(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】シートシステム
(51)【国際特許分類】
B60N 2/90 20180101AFI20230308BHJP
G09F 19/00 20060101ALI20230308BHJP
A47C 7/62 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
B60N2/90
G09F19/00 Z
A47C7/62 Z
(21)【出願番号】P 2018224048
(22)【出願日】2018-11-29
【審査請求日】2021-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】郭 裕之
(72)【発明者】
【氏名】草野 惇至
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/121174(WO,A1)
【文献】特開2017-107326(JP,A)
【文献】特開2002-215639(JP,A)
【文献】特開2001-344352(JP,A)
【文献】特開2017-065504(JP,A)
【文献】特開2015-156877(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0333093(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 7/62,1/00
B60N 2/24,2/90
G09F 19/00
G06Q 30/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート本体、および、前記シート本体に設けられ、前記シート本体に座っている着座者の身体状態を特定するための情報を取得するセンサを有するシートと、
複数の広告情報を記憶したサーバと、
前記センサから前記情報を取得可能であるとともに、前記サーバと通信可能な端末と、を備えるシートシステムであって、
前記端末は、前記情報に基づいて、運動に関係する評価値を算出し、
前記端末または前記サーバは、
前記評価値に基づいて、前記複数の広告情報か
ら前記評価値に関連する広告情報を選択し、当該広告情報を前記着座者に報知することを特徴とするシートシステム。
【請求項2】
前記端末は、前記シートの位置情報を取得する位置情報取得部を備え、
前記端末または前記サーバは
、前記評価値と前記位置情報とに基づいて、前記複数の広告情報か
ら前記評価値および前記位置情報に関連する広告情報を選択することを特徴とする請求項1に記載のシートシステム。
【請求項3】
前記端末は、選択された広告情報に基づいて、当該広告情報の広告主の位置を特定し、当該広告主の位置を含む所定エリア内に、前記位置情報で特定されている位置があることを条件として、前記広告情報を報知することを特徴とする請求項2に記載のシートシステム。
【請求項4】
前記センサは、圧力センサであ
ることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシートシステム。
【請求項5】
前記端末は、
前記圧力センサからの圧力値に基づいて前記シート上の着座者に運動を行わせる運動プログラムを実行可能であり、
前記運動プログラムの実行中において、所定の運動が終了したことを条件として、選択した広告情報を前記着座者に報知することを特徴とする請求項4に記載のシートシステム。
【請求項6】
前記シート本体は、シートクッションおよびシートバックを有し、
前記シートクッションおよび前記シートバックは、クッションパッドと、クッションパッドを被覆する表皮と、を備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のシートシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサを有するシートを備えたシートシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗員の着座姿勢を検出するために、シート上に複数の圧力センサを配置した車両用シートが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の車両用シートは、運転者の着座姿勢を評価して提示するだけであるので、あまり有効に利用できないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、シートの新たな価値を提案するべく、センサを有するシートに着座する着座者に適した広告情報を報知することが可能なシートシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するため、本発明に係るシートシステムは、シート本体、および、前記シート本体に設けられ、前記シート本体に座っている着座者の身体状態を特定するための情報を取得するセンサを有するシートと、複数の広告情報を記憶したサーバと、前記センサから前記情報を取得可能であるとともに、前記サーバと通信可能な端末と、を備える。
前記端末または前記サーバは、前記情報または前記情報に基づく評価値に基づいて、前記複数の広告情報から前記情報または前記評価値に関連する広告情報を選択し、当該広告情報を前記着座者に報知する。
【0007】
この構成によれば、シート本体に設けられるセンサで取得した情報等に基づいて広告情報が選択されて、着座者に報知されるので、センサを有するシートに着座する着座者の身体状態に適した広告情報を報知することができる。
【0008】
また、前記端末は、前記シートの位置情報を取得する位置情報取得部を備え、前記端末または前記サーバは、前記情報または前記評価値と前記位置情報とに基づいて、前記複数の広告情報から前記情報または前記評価値および前記位置情報に関連する広告情報を選択してもよい。
【0009】
これによれば、身体状態に対応した情報に加え、位置情報も参照して、広告情報を選択するので、着座者がいる場所と着座者の身体状態とに適した広告情報を報知することができる。
【0010】
また、前記端末は、選択された広告情報に基づいて、当該広告情報の広告主の位置を特定し、当該広告主の位置を含む所定エリア内に、前記位置情報で特定されている位置があることを条件として、前記広告情報を報知してもよい。
【0011】
これによれば、着座者が現在いる場所に対応した広告情報が報知されるので、着座者が広告情報に提示された物やサービスの提供を受ける場所に迅速に移動して、サービス等の提供を迅速に受けることができる。
【0012】
また、前記センサは、圧力センサであり、前記端末は、前記情報としての圧力値に基づいて、運動に関係する評価値を算出し、前記端末または前記サーバは、前記評価値に基づいて広告情報を選択してもよい。
【0013】
これによれば、運動に関係する評価値に基づいて広告情報を選択するので、着座者の運動のレベルに応じた施設などを着座者に紹介することができる。
【0014】
また、前記端末は、前記圧力センサからの圧力値に基づいて前記シート上の着座者に運動を行わせる運動プログラムを実行可能であり、前記運動プログラムの実行中において、所定の運動が終了したことを条件として、選択した広告情報を前記着座者に報知してもよい。
【0015】
これによれば、運動プログラムの実行結果に応じた広告情報を着座者に報知することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シート本体に設けられるセンサで取得した情報等に基づいて広告情報が選択されて、着座者に報知されるので、センサを有するシートに着座する着座者の身体状態に適した広告情報を報知することができる。
【0017】
また、身体状態に対応した情報に加え、位置情報を参照して、広告情報を選択することで、着座者がいる場所と着座者の身体状態とに適した広告情報を報知することができる。
【0018】
また、広告主の位置から所定の範囲内に位置情報で特定されている位置があることを条件として広告情報を報知することで、着座者が広告情報に提示された物やサービスの提供を受ける場所に迅速に移動して、サービス等の提供を迅速に受けることができる。
【0019】
また、運動に関係する評価値に基づいて広告情報を選択することで、着座者の運動のレベルに応じた施設などを着座者に紹介することができる。
【0020】
また、運動プログラムの実行中において、所定の運動が終了したことを条件として、選択した広告情報を着座者に報知することで、運動プログラムの実行結果に応じた広告情報を着座者に報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一実施形態に係るシートシステムを示す図である。
【
図3】100m走ゲームで取得する圧力の変化を示すグラフである。
【
図4】平均タイムから広告情報を選択するためのテーブルを示す図である。
【
図5】スマートフォンでの処理を示すフローチャートである。
【
図6】サーバでの処理を示すフローチャートである。
【
図7】シート用アプリのスタート画面を示す図である。
【
図8】100m走ゲームの結果を表示する画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明する。
図1に示すように、シートシステム1は、シートの一例としての乗物用シートSと、サーバSVと、端末の一例としてのスマートフォンSPと、を備えている。
【0023】
乗物用シートSは、例えば、車両に設置される車両用シートとして構成される。なお、本発明において、前後、左右、上下は、乗物用シートSに座る着座者Pを基準とする。
【0024】
図2に示すように、乗物用シートSは、シート本体S0と、制御装置100とからなる。シート本体S0は、シートクッションS1およびシートバックS2を有する。シートクッションS1およびシートバックS2は、クッションパッド20と、クッションパッド20を被覆する表皮10とを備えている。クッションパッド20は、ウレタンフォームなどからなり、図示せぬフレームによって支持されている。表皮10は、合成皮革や布地などからなっている。
【0025】
シートクッションS1とシートバックS2には、表皮10の下に複数の圧力センサPS1~PS6が設けられている。圧力センサPS1~PS6は、センサの一例であり、シート本体S0に座っている着座者Pの身体状態を特定するための情報である測定値を取得する。圧力センサPS1~PS6は、シート本体S0に着座する着座者Pに対向する座面の状態を検知可能に配置され、シート本体S0に座っている着座者Pからの圧力値を取得する。
【0026】
各圧力センサPS1~PS6は、乗物用シートSの左右の中心に対して左右対称に1対ずつ設けられている。
具体的には、シートクッションS1には、圧力センサPS1~PS3が設けられている。圧力センサPS1および圧力センサPS2は、シートクッションS1における着座者Pの臀部に対応する位置に配置されている。圧力センサPS1および圧力センサPS2は、着座者Pの臀部からの圧力を測定する第1クッションセンサSC1を構成している。圧力センサPS2は、圧力センサPS1の少し前に配置されている。なお、第1クッションセンサSC1は、圧力センサPS1および圧力センサPS2のいずれか一方のみを備えていてもよい。
【0027】
圧力センサPS3は、着座者Pの大腿の下に位置している。圧力センサPS3は、着座者Pの大腿からの圧力値を測定する第2クッションセンサSC2を構成している。圧力センサPS3は、圧力センサPS1および圧力センサPS2から前方に大きく離れて配置されている。
【0028】
シートバックS2には、圧力センサPS4~PS6が設けられている。圧力センサPS4は、着座者Pの腰の後ろに対応する位置に設けられている。圧力センサPS5は、圧力センサPS4の少し上に配置されている。圧力センサPS4および圧力センサPS5は、いずれも、着座者Pの腰からの圧力を測定する第1バックセンサSB1を構成している。なお、第1バックセンサSB1は、圧力センサPS4および圧力センサPS5のいずれか一方のみを備えていてもよい。
【0029】
圧力センサPS6は、圧力センサPS4および圧力センサPS5から上方に大きく離れて配置されている。圧力センサPS6は、着座者Pの背中の上部に対応して位置している。圧力センサPS6は、着座者Pの肩甲骨からの圧力値を測定する第2バックセンサSB2を構成している。
【0030】
なお、圧力センサPS1~PS6は、例えば、外部からの圧力によって電気抵抗が変化する素子であり、圧力値が大きい程、検出信号の電圧が高くなる(もしくは低くなる)。
【0031】
表皮10の外面における各圧力センサPS1~PS6に対応した位置には、位置表示部となる塗料31が塗布されている。塗料31は、表皮10の外面に塗布されることで、表皮10の外側に露出している。塗料31の色は、表皮10の外面とは異なる色となっている。具体的には、例えば表皮10の外面が黒色である場合には、塗料31の色は、黄色などの黒色に対して目立つ色とすることができる。
【0032】
このような塗料31は、着座者Pが乗物用シートSに着座する前に、シート本体S0の外側から各圧力センサPS1~PS6の位置を視認可能に表示している。
【0033】
制御装置100は、各圧力センサPS1~PS6から、圧力値を取得可能に圧力センサPS1~PS6と接続されている。制御装置100は、各圧力センサPS1~PS6で検出した情報を、スマートフォンSPに送信可能となっている。
【0034】
詳しくは、制御装置100には、ブルートゥース(登録商標)またはWi-Fi(登録商標)などの近距離無線通信を可能にする近距離通信機3Aが接続されている。制御装置100は、近距離通信機3Aを介してスマートフォンSPと通信可能となっている。また、スマートフォンSPは、サーバSVとインターネットを介して通信可能となっている。
【0035】
制御装置100、スマートフォンSPおよびサーバSVは、図示しないCPU、ROM、RAM、書換可能な不揮発性メモリ等を有し、予め記憶されたプログラムを実行する。なお、スマートフォンSPは、ディスプレイDSPと、位置情報取得部2と、をさらに備えている。
【0036】
スマートフォンSPは、各圧力センサPS1~PS6から制御装置100を介して圧力値を取得する機能を有している。スマートフォンSPには、乗物用シートSから送信されてくる信号(圧力値)に基づいて実行可能なゲームを着座者Pに提供するためのシート用アプリがインストールされている。
【0037】
本実施形態に係るシート用アプリでは、100m走ゲームを着座者Pに提供することが可能となっている。100m走ゲームは、乗物用シートSから送信されてくる圧力値に基づいて、ディスプレイDSP上に表示されたキャラクタを走らせるゲームである。100m走ゲームは、圧力センサPS1~PS3からの圧力値に基づいて乗物用シートS上の着座者Pに運動を行わせる運動プログラムの一例である。
【0038】
詳しくは、スマートフォンSPは、100m走ゲームを実行する場合には、乗物用シートSにおける左右の圧力センサPS3の圧力値P3R,P3Lを取得する。そして、そのときに座っている着座者Pの平均的な圧力であるノーマル圧力P3nと、圧力値のピーク検出のためのしきい値P3thを決定するとともに、その着座者Pの平均的な脚を動かす周期であるノーマルステップ周期TSnを算出する。
【0039】
具体的には、着座者Pが脚を交互に上げた場合、圧力値P3
R,P3
Lは、例えば
図3のように変化する。
図3において、圧力が急に小さくなっている部分は、着座者Pが脚を上げたことにより、圧力センサPS3の部分の圧力が小さくなっていることを示す。つまり、圧力が小さくなっていない140付近の圧力値が、脚を上げていないときの平均のノーマル圧力P3
nとなる。ノーマル圧力P3
nを算出するには、例えば、圧力値P3
R,P3
Lの前回値と今回値の差(今回値P3(n)から前回値P3(n-1)を引いた値とする。)の絶対値が所定値以下である場合(つまり、値の変化が小さいとき)の今回値を集計して平均すればよい。
【0040】
また、しきい値P3thは、脚を上げている最中であることを判定するためのしきい値であり、例えば、
図3の場合であれば、100~120程度の値を用いればよい。このため、しきい値P3thは、ノーマル圧力P3
nに所定値を乗じた値を用いることができる。例えば、ノーマル圧力P3
nに0.6~0.9程度の所定値を乗じた値をしきい値P3thとすることができる。
【0041】
ノーマルステップ周期TSnは、圧力値P3R,P3Lのピーク同士の時間間隔であるステップ周期TSの平均値である。
圧力値P3R,P3Lは、各圧力値P3R,P3Lが、しきい値P3thより小さい(上側から下側へ超えた)という条件下で、前回値と今回値の差が負から正に変化したときにピークに達したと判定することができ、このときの前回値P3(n-1)をピーク値Pmとすることができる。
【0042】
スマートフォンSPは、着座者Pの動作に応じて圧力値P3R,P3Lのピークを検出すると、ピーク値Pmを算出し、ピーク値Pmとノーマル圧力P3nとに基づいて、脚を上げた大きさであるステップ強度F(FR,FL)を算出する。ステップ強度Fは、ピークの大きさ、つまり、ノーマル圧力P3nから、ピーク値Pmを引いた値とすることができる。本実施形態においては、着座者Pの体格の大きさによる違いをなくすため、ノーマル圧力P3nで規格化した値とする。例えば、ステップ強度Fは、
F=(P3n-Pm)/P3n
とする。
【0043】
スマートフォンSPは、100m走ゲーム中に、ステップ強度Fを算出すると、ディスプレイDSP上のキャラクタをゴールへ向けて移動させる。このときの移動量は、ステップ強度Fの大きさに応じたものである。スマートフォンSPは、例えば、F[m]分だけゴールへ向けてキャラクタを移動させる。
【0044】
また、スマートフォンSPは、100m走ゲームの終了時に、評価値の一例としてのタイム(100mのゴール時のタイム)を取得するとともに、過去所定期間の間の平均タイムを算出している。ここで、タイムは、100走ゲームの開始からタイマーによる時間計測を開始し、ステップ強度Fを算出した回数をステップ強度Fに乗算した値が、100以上になったときに時間計測を終了することで、計測することができる。ステップ強度Fは、前述したように圧力値に基づいて算出されるため、スマートフォンSPは、圧力値(情報)に基づいてタイム(運動に関係する評価値)を算出している。また、過去所定期間の間の平均タイムは、例えば、過去1か月の間のタイムの平均値や、過去1年間の間のタイムの平均値などとすることができる。
【0045】
スマートフォンSPは、100mゲームが終了すると、今回取得・算出したタイムおよび平均タイムを、ディスプレイDSP上に表示する。また、スマートフォンSPは、100mゲームの終了時に、サーバSVと通信可能な状態である場合には、今回取得・算出したタイムおよび平均タイムをサーバSVに送信する。
【0046】
スマートフォンSPは、衛星測位システムを利用した位置情報取得部2からスマートフォンSP自体の位置を取得することが可能となっている。そのため、乗物用シートSに着座した着座者PがスマートフォンSPを操作しているときには、スマートフォンSPは、乗物用シートSの位置、(以下、位置情報という。)を取得することが可能となっている。
【0047】
スマートフォンSPは、乗物用シートSと通信可能な状態であるときにおいて位置情報取得部2から取得される位置情報を、乗物用シートSの位置情報として取得する機能を有している。そして、スマートフォンSPは、乗物用シートSの位置情報をサーバSVに送信するように構成されている。
【0048】
サーバSVは、属性と関連付けて複数の広告情報を記憶している。本実施形態では、
図4に示すように、複数の広告情報は、前述した100m走ゲームの平均タイム(着座者Pの運動能力)と関連付けられている。
【0049】
各属性に対応した広告情報(例えばスポーツジムの広告)は、複数存在しており、これらの広告情報は、それぞれの広告主の位置と関連付けられている。ここで、広告主の位置は、広告情報に対応するサービスが提供される位置、例えばサービスを提供する店舗の位置や、広告情報に対応する商品を売る店舗の位置などである。
【0050】
サーバSVは、スマートフォンSPから送信されてくる平均タイムと位置情報とに基づいて、複数の広告情報から平均タイム(着座者Pの運動能力)と位置情報とに関連する広告情報を選択する機能を有している。詳しくは、サーバSVは、平均タイムが11秒未満である場合には、着座者Pの運動能力がアスリート級に高いため、広告情報としてスポーツジムの広告を選択する。
【0051】
また、サーバSVは、平均タイムが11秒以上、かつ、14秒未満である場合には、着座者Pの運動能力がある程度高いため、適度な運動を行うことが可能なヨガスクールの広告を広告情報として選択する。また、サーバSVは、平均タイムが14秒以上、かつ、17秒未満である場合には、着座者Pの運動能力があまり高くないため、ヨガスクールよりも少ない運動量で運動を行うことが可能なトレッキングガイドの広告を広告情報として選択する。また、サーバSVは、平均タイムが17秒以上である場合には、着座者Pが高齢者である可能性が高いため、高齢者向けエクササイズの広告を広告情報として選択する。
【0052】
サーバSVは、属性に対応した複数の広告情報(例えば、スポーツジムの広告)を
図4のテーブルから選択した後、乗物用シートSの位置を示す位置情報に基づいて、複数の広告の中から所定数の広告を選択する。具体的には、例えば、サーバSVは、位置情報で特定される乗物用シートSの位置を含む広告選択用エリア内にある広告主の位置に対応した広告情報を選択する。
【0053】
サーバSVは、平均タイムと位置情報とに基づいて広告情報を選択すると、選択した広告情報をスマートフォンSPに送信する。サーバSVは、広告情報をスマートフォンSPに送信することで、スマートフォンSPを介して広告情報を着座者Pに報知する。
【0054】
スマートフォンSPは、100m走ゲームの実行中において、所定の運動(1回分の100m走)が終了したことを条件として、サーバSVから送信されてくる広告情報をディスプレイDSP上に表示して着座者Pに報知する機能を有している。また、スマートフォンSPは、サーバSVから送信されてくる広告情報に基づいて、当該広告情報の広告主の位置を特定し、当該広告主の位置を含む所定エリア内に、位置情報で特定されている位置があることを条件として、広告情報をディスプレイDSP上に表示して着座者Pに報知する機能を有している。
【0055】
詳しくは、スマートフォンSPは、1回分の100m走ゲームが終了した後、サーバSVに平均タイムと位置情報を送信する。次いで、スマートフォンSPは、サーバSVから平均タイムと位置情報に基づいて選択された広告情報を受信すると、乗物用シートSの位置が所定エリア内に入っているかを判断し、入っている場合には、広告情報をディスプレイDSP上に表示する。なお、所定エリアは、例えば、広告主の位置を中心とする所定半径の円の内側であり、前述した広告選択用エリア(サーバSVにおいて位置情報から広告情報を選択するためのエリア)以下の大きさとすることができる。
【0056】
次に、スマートフォンSPおよびサーバSV(詳しくは、スマートフォンSPおよびサーバSV内の各制御部)の動作について詳細に説明する。
スマートフォンSPは、着座者Pがシート用アプリを立ち上げると、
図5に示す処理を開始する(START)。この処理において、スマートフォンSPは、まず、乗物用シートSの制御装置100と通信可能な状態であるか否かを判断する(S11)。
【0057】
ステップS11において通信可能な状態でないと判断した場合には(No)、スマートフォンSPは、本処理を終了する。ステップS11において通信可能な状態であると判断した場合には(Yes)、スマートフォンSPは、100m走ゲームのスタート画面(
図7参照)をディスプレイDSP上に表示する(S12)。
【0058】
ステップS12の後、スマートフォンSPは、100m走ゲームが選択されたか否かを判断する(S13)。ステップS13において100m走ゲームが選択されたと判断した場合には(Yes)、スマートフォンSPは、100m走ゲームを開始する(S14)。
【0059】
ステップS14の後、詳しくは100m走ゲーム中において、スマートフォンSPは、乗物用シートSから送信されてくる圧力値に基づいてタイムを算出する(S15)。ステップS15の後、詳しくは100m走ゲームの終了後、スマートフォンSPは、今回のタイムと過去の所定期間のタイムの平均値を算出する(S16)。なお、タイムの平均値を算出した後、スマートフォンSPは、今回のタイムとタイムの平均値をディスプレイDSP上に表示する(
図8参照)。
【0060】
ステップS16の後、スマートフォンSPは、サーバSVと通信可能な状態であるか否かを判断する(S17)。ステップS17において通信可能な状態であると判断した場合には(Yes)、スマートフォンSPは、位置情報取得部2から乗物用シートSの位置を示す位置情報を取得する(S18)。
【0061】
ステップS18の後、スマートフォンSPは、タイムの平均値と位置情報をサーバSVに送信する(S19)。ステップS19の後、スマートフォンSPは、サーバSVから送信されてくる、広告主の位置の情報を含む広告情報を取得する(S20)。
【0062】
ステップS20の後、スマートフォンSPは、取得した広告情報に基づいて広告主の位置を特定し(S21)、広告主の位置から所定エリアを設定する(S22)。ステップS22の後、スマートフォンSPは、位置情報で特定された位置が所定エリア内に位置するか否かを判断する(S23)。
【0063】
ステップS23において所定エリア内に位置すると判断した場合には(Yes)、スマートフォンSPは、広告情報をディスプレイDSP上に表示する(S24)。ステップS24の後、ステップS13において100m走ゲームが選択されていないと判断した場合(No)、または、ステップS17においてサーバSVと通信可能な状態でないと判断した場合には(No)、スマートフォンSPは、スタート画面(
図7)において、シート用アプリの終了が選択されたか否かを判断する(S25)。
【0064】
ステップS25において終了が選択されていないと判断した場合には(No)、スマートフォンSPは、ステップS12の処理に戻る。ステップS25において終了が選択されたと判断した場合には(Yes)、スマートフォンSPは、本処理を終了する。
【0065】
サーバSVは、
図6に示す処理を常時実行している。
図6に示すように、サーバSVは、スマートフォンSPからタイムの平均値と位置情報を取得したか否かを判断する(S41)。ステップS41において取得していないと判断した場合には(No)、サーバSVは、本処理を終了する。
【0066】
ステップS41において取得したと判断した場合には(Yes)、サーバSVは、タイムの平均値と位置情報とに基づいて、複数の広告情報の中から所定数の広告情報を選択する(S42)。ステップS42の後、サーバSVは、選択した所定数の広告をスマートフォンSPに送信して(S43)、本処理を終了する。
【0067】
次に、シートシステム1の具体的な動作の一例を詳細に説明する。
図1に示すように、シートシステム1を構成する各機器(S,SV,SP)が通信可能な状態において、着座者PがスマートフォンSPを操作してシート用アプリを立ち上げると、
図5に示す処理において、ステップS11:Yes→ステップS12の処理が順次実行される。これにより、
図7に示すスタート画面が、ディスプレイDSP上に表示される。
【0068】
スタート画面では、100m走ゲームを開始するためのボタンB1と、シート用アプリを終了するためのボタンB2とが表示されている。着座者PがボタンB1をタッチすると、ステップS13でYesと判断されて、100m走ゲームが実行される(S14~S16)。
【0069】
100m走ゲームが終了すると、スマートフォンSPは、タイムの平均値を算出して(S16)、今回のタイムとタイムの平均値を、ディスプレイDSP上に表示する(
図8参照)。ここで、この例においては、
図8に示すように、タイムの平均値を10.2秒とする。その後、スマートフォンSPは、ステップS17:Yes→ステップS18~19の処理を実行することで、乗物用シートSの位置を示す位置情報を取得して、取得した位置情報とタイムの平均値をサーバSVに送信する。
【0070】
図6に示すように、サーバSVは、スマートフォンSPからタイムの平均値と位置情報を取得すると(S41:Yes)、ステップS42において、タイムの平均値と
図4に示すテーブルとに基づいて、複数の広告情報を選択する。詳しくは、サーバSVは、取得したタイムの平均値が10.2秒であることから、テーブルから複数のスポーツジムの広告を選択する。
【0071】
また、サーバSVは、ステップS42において、位置情報に基づいて、選択した複数のスポーツジムの広告の中から、位置情報に対応した所定数のスポーツジムの広告を選択する。その後、サーバSVは、選択した所定数のスポーツジムの広告をスマートフォンSPに送信する(S43)。
【0072】
図5に示すように、スマートフォンSPは、サーバSVから所定数のスポーツジムの広告を取得すると(S20)、所定数のスポーツジムの広告のそれぞれの広告主の位置を特定し(S21)、所定数の広告主ごとに所定エリアを設定する(S22)。
【0073】
そして、位置情報で特定された位置が、特定の広告主である「〇〇スポーツジム」の所定エリア内に位置する場合には(S23:Yes)、スマートフォンSPは、
図9に示すように、「〇〇スポーツジム」の広告をディスプレイDSP上に表示する(S24)。これにより、着座者Pは、自分の現在地の近くに「〇〇スポーツジム」が存在することを知ることができるので、その所在地に向けて車両を移動させるよう運転者に伝えることができる。
【0074】
以上、本実施形態のシートシステム1によれば、次の各効果を奏することができる。
シート本体S0に設けられる圧力センサPS1~PS3で取得した圧力値に基づくタイムの平均値に基づいて広告情報が選択されて、着座者Pに報知されるので、圧力センサPS1~PS3を有する乗物用シートSに着座する着座者Pの身体状態に適した広告情報を報知することができる。
【0075】
身体状態に対応した情報である圧力値に基づくタイムの平均値に加え、位置情報を参照して、広告情報を選択するので、着座者Pがいる場所と着座者Pの身体状態とに適した広告情報を報知することができる。
【0076】
位置情報で特定されている位置が所定エリア内に位置することを条件として広告情報を報知するので、着座者Pが広告情報に提示された物やサービスの提供を受ける場所に迅速に移動して、サービス等の提供を迅速に受けることができる。
【0077】
運動に関係する評価値であるタイムの平均値に基づいて広告情報を選択するので、着座者Pの運動能力に応じた施設を着座者Pに紹介することができる。
【0078】
1回分の100m走ゲームが終了したことを条件として、選択した広告情報を着座者Pに報知するので、100m走ゲームの実行結果に応じた広告情報を着座者に報知することができる。
【0079】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、以下の他の形態に示すように、適宜変形して実施することが可能である。
【0080】
前記実施形態では、広告情報の選択をサーバSVで行ったが、本発明はこれに限定されず、スマートフォンSPで広告情報を選択してもよい。
【0081】
前記実施形態では、情報に基づく評価値であるタイムの平均値に基づいて広告情報を選択したが、本発明はこれに限定されず、例えば、情報としての圧力値に基づいて広告情報を選択してもよい。具体的には、例えば、圧力センサPS1~PS3で取得する圧力値は、着座者Pの体重に略比例するため、圧力値が所定値以上である場合には、ダイエット食品などの広告情報を選択し、圧力値が所定値未満である場合には、レストランなどの広告情報を選択するように構成してもよい。
【0082】
前記実施形態では、情報として圧力値を例示したが、本発明はこれに限定されず、情報は、例えば、血圧、心拍数、体温、発汗量などであってもよい。なお、センサは、これらの情報を検出可能なセンサであればよい。
【0083】
例えば、情報として血圧を利用した場合には、血圧が所定値以上であることを条件として、病院などの広告情報を選択し、血圧が所定値未満であることを条件として、スポーツジムなどの広告情報を選択するように構成してもよい。また、例えば情報が発汗量である場合には、発汗量が第1閾値以上であることを条件として、スポーツ飲料などの水分や塩分補給に適した飲料品の広告情報を選択し、発汗量が第1閾値未満であることを条件として、ジュース類やお茶などの通常の水分補給に適した飲料品の広告情報を選択するように構成してもよい。
【0084】
前記実施形態では、運動に関係する評価値としてタイムの平均値を例示したが、本発明はこれに限定されず、運動に関係する評価値は、例えば、今回のタイムであってもよいし、歩数などであってもよい。
【0085】
前記実施形態では、衛星測位システムを利用した位置情報取得部2を例示したが、本発明はこれに限定されず、位置情報取得部は、例えば測位衛星からの電波を受信するだけでなく、地上に設置している基準局からの電波を同時に送受信を行うことで位置情報を取得するものであってもよい。また、位置情報取得部は、車両のECUやナビゲーションシステムから位置情報を取得するものであってもよい。
【0086】
前記実施形態では、運動プログラムとして100m走ゲームを例示したが、本発明はこれに限定されず、運動プログラムは、例えば、乗物用シートS上において着座者Pに座禅をさせるための座禅ゲームなどであってもよい。座禅ゲームは、例えば、シートクッションS1の左側にかかる圧力と右側にかかる圧力とが略一致し、かつ、シートクッションS1の前側にかかる圧力と後側にかかる圧力とが略一致するように、着座者Pの姿勢を促すゲームとして構成することができる。そして、座禅ゲームの実行結果が良好な結果である場合、つまり良好な座禅の姿勢を保てている場合には、スラックラインなどのバランス間隔の優れた人に適したスポーツを行うことができる施設の広告を選択し、悪い結果である場合には、バランスボールなどの広告情報を選択するように構成してもよい。
【0087】
前記実施形態では、広告情報をディスプレイDSP上に表示することで着座者Pに報知したが、本発明はこれに限定されない。例えば、広告情報を、音声などによって着座者に報知してもよい。
【0088】
前記実施形態では、乗物用シートSとして、自動車で使用される車両用シートを例示したが、本発明はこれに限定されず、その他の乗物用シート、例えば、船舶や航空機などで使用されるシートに適用することもできる。また、シートは、乗物用シートSに限らず、例えば、座椅子などであってもよい。
【0089】
前記実施形態では、端末としてスマートフォンSPを例示したが、本発明はこれに限定されず、端末は、例えばタブレットなどのスマートフォンSP以外の携帯端末であってもよい。また、端末は、シートに備え付けの端末であり、シートに一体に設けられていてもよい。
【0090】
前記した実施形態および変形例で説明した各要素を、任意に組み合わせて実施してもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 シートシステム
P 着座者
PS1~PS3 圧力センサ
S 乗物用シート
S0 シート本体
SP スマートフォン
SV サーバ