(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】アルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体、シリコーン変性剤、ポリオキシアルキレン変性シリコーンおよび化粧料オイル改質剤
(51)【国際特許分類】
C08G 65/26 20060101AFI20230308BHJP
C08L 71/00 20060101ALI20230308BHJP
C08L 83/05 20060101ALI20230308BHJP
A61K 8/894 20060101ALI20230308BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
C08G65/26
C08L71/00 B
C08L83/05
A61K8/894
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2019116340
(22)【出願日】2019-06-24
【審査請求日】2021-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100097504
【氏名又は名称】青木 純雄
(72)【発明者】
【氏名】藤井 基隆
(72)【発明者】
【氏名】村岡 俊秀
(72)【発明者】
【氏名】原 優介
【審査官】吉田 早希
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-335862(JP,A)
【文献】特開2019-094436(JP,A)
【文献】特開2018-203855(JP,A)
【文献】特開2005-120293(JP,A)
【文献】特開2009-132869(JP,A)
【文献】特開2019-070060(JP,A)
【文献】国際公開第2016/012513(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 65/00 - 67/04
C08K 3/00 - 13/08
C08L 1/00 - 101/14
C08G 77/00 - 77/62
A61K 8/00 - 8/99
A61Q 1/00 - 90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表され、ゲル浸透クロマトグラフィー測定により求められるクロマトグラムから算出されるM
HとM
Lとが式(2)の関係を満足
するアルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体
であって、
前記アルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体は、複合金属シアン化物触媒の存在下で、水分量0.5wt%以下の炭素数2~8のアルケニル基および1個の水酸基を有する開始剤に対して、水分量0.01wt%以下の炭素数3~4のアルキレンオキサイドを50℃~150℃で開環付加重合させたものであり、
前記アルキレンオキサイドの全供給量の5~20wt%を供給する間の供給速度をV
1
、前記アルキレンオキサイドの全供給量の20~50wt%を供給する間の供給速度をV
2
、前記アルキレンオキサイドの全供給量の50~100wt%を供給する間の供給速度をV
3
としたとき、V
1
/V
2
=1.1~2.0、V
2
/V
3
=1.1~1.5としたことを特徴とする、アルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体。
R
1O-(AO
1)
a-[(AO
2)
b/(EO)
c]-R
2 ・・・(1)
(式(1)中、
R
1は炭素数2~8のアルケニル基を示し、
AO
1およびAO
2は炭素数3~4のオキシアルキレン基を示し、
EOはオキシエチレン基を示し、
AO
1の平均付加モル数aはa>0を満足しており、
AO
2の平均付加モル数bおよびEOの平均付加モル数cはb≧0およびc≧0を満足しており、
a、bおよびcの和は10~100であり、
AO
2の平均付加モル数bおよびEOの平均付加モル数cが0より大きい場合、(AO
2)
b/(EO)
cは、前記炭素数3~4のオキシアルキレン基AO
2および前記オキシエチレン基EOがランダム付加していることを示し、
R
2は水素原子または炭素数1~4のアルキル基である。)
0.20≦ M
L/M
H ≦0.60 ・・・(2)
(式(2)中、前記クロマトグラム上の屈折率強度が最大となる極大点KからベースラインBへの垂線の長さをLとし、屈折率強度がL/20となるクロマトグラム上の2点のうち溶出時間が早いほうを点Oとし、溶出時間が遅いほうを点Qとし、点Oと点Qを結ぶ直線Gと前記極大点Kから前記ベースラインBへ引いた垂線との交点をPとしたとき、点Oと交点Pの距離をM
Hとし、点Qと交点Pの距離をM
Lとする。)
【請求項2】
請求項1記載のアルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体からなることを特徴とする、シリコーン変性剤。
【請求項3】
請求項2記載のシリコーン変性剤と式(3)で表されるハイドロジェンオルガノポリシロキサンの反応物からなることを特徴とする、ポリオキシアルキレン変性シリコーン。
【化3】
(式(3)中、
dは1~200、eは0~100であり、e/dは0~1であり、
R
3は、炭素数1~8の炭化水素基であり、
R
4およびR
5は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~8の炭化水素基であり、e=0のときにはR
4とR
5との少なくとも一方は水素原子である。)
【請求項4】
請求項3記載のポリオキシアルキレン変性シリコーンからなることを特徴とする、化粧料オイル改質剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリオキシアルキレン構造にアルケニル基を有するアルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体に関するものである。またアルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体からなるシリコーン変性剤に関し、前記シリコーン変性剤とハイドロジェンオルガノポリシロキサンの反応により得られるポリオキシアルキレン変性シリコーンに関し、前記ポリオキシアルキレン変性シリコーンからなる化粧料オイル改質剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体は、アルカリ触媒、ホスファゼン化合物および複合金属シアン化物錯体(以下、DMC)触媒を使用し、アリルアルコール等の活性水素を持つ開始剤にエチレンオキシドやプロピレンオキシド等のアルキレンオキシドを開環付加することで、低分子量体から高分子量体の合成まで可能である。反応性基であるアルケニル基と幅広い親疎水性の調整が可能なポリオキシアルキレン構造を有し、他の物質と反応させることで生成物の親疎水性の調整するためにシリコーン変性剤、重合モノマーおよび反応性乳化剤等に使用されている(特許文献1および2)。
【0003】
その中でもシリコーン変性剤は、ハイドロジェンオルガノポリシロキサンと反応し、ジメチルポリシロキサンを基本骨格とし、メチル基の一部にポリオキシアルキレン構造を導入した化合物であるポリオキシアルキレン変性シリコーンの合成に使用される。ポリオキシアルキレン変性シリコーンは、界面活性剤、ウレタン整泡剤、消泡剤およびレベリング剤等として利用されているが、ウレタン整泡剤用途においては、DMC触媒を用いて合成した狭い分子量分布を有するアルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体をシリコーン変性剤が提案されている(特許文献3)一方で消泡剤用途においては、複数のアルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体を使用したポリオキシアルキレン変性シリコーンの使用が提案されている(特許文献4)。
【0004】
ところで、オリーブ油、ブドウ種子油およびマカデミアナッツ油を代表とする植物油は、保湿効果をはじめとする様々な美容効果や肌になじませる際に油膜感を与え、適度に重い良好な使用感が得られることから、スキンケアオイルやマッサージオイルにおいて原液または高配合で使用される場合がある。特にマッサージオイルにおいては、スキンケアに比べて多量のオイルを使用し、体の側面にも塗り広げることから、液だれを生じにくいハンドリング性に優れたものが求められており、チキソ性を付与する等の工夫がなされてきた。
一方でエステサロンでのマッサージでは、体が温まる環境下で施術されるため、肌表面が汗で湿潤した状態の場合が多い。その場合、植物油からなるマッサージオイルは少量の水分を含んだ状態となるため、粘度が急激に低下したり、チキソ性が十分に得られなかったりという問題を生じ、液だれを生じるといった課題を生じる場合があった。さらに、マッサージオイルを塗り広げた後に肌になじませる際に、水っぽい軽い感触となり、油膜が感じられなくなり、良好な使用感を維持できないという問題を生じる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平1-101333
【文献】特開平05-306152
【文献】特開平5-117352号公報
【文献】特開2004-181415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、肌表面が湿潤状態でのマッサージにおいて、少量の水分を含んだ場合でも、身体の側面に塗り広げる際にも液だれがしにくくハンドリング性に優れ、塗り広げた後肌になじませる際に良好な使用感を維持できる植物油を主成分とするマッサージオイルを調製可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、分子量分布に特定の偏りのあるアルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体とハイドロジェンポリシロキサンとを反応させたポリオキシアルキレン変性シリコーンは、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0008】
すなわち、本発明は、以下のものである。
(1) 式(1)で表され、ゲル浸透クロマトグラフィー測定により求められるクロマトグラムから算出されるM
HとM
Lとが式(2)の関係を満足
するアルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体
であって、
前記アルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体は、複合金属シアン化物触媒の存在下で、水分量0.5wt%以下の炭素数2~8のアルケニル基および1個の水酸基を有する開始剤に対して、水分量0.01wt%以下の炭素数3~4のアルキレンオキサイドを50℃~150℃で開環付加重合させたものであり、
前記アルキレンオキサイドの全供給量の5~20wt%を供給する間の供給速度をV
1
、前記アルキレンオキサイドの全供給量の20~50wt%を供給する間の供給速度をV
2
、前記アルキレンオキサイドの全供給量の50~100wt%を供給する間の供給速度をV
3
としたとき、V
1
/V
2
=1.1~2.0、V
2
/V
3
=1.1~1.5としたことを特徴とする、アルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体。
R
1O-(AO
1)
a-[(AO
2)
b/(EO)
c]-R
2 ・・・(1)
(式(1)中、
R
1は炭素数2~8のアルケニル基を示し、
AO
1およびAO
2は炭素数3~4のオキシアルキレン基を示し、
EOはオキシエチレン基を示し、
AO
1の平均付加モル数aはa>0を満足しており、
AO
2の平均付加モル数bおよびEOの平均付加モル数cはb≧0およびc≧0を満足しており、
a、bおよびcの和は10~100であり、
AO
2の平均付加モル数bおよびEOの平均付加モル数cが0より大きい場合、(AO
2)
b/(EO)
cは、前記炭素数3~4のオキシアルキレン基AO
2および前記オキシエチレン基EOがランダム付加していることを示し、
R
2は水素原子または炭素数1~4のアルキル基である。)
0.20≦ M
L/M
H ≦0.60 ・・・(2)
(式(2)中、前記クロマトグラム上の屈折率強度が最大となる極大点KからベースラインBへの垂線の長さをLとし、屈折率強度がL/20となるクロマトグラム上の2点のうち溶出時間が早いほうを点Oとし、溶出時間が遅いほうを点Qとし、点Oと点Qを結ぶ直線Gと前記極大点Kから前記ベースラインBへ引いた垂線との交点をPとしたとき、点Oと交点Pの距離をM
Hとし、点Qと交点Pの距離をM
Lとする。)
(2) (1)のアルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体からなることを特徴とする、シリコーン変性剤。
(3) (2)のシリコーン変性剤と式(3)で表されるハイドロジェンオルガノポリシロキサンの反応物からなることを特徴とする、ポリオキシアルキレン変性シリコーン。
【化3】
(式(3)中、
dは1~200、eは0~100であり、e/dは0~1であり、
R
3は、炭素数1~8の炭化水素基であり、
R
4およびR
5は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~8の炭化水素基であり、e=0のときにはR
4とR
5との少なくとも一方は水素原子である。)
(4) (3)のポリオキシアルキレン変性シリコーンからなることを特徴とする、化粧料オイル改質剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るアルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体を用いてポリオキシアルキレン変性シリコーンの製造を行なうことで、当該ポリオキシアルキレン変性シリコーンをオイル改質剤として添加した主成分が植物油であるマッサージオイルは、肌表面が湿潤状態で使用した場合でも、液だれしにくくハンドリング性に優れ、肌になじませる際にも良好な使用感を維持することができる。
当該ポリオキシアルキレン変性シリコーンは、化粧料オイル改質剤としてだけでなく、塗料添加剤、プラスチック添加剤、繊維油剤としての使用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明にて定義されるM
LとM
Hを説明するためのモデルクロマトグラム図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(シリコーン変性剤)
本発明に係るシリコーン変性剤は、下記の式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物からなるものである。
R1O-(AO1)a-[(AO2)b/(EO)c]-R2 ・・・(1)
【0012】
式(1)において、a(a>0)は、炭素数3~4のオキシアルキレン基AO1の平均付加モル数を示し、b(b≧0)は、炭素数3~4のオキシアルキレン基AO2の平均付加モル数を示し、c(c≧0)は、オキシエチレン基EOの平均付加モル数を示す。
【0013】
a、bおよびcの和は、オイルの改質効果(少量の水分を含んだ場合際の良好な使用感や液だれ抑制)の観点から10以上とするが、15以上が更に好ましい。また、a、bおよびcの和が100を超えると、粘性が高まり、ポリオキシアルキレン変性シリコーン製造の際に悪影響を及ぼすため好ましくないため、100以下とするが、80以下が更に好ましく、60以下が特に好ましい。
【0014】
式(1)において、R1は炭素数2~8のアルケニル基である。シリコーン変性剤の製造の容易さやシリコーンとの反応性の観点から、R1の炭素数は2~5が好ましく、アリル基およびメタリル基が特に好ましい。
【0015】
式(1)において、R2は水素原子または炭素数1~4のアルキル基であり、アルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体の製造の容易さの観点から、水素原子が好ましい。
【0016】
本発明のアルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)において、示差屈折率計を用いて得られたクロマトグラムによって規定される。このクロマトグラムとは、屈折率強度と溶出時間との関係を表すグラフである。本発明のシリコーン変性剤では、クロマトグラムが左右非対称であり、式(2)の関係を満たす。なお、ML/MHが1に近い値となるほど、クロマトグラムの形状は左右対称となる。
0.20≦ ML/MH ≦0.60 ・・・・(2)
【0017】
ここで、
図1は、アルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体のゲル浸透クロマトグラフィーにより得られるクロマトグラムのモデル図であり、横軸は溶出時間を、縦軸は示差屈折率計を用いて得られた屈折率強度を示す。
【0018】
ゲル浸透クロマトグラフに試料溶液を注入して展開すると、最も分子量の高い分子から溶出が始まり、屈折率強度の増加に伴い、溶出曲線が上昇していく。その後、屈折率強度が最大となる極大点Kを過ぎると、溶出曲線は下降していく。
【0019】
また、本発明のアルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体のゲル浸透クロマトグラフィーにおいて、クロマトグラムの屈折率強度の極大点が複数ある場合は、それらのうち屈折率強度が最も大きい点を極大点Kとする。さらに同じ屈折率強度の極大点が複数ある場合は、溶出時間の遅いほうを屈折率強度の極大点Kとする。この際、ゲル浸透クロマトグラフィーに使用した展開溶媒などに起因するピークや、使用したカラムや装置に起因するベースラインの揺らぎによる疑似ピークは除く。
【0020】
ML/MHは、それぞれ、以下のようにしてクロマトグラムから算出する。
(1) クロマトグラム上の屈折率強度の極大点KからベースラインBへ垂線を引き、垂線の長さをLとする。
(2) 屈折率強度がL/20となるクロマトグラム上の2点のうち、溶出時間が早いほうを点Oとし、溶出時間が遅いほうを点Qとする。
(3) 点Oと点Qを結んだ直線Gと、屈折率強度の極大点KからベースラインBへ引いた垂線との交点をPとする。
(4) 点Oと交点Pの距離をM H、交点Pと点Qの距離をMLとする。
【0021】
本発明のアルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体は、ML/MHが0.20≦ML/MH≦0.60を満たすものである。ML/MHが0.60より大きくなると、ポリオキシアルキレン変性シリコーンのポリオキシアルキレン鎖の構造の分布が小さくなり、オイルの改質効果を発揮しない。この観点から、ML/MHを0.60以下とするが、0.50以下とすることが更に好ましい。
【0022】
また、ML/MHが小さくなるほど、分子量分布における高分子量側の偏りが大きくなり、それに由来する粘度の上昇などが見られる。ML/MHが0.20より小さくなると、粘度が高くなりすぎ、シリコーン変性剤やポリオキシアルキレン変性シリコーンの製造に悪影響となり好ましくない。この観点からは、ML/MHを0.20以上とするが、0.30以上とすることが更に好ましい。
【0023】
本発明において、MLおよびMHを求めるためのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)は、システムとしてSHODEX(登録商標)
GPC101GPC専用システム、示差屈折率計としてSHODEX RI-71s、ガードカラムとしてSHODEX KF-G、カラムとしてHODEX KF804Lを3本連続装着し、カラム温度40℃、展開溶剤としてテトラヒドロフランを1ml/分の流速で流し、得られた反応物の0.1重量%テトラヒドロフラン溶液0.1mlを注入し、BORWIN GPC計算プログラムを用いて、屈折率強度と溶出時間で表されるクロマトグラムを得る。
【0024】
本発明のアルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体は、複合金属シアン化物触媒(以下、DMC触媒と略記する)の存在下で、炭素数3~4のアルキレンオキサイドを開環付加させること、またはその後炭素数3~4のアルキレンオキサイドおよびエチレンオキサイドをさらに開環付加させることにより製造される。
【0025】
アルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体の製造において、好ましくは、反応容器内に、分子中に炭素数2~8のアルケニル基および1個の水酸基を有する開始剤とDMC触媒を加え、不活性ガス雰囲気の攪拌下、炭素数3~4のアルキレンオキサイドを連続もしくは断続的に添加し付加重合する。炭素数3~4のアルキレンオキサイドは加圧して添加しても良く、大気圧下で添加しても良い。さらにその後の炭素数3~4のアルキレンオキサイドおよびエチレンオキサイドの付加重合に関しても同様である。
【0026】
この時、プロピレンオキサイドの平均供給速度に制限はないが、アルキレンオキサイドの仕込み量によって変化させることが望ましい。具体的にはアルキレンオキサイドの全供給量の5~20wt%を供給する間の速度(単位時間あたりの供給量)をV1、アルキレンオキサイドの全供給量の20~50wt%を供給する間の速度をV2、アルキレンオキサイドの全供給量の50~100wt%を供給する間の速度をV3としたとき、V1/V2=1.1~2.0、V2/V3=1.1~1.5となるようにアルキレンオキサイドの平均供給速度を制御することが好ましい。
【0027】
また、反応温度は、50℃~150℃が好ましく、80℃~120℃がより好ましい。反応温度が150℃より高いと、触媒が失活するおそれがある。反応温度が50℃より低いと、反応速度が遅く生産性に劣る。
【0028】
開始剤およびアルキレンオキサイドに含まれる微量の水分量については特に制限はないが、開始剤に含まれる水分量については、0.5wt%以下、アルキレンオキサイドについては0.01wt%以下であることが望ましい。
【0029】
DMC触媒の使用量は、特に制限されるものではないが、生成するシリコーン変性剤に対して、0.0001~0.1wt%が好ましく、0.001~0.05wt%がより好ましい。DMC触媒の反応系への投入は初めに一括して導入してもよいし、順次分割して導入してもよい。重合反応終了後、複合金属錯体触媒の除去を行う。触媒の除去はろ別や遠心分離、合成吸着剤による処理など公知の方法により行うことが出来る。
【0030】
本発明に用いるDMC触媒は公知のものを用いることができるが、たとえば、式(4)で表わすことができる。
Mf[M’x(CN)y]g(H2O)h・(R6)i
・・・(4)
【0031】
式(4)中、MおよびM’は金属、R6は有機配位子、f、g、xおよびyは金属の原子価と配位数により変わる正の整数であり、hおよびiは、金属の配位数により変わる正の整数である。
【0032】
金属Mとしては、Zn(II)、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Ni(II)、Al(III)、Sr(II)、Mn(II)、Cr(III)、Cu(II)、Sn(II)、Pb(II)、Mo(IV)、Mo(VI)、W(IV)、W(VI)などがあげられ、なかでもZn(II)が好ましく用いられる。
【0033】
金属M’としては、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)、Cr(II)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Ni(II)、V(IV)、V(V)などがあげられ、なかでもFe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)が好ましく用いられる。
【0034】
有機配位子R6としてはアルコール、エーテル、ケトン、エステルなどが使用でき、アルコールがより好ましい。好ましい有機配位子は水溶性のものであり、具体例としては、tert-ブチルアルコール、n-ブチルアルコール、iso-ブチルアルコール、N,N-ジメチルアセトアミド、エチレングリコールジメチルエーテル(グライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)などが挙げられる。特に好ましくはtert-ブチルアルコールが配位したZn3[Co(CN)6]2である。
【0035】
DMC触媒を使用して製造したアルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体は、塩基存在下、有機ハロゲン化物とのWilliamsonエーテル化反応により式(1)で表される末端に炭素数1~4のアルキル基を有するシリコーン変性剤の製造に用いることができる。エーテル化反応に用いられる塩基の具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水素化ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。有機ハロゲン化物としては、炭素数1~4のアルキル基とハロゲン原子が結合した化合物である。具体例としては、塩化メチル、塩化ブチルがある。
【0036】
またアルケニル基含有ポリオキシアルキレン誘導体の製造において、はじめに分子中に炭素数1~4のアルキル基および1個の水酸基を有する開始剤とDMC触媒を使用してアルキレンオキサイドの付加重合する場合がある。その場合、アルキレンオキサイドの付加重合後、塩基存在下、炭素数3~5のアルケニル基とハロゲン原子が結合した化合物とのWilliamsonエーテル化反応により式(1)で表される末端に炭素数1~4のアルキル基を有するシリコーン変性剤の製造することができる。有機ハロゲン化物の具体例としては、塩化アリル、ヨウ化アリル、塩化メタリル、臭化アリル等がある。
【0037】
(ポリオキシアルキレン変性シリコーン)
本発明のポリオキシアルキレン変性シリコーンは、式(1)で表されるシリコーン変性剤および式(3)で表されるハイドロジェンオルガノポリシロキサンの反応物からなる。
【0038】
(ハイドロジェンオルガノポリシロキサン)
式(3)において、dは1~200、eは0~100である。dは、変性シリコーンの粘度や植物油への混ざりやすさの観点から、200以下とするが、150以下が好ましく、100以下が更に好ましい。また、dは1以上とするが、2以上が更に好ましい。また、eは、変性シリコーンの粘度やオイルの改質効果の観点からは、100以下とするが、50以下が好ましく、20以下が更に好ましく、10以下が特に好ましい。e/dは、オイルの改質効果の観点からは、1以下とするが、0.4以下が好ましく、0.2以下がさらに好ましく、0.0であってもよい。
【0039】
R3は、炭素数1~8の炭化水素基を示す。こうした炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基があげられるが、アルキル基が好ましい。具体的化合物名としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基等があげられ、特に好ましくはメチル基である。
【0040】
R4およびR5は、それぞれ独立して、水素原子または炭素数1~8の炭化水素基を示し、好ましくは炭素数1~8の炭化水素基である。こうした炭化水素基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基があげられるが、アルキル基が好ましい。具体的化合物名としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、オクチル基等があげられ、好ましくはメチル基である。e=0のとき、R4またはR5の少なくとも一つは水素原子である。
【0041】
(植物油)
本発明で使用することのできる25℃で液状の植物油としては、オリーブ油、ブドウ種子油、マカデミアナッツ油、アボガド油、杏仁油、アーモンド油、アルガン油、ヒマシ油、ホホバ油、ツバキ油、ヒマワリ油、サンフラワー油等が挙げられる。
【実施例】
【0042】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明の技術的範囲がこれらに限定されるものではない。なお、合成品の分析は下記に示す方法で行った。
【0043】
(分析方法)
不飽和度: JIS K 1557-3に準拠した方法で分析を行った。
動粘度: JIS K 2283に準拠した方法で分析を行った。
ゲル浸透クロマトグラフィー:
システムとしてSHODEX GPC101GPC専用システム、示差屈折率計としてSHODEX
RI-71S、ガードカラムとしてSHODEX KF-GS、カラムとしてHODEX KF804Lを3本連続装着し、カラム温度40℃、展開溶剤としてテトラヒドロフランを1ml/分の流速で流し、得られた反応物の0.1重量%テトラヒドロフラン溶液0.1mlを注入し、BORWIN GPC計算プログラムを用いて、屈折率強度と溶出時間で表されるクロマトグラムを得ることで分析を行なった。
【0044】
(合成例1:複合金属シアン化物錯体(DMC)触媒の合成)
塩化亜鉛2.1gを含む2.0mlの水溶液中に、カリウムヘキサシアノコバルテートK3Co(CN)6を0.84g含む15mlの水溶液を、40℃にて攪拌しながら15分間かけて滴下した。滴下終了後、水16ml、tert-ブチルアルコール16gを加え、70℃に昇温し、1時間攪拌した。室温まで冷却後、濾過操作(1回目濾過)を行い、固体を得た。この固体に、水14ml、tert-ブチルアルコール8.0gを加え、30分間攪拌したのち濾過操作(2回目濾過)を行い、固体を得た。
【0045】
さらに再度、この固体にtert-ブチルアルコール18.6g、メタノール1.2gを加え、30分間攪拌したのち濾過操作(3回目濾過)を行い、得られた固体を40℃、減圧下で3時間乾燥し、DMC触媒0.7gを得た。
【0046】
(合成例2:シリコーン変性剤Z-1の合成)
撹拌装置、窒素導入管、および熱電対を取り付けた5リットル容量のオートクレーブにアリルアルコール(昭和電工製)を700g、ナトリウムメチラート(日本曹達製)7gを仕込んだ。窒素置換後、100℃へと昇温し、0.5MPa以下の条件で、プロピレンオキサイド(住友化学製)2,150gを20時間かけて仕込んだ。75~85℃、―0.097MPa(ゲージ圧)で1時間減圧処理を行い残存したプロピレンオキサイドを除去した。塩酸にて中和した後、80℃、窒素バブリング中で水分の除去を行ない、キョーワード#300および#700(協和化学工業製)を各14gずつ添加後、80℃、-0.097MPa(ゲージ圧力)以下、窒素バブリング中で1時間吸着処理を行ない、ろ過により、トリプロピレングリコールアリルエーテル(不飽和度:4.11meq/g、Mn:240)を2,360g得た。
【0047】
続いて撹拌装置、窒素導入管、および熱電対を取り付けた5リットル容量のオートクレーブにトリプロピレングリコールアリルエーテル400g、上記合成例1で得たDMC触媒0.05gを仕込んだ。窒素置換後、120℃へと昇温し、0.3MPa以下の条件で、プロピレンオキサイド50gを1時間かけて仕込んだ。この際、反応槽内の圧力と温度の経時的変化を測定した。5時間後、反応槽内の圧力が急激に減少した。その後、反応槽内を120℃に保ちながら、0.6MPa以下の条件で、徐々にプロピレンオキサイドを投入し、全量で2,050gのプロピレンオキサイドを撹拌下に連続的に加圧添加した。このとき、プロピレンオキサイドを2,050g導入するまでの時間は10時間であった。75~85℃、―0.097MPa(ゲージ圧)で1時間減圧処理後、ろ過を行ってシリコーン変性剤Z-1を2,400g得た。得られた変性剤の不飽和度は0.65meq/g、Mn:1,440であった。
またゲル浸透クロマトグラフィーの測定により得られるクロマトグラムからML/MHを求めると、0.42であった。
【0048】
(合成例3:シリコーン変性剤Z-2の合成)
撹拌装置、窒素導入管、および熱電対を取り付けた5リットル容量のオートクレーブにメタリルアルコール(Zibo Chemical製)を700g、ナトリウムメチラート7gを仕込んだ。窒素置換後、100℃へと昇温し、0.5MPa以下の条件で、プロピレンオキサイド1,700gを20時間かけて仕込んだ。75~85℃、―0.097MPa(ゲージ圧)で1時間減圧処理を行い残存したプロピレンオキサイドを除去した。塩酸にて中和した後、80℃、窒素バブリング中で水分の除去を行ない、キョーワード#300および#700を各12gずつ添加後、80℃、-0.097MPa(ゲージ圧力)以下、窒素バブリング中で1時間吸着処理を行ない、ろ過により、トリプロピレングリコールメタリルエーテル(不飽和度:4.02meq/g、Mn:360)を1,990g得た。
【0049】
続いて撹拌装置、窒素導入管、および熱電対を取り付けた5リットル容量のオートクレーブにトリプロピレングリコールメタリルエーテル400g、上記合成例1で得たDMC触媒0.05gを仕込んだ。窒素置換後、120℃へと昇温し、0.3MPa以下の条件で、プロピレンオキサイド50gを1時間かけて仕込んだ。この際、反応槽内の圧力と温度の経時的変化を測定した。5時間後、反応槽内の圧力が急激に減少した。その後、反応槽内を120℃に保ちながら、0.6MPa以下の条件で、徐々にプロピレンオキサイドを投入し、全量で1,950gのプロピレンオキサイドを撹拌下に連続的に加圧添加した。このとき、プロピレンオキサイドを1,950g導入するまでの時間は10時間であった。75~85℃、―0.097MPa(ゲージ圧)で1時間減圧処理後、ろ過を行ってシリコーン変性剤Z-2を2,300g得た。得られた変性剤の不飽和度は0.64meq/g、Mn:1,480であった。
またゲル浸透クロマトグラフィーの測定により得られるクロマトグラムからML/MHを求めると、0.44であった。
【0050】
(合成例4:シリコーン変性剤Z-3の合成)
撹拌装置、窒素導入管、および熱電対を取り付けた5リットル容量のオートクレーブにトリプロピレングリコールアリルエーテル400g、上記合成例1で得た複合金属シアン化物錯体触媒0.05gを仕込んだ。窒素置換後、120℃へと昇温し、0.3MPa以下の条件で、プロピレンオキサイド50gを1時間かけて仕込んだ。この際、反応槽内の圧力と温度の経時的変化を測定した。5時間後、反応槽内の圧力が急激に減少した。その後、反応槽内を120℃に保ちながら、0.6MPa以下の条件で、徐々にプロピレンオキサイド1,650gおよびエチレンオキサイド1,500を投入し、撹拌下で13時間かけて連続的に加圧添加した。75~85℃、―0.097MPa(ゲージ圧)で1時間減圧処理後、ろ過を行ってシリコーン変性剤Z-3を3,480g得た。得られた変性剤の不飽和度は0.44meq/g、Mn:2,080であった。
またゲル浸透クロマトグラフィーの測定により得られるクロマトグラムからML/MHを求めると、0.38であった。
【0051】
(合成例5:シリコーン変性剤Z’-1の合成)
撹拌装置、窒素導入管、および熱電対を取り付けた5リットル容量のオートクレーブにアリルアルコールを100g、ナトリウムメチラート5gを仕込んだ。窒素置換後、100℃へと昇温し、0.5MPa以下の条件で、プロピレンオキサイド3,300gを50時間かけて仕込んだ。75~85℃、―0.097MPa(ゲージ圧)で1時間減圧処理を行い残存したプロピレンオキサイドを除去した。塩酸にて中和した後、80℃、窒素バブリング中で水分の除去を行ない、キョーワード#300および#700を各3.3gずつ添加後、80℃、-0.097MPa(ゲージ圧力)以下、窒素バブリング中で1時間吸着処理を行ない、ろ過により、シリコーン変性剤Z’-1(不飽和度:0.64meq/g、Mn:1,460)を3,150g得た。
またゲル浸透クロマトグラフィーの測定により得られるクロマトグラムからML/MHを求めると1.15であった。
【0052】
(合成例6:ポリエーテル変性シリコーンA-1の合成)
撹拌装置、窒素吹き込み管、熱電対および冷却管を取り付けた300ミリリットル容四ツ口フラスコに、ハイドロジェンジメチルポリシロキサン(HMS-082(Gelest社製)、1g当たりのSiH当量=1.08meq/g、d=75、e=6.5)65質量部と、合成例2で合成したシリコーン変性剤Z-1(151質量部、不飽和当量;0.65meq/g)を仕込み、触媒として塩化白金酸六水和物のイソプロピルアルコール溶液(1×10-3モル/リットル)を白金換算で50ppmとなるように仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら、90℃で反応を行った。サンプリングを行い、N/10水酸化カリウムのイソプロピルアルコール溶液を加えて水素ガスが発生しなくなるまで反応を継続し、FT-IR測定により、SiH基に由来する2100~2300cm-1の吸収が消失したことを確認し、100℃動粘度105Pa・sである実施例1のポリエーテル変性シリコーンA-1を得た。
【0053】
(合成例7:ポリエーテル変性シリコーンA-2の合成)
シリコーン変性剤Z-1にかえて、合成例3で合成したシリコーン変性剤Z-2(132質量部、不飽和当量;0.64meq/g)を使用した以外は、合成例6と同様に操作を行い、100℃動粘度110Pa・sである実施例2のポリエーテル変性シリコーンA-2を得た。
【0054】
(合成例8:ポリエーテル変性シリコーンA-3の合成)
シリコーン変性剤Z-1にかえて、合成例4で合成したシリコーン変性剤Z-3(223質量部、不飽和当量;0.44meq/g)を使用した以外は、合成例6と同様に操作を行い、100℃動粘度301Pa・sである実施例3のポリエーテル変性シリコーンA-3を得た。
【0055】
(合成例9:ポリエーテル変性シリコーンA’-1の合成)
シリコーン変性剤Z-1にかえて、合成例5で合成したシリコーン変性剤Z’-1(154質量部、不飽和当量;0.64meq/g)を使用した以外は、合成例6と同様に操作を行い、100℃動粘度102Pa・sである比較例1のポリエーテル変性シリコーンA’-1を得た。
【0056】
(油剤基材の調製:実施例1~3、比較例1~3)
下記の調製方法により、表3記載のマッサージオイルを調製した。
具体的には、室温条件下において、実施例および比較例の各種変性シリコーンとオリーブ油(関東化学(株)製)を均一になるまで攪拌した。
【0057】
(液だれの評価)
動的粘弾性装置(Paar Physica MCR-300、Anton Paar社製)を用いて、温度20℃、せん断速度が0.1および1.0(1/s)に対するせん断粘度を測定し、せん断速度の比率の値により、マッサージオイルを塗り広げる際の液だれのしにくさとして、下記判定基準に基づき評価した。評価には、官能評価に使用した水を1wt%加えたマッサージオイルを使用した。器具に評価サンプルをなじませるため1度空試験を実施し、試験終了から1分後に本試験を実施した。
判定基準
「◎」: 比率が1.4以上
「○」: 比率が1.3以上、1.4未満
「△」: 比率が1.1以上、1.3未満
「×」: 比率が1.1未満
【0058】
(マッサージオイルの官能評価)
固形石鹸で洗浄して流水ですすいだ後、ドライヤーを使用して両手を十分乾燥させた。左手の甲に約0.2mLの評価サンプルを滴下後、右手の指の腹で手の甲全体に広げた際の感触を評価した。10人のパネラーで実施し、肌表面が湿潤状態においてマッサージオイルが使用された場合を想定して、各マッサージオイルに1wt%の水を添加して均一に混合したものを使用し、マッサージオイルを塗り広げた後、肌になじませる際の使用感について、下記評価基準で評価し、その評点の合計によって、「◎」~「×」の下記4段階で判定した。
【0059】
評価基準
2点:油膜感があり適度に重い使用感
1点:油膜感はあるが若干軽い使用感
0点:油膜感がなく軽い使用感
判定基準
「◎」: 評点の合計が18点以上
「○」: 評点の合計が15点以上、17点以下
「△」: 評点の合計が10点以上、14点以下
「×」: 評点の合計が9点以下
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
マッサージオイルの官能評価については、実施例1~3と比較例1~3を比べると、実施例1~3は、塗り広げる際に液だれをせず、肌になじませる際に油膜感があり適度に重く、使用感が優れていた。比較例1~3は、塗り広げる際に液だれを生じたり、肌になじませる際に油膜が十分に得られず、良好な使用感が得られなかったりした。