(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】評価装置、評価方法、及び評価プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 10/00 20060101AFI20230308BHJP
A61B 3/113 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
A61B10/00 H
A61B3/113
(21)【出願番号】P 2021156787
(22)【出願日】2021-09-27
(62)【分割の表示】P 2018247350の分割
【原出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(72)【発明者】
【氏名】首藤 勝行
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-158866(JP,A)
【文献】国際公開第2018/216347(WO,A1)
【文献】特開2005-287571(JP,A)
【文献】特開2018-033531(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0092929(US,A1)
【文献】国際公開第2016/052646(WO,A1)
【文献】特開2018-140007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 9/00-10/06
A61B 5/06- 5/22
A61B 3/00- 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部と、
前記表示部を観察する被験者の注視点の位置データを検出する注視点検出部と、
前記被験者に対して指示内容を提示した後に
、指示に対して正解となる画像である特定対象物と、前記特定対象物とは異なる画像である比較対象物とを前記表示部に表示する表示制御部と、
前記表示部において、前記特定対象物に対応した特定領域と、前記比較対象物に対応した比較領域とを前記表示部に設定する領域設定部と、
前記位置データに基づいて、注視点が前記特定領域及び前記比較領域に存在するかをそれぞれ判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、注視点の移動経過データを算出する演算部と、
前記移動経過データに基づいて、前記被験者の評価データを求める評価部と
を備え、
前記被験者に対して注視させる画像は特定形状図柄を有する所定の図形であり、
前記表示制御部は、前記指示に対して正解となる数の前記特定形状図柄を有する特定対象物と、前記特定対象物とは異なる数の前記特定形状図柄を有する比較対象物とを前記表示部に表示し、
前記比較対象物は、前記特定対象物とは前記特定形状図柄の数が1つ異なる第1比較対象物と、前記特定対象物とは前記特定形状図柄の数が2つ以上異なる第2比較対象物とを含み、
前記領域設定部は、前記比較領域として、前記第1比較対象物に対応する第1比較領域と、前記第2比較対象物に対応する第2比較領域とを設定し、
前記移動経過データは、前記第1比較領域に前記注視点が存在した存在時間を示す第1比較存在時間データと、前記第2比較領域に前記注視点が存在した存在時間を示す第2比較存在時間データを含み、
前記評価部は、前記第1比較存在時間データと、前記第2比較存在時間データとの間で重みをつけて前記評価データを求める
評価装置。
【請求項2】
前記被験者に対して注視させる所定の図形は、サイコロの図柄であり、
前記特定形状図柄はサイコロの目である
請求項1に記載の評価装置。
【請求項3】
被験者を評価する評価装置が行う評価方法であって、
表示部に画像を表示することと、
前記表示部を観察する
前記被験者の注視点の位置データを検出することと、
前記被験者に対して指示内容を提示した後に
、指示に対して正解となる画像である特定対象物と、前記特定対象物とは異なる画像である比較対象物とを前記表示部に表示することと、
前記表示部において、前記特定対象物に対応した特定領域と、前記比較対象物に対応した比較領域とを前記表示部に設定することと、
前記位置データに基づいて、注視点が前記特定領域及び前記比較領域に存在するかをそれぞれ判定することと、
判定結果に基づいて、注視点の移動経過データを算出することと、
前記移動経過データに基づいて、前記被験者の評価データを求めることと
を含み、
前記被験者に対して注視させる画像は特定形状図柄を有する所定の図形であり、
前記指示に対して正解となる数の前記特定形状図柄を有する特定対象物と、前記特定対象物とは異なる数の前記特定形状図柄を有する比較対象物とを前記表示部に表示し、
前記比較対象物は、前記特定対象物とは前記特定形状図柄の数が1つ異なる第1比較対象物と、前記特定対象物とは前記特定形状図柄の数が2つ以上異なる第2比較対象物とを含み、
前記比較領域として、前記第1比較対象物に対応する第1比較領域と、前記第2比較対象物に対応する第2比較領域とを設定し、
前記移動経過データは、前記第1比較領域に前記注視点が存在した存在時間を示す第1比較存在時間データと、前記第2比較領域に前記注視点が存在した存在時間を示す第2比較存在時間データを含み、
前記第1比較存在時間データと、前記第2比較存在時間データとの間で重みをつけて前記評価データを求める
評価方法。
【請求項4】
表示部に画像を表示する処理と、
前記表示部を観察する被験者の注視点の位置データを検出する処理と、
前記被験者に対して指示内容を提示した後に
、指示に対して正解となる画像である特定対象物と、前記特定対象物とは異なる画像である比較対象物とを前記表示部に表示する処理と、
前記表示部において、前記特定対象物に対応した特定領域と、前記比較対象物に対応した比較領域とを前記表示部に設定する処理と、
前記位置データに基づいて、注視点が前記特定領域及び前記比較領域に存在するかをそれぞれ判定する処理と、
判定結果に基づいて、注視点の移動経過データを算出する処理と、
前記移動経過データに基づいて、前記被験者の評価データを求める処理と
をコンピュータに実行させ、
前記被験者に対して注視させる画像は特定形状図柄を有する所定の図形であり、
前記表示部に表示する処理では、前記指示に対して正解となる数の前記特定形状図柄を有する特定対象物と、前記特定対象物とは異なる数の前記特定形状図柄を有する比較対象物とを前記表示部に表示し、
前記比較対象物は、前記特定対象物とは前記特定形状図柄の数が1つ異なる第1比較対象物と、前記特定対象物とは前記特定形状図柄の数が2つ以上異なる第2比較対象物とを含み、
前記表示部に設定する処理では、前記比較領域として、前記第1比較対象物に対応する第1比較領域と、前記第2比較対象物に対応する第2比較領域とを設定し、
前記移動経過データは、前記第1比較領域に前記注視点が存在した存在時間を示す第1比較存在時間データと、前記第2比較領域に前記注視点が存在した存在時間を示す第2比較存在時間データを含み、
前記評価データを求める処理では、前記第1比較存在時間データと、前記第2比較存在時間データとの間で重みをつけて前記評価データを求める
評価プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価装置、評価方法、及び評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、認知機能障害および脳機能障害が増加傾向にあるといわれており、このような認知機能障害および脳機能障害を早期に発見し、症状の重さを定量的に評価することが求められている。認知機能障害および脳機能障害の症状は、認知能力に影響することが知られている。このため、被験者の認知能力に基づいて被験者を評価することが行われている。例えば、複数種類の数字を表示し、その数字を被験者に加算させて答えを求めさせ、被験者の出した答えを確認する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1等の方法では、被験者がタッチパネルの操作等により答えを選択する形態であり、偶然の正解や被験者の操作ミスなどが原因で高い評価精度を得ることが難しかった。そのため、精度よく認知機能障害および脳機能障害を評価することが求められていた。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、精度よく認知機能障害および脳機能障害の評価を行うことが可能な評価装置、評価方法、及び評価プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る評価装置は、画像を表示する表示部と、前記表示部を観察する被験者の注視点の位置データを検出する注視点検出部と、前記被験者に対して指示内容を提示した後に、前記指示に対して正解となる画像である特定対象物と、前記特定対象物とは異なる画像である比較対象物とを前記表示部に表示する表示制御部と、前記表示部において、前記特定対象物に対応した特定領域と、前記比較対象物に対応した比較領域とを前記表示部に設定する領域設定部と、前記位置データに基づいて、注視点が前記特定領域及び前記比較領域に存在するかをそれぞれ判定する判定部と、前記判定部の判定結果に基づいて、注視点の移動経過データを算出する演算部と、前記移動経過データに基づいて、前記被験者の評価データを求める評価部とを備え、前記被験者に対して注視させる画像は特定形状図柄を有する所定の図形であり、前記表示制御部は、前記指示に対して正解となる数の前記特定形状図柄を有する特定対象物と、前記特定対象物とは異なる数の前記特定形状図柄を有する比較対象物とを前記表示部に表示し、前記比較対象物は、前記特定対象物とは前記特定形状図柄の数が1つ異なる第1比較対象物と、前記特定対象物とは前記特定形状図柄の数が2つ以上異なる第2比較対象物とを含み、前記領域設定部は、前記比較領域として、前記第1比較対象物に対応する第1比較領域と、前記第2比較対象物に対応する第2比較領域とを設定し、前記移動経過データは、前記第1比較領域に前記注視点が存在した存在時間を示す第1比較存在時間データと、前記第2比較領域に前記注視点が存在した存在時間を示す第2比較存在時間データを含み、前記評価部は、前記第1比較存在時間データと、前記第2比較存在時間データとの間で重みをつけて前記評価データを求める。
【0007】
本発明に係る評価方法は、表示部に画像を表示することと、前記表示部を観察する被験者の注視点の位置データを検出することと、前記被験者に対して指示内容を提示した後に、前記指示に対して正解となる画像である特定対象物と、前記特定対象物とは異なる画像である比較対象物とを前記表示部に表示することと、前記表示部において、前記特定対象物に対応した特定領域と、前記比較対象物に対応した比較領域とを前記表示部に設定することと、前記位置データに基づいて、注視点が前記特定領域及び前記比較領域に存在するかをそれぞれ判定することと、判定結果に基づいて、注視点の移動経過データを算出することと、前記移動経過データに基づいて、前記被験者の評価データを求めることとを含み、前記被験者に対して注視させる画像は特定形状図柄を有する所定の図形であり、前記指示に対して正解となる数の前記特定形状図柄を有する特定対象物と、前記特定対象物とは異なる数の前記特定形状図柄を有する比較対象物とを前記表示部に表示し、前記比較対象物は、前記特定対象物とは前記特定形状図柄の数が1つ異なる第1比較対象物と、前記特定対象物とは前記特定形状図柄の数が2つ以上異なる第2比較対象物とを含み、前記比較領域として、前記第1比較対象物に対応する第1比較領域と、前記第2比較対象物に対応する第2比較領域とを設定し、前記移動経過データは、前記第1比較領域に前記注視点が存在した存在時間を示す第1比較存在時間データと、前記第2比較領域に前記注視点が存在した存在時間を示す第2比較存在時間データを含み、前記第1比較存在時間データと、前記第2比較存在時間データとの間で重みをつけて前記評価データを求める。
【0008】
本発明に係る評価プログラムは、表示部に画像を表示する処理と、前記表示部を観察する被験者の注視点の位置データを検出する処理と、前記被験者に対して指示内容を提示した後に、前記指示に対して正解となる画像である特定対象物と、前記特定対象物とは異なる画像である比較対象物とを前記表示部に表示する処理と、前記表示部において、前記特定対象物に対応した特定領域と、前記比較対象物に対応した比較領域とを前記表示部に設定する処理と、前記位置データに基づいて、注視点が前記特定領域及び前記比較領域に存在するかをそれぞれ判定する処理と、判定結果に基づいて、注視点の移動経過データを算出する処理と、前記移動経過データに基づいて、前記被験者の評価データを求める処理とをコンピュータに実行させ、前記被験者に対して注視させる画像は特定形状図柄を有する所定の図形であり、前記表示部に表示する処理では、前記指示に対して正解となる数の前記特定形状図柄を有する特定対象物と、前記特定対象物とは異なる数の前記特定形状図柄を有する比較対象物とを前記表示部に表示し、前記比較対象物は、前記特定対象物とは前記特定形状図柄の数が1つ異なる第1比較対象物と、前記特定対象物とは前記特定形状図柄の数が2つ以上異なる第2比較対象物とを含み、前記表示部に設定する処理では、前記比較領域として、前記第1比較対象物に対応する第1比較領域と、前記第2比較対象物に対応する第2比較領域とを設定し、前記移動経過データは、前記第1比較領域に前記注視点が存在した存在時間を示す第1比較存在時間データと、前記第2比較領域に前記注視点が存在した存在時間を示す第2比較存在時間データを含み、前記評価データを求める処理では、前記第1比較存在時間データと、前記第2比較存在時間データとの間で重みをつけて前記評価データを求める。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、精度よく認知機能障害および脳機能障害の評価を行うことが可能な評価装置、評価方法、及び評価プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る視線検出装置の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、本実施形態に係る視線検出装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態に係る視線検出装置の一例を示す機能ブロック図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る角膜曲率中心の位置データの算出方法を説明するための模式図である。
【
図5】
図5は、本実施形態に係る角膜曲率中心の位置データの算出方法を説明するための模式図である。
【
図6】
図6は、本実施形態に係るキャリブレーション処理の一例を説明するための模式図である。
【
図7】
図7は、本実施形態に係る注視点検出処理の一例を説明するための模式図である。
【
図8】
図8は、指示動作において表示部に表示する内容の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、対象表示動作において表示部に表示する内容の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、被験者の視線を誘導する誘導対象物の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、被験者の視線を誘導する誘導対象物の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、指示動作において表示部に表示する内容の他の例を示す図である。
【
図13】
図13は、対象表示動作において表示部に表示する内容の他の例を示す図である。
【
図14】
図14は、指示動作において表示部に表示する内容の他の例を示す図である。
【
図15】
図15は、対象表示動作において表示部に表示する内容の他の例を示す図である。
【
図16】
図16は、指示動作において表示部に表示する内容の他の例を示す図である。
【
図17】
図17は、対象表示動作において表示部に表示する内容の他の例を示す図である。
【
図18】
図18は、本実施形態に係る評価方法の一例を示すフローチャートである。
【
図19】
図19は、評価処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る評価装置、評価方法、及び評価プログラムの実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0012】
以下の説明においては、三次元グローバル座標系を設定して各部の位置関係について説明する。所定面の第1軸と平行な方向をX軸方向とし、第1軸と直交する所定面の第2軸と平行な方向をY軸方向とし、第1軸及び第2軸のそれぞれと直交する第3軸と平行な方向をZ軸方向とする。所定面はXY平面を含む。
【0013】
[視線検出装置]
図1は、第1実施形態に係る視線検出装置100の一例を模式的に示す斜視図である。視線検出装置100は、認知機能障害および脳機能障害の評価を行う評価装置として用いられる。
図1に示すように、視線検出装置100は、表示装置101と、ステレオカメラ装置102と、照明装置103とを備える。
【0014】
表示装置101は、液晶ディスプレイ(liquid crystal display:LCD)又は有機ELディスプレイ(organic electroluminescence display:OLED)のようなフラットパネルディスプレイを含む。本実施形態において、表示装置101は、表示部101Sを有する。表示部101Sは、画像を表示する。本実施形態において、表示部101Sは、例えば被験者の視機能を評価するための指標を表示する。表示部101Sは、XY平面と実質的に平行である。X軸方向は表示部101Sの左右方向であり、Y軸方向は表示部101Sの上下方向であり、Z軸方向は表示部101Sと直交する奥行方向である。
【0015】
ステレオカメラ装置102は、第1カメラ102A及び第2カメラ102Bを有する。ステレオカメラ装置102は、表示装置101の表示部101Sよりも下方に配置される。第1カメラ102Aと第2カメラ102BとはX軸方向に配置される。第1カメラ102Aは、第2カメラ102Bよりも-X方向に配置される。第1カメラ102A及び第2カメラ102Bはそれぞれ、赤外線カメラを含み、例えば波長850[nm]の近赤外光を透過可能な光学系と、その近赤外光を受光可能な撮像素子とを有する。
【0016】
照明装置103は、第1光源103A及び第2光源103Bを有する。照明装置103は、表示装置101の表示部101Sよりも下方に配置される。第1光源103Aと第2光源103BとはX軸方向に配置される。第1光源103Aは、第1カメラ102Aよりも-X方向に配置される。第2光源103Bは、第2カメラ102Bよりも+X方向に配置される。第1光源103A及び第2光源103Bはそれぞれ、LED(light emitting diode)光源を含み、例えば波長850[nm]の近赤外光を射出可能である。なお、第1光源103A及び第2光源103Bは、第1カメラ102Aと第2カメラ102Bとの間に配置されてもよい。
【0017】
照明装置103は、検出光である近赤外光を射出して、被験者の眼球111を照明する。ステレオカメラ装置102は、第1光源103Aから射出された検出光が眼球111に照射されたときに第2カメラ102Bで眼球111の一部(以下、これを含めて「眼球」とする)を撮影し、第2光源103Bから射出された検出光が眼球111に照射されたときに第1カメラ102Aで眼球111を撮影する。
【0018】
第1カメラ102A及び第2カメラ102Bの少なくとも一方からフレーム同期信号が出力される。第1光源103A及び第2光源103Bは、フレーム同期信号に基づいて検出光を射出する。第1カメラ102Aは、第2光源103Bから射出された検出光が眼球111に照射されたときに、眼球111の画像データを撮影する。第2カメラ102Bは、第1光源103Aから射出された検出光が眼球111に照射されたときに、眼球111の画像データを撮影する。
【0019】
眼球111に検出光が照射されると、その検出光の一部は瞳孔112で反射し、その瞳孔112からの光がステレオカメラ装置102に入射する。また、眼球111に検出光が照射されると、角膜の虚像である角膜反射像113が眼球111に形成され、その角膜反射像113からの光がステレオカメラ装置102に入射する。
【0020】
第1カメラ102A及び第2カメラ102Bと第1光源103A及び第2光源103Bとの相対位置が適切に設定されることにより、瞳孔112からステレオカメラ装置102に入射する光の強度は低くなり、角膜反射像113からステレオカメラ装置102に入射する光の強度は高くなる。すなわち、ステレオカメラ装置102で撮影される瞳孔112の画像は低輝度となり、角膜反射像113の画像は高輝度となる。ステレオカメラ装置102は、撮影される画像の輝度に基づいて、瞳孔112の位置及び角膜反射像113の位置を検出することができる。
【0021】
図2は、本実施形態に係る視線検出装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
図2に示すように、視線検出装置100は、表示装置101と、ステレオカメラ装置102と、照明装置103と、コンピュータシステム20と、入出力インターフェース装置30と、駆動回路40と、出力装置50と、入力装置60とを備える。
【0022】
コンピュータシステム20と、駆動回路40と、出力装置50と、入力装置60とは、入出力インターフェース装置30を介してデータ通信する。コンピュータシステム20は、演算処理装置20A及び記憶装置20Bを含む。演算処理装置20Aは、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを含む。記憶装置20Bは、ROM(read only memory)及びRAM(random access memory)のようなメモリ又はストレージを含む。演算処理装置20Aは、記憶装置20Bに記憶されているコンピュータプログラム20Cに従って演算処理を実施する。
【0023】
駆動回路40は、駆動信号を生成して、表示装置101、ステレオカメラ装置102、及び照明装置103に出力する。また、駆動回路40は、ステレオカメラ装置102で撮影された眼球111の画像データを、入出力インターフェース装置30を介してコンピュータシステム20に供給する。
【0024】
出力装置50は、フラットパネルディスプレイのような表示装置を含む。出力装置50は、音声を出力可能なスピーカを含んでもよい。なお、出力装置50は、印刷装置を含んでもよい。入力装置60は、操作されることにより入力データを生成する。入力装置60は、コンピュータシステム用のキーボード又はマウスを含む。なお、入力装置60が表示装置である出力装置50の表示部に設けられたタッチセンサを含んでもよい。
【0025】
本実施形態においては、表示装置101とコンピュータシステム20とは別々の装置である。なお、表示装置101とコンピュータシステム20とが一体でもよい。例えば視線検出装置100がタブレット型パーソナルコンピュータを含む場合、そのタブレット型パーソナルコンピュータに、コンピュータシステム20、入出力インターフェース装置30、駆動回路40、及び表示装置101が搭載されてもよい。
【0026】
図3は、本実施形態に係る視線検出装置100の一例を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、入出力インターフェース装置30は、入出力部302を有する。駆動回路40は、表示装置101を駆動するための駆動信号を生成して表示装置101に出力する表示装置駆動部402と、第1カメラ102Aを駆動するための駆動信号を生成して第1カメラ102Aに出力する第1カメラ入出力部404Aと、第2カメラ102Bを駆動するための駆動信号を生成して第2カメラ102Bに出力する第2カメラ入出力部404Bと、第1光源103A及び第2光源103Bを駆動するための駆動信号を生成して第1光源103A及び第2光源103Bに出力する光源駆動部406とを有する。また、第1カメラ入出力部404Aは、第1カメラ102Aで撮影された眼球111の画像データを、入出力部302を介してコンピュータシステム20に供給する。第2カメラ入出力部404Bは、第2カメラ102Bで撮影された眼球111の画像データを、入出力部302を介してコンピュータシステム20に供給する。
【0027】
コンピュータシステム20は、視線検出装置100を制御する。コンピュータシステム20は、表示制御部202と、光源制御部204と、画像データ取得部206と、入力データ取得部208と、位置検出部210と、曲率中心算出部212と、注視点検出部214と、領域設定部216と、判定部218と、演算部220と、記憶部222と、評価部224と、出力制御部226とを有する。コンピュータシステム20の機能は、演算処理装置20A及び記憶装置20Bによって発揮される。
【0028】
表示制御部202は、被験者に対して注視させる図柄の画像を、当該画像を表示することなく指示する指示情報を表示部101Sに表示する指示動作を行うことができる。この場合、指示情報には、図柄の名称、特徴等のように、被験者に図柄を特定させて想像させることが可能な文字情報等が含まれる。なお、指示情報は、表示制御部202によって表示部101Sに表示される態様に限られず、後述するように、スピーカ等の出力装置50により音声で出力される態様であってもよい。表示制御部202は、指示動作の後に、上記の指示に対して正解となる図柄である特定対象物と、特定対象物とは異なる比較対象物とを複数の対象物として表示部101Sに表示する対象表示動作を行う。このような対象物となる図柄は、多角形等の図形、動物等の生物の外観等が挙げられる。また、対象物となる図柄には、文字が含まれてもよい。また、対象物となる図柄には、色彩、模様等が含まれてもよい。
【0029】
例えば、被験者に対して注視させる図柄を所定の多角形(例えば、五角形)の図柄とする場合、表示制御部202は、対象表示動作において、正解となる所定の多角形の図柄を特定対象物として表示し、当該所定の多角形とは角の数が異なる多角形の図柄を比較対象物として表示部に表示する。この場合、比較対象物は、特定対象物とは角の数が1つ異なる多角形の図柄である第1比較対象物と、特定対象物とは角の数が2つ以上異なる多角形の図柄である第2比較対象物とを含むように設定することができる。
【0030】
光源制御部204は、光源駆動部406を制御して、第1光源103A及び第2光源103Bの作動状態を制御する。光源制御部204は、第1光源103Aと第2光源103Bとが異なるタイミングで検出光を射出するように第1光源103A及び第2光源103Bを制御する。
【0031】
画像データ取得部206は、第1カメラ102A及び第2カメラ102Bを含むステレオカメラ装置102によって撮影された被験者の眼球111の画像データを、入出力部302を介してステレオカメラ装置102から取得する。
【0032】
入力データ取得部208は、入力装置60が操作されることにより生成された入力データを、入出力部302を介して入力装置60から取得する。
【0033】
位置検出部210は、画像データ取得部206で取得された眼球111の画像データに基づいて、瞳孔中心の位置データを検出する。また、位置検出部210は、画像データ取得部206で取得された眼球111の画像データに基づいて、角膜反射中心の位置データを検出する。瞳孔中心は、瞳孔112の中心である。角膜反射中心は、角膜反射像113の中心である。位置検出部210は、被験者の左右それぞれの眼球111について、瞳孔中心の位置データ及び角膜反射中心の位置データを検出する。
【0034】
曲率中心算出部212は、画像データ取得部206で取得された眼球111の画像データに基づいて、眼球111の角膜曲率中心の位置データを算出する。
【0035】
注視点検出部214は、画像データ取得部206で取得された眼球111の画像データに基づいて、被験者の注視点の位置データを検出する。本実施形態において、注視点の位置データとは、三次元グローバル座標系で規定される被験者の視線ベクトルと表示装置101の表示部101Sとの交点の位置データをいう。注視点検出部214は、眼球111の画像データから取得された瞳孔中心の位置データ及び角膜曲率中心の位置データに基づいて、被験者の左右それぞれの眼球111の視線ベクトルを検出する。視線ベクトルが検出された後、注視点検出部214は、視線ベクトルと表示部101Sとの交点を示す注視点の位置データを検出する。
【0036】
領域設定部216は、対象表示動作が行われる対象表示期間において、特定対象物に対応した特定領域と、比較対象物に対応した比較領域とを表示部101Sに設定する。なお、比較対象物が第1比較対象物と第2比較対象物とを含む場合、領域設定部216は、比較領域として、第1比較対象物に対応する第1比較領域と、第2比較対象物に対応する第2比較領域とを設定することができる。
【0037】
判定部218は、対象表示期間において、注視点の位置データに基づいて、注視点が特定領域及び比較領域に存在するか否かをそれぞれ判定し、判定データを出力する。判定部218は、例えば一定時間毎に注視点が特定領域及び比較領域に存在するか否かを判定する。一定時間としては、例えば第1カメラ102A及び第2カメラ102Bから出力されるフレーム同期信号の周期(例えば20[msec]毎)とすることができる。
【0038】
演算部220は、判定部218の判定データに基づいて、対象表示期間における注視点の移動の経過を示す移動経過データを算出する。
【0039】
移動経過データは、対象表示期間の開始時点から注視点が特定領域に到達した到達時点までの時間を示す到達時間データと、注視点が最初に特定領域に到達するまでに複数の比較領域の間で注視点の位置が移動する回数を示す移動回数データと、対象表示期間に注視点が特定領域に存在した存在時間を示す特定存在時間データと、表示期間に注視点が比較領域に存在した存在時間を示す比較存在時間データと、特定領域及び比較領域のうち表示時間において注視点が最後に存在していた領域を示す最終領域データと、を含む。なお、第1比較領域及び第2比較領域が設定される場合、比較存在時間データは、第1比較領域に注視点が存在した存在時間を示す第1比較存在時間データと、第2比較領域に注視点が存在した存在時間を示す第2比較存在時間データを含む。
【0040】
なお、演算部220は、映像の再生時間を管理する管理タイマと、表示部101Sに映像が表示されてからの経過時間を検出する検出タイマT1を有する。演算部220は、特定領域、比較領域について、注視点が存在すると判定された判定回数をカウントするカウンタを有する。第1比較領域及び第2比較領域が設定される場合、当該第1比較領域と第2比較領域とで、注視点が存在すると判定された判定回数を別個にカウントするカウンタをそれぞれ有する構成であってもよい。
【0041】
評価部224は、移動経過データに基づいて、被験者の評価データを求めることが可能である。評価データは、対象表示動作において、表示部101Sに表示される特定対象物および比較対象物を被験者が注視できているかを評価するデータを含む。
【0042】
記憶部222は、上記の判定データ、移動経過データ(特定存在時間データ、比較存在時間データ、移動回数データ、最終領域データ、到達時間データ)、及び評価データを記憶する。また、記憶部222は、表示部101Sに画像を表示する処理と、表示部101Sを観察する被験者の注視点の位置データを検出する処理と、被験者に対して注視させる画像を表示することなく指示内容を提示した後に、指示に対して正解となる画像である特定対象物と、特定対象物とは異なる画像である比較対象物とを表示部101Sに表示する処理と、表示部101Sにおいて、特定対象物に対応した特定領域と、比較対象物に対応した比較領域とを表示部101Sに設定する処理と、注視点の位置データに基づいて、注視点が特定領域及び比較領域に存在するかをそれぞれ判定する処理と、判定結果に基づいて、注視点の移動経過データを算出する処理と、移動経過データに基づいて、被験者の評価データを求める処理とをコンピュータに実行させる評価プログラムを記憶する。
【0043】
出力制御部226は、表示装置101及び出力装置50の少なくとも一方にデータを出力する。また、出力制御部226は、被験者に対して注視させる図柄を、当該図柄の画像情報を表示することなく指示する指示情報をスピーカ等の出力装置50から出力する指示動作を行うことができる。
【0044】
次に、本実施形態に係る曲率中心算出部212の処理の概要について説明する。曲率中心算出部212は、眼球111の画像データに基づいて、眼球111の角膜曲率中心の位置データを算出する。
図4及び
図5は、本実施形態に係る角膜曲率中心110の位置データの算出方法を説明するための模式図である。
図4は、1つの光源103Cで眼球111が照明される例を示す。
図5は、第1光源103A及び第2光源103Bで眼球111が照明される例を示す。
【0045】
まず、
図4に示す例について説明する。光源103Cは、第1カメラ102Aと第2カメラ102Bとの間に配置される。瞳孔中心112Cは、瞳孔112の中心である。角膜反射中心113Cは、角膜反射像113の中心である。
図4において、瞳孔中心112Cは、眼球111が1つの光源103Cで照明されたときの瞳孔中心を示す。角膜反射中心113Cは、眼球111が1つの光源103Cで照明されたときの角膜反射中心を示す。角膜反射中心113Cは、光源103Cと角膜曲率中心110とを結ぶ直線上に存在する。角膜反射中心113Cは、角膜表面と角膜曲率中心110との中間点に位置付けられる。角膜曲率半径109は、角膜表面と角膜曲率中心110との距離である。角膜反射中心113Cの位置データは、ステレオカメラ装置102によって検出される。角膜曲率中心110は、光源103Cと角膜反射中心113Cとを結ぶ直線上に存在する。曲率中心算出部212は、その直線上において角膜反射中心113Cからの距離が所定値となる位置データを、角膜曲率中心110の位置データとして算出する。所定値は、一般的な角膜の曲率半径値などから事前に定められた値であり、記憶部222に記憶されている。
【0046】
次に、
図5に示す例について説明する。本実施形態においては、第1カメラ102A及び第2光源103Bと、第2カメラ102B及び第1光源103Aとは、第1カメラ102Aと第2カメラ102Bとの中間位置を通る直線に対して左右対称の位置に配置される。第1カメラ102Aと第2カメラ102Bとの中間位置に仮想光源103Vが存在するとみなすことができる。角膜反射中心121は、第2カメラ102Bで眼球111を撮影した画像における角膜反射中心を示す。角膜反射中心122は、第1カメラ102Aで眼球111を撮影した画像における角膜反射中心を示す。角膜反射中心124は、仮想光源103Vに対応する角膜反射中心を示す。角膜反射中心124の位置データは、ステレオカメラ装置102で撮影された角膜反射中心121の位置データ及び角膜反射中心122の位置データに基づいて算出される。ステレオカメラ装置102は、ステレオカメラ装置102に規定される三次元ローカル座標系において角膜反射中心121の位置データ及び角膜反射中心122の位置データを検出する。ステレオカメラ装置102について、事前にステレオ較正法によるカメラ較正が実施され、ステレオカメラ装置102の三次元ローカル座標系を三次元グローバル座標系に変換する変換パラメータが算出される。その変換パラメータは、記憶部222に記憶されている。曲率中心算出部212は、ステレオカメラ装置102で撮影された角膜反射中心121の位置データ及び角膜反射中心122の位置データを、変換パラメータを使って、三次元グローバル座標系における位置データに変換する。曲率中心算出部212は、三次元グローバル座標系で規定される角膜反射中心121の位置データ及び角膜反射中心122の位置データに基づいて、三次元グローバル座標系における角膜反射中心124の位置データを算出する。角膜曲率中心110は、仮想光源103Vと角膜反射中心124とを結ぶ直線123上に存在する。曲率中心算出部212は、直線123上において角膜反射中心124からの距離が所定値となる位置データを、角膜曲率中心110の位置データとして算出する。所定値は、一般的な角膜の曲率半径値などから事前に定められた値であり、記憶部222に記憶されている。
【0047】
このように、光源が2つある場合でも、光源が1つである場合の方法と同様の方法で、角膜曲率中心110が算出される。
【0048】
角膜曲率半径109は、角膜表面と角膜曲率中心110との距離である。したがって、角膜表面の位置データ及び角膜曲率中心110の位置データが算出されることにより、角膜曲率半径109が算出される。
【0049】
次に、本実施形態に係る視線検出方法の一例について説明する。
図6は、本実施形態に係るキャリブレーション処理の一例を説明するための模式図である。キャリブレーション処理では、被験者に注視させるため、目標位置130が設定される。目標位置130は、三次元グローバル座標系において規定される。本実施形態において、目標位置130は、例えば表示装置101の表示部101Sの中央位置に設定される。なお、目標位置130は、表示部101Sの端部位置に設定されてもよい。出力制御部226は、設定された目標位置130に目標画像を表示する。直線131は、仮想光源103Vと角膜反射中心113Cとを結ぶ直線である。直線132は、目標位置130と瞳孔中心112Cとを結ぶ直線である。角膜曲率中心110は、直線131と直線132との交点である。曲率中心算出部212は、仮想光源103Vの位置データと、目標位置130の位置データと、瞳孔中心112Cの位置データと、角膜反射中心113Cの位置データとに基づいて、角膜曲率中心110の位置データを算出することができる。
【0050】
次に、注視点検出処理について説明する。注視点検出処理は、キャリブレーション処理の後に実施される。注視点検出部214は、眼球111の画像データに基づいて、被験者の視線ベクトル及び注視点の位置データを算出する。
図7は、本実施形態に係る注視点検出処理の一例を説明するための模式図である。
図7において、注視点165は、一般的な曲率半径値を用いて算出された角膜曲率中心から求めた注視点を示す。注視点166は、キャリブレーション処理で求められた距離126を用いて算出された角膜曲率中心から求めた注視点を示す。瞳孔中心112Cは、キャリブレーション処理において算出された瞳孔中心を示し、角膜反射中心113Cは、キャリブレーション処理において算出された角膜反射中心を示す。直線173は、仮想光源103Vと角膜反射中心113Cとを結ぶ直線である。角膜曲率中心110は、一般的な曲率半径値から算出した角膜曲率中心の位置である。距離126は、キャリブレーション処理により算出した瞳孔中心112Cと角膜曲率中心110との距離である。角膜曲率中心110Hは、距離126を用いて角膜曲率中心110を補正した補正後の角膜曲率中心の位置を示す。角膜曲率中心110Hは、角膜曲率中心110が直線173上に存在すること、及び瞳孔中心112Cと角膜曲率中心110との距離が距離126であることから求められる。これにより、一般的な曲率半径値を用いる場合に算出される視線177は、視線178に補正される。また、表示装置101の表示部101S上の注視点は、注視点165から注視点166に補正される。
【0051】
[評価方法]
次に、本実施形態に係る評価方法について説明する。本実施形態に係る評価方法では、上記の視線検出装置100を用いることにより、被験者の認知機能障害および脳機能障害を評価する。
【0052】
図8は、指示動作において表示部101Sに表示する内容の一例を示す図である。
図8に示すように、表示制御部202は、指示動作において、例えば被験者に指示する指示情報I1を表示部101Sに所定期間表示する。この表示部101Sに指示情報I1が表示される期間、被験者に図柄を想像させる。この場合、指示情報I1は、「五角形」を示す図柄を選択させる、という内容の課題が例として示されている。本実施形態では、被験者に「五角形」を想像させるため、指示情報I1は、文字情報のみで構成される。すなわち、指示情報I1には、「五角形」を示す図柄の画像情報については含まれない。なお、本実施形態では、指示動作において、指示情報I1を表示部101Sに表示する場合を例に挙げているが、これに限定されない。指示動作において、例えば出力制御部226は、指示情報I1の表示に加えて、又は指示情報I1の表示に代えて、指示情報I1に対応する音声をスピーカから出力してもよい。
【0053】
図9は、対象表示動作において表示部101Sに表示する内容の一例を示す図である。
図9に示すように、表示制御部202は、指示情報I1に対して正解となる特定対象物と、指示情報I1に対して不正解となる複数の比較対象物とを表示部101Sに表示する。
図9に示す例において、表示制御部202は、指示情報I1に対して正解となる五角形の図柄を特定対象物MA1として表示する。また、表示制御部202は、指示情報I1に対して不正解となる三角形、四角形、六角形、七角形、及び八角形の各図柄を比較対象物として表示する。ここでは、正解である五角形の角の数(5つ)に対して1つ異なる数の角を有する四角形及び六角形の図柄を、それぞれ比較対象物MB1、MB2とする。また、五角形の角の数に対して2つ以上異なる数の角を有する三角形、七角形及び八角形の図柄を、それぞれ比較対象物MC1、MC2、MC3とする。
【0054】
また、表示制御部202による対象表示期間において、領域設定部216は、指示情報I1に対して正解となる特定対象物MA1に対応した特定領域Aを設定する。領域設定部216は、特定対象物MA1の少なくとも一部を含む領域に特定領域Aを設定することができる。本実施形態において、領域設定部216は、特定対象物MA1を含む矩形の領域に特定領域Aを設定する。
【0055】
また、領域設定部216は、指示情報I1に対して不正解となる比較対象物MB1、MB2、MC1~MC3に対応した比較領域B1、B2、C1~C3を設定する。領域設定部216は、比較領域B1、B2、C1~C3のうち、第1比較対象物MB1、MB2に対応した第1比較領域B1、B2と、第2比較対象物MC1~MC3に対応した第2比較領域C1~C3と、を別個に設定する。
【0056】
領域設定部216は、第1比較対象物MB1、MB2の少なくとも一部を含む領域にそれぞれ第1比較領域B1、B2を設定することができる。また、領域設定部216は、第2比較対象物MC1~MC3の少なくとも一部を含む領域に第2比較領域C1~C3を設定することができる。本実施形態において、領域設定部216は、第1比較対象物MB1、MB2、第2比較対象物MC1~MC3を含む矩形の領域に、第1比較領域B1、B2、第2比較領域C1~C3をそれぞれ設定する。また、領域設定部216は、特定領域Aと、第1比較領域B1、B2と、第2比較領域C1~C3とが重ならないように表示部101Sに設定する。
【0057】
なお、特定領域A、第1比較領域B1、B2、及び第2比較領域C1~C3は、表示部101Sには表示されない。特定領域A、第1比較領域B1、B2、及び第2比較領域C1~C3の形状については、上記のような矩形に限定されず、円形、楕円形、多角形等、他の形状であってもよい。
【0058】
また、
図9では、表示部101Sにおいて、例えば計測後に結果表示される注視点Pの一例を示しているが、当該注視点Pは、実際には表示部101Sには表示されない。注視点の位置データの検出は、例えば第1カメラ102A及び第2カメラ102Bから出力されるフレーム同期信号の周期で(例えば20[msec]毎に)実施される。第1カメラ102A及び第2カメラ102Bは、同期して撮像する。
【0059】
認知機能障害および脳機能障害の症状は、被験者の記憶能力及び認知能力に影響することが知られている。被験者が認知機能障害および脳機能障害ではない場合、指示動作において指示情報I1を見て五角形の図柄を想像し、対象表示動作において表示部101Sに表示される複数の対象物MA1、MB1、MB2、MC1~MC3を見て、五角形の図柄である特定対象物MA1を区別して見つけ出すことができる。
【0060】
これに対して、被験者が認知機能障害および脳機能障害である場合、指示動作において指示情報I1を見て五角形の図柄を想像できず、特定対象物MA1を注視できないことがある。したがって、本実施形態では、被験者に注視させる図柄そのものについては指示情報I1において表示させず、図柄に対応する文字情報又は音声情報等により被験者に所定期間提示し、提示している期間に被験者に図柄を想像させる。指示情報I1を所定期間提示した後、指示に対して回答となる特定対象物MA1を含む複数の対象物MA1、MB1、MB2、MC1~MC3を表示して、被験者に選択させる。このような時間的な流れにおいて、被験者が指示情報I1を見て図柄を想像する期間を確保し、その後、被験者が想像した回答を選択させるようにする。そして、被験者が回答を見つけ出す際の注視点の移動の経過に基づいて、被験者の認知機能障害および脳機能障害の可能性を評価する。
【0061】
なお、本実施形態のように複数の対象物MA1、MB1、MB2、MC1~MC3を表示部101Sに表示する方式では、対象表示動作の開始時に、被験者の注視点が正解である特定対象物MA1等に偶然配置されてしまう場合がある。このような場合、被験者が認知機能障害および脳機能障害であるか否かに関わらず正解として判定される可能性があるため、被験者を高精度に評価することが困難となる。このため、例えば以下の手順を行うことにより、被験者を評価することが可能である。
【0062】
まず、対象表示動作として、複数の対象物(特定対象物MA1、比較対象物MB1、MB2、MC1~MC3)を表示させる。この場合に、被験者が複数の対象物を1つ1つ注視しているか否か、被験者が最終的に正解となる特定対象物MA1に到達できるか否か、被験者が特定対象物MA1に到達するまでに要する時間の長さはどれだけか、被験者が特定対象物MA1を注視できているか否か、等の観点から被験者を評価することが可能である。
【0063】
対象表示動作において、被験者の注視点Pの位置データが検出された場合、判定部218は、被験者の注視点が特定領域A、及び比較領域B1、B2、C1~C3に存在するかを判定し、判定データを出力する。
【0064】
演算部220は、判定データに基づいて、表示期間における注視点Pの移動の経過を示す移動経過データを算出する。演算部220は、移動経過データとして、存在時間データと、移動回数データと、最終領域データと、到達時間データとを算出する。
【0065】
存在時間データは、注視点Pが特定領域Aに存在した存在時間を示す特定存在時間データと、注視点Pが第1比較領域B1、B2に存在した存在時間を示す第1比較存在時間データと、注視点Pが第2比較領域C1~C3に存在した存在時間を示す第2比較存在時間データとを含む。本実施形態では、判定部218により例えば一定時間毎に注視点Pが特定領域A、第1比較領域B1、B2、第2比較領域C1~C3に存在するか否かを判定した結果、存在すると判定された回数が多いほど、特定領域A、第1比較領域B1、B2、及び第2比較領域C1~C3にそれぞれ注視点Pが存在した存在時間が長いと推定することができる。したがって、存在時間データは、特定領域A、第1比較領域B1、B2、及び第2比較領域C1~C3に注視点が存在すると判定部218に判定された回数とすることができる。つまり、演算部220は、カウンタにおけるカウント値CNTAを特定存在時間データとし、カウント値CNTBを第1比較存在時間データとし、カウント値CNTCを第2比較存在時間データとすることができる。
【0066】
また、移動回数データは、注視点Pが最初に特定領域Aに到達するまでに複数の比較領域B1、B2、C1~C3の間で注視点Pの位置が移動する移動回数を示す。したがって、演算部220は、特定領域A及び比較領域B1、B2、C1~C3の領域間で注視点Pが何回移動したかをカウントし、注視点Pが特定領域Aに到達するまでのカウント結果を移動回数データとすることができる。
【0067】
また、最終領域データは、特定領域A及び比較領域B1、B2、C1~C3のうち表示時間において注視点Pが最後に存在していた領域、つまり被験者が回答として最後に注視していた領域を示す。演算部220は、注視点Pが存在する領域を当該注視点Pの検出毎に更新することにより、表示期間が終了した時点における検出結果を最終領域データとすることができる。
【0068】
また、到達時間データは、表示期間の開始時点から注視点が特定領域Aに最初に到達した到達時点までの時間を示す。したがって、演算部220は、表示期間の開始からの経過時間をタイマT1によって測定し、注視点が最初に特定領域Aに到達した時点でフラグ値を1としてタイマT1の測定値を検出することで、当該タイマT1の検出結果を到達時間データとすることができる。
【0069】
本実施形態において、評価部224は、存在時間データ、移動回数データ、最終領域データ、及び到達時間データに基づいて評価データを求める。
【0070】
ここで、最終領域データのデータ値をD1、特定存在時間データのデータ値をD2、第1比較存在時間データのデータ値をD3、第2比較存在時間データのデータ値をD4、到達時間データのデータ値をD5、移動回数データのデータ値をD6とする。ただし、最終領域データのデータ値D1は、被験者の最終的な注視点Pが特定領域Aに存在していれば(つまり、正解であれば)1、特定領域Aに存在していなければ(つまり、不正解であれば)0とする。なお、最終領域データのデータ値D1は、被験者の最終的な注視点Pが特定領域Aに存在していない場合(不正解の場合)において、第1比較領域B1、B2に存在していれば0.5とし、第2比較領域C1~C3に存在していれば0としてもよい。また、特定存在時間データのデータ値D2は、特定領域Aに注視点Pが存在した秒数とする。また、第1比較存在時間データのデータ値D3は、第1比較領域B1、B2に注視点Pが存在した秒数とする。また、第2比較存在時間データのデータ値D4は、第2比較領域C1~C3に注視点Pが存在した秒数とする。なお、データ値D2、D3、D4は、表示期間よりも短い秒数の上限値が設けられてもよい。また、到達時間データのデータ値D5は、到達時間の逆数(例えば、1/(到達時間)÷10)(10:到達時間の最小値を0.1秒として到達時間評価値を1以下とするための係数)とする。また、移動回数データのデータ値D6は、カウンタ値をそのまま用いることとする。なお、データ値D6は、適宜上限値が設けられてもよい。
【0071】
この場合、評価値ANSは、例えば、
ANS=D1・K1+D2・K2-D3・K3-D4・K4+D5・K5+D6・K6
と表すことができる。なお、K1~K6は、重みづけのための定数である。定数K1~K6については、適宜設定することができる。
【0072】
上記式で示される評価値ANSは、最終領域データのデータ値D1が大きい場合、特定存在時間データのデータ値D2が大きい場合、第1比較存在時間データのデータ値D3が小さい場合、第2比較存在時間データのデータ値D4が小さい場合、到達時間データのデータ値D5が小さい場合、移動回数データのデータ値D6が大きい場合に、値が大きくなる。つまり、最終的な注視点Pが特定領域Aに存在し、特定領域Aにおける注視点Pの存在時間が長く、第1比較領域B1、B2及び第2比較領域C1~C3における注視点Pの存在時間が短く、表示期間の開始時点から特定領域Aに注視点Pが到達する到達時間が短く、注視点Pが各領域を移動する移動回数が多いほど、評価値ANSが大きくなる。
【0073】
一方、評価値ANSは、最終領域データのデータ値D1が小さい場合、特定存在時間データのデータ値D2が小さい場合、第1比較存在時間データのデータ値D3が大きい場合、第2比較存在時間データのデータ値D4が大きい場合、到達時間データのデータ値D5が小さい場合、移動回数データのデータ値D6が小さい場合に、値が小さくなる。つまり、最終的な注視点Pが特定領域Aに存在せず、特定領域Aにおける注視点Pの存在時間が短く、第1比較領域B1、B2及び第2比較領域C1~C3における注視点Pの存在時間が長く、表示期間の開始時点から特定領域Aに注視点Pが到達する到達時間が長く、注視点Pが各領域を移動する移動回数が少ないほど、評価値ANSが小さくなる。
【0074】
したがって、評価部224は、評価値ANSが所定値以上か否かを判断することで評価データを求めることができる。例えば評価値ANSが所定値以上である場合、被験者が認知機能障害および脳機能障害である可能性は低いと評価することができる。また、評価値ANSが所定値未満である場合、被験者が認知機能障害および脳機能障害である可能性は高いと評価することができる。
【0075】
また、評価部224は、評価値ANSの値を記憶部222に記憶させておくことができる。例えば、同一の被験者についての評価値ANSを累積的に記憶し、過去の評価値と比較した場合の評価を行ってもよい。例えば、評価値ANSが過去の評価値よりも高い値となった場合、脳機能が前回の評価に比べて改善されている旨の評価を行うことができる。また、評価値ANSの累積値が徐々に高くなっている場合等には、脳機能が徐々に改善されている旨の評価を行うことができる。
【0076】
また、評価部224は、存在時間データ、移動回数データ、最終領域データ、及び到達時間データを個別又は複数組み合わせて評価を行ってもよい。例えば、多くの対象物を見ている間に、偶発的に特定領域Aに注視点Pが到達した場合には、移動回数データのデータ値D6は小さくなる。この場合には、上述した特定存在時間データのデータ値D2と併せて評価を行うことができる。例えば、移動回数が少ない場合であっても特定領域Aに存在した存在時間が長い場合には、正解となる特定領域Aを注視できていると評価することができる。また、移動回数が少ない場合であって存在時間も短い場合、偶発的に注視点Pが特定領域Aを通過したものがあると評価することができる。
【0077】
また、移動回数が少ない場合において、最終領域が特定領域Aであれば、例えば正解の特定領域Aに注視点移動が少なくて到達したと評価することができる。一方、上述した移動回数が少ない場合において、最終領域が特定領域Aでなければ、例えば偶発的に注視点Pが特定領域Aを通過したものあると評価することができる。
【0078】
また、第1比較領域B1、B2に対応する比較対象物MB1、MB2は、正解である特定対象物MA1に対して角の数が1つだけ異なる図形を示す図柄である。このような図柄については、被験者が認知機能障害および脳機能障害ではない場合であっても、間違えて注視する可能性がある。一方、第2比較領域C1~C3に対応する比較対象物MC1~MC3は、正解である特定対象物MA1に対して過度の数が2つ以上異なる図形を示す図柄である。このような図柄については、被験者が認知機能障害および脳機能障害ではない場合、間違えて注視する可能性は低いといえる。このため、第1比較存在時間データの係数K3が、第2比較存在時間データの係数K4に比べて小さくなるように(K3<K4)、重み付けを行ってもよい。
【0079】
本実施形態において、出力制御部226は、評価部224が評価データを出力した場合、評価データに応じて、例えば「被験者は認知機能障害および脳機能障害である可能性が低いと思われます」の文字データや、「被験者は認知機能障害および脳機能障害である可能性が高いと思われます」の文字データ等を出力装置50に出力させることができる。また、出力制御部226は、同一の被験者についての評価値ANSが過去の評価値ANSに比べて高くなっている場合、「認知機能および脳機能が改善されています」等の文字データ等を出力装置50に出力することができる。
【0080】
図10及び
図11は、被験者の視線を誘導する誘導対象物ECの一例を示す図である。表示制御部202は、例えば指示動作と対象表示動作との間に、誘導対象物ECを表示部101Sに表示させることができる。この場合、表示制御部202は、まず、
図10に示すように、表示部101Sの中央に誘導対象物ECを所定の大きさで表示させる。次に、表示制御部202は、
図11に示すように、表示部101Sにおいて被験者の視線を誘導したい箇所(例えば、表示部101Sの中央部)に向けて徐々に小さくなるように誘導対象物ECを表示させる。このように誘導対象物ECを表示させることにより、被験者の視線を表示部101Sの所望の位置に誘導させることが可能となる。
【0081】
図12は、指示動作において表示部101Sに表示する内容の他の例を示す図である。
図12に示す例において、表示制御部202は、指示情報I2として、「六角形」を示す図柄を選択させる、という内容の課題が示されている。本実施形態では、被験者に「六角形」を想像させるため、指示情報I2は、文字情報のみで構成される。すなわち、指示情報I2には、「六角形」を示す図柄の画像情報については含まれない。なお、上記同様に、指示情報I2は、表示部101Sへの表示に加えて、又は表示部101Sへの表示に代えて、音声をスピーカから出力してもよい。
【0082】
図13は、対象表示動作において表示部101Sに表示する内容の他の例を示す図である。
図13に示す例において、表示制御部202は、指示情報I2に対して正解となる六角形の図柄を特定対象物MA2として表示する。また、表示制御部202は、指示情報I2に対して不正解となる三角形、四角形、五角形、七角形、及び八角形の各図柄を比較対象物として表示する。ここでは、正解である六角形の角の数(6つ)に対して1つ異なる数の角を有する五角形及び七角形の図柄を、それぞれ比較対象物MB3、MB4とする。また、六角形の角の数に対して2つ以上異なる数の角を有する三角形、四角形及び八角形の図柄を、それぞれ比較対象物MC4、MC5、MC6とする。なお、
図13に示す例において、表示制御部202は、
図10及び
図11で示すような誘導対象物ECにより視線を誘導した位置と重ならない位置に各対象物を配置することができる。この場合、表示制御部202は、
図13に示すように、表示部101Sの中央部を中心とした円周上に各対象物を配置した状態で示しているが、これに限定されず、他の配置であってもよい。
【0083】
また、表示制御部202による対象表示期間において、領域設定部216は、指示情報I2に対して正解となる特定対象物MA2に対応した特定領域Aを設定する。領域設定部216は、特定対象物MA2の少なくとも一部を含む領域に特定領域Aを設定することができる。本実施形態において、領域設定部216は、特定対象物MA2を含む矩形の領域に特定領域Aを設定する。
【0084】
また、領域設定部216は、指示情報I2に対して不正解となる比較対象物MB3、MB4、MC4~MC6に対応した比較領域B1、B2、C1~C3を設定する。領域設定部216は、比較領域B1、B2、C1~C3のうち、第1比較対象物MB3、MB4に対応した第1比較領域B1、B2と、第2比較対象物MC4~MC6に対応した第2比較領域C1~C3と、を比較領域として別個に設定する。
【0085】
領域設定部216は、第1比較対象物MB3、MB4の少なくとも一部を含む領域にそれぞれ第1比較領域B1、B2を設定することができる。また、領域設定部216は、第2比較対象物MC4~MC6の少なくとも一部を含む領域に第2比較領域C1~C3を設定することができる。本実施形態において、領域設定部216は、第1比較対象物MB3、MB4、第2比較対象物MC4~MC6を含む矩形の領域に、第1比較領域B1、B2、第2比較領域C1~C3をそれぞれ設定する。また、領域設定部216は、特定領域Aと、第1比較領域B1、B2と、第2比較領域C1~C3とが重ならないように表示部101Sに設定する。
【0086】
なお、特定領域A、第1比較領域B1、B2、及び第2比較領域C1~C3は、表示部101Sには表示されない。特定領域A、第1比較領域B1、B2、及び第2比較領域C1~C3の形状については、上記のような矩形に限定されず、円形、楕円形、多角形等、他の形状であってもよい。
【0087】
図14は、指示動作において表示部101Sに表示する内容の他の例を示す図である。
図14に示す例において、表示制御部202は、指示情報I3として、「4」の目のサイコロの図柄を選択させる、という内容の課題が示されている。本実施形態では、被験者に「4」の目のサイコロに相当する図柄を想像させるため、指示情報I3は、文字情報のみで構成される。すなわち、指示情報I3には、「4」の目のサイコロを示す図柄の画像情報については含まれない。なお、上記同様に、指示情報I3は、表示部101Sへの表示に加えて、又は表示部101Sへの表示に代えて、音声をスピーカから出力してもよい。
【0088】
図15は、対象表示動作において表示部101Sに表示する内容の他の例を示す図である。上記各例では、被験者に多角形を想像させる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。
図15に示す例において、表示制御部202は、指示情報I3に対して正解となる4の目のサイコロの図柄を特定対象物MA3として表示してもよい。また、表示制御部202は、指示情報I3に対して不正解となる1の目、2の目、3の目、5の目、及び6の目のサイコロの各図柄を比較対象物として表示する。ここでは、正解である4の目のサイコロの目の数(4つ)に対して1つ異なる3の目及び5の目のサイコロの図柄を、それぞれ比較対象物MB5、MB6とする。また、4の目のサイコロに対して2つ以上異なる1の目、2の目及び6の目のサイコロの図柄を、それぞれ比較対象物MC7、MC8、MC9とする。
【0089】
また、表示制御部202による対象表示期間において、領域設定部216は、指示情報I3に対して正解となる特定対象物MA3に対応した特定領域Aを設定する。領域設定部216は、特定対象物MA3の少なくとも一部を含む領域に特定領域Aを設定することができる。本実施形態において、領域設定部216は、特定対象物MA3を含む矩形の領域に特定領域Aを設定する。
【0090】
また、領域設定部216は、指示情報I3に対して不正解となる比較対象物MB5、MB6、MC7~MC9に対応した比較領域B1、B2、C1~C3を設定する。領域設定部216は、比較領域B1、B2、C1~C3のうち、第1比較対象物MB5、MB6に対応した第1比較領域B1、B2と、第2比較対象物MC7~MC9に対応した第2比較領域C1~C3と、を比較領域として別個に設定する。
【0091】
領域設定部216は、第1比較対象物MB5、MB6の少なくとも一部を含む領域にそれぞれ第1比較領域B1、B2を設定することができる。また、領域設定部216は、第2比較対象物MC7~MC9の少なくとも一部を含む領域に第2比較領域C1~C3を設定することができる。本実施形態において、領域設定部216は、第1比較対象物MB5、MB6、第2比較対象物MC7~MC9を含む矩形の領域に、第1比較領域B1、B2、第2比較領域C1~C3をそれぞれ設定する。また、領域設定部216は、特定領域Aと、第1比較領域B1、B2と、第2比較領域C1~C3とが重ならないように表示部101Sに設定する。
【0092】
なお、特定領域A、第1比較領域B1、B2、及び第2比較領域C1~C3は、表示部101Sには表示されない。特定領域A、第1比較領域B1、B2、及び第2比較領域C1~C3の形状については、上記のような矩形に限定されず、円形、楕円形、多角形等、他の形状であってもよい。
【0093】
図16は、指示動作において表示部101Sに表示する内容の他の例を示す図である。上記各例では、被験者に数の概念を含む図柄を想像させる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。
図16に示す例において、表示制御部202は、指示情報I4として、「飛行機」である図柄を選択させる、という内容の課題を表示してもよい。本実施形態では、被験者に「飛行機」に相当する図柄を想像させるため、指示情報I4は、文字情報のみで構成される。すなわち、指示情報I4には、「飛行機」に相当する図柄については含まれない。なお、上記同様に、指示情報I4は、表示部101Sへの表示に加えて、又は表示部101Sへの表示に代えて、音声をスピーカから出力してもよい。
【0094】
図17は、対象表示動作において表示部101Sに表示する内容の他の例を示す図である。
図17に示す例において、表示制御部202は、指示情報I4に対して正解となる飛行機の図柄を特定対象物MA4として表示する。また、表示制御部202は、指示情報I4に対して不正解となる2種類の鳥の図柄及び1種類のコウモリの図柄を第2比較対象物MC10~MC12として表示する。このように、
図17に示す例では、第1比較対象物は設けないようにすることができるが、これに限定されず、比較対象物の間で種類が異なるようにしてもよい。
【0095】
また、表示制御部202による対象表示期間において、領域設定部216は、指示情報I4に対して正解となる特定対象物MA4に対応した特定領域Aを設定する。領域設定部216は、特定対象物MA4の少なくとも一部を含む領域に特定領域Aを設定することができる。本実施形態において、領域設定部216は、特定対象物MA4を含む矩形の領域に特定領域Aを設定する。
【0096】
また、領域設定部216は、指示情報I4に対して不正解となる比較対象物MC10~MC12に対応した比較領域C1~C3を設定する。領域設定部216は、比較対象物MC10~MC12の少なくとも一部を含む領域にそれぞれ比較領域C1~C3を設定することができる。本実施形態において、領域設定部216は、比較対象物MC10~MC12を含む矩形の領域に、比較領域C1~C3をそれぞれ設定する。また、領域設定部216は、特定領域Aと、比較領域C1~C3とが重ならないように表示部101Sに設定する。
【0097】
なお、特定領域A、比較領域C1~C3は、表示部101Sには表示されない。特定領域A、比較領域C1~C3の形状については、上記のような矩形に限定されず、円形、楕円形、多角形等、他の形状であってもよい。
【0098】
次に、本実施形態に係る評価方法の一例について、
図18及び
図19を参照しながら説明する。
図18は、本実施形態に係る評価方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態に係る評価方法において、
図18に示すように、まず表示制御部202は、映像の再生を開始させる(ステップS101)。評価用映像部分までの待ち時間を経過した後(ステップS102)、タイマT1をリセットし(ステップS103)、カウンタのカウント値CNTA、CNTB、CNTCをリセットし(ステップS104)、フラグ値を0にし、移動回数データ及び最終領域をクリアする(ステップS105)。
【0099】
ステップS105の後、評価処理(ステップS106~ステップS142)を行う。
図19は、評価処理の一例を示すフローチャートである。
図19に示すように、評価処理において、注視点検出部214は、表示装置101に表示された映像を被験者に見せた状態で、規定のサンプリング周期(例えば20[msec])毎に、表示装置101の表示部101Sにおける被験者の注視点の位置データを検出する(ステップS106)。位置データが検出された場合(ステップS107のNo)、判定部218は、位置データに基づいて注視点Pが存在する領域を判定する(ステップS108)。また、位置データが検出されない場合(ステップS107のYes)、後述するステップS143(
図18参照)以降の処理を行う。
【0100】
注視点Pが特定領域Aに存在すると判定された場合(ステップS109のYes)、演算部220は、フラグ値が1であるか否か、つまり、注視点Pが特定領域Aに到達したのが最初か否か(1:到達済み、0:未到達)を判定する(ステップS110)。フラグ値が1である場合(ステップS110のYes)、演算部220は、以下のステップS111からステップS113を飛ばして後述するステップS114の処理を行う。
【0101】
また、フラグ値が1ではない場合、つまり、特定領域Aに注視点Pが到達したのが最初である場合(ステップS110のNo)、演算部220は、タイマT1の計測結果を到達時間データとして抽出する(ステップS111)。また、演算部220は、特定領域Aに到達するまでに注視点Pが領域間の移動を何回行ったかを示す移動回数データを記憶部222に記憶させる(ステップS112)。その後、演算部220は、フラグ値を1に変更する(ステップS113)。
【0102】
次に、演算部220は、直近の検出において注視点Pが存在した領域、つまり最終領域が特定領域Aであるか否かを判定する(ステップS114)。演算部220は、最終領域が特定領域Aであると判定した場合(ステップS114のYes)、以下のステップS115及びステップS116を飛ばして後述するステップS117の処理を行う。また、最終領域が特定領域Aではないと判定した場合(ステップS114のNo)、演算部220は、注視点Pが領域間で何回移動したかを示す積算回数を+1とし(ステップS115)、最終領域を特定領域Aに変更する(ステップS116)。また、演算部220は、特定領域Aでの存在時間データを示すカウント値CNTAを+1とする(ステップS117)。その後、演算部220は、後述するステップS143(
図18参照)以降の処理を行う。
【0103】
また、注視点Pが特定領域Aに存在しないと判定された場合(ステップS109のNo)、演算部220は、注視点Pが第1比較領域B1に存在するか否かを判定する(ステップS118)。注視点Pが第1比較領域B1に存在すると判定された場合(ステップS118のYes)、演算部220は、直近の検出において注視点Pが存在した領域、つまり最終領域が第1比較領域B1であるか否かを判定する(ステップS119)。演算部220は、最終領域が第1比較領域B1であると判定した場合(ステップS119のYes)、以下のステップS120及びステップS121を飛ばして後述するステップS122の処理を行う。また、最終領域が第1比較領域B1ではないと判定した場合(ステップS119のNo)、演算部220は、注視点Pが領域間で何回移動したかを示す積算回数を+1とし(ステップS120)、最終領域を第1比較領域B1に変更する(ステップS121)。また、演算部220は、第1比較領域B1での存在時間データを示すカウント値CNTBを+1とする(ステップS122)。その後、演算部220は、後述するステップS143(
図18参照)以降の処理を行う。
【0104】
また、注視点Pが第1比較領域B1に存在しないと判定された場合(ステップS118のNo)、演算部220は、注視点Pが第1比較領域B2に存在するか否かを判定する(ステップS123)。注視点Pが第1比較領域B2に存在すると判定された場合(ステップS123のYes)、演算部220は、直近の検出において注視点Pが存在した領域、つまり最終領域が第1比較領域B2であるか否かを判定する(ステップS124)。演算部220は、最終領域が第1比較領域B2であると判定した場合(ステップS124のYes)、以下のステップS125及びステップS126を飛ばして後述するステップS127の処理を行う。また、最終領域が第1比較領域B2ではないと判定した場合(ステップS124のNo)、演算部220は、注視点Pが領域間で何回移動したかを示す積算回数を+1とし(ステップS125)、最終領域を第1比較領域B2に変更する(ステップS126)。また、演算部220は、第1比較領域B2での存在時間データを示すカウント値CNTBを+1とする(ステップS127)。その後、演算部220は、後述するステップS143(
図18参照)以降の処理を行う。
【0105】
また、注視点Pが第1比較領域B2に存在しないと判定された場合(ステップS123のNo)、演算部220は、注視点Pが第2比較領域C1に存在するか否かを判定する(ステップS128)。注視点Pが第2比較領域C1に存在すると判定された場合(ステップS128のYes)、演算部220は、直近の検出において注視点Pが存在した領域、つまり最終領域が第2比較領域C1であるか否かを判定する(ステップS129)。演算部220は、最終領域が第2比較領域C1であると判定した場合(ステップS129のYes)、以下のステップS130及びステップS131を飛ばして後述するステップS132の処理を行う。また、最終領域が第2比較領域C1ではないと判定した場合(ステップS129のNo)、演算部220は、注視点Pが領域間で何回移動したかを示す積算回数を+1とし(ステップS130)、最終領域を第2比較領域C1に変更する(ステップS131)。また、演算部220は、第2比較領域C1での存在時間データを示すカウント値CNTCを+1とする(ステップS132)。その後、演算部220は、後述するステップS143(
図18参照)以降の処理を行う。
【0106】
また、注視点Pが第2比較領域C1に存在しないと判定された場合(ステップS128のNo)、演算部220は、注視点Pが第2比較領域C2に存在するか否かを判定する(ステップS133)。注視点Pが第2比較領域C2に存在すると判定された場合(ステップS133のYes)、演算部220は、直近の検出において注視点Pが存在した領域、つまり最終領域が第2比較領域C2であるか否かを判定する(ステップS134)。演算部220は、最終領域が第2比較領域C2であると判定した場合(ステップS134のYes)、以下のステップS135及びステップS136を飛ばして後述するステップS137の処理を行う。また、最終領域が第2比較領域C2ではないと判定した場合(ステップS134のNo)、演算部220は、注視点Pが領域間で何回移動したかを示す積算回数を+1とし(ステップS135)、最終領域を第2比較領域C2に変更する(ステップS136)。また、演算部220は、第2比較領域C2での存在時間データを示すカウント値CNTCを+1とする(ステップS137)。その後、演算部220は、後述するステップS143(
図18参照)以降の処理を行う。
【0107】
また、注視点Pが第2比較領域C2に存在しないと判定された場合(ステップS133のNo)、演算部220は、注視点Pが第2比較領域C3に存在するか否かを判定する(ステップS138)。注視点Pが第2比較領域C3に存在すると判定された場合(ステップS138のYes)、演算部220は、直近の検出において注視点Pが存在した領域、つまり最終領域が第2比較領域C3であるか否かを判定する(ステップS139)。演算部220は、最終領域が第2比較領域C3であると判定した場合(ステップS139のYes)、以下のステップS140及びステップS141を飛ばして後述するステップS142の処理を行う。また、最終領域が第2比較領域C3ではないと判定した場合(ステップS139のNo)、演算部220は、注視点Pが領域間で何回移動したかを示す積算回数を+1とし(ステップS140)、最終領域を第2比較領域C3に変更する(ステップS141)。また、演算部220は、第2比較領域C3での存在時間データを示すカウント値CNTCを+1とする(ステップS142)。その後、演算部220は、後述するステップS143(
図18参照)以降の処理を行う。
【0108】
その後、
図18に示すように、演算部220は、検出タイマT1の検出結果に基づいて、映像の再生が完了する時刻に到達したか否かを判断する(ステップS143)。演算部220により映像の再生が完了する時刻に到達していないと判断された場合(ステップS143のNo)、上記のステップS106以降の処理を繰り返し行う。
【0109】
ステップS143の後、演算部220により映像の再生が完了する時刻に到達したと判断された場合(ステップS143のYes)、表示制御部202は、映像の再生を停止させる(ステップS144)。映像の再生が停止された後、評価部224は、上記の処理結果から得られる存在時間データと、移動回数データと、最終領域データと、到達時間データに基づいて、評価値ANSを算出し(ステップS145)、評価値ANSに基づいて評価データを求める。その後、出力制御部226は、評価部224で求められた評価データを出力する(ステップS146)。
【0110】
以上のように、本実施形態に係る評価装置100は、画像を表示する表示部101Sと、表示部101Sを観察する被験者の注視点の位置データを検出する注視点検出部214と、被験者に対して注視させる図柄の画像を表示することなく指示内容を提示した後に、指示に対して正解となる図柄である特定対象物と、特定対象物とは異なる図柄である比較対象物とを複数の対象物として表示部101Sに表示する表示制御部202と、表示部101Sにおいて、特定対象物に対応した特定領域Aと、比較対象物に対応した比較領域B1、B2、C1~C3とを表示部101Sに設定する領域設定部216と、注視点の位置データに基づいて、注視点が特定領域A及び比較領域B1、B2、C1~C3に存在するかをそれぞれ判定する判定部218と、判定結果に基づいて、注視点の移動経過データを算出する演算部220と、移動経過データに基づいて、被験者の評価データを求める評価部224とを備える。
【0111】
また、本実施形態に係る評価方法は、表示部101Sに画像を表示することと、表示部101Sを観察する被験者の注視点の位置データを検出することと、被験者に対して注視させる図柄の画像を表示することなく指示内容を提示した後に、指示に対して正解となる図柄である特定対象物と、特定対象物とは異なる図柄である比較対象物とを複数の対象物として表示部101Sに表示することと、表示部101Sにおいて、特定対象物に対応した特定領域Aと、比較対象物に対応した比較領域B1、B2、C1~C3とを表示部101Sに設定することと、注視点の位置データに基づいて、注視点が特定領域A及び比較領域B1、B2、C1~C3に存在するかをそれぞれ判定することと、判定結果に基づいて、注視点の移動経過データを算出することと、移動経過データに基づいて、被験者の評価データを求めることとを含む。
【0112】
また、本実施形態に係る評価プログラムは、表示部101Sに画像を表示する処理と、表示部101Sを観察する被験者の注視点の位置データを検出する処理と、被験者に対して注視させる図柄の画像を表示することなく指示内容を提示した後に、指示に対して正解となる図柄である特定対象物と、特定対象物とは異なる図柄である比較対象物とを複数の対象物として表示部101Sに表示する処理と、表示部101Sにおいて、特定対象物に対応した特定領域Aと、比較対象物に対応した比較領域B1、B2、C1~C3とを表示部101Sに設定する処理と、注視点の位置データに基づいて、注視点が特定領域A及び比較領域B1、B2、C1~C3に存在するかをそれぞれ判定する処理と、判定結果に基づいて、注視点の移動経過データを算出する処理と、移動経過データに基づいて、被験者の評価データを求める処理とをコンピュータに実行させる。
【0113】
本実施形態によれば、被験者に対して注視させる図柄を、当該図柄の画像情報を表示することなく被験者に指示することにより、当該図柄を被験者に想像させることができる。その結果、被験者が想像した回答を見つけ出す際の注視点の移動の経過に基づいて、被験者の認知機能障害および脳機能障害の可能性を評価するため、被験者を精度よく評価することができる。また、表示期間における注視点の移動の経過に基づいて、被験者の評価データを求めることができるため、被験者をより高精度に評価することができる。これにより、評価装置100は、被験者の評価を高精度に行うことが可能となる。
【0114】
また、本実施形態に係る評価装置100において、被験者に対して注視させる図柄は多角形の図柄であり、表示制御部202は、指示に対して正解となる多角形の図柄である特定対象物と、特定対象物とは角の数が異なる多角形の図柄である比較対象物とを表示部101Sに表示する。これにより、被験者が想像しやすい対象物を課題として指示するため、被験者の認知機能障害および脳機能障害の可能性を精度よく評価することができる。
【0115】
また、本実施形態に係る評価装置100において、比較対象物は、特定対象物とは角の数が1つ異なる多角形の図柄である第1比較対象物と、特定対象物とは角の数が2つ以上異なる多角形の図柄である第2比較対象物とを含み、領域設定部216は、比較領域として、第1比較対象物に対応する第1比較領域B1、B2と、第2比較対象物に対応する第2比較領域C1~C3とを設定し、移動経過データは、第1比較領域B1、B2に注視点が存在した存在時間を示す第1比較存在時間データと、第2比較領域C1~C3に注視点が存在した存在時間を示す第2比較存在時間データを含み、評価部224は、第1比較存在時間データと、第2比較存在時間データとの間で重みをつけて評価データを求める。これにより、被験者の認知機能障害および脳機能障害の可能性を段階的に精度よく評価することができる。また、この構成では、被験者が認知機能障害および脳機能障害ではない場合に間違えて注視する可能性のある対象物を注視した場合の評価と、間違えて注視する可能性の低い対象物を注視した場合の評価との間で、評価に差をつけることができる。これにより、被験者の認知機能障害および脳機能障害の可能性を精度よく評価することができる。
【0116】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、上記各実施形態では、評価装置100を、認知機能障害および脳機能障害である可能性を評価する評価装置として用いる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、評価装置100は、認知機能障害および脳機能障害ではない被験者を評価する評価装置として用いてもよい。
【符号の説明】
【0117】
A…特定領域、B1,B2…第1比較領域(比較領域)、C1~C3…第2比較領域(比較領域)、MA1~MA4…特定対象物、MB1~MB6…第1比較対象物(比較対象物)、MC1~MC12…第2比較対象物(比較対象物)、I1,I2,I3,I4…指示情報、P…注視点、100…視線検出装置(評価装置)、101S…表示部、202…表示制御部、214…注視点検出部、216…領域設定部、218…判定部、220…演算部、222…記憶部、224…評価部