(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】フォークリフト
(51)【国際特許分類】
B66F 9/12 20060101AFI20230308BHJP
【FI】
B66F9/12 S
(21)【出願番号】P 2019205395
(22)【出願日】2019-11-13
【審査請求日】2022-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】石田 大樹
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-272787(JP,A)
【文献】特開昭58-212595(JP,A)
【文献】実開平03-074594(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00 - 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に設けられた運転席と、
前記車体における前記運転席よりも前部に立設されたマストと、
前記マストによって昇降可能に支持されるリフトブラケットと、
前記リフトブラケットに装備されるフォークと、
前記運転席よりも前方に配置されるバックレストと、を備えたフォークリフトであって、
前記フォークにおける荷の積載状況に応じて作動する作動部と、
前記作動部の作動と連動して駆動するとともに、前記フォークに前記荷が積載されているときには、前記バックレストが前記フォークに対して上昇した状態となり、前記フォークに前記荷が積載されていないときには、前記バックレストが前記フォークに対して上昇する前の元の位置に復帰した状態となるように、前記バックレストを前記フォークに対して昇降可能とするバックレスト昇降装置と、を備えたことを特徴とするフォークリフト。
【請求項2】
前記フォークは、前記リフトブラケットに取り付けられるとともに上下方向に延びる板状の取付部と、前記取付部から前記車体の前後方向の前方へ延びるとともに前記荷を積載する板状の積載部と、を有し、
前記バックレスト昇降装置は、
前記積載部の側面に回転可能に支持された第1回転部材と、
前記取付部の側面における前記積載部とは反対側の端部に回転可能に支持された第2回転部材と、
前記取付部の側面における前記積載部側の端部に回転可能に支持された第3回転部材と、
前記第1回転部材、前記第2回転部材、及び前記第3回転部材に掛装されるとともに前記バックレストを前記取付部に対して昇降させる掛装部材と、を少なくとも有し、
前記作動部は、前記掛装部材に一体的に設けられるとともに前記積載部に対してスライド移動可能な移動体であり、
前記積載部に積載される前記荷によって前記移動体が前記積載部に対して前記取付部に接近する方向へ押し込まれることにより前記第1回転部材、前記第2回転部材、及び前記第3回転部材を介して前記掛装部材が駆動して、前記バックレストの自重に抗して前記バックレストが前記取付部に対して上昇し、前記積載部から前記荷が降ろされることで前記バックレストの自重により前記第1回転部材、前記第2回転部材、及び前記第3回転部材を介して前記掛装部材が駆動して、前記バックレストが前記取付部に対して上昇する前の元の位置まで下降し、前記移動体が前記積載部に対して前記取付部から離間する方向へ移動して、前記荷によって前記取付部に接近する方向へ押し込まれる前の元の位置に復帰することを特徴とする請求項1に記載のフォークリフト。
【請求項3】
前記第3回転部材は、第1回転体及び第2回転体を有し、
前記掛装部材は、前記移動体と一体的に設けられるとともに前記第1回転部材及び前記第1回転体に掛装された第1掛装体と、前記バックレストに連結されるとともに前記第2回転部材及び前記第2回転体に掛装された第2掛装体と、を含むことを特徴とする請求項2に記載のフォークリフト。
【請求項4】
前記第1回転部材は、第1スプロケットであり、
前記第2回転部材は、第2スプロケットであり、
前記第3回転部材は、前記第1回転体としての第1ギア、及び前記第2回転体としての第2ギアを有する第3スプロケットであり、
前記第1掛装体は、前記第1スプロケット及び前記第1ギアに掛装された第1チェーンであり、
前記第2掛装体は、前記第2スプロケット及び前記第2ギアに掛装された第2チェーンであることを特徴とする請求項3に記載のフォークリフト。
【請求項5】
前記第1ギアの歯数は、前記第2ギアの歯数よりも多いことを特徴とする請求項4に記載のフォークリフト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォークリフトに関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフトは、車体に設けられた運転席と、車体における運転席よりも前部に立設されたマストと、マストによって昇降可能に支持されるリフトブラケットと、リフトブラケットに装備されるフォークと、運転席よりも前方に配置されるバックレストと、を備えている。一般的に、バックレストは、ボルト等の締結具によってリフトブラケットに固定されている。バックレストは、フォークに荷が積載されているときには、フォークに積載されている荷を運転席側から支えることが可能となっており、荷が運転席側へ崩れ落ちてくることを防止する機能を果たしている。バックレストは桟の構造となっており、運転席からのバックレスト越しの前方視野は十分なものを確保しているが、さらに前方視野を広げたいという要望がある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1のフォークリフトのバックレストは、リフトブラケット(キャリッジ)の上部に設けられたバックレスト本体と、バックレスト本体に対して昇降可能に設けられたバックレスト副体と、から構成されている。バックレスト副体は、ボルト等の締結具によってバックレスト本体に着脱可能に取り付けられている。バックレスト副体は、締結具を緩めると、バックレスト副体におけるバックレスト本体に対する固定が解除されて、バックレスト本体に対して昇降可能となり、締結具を締め付けると、バックレスト副体がバックレスト本体に固定されて、バックレスト本体に対して昇降不能となる。
【0004】
そして、例えば、フォークに荷が積載されているときには、締結具を緩めて、バックレスト副体をバックレスト本体に対して上昇させるとともに、締結具を締め付けてバックレスト副体をバックレスト本体に対して上昇した位置に固定する。これにより、フォークに積載されている荷をバックレストによって運転席側から安定的に支えることが可能となり、フォークに積載されている荷が運転席側へ崩れ落ちてくることをバックレストによって防止することができる。
【0005】
一方で、例えば、フォークに荷が積載されていないときには、締結具を緩めて、バックレスト副体をバックレスト本体に対して上昇させる前の元の位置まで下降させるとともに、締結具を締め付けてバックレスト副体をバックレスト本体に対して上昇させる前の元の位置に固定する。これによれば、バックレスト副体がバックレスト本体に対して上昇したままである場合に比べると、フォークに荷が積載されていないときには、バックレストが運転席からの作業者の視野に入り込み難くなり、運転席からの作業者の前方視野が確保され、作業性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、特許文献1では、バックレスト副体をバックレスト本体に対して昇降させることにより、フォークに荷が積載されているときには、フォークに積載されている荷をバックレストによって運転席側から安定的に支えることを可能とし、且つフォークに荷が積載されていないときには、運転席からの作業者の前方視野が確保されている。しかしながら、特許文献1では、バックレスト副体におけるバックレスト本体に対する昇降を、作業者が手動で行う必要があるため、作業性が悪い。
【0008】
本発明の目的は、作業性が悪化することなく、フォークに荷が積載されているときには、フォークに積載されている荷をバックレストによって運転席側から安定的に支えることを可能とし、且つフォークに荷が積載されていないときには、運転席からの作業者の前方視野を容易に確保できるフォークリフトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するフォークリフトは、車体に設けられた運転席と、前記車体における前記運転席よりも前部に立設されたマストと、前記マストによって昇降可能に支持されるリフトブラケットと、前記リフトブラケットに装備されるフォークと、前記運転席よりも前方に配置されるバックレストと、を備えたフォークリフトであって、前記フォークにおける荷の積載状況に応じて作動する作動部と、前記作動部の作動と連動して駆動するとともに、前記フォークに前記荷が積載されているときには、前記バックレストが前記フォークに対して上昇した状態となり、前記フォークに前記荷が積載されていないときには、前記バックレストが前記フォークに対して上昇する前の元の位置に復帰した状態となるように、前記バックレストを前記フォークに対して昇降可能とするバックレスト昇降装置と、を備えた。
【0010】
これによれば、フォークにおける荷の積載状況に応じて作動する作動部の作動と連動してバックレスト昇降装置が駆動することにより、バックレストがフォークに対して昇降するため、従来技術のように、作業者が手動でバックレストを昇降させる必要が無い。そして、バックレスト昇降装置は、フォークに荷が積載されているときには、バックレストがフォークに対して上昇した状態となるように駆動し、フォークに荷が積載されていないときには、バックレストがフォークに対して上昇する前の元の位置に復帰した状態となるように駆動する。したがって、作業性が悪化することなく、フォークに荷が積載されているときには、フォークに積載されている荷をバックレストによって運転席側から安定的に支えることを可能とし、且つフォークに荷が積載されていないときには運転席からの作業者の前方視野を容易に確保できる。
【0011】
上記フォークリフトにおいて、前記フォークは、前記リフトブラケットに取り付けられるとともに上下方向に延びる板状の取付部と、前記取付部から前記車体の前後方向の前方へ延びるとともに前記荷を積載する板状の積載部と、を有し、前記バックレスト昇降装置は、前記積載部の側面に回転可能に支持された第1回転部材と、前記取付部の側面における前記積載部とは反対側の端部に回転可能に支持された第2回転部材と、前記取付部の側面における前記積載部側の端部に回転可能に支持された第3回転部材と、前記第1回転部材、前記第2回転部材、及び前記第3回転部材に掛装されるとともに前記バックレストを前記取付部に対して昇降させる掛装部材と、を少なくとも有し、前記作動部は、前記掛装部材に一体的に設けられるとともに前記積載部に対してスライド移動可能な移動体であり、前記積載部に積載される前記荷によって前記移動体が前記積載部に対して前記取付部に接近する方向へ押し込まれることにより前記第1回転部材、前記第2回転部材、及び前記第3回転部材を介して前記掛装部材が駆動して、前記バックレストの自重に抗して前記バックレストが前記取付部に対して上昇し、前記積載部から前記荷が降ろされることで前記バックレストの自重により前記第1回転部材、前記第2回転部材、及び前記第3回転部材を介して前記掛装部材が駆動して、前記バックレストが前記取付部に対して上昇する前の元の位置まで下降し、前記移動体が前記積載部に対して前記取付部から離間する方向へ移動して、前記荷によって前記取付部に接近する方向へ押し込まれる前の元の位置に復帰するとよい。
【0012】
これによれば、移動体、第1回転部材、第2回転部材、第3回転部材、及び掛装部材を少なくとも用いた機械的な構成を採用することにより、バックレストを昇降させることができる。したがって、例えば、フォークにおける荷の積載状況に応じて作動するセンサを作動部として用いるとともに、制御装置がセンサの作動に基づいてバックレスト昇降装置の駆動を制御するような電気的な構成を採用する場合のように、制御装置に複雑な制御プログラムを予め記憶させておく必要が無い。よって、構成が複雑化すること無く、バックレストを昇降させることができる。
【0013】
上記フォークリフトにおいて、前記第3回転部材は、第1回転体及び第2回転体を有し、前記掛装部材は、前記移動体と一体的に設けられるとともに前記第1回転部材及び前記第1回転体に掛装された第1掛装体と、前記バックレストに連結されるとともに前記第2回転部材及び前記第2回転体に掛装された第2掛装体と、を含むとよい。
【0014】
これによれば、例えば、第3回転部材が第1回転体及び第2回転体を有しておらず、1つの掛装部材が第1回転部材、第2回転部材、及び第3回転部材に掛装された構成のバックレスト昇降装置に比べると、第1回転部材、第2回転部材、及び第3回転部材を介した掛装部材の動作が安定し易い。したがって、バックレスト昇降装置におけるバックレストの昇降動作の信頼性を向上させることができる。
【0015】
上記フォークリフトにおいて、前記第1回転部材は、第1スプロケットであり、前記第2回転部材は、第2スプロケットであり、前記第3回転部材は、前記第1回転体としての第1ギア、及び前記第2回転体としての第2ギアを有する第3スプロケットであり、前記第1掛装体は、前記第1スプロケット及び前記第1ギアに掛装された第1チェーンであり、前記第2掛装体は、前記第2スプロケット及び前記第2ギアに掛装された第2チェーンであるとよい。
【0016】
これによれば、例えば、第3スプロケットにおいて、第1ギアの歯数及び第2ギアの歯数を調整して第1ギアと第2ギアとのギア比を調整することにより、バックレストにおけるフォークに対する昇降ストローク、及び移動体における積載部に対する移動ストロークをそれぞれ自在に調整することができる。
【0017】
上記フォークリフトにおいて、前記第1ギアの歯数は、前記第2ギアの歯数よりも多いとよい。
これによれば、移動体における積載部に対する移動ストロークを、バックレストにおけるフォークに対する昇降ストロークよりも短くすることができる。したがって、移動体を、積載部における取付部とは反対側の端部、すなわち、フォークの先端部から極力遠ざけることができるため、フォークによって荷を掬う際に、移動体が邪魔になってしまうことを回避することができ、作業性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、作業性が悪化することなく、フォークに荷が積載されているときには、フォークに積載されている荷をバックレストによって運転席側から安定的に支えることを可能とし、且つフォークに荷が積載されていないときには、運転席からの作業者の前方視野を容易に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態におけるフォークリフトを示す概略側面図。
【
図6】移動体と第1チェーンとの連結箇所を拡大して示す斜視図。
【
図7】バックレストと第2チェーンとの連結箇所を拡大して示す斜視図。
【
図8】フォークに荷が積載されていない状態を示す模式図。
【
図9】荷によって移動体が移動している状態を示す模式図。
【
図10】フォークに荷が積載された状態を示す模式図。
【
図11】バックレストがフォークに対して上昇した状態を示す斜視図。
【
図12】別の実施形態におけるバックレスト昇降装置を説明するための模式図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、フォークリフトを具体化した一実施形態を
図1~
図11にしたがって説明する。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」は、フォークリフトを運転する作業者が車両前方を向いた状態を基準とした場合の「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、「下」を示すものとする。
【0021】
図1に示すように、フォークリフト10は、車体11の前下部に配置された駆動輪12と、車体11の後下部に配置された操舵輪13と、を備えている。フォークリフト10は、車体11の前部に、荷役装置14を備えている。荷役装置14は、車体11の前部に立設されたマスト15と、マスト15に固定されたリフトブラケット16と、リフトブラケット16に装備される一対のフォーク17と、を備えている。フォーク17には、荷W1が積載される。
【0022】
荷役装置14は、リフトブラケット16を昇降動作させるリフトシリンダ18を備えている。そして、リフトシリンダ18の動作によって、リフトブラケット16と共にフォーク17が昇降動作する。マスト15は、リフトブラケット16を昇降可能に支持する。したがって、リフトブラケット16は、マスト15によって昇降可能に支持されている。また、荷役装置14は、マスト15を傾動させるティルトシリンダ19を備えている。そして、ティルトシリンダ19の駆動によって、マスト15と共にフォーク17が傾動する。リフトシリンダ18及びティルトシリンダ19は油圧シリンダである。
【0023】
車体11には、運転室20が設けられている。運転室20には、作業者が着座する運転席21が設けられている。したがって、運転席21は、車体11に設けられている。運転席21は、マスト15の後方に位置している。したがって、マスト15は、車体11における運転席21よりも前部に立設されている。また、運転室20には、荷役装置14の昇降動作や傾動動作など各種の動作を行うための複数の荷役レバー22と、フォークリフト10を操舵するためのハンドル23と、フォークリフト10の進行方向を指示するディレクションレバー24と、が設けられている。さらに、運転室20の床面には、アクセルペダル25が設けられている。
【0024】
フォークリフト10は、駆動輪12を駆動させる走行用モータM1と、バッテリB1と、を備えている。そして、フォークリフト10は、アクセルペダル25のアクセル開度に応じた走行用モータM1の駆動の制御が行われることにより、アクセルペダル25のアクセル開度に応じた車速で走行する。したがって、本実施形態のフォークリフト10は、バッテリB1から走行用モータM1へ電力が供給されることにより走行用モータM1が駆動され、走行用モータM1の駆動によって駆動輪12が回転駆動されることで走行するバッテリ式である。
【0025】
図2に示すように、リフトブラケット16は、長四角枠状である。リフトブラケット16は、アッパフィンガバー16a及びロアフィンガバー16bと、一対のサイドバー16c,16dと、を有している。アッパフィンガバー16a及びロアフィンガバー16bは、上下方向で対向配置されるとともに車体11の車幅方向にそれぞれ延びる細長平板状である。なお、車体11の車幅方向は、左右方向に一致している。アッパフィンガバー16aとロアフィンガバー16bとは互いに平行に延びている。アッパフィンガバー16aにおける延設方向の長さとロアフィンガバー16bにおける延設方向の長さとは同じである。アッパフィンガバー16aの厚み方向、及びロアフィンガバー16bの厚み方向は、車体11の前後方向に一致している。
【0026】
一対のサイドバー16c,16dは、アッパフィンガバー16aの延設方向の両端部及びロアフィンガバー16bの延設方向の両端部同士をそれぞれ連結する細長四角柱状である。一対のサイドバー16c,16dは上下方向にそれぞれ延びている。一対のサイドバー16c,16dは、互いに平行に延びている。一対のサイドバー16c,16dそれぞれの延設方向の長さは同じである。一対のサイドバー16c,16dそれぞれの延設方向の長さは、アッパフィンガバー16a及びロアフィンガバー16bそれぞれの延設方向の長さよりも短い。したがって、リフトブラケット16は、アッパフィンガバー16a及びロアフィンガバー16bの延設方向が長手方向であり、一対のサイドバー16c,16dの延設方向が短手方向である。
【0027】
各フォーク17は、細長L字板状である。各フォーク17は、リフトブラケット16に取り付けられる細長平板状の取付部17aと、荷W1を積載する細長平板状の積載部17bと、を有している。取付部17aと積載部17bとは連続している。取付部17aの幅と積載部17bとの幅とは同じである。取付部17aは、取付部17aの厚み方向の一方の端面171aが前方に向くとともに、取付部17aの厚み方向の他方の端面172aが後方に向くようにリフトブラケット16に取り付けられている。よって、取付部17aの延設方向は、上下方向に一致している。したがって、取付部17aは上下方向に延びている。取付部17aは、リフトブラケット16よりも前方に配置されている。
【0028】
積載部17bは、取付部17aの端面171aにおける下端縁から取付部17aの延設方向に対して直交する方向に延びている。よって、積載部17bは、取付部17aから車体11の前後方向の前方へ延びている。積載部17bは、積載部17bの厚み方向の一方の端面171bが上方に向くとともに、積載部17bの厚み方向の他方の端面172bが下方に向くように配置されている。
【0029】
各フォーク17の取付部17aは、車体11の車幅方向で互いに対向する側面である第1側面173aをそれぞれ有している。また、各フォーク17の取付部17aは、車体11の車幅方向で第1側面173aとは反対側に位置する側面である第2側面174aをそれぞれ有している。
【0030】
各フォーク17の積載部17bは、車体11の車幅方向で互いに対向する側面である第1側面173bをそれぞれ有している。各取付部17aの第1側面173aと各積載部17bの第1側面173bとは連続するとともに同一面上に位置している。また、各フォーク17の積載部17bは、車体11の車幅方向で第1側面173bとは反対側に位置する側面である第2側面174bをそれぞれ有している。各取付部17aの第2側面174aと各積載部17bの第2側面174bとは連続するとともに同一面上に位置している。
【0031】
各取付部17aの第2側面174aには、案内軸27が取り付けられている。各案内軸27は、円筒状である。各案内軸27は、各案内軸27の軸線方向が各取付部17aの延設方向に一致するように各取付部17aの第2側面174aに取り付けられている。したがって、各案内軸27は、上下方向に延びている。各案内軸27は、例えば、各案内軸27の外周面の一部分と各取付部17aの第2側面174aとの間を溶接することにより、各取付部17aの第2側面174aに接合されている。
【0032】
フォークリフト10は、運転席21よりも前方に配置されるバックレスト26を備えている。バックレスト26は、長四角枠状である。バックレスト26は、上支持板26a及び下支持板26bと、一対の側支持板26c,26dと、を有している。上支持板26a及び下支持板26bは、上下方向で対向配置されるとともに車体11の車幅方向にそれぞれ延びる細長薄平板状である。上支持板26aと下支持板26bとは互いに平行に延びている。上支持板26aにおける延設方向の長さと下支持板26bにおける延設方向の長さとは同じである。上支持板26aの延設方向は、上支持板26aの長手方向である。下支持板26bの延設方向は、下支持板26bの長手方向である。上支持板26aの厚み方向は、車体11の前後方向に一致している。下支持板26bの厚み方向は、車体11の前後方向に対して斜行する方向である。下支持板26bは、下支持板26bの短手方向が、車体11の前後方向において前方から後方に向かうにつれて上方に向かう方向となるように傾斜する傾斜板である。
【0033】
一対の側支持板26c,26dは、上支持板26aの延設方向の両端部及び下支持板26bの延設方向の両端部同士をそれぞれ連結する細長薄板状である。一対の側支持板26c,26dは、断面視L字板状である。一対の側支持板26c,26dは上下方向にそれぞれ延びている。一対の側支持板26c,26dは、互いに平行に延びている。一対の側支持板26c,26dそれぞれの延設方向の長さは同じである。一対の側支持板26c,26dそれぞれの延設方向は、一対の側支持板26c,26dの長手方向である。
【0034】
一対の側支持板26c,26dは、取付板261c,261dと、支持板262c,262dと、をそれぞれ有している。各取付板261c,261d及び各支持板262c,262dは、細長薄平板状である。両取付板261c,261dは、両取付板261c,261dそれぞれの厚み方向が一致した状態で互いに平行に延びている。両取付板261c,261dそれぞれの厚み方向は、上支持板26a及び下支持板26bそれぞれの延設方向に一致している。両取付板261c,261dそれぞれの長手方向は、一対の側支持板26c,26dの延設方向に一致している。両取付板261c,261dそれぞれの長手方向の長さは同じである。
【0035】
両支持板262c,262dは、両支持板262c,262dそれぞれの厚み方向が車体11の前後方向に一致している。各支持板262c,262dは、各取付板261c,261dにおける短手方向で車体11の前後方向の前方に位置する長側縁から上支持板26a及び下支持板26bそれぞれの延設方向で互いに離間する方向へ延びている。両支持板262c,262dにおける車体11の前後方向の前方に位置する面は、上支持板26aにおける車体11の前後方向の前方に位置する面と同一面上に位置している。したがって、上支持板26aの延設方向の両端部は、各取付板261c,261dにおける短手方向で車体11の前後方向の前方に位置する長側縁に連結されている。また、下支持板26bの延設方向の両端部は、各取付板261c,261dにおける短手方向で車体11の前後方向の前方寄りの部位に連結されている。
【0036】
バックレスト26は、上支持板26aと下支持板26bとを接続する梁部26eを複数有している。各梁部26eは、細長薄平板状である。各梁部26eは、上支持板26a及び下支持板26bの延設方向において、一対の側支持板26c,26dの間に等間隔を置いて配列されている。各梁部26eの厚み方向は、上支持板26a及び下支持板26bの延設方向に一致している。各梁部26eの長手方向は、一対の側支持板26c,26dの長手方向に一致している。各梁部26eは、上支持板26a及び下支持板26bにおける延設方向での撓みを抑制する。
【0037】
複数の梁部26eのうち、上支持板26a及び下支持板26bの延設方向の両端部側に位置する各梁部26eには、各案内軸27に案内される案内部28がそれぞれ設けられている。
【0038】
図3及び
図4では、2つの案内部28のうちの一方の案内部28に関して詳細に説明する。なお、2つの案内部28のうちの他方の案内部28に関する説明は、2つの案内部28のうちの一方の案内部28に関する説明と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
【0039】
図3及び
図4に示すように、案内部28は、細長平板状の基部28aと、基部28aの両長側縁から立設される細長平板状の第1側部28b及び第2側部28cと、を有している。基部28a、第1側部28b及び第2側部28cそれぞれの長手方向は一致している。基部28a、第1側部28b及び第2側部28cそれぞれの長手方向は、各梁部26eの長手方向に一致している。第1側部28b及び第2側部28cは互いに平行に延びている。案内部28は、第1側部28b及び第2側部28cそれぞれにおける基部28aとは反対側の側縁が取付部17aの第2側面174aに接触した状態で配置されている。
【0040】
第1側部28bにおける第2側部28cと対向する面である内面281bと、第2側部28cにおける第1側部28bと対向する面である内面281cとの最短距離は、案内軸27の外径よりも僅かに長い。また、基部28aにおける取付部17aの第2側面174aと対向する面である内面281aと、取付部17aの第2側面174aとの最短距離は、案内軸27の外径よりも僅かに長い。そして、案内軸27は、基部28aの内面281a、第1側部28bの内面281b、第2側部28cの内面281c、及び取付部17aの第2側面174aによって区画される空間内を通過している。案内部28は、基部28aの内面281a、第1側部28bの内面281b、及び第2側部28cの内面281cが案内軸27の外周面に対して摺動しながら上下方向に移動可能になっている。
【0041】
案内部28は、例えば、第1側部28bの外面282bと梁部26eにおける車体11の前後方向の後部に位置する側縁との間を溶接することにより、梁部26eに接合されている。したがって、案内部28は、バックレスト26に取り付けられている。そして、バックレスト26は、一対のフォーク17の各取付部17aよりも前方に配置されている。したがって、バックレスト26は、運転席21よりも前方に配置されている。
【0042】
図2に示すように、フォークリフト10は、一対のバックレスト昇降装置30を備えている。一対のバックレスト昇降装置30は、バックレスト26をフォーク17に対して昇降可能とする。また、フォークリフト10は、各積載部17bに対してそれぞれスライド移動可能な移動体50を備えている。
【0043】
図5では、一対のバックレスト昇降装置30の一方のバックレスト昇降装置30に関して詳細に説明する。なお、一対のバックレスト昇降装置30のうちの他方のバックレスト昇降装置30に関する説明は、一対のバックレスト昇降装置30のうちの一方のバックレスト昇降装置30に関する説明と同じであるため、その詳細な説明を省略する。
【0044】
図5に示すように、バックレスト昇降装置30は、第1スプロケット31、第2スプロケット32、第3スプロケット33、第1チェーン34、及び第2チェーン35を有している。
【0045】
第1スプロケット31は、第1支持軸311を介して積載部17bの第1側面173bに回転可能に支持されている。したがって、積載部17bの第1側面173bは、第1回転部材としての第1スプロケット31が回転可能に支持された積載部17bの側面であり、本実施形態において、積載部17bの側面に回転可能に支持された第1回転部材は、第1スプロケット31である。第1スプロケット31は、積載部17bの第1側面173bにおいて、積載部17bの延設方向の中央部に配置されている。
【0046】
第2スプロケット32は、第2支持軸321を介して取付部17aの第1側面173aにおける積載部17bとは反対側の端部に回転可能に支持されている。したがって、取付部17aの第1側面173aは、第2回転部材としての第2スプロケット32が回転可能に支持された取付部17aの側面であり、本実施形態において、取付部17aの側面における積載部17bとは反対側の端部に回転可能に支持された第2回転部材は、第2スプロケット32である。
【0047】
第3スプロケット33は、第3支持軸331を介して取付部17aの第1側面173aにおける積載部17b側の端部に回転可能に支持されている。したがって、取付部17aの第1側面173aは、第3回転部材としての第3スプロケット33が回転可能に支持された取付部17aの側面であり、本実施形態において、取付部17aの側面における積載部17b側の端部に回転可能に支持された第3回転部材は、第3スプロケット33である。
【0048】
第3スプロケット33は、第1回転体としての第1ギア33a、及び第2回転体としての第2ギア33bを有している。第1ギア33aと第2ギア33bとは、連結軸33cによって連結されている。そして、第1ギア33a及び第2ギア33bは、連結軸33cを介して一体的に回転可能である。また、具体的な図示は省略するが、本実施形態において、第1ギア33aの歯数と第2ギア33bの歯数とは同じである。また、第1スプロケット31の歯数及び第2スプロケット32の歯数は、第1ギア33aの歯数及び第2ギア33bの歯数と同じである。
【0049】
第1チェーン34は、第1スプロケット31及び第1ギア33aに掛装されている。具体的な図示は省略するが、第1チェーン34は、第1スプロケット31の歯、及び第1ギア33aの歯に噛合された状態で第1スプロケット31及び第1ギア33aに掛装されている。第2チェーン35は、第2スプロケット32及び第2ギア33bに掛装されている。具体的な図示は省略するが、第2チェーン35は、第2スプロケット32の歯、及び第2ギア33bの歯に噛合された状態で第2スプロケット32及び第2ギア33bに掛装されている。
【0050】
図6に示すように、第1チェーン34は、複数のリンクプレート34a、及び複数のリンクプレート34aを連結する複数のローラ34bを有する公知のローラチェーンである。第1チェーン34は、移動体50に連結されている。よって、第1チェーン34は、移動体50と一体的に設けられるとともに第1スプロケット31及び第1ギア33aに掛装された第1掛装体である。したがって、本実施形態において、第1スプロケット31及び第1ギア33aに掛装された第1掛装体は、第1チェーン34である。
【0051】
移動体50は、細長略四角板状の本体部50aを有している。本体部50aにおいて、本体部50aの厚み方向に直交し、且つ本体部50aの長手方向に直交する方向に位置する両端面の一方の端面501には、一対の案内突出部50bが突設されている。一対の案内突出部50bは、本体部50aの端面501における本体部50aの長手方向の両端部にそれぞれ配置されている。一対の案内突出部50bは、本体部50aの長手方向で互いに対向する案内面501bを有している。両案内面501bは、平坦面状であるとともに互いに平行である。本体部50aの長手方向での両案内面501bの間の距離は、フォーク17の積載部17bの幅よりも僅かに長い。
【0052】
移動体50は、第1連結部39a及び第2連結部39bを有している。第1連結部39a及び第2連結部39bは、一対の案内突出部50bの一方に設けられている。第1連結部39aは、案内突出部50bの厚み方向の一方に位置する端面502bから突出する柱状である。第2連結部39bは、案内突出部50bの厚み方向の他方に位置する端面503bから突出する柱状である。そして、第1チェーン34の一端部に位置するローラ34bが第1連結部39aを第1連結部39aの軸線方向に対して直交する方向に貫通することにより、第1チェーン34の一端部が第1連結部39aに連結されている。また、第1チェーン34の他端部に位置するローラ34bが第2連結部39bを第2連結部39bの軸線方向に対して直交する方向に貫通することにより、第1チェーン34の他端部が第2連結部39bに連結されている。このようにして、第1チェーン34が移動体50に一体的に設けられている。
【0053】
第1チェーン34が一体的に設けられている移動体50は、本体部50aの端面501が積載部17bの端面171b上に位置するとともに、両案内面501bの一方が積載部17bの第1側面173bに対向し、両案内面501bの他方が積載部17bの第2側面174bに対向するように、積載部17bに対して配置されている。移動体50の厚み方向は、積載部17bの延設方向に一致している。そして、本体部50aの端面501が積載部17bの端面171bに対して摺動可能であり、両案内面501bの一方が積載部17bの第1側面173bに対して摺動可能であり、両案内面501bの他方が積載部17bの第2側面174bに対して摺動可能である。第1チェーン34は、積載部17bの第1側面173bと隣り合っている。そして、移動体50は、第1スプロケット31及び第1ギア33aを介した第1チェーン34の駆動に伴って、フォーク17の積載部17bに対してスライド移動可能である。
【0054】
図7に示すように、第2チェーン35は、複数のリンクプレート35a、及び複数のリンクプレート35aを連結する複数のローラ35bを有する公知のローラチェーンである。第2チェーン35は、バックレスト26に連結されている。よって、第2チェーン35は、バックレスト26に連結されるとともに第2スプロケット32及び第2ギア33bに掛装された第2掛装体である。したがって、本実施形態において、第2スプロケット32及び第2ギア33bに掛装された第2掛装体は、第2チェーン35である。
【0055】
第1チェーン34及び第2チェーン35は、第1スプロケット31、第2スプロケット32、及び第3スプロケット33に掛装される掛装部材である。したがって、本実施形態の掛装部材は、第1チェーン34と、第2チェーン35と、を含む。
【0056】
バックレスト26は、第2チェーン35を接続するための接続部36を有している。接続部36は、下支持板26bの下部から下方に突出した後、車体11の前後方向の後方に延びるL字板状である。接続部36の先端部の厚み方向は、上下方向に一致している。
【0057】
接続部36は、第1連結部37a及び第2連結部37bを有している。第1連結部37aは、接続部36の先端部における厚み方向の一方に位置する端面36aから突出する柱状である。第2連結部37bは、接続部36の先端部における厚み方向の他方に位置する端面36bから突出する柱状である。そして、第2チェーン35の一端部に位置するローラ35bが第1連結部37aを第1連結部37aの軸線方向に対して直交する方向に貫通することにより、第2チェーン35の一端部が第1連結部37aに連結されている。また、第2チェーン35の他端部に位置するローラ35bが第2連結部37bを第2連結部37bの軸線方向に対して直交する方向に貫通することにより、第2チェーン35の他端部が第2連結部37bに連結されている。このようにして、第2チェーン35がバックレスト26に連結されている。そして、バックレスト26は、第2スプロケット32及び第2ギア33bを介した第2チェーン35の駆動に伴って、案内部28が案内軸27に案内されながら、フォーク17の取付部17aに対して昇降可能である。
【0058】
図2及び
図8に示すように、各フォーク17の積載部17bに荷W1が積載されていないときには、移動体50が、積載部17bの延設方向における中央部に位置するように、第1チェーン34が第1スプロケット31及び第1ギア33aに掛装されている。移動体50は、第1チェーン34における重力方向の上側に位置する部位に連結されている。そして、移動体50が、積載部17bの延設方向における中央部に位置しているときには、バックレスト26が自重によってフォーク17の取付部17aに対して最も下降した状態となるように、第2チェーン35が第2スプロケット32及び第2ギア33bに掛装されている。バックレスト26は、第2チェーン35における車体11の前後方向の前側に位置する部位に連結されている。
【0059】
次に、本実施形態の作用について説明する。
図9に示すように、フォーク17によって荷W1を掬って、積載部17bに積載される荷W1によって移動体50が積載部17bに対して取付部17aに接近する方向へ押し込まれると、第1スプロケット31及び第1ギア33aを介して第1チェーン34が駆動する。具体的には、第1チェーン34は、第1チェーン34における重力方向の上側に位置する部位が第1スプロケット31から第1ギア33aに向けて移動するように第1スプロケット31及び第1ギア33aを介して駆動する。また、第1チェーン34は、第1チェーン34における重力方向の下側に位置する部位が第1ギア33aから第1スプロケット31に向けて移動するように第1スプロケット31及び第1ギア33aを介して駆動する。第1スプロケット31及び第1ギア33aは、第1チェーン34の駆動に伴って回転する。
【0060】
そして、第1ギア33aの回転に伴う第2ギア33bにおける第1ギア33aとの一体的な回転が行われることにより、第2スプロケット32及び第2ギア33bを介して第2チェーン35が駆動する。具体的には、第2チェーン35は、第2チェーン35における車体11の前後方向の前側に位置する部位が第2ギア33bから第2スプロケット32に向けて移動するように第2スプロケット32及び第2ギア33bを介して駆動する。また、第2チェーン35は、第2チェーン35における車体11の前後方向の後側に位置する部位が第2スプロケット32から第2ギア33bに向けて移動するように第2スプロケット32及び第2ギア33bを介して駆動する。このように、第2スプロケット32及び第2ギア33bを介して第2チェーン35が駆動して、バックレスト26の自重に抗してバックレスト26が、案内部28が案内軸27に案内されながらフォーク17の取付部17aに対して上昇する。
【0061】
図10及び
図11に示すように、荷W1によって移動体50が積載部17bに対して取付部17aに接近する方向へさらに押し込まれて、移動体50が取付部17aに対して最も接近した状態になると、バックレスト26がフォーク17の取付部17aに対して最も上昇した状態となる。これにより、フォーク17の積載部17bに積載されている荷W1がバックレスト26によって運転席21側から安定的に支えることが可能となる。
【0062】
一方、フォーク17の積載部17bから荷W1が降ろされることでバックレスト26の自重により第2スプロケット32及び第2ギア33bを介して第2チェーン35が駆動する。具体的には、第2チェーン35は、第2チェーン35における車体11の前後方向の前側に位置する部位が第2スプロケット32から第2ギア33bに向けて移動するように第2スプロケット32及び第2ギア33bを介して駆動する。また、第2チェーン35は、第2チェーン35における車体11の前後方向の後側に位置する部位が第2ギア33bから第2スプロケット32に向けて移動するように第2スプロケット32及び第2ギア33bを介して駆動する。このように、第2スプロケット32及び第2ギア33bを介して第2チェーン35が駆動して、バックレスト26が、案内部28が案内軸27に案内されながらフォーク17の取付部17aに対して下降する。第2スプロケット32及び第2ギア33bは、第2チェーン35の駆動に伴って回転する。
【0063】
そして、第2ギア33bの回転に伴う第1ギア33aにおける第2ギア33bとの一体的な回転が行われることにより、第1スプロケット31及び第1ギア33aを介して第1チェーン34が駆動する。具体的には、第1チェーン34は、第1チェーン34における重力方向の上側に位置する部位が第1ギア33aから第1スプロケット31に向けて移動するように第1スプロケット31及び第1ギア33aを介して駆動する。また、第1チェーン34は、第1チェーン34における重力方向の下側に位置する部位が第1スプロケット31から第1ギア33aに向けて移動するように第1スプロケット31及び第1ギア33aを介して駆動する。このように、第1スプロケット31及び第1ギア33aを介して第1チェーン34が駆動して、移動体50がフォーク17の積載部17bに対して取付部17aから離間する方向へ移動する。
【0064】
図2及び
図8に示すように、バックレスト26の自重による第2チェーン35における第2スプロケット32及び第2ギア33bを介した駆動によって、バックレスト26は、取付部17aに対して上昇する前の元の位置まで下降する。これにより、バックレスト26が取付部17aに対して上昇したままである場合に比べると、フォーク17に荷W1が積載されていないときには、バックレスト26が運転席21からの作業者の視野に入り込み難くなり、運転席21からの作業者の前方視野が確保される。そして、バックレスト26が取付部17aに対して上昇する前の元の位置まで下降し、移動体50が積載部17bに対して取付部17aから離間する方向へ移動して、荷W1によって取付部17aに接近する方向へ押し込まれる前の元の位置に復帰する。
【0065】
このように、移動体50は、フォーク17における荷W1の積載状況に応じて移動する。したがって、移動体50は、フォーク17における荷W1の積載状況に応じて作動する作動部である。そして、バックレスト昇降装置30は、移動体50の移動と連動して駆動するとともにバックレスト26をフォーク17に対して昇降可能とする。具体的には、バックレスト昇降装置30は、フォーク17に荷W1が積載されているときには、バックレスト26がフォーク17に対して上昇した状態となるように駆動する。また、バックレスト昇降装置30は、フォーク17に荷W1が積載されていないときには、バックレスト26がフォーク17に対して上昇する前の元の位置に復帰した状態となるように駆動する。
【0066】
上記実施形態では、以下の効果を得ることができる。
(1)フォークリフト10は、フォーク17における荷W1の積載状況に応じて作動する移動体50と、移動体50の作動と連動して駆動するとともにバックレスト26をフォーク17に対して昇降可能とするバックレスト昇降装置30と、を備えた。これによれば、フォーク17における荷W1の積載状況に応じて作動する移動体50の作動と連動してバックレスト昇降装置30が駆動することにより、バックレスト26がフォーク17に対して昇降するため、従来技術のように、作業者が手動でバックレスト26を昇降させる必要が無い。そして、バックレスト昇降装置30は、フォーク17に荷W1が積載されているときには、バックレスト26がフォーク17に対して上昇した状態となるように駆動し、フォーク17に荷W1が積載されていないときには、バックレスト26がフォーク17に対して上昇する前の元の位置に復帰した状態となるように駆動する。したがって、作業性が悪化することなく、フォーク17に荷W1が積載されているときには、フォーク17に積載されている荷W1をバックレスト26によって運転席21側から安定的に支えることを可能とし、且つフォーク17に荷W1が積載されていないときには運転席21からの作業者の前方視野を容易に確保できる。
【0067】
(2)本実施形態によれば、移動体50、第1スプロケット31、第2スプロケット32、第3スプロケット33、第1チェーン34、及び第2チェーン35を用いた機械的な構成を採用することにより、バックレスト26を昇降させることができる。したがって、例えば、フォーク17に荷W1が積載されているか否かに応じて作動するセンサを作動部として用いるとともに、制御装置がセンサの作動に基づいてバックレスト昇降装置30の駆動を制御するような電気的な構成を採用する場合のように、制御装置に複雑な制御プログラムを予め記憶させておく必要が無い。よって、構成が複雑化すること無く、バックレスト26を昇降させることができる。
【0068】
(3)第3スプロケット33は、第1ギア33a及び第2ギア33bを有している。そして、第1スプロケット31及び第1ギアには、移動体50と一体的に設けられた第1チェーン34が掛装されており、第2スプロケット32及び第2ギア33bには、バックレスト26に連結される第2チェーン35が掛装されている。ここで、例えば、第3スプロケット33が第1ギア33a及び第2ギア33bを有しておらず、1つの掛装部材が第1スプロケット31、第2スプロケット32、及び第3スプロケット33に掛装された構成のバックレスト昇降装置を考える。このような構成に比べると、第1スプロケット31、第2スプロケット32、及び第3スプロケット33を介した第1チェーン34及び第2チェーン35の動作が安定し易い。したがって、バックレスト昇降装置30におけるバックレスト26の昇降動作の信頼性を向上させることができる。
【0069】
(4)例えば、第3スプロケット33において、第1ギア33aの歯数及び第2ギア33bの歯数を調整して、第1ギア33aと第2ギア33bとのギア比を調整することにより、バックレスト26におけるフォーク17に対する昇降ストローク、及び移動体50における積載部17bに対する移動ストロークをそれぞれ自在に調整することができる。
【0070】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0071】
○
図12に示すように、バックレスト昇降装置30Aは、非環状のチェーン60を用いた構成であってもよい。チェーン60は、第1スプロケット31、第2スプロケット32、及び第3スプロケット33に掛装されている。なお、
図12に示す実施形態では、第3スプロケット33は、第1ギア33a及び第2ギア33bを有する構成ではなく、第1スプロケット31及び第2スプロケット32と同じ構成である。チェーン60の一端には、移動体50が固定され、チェーン60の他端には、バックレスト26が連結されている。そして、積載部17bに積載される荷W1によって移動体50が積載部17bに対して取付部17aに接近する方向へ押し込まれることにより第1スプロケット31、第2スプロケット32、及び第3スプロケット33を介してチェーン60が駆動する。チェーン60の駆動によって、バックレスト26の自重に抗してバックレスト26が取付部17aに対して上昇する。また、積載部17bから荷W1が降ろされることでバックレスト26の自重により第1スプロケット31、第2スプロケット32、及び第3スプロケット33を介してチェーン60が駆動する。そして、チェーン60の駆動によって、バックレスト26が取付部17aに対して上昇する前の元の位置まで下降し、移動体50が積載部17bに対して取付部17aから離間する方向へ移動して、荷W1によって取付部17aに接近する方向へ押し込まれる前の元の位置に復帰する。したがって、チェーン60は、第1スプロケット31、第2スプロケット32、及び第3スプロケット33に掛装されるとともにバックレスト26を取付部17aに対して昇降させる掛装部材である。これにより、使用する部品数を抑えることができる。
【0072】
○ 実施形態において、バックレスト昇降装置30は、第1スプロケット31、第2スプロケット32、及び第3スプロケット33に加えて、例えば、取付部17aの第1側面173aにおける積載部17b側の端部に回転可能に支持された第4スプロケットをさらに備えた構成であってもよい。この場合、第1スプロケット31及び第4スプロケットに掛装されたチェーンと、第2スプロケット32及び第3スプロケット33に掛装されたチェーンと、第3スプロケット33及び第4スプロケットに掛装されたチェーンを用いる。要は、バックレスト昇降装置30は、第1回転部材と、第2回転部材と、第3回転部材と、第1回転部材、第2回転部材、及び第3回転部材に掛装されるとともにバックレスト26を取付部17aに対して昇降させる掛装部材と、を少なくとも有する構成であればよい。
【0073】
○ 実施形態において、第1ギア33aの歯数が、第2ギア33bの歯数よりも多くてもよい。これによれば、移動体50における積載部17bに対する移動ストロークを、バックレスト26におけるフォーク17に対する昇降ストロークよりも短くすることができる。したがって、移動体50を、積載部17bにおける取付部17aとは反対側の端部、すなわち、フォーク17の先端部から極力遠ざけることができるため、フォーク17によって荷W1を掬う際に、移動体50が邪魔になってしまうことを回避することができ、作業性を向上させることができる。
【0074】
○ 実施形態において、第1ギア33aの歯数が、第2ギア33bの歯数よりも少なくてもよい。
○ 実施形態において、移動体50が、フォーク17の積載部17bの端面171bに対して摺動しない構成であってもよく、例えば、積載部17bの第1側面173bのみに摺動可能な構成であってもよい。要は、移動体50は、掛装部材に一体的に設けられるとともに積載部17bに対してスライド移動可能であればよい。
【0075】
○ 実施形態において、フォークリフト10は、バッテリ式に限らず、例えば、エンジン式であってもよいし、バッテリB1に加えてエンジンをさらに備えたハイブリッド式であってもよい。
【0076】
○ 実施形態において、ローラチェーンのようなチェーンを掛装部材として用いずに、例えば、ベルトを掛装部材として用いてもよい。この場合、第1回転部材、第2回転部材、及び第3回転部材として、例えば、ローラが用いられる。
【0077】
○ 実施形態において、例えば、フォーク17に積載される荷W1を検出するセンサを用いるとともに、制御装置がセンサの検出情報に基づいてバックレスト昇降装置30の駆動を制御するような電気的な構成を採用してもよい。この場合、例えば、センサは、フォーク17に荷W1が積載されるとオフからオンに切り替わるとともに、フォーク17から荷W1が降ろされるとオンからオフに切り替わるように作動する。したがって、センサは、フォーク17における荷W1の積載状況に応じて作動する作動部である。そして、バックレスト昇降装置30は、センサの作動と連動して駆動する。
【0078】
○ 実施形態において、フォークリフト10は、フォーク17を一つだけ備えた構成であってもよく、フォーク17の数は特に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0079】
W1…荷、10…フォークリフト、11…車体、15…マスト、16…リフトブラケット、17…フォーク、17a…取付部、17b…積載部、21…運転席、26…バックレスト、30,30A…バックレスト昇降装置、31…第1回転部材としての第1スプロケット、32…第2回転部材としての第2スプロケット、33…第3回転部材としての第3スプロケット、33a…第1回転体としての第1ギア、33b…第2回転体としての第2ギア、34…第1掛装体としての第1チェーン、35…第2掛装体としての第2チェーン、50…作動部としての移動体、60…掛装部材としてのチェーン、173a,173b…側面としての第1側面。