(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】電流補償を提供するためのシステム及び装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20230308BHJP
【FI】
H02M3/155 H
H02M3/155 Z
(21)【出願番号】P 2020566526
(86)(22)【出願日】2019-02-19
(86)【国際出願番号】 US2019018478
(87)【国際公開番号】W WO2019161355
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-02-14
(32)【優先日】2018-09-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】230129078
【氏名又は名称】佐藤 仁
(72)【発明者】
【氏名】マーカス ゲオルク ロメル
(72)【発明者】
【氏名】コンラッド ヴァーゲンソフナー
(72)【発明者】
【氏名】レベッカ グランカリック
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル ウーベ シュレンカー
【審査官】柳下 勝幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/208705(WO,A1)
【文献】特開2010-211721(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0063103(US,A1)
【文献】特開平8-340246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
第1のゲートと
、第1のドレインと
、第1のソースとを
有する第1のトランジスタ
と、第2のゲートと
、前記第1のドレインに結合される第2のドレインと
、第2のソースとを
有する第2のトランジスタ
とを含む第1の電流経路
と、
第3のゲートと
、第3のドレインと
、前記第1のソースと前記第3のゲートとに結合される第3のソースとを
有する第3のトランジスタ
と、及第4のゲートと
、前記第3のドレインに結合される第4のドレインと
、前記第4のゲートと前記第2のソースとに結合される第4のソースとを
有する第4のトランジスタ
とを含む第2の電流経路
と、
第5のゲートと
、第5のドレインと
、第5のソースとを
有する第5のトランジスタ
と、
前記第3のドレインと前記第5のドレインと前記第5のゲートとに結合される第6のゲートと
、前記第2のドレインに結合される第6のドレインと
、前記第4のソースと前記第5のソースとに結合される第6のソースとを
有する第6のトランジスタ
とを含む電流ミラー
と、
を含み、
前記第1のトランジスタと前記第3のトランジスタとの間に第1の比が
存在
し、前記第2のトランジスタと前記第4のトランジスタとの間に
前記第1の比より大きいか又は等しい第2の比が
存在
し、前記第5のトランジスタと前記第6のトランジスタとの間に
前記第2の比より大きいか又は等しい第3の比が
存在
する、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1のトランジスタ
と前記第3のトランジスタ
とがPMOSトランジスタであり、前記第2のトランジスタ
と第4のトランジスタ
と第5のトランジスタ
と第6のトランジスタ
とがNMOSトランジスタである、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1の比が前記第1のトランジスタの第1のチャネル幅
と前記第3のトランジスタの第2のチャネル幅
とに基づき、前記第2の比が前記第2のトランジスタの第3のチャネル幅
と前記第4のトランジスタの第4のチャネル幅
とに基づき、前記第3の比が前記第5のトランジスタの第5チャネル幅
と前記第6のトランジスタの第6のチャネル幅
とに基づく、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1の電流経路が前記第2の電流経路
と前記電流ミラー
とに結合される、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、
前記第2の電流経路が前記第1の電流経路
と前記電流ミラー
とに結合される、装置。
【請求項6】
装置であって、
第1のトランジスタ
と第2のトランジスタ
とを用いて電力コンバータを介する電流の流れをレギュレートするように構成されるレギュレータ
と、
センサであって、
前記第1のトランジスタに関連する第1の電流と前記第2のトランジスタに関連する第2の電流とを検出
し、
前記第1の電流と前記第2の電流との差を判定する
、
ように構成される
、前記センサ
と、
前記第1の電流と前記第2の電流との差に基づいて前記電力コンバータの出力を介する第3の電流を調節するように構成されるアダプティブ補償回路
と、
を含み、
前記第1の電流が電流ミラー構成を介して第3のトランジスタを用いて検出され、前記第2の電流が前記電流ミラー構成を介して第4のトランジスタを用いて検出される、装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、
前記第1の電流が第1の漏れ電流であり、前記第2の電流が第2の漏れ電流である、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、
前記第1の漏れ電流が前記第1のトランジスタの第1のドレインから流れる第1の電流であり、前記第2の漏れ電流が前記第2のトランジスタの第2のドレイン内へ流れる第2の電流である、装置。
【請求項9】
請求項6に記載の装置であって、
前記調節が、前記電力コンバータの出力から前記第1の電流と前記第2の電流との差を差し引くことである、装置。
【請求項10】
請求項6に記載の装置であって、
前記アダプティブ補償回路が前記電力コンバータの効率を向上させる、装置。
【請求項11】
請求項6に記載の装置であって、
前記第1のトランジスタ
と前記第2のトランジスタ
とがオフのとき
に、前記アダプティブ補償回路が前記第3の電流を調節
する、装置。
【請求項12】
システムであって、
電力コンバータの出力に結合され
て前記電力コンバータにおける電流をレギュレートするように構成されるレギュレータ
と、
センサであって、
第1のトランジスタに関連する第1の電流と第2のトランジスタに関連する第2の電流とを検出
し、
前記第1の電流と前記第2の電流との差を判定する
、
ように構成される、
前記センサ
と、
前記第1の電流と前記第2の電流との差に基づ
いて前記電力コンバータの前記出力を介する第3の電流を調整するためのアダプティブ補償回路
と、
を含み、
前記第1の電流が電流ミラー構成を介して第3のトランジスタを用いて検出され、前記第2の電流が前記電流ミラー構成を介して第4のトランジスタを用いて検出される、システム。
【請求項13】
請求項12に記載のシステムであって、
前記第1の電流が第1の漏れ電流であり、前記第2の電流が第2の漏れ電流である、システム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、
前記第1の漏れ電流が前記第1のトランジスタの第1のドレインから流れる第1の電流であり、前記第2の漏れ電流が前記第2のトランジスタの第2のドレイン内へ流れる第2の電流である、システム。
【請求項15】
請求項12に記載のシステムであって、
前記調節が、前記電力コンバータの出力から前記第1の電流と前記第2の電流との差を差し引くことである、システム。
【請求項16】
請求項12に記載のシステムであって、
前記アダプティブ補償回路が、前記電力コンバータの効率を向上させる、システム。
【請求項17】
請求項12に記載のシステムであって、
前記第1のトランジスタ
と前記第2のトランジスタ
とがオフのとき
に、前記アダプティブ補償回路が前記第3の電流を調節
する、システム。
【請求項18】
請求項12に記載のシステムであって、
前記レギュレータが、ハイサイドトランジスタ
とローサイドトランジスタ
とを含む同期トランジスタのセットを含む、システム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムであって、
前記ローサイドトランジスタがダイオードである、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、一般に電力コンバータに関し、特に、電流補償を提供するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力コンバータは、入力電圧を所望の出力電圧に変換する回路である。電力コンバータの一つのタイプがスイッチモード電力供給であり、そこでは、入力電圧を所望の出力電圧に変換するためにスイッチが用いられる。スイッチモード電力供給は、交流(AC)電圧を直流(DC)電圧に変換し得、又は、或るレベルのDC電圧を別のレベルのDC電圧に変換し得る。例えば、バックコンバータは、所望の出力DC電圧を維持するためにインダクタ及び/又はコンデンサを充電及び/又は放電するためトランジスタ及び/又はスイッチを制御することによって、入力DC電圧を一層低い所望の出力DC電圧に変換する。
【発明の概要】
【0003】
本願で開示される幾つかの例は、低静止電流応用例のための電力コンバータの出力から漏れ電流を取り除くことによって、電力コンバータの効率を向上させる。或る例示の装置が、第1の電流経路、第2の電流経路、及び、電流ミラーを含む。第1の電流経路は、第1のゲートと第1のドレインと第1のソースとを含む第1のトランジスタ、及び、第2のゲートと第2のドレインと第2のソースとを含む第2のトランジスタを含み、第1のドレインは第2のドレインに結合される。第2の電流経路は、第3のゲートと第3のドレインと第3のソースとを含む第3のトランジスタ、及び、第4のゲートと第4のドレインと第4のソースとを含む第4のトランジスタを含み、第3のソースは、第1のソース及び第3のゲートに結合され、第3のドレインは第4のドレインに結合され、第4のソースは、第4のゲート及び第2のソースに結合される。電流ミラーは、第5のゲートと第5のドレインと第5のソースとを含む第5のトランジスタ、及び、第6のゲートと第6のドレインと第6のソースとを含む第6のトランジスタを含み、第5のドレインは、第3のドレイン、第6のゲート、及び第5のゲートに結合され、第6のドレインは第2のドレインに結合され、第5のソースは、第6のソース及び第4のソースに結合される。第1のトランジスタと第3のトランジスタとの間に第1の比が在り、第2のトランジスタと第4のトランジスタとの間に第2の比が在り、第5のトランジスタと第6のトランジスタとの間に第3の比が在り、第3の比は、第2の比より大きいか又は第2の比に等しく、第2の比は、第1の比より大きいか又は第1の比に等しい。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【0005】
【
図2】センサ及びアダプティブ補償回路を含む例示の電力コンバータの図である。
【0006】
【
図3】
図2のセンサ及びアダプティブ補償回路の例示の回路実装の図である。
【0007】
【
図4】
図2及び
図3の回路のための、アダプティブ補償を備える出力電圧対周囲温度、及び、アダプティブ補償のない出力電圧対周囲温度を示すグラフである。
【0008】
【
図5】
図2及び
図3の回路のための、アダプティブ補償を備える漏れ電流対周囲温度、及び、アダプティブ補償のない漏れ電流対周囲温度を示すグラフである。
【0009】
【
図6】
図2及び
図3のアダプティブ補償回路を用いたときの、バックコンバータ100の向上された効率を示すグラフである。
【0010】
【
図7】
図2のアダプティブ補償回路を実装するために実行され得る機械可読命令を表すフローチャートである。
【0011】
【
図8】
図2及び
図3のアダプティブ補償回路を実装するために、
図7の例示の命令を実行し得る例示のプロセッサプラットフォームのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面は一定の縮尺で描かれていない。概して、同じ又は類似の部分を参照するために、図面及び本説明を通して同じ参照数字が用いられる。
【0013】
電力コンバータ(例えば、バックコンバータ、ブーストコンバータ、AC-ACコンバータ、DC-DCコンバータ、AC-DCコンバータ等)には、一つの経路から別の経路に電流を切り替える電力スイッチ(例えば、リレー、ダイオード等)が含まれ得る。そのようなスイッチは、本質的に固体であり得、それゆえ、電流を流すための複数の経路間において物理的な切断を生じさせ得ない。いくつかのケースでは、小さなレベルの漏れ電流(すなわち、理想電流がゼロであるときに流れる電流)が、スイッチを介して、意図しない経路内へ流れることがある。高電力の超低静止電流応用例では、スイッチの辺りの周囲温度が上昇するにつれて漏れ電流が増加する。漏れ電流の増加が、電力コンバータの出力における電圧暴走につながることがあり、これが、接続される回路の動作不良を生じさせ得る。温度に関する漏れ電流の上昇を抑制するために、出力から漏れ電流を引き込むために補償回路が電力コンバータに付加され得る。従来、或る補償回路は、出力から引き込まれる又は取り去られる最悪のケースの漏れ電流を基準としている。別の一般的な補償回路は、出力から、ハイサイド漏れ電流或いはローサイド漏れ電流を引き込む。別の補償回路は、感知装置から直接的に出力電圧に漏れ電流をミラーする。
【0014】
充電されるソースに電子デバイスが取り付けられるとき、電子デバイスの理想的でない特性に起因してソースがゆっくりと放電し、漏れ電流が生じ得る。典型的に、漏れ電流は、充電されるソースに接続された電子デバイス(例えばトランジスタ、ダイオード等)が、その電子デバイスがオフであることが意図されるときに少量の電流を導通するために生じる。デバイスが低静止電流応用例にある場合、デバイスは、延長された時間期間の間、アイドルである。漏れ電流は概してマイクロアンペアのスケールであり、一方で、電力コンバータ応用例におけるデバイスを介する電流は、アイドル状態でないとき、数十~数百アンペアのスケールである。
【0015】
漏れ電流は、半導体において、可動電荷キャリアが絶縁領域を通り抜けることに起因して生じる。例えば、可動電荷キャリアが、異なってドープされた半導体(例えばP型、N型)の接合間を通り抜け得る。金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)における漏れ電流は、ソース-ドレイン間で生じ得、デバイスがオフにされて電流を供給しないとき、電流が、意図された導通経路を流れることを可能にする。漏れ電流は、周囲温度に関係なくデバイスの電力消費を増加させ、漏れ電流が際限なく増加する場合、漏れ電流はデバイスに深刻な動作不良を生じさせ得る。
【0016】
スイッチモード電力供給において、同期スイッチのセットが、電力供給の効率を向上させるために用いられ得る。同期スイッチのセットは2つのスイッチであり得、これらのスイッチは、ハイサイドスイッチ(例えばトランジスタ)がオンであるとき、ローサイドスイッチ(例えばトランジスタ)がオフであるように、及び、ハイサイドスイッチがオフであるとき、ローサイドスイッチがオンであるように動作する。同期スイッチの或る例示の実装は、PMOSトランジスタであるハイサイドトランジスタ、及び、NMOSトランジスタであるローサイドトランジスタであり得る。この例示の実装において、ハイサイドPMOSトランジスタは、ローサイドNMOSトランジスタより幅広のチャネルを有する。PMOSトランジスタのチャネルの一層大きな幅は、NMOSトランジスタにおけるよりもPMOSトランジスタにおけるキャリアの一層低い可動性に起因する。チャネルの一層大きな幅によって、PMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタ間のターンオン及びターンオフのための類似のスイッチング速度が可能となる。しかし、チャネルの一層大きな幅に起因して、ハイサイドPMOSトランジスタは、典型的に、ローサイドNMOSトランジスタより大きな漏れ電流を有する。これによって、ハイサイド漏れ電流及びローサイド漏れ電流の実質的な量が、スイッチモード電力供給の出力に流れてしまう。同期スイッチのセットの異なる実装が、PMOSトランジスタ、NMOSトランジスタ、バイポーラ接合トランジスタ(BJT)、接合ゲート電界効果トランジスタ(JFET)、ダイオード等、又はこれらの任意の組み合わせを用い得る。
【0017】
温度に関する漏れ電流の上昇に対する一層適応的、包括的、及び完全な或る解決策は、同期スイッチのセットにおける漏れ電流を能動的に感知し、漏れ電流間の差を判定し、電力コンバータの出力からその差を単に取り除くことである。本願において説明されるように、ハイサイドトランジスタがローサイドトランジスタより大きな漏れ電流を有するとき、電流が出力から取り除かれ得る。また、この解決策は適応的であり、電力コンバータの如何なる周囲温度にわたっても、電力コンバータの出力における過度の漏れ電流を取り除き得る。ハイサイドトランジスタ及びローサイドトランジスタを介して流れる漏れ電流によって消失される電力の総量
は、トランジスタが用いられる電力コンバータの効率に、下記でわかるように影響し得る。
【0018】
本願において開示される例は、そのようなトランジスタの、及び、これらのトランジスタを採用する電力コンバータ(例えばバックコンバータ、ブーストコンバータ、AC-ACコンバータ、DC-DCコンバータ、AC-DCコンバータ等)の漏れ電流を低減するための(例えば、効率を向上させるための)適応的なアプローチを提供する。漏れ電流は、電力コンバータの総電力消失に影響し、それゆえ、漏れ電流の量を低減することが、上記の等式における漏れ電流によって消失される総電力
を低減する。トランジスタを介する漏れ電流が低減されると、トランジスタによって消失される電力が低減される。また、電力コンバータの出力に流れる電流がなくなる。これにより、トランジスタがオフであることが意図されるとき、出力コンデンサにおける電圧の如何なる上昇も防止される。トランジスタを介する漏れ電流を低減した結果得られる効果は、電力コンバータが、種々の負荷にわたって向上された効率を有することである。
【0019】
図1は、例示のバックコンバータ100の図である。バックコンバータ100は、例示の接地ノード(GND)104に参照される例示の入力電圧ノードV
in102を有する。バックコンバータ100は、入力電圧ノードV
in102に結合されるソースを有するハイサイドトランジスタ106(M
HS)を含む。
図1の例において、ハイサイドトランジスタ106のドレインは、スイッチノードSW108に結合される。スイッチノードSW108は、ローサイドトランジスタ110(M
LS)のドレインに結合される。ローサイドトランジスタ110のソースは、接地ノード(GND)104に結合される。ハイサイドトランジスタ106を介して流れる電流は、I
HSと標示され、ローサイドトランジスタ110を介して流れる電流はI
LSと標示される。スイッチノードSW108はインダクタ112に結合され、インダクタ112はコンデンサ114の正端子に結合される。コンデンサ114の負端子は接地ノード(gnd)116に結合される。また、コンデンサ114の正端子は出力電圧ノードV
O118に結合され、出力電圧ノードV
O118は、
図1には図示されない他の回路のための電圧供給であり得る。インダクタ112、コンデンサ114、及び出力電圧ノードV
O118は、バックコンバータ100の出力段を含む。出力段を介して流れる電流はI
OSと標示される。
【0020】
ハイサイドトランジスタ106及びローサイドトランジスタ110は、バックコンバータ100における同期トランジスタ(例えばスイッチ)のセットの例である。ハイサイドトランジスタ106及びローサイドトランジスタ110は、それぞれ、ハイサイドトランジスタ106及びローサイドトランジスタ110のゲートに印加される制御信号120及び122によって制御され得る。
【0021】
DC電力コンバータは、電子的構成要素(例えばインダクタ、コンデンサ、誘導性素子、容量性素子等)に入力エネルギーを一時的にストアし、その後、そのエネルギーを、出力負荷において異なる電圧でリリースすることによって機能する。バックコンバータ100において、ハイサイドトランジスタ106がオンであり、ローサイドトランジスタ110がオフであるとき、電流(IHS)は、入力電圧ノードVin102からインダクタ112に流れ、インダクタ112は線形レートで充電する。インダクタ112が充電しているとき、インダクタ112は、電流(IOS)がインダクタ112を介して流れることによって生成される磁場にエネルギーをストアしている。また、ハイサイドトランジスタ106がオンであり、ローサイドトランジスタ110がオフであるとき、コンデンサ114もまた、所望の出力電圧レベルまで充電し、負荷は、入力からの電流によって供給される。ハイサイドトランジスタがオフであり、ローサイドトランジスタがオンであるとき、バックコンバータ100における電流は負荷に流れ続ける。インダクタ112の磁場にストアされたエネルギーは消失し、そうして、回路を介して負荷に流れる電流を生成する。バックコンバータ100の出力段を介して流れる電流(IOS)は、ローサイドトランジスタ110を介して流れる電流(ILS)と大きさが等しい。インダクタ112からの電流(IOS)はコンデンサ114及び負荷に流れ、一方、コンデンサ114はバックコンバータ100の所望の出力電圧を維持し、負荷は電力を受け取る。電流は、接地ノード(gnd)116、接地ノード(GND)104、及びローサイドトランジスタ110を介して流れることによってインダクタ112に戻る。上述のスイッチングパターンによって、連続的な電流がバックコンバータ100の負荷に流れることが可能となる。
【0022】
ハイサイドトランジスタ106及びローサイドトランジスタ110を制御するためにコントローラが実装され得、そのため、これら2つのトランジスタは、ハイサイドトランジスタ106がオンであり、ローサイドトランジスタ110がオフであることと、ハイサイドトランジスタ106がオフであり、ローサイドトランジスタ110がオンであることとを交互に行う。これは、バックコンバータ100の出力電圧が、所望の出力電圧に及びバックコンバータ100の安全動作領域内に維持され得るようにコントローラによって決定される周波数及びデューティサイクルにおいて成され得る。
【0023】
図2は、例示の電力コンバータ200を図示し、電力コンバータ200は、接地ノード(GND)204に参照される入力電圧ノードV
in202、出力段208、レギュレータ224、センサ226、及びアダプティブ補償回路228を含む。
【0024】
図示される例において、出力段208は、インダクタ212、コンデンサ214、接地ノード(gnd)216、及び出力電圧ノードVO218を含む。出力段208は、構成要素(例えば、コンデンサ、インダクタ、誘導性素子、容量性素子等)を含み得、こうした構成要素は、レギュレータ224によって駆動されるとき、入力電圧ノードVin202における電圧を所望の出力電圧に変換する。出力段208は、レギュレータ224及びアダプティブ補償回路228に結合される。
【0025】
インダクタ212は、ハイサイドトランジスタ206のドレイン、及びローサイドトランジスタ210のドレインに結合される。インダクタ212は更に、コンデンサ214の正端子に結合され、この正端子は、
図2には図示しない他の回路のための電圧供給であり得る出力電圧ノードV
O218を形成する。コンデンサ214の負端子は接地ノード(gnd)216に結合される。
【0026】
図2の図示される例において、レギュレータ224は、ハイサイドトランジスタ206(M
HS)及びローサイドトランジスタ210(M
LS)を備えて構成されており、任意のタイプのパワートランジスタ(例えば、トランジスタ206又は210、MOSFET、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等)を用い得る。パワートランジスタは、少ない立ち上がり時間及び立ち下がり時間で敏速に動作するように、継続的な高電流に耐え得るように、高電圧において電流を遮断し得るように、及び、パワートランジスタが設置される種々の温度で動作し得るように設計され得る。ハイサイドトランジスタ206のソースは、入力電圧ノードV
in202に結合される。ハイサイドトランジスタ206のドレインは、ローサイドトランジスタ210のドレインに結合される。ローサイドトランジスタ210のソースは、接地ノード(GND)204に結合される。いくつかの例において、ハイサイドトランジスタ206及びローサイドトランジスタ210は、ハイサイドトランジスタ206及びローサイドトランジスタ210の状態によって、出力電流が、出力段208に向かって又は接地ノード(GND)204に向かって流れ得るようにトグルされる。例えば、ハイサイドトランジスタ206がイネーブルされ、ローサイドトランジスタ210ディセーブルされるとき、入力電圧ノードV
in202における入力電圧は、ハイサイドトランジスタ206を介して出力段208に短絡され、出力電流を、ハイサイドトランジスタ206を介して出力段208に向かって流れさせる。ハイサイドトランジスタ206がイネーブルされ、ローサイドトランジスタ210がディセーブルされるとき、ハイサイドトランジスタ206を介して流れる電流(I
HS)は、出力段208を介して流れる電流(I
OS)と大きさが等しい。ハイサイドトランジスタ206がディセーブルされ、ローサイドトランジスタ210がイネーブルされるとき、電流はインダクタ212から供給される。ハイサイドトランジスタ206がディセーブルされ、ローサイドトランジスタ210がイネーブルされるとき、電流は、接地ノード(gnd)216、接地ノード(GND)204、及びローサイドトランジスタ210を介して流れることによってインダクタ212に戻る。ハイサイドトランジスタ206がディセーブルされ、ローサイドトランジスタ210がイネーブルされるとき、出力段208を介して流れる電流(I
OS)は、ローサイドトランジスタ210を介して流れる電流(I
LS)と大きさが等しい。従って、一つまたは複数の制御信号220及び222がハイサイドトランジスタ206及びローサイドトランジスタ210のゲートに印加され得、入力電圧ノードV
in202における入力電圧を、(例えば、電力コンバータにおける)出力電圧ノードV
O218における所望の出力電圧に変換するために電流の流れを切り替える。
【0027】
図2の図示される例において、センサは、入力電圧ノードV
in202、接地ノード(GND)204、レギュレータ224、及びアダプティブ補償回路228に結合される。センサ226は、ハードウェア又はソフトウェアとして実装され得る。ハードウェア実装として、センサ226は、感知電界効果トランジスタ(FET)、シャントレジスタ、電流トランスデューサ、光ファイバセンサ、フラックスゲート変圧器等を含み得る。ハードウェア実装の場合、上記センサのうちの一つのセンサの出力を電力コンバータ200の他の部分のための制御信号に変換するために、増幅器が用いられ得る。ソフトウェア実装として、マイクロコントローラが、監視されるべきハイサイドトランジスタ206又はローサイドトランジスタ210から信号を取り入れ得、その信号に基づいて、電力コンバータ200の別の部分と通信するための出力を生成し得る。センサ226によって、ハイサイドトランジスタ206を介して流れる電流(I
HS)及びローサイドトランジスタ210を介して流れる電流(I
LS)が、トランジスタがオフのときに検出され得る。これにより、電力コンバータ200の他の部分が、漏れ電流の補償が必要とされるかどうかを判定することが可能となる。センサ226によって感知される電流から、補償が必要とされると判定される場合、アダプティブ補償回路228が出力段208に補償を適用する(例えば、調節する)。
【0028】
図示される例において、アダプティブ補償回路228は、センサ226及び出力段208に結合される。アダプティブ補償回路228は、ハードウェア又はソフトウェアとして実装され得る。ハードウェア実装として、アダプティブ補償回路228は、ダイオード補償等を備える、電流ミラー、ツェナーダイオード電流源、トランジスタ電流源であり得る。ソフトウェア実装として、アダプティブ補償回路228は、センサ226から信号を取り込み得、その信号に基づいて、出力段208を介する電流を補償するため別の信号を生成し得る。アダプティブ補償回路228によって、ハイサイドトランジスタ206を介して流れる漏れ電流(IHS)とローサイドトランジスタ210を介して流れる漏れ電流(ILS)との差が、出力段208から取り除かれ又は取り去られ得る。これは、漏れ電流の補償が必要とされるという判定の後に成される。ハイサイドトランジスタ206及びローサイドトランジスタ210がオフであるとき、漏れ電流IHSと漏れ電流ILSとの差は、出力段208を介して流れる電流(IOS)である。
【0029】
図3は、
図2のブロック図に示されるような電力コンバータ200の例示のハードウェア実装の例示である。電力コンバータ300は、接地ノード(GND)304に参照される入力電圧ノードV
in302、出力段308、レギュレータ324、センサ326、及びアダプティブ補償回路328を含む。
図2の出力段208は、出力段308として表される。
図2のレギュレータ224は、レギュレータ324として表される。
図2のセンサ226は、ハードウェアにおいて、センサ326として表される。
図2のアダプティブ補償回路228は、ハードウェアにおいて、アダプティブ補償回路328として表される。
【0030】
図3の図示される例において、レギュレータ324は、出力段308を介する電流(I
OS)の流れをレギュレートする。レギュレータ324は、入力電圧ノードV
in302における入力電圧が出力段308に短絡し、それゆえ、電流が入力電圧ノードV
in302から出力段308に流れ得るように、電力コンバータ300をレギュレートし得る。電流が入力電圧ノードV
in302から出力段308に流れるとき、ハイサイドトランジスタ306(M
HS)を介して流れる電流(I
HS)は、出力段308を介して流れる電流(I
OS)と大きさが等しい。代替として、レギュレータ324は、電流がレギュレータ324及び出力段308間に流れるように、電力コンバータ300をレギュレートし得る。電流がレギュレータ324及び出力段308間に流れるとき、出力段を介して流れる電流(I
OS)は、ローサイドトランジスタ310(M
LS)を介して流れる電流(I
LS)と大きさが等しい。ハイサイドトランジスタ306及びローサイドトランジスタ310がオフであるように制御信号320及び322が構成されるとき、漏れ電流I
HS及び漏れ電流I
LSは、レギュレータ324を介して出力段308に流れる。この漏れ電流はセンサ326によって感知され得、その後、アダプティブ補償回路328にミラーされ得る。アダプティブ補償回路328にミラーされる電流は、出力段308から漏れ電流(I
OS)を差し引くために用いられ、そのため、漏れ電流の負の影響(例えば、電力損失、動作不良等)が無効にされ得る。
【0031】
図示される例において、出力段308は、インダクタ312、コンデンサ314、接地ノード(gnd)316、及び出力電圧ノードVO318を含む。出力段308は、構成要素(例えば、コンデンサ、インダクタ、誘導性素子、容量性素子等)を含み得、こうした構成要素は、レギュレータ324によって駆動されるとき、入力電圧ノードVin302における入力電圧を、所望の出力電圧に変換する。出力段308は、レギュレータ324及びアダプティブ補償回路328に結合される。
【0032】
インダクタ312は、ハイサイドトランジスタ306のドレイン及びローサイドトランジスタ310のドレインに結合される。インダクタ312は更に、コンデンサ314の正端子に結合され、この正端子は、
図3には図示されない他の回路のための電圧供給であり得る出力電圧ノードV
O318を形成する。コンデンサ314の負端子は、接地ノード(gnd)316に結合される。
【0033】
図3の図示される例において、レギュレータ324は、ハイサイドトランジスタ306及びローサイドトランジスタ310を備えて構成されており、任意のタイプのパワートランジスタ(例えば、トランジスタ306又は310、MOSFET、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等)を用い得る。パワートランジスタは、少ない立ち上がり時間及び立ち下がり時間で敏速に動作するように、継続的な高電流に耐え得るように、高電圧において電流を遮断し得るように、及び、トランジスタが設置される種々の温度で動作し得るように設計され得る。ハイサイドトランジスタ306のソースは、入力電圧ノードV
in302に結合される。ハイサイドトランジスタ306のドレインは、ローサイドトランジスタ310のドレインに結合される。ハイサイドPMOSトランジスタ306及びローサイドNMOSトランジスタ310は、第1の電流経路を形成する。ローサイドトランジスタ310のソースは、接地ノード(GND)304に結合される。いくつかの例において、ハイサイドトランジスタ306及びローサイドトランジスタ310は、ハイサイドトランジスタ306及びローサイドトランジスタ310の状態によって、出力電流が、出力段308に向かって又は接地ノード(GND)304に向かって流れ得るようにトグルされる。例えば、ハイサイドトランジスタ306がイネーブルされ、ローサイドトランジスタ310がディセーブルされるとき、入力電圧ノードV
in302における入力電圧は、ハイサイドトランジスタ306を介して出力段308に短絡され、出力電流を出力段308に向かって流れさせる。ハイサイドトランジスタ306がディセーブルされ、ローサイドトランジスタ310がイネーブルされるとき、出力電流は、ローサイドトランジスタ310を介して接地ノード(gnd)316に流れ出る。従って、一つまたは複数の制御信号320及び322が、入力電圧ノードV
in302における入力電圧を、(例えば、電力コンバータにおける)出力電圧ノードV
O318における所望の出力電圧に変換するために電流の流れを切り替えるため、ハイサイドトランジスタ306及びローサイドトランジスタ310のゲートに印加され得る。
【0034】
図3の図示される例において、センサ326は、レギュレータ324、アダプティブ補償回路328、入力電圧ノードV
in302、及び接地ノード(GND)304に結合される。センサ326は、レギュレータ324におけるハイサイドトランジスタ306を介して流れる漏れ電流(I
HS)及びローサイドトランジスタ310を介して流れる漏れ電流(I
LS)を感知するために、感知MOSFETを用いる。ハイサイドトランジスタ306はPMOSトランジスタである。ローサイドトランジスタ310はNMOSトランジスタである。ハイサイドPMOSトランジスタ306は、ハイサイド感知トランジスタ330(M
HS-SENSE)に結合される。ハイサイド感知トランジスタ330はPMOSトランジスタである。ハイサイドPMOSトランジスタ306及びハイサイド感知PMOSトランジスタ330間の結合は、PMOSセンシングの一例である。PMOSセンシングは、ハイサイドPMOSトランジスタ306を介して流れる漏れ電流(I
HS)と、ハイサイド感知PMOSトランジスタ330を介して流れる感知電流(I
HS-SENSE)との比例関係(N)(すなわち、比)に基づいて行われ得る。比(N)は、ハイサイドPMOSトランジスタ306のために用いられるPMOSトランジスタのチャネル幅、及び、ハイサイド感知PMOSトランジスタ330のために用いられるPMOSトランジスタのチャネル幅に基づくものであり得、そのため、比N=M
HS/M
HS-SENSEである。ローサイドNMOSトランジスタ310は、ローサイド感知トランジスタ332(M
LS-SENSE)に結合される。ローサイド感知トランジスタ332はNMOSトランジスタである。ローサイドNMOSトランジスタ310及びローサイド感知NMOSトランジスタ332間の結合は、NMOSセンシングの一例である。NMOSセンシングは、ローサイドNMOSトランジスタ310を介して流れる漏れ電流(I
LS)と、ローサイド感知NMOSトランジスタ332を介して流れる感知電流(I
LS-SENSE)との比例関係(M)(すなわち、比)に基づいて行われ得る。比Mは、ローサイドNMOSトランジスタ310のために用いられるNMOSトランジスタのチャネル幅、及び、ローサイド感知NMOSトランジスタ332のために用いられるNMOSトランジスタのチャネル幅に基づくものであり得、そのため、比M=M
LS/M
LS-SENSEである。ハイサイド感知トランジスタ330及びローサイド感知トランジスタ332は、第2の電流経路を形成する。ハイサイド感知PMOSトランジスタ330のドレイン及びローサイド感知NMOSトランジスタ332のドレインは、ノードSW
Leakage338において共に結合される。ハイサイド感知PMOSトランジスタ330を介する感知電流I
HS-SENSEと、ローサイド感知NMOSトランジスタ332を介する感知電流I
LS-SENSEとの差が、ノードSW
Leakage338を介してアダプティブ補償回路328に流れる。この差は、出力段308に流れる漏れ電流と比例関係にある。代替として、上記のセンシング技法(例えば、PMOSセンシング、NMOSセンシング)は、PMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタに限定されず、任意のタイプのトランジスタ(例えば、PMOSトランジスタ、NMOSトランジスタ、BJT、IGBT、JFET等)を備えて実装され得る。
【0035】
図3の図示される例において、アダプティブ補償回路328は、ノードSW
Leakage338においてセンサ326に結合される。また、アダプティブ補償回路328は、ハイサイドPMOSトランジスタ306のドレインと、ローサイドNMOSトランジスタ310のドレインと、インダクタ312との間の接続において、出力段308に結合される。代替として、アダプティブ補償回路328は、コンデンサ314の正端子において電力コンバータ300の出力段308に結合され得る。アダプティブ補償回路328は、センサ326からノードSW
Leakage338を介して差電流(I
DIFF)を受け取る。アダプティブ補償回路328は、基準MOSFET334(M
REF)及びミラーMOSFET336(M
Mirror)が電流ミラーを形成するように、電流ミラー構成でセットアップされる。基準MOSFET334は、差電流(I
DIFF)を受け取る。基準MOSFET334は、基準MOSFET334のゲート及びミラーMOSFET336のゲートにおいてミラーMOSFET336に結合される。アダプティブ補償回路328は、出力段308からミラーMOSFET336に流れる補償電流(I
COMP)を生成する。差電流(I
DIFF)は、比(N*)に基づいて、補償電流(I
COMP)に比例し、そのため、比N*=M
Mirror/M
REFである。ターゲット比N*は、補償電流(I
COMP)が、出力段308に流れている正確な漏れ電流(I
OS)であるように設計される。このため、総漏れ電流(I
OS)が出力段308から取り除かれる。この補償電流(I
COMP)が出力段308に流れる漏れ電流(I
OS)と同じであることを保証するために、感知MOSFETと、ハイサイドPMOS MOSFETと、ローサイドNMOS MOSFETとの間の比、及び、基準MOSFET334とミラーMOSFET336との間の比は、次のとおりであるはずである。
N*≧N≧M
【0036】
図3の図示される例において、ハイサイドPMOSトランジスタ306及びローサイドNMOSトランジスタ310は、出力段308への電流の流れを制御し得る。ハイサイドPMOSトランジスタ306は、制御信号320がハイサイドPMOSトランジスタ306のゲートに印加されることによって制御され得る。また、ローサイドNMOSトランジスタ310は、制御信号322がローサイドNMOSトランジスタ310のゲートに印加されることによって制御され得る。ハイサイドPMOSトランジスタ306がオンであり、ローサイドNMOSトランジスタ310がオフであるとき、電流が、入力電圧ノードV
in302から出力段308に流れる。ハイサイドPMOSトランジスタ306がオンであり、ローサイドNMOSトランジスタ310がオフであるとき、ハイサイドPMOSトランジスタ306を介して流れる電流(I
HS)は、出力段308を介して流れる電流(I
OS)と大きさが等しい。このケースにおいて、電流は、インダクタ312及びコンデンサ314を充電し、そのため、エネルギーが、磁場の形態でインダクタ312にストアされ、エネルギーが、電場の形でコンデンサ314にストアされる。ハイサイドPMOSトランジスタ306がオフであり、ローサイドNMOSトランジスタ310がオンであるとき、電流が、ローサイドNMOSトランジスタ310と出力段308との間に流れる。ハイサイドPMOSトランジスタ306がオフであり、ローサイドNMOSトランジスタ310がオンであるとき、出力段308を介して流れる電流(I
OS)は、ローサイドNMOSトランジスタ310を介して流れる電流(I
LS)と大きさが等しい。このケースにおいて、インダクタ312の磁場にストアされたエネルギーは、電流の流れを生成するために消失し、コンデンサ314の電場にストアされたエネルギーは、出力電圧ノードV
O318上の電圧を維持するために用いられる。ハイサイドトランジスタ306及びローサイドトランジスタ310を制御するためにコントローラが実装され得、そのため、これら2つのトランジスタが、ハイサイドトランジスタ306がオンであり、ローサイドトランジスタ310がオフであることと、ハイサイドトランジスタ306がオフであり、ローサイドトランジスタ310がオンであることとを交互に行う。これは、出力電圧ノードV
Oにおける出力電圧が、所望の出力電圧に及び電力コンバータ300の安全動作領域内に維持され得るように、コントローラによって決定される周波数及びデューティサイクルにおいて成され得る。ハイサイドPMOSトランジスタ306がオフであり、ローサイドNMOSトランジスタ310がオフであるとき、入力電圧V
in302から、電力コンバータ300の出力段308に漏れ電流が流れ得る。このケースにおいて、ハイサイド感知PMOSトランジスタ330は、ハイサイドPMOSトランジスタ306を介して流れる漏れ電流(I
HS)を感知し、ローサイド感知NMOSトランジスタ332は、ローサイドNMOSトランジスタ310を介して流れる漏れ電流(I
LS)を感知し得る。漏れ電流I
HSと漏れ電流I
LSとの差が出力段308に流れるのと同様に、感知電流I
HS-SENSEと感知電流I
LS-SENSEとの差電流(I
DIFF)が、アダプティブ補償ネットワーク328に流れる。ハイサイドPMOSトランジスタ306及びローサイドNMOSトランジスタ310がオフであるとき、漏れ電流I
HSと漏れ電流I
LSとの差は、出力段308を介して流れる電流(I
OS)である。基準MOSFET334は、アダプティブ補償回路328に対する入力として差電流を受け取り得る。差電流(I
DIFF)は、アダプティブ補償回路328にわたって、基準MOSFET334からミラーMOSFET336にミラーされる。ミラーMOSFET336は補償電流(I
COMP)を生成し、補償電流(I
COMP)はその後出力段308から差し引かれ、漏れ電流(I
OS)の影響をなくす。
【0037】
センサ326及びアダプティブ補償回路328は、ハイサイドPMOSトランジスタ306及びローサイドNMOSトランジスタ310が導通しているか否かにかかわらず、アクティブである。ハイサイドPMOSトランジスタ306及びローサイドNMOSトランジスタ310がオフ状態にあるとき、補償電流(ICOMP)は、出力段308に流れる漏れ電流(IOS)が完全に補償されて、出力電圧ノードVO318における出力電圧の結果的な充電がないような値である。しかし、ハイサイドPMOSトランジスタ306及びローサイドNMOSトランジスタ310が同期トランジスタのセットとして用いられているとき、補償電流(ICOMP)は無視してよく、それゆえ、電力コンバータ300は、予期されるとおりに動作する。
【0038】
図4は、
図1のバックコンバータ100の出力電圧対周囲温度の例示のグラフ400である。グラフ400は、2つのプロット、すなわち、漏れ電流補償のない出力電圧402と、漏れ電流補償を備えるターゲット出力電圧404とを含む。これらのプロット402、404はいずれも、バックコンバータ100の周囲温度に対して設定される。周囲温度は、-50℃~200℃の範囲である。漏れ電流補償のない出力電圧402は、周囲温度が上昇するにつれて、約0VDCからほぼ30VDCまで変動する。これは、バックコンバータ100の出力段に流れる漏れ電流に起因する。アダプティブ補償回路228がないと、出力段においてコンデンサ114によって維持されている電圧は際限なく上昇し、電力損失を生じさせ得、場合によっては、バックコンバータ100又はバックコンバータ100を用いる応用例を損傷させ得る。漏れ電流補償を備えるターゲット出力電圧404は、周囲温度が上昇しても、約0VDCの定電圧を維持する。これは、アダプティブ補償回路228があることに起因する。これによって、漏れ電流は、周囲温度に関係なく、バックコンバータ100の出力段からなくされ得る。これにより電力が節約され、バックコンバータ100又はバックコンバータ100を用いる応用例を場合によって損傷させることが防止される。また、過度の漏れ電流のみが補償される。これによって、接続される負荷に対する低出力電流により、出力電圧が変動範囲内に保たれ得る。また、アダプティブ補償回路228があることにより、電力変換効率が、多様な負荷にわたって最大化され得る。
【0039】
図5は、
図1のバックコンバータ100の出力負荷電流対周囲温度の例示のグラフ500である。グラフ500は、2つのプロット、すなわち、漏れ電流補償のない出力負荷電流502と、漏れ電流補償を備える出力負荷電流504を含む。これらのプロット502、504はいずれも、バックコンバータ100の周囲温度に対して設定される。周囲温度が上昇するにつれて、周囲温度は-50℃から200℃まで変動する。漏れ電流補償のない出力負荷電流502は、約0μA~ほぼ3μAの範囲である。これは、バックコンバータ100の出力段に流れる漏れ電流に起因する。アダプティブ補償回路228がないと、ハイサイドPMOSトランジスタ106及びローサイドNMOSトランジスタ110を介して流れる漏れ電流は際限なく増加し、電力損失を生じさせ得、場合によっては、バックコンバータ100又はバックコンバータ100を用いる応用例を損傷させ得る。漏れ電流補償を備える出力負荷電流504は、約0μAの定電流を維持する。これは、アダプティブ補償回路228があることに起因する。これによって、漏れ電流が、周囲温度に関係なく、バックコンバータ100の出力段からなくされ得る。これにより、電力が節約され、バックコンバータ100又はバックコンバータ100を用いる応用例を場合によって損傷させることが防止される。また、過度の漏れ電流のみが補償される。これによって、接続される負荷に対する低出力電流により、バックコンバータの出力電圧が変動範囲内に保たれ得る。また、アダプティブ補償回路228があることにより、電力変換効率が、多様な負荷にわたって最大化され得る。
【0040】
図6は、負荷電流に対する
図1のバックコンバータ100の効率の例示のグラフ600である。負荷電流は、バックコンバータ100に接続される負荷を介して流れる電流を反映する。グラフ600は、第1のエリア602、第2のエリア604、第3のエリア606、及び曲線608を含む。グラフ600において、第1のエリア602は、従来の補償技法を用いた1μAの負荷電流のバックコンバータ100の効率に対応する。第2のエリア604は、従来の補償技法を用いた10μAの負荷電流のバックコンバータ100の効率に対応する。第3のエリア606は、
図2のアダプティブ補償回路を用いた1μAの負荷電流のバックコンバータ100の効率に対応する。第1のエリア602における効率は約50%であり、一方、第2のエリア604における効率はおおよそ85%である。第3のエリア606は約85%の効率を有する。グラフに見られる、第1のエリア602と第3のエリア606との間の向上された効率は、
図2のアダプティブ補償回路を用いていることに起因する。曲線608は、
図2のアダプティブ補償回路が用いられたときのバックコンバータ100の効率曲線に対応する。これによって、多様な負荷値にわたる向上された効率が可能となる。
【0041】
図2のアダプティブ補償回路を実装する例示の方式が
図3に図示されており、
図3に図示される一つまたは複数の要素、プロセス、及び/又はデバイスが、任意の他のやり方において、組み合わされ、分割され、再配置され、省略され、除去され、及び/又は実装され得る。また、
図2の例示のセンサ226及び例示のアダプティブ補償回路228は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、及び/又は、ハードウェア、ソフトウェア及び/又はファームウェアの任意の組み合わせによって実装され得る。このように、例えば、例示のセンサ226及び例示のアダプティブ補償回路228の任意のものが、一つまたは複数のアナログ又はデジタル回路、論理回路、プログラマブルプロセッサ、プログラマブルコントローラ、グラフィック処理ユニット(GPU)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、及び/又はフィールドプログラマブル論理デバイス(FPLD)によって実装され得る。純粋なソフトウェア及び/又はファームウェア実装に適用される本出願の装置又はシステムクレームのうちの任意のものを解釈する際、例示のセンサ226及び例示のアダプティブ補償回路228の少なくとも一つが、ソフトウェア及び/又はファームウェアを含む、メモリ、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、コンパクトディスク(CD)、ブルーレイディスク等など、非一時的コンピュータ可読ストレージデバイス又はストレージディスクを含むことが、本明細書において明確に定義される。また、
図2の例示のセンサ226及び例示のアダプティブ補償回路228は、
図3に図示されたものに加えて、又はその代わりに、一つまたは複数の要素、プロセス、及び/又はデバイスを含み得、及び/又は、図示される要素、プロセス、及びデバイスの、二つ以上の任意のもの又は全てを含み得る。本願で用いられるように、「通信して」という表現は、その変形を含め、直接的な通信及び/又は一つまたは複数の媒介構成要素を介する間接的な通信を包含しており、直接的な物理的(例えば、有線)通信及び/又は継続的な通信を要求するものではなく、むしろ付加的に、周期的間隔、スケジュールされた間隔、非周期的間隔、及び/又は一度限りの事象における選択的な通信を含む。
【0042】
図2のセンサ226及びアダプティブ補償回路228を実装するための、例示のハードウェア論理、機械可読命令、ハードウェア実装の状態機械、及び/又はそれらの任意の組み合わせを表すフローチャートを
図7に示す。機械可読命令は、
図8に関連して後述される例示のプロセッサプラットフォーム800に示されるプロセッサ812などのコンピュータプロセッサによる実行のための、実行可能なプログラム又は実行可能なプログラムの一部であり得る。こういったプログラムは、CD-ROM、フロッピーディスク、ハードドライブ、DVD、ブルーレイディスク、又はプロセッサ812に関連するメモリなどの、非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体上にストアされるソフトウェアにおいて具現化され得るが、代替として、プログラム全体及び/又はその一部が、プロセッサ812以外のデバイスによって実行され得、及び/又は、ファームウェア又は専用のハードウェアにおいて具現化され得る。また、例示のプログラムが、
図7に図示されるフローチャートを参照して説明されるが、代替として、例示のセンサ226及び例示のアダプティブ補償回路228を実装する多くのその他の方法が用いられてもよい。例えば、ブロックの実行の順が変更され得、及び/又は、説明されるブロックのいくつかが、変更され、除去され、又は組み合わされ得る。付加的に又は代替として、任意又は全てのブロックが、ソフトウェア又はファームウェアを実行することなく、対応する動作を行うように構成される一つまたは複数のハードウェア回路(例えば、ディスクリート及び/又は集積アナログ及び/又はデジタル回路要素、FPGA、ASIC、コンパレータ、演算増幅器(op-amp)、論理回路等)によって実装され得る。
【0043】
上記したように、
図7の例示のプロセスは、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、リードオンリメモリ、コンパクトディスク、デジタルバーサタイルディスク、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ、及び/又は任意の他のストレージデバイス若しくはストレージディスクなどの、非一時的コンピュータ及び/又は機械可読媒体上にストアされる実行可能な命令(例えば、コンピュータ及び/又は機械可読命令)を用いて実装され得、そのような非一時的コンピュータ及び/又は機械可読媒体において、情報は、任意の持続時間の間(例えば、延長された時間間隔の間、恒久的に、短い瞬間の間、一時的なバッファリングの間、及び/又は情報をキャッシュする間)、ストアされる。本願で用いられるように、「非一時的コンピュータ可読媒体」という用語は、任意のタイプのコンピュータ可読ストレージデバイス及び/又はストレージディスクを含むこと、並びに、伝播信号を除外すること、及び送信媒体を除外することが明確に定義される。
【0044】
本願において、「を含む」(及びその全ての形態及び時制)は、非限定的な用語であるように用いられる。それゆえ、請求項が、プリアンブルとして又は任意の種類の請求項の記載において、「含む」の任意の形(例えば、を含む(comprises)、(includes)、(comprising)、(including)、を有する(having)等)を用いる場合は常に、対応する特許請求の範囲又は記載の範囲から逸脱することなく、付加的な要素、条件等が存在し得ることを理解すべきである。本願で用いられるように、「少なくとも」という表現が、例えば、請求項のプリアンブルにおいてトランジション用語として用いられる場合、「少なくとも」という表現は、「を含む」という用語が非限定的であるのと同じように非限定的である。例えば、A、B、及び/又はCなどの形で用いられる場合の用語「及び/又は」は、(1)Aのみ、(2)Bのみ、(3)Cのみ、(4)AとB、(5)AとC、(6)BとC、及び(7)AとBとCなど、A、B、Cの任意の組み合わせまたはサブセットを指す。構造、構成要素、アイテム、物体、及び/又は物を説明する文脈において本願で用いられるように、「A及びBの少なくとも一つ」という表現は、(1)少なくとも一つのA、(2)少なくとも一つのB、並びに(3)少なくとも一つのA及び少なくとも一つのB、の任意のものを含む実装を指すことが意図される。同様に、構造、構成要素、アイテム、物体及び/又は物事を説明する文脈において本願で用いられるように、「A又はBの少なくとも一つ」という表現は、(1)少なくとも一つのA、(2)少なくとも一つのB、並びに(3)少なくとも一つのA及び少なくとも一つのB、の任意のものを含む実装を指すことが意図される。プロセス、命令、行為、アクティビティ、及び/又はステップの性能または実行を説明する文脈において本願で用いられるように、「A及びBの少なくとも一つ」という表現は、(1)少なくともA、(2)少なくともB、並びに(3)少なくともA及び少なくともB、の任意のものを含む実装を指すことが意図される。同様に、プロセス、命令、行為、アクティビティ、及び/又はステップの性能または実行を説明する文脈において本願で用いられるように、「A又はBの少なくとも一つ」という表現は、(1)少なくともA、(2)少なくともB、並びに(3)少なくともA及び少なくともB、の任意のものを含む実装を指すことが意図される。
【0045】
図7のプログラムは、
図2のセンサ226及びアダプティブ補償回路228を実行するためのプロセス700を示す。プロセス700はブロック702を含み、ブロック702はプロセス700の開始である。プロセス700はブロック704を含み、ブロック704は、第1の電流及び第2の電流を測定するようにプロセッサに命令し得るブロックである。第1の電流は、ハイサイドPMOSトランジスタ206に関連し得、第2の電流は、ローサイドNMOSトランジスタ210に関連し得る。センサ326は、ブロック704の例示のハードウェア実装として示されている。例示のハードウェア実装において、ハイサイド感知PMOSトランジスタ330は第1の電流を感知し、ローサイド感知NMOSトランジスタ332は第2の電流を感知する。
【0046】
プロセス700における次のブロックはブロック706であり、ブロック706は、第1の電流と第2の電流との差が正であるかどうかを判定するようにプロセッサに命令し得るブロックである。プロセッサが、電流が正でないと認める場合、プロセス700はブロック704に戻る。プロセッサが、差が正であると判定する場合、プロセス700はブロック708に進む。代替として、ブロック706は、ソフトウェアとは対照的に、ハードウェアとして実装され得る。ハードウェアとして、ブロック706は、センサ326及びアダプティブ補償回路328間の結合として実装され得る。この結合は、差電流が正であるときのみ、補償を可能とする。
【0047】
プロセス700における次のブロックはブロック708であり、ブロック708は、補償電流を生成するようにプロセッサに命令し得るブロックである。プロセス700における次のブロックはブロック710であり、ブロック710は、ブロック708からの生成された補償電流を、
図3に示される出力段308に印加するようにプロセッサに命令し得るブロックである。代替として、ブロック708及びブロック710は、ハードウェアとして実装され得る。ハードウェア実装として、ブロック708は、補償電流を生成するアダプティブ補償回路328として実装され得る。また、ブロック710は、アダプティブ補償回路328及び出力段308間の結合として実装され得る。この結合によって、アダプティブ補償回路328が補償電流を出力段308に印加することが可能となる。
【0048】
図8は、
図2のセンサ226及びアダプティブ補償回路228を実装するために、
図7の命令を実行するように構成される例示のプロセッサプラットフォーム800のブロック図である。プロセッサプラットフォーム800は、例えば、サーバ、パーソナルコンピュータ、ワークステーション、自己学習機械(例えば、ニューラルネットワーク)、携帯型デバイス(例えば、携帯電話、スマートフォン、iPad(商標)などのタブレット)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、インターネットアプライアンス、DVDプレーヤー、CDプレーヤー、デジタルビデオレコーダ、ブルーレイプレーヤー、ゲーム機、パーソナルビデオレコーダ、セットトップボックス、ヘッドセット若しくは他のウェアラブルデバイス、又は任意の他のコンピューティングデバイスであり得る。
【0049】
図示される例のプラットフォーム800はプロセッサ812を含む。図示される例のプロセッサ812はハードウェアである。例えば、プロセッサ812は、任意の所望の集団又は製造業者による、一つまたは複数の集積回路、論理回路、マイクロプロセッサ、GPU、DSP、又はコントローラによって実装され得る。ハードウェアプロセッサは、半導体ベースの(例えば、シリコンベースの)デバイスであり得る。この例において、プロセッサは、センサ226及びアダプティブ補償回路228を実装する。
【0050】
図示される例のプロセッサ812は、ローカルメモリ813(例えば、キャッシュ)を含む。図示される例のプロセッサ812は、バス818を介して、揮発性メモリ814及び不揮発性メモリ816を含むメインメモリと通信する。揮発性メモリ814は、同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、RAMBUS(登録商標)ダイナミックランダムアクセスメモリ(RDRAM(登録商標))、及び/又は任意の他のタイプのランダムアクセスメモリデバイスによって実装され得る。不揮発性メモリ816は、フラッシュメモリ及び/又は任意の他の所望のタイプのメモリデバイスによって実装され得る。メインメモリ814、816へのアクセスはメモリコントローラによって制御される。
【0051】
また、図示される例のプロセッサプラットフォーム800は、インターフェース回路820を含む。インターフェース回路820は、イーサネットインターフェース、ユニバーサルシリアルバス(USB)、ブルートゥース(登録商標)インターフェース、近距離無線通信(NFC)インターフェース、及び/又はPCIエクスプレスインターフェースなど、インターフェース規格によって実装され得る。
【0052】
図示される例において、一つまたは複数の入力デバイス822が、インターフェース回路820に接続される。入力デバイス822により、ユーザは、データ及び/又はコマンドをプロセッサ812に入力し得る。入力デバイスは、例えば、オーディオセンサ、マイクロフォン、カメラ(スチル又はビデオ)、キーボード、ボタン、マウス、タッチスクリーン、トラックパッド、トラックボール、アイソポイント、及び/又は音声認識システムによって実装され得る。
【0053】
また、一つまたは複数の出力デバイス824が、図示される例のインターフェース回路820に接続される。出力デバイス824は、例えば、ディスプレイデバイス(例えば、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、液晶ディスプレイ(LCD)、陰極線管ディスプレイ(CRT)、インプレーンスイッチング(IPS)ディスプレイ、タッチスクリーン等)、触感出力デバイス、プリンタ及び/又はスピーカによって実装され得る。それゆえ、図示される例のインターフェース回路820は、典型的に、グラフィックドライバカード、グラフィックドライバチップ、及び/又はグラフィックドライバプロセッサを含む。
【0054】
また、図示される例のインターフェース回路820は、ネットワーク826を介する外部機械(例えば、任意の種類のコンピューティングデバイス)とのデータの交換を促進するために、トランスミッタ、レシーバ、トランシーバ、モデム、ホームゲートウェイ、ワイヤレスアクセスポイント、及び/又はネットワークインターフェースなどの通信デバイスを含む。通信は、例えば、イーサネット接続、デジタル加入者線(DSL)接続、電話線接続、同軸ケーブルシステム、衛星システム、高低線ワイヤレスシステム、携帯電話システム等を介するものであり得る。
【0055】
また、図示される例のプロセッサプラットフォーム800は、ソフトウェア及び/又はデータをストアするための、一つまたは複数の大容量ストレージデバイス828を含む。そのよう大容量ストレージデバイス828の例には、フロッピーディスクドライバ、ハードドライブディスク、コンパクトディスクドライバ、ブルーレイディスクドライバ、リダンダントアレイオブインデペンデントディスク(RAID)システム、及びデジタルバーサタイルディスク(DVD)ドライバが含まれる。
【0056】
図6の機械実行可能命令832は、大容量ストレージデバイス828に、揮発性メモリ814に、不揮発性メモリ816に、及び/又は、CD又はDVDなどの取り外し可能な非一時的コンピュータ可読ストレージ媒体上にストアされ得る。
【0057】
上記から、低静止電流応用例における電力コンバータの効率が向上され得る、例示の方法、装置、及び製品が開示されたことが理解されよう。アダプティブ補償回路328によって、電力コンバータ300の出力段308に流れる漏れ電流が完全に保障されることが可能となる。従来の補償は、出力段308への漏れ電流を充分に保障せず、電力コンバータの効率に悪影響を与える最悪のシナリオの補償電流を用いていた。また、従来の補償が、感知装置から直接的に出力電圧に漏れ電流をミラーするものであったので、従来の補償は、出力段308を介する漏れ電流を充分に保障しなかった。一つの完全な解決策として、アダプティブ補償回路328は、出力段308を介する漏れ電流を完全に補償する。これが、電力コンバータの出力電圧を予測値内に保つため、及び、接続される負荷への低出力電流を維持するための解決策を提供し、それゆえ、低静止電流応用例における電力コンバータの効率が向上する。アダプティブ補償回路328があることによって、多様な負荷にわたって、向上した電力変換効率が可能となる。開示される方法、装置、及び製品は、電力コンバータの出力段から漏れ電流を適応的に取り除くことによって、コンピューティングデバイスを用いる効率を改善する。これが、本発明が実装される電力コンバータと、全体的な応用例自体との効率を向上させる。電力コンバータのアイドル状態において、漏れ電流のみが出力段から取り除かれる。従って、開示される方法、装置、及び製品は、コンピュータの機能性における一つまたは複数の改善をもたらす。
【0058】
2018年2月19日に出願された米国特許出願、出願第62/632,255は、その全体が参照により本願に組み込まれる。
【0059】
特許請求の範囲内で、説明された実施形態における改変が可能であり、その他の実施形態が可能である