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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】物体検出装置及び物体検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/52 20060101AFI20230308BHJP
   G01S 15/931 20200101ALI20230308BHJP
【FI】
G01S7/52 U
G01S15/931
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019129321
(22)【出願日】2019-07-11
(65)【公開番号】P2021015029
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西野 裕一
【審査官】渡辺 慶人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-220889(JP,A)
【文献】特開2017-090136(JP,A)
【文献】特開2016-080645(JP,A)
【文献】特開昭62-277584(JP,A)
【文献】特開平04-250387(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/00 - 7/64
13/00 - 17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送信する送信機能と超音波を受信する受信機能とを有する超音波センサと、
前記超音波センサによる超音波の受信結果から物体を検出する検出部と、
を備えた物体検出装置であって、
前記検出部は、
前記超音波センサが超音波を送信した時刻を起点として前記超音波センサが次に超音波を送信する時刻までの時間である判定時間内における超音波の受信回数を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記受信回数に基づいて、前記超音波センサが受信した超音波がノイズであるか否かを判定する判定部と、
を有することを特徴とする物体検出装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記受信回数が回数用閾値よりも多い場合に、前記超音波センサが受信した超音波がノイズであると判定する請求項1に記載の物体検出装置。
【請求項3】
前記取得部は、
前記判定時間内において前記超音波センサが受信した超音波の音圧レベルがレベル閾値を連続して超えている受信時間を取得し、
前記判定時間内における前記受信時間の合計である総受信時間を算出し、
前記判定部は、前記判定時間に対する前記総受信時間の割合が割合用閾値よりも高い場合に、前記超音波センサが受信した超音波がノイズであると判定する請求項に記載の物体検出装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記超音波センサが超音波を受信する毎に前記受信回数をカウントし、
前記判定部は、前記取得部が前記受信回数をカウントする毎に前記受信回数と前記回数用閾値とを比較する請求項に記載の物体検出装置。
【請求項5】
超音波を送信する送信機能と超音波を受信する受信機能とを有する超音波センサと、
前記超音波センサによる超音波の受信結果から物体を検出する検出部と、
を備えた物体検出装置であって、
前記検出部は、
前記超音波センサが超音波を送信した時刻を起点として予め定められた判定時間内において前記超音波センサが受信した超音波の音圧レベルがレベル閾値を連続して超えている受信時間を取得し、前記判定時間内における前記受信時間の合計である総受信時間を算出する取得部と、
前記判定時間に対する前記総受信時間の割合が割合用閾値よりも高い場合に、前記超音波センサが受信した超音波がノイズであると判定する判定部と、
を有することを特徴とする物体検出装置。
【請求項6】
検出部が、超音波を送信する送信機能と超音波を受信する受信機能とを有する超音波センサによる超音波の受信結果から物体を検出する物体検出方法であって、
前記検出部が、前記超音波センサが超音波を送信した時刻を起点として前記超音波センサが次に超音波を送信する時刻までの時間である判定時間内における超音波の受信回数を取得するステップと、
前記検出部が、取得した前記受信回数に基づいて、前記超音波センサが受信した超音波がノイズであるか否かを判定するステップと、
を有することを特徴とする物体検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体検出装置及び物体検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、超音波を利用して物体を検出する物体検出装置が知られている。物体検出装置は、超音波を送信する送信機能と超音波を受信する受信機能とを有する超音波センサと、超音波センサによる超音波の受信結果から物体を検出する検出部とを備える。詳しくは、超音波センサから超音波を送信した際、超音波の送信先に物体がある場合、超音波は物体に当たって反射するため、超音波センサは反射した超音波を受信する。一方、超音波の送信先に物体が無い場合、超音波は反射することなく減衰するため、超音波センサは超音波を受信しない。検出部は、超音波センサが反射波を受信することにより、物体を検出する。
【0003】
ところで、超音波センサは、超音波センサから送信された超音波が物体により反射した反射波だけでなく、物体検出装置の使用環境で発生した超音波も受信する。つまり、超音波センサはノイズも受信する。このため、超音波センサがノイズを受信した場合には、実際には物体が無いにも関わらず、検出部が物体を検出する誤検出が発生する虞がある。
【0004】
特許文献1に開示の超音波検出装置は、被測定物に対して超音波信号を送信することにより、被測定物と超音波検出装置との間に存在する物体を検出する。このような超音波検出装置においても、ノイズによる誤検出が生じる虞がある。超音波検出装置は、この問題を解決するための構成として、複数の周波数のバースト信号からなる放射超音波信号を被測定物に対して送信する超音波送信機と、被測定物から反射した反射超音波信号を受信する超音波受信機と、受信した反射超音波信号により、送信したバースト信号の周波数と受信したバースト信号の周波数とを比較する受信信号検出手段とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平11-64494号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の超音波検出装置では、複数の周波数のバースト信号を発信したり、送信したバースト信号の周波数と受信したバースト信号の周波数を比較したりする必要があるため、超音波検出装置の構成は複雑化する。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、構成を複雑化することなく、超音波センサが受信した超音波がノイズであるか否かを判定できる物体検出装置及び物体検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するための物体検出装置は、超音波を送信する送信機能と超音波を受信する受信機能とを有する超音波センサと、前記超音波センサによる超音波の受信結果から物体を検出する検出部と、を備えた物体検出装置であって、前記検出部は、前記超音波センサが超音波を送信した時刻を起点として予め定められた判定時間内において前記超音波センサが受信した超音波の音圧レベルがレベル閾値を連続して超えている受信時間、及び前記判定時間内における超音波の受信回数の少なくとも一方を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記受信時間及び前記受信回数の少なくとも一方に基づいて、前記超音波センサが受信した超音波がノイズであるか否かを判定する判定部と、を有することを要旨とする。
【0009】
判定時間内における超音波の受信時間は、超音波センサが受信した超音波が物体により反射した反射波である場合とノイズである場合とで異なる。また、判定時間内における超音波の受信回数は、超音波センサが受信した超音波が物体により反射した反射波である場合とノイズである場合とで異なる。よって、判定部は、判定時間内における受信時間及び受信回数の少なくとも一方に基づいて、超音波センサが受信した超音波がノイズであるか否かを判定できる。この場合、複数の周波数を含む超音波を送信したり、送信した超音波の周波数と受信した超音波の周波数とを比較したりする必要が無いため、物体検出装置の構成を簡素化できる。
【0010】
また、上記物体検出装置について、前記判定部は、前記受信時間が時間用閾値よりも長い場合に、前記超音波センサが受信した超音波がノイズであると判定するのが好ましい。
ノイズの音圧レベルがレベル閾値よりも十分高いことが想定される場合、超音波センサがノイズを受信したときの受信時間は、超音波センサが反射波を受信したときの受信時間と比較して長くなる。このため、受信時間により超音波センサが受信した超音波がノイズであるか否かを判定するのが効果的である。
【0011】
また、上記物体検出装置について、前記判定部は、前記受信回数が回数用閾値よりも多い場合に、前記超音波センサが受信した超音波がノイズであると判定するのが好ましい。
ノイズの音圧レベルがレベル閾値付近であることが想定される場合、超音波センサがノイズを受信したときの判定時間内における受信回数は、超音波センサが反射波を受信したときの判定時間内における受信回数と比較して多くなる。このため、受信回数により超音波センサが受信した超音波がノイズであるか否かを判定するのが効果的である。
【0012】
また、上記物体検出装置について、前記判定部は、前記判定時間内における前記受信時間の合計である総受信時間を算出し、前記判定時間に対する前記総受信時間の割合が割合用閾値よりも高い場合に、前記超音波センサが受信した超音波がノイズであると判定するのが好ましい。
【0013】
ノイズの音圧レベルがレベル閾値よりも高いことが想定される場合、超音波センサがノイズを受信したときの受信時間は、超音波センサが反射波を受信したときの受信時間と比較して長くなる。このため、超音波センサがノイズを受信したときの判定時間に対する総受信時間の割合は、超音波センサが反射波を受信したときの割合と比較して高くなる。よって、判定時間に対する総受信時間の割合により、超音波センサが受信した超音波がノイズであるか否かを判定するのが効果的である。
【0014】
また、上記物体検出装置について、前記判定部は、前記判定時間内における前記受信時間の合計である総受信時間を算出し、前記受信時間が時間用閾値よりも長い場合、前記受信回数が回数用閾値よりも多い場合、及び前記判定時間に対する前記総受信時間の割合が割合用閾値よりも高い場合の少なくとも1つに該当する場合に、前記超音波センサが受信した超音波がノイズであると判定するのが好ましい。
【0015】
ノイズの音圧レベルがレベル閾値よりも高いことが想定される場合、超音波センサがノイズを受信したときの受信時間は、超音波センサが反射波を受信したときの受信時間と比較して長くなる。このため、超音波センサがノイズを受信したときの判定時間に対する総受信時間の割合は、超音波センサが反射波を受信したときの割合と比較して高くなる。また、ノイズの音圧レベルがレベル閾値付近であることが想定される場合、超音波センサがノイズを受信したときの判定時間内における受信回数は、超音波センサが反射波を受信したときの判定時間内における受信回数と比較して多くなる。
【0016】
このため、受信時間が時間用閾値よりも長い場合、受信回数が回数用閾値よりも多い場合、及び判定時間に対する総受信時間の割合が割合用閾値よりも高い場合の少なくとも1つに該当する場合に、超音波センサが受信した超音波がノイズであると判定部が判定することで、各種ノイズに対応できる。
【0017】
また、上記物体検出装置について、前記取得部は、前記超音波センサが超音波を受信する毎に前記受信時間を取得するとともに、前記超音波センサが超音波を受信する毎に前記受信回数をカウントし、前記判定部は、前記取得部が前記受信時間を取得する毎に前記受信時間と前記時間用閾値とを比較し、前記取得部が前記受信回数をカウントする毎に前記受信回数と前記回数用閾値とを比較するのが好ましい。
【0018】
判定時間に対する総受信時間の割合は、超音波センサが超音波を送信した時刻から判定時間が経過して初めて取得される値である。これに対し、受信時間は、超音波センサが超音波を送信した時刻から判定時間が経過する間にも取得可能な値である。また、受信回数は、超音波センサが超音波を送信した時刻から判定時間が経過するまでの間にもカウント可能な値である。
【0019】
取得部は、超音波センサが超音波を受信する毎に受信時間を取得する。判定部は、取得部が受信時間を取得する毎に受信時間と受信時間用閾値とを比較する。これにより、超音波センサが超音波を送信した時刻から判定時間が経過する前であっても、時間用閾値よりも長い受信時間が取得された時点で、超音波センサが受信した超音波がノイズであると判定できる。
【0020】
また、取得部は、超音波センサが超音波を受信する毎に受信回数をカウントする。判定部は、取得部が受信回数をカウントする毎に受信回数と回数用閾値とを比較する。これにより、超音波センサが超音波を送信した時刻から判定時間が経過する前であっても、受信回数が回数用閾値よりも多くなった時点で、超音波センサが受信した超音波がノイズであると判定できる。よって、超音波センサが受信した超音波がノイズであると判定するのに要する時間を短縮できる。
【0021】
上記問題点を解決するための物体検出方法は、超音波センサから超音波を送信し、前記超音波センサによる超音波の受信結果から物体を検出する物体検出方法であって、前記超音波センサが超音波を送信した時刻を起点として予め定められた判定時間内において前記超音波センサが受信した超音波の音圧レベルがレベル閾値を連続して超えている受信時間、及び前記判定時間内における超音波の受信回数の少なくとも一方を取得するステップと、取得した前記受信時間及び前記受信回数の少なくとも一方に基づいて、前記超音波センサが受信した超音波がノイズであるか否かを判定するステップと、を有することを要旨とする。
【0022】
判定時間内における超音波の受信時間は、超音波センサが受信した超音波が物体により反射した反射波である場合とノイズである場合とで異なる。また、判定時間内における超音波の受信回数は、超音波センサが受信した超音波が物体により反射した反射波である場合とノイズである場合とで異なる。よって、判定時間内における受信時間及び受信回数の少なくとも一方に基づいて、超音波センサが受信した超音波がノイズであるか否かを判定できる。この場合、複数の周波数を含む超音波を送信したり、送信した超音波の周波数と受信した超音波の周波数とを比較したりする必要が無いため、物体検出装置の構成を簡素化できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、構成を複雑化することなく、超音波センサが受信した超音波がノイズであるか否かを判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】物体検出装置が搭載されるフォークリフトの概略側面図。
図2】フォークリフトの構成を示すブロック図。
図3】物体検出装置の構成を示すブロック図。
図4】超音波の送受信のタイミングを示す図。
図5】第1実施形態の物体検出方法を示すフローチャート。
図6】具体例における超音波の送受信のタイミングを示す図。
図7】第2実施形態の物体検出方法を示すフローチャート。
図8】別例の超音波の送受信タイミングを示す図。
図9】受信時間の取得方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
以下、物体検出装置及び物体検出方法を具体化した第1実施形態を図1図6にしたがって説明する。
【0026】
図1に示すように、移動体としてのフォークリフト10は、車体11と、車体11の前方に設けられた荷役装置12と、車体11の後方に設けられたカウンタウェイト13とを備える。なお、本実施形態のフォークリフト10は、搭乗者による運転が行われるフォークリフトである。
【0027】
図2に示すように、フォークリフト10は、メインコントローラ17と、荷役装置12を動作させる荷役機構14と、フォークリフト10を走行させる駆動機構15と、フォークリフト10の起動状態と停止状態とを切り替えるキースイッチ16とを備える。
【0028】
メインコントローラ17は、CPU18及びメモリ19を備える。メモリ19には、フォークリフト10を動作させるためのプログラム等が記憶されている。メインコントローラ17は、キースイッチ16によりフォークリフト10が起動状態にされている場合、駆動機構15や荷役機構14を制御することで荷役動作や走行動作をフォークリフト10に行わせる。一方で、メインコントローラ17は、キースイッチ16によりフォークリフト10が停止状態にされている場合、荷役動作や走行動作をフォークリフト10に行わせない。
【0029】
フォークリフト10には、超音波によって物体を検出する物体検出装置20が搭載されている。物体検出装置20は、超音波センサ21と、制御ECU30とを備える。
図3に示すように、超音波センサ21は、圧電振動子22と、送信部23と、受信部24と、A/D変換部25とを備える。超音波センサ21は、1つの圧電振動子22を送信と受信で兼用する送受信兼用型の超音波センサである。このため、超音波センサ21は、超音波を送信している間、超音波を受信することはできない。
【0030】
送信部23は、後述する送信指令部31から超音波センサ21に送信指令が与えられると、駆動信号を圧電振動子22に出力する。送信部23は、例えば、バースト信号である駆動信号を出力する発信部と、駆動信号を増幅するトランスとによって構成されている。圧電振動子22は、駆動信号が与えられることにより振動し、超音波を送信する。また、圧電振動子22は、超音波を受信することにより振動し、超音波に基づいた受信信号を受信部24に出力する。受信部24は、圧電振動子22から入力された受信信号を検出する。
【0031】
受信部24は、受信信号を増幅する増幅回路24aと、増幅回路24aによって増幅された受信信号が出力される検波部24bとを備える。増幅回路24aは、例えば、オペアンプによって構成されている。検波部24bは、増幅回路24aで増幅された受信信号から包絡線を取得する。検波部24bは、受信信号から取得した包絡線をA/D変換部25に出力する。
【0032】
A/D変換部25は、アナログ信号をデジタル信号に変換する。本実施形態のデジタル信号は、Highレベル又はLowレベルに二値化された二値化信号である。A/D変換部25は、包絡線の音圧レベルがレベル閾値を超えているときにはHighレベルのデジタル信号を出力する。A/D変換部25は、包絡線の音圧レベルがレベル閾値以下であるときにはLowレベルのデジタル信号を出力する。A/D変換部25は、例えば、複数のコンパレータによって構成されている。
【0033】
図1に示すように、本実施形態の超音波センサ21は、カウンタウェイト13に取り付けられ、車体11の後方に超音波を送信する。超音波の送信方向の先に物体がある場合、送信された超音波は、物体に当たって反射することにより反射波となり、反射波は超音波センサ21によって受信される。よって、本実施形態の物体検出装置20により検出される物体は、フォークリフト10の後方に存在する物体である。
【0034】
図3に示す制御ECU30は、CPUと、RAM及びROM等からなる記憶部とを備える電子制御ユニット:Electronic Control Unitである。記憶部には、物体検出装置20を制御するための種々のプログラムが記憶されている。制御ECU30は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェア、例えば、特定用途向け集積回路:ASICを備えていてもよい。制御ECU30は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASIC等の1つ以上の専用のハードウェア回路、あるいは、それらの組み合わせを含む回路として構成し得る。プロセッサは、CPU、並びにRAM及びROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリ、すなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆるものを含む。制御ECU30は、メインコントローラ17と相互に通信可能に接続されている。なお、本実施形態では、制御ECU30はメインコントローラ17とは別体で形成されている。
【0035】
制御ECU30は、超音波センサ21に接続された送信指令部31を備える。送信指令部31は、超音波センサ21に送信信号を出力することで超音波センサ21に超音波を送信させる。送信指令部31は、キースイッチ16によりフォークリフト10が起動状態にされている間、所定の間隔で送信信号を繰り返し出力する。超音波センサ21は、送信指令部31から送信信号が入力される度に超音波を送信する。よって、送信指令部31による送信信号の出力間隔は、超音波センサ21による超音波の送信間隔と一致する。
【0036】
制御ECU30は、超音波センサ21に接続された検出部32を備える。検出部32には超音波センサ21からデジタル信号が入力される。検出部32は、超音波センサ21からHighレベルのデジタル信号が入力されると、超音波センサ21が超音波を受信したことを認識する。
【0037】
ところで、フォークリフト10の使用環境では、超音波センサ21が受信可能な周波数帯と同じ周波数帯の超音波が発せられることがある。このため、超音波センサ21は、超音波センサ21から送信された超音波が物体によって反射した反射波だけでなく、フォークリフト10の使用環境において発せられた超音波を受信することがある。以下では、超音波センサ21が受信する超音波を受信波といい、受信波のうち、反射波ではない超音波をノイズという。フォークリフト10の使用環境において発せられた超音波は、ノイズに含まれる。
【0038】
検出部32は、受信波がノイズであるか否かを判定するための構成として取得部33及び判定部34を有する。取得部33は、判定時間t内における受信時間T、及び判定時間t内における受信回数Nの少なくとも一方を取得する。本実施形態では、取得部33は、判定時間t内における受信時間T及び判定時間t内における受信回数Nの両方を取得する。
【0039】
図4に示すように、判定時間tとは、超音波センサ21が超音波Usを送信した時刻を起点として予め定められた時間である。本実施形態では、超音波センサ21が超音波Usを送信し始めることにより、デジタル信号がLowレベルからHighレベルになった時刻を、超音波センサ21が超音波Usを送信した時刻としている。また、本実施形態では、判定時間tは、超音波センサ21が超音波Usを送信した時刻を起点として、超音波センサ21が次に超音波Usを送信するまでの時間に設定されている。つまり、本実施形態では、判定時間tは、超音波センサ21による超音波の送信間隔と一致している。
【0040】
また、超音波の受信時間Tとは、受信波の音圧レベルがレベル閾値を連続して超えている時間である。言い換えると、A/D変換部25がHighレベルのデジタル信号を検出部32に出力し続けている時間である。本実施形態では、取得部33は、超音波センサ21が超音波Urを受信することによりデジタル信号がLowレベルからHighレベルになった時刻と、Highレベルにあるデジタル信号がLowレベルになった時刻との差を受信時間Tとして取得する。なお、判定時間t内に超音波センサ21が複数回超音波Urを受信した場合には、取得部33は、各回について超音波の受信時間Tを取得する。取得部33は、取得した超音波の受信時間Tを判定部34に出力する。
【0041】
また、判定時間t内における受信回数Nとは、判定時間t内において超音波センサ21が超音波を受信した回数である。本実施形態では、取得部33は、判定時間t内において超音波センサ21が超音波を受信することにより、A/D変換部25から入力されるデジタル信号がLowレベルからHighレベルになった回数を、判定時間t内における受信回数Nとして取得する。取得部33は、取得した受信回数Nを判定部34に出力する。
【0042】
判定部34は、取得部33から入力された判定時間t内における受信時間T及び受信回数Nの少なくとも一方に基づいて、受信波がノイズであるか否かを判定する。本実施形態では、判定部34は、判定時間t内における超音波の受信時間T及び受信回数Nの両方に基づいて、受信波がノイズであるか否かを判定する。
【0043】
ここで、受信波がノイズである場合の判定時間t内における受信時間T及び判定時間t内における受信回数Nについて、受信波が反射波である場合の判定時間t内における受信時間T及び判定時間t内における受信回数Nと比較して説明する。
【0044】
判定時間t内における受信時間T及び受信回数Nは、フォークリフト10の使用環境に存在するノイズの音圧レベルに対応することが実験により分かっている。
フォークリフト10の使用環境において、音圧レベルがレベル閾値よりも十分高いノイズが存在する場合、音圧レベルが連続してレベル閾値を超える時間が長くなる。このため、超音波センサ21がノイズを受信したときの受信時間Tは、超音波センサ21が反射波を受信したときの受信時間Tと比較して長くなる。
【0045】
フォークリフト10の使用環境において、音圧レベルがレベル閾値付近にあるノイズが存在する場合、音圧レベルはレベル閾値を超えたりレベル閾値以下になったりする。このため、超音波センサ21がノイズを受信したときの受信回数Nは、超音波センサ21が反射波を受信したときの受信回数Nと比較して多くなる。
【0046】
フォークリフト10の使用環境において、音圧レベルがレベル閾値に対して高いノイズが存在する場合、音圧レベルが連続してレベル閾値以上となる時間は、音圧レベルがレベル閾値付近にあるノイズが存在する場合と比較すると長くなるものの、音圧レベルがレベル閾値よりも十分高いノイズが存在する場合と比較すると短くなる。このため、判定時間t内における受信時間Tの合計を総受信時間Tsとしたとき、超音波センサ21がノイズを受信したときの判定時間tに対する総受信時間Tsの割合Rは、超音波センサ21が反射波を受信したときの判定時間tに対する総受信時間Tsの割合Rと比較して高くなる。
【0047】
次に、物体検出方法について説明する。
図5に示すように、超音波センサ21は、n回目の超音波の送信を行う(ステップS11)。なお、nは、1以上の整数である。超音波センサ21は、n回目の超音波の送信から所定の送信間隔を空けて、n+1回目の超音波の送信を行う(ステップS12)。検出部32は、超音波センサ21がn+1回目の超音波の送信を行うことにより、n回目の超音波の送信から判定時間tが経過したことを把握する。
【0048】
超音波センサ21が判定時間t内に超音波を受信した場合(ステップS13でYES)、取得部33は、判定時間t内における超音波の受信時間Tを取得する(ステップS14)。なお、超音波センサ21が判定時間t内に超音波を受信しなかった場合(ステップS13でNO)、フローを終了する。
【0049】
判定部34は、取得部33が取得した受信時間Tを用いて、受信波がノイズであるか否かを判定する。具体的には、判定部34は、受信時間Tと時間用閾値Tthとを比較し、その比較結果から受信波がノイズであるか否かを判定する。なお、超音波センサ21が判定時間t内において複数回超音波を受信した場合には、判定部34は、各回の受信時間Tと時間用閾値Tthとを比較する。時間用閾値Tthは、実験により得られた、受信波が反射波である場合の受信時間Tの最大値に基づいて設定されている。
【0050】
受信時間Tが時間用閾値Tth以下でない場合(ステップS15でNO)、すなわち受信時間Tが時間用閾値Tthよりも長い場合、判定部34は、受信波がノイズであると判定する(ステップS16)。なお、超音波センサ21が判定時間t内において複数回超音波を受信した場合には、判定部34は、少なくとも1回について受信時間Tが時間用閾値Tthよりも長ければ、受信波がノイズであると判定する。受信時間Tが時間用閾値Tth以下である場合(ステップS15でYES)、取得部33は、判定時間t内における超音波の受信回数Nを取得する(ステップS17)。
【0051】
判定部34は、取得部33が取得した判定時間t内における超音波の受信回数Nを用いて、受信波がノイズであるか否かを判定する。具体的には、判定部34は、受信回数Nと回数用閾値Nthとを比較し、その比較結果から受信波がノイズであるか否かを判定する。回数用閾値Nthは、実験により得られた、受信波が反射波である場合の受信回数Nの最大値に基づいて設定されている。
【0052】
受信回数Nが回数用閾値Nth以下でない場合(ステップS18でNO)、すなわち受信回数Nが回数用閾値Nthよりも多い場合、判定部34は、受信波がノイズであると判定する(ステップS16)。受信回数Nが回数用閾値Nth以下である場合(ステップS18でYES)、取得部33は、判定時間t内における受信時間Tの合計である総受信時間Tsを算出し、判定時間tに対する総受信時間Tsの割合Rを算出する(ステップ19)。
【0053】
判定部34は、取得部33が取得した割合Rを用いて、受信波がノイズであるか否かを判定する。具体的には、判定部34は、割合Rと割合用閾値Rthとを比較し、その比較結果から受信波がノイズであるか否かを判定する。割合用閾値Rthは、実験により得られた、受信波が反射波である場合の判定時間tに対する総受信時間Tsの割合の最大値に基づいて設定されている。
【0054】
割合Rが割合用閾値Rth以下でない場合(ステップS20でNO)、すなわち割合Rが割合用閾値Rthよりも高い場合、判定部34は、受信波がノイズであると判定する(ステップS16)。割合Rが割合用閾値Rth以下である場合(ステップS20でYES)、判定部34は、受信波がノイズでないと判定し(ステップS21)、検出部32は、フォークリフト10の後方において物体を検出する(ステップS22)。
【0055】
次に、本実施形態の物体検出方法を用いた具体例を説明する。なお、具体例では、フォークリフト10の使用環境において、音圧レベルがレベル閾値よりも高いノイズが発生するものとする。また、具体例では、超音波センサ21による超音波の送信間隔は30msに設定されている。つまり、具体例における判定時間tは30msである。
【0056】
図6に示すように、超音波センサ21は、1回目の超音波Us1の送信を行う(ステップS11)。説明の便宜上、1回目の超音波Us1の送信が行われた時刻を0msとする。超音波センサ21は、1回目の超音波Us1の送信が行われた時刻0msから30ms経過後の時刻30msにおいて2回目の超音波Us2の送信を行う(ステップS12)。具体例では、ノイズの音圧レベルは、時刻3~18msの間及び時刻20~25msの間においてレベル閾値を超える。このため、検出部32に出力されるデジタル信号は、時刻3msにおいてLowレベルからHighレベルになり、時刻18msにおいてHighレベルからLowレベルになる。また、検出部32に出力されるデジタル信号は、時刻20msにおいてLowレベルからHighレベルになり、時刻25msにおいてHighレベルからLowレベルになる。よって、超音波センサ21は、時刻3~18msの間に受信波としての第1超音波Ur1を受信し、時刻20~25msの間に受信波としての第2超音波Ur2と受信したといえる。
【0057】
超音波センサ21が判定時間t内に第1超音波Ur1及び第2超音波Ur2を受信したことにより(ステップS13でYES)、取得部33は、第1超音波Ur1の受信時間T1:15msと、第2超音波Ur2の受信時間T2:5msとを取得する(ステップS14)。
【0058】
判定部34は、第1超音波Ur1の受信時間T1と時間用閾値Tthとを比較するとともに、第2超音波Ur2の受信時間T2と時間用閾値Tthとを比較する。具体例では、時間用閾値Tthは、14msに設定されている。第2超音波Ur2の受信時間T2は時間用閾値Tth以下である。一方、第1超音波Ur1の受信時間T1は時間用閾値Tthよりも長い(ステップS15でNO)。よって、判定部34は、受信波がノイズであると判定する(ステップS16)。
【0059】
本実施形態の作用について説明する。
取得部33は、判定時間t内における受信時間Tと、判定時間t内における受信回数Nとを取得する。判定時間t内における受信時間Tは、受信波が物体により反射した反射波である場合とノイズである場合とで異なる。また、判定時間t内における受信回数Nは、受信波が物体により反射した反射波である場合とノイズである場合とで異なる。このため、判定部34は、判定時間t内における受信時間T及び判定時間t内における受信回数Nに基づいて、受信波がノイズであるか否かを判定することができる。
【0060】
第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)取得部33は、判定時間t内における超音波の受信時間Tと、判定時間t内における超音波の受信回数Nとを取得する。判定時間t内における超音波の受信時間Tは、受信波が反射波である場合とノイズである場合とで異なる。また、判定時間t内における超音波の受信回数Nは、受信波が反射波である場合とノイズである場合とで異なる。よって、判定部34は、判定時間t内における受信時間T及び受信回数Nに基づいて、受信波がノイズであるか否かを判定することができる。この場合、複数の周波数を含む超音波を送信したり、送信した超音波の周波数と受信した超音波の周波数とを比較したりする必要が無いため、物体検出装置20の構成を簡素化できる。
【0061】
(1-2)判定時間t内における受信時間T及び判定時間t内における受信回数Nは、ノイズの音圧レベルに対応する。ノイズの音圧レベルがレベル閾値よりも十分高いことが想定される場合、超音波センサ21がノイズを受信したときの受信時間Tは、超音波センサ21が反射波を受信したときの受信時間Tと比較して長くなる。このため、受信時間Tによって受信波がノイズであるか否かを判定するのが効果的である。ノイズの音圧レベルがレベル閾値付近にあることが想定される場合、超音波センサ21がノイズを受信したときの受信回数Nは、超音波センサ21が反射波を受信したときの受信回数Nと比較して多くなる。このため、受信回数Nによって受信波がノイズであるか否かを判定するのが効果的である。ノイズの音圧レベルがレベル閾値よりも高いことが想定される場合、超音波センサ21が反射波を受信したときの判定時間tに対する総受信時間Tsの割合Rは、超音波センサ21が反射波を受信したときの割合Rと比較して高くなる。このため、割合Rによって受信波がノイズであるか否かを判定するのが効果的である。
【0062】
判定部34は、受信時間Tが時間用閾値Tthよりも長い場合、受信回数Nが回数用閾値Nthよりも多い場合、及び判定時間tに対する総受信時間Tsの割合Rが割合用閾値Rthよりも高い場合の何れか1つに該当する場合に、受信波がノイズであると判定する。よって、判定部34は、各種ノイズに対応できる。
【0063】
(1-3)判定時間tは、超音波センサ21による超音波の送信間隔に設定されているため、検出部32による判定時間tの把握が容易である。
(1-4)判定部34は、判定時間t内における受信時間T及び判定時間t内における受信回数Nに基づいて受信波がノイズであるか否かを判定する。この場合、超音波センサ21が超音波を送信し、判定時間tが経過すれば、受信波がノイズであるか否かの判定が自動的に開始される。このため、判定時間t内において、デジタル信号がLowレベルからHighレベルになる、もしくはHighレベルからLowレベルになることが無くても、受信波がノイズであるか否かの判定が開始される。よって、受信波がノイズであるか否かを判定するのに要する時間を短縮できる。
【0064】
(第2実施形態)
以下、第2実施形を第1実施形態との相違点を中心に説明する。
第2実施形態では、図3に示す取得部33は、超音波センサ21が超音波を受信する毎に受信時間Tを取得する。また、取得部33は、超音波センサ21が超音波を受信する毎に受信回数Nをカウントする。判定部34は、取得部33が受信時間Tを取得する毎に受信時間Tと時間用閾値Tthとを比較する。また、判定部34は、取得部33が受信回数Nをカウントする毎に受信回数Nと回数用閾値Nthとを比較する。
【0065】
次に、第2実施形態の物体検出方法について説明する。
図7に示すように、超音波センサ21は、n回目の超音波の送信を行う(ステップS31)。超音波センサ21が超音波を受信した場合(ステップS32でYES)、取得部33は、受信時間Tを取得する(ステップS33)。取得部33は、取得した受信時間Tを判定部34に出力する。なお、超音波センサ21が判定時間t内に超音波を受信しなかった場合(ステップS32でNO)、フローを終了する。
【0066】
判定部34は、取得部33から受信時間Tが入力されると、受信時間Tと時間用閾値Tthとを比較し、その比較結果から受信波がノイズであるか否かを判定する。受信時間Tが時間用閾値Tth以下でない場合(ステップS34でNO)、すなわち受信時間Tが時間用閾値Tthよりも長い場合、判定部34は、受信波がノイズであると判定する(ステップS35)。受信時間Tが時間用閾値Tth以下である場合(ステップS34でYES)、取得部33は、判定時間t内における超音波の受信回数Nをカウントする(ステップS36)。取得部33は、カウントした受信回数Nを判定部34に出力する。
【0067】
判定部34は、取得部33から受信回数Nが入力されると、受信回数Nと回数用閾値Nthとを比較する。受信回数Nが回数用閾値Nth以下でない場合(ステップS37でNO)、すなわち受信回数Nが回数用閾値Nthよりも多い場合、判定部34は、受信波がノイズであると判定する(ステップS35)。受信回数Nが回数用閾値Nth以下である場合(ステップS37でYES)には、ステップS38に移行する。ステップS38では、超音波センサ21が判定時間t内において複数回超音波を受信したか否かを判定する。すなわち、ステップS38では、超音波センサ21がn+1回目の超音波の送信を行う前に、超音波センサ21が超音波を再度受信した否かを判定する。
【0068】
超音波センサ21がn+1回目の超音波の送信を行う前に超音波を再度受信した場合(ステップS38でYES)、ステップS33に戻る。一方、超音波センサ21がn+1回目の超音波の送信を行う前に超音波を再度受信しなかった場合(ステップS38でNO)、取得部33は、割合Rを算出する(ステップS39)。取得部33は、算出した割合Rを判定部34に出力する。
【0069】
判定部34は、取得部33から割合Rが入力されると、割合Rと割合用閾値Rthとを比較する。割合Rが割合用閾値Rth以下でない場合(ステップS40でNO)、すなわち割合Rが割合用閾値Rthよりも高い場合、判定部34は、受信波がノイズであると判定する(ステップS35)。割合Rが割合用閾値Rth以下である場合(ステップS40でYES)、判定部34は、受信波がノイズでないと判定し(ステップS41)、検出部32は、フォークリフト10の後方の物体を検出する(ステップS42)。
【0070】
次に、本実施形態の物体検出方法を用いた具体例を説明する。なお、具体例は、第1実施形態で用いた具体例と同じである。
図6に示すように、超音波センサ21は、1回目の超音波Us1の送信を行う(ステップS31)。超音波センサ21は、時刻3~18msにおいて第1超音波Ur1を受信する(ステップS32でYES)。取得部33は、第1超音波Ur1に対応するデジタル信号がHighレベルからLowレベルになった時点で、第1超音波Ur1の受信時間T1:15msを取得する(ステップS33)。取得部33は、取得した第1超音波Ur1の受信時間T1を判定部34に出力する。
【0071】
判定部34は、取得部33から第1超音波Ur1の受信時間T1が入力されると、第1超音波Ur1の受信時間T1と時間用閾値Tthとを比較する。時間用閾値Tthは、14msに設定されている。具体例における第1超音波Ur1の受信時間T1は時間用閾値Tthよりも長い、すなわち時間用閾値Tth以下でないため(ステップS34でNO)、取得部33は、受信波がノイズであると判定する(ステップS35)。
【0072】
第2実施形態の作用について説明する。
判定時間tに対する総受信時間Tsの割合Rは、超音波センサ21が超音波を送信した時刻から判定時間tが経過して初めて取得される値である。これに対し、受信時間Tは、超音波センサ21が超音波を送信した時刻から判定時間tが経過する間にも取得可能な値である。また、受信回数Nは、超音波センサ21が超音波を送信した時刻から判定時間tが経過するまでの間にもカウント可能な値である。
【0073】
取得部33は、超音波センサ21が超音波を受信する毎に受信時間Tを取得する。判定部34は、取得部33が受信時間Tを取得する毎に受信時間Tと時間用閾値Tthとを比較する。判定部34は、判定時間tが経過する前であっても、時間用閾値Tthよりも長い受信時間Tが取得された時点で、受信波がノイズであると判定する。
【0074】
また、取得部33は、超音波センサ21が超音波を受信する毎に受信回数Nをカウントする。判定部34は、取得部33が受信回数Nをカウントする毎に受信回数Nと回数用閾値Nthとを比較する。判定部34は、判定時間tが経過する前であっても、受信回数Nが回数用閾値Nthよりも多くなった時点で、受信波がノイズであると判定する。
【0075】
第2実施形態の効果について説明する。第2実施形態では、第1実施形態の効果(1-1)~(1-4)に加えて、以下の効果を得ることができる。
(2-1)取得部33は、超音波センサ21が超音波を受信する毎に受信時間Tを取得し、判定部34は、取得部33が受信時間Tを取得する毎に受信時間Tと時間用閾値Tthとを比較する。これにより、判定時間tが経過する前であっても、時間用閾値Tthよりも長い受信時間Tが取得された時点で、判定部34は、受信波がノイズであると判定できる。また、取得部33は、超音波センサ21が超音波を受信する毎に受信回数Nをカウントし、判定部34は、取得部33が受信回数Nをカウントする毎に受信回数Nと回数用閾値Nthとを比較する。これにより、判定時間tが経過する前であっても、受信回数Nが回数用閾値Nthよりも多くなった時点で、判定部34は、受信波がノイズであると判定できる。よって、受信波がノイズであると判定するのに要する時間を短縮できる。
【0076】
第1実施形態及び第2実施形態は、以下のように変更して実施することができる。第1実施形態、第2実施形態、及び変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0077】
○ 物体検出装置20が備える超音波センサ21の数は、2以上でもよい。物体検出装置20が複数の超音波センサ21を備える場合、複数の超音波センサ21が並べられる方向は適宜選択してよい。また、物体検出装置20が複数の超音波センサ21を備える場合、複数の超音波センサ21は、同時に超音波を送信してもよいし、個別に超音波を送信してもよい。
【0078】
○ 超音波センサ21は、カウンタウェイト13に形成された穴に超音波センサ21を挿入することでカウンタウェイト13に取り付けられていてもよいし、ブラケット等を介してカウンタウェイト13にネジ留めによって取り付けられていてもよい。
【0079】
○ 超音波センサ21は、フォークリフト10が備えるピラーやサイドフレーム等に取り付けられていてもよい。
○ 超音波センサ21は、送信用の圧電振動子22と受信用の圧電振動子22とを備える超音波センサであってもよい。この場合、超音波センサ21が超音波を送信している間も反射波を受信できる。
【0080】
○ 物体検出装置20は、フォークリフト10の前方や、フォークリフト10の側方に存在する物体を検出するものでもよい。この場合、物体を検出したい方向に超音波が送信されるように超音波センサをフォークリフト10に取り付ければよい。なお、物体検出装置20としては、前方、後方、及び側方の何れかの方向の物体を検出するものであってもよいし、複数の方向の物体を検出するものであってもよい。
【0081】
○ 超音波センサ21が超音波Usを送信した時刻の定義は、受信時間Tや受信回数Nの取得に影響しない範囲で適宜変更してよい。例えば、超音波センサ21が超音波Usを送信し終えることにより、デジタル信号がHighレベルからLowレベルになった時刻を、超音波センサ21が超音波Usを送信した時刻としてもよい。
【0082】
○ 判定時間tは、超音波センサ21による超音波の送信間隔と一致していなくてもよい。判定時間tは、超音波センサ21が超音波を送信した時刻を起点として予め定められた時間であれば、判定時間tの長さは適宜変更されてよい。
【0083】
○ 受信波がノイズであるか否かを判定するために判定部34が用いる判定値の数は、受信時間T、受信回数N、及び割合Rの3つに限定されず、想定されるノイズに応じて適宜変更してよい。
【0084】
例えば、判定部34は、受信時間T、受信回数N、及び割合Rのうちの1つを判定値として用いることで、受信波がノイズであるか否かを判定してもよい。
例えば、判定部34は、受信時間T、受信回数N、及び割合Rのうちの2つを判定値として用いることで、受信波がノイズであるか否かを判定してもよい。
【0085】
○ 取得部33が判定時間t内における受信回数Nを取得するタイミングは、判定部34が受信回数Nと回数用閾値Nthとを比較する直前でなくてもよい。同様に、取得部33が判定時間tに対する総受信時間Tsの割合Rを算出するタイミングは、判定部34が割合Rと割合用閾値Rthとを比較する直前でなくてもよい。
【0086】
例えば、第1実施形態では、取得部33は、ステップS14で受信時間Tに加えて受信回数Nを取得するとともに割合Rを算出してもよい。
○ 判定部34が複数の判定値を用いて受信波がノイズか否かを判定する場合、判定値を用いる順番は適宜変更してもよい。
【0087】
例えば、第1実施形態において、判定部34は、まず、判定時間tに対する総受信時間Tsの割合Rと割合用閾値Rthとを比較し、割合Rが割合用閾値Rth以下である場合に、判定時間tにおける受信回数Nと回数用閾値Nthとを比較し、更に、受信回数Nが回数用閾値Nth以下である場合に、受信時間Tと時間用閾値Tthとを比較してもよい。
【0088】
例えば、第2実施形態において、判定部34は、まず、判定時間tにおける受信回数Nと回数用閾値Nthとを比較し、受信回数Nが回数用閾値Nth以下である場合に、受信時間Tと時間用閾値Tthとを比較してもよい。
【0089】
○ 判定部34が複数の判定値を用いて受信波がノイズであるか否かを判定する場合、判定条件は適宜変更してもよい。例えば、判定部34は、受信時間Tが時間用閾値Tthより長く、かつ受信回数Nが回数用閾値Nthよりも多いときに、受信波がノイズであると判定するようにしてもよい。
【0090】
○ 受信波がノイズであるか否かを判定するのに用いられる判定値の設定方法は、判定時間t内における超音波の受信時間T、及び判定時間t内における超音波の受信回数Nの少なくとも一方に基づいて設定されるのであれば、適宜変更してよい。
【0091】
図示しないが、例えば、物体検出装置20は、フォークリフト10の左右方向の一列に並べられた3つの超音波センサ21を備えるとする。フォークリフト10の左右方向において、中央に位置する超音波センサ21を第1超音波センサとし、左側に位置する超音波センサ21を第2超音波センサとし、右側に位置する超音波センサ21を第3超音波センサとする。
【0092】
例えば、図8に示すように、第1~第3超音波センサは、所定の送信間隔で同時に超音波Usを送信する。このとき、同一の判定時間t内において、第1超音波センサが超音波Uaを受信し、第2超音波センサが超音波Ubを受信したものとする。この場合、取得部33は、第1超音波センサによる超音波の受信時間Taと、第2超音波センサによる超音波の受信時間Tbとを取得する。判定部34は、2つの超音波センサ21による超音波の受信時間の平均Tave=(Ta+Tb)/2を算出する、判定部34は、受信時間の平均Taveと時間用閾値Tthとを比較し、受信時間の平均Taveが時間用閾値Tthよりも長い場合に、受信波がノイズであると判定する。
【0093】
なお、判定部34は、例えば、第1超音波センサによる超音波の受信時間Taにαの重み付けをし、第2超音波センサによる超音波の受信時間Tbにβの重み付けをした上で平均値を算出してもよい。
【0094】
○ 受信波がノイズであるか否かを判定するのに用いられる判定値の設定方法は、判定時間t内における超音波の受信時間T、及び判定時間t内における超音波の受信回数Nの少なくとも一方に基づいて設定されるのであれば、適宜変更してよい。
【0095】
例えば、判定部34は、判定時間t内における超音波の受信時間Tのうち、最も長い受信時間である最長受信時間Tmaxと、時間用閾値Tthとの比較結果に基づいて、受信波がノイズであるか否かを判定してもよい。この場合、判定部34は、受信時間Tと時間用閾値Tthとを1回比較するだけで、受信波がノイズであるか否かを判定できる。
【0096】
○ 判定部34が受信波をノイズである又はノイズでないと判定した後の物体検出装置20の動作は適宜変更してよい。
例えば、物体検出装置20は、物体検出装置20の運転開始時には待機モードに設定されており、受信波がノイズでないと判定された場合に待機モードから検出モードに切り替わり、フォークリフト10から物体までの距離を算出するものでもよい。
【0097】
○ ノイズは、音に限定されない。例えば、電気や振動など、圧電振動子を作動させ得るものはノイズになり得る。
○ 超音波センサ21では、超音波を受信し終えた後にも圧電振動子22が振動し続ける、いわゆる残響振動が生じることがある。圧電振動子22が残響振動した場合の受信時間Tは、圧電振動子22が残響振動していない場合の受信時間Tと比較して長くなることがある。このため、残響振動の影響を考慮して、時間用閾値Tthや割合用閾値Rthを設定してもよい。
【0098】
○ 超音波センサ21では、送信指令部31が超音波センサ21への送信信号の出力を停止した後にも圧電振動子22が振動し続ける、いわゆる残響振動が生じることがある。圧電振動子22が残響振動した場合、デジタル信号がHighレベルからLowレベルになるタイミングは、圧電振動子22が残響振動していない場合と比較して遅れることがある。このため、超音波Usを送信し終える時刻を、超音波センサ21が超音波Usを送信した時刻とする場合、取得部33は、送信指令部31が超音波センサ21への送信信号の出力を停止した時刻を、超音波Usを送信し終える時刻として採用するのが好ましい。
【0099】
○ 取得部33は、次のように受信時間Tを取得してもよい。
図9に示すように、取得部33は、送信指令部31から超音波Usの送信時間Tuを取得する。超音波Usの送信時間Tuとは、送信指令部31が超音波センサ21に送信信号を出力し始めた時刻から、送信指令部31が超音波センサ21への送信信号の出力を停止する時刻まで時間である。また、取得部33は、超音波センサ21から振動時間Tvを取得する。振動時間Tvとは、デジタル信号がLowレベルからHighレベルになった時刻から、デジタル信号がHighレベルからLowレベルになった時刻までの時間である。
【0100】
取得部33は、送信指令部31が超音波センサ21に送信信号を出力し始めた時刻と、デジタル信号がLowレベルからHighレベルになった時刻とが一致しており、かつ振動時間Tvが超音波Usの送信時間Tuよりも長い場合には、振動時間Tvから送信時間Tuを減算した時間であるTv-Tuを受信時間Tとする。
【0101】
この場合、超音波センサ21による超音波の送信と受信とが連続して行われることにより、デジタル信号のレベルでは、送信した超音波Usと受信した超音波Urとの区別が困難な状況においても、受信時間Tを正確に取得できる。
【0102】
○ 制御ECU30は、メインコントローラ17と一体でもよい。
○ フォークリフト10は、自動で運転が行われるフォークリフトであってもよい。
○ 物体検出装置20は、乗用車、トーイングトラクタ等の産業車両、自律移動するロボット等、物体の検出を要する他の移動体に搭載されていてもよい。
【符号の説明】
【0103】
20…物体検出装置、21…超音波センサ、32…検出部、33…取得部、34…判定部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9