(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】セルロース系燃料ペレットの製造方法及び装置
(51)【国際特許分類】
C10L 5/44 20060101AFI20230308BHJP
B02C 18/14 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
C10L5/44
B02C18/14 A
(21)【出願番号】P 2020508482
(86)(22)【出願日】2018-08-15
(86)【国際出願番号】 NO2018050211
(87)【国際公開番号】W WO2019035723
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2021-06-24
(32)【優先日】2017-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NO
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515228645
【氏名又は名称】アルバフレーム・テクノロジー・アーエス
【氏名又は名称原語表記】ARBAFLAME TECHNOLOGY AS
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ブルスレット,ルネ
【審査官】森 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-237859(JP,A)
【文献】国際公開第2013/006258(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/050259(WO,A1)
【文献】特開2011-255561(JP,A)
【文献】国際公開第2006/006863(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第102806126(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 5/44
B02C 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大型で長尺の木質材料(23)からセルロース系の燃料ペレットを製造する方法であって、
-i)大型で長尺の木質材料(23)を粒子状木質材料(54)に粉砕することと、
-ii)材料中のリグニンを軟化させるのに十分な温度まで十分な時間加熱した反応器(61)内での熱処理を粒子状材料に施すことと、
-iii)粒子状材料の解繊を引き起こす方法で減圧することと、
-iv)軟化したリグニンをペレットのバインダーとして少なくとも部分的に使用して材料をペレット化することと、を含み、
大型の木質材料(23)の粉砕は、切歯を備えた少なくとも1つの回転ドラム(22)が大型で長尺の木質材料を完全に粉砕するような方法で配置されている粉砕ステーション(12)に大型で長尺の木質材料が投入される、単一工程の作業として実施され、
粉砕ステーション(12)が、そこから漏れ出る粉塵を減らすために減圧下で作動され
、
回転ドラム(22)は、個々の鋸刃のスタックとして組み立てられ、個々の刃が別々に交換可能であり、
個々の鋸刃は、隣接する鋸刃に篏合するように配置された回転軸方向の突起と凹部を備えた中央領域を有する方法。
【請求項2】
大型で長尺の木質材料(23)は、材木用丸太及び材木用丸太の部分から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
粉砕は、得られた粒子状材料(54)が約10mmの最大直線寸法、より好ましくは5mmの最大直線寸法を有するように行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
粒子状木質材料は、反応器内で180~250℃の範囲の温度で1~15分間加熱される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
加熱プロセスが加圧蒸気によって少なくとも部分的に実施される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
粒子状材料(54)が少なくとも2つの断片に分割され、望ましい最小サイズよりも小さい断片は、望ましい最小サイズよりも小さい断片が熱処理を受ける前に、望ましいサイズ範囲内の粒子状材料から分離される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
望ましいサイズ範囲が2mm~10mmの間、より好ましくは2mm~5mmの間である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
望ましいサイズ範囲より小さい粒子状材料の断片を収集し、加熱プロセスの熱又は持続時間に関してより緩やかな条件を使用して、熱処理及びその後のペレット化を施す、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
大型で長尺の木質材料(23)からセルロース系の燃料ペレットを製造する装置であって、
-大型で長尺の木質材料を粒子状木質材料に粉砕するように構成されている粉砕ステーション(12)と、
-木質材料を、材料中のリグニンを軟化させるのに十分な温度まで十分な時間加熱し、その後、粒子状材料の解繊を引き起こす方法で減圧するように構成されている処理プラントと、
-処理した粒子状木質材料をその後ペレット化するペレット化設備と、を備え、
粉砕ステーション(12)は、切歯を備えた回転ドラムを使用して大型の木質材料(23)を単一工程の作業として粉砕するように構成されており、歯のサイズ及びドラムの回転速度は長尺の木材を望ましい粒子サイズに切断するように適合され、
切断ドラム(22)は、個々の鋸刃のスタックとして組み立てられ、個々の刃が別々に交換可能であ
り、
個々の鋸刃は、隣接する鋸刃に篏合するように配置された回転軸方向の突起と凹部を備えた中央領域を有する装置。
【請求項10】
切歯は、粒子状材料の最大の直線寸法に対応する最大の直線寸法を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
切断ドラム(22)は、その歯を除き単一の分割不可能な構造である、請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
粉砕ステーション(12)は、断面の寸法が粉砕されるべき最大の丸太の断面の少なくとも2倍である1つの切断ドラム(22)を備える、請求項9~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
粉砕ステーション(12)は、大直径を有する丸太を粉砕するための2つの切断ドラム(32a、32b)を備える、請求項9~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
粉砕ステーション(12)から熱処理プラント(13)へ粒子状木質材料(54)を運ぶためのシュート(27)を更に備える、請求項9~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
粉砕ステーション(12)を減圧下に置く手段を更に備える、請求項9~14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
粒子状木質材料を微粒子断片と粗い断片に分割する手段を更に備える、請求項9~14のいずれか一項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は請求項1の前文に示される燃料ペレットの製造に関する。別の態様によれば、本発明は請求項10の前文に示されるセルロース系燃料ペレットの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
セルロース系の燃料ペレットは数十年前から知られている。エネルギー生産の持続可能性への注目が高まっているため、主に石炭用に設計された産業用燃焼プラントでのセルロース系のペレットの使用が提案され、試みられている。十年余りの間、そのようなセルロース系の燃料ペレットのエネルギー含有量を増やし、石炭と比較して競争力を高め、石炭と組み合わせて又は石炭の代替として発電用の産業燃焼プラントにおける使用により好適とするための様々な試みが行われてきた。
【0003】
ブラックペレットとも呼ばれる、エネルギーを強化したセルロース系燃料ペレットを生産するためのいくつかの代替プロセスが開発されており、これによれば、主に木材及び木工業からの廃棄物であるセルロース含有材料に粉砕、熱処理を施し、低湿気含有量に制御されたペレットとする。このような熱処理の非常に興味深いプロセスの1つは、蒸気爆砕と呼ばれる。
【0004】
関心度はやや低いものの、セルロース材料を粉砕するプロセスもまた、セルロース系のペレット生産及び特に高エネルギーのブラックペレットに関連して重要な領域である。粉砕は、エネルギー効率の良い方法で、時間効率の良い方法で、制御された粒子サイズによって、かつ好ましくは、連続して生産する能力を維持しつつ、大きな貯蔵容積の必要性を減らす方法で行われることが重要である。
【0005】
従来のプロセスでは、ペレット化に先行する熱処理のための蒸気爆砕プロセス又は他の適切なプロセスに投入されるセルロース含有材料の粒子サイズ、特に粒子サイズ分布はほとんど制御されていなかった。これは、多数の要因によるものであり、一部は起源が異なり物理的性質が異なるセルロース材料が熱処理前に混合され、異なる種類の材料の粉砕に様々な種類の設備が使用されていたという要因、一部はプロセスの内のこの部分はあまり重要視されなかったという要因である。
【0006】
粒子サイズに高度のばらつきがある場合、材料の望ましい特性を得るための熱処理がどれほど厳格なものであるべきかを知ることは困難である。大きな粒子に適度な条件が適用されると、リグニン材料の軟化が不十分になる得る一方、小さな粒子により厳格な条件が適用された場合、材料の望ましくない分解、望ましくない高エネルギー消費及び有害なガス又は不快な臭気を伴うガスの解放が発生し得る。
【0007】
おがくず、木材などの生物学的材料から蒸気爆砕技術を使用して燃料ペレットを製造する方法は、WO2006/006863に記載されている。おがくずなどの製造方法については、この出版物ではコメントも議論もされていない。
【0008】
丸太からペレット化するのに適した粒子を製造するための標準的なプロセスは、次の2工程からなる小型化である。
-ディスク又はドラムチッパにより丸太を細かく砕き、20~50mm×20~50mm×3~15mmの一般的なサイズのチップを得ること
-ハンマミル又はナイフリングミルによりチップを粉砕し、5~50mm×0.2~5mm×0.2~5mmの一般的な粒子サイズを得ること
【0009】
木材を切り刻むプロセスは、例えば、米国特許No.1942675号、3061207号、4317544号、及び2299248号より知られている。
【0010】
目的
本発明の目的は、技術的かつ経済的に効率的な手法で、丸太から木質系燃料ペレット、特にブラックペレットを製造する方法を提供することである。
【0011】
更に、セルロース原料の粒子サイズ及び粒子サイズ分布の改善された制御を可能にする方法を提供することが目的である。
【0012】
丸太全体を生産のために直接使用できる方法と装置を提供することが特段の目的である。
【0013】
熱処理及びその後の木質材料の解繊を使用して高エネルギーのブラックペレットの製造を可能にする方法及び装置を提供することが更なる目的である。
【0014】
製造プラントに必要なスペースに関して効率を高めることが特に目的である。
【0015】
環境にやさしい上記の方法を提供することが更なる目的である。
【0016】
1工程による小型化の利点は、エネルギー消費量がより少なくなり、フットプリントがより小さくなり、蒸気爆砕のための粒子サイズ分布がより均一であるのみでなく、石炭に使用される一般的なボールミル内での粉砕により適した粒子形状であることである。
【0017】
本発明
上記の目的は、本発明の第1の態様を表す請求項1により定義される方法により満たされる。
【0018】
別の態様によれば、本発明は、請求項10に記載の装置に関する。
【0019】
好ましい実施形態は、従属請求項によって開示される。
【0020】
本発明は、丸太全体から木質系の燃料ペレット、より具体的には、高エネルギーのブラックペレットを製造する方法であり、丸太の全部が現場で、単一の統合された作業で粉砕され、比較的より低いエネルギーコスト、より低い粉塵放出、粒子サイズの厳密な制御及び保管容積と輸送コストの削減を伴う。
【0021】
本発明によれば、丸太は、ペレット化製造プラントの現場で、ペレットの生産速度に対応する速度で粉砕され、したがって、粒子状セルロース系材料のための大きな貯蔵室の必要性を排除する。
【0022】
粉砕はまた、材料の粒子サイズ分布の制御を確実にする方法で行われるため、プロセスに投入される粒子に対する熱処理の温度、圧力、及び持続時間の条件を最適化することができる。
【0023】
粉砕は、環境への発生した粉塵の解放を最小限に抑える方法でも行われる。
【0024】
最後に、粉砕はエネルギー効率と時間効率が高い方法で行われる。
【0025】
本発明による方法は、粉砕ステーションがペレット化プラントと一体の部分である方法であり、粒子状セルロース原料を適切で必要なときに、望ましい均一な粒子サイズで効率的に製造でき、大容積の貯蔵スペースを不必要とする。
【0026】
原料の粒度分布の限定により、熱処理を、温度、水分、及び滞留時間に関してその粒度に最適化でき、最終製品の特性を危険にさらしたり、原料の一部を過熱させたりして材料の損失及び不快又は有毒なガスの発生を引き起こすことなくエネルギーを節約できる。熱処理は通常、加圧蒸気を使用して行われる。
【0027】
最大の粒子では、寸法は粒子の最大の直線「長さ」であるとみなされる。偏差は発生する可能性があり、発生するであろうが、所定の寸法基準を満たすためには、粒子の数で少なくとも95%が基準を満たすべきである。
【0028】
本発明の切断ドラムは、切歯、典型的には交換可能な歯を備えた一体の円筒ドラムを意図しており、前記円筒ドラムは、その歯を除き単一の分割不可能な構造を任意選択的に有する。
【0029】
代替的な構成は、スタックとして多数の個々の鋸刃から組み立てられた切断ドラムであり、各刃は通常、隣接する鋸刃に嵌合するように配置された横方向の突起と凹部の中央領域を有し、それらの刃は連動し、2つの近接する刃の間で隣接する歯は互いにわずかにオフセットするようになっている。実際には、これは隣接するブレードの歯は互いに整列していないことを意味する。したがって、ブレードn上にある(任意の)歯とブレードn+1上にある、最も近接した歯とが全く同時に丸太に当たることはないため、2倍の幅を持つ1つの歯として機能することはない。切断ドラムが個々の鋸刃から組み立てられている場合、個々の刃は当然個別に交換できる。
【0030】
典型的には、切断ステーションからの粒子状材料は、変更できるが、10mm、より好ましくは5mm、いくつかの実施形態についてより好ましくは約3mmの最大直線寸法を有する。これを得るために、切歯は、粒子状材料の最大直線寸法に対応する最大直線寸法を有する。
【0031】
切断ドラムの直径は広い範囲内で変更することができる。切断ステーションにドラムが1つしかない場合、その直径は、そのステーションに投入する最大の丸太の直径の少なくとも約2倍にするべきである。ただし、大直径の切断ドラムの製造は非常に高価であり、2倍の直径を持つ切断ドラムを製造するよりも、おおよそ標準の直径である2つの切断ドラムを配置する方が経済的である。一般的な切断ドラムの直径は250~500mmである。
【0032】
ドラムの回転速度、より具体的には粉砕される丸太の投入速度に対するドラムの表面速度もまた重要な要素である。
【0033】
切断ドラムの回転速度、特にドラムの表面速度とドラムによって粉砕される丸太の直線前進速度の間の比率は、特定の粒子サイズに関して望ましい結果を得るための重要なパラメータである。丸太の直線前進運動が1m/sの場合、丸太の各部分を5mmを超えない長さにするには、少なくとも200回切断する必要がある。円周線に沿った歯間の距離が既知の場合、ドラム表面速度を計算できる。直線距離が2.5cmの場合、表面速度は少なくとも200×2.5cm=500cm/sである必要がある。ドラムの直径が50cmの場合、外周は157cmであり、必要な回転速度は60×500/157=191rpmになる。速度を上げると、当然、粒子が小さくなる。直径の小さいドラムを使用すると、同じサイズの粒子を得るためにより高い速度が必要になる。当業者は、他のパラメータが設定されている場合、所与の粒子サイズに必要な回転速度を容易に計算することができる。
【0034】
最新の製材所における最も効果的な切断技術は、ほとんどエネルギーなしにおがくずを生成する。おがくず、より正確には、約90%が最大長5ミリメートル未満である粒子に焦点を合わせることにより、これらの断片は非常に少ないエネルギーで生成されることがわかる。丸鋸を備えた製材所からの典型的なデータは次の通りである。
鋸刃の幅=2.0mm
モーター=32hp=24kW
送り速度=100m/分(6km/h)
切断高さ=150ミリメートル
切り取られた体積=0.002m*0.15m*100m/min*60分/h=1.8m3
エネルギー消費=24kW/1.8m3/h=13.2kWh/m3、又は25~28kWh/トンの(m3たり約430kgの木材を基にした)乾燥木材。
【0035】
フィンランドの製材所は、次の式を使用して、製材によるエネルギー消費量を計算する。
P(W)=50×(体積流量)cm3/s。
体積流量=送り速度(cm/s)×切断高さ(cm)×切断幅(刃)(cm)
これで、おがくずとなり、この特許が目指している断片である13.9Kwh/m3の無垢材又は約25KWh/乾燥トンの乾燥木材のエネルギー消費が確認される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
以下に、同封の図面によって示される例示的な実施形態の形で、本発明を更に詳細に説明する。
【
図1】本発明を適用できるプロセスのフローシートである。
【
図2】本発明の実施形態の核心要素の概略的な簡略側面図である。
【
図3】
図2の実施形態とは異なる、本発明の実施形態の核心要素の概略的な簡略側面図である。
【
図4】
図3に示される実施形態の概略的な正面図である。
【
図5】追加の要素が示された、
図2の実施形態の概略的な簡略側面図である。
【
図6】
図1のステップ13の好ましい実施形態のフローチャートである。
【0037】
図1は、丸太からブラックペレットを製造するプロセスの簡単なフローチャートである。貯蔵11から、丸太が粉砕ステーション12に投入され、そこで、丸太は単一工程の作業において望ましいサイズの粒子に粉砕される。時々おがくずとも呼ばれる粒子は反応器システム13に投入され、圧力下での粒子の熱処理及びその後の圧力解放が行われる。フローチャートは、反応器システムが異なる乾燥機間及び反応器間での材料の移動を伴う、一般的には、乾燥、加圧下での加熱、(突然の)圧力解放及び異なる反応器への材料の噴出、その後の更なる乾燥といった、多数のステップを通常含むという点で簡略化されている。最後に、得られた繊維状材料がペレタイザー14でペレット化される。
【0038】
これらのすべてのステップはプロセス全体で重要であるが、本方法の重要な焦点と関心は、前述よりも効率的な方法で材木用丸太を粒子状物質に粉砕するステップ、すなわち
図1のステップ12である。材木用丸太は、細分化されずに投入されて粉砕されるか、又は例えば2~5メートルの部分である、大きな部分に切断された後、粉砕されてもよい。
【0039】
図2は、ハウジング21を有する粉砕ステーション12を簡略化した手法で示しており、その主工具は幅及び外周に沿って多数の切歯を備えた切削ドラム22である。丸太23は右から左に向かって直線状に粉砕ステーションに投入されるところが示されている。丸太の投入には異なるメカニズムを適用でき、
図2では、丸太の下にあるコンベヤーベルト24がそれに寄与するように示されている。丸太投入経路に沿って直線状に間隔を空けて配置された多数の回転可能な支持ホイール又はドラム25は、丸太を上から支えるように配置され、これは切断ドラムが丸太を切断し始めると特に重要である。支持ホイールは通常、異なる丸太直径に対応するために上下に移動可能であり、通常、個々の丸太の長さに沿った直径のばらつきを補償できるようにバネ要素もまた備えている。
【0040】
一般的な床面高さは線26で示されると共に、床は最低高さが破線XXで示される直線溝を呈し、それに沿って丸太が投入される。溝は横方向の安定性を提供する。横方向の安定性は、丸太を横方向から支持する部材と、丸太をドラムの方向に押し進める部材とを備えた特別に設計されたコンベヤーベルトによってもまた提供される。
【0041】
粉砕ステーションを出る粒子状材料は、重力でアシストされるように、垂直シュート27を通って出ることができる。更に、粉塵がステーションから漏れないようにするか、少なくともそこからの粉塵の解放を減らすため、ファンなどを使用して移動をアシストし、粉砕ステーション内の圧力が周囲の気圧と比較していくらか低下することを確実にすることが望ましい。
【0042】
図3は、
図2に示した粉砕ステーション12とほぼ同様の粉砕ステーション12’を示しており、極端なサイズの切断ドラムを使用することなく大直径の丸太を取り扱うために2つの切断ドラム32a、32bが配置されている。他のすべての点で、ステーション12’はステーション12と類似している。加えて、
図3の実施形態は、丸太の単純な直線状の移動中にすべてが行われるため、丸太を単一のステップ又は単一ユニットの操作で粉砕する例である。
【0043】
図4は2つの切断ドラムを備えている点でステーション12’とほぼ同様の、粉砕ステーションの正面図である。支持ホイール又はドラム25に加えて、
図4は支持ホイール45もまた丸太の各側の側方に示している。丸太を保持及び安定化するための更なる手段として、コンベヤーベルトは、横方向の動きに対して丸太を支持するため、ベルトに沿って均等に配分された爪46を備えるように示されている。
【0044】
図4は丸太安定化手段の「フルパッケージ」を示している。おそらくは言うまでもなく、丸太のためのコンベヤーシステムにこれらすべての安定化対策が必要なわけではないが、垂直方向及び水平方向の安定化対策は含むべきである。
【0045】
図4では前方切断ドラム32aは、切断ドラム32bからより良く区別できるように、上昇された位置で示されている。実際には、切断ドラムは、
図3によりよく示されるように、より一般的には垂直方向で互いに大きく「重なり」、丸太全体の切断を切断ドラム32bに任せることはない。
【0046】
図5は、
図2とほぼ同じであるが、実際に丸太が粒子状物質に切断される状況を示している。2番目の丸太は最初の丸太の後ろに密着して前進した。
【0047】
丸太からの木材粒子が次のプロセスステップに向かって落下するシュート27には、ファン53と粉塵フィルター52を備える上向きに傾斜したパイプ51が配置されている。ファン53は、シュート27及び上方の切断ステーションから空気を送り出し、切断ステーションを周囲の気圧よりわずかに低い圧力下に置くことにより、切断ステーションからの粉塵の放出を低減する。ファンの出力は、切断からの典型的な粒子がパイプ51を通過し更にシュートを下って落ちる一方、最も細かい粒子と粉塵は粉塵フィルター52によって収集されるレベルに調整される。パイプ51は、通過する粒子54とともにシュート27から更に遠ざかるようにファン53及びフィルター52を移動させるために、垂直方向に延長及び湾曲させることもできる。
【0048】
図5は、別の、任意選択の機能も示している。シュート27を2つの異なるパイプ55及び56に分割し、ふるい57を備えて細かい粒子のみパイプ56への到達を許容する一方、粗い粒子はパイプ55に到達させることができる。ファン53をパイプ58に配置して、ふるい57を通過するのに十分小さい粒子のほとんどが実際にパイプ58に入ることを確実にすることができる。これ又は同様の方法で、重量で粒子状物質の大部分となるパイプ55内の粒子が、望ましい粒子範囲内にあることが確実とされる。パイプ56から収集された微粒子断片は、パイプ55からの粗い断片と同様又は異なる処理を受けてもよい。ペレットの製造に使用する場合、微粒子断片の熱処理は通常、粗い断片の場合よりも緩やかな条件を使用して行われる。
図5は、既知で利用可能な任意の粒子断片技術で実行できる、粒子断片の簡略な説明のみを提供するものであることが強調されるべきである。望ましいサイズの範囲は2mm~10mm、より好ましくは2mm~5mmである。
【0049】
図6は、
図1のステップ13の好ましい実施形態を示すフローチャートである。
【0050】
図6は、左上に、粒子状材料を望ましいレベルの水分、例えば20~50重量%又は30~40重量%の範囲の水分に乾燥させるための容器60を示す。次に、粒子状木質材料の熱処理のための反応器61が示されている。反応器61において、粒子状木質材料は、水蒸気及び空気が存在する圧力下で加熱される。水蒸気と空気の混合比は変更でき、反応器の充填レベルも同様に変更し得る。
【0051】
反応器内の温度と滞留時間は変更でき、通常は180~250℃の範囲で1~15分である。より高い温度及びより長い処理時間は、より高度の劣化、質量損失の増大及び望ましくない量の非凝縮性ガス、強い臭気を有するガスなどの形で下流プロセスの作業上の問題を引き起こすため、通常は望ましくない。
【0052】
反応器61は、通常、圧力を制御するバルブ、反応器の加熱及び冷却のそれぞれの手段などを含むプロセスを制御及び監視するための設備及びデバイスを含む。反応器の詳細な動作は本発明の核心ではないため、これは、図示されていない。反応器61での処理は、木材中のリグニンを軟化させ、後続のペレット化におけるバインダーとしてそれを有用にする。
【0053】
容器62は、その中に、反応器61内の処理終了時に反応混合物が解放される圧力解放容器である。反応器61内の圧力の少なくとも一部が急激に解放され、それにより反応混合物を反応器から圧力解放容器62内に排出する。
【0054】
当業者は、プロセス量に悪影響を及ぼさない限り蒸気及び空気以外のガスが反応器に存在してもよいことを理解するであろう。例えば、酸素富化空気の追加又はプロセス中の酸素の消費を通じ、反応器内の酸素と窒素の比率は、空気の場合とは異なり得る。
【0055】
反応処理が完了すると、反応混合物は反応器61から導管71を介して圧力解放容器62に排出される。これは、当技術分野で周知の方法で実行される。一定量の水分を含む固体粒子材料は、圧力解放タンク62に移動され、一般的に後乾燥のステップ66の後、導管72を介してペレット化のステップに移送される。
【0056】
凝縮性の成分及び一般的な条件内で凝縮できない成分を含むガスは、圧力解放容器62の上部又はその近くの導管73を通過し、そこから少なくとも熱交換器63に直接導かれる。
【0057】
熱交換器63は、ガス流を冷却し、ガスの凝縮性成分が確実に凝縮されるようにし、それによりガス流の体積を減少させる。冷媒が受け取った凝縮熱は、現在のプロセス内外で任意の適切な方法でエネルギーとして利用される。通常、このエネルギーは、乾燥ユニット又は燃焼のために空気を予熱するために使用される。熱交換器63からの凝縮物は、水に加えて、水が排出されるか再利用のためにリサイクルされる前に除去されるべき成分を含む。凝縮物は導管75を介して排出され、一方ガスは導管76を介してプロセスの次のステップに進む。
【0058】
1つ又は複数の熱交換器63に関して、これ又はこれらは、冷媒がベントガスから分離されている間接熱交換器であるか、又は冷却水がベントガスと混合される直接熱交換器であり得る。直接熱交換と間接熱交換の組み合わせもまたオプションであり、この場合、熱交換は主に間接的であってよいが、限定された割合で水74を熱交換器63への排出ガスの流れの中に噴霧して導管73内の排出ガスを急冷させ、それにより、その後の熱交換の間接的なステップにおいてすべての凝縮性成分をより容易に凝縮する。
【0059】
直接熱交換のみを使用することを選択した場合、熱交換器の下流ではるかに大量の流体を扱う必要がある。したがって、熱交換は少なくとも部分的に間接熱交換として行われることが好ましい。
【0060】
プロセスの次のステップは、通常「風船」と呼ばれ、他の風船と同様に柔らかい壁を持ち、通常の動作条件下で作動する回分式反応器からの排出がもたらす非凝縮性ガスの「ひと吹き」を受容できるように寸法が決められた柔軟性のある容積を持つ容器64からなる。
【0061】
導管77を通って容器64を出るガスは、最終ステップにおける後処理、例えば、非毒性成分を放出する前にバーナー65が可燃性ガスを燃焼させる処理が施されてもよい。
【0062】
図6の詳細なステップは、それ自体新規ではないが、健全な経済性と健全な環境が組み合わされており、
図1のステップ13に適した方法を表すことに留意されたい
【0063】
更に、蒸気爆砕技術の代替として、連続的でより低速の圧力低減を使用して解繊のステップを得ることもまたできることに留意されたい。このような連続的な減圧は、スクリューコンベアを使用して、加熱された材料を反応器から連続的かつ比較的ゆっくり排出することで得ることができる。状況によっては、蒸気爆砕よりも連続プロセスが好ましい場合がある。
【0064】
図1の最後のステップ14であるペレット化は、当分野で既知の任意の方法で行うことができ、その共通の特徴は、圧力をかけることと、木材内のリグニンを加熱してバインダーとして使用することであり、結果として低く制御された水分のレベル及び優れた機械的特性と高エネルギー含有量を有するペレットがもたらされる。
【0065】
本発明の核心は、原料の貯蔵がコンパクトな丸太の貯蔵、粒子サイズの良好な制御及び限定された粒子サイズの分布に削減されるという点で、必要な設置面積が比較的小さい凝縮されたプロセスにある。
【0066】
本発明の利点は、より低いエネルギー消費、より小さい設置面積及びより均一な粒子サイズ分布であると共に、繊維がより短い、石炭、バイオマスなどに使用される典型的な粉砕器で粉砕するのにより適している点でより良い粒子形状であることである。