(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】廃棄物処理装置
(51)【国際特許分類】
B09B 3/35 20220101AFI20230307BHJP
B09B 3/38 20220101ALI20230307BHJP
B09B 3/40 20220101ALI20230307BHJP
B01F 27/07 20220101ALI20230307BHJP
B01F 27/112 20220101ALI20230307BHJP
B01F 27/192 20220101ALI20230307BHJP
B01F 27/70 20220101ALI20230307BHJP
B01F 35/91 20220101ALI20230307BHJP
【FI】
B09B3/35
B09B3/38 ZAB
B09B3/40
B01F27/07
B01F27/112
B01F27/192
B01F27/70
B01F35/91
(21)【出願番号】P 2021566730
(86)(22)【出願日】2019-12-27
(86)【国際出願番号】 JP2019051457
(87)【国際公開番号】W WO2021131026
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-07-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】322005529
【氏名又は名称】漣 祐子
(73)【特許権者】
【識別番号】522233810
【氏名又は名称】毛利 陽子
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】毛利 陽子
【審査官】齊藤 光子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-171576(JP,A)
【文献】特開2004-089937(JP,A)
【文献】特開2017-006900(JP,A)
【文献】特開2001-327888(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 1/00-5/00
B01F 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を内部に収容可能な球状の本体と、
前記本体の内部に収容された廃棄物を撹拌する撹拌手段と、を備え、
前記本体の内部中央部を水平に回動自在に配設された主軸と、
前記主軸の表面に設置された平板状の複数の主軸撹拌羽根と、
前記主軸に所定間隔を空けて前記本体の内周面に向かって延出して組みつけられた複数の支持棒と、
前記複数の支持棒の前記本体の内周面側の先端に取付けられた矩形平板状の複数の撹拌羽根と、からなり、
前記支持棒に、当該支持棒を中心軸とした任意の角度で前記撹拌羽根を着脱自在とした着脱部を有
し、
前記着脱部は、
前記支持棒の基端部に形成された正多角形の嵌合凸部と、
前記撹拌羽根が連結された先端部に形成された前記嵌合凸部と同じ正多角形の嵌合凹部と、からなり、
前記嵌合凹部に前記嵌合凸部を囲繞するように着脱自在とするとともに、
前記嵌合凸部と前記嵌合凹部との当接する正多角形の面を選択することで、
前記撹拌羽根の前記支持棒を中心軸とした傾きの角度を任意に選択可能としたことを特徴とする廃棄物処理装置。
【請求項2】
前記主軸撹拌羽根は、長手方向の一端を他端よりも相対的に高くした側面視で三角形状に形成され、前記主軸の表面に、長手方向に湾曲した状態で設置されることを特徴とする請求項1に記載の廃棄物処理装置。
【請求項3】
前記本体の内部に熱風を供給可能な熱風供給手段をさらに備え、前記撹拌羽根は、複数の貫通孔が穿たれた多孔板であることを特徴とする請求項1
又は請求項2に記載の廃棄物処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は廃棄物処理装置に関し、詳しくは、リサイクルや破棄に適するように、多種多様な産業廃棄物を効率よく減容可能な廃棄物処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業廃棄物の代表的なものとして、食品等の製造工場から生じる、野菜かす、醸造かす、発酵かす、魚および獣のあら等の廃棄物や、畜産における家畜の糞尿等の廃棄物からなる有機性の産業廃棄物がある。また、リサイクル可能なプラスチックや金属等の部品を含む家電(小型家電)の産業廃棄物もある。このような産業廃棄物(以下、単に廃棄物ともいう)は従来、焼却法や炭化装置等の処理を経て減容されて廃棄されてきた。
【0003】
ところが、有機性の廃棄物の中には、成分が動植物に由来することから養分とエネルギーを有しており肥料等の資源となる潜在力を秘めている。また、家電等の廃棄物の中には、リサイクル可能なプラスチックや金属等の部品が含まれており資源として再利用可能である。さらに、「循環型社会形成推進基本法(2001年)」の施行により、廃棄物の適正処理や資源としてのリサイクルの推進、循環型社会の形成に対応するための、廃棄物の処理に関する技術開発が盛んに行われている。
【0004】
そこで、特に有機性の廃棄物を処理可能な装置として、球状の本体内部に廃棄物を投入し、本体内部の中央部に回動自在に設けられた回動軸の中心から放射状に設置された複数の撹拌羽根を回転させて廃棄物を撹拌することにより、廃棄物を破砕して減容するとともに、本体の内部に熱風を供給することで、本体内部に収容された廃棄物に熱及び圧力を与え、廃棄物を乾燥することにより、廃棄物の破砕による減容をさらに促進することができる有機性廃棄物処理装置が開示されている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の装置は、廃棄物を乾燥させつつ破砕することで、安全性や耐久性に優れ、高効率で廃棄物の減容を行うことができるものの、廃棄物はその種類によって、含有する水分量が異なるため、例えば、水分量の少ない粘着性の高い廃棄物は、本体内部の中央部に回動自在に設けられた主軸(回動軸)に絡みつき、球状の本体内周面近傍に設けられた複数の撹拌羽根による廃棄物の撹拌が速やかに行われない場合があった。
【0007】
また、廃棄物の種類によっては、球状の本体内周面近傍に設けられた複数の撹拌羽根の撹拌する廃棄物に対する所定角度の傾きは、例えば、水分量の少ない粘着性の高い廃棄物の場合は、撹拌羽根の回転方向に対する所定角度の傾きが大きい方が廃棄物を効率よく撹拌でき、水分量が多く粘着性の低い廃棄物は、撹拌羽根の回転方向に対する所定角度の傾きが小さい方が廃棄物を効率よく撹拌できるため、特許文献1に記載の装置のように、撹拌羽根の取り付けられた支持棒を中心軸とした所定角度の傾きが一定だと、廃棄物の種類(主に、含有する水分量等による粘度)によっては、複数の撹拌羽根による廃棄物の撹拌の効率が悪くなる場合がある。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するために、回転する主軸の表面に複数の主軸撹拌羽根を設置することで、主軸に絡みつく廃棄物を効率よく剥がしつつ撹拌し、なおかつ、複数の撹拌羽根の支持棒を中心軸とした所定角度の傾きを、廃棄物の種類に応じて変更することが可能な廃棄物処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明は、廃棄物を内部に収容可能な球状の本体と、前記本体の内部に収容された廃棄物を撹拌する撹拌手段と、を備え、前記撹拌手段は、前記本体の内部中央部を水平に回動自在に配設された主軸と、前記主軸の表面に設置された平板状の複数の主軸撹拌羽根と、前記主軸に所定間隔を空けて前記本体の内周面に向かって延出して組付けられた複数の支持棒と、前記複数の支持棒の前記本体の内周面側の先端に取付けられた矩形平板状の複数の撹拌羽根と、からなり、前記支持棒に、当該支持棒を中心軸とした任意の角度で前記撹拌羽根を着脱自在とした着脱部を有することを特徴とする廃棄物処理装置とした。
【0010】
また、前記主軸撹拌羽根は、長手方向の一端を他端よりも相対的に高くした側面視で三角形状に形成され、前記主軸の表面に、長手方向に湾曲した状態で設置されることを特徴とする。
【0011】
また、前記着脱部は、前記支持棒の基端部に形成された正多角形の嵌合凸部と、前記撹拌羽根が連結された先端部に形成された前記嵌合凸部と同じ正多角形の嵌合凹部と、からなり、前記嵌合凹部に前記嵌合凸部を囲繞するように着脱自在とするとともに、前記嵌合凸部と前記嵌合凹部との当接する正多角形の面を選択することで、前記撹拌羽根の前記支持棒を中心軸とした傾きの角度を任意に選択可能としたことを特徴とする。
【0012】
また、前記本体の内部に熱風を供給可能な熱風供給手段をさらに備え、前記撹拌羽根は、複数の貫通孔が穿たれた多孔板であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、撹拌手段は、本体の内部中央部を水平に回動自在に配設された主軸と、主軸の表面に設置された平板状の複数の主軸撹拌羽根と、主軸に所定間隔を空けて本体の内周面に向かって垂直に延出して組付けられた複数の支持棒と、複数の支持棒の本体の内周面側の先端に取付けられた矩形平板状の複数の撹拌羽根とを備えている。これにより、主軸に設けられた主軸撹拌羽根により、本体内部の中央部に回動自在に設けられた主軸に絡みつく廃棄物を効率よく剥がすことができ、球状の本体内周面近傍に設けられた複数の撹拌羽根による廃棄物の撹拌を促進することができる。
【0014】
さらに、撹拌羽根は、支持棒を中心軸とした任意の角度で着脱自在とした着脱部を有するため、撹拌羽根の取り付けられた支持棒を中心軸とした所定角度の傾きを可変にでき、廃棄物の種類(主に、含有する水分量)に応じて最適な支持棒を中心軸とした所定角度の傾きとすることができる。
【0015】
また、主軸撹拌羽根は、長手方向の一端を他端よりも相対的に高くした側面視で三角形状に形成され、主軸の表面に長手方向に湾曲した状態で設置される。このため、主軸の表面に絡みつく廃棄物の圧力を一定でなく、高圧力と低圧力に分散させることができ、主軸表面の廃棄物を異なる方向に剥がすことができ、主軸の回動を妨げることを回避することができる。
【0016】
また、着脱部は、支持棒の基端部(主軸側)に形成された正多角形の嵌合凸部と、撹拌羽根が連結された先端部(本体の内周面側)に形成された嵌合凸部と同じ正多角形の嵌合凹部と、からなり、嵌合凹部に嵌合凸部を囲繞するように着脱自在とするとともに、嵌合凸部と嵌合凹部との当接する正多角形の面を選択することで、撹拌羽根の支持棒を中心軸とした傾きの角度を任意に選択可能としている。この構成により、例えば、正多角形が18角形の場合は、撹拌羽根の支持棒を中心軸とした傾きの角度を20度単位で任意に選択することができ、正多角形が36角形の場合は傾きの角度を10度単位で任意に選択することができる。すなわち、撹拌羽根の支持棒を中心軸とした傾きの角度の最小単位を、嵌合凸部と嵌合凹部に用いる正多角形の面数によって適宜調整することができる。
【0017】
また、本体の内部に熱風を供給可能な熱風供給手段によって、本体内部に収容された廃棄物に熱及び圧力を与え、廃棄物を乾燥することにより、破砕し易くすることができる。即ち、熱風が本体内部に収容された廃棄物の乾燥を促進し、乾燥した廃棄物は、撹拌手段により破砕が容易となり、廃棄物の破砕や減容を高効率で行うことが可能となる。
【0018】
また、撹拌羽根は、複数の貫通孔が穿たれた多孔板が用いられている。この複数の貫通孔は、所定径(例えば、5mm)の円形であり、廃棄物に含まれる水分や細く破砕された廃棄物がこの貫通孔を通過することになる。これにより、本体内の廃棄物と接触する撹拌羽根の抵抗を減らすことができるので、本体内の廃棄物を効率よく撹拌することができる。
【0019】
また、本体は、該本体内に廃棄物を投入する投入口と、本体内で減容した廃棄物を排出する排出口とを備えている。投入口は本体上部に設置され、排出口は本体下部に設置されるとともに、排出口には、本体内に熱風を供給する熱風供給口が設けられている。本体上部に設置される筒状の廃棄物の投入口は、下端を本体内部に開放し、上端には容器本体の内部圧力(略10気圧)に抗するための、開閉自在の投入蓋が設けられており、本体内部において所定圧力下のもとに撹拌して破砕される廃棄物が容器外に噴出しない構成としている。このように、廃棄物の投入口を本体上部に設けることで、本体内部への廃棄物の投入を容易としている。
【0020】
また、本体下部に設置される筒状の廃棄物の排出口は、上端を本体内部に開放し、下端には容器本体の内部圧力(略10気圧)に抗するための、圧力蓋が最下部に設けられており、上記廃棄物の投入口と同様に、本体内部において所定圧力下のもとに撹拌して破砕される廃棄物が容器外に噴出しない構成としている。このように、廃棄物の排出口を本体下部に設けることで、本体内部で破砕及び減容された廃棄物の本体外への排出を容易としている。
【0021】
また、本体の垂直下部に設けられた排出口には、本体の内部に熱風を供給可能な熱風供給口が設けられており、この熱風供給口から熱風を本体内部に供給することにより、排出口への廃棄物の詰まりを低減させることが可能となる。即ち、破砕処理の工程中に廃棄物が垂直下部の排出口に落ちてきても、所定の圧力で供給される熱風によって上方へ噴き上げられることになる。また、この結果、廃棄物は球状の本体内周面に沿って本体内部の全体的に拡散するので、第1撹拌羽根による廃棄物の撹拌による破砕効率を向上させることができる。
【0022】
また、筒状に形成されると共に、一端が本体の内部と繋がり他端が開閉可能に形成された投入口には、この投入口の側面に設けられ、本体の内部の圧力を測定する圧力計測装置または内部の温度を測定する温度計測装置が配置可能な測定装置配置部を備えることができる。これにより、本体の内部と距離的に離れた位置に温度計測装置や圧力計測装置を配置可能となる。このことによって、計測装置を配置する領域に、撹拌中の廃棄物が詰まりにくくなり、更に測定時に廃棄物の撹拌の影響を受けにくくなるため、計測装置による測定精度を高めることができる。また、計測装置の保守作業も容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本実施形態に係る廃棄物処理装置の構成を示す概略図である。
【
図2】本実施形態に係る廃棄物処理装置の外観を示す正面図である。
【
図3】本実施形態に係る廃棄物処理装置の本体の内部構造を説明する断面図である。
【
図4】本実施形態に係る廃棄物処理装置の主軸に組付けられる複数の支持棒の取り付け角度を説明する斜視図である。
【
図5】本実施形態に係る主軸の表面に設置された主軸撹拌羽根の構成を説明する図である。
【
図6】本実施形態に係る廃棄物処理装置の支持棒に設けられる撹拌羽根と着脱部の構成を説明する図である。
【
図7】本実施形態に係る廃棄物処理装置の支持棒に設けられる撹拌羽根の着脱部における角度調整を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明は、廃棄物を内部に収容可能な球状の本体と、本体の内部に収容された廃棄物を撹拌する撹拌手段と、を備え、本体の内部中央部を水平に回動自在に配設された主軸と、主軸の表面に設置された平板状の複数の主軸撹拌羽根と、主軸に所定間隔を空けて本体の内周面に向かって延出して組みつけられた複数の支持棒と、複数の支持棒の本体の内周面側の先端に取付けられた矩形平板状の複数の撹拌羽根と、からなり、支持棒に、当該支持棒を中心軸とした任意の角度で撹拌羽根を着脱自在とした着脱部を有し、着脱部は、支持棒の基端部に形成された正多角形の嵌合凸部と、撹拌羽根が連結された先端部に形成された嵌合凸部と同じ正多角形の嵌合凹部と、からなり、嵌合凹部に嵌合凸部を囲繞するように着脱自在とするとともに、嵌合凸部と嵌合凹部との当接する正多角形の面を選択することで、撹拌羽根の前記支持棒を中心軸とした傾きの角度を任意に選択可能としたことを特徴とする廃棄物処理装置に関するものである。
【0025】
以下、本発明の実施形態の一例を、
図1~
図7を参照して具体的に説明する。
図1は、本実施形態に係る廃棄物処理装置の構成を示す概略図である。
図2は、本実施形態に係る廃棄物処理装置の外観を示す正面図である。
図3は、本実施形態に係る廃棄物処理装置の本体の内部構造を説明する断面図である。
図4は、本実施形態に係る廃棄物処理装置の主軸に組付けられる複数の支持棒の取り付け角度を説明する斜視図である。
図5は、本実施形態に係る主軸の表面に設置された主軸撹拌羽根の構成を説明する図である。
図6は、本実施形態に係る廃棄物処理装置の支持棒に設けられる撹拌羽根と着脱部の構成を説明する図である。
図7は、本実施形態に係る廃棄物処理装置の支持棒に設けられる撹拌羽根の着脱部における角度調整を説明する図である。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係る廃棄物処理装置1は、廃棄物を破砕及び減容する本体2と、本体2に供給する空気を加熱する発熱機25と、本体2に供給する空気に所定の圧力を付与するエアコンプレッサー26と、により構成されている。本体2は、H形鋼で方形に組まれた基台23の上部に固設されている。本体2は、熱風送給管27を介して発熱機25に連結されている。発熱機25にはエアコンプレッサー26が接続されており、所定圧力(10気圧)の空気がエアコンプレッサーから発熱機25に供給され、発熱機25で所定温度(100℃)に加熱された所定圧力の空気が熱風送給管27を介して本体2に供給されて本体2の内部を加圧する。また、本体2の側面には内部の状態を視認可能とする内部点検口24が設けられている。
【0027】
図2及び
図3に示すように、本体2の上部には、筒状に形成された廃棄物の投入口29が設けられ、その上部には開閉可能な投入蓋29aが設けられている。また、投入口29は、本体2の外周面から所定高さ(例えば、500ミリ以上)を有している。また、投入口29の投入蓋29aの下方には、本体2内部を減圧するための圧力排出管31が設けられている。
【0028】
取入部の圧力排出管31の反対側には、枝管が設けられ、その部分が測定装置配置部30となっている。測定装置配置部30には、本体2内部の温度を測定する温度センサーや、圧力を測定する圧力センサー等の各種測定装置が配設される。なお、本体2の上側部には、安全弁34が設けられ、急激な圧力上昇による本体2の破損を防止するための減圧が可能となっている。
【0029】
本体2の下部には、本体2内で減容された廃棄物を本体2外に取り出すための筒状に形成された排出口33が設けられている。この排出口の下端には開閉可能な排出蓋33aが設けられている。また、排出口33の下部には図示しないバルブが設けられ、減容後の廃棄物の逆流を防止する構造となっている。また、排出口33の側部には、本実施形態における熱風供給口である主熱風供給口4が設けられている。主熱風供給口4は、上述した熱風送給管27を介して発熱機25に連結され、本体2の内部に所定温度(例えば、100℃)及び所定圧力(例えば、10気圧)の熱風を供給するメインの供給口である。
【0030】
また、本体2の上部には、2つの副熱風供給口32が設けられている。副熱風供給口32も、熱風送給管27を介して発熱機25に連結され、本体2の内部に所定温度(例えば、100℃)及び所定圧力(例えば、10気圧)の熱風を供給するサブの供給口である。このように、本体2の上下部に複数の熱風供給口(主熱風供給口4、副熱風供給口32)を設けることで、熱風が本体2の内部に収容された廃棄物の乾燥を効率よく促進し、乾燥した廃棄物は、後述の撹拌手段3により破砕が容易となり、廃棄物の破砕や減容を高効率で行うことが可能となる。
【0031】
図3に示す様に、本実施形態の本体2は球状に形成され、内部に廃棄物を収容可能な空間を有している。この空間には本体2の内部に収容された廃棄物を撹拌するための撹拌手段3を備えている。本体2はステンレス等の金属で形成され、所定圧力(例えば、最低でも10気圧以上であり、例えば、12~13気圧)の耐圧性能を有するものとなっている。
【0032】
撹拌手段3は、本体2の内部に収容された廃棄物を撹拌するための構造体である。撹拌手段3は、主軸5と、主軸5から本体2の内周面に向かって延出して組付けられた複数(例えば、4本)の第1支持棒6及び第2支持棒7と、この第1支持棒6及び第2支持棒7の先端、つまり、本体2の内周面側に設けられた平板状の撹拌羽根11とにより構成されている。また、主軸5の外周面に設けられた複数の主軸撹拌羽根12も撹拌手段3を構成する。
【0033】
主軸5は、球状の本体2の中心を両側面から水平に貫通して配置され、主軸5の一端は、図示しない電動モータにより、本体2の中心を回動自在に配設されている。また、主軸5の一端の電動モータと主軸5の連結部には、主軸5の回転を規制するこれも図示しない減速機が設けられており、この減速機を介して電動モータと主軸5は連結されている。また、主軸5はその回転方向を正逆方向に切り換え可能としている。さらに、主軸5はその減速機により回転速度も調整可能としている。
【0034】
ここで、本体2は、必ずしも球状に形成される必要はなく、楕円形状でもよい。すなわち、本体2の内部に収容された廃棄物が撹拌しやすく、装置自体の大きさをコンパクトにできる形状であればよい。また、本体2の素材としては、必ずしも、ステンレスに限定されるものではなく、耐久性や耐圧性が担保しうる素材であればよい。
【0035】
撹拌手段3を構成する第1支持棒6及び第2支持棒7は、主軸5を中心として電動モータの駆動により本体2の内部を回転することで、第1支持棒6及び第2支持棒7の先端(本体2の内周面側)に設けられた撹拌羽根11により、本体2の内部に収容された廃棄物を撹拌する。このように、主軸5の回転に伴う主軸5を中心とした第1支持棒6及び第2支持棒7の回転により、第1支持棒6及び第2支持棒7の先端にそれぞれ取り付けられた撹拌羽根11により、本体2の内部で廃棄物を撹拌するとともに、本体2の内部における廃棄物を破砕し減容を促進する。
【0036】
第1支持棒6及び第2支持棒7の先端、つまり、本体2の内周面側の両端にそれぞれ取り付けられた撹拌羽根11は、本体2の内周面に可及的に近接して配置されており、内周との間が略5mm程度の隙間を有するものとなっている。
【0037】
なお、撹拌羽根11と本体2の内周面との隙間の距離は5mm程度に限定されるものではなく、撹拌する廃棄物の種類によって異なるものである。すなわち、廃棄物の撹拌効率が高まり、更に、本体2の内周面と各撹拌羽根の間に廃棄物が撹拌羽根11から逃れるような隙間が生じにくくなる距離であればよい。また、撹拌羽根11と本体2の内周面との隙間は微調整可能であることが望ましい。
【0038】
主軸5に組付けられた第1支持棒6及び第2支持棒7と、その先端(本体2の内周面側)に取り付けられた撹拌羽根11を説明する。
図3及び
図4に示すように、本実施形態においては、2本の第1支持棒6と2本の第2支持棒7とが主軸5の外周を挟むように組付けられている。第1支持棒6及び第2支持棒7は、上下2本の鋼(又はアルミ)の四角柱状の棒により1本の第1支持棒6及び第2支持棒7を構成している。主軸5と当接する第1支持棒6及び第2支持棒7の基端は、主軸5の外周の形状に応じた湾曲部6a(又は7a)が形成され、複数(図中は5箇所)の連結ボルト10で主軸5を挟んで連結されている。第1支持棒6及び第2支持棒7の先端は、それぞれ主軸5から本体2の内周面に向かって延出している。第1支持棒6及び第2支持棒7には、着脱部9が設けられ、この着脱部9を介して第1支持棒6及び第2支持棒7の先端(内周面側)に撹拌羽根11が着脱自在に取り付けられている。この着脱部9については、詳細は後述する。
【0039】
また、
図4に示すように、隣接する第1支持棒6及び第2支持棒7は、主軸5の垂直方向に対してそれぞれ略90度変位して主軸5に固設されている。つまり、第1支持棒6及び第2支持棒7は、主軸5の中心から見て垂直方向に略90度変位した状態でそれぞれ主軸5に組付けられている。これにより、主軸5の回転により、主軸5を中心とした第1支持棒6及び第2支持棒7の先端にそれぞれ設けられた撹拌羽根11の回転が同一平面上にならないようにすることで、第1支持棒6及び第2支持棒7の先端にそれぞれ取り付けられた撹拌羽根11と本体2の内部に収容された廃棄物との接触を分散することができる。
【0040】
さらに、第1支持棒6及び第2支持棒7は、
図3に示すように、同一平面において左右方向に等距離な角度でそれぞれ主軸5に組付けられている。つまり、
図3に示すように、本体2を側面視した場合に、主軸5の中心から水平方向に均等な距離を開けた状態で、それぞれ主軸5に組付けられている。具体的には、第1支持棒6は主軸5の水平方向の中心に近い等間隔の距離を開けて2個それぞれ主軸5に組付けられている。第2支持棒7は主軸5の水平方向の中心から両端に遠い等間隔の距離を開けて2個それぞれ主軸5に組付けられている。このため、第1支持棒6の先端は第2支持棒7の先端よりも相対的に長く、本体2の内周面に伸延して設けられている。
【0041】
撹拌羽根11は、矩形平板状の鋼板(又はアルミ)が用いられ、先端(内周面側)は、
図3に示すように、本体2の内周面の形状に応じた略扇状に湾曲した形状に形成されている。本実施形態においては、隣接する第1支持棒6及び第2支持棒7の先端にそれぞれ設けられた撹拌羽根11の幅は、本体2の内周面のほぼ全域をカバーできる長さとしており、撹拌羽根11の幅の両端は、一部重複して本体2の内周面を回転しながら本体2の内部に収容された廃棄物を撹拌する。撹拌羽根11は、複数の所定径(例えば、5mm)の円形の貫通孔14が穿たれた多孔板である。複数の貫通孔14は、廃棄物に含まれる水分や廃棄物の破砕が進むにつれて細かく破砕された廃棄物が通過するように設けられたものである。これにより、本体2の内部に収容された廃棄物と接触する撹拌羽根11の抵抗を減らすことができるので、本体2内の廃棄物を効率よく撹拌しつつ破砕することができる。
【0042】
図5に示すように、主軸5の外周面には、撹拌手段3を構成する上下(又は左右)対称に二枚の主軸撹拌羽根12が設けられている。主軸撹拌羽根12は、主軸5の表面に設置された短手方向の一端12aを他端12bよりも相対的に高くした側面視で略三角形状の平板状に形成されるとともに、主軸5の表面長手方向に湾曲(略90度)した形状に形成されている。この二枚の主軸撹拌羽根12は、第1支持棒6及び第2支持棒7の基端の主軸5への組付け部の間に設けられている。
【0043】
本実施形態においては、
図3に示すように、左から、第2支持棒7と第1支持棒6との間の主軸5の外周面に二枚の主軸撹拌羽根12が設けられている。第1支持棒6と第1支持棒6との間の主軸5の外周面に二枚の主軸撹拌羽根12が設けられている。第1支持棒6と第2支持棒7との間の主軸5の外周面に二枚の主軸撹拌羽根12が設けられている。つまり、本実施形態においては、主軸5の外周面に合計6枚の主軸撹拌羽根12が設けられている。
【0044】
二枚の主軸撹拌羽根12は、上下2個の半円筒状のベース板13の外周面に長手方向に湾曲(略90度)した状態で溶接されている。この上下2個の半円筒状のベース板13の長手方向の側縁にはフランジ13aは設けられ、主軸5の外周面を囲繞して上下2個の半円筒状のベース板13のフランジ13aを重ねてボルト13bで締結する。これにより、二枚の主軸撹拌羽根12が、主軸5の表面に180度上下(又は左右)対称に長手方向に設置されることになる。
【0045】
また、
図5に示すように、隣接する複数の主軸撹拌羽根12は、短手方向の一端12aの高さが高い(図中A)と、短手方向の一端12aの高さが低い(図中B)の二種類が用意されている。そして、隣接する二種類の主軸撹拌羽根12を主軸5の外周に略90度位相を異ならせて設置している。これにより、
図5に示すように、主軸5を中心として側面視すると、主軸5の外周面に向かって上下左右に略90度位相が異なる複数の主軸撹拌羽根12が立設されることになる。このように、回転する主軸5の表面に複数(図中6枚)の主軸撹拌羽根12を設置することで、主軸5に絡みつく廃棄物を効率よく主軸5から剥がすことができ、撹拌効率を高めることができる。
【0046】
以下、第1支持棒6及び第2支持棒7の先端に設けられた撹拌羽根11の構成及び撹拌羽根11の着脱部9の構成を、
図6及び
図7を参照して説明する。なお、以下の説明では、第1支持棒6と第2支持棒7に設けられた撹拌羽根11及び着脱部9の構成は同じであるので、第1支持棒6の先端(内周面側)に設けられた撹拌羽根11及び着脱部9の構成を説明し、第2支持棒7の先端(内周面側)に設けられた撹拌羽根11及びの着脱部9の説明は省略する。
【0047】
図6に示すように、撹拌羽根11は、羽根部11aと基底部11bとにより構成されている。基底部11bは第1支持棒6の先端部6Aに連結ボルト10で固設されている。羽根部11aは、ネジ11dにより羽根部11aの長孔11cを貫通して、基底部11bのネジ穴11eに締結されている。羽根部11aの長孔11cは、ネジ11dの長孔11cの貫通位置を選択することで、本体2に収容される廃棄物の種類に応じた撹拌羽根11(羽根部11a)と本体2の内周面との隙間を微調整可能とするために設けられている。
【0048】
このように、撹拌羽根11は、羽根部11aと基底部11bとにより構成することで、例えば、既に設置された本体2の内部において、第1支持棒6の着脱部9において、第1支持棒6を中心軸とした撹拌羽根11の取り付け角度を変更する場合に、羽根部11aのみを基底部11bから取り外して、第1支持棒6の先端部6Aの基底部11bと本体2の内周面との間の間隔を広くすることができる。これにより、
図7に示すように、第1支持棒6の先端部6Aと基端部6Bとを分離可能としている。
【0049】
図7に示すように、第1支持棒6は、先端部6Aと基端部6Bとに分離可能であり、そこに着脱部9が形成されている。着脱部9は、第1支持棒6の基端部6Bに形成された正多角形の嵌合凸部9aと、撹拌羽根11が連結された先端部6Aに形成された嵌合凸部9aと同じ正多角形の嵌合凹部9bとにより構成される。先端部6Aの嵌合凹部9bにより基端部6Bの嵌合凸部9aを囲繞して嵌合し、先端部6Aの嵌合凹部9bの上下二箇所において、基端部6Bの嵌合凸部9aを固定ビス9cで固設することにより、第1支持棒6の着脱部9において、第1支持棒6の基端部6Bの嵌合凸部9aに、撹拌羽根11が連結された先端部6Aが固設される。また、先端部6Aの嵌合凹部9bの上下二箇所の固定ビス9cを外すことで、撹拌羽根11が連結された先端部6Aを基端部6Bのから取り外すことができる。なお、
図7に示すように、第1支持棒6の基端部6Bの嵌合凸部9aを形成する多角形(図中は12角形)のそれぞれの面には、固定ビス9cが螺着するビス孔9dが設けられている。
【0050】
上述した着脱部9に構成により、
図7に示す正多角形(図中は12角形)によれば、第1支持棒6の基端部6Bの嵌合凸部9aと撹拌羽根11が連結された先端部6Aの嵌合凹部9bとの当接する正多角形の面を選択することで、撹拌羽根11の第1支持棒6を中心軸とした傾きの角度を最小30度単位で任意に選択することができる。なお、基端部6Bの嵌合凸部9aと先端部6Aの嵌合凹部9bを形成する正多角形を、例えば、18角形とすると撹拌羽根11の第1支持棒6を中心軸とした傾きの角度を最小20度単位で任意に選択することができる。また、36角形とすると傾きの角度を最小10度単位で任意に選択することができる。すなわち、基端部6Bの嵌合凸部9aと先端部6Aの嵌合凹部9bを形成する正多角形の面数は、撹拌羽根11の第1支持棒6を中心軸とした傾きの角度の最小単位に応じて適宜変更可能である。
【0051】
また、第2支持棒7においても上述し第1支持棒6と同じ構成の着脱部9により、任意に第2支持棒7を中心軸とした撹拌羽根11の傾きの角度を調整可能としている。このように、第1支持棒6及び第2支持棒7の先端(内周面側)に取り付けられた撹拌羽根11に傾きを採用することで、本体2の内部に、撹拌羽根11により、本体2内部で撹拌される廃棄物の流れに逆方向の対流を生じさせることができ、この対流により撹拌された廃棄物が互いにぶつかるようにすることが可能となる。この結果、撹拌効率が高まるだけでなく、廃棄物同士の摩擦の発生が大きくなり、より効率よく破砕することが可能となる。
【0052】
以下、本実施形態の廃棄物処理装置1の使用手順について説明する。
【0053】
まず、本体2の投入口29から廃棄物を投入して投入口29の投入蓋29aを閉じる。本実施形態における廃棄物とは、例えば、有機性廃棄物としては、食品加工工場等で発生する野菜かす、醸造かす、発酵かす、魚および獣のあら等や家畜糞尿、下水用汚泥等である。また、リサイクル可能なプラスチックや金属を含む部品からなる産業廃棄物である。
【0054】
次いで、発熱機25及びエアコンプレッサー26の運転を開始する。これにより、エアコンプレッサー26で加圧された空気が発熱機25に送られて加熱される。そして、発熱機25及びエアコンプレッサー26により加熱及び加圧された熱風が、主熱風供給口4及び副熱風供給口32から本体2の内部に供給される。
【0055】
そして、電動モータ(図示せず)で主軸5を回転させ、それに伴い、主軸5を中心に、第1支持棒6及び第2支持棒7が回転する。この第1支持棒6及び第2支持棒7の回転と共に、第1支持棒6及び第2支持棒7の先端(本体2の周面側)取り付けられた撹拌羽根11も本体2の内部を回転することで廃棄物が撹拌される。なお、本実施形態の撹拌手段3を構成する主軸5の回転速度は毎分3~8回程度である。また、主軸5の回転速度は減速機(図示せず)を介して変更可能としている。
【0056】
また、撹拌により、本体2の内周面と廃棄物、撹拌羽根と廃棄物の間の摩擦によっても静電気が発生する。このように本体2の内部に静電気が発生することにより廃棄物の破砕及び減容が進行する。また、廃棄物は圧力分解により、これらの作用によっても破砕及び減容がさらに進行する。
【0057】
また、撹拌時には、本体2の排出口33の近傍に設けられた主熱風供給口4の部分から熱風が供給される。即ち、本体2の底面側から熱風が廃棄物を噴き上げるように供給されるため、本体2の底面側や排出口33の部分に廃棄物が堆積して詰まりが生じにくいものとなっている。なお、熱風の供給は、廃棄物の乾燥を促進するために、本体2の上部に設けた副熱風供給口32からもなされるものとなっている。
【0058】
また、本体2の内部の温度や圧力は、廃棄物処理装置1の作動中に計測され、本体2内部の環境情報がモニタリングされる。その際、取入部の圧力排出管31の反対側に、枝管が設けられ、枝管に測定装置配置部30が設けられているため、温度や圧力の測定が撹拌の影響を受けにくいものとなっている。
【0059】
上記のような流れで一定時間撹拌処理を行うことで、本体内の廃棄物は、乾燥するとともに破砕、減容され、投入時点の体積が大きく減容して、排出口33から回収される。ここまでで、本発明を適用した廃棄物処理装置1による処理が完了する。
【0060】
上述してきたように、本発明の廃棄物処理装置1は、主軸5に設けた主軸撹拌羽根12により、主軸5に絡みつく廃棄物を効率よく剥がすことができ、第1支持棒6及び第2支持棒7の先端に設けられた複数の撹拌羽根11の主軸5を中心軸とした所定角度の傾きを、廃棄物の種類に応じて変更することができる。このため、安全性に優れ、高効率に廃棄物の減容処理が可能である。
【0061】
以上、上記実施形態を通して本発明を説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、上述した各効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0062】
1 廃棄物処理装置
2 本体
3 撹拌手段
4 熱風送給口
5 主軸
6 第1支持棒
7 第2支持棒
11 撹拌羽根
12 主軸撹拌羽根
13 ベース板
14 貫通孔
23 基台
24 内部点検口
25 発熱機
26 エアコンプレッサー
27 熱風送給管
29 投入口
30 測定装置配置部
31 圧力排出管
32 副熱風供給口
33 排出口