(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】熱ラミネーション装置
(51)【国際特許分類】
B29C 65/46 20060101AFI20230307BHJP
B29C 63/02 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
B29C65/46
B29C63/02
(21)【出願番号】P 2022007371
(22)【出願日】2022-01-20
【審査請求日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0013941
(32)【優先日】2021-02-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522028076
【氏名又は名称】ジョ イクレ
【氏名又は名称原語表記】JO, Ig Lae
【住所又は居所原語表記】601ho 202dong, 19, Woni-daero 863beon-gil, Seongsan-gu, Changwon-si, Gyeongsangnam-do, 51485 Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】522028087
【氏名又は名称】カン ヨンジェ
【氏名又は名称原語表記】KANG, Yong Je
【住所又は居所原語表記】501ho 110dong, 22, Myeongji ocean city 11-ro, Gangseo-gu, Busan, 46765 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジョ イクレ
(72)【発明者】
【氏名】カン ヨンジェ
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-105494(JP,A)
【文献】特開昭52-033814(JP,A)
【文献】特開昭53-012967(JP,A)
【文献】特表平08-507982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 63/00-65/82
B32B 1/00-43/00
C23C 26/00-30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム付着金属板製造のための熱ラミネーション装置であって、
金属板コイルを回転可能に支持し、前記金属板コイルを解くアンコイル部と、
地面から一定高さだけ離隔したプラットホームを含み、前記プラットホームには金属板排出部が形成された金属板下降タワーと、
前記金属板コイルから解かれた金属板を前記プラットホームの上に誘導する上昇誘導ユニットと、
前記金属板を前記プラットホームの上から前記金属板排出部を通して垂直に下降するように誘導する垂直下降誘導ユニットと、
前記プラットホームの下に配置され、垂直に下降する前記金属板を加熱する加熱ユニットと、
前記加熱ユニットによって加熱されてから垂直に下降する前記金属板の両面の少なくとも一面にフィルムを供給するフィルム供給ユニットと、
加熱された前記金属板と前記フィルムとを押圧してフィルム付着金属板を獲得するラミネーションユニット(lamination unit)と、
前記フィルム付着金属板を巻いて維持するリコイル部と
を含
み、
前記ラミネーションユニットと前記リコイル部との間に、
前記ラミネーションユニットを経て出た前記フィルム付着金属板を急冷する冷却ローラーと、
前記冷却ローラーによって急冷された前記フィルム付着金属板を加熱する保温チャンバーと、
前記保温チャンバーによって加熱された前記フィルムに柄を形成する柄形成ユニットと、
前記柄形成ユニットを通過した前記フィルム付着金属板を冷却させる冷却ユニットとをさらに含むことを特徴とする、熱ラミネーション装置。
【請求項2】
前記冷却ローラー、前記保温チャンバー及び前記柄形成ユニットは地下に配置され、前記地下には前記柄形成ユニットを通過した前記フィルム付着金属板を地上に誘導する上向き誘導ローラーが配置され、前記冷却ユニットは前記上向き誘導ローラーによって地上に誘導された前記フィルム付着金属板と接触しながら冷却させる複数の回転冷却ローラーを含むことを特徴とする、請求項
1に記載の熱ラミネーション装置。
【請求項3】
前記フィルム供給ユニットは、前記加熱ユニットによって加熱されてから下降する前記金属板に前記フィルムを供給する第1フィルム供給ユニット及び第2フィルム供給ユニットから構成され、
前記ラミネーションユニットは、加熱された前記金属板に対して前記フィルムを押圧する一対の押圧ローラーからなることを特徴とする、請求項1に記載の熱ラミネーション装置。
【請求項4】
前記金属板コイルから前記金属板が全部解かれたとき、前記金属板コイルの端部を切断するアンコイルカッターと、前記アンコイルカッターによって切断された前記金属板の一端部と前記アンコイル部に交替装着された金属板コイルとを溶接で連結する溶接機と、前記フィルム付着金属板が前記リコイル部に全部巻かれた後、前記フィルム付着金属板を切断するリコイルカッターとをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の熱ラミネーション装置。
【請求項5】
前記アンコイル部から解かれた前記金属板の片面又は両面にプライマーを塗布するプライマー塗布ユニットと、前記プライマーが塗布された前記金属板が通過するうち前記プライマーを乾燥させる乾燥チャンバーとをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の熱ラミネーション装置。
【請求項6】
前記プライマー塗布ユニットは、
前記金属板の上面に接触して回転する第1塗布ローラーと、
前記金属板の下面に接触して回転する第2塗布ローラーと、
前記プライマーを外周面につけて前記第1塗布ローラーに転移させる第1転移ローラーと、
前記プライマーを外周面につけて前記第2塗布ローラーに転移させる第2転移ローラーとを含むことを特徴とする、請求項
5に記載の熱ラミネーション装置。
【請求項7】
前記上昇誘導ユニットは、
S型ゴムローラー列によって前記金属板の移送動力を発生させ、前記金属板下降タワーの前側で地面に配置された下部動力供給部と、
前記S型ゴムローラー列によって前記金属板の移送動力を発生させ、前記金属板下降タワーの前記プラットホームに設けられた上部動力供給部と、
前記下部動力供給部から移送される前記金属板を前記上部動力供給部に案内する一つ以上のガイドローラーとを含むことを特徴とする、請求項1に記載の熱ラミネーション装置。
【請求項8】
前記垂直下降誘導ユニットは、前記プラットホームに沿って移送された前記金属板を折って前記金属板排出部を通過させるようにガイドする下降ガイドローラーと、前記金属板が前記金属板排出部を通過するとき、前記金属板を整列させる整列器とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の熱ラミネーション装置。
【請求項9】
前記加熱ユニットはインダクションを含み、前記インダクションによって加熱された前記金属板の両端と中央の温度を測定するために、前記金属板の幅に沿って配列された少なくとも3個の温度センサーが配置されることを特徴とする、請求項1に記載の熱ラミネーション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルム付着金属板(film laminated metal plate)の製造に関し、より詳しくは金属板の片面又は両面にフィルムを熱で付着するための熱ラミネーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、冷蔵庫、洗濯機、TVなどの家電製品のケースには亜鉛メッキ鋼板又はスズメッキ鋼板などのような鋼板又はその他の金属板の表面にPETなどのフィルムが付着されたフィルム付着金属板が用いられる。このようなフィルム付着金属板は金属板に付着されたPETフィルムによって優れた審美性を有するだけでなく、耐スクラッチ性、耐久性及び加工性に優れるという利点がある。
【0003】
従来には、金属板の表面に接着剤を塗布し、その接着剤でPETフィルムを金属板の表面に付着した。しかし、このような従来技術の場合、PETフィルムを付着する過程にコストが高くかかり、生産性が落ち、PETフィルムの付着過程で不良率が高く、製造過程で接着剤に含まれた揮発性有機溶剤の使用によって人体に有害な有機化合物(VOCs)が発生する問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上述したような点に鑑みて案出されたものであり、金属板の片面又は両面に接着剤を使わず、熱でフィルムを付着する熱ラミネーション装置を提供することを目的とする。
【0006】
本発明の目的は上述したものに限定されず、言及しなかった他の目的は下記の記載から通常の技術者に明らかに理解可能であろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述したような目的を達成するための本発明の一側面によるフィルム付着金属板製造のための熱ラミネーション装置は、金属板コイルを回転可能に支持し、金属板コイルを解くアンコイル部と、地面から一定高さだけ離隔したプラットホームを含み、前記プラットホームには金属板排出部が形成された金属板下降タワーと、前記金属板コイルから解かれた金属板を前記プラットホームの上に誘導する上昇誘導ユニットと、金属板を前記プラットホームの上から前記金属板排出部を通して垂直に下降するように誘導する垂直下降誘導ユニットと、前記プラットホームの下に配置され、垂直に下降する金属板を加熱する加熱ユニットと、前記加熱ユニットによって加熱されてから垂直に下降する金属板の両面の少なくとも一面にフィルムを供給するフィルム供給ユニットと、加熱された金属板とフィルムとを押圧してフィルム付着金属板を獲得するラミネーションユニット(lamination unit)と、前記フィルム付着金属板を巻いて維持するリコイル部とを含む。
【0008】
前記熱ラミネーション装置は、前記ラミネーションユニットと前記リコイル部との間に、前記ラミネーションユニットを経て出たフィルム付着金属板を急冷する冷却ローラーと、前記冷却ローラーによって急冷されたフィルム付着金属板を加熱する保温チャンバーと、前記保温チャンバーによって加熱されたフィルムに柄を形成する柄形成ユニットと、前記柄形成ユニットを通過したフィルム付着金属板を冷却させる冷却ユニットとをさらに含むことができる。
【0009】
前記冷却ローラー、前記保温チャンバー及び前記柄形成ユニットは地下に配置され、前記地下には前記柄形成ユニットを通過したフィルム付着金属板を地上に誘導する上向き誘導ローラーが配置され、前記冷却ユニッは前記上向き誘導ローラーによって地上に誘導されたフィルム付着金属板と接触しながら冷却させる複数の回転冷却ローラーを含むことができる。
【0010】
前記フィルム供給ユニットは、前記加熱ユニットによって加熱されてから下降する金属板にフィルムを供給する第1フィルム供給ユニット及び第2フィルム供給ユニットから構成され、前記ラミネーションユニットは、加熱された金属板に対してフィルムを押圧する一対の押圧ローラーからなることができる。
【0011】
前記熱ラミネーション装置は、当該金属板コイルから金属板が全部解かれたとき、当該金属板コイルの端部を切断するアンコイルカッターと、前記アンコイルカッターによって切断された金属板の一端部と前記アンコイル部に交替装着された金属板コイルとを溶接で連結する溶接機と、フィルム付着金属板が前記リコイル部に全部巻かれた後、フィルム付着金属板を切断するリコイルカッターとをさらに含むことができる。
【0012】
前記熱ラミネーション装置は、前記アンコイル部から解かれた金属板の片面又は両面にプライマーを塗布するプライマー塗布ユニットと、プライマーが塗布された金属板が通過するうちプライマーを乾燥させる乾燥チャンバーとをさらに含むことができる。
【0013】
前記プライマー塗布ユニットは、金属板の上面に接触して回転する第1塗布ローラーと、金属板の下面に接触して回転する第2塗布ローラーと、プライマーを外周面につけて前記第1塗布ローラーに転移させる第1転移ローラーと、プライマーを外周面につけて前記第2塗布ローラーに転移させる第2転移ローラーとを含むことができる。
【0014】
前記上昇誘導ユニットは、S型ゴムローラー列によって金属板の移送動力を発生させ、前記金属板下降タワーの前側で地面に配置された下部動力供給部と、S型ゴムローラー列によって金属板の移送動力を発生させ、前記金属板下降タワーのプラットホームに設けられた上部動力供給部と、前記下部動力供給部から移送される金属板を前記上部動力供給部に案内する一つ以上のガイドローラーとを含むことができる。
【0015】
前記垂直下降誘導ユニットは、前記プラットホームに沿って移送された金属板を折って前記金属板排出部を通過させるようにガイドする下降ガイドローラーと、金属板が前記金属板排出部を通過するとき、金属板を整列させる整列器とを含むことができる。
【0016】
前記加熱ユニットはインダクションを含み、前記インダクションによって加熱された金属板の両端と中央の温度を測定するために、金属板の幅に沿って配列された少なくとも3個の温度センサーが配置されることができる。
【発明の効果】
【0017】
上述したような本発明による熱ラミネーション装置による場合、接着剤の使用なしにも金属板の片面又は両面にPETなどのフィルムを信頼できるように付着することができるという利点がある。
【0018】
また、生産性に優れ、接着剤の使用なしに熱で金属板の表面にフィルムを付着するので、環境に優しいという利点がある。
【0019】
本発明の効果は上述したものに限定されず、言及しなかった他の効果は下記の記載から通常の技術者に明らかに理解可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施例による熱ラミネーション装置を全般的に説明するための図である。
【
図2】本発明の一実施例による熱ラミネーション装置のアンコイル部を説明するための図である。
【
図3】本発明の一実施例による熱ラミネーション装置のプライマー塗布ユニットを説明するための図である。
【
図4】本発明の一実施例による熱ラミネーション装置の垂直下降誘導ユニットを説明するための図である。
【
図5】本発明の一実施例による熱ラミネーション装置のラミネーションユニットを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施例について本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は様々な形態に具現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0022】
本発明の説明において、図面に示した構成要素のサイズや形状などは説明の明瞭性及び便宜性のために誇張するか単純化して示すことができる。
【0023】
また、本発明の構成及び作用を考慮して特別に定義された用語は、使用者、運用者の意図又は慣例によって変わることができる。このような用語はこの明細書全般の内容に基づいて本発明の技術的思想に合う意味及び概念に解釈されなければならない。
【0024】
本発明を明らかに説明するために、本発明の技術的思想に関係ない部分の説明は省略し、明細書全般にわたって同一又は類似の構成要素に対しては同じ参照符号を付ける。
【0025】
また、いくつかの実施例において、同じ構成を有する構成要素に対しては同じ符号を用いて代表的な実施例のみ説明し、その他の実施例は代表的な実施例とは違う構成のみについて説明する。
【0026】
明細書全般で、ある部分が他の部分と“連結”されているというとき、これは“直接的に連結”されている場合だけではなく、他の部材を挟んで“間接的に連結”されているものも含む。また、ある部分がある構成要素を“含む”というとき、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むものを意味することができる。
【0027】
図1に示すように、本発明の一実施例による熱ラミネーション装置は、金属板コイルm’を回転可能に支持し、金属板コイルm’を解くアンコイル部11と、地面Gから一定高さだけ離隔したプラットホーム61を含み、前記プラットホーム61に金属板排出部62が形成された金属板下降タワー60と、前記金属板コイルm’から解かれた金属板mを前記プラットホーム61上に誘導する上昇誘導ユニット41、42、43、44と、金属板mが前記プラットホーム61の上から前記金属板排出部62を通して垂直に下降するように誘導する垂直下降誘導ユニット51、52と、前記プラットホーム61の下に配置され、垂直に下降する金属板mを加熱する加熱ユニット70と、前記加熱ユニット70によって加熱されてから下降する金属板mの両面のそれぞれにフィルムfを供給する第1フィルム供給ユニット80a及び第2フィルム供給ユニット80bと、加熱された金属板mとフィルムfを押圧してフィルム付着金属板Mを獲得するラミネーションユニット90と、前記フィルム付着金属板Mを巻き付いて維持するリコイル部180とを含む。
【0028】
図2を参照すると、前記アンコイル部11は、油圧モーターによって回転するアンコイルローラー112を含む。前記アンコイルローラー112は、コイル化した金属板、すなわち金属板コイルm’を回転可能に支持し、金属板mを引っ張る力によって金属板mが一方向に解かれることを許す。前記アンコイルローラー112の回転軸を支持する空圧式軸支持部113をさらに含むことができ、前記軸支持部113は、金属板コイルm’の重さによって前記アンコイルローラー112に加わる負荷を分散させることで、過負荷がかからないようにする。金属板コイルm’の装着及び解除のためにコイルカーを用い、コイルカーの利用前には別途のコイル支持台が金属板コイルm’を支える。
【0029】
また、
図1を参照すると、本発明の一実施例による熱ラミネーション装置は、前記アンコイル部11と前記上昇誘導ユニット41、42、43、44との間に、積下機12、アンコイルカッター13、溶接機14及び初期動力供給部15を含み、前記積下機12、前記アンコイルカッター13、前記溶接機14及び前記初期動力供給部15は金属板mが解かれる方向に順に配列される。
【0030】
前記積下機12は解かれた金属板mの移送を助けるように提供され、前記カッター13は当該金属板コイルm’の金属板mが解かれた後、他の金属板コイルm’との溶接のために、その金属板mの端部が切断されるように適用される。
【0031】
前記溶接機14は交替された金属板コイルm’の金属板mと既存の金属板mの端部とを連結するために使われる。前記カッター13としては油圧カッターを有利に用いることができ、前記溶接機14としてはTIG溶接機を有利に用いることができる。前記初期動力供給部15は、金属板mをS形にぴんと引っ張りながら移送させるように、一対のゴムローラーから構成される。
【0032】
また、本発明の一実施例による熱ラミネーション装置は、前記アンコイル部11から解かれた金属板mの片面又は両面にプライマーを塗布するプライマー塗布ユニット20を含む。金属板mの片面又は両面にフィルムfを付着するにあたり、その付着を助けるために、水溶性プライマーを金属板mの片面又は両面に塗布することができる。フィルムfを片面のみに付着する場合には、金属板mの上面又は下面のいずれか一面にだけプライマーを塗布することができる。さらに、金属板mとフィルムfの特性上、熱ラミネーション工程のみでフィルムfが金属板mの表面に信頼できるように付着される場合に限り、前記プライマー塗布ユニット20を省略することができる。これは、金属板mの移動経路から後述するプライマー槽を除く簡単な作業又はプライマー槽のプライマーを除去する簡単な作業によってプライマー塗布工程を省略することができる。
【0033】
図3を参照すると、前記プライマー塗布ユニット20は、金属板mの上面に接触して回転する第1塗布ローラー21と、金属板mの下面に接触して回転する第2塗布ローラー22と、プライマーをそれぞれ収容した第1プライマー槽23及び第2プライマー槽24と、前記第1プライマー槽23に部分的に漬かったままで回転し、外周面についたプライマーを前記第1塗布ローラー21に転移させる第1転移ローラー25と、前記第2プライマー槽24に部分的に漬かったままで回転し、外周面についたプライマーを前記第2塗布ローラー22に転移させる第2転移ローラー26とを含む。また、前記プライマー塗布ユニット20は、金属板mの上面と下面が順に第1塗布ローラー21及び第2塗布ローラー22の表面に接触するように金属板mをガイドするガイドローラーをさらに含む。前記ガイドローラーのうち最大外周を有するメインガイドローラー27は第1塗布ローラー21が金属板mの上面と接触するときに金属板mを支える役割をさらに果たす。前記第1塗布ローラー21及び前記第2塗布ローラー22はシリコンなどの粘弾性材料を外周面に備えることが好ましい。説明の便宜のために、前記プライマー塗布ユニット20の構成のうちローラーを支持するフレーム及び駆動手段の図示は図面から省略した。
【0034】
また、
図1を参照すると、前記プライマー塗布ユニット20によって片面又は両面にプライマーが塗布された金属板mは前方に移動して地面に水平に配置された乾燥チャンバー30を通過する。前記乾燥チャンバー30は、プライマーが片面又は両面に塗布された金属板mが通過するうちプライマーを加熱して乾燥させる。
【0035】
一方、前記上昇誘導ユニット41、42、43、44は、前記乾燥チャンバー30を通過した金属板mを前述したプラットホーム61の上に上昇誘導するように構成される。このために、前記上昇誘導ユニット41、42、43、44は、金属板下降タワー60の前側で地面に配置された下部動力供給部41と、前記金属板下降タワー60のプラットホーム61に配置された上部動力供給部44と、前記下部動力供給部41から上昇移送される金属板mを前記上部動力供給部44に案内する複数のガイドローラー42、43とを含む。前記下部動力供給部41は、S型ゴムローラー列411、412によって金属板mをS形に変形させながら金属板mの移送動力を発生させるように構成される。
【0036】
前記ガイドローラー42、43の中で一つのガイドローラー42は前記プラットホーム61の一端に設けられ、前記下部動力供給部41を経て斜めに上昇した金属板mを1次に折って前記上部動力供給部44側にガイドし、他のガイドローラー43は金属板mをもっと折って前記プラットホーム61にほとんど平行を成すように金属板mをガイドする。前記下部動力供給部41及び前記上部動力供給部44による動力とガイドローラー42、43による案内とにより、金属板mは前記プラットホーム61の金属板排出部62付近まで誘導される。前記上部動力供給部44はS型ゴムローラー列441、442によって金属板mをS形に変形させながら金属板mの移送動力を発生させるように構成される。
【0037】
前記垂直下降誘導ユニット51、52は、前記金属板mが前記プラットホーム61の上から前記金属板排出部62を通して垂直に下降するように誘導するために提供される。
図1及び
図4に示すように、前記垂直下降誘導ユニット51、52は、前記プラットホーム61に沿って移送された金属板mが折れて前記金属板排出部62を通過するようにガイドする下降ガイドローラー51と、前記金属板mが前記金属板排出部62を通過して垂直に下降するとき、前記プラットホーム61の上から金属板mを一側に偏らないように整列させる整列器52とを含む。前記整列器52は、前記金属板mの一側端を基準に前記金属板mが垂直に下降するうち左右に偏らないようにその位置を整列する。
【0038】
また、
図1を参照すると、前記加熱ユニット70は前記プラットホーム61の金属板排出部62の直下に配置され、前記金属板排出部62を通して垂直に下降する金属板mの通過を許しながら加熱するインダクションであることが好ましい。前記加熱ユニット70によって前記金属板mに加わった熱はフィルムfを金属板mの表面に熱ラミネーションするのに用いられる。
【0039】
図1及び
図5を一緒に参照すると、前記加熱ユニット70の下には、前記加熱ユニット70によって加熱されてから垂直に下降する金属板mの両面にフィルムfをそれぞれ供給する第1フィルム供給ユニット80a及び第2フィルム供給ユニット80bと、加熱された金属板mとフィルムfとを押圧してフィルム付着金属板Mを形成するラミネーションユニット90が配置される。図示しなかったが、前記第1フィルム供給ユニット80a及び第2フィルム供給ユニット80bは、フィルムラミネーションの前にフィルム維持ローラーに巻かれたフィルムを供給するフィルム供給ローラーと、フィルムを切断するための切断部と、前記第1フィルム供給ユニット80aをラミネーションユニット90に接近させる方向又は遠くなる方向に移動させる移動部と、前記第2フィルム供給ユニット80bをラミネーションユニット90に接近させる方向又は遠くなる方向に移動させる移動部とを含むことができる。
【0040】
また、前記加熱ユニット70と前記ラミネーションユニット90との間には、前記金属板mの温度を測定する複数の温度センサー72が配置される。前記複数の温度センサー72によって測定された金属板mの温度によって、前記加熱ユニット70の金属板加熱温度が制御される。金属板mの温度が設定温度より低ければフィルムfが金属板mによく付着することができなく、金属板mの温度が設定温度より高ければフィルムfが熱によって損傷されるおそれが高くなる。ここで、金属板mは全面積にわたって均一に加熱されなければならない。このために、金属板mの全領域をカバーすることができる温度測定が要求される。よって、前記複数の温度センサー72は、前記加熱ユニット70によって加熱された金属板mの両端と中央の温度を測定するように金属板mの幅に沿って配列された少なくとも3個の温度センサー72、72、72を含む。また、前記ラミネーションユニット90は、一対のフィルムf、fとその間に位置する金属板mを挟み、一対のフィルムf、fを金属板mの両面に押圧する一対の押圧ローラー92、92からなる。一対の押圧ローラー92、92は、耐熱性シリコンを含むローラーを含むことができる。
【0041】
また、本実施例による熱ラミネーション装置は、前記ラミネーションユニット90と前記リコイル部180との間に、冷却ローラー110、保温チャンバー120、柄形成ユニット130及び冷却ユニット150を順に含む。ここで、垂直に下降したフィルム付着金属板Mを十分に冷却及び保温した後、フィルムに柄を形成するように、前記冷却ローラー110、前記保温チャンバー120及び前記柄形成ユニット130は前記地面Gより下側に位置する地下に配置される。また、前記柄形成ユニット130を通過したフィルム付着金属板Mを地上に誘導するように、フィルム付着金属板Mが上側に折れて移送されることを許す上向き誘導ローラー142が地下に配置される。地上には、地上に流れ方向が誘導されたフィルム付着金属板Mを冷却ユニット150に向けて移送させるS型ゴムローラー列を含む動力供給部143が配置される。
【0042】
前記冷却ローラー110は前記ラミネーションユニット90を通して出たフィルム付着金属板Mを急冷するものであり、冷却水又は冷媒によって冷却される金属材、特にSUS材のローラーを含むことができる。前記保温チャンバー120は、前記冷却ローラー110によって急冷されたフィルム付着金属板Mを加熱して温度を維持するように構成される。前記保温チャンバー120は地下に水平に設けられることができる。前記保温チャンバー120による加熱はフィルムに柄を成形することができる程度の加熱温度であれば充分であり、加熱温度が150℃を超えないようにすることが好ましい。前記柄形成ユニット130は前記保温チャンバー120によって加熱されたフィルム付着金属板Mのフィルムに、例えばエンボスのような柄を形成するように構成されたものであり、柄に相応するパターンを備えた押圧ローラーを用いることができる。
【0043】
フィルムに柄が形成された後、地上に上昇したフィルム付着金属板Mは冷却ユニット150によって冷却される。前記冷却ユニット150は、前記フィルム付着金属板Mの表面と接触する複数の冷却ローラー152を含む。ここで、図示しなかったが、冷却されたフィルム付着金属板Mには保護フィルムが付着されることができる。前記冷却ユニット150を基準に下流側には、フィルム付着金属板Mを最終的にリコイル部180に巻かれるように引っ張る最終動力供給部160と、前記リコイル部180の前側で前記フィルム付着金属板Mを切断するリコイルカッター170とが順に配置される。前記リコイルカッター170は前述したアンコイルカッターの構成とほとんど同一であるか類似しており、前記リコイル部180は、油圧によって回転してフィルム付着金属板Mを巻くリコイルローラー182を含むものであり、前述したアンコイル部の構造とほとんど同一である。
【0044】
以下、前述した熱ラミネーション装置の作用を
図1に基づいて説明する。
アンコイル部11に新しい金属板コイルm’が装着されれば、その金属板コイルm’の端部と既存の金属板mの端部が溶接機14によって溶接されることで新しいラミネーション作業が始まる。プライマー塗布ユニット20は前記アンコイル部11から解かれた金属板mの片面又は両面に熱ラミネーションを助けるプライマーを塗布する。前記乾燥チャンバー30は、プライマーが塗布された金属板mの通過を許し、金属板mが通過するうちに金属板mの片面又は両面に塗布されたプライマーを乾燥させる。乾燥チャンバー30を通過した金属板mは上昇誘導ユニット41、42、43、44の助けによって金属板下降タワー60のプラットホーム61の上に斜めに上昇移動し、上昇移動した金属板mは垂直下降誘導ユニット51、52の助けによって前記プラットホーム61に形成された金属板排出部62を通して下方に垂直に下降する。インダクションから構成された加熱ユニット70は垂直に下降する金属板mを加熱し、前記第1フィルム供給ユニット80a及び第2フィルム供給ユニット80bは加熱された金属板mの両面にフィルムfをそれぞれ供給する。前記ラミネーションユニット90は、一対の押圧ローラー92、92によって、加熱された金属板mの片面又は両面のフィルムfを金属板mに対して押圧する。これにより、片面又は両面にフィルムが付着されたフィルム付着金属板Mが得られる。フィルム付着金属板Mは地下まで下降し、地下に下降したフィルム付着金属板Mは地下空間に位置する冷却ローラー110に接触して1次冷却される。次いで、フィルム付着金属板Mは保温チャンバー120を通過しながらさらに加熱され、柄形成ユニット130はフィルム付着金属板Mの加熱されたフィルムにエンボスのような柄を形成する。柄の形成されたフィルム付着金属板Mは地上に上昇して冷却ユニット150によって冷却された後、リコイル部180に巻かれる。巻取りが完了すれば、リコイルカッター170によってフィルム付着金属板Mが切断される。
【0045】
以上で本発明について好適な例を説明したが、本発明の範囲が前述した図示の形態に限定されるものではない。
【0046】
例えば、柄形成ユニット130によってフィルム付着金属板Mのフィルムに柄を形成する場合、冷却ローラー110には冷却水又は冷媒が供給されないようにすることができ、フィルム付着金属板Mのフィルムに柄を形成しない場合には、柄形成ユニット130をパターンを備えた押圧ローラーを用いる代わりに、パターンを備えていない通常のローラーを使うこともできる。
【0047】
また、前述した構成要素の動作は図示しない制御部によって制御することができる。
【0048】
これまで本発明を本発明の原理を例示するための好適な実施例に基づいて図示しながら説明したが、本発明はそのように図示しながら説明した通りの構成及び作用に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲の思想及び範囲を逸脱することなしに、本発明に対する多数の変更及び修正が可能であるというのが本発明の属する技術分野の通常の技術者はよく理解可能であろう。
【符号の説明】
【0049】
11 アンコイル部
60 金属板下降タワー
70 加熱ユニット
90 ラミネーションユニット
180 リコイル部