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特許7239767挿し穂植栽システムおよび挿し穂植栽装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】挿し穂植栽システムおよび挿し穂植栽装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 2/10 20180101AFI20230307BHJP
【FI】
A01G2/10
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022111398
(22)【出願日】2022-07-11
【審査請求日】2022-08-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506311068
【氏名又は名称】株式会社アビリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100159178
【弁理士】
【氏名又は名称】榛葉 貴宏
(72)【発明者】
【氏名】木村 克也
(72)【発明者】
【氏名】船渡川 隼人
【審査官】中村 圭伸
(56)【参考文献】
【文献】特許第6125435(JP,B2)
【文献】特開平09-191715(JP,A)
【文献】特開2007-151504(JP,A)
【文献】特開2002-233250(JP,A)
【文献】特許第4636237(JP,B2)
【文献】特開2002-176858(JP,A)
【文献】特開2007-274996(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109041848(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/00 - 11/02
A01G 2/00 - 2/38
A01G 9/00 - 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿し穂を培地に植栽するための挿し穂植栽システムであって、
挿し穂を載置する載置部と、前記載置部に対向するように設けられた押さえ部と、前記押さえ部を前記載置部に当接または離間するように動作させる載置部駆動装置と、を備える把持装置と、
前記把持装置の姿勢を、前記載置部が略水平となる第1位置と、前記載置部が略鉛直となる第2位置とに切り替える植栽駆動装置と、
前記把持装置および前記植栽駆動装置の動作を制御する制御装置と、を有し、
前記制御装置は、前記把持装置を前記第1位置として前記把持装置に挿し穂を直接把持させる第1動作と、前記把持装置を前記第2位置として前記把持装置で把持した挿し穂を、把持した状態のまま培地に植栽する第2動作と、を実行する、挿し穂植栽システム。
【請求項2】
前記把持装置は、前記載置部または前記押さえ部から外方に延出される長尺のガイド部材を有し、
前記ガイド部材は、前記把持装置を前記第2位置として前記挿し穂を培地に植栽する際に、前記挿し穂を支持すると共に前記培地を掘る、請求項1に記載の挿し穂植栽システム。
【請求項3】
前記ガイド部材を進出および後退させるガイド部材駆動装置をさらに有し、
前記制御装置は、前記把持装置で把持した挿し穂を培地に植栽する場合は、前記ガイド部材駆動装置に、前記ガイド部材を培地に向かって進出させた状態とさせ、挿し穂を培地に植栽した後は、前記ガイド部材駆動装置に、前記ガイド部材を培地から離れる方向に後退させることで前記ガイド部材を培地から引き抜く、請求項2に記載の挿し穂植栽システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記ガイド部材を培地から引き抜く際に、前記把持装置に挿し穂を把持させた状態で、前記ガイド部材駆動装置に前記ガイド部材を後退させる、請求項3に記載の挿し穂植栽システム。
【請求項5】
前記把持装置を水平方向に移動させる把持装置駆動部をさらに有し、
前記制御装置は、前記ガイド部材駆動装置に前記ガイド部材を培地から離れる方向に後退させて前記ガイド部材を培地から引き抜いた後に、前記把持装置駆動部により、前記把持装置を、培地に挿入された挿し穂から離れる方向に水平移動させる、請求項3に記載の挿し穂植栽システム。
【請求項6】
前記載置部または前記押さえ部は、前記載置部または前記押さえ部に溝を有しており、
前記溝に前記ガイド部材の一部が埋設されている、請求項2に記載の挿し穂植栽システム。
【請求項7】
前記載置部駆動装置は、
前記載置部と前記押さえ部との接合部分に第1回転軸と、
前記第1回転軸を中心として前記押さえ部を回動させる第1駆動部とを有し、
前記第1駆動部は、前記第1回転軸を中心として前記押さえ部を回動させることで、前記載置部の載置面と前記押さえ部の押さえ面とを対向しながら近接させる、請求項1に記載の挿し穂植栽システム。
【請求項8】
前記植栽駆動装置は、
前記把持装置の回動中心となる第2回転軸と、
前記第2回転軸を中心として前記把持装置を回動させる第2駆動部とを有し、
前記第2駆動部は、前記第2回転軸を中心として前記把持装置を回動させることで、前記把持装置の姿勢を前記第1位置と、前記第2位置とで切り替える、請求項1に記載の挿し穂植栽システム。
【請求項9】
前記把持装置は、複数の挿し穂を同時に把持し、培地に複数の挿し穂を一度に植栽可能であり、
前記載置部の載置面は、前記複数の挿し穂を載置可能な単一の面であり、
前記押さえ部は、前記挿し穂に応じた数だけ設けられる、請求項1に記載の挿し穂植栽システム。
【請求項10】
挿し穂を撮像するカメラと、
前記カメラにより撮像された挿し穂の撮像画像を画像解析する画像解析装置と、
前記撮像画像の画像解析結果に基づいて、挿し穂をピックアップするピックアップロボットと、をさらに有し、
前記制御装置は、前記把持装置を前記第1位置にして、前記ピックアップロボットに挿し穂を前記載置部に載置させる、請求項1に記載の挿し穂植栽システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿し穂を培地に植栽するための挿し穂植栽装置および挿し穂植栽システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植物の挿し穂を培地に植栽する装置が開示されている。たとえば、特許文献1では、カメラにより複数の挿し穂の中からピックアップに適した挿し穂を識別し、識別された挿し穂をピックアップツールによりピックアップし、植栽システムにより、ピックアップした複数の挿し穂を培地に同時に植栽するシステムが開示されている。特に、特許文献1においては、植栽システムが、2つの対向部材を有する挿し穂クランプと、2つの対向部材を有する保持装置とを有し、挿し穂クランプの対向部材により、挿し穂の上部をクランプするとともに、保持装置の対向部材により、挿し穂の下部を囲い込んで保持する構成となっている。これにより、挿し穂を培地に空けた窪みに挿入する際に、保持装置により挿し穂を培地の窪みまで案内することができ、挿し穂を適切に培地の窪みに挿入することを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許6125435号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、培地に窪みを予め設けておく必要があり、培地に窪みを設けていない場合には、挿し穂を培地に挿入する際に、挿し穂の下端部が折れ曲がってしまって培地に挿し穂を挿入できない場合や、挿し穂が折れて傷ついてしまう場合があった。
【0005】
本発明は、挿し穂を培地に適切に植栽することができる、挿し穂植栽システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る挿し穂植栽システムは、挿し穂を培地に植栽するための挿し穂植栽システムであって、挿し穂を載置する載置部と、前記載置部に対向するように設けられた押さえ部と、前記押さえ部を前記載置部に当接または離間するように動作させる載置部駆動装置と、を備える把持装置と、前記把持装置の姿勢を、前記載置部が略水平となる第1位置と、前記載置部が略鉛直となる第2位置とに切り替える植栽駆動装置と、前記把持装置および前記植栽駆動装置の動作を制御する制御装置と、を有し、前記制御装置は、前記把持装置を前記第1位置として前記把持装置に挿し穂を直接把持させる第1動作と、前記把持装置を前記第2位置として前記把持装置で把持した挿し穂を、把持した状態のまま培地に植栽する第2動作と、を実行する。
上記挿し穂植栽システムにおいて、前記把持装置は、前記載置部または前記押さえ部から外方に延出される長尺のガイド部材を有し、前記ガイド部材は、前記把持装置を前記第2位置として前記挿し穂を培地に植栽する際に、前記挿し穂を支持すると共に前記培地を掘る構成とすることができる。
上記挿し穂植栽システムにおいて、前記ガイド部材を進出および後退させるガイド部材駆動装置をさらに有し、前記制御装置は、前記把持装置で把持した挿し穂を培地に植栽する場合は、前記ガイド部材駆動装置に、前記ガイド部材を培地に向かって進出させた状態とさせ、挿し穂を培地に植栽した後は、前記ガイド部材駆動装置に、前記ガイド部材を培地から離れる方向に後退させることで前記ガイド部材を培地から引き抜く構成とすることができる。
上記挿し穂植栽システムにおいて、前記制御装置は、前記ガイド部材を培地から引き抜く際に、前記把持装置に挿し穂を把持させた状態で、前記ガイド部材駆動装置に前記ガイド部材を後退させる構成とすることができる。
上記挿し穂植栽システムにおいて、前記把持装置を水平方向に移動させる把持装置駆動部をさらに有し、前記制御装置は、前記ガイド部材駆動装置に前記ガイド部材を培地から離れる方向に後退させて前記ガイド部材を培地から引き抜いた後に、前記把持装置駆動部により、前記把持装置を、培地に挿入された挿し穂から離れる方向に水平移動させる構成とすることができる。
上記挿し穂植栽システムにおいて、前記載置部または前記押さえ部は、前記載置部または前記押さえ部に溝を有しており、前記溝に前記ガイド部材の一部が埋設されている構成とすることができる。
上記挿し穂植栽システムにおいて、前記載置部駆動装置は、前記載置部と前記押さえ部との接合部分に第1回転軸と、前記第1回転軸を中心として前記押さえ部を回動させる第1駆動部とを有し、前記第1駆動部は、前記第1回転軸を中心として前記押さえ部を回動させることで、前記載置部の載置面と前記押さえ部の押さえ面とを対向しながら近接させる構成とすることができる。
上記挿し穂植栽システムにおいて、前記植栽駆動装置は、前記把持装置の回動中心となる第2回転軸と、前記第2回転軸を中心として前記把持装置を回動させる第2駆動部とを有し、前記第2駆動部は、前記第2回転軸を中心として前記把持装置を回動させることで、前記把持装置の姿勢を前記第1位置と、前記第2位置とで切り替える構成とすることができる。
上記挿し穂植栽システムにおいて、前記把持装置は、複数の挿し穂を同時に把持し、培地に複数の挿し穂を一度に植栽可能であり、前記載置部の載置面は、前記複数の挿し穂を載置可能な単一の面であり、前記押さえ部の前記押さえ面は、前記挿し穂の数と同数の数だけ設ける構成とすることができる。
上記挿し穂植栽システムにおいて、挿し穂を撮像するカメラと、前記カメラにより撮像された挿し穂の撮像画像を画像解析する画像解析装置と、前記撮像画像の画像解析結果に基づいて、挿し穂をピックアップするピックアップロボットと、をさらに有し、前記制御装置は、前記把持装置を前記第1位置にして、前記ピックアップロボットに挿し穂を前記載置部に載置させる構成とすることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、挿し穂を培地に適切に植栽することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る挿し穂植栽システムの斜視図である。
図2】本実施形態に係る挿し穂植栽システムの筐体のフードを取り外した場合の斜視図である。
図3】本実施形態に係る挿し穂植栽システムの平面図である。
図4】本実施形態に係る植栽ユニットの斜視図である。
図5】本実施形態に係る植栽ユニットを別の方向から見た斜視図である。
図6】ガイド部材周辺の拡大斜視図である。
図7】ガイド部材周辺を突出方向から見た概要図である。
図8】植栽ユニットの植栽方法を説明するための図(その1)である。
図9】植栽ユニットの植栽方法を説明するための図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る挿し穂植栽システムの実施形態を、図を参照して説明する。本発明に係る挿し穂植栽システムは、作業者が挿し穂を供給することで、供給された挿し穂を培地に自動で植栽するシステムである。なお、本発明において「挿し穂」となる植物は特に限定されず、挿し木を行うための樹木の枝や茎、挿し芽を行うための草花の枝や茎、さらには葉挿しとも呼ばれる葉を培地に挿入して芽や根を出させる繁殖法で用いる葉などにも適用することができる。
【0010】
図1は、本実施形態に係る挿し穂植栽システム1を示す斜視図である。また、図2は、本実施形態に係る挿し穂植栽システム1の筐体10のカバー12を外した場合の斜視図である。さらに、図3は、本実施形態に係る挿し穂植栽システム1の平面図である。本実施形態に係る挿し穂植栽システム1は、図1ないし図3に示すように、筐体10と、ピックアップユニット20と、植栽ユニット30と、制御装置40と、培地移送用コンベア50とを有する。本実施形態において、筐体10、ピックアップユニット20、植栽ユニット30、制御装置40および培地移送用コンベア50はそれぞれ独立した構成とすることもできるし、一体的に構成することもできる。
【0011】
図1に示すように、筐体10は、ピックアップユニット20、植栽ユニット30、制御装置40および培地移送用コンベア50を固定するための架台となる枠体11と、枠体11の内側に載置されるピックアップユニット20および植栽ユニット30を囲うカバー12とを有する。また、図1に示すように、カバー12の外側には、作業者が操作するための操作部61と、モニター62とが設けられている。作業者は、モニター62の表示を見ながら、操作部61を操作することで、作業者の指示を、制御装置40に出力することができる。また、モニター62には、カメラ22により撮像された撮像画像が表示される構成とすることもできる。
【0012】
図2および図3に示すように、ピックアップユニット20は、ワーク投入コンベア21と、カメラ22と、ピックアップロボット23とを有する。ワーク投入コンベア21には、作業者により、あるいは、ホッパーなどの機器により、挿し穂が投入される。ワーク投入コンベア21に投入された挿し穂は、ワーク投入コンベア21により、カメラ22およびピックアップロボット23が設置された位置付近まで搬送される。なお、ワーク投入コンベア21の挿し穂投入側の反対側には、ピックアップロボット23でピックアップできなかった挿し穂を回収するための回収部を設ける構成としてもよいし、ピックアップできなかった挿し穂を作業者の位置まで戻すためのコンベアをワーク投入コンベア21の下に設ける構成としてもよい。
【0013】
カメラ22は、ワーク投入コンベア21を搬送されている複数の挿し穂を撮像する。そして、カメラ22は、撮像した挿し穂の画像を、制御装置40に送信する。制御装置40は、カメラ22により撮像された挿し穂の画像を取得し、画像解析を行い、挿し穂の茎の部分を識別する。そして、制御装置40は、識別した挿し穂の茎を把持するように、ピックアップロボット23の動作を制御する。なお、制御装置40は、画像の特徴量を分析して挿し穂の茎を解析する画像解析を行ってよいし、機械学習により画像解析する構成としてもよい。なお、図3においては、カメラ22の記載を省略している。
【0014】
ピックアップロボット23は、制御装置40の制御に基づいて、挿し穂の茎を把持し、挿し穂をワーク投入コンベア21からピックアップするロボットであり、たとえばスカラロボットを用いることができる。本実施形態において、ピックアップロボット23は、挿し穂を把持するためのピックアップツール(挿し穂摘まみ部)を3つ有するロボットハンドを有しており、挿し穂を3本同時にピックアップすることが可能となっている。なお、ピックアップロボット23は、1本ずつ挿し穂をピックアップする構成とすることもできるし、4本以上の挿し穂を同時にピックアップする構成とすることもできる。ピックアップロボット23は、ピックアップした挿し穂を、植栽ユニット30へと移送する。具体的には、ピックアップロボット23は、図4に示すように、ピックアップした挿し穂を、植栽ユニット30の載置部311の載置面312の上まで持ち運び、載置面312の上で挿し穂を開放することで、挿し穂を載置面312に静置することができる。
【0015】
図4は、本実施形態に係る植栽ユニット30の斜視図である。また、図5は、本実施形態に係る植栽ユニット30を別の方向から見た斜視図である。植栽ユニット30は、図4に示すように、把持装置31と、第2回転軸32と、第2駆動部33と、第3駆動部34と、第4駆動部35とを有する。
【0016】
図4に示すように、把持装置31は、載置部311、可動板317、第1回転軸319および第1駆動部320を有する。また、本実施形態の載置部311は、6本の挿し穂が載置される載置面312を有している。また、本実施形態の可動板317は、載置面312に載置された挿し穂を押さえる3つの押さえ面318をそれぞれ有する。可動板317と押さえ面318とが押さえ部を構成する。なお、本実施形態に係る把持装置31は、6本の挿し穂を把持することが可能となっているが、この構成に限定されず、5本以下、または7本以上の挿し穂を把持する構成とすることもできる。
【0017】
本実施形態では、図4に示すように、一枚の載置面312の上に、一定の間隔を空けて、複数の挿し穂が並べられる。これに対して、把持装置31は、図4に示すように、2つの可動板317を有している。可動板317は、それぞれ押さえ面318を3つずつ有しており、各押さえ面318で1本ずつ挿し穂を押さえることができる。なお、把持装置31は、複数の載置部311を有する構成としてもよいし、1または3以上の可動板317を有する構成としてもよい。また、可動板317は2以下または4以上の押さえ面318を有する構成とすることもできる。なお、載置面312および押さえ面318の素材は、特に限定されないが、樹脂素材を用いることが好ましい。
【0018】
把持装置31は、載置部311と可動板317とが接合する接合部分に、第1回転軸319を有し、さらに第1回転軸319を中心に可動板317を回動させる第1駆動部320を有している。第1駆動部320は、たとえば伸長可能なアクチュエーターであり、可動板317の押さえ面318とは反対側に接続されており、伸長することで、第1回転軸319を中心に可動板317を回動させて、可動板317を載置部311に向けて倒すことで、可動板317の押さえ面318と載置部311の載置面312とを対向した状態で近接させることができる。これにより、把持装置31は、載置面312に載置された挿し穂を押さえ面318で押さえ、把持することができる。
【0019】
また、第2回転軸32は、把持装置31と接続して設けられており、第2駆動部33が、第2回転軸32を中心に、把持装置31を回動することができる。具体的には、第2駆動部33は、第2回転軸32を中心に把持装置31を回動させることで、把持装置31の姿勢を、載置部311の載置面312が略水平となる第1位置と、載置部311の載置面312が略鉛直となる第2位置とを切り替える。なお、図4は、把持装置31が第1位置となっている場面を図示している。さらに、第3駆動部34は、挿し穂を培地に挿入させる際に、把持装置31を鉛直方向(培地側)に移動させることができ、挿し穂を培地に挿入した後は、把持装置31を培地から離れる上方向に移動させることができる。なお、本実施形態では、培地移送用コンベア50に、挿し穂を挿入させるための培地が並べて置かれ移送される。培地が培地移送用コンベア50により所定の挿入位置まで移送されたタイミングで、第3駆動部34の動作により、把持装置31が培地方向に移動することで、挿し穂の培地への挿入が行われることとなる。
【0020】
さらに、把持装置31は、図6に示すように、載置部311から外方に延出されるニードル状のガイド部材313を有する。ガイド部材313の素材は、特に限定されないが、鉄や合金などの金属、硬質樹脂、セラミックスなどの比較的硬度の高い材料で構成することができる。本実施形態では、ガイド部材313として、ステンレス鋼(SUS)を用いる構成とする。また、ガイド部材313の太さも特に限定されないが、たとえば0.5~10mm、より好ましくは0.8~5mmとすることができる。ここで、図6は、ガイド部材313周辺の拡大斜視図であり、載置部311に載置された挿し穂の図示は省略している。ガイド部材313は、挿し穂を培地に挿入する際に、挿し穂を支持するとともに、培地に穴を開け、挿し穂を培地の穴にガイドするためのピンないしは棒状の部材である。本実施形態において、ガイド部材313は、載置部311により保持されている。具体的には、図7に示すように、載置部311には、溝314が形成されており、この溝314の中にガイド部材313が埋設されている。より具体的には、ガイド部材313は、上部が載置部311の貫通孔315に挿入されることでガイド部材313が載置部311に保持されるとともに、中央部は溝314に埋設され、下部が載置部311の端面316から外方に突出可能となっている。図7は、ガイド部材313周辺をさらに拡大した斜視図である。なお、載置部311の端面316は、載置部311の載置面312と直交する面であり、把持部31を第2位置とした場合に、載置部311の下端に位置する面である。
【0021】
また、図6に示すように、本実施形態では、複数のガイド部材313が一定間隔で並列している。具体的には、各ガイド部材313は、把持部31が挿し穂を把持する際に、各押さえ面318と対向する位置に設けられている。本実施形態では、ガイド部材313の位置に、ガイド部材313に沿うように挿し穂が載置され、ガイド部材313と対向する押さえ面318により挿し穂が押さえられることとなる。また、把持装置31は、ガイド部材313の進出および後退を行うガイド部材駆動部321を有しており、ガイド部材駆動部321により、ガイド部材313は、進出および後退が可能となっている。具体的には、ガイド部材駆動部321は、ガイド部材313を進出させる場合には、ガイド部材313を載置部311の端面316から外側に突出させることができ、ガイド部材313を後退させる場合には、ガイド部材313の先端部まで溝314に収容させることができる。ガイド部材313を載置部311の端面316から突出させる場合の突出量(端面316からの突出量)は、特に限定されないが、端面316から突出する挿し穂の茎の長さと同程度(たとえば、端面316から突出する挿し穂の茎の長さ-10mm~+30mm)とすることができる。なお、ガイド部材駆動部321として、たとえば、ガイド付きのエアシリンダを用いることができる。
【0022】
次に、図8および図9を参照して、把持装置31の動作について説明する。なお、図8および図9は、植栽ユニット30による挿し穂の植栽方法を説明するための図である。なお、図8および図9に示す植栽ユニット30の動作は、制御装置40により制御される。
【0023】
まず、図8(A)に示すように、制御装置40は、ピックアップロボット23が挿し穂を載置面312に載置する前に、把持装置31の姿勢を、載置部311の載置面312が略水平となる第1位置とする。そして、ピックアップロボット23が挿し穂をピックアップすると、制御装置40は、図8(B)に示すように、ピックアップロボット23に、ピックアップした挿し穂を、載置部311の載置面312に載置させる。具体的には、制御装置40は、載置面312の上であって、ガイド部材313が埋設されている溝314の上に、挿し穂を載置するようにピックアップロボット23を制御する。なお、ガイド部材313は、可動板317の押さえ面318と対向する位置に設置されているため、挿し穂をガイド部材313が埋設された溝314の上に載置することで、挿し穂が、可動板317の押さえ面318で押さえることができる位置に載置されることとなる。また、本実施形態において、制御装置40は、ピックアップロボット23に、挿し穂のピックアップと、ピックアップした挿し穂を載置面312に載置させる動作とを繰り返させることで、図4に示すように、載置部311の載置面312に、所定の数の挿し穂(本実施形態では6本の挿し穂)を一定の間隔で並べて載置させる。
【0024】
そして、制御装置40は、載置部311の載置面312に複数の挿し穂が載置されると、第1駆動部320により、第1回転軸319を中心として可動板317を回動させて、図8(C)に示すように、載置部311の載置面312に載置された複数の挿し穂を、載置部311の載置面312と可動板317の押さえ面318とで挟持して把持させる。
【0025】
次に、制御装置40は、図9(D)に示すように、第2駆動部33により、第2回転軸32を中心に把持装置31を回転駆動させて、把持装置31の姿勢を、載置部311の載置面312が略水平となる第1位置から、載置面312が略鉛直となる第2位置へと変更する。これにより、載置部311と可動板317とで挟持された挿し穂が培地の表面に対して垂直となり、挿し穂を培地に挿入可能な状態となる。なお、本実施形態では、図9(D)に示すように、把持装置31の姿勢を第2位置に変更した場合に、挿し穂から培地までの距離が10~50mm、より好ましくは20~40mmとなるように、把持装置31と培地移送用コンベア50との高さ方向における位置が調節される。
【0026】
次いで、制御装置40は、第3駆動部34を動作させて、把持装置31を鉛直方向に(培地に向かって)駆動させる。これにより、図9(E)に示すように、ガイド部材313とともに挿し穂が培地に挿入されることとなる。特に、本実施形態では、図8および図9に示すように、把持装置31に把持された挿し穂の茎に沿ってガイド部材313が延在しているため、図8(E)に示すように、第3駆動部34により把持装置31を鉛直方向(培地側)に移動させた場合に、挿し穂とともにガイド部材313が培地に挿入され、挿し穂を支持しながら(挿し穂の水平方向の移動を制限しながら)、培地に穴を開けることができる。すなわち、ガイド部材313がない場合、挿し穂を培地にそのまま挿入することとなるが、挿し穂が柔らかい場合には、挿し穂の茎が、培地に穴を開けられずに折れ曲がってしまう場合があるが、ガイド部材313を設けることで、ガイド部材313により挿し穂の茎を支持しながら培地に穴を開けることができるため、培地に挿し穂を適切に挿入することができる。また、本実施形態では、ガイド部材313が培地の10~20mm程度の深さまで挿入されるように、第3駆動部34がガイド部材313を駆動させる。
【0027】
また、挿し穂を培地に挿入した後は、制御装置40は、図9(F)に示すように、ガイド部材駆動部321により、ガイド部材313を上方に引き上げる。これにより、ガイド部材313を培地から引き抜くことができる。そして、制御装置40は、図9(G)に示すように、第1駆動部320により、可動板317を載置部311から離れるように上方に回転駆動させる。これにより、把持装置31による挿し穂の把持が解除される。このように、本実施形態では、ガイド部材313を上方に引き上げてから、把持装置31による挿し穂の把持を解除することで、挿し穂を適切に挿入させた状態で維持することができる。すなわち、把持装置31による挿し穂の把持を解除した後に、ガイド部材313を上方に引き上げてしまうと、培地に挿入された挿し穂がガイド部材313と接している場合に、ガイド部材313の上方への移動に伴う力により、挿し穂が培地から抜かれてしまうおそれがある。これに対して、ガイド部材313を上方に引き上げてから、把持装置31による挿し穂の把持を解除することで、挿し穂を把持装置31で把持した状態でガイド部材313を引き上げることができるため、ガイド部材313の上方への移動に伴う力により挿し穂が培地から抜かれてしまうことを防止することができる。
【0028】
さらに、制御装置40は、図9(H)に示すように、第4駆動部35に、ガイド部材313を挿し穂から離れる水平方向にスライドさせる。これにより、ガイド部材313や載置面312が挿し穂と接触してしまい、挿し穂が培地から抜けてしまうことを有効に防止することができる。また、ガイド部材313は、先端部まで載置部311の溝314に収容されるため、ガイド部材313が培地と接触してしまうことを防ぐことができる。
【0029】
さらに、制御装置40は、第3駆動部34により、把持装置31を上方に移動させ、その後、第2駆動部33により、第2回転軸32を中心に把持装置31を回転駆動させて、把持装置31を第2位置から第1位置へと変更させる。さらに、制御装置40は、第4駆動部35により、把持装置31を水平移動させ、ガイド部材駆動部321により、ガイド部材313を進出させて載置部311の端面316から突出させる。これにより、把持装置31は、図8(A)の状態に戻り、新たに、ピックアップロボット23が載置部311の載置面312に挿し穂を載置可能な状態となる。
【0030】
このように、本実施形態に係る挿し穂植栽システム1は、挿し穂を載置する載置面312を有する載置部311と、載置部311に載置された挿し穂を押さえる押さえ面318を有する可動板317と、を備え、載置部311の載置面312および可動板317の押さえ面318とを対向する状態で近接させることで、挿し穂を載置面312および押さえ面318で把持する把持装置31と、把持装置31の姿勢を、載置面312が略水平となる第1位置と、載置面312が略鉛直となる第2位置とに切り替える制御装置40と、を有し、制御装置40は、把持装置31で挿し穂を把持する場合は、把持装置31を第1位置とし、把持装置31で把持した挿し穂を培地に植栽する場合は、把持装置31を第2位置とする。これにより、本実施形態に係る挿し穂植栽システム1では、ピックアップロボット23が挿し穂を把持装置31に引き渡す場合には、略水平となっている載置面312の上に挿し穂を載置するだけでよく、ピックアップロボット23から把持装置31への挿し穂の引き渡しが容易となる。また、第1駆動部320により第1回転軸319を中心に可動板317を回動させるだけで、可動板317が、載置面312の上に載せられた挿し穂を容易かつ確実に把持することが可能となる。
【0031】
また、本実施形態に係る挿し穂植栽システム1において、図8に示すように、把持装置31は、把持装置31が第2位置である場合に鉛直方向に延在し、載置部311から突出する、棒状のガイド部材313をさらに有することで、挿し穂を培地に挿入する際に、ガイド部材313が、挿し穂を支持しながら、挿し穂とともに培地に挿入されるため、挿し穂が培地に真っすぐに挿入することができ、挿し穂が培地への挿入時に折れ曲がってしまう問題を解決することができる。また、ガイド部材313は進出および後退が可能であり、把持装置31で把持した挿し穂を培地に植栽する場合は、ガイド部材313を進出した状態としておくことで、ガイド部材313を培地に適切に挿入することができるとともに、挿し穂を培地に植栽した後は、ガイド部材313を後退させることで、ガイド部材313を培地から適切に引き抜くことができる。
【0032】
以上、本発明の好ましい実施形態例について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態の記載に限定されるものではない。上記実施形態例には様々な変更・改良を加えることが可能であり、そのような変更または改良を加えた形態のものも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0033】
たとえば、上述した実施形態では、挿し穂を培地に挿入した後に、ガイド部材313を上方向にスライドさせてガイド部材313を培地から引き抜き(図9(F))、その後、可動板317を上方向に回転駆動させて把持装置31による挿し穂の把持を解除し(図9(G))、把持装置31を培地に植栽した挿し穂から離れる方向に水平移動させる(図9(H))手順を例示したが、この構成に限定されず、たとえば、挿し穂とガイド部材313との間の相互作用が少ない場合には、挿し穂を培地に挿入した後に、ガイド部材313を培地に挿入した状態のまま、可動板317を上方向に回転駆動させて把持装置31による挿し穂の把持を解除し、その後、第3駆動部34により把持装置31全体を上方向にスライドさせることで、ガイド部材313を培地から引き抜く構成とすることもできる。この場合、ガイド部材313を進出および後退するためのガイド部材駆動部が不要となるため、構成をより簡素化することができる。
【0034】
また、上述した実施形態において、植栽ユニット30を設けずに、ピックアップユニット20が、挿し穂をピックアップし、そのまま挿し穂を植栽する構成とすることもできる。この場合、ピックアップユニット20のピックアップロボット23のロボットハンドにガイド部材313を設け、挿し穂とガイド部材313とを同時に培地に挿入する構成とすることが望ましい。
【0035】
さらに、上述した実施形態では、ガイド部材313が載置部311に埋設された構成を例示したが、この構成に限定されず、ガイド部材313が可動板317に埋設された構成とすることができる。
【符号の説明】
【0036】
1…挿し穂植栽システム
10…筐体
11…枠体
12…カバー
20…ピックアップユニット
21…ワーク投入コンベア
22…カメラ
23…ピックアップロボット
30…植栽ユニット
31…把持装置
311…載置部
312…載置面
313…ガイド部材
314…溝
315…貫通孔
316…端面
317…可動板
318…押さえ面
319…第1回転軸
320…第1駆動部
321…ガイド部材駆動部
32…第2回転軸
33…第2駆動部
34…第3駆動部
35…第4駆動部
40…制御装置
50…培地移送用コンベア
61…操作部
62…モニター
【要約】
【課題】挿し穂を培地に適切に植栽することができる挿し穂植栽システムを提供する。
【解決手段】挿し穂を培地に植栽するための挿し穂植栽システムであって、挿し穂を載置する載置部311と、載置部311に対向するように設けられた押さえ部317と、押さえ部317を載置部311に当接または離間するように動作させる載置部駆動装置320と、を備える把持装置31と、把持装置31の姿勢を、載置面312が略水平となる第1位置と、載置面312が略鉛直となる第2位置とに切り替える植栽駆動装置33と、把持装置31および植栽駆動装置33の動作を制御する制御装置40と、を有し、制御装置40は、把持装置31を第1位置として把持装置31に挿し穂を把持させる第1動作と、把持装置31を第2位置として把持装置31で把持した挿し穂を培地に植栽する第2動作と、を実行する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9