IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 棚岡 誠介の特許一覧

特許7239914片手で操作可能な洗濯バサミ及び洗濯ハンガー
<>
  • 特許-片手で操作可能な洗濯バサミ及び洗濯ハンガー 図1
  • 特許-片手で操作可能な洗濯バサミ及び洗濯ハンガー 図2
  • 特許-片手で操作可能な洗濯バサミ及び洗濯ハンガー 図3
  • 特許-片手で操作可能な洗濯バサミ及び洗濯ハンガー 図4
  • 特許-片手で操作可能な洗濯バサミ及び洗濯ハンガー 図5
  • 特許-片手で操作可能な洗濯バサミ及び洗濯ハンガー 図6
  • 特許-片手で操作可能な洗濯バサミ及び洗濯ハンガー 図7
  • 特許-片手で操作可能な洗濯バサミ及び洗濯ハンガー 図8
  • 特許-片手で操作可能な洗濯バサミ及び洗濯ハンガー 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】片手で操作可能な洗濯バサミ及び洗濯ハンガー
(51)【国際特許分類】
   D06F 55/00 20060101AFI20230308BHJP
【FI】
D06F55/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023504542
(86)(22)【出願日】2022-11-07
(86)【国際出願番号】 JP2022041295
【審査請求日】2023-01-23
(31)【優先権主張番号】P 2021186816
(32)【優先日】2021-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521503891
【氏名又は名称】棚岡 誠介
(74)【代理人】
【識別番号】100167047
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸典
(72)【発明者】
【氏名】棚岡 誠介
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3125760(JP,U)
【文献】特開2017-196381(JP,A)
【文献】特開2009-106401(JP,A)
【文献】特開2012-125446(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
片手で洗濯物の装着操作が可能な洗濯バサミであって、該洗濯バサミは、
連結部を軸として扇状に開閉可能な左右一対の板状体と、
前記左右一対の板状体に対して外側方向に押し広げる力を付勢するスプリング体と、
を備え、
前記左右一対の板状体の少なくとも一方が、
対向する板状体に向かって延伸する肩部分と、
前記肩部分から延伸し、前記対向する板状体の外側側面に先端部が当接する鉤爪部と、
を有するアームを備え、
前記左右一対の板状体を指で押圧した時に生じる前記鉤爪部と前記板状体の外側側面との間の隙間に洗濯物が入り込み、押圧が解除されると同時にそこに前記洗濯物が挟持されることを特徴とする洗濯バサミ。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯バサミにおいて、
前記左右一対の板状体の夫々が、前記アームを備えており、
一方の前記肩部分の付け根に開口が設けられ、
他方の前記肩部分が前記開口に挿通されることで二つの前記肩部分が一体的に構成される、
洗濯バサミ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の洗濯バサミが複数個、枠体に吊り下げてなる洗濯ハンガー。
【請求項4】
片手で洗濯物の装着操作が可能な洗濯バサミであって、
上端部の近傍に吊り下げ用穴を有する中心棒状体と、
前記吊り下げ用穴の下方で前記中心棒状体を中心にして左右方向に延び出た肩部分と、該肩部分の先端から下方に向かって延びた鉤爪部とを有するアームと、
前記アームの前記肩部分に遊嵌する切欠部を上端部に有し、下端部を中心に前記鉤爪部によって規制されるところまで扇状に動くことができる左右一対の板状体と、
前記中心棒状体の下端部に設けられると共に前記左右一対の板状体の下方部に取り付けられ、その支点を中心に前記左右一対の板状体を外側方向に押し広げるスプリング体と、
を具備し、前記左右一対の板状体を指で押圧した時に生じる前記鉤爪部と前記板状体との間の隙間に洗濯物が入り込み、押圧が解除されると同時にそこに前記洗濯物が挟持されることを特徴とする洗濯バサミ。
【請求項5】
請求項4に記載の洗濯バサミにおいて、前記左右一対の板状体の下端部はそれぞれ、前記左右一対の板状体が最大開度のときにほぼ平行となるように外側方向に曲がっており、その中央部分には弧状凹部が設けられていることを特徴とする洗濯バサミ。
【請求項6】
請求項4に記載の洗濯バサミにおいて、前記板状体の上端部には、前記アームの前記肩部分が遊嵌する切欠部を有することを特徴とする洗濯バサミ。
【請求項7】
請求項4に記載の洗濯バサミにおいて、前記スプリング体はバネ丁番であることを特徴とする洗濯バサミ。
【請求項8】
請求項4に記載の洗濯バサミにおいて、前記スプリング体はリングバネであることを特徴とする洗濯バサミ。
【請求項9】
請求項4に記載の洗濯バサミにおいて、前記スプリング体はキックバネ(トーションバネ)であることを特徴とする洗濯バサミ。
【請求項10】
請求項4に記載の洗濯バサミにおいて、前記板状体の上部表面部分には、指又は洗濯物との摩擦力を増す表面処理が施されていることを特徴とする洗濯バサミ。
【請求項11】
請求項4に記載の洗濯バサミにおいて、前記板状体の表面下部部分から前記アームの鉤爪部が接する部分までは、指又は洗濯物を円滑にスライドさせるための表面処理が施されていることを特徴とする洗濯バサミ。
【請求項12】
請求項4に記載の洗濯バサミが複数個、枠体に吊り下げてなる洗濯ハンガー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗濯バサミに関し、より詳しくは、片手のみで衣類の挟持を行うことができる洗濯バサミ、及び該洗濯バサミを複数有する洗濯ハンガーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、衣類を洗濯ハンガーで干す際は、片方の手の親指と人差指で洗濯バサミの摘み部を摘まみ、スプリング力に抗して先端部に隙間を作り、もう片方の手で濡れた衣類を摘んで、その隙間に衣類を挟み込んで固定するという作業を行っていた。
【0003】
従来のこの方法では、靴下等の小物衣類でも1カ所を固定する際にも必ず両手を使わざるを得ず、またタオルやパンツ等の幅広の衣類を広げて干す場合には、少なくとも2カ所を固定することが多いので、左右の手で洗濯物を持ち替え、複数回の固定作業が必要となるため、思いの外時間が掛かってしまうと言う欠点があった。
【0004】
この欠点を改善すべく、片手だけで衣類を固定することができる挟持具が、過去にも幾つか考案されている。それらの例では、摘み部と挟み部の距離が離れているために衣類が挟み難かったり、挟み部の中に指を挟み易い構造のために痛みや恐怖感を覚えさせるものであったり、更には構造上、挟持具の一方をハンガー等の物干し器に固定していなければならない制限があったりと、日常の使用をためらわせる欠点のあるものが多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】意匠登録第1223725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術における上記問題点及び欠点を解消して、片方の手のみで洗濯物を挟持することができる洗濯バサミ及びこの洗濯バサミを用いた洗濯ハンガーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、片手で洗濯物の装着操作が可能な洗濯バサミであって、連結部を軸として扇状に開閉可能な左右一対の板状体と、左右一対の板状体に対して外側方向に押し広げる力を付勢するスプリング体と、を備え、左右一対の板状体の少なくとも一方が、対向する板状体に向かって延伸する肩部分と、肩部分から延伸し、対向する板状体の外側側面に先端部が当接する鉤爪部とを有するアームを備え、左右一対の板状体を指で押圧した時に生じる鉤爪部と板状体の外側側面との間の隙間に洗濯物が入り込み、押圧が解除されると同時にそこに洗濯物が挟持されることを特徴とする洗濯バサミが提供される。
【0008】
上記の洗濯バサミにおいて、左右一対の板状体の夫々が、アームを備えており、一方の肩部分の付け根に開口が設けられ、他方の肩部分が開口に挿通されることで二つの肩部分を一体的に構成することができる。
【0009】
また、本発明によれば、片手で洗濯物の装着操作が可能な洗濯バサミであって、上端部の近傍に吊り下げ用穴を有する中心棒状体と、吊り下げ用穴の下方で、中心棒状体の上方部分から左右方向に例えば円弧状に延び出た肩部分及び該肩部分の先端から下方に向かって延びた鉤爪部とを有するアームと、鉤爪部によって規制されるところまで下端部を中心にして扇状に動くことができる左右一対の板状体と、中心棒状体の下端部に設けられると共に左右一対の板状体の下方部に取り付けられ、その支点を中心に左右一対の板状体を外側方向に押し広げるスプリング体とを具備し、一対の板状体を指で押圧した時に生じる鉤爪部と板状体との間の隙間に洗濯物が入り込み、押圧が解除されると同時にそこに洗濯物が挟持されることを特徴とする洗濯バサミが提供される。
【0010】
上記の洗濯バサミにおいて、一対の板状体の下端部はそれぞれ、一対の板状体が最大開度のときにほぼ平行となるように外側方向に曲がっており、その中央部分には弧状凹部が設けられている構成とすることができる。
【0011】
上記の洗濯バサミにおいて、一対の板状体のそれぞれの上端部には、アームの肩部分が遊嵌する切欠部を設けることができる。
【0012】
上記の洗濯バサミにおいて、スプリング体はバネ丁番、リングバネ、又はキックバネ(トーションバネ)等から選択することができる。
【0013】
上記の洗濯バサミにおいて、板状体の上部表面部分には、指又は洗濯物との摩擦力を増すための、横方向にスプラインを設けたり、梨地処理するなどの表面処理が施されていることが好ましい。
【0014】
上記の洗濯バサミにおいて、板状体の表面下部部分からアームの鉤爪部が接する近傍部分までは、指又は洗濯物を円滑に把持スライドさせるための線状突起(スプライン)等の表面処理が施されていることが好ましい。
【0015】
上記の洗濯バサミを複数個、枠体に吊り下げて洗濯ハンガーとすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、従来技術における上記問題点及び欠点を解消して、片方の手のみで洗濯物を挟持することができる洗濯バサミ及びこの洗濯バサミを用いた洗濯ハンガーを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施例の洗濯バサミの斜視図である。
図2図2は、図1に示す洗濯バサミを指で矢印の方向に押圧した時の斜視図である。
図3図3は、本発明による洗濯バサミの側面図であって、図3(a)は図1に示す常態時の側面図、図3(b)は図2に示す指で矢印の方向に押圧した時の側面図である。
図4図4は、図1に示す洗濯バサミの片方の板状体を取り外した時の斜視図である。
図5図5は、図1に示す洗濯バサミの正面図である。
図6図6は、本発明の変形実施例の洗濯バサミの斜視図である。
図7図7は、図6に示す洗濯バサミの分解斜視図である。
図8図8は、図6に示す洗濯バサミの分解斜視図である。
図9図9は、図6に示す洗濯バサミを指で押圧した時の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら、本発明による洗濯バサミの詳細を説明する。全図を通して、同一参照番号及び符号は同一又は同等部材を示すものとする。
【0019】
図1図5を参照して本発明による洗濯バサミ100の詳細を説明する。図1は本発明による洗濯バサミ100の斜視図である。洗濯バサミ100は、その上端部に近いところに、吊り下げ用のチェイン等が取り付けられる吊り下げ用の穴12が設けられた中心棒状体14と、前記穴12から下方の任意の位置で、棒状体14を中心にして外方に向かって延び出た一対のアーム16と、下方部が支点をもって連結され、上方部分が支点(連結部)を中心に扇状に開閉可能になった一対の板状体18と、一対の板状体18を上記支点の所で相互に連結すると共に常時外側方向に付勢するスプリング体20とで構成される。上記一対の板状体18のそれぞれの上記支点より下に位置する下端部は、一対の板状体18が最大開度のときにほぼ平行となるように、それぞれ外側方向に若干折り曲げられている。その下端部の中央部分には、弧状の凹部26が設けられている。弧状の凹部26は、図面に示すような半円形状に限られず、洗濯物を持った中指が丁度入り込む程度の大きさと形状であれば構わない。
【0020】
アーム16は、中心棒状体14から例えば円弧上に延び出た肩部分22と、その先端部から下方に延びた鉤爪部24とからなる。棒状体14とアーム16、すなわち肩部分22と鉤爪部24は、プラスチック樹脂による一体成型物であるが、耐久性を更に高くするために金属製としても構わない。
【0021】
図示実施例では、一対の板状体18のそれぞれの上部部分に、アーム16の肩部分22と相補形状をなし、肩部分22に接触しない隙間を有する切欠部19が設けられている。この板状体18に切欠部19が設けられることにより、一対の板状体18のアーム16の肩部分22に沿った扇状運動が円滑になると共に、洗濯バサミ100の立体的構造強度が増すことになる。
【0022】
図5に示すように、板状体18の表面の上側部分には、滑りを妨げるような線状の溝又は線状の小さい突起(スプライン)30を設けることが望ましい。この部分のみを梨地仕上げとすることもできる。他方、板状体18の下方部分から鉤爪部24が接触する付近までは、滑りが滑らかになるような縦方向のスプライン32を設けることも望ましい。
【0023】
中心棒状体14の下端部にはスプリング体20が設けられ、このスプリング体20によって一対の板状体18同士が連結される。スプリング体20としては、図示するようなバネ丁番のほか、リングバネ、トーションバネ等を用いることができる。図示するバネ丁番の場合には、板状体18から突出した突起に丁番の取付穴を嵌め、それを溶着することにより取り付けることができる。リベット等の他の公知の方法により取り付けることもできる。スプリング体20は、常態において、一対の板状体18を外側方向に常時付勢するように働く。スプリング体20によって外側方向に付勢された一対の板状体18は、図1に示すように、その表面部がアーム16の鉤爪部24に当接することによってその最大開度が決まる。最小開度はほぼ中心棒状体14の横幅(厚さ)である。
【0024】
図2において、矢印で示すような力が指で加えられると、一対の板状体18はその開口は狭くなるが、支点が板状体18の最下点付近にあるため、力点(指の接触部)が上部方向に行くにしたがって、小さい力で開口幅を狭めることができる。指先と洗濯物を一対の板状体18の表面上を比較的小さい力を加えながら上方に滑らせて行くと、板状体18の表面と鉤爪部24との間に特に図3(b)に明確に示される隙間40が生じ、この隙間40に洗濯物が収まったことを確認してから板状体18への指からの押力を解放すると、板状体18はスプリング体20の力によって外側方向、鉤爪部24に向かって瞬時に復帰し、洗濯物は板状体18の表面と鉤爪部24との間に確実に挟持される。
【0025】
鉤爪部24、特にその先端部分に図1に示すような段差を設けることにより、その挟持力を増すことができる。必要により、鉤爪部24の表面と板状体18の表面とが僅かに噛み合うような凹凸形状とすることにより、その挟持力を更に増強することもできる。
【0026】
本発明による洗濯バサミ100を、スチール製等の枠体に20個から30個程度、チェインで吊り下げて洗濯ハンガーとし得ることは、図面で示すまでもなく、容易に理解できる。
【0027】
以上のとおり説明した本発明に係る洗濯バサミ100が吊り下げられた状態において、洗濯物を片手で装着する方法を説明する。洗濯物を親指と中指で掴んだ状態で洗濯バサミの下方手前側から、板状体18の弧状の凹部26にあてがう。次に奥側の板状体18上のスプライン30、またはアーム16の肩部22、もしくは鉤爪部24に人差指を掛け、親指だけで板状体18の下方端(弧状の凹部26)から上方に向けて洗濯物を滑り上げる。滑り上がるのと同時に、板状体18と鉤爪部24との間に図2及び図3(b)に表される隙間40が形成され、ここに洗濯物が入り込むことになる。このとき、板状体18に横方向に設けられた溝又はスプラインは滑り過ぎを防ぐ役目をする。隙間部40に洗濯物が入り込んだことを確認したら直ぐに洗濯バサミ100から手を離すと、板状体18と鉤爪部24との間の隙間40は瞬時に閉じて、これらの間に洗濯物が挟持されることになる。この一連の動作で、片方の手だけで洗濯物を洗濯バサミに装着することができ、他方の手は完全にフリーな状態である。
【0028】
次に、本発明の変形実施例に係る洗濯バサミ200について、図6乃至図9を参照しながら説明する。
【0029】
図6は、本発明の変形実施例に係る洗濯バサミ200を示した斜視図である。また、図7及び図8は、図6に示す洗濯バサミ200の分解斜視図である。また、図9は、図6に示す洗濯バサミ200を指で押圧した時の斜視図である。図示されるように、洗濯バサミ200は、上述した洗濯バサミ100と比較して中心棒状体の省略によって洗濯バサミを構成する部品の点数が削減されており、また、肩部分60と鉤爪部61とを有するアーム62が設けられる箇所が異なっている。洗濯バサミ200の構成について説明すると、洗濯バサミ200は、連結部50を軸として扇状に開閉可能な左右一対の板状体51と、左右一対の板状体51に対して外側方向に押し広げる力を付勢するスプリング体52と、を備えている。そして、左右一対の板状体51は、対向する板状体51に向かって延伸する肩部分60と、肩部分60から延伸し、対向する板状体51の外側側面に先端部が当接する鉤爪部61と、を有するアーム62を備えている。ここで、図6乃至図9においては、左右一対の板状体51の夫々がアーム62を備えているが、左右一対の板状体51の一方がアーム62を備えるように構成しても良い。また、図6乃至図9においては、肩部分60が板状体51の上端部から延伸しているが、肩部分60が延伸し始める箇所(付け根)は、板状体51の上端部に限定されない。また、図6乃至図9においては、鉤爪部61が肩部分60の先端から延伸しているが、鉤爪部61が延伸し始める箇所は肩部分60の先端に限定されない。また、肩部分60と鉤爪部61とは形状的に明確に区別される必要はなく、例えば、円弧状に一体的に形成されて良い。
【0030】
なお、例えばアーム62の横幅に応じて、二つのアーム62が互い違いにズレた位置に設けられる構造とすれば、同一形状の板状体51でありながら、アーム62同士が接触することなく組み合わせて一対とすることができる。これにより、左右で別々の形状の板状体51を用意する必要がなくなり、製造コストが削減できる他、加工や組み立てが容易となる。
【0031】
また、図示されるように、一方の肩部分60の付け根に開口73を設けて、他方の肩部分60を該開口73に通す(挿通する)ことで、二つの肩部分60を一体的に(例えば、二つの肩部分60が重なるように、あるいは、二つの肩部分60が同軸となるように)構成することができる。このような構成とすることにより、以下のような作用乃至効果が得られる。
(1)省スペース化
洗濯バサミ200が小型化されて容積が少なくなるため、運搬や販売時に狭いスペースで多くの製品を置くことができる。
(2)洗濯物を挟持する際に親指をスライドさせやすい
アーム62の先端が垂直に下りてきているため、親指をスライドさせやすい。例えば、二つのアーム62を左右にずらして配置する形態では、洗濯物を挟んで親指を上方向にスライドさせる際、アーム62の横幅が広かったり、アーム62の先端が斜めに下りてきているせいで、親指とぶつかってしまったり、スライドを邪魔してしまう可能性がある。
(3)強度が増す
凹凸の少ないシンプルな形になっているため、ハンガーや他の洗濯バサミ200、接触する他のものに引っ掛かることが少なくなり、破損する機会・可能性の減少に繋がる。また、二つのアーム62が相互に補強しあう形になっているため、二つのアーム62に外力を分散させることができ、強度が増す。
(4)加工しやすい
凹凸の少ないシンプルな形になっているため、加工がしやすい。
(5)変形しにくい
連結部50とアーム62とで、左右一対の板状体51のねじれを抑止することができる。なお、従来の洗濯バサミと比較すると、従来の洗濯バサミは左右の部品を固定する箇所が連結部しかないために親指と人差し指で押圧した場合にわずかにねじれが生じることが多く、これにより破損・故障の機会の増加につながっていたが、連結部50とアーム62とで左右一対の板状体51のねじれを抑止する構成とすることで、こうした課題が解決される。
(6)風による揺れが抑制される
空気抵抗が生じる表面積が小さくなるため、風による洗濯バサミ200の揺れが抑制され、洗濯バサミ200を枠体に吊り下げて使用する場合などにおける洗濯物のスムーズな装着操作に寄与することができる。
【0032】
なお、参照符号70で示されるように、洗濯バサミ200を手に持って力を加える際に奥側の中指(若しくは薬指)の先端が嵌まる程度の大きさの窪み(凹み)を板状体51の下部中央に設けることができる。これにより、手と洗濯バサミ200とが上下にズレる(ブレる)ことを抑制することができる。
【0033】
また、参照符号71で示されるように、アーム62の少なくとも一方に、吊り下げ用のチェイン等が取り付けられる吊り下げ用の穴71を設けることができる。これにより、枠体に複数個の洗濯バサミ200を吊り下げて、洗濯ハンガーとすることができる。
【0034】
また、参照符号72で示されるように、鉤爪部61の先端部の形状に応じた窪み(凹み)を板状体51の中央部に設けることができる。これにより、挟持力・摩擦力を高めることができる。
【0035】
上述した本明細書内で使用した用語や表現は、あくまでも説明のためのものであり、限定のためのものではなく、そのような用語や表現の使用において、図示され、説明された特徴またはその一部の均等物を、本発明の範囲から除外するものではない。
【0036】
例えば、本発明に係る構造は、洗濯バサミに限らず、書類や物品等を挟持する文房具や、インテリア部品等の構造として適用することができる。また、本発明に係る構造の上下や左右は、各実施例において説明した方向に限定されない。即ち、各実施例において説明した上下を反対にすれば、例えば卓上で写真やメモを整理する際に用いられるメモクリップの構造として適用することができる。
【符号の説明】
【0037】
100 洗濯バサミ
12 穴
14 中心棒状体
16 アーム
18 板状体
19 切欠部
20 スプリング体
22 肩部分
24 鉤爪部
26 凹部
30 スプライン
32 スプライン
40 隙間
200 洗濯バサミ
50 連結部
51 板状体
52 スプリング体
60 肩部分
61 鉤爪部
62 アーム
70 窪み(凹み)
71 穴
72 窪み(凹み)
73 開口
【要約】
片手のみで洗濯物を装着することが可能な洗濯バサミを提供する。
中心棒状体と、該中心棒状体の上方部分から例えば円弧状に延び出た肩部分及び該肩部分の先端から下方に向かって延びた鉤爪部とを有するアームと、肩部分に遊嵌する切欠部を上端部に有し下端部を中心に鉤爪部によって規制されるところまで扇状に動くことができる左右一対の板状体と、左右一対の板状体の下方部に取り付けられその支点を中心に左右一対の板状体を外側方向に押し広げるスプリング体とで構成される。一対の板状体を指で押圧した時に生じる鉤爪部と板状体との間の隙間に洗濯物が入り込み、押圧が解除されると同時にそこに洗濯物が挟持される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9