(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】ガス比例弁ユニット及び給湯器
(51)【国際特許分類】
F16K 27/00 20060101AFI20230308BHJP
F23N 1/00 20060101ALI20230308BHJP
F23N 5/00 20060101ALI20230308BHJP
F24H 15/355 20220101ALI20230308BHJP
F16K 27/02 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
F16K27/00 Z
F23N1/00 102D
F23N5/00 C
F24H15/355
F16K27/02
(21)【出願番号】P 2018212766
(22)【出願日】2018-11-13
【審査請求日】2021-10-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】藤井 寛
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-173829(JP,A)
【文献】特開2003-185134(JP,A)
【文献】中国実用新案第206958362(CN,U)
【文献】特開2001-248479(JP,A)
【文献】特開2013-228099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00-27/12
F23N 1/00, 5/00
F24H 15/355
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部をガスが通過するガス通路を備えるバルブボディと、前記バルブボディに固定され、前記ガス通路を開閉する電磁弁と、前記バルブボディに固定され、前記ガス通路を流れるガス量を調整する比例弁とを備え、バーナに供給するガス流量を制御するガス器具のガス比例弁ユニットにおいて、
前記バルブボディは、
第一の向きに延び、第一ガス通路を内部に備える第一管部と、
前記第一管部のガスが流れる下流側の一端部に設けられ、前記第一ガス通路と連通する第一弁室を内部に備える第一弁室部と、
前記第一弁室部から前記第一の向きと交差する第二の向きに延び、前記第一弁室と連通する第二ガス通路を内部に備える第二管部と、
前記第二管部のガスが流れる下流側の一端部に設けられ、前記第二ガス通路と連通する第二弁室を内部に備える第二弁室部と、
前記第一弁室部の前記第二管部が設けられる側とは反対側の壁部と、当該壁部と連続し、前記第一管部における前記第一弁室部と接続する接続部分の壁部とに跨いで設けられ、前記第一の向きに平行な部分である第一固定部と、
前記第二弁室部の前記第一管部が位置する側の壁部に設けられ、前記第二の向きに平行な部分である第二固定部と
を備え、
前記電磁弁は、前記第一弁室内に弁体を前記第二の向きと平行な方向において進退可能に配置した状態で、前記第一固定部に対し、前記第二の向きとは反対の向きに突出するように固定され、
前記比例弁は、前記第二弁室内に弁体を前記第一の向きと平行な方向において進退可能に配置した状態で、前記第二固定部に固定され、
前記第一管部は、
内部の前記第一ガス通路における長さ方向に直交する断面が円形状である本体通路部と、
前記接続部分に対応し、内部の前記第一ガス通路における長さ方向に直交する断面が円弧部と直線部で形成される略半円形状であって、前記円弧部に対して前記直線部が前記電磁弁側に向けて配置される接続通路部と
を備え、
前記第二の向きと平行な方向において、前記第一固定部は、
前記本体通路部における前記電磁弁が配置される側の
内壁面の位置よりも前記第二の向きに凹んで形成されていること
を特徴とするガス比例弁ユニット。
【請求項2】
請求項
1に記載の比例弁ユニットを備えたことを特徴とする給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス比例弁ユニット及び給湯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯器には、バーナに供給するガス流量を制御する電磁弁ユニットが設けられる(例えば、特許文献1参照)。電磁弁ユニットは、金属製のハウジングを備える。ハウジングには、元弁と比例弁等が組み込まれる。ハウジングは内部にガス通路を備える。ハウジングは、ガスが流れる上流側から順に、第一管部、第一弁室部、第二管部、及び第二弁室部を備える。第一管部は、ガスの流れる下流側の一端で第一弁室部と接続される。第二管部は、第一管部に対して垂直な向きで、一端を第一弁室部と接続される。第二管部は、他端を第二弁室部と接続される。元弁は、第一弁室部の第二管部が設けられる側とは反対側の壁部に固定され、その弁体は、第一弁室部内に配置される。元弁は、第一弁室部内で弁体を進退することによって、ハウジング内のガス通路を開閉する。比例弁は、第二弁室部の壁部に固定され、その弁体は第二弁室部内に配置される。比例弁は、第二弁室部内で弁体を進退することによって、元弁を通過してガス通路を流れるガス量を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
元弁は、ハウジングにおける第一弁室部の壁部から第二管部の延びる向きと反対の向きに突出している。このため、筐体内において他部品と干渉してしまう場合があり、既存の電磁弁を用いた電磁弁ユニットを筐体内に収納することが困難であった。
【0005】
本発明の目的は、既存の電磁弁を用いつつ、他部品との干渉を防ぐことができるガス比例弁ユニット及び給湯器を提供することである。
【0006】
請求項1に係る発明のガス比例弁ユニットは、内部をガスが通過するガス通路を備えるバルブボディと、前記バルブボディに固定され、前記ガス通路を開閉する電磁弁と、前記バルブボディに固定され、前記ガス通路を流れるガス量を調整する比例弁とを備え、バーナに供給するガス流量を制御するガス器具のガス比例弁ユニットにおいて、前記バルブボディは、第一の向きに延び、第一ガス通路を内部に備える第一管部と、前記第一管部のガスが流れる下流側の一端部に設けられ、前記第一ガス通路と連通する第一弁室を内部に備える第一弁室部と、前記第一弁室部から前記第一の向きと交差する第二の向きに延び、前記第一弁室と連通する第二ガス通路を内部に備える第二管部と、前記第二管部のガスが流れる下流側の一端部に設けられ、前記第二ガス通路と連通する第二弁室を内部に備える第二弁室部と、前記第一弁室部の前記第二管部が設けられる側とは反対側の壁部と、当該壁部と連続し、前記第一管部における前記第一弁室部と接続する接続部分の壁部とに跨いで設けられ、前記第一の向きに平行な部分である第一固定部と、前記第二弁室部の前記第一管部が位置する側の壁部に設けられ、前記第二の向きに平行な部分である第二固定部とを備え、前記電磁弁は、前記第一弁室内に弁体を前記第二の向きと平行な方向において進退可能に配置した状態で、前記第一固定部に対し、前記第二の向きとは反対の向きに突出するように固定され、前記比例弁は、前記第二弁室内に弁体を前記第一の向きと平行な方向において進退可能に配置した状態で、前記第二固定部に固定され、前記第一管部は、内部の前記第一ガス通路における長さ方向に直交する断面が円形状である本体通路部と、前記接続部分に対応し、内部の前記第一ガス通路における長さ方向に直交する断面が円弧部と直線部で形成される略半円形状であって、前記円弧部に対して前記直線部が前記電磁弁側に向けて配置される接続通路部とを備え、前記第二の向きと平行な方向において、前記第一固定部は、前記本体通路部における前記電磁弁が配置される側の内壁面の位置よりも前記第二の向きに凹んで形成されていることを特徴とする。
【0007】
【0008】
請求項2に係る発明の給湯器は、請求項1に記載のガス比例弁ユニットを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明のガス比例弁ユニットによれば、簡単な構成で、且つ既存の電磁弁を用いても、バルブボディからの電磁弁の突出量を抑えることができる。よって、既存の電磁弁を用いつつ、他部品との干渉を防ぐことができる。
【0010】
また、ガス比例弁ユニットによれば、第一ガス通路は、本体通路部の長さ方向に直交する断面を円形状にしているが、第一固定部が本体通路部の電磁弁側の壁部よりも第二方向側に凹んでいることから、接続部分に対応する接続通路部において、その内部のガス通路は直線部を電磁弁側に向けた略半円の断面形状をしている。これにより、バルブボディからの電磁弁の突出量を抑えつつも、接続部分におけるガス流通を担保できる。
【0011】
請求項2に係る発明の給湯器によれば、請求項1に記載の効果を得ることができ、ガス比例弁ユニットと他部品の干渉を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図3】バルブユニット41周囲の下方からの斜視図である。
【
図4】バルブユニット41の下方からの斜視図である。
【
図6】カバー体60を除いたバルブユニット41の上方からの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載されている装置の構造などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下説明は、図中に矢印で示す左右、前後、上下を使用する。
【0014】
図1を参照し、ガス給湯器1の外観構造を説明する。ガス給湯器1は、筐体2とフロントカバー3を備える。筐体2は金属製であり、前面を除く五面が囲まれる略直方体状に形成される。筐体2は、天板(図示外)、底板4、左側面板(図示外)、右側面板5、及び背板(図示外)を備える。背板の上端部及び下端部には、取付用金具6が夫々設けられる。底板4には、外部の給湯栓へ繋がる出湯口11、外部から水道管が接続される入水口12、外部からガス供給管が接続されるガス入口13が夫々設けられる。
【0015】
フロントカバー3は金属製であり、背面を除く五面が囲まれる略直方体状に形成される。フロントカバー3の前面の上部には、左右方向に延びる開口が設けられ、当該開口から排気筒9が前方に突出している。フロントカバー3の底面及び左右側面の下部には、スリット状に形成される複数の吸気口10が間隔を空けて設けられる。
【0016】
図2,
図3を参照し、筐体2の内部構造を説明する。筐体2の内部には、燃焼室20、燃焼ファン29、給水管31、出湯管32、バイパス管33、ガス管40、バルブユニット41等が設けられる。燃焼室20には複数のバーナが左右方向に積層した、2つのバーナ群28、熱交換器22、及び排気筒9を備える。2つのバーナ群28は、燃焼室20の下側に設けられる。2つのバーナ群28のうち片側のバーナ群28の近傍には、フレームロッド26及び点火プラグ27が設けられる。熱交換器22は、2つのバーナ群28の上方に設けられる。熱交換器22は内部を通水可能な管体23を備え、2つのバーナ群28からの燃焼排気の熱によって管体23内を流れる水が加熱される。排気筒9は、燃焼室20の前面上部に設けられる。排気筒9は、熱交換器22の内部を通過した燃焼排気を整流しつつガス給湯器1の外へ排出する。燃焼ファン29は、燃焼室20の底部に設けられた開口部24の直下に設けられる。燃焼ファン29は、開口部24を介して、2つのバーナ群28に向けて二次空気を供給する。
【0017】
給水管31は、一端が入水口12に接続され、他端が熱交換器22の管体23の入口に接続される。給水管31には、水が流れる上流側から順に、水流スイッチ36、水量センサ34、及び水量制御モータ35が設けられる。水流スイッチ36は、給水管31内を水が流れているか否かを検出する。水量センサ34は、給水管31を流れる水量を計測する。水量制御モータ35は、給水管31を流れる水量を制御する。出湯管32は、一端が出湯口11に接続され、他端が熱交換器22の管体23の出口に接続されている。バイパス管33は、給水管31と出湯管32の間に接続されている。バイパス管33は、給水管31に流れる水の一部を、出湯管32を流れる湯に合流させる。
【0018】
ガス管40は、一端がガス入口13に接続され、他端がバルブユニット41に接続される。バルブユニット41は、燃焼室20の下方に設けられる。バルブユニット41には、後述する元ガス電磁弁43及び比例弁44等を備える。バルブユニット41は、ガス管40から2つのバーナ群28に向けて供給されるガス量を制御し、ノズル台46(
図3では省略)を介して、2つのバーナ群28にガスを供給する。
【0019】
ガス給湯器1の作動を簡単に説明する。水流スイッチ36が入水口12より給水管31に水が流入したことを検出すると、燃焼ファン29が作動し、バーナ群28に空気が供給される。次いで、バルブユニット41内のガス通路が開き、ガス入口13から供給されるガスがバーナ群28へ送られる。点火プラグ27が放電して生じた火花により、バーナ群28は点火し、ガスと空気の混合気を燃焼させる。熱交換器22の管体23内を流れる水は、バーナ群28による燃焼排気熱によって加熱される。フレームロッド26がバーナ群28の炎を検出すると、バルブユニット41内部のガス通路は開状態が維持される。バルブユニット41によってバーナ群28に送られるガス量が制御される。水量センサ34で計測した水量に基づいて水量制御モータ35によって給水管31を流れる水量が制御される。水流スイッチ36が入水口12から給水管31に水の流入がなくなったことを検出すると、バルブユニット41内のガス通路が閉じ、バーナ群28は消火する。そして、燃焼ファン29の作動が停止し、ガス給湯器1は作動を停止する。
【0020】
図4から
図8を参照し、バルブユニット41の構造を説明する。
図4に示すように、バルブユニット41は、ガス比例弁ユニット41A及び切替ユニット41Bを備える。ガス比例弁ユニット41Aはバルブユニット41の下側に、切替ユニット41Bはバルブユニット41の上側に設けられる。ガス比例弁ユニット41Aは、ガス入口13から供給されるガスの流通の開閉制御及びバーナ群28に供給するガス量の制御を行う。切替ユニット41Bは、ガス比例弁ユニット41Aから供給されるガスを2つのバーナ群28に分配制御する。
【0021】
図5を参照し、ガス比例弁ユニット41Aを説明する。
図5はバルブユニット41の縦断面図である。
図5に示すように、ガス比例弁ユニット41Aは、下バルブボディ42A、元ガス電磁弁43、及び比例弁44を備える。下バルブボディ42Aは金属製で、略逆L字状に形成される。下バルブボディ42Aは、ガスが流れる方向の上流側から順に、第一管部51、第一弁室部52、第二管部53、第二弁室部54を備える。第一管部51は第一ガス通路61、第一弁室部52は第一弁室62、第二管部53は第二ガス通路63、第二弁室部54は第二弁室64を夫々有する。第二弁室部54の上端部は開口している。
【0022】
第一管部51は上下方向に延びて設けられる。第一管部51は、本体通路部51Aと接続通路部51Bを備える。本体通路部51Aは、第一管部51の下側に配置される。本体通路部51Aの下端部は、ガス管40を介してガス入口13と接続され、上端部で接続通路部51Bと接続する。
【0023】
本体通路部51Aは、上下方向と直交する断面が円形である本体通路61Aを有する。接続通路部51Bは、上下方向と直交する断面が円弧部と直線部で形成される略半円形状である接続通路61Bを有する。尚、接続通路61Bの略半円形断面は半円形状を構成する直線部が円弧部に対して後側に向けて配置される。本体通路61Aは接続通路61Bと連通する。接続通路61Bの上下方向と直交する断面積は、本体通路61Aの上下方向と直交する断面積よりも小さい。接続通路部51Bの後端の壁部は、本体通路部51Aの後端の壁部より前側に配置される。
【0024】
第一弁室部52は、接続通路部51Bの上端部に設けられる。第一弁室部52の後端の壁部と接続通路部51Bの後端の壁部とは、前後方向において略同じ位置に配置される。第一弁室部52の後端の壁部及び接続通路部51Bの後端の壁部は、電磁弁固定部56として元ガス電磁弁43の固定座として形成される。第一弁室62は、接続通路61Bと連通する。
【0025】
第二管部53は、第一管部51の延びる方向と垂直である前後方向に延び、その後端部は第一弁室部52と接続され、前端部は第二弁室部54と接続されて設けられる。第二弁室部54の下端部には比例弁44の固定座として比例弁固定部57が設けられる。第二ガス通路63は第一弁室62及び第二弁室64と連通する。
【0026】
元ガス電磁弁43の弁体43Aは第一弁室62に前後方向に進退可能に設けられる。元ガス電磁弁43は、弁体43Aの他に、電磁コイル43B、プランジャ43C、ケース43D、及びスプリング(図示略)を備える。弁体43Aはスプリングによって常時前方向に付勢される。従って、第二ガス通路63は元ガス電磁弁43によって閉じられている。電磁コイル43Bが通電されると、弁体43Aに取り付けられたプランジャ43Cが後方に引き込まれる。従って、第二ガス通路63は元ガス電磁弁43によって開かれる。このように、元ガス電磁弁43は第一弁室62にて第二ガス通路63を開閉する。
【0027】
元ガス電磁弁43のケース43Dは電磁弁固定部56にて固定され、元ガス電磁弁43は電磁弁固定部56より後方に突出する。上述の通り、接続通路部51Bの後端の壁部が本体通路部51Aの後端の壁部より前側に配置されている。また、第一弁室部52の後端の壁部と接続通路部51Bの後端の壁部とは、前後方向において略同じ位置に配置される。従って、電磁弁固定部56は本体通路部51Aの後端の壁部より前側に配置される。よって、電磁弁固定部56に元ガス電磁弁43を固定することにより、ガス比例弁ユニット41A全体で見た時に、元ガス電磁弁43の後方への突出量が抑えられる。よって、ガス比例弁ユニット41Aは既存の電磁弁を用いつつ、他部品との干渉を防ぐことができる。
【0028】
また、第一管部51の本体通路部51Aは、内部のガス通路である本体通路61Aの上下方向に直交する断面が円形状をしている。一方、電磁弁固定部56が本体通路部51Aの後端の壁部よりも前側に凹んでいることから、接続通路部51Bにおいては、内部のガス通路である接続通路61Bの上下方向に直交する断面が円弧部と直線部で形成される略半円形状の断面形状をしている。また、略半円形状を構成する直線部を円弧部に対して元ガス電磁弁43側に向けている。これにより、下バルブボディ42Aからの元ガス電磁弁43の突出量を抑えつつも、接続通路61Bにおけるガス流通を担保できる。
【0029】
比例弁44の弁体44Aは第二弁室64に上下方向に進退可能に設けられる。比例弁44は、弁体44Aの他に、電磁コイル44B、制御鉄心44C、ケース44D、スプリング44E、ダイヤフラム44Fを備える。弁体44Aは、第二弁室部54の下端部に設けられた開口を閉塞するダイヤフラム44F、及び電磁コイル44Bの内側を上下方向に進退可能に設けられる制御鉄心44Cと連結している。ケース44Dは比例弁固定部57にて固定され、比例弁44は第二弁室部54より下方に突出する。スプリング44Eは、上バルブボディ42Bの内部に設けられたリング状のリング状孔部67に収容され、弁体44Aを常時下方向に付勢する。電磁コイル44Bが通電されると、通電電流値に比例した上方向への押圧力が弁体44Aに付与される。また第二弁室内のガス圧が変動しても、ダイヤフラム44Fに連動して弁体44Aが変位し、ガス圧の変動によるガスの流量の変動が抑制される。このように、比例弁44は第二弁室64にて元ガス電磁弁43を通過して流れるガス量を調整する。
【0030】
図6から
図8を参照して切替ユニット41Bを説明する。
図6に示すように、切替ユニット41Bは、上バルブボディ42Bと切替電磁弁45を備える。上バルブボディ42Bは金属製で、上下方向に延びて形成される。上バルブボディ42Bの上端部には、2つの切替弁室部55が左右に並んで設けられる。切替弁室部55の前面には、夫々、切替ユニット41B内を流れるガスを流出させるガス開口66が設けられる(
図4参照)。2つのガス開口66はノズル台46と接続される。
【0031】
上バルブボディ42Bの内部には、上下方向に延びる上ガス通路65を備える(
図5参照)。上バルブボディ42Bは下端部が開口しており、下バルブボディ42Aと接続されたとき、第二弁室64と上ガス通路65が連通する。切替弁室部55の内部には、夫々、切替弁室(図示外)が設けられる。上ガス通路65は2つの切替弁室と連通する。
【0032】
切替電磁弁45は、切替弁室部55の後端の壁部に固定される。切替電磁弁45の弁体(図示外)は、切替弁室に前後方向に進退可能に設けられ、ガス開口66を開閉可能である。従って、2つの切替弁室へ流れたガスは、2つの切替電磁弁45の開閉の状況に応じて2つのバーナ群28へ分配供給される。
【0033】
図7、
図8を参照してカバー体60の構造を説明する。給水管31の一部はバルブユニット41の直上、且つ燃焼室20の下方に配置される(
図3参照)。給水管31内部を流れる水の温度とガス給湯器1内部の温度の関係により、給水管31の表面に結露が生じることがある。この結露水が、滴下してバルブユニット41の上端部に設けられた切替電磁弁45と接触する場合がある。切替電磁弁45と水の接触を防ぐため、バルブユニット41にはカバー体60が設けられる。カバー体60は透明樹脂製で、上面部60A、右側面部60B、及び左側面部60Cを備える。上面部60Aは平面視矩形状に形成される。右側面部60B及び左側面部60Cは、上面部60Aの左右方向端部の全域から垂れ下がるように設けられる。
【0034】
右側面部60B及び左側面部60Cには、孔部60Eが夫々二個ずつ上下方向に並んで設けられる。孔部60Eは、十字の切れ込みで形成される。上バルブボディ42Bには、孔部60Eの対応する位置に突起部42Cが設けられる。突起部42Cは断面T字状に形成され、孔部60Eと係止可能である。従って、カバー体60は、孔部60Eと突起部42Cを係止することで上バルブボディ42Bに容易に且つ外れないように取り付けられる。また、カバー体60の上面部60Aではなく、右側面部60B、左側面部60Cにて係止しているので、カバー体60に滴下した水が上面部60Aより内側に侵入するのを抑制できる。よって、バルブユニット41はカバー体60により水がバルブユニット41の切替電磁弁45と接触するのを効果的に抑制できる。
【0035】
カバー体60の一対の側面部である右側面部60B、左側面部60Cは、上バルブボディ42Bに対して夫々複数の箇所で係止されるので、カバー体60はバルブボディ42に対して回動しなくなる。仮にカバー体60がバルブボディ42に対して回動すると、十分にバルブボディ42や切替電磁弁45を覆えなくなり、バルブボディ42の上面に水が滴下し、切替電磁弁45に水が伝ってしまうことや、直接、切替電磁弁45に水が滴下することが考えられる。よって、カバー体60がバルブボディ42に安定して支持されることで、カバー体60の効果を担保することができる。
【0036】
更に、カバー体60は透明樹脂製である。ガス給湯器1の組立や点検時において、上バルブボディ42Bに設けられた突起部42Cと、カバー体60に設けられた孔部60Eとの位置関係を把握しやすくなる。よって、カバー体60のバルブボディ42への取り付け又はバルブボディ42からの取り外しが容易になる。
【0037】
図7に示すように、カバー体60の上面部60Aは、右側に向かって下方に傾斜している。また、
図8に示すように、カバー体60の上面部60Aは、後側に向かって下方に傾斜している。従って、カバー体60は、給水管31より滴下した水の流れをコントロールすることができ、カバー体60の定点から水を滴下することができる。よって、カバー体60より滴下した水が、バルブユニット41より下部に配置された電気機器(例えば、水量制御モータ35等)と接触するのを抑制できる。
【0038】
また、
図8に示すように、カバー体60の上面部60Aの後端部にはカバー体壁部60Dが上方に突出して設けられる。カバー体壁部60Dは、左右方向の全域に亘って設けられる。これにより、上面部60Aの後端部より水が滴下することが抑制され、給水管31より滴下した水の流れを更にコントロールすることができる。
【0039】
図8には参考として、給水管31を併せて示す。カバー体60は、給水管31の下方に配置される。カバー体60は切替電磁弁45の上方を覆っている。カバー体60の前後方向の長さは、給水管31、上バルブボディ42B、及び切替電磁弁45の位置関係を勘案して決定される。
【0040】
上述の通り、バルブユニット41には切替電磁弁45の他に元ガス電磁弁43及び比例弁44が設けられる。元ガス電磁弁43は切替電磁弁45の下方後側に配置される。カバー体壁部60Dによりカバー体60より後方に水が流れることが抑制される。そして、元ガス電磁弁43は左右方向でカバー体60の内側に設けられるので、カバー体60より滴下した水は元ガス電磁弁43と接触し難い。よって、カバー体60は元ガス電磁弁43と水の接触も抑制できる。また、比例弁44は切替電磁弁45の下方前側に配置される。
図7、
図8に示すように、上面部60Aの傾斜により、水は比例弁44から遠ざかる方向に流れる。そして、比例弁44は左右方向でカバー体60の内側に設けられるので、カバー体60より滴下した水は比例弁44と接触し難い。カバー体60により比例弁44と水が接触することも抑制できる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態のガス比例弁ユニット41Aは、内部をガスが通過するガス通路を備える下バルブボディ42Aと、下バルブボディ42Aに固定され、ガス比例弁ユニット41A内部のガス通路を開閉する元ガス電磁弁43と、下バルブボディ42Aに固定され、元ガス電磁弁43を通過してガス比例弁ユニット41A内のガス通路を流れるガス量を調整する比例弁44とを備える。下バルブボディ42Aは、上方向に延び、第一ガス通路61を内部に備える第一管部51と、第一管部51のガスが流れる下流側である上端部に設けられ、第一ガス通路61と連通する第一弁室62を内部に備える第一弁室部52と、第一弁室部52から前方向に延び、第一弁室62と連通する第二ガス通路63を内部に備える第二管部53と、前記第二管部53の前端部に設けられ、第二ガス通路63と連通する第二弁室64を内部に備える第二弁室部54と、第一弁室部52の後端の壁部と、当該壁部と連続し、第一管部51における第一弁室部52と接続する接続通路部51Bの壁部とに跨いで設けられ、上下方向に平行な部分である電磁弁固定部56と、第二弁室部54の下端の壁部に設けられ、前後方向に平行な部分である比例弁固定部57とを備える。元ガス電磁弁43は、第一弁室62内に弁体43Aを前後方向において進退可能に配置した状態で、電磁弁固定部56に対し、後方に突出するように固定される。比例弁44は、第二弁室64内に弁体44Aを上下方向において進退可能に配置した状態で、比例弁固定部57に固定される。電磁弁固定部56は、第一管部51における本体通路部51Aの後端の壁部よりも前方向に凹んで形成されている。故に、簡単な構成で、且つ既存の元ガス電磁弁43を用いても、下バルブボディ42Aからの元ガス電磁弁43の突出量を抑えることができる。よって、ガス比例弁ユニット41Aは既存の電磁弁を用いつつ、他部品との干渉を防ぐことができる。
【0042】
本体通路部51A内部のガス通路である本体通路61Aの上下方向と直交する断面は円形である。また、接続通路部51B内部のガス通路である接続通路61Bの上下方向と直交する断面は円弧部と直線部で形成される略半円形状であり、円弧部に対して直線部を元ガス電磁弁43側に向けて配置されている。第一ガス通路61は、本体通路部51Aの内部のガス通路である本体通路61Aの長さ方向に直交する断面を円形状にしているが、電磁弁固定部56が本体通路部51Aの後端の壁部よりも前方向に凹んでいることから、接続通路部51Bにおいては、直線部を元ガス電磁弁43側に向けた略半円形の断面形状をしている。これにより、下バルブボディ42Aからの元ガス電磁弁43の突出量を抑えつつも、接続部分におけるガス流通を担保できる。
【0043】
ガス給湯器1は、本実施形態のガス比例弁ユニット41Aを備えていることから、ガス比例弁ユニット41Aと他部品の干渉を防ぐことができる。
【0044】
上記説明にて、下バルブボディ42Aが本発明の「バルブボディ」の一例である。元ガス電磁弁43が本発明の「電磁弁」の一例である。電磁弁固定部56が本発明の「第一固定部」の一例である。比例弁固定部57が本発明の「第二固定部」の一例である。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態において、給水管31の一部がバルブユニット41の直上に配置されるが、結露の可能性がある通水管であればよく、バイパス管33の一部がバルブユニット41の直上に配置されてもよい。また、給水管31とバイパス管33の両方がバルブユニット41の直上に配置されてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、カバー体60の右側面部60B及び左側面部60Cに、孔部60Eが夫々二個ずつ設けられたが、孔部60Eはカバー体60の一方の側面に複数個、他方の側面に少なくとも一個設けられていればよい。例えば、右側面部60Bに孔部60Eが二個、左側面部60Cに孔部60Eが一個設けられ、上バルブボディ42Bの孔部60Eの対応する位置に突起部42Cが設けられてもよい。
【0047】
また、上記実施形態では、カバー体60の右側面部60B及び左側面部60Cは、上面部60Aの左右方向端部の全域から垂れ下がるように設けられたが、突起部42Cを覆うように設けられていればよい。
【0048】
また、上記実施形態では、カバー体60は透明樹脂からなっていたが、少なくとも孔部60Eの周辺部が透明部材であればよい。
【0049】
また、上記実施形態では、カバー体60の孔部60Eは十字の切れ込みで形成されているが、例えば円孔等、他の形状でもよい。また、上バルブボディ42Bの突起部42Cは断面T字状に形成されているが、例えば鉤状等、他の形状でもよい。また、カバー体60に孔部60E、上バルブボディ42Bに突起部42Cが設けられているが、孔部60Eと突起部42Cが対応関係にあればよく、例えばカバー体60に突起部、上バルブボディ42Bに孔部が設けられてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、突起部42Cは全て上バルブボディ42Bに設けられたが、下バルブボディ42Aに設けてられてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、電磁弁固定部56は第一弁室部52と接続通路部51Bとに跨いで設けられているが、第一弁室部52のみに設けてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、第一管部51は上下方向に延びているが、上下方向に沿って蛇行して設けられてもよい。また、左右方向、前後方向等、他の方向に延びてもよい。同様に、第二管部53は前後方向に延びているが、前後方向に沿って蛇行して設けられてもよい。また、上下方向、左右方向等、他の方向に延びてもよい。第一管部51と第一弁室部52の接続部と、第二管部53と第一弁室部52の接続部とが同一直線状になければ自由に配管してよい。
【0053】
また、上記実施形態では、接続通路部51B内部のガス通路である接続通路61Bの上下方向と直交する断面は円弧部と直線部で形成される略半円形状であるが、当該直線部が元ガス電磁弁43側に向けて配置されていればよく、接続通路61Bの上下方向と直交する断面が多角形で形成されてもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、接続通路61Bの上下方向と直交する断面積は、本体通路61Aの上下方向と直交する断面積よりも小さいとしたが、同等若しくは大きくてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、バーナ群28及び切替電磁弁45は夫々2つ設けられたが、バーナ群28及び切替電磁弁45の数は任意の数でよい。
【符号の説明】
【0056】
41A ガス比例弁ユニット
42A 下バルブボディ
43 元ガス電磁弁
44 比例弁
51 第一管部
51A 本体通路部
51B 接続通路部
52 第一弁室部
53 第二管部
54 第二弁室部
56 電磁弁固定部
57 比例弁固定部
61 第一ガス通路
61A 本体通路
61B 接続通路
62 第一弁室
63 第一ガス通路
64 第二弁室