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特許7239958動的環境に基づく自己適応室内融合位置決め方法
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  • 特許-動的環境に基づく自己適応室内融合位置決め方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】動的環境に基づく自己適応室内融合位置決め方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 5/02 20100101AFI20230308BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20230308BHJP
【FI】
G01S5/02 A
H04W64/00
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021551830
(86)(22)【出願日】2020-12-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-07
(86)【国際出願番号】 CN2020133553
(87)【国際公開番号】W WO2022062177
(87)【国際公開日】2022-03-31
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】202011038958.1
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518371489
【氏名又は名称】南京郵電大学
【氏名又は名称原語表記】NANJING UNIVERSITY OF POSTS AND TELECOMMUNICATIONS
【住所又は居所原語表記】No.66 Xin Mofan Road, Gulou Nanjing, Jiangsu 210003 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】張 暉
(72)【発明者】
【氏名】王 志坤
(72)【発明者】
【氏名】趙 海涛
(72)【発明者】
【氏名】孫 雁飛
(72)【発明者】
【氏名】朱 洪波
【審査官】梶田 真也
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110430522(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109164411(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102736093(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104619020(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0170521(US,A1)
【文献】特表2014-501912(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0027519(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 5/00 - 5/14
G01S 19/00 - 19/55
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
G位置決め基地局に基づいて測定待ち位置決めターゲットのパラメータ取得し、分析し、処理するステップ(2)と、
マルチラテレーション方法を利用して前記測定待ち位置決めターゲットについて位置決めを行い、予測された位置と実際の位置との誤差を分析するステップ(3)と、
ステップ(2)で処理したパラメータにより構築したCIR指紋パラメータデータベースを利用して測定待ち位置決めターゲットについて位置決めを行い、予測された位置と実際の位置との誤差を分析するステップ(4)と、
マルチラテレーション方法を利用して測定された位置を測定値とし、CIR指紋による位置決め方法を利用して予測した位置を予測値とし、測定値と予測値との誤差について平均二乗誤差に基づく融合計算を行い、最適な位置を推定するステップ(5)と、
室内環境の変化に応じて自己適応的に融合位置決めを行うステップ(6)と、
を含み、
前記ステップ(6)は、以下の方法により実現され、
RSSI距離測定モデルにより、以下の式
【数1】
に示されるようにAとBとの両点間の受信信号の強度を得て、ここで、AおよびBは二つの位置であり、QおよびUは経験則に基づく定数であり、RSSIABは位置Aにおいて受信した位置BのRSSI値を表し、環境変化はQおよびUの変化を引き起こし、二つの定数を推定することにより環境変化による影響を低減して環境変化の距離計算に対する影響が小さくなることを保証し、
【数2】
【数3】
であり、同様にU、QおよびU、Qを算出し、環境変化後のモデルパラメータは
【数4】
に更新され、変化の最も小さい5G位置決め基地局を見つけ、画像認識と組み合わせて障害物の5G位置決め基地局に対する影響を判断し、障害物が5G位置決め基地局とターゲットとのパス間の見通し距離内半平面内にある場合、CIR信号に対する影響は大きく、見通し距離パス外平面の5G位置決め基地局に切り替える必要があり、受信されたパラメータの相似性に基づいて、以下の式
【数5】
により位置を予測し、ここで、[τ,p,f]は環境変化後の受信パラメータを表し、[τ,p,f]はオフラインCIR指紋データベースパラメータを表し、|・|は剰余演算を表し、
各5G位置決め基地局はそれぞれマルチラテレーション方法およびCIR指紋による位置決め方法の誤差修正データベースを構築し、修正後の誤差は、
【数6】
であり、ここで、CおよびCはそれぞれマルチラテレーション方法およびCIR指紋による位置決め方法の誤差修正のマッピング関係であり、また、「category」は、「新しい障害物の種類」であり、「size」は、「新しい障害物の大きさ」であり、「distance 1 」及び「distance 2 」は、「新しい障害物と5G位置決め基地局との距離」であり、「e da 」及び「e ca 」は、「平均誤差」であり、続いて、以下の式
【数7】
で平均二乗誤差を演算し、ここで、HおよびHは誤差係数を表し、続いて、以下の式
【数8】
で融合位置決めを演算し、ここで、lは融合位置決めの演算結果であり、x 及びy は、融合位置決めを演算して得られる横座標及び縦座標を表し、x 及びy は、マルチラテレーション方法により算出される位置の横座標及び縦座標を表し、x 及びy は、CIR指紋による位置決め方法で予測される位置の横座標及び縦座標を表すことを特徴とする、動的環境に基づく自己適応室内融合位置決め方法。
【請求項2】
前記ステップ(2)は、
5G位置決め基地局により測定待ち位置決めターゲットスポットにおける時間遅延、電力および周波数のパラメータを収集するステップ(21)と、
室内環境の画像を収集して分析するステップ(22)と、
取得したデータについて処理を行うステップ(23)と、
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の動的環境に基づく自己適応室内融合位置決め方法。
【請求項3】
前記ステップ(3)は、以下に示す方法により実現され、
、dおよびdをそれぞれ三つの5G位置決め基地局とターゲットとの計算距離であるとし、(A,A)、(B,B)および(C,C)がそれぞれ5G位置決め基地局の位置を表すとする場合、以下の式
【数9】
が得られ、ここで、ε(d)≦εmaxは距離誤差であり、第i番目に計算する位置がl=(x ,y )であり、ターゲットの実際の位置がl=(x ,y )であるとすると、平均誤差 da は以下の式
【数10】
で表示でき、ここで、Jはトータルのデータを取得した回数を表す、ことを特徴とする、請求項1に記載の動的環境に基づく自己適応室内融合位置決め方法。
【請求項4】
前記ステップ(4)は、以下に示す方法により実現され、
ステップ(2)で処理したパラメータにより構築したCIR指紋パラメータデータベースにおいて、CIRは以下の式
【数11】
で表され、ここで、aはチャネルゲイン、e-j2πfτnは周波数オフセット、τはチャネル時間遅延を示し、
CIR指紋データベースは以下の式
【数12】
で表され、ここで、l=(x,y)は位置を表し、Fはマッピング関係を示し、τ={τ,τ,・・・τ}は時間遅延を表し、p={p,p・・・p}は電力を表し、f={f,f・・・f}は周波数を表し、
仮に、第i番目に予測された位置がl=(x ,y )であり、ターゲットの実際の位置がl=(x ,y )である場合、平均誤差は以下の式
【数13】
で表される、ことを特徴とする、請求項1に記載の動的環境に基づく自己適応室内融合位置決め方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内位置決め(測位)および5Gの技術分野に関し、具体的には、動的環境に基づく自己適応室内融合位置決め方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通信技術やインターネット技術の継続的な発展に伴い、多くの技術分野からともに位置サービス産業へ参入しており、高精度な位置情報は高品質な位置サービス提供の基盤となっている。現在、スマートホーム、カーナビゲーションおよび携帯電話追跡などの技術分野は、無線位置決め技術の注目研究方向となっている。他方、全球衛星測位システム(Global Navigation Satellite System)は、ユーザーに比較的高精度な位置決めサービスを提供でき、屋外シーンにおけるユーザーの位置サービスに基づく需要を基本的に満足できる。しかしながら、室内(屋内)においては、建物の遮蔽のため、GNSS信号の減衰は極めて早く、室内位置決めには正確に適用できない。このため、室内環境に対する精確な位置決めは、位置決め研究のホットスポットになり、その研究成果は極めて大きい経済効果をもたらすだけでなく、他の技術分野と連携することでさらに革新できる。
【0003】
現在の室内位置決め技術には、bluetooth(登録商標)技術、UWB技術、赤外線技術、地磁気技術、zig-bee技術などあるが、これらの技術には多かれ少なかれ欠点があり、いずれも変化する室内環境の中で正確さを保つことが難しい。他方、マルチラテレーション(multilateration)方法に基づく室内位置決めは、受信された信号の強度によって信号の減衰を決定し、距離を計算する一般的な位置決め方法であるが、この方法で決定された距離は実際の距離とは若干の差がある。また、CIR指紋による位置決め方法に基づく室内位置決めは、データベースの照合方法であるが、採集したデータベースが室内環境のすべての状況を含むことができないため、データベースの照合誤差が生じてしまう。なお、上記らの技術は、さらに、室内変化の影響を受け、位置決めの精度が低下してしまう。通信技術の発達や無線通信速度に対する人々の需要により通信ネットワークの発達が加速し、5G位置決め基地局による協働位置決めが容易に実現できる。さらに、融合位置決めの手法についても、人々から絶えずに革新的な提案がされている。しかしながら、ほとんどの室内位置決めでは、室内環境変化の位置決めに与える影響を分析しておらず、環境への自己適応性を失っている。また、単一の室内位置決め方法は融合位置決め方法に比べて、その精度は常にやや劣る。
【0004】
上述のとおり、既存の室内位置決め技術のほとんどは、室内環境変化に対して修正できず、単一の室内位置決め方法の性能は融合位置決め方法より劣っている。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、上記既存技術における問題点に鑑みてなされたものであり、動的環境に基づく自己適応室内融合位置決め方法を提供することにより、位置決め精度を向上させるとともに、画像認識により自己適応的に修正を行い、更なる環境適応性を備えるようにすることを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するための本発明に係る動的環境に基づく自己適応室内融合位置決め方法は、
CIRに基づいてオフライン段階での位置決めスポットのパラメータを取得するステップ(1)と、
5G位置決め基地局に基づいて測定待ち位置決めターゲットのパラメータを取得し分析するステップ(2)と、
マルチラテレーション方法を利用して測定待ち位置決めターゲットについて位置決めを行い、予測された位置と実際の位置との誤差を分析するステップ(3)と、
CIR指紋による位置決め方法を利用して測定待ち位置決めターゲットについて位置決めを行い、予測された位置と実際の位置との誤差を分析するステップ(4)と、
マルチラテレーション方法を利用して測定された位置を測定値とし、CIR指紋による位置決め方法を利用して予測した位置を予測値とし、測定値と予測値との誤差について平均二乗誤差に基づく融合計算を行い、最適な位置を推定するステップ(5)と、
室内環境変化に応じて自己適応的に融合位置決めを行うステップ(6)と、
を含む。
【0007】
さらに、上記ステップ(2)は、
5G位置決め基地局により測定待ち位置決めターゲットポイントにおける時間遅延、電力および周波数のパラメータを収集するステップ(21)と、
室内環境画像を収集して分析するステップ(22)と、
取得したデータについて処理を行うステップ(23)と、
を含む。
【0008】
さらに、上記ステップ(3)は、以下に示す方法により実現され、
、dおよびdをそれぞれ三つの5G位置決め基地局とターゲットとの計算距離であるとし、(A,A)、(B,B)および(C,C)がそれぞれ5G位置決め基地局の位置を表すとする場合、以下の式
【数1】
が得られ、ここで、ε(d)≦εmaxは距離誤差であり、第i番目に計算する位置がl=(x ,y )であり、ターゲットの実際の位置がl=(x ,y )であるとすると、平均誤差は以下の式
【数2】
で表示でき、ここで、Jはトータルのデータを取得した回数を表す。
【0009】
さらに、上記ステップ(4)は、以下に示す方法により実現され、
5G位置決め基地局は時間遅延、電力および周波数のパラメータに基づいてオフラインCIR指紋データベースを構築し、CIRは以下の式
【数3】
で表され、ここで、aはチャネルゲイン、e-j2πfτnは周波数オフセット、τはチャネル時間遅延を示し、
CIR指紋データベースは以下の式
【数4】
で表され、ここで、l=(x,y)は位置を表し、Fはマッピング関係を示し、τ={τ,τ,・・・τ}は時間遅延を表し、p={p,p・・・p}は電力を表し、f={f,f・・・f}は周波数を表し、
仮に、第i番目に予測された位置がl=(x ,y )であり、ターゲットの実際の位置がl=(x ,y )である場合、平均誤差は以下の式
【数5】
で表示できる。
【0010】
さらに、上記ステップ(6)は、以下の方法により実現され、
RSSI距離測定モデルにより、以下の式
【数6】
に示されるようにAとBとの両点間の受信信号の強度を得て、ここで、AおよびBは二つの位置であり、QおよびUは経験則に基づく定数であり、RSSIABは位置Aにおいて受信した位置BのRSSI値を表し、環境変化はQおよびUの変化を引き起こし、二つの定数を推定することにより環境変化による影響を低減して環境変化の距離計算に対する影響が小さくなることを保証し、
【数7】
【数8】
であり、同様にU、QおよびU、Qを算出し、環境変化後のモデルパラメータは
【数9】
に更新され、変化の最も小さい5G位置決め基地局を見つけ、画像認識と組み合わせて障害物の5G位置決め基地局に対する影響を判断し、障害物が5G位置決め基地局とターゲットとのパス間の内半平面内にある場合、CIR信号に対する影響は大きく、パス外平面の5G位置決め基地局に切り替える必要があり、受信されたパラメータの相似性に基づいて、以下の式
【数10】
により位置を予測し、ここで、[τ,p,f]は環境変化後の受信パラメータを表し、[τ,p,f]はオフラインCIR指紋データベースパラメータを表し、|・|は剰余演算を表し、
各5G位置決め基地局はそれぞれマルチラテレーション方法およびCIR指紋による位置決め方法の誤差修正データベースを構築し、修正後の誤差は、
【数11】
であり、ここで、CおよびCはそれぞれマルチラテレーション方法およびCIR指紋による位置決め方法の誤差修正のマッピング関係であり、続いて、以下の式
【数12】
で平均二乗誤差を演算し、ここで、HおよびHは誤差係数を表し、続いて、以下の式
【数13】
で融合位置決めを演算し、ここで、lは融合位置決めの演算結果である。
【発明の効果】
【0011】
既存技術と比較すれば、本発明は、以下の有益な効果を奏する。
本発明によれば、室内変化を測定することにより、5G位置決め基地局の切り替えおよび誤差修正を行うことができ、位置決めモデルが環境変化へ適応するとともに予測精度を向上できるにようにする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る方法のフロチャートである。
図2】マルチラテレーション方法を説明するための図である。
図3】CIR指紋による位置決め方法を説明するための図である。
図4】マルチラテレーション方法による基地局の切り替えを説明するための図である。
図5】CIR指紋による位置決め方法により基地局の切り替えを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施形態について詳細に説明する。
図1に示すように、本発明に係る動的環境に基づく自己適応室内融合位置決め方法によれば、まず、室内における各スポットの特徴を取得するとともに、5G位置決め基地局により位置決めを行い、続いて、CIR指紋による位置決め方法およびマルチラテレーション方法を利用した場合の実際の位置との差について誤差分析を行う。さらに、画像認識により周囲環境の変化を識別し、識別結果を融合システムにフィードバックすることにより基地局の切り替えおよび誤差修正を行う。このようにして、より正確で確実な環境適応性の高い位置予測が行えるようにする。
【0014】
本発明は、主に次のような三つの内容を含む。一つ目の内容は、位置決め方法の誤差分析であって、算出位置と実際の位置とを比較することにより、二つの方法の平均誤差を分析することである。二つ目の内容は、画像認識により環境変化を識別し、深刻な影響を受ける5G位置決め基地局を排除して位置決めを行うことである。そして、識別結果を利用して深刻な影響を受ける5G位置決め基地局のオフラインCIR指紋データベースを更新し、誤差修正を行い、全体的の更新を実現する。三つ目の内容は、融合位置決め方法を利用して、ターゲットの最適位置を予測することである。具体的には、以下のステップを含む。
【0015】
(ステップ1)
CIRに基づいてオフライン段階での位置決めスポットのパラメータを取得する。また、5G位置決め基地局に基づいて測定待ち位置決めターゲットのパラメータを取得し分析する。
【0016】
まず、5G位置決め基地局により測定待ち位置決めターゲットスポットにおける時間遅延、電力および周波数などのパラメータを収集する。続いて、室内環境の画像を収集して分析する。続いて、取得したデータについて処理を行う。
【0017】
(ステップ2)
マルチラテレーション方法を利用して測定待ち位置決めターゲットについて位置決めを行い、予測された位置と実際の位置との誤差を分析する。
【0018】
(1)マルチラテレーション方法による誤差分析
図2に示すように、チャネルが経時変化するため、各5G位置決め基地局が測定する距離には一定の範囲があり、信号強度が最も大きい三つの5G測位基地局により位置計算を行うと、その変換範囲が重なる領域がターゲットの位置であり、一定の誤差が生じうる。仮に、d、dおよびdをそれぞれ三つの5G位置決め基地局とターゲットとの計算距離であるとし、(A,A)、(B,B)および(C,C)がそれぞれ5G位置決め基地局の位置を表すとする場合、以下の式
【数14】
が得られる。ここで、ε(d)≦εmaxは距離誤差であり、上式に解があることを保証する。
【0019】
仮に、第i番目に計算する位置がl=(x ,y )であり、ターゲットの実際の位置がl=(x ,y )であるとすると、平均誤差は以下の式
【数15】
で表示でき、Jはトータルのデータを取得した回数を表す。
【0020】
(ステップ3)
CIR指紋による位置決め方法を利用して測定待ち位置決めターゲットについて位置決めを行い、予測された位置と実際の位置との誤差を分析する。
まず、多くの5G位置決め基地局は、時間遅延、電力および周波数などのパラメータに基づいてオフラインCIR指紋データベース(各5G位置決め基地局のオフラインCIR指紋データベースは基本的に異なる)を構築する。図3に示すように、陰の部分は距離が極めて近いスポットを表し、その環境におけるCIR信号は基本同じであり、また、チャネルは経時変化する。当該方法によれば、一定の推定誤差が生じうるが、CIRではマルチパス効果を考慮しているため、上述のパラメータから一意的な位置を得ることができ、精度も比較的に高い。CIRは以下の式
【数16】
で表され、ここで、aはチャネルゲイン、e-j2πfτnは周波数オフセット、τはチャネル時間遅延を示す。
【0021】
CIR指紋データベースは以下の式
【数17】
で表され、ここで、l=(x,y)は位置を表し、Fはマッピング関係を示し、τ={τ,τ,・・・τ}は時間遅延を表し、p={p,p・・・p}は電力を表し、f={f,f・・・f}は周波数を表す。
【0022】
仮に、第i番目に予測された位置がl=(x ,y )であり、ターゲットの実際の位置がl=(x ,y )である場合、平均誤差は以下の式
【数18】
で表される。
【0023】
(ステップ4)
平均二乗誤差に基づいて、融合位置決めを実現する。
まず、マルチラテレーション方法とCIR指紋による位置決め方法とを組み合わせ、毎回位置予測を行う際、マルチラテレーション方法を利用して測定される位置を測定値とし、CIR指紋による位置決め方法を利用して予測した位置を予測値とし、続いて、測定値と予測値との誤差について平均二乗誤差に基づく融合計算を行い、最後に、最適な位置を推定する。
【0024】
(ステップ5)
室内環境の変化に応じて自己適応的に融合位置決めを行う。
位置決めする前、画像認識により室内環境を識別し、システムが自己適応的に調整することを確保する。前回(一つ前の時刻)の画像と今回(今の時刻)の画像とを比較し、さらにニューラルネットワークアルゴリズムと組み合わせることにより、室内環境の変化を素早く反映できる。室内家具の移動や人の動きなど一部の大きな変化は、上述した二種類の位置決めアルゴリズムのいずれにおいても大きな誤差を生じさせるため、5G位置決め基地局の切り替えや誤差修正を行うことにより位置決め精度を高める必要がある。
【0025】
マルチラテレーション方法については、信号強度の最も大きい三つの5G位置決め基地局を利用してターゲットの位置を計算する。このため、環境が変化する際、図4に示されるように、自発的に5G位置決め基地局を切り替える。RSSI距離測定モデルにより、以下の式
【数19】
に示されるようにAとBとの両点間の受信信号の強度を得ることができる。ここで、AおよびBは二つの位置であり、QおよびUは経験則に基づく定数であり、RSSIABは位置Aにおいて受信した位置BのRSSI値を表す。環境変化はQおよびUの変化を引き起こすため、二つの定数を推定することにより環境変化による影響を低減して環境変化の距離計算に対する影響が小さくなることを保証し、
【数20】
【数21】
である。
【0026】
同様にU、QおよびU、Qを算出する。そうすると、環境変化後のモデルパラメータは
【数22】
に更新される。
【0027】
CIR指紋による位置決め方法については、見通し距離内に障害物のない5G位置決め基地局を利用して取得したオフラインCIR指紋データベースを用いる。上記の説明によれば、室内5G位置決め基地局はいずれもオフライン段階で独自のオフラインCIR指紋データベースを構築するが、障害物によって環境が変化すると、各5G位置決め基地局の受けるマルチパス効果も変化するため、変化の最も小さい5G位置決め基地局を見つけ、画像認識と組み合わせて障害物の5G位置決め基地局に対する影響を判断する必要がある。図5に示すように、障害物が5G位置決め基地局とターゲットとのパス間の内半平面内にある場合、CIR信号に対する影響は大きく、パス外平面の5G位置決め基地局に切り替える必要がある。パス外平面でれば、当該5G位置決め基地局に対する影響が低いからである。そして、受信されたパラメータの相似性に基づいて、以下の式
【数23】
により位置を予測する。ここで、[τ,p,f]は環境変化後の受信パラメータを表し、[τ,p,f]はオフラインCIR指紋データベースパラメータを表し、|・|は剰余演算を表す。
【0028】
パス外平面を満たす5G測位基地局については、外部環境による影響が大きいため、これらの測定器のオフラインCIR指紋データベースを動的に更新する必要があり、具体的には、以下のステップを含む。
【0029】
第一ステップとして、画像認識により室内環境の変化を判断し、パス内およびパス外の平面の条件を満たす5G位置決め基地局に基づいて、5G位置決め基地局を振り分け、パス内の条件を満たす5G位置決め基地局についてはオフラインCIR指紋データベースの更新が必要であると判断し、パス外の条件を満たす5G位置決め基地局の集合から受信信号の最も強い5G位置決め基地局を見つけて予測を行う。
【0030】
第二ステップとして、以下の式に示されるように、5G位置決め基地局および予測結果に基づいてオフラインCIR指紋データベースを更新する。
【数24】
ここで、F{}は更新前のマッピング関係を示し、F’{}は更新後のマッピング関係を示し、lはlに対する修正位置であって、パス外の条件を満たす5G位置決め基地局に基づいて予測した結果である。
【0031】
続いて、誤差修正を行う。画像認識により環境の変化を識別するため、5G位置決め基地局の切り替えは位置決めの正確度をある程度向上できるが、環境変化は前に分析した位置決め誤差に対しても影響を与える。このため、画像認識による識別も鑑みて、位置決め方法の誤差について修正を行う必要がある。当然でありながら、位置決め誤差の影響要因は、新しい障害物の種類、大きさおよび新しい障害物と5G位置決め基地局との距離を含む。したがって、画像認識により新しい障害物の種類および大きさを分析し、5G基地局の位置決め技術により新しい障害物と自身との距離を分析する。各5G位置決め基地局はそれぞれマルチラテレーション方法およびCIR指紋による位置決め方法の誤差修正データベースを構築し、修正後の誤差は、
【数25】
であり、ここで、CおよびCはそれぞれマルチラテレーション方法およびCIR指紋による位置決め方法の誤差修正のマッピング関係である。
【0032】
画像認識により環境が変化したと識別した場合、基地局を切り替えた後、現在位置決めを行う基地局について誤差修正するだけでなく、さらに、位置決めを行うための基地局についても誤差修正を行う。
【0033】
二種類の位置決め方法の実施および環境変化に対して自己適応的に切り替えを行うが、単一の位置決め方法には一定の誤差が存在するため、融合位置決め方法を採用する。
【0034】
既知として、マルチラテレーション方法により算出される位置がl=(x,y)で、修正誤差がendaで、CIR指紋による位置決め方法で予測される位置がl=(x,y)=F’{τ,p,f}で、修正誤差がendaであるため、平均二乗誤差の方法を用いて融合位置決めを行う。一般性が失われないように、仮に、x=max{x,y}、y=max{y,y}であるとすると、算出フローは以下のとおりである。以下の式
【数26】
で平均二乗誤差を演算し、ここで、HおよびHは誤差係数を表す。続いて、以下の式
【数27】
で融合位置決めを演算し、ここで、lは融合位置決めの演算結果である。
図1
図2
図3
図4
図5