(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】ドーム型ディスプレイの表示方法
(51)【国際特許分類】
H04N 5/66 20060101AFI20230308BHJP
G06T 11/80 20060101ALI20230308BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20230308BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
H04N5/66 D
G06T11/80 F
G09F9/30 308A
G09G5/00 520V
G09G5/00 510A
G09G5/00 510V
(21)【出願番号】P 2021118245
(22)【出願日】2021-07-16
【審査請求日】2021-07-16
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】516343734
【氏名又は名称】智▲ウェイ▼資訊科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100166372
【氏名又は名称】山内 博明
(74)【代理人】
【識別番号】100115451
【氏名又は名称】山田 武史
(72)【発明者】
【氏名】許 智詠
(72)【発明者】
【氏名】蔡 定杰
(72)【発明者】
【氏名】李 達漢
【審査官】長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-312099(JP,A)
【文献】特開2006-033672(JP,A)
【文献】米国特許第08160391(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/66
H04N 5/74
G06T 11/80
G09F 9/30
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが複数の表示画素を有する少なくとも一つの第一表示手段と少なくとも一つの第二表示手段とを含む、ドーム型ディスプレイの表示方法であって、
原始映像を当該ドーム型ディスプレイに対応する変形映像に変換するステップ、
当該変形映像を、当該少なくとも一つの第一表示手段に対応する少なくとも一つの第一映像、当該少なくとも一つの第二表示手段に対応する少なくとも一つの第二映像及び少なくとも一つの第三映像に分割するステップ、
少なくとも一つの中継映像を形成するように、当該少なくとも一つの第三映像を当該少なくとも一つの第二映像に重畳させるステップ、及び、
当該少なくとも一つの第一映像における複数の映像画素を、第一マッピング関係に従って、当該ドーム型ディスプレイにおける当該少なくとも一つの第一表示手段の表示画素に表示するとともに、当該少なくとも一つの中継映像における複数の映像画素を、第二マッピング関係に従って、当該ドーム型ディスプレイにおける当該少なくとも一つの第二表示手段の表示画素に表示するステップ、を含む、ことを特徴とするドーム型ディスプレイの表示方法。
【請求項2】
当該少なくとも一つの第二映像の映像画素は、少なくとも一つの第一有効映像領域及び少なくとも一つの無効映像領域を含み、
当該少なくとも一つの第三映像の映像画素は、少なくとも一つの第二有効映像領域を含み、
当該少なくとも一つの第三映像を当該少なくとも一つの第二映像に重畳させるステップでは、当該少なくとも一つの中継映像を形成するように、当該少なくとも一つの第三映像の映像画素における少なくとも一つの第二有効映像領域を、当該少なくとも一つの第二映像の映像画素における少なくとも一つの無効映像領域に重畳させ、
当該少なくとも一つの中継映像に、これらの映像画素における当該少なくとも一つの第一有効映像領域及び当該少なくとも一つの第二有効映像領域を、当該第二マッピング関係に従って、当該ドーム型ディスプレイにおける当該少なくとも一つの第二表示手段の表示画素に表示する、ことを特徴とする請求項1に記載のドーム型ディスプレイの表示方法。
【請求項3】
当該少なくとも一つの第三映像の映像画素に含まれる、少なくとも一つの第二有効映像領域における映像画素の数は、当該少なくとも一つの第二映像の映像画素に含まれる、少なくとも一つの無効映像領域における映像画素の数以下である、ことを特徴とする請求項2に記載のドーム型ディスプレイの表示方法。
【請求項4】
当該少なくとも一つの第二映像における少なくとも一つの無効映像領域は、二つの無効映像領域を含み、
当該少なくとも一つの第三映像を当該少なくとも一つの第二映像に重畳させるステップでは、当該少なくとも一つの第三映像における少なくとも一つの第二有効映像領域を二つのサブ有効映像領域に分割するとともに、当該二つのサブ有効映像領域をそれぞれ当該二つの無効映像領域に重畳させる、ことを特徴とする請求項2に記載のドーム型ディスプレイの表示方法。
【請求項5】
当該無効映像領域毎に、その映像画素の数が所定の方向に増え、当該サブ有効映像領域毎に、その映像画素の数が当該所定の方向に減り、
当該少なくとも一つの第三映像を当該少なくとも一つの第二映像に重畳させるステップでは、当該少なくとも一つの第三映像における当該サブ有効映像領域をそれぞれ180度だけ回転させてから、当該少なくとも一つの第二映像における当該無効映像領域にそれぞれ重畳させる、ことを特徴とする請求項4に記載のドーム型ディスプレイの表示方法。
【請求項6】
当該原始映像を当該ドーム型ディスプレイに対応する当該変形映像に変換するステップでは、第一初期マッピング関係及び第二初期マッピング関係を含む初期マッピング関係を取得することを含み、当該第一初期マッピング関係は、当該少なくとも一つの第一映像と当該少なくとも一つの第一表示手段とを対応させるものであり、当該第二初期マッピング関係は、当該少なくとも一つの第二映像及び当該少なくとも一つの第三映像と当該少なくとも一つの第二表示手段とを対応させるものであり、当該第一初期マッピング関係は、当該第一マッピング関係を構成しており、
当該少なくとも一つの第三映像を当該少なくとも一つの第二映像に重畳させるステップでは、当該第二初期マッピング関係を当該第二マッピング関係に変換することを含む、ことを特徴とする請求項1に記載のドーム型ディスプレイの表示方法。
【請求項7】
当該第一マッピング関係を少なくとも一つの第一受信装置に記憶するとともに、当該第二マッピング関係を少なくとも一つの第二受信装置に記憶することを含み、
当該少なくとも一つの第一受信装置により、当該少なくとも一つの第一映像の映像画素を、当該第一マッピング関係に従って、当該ドーム型ディスプレイにおける当該少なくとも一つの第一表示手段の表示画素に表示するとともに、当該少なくとも一つの第二受信装置により、当該少なくとも一つの中継映像の映像画素を、当該第二マッピング関係に従って、当該ドーム型ディスプレイにおける当該少なくとも一つの第二表示手段の表示画素に表示する、ことを特徴とする請求項6に記載のドーム型ディスプレイの表示方法。
【請求項8】
当該少なくとも一つの第三映像に
おける映像画素における垂直映像画素の数が、当該少なくとも一つの第二映像に
おける映像画素における垂直映像画素の数以下であり、
当該少なくとも一つの中継映像に
おける映像画素の垂直映像画素の数が、当該少なくとも一つの第二映像に
おける映像画素の垂直映像画素の数と同じである、ことを特徴とする請求項1に記載のドーム型ディスプレイの表示方法。
【請求項9】
当該少なくとも一つの第三映像における映像画素の垂直映像画素の数と当該少なくとも一つの第二映像における映像画素の垂直映像画素の数との合計は、当該少なくとも一つの第一映像における一つの垂直映像画素の数よりも多い、ことを特徴とする請求項8に記載のドーム型ディスプレイの表示方法。
【請求項10】
当該少なくとも一つの中継映像における映像画素の水平映像画素の数が、当該少なくとも一つの第一映像における映像画素の水平映像画素の数と同じであり、
当該少なくとも一つの中継映像における映像画素の垂直映像画素の数が、当該少なくとも一つの第一映像における映像画素の垂直映像画素の数と同じである、ことを特徴とする請求項1に記載のドーム型ディスプレイの表示方法。
【請求項11】
当該少なくとも一つの第二映像は、当該少なくとも一つの第一映像と当該少なくとも一つの第三映像との間に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載のドーム型ディスプレイの表示方法。
【請求項12】
当該少なくとも一つの第二映像と少なくとも一つの第三映像の数とは、それぞれ二つであり、当該少なくとも一つの第一映像は、二つの当該第二映像間に位置しており、
各当該第二映像は、当該少なくとも一つの第一映像と各当該第三映像との間に位置する、ことを特徴とする請求項1に記載のドーム型ディスプレイの表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示システムに関して、特に、ドーム型ディスプレイの表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大型のフラットディスプレイは、観客の見る映像を表示し、映像の臨場感を追求している。従来のフラットディスプレイは、人々が映像を見るというニーズが満たされていない。したがって、当業者は、表示する映像を立体的にさせ、見る時に臨場感を高めるドーム型ディスプレイを開発してきている。
【0003】
図1に示す従来のドーム型表示システム100は、メディアサーバー10、複数の転送装置12、複数の受信装置14、及び、ドーム型ディスプレイ16を含む。当該メディアサーバー10は、各当該転送装置12に接続され、各当該転送装置12は、各当該受信装置14に接続されている。
【0004】
当該ドーム型ディスプレイ16は、四つの表示手段により結合されていて、各当該表示手段は複数の表示画素を有し、各表示画素は複数の色であるLEDで構成されている。各当該表示手段は、各当該受信装置14に接続されている。当該ドーム型ディスプレイ16は、ボールの三分の二であり、水平に表示する画素の最大数(つまり、水平解像度)が3840であり、垂直に表示する画素の最大数(つまり、垂直解像度)が2160である。
【0005】
図2に示すように、メディアサーバー10は、原始映像I1をドーム型ディスプレイ16に対応する変形映像I2に変換しており、原始映像I1及び変形映像I2は、それらの解像度が4K(3840×2160)である。変換の際では、幾何学マッピングアルゴリズム(Geometry Mapping)を用いて原始映像I1の映像画素の座標とドーム型ディスプレイ16における表示画素の座標とのマッピング関係を算出することが含まれる。つぎに、映像変形アルゴリズム(Image Warping Algorithm)によって、原始映像I1の映像画素について、上記の幾何学マッピングアルゴリズムにより得られたマッピング関係に従って、変形及び内挿演算(Interpolation Method)を行い、変形映像I2を取得する。
【0006】
つぎに、メディアサーバー10は、変形映像I2を、2Kの四つの映像に分割して各当該転送装置12に転送し、各当該転送装置12は、2Kの映像を各当該受信装置14に転送するとともに、各当該受信装置14は、2Kの各映像の映像画素をマッピング関係に従って各当該表示手段の表示画素に表示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、原始映像I1の解像度やドーム型ディスプレイ16の解像度が増すと、従前の転送装置12や受信装置14をそのまま用いることができず、解像度が増した映像画素をドーム型ディスプレイ16に対応して転送して表示を行うためには、その数が対応して増やされなければならない。この場合では、ドーム型表示システム100は、そのハードウェア上でのコストが多くなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このことに鑑み、本発明は、解像度が増した映像画素を転送することができるドーム型ディスプレイの表示方法を提供することを目的とする。
【0009】
本発明は、上記の目的を達成するために、それぞれが複数の表示画素を有する少なくとも一つの第一表示手段と少なくとも一つの第二表示手段とを含む、ドーム型ディスプレイの表示方法であって、
原始映像を当該ドーム型ディスプレイに対応する変形映像に変換するステップ、
当該変形映像を当該少なくとも一つの第一表示手段に対応する少なくとも一つの第一映像と、当該少なくとも一つの第二表示手段に対応する少なくとも一つの第二映像及び少なくとも一つの第三映像に分割するステップ、
少なくとも一つの中継映像を形成するように、当該少なくとも一つの第三映像を当該少なくとも一つの第二映像に重畳させるステップ、及び、
当該少なくとも一つの第一映像における複数の映像画素を第一マッピング関係に従ってドーム型ディスプレイにおける当該少なくとも一つの第一表示手段の表示画素に表示するとともに、当該少なくとも一つの中継映像における複数の映像画素を第二マッピング関係に従ってドーム型ディスプレイにおける当該少なくとも一つの第二表示手段の表示画素に表示するステップ、を含むドーム型ディスプレイの表示方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果は、第三映像を第二映像に重畳させて中継映像を形成し、第一映像を第一表示手段に送信して表示するとともに、第二映像及び第三映像を付けている中継映像を第二表示手段に送信して表示することにより、増やされる第三映像の映像画素を転送することができるということにある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】従来のドーム型表示システムにおいて原始映像を変形映像に変換する模式図である。
【
図3】本発明の第一好ましい実施例によるドーム型表示システムである。
【
図4】本発明の上記の好ましい実施例によるドーム型ディスプレイを展開した模式図である。
【
図5】本発明の上記の好ましい実施例によるドーム型ディスプレイの表示方法のフローチャートである。
【
図6】本発明の上記の好ましい実施例による原始映像である。
【
図7】本発明の上記の好ましい実施例による変形映像である。
【
図8】本発明の上記の好ましい実施例を展開した変形映像である。
【
図9】本発明の上記の好ましい実施例による第三映像を第二映像に重畳させた映像である。
【
図10】本発明の第二好ましい実施例によるドーム型表示システムである。
【
図11】本発明の上記の好ましい実施例によるドーム型ディスプレイを展開した模式図である。
【
図12】本発明の上記の好ましい実施例による原始映像である。
【
図13】本発明の上記の好ましい実施例による変形映像である。
【
図14】本発明の上記の好ましい実施例を展開した変形映像である。
【
図15】本発明の上記の好ましい実施例による第三映像を第二映像に重畳させた映像である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を、より明確に説明するように、好ましい実施例を挙げて図面を参照しながら以下に詳しく説明する。
図3乃至
図4に示すように、本発明の第一の好ましい実施例によるドーム型表示システム1は、処理装置20、メディアサーバー22、複数の映像スプリッター(Image-splitter)23、複数の転送装置24、複数の受信装置26、及び、ドーム型ディスプレイ30を含む。以下には、上記のドーム型表示システム1とともに、
図5に示すドーム型ディスプレイ30の表示方法を説明する。
【0013】
当該処理装置20は、コンピュータのホストであり、当該メディアサーバー22に接続されている。当該メディアサーバー22は各当該映像スプリッター23に接続され、各当該映像スプリッター23は各当該転送装置24に接続され、各当該転送装置24は各当該受信装置26に接続され、各当該受信装置26は当該ドーム型ディスプレイ30に接続されている。
【0014】
図4を参照すると、当該ドーム型ディスプレイ30は、例示的にLEDのドーム型ディスプレイ30とされ、複数の表示手段32により結合されたものである。各当該表示手段32は複数の表示画素を有しており、各表示画素は複数色のLEDで構成される。各当該表示手段32の表示画素は、複数列の表示画素によりも上に配列されるものであり、各列における表示画素は異なっている。当該ドーム型ディスプレイは、例示的にボールの三分の二とされ、垂直方向において、緯度が+30°~-90°であり、赤道が0°である。一方、水平方向において、経度が-90°~+90°である。当該ドーム型ディスプレイ30は、その水平に表示する画素の最大数(つまり、水平解像度)が例示的に7680とされ、その垂直に表示する画素の最大数(つまり、垂直解像度)が例示的に5120とされる。
【0015】
これらの表示手段32は、複数の第一表示手段34及び複数の第二表示手段36を含む。本実施例では、ドーム型ディスプレイ30を経度に従って四つの等配表示領域30aに分け、各等配表示領域30aは、上から三つの第一表示手段34及び一つの第二表示手段36を含み、これらの第一表示手段34における表示画素の列数が同じであり、各当該第二表示手段36における表示画素の列数が各当該第一表示手段34における表示画素の列数よりも多い。各当該第二表示手段36は、その表示画素の数が上から次第に減っていく。各当該第二表示手段36は、二つの領域に分けられてもよく、その場合には上部にある領域36aにおける表示画素の列数が各当該第一表示手段34における表示画素の列数と同じであり、下部にある領域36bにおける表示画素の列数が上部にある領域36aにおける表示画素の列数以下である。
【0016】
これらの受信装置26は、複数の第一受信装置262及び複数の第二受信装置264を含み、これらの第一受信装置262は、それぞれ、これらの第一表示手段34に接続され、これらの第二受信装置264は、それぞれ、これらの第二表示手段36に接続される。
【0017】
当該処理装置20は、原始映像I1(
図6参照)を受信して、当該原始映像I1を当該ドーム型ディスプレイ30に対応する変形映像I2(
図7参照)に変換するものである。原始映像I1は、その水平映像画素数(つまり、水平解像度)が例示的に7680とされ、垂直映像画素の数(つまり、垂直解像度)が例示的に5120とされる。言い換えると、原始映像I1は、その解像度が一般的に、8Kの解像度(7680×4320)よりも高い。変換の際では、幾何学マッピングアルゴリズム(Geometry mapping)を用いることができる。幾何学マッピングアルゴリズムは、原始映像I1の映像画素の座標とドーム型ディスプレイ30における表示画素の座標との初期マッピング関係を算出するものである。次に、映像変形アルゴリズム(Image Warping Algorithm)を行う。映像変形アルゴリズムは、原始映像I1の映像画素について、上記の幾何学マッピングアルゴリズムにより得られた当該初期マッピング関係に従って、変形及び内挿演算(Interpolation Method)を行い、変形映像I2を取得するものである。一部の映像画素のRGBの色情報に内挿演算を施すことにより、例えばLanczosinterpolation又はbicubicint→erpolation等の正しいRGBの色情報を取得する。
【0018】
当該処理装置20は、当該変形映像I2をドーム型ディスプレイの経度に対応するように展開し、四つの等配映像I3(
図8参照)に分ける。各等配映像I3は、
図4に示すドーム型ディスプレイ30の各等配表示領域30aに対応する。当該処理装置20は、各等配映像I3をそれぞれ複数の第一映像I31、第二映像I32及び第三映像I33に分割する。各等配映像I3は、垂直方向において、第二映像I32が第一映像I31と第三映像I33との間に接続される。各等配映像I3におけるこれらの第一映像I31は、それぞれ、ディスプレイにおける各等配表示領域30aの第一表示手段34と対応しており、各等配映像I3における第二映像I32と第三映像I33は、各等配表示領域の第二表示手段36と対応し、つまり、第二映像I32が第二表示手段36の上部にある領域36aと対応しており、第三映像I33が第二表示手段36の下部にある領域36bに対応する。第三映像I33の映像画素に、垂直映像画素の数は、第一映像I31と第二映像I32に、映像画素の垂直映像画素の数以下である。第一映像I31、第二映像I32、第三映像I33は、それらの映像画素の水平映像画素の数が同じである。
【0019】
より詳しくすると、第一映像I31の映像画素は、有効映像領域I312及び無効映像領域I314を含み、有効映像領域I312における映像画素は、第一表示手段34に表示される表示画素であり、無効映像領域I314は、有効映像領域I312の外側に位置していて表示されない領域である。実際には、第一映像I31の映像画素は、全体として、有効映像領域I312とされてもよい。
【0020】
第二映像I32の映像画素は、少なくとも一つの第一有効映像領域I322及び少なくとも一つの無効映像領域I324を含む。当該第一有効映像領域I322における映像画素は、第二表示手段36に表示される表示画素である。無効映像領域I324は二つあり、それぞれが当該第一有効映像領域I322における水平方向の両側に位置する。無効映像領域I324の映像画素は、表示を行わない。
【0021】
第三映像I33の映像画素は、少なくとも一つの第二有効映像領域I332及び少なくとも一つの無効映像領域I334を含む。当該第二有効映像領域I332における映像画素は、第二表示手段36に表示される表示画素であり、無効映像領域I334は二つあり、それぞれが当該第二有効映像領域I332における水平方向の両側に位置しており、映像画素は表示を行わない。第二有効映像領域I332の映像画素の数は、第二映像の映像画素における無効映像領域I334の映像画素の数以下である。
【0022】
当該第一初期マッピング関係は、これらの第一映像I31の座標とこれらの第一表示手段34の表示画素の座標とのマッピング関係と対応しており、当該第二初期マッピング関係は、これらの第二映像I32及びこれらの第三映像I33の座標とこれらの第二表示手段36の表示画素の座標とのマッピング関係に対応する。当該第一初期マッピング関係は、第一マッピング関係を構成する。より詳しくは、当該第一初期マッピング関係は、第一映像I31における有効映像領域I312の座標と第一表示手段34の表示画素の座標とのマッピング関係にあり、第二初期マッピング関係は、第二映像I32における第一有効映像領域I322及び第二映像I33における第二有効映像領域I332の座標と第二表示手段36の表示画素の座標とのマッピング関係にある。
【0023】
本実施例では、ドーム型表示システム1のハードウェアを簡素化にするために、以下のステップをさらに行う。
図9を参照すると、当該処理装置20は、等配映像I3における中継映像I34を形成するように、各等配映像I3の第三映像I33を第二映像I32に重畳させる。本実施例では、当該処理装置20は、第三映像I33の映像画素の第二有効映像領域I332を第二映像I32の映像画素の無効映像領域I324に重畳させる。より詳しくは、第二映像I32の無効映像領域I324における映像画素の数が所定の方向に増やされる。そして、本実施例では、当該所定の方向が上下方向であり、当該第二有効映像領域I332における映像画素の数が当該所定の方向に減る。したがって、当該処理装置20は、第二有効映像領域I332を左右に、二つのサブ有効映像領域I332aに均一に分割してから、当該二つのサブ有効映像領域I332aをそれぞれ180度だけ回転させて当該二つの無効映像領域I324を重畳させ、元々の無効映像領域I324の映像画素を代替して、中継映像I34を形成する。言い換えると、中継映像I34は、第一有効映像領域I322及び第二有効映像領域I332を有する。ゆえに、8Kよりも大きい解像度による変形映像I2を、
図9に示す8Kの解像度(7680×4320)による映像に変換することができる。
【0024】
言い換えると、変換前には、第三映像I33の映像画素の垂直映像画素の数と第二映像I32の映像画素の垂直映像画素の数との合計は、第一映像I31の垂直映像画素の数よりも大きい。第三映像I33の映像画素の垂直映像画素の数は、第二映像I32の映像画素の垂直映像画素の数以下である。変換後には、中継映像I34の映像画素の垂直映像画素の数が第一映像I31及び第二映像I32の映像画素の垂直映像画素の数と同じとなり、中継映像I34の映像画素の水平映像画素の数が第一映像I31の映像画素の水平映像画素の数と同じとなる。
【0025】
また、さらに、当該第二初期マッピング関係を第二マッピング関係に対応して変換する。変換は、中継映像I34において増やされる第三映像I33の映像画素により、第二初期マッピング関係を再度配列して当該第二マッピング関係を形成することを目的とする。
【0026】
本実施例では、当該処理装置20は、各等配映像I3に対応する第一マッピング関係をこれらの第一受信装置262に転送して記憶するとともに、各等配映像に対応する第二マッピング関係をこれらの第二受信装置264に転送して記憶する。
【0027】
つぎに、各等配映像I3における第一映像I31の映像画素を当該第一マッピング関係に従って、当該ドーム型ディスプレイ30の各等配表示領域30aにおける第一表示手段34の表示画素に表示するとともに、各等配映像I3における中継映像I34の映像画素を当該第二マッピング関係に従って、当該ドーム型ディスプレイ30の各等配表示領域30aにおける第二表示手段36の表示画素に表示する。本実施例では、当該処理装置20は、
図9に示す映像をメディアサーバー32に転送して記憶する。メディアサーバー32は、映像を再生する時に、8Kの解像度による映像を4K(3840×2160)の四つの解像度による映像に分割して映像スプリッター23に転送する。各当該映像スプリッター23は、再度、4Kの解像度による各映像を、2Kの解像度(1920×1080)による四つの映像に分割してそれぞれ転送装置24に転送する。各転送装置24は、2Kの解像度による映像を、各受信装置26に転送する。他の実施例では、例えば、1対16(一つの8Kの解像度による映像を2Kの16個の解像度による映像に分割して出力するという意味である)の映像スプリッター23という一つの映像スプリッター23がしか含まなくてもよい。あるいは、メディアサーバー32によって、そのまま16個の2Kの解像度による映像を各転送装置24に出力してもよく、つまり、映像スプリッター23を設置しなくてもよい。
【0028】
これらの受信装置26では、第一受信装置262に受信される2Kの解像度の映像が第一映像I31であり、しかも、第一受信装置262は、第一映像I31の映像画素を第一マッピング関係に従って、対応する第一表示手段34の表示画素に表示する。第二受信装置264に受信される2Kの解像度の映像が中継映像I34であり、しかも、第二受信装置264は、中継映像の映像画素を第二マッピング関係に従って、対応する当該第二表示手段36の表示画素に表示する。
【0029】
本実施例では、各当該第一受信装置262は、受信された第一映像I31の映像画素における有効映像領域I312を当該第一マッピング関係に従って、当該ドーム型ディスプレイ30に対応する第一表示手段34の表示画素に表示する。各当該第二受信装置264は、受信された中継映像I34の映像画素における第一有効映像領域I322と第二有効映像領域I332を当該第二マッピング関係に従って、当該ドーム型ディスプレイ30に対応する第二表示手段36の表示画素に表示する。
【0030】
第二マッピング関係によると、当該第二受信装置264は、中継映像I34におけるそもそも第三映像I33に属する映像画素を、第二表示手段36の下部にある領域36bに対応して表示するとともに、中継映像I34におけるそもそも第二映像I32に属される映像画素を第二表示手段36の上部にある領域36aに対応して表示する。この場合には、中継映像は、増える第三映像I33の映像画素を転送することができ、転送装置24や受信装置26の数をさらに増やすことなく、つまり、8Kの解像度よりも大きい原始映像I1をドーム型ディスプレイ30に表示することができ、ドーム型表示システム1のハードウェアを効果よく簡素化することができる。
【0031】
図10及び
図11に示す本発明の第二実施例に係るドーム型表示システム2は、第一実施例に係る構成とほぼ同じであるが、以下の点が相違する。本実施例に係るドーム型ディスプレイ30は、例示的に半球体とされ、垂直方向において、緯度が+90°~-90°であり、赤道が0°である。一方、水平方向において、経度が-90°~+90°である。当該ドーム型ディスプレイ30は、その水平表示画素の最大数(つまり、水平解像度)が例示的に7680とされ、垂直表示画素の最大数(つまり、垂直解像度)が例示的に5120とされる。
【0032】
ドーム型ディスプレイ30の表示手段は、複数の第一表示手段34及び複数の第二表示手段36を含む。本実施例では、ドーム型ディスプレイ30を経度に従って四つの等配表示領域30aに分け、各等配表示領域30aは、二つの第一表示手段34及び二つの第二表示手段36を含み、これらの第一表示手段34における表示画素の列数が同じであり、各当該第二表示手段36における表示画素の列数が、各当該第一表示手段34における表示画素の列数よりも多い。下方に位置する各当該第二表示手段36が第一実施例のほうと同じであり、上方に位置する各当該第二表示手段36は、その配列形態が下方に位置する第二表示手段36の表示画素と対称的である。
【0033】
これらの受信装置26は、複数の第一受信装置262及び複数の第二受信装置264を含み、これらの第一受信装置262は、それぞれこれらの第一表示手段34に接続される。第二受信装置264は、一部がそれぞれ上方に位置する第二表示手段36に接続され、他の部分がそれぞれ下方に位置する第二表示手段36に接続される。
【0034】
本実施例に係るドーム型表示システム2は、第一実施例に係る表示方法が同様に適用される。その方法のうち、当該処理装置は、
図12に示す原始映像I1を、
図13に示す変形映像I2に変換する。原始映像I1及び変形映像I2については、それらの解像度が例示的に7680×5120とされる。
【0035】
当該処理装置20は、当該変形映像I2を、ドーム型ディスプレイ30の経度に対応するように展開して、四つの等配映像I3(
図14参照)に分ける。各等配映像I3は、二つの第一映像I31、二つの第二映像I32及び二つの第三映像I33を含む。各等配映像I3の垂直方向には、各当該第一映像I31が二つの当該第二映像I32間に位置しており、各当該第二映像I32は、各当該第一映像I31と各当該第三映像I33との間に位置する。
【0036】
図15を参照すると、当該処理装置20は、等配映像における中継映像I34を形成するように、各等配映像における第三映像I33を第二映像I32に重畳させる。
図15では、映像の解像度が8Kとされる。
【0037】
なお、本実施例に係る第一マッピング関係や第二マッピング関係については、それらの取得手法が、既述の実施例と同じであるから、重複して説明はしない。当該処理装置20は、各等配映像I3に対応する第一マッピング関係をこれらの第一受信装置262に転送して記憶させるとともに、各等配映像に対応する第二マッピング関係をこれらの第二受信装置264に転送して記憶させる。
【0038】
そして、当該処理装置20は、
図15に示す映像を4Kの四つの解像度による映像に分割し、それぞれ、これらのメディアサーバー22に転送する。つぎに、メディアサーバー22は、4Kの解像度による映像を2Kの四つの解像度による映像に分割して転送装置24に転送する。転送装置は、2Kの解像度による映像を受信装置26に転送する。
【0039】
第一受信装置262は、第一映像I31の映像画素を第一マッピング関係に従って、対応する第一表示手段34の表示画素に表示する。第二受信装置264は、中継映像I34の映像画素を第二マッピング関係に従って、対応する当該第二表示手段36の表示画素に表示する。
【0040】
ゆえに、各中継映像I34が有する第二映像I32及び第三映像I33を、各第二表示手段36に還元して表示することができる。転送装置24や受信装置26の数をさらに増やすことなく、つまり、8Kの解像度よりも大きい原始映像I1を、8Kの解像度よりも大きいドーム型ディスプレイ30に表示することができ、ドーム型表示システム1のハードウェアを効率よく簡素化することができる。
【0041】
一実施例では、ドーム型ディスプレイ30は、第一表示手段34及び第二表示手段36を含んでもよいし、変形映像I2は、第一映像I31、第二映像I32及び第三映像I33を含んでもよい。当該第一映像I31は、当該第一表示手段34に対応しており、当該第二映像I32及び当該第三映像I33は、当該第二表示手段36に対応している。処理装置20は、中継映像I34を形成するように、当該第三映像I33を当該第二映像I32に重畳させる。つぎに、当該第一映像I31の映像画素を第一マッピング関係に従って当該第一表示手段34の表示画素に表示するとともに、当該中継映像I34の映像画素を第二マッピング関係に従って当該第二表示手段36の表示画素に表示する。
【0042】
上記した各実施例に係る原始映像I1は、静的映像であってもよいし、動的映像(例えばフィルム)のフレームであってもよい。また、原始映像I1やドーム型ディスプレイ30に係る解像度については、例示的に説明したが、7680×5120という解像度に限定されるものではない。
【0043】
以上の説明は、本発明における実施可能な好ましい実施例に過ぎず、本明細書及び本特許請求の範囲に基づいてなされる如何なる均等な変形も、本特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1、2 ドーム型表示システム
10 メディアサーバー
I1 原始映像
12 転送装置
I2 変形映像
I3 等配映像
14 受信装置
16 ドーム型ディスプレイ
20 処理装置
22 メディアサーバー
23 映像スプリッター
24 転送装置
26 受信装置
30 ドーム型ディスプレイ
30a 等配表示領域
32 表示手段
34 第一表示手段
36 第二表示手段
36a 領域
36b 領域
100 ドーム型表示システム
262 第一受信装置
264 第二受信装置
I31 第一映像
I32 第二映像
I33 第三映像
I34 中継映像
I312 有効映像領域
I314 無効映像領域
I322 第一有効映像領域
I332 第二有効映像領域
I334 無効映像領域