(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-06
(45)【発行日】2023-03-14
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G08G 5/04 20060101AFI20230307BHJP
G06Q 50/30 20120101ALI20230307BHJP
【FI】
G08G5/04 A
G06Q50/30
(21)【出願番号】P 2022155396
(22)【出願日】2022-09-28
【審査請求日】2022-11-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】足立 崇
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/97868(US,A1)
【文献】特開2019-207556(JP,A)
【文献】特開2007-300572(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 5/04
G06Q 50/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行中の第1飛行体が行う通信を、地上の通信設備を利用した地上通信と、通信衛星を利用した衛星通信と、の間で切り替える必要性が生じるか否かを判定する判定部と、
前記第1飛行体の位置を基準とした検知範囲であって、前記第1飛行体とは異なる第2飛行体が検知されたことに応じて報知する検知範囲を決定する決定部と、
を有し、
前記決定部は、前記判定部が前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替える必要性が生じると判定した場合の前記検知範囲を、前記判定部が前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替える必要性が生じないと判定した場合の前記検知範囲より広くする、
情報処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記第1飛行体の位置が、前記地上通信の信号の電波強度が所定の範囲である領域内か否かに基づいて、前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替える必要性が生じるか否かを判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記第1飛行体が受信した前記地上通信の信号の電波強度と閾値との関係に基づいて、前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替える必要性が生じるか否かを判定する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2飛行体が前記検知範囲内に位置することを条件として、前記第2飛行体に関連付けられたユーザが利用する情報端末に、前記第1飛行体及び前記第2飛行体が接近することを示す情報を送信する報知部をさらに有する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2飛行体が前記検知範囲内に位置することを条件として、前記第2飛行体に、前記第2飛行体を前記第1飛行体に接触しないように飛行させる情報を送信する報知部をさらに有する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記決定部は、前記判定部が前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替える必要性が生じないと判定した場合に前記第1飛行体の位置から第1距離以内の範囲を前記検知範囲とし、前記判定部が前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替える必要性が生じると判定した場合に前記第1飛行体の位置から前記第1距離より大きい第2距離以内の範囲を前記検知範囲とする、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記決定部は、前記判定部が前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替える必要性が生じると判定したことに応じて前記検知範囲を広くした後に、前記第1飛行体が行う通信が前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替わったことに応じて、前記判定部が前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替える必要性が生じないと判定した場合の前記検知範囲に戻す、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記第1飛行体が行う通信が前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替わったことに応じて、前記第1飛行体に関連付けられたユーザが利用する情報端末に、前記第1飛行体が行う通信が前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替わったことを示す情報を送信する報知部をさらに有する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記第1飛行体が受信した前記地上通信の信号の電波強度と閾値との関係が切替基準を満たしたことを条件として、前記第1飛行体が行う通信を前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替える制御をする切替制御部をさらに有する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項10】
プロセッサが実行する、
飛行中の第1飛行体が行う通信を、地上の通信設備を利用した地上通信と、通信衛星を利用した衛星通信と、の間で切り替える必要性が生じるか否かを判定するステップと、
前記第1飛行体の位置を基準とした検知範囲であって、前記第1飛行体とは異なる第2飛行体が検知されたことに応じて報知する検知範囲を決定するステップと、
を有し、
前記決定するステップでは、前記判定するステップにおいて前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替える必要性が生じると判定された場合の前記検知範囲を、前記判定するステップにおいて前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替える必要性が生じないと判定した場合の前記検知範囲より広くする、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体に関する情報を処理するための情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、飛行体から他の飛行体までの距離が所定の距離以内になったことに応じて、飛行体に他の飛行体を回避する動作を行わせる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飛行体は、通信によってサーバとの間で情報を送受信しながら飛行する。幅広い地域で通信を可能にするために、地上の通信設備を利用した地上通信と通信衛星を利用した衛星通信とを選択的に行うことができる飛行体が開発されている。しかしながら、飛行体が地上通信と衛星通信との間で通信手段を切り替える際に数秒~数十秒間の時間が掛かる場合があり、その間に飛行体は通信できない。特許文献1に記載された方法では、通信によって飛行体の位置が取得されるため、飛行体が通信できない状況において、飛行体が他の飛行体に近付いていることを検知できない可能性がある。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、飛行体が地上通信と衛星通信との間で通信手段を切り替える場合であっても、飛行体と他の飛行体とが近付いていることを検知できない事態を抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置は、飛行中の第1飛行体が行う通信を、地上の通信設備を利用した地上通信と、通信衛星を利用した衛星通信と、の間で切り替える必要性が生じるか否かを判定する判定部と、前記第1飛行体の位置を基準とした検知範囲であって、前記第1飛行体とは異なる第2飛行体が検知されたことに応じて報知する検知範囲を決定する決定部と、を有し、前記決定部は、前記判定部が前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替える必要性が生じると判定した場合の前記検知範囲を、前記判定部が前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替える必要性が生じないと判定した場合の前記検知範囲より広くする。
【0007】
前記判定部は、前記第1飛行体の位置が、前記地上通信の信号の電波強度が所定の範囲である領域内か否かに基づいて、前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替える必要性が生じるか否かを判定してもよい。
【0008】
前記判定部は、前記第1飛行体が受信した前記地上通信の信号の電波強度と閾値との関係に基づいて、前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替える必要性が生じるか否かを判定してもよい。
【0009】
前記情報処理装置は、前記第2飛行体が前記検知範囲内に位置することを条件として、前記第2飛行体に関連付けられたユーザが利用する情報端末に、前記第1飛行体及び前記第2飛行体が接近することを示す情報を送信する報知部をさらに有してもよい。
【0010】
前記情報処理装置は、前記第2飛行体が前記検知範囲内に位置することを条件として、前記第2飛行体に、前記第2飛行体を前記第1飛行体に接触しないように飛行させる情報を送信する報知部をさらに有してもよい。
【0011】
前記決定部は、前記判定部が前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替える必要性が生じないと判定した場合に前記第1飛行体の位置から第1距離以内の範囲を前記検知範囲とし、前記判定部が前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替える必要性が生じると判定した場合に前記第1飛行体の位置から前記第1距離より大きい第2距離以内の範囲を前記検知範囲としてもよい。
【0012】
前記決定部は、前記判定部が前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替える必要性が生じると判定したことに応じて前記検知範囲を広くした後に、前記第1飛行体が行う通信が前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替わったことに応じて、前記判定部が前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替える必要性が生じないと判定した場合の前記検知範囲に戻してもよい。
【0013】
前記情報処理装置は、前記第1飛行体が行う通信が前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替わったことに応じて、前記第1飛行体に関連付けられたユーザが利用する情報端末に、前記第1飛行体が行う通信が前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替わったことを示す情報を送信する報知部をさらに有してもよい。
【0014】
前記情報処理装置は、前記第1飛行体が受信した前記地上通信の信号の電波強度と閾値との関係が切替基準を満たしたことを条件として、前記第1飛行体が行う通信を前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替える制御をする切替制御部をさらに有してもよい。
【0015】
本発明の第2の態様の情報処理方法は、プロセッサが実行する、飛行中の第1飛行体が行う通信を、地上の通信設備を利用した地上通信と、通信衛星を利用した衛星通信と、の間で切り替える必要性が生じるか否かを判定するステップと、前記第1飛行体の位置を基準とした検知範囲であって、前記第1飛行体とは異なる第2飛行体が検知されたことに応じて報知する検知範囲を決定するステップと、を有し、前記決定するステップでは、前記判定するステップにおいて前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替える必要性が生じると判定された場合の前記検知範囲を、前記判定するステップにおいて前記地上通信と前記衛星通信との間で切り替える必要性が生じないと判定した場合の前記検知範囲より広くする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、飛行体が地上通信と衛星通信との間で通信手段を切り替える場合であっても、飛行体と他の飛行体とが近付いていることを検知できない事態を抑制できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係る飛行管理システムの模式図である。
【
図2】本実施形態に係る飛行管理システムのブロック図である。
【
図3】判定部が、電波マップが示す電波強度に基づいて判定をする方法を説明するための模式図である。
【
図4】判定部が、第1飛行体が受信した通信信号の電波強度に基づいて判定をする方法を説明するための模式図である。
【
図5】決定部が検知範囲を決定する方法を説明するための模式図である。
【
図6】報知部が情報端末に対して報知する方法を説明するための模式図である。
【
図7】報知部が第2飛行体に対して報知する方法を説明するための模式図である。
【
図8】実施形態に係る飛行管理サーバが実行する情報処理方法のフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[飛行管理システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る飛行管理システムSの模式図である。飛行管理システムSは、飛行管理サーバ1と、複数の飛行体2と、情報端末3と、を含む。飛行管理システムSは、その他の端末、装置等を含んでもよい。
【0019】
飛行管理サーバ1は、飛行体2の飛行に関する情報を管理するコンピュータである。飛行管理サーバ1は、単一のコンピュータ、又は複数のコンピュータである。また、飛行管理サーバ1は、コンピュータ資源の集合であるクラウド上で動作する一又は複数の仮想的なサーバであってもよい。
【0020】
飛行体2は、空中を飛行するドローン等の無人飛行装置である。また、飛行体2は、航空機や飛行可能車両等の有人飛行装置であってもよい。飛行体2は、所定の通信手段を介して飛行管理サーバ1の間で無線通信により情報を送受信するための通信部を有する。
【0021】
飛行体2は、飛行中に用いる通信手段を、地上の通信設備4を利用した地上通信と、通信衛星5を利用した衛星通信と、の間で切り替えることができる。通信設備4は、例えば、飛行管理サーバ1及び飛行体2それぞれが送信した通信信号を中継する、地上に設置された基地局である。通信設備4は、3G(Generation)、4G/LTE(Long Term Evolution)、5G等の通信規格に対応する。通信衛星5は、例えば、飛行管理サーバ1及び飛行体2それぞれが送信した通信信号を中継する、宇宙空間に配置された人工衛星である。通信衛星5は、所定の衛星通信の規格に対応する。
【0022】
情報端末3は、ユーザが使用するコンピュータである。情報端末3は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の情報端末である。ユーザは、例えば、飛行体2を操縦する操縦者である。また、ユーザは、複数の飛行体2の飛行を管理する管理者(オペレータ等)であってもよい。情報端末3は、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部と、ユーザによる操作を受け付けるためのタッチパネル等の操作部と、を有する。情報端末3は、通信によって飛行管理サーバ1との間で情報を送受信する。
【0023】
本実施形態に係る飛行管理システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。飛行管理サーバ1は、飛行中の複数の飛行体2それぞれの位置を示す位置情報を取得する(
図1の(1))。
【0024】
飛行管理サーバ1は、複数の飛行体2のうち第1飛行体2Aが行う通信を、地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じるか否かを判定する(
図1の(2))。飛行管理サーバ1は、例えば、電波マップ内の第1飛行体2Aの位置における電波強度、又は第1飛行体2Aが受信した通信信号の電波強度に基づいて、地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じるか否かを判定する。
【0025】
飛行管理サーバ1は、第1飛行体2Aが行う通信を切り替える必要性が生じるか否かの判定結果に基づいて、第1飛行体2Aとは異なる第2飛行体2Bが第1飛行体2Aに接近することを検知する検知範囲を決定する(
図1の(3))。ここで飛行管理サーバ1は、第1飛行体2Aが行う通信を切り替える必要性が生じると判定した場合の検知範囲を、第1飛行体2Aが行う通信を切り替える必要性が生じないと判定した場合の検知範囲より広くする。
【0026】
飛行管理サーバ1は、決定した検知範囲内に第2飛行体2Bが位置することを条件として、第1飛行体2Aに第2飛行体2Bが接近することを報知する(
図1の(4))。飛行管理サーバ1は、例えば、第2飛行体2Bに関連付けられた操縦者又は管理者等のユーザが利用する情報端末3に、第1飛行体2A及び第2飛行体2Bが接近することを示す情報を送信してもよい。また、飛行管理サーバ1は、例えば、第2飛行体2Bに、第2飛行体2Bを第1飛行体2Aに接触しないように飛行させる情報を送信してもよい。
【0027】
このように、飛行管理システムSは、第1飛行体2Aが行う通信を地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じる場合に、第1飛行体2A及び第2飛行体2Bが接近することを検知する検知範囲を広くする。これにより、飛行管理システムSは、第1飛行体2Aが地上通信と衛星通信との間で通信手段を切り替える場合であっても、第1飛行体2Aが通信できない時間が生じることを想定した広い検知範囲を用いることにより、飛行体と他の飛行体とが近付いていることを検知できない事態を抑制できる。
【0028】
[飛行管理システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る飛行管理システムSのブロック図である。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。
図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてよい。
【0029】
飛行管理サーバ1は、記憶部11と、制御部12とを有する。記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部11は、制御部12が実行するプログラムを予め記憶している。記憶部11は、飛行管理サーバ1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部12との間でデータの授受を行ってもよい。
【0030】
制御部12は、取得部121と、判定部122と、決定部123と、報知部124と、切替制御部125と、を有する。制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部121、判定部122、決定部123、報知部124及び切替制御部125として機能する。制御部12の機能の少なくとも一部は電気回路によって実行されてもよい。また、制御部12の機能の少なくとも一部は、制御部12がネットワーク経由で実行されるプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0031】
以下、飛行管理システムSが実行する処理について詳細に説明する。複数の飛行体2それぞれは、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)を利用して自機の位置を特定し、特定した位置を示す位置情報を、地上通信又は衛星通信により飛行管理サーバ1に送信する。また、複数の飛行体2それぞれは、地上通信又は衛星通信のどちらの通信手段を用いているかと、受信している通信信号の電波強度と、を示す通信情報を、地上通信又は衛星通信により飛行管理サーバ1に送信する。
【0032】
飛行管理サーバ1において、取得部121は、複数の飛行体2それぞれが送信した位置情報及び通信情報を取得し、送信元の飛行体2を識別するための飛行体ID(Identification)と関連付けて記憶部11に記憶させる。また、取得部121は、飛行体2の位置情報を保持しているその他の装置から、位置情報を取得してもよい。以下、飛行中の複数の飛行体2のうち、いずれかの飛行体2を第1飛行体2Aとし、第1飛行体2Aとは異なる飛行体2を第2飛行体2Bとする。第1飛行体2Aは、飛行中の複数の飛行体2それぞれであってもよく、ユーザにより指定されたいずれかの飛行体2であってもよい。
【0033】
判定部122は、取得部121が取得した情報に基づいて、飛行中の第1飛行体2Aが行う通信を、地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じるか否かを判定する。判定部122は、例えば、電波マップが示す第1飛行体2Aの位置における電波強度、又は第1飛行体2Aが受信した通信信号の電波強度に基づいて、地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じるか否かを判定する。
【0034】
図3は、判定部122が、電波マップが示す電波強度に基づいて判定をする方法を説明するための模式図である。判定部122は、取得部121が取得した位置情報が示す第1飛行体2Aの位置が、電波マップにおいて地上通信の信号の電波強度が所定の範囲である領域内か否かに基づいて、地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じるか否かを判定する。
【0035】
判定部122は、例えば、記憶部11に予め記憶された電波マップMを取得する。電波マップMは、上空の各位置における地上通信の信号の電波強度を示す情報である。電波マップMは、平面上の位置(例えば、2次元座標)における電波強度を示してもよく、空間上の位置(例えば、3次元座標)における電波強度を示してもよい。電波マップMは、例えば、上空の各位置における通信信号の電波強度をシミュレーションすることによって生成され、又は上空の各位置における通信信号の電波強度を実測することによって生成される。
【0036】
図3は、判定部122が取得した例示的な電波マップMを地図上に模式的に表している。また、
図3は、第1飛行体2Aの位置(
図3中のアイコン画像)と飛行予定経路(
図3中の破線)とを地図上に模式的に表している。電波マップMは、地上通信の信号の電波強度が所定の範囲内である第1領域M1と、地上通信の信号の電波強度が所定の範囲内でない第2領域M2と、を含む。例えば、第1領域M1は電波強度が所定の閾値以上の領域であり、第2領域M2は電波強度が所定の閾値未満の領域である。電波強度の閾値は、記憶部11に予め記憶されている。
【0037】
地上通信を行っている第1飛行体2Aは、例えば、第1領域M1内に位置している状況では、地上通信の信号の電波強度が強いため地上通信を安定的に継続できる。一方、地上通信を行っている第1飛行体2Aは、例えば、第2領域M2内に位置している状況では、地上通信の信号の電波強度が弱いため地上通信を継続できなくなり、地上通信から衛星通信に切り替える必要性が生じる場合がある。
【0038】
そこで判定部122は、例えば、地上通信を行っている第1飛行体2Aの位置が第1領域M1内である場合に、地上通信から衛星通信に切り替える必要性が生じないと判定し、地上通信を行っている第1飛行体2Aの位置が第1領域M1内でない場合に、地上通信から衛星通信に切り替える必要性が生じると判定する。
【0039】
衛星通信を行っている第1飛行体2Aは、例えば、第2領域M2内に位置している状況では、地上通信の信号の電波強度が弱いため衛星通信から地上通信に切り替えることが難しい。一方、衛星通信を行っている第1飛行体2Aは、例えば、第1領域M1内に位置している状況では、地上通信の信号の電波強度が強いため衛星通信から地上通信に容易に切り替えることができる。一般的に衛星通信の通信コストは地上通信の通信コストよりも大きいため、衛星通信から地上通信に切り替え可能な状況では地上通信に切り替えることが望ましい。
【0040】
そこで判定部122は、例えば、衛星通信を行っている第1飛行体2Aの位置が第1領域M1内である場合に、衛星通信から地上通信に切り替える必要性が生じると判定し、衛星通信を行っている第1飛行体2Aの位置が第1領域M1内でない場合に、衛星通信から地上通信に切り替える必要性が生じないと判定する。
【0041】
図4は、判定部122が、第1飛行体2Aが受信した通信信号の電波強度に基づいて判定をする方法を説明するための模式図である。判定部122は、取得部121が取得した通信情報が示す第1飛行体2Aが受信した地上通信の信号の電波強度と、所定の閾値と、の関係に基づいて、地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じるか否かを判定する。電波強度の閾値は、記憶部11に予め記憶されている。
【0042】
判定部122は、例えば、地上通信を行っている第1飛行体2Aが受信した地上通信の信号の電波強度が閾値以上である場合に、地上通信から衛星通信に切り替える必要性が生じないと判定し、地上通信を行っている第1飛行体2Aが受信した地上通信の信号の電波強度が閾値未満である場合に、地上通信から衛星通信に切り替える必要性が生じると判定する。
【0043】
また、判定部122は、例えば、衛星通信を行っている第1飛行体2Aが受信した地上通信の信号の電波強度が閾値以上である場合に、衛星通信から地上通信に切り替える必要性が生じると判定し、衛星通信を行っている第1飛行体2Aが受信した地上通信の信号の電波強度が閾値未満である場合に、衛星通信から地上通信に切り替える必要性が生じないと判定する。
【0044】
判定部122は、地上通信から衛星通信に切り替える場合と、衛星通信から地上通信に切り替える場合と、で異なる閾値を用いて、地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じるか否かを判定してよい。例えば、衛星通信から地上通信に切り替える場合の地上通信の信号の電波強度の閾値は、地上通信から衛星通信に切り替える場合の地上通信の信号の電波強度の閾値よりも大きい。これにより、電波強度の閾値付近で判定部122による判定結果が頻繁に変わることを抑制し、後述の決定部123が検知範囲を変更する頻度を抑制できる。
【0045】
決定部123は、第1飛行体2Aの位置を基準とした検知範囲であって、第1飛行体2Aとは異なる第2飛行体2Bが検知されたことに応じて報知する検知範囲を決定する。ここで決定部123は、判定部122が地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じると判定した場合の検知範囲を、判定部122が地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じないと判定した場合の検知範囲(通常の検知範囲ともいう)より広くする。
【0046】
図5は、決定部123が検知範囲Rを決定する方法を説明するための模式図である。決定部123は、例えば、判定部122が地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じないと判定した場合に第1飛行体2Aの位置から第1距離以内の範囲を検知範囲R1とし、判定部122が地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じると判定した場合に第1飛行体2Aの位置から第1距離より大きい第2距離以内の範囲を検知範囲とする。第1距離及び第2距離は、例えば、記憶部11に予め記憶されている。
【0047】
これにより、飛行管理システムSは、第1飛行体2Aが地上通信と衛星通信との間で通信手段を切り替えることにより通信できない時間が生じる可能性がある場合に、第1飛行体2A及び第2飛行体2Bが近付いていることを検知できない事態を抑制できる。
【0048】
また、決定部123は、判定部122が地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じると判定した場合の検知範囲を、時間経過に応じて変更してもよい。この場合に、決定部123は、例えば、判定部122が地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じると判定した時刻から現在時刻までの経過時間が長いほど検知範囲(第2距離)を大きくする。これにより、飛行管理システムSは、地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じてから時間が経過することにより第1飛行体2Aが位置する可能性のある範囲が広くなっても、第1飛行体2A及び第2飛行体2Bが近付いていることを検知できない事態をより確実に抑制することができる。
【0049】
報知部124は、決定部123が決定した検知範囲を用いて、第1飛行体2A及び第2飛行体2Bが接近することを検知する。報知部124は、例えば、取得部121が取得した位置情報に基づいて、第2飛行体2Bが第1飛行体2Aを基準とした検知範囲内に位置する場合に、第1飛行体2A及び第2飛行体2Bが接近することを検知し、そうでない場合に、第1飛行体2A及び第2飛行体2Bが接近することを検知しない。
【0050】
報知部124は、第1飛行体2Aを基準とした検知範囲内に第2飛行体2Bが位置することを検知したことを条件として、第1飛行体2Aに第2飛行体2Bが接近することを報知する。報知部124は、例えば、情報端末3又は第2飛行体2Bに所定の情報を地上通信又は衛星通信により送信することによって、第1飛行体2Aに第2飛行体2Bが接近することを報知する。
【0051】
図6は、報知部124が情報端末3に対して報知する方法を説明するための模式図である。報知部124は、第2飛行体2Bが第1飛行体2Aを基準とした検知範囲内に位置することを検知したことを条件として、第2飛行体2Bに関連付けられたユーザが利用する情報端末3に、第1飛行体2A及び第2飛行体2Bが接近することを示す通知情報を送信する。情報端末3を利用するユーザは、例えば、第2飛行体2Bの操縦者、又は第2飛行体2Bの飛行を管理する管理者である。
【0052】
通知情報は、例えば、第1飛行体2A及び第2飛行体2Bが接近することを示すメッセージと、第2飛行体2Bが第1飛行体2Aを基準とした検知範囲内に位置することが検知された日時と、を含む。また、通知情報は、複数の飛行体それぞれの位置情報を含んでもよい。情報端末3は、飛行管理サーバ1から受信した通知情報を、
図6のように表示部上に表示する。
【0053】
これにより、飛行管理システムSは、第1飛行体2A及び第2飛行体2Bが接近することを第2飛行体2Bに関連付けられたユーザに通知し、ユーザが第1飛行体2A及び第2飛行体2Bが接触しないための対応をとりやすくすることができる。
【0054】
図7は、報知部124が第2飛行体2Bに対して報知する方法を説明するための模式図である。報知部124は、第2飛行体2Bが第1飛行体2Aを基準とした検知範囲内に位置することを検知したことを条件として、第2飛行体2Bに、第2飛行体2Bを第1飛行体2Aに接触しないように飛行させる制御情報を送信する。
【0055】
制御情報は、例えば、第2飛行体2Bを第1飛行体2Aから離れる向きに飛行させる情報、第2飛行体2Bを停止(ホバリングや着陸等)させる情報、又は第2飛行体2Bの飛行経路を第1飛行体2Aに接触しないように変更する情報である。第2飛行体2Bは、飛行管理サーバ1から受信した制御情報に従って、飛行又は停止する。
【0056】
これにより、飛行管理システムSは、第1飛行体2A及び第2飛行体2Bが接近することに応じて制御情報を第2飛行体2Bに送信し、ユーザの操作によらず、第2飛行体2Bを第1飛行体2Aに接触しないように制御することができる。
【0057】
切替制御部125は、地上通信の信号の電波強度と閾値との関係が切替基準を満たしたことを条件として、第1飛行体2Aが行う通信を地上通信と衛星通信との間で切り替える制御をする。切替制御部125は、例えば、通信手段を地上通信と衛星通信との間で切り替えるための制御情報を地上通信又は衛星通信によって第1飛行体2Aに送信することによって、第1飛行体2Aが行う通信を地上通信と衛星通信との間で切り替える制御をする。第1飛行体2Aは、飛行管理サーバ1から受信した制御情報に従って、通信手段を地上通信と衛星通信との間で切り替える。地上通信の信号の電波強度の閾値は、例えば、記憶部11に予め記憶されている。
【0058】
切替制御部125は、例えば、地上通信を行っている第1飛行体2Aが受信した地上通信の信号の電波強度が閾値以下であることを条件として、当該第1飛行体2Aが行う通信を地上通信から衛星通信に切り替える制御をする。切替制御部125は、例えば、衛星通信を行っている第1飛行体2Aが受信した地上通信の信号の電波強度が閾値以上であることを条件として、当該第1飛行体2Aが行う通信を衛星通信から地上通信に切り替える制御をする。
【0059】
また、切替制御部125は、例えば、地上通信を行っている第1飛行体2Aの位置における電波マップ上の地上通信の信号の電波強度が閾値以下であることを条件として、当該第1飛行体2Aが行う通信を地上通信から衛星通信に切り替えてもよい。また、切替制御部125は、例えば、衛星通信を行っている第1飛行体2Aの位置における電波マップ上の地上通信の信号の電波強度が閾値以上であることを条件として、当該第1飛行体2Aが行う通信を衛星通信から地上通信に切り替えてもよい。
【0060】
これにより、飛行管理システムSは、第1飛行体2Aが受信した地上通信の信号の電波強度に応じて、第1飛行体2Aが行う通信を地上通信と衛星通信との間で自動的に切り替えることができる。
【0061】
また、切替制御部125は、地上通信の信号の電波強度に加えて、衛星通信の信号の電波強度に基づいて、第1飛行体2Aが行う通信を地上通信と衛星通信との間で切り替えてもよい。地上通信及び衛星通信それぞれの信号の電波強度の閾値は、例えば、記憶部11に予め記憶されている。
【0062】
切替制御部125は、例えば、地上通信を行っている第1飛行体2Aが受信した地上通信の信号の電波強度が閾値以下であり、かつ当該第1飛行体2Aが受信した衛星通信の信号の電波強度が閾値以上であることを条件として、当該第1飛行体2Aが行う通信を地上通信から衛星通信に切り替える制御をする。また、切替制御部125は、例えば、衛星通信を行っている当該第1飛行体2Aが受信した地上通信の信号の電波強度が閾値以上であり、かつ当該第1飛行体2Aが受信した衛星通信の信号の電波強度が閾値以下であることを条件として、当該第1飛行体2Aが行う通信を衛星通信から地上通信に切り替える制御をする。
【0063】
また、切替制御部125は、例えば、地上通信を行っている第1飛行体2Aの位置における電波マップ上の地上通信の信号の電波強度が閾値以下であり、かつ当該第1飛行体2Aの位置における電波マップ上の衛星通信の信号の電波強度が閾値以上であることを条件として、当該第1飛行体2Aが行う通信を地上通信から衛星通信に切り替えてもよい。また、切替制御部125は、例えば、衛星通信を行っている第1飛行体2Aの位置における電波マップ上の地上通信の信号の電波強度が閾値以上であり、かつ当該第1飛行体2Aの位置における電波マップ上の衛星通信の信号の電波強度が閾値以下であるであることを条件として、当該第1飛行体2Aが行う通信を衛星通信から地上通信に切り替えてもよい。
【0064】
これにより、飛行管理システムSは、第1飛行体2Aが受信した地上通信及び衛星通信の信号の電波強度に応じて、第1飛行体2Aが行う通信を地上通信と衛星通信との間で自動的に切り替えることができる。
【0065】
決定部123は、判定部122が地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じると判定したことに応じて検知範囲(
図5の検知範囲R2)を広くした後に、切替制御部125により第1飛行体2Aが行う通信が地上通信と衛星通信との間で切り替わったことに応じて、地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じないと判定した場合の検知範囲(
図5の検知範囲R1)に戻してもよい。これにより、飛行管理システムSは、第1飛行体2Aが行う通信の切り替えが完了した後には検知範囲を元に戻し、不必要に報知が行われることを抑制できる。
【0066】
報知部124は、切替制御部125により第1飛行体2Aが行う通信が地上通信と衛星通信との間で切り替わったことに応じて、第1飛行体2Aに関連付けられたユーザが利用する情報端末3に、第1飛行体2Aが行う通信が地上通信と衛星通信との間で切り替わったことを示す通知情報を送信してもよい。情報端末3を利用するユーザは、例えば、第1飛行体2Aの操縦者、又は第1飛行体2Aの飛行を管理する管理者である。
【0067】
通知情報は、例えば、第1飛行体2Aが行う通信が地上通信から衛星通信に切り替わったこと又は衛星通信から地上通信に切り替わったことを示すメッセージを含む。情報端末3は、飛行管理サーバ1から受信した通知情報を、表示部上に表示する。
【0068】
これにより、飛行管理システムSは、第1飛行体2Aの通信手段が切り替わったことを第1飛行体2Aに関連付けられたユーザに通知し、ユーザが第1飛行体2Aの現在の通信手段を把握しやすくできる。
【0069】
[情報処理方法のフロー]
図8は、本実施形態に係る飛行管理サーバ1が実行する情報処理方法のフローチャートを示す図である。飛行管理サーバ1において、取得部121は、複数の飛行体2それぞれが送信した位置情報及び通信情報を取得し、送信元の飛行体2を識別するための飛行体IDと関連付けて記憶部11に記憶させる(S11)。飛行管理サーバ1は、複数の飛行体2それぞれを第1飛行体2Aとし、又はユーザにより指定されたいずれかの飛行体2を第1飛行体2Aとして、以降の処理を行う。
【0070】
判定部122は、取得部121が取得した情報に基づいて、飛行中の第1飛行体2Aが行う通信を、地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じるか否かを判定する(S12)。判定部122は、例えば、電波マップが示す第1飛行体2Aの位置における電波強度、又は第1飛行体2Aが受信した通信信号の電波強度に基づいて、地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じるか否かを判定する。
【0071】
判定部122が地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じると判定した場合に(S13のYES)、決定部123は、判定部122が地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じないと判定した場合の検知範囲(通常の検知範囲)よりも広い検知範囲を決定する(S14)。一方、判定部122が地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じないと判定した場合に(S13のNO)、決定部123は、通常の検知範囲を決定する(S15)。
【0072】
報知部124は、決定部123が決定した検知範囲を用いて、第1飛行体2A及び第2飛行体2Bが接近することを検知する(S16)。報知部124は、例えば、取得部121が取得した位置情報に基づいて、第2飛行体2Bが第1飛行体2Aを基準とした検知範囲内に位置する場合に、第1飛行体2A及び第2飛行体2Bが接近することを検知し、そうでない場合に、第1飛行体2A及び第2飛行体2Bが接近することを検知しない。
【0073】
報知部124が第1飛行体2Aを基準とした検知範囲内に第2飛行体2Bが位置することを検知しなかった場合に(S17のNO)、飛行管理サーバ1はステップS19に進む。
【0074】
報知部124が第1飛行体2Aを基準とした検知範囲内に第2飛行体2Bが位置することを検知した場合に(S17のYES)、第1飛行体2Aに第2飛行体2Bが接近することを報知する(S18)。報知部124は、例えば、情報端末3又は第2飛行体2Bに所定の情報を地上通信又は衛星通信により送信することによって、第1飛行体2Aに第2飛行体2Bが接近することを報知する。
【0075】
所定の終了条件(例えば、ユーザが終了操作を行ったこと)が満たされていない場合に(S19のNO)、飛行管理サーバ1はステップS11~S18を繰り返す。所定の終了条件が満たされた場合に(S19のYES)、飛行管理サーバ1は処理を終了する。
【0076】
[実施形態の効果]
第1飛行体2Aが地上通信と衛星通信との間で通信手段を切り替える際に通信できない時間が生じると、当該時間中に第1飛行体2A及び第2飛行体2Bが近付いていることを検知できない可能性がある。本実施形態に係る飛行管理システムSは、第1飛行体2Aが行う通信を地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じる場合に、第1飛行体2A及び第2飛行体2Bが接近することを検知する検知範囲を広くする。これにより、飛行管理システムSは、第1飛行体2Aが地上通信と衛星通信との間で通信手段を切り替える場合であっても、第1飛行体2Aが通信できない時間が生じることを想定した広い検知範囲を用いることにより、第1飛行体2A及び第2飛行体2Bが近付いていることを検知できない事態を抑制できる。
【0077】
[第1変形例]
上述の実施形態では飛行管理サーバ1が2つの飛行体2同士の接近を報知するための処理を行う情報処理装置として機能するのに対して、本変形例では複数の飛行体2のいずれかが2つの飛行体2同士の接近を報知するための処理を行う情報処理装置として機能する。
【0078】
この場合に、飛行体2のプロセッサは、例えば、取得部121、判定部122、決定部123、報知部124及び切替制御部125として機能する。飛行体2において、報知部124は決定部123が決定した検知範囲に基づいて第1飛行体2Aに第2飛行体2Bが接近することを報知し、その後に切替制御部125は第1飛行体2Aが行う通信を地上通信と衛星通信との間で切り替える制御を開始する。本変形例に係る飛行管理システムSによれば、飛行管理サーバ1がない場合であっても、いずれかの飛行体2が2つの飛行体2同士の接近を報知するための処理を行うことができる。
【0079】
[第2変形例]
上述の実施形態では飛行管理サーバ1が2つの飛行体2同士の接近を報知するための処理を行う情報処理装置として機能するのに対して、本変形例では飛行管理サーバ1と飛行体2とが共同して2つの飛行体2同士の接近を報知するための処理を行う情報処理装置として機能する。
【0080】
この場合に、例えば、飛行体2のプロセッサは取得部121、判定部122及び切替制御部125として機能し、飛行管理サーバ1のプロセッサは決定部123及び報知部124として機能する。飛行管理サーバ1において、報知部124は決定部123が決定した検知範囲に基づいて第1飛行体2Aに第2飛行体2Bが接近することを報知し、その後に、飛行体2において、切替制御部125は第1飛行体2Aが行う通信を地上通信と衛星通信との間で切り替える制御を開始する。本変形例に係る飛行管理システムSによれば、飛行体2が行う通信を切り替える必要性が生じるか否かを判定するための情報を飛行管理サーバ1及び飛行体2の間で送受信する必要がないため、通信コストを低減できる。
【0081】
なお、本発明により、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に貢献することが可能となる。
【0082】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【0083】
飛行管理サーバ1、飛行体2及び情報端末3のプロセッサは、
図8に示す情報処理方法に含まれる各ステップ(工程)を実行する。飛行管理サーバ1、飛行体2及び情報端末3のプロセッサは、例えば、
図8に示す情報処理方法を実行するためのプログラムを実行することによって、
図8に示す情報処理方法を実行する。
図8に示す情報処理方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0084】
S 飛行管理システム
1 飛行管理サーバ
11 記憶部
12 制御部
121 取得部
122 判定部
123 決定部
124 報知部
125 切替制御部
2 飛行体
2A 第1飛行体
2B 第2飛行体
3 情報端末
4 通信設備
5 通信衛星
【要約】
【課題】飛行体が地上通信と衛星通信との間で通信手段を切り替える場合であっても、飛行体と他の飛行体とが近付いていることを検知できない事態を抑制できるようにする。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る飛行管理サーバ1は、飛行中の第1飛行体が行う通信を、地上の通信設備を利用した地上通信と、通信衛星を利用した衛星通信と、の間で切り替える必要性が生じるか否かを判定する判定部122と、第1飛行体の位置を基準とした検知範囲であって、第1飛行体とは異なる第2飛行体が検知されたことに応じて報知する検知範囲を決定する決定部123と、を有し、決定部は、判定部が地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じると判定した場合の検知範囲を、判定部が地上通信と衛星通信との間で切り替える必要性が生じないと判定した場合の検知範囲より広くする。
【選択図】
図2