(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】電解質の需要が減少した鉛蓄電池からの鉛の水性回収のためのシステムと方法
(51)【国際特許分類】
C22B 13/00 20060101AFI20230307BHJP
C22B 7/00 20060101ALI20230307BHJP
C22B 3/44 20060101ALI20230307BHJP
C22B 1/02 20060101ALI20230307BHJP
C25C 1/18 20060101ALI20230307BHJP
H01M 10/54 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
C22B13/00 101
C22B7/00 C
C22B3/44
C22B1/02
C25C1/18
H01M10/54
(21)【出願番号】P 2021573513
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(86)【国際出願番号】 US2020037539
(87)【国際公開番号】W WO2020252343
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-03-10
(32)【優先日】2019-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517394094
【氏名又は名称】アクア メタルズ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】AQUA METALS INC.
【住所又は居所原語表記】5370 Kietzke Ln #201,Reno,NV 89511 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100109634
【氏名又は名称】舛谷 威志
(74)【代理人】
【識別番号】100129263
【氏名又は名称】中尾 洋之
(72)【発明者】
【氏名】モハンタ,サマレシュ
(72)【発明者】
【氏名】ハフォード,ジョシュア
【審査官】岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-503087(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107732350(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 13/00
C22B 7/00
H01M 10/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛蓄電池の脱硫鉛ペーストから金属鉛を回収する電気化学的鉛回収操作で電解質を維持する方法であって、
二酸化鉛
を含み、水酸化鉛、および/または炭酸鉛を含み、さらに残留硫酸塩を含む前記脱硫鉛ペーストを提供する工程と、
前記脱硫鉛ペーストを洗浄し、それにより残留水を含む洗浄された前記脱硫鉛ペーストを形成する工程と、
洗浄された前記脱硫鉛ペーストを加熱して前記残留水を10wt%以下に減らし、前記二酸化鉛の少なくとも25%を酸化鉛に還元し、それによって乾燥され分解された前記脱硫鉛ペーストを形成する工程と、
乾燥され分解された前記脱硫鉛ペーストをリサイクルされた電解質と組み合わせて、鉛イオン富化電解質を形成する工程と、
前記鉛イオン富化電解質を前記電気化学的鉛回収操作にかけることにより、カソード上の前記金属鉛を回収し、前記リサイクルされた電解質を生成する工程と、を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記脱硫鉛ペーストが水性塩基を使用して脱硫される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記脱硫鉛ペースト中の前記残留硫酸塩が0.1~10wt%の量で存在する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
水で洗浄することにより、前記脱硫鉛ペーストから前記残留硫酸塩の少なくとも50%が除去される、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
洗浄された前記脱硫鉛ペーストから前記残留水を除去する工程をさらに含む、請求項1ないし
4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記残留水を除去する前記工程は、フィルタープレスする工程を含み、および/または洗浄された前記脱硫鉛ペーストを加熱する工程からの廃熱を使用することを含む、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
洗浄された前記脱硫鉛ペーストを加熱する前記工程が、前記残留水を、乾燥され分解された前記脱硫鉛ペーストの5wt%以下に減少させる、請求項1ないし
6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
洗浄された前記脱硫鉛ペーストを加熱する前記工程が、前記残留水を、乾燥され分解された前記脱硫鉛ペーストの2wt%以下に減少させる、請求項1ないし
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
洗浄された前記脱硫鉛ペーストを加熱する前記工程が、洗浄された前記脱硫鉛ペースト中に存在する前記二酸化鉛の少なくとも50%を前記酸化鉛に還元する、請求項1ないし
8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
加熱する前記工程が、乾燥され分解された前記脱硫鉛ペーストが加熱の終わりに400~700℃の間の温度を有するように窯炉内で行われる、請求項1ないし
9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
加熱する前記工程が、乾燥され分解された前記脱硫鉛ペーストが加熱の終わりに500~560℃の間の温度を有するように窯炉内で行われる、請求項1ないし
10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
加熱の前記工程は、乾燥され分解された前記脱硫鉛ペーストが500~560℃の温度になるまで行われ、さらに、乾燥され分解された前記脱硫鉛ペーストが500~560℃の温度で0~10分間維持されるように行われる、請求項1ないし
11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記リサイクルされた電解質がアルカンスルホン酸を含み、前記電気化学的鉛回収操作が、可動カソードを使用する、請求項1ないし
12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記リサイクルされた電解質がメタンスルホン酸を含む、請求項1ないし
13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記電気化学的鉛回収操作が、カソードの一部分の鉛イオンを還元すると同時に、前記金属鉛を前記カソードの別の部分から除去する工程を含む、請求項1ないし
14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記鉛イオン富化電解質および/または前記リサイクルされた電解質から固体を除去する工程をさらに含み、前記固体が、二酸化鉛、硫酸鉛、およびグリッド鉛のうちの少なくとも1つを含む、請求項1ないし
15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記金属鉛が少なくとも95%の純度を有する、請求項1ないし
16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記金属鉛が5g/cm
3未満の密度を有する、請求項1ないし
17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
鉛蓄電池の鉛ペーストから金属鉛を回収し、二酸化鉛が不溶性の電解質を使用およびリサイクルする、電気化学的鉛回収操作での前記二酸化鉛の蓄積を低減する方法であって、
前記二酸化鉛と2.0wt%以下の硫酸塩を含む前記鉛ペーストを提供する工程と、
前記鉛ペーストを加熱して、前記二酸化鉛の少なくとも50%を酸化鉛に還元し、それによって分解された前記鉛ペーストを形成する工程と、
分解された前記鉛ペーストをリサイクルされた電解質と組み合わせて、鉛イオン富化電解質を形成する工程と、
前記鉛イオン富化電解質を前記電気化学的鉛回収操作にかけることにより、カソード上の前記金属鉛を回収し、前記リサイクルされた電解質を生成する工程と、を有することを特徴とする方法。
【請求項20】
前記鉛ペーストが脱硫鉛ペーストである、請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
前記鉛ペーストが少なくとも10wt%の量の残留水を含む、請求項
19または
20に記載の方法。
【請求項22】
加熱する前記工程の前に前記鉛ペーストをフィルタープレスするステップにかける工程をさらに含む、請求項
19ないし
21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記鉛ペーストを加熱する前記工程が、前記二酸化鉛の少なくとも60%を前記酸化鉛に還元する、請求項
19ないし
22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記鉛ペーストを加熱する前記工程が、分解された前記鉛ペースト中の残留水分を10wt%未満に減少させる、請求項
19ないし
23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
加熱する前記工程が、分解された前記脱硫鉛ペーストが加熱の終わりに550~570℃の間の温度を有するように窯炉内で行われる、請求項
19ないし
24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記リサイクルされた電解質がアルカンスルホン酸を含み、前記電気化学的鉛回収操作が、可動カソードを使用する、請求項
19ないし
25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記リサイクルされた電解質がメタンスルホン酸を含む、請求項
19ないし
25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記電気化学的鉛回収操作が、カソードの一部分の鉛イオンを還元すると同時に、前記金属鉛を前記カソードの別の部分から除去する工程を含む、請求項
19ないし
27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記鉛イオン富化電解質および/または前記リサイクルされた電解質から固体を除去する工程をさらに含み、前記固体が、二酸化鉛、硫酸鉛、およびグリッド鉛のうちの少なくとも1つを含む、請求項
19ないし
28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記金属鉛をインゴットするか、または前記金属鉛を所望の形状に鋳造する工程をさらに含む、請求項
19ないし
29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
加熱する前記工程から、または加熱する前記工程前に前記鉛ペーストをフィルタープレスする工程から水を収集し、前記電気化学的鉛回収操作で少なくとも一部の水を使用する工程をさらに含む、請求項
19ないし
30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記金属鉛が5g/cm
3未満の密度を有する、請求項
19ないし
31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
鉛蓄電池の脱硫鉛ペーストから金属鉛を回収する連続的な電気化学的鉛回収操作において、電解質の有効濃度を維持し、電解質中の二酸化鉛の蓄積を低減する方法であって、
前記二酸化鉛
を含み、水酸化鉛、および/または炭酸鉛を含み、さらに残留硫酸塩を含む前記脱硫鉛ペーストを提供する工程と、
前記脱硫鉛ペーストを洗浄し、それにより前記脱硫鉛ペースト中に存在する約10wt%から30wt%の残留水を含む洗浄された前記脱硫鉛ペーストを形成する工程と、
洗浄された前記脱硫鉛ペーストを加熱して前記残留水を10wt%以下に減らし、前記二酸化鉛の少なくとも50%を酸化鉛に還元し、それによって乾燥され分解された前記脱硫鉛ペーストを形成する工程と、
乾燥され分解された前記脱硫鉛ペーストを電解質と組み合わせて、鉛イオン富化電解質を形成する工程と、
前記鉛イオン富化電解質を前記電気化学的鉛回収操作にかけることにより、カソード上の前記金属鉛を回収し、リサイクルされた前記電解質を生成する工程と、を有することを特徴とする方法。
【請求項34】
前記脱硫鉛ペーストが水性塩基を使用して脱硫される、請求項
33に記載の方法。
【請求項35】
前記脱硫鉛ペースト中の前記残留硫酸塩が0.1~10wt%の量で存在する、請求項
33または
34に記載の方法。
【請求項36】
水で洗浄することにより、前記脱硫鉛ペーストから前記残留硫酸塩の少なくとも60%が除去される、請求項
33ないし
35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
洗浄された前記脱硫鉛ペーストを加熱する前記工程が、前記残留水を、乾燥され分解された前記脱硫鉛ペーストの5wt%以下に減少させる、請求項
33ないし
36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
洗浄された前記脱硫鉛ペーストを加熱する前記工程が、洗浄された前記脱硫鉛ペースト中に存在する前記二酸化鉛の少なくとも60%を前記酸化鉛に還元する、請求項
33ないし
37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
加熱する前記工程が、乾燥され分解された前記脱硫鉛ペーストが加熱の終わりに500~560℃の間の温度を有するように窯炉内で行われる、請求項
33ないし
38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
加熱の前記工程は、乾燥され分解された前記脱硫鉛ペーストが500~560℃の温度になるまで行われ、さらに、乾燥され分解された前記脱硫鉛ペーストが500~560℃の温度で0~10分間維持されるように行われる、請求項
33ないし
38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
加熱する前記工程が窯炉内で行われ、洗浄された前記脱硫鉛ペーストが前記窯炉に提供され、洗浄された前記脱硫鉛ペーストが、任意の寸法に対して1インチ以下のサイズを有する、請求項
33ないし
40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記リサイクルされた電解質がアルカンスルホン酸を含み、可動カソードを使用する、請求項
33ないし
41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記リサイクルされた電解質がメタンスルホン酸を含む、請求項
33ないし
41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記電気化学的鉛回収操作が、カソードの一部分の鉛イオンを還元すると同時に、前記金属鉛を前記カソードの別の部分から除去する工程を含む、請求項
33ないし
43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記鉛イオン富化電解質および/または前記リサイクルされた電解質から固体を除去する工程をさらに含み、
前記固体が、前記二酸化鉛、硫酸鉛、およびグリッド鉛のうちの少なくとも1つを含む、請求項
33ないし
44のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2019年6月13日に出願された米国仮出願第62/860,928号の優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み込まれる。
[技術分野]
[0001]
本発明の分野は、電解プロセスを使用して脱硫鉛ペーストから鉛を回収するための改善されたプロセスであり、特に、そのようなリサイクルプロセスにおける電解質および水のバランスの保全に関連する。
【背景技術】
【0002】
背景技術の説明は、本発明を理解するのに有用であり得る情報を含む。本明細書で提供される情報のいずれかが先行技術であるか、または現在請求されている発明に関連していること、または具体的または暗黙的に参照されている刊行物が先行技術であることを認めるものではない。
【0003】
本明細書で特定されるすべての刊行物は、個々の刊行物または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されている場合と同程度に参照により組み込まれる。組み込まれた参照における用語の定義または使用が、本明細書に提供されるその用語の定義と矛盾するかまたは反対である場合、本明細書に提供されるその用語の定義が適用され、参照におけるその用語の定義は適用されない。
【0004】
鉛蓄電池(LAB)のリサイクルにおける製錬作業から離れ、より環境に優しいソリューションを使用するために、様々な試みがなされてきた。例えば、米国特許第4,927,510号は、脱硫プロセス後にバッテリースラッジから純粋な金属形態の実質的にすべての鉛を回収することを教示している。別の例では、カナダ特許第1,310,837号もまた、脱硫されたペーストから金属形態の鉛を回収することを教示している。ペーストは電解採取に適した酸で浸出され、不溶性のPbO2は過酸化水素を使用して還元される。しかし、残念ながら、‘510特許および‘837特許は、フッ素含有電解質(例えば、フルオロホウ酸またはフルオロケイ酸)の使用を要求しており、これは同様に問題を有する。
【0005】
フッ素含有電解質に関連するいくつかの困難を克服するために、米国特許第5,262,020号および米国特許第5,520,794号に記載されているように、脱硫鉛活物質はメタンスルホン酸に溶解されてきた。他方、鉛回収は、国際公開第WO2015/077227号に記載されているように、脱硫せずにメタンスルホン酸中で実施することもできる。ここで、酸性pHでMSAなどの溶媒(例えば、EDTA)にキレート剤を含めると、酸化鉛および硫酸鉛塩の溶解度が向上し、そのような溶媒からの電着による鉛の回収が可能になることが見出された。上記の内容から理解されるように、二酸化鉛はそのような溶媒に不溶性のままであった。さらに、鉛材料が前もって脱硫された場合(例えば、水酸化ナトリウムを使用して可溶性硫酸ナトリウムを形成する場合)、前処理された鉛ペーストは依然としてかなりの量の残留硫酸塩および水性脱硫酸塩媒体を含んでおり、これにより、鉛の回収に使用される下流の電解質が汚染および希釈されてしまう。
【0006】
二酸化鉛は、脱硫鉛ペーストから鉛を回収するための電解プロセスを教示している米国特許第8,409,421号に記載されているように、過酸化水素を使用して還元することができる。ここで、鉛ペーストは、塩化アンモニウムを含む溶液で浸出されて、二相反応生成物を形成する。反応生成物の固相は過酸化水素で浸出されて不溶性のPbO2を還元し、第2の二相反応生成物を形成する。2つの反応生成物の液相は電気分解を受けて金属鉛を形成する。しかしながら、二酸化鉛の量はそのような液体プロセスで実質的に減少するが、水の必要量は重要ではなく、水の存在は電解質を希釈し、それによって電解質の必要性とコストを増加させる。 同様の問題は、例えば、米国特許出願公開第2017/0352927号明細書、米国特許出願公開第2018/0127852号明細書および米国特許出願公開第2018/0355494号明細書で説明されているように、継続的な鉛回収プロセスでも発生し、しばしば増幅される。
【0007】
したがって、電解質を使用する鉛リサイクルの多くの方法が当技術分野で知られているとしても、それらの全てまたはそれらのほぼ全てが、1つまたは複数の欠点を有している。最も注目すべきことに、これらのプロセスは製錬作業に関連する環境問題を回避するが、電解質管理と二酸化鉛の削減に関する新たな問題が発生している。したがって、特に、二酸化鉛の蓄積、電解質の汚染、および/または電解質の希釈を回避する方法で、鉛蓄電池ペーストを溶鉱炉なしでリサイクルするための改善された方法が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明の主題は、特に溶鉱炉を必要としない電気化学的鉛回収プロセスにおいて、二酸化鉛の蓄積および電解質の希釈および汚染を回避する様々なシステムおよび方法を対象とする。
【0009】
本発明の主題の一態様では、本発明者は、鉛蓄電池の脱硫鉛ペーストから金属鉛を回収する電気化学的鉛回収操作において電解質損失を低減する方法を企図している。このような方法は、脱硫鉛ペーストを提供するステップを有し、脱硫鉛ペーストは、二酸化鉛、酸化鉛、水酸化鉛、および/または炭酸鉛を含み、さらに残留硫酸塩を含む。また、この方法は、脱硫鉛ペーストが水で洗浄され、それによって残留水を有する洗浄された脱硫鉛ペーストを形成する洗浄するステップを含む。また、この方法は、洗浄された脱硫鉛ペーストを加熱して残留水を10wt%以下に減らし、二酸化鉛の少なくとも50%を酸化鉛に還元し、それによって乾燥分解された脱硫鉛ペーストを形成することを含む。さらに別のステップでは、乾燥分解された脱硫鉛ペーストをリサイクルされた電解質と組み合わせて鉛イオン富化電解質を形成し、さらに別のステップで、鉛イオン富化電解質を電気化学的鉛回収操作にかけ、それによってカソード上の金属鉛を回収し、リサイクルされた電解質を生成する。
【0010】
例えば、脱硫鉛ペーストは、水性塩基を使用して脱硫されてもよく、および/または0.1~10wt%の量の残留硫酸鉛を含んでいてもよい。必要に応じて、脱硫鉛ペーストを加熱するステップの前にフィルタープレスのステップにかけることも企図されている。
【0011】
さらなる実施形態は、洗浄された脱硫鉛ペーストから残留水を除去することを含む。好ましくは、洗浄された脱硫鉛ペーストからの水の除去は、フィルタープレスおよび/または洗浄された脱硫鉛ペーストを加熱するステップからの廃熱の使用を含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、脱硫鉛ペーストを洗浄するステップは、洗浄前の脱硫鉛ペーストと比較して、洗浄された脱硫鉛ペースト中の残留硫酸塩の量を少なくとも50%、少なくとも70%、または少なくとも90%減少させる。
【0013】
いくつかの実施形態では、脱硫鉛ペーストを加熱するステップは、二酸化鉛の少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも70%、または少なくとも90%を酸化鉛に還元しつつ、残留水を10wt%以下、5wt%以下、または2wt%以下に減少させる。さらなる実施形態において、加熱するステップは、材料が加熱の終わりに400~700℃の間または500~560℃の間の温度を有するように、窯炉内で実行される。例えば、加熱は、5~15分間行うことができる(例えば、供給端またはロータリーキルンに入ってからロータリーキルンの製品端から出るまでの間に測定される時間)。さらに、リサイクルされた電解質は、メタンスルホン酸などのアルカンスルホン酸を含み得ることが企図される。
【0014】
場合により、電解質損失を低減する方法は、鉛イオン富化電解質および/またはリサイクルされた電解質から固形物を除去するステップを含む。例えば、固体には、二酸化鉛、硫酸鉛、またはグリッド鉛の少なくとも1つが含まれる。
【0015】
必ずしもそうとは限らないが、通常、電気化学的鉛回収操作は可動カソードを使用する。そのような場合、電気化学的鉛回収操作は、陰極のある部分の鉛イオンを還元すると同時に、金属鉛を陰極の別の部分から除去するステップを含み得る。必要に応じて、残留硫酸鉛を鉛イオン富化電解質および/またはリサイクルされた電解質から除去することができる。好ましくは、金属鉛は、少なくとも95wt%、または少なくとも97wt%、または少なくとも99wt%の純度を有する。さらに、回収された金属鉛は、5g/cm3未満または2g/cm3未満の密度を有する。
【0016】
本発明の主題の別の態様では、本発明者は、鉛蓄電池の鉛ペーストから金属鉛を回収し、二酸化鉛が不溶性の電解質を使用してリサイクルする電気化学的鉛回収操作における二酸化鉛の蓄積を低減する方法を企図している。好ましくは、そのような方法は、二酸化鉛および2.0wt%以下の残留硫酸塩を含む鉛ペーストを提供するステップと、鉛ペーストを加熱して二酸化鉛の少なくとも25%を酸化鉛に還元し、それによって分解された鉛ペーストを形成するさらなるステップと、分解された鉛ペーストをリサイクルされた電解質と組み合わせて、鉛イオン富化電解質を形成する別のステップと、を含むであろう。さらに別のステップでは、鉛イオン富化電解質を電気化学的鉛回収操作にかけて、それによってカソード上の金属鉛を回収し、リサイクルされた電解質を生成する。
【0017】
いくつかの実施形態において、鉛ペーストは、脱硫鉛ペーストである。企図される鉛ペーストは、少なくとも10wt%の量の残留水をさらに含み得る。上記の内容から理解されるように、鉛ペーストは、加熱のステップの前にフィルタープレスのステップにかけられてもよい。
【0018】
さらなる実施形態では、鉛ペーストを加熱するステップは、二酸化鉛の少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも90%を酸化鉛に還元する。さらに、鉛ペーストを加熱するステップは、残留水を10wt%以下、5wt%以下、または2wt%以下に減少させてもよい。加熱は、加熱の終わりの材料の温度が400~700℃または500~560℃になるように窯炉(キルン)で行うことができる。好ましくは、必ずしもそうではないが、リサイクルされた電解質が、アルカンスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸)を含む。
【0019】
さらなる実施形態において、電気化学的な鉛回収における二酸化鉛の蓄積を低減する方法は、鉛イオン富化電解質および/またはリサイクルされた電解質から固体を除去するステップを含んでもよい。例えば、固体には、二酸化鉛、硫酸鉛、またはグリッド鉛の少なくとも1つが含まれる。
【0020】
さらに別の実施形態では、電気化学的鉛回収操作は、可動カソードを使用する。そのような場合、電気化学的鉛回収操作は、陰極のある部分の鉛イオンを還元すると同時に、金属鉛を陰極の別の部分から除去するステップを含んでもよい。必要に応じて、企図される方法には、鉛イオン富化電解質および/またはリサイクルされた電解質から残留硫酸鉛を除去するステップも含まれる。最も典型的には、金属鉛は、少なくとも95wt%、または少なくとも97wt%、または少なくとも99wt%の純度を有する。回収された金属鉛は、5g/cm3未満または2g/cm3未満の密度を有する。必要に応じて、本明細書に提示される方法は、金属鉛をインゴットするさらなるステップを含んでいてもよい。さらに、水は、加熱の段階から、または加熱の段階の前に鉛ペーストを圧搾するフィルターの段階から収集(および再利用)することができると考えられる。
【0021】
さらに他の実施形態では、鉛蓄電池の脱硫鉛ペーストから金属鉛を回収する連続的な電気化学的鉛回収操作において、電解質の有効濃度を維持し、電解質中の二酸化鉛の蓄積を低減する方法は、脱硫鉛ペーストを提供することを含み、脱硫鉛ペーストは、二酸化鉛、水酸化鉛、および/または炭酸鉛を含み、さらに残留硫酸塩を含む。この方法は、脱硫鉛ペーストを洗浄し、それにより、脱硫鉛ペースト中に存在する約10~30wt%の残留水を含む洗浄された脱硫鉛ペーストを形成することをさらに含む。次に、この洗浄された脱硫鉛ペーストを加熱して、残留水を10wt%以下に減らし、二酸化鉛の少なくとも50%を酸化鉛に還元し、それによって、乾燥分解された脱硫鉛ペーストを形成する。続いて、乾燥分解された脱硫鉛ペーストを電解質と組み合わせて、鉛イオン富化電解質を形成する。
この鉛イオン富化電解質は、金属鉛が形成されて回収されるカソード上で電気化学的鉛回収操作にかけられ、リサイクルされた電解質溶液が形成される。
【0022】
追加の実施形態では、脱硫鉛ペーストから金属鉛を回収する連続的な電気化学的鉛回収操作において、電解質の有効濃度を維持し、電解質中の二酸化鉛の蓄積を低減する方法は、窯炉内で洗浄された脱硫鉛ペーストを加熱することも含み、洗浄された脱硫鉛ペーストは任意の形状を有し、任意の寸法で1インチ以下である。
【0023】
本発明の主題の様々な目的、特徴、態様および利点は、好ましい実施形態の以下の詳細な説明、ならびに同様の数字が同様の構成要素を表す添付の図からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の主題による鉛リサイクルプロセスの例示的な概略図である。
【0025】
【
図2】
図2は、様々な温度の関数としての水分/重量の損失を示す例示的なグラフである。
【0026】
【
図3】
図3は、特定の温度にわたる時間の関数としての鉛の様々な酸化状態を示す例示的な写真である。
【0027】
【
図4】
図4は、様々な温度の関数としての鉛の様々な酸化状態を示す例示的な写真である。
【0028】
【
図5】
図5は、熱処理された鉛ペーストサンプルを溶解した後のリサイクル電解質中の残留物量を示す例示的なグラフである。
【0029】
【
図6】
図6は、熱処理された鉛ペーストサンプルを溶解した後のリサイクル電解質中の鉛イオン濃度を示す例示的なグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
鉛蓄電池(LAB)の分解の最も一般的なプロセスでは、鉛ペースト、プラスチック、およびグリッド鉛が製造される。次に、これらの成分のハイドロ(水力)分離処理により、ほとんどのプラスチックとグリッド鉛の分離が可能になり、それによって鉛ペーストが分離される。金属鉛を回収するための鉛ペーストの従来の処理には、通常、鉛ペーストの脱硫とそれに続く酸性溶媒による酸中和が含まれる。ただし、実際には、脱硫鉛ペーストには、溶解した硫酸ナトリウムからのかなりの量の残留硫酸塩と他の残留固体(例えば、水酸化鉛、酸化鉛、二酸化鉛、グリッド鉛、プラスチック)が含まれている。脱硫ペーストの酸中和は水酸化鉛(Pb(OH)2)と酸化鉛(PbO)を容易に溶解するが、残留二酸化鉛(Pb02)、残留グリッド鉛、および残留プラスチックは不溶性のままで、残留硫酸塩(例えば、硫酸ナトリウム)は、電解質中のメタンスルホン酸(MSA)と反応して、Na-MSAおよび硫酸鉛を形成し、これにより、沈殿物が形成され、電解質溶媒中の利用可能なMSAが減少する。
【0031】
さらに、好ましい鉛回収操作が連続プロセスで電解質をリサイクルすることを考慮すると、脱硫鉛ペースト中の二酸化鉛が電解質溶液に蓄積し、それによってリサイクルされた電解質の有効性をさらに制限する。
【0032】
脱硫鉛ペーストを(例えば水で)洗浄すると、残留硫酸塩の量を減らすことができるが、鉛ペーストに現在存在する洗浄水は電解質溶液を希釈し、それによってリサイクルされた電解質溶液の有効性を低下させる。より具体的には、追加の洗浄ステップからの残留水分(通常は約10~30wt%)は電解質を大幅に希釈するため、追加のアルカンスルホン酸(MSAなど)または希釈電解質からの水の除去が必要になり、それによって電解質溶液のリサイクルの有用性が妨げられる。
【0033】
脱硫または非脱硫鉛ペースト中の不溶性残留固形物に対処するための他の従来の戦略に関して、熱処理(例えば、加熱)により、酸不溶性Pb02を酸可溶性PbOに変換することができる。例えば、Caulder and Simon, 1974, J. Electrochem. Soc., 121:1546-1551を参照。しかしながら、鉛ペースト中の残留硫酸塩は、有害ガスおよび不溶性硫酸鉛を生成するため、熱処理を助長せず、それにより、硫酸塩を含む鉛ペーストは熱処理に適さない。さらに、ほとんどの脱硫または非脱硫鉛ペーストに残留プラスチック成分が存在することにより、熱処理の難しさの度合いが増す。
【0034】
有利なことに、企図される主題は、残留固形物を有する脱硫鉛ペーストを(例えば、水で)洗浄して、残留固形物が減少した洗浄された鉛ペースト、特に残留硫酸塩を減少または除去した洗浄された鉛ペーストを生成するプロセスを含む。例えば、脱硫鉛ペーストは、溶解した硫酸ナトリウムで塩基溶液を除去するための洗浄工程に供されてもよい(例えば、水酸化ナトリウムまたは炭酸ナトリウムによる脱硫が使用された場合)。典型的には、洗浄工程は、脱硫鉛ペースト中の残留硫酸塩の量を、(例えば、水等で)洗浄されていない鉛ペーストと比較して、少なくとも50wt%、または少なくとも70wt%、または少なくとも90wt%減少させる。
より具体的には、洗浄工程は、脱硫鉛ペースト中の残留硫酸塩の量を少なくとも50wt%、55wt%、60wt%、65wt%、70wt%、71wt%、72wt%、73wt%、74wt%、75wt%、76wt%、77wt%、78wt%、79wt%、80wt%、81wt%、82wt%、83wt%、84wt%、85wt%、86wt%、87wt%、88wt%、89wt%、または90wt%減少させる。あるいは、またはさらに、洗浄工程は、脱硫鉛ペースト中の残留硫酸塩の量を、約0.1wt%~約10wt%、0.1~2wt%、0.1~1wt%、0.1~0.7wt%、0.5~0.7wt%、または0.1~0.5wt%の量に減らすことができる。より具体的には、洗浄された脱硫鉛ペーストは、約5wt%以下、4wt%以下、3wt%以下、2wt%以下、1.9wt%以下、1.8wt%以下、1.7wt%以下、1.6wt%以下、1.5wt%以下、1.4wt%以下、1.3wt%以下、1.2wt%以下、1.1wt%以下、1wt%以下、0.9wt%以下、0.8wt%以下、0.7wt%以下、0.6wt%以下、0.5wt%以下、0.4wt%以下、0.3wt%以下、0.2wt%以下、または0.1wt%以下の量の残留硫酸塩を含む。一般的には、洗浄された脱硫鉛ペーストは、約0.5wt%~2.5wt%の間、そして最も典型的には、2.0wt%以下の量の残留硫酸塩を含む。
【0035】
特に、洗浄された鉛ペーストには、電解質希釈洗浄液が含まれている。ただし、残留硫酸塩が除去/減少されているため、洗浄した鉛ペーストを熱処理によって加熱して、追加の洗浄液(水等)を除去し、洗浄された鉛ペーストの二酸化鉛(PbO2)の少なくとも25%から最大90%を酸化鉛(PbO)へと変換することができる。したがって、企図される方法は、洗浄された脱硫鉛ペーストから金属鉛を回収するための鉛回収操作において、電解質の損失/希釈を低減し、酸不溶性二酸化鉛(および硫酸鉛)の蓄積を低減することを効果的に可能にする。さらに、洗浄された脱硫鉛ペーストは、フィルタープレスおよび/または熱処理ステップからのリサイクルされたプロセス熱による加熱等の熱処理の前に、水分含有量を低減するステップに供されてもよい。
【0036】
別の観点から考えると、本発明者らは、電気化学的な鉛回収プロセス、特に電解質をリサイクルおよび再利用する連続的で電気化学的な鉛回収プロセスが、脱硫鉛ペーストの前処理によって大幅に改善するため、電解質の希釈およびリサイクルされた電解質中の二酸化鉛の蓄積に関連する問題を回避できることを見出した。有利なことに、少なくとも10wt%(例えば、10~30wt%)の含水量および2.0wt%以下の硫酸塩含有量を有する鉛ペーストを熱処理することによる前処理は、環境に優しく、連続的に実施することができ、さらに、適切な電解質(例えば、硫酸、メタンスルホン酸、フルオロホウ酸などの酸性電解質、または濃縮NaOH溶液などのアルカリ性電解質)に溶解するのに適した実質的に乾燥および分解された鉛ペーストを生成する。好ましくは、熱処理後の乾燥および分解された鉛ペーストは、10wt%以下の含水量を有する。より好ましくは、熱処理後の乾燥および分解された鉛ペーストは、9.5wt%、9wt%、8.5wt%、8wt%、7.5wt%、7wt%、6.5wt%、6wt%、5.5wt%、5wt%、4.5wt%、4wt%、3.5wt%、3wt%、2.5wt%、2wt%、1.5wt%、または1wt%を超えない含水量を有する。最も好ましくは、熱処理後の乾燥および分解された鉛ペーストは、5wt%以下または2wt%以下の含水量を有する。
【0037】
さらに、熱処理後の乾燥および分解された鉛ペーストは、熱処理前の鉛ペーストよりも少なくとも25%少ない二酸化鉛を含んでいる。すなわち、熱処理された(例えば、加熱された)鉛ペーストの二酸化鉛の量は、少なくとも25%減少し、そして一般的には、熱処理された鉛ペーストの二酸化鉛の量は、熱処理前の鉛ペーストの二酸化鉛含有量と比較して、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90wt%、少なくとも95%、または少なくとも97%減少する。本明細書に開示されるように、熱処理に加えて、前処理は、脱硫または非脱硫鉛ペーストであり、熱処理の前に残留固形物(例えば、硫酸塩)を除去するために洗浄される鉛ペーストの洗浄を含んでいてもよい。
【0038】
特に好ましい方法では、前処理は、熱処理前の鉛ペーストが少なくとも10wt%(例えば、10~30wt%、10~25wt%、10~20wt%、10~15wt%、12~15wt%、12~14wt%、12~13wt%、10~14wt%、または10~13wt%)の含水量を有する熱前処理ステップである。容易に理解されるように、水分含有量は、濾過、フィルタープレス、遠心分離、溶媒交換などの様々な方法によって調整することができる。好ましい実施形態では、熱処理前の洗浄された鉛ペーストは、15wt%以下、14wt%以下、または13wt%以下の含水量を有する。次に、洗浄された鉛ペーストは、処理されたペーストが実質的に減少した含水量(例えば、10wt%以下、9wt%以下、8wt%以下、7wt%以下、6wt%以下、5wt%以下、5wt%未満、または4wt%未満、または3wt%未満、または2wt%未満)および実質的に減少した二酸化鉛含有量(例えば、10wt%未満、または7wt%未満、または5wt%未満、または3wt%未満)を有するように、加熱脱水および分解にかけられる。通常、熱前処理は、熱処理前の鉛ペーストの二酸化鉛と比較して、処理された鉛ペースト中の全ての二酸化鉛の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%を、二酸化鉛以外の酸化物(すなわち、アルファPbOx(x<2)、ベータPbOx(x<2)、Pb3O4、PbO(正方晶)、PbO(斜方晶))に還元する。
【0039】
さらに、熱前処理は、場合によっては、熱分解によってプラスチック部品の量を減らすこともある。最も有利なことに、企図される前処理により、ほとんどの電解質に不溶性の二酸化鉛を減らす必要がなくなり、電解質の希釈が回避される。別の観点から見ると、前処理されたペーストと組み合わされる電解質中の比較的少量の残留未溶解固形物は、主に硫酸鉛であり、従来の脱硫ステップに容易にかけることができる。これは、鉛回収操作の一部であっても、別のプロセスであってもよい。
【0040】
図1に概略的に示される本発明の主題の1つの例示的な実施形態では、電池リサイクルプラントは、一般的には、電池が分解され、さらなる処理のために適切なサイズに粉砕される分解ステーションを含む。このような分解ステーションは、液相(主に硫酸と溶解種)、グリッド鉛、およびプラスチック粒子が従来の分離方法を使用して除去されるように、さまざまなコンポーネントの初期分離も実行する。次に、主に酸化鉛、二酸化鉛、および硫酸鉛を含む残りの鉛ペーストを脱硫工程にかけることができる。例示的な態様では、脱硫は、硫酸鉛が不溶性の水酸化鉛(または炭酸塩)に変換されるように塩基を使用して行われ、したがって、可溶性の硫酸ナトリウムを形成する。最も一般的には、二酸化鉛はこれらの条件下では反応性がなく、不溶性成分として残る。このような脱硫ステップではかなりの割合の硫酸鉛が除去されるが、残留硫酸鉛と残留溶解硫酸ナトリウムがペーストに残ることに留意されたい(リサイクルされた電解質を使用する連続プロセス以外のプロセスでは通常問題ない)。電解質をリサイクルし、この方法を継続的に繰り返す鉛蓄電池からの鉛回収の連続プロセスは、「閉ループプロセス」とも呼ぶ。
【0041】
脱硫プロセスで不溶性ペーストから可溶性硫酸ナトリウムの大部分を除去すると、ペースト/沈殿物は、通常、脱硫ペーストを水性溶媒で再スラリー化することを含む洗浄ステップにかけられる。本明細書全体に開示されているように、洗浄工程は、洗浄されたペースト中の硫酸塩濃度(および残留プラスチック含有量)を有利に低減するであろう。必要に応じて、洗浄されたペーストは、通常、フィルタープレスで水分除去のさらなるステップにかけられてもよい。あるいは、またはさらに、熱処理からの排熱を利用して、洗浄されたペースト中に存在する水の少なくとも一部を蒸発させることができる。容易に理解できるように、除去されたすべての水はプラントにリサイクルされ、さまざまなプロセスステップで使用され(例えば、新しい電解質の補給水として)、全体的な水の需要を減らすことができまる。必要に応じて、洗浄水中の可溶性硫酸塩は、沈殿、結晶化、またはイオン交換など、さまざまな方法で除去することができる。
【0042】
特に、いくつかの実施形態では、熱処理は、全ての二酸化鉛の少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%を、二酸化鉛以外の酸化物(すなわち、アルファPbOx(x<2)、ベータPbOx(x<2)、Pb3O4、PbO(正方晶)、PbO(斜方晶))に変換可能にする条件下で操作されるロータリーキルンを使用する連続的な熱処理である。好ましくは、熱処理は主にPb3O4およびPbO(正方晶)を生成し、そして最も好ましくは主にPbO(正方晶)を生成する。例えば、好ましい熱処理プロセスの後、少なくとも70wt%、少なくとも80wt%、少なくとも85wt%、少なくとも90wt%、または少なくとも95wt%のPbO(正方晶)が二酸化鉛から形成され、残りが主な酸化鉛種として好ましくはPb3O4を有しながら、残留二酸化鉛は、10wt%以下、8wt%以下、6wt%以下、4wt%以下、2wt%以下、または1wt%未満の濃度で存在する。別の観点から見ると、全ての二酸化鉛の少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%がPbO(正方晶)および/またはPb304に変換される。有利なことに、これらの非二酸化鉛種はすべて、アルカンスルホン酸(例えば、メタンスルホン酸)に可溶であり、したがって、硫酸鉛を可溶化するためのキレーターを必要としないプロセスで電気化学的回収を行うことができる。さらに、特に脱硫および熱分解が利用される場合、そのように生成されたすべての鉛種は、本明細書に記載のプロセスでのリサイクルから消滅に適していることを理解されたい(すなわち、残留量の不溶性硫酸鉛を脱硫操作に供給することができ、残留量の二酸化鉛は熱処理等に供給される)。
【0043】
そのために、熱処理は通常、二酸化鉛をアルファPbOx(x<2)、ベータPbOx(x<2)、Pb3O4、PbO(正方晶)、PbO(斜方晶)に分解し、残留水のほとんどまたは全てを蒸発させるのに十分な時間と温度で鉛ペーストを加熱することを必要とする。例えば、そして以下でより詳細に議論されるように、適切な温度は、少なくとも約190℃、または少なくとも約350℃、または少なくとも約400℃、または少なくとも約460℃、または少なくとも約530℃、または少なくとも約550℃、または少なくとも約560℃である。したがって、適切な加熱温度範囲は、350~550℃、または450~570℃、または480~580℃、または500~575°Cになる。適切な加熱時間は、さまざまな方法を使用した加熱された材料の分析を使用して容易に決定することができる。ただし、以下で詳しく説明されるように、さまざまな鉛種は異なる色を有するため、加熱温度と加熱時間は、この乾燥した分解鉛ペーストの主に黄色を達成するように調整することができ、これは、正方晶の酸化鉛の色を示す。
【0044】
特に、二酸化鉛を分解するのに十分な時間および温度にわたる鉛ペーストの加熱は、任意の適切な加熱プロセス/技術を使用して実施することができる。例示的な実施形態では、鉛ペーストの加熱は、バッチ加熱、連続加熱用の流動床反応器、コンベヤーベルト炉、移動熱源、またはロータリーキルンを使用して行われる。任意の適切な加熱プロセスを使用して、残留水を除去し、二酸化鉛を酸化鉛に変換するために鉛ペーストを加熱するのに容易に適合させることができるが、この方法は鉛ペースト中の凝集体を破壊し、それによって水分を放出し、鉛ペーストからの水分除去の効率を高めるので、ロータリーキルンが好ましい。
【0045】
熱処理が所望の製品組成(例えば、乾燥した分解鉛ペースト)に達したら、処理された鉛ペーストを冷却し、次に必要に応じて適切な溶媒/電解質に溶解する。多くの電解質が当該技術分野でよく知られているが、電解質は、アルカンスルホン酸(特にメタンスルホン酸)または強塩基(可溶性プランバイトを生成するのに十分な濃度で)であることが一般に好ましい。処理された鉛ペーストが溶解すると、鉛イオン富化電解質が形成され、次に電気化学的還元を受け、そこで鉛イオンが陰極で還元されて金属鉛を形成する。最も好ましくは、カソードは移動カソード(例えば、ディスク形状のカソード)であり、カソード上で鉛が一部で還元され、そこから金属鉛が、典型的にはマイクロおよびナノ構造の金属鉛製品として、カソードの別の部分で同時に収集される。最も一般的には、そのように製造された鉛は高純度の鉛であり、少なくとも95%、より一般的には少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%の純度を有する。さらに、回収された高純度鉛の密度は、5g/cm
3
未満、4g/cm
3
未満、3g/cm
3
未満、または2g/cm
3
未満である。そのような鉛製造のための特に好ましいシステムおよび方法は、米国特許出願公開第2017/0352927号明細書、米国特許第2018/0127852号、および米国特許出願公開第2018/0355494号明細書に記載され、参照により本明細書に組み込まれる。
【0046】
したがって、連続的で電気化学的な鉛製造プロセスは、連続的に提供される前処理された鉛ペーストを用いて供給することができることを認識すべきである。金属鉛が所望の量で回収されると、電解質の鉛イオン濃度が大幅に低下し(鉛イオンが枯渇した電解質)、係る電解質を、さらに前処理された鉛ペーストを溶解するためのプロセスにリサイクルすることができる。有利なことに、前処理され、乾燥された分解鉛ペーストの添加は、鉛イオン富化溶媒中の不溶性物質の量を著しく増加させず、また、前処理された鉛ペーストは、電解質を希釈する大量の水または他の流体を提供することがない。
【0047】
より具体的には、電解質の有効濃度が維持され、再利用することができる。すなわち、乾燥した分解鉛ペーストの電気化学的処理後に形成された再生鉛イオン枯渇電解質が、過剰な水または二酸化鉛(PbO2)を蓄積しないという事実を考慮すると、リサイクルされた電解質は、金属鉛を継続的に回収するために、前処理された(例えば、窯炉で加熱され、任意に洗浄された)乾燥された分解鉛ペーストに繰り返し使用することができる。
【0048】
もちろん、固形物は、濃縮された鉛イオンおよび/またはリサイクルされた電解質から(例えば、沈降、遠心分離、濾過などを介して)除去できることに留意されたい。これらの固形物は主に少量の残留硫酸鉛および/または二酸化鉛であるため、これらの固形物は、
図1にも示すように、脱硫操作および/または熱前処理のいずれかにプロセス全体にフィードバックすることができる。同様に、電解質が残留可溶性硫酸ナトリウムを含む場合、そのような硫酸塩は、沈殿、結晶化、および/またはイオン交換を含む多くの方法で容易に除去できることを認識すべきである。
【0049】
特に、鉛イオン富化電解質は、残留固体グリッド鉛をさらに含むことができ、この方法は、残留固体グリッド鉛を除去するための濾過(アルカンスルホン酸/MSA後)をさらに含んでもよい。
【実施例】
【0050】
最初の一連の実験において、本発明者らは、鉛ペーストから水分を除去することを可能にする加熱条件(例えば、未洗浄、洗浄、脱硫、非脱硫、または他の条件)を決定することに着手した。これは、典型的には、洗浄工程および/または脱硫工程からの水または他の水溶液であるか、またはそれらを含む。ペーストを100~105℃で加熱し、液相の蒸発を減量の観点から測定した。
図2は、20~650°Cの温度範囲での結果の例を示している。特に、水の沸点をはるかに超える220°Cを超える温度で、大量の水分が除去された。有利なことに、そのようなより高い温度では、鉛ペーストは、蒸発のために重量を失っただけでなく、加熱時間の増加にわたって一定の高温で観察することができる明確な相変化も受けた。例えば、
図3は、525℃のオーブン温度において10分刻みで加熱された鉛ペーストの例示的な結果を示している。写真から容易にわかるように、経時的な色の変化は有意であり、PbOx(l<x<2)からPbO(正方晶)への遷移を示している。同様に、脱硫鉛ペーストの異なるサンプルをそれぞれ異なる温度に晒した場合、
図4に示すように、生の鉛ペーストで始まり、PbO(670°Cで斜方晶)で終わる酸化状態を簡単に識別することができた。
【0051】
次に、本発明者らは、異なる温度の鉛ペースト処理が、電解質、特にメタンスルホン酸におけるそのように処理された鉛ペーストの溶解/残留物に影響を与えるかどうかを調査した。より具体的には、異なる温度のサンプルをMSAで分解した。ここで、熱処理された材料10gを100mLの20%MSAに加え、1時間撹拌した。固形物を濾別して再秤量し、濾液を溶解した鉛イオンについて分析した。
図5および6は、例示的な結果を示している。データから容易にわかるように、温度を上げて鉛ペーストを熱処理すると、未溶解の残留物の量が大幅に減少し(
図5)、MSA中の鉛イオンの量は劇的に増加した(
図6)。また興味深いことに、PbOの2種類の結晶構造、アルファとベータが特定された。529℃では、酸化鉛(Pb
30
4)とともにベータ構成がPbOに変換された。より高い温度では、正方晶系の形態は、よりコンパクトでしっかりと結合した斜方晶系の構成に遷移した。この全体的な再構成は、400℃の領域での材料の収縮と、600℃を超える高温炉試験での最終的な硬化で観察されたものである可能性がある。したがって、600℃の温度は通常あまり好ましくないが、450℃未満の温度では電解質に可溶な鉛の形態が少なくなる。上記と同様のアプローチを使用すると、以下の表1に示すように、次の結果が観察された。
【0052】
【0053】
次に、表1の上記のバッチ結果に基づいて、本発明者らは、様々な連続熱処理オプション、特に、脱硫鉛ペーストを受け取る供給端および熱処理された鉛ペーストを放出する排出端を備えたロータリーキルンの使用を調査した。例示的なロータリーカルシナー(キルン)は、ロータリーシェル、タイヤ、トラニオンホイールアセンブリ、スラストローラー、パージタイプのロータリー拡張ベローズシールを備えた供給/排出ブリーチ、可変速チェーンドライブ、調整可能な傾斜を備えたユニタリーベースフレーム、電気炉、水スプレークーラー、取り外し可能なシェルフライトカートリッジ、取り外し可能なフィード/ディスチャージ外部ノッカー、取り外し可能な内部スクレーパー、取り外し可能なベッド熱電対アセンブリ、スパイラルフライト付きの取り外し可能なフィードダム、ホッパー付きスクリューフィーダー、排出制御装置および制御機器を備えている。
【0054】
ロータリーシェルのサイズは、外径7-1/4インチ×内径6-1/2インチ×全長11フィート3インチで、6フィート8インチの長さの加熱セクションおよび3フィート0インチの長さの冷却セクションが含まれている。シェルは遠心鋳造タイプのHH合金で構成されている。熱は、温度制御の4つの独立したゾーンを持つ54kWの電気炉による熱伝達の主要なモードとして、放射および伝導を介して間接的に供給された。電気炉は、炉の繊維断熱材に取り付けられた発熱体を含み、窯炉の加熱された長さにわたって正確な温度プロファイリングを可能にするように設計された。タイプK熱電対を介して4つのゾーンのそれぞれのシェルゾーン温度を測定し、SCRコントローラーを介してゾーン発熱体へのアンペア数を制御することにより、シェルゾーン温度を設計設定値に維持した。冷却は、シェルの外面への間接的な水スプレーによって供給された。水スプレーは、上部スプレーマニホールド、下部ドレン接続、およびラビリンスエンドシールを備えたシェルを囲むハウジングに含まれていた。シェルは2つのタイヤで支えられ、それぞれが2つのトラニオンホイールのセットに乗っていた。各トラニオンホイールシャフトベアリングは、ユニタリーベースフレームに取り付けられた調整可能なパッドに取り付けられた。スラストローラーは供給端側タイヤの両側に配置され、ユニタリーベースに取り付けられた調整可能なパッドに取り付けられた。スラストローラーがシェルを適切な縦方向の位置に保持した。窯炉内の材料保持時間は、シェルの傾斜と速度によって制御された。シェルの傾斜は、サポートベースフレームを希望の位置に回転させることで調整可能であった。
【0055】
任意の不活性スイープガスをシェルに供給することに加えて、装置の次の領域を不活性ガスでパージすることができる:供給および排出ベローズシール、供給および排出シールの合わせ面、フィーダー、製品収集ドラムおよび観察ポート。パージガス(空気)は、固体の酸化を最小限に抑え、オフガスの発火を防ぐために最もよく使用される。パージガスは回転計で計量でき、2つの供給源(通常は12シリンダークラスター)に接続されたバルブマニホールドによって供給され、1つはオンラインでもう1つは準備が整った状態で、中断することのないパージフローを可能にする。排出制御装置には、フレアフード、タールドロップ、水ジャケットコンデンサー、ベンチュリ水スプレースクラバー、充填層スクラバー、サイクロン、バグハウス、排気ファン、および相互接続ダクトが含まれていた。掃引ガスは、窯炉と排出装置を通って引き出され、大気に放出された。
【0056】
原料が加熱されると、最初に表面の水分が蒸発し、次に水酸化鉛と二酸化物が変換されて酸化鉛が形成された。530℃(+/-7℃)の目標製品温度で最高品質の製品が達成されると、焼成された材料は赤色から橙色、黄色へと複数の色に変化した。なお、か焼した材料を過熱すると、材料の色が橙色に戻り、脆くなり難くなる。
【0057】
例示的な操作のために、ロータリーキルンを向流操作用に配置し、シェルの回転速度を5rpmに設定し、シェルの勾配を0.8度(度)に設定して、推定保持時間を達成した。供給速度(feed rate)は、すべてのテスト試行にわたって一定に保たれた。シェルゾーンの温度は、530℃の目標製品温度の望ましい色特性を達成するように調整された。定常状態では、以下の表2に示すように次の結果が得られた。
【0058】
【0059】
【0060】
表2および3を参照すると、供給材料のサイズが縮小され(たとえば、最大サイズが1インチ未満)、炉の排出端のシェル温度が最大580℃に制限されて、通常560℃で作動し、炉の供給端のシェル温度が最大770℃に制限されて、通常730℃で作動した。これらの条件は、主なPbO(正方晶)含有量(すなわち、PbO2からPbOへの変換は少なくとも60mol%、または少なくとも70mol%、または少なくとも80mol%、または少なくとも85mol%、または少なくとも90mol%)で約520~530℃で窯炉から排出された全体的に黄色の製品を得るために典型的であった。したがって、洗浄された鉛ペースト供給材料は、その形状に関係なく、その寸法のいずれにおいても1インチ以下のサイズを有する。
【0061】
本明細書の説明および以下の特許請求の範囲全体で使用されるように、「a」、「an」、および「the」の意味は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、複数形を含む。また、本明細書の説明で使用されるように、「in」の意味は、文脈が明らかに他のことを示さない限り、「in」および「on」を含む。
【0062】
また、本明細書で使用される場合、文脈上別段の指示がない限り、「結合される」という用語は、直接結合(互いに結合される2つの要素が互いに接触する)および間接結合(少なくとも1つ追加の要素が2つの要素間に配置される)を意図している。したがって、「coupled to」および「coupled with」という用語は同義語として使用される。さらに、文脈が反対を指示しない限り、ここに記載されているすべての範囲は、それらの終点(端点)を含むものとして解釈されるべきであり、上限のない範囲は、商業的に実用的な値のみを含むものとして解釈されるべきである。同様に、文脈が反対のことを示していない限り、すべての値のリストは中間値を含むと見なされるべきである。
【0063】
しかしながら、当業者には、本明細書の本発明の概念から逸脱することなく、すでに説明したもの以外のさらに多くの修正が可能であることは明らかであるはずである。したがって、本発明の主題は、開示の精神を除いて制限されるべきではない。さらに、開示を解釈する際には、すべての用語は、文脈と一致する可能な限り広い方法で解釈されるべきである。特に、「comprise」および「comprising」という用語は、非排他的な方法で要素、コンポーネント、またはステップを指すものとして解釈されるべきであり、参照される要素、コンポーネント、またはステップが存在するか、利用されるか、または明示的に参照されていない他の要素、コンポーネント、またはステップと組み合わせることができることを意味する。