2時間後6.0%、3時間後8.7%として測定されたことを確認することができた。また、キャンディの溶けた程度を肉眼で観察したところ、比較例2のキャンディが、製造例2-3、2-4のキャンディに比べて、3時間経過後、より多く溶けており、製造例2-1、2-2のキャンディは、比較例2のキャンディよりも多く溶けていることを確認することができた(図2a参照)。
【0086】
前記のような結果を参照すると、果糖を用いた比較例2に比べて、製造例2-3のように同量のアルロースを用いた場合、コールドフローの改善効果がより優れたキャンディを製造することができることを確認した。
【0087】
【表7】
【0088】
以上、本発明は、上述の実施例についてのみ詳細に説明しているが、本発明の技術思想の範囲内で様々な変形および修正が可能であることは、当業者にとって明白なことであり、かかる変形および修正が添付の請求の範囲に属することは言うまでもない。
図1a
図1b
図1c
図2a
図2b
図2c