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特許7240032プロテインキナーゼ活性を阻害するためのアミノピリミジン系化合物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】プロテインキナーゼ活性を阻害するためのアミノピリミジン系化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20230308BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20230308BHJP
   C07D 403/04 20060101ALI20230308BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230308BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20230308BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20230308BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20230308BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20230308BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20230308BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20230308BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20230308BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20230308BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20230308BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20230308BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20230308BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20230308BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
A61K31/5377
C07D403/04
A61P43/00 111
A61P25/28
A61P37/06
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P29/00
A61P11/06
A61P17/06
A61P1/04
A61P19/10
A61P3/00
A61P3/10
A61P9/00
A61P9/10
A61P35/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021536036
(86)(22)【出願日】2019-12-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-17
(86)【国際出願番号】 CN2019122399
(87)【国際公開番号】W WO2020125391
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2021-09-03
(31)【優先権主張番号】201811571875.1
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】519263556
【氏名又は名称】深▲チェン▼市塔吉瑞生物医薬有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shenzhen TargetRx, Inc.
【住所又は居所原語表記】Room 301, Building A1, Kexing Science Park, No.15 of Keyuan Road, Nanshan District, Shenzhen, Guangdong 518057, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162695
【弁理士】
【氏名又は名称】釜平 双美
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【弁理士】
【氏名又は名称】水原 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】王 義漢
(72)【発明者】
【氏名】李 煥銀
【審査官】神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-525685(JP,A)
【文献】国際公開第2018/194356(WO,A1)
【文献】特表2017-530999(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104788427(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0319770(US,A1)
【文献】特表2017-506667(JP,A)
【文献】国際公開第2018/019204(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(III
【化1】
(III)
ただし
がH、D、ハロゲン、-CN、-NO、-OH、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルコキシル、C1-6ハロアルコキシル、または-OC3-7シクロアルキルから選択され、ここで、前記のC1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルコキシル、C1-6ハロアルコキシルおよび-OC3-7シクロアルキルが1-13個のR基で置換されていてもよく;
がH、D、4-7員ヘテロシクロアルキル、または-NRから選択され、ここで、前記の4-7員ヘテロシクロアルキルが1-10個のR基で置換されていてもよく;
がH、D、ハロゲン、-CN、-NO、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、またはC3-6シクロアルキルから選択され、ここで、前記のC1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、またはC3-6シクロアルキルが1-13個のR基で置換されていてもよく;
1-8個のR 基で置換されていてもよい6-10アリールであり
がH、D、-(CHOR、-(CHNR、-(CDOR、または-(CDNRから選択され、ここで、nが1、2、3または4から選択され;
がH、DまたはC1-6アルキルから選択され、ここで、前記のC1-6アルキルが1-13個のR基で置換されていてもよく;
およびRが、それぞれ独立してH、D、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、または4-7員ヘテロシクロアルキルから選択され、或いはR、Rが、それらが連結しているN原子とともに4-7員ヘテロシクロアルキルを形成し;ここで、前記のC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、または4-7員ヘテロシクロアルキルが1-13個のR基で置換されていてもよく;
が、独立してH、D、ハロゲン、-OH、C1-6アルコキシル、-NH、-NH(C1-6アルキル)、-N(C1-6アルキル)、-C(O)C1-6アルキル、-C(O)OC1-6アルキル、-C(O)NHC1-6アルキル、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-7シクロアルキル、4-7員ヘテロシクロアルキル、C6-10アリール、または5-10員ヘテロアリールから選択され;或いは、同じ原子または隣接する原子上の2つのR基が、C3-7シクロアルキル、4-7員ヘテロシクロアルキル、C6-10アリール、または5-10員ヘテロアリールをともに形成してもよく;ここで、Rの定義における各基が、完全に重水素化されるまで、1つまたは複数のDで置換されていてもよ
表わされる化合物、或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物。
【請求項2】
がH、C 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、またはC 3-7 シクロアルキルから選択され、ここで、前記のC 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキルおよびC 3-7 シクロアルキルが1-13個のR 基で置換されていてもよい、
請求項1に記載の化合物、或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物
【請求項3】
がH、C 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、またはC 3-7 シクロアルキルから選択される、
請求項1または2に記載の化合物、或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物
【請求項4】
式(III-1)
【化2】
ただし、
RがH、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、またはC3-7シクロアルキルから選択され、ここで、前記のC1-6アルキル、C1-6ハロアルキルおよびC3-7シクロアルキルが1-13個のR基で置換されていてもよく;
-RおよびRが、請求項1に定義されているとおりである、
請求項に記載の化合物、或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物。
【請求項5】
式(III-2)で表わされる化合物であって、
【化3】
ただし、
RがH、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、またはC3-7シクロアルキルから選択され、ここで、前記のC1-6アルキル、C1-6ハロアルキルおよびC3-7シクロアルキルが1-13個のR基で置換されていてもよく;
がH、D、ハロゲン、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルから選択され、ここで、前記のC1-6アルキルおよびC1-6ハロアルキルが1-13個のR基で置換されていてもよく;
が、請求項1に定義されているとおりである、
請求項に記載の化合物、或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物
【請求項6】
【化4】
【化5】
からなる群から選択される、化合物、或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物。
【請求項7】
請求項1~のいずれか1項に記載の化合物、或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物と、
薬学的に許容される賦形剤と
を含む、医薬組成物。
【請求項8】
プロテインキナーゼによって媒介される疾患を治療するための薬物の調製における、請求項1~のいずれか1項に記載の化合物、或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物、若しくは請求項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項9】
前記のプロテインキナーゼが野生型および/または変異型のEGFR、および野生型および/または変異型のJAK3から選択される、
請求項に記載の使用。
【請求項10】
前記の変異型のEGFRが、del19、L858R、T790M、del19/T790M、およびL858R/T790Mから選択される、
請求項に記載の使用。
【請求項11】
請求項1~6のいずれか1項に記載の化合物、或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物を含む、プロテインキナーゼによって媒介される疾患を治療するための医薬組成物。
【請求項12】
前記のプロテインキナーゼが野生型および/または変異型のEGFR、および野生型および/または変異型のJAK3から選択される、
請求項11に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記の変異型のEGFRが、del19、L858R、T790M、del19/T790M、およびL858R/T790Mから選択される、
請求項12に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願への相互参照>
本出願は、2018年12月21日に出願されたCN201811571875.1に基づく優先権の利益を主張するものである。そのすべての内容は、本願に参考のため援用される。
【0002】
<技術分野>
本発明は、医薬分野に属する。本発明は、特に、タンパク質チロシンキナーゼを抑制する作用を有するアミノピリミジン系化合物、それらを含む医薬組成物、ならびにそれらの調製方法および使用に関する。
【背景技術】
【0003】
プロテインキナーゼの調節不全は、中枢神経系疾患(例えばアルツハイマー病)、炎症性および自己免疫性疾患(例えば喘息、関節リウマチ、クローン病、炎症性腸症候群および乾癬)、骨疾患(例えば骨粗鬆症)、代謝障害(例えば糖尿病)、血管増殖性疾患、眼疾患、心血管疾患、癌、再狭窄、痛み、移植片拒絶反応、および感染症などの多くの疾患や病症に関与している。
【0004】
ここで、EGFRの過剰発現および調節不全は、通常、乳房、肺、膵臓、頭頸部および膀胱の腫瘍に現れる。EGFRは、erbB受容体ファミリーの膜貫通型タンパク質チロシンキナーゼメンバーである。上皮成長因子(EGF)などの成長因子リガンドが結合すると、該受容体はEGFRまたは別のファミリーメンバー(例えばerbB2(HER2)、erbB3(HER3)、erbB4(HER4))と二量体化する可能性がある。erbB受容体の二量体化は、細胞内ドメインの重要なチロシン残基のリン酸化を引き起こし、さらに、細胞増殖と生存に関与する多くの細胞内シグナル伝達経路を刺激する。erbBファミリーのシグナル伝達の調節不全は、増殖、浸潤、転移、血管新生、腫瘍の生存を促進し、肺癌や乳癌などの多くのヒトの癌で報告されている。
【0005】
このように、EGFRは、抗癌剤の開発における理想的な標的となる。現在、EGFRを標的とする多くの化合物は、第1世代の阻害剤であるゲフィチニブおよびエルロチニブを含めて、臨床的に利用可能である。また、EGFRキナーゼの最も一般的な活性化変異であるL858Rおよびdel19は、ゲフィチニブまたはエルロチニブによる治療に感受性があるが、最終的に、メインゲートキーパー(gatekeeper)残基T790Mの変異により、臨床的に耐性のある患者の約半数で検出されるゲフィチニブまたはエルロチニブによる治療に対する耐性が生じ、結果として二重変異体L858R/T790Mおよびdel19/T790Mが生じることが報告された。
【0006】
この分野では、EGFR変異体の生物学的および臨床的重要性は認識されている。例えば、BIBW2992、HKI-272およびPF0299804などのいくつかの第2世代の薬剤は、T790M耐性変異に対して有効であるが、同時に野生型(WT)EGFRに対して強力な阻害効果を示し、深刻な副作用を引き起こす。このため、EGFR変異体に関連する、またはEGFR変異体によって媒介される疾患に対して効果的かつ安全な臨床治療法を提供するために、EGFRの単一変異体および二重変異体を効果的に阻害し、且つWT EGFRに対する選択性を持つ化合物が依然として強く求められている。
【0007】
また、多数の疾患および病症に関与するプロテインキナーゼ調節不全の別の例は、ヤヌスキナーゼ(JAK)3である。ヤヌスファミリーメンバーであるJAK1、JAK2およびTyk2が比較的遍在的に発現することに対して、JAK3が主にNK細胞、T細胞とB細胞、および腸細胞などの造血系統で発現するため、選択性の高いJAK3阻害剤は、免疫細胞に対する正確な作用を示し、多面発現の欠陥を最小限に抑える必要がある。JAK3阻害剤の選択性は、豊富な標的と複数の副作用を有する現在広く使用されている免疫抑制薬の選択性よりも優れている。JAK3阻害剤は、自己免疫疾患、JAK3を介した白血病およびリンパ腫の治療に使用することができる。
【0008】
例えば、ダウン症候群の小児および非ダウン症候群の成人の両方における少数の急性巨核芽球性白血病(AMKL)患者、および急性リンパ性白血病患者において、JAK3の体細胞変異も同定されている。さらに、JAK3の活性化は、マントル細胞(mantle cell)リンパ腫、バーキットリンパ腫、ヒトT細胞白血病/リンパ腫、ウイルス1誘発性成人T細胞リンパ腫/白血病、未分化大細胞リンパ腫などのいくつかのリンパ増殖性疾患で確認されている。JAK3/STAT経路の恒常的活性化は、白血病およびリンパ腫細胞の成長と生存、および侵襲的な表現型において主要な役割を果たしていることが示されている。したがって、JAK3活性化変異によって引き起こされるJAK3の恒常的活性化は、いくつかの白血病およびリンパ腫の共通の特徴であるため、JAK3の選択的阻害は治療標的となり得る。
【0009】
したがって、JAK3に関連する、またはそれによって媒介される疾患に対して効果的かつ安全な臨床治療法を提供するために、野生型JAK3および変異体を選択的かつ効果的に阻害し、且つ他のJAKファミリーメンバーに対する選択性を持つ化合物が強く求められている。
【0010】
これらの化合物、医薬製剤および医薬品を、必要とする患者または対象に投与するための方法に対する需要もある。
【発明の概要】
【0011】
本発明は、特定の変異型のEGFR、野生型および変異型のJAK3、SYKおよびKDRなどのキナーゼに対してより優れた阻害活性と選択性を有し、より優れた薬物動態特性を示し、EGFR変異体、JAK3、SYKまたはKDRなどのキナーゼによって媒介される疾患を治療するアミノピリミジン系化合物、当該化合物を含む組成物、およびそれらの使用を提供する。
【0012】
これに関して、本発明は、以下の技術構成を採用する。
【0013】
一態様において、本発明は、式(I)で表われる化合物、或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物を提供する。
【化1】
ただし、
XはCH、CDまたはNから選択され;
環Aは、少なくとも1つのN原子を含む5員ヘテロアリール環から選択され;
は、H、D、ハロゲン、-CN、-NO、-OH、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルコキシル、C1-6ハロアルコキシル、または-OC3-7シクロアルキルから選択され、ここで、前記のC1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルコキシル、C1-6ハロアルコキシルおよび-OC3-7シクロアルキルが1-13個のR基で置換されていてもよく;
は、H、D、4-7員ヘテロシクロアルキル、または-NRから選択され、ここで、前記の4-7員ヘテロシクロアルキルが1-10個のR基で置換されていてもよく;
は、H、D、ハロゲン、-CN、-NO、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、またはC3-6シクロアルキルから選択され、ここで、前記のC1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、またはC3-6シクロアルキルが1-13個のR基で置換されていてもよく;
は、H、D、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-7シクロアルキル、4-7員ヘテロシクロアルキル、C6-10アリール、または5-10員ヘテロアリールから選択され、ここで、前記のC6-10アリールおよび5-10員ヘテロアリールが1-13個のR基で置換されていてもよく;
は、H、D、-(CHOR、-(CHNR、-(CDOR、または-(CDNRから選択され、ここで、nは1、2、3または4から選択され;
は、H、DまたはC1-6アルキルから選択され、ここで、前記のC1-6アルキルが1-13個のR基で置換されていてもよく;
およびRは、それぞれ独立してH、D、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、または4-7員ヘテロシクロアルキルから選択され、或いはR、Rは、それらが連結しているN原子とともに4-7員ヘテロシクロアルキルを形成し;ここで、前記のC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、または4-7員ヘテロシクロアルキルが1-13個のR基で置換されていてもよく;
は、独立してH、D、ハロゲン、-OH、C1-6アルコキシル、-NH、-NH(C1-6アルキル)、-N(C1-6アルキル)、-C(O)C1-6アルキル、-C(O)OC1-6アルキル、-C(O)NHC1-6アルキル、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-7シクロアルキル、4-7員ヘテロシクロアルキル、C6-10アリール、または5-10員ヘテロアリールから選択され;或いは、同じ原子または隣接する原子上の2つのR基は、C3-7シクロアルキル、4-7員ヘテロシクロアルキル、C6-10アリール、または5-10員ヘテロアリールをともに形成してもよく;ここで、Rの定義における各基が、完全に重水素化されるまで、1つまたは複数のDで置換されていてもよく;
前提は、XがCHであり、かつ環Aが
【化2】
である場合、RがC1-6ハロアルキル、またはC1-6ハロアルコキシルから選択される。
【0014】
別の態様において、本発明は、本発明の化合物或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態において、本発明の化合物は、有効量で前記の医薬組成物に提供される。特定の実施形態において、本発明の化合物は、治療有効量で提供される。特定の実施形態において、本発明の化合物は、予防有効量で提供される。
【0015】
別の態様において、本発明は、プロテインキナーゼによって媒介される疾患を治療するための医薬品の調製における、本発明化合物、或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物、若しくは本発明の医薬組成物の使用を提供する。
【0016】
別の態様において、本発明は、被験者に本発明化合物、或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物、若しくは本発明の医薬組成物を投与することを含む、被験者におけるプロテインキナーゼによって媒介される疾患を治療する方法を提供する。
【0017】
別の態様において、本発明は、プロテインキナーゼによって媒介される疾患を治療するための本発明化合物、或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物、若しくは本発明の医薬組成物を提供する。
【0018】
特定の実施形態において、前記の疾患は、少なくとも1つの変異型EGFRキナーゼによって媒介される。特定の実施形態において、前記の少なくとも1つの変異型EFGRは、del19、L858RまたはT790Mである。特定の実施形態において、前記の少なくとも1つの変異型EGFRは、del19/T790MまたはL858R/T790Mから選択される少なくとも1つの二重変異体である。
【0019】
特定の実施形態において、前記の疾患は、野生型および/または変異型JAK3キナーゼによって媒介される。
【0020】
本発明の他の目的および利点は、以下の特定の実施形態、実施例および特許請求の範囲から当業者に明らかになるであろう
【0021】
定義
化学定義
以下、具体的な官能基と化学用語の定義についてより詳細に説明する。
【0022】
数値範囲が挙げられる場合、その範囲内の各値および部分範囲を含む。例えば、「C1-6アルキル基」は、C、C、C、C、C、C、C1-6、C1-5、C1-4、C1-3、C1-2、C2-6、C2-5、C2-4、C2-3、C3-6、C3-5、C3-4、C4-6、C4-5、C5-6アルキル基を含む。
【0023】
「C1-6アルキル基」とは、1~6個の炭素原子を有する直鎖または分枝の飽和炭化水素基を指し、本明細書中では「低級アルキル基」とも称される。一部の実施形態において、C1-4アルキル基は特に好ましい。前記のアルキル基の例として、メチル(C)、エチル(C)、n-プロピル(C)、イソプロピル(C)、n-ブチル(C)、tert-ブチル(C)、sec-ブチル(C)、iso-ブチル(C)、n-ペンチル(C)、3-ペンタニル(C)、アミル(C)、ネオペンチル(C)、3-メチル-2-ブタニル(C)、第3級アミル(C)、およびn-ヘキシル(C)が挙げられるが、これらに限定されない。アルキル基が「置換」で修飾されるかどうかにもかかわらず、各アルキル基は、独立して、例えば1~5個の置換基、1~3個の置換基もしくは1個の置換基で置換されてもよい。適切な置換基は以下のように定義される。
【0024】
「C2-6アルケニル基」とは、2~6個の炭素原子と1個以上の炭素-炭素二重結合(例えば、1個、2個または3個の炭素-炭素二重結合)を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素基を指す。1個以上の炭素-炭素二重結合は、内部に存在し得る(例えば、2-ブテニル)か、または末端に存在し得る(例えば、1-ブテニル)。一部の実施形態において、C2-4アルケニル基は特に好ましい。前記のアルケニル基の例として、エテニル(C)、1-プロペニル(C)、2-プロペニル(C)、1-ブテニル(C)、2-ブテニル(C)、ブタジエニル(C)、ペンテニル(C)、ペンタジエニル(C)、ヘキセニル(C)などが挙げられるが、これらに限定されない。アルケニル基が「置換」で修飾されるかどうかにもかかわらず、各アルケニル基は、独立して、例えば1~5個の置換基、1~3個の置換基もしくは1個の置換基で置換されてもよい。適切な置換基は以下のように定義される。
【0025】
「C2-6アルキニル基」とは、2~6個の炭素原子、1個以上の炭素-炭素三重結合(例えば、1個、2個または3個の炭素-炭素三重結合)、および必要に応じて、1個以上の炭素-炭素二重結合(例えば、1個、2個または3個の炭素-炭素二重結合)を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素基を指す。一部の実施形態において、C2-4アルキニル基は特に好ましい。一部の実施形態において、アルキニル基は、二重結合を全く含まない。1個以上の炭素-炭素三重結合は、内部に存在し得る(例えば、2-ブチニル)か、または末端に存在し得る(例えば、1-ブチニル)。前記のアルキニル基の例として、エチニル(C)、1-プロピニル(C)、2-プロピニル(C)、1-ブチニル(C)、2-ブチニル(C)、ペンチニル(C)、ヘキシニル(C)などが挙げられるが、これらに限定されない。アルキニル基が「置換」で修飾されるかどうかにもかかわらず、各アルキニル基は、独立して、例えば1~5個の置換基、1~3個の置換基もしくは1個の置換基で置換されてもよい。適切な置換基は以下のように定義される。
【0026】
「C1-6アルキレン」は、C1-6アルキル基から他の1つの水素を除去した二価の基を指し、置換または非置換のアルキレンであってもよい。一部の実施形態では、C1-4アルキレンが特に好ましい。非置換アルキレンとして、メチレン(-CH-)、エチレン(-CHCH-)、プロピレン(-CHCHCH-)、ブチレン(-CHCHCHCH-)、ペンチレン(-CHCHCHCHCH-)、ヘキシレン(-CHCHCHCHCHCH-)などが挙げられるが、これらに限定されない。典型的な置換アルキレンとして、例えば、置換メチレン(-CH(CH)-、-C(CH-)、置換エチレン(-CH(CH)CH-、-CHCH(CH)-、-C(CHCH-、-CHC(CH2-)、置換プロピレン(-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-、-CHCHCH(CH)-、-C(CHCHCH-、-CHC(CHCH-、-CHCHC(CH-)などの1つ以上のアルキル(メチル)で置換されたアルキレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
「C0-6アルキレン」は、化学結合および上記の通りで定義されたC1-6アルキレンを含む。
【0028】
「C1-6アルコキシ」とは、-OR基を指し、ここで、Rは、置換もしくは非置換C1-6アルキル基である。一部の実施形態において、C1-4アルコキシは特に好ましい。具体的に、前記のアルコキシ基として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、tert-ブトキシ、sec-ブトキシ、n-ペントキシ、n-ヘキソキシ、および1,2-ジメチルブトキシが挙げられるが、これらに限定されない。
【0029】
「ハロ」または「ハロゲン」とは、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)を指す。一部の実施形態において、ハロゲン含有基は、F、-ClまたはBrである。一部の実施形態において、ハロゲン含有基は、FまたはClである。一部の実施形態において、ハロゲン含有基は、Fである。
【0030】
したがって、「C1-6ハロアルキル」と「C1-6ハロアルコキシ」とは、1個以上のハロゲン基に置換された前記の「C1-6アルキル」と「C1-6アルコキシ」を指す。一部の実施形態において、C1-4ハロアルキルは特に好ましく、C1-2ハロアルキルがより好ましい。一部の実施形態において、C1-4ハロアルコキシ基は特に好ましく、C1-2ハロアルコキシ基がより好ましい。例示的な前記のハロアルキル基として、-CF、-CHF、-CHF、-CHFCHF、-CHCHF、-CFCF、-CCl、-CHCl、-CHCl、2,2,2-トリフルオロ-1,1-ジメチル-エチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な前記のハロアルコキシ基として、-OCHF、-OCHF、-OCFなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
「C3-10シクロアルキル基」とは、3~10個の環炭素原子および0個のヘテロ原子を持つ非芳香族環式炭化水素基を指す。一部の実施形態において、C3-7シクロアルキル基が好ましく、C3-6シクロアルキル基は特に好ましく、C5-6シクロアルキル基が更に好ましい。シクロアルキル基には、さらに、前記シクロアルキル環が1個以上のアリール基或はヘテロアリール基と縮合した環系を含み、ここで、連結点はシクロアルキル環に位置し、また、このような場合、炭素数は依然としてシクロアルキル系中の炭素数を示す。例示的な前記のシクロアルキル基として、シクロプロピル(C)、シクロプロペニル(C)、シクロブチル(C)、シクロブテニル(C)、シクロペンチル(C)、シクロペンテニル(C)、シクロヘキシル(C)、シクロヘキセニル(C)、シクロヘキサジエニル(C)、シクロヘプチル(C)、シクロヘプテニル(C)、シクロヘプタジエニル(C)、シクロヘプタトリエニル(C)、シクロオクチル(C)、シクロオクテニル(C)、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル(C)、ビシクロ[2.2.2]オクタニル(C)、シクロノニル(C)、シクロノネニル(C)、シクロデシル(C10)、シクロデセニル(C10)、オクタヒドロ-1H-インデニル(C)、デカヒドロナフチル(C10)、スピロ[4.5]デシル(C10)などが挙げられるが、これらに限定されない。シクロアルキル基が「置換」で修飾されるかどうかにもかかわらず、各シクロアルキルは、独立して、例えば1~5個の置換基、1~3個の置換基もしくは1個の置換基で置換されてもよい。適切な置換基は以下のように定義される。
【0032】
「3~10員ヘテロシクロアルキル」とは、環炭素原子および1~4個の環ヘテロ原子を有する3~10員の非芳香環系の基を指し、ここで、各ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素、硫黄、ホウ素、リンおよびケイ素から選択される。1個以上の窒素原子を含むヘテロシクロアルキルにおいて、結合価が許容される限り、結合点は、炭素または窒素原子であり得る。一部の実施形態において、環炭素原子と1~3個の環ヘテロ原子を有する3~7員非芳香環系である3~7員ヘテロシクロアルキルが好ましい。一部の実施形態において、環炭素原子と1~3個の環ヘテロ原子を有する4~7員非芳香環系である4~7員ヘテロシクロアルキルが好ましい。一部の実施形態において、環炭素原子と1~3個の環ヘテロ原子を有する3~6員非芳香環系である3~6員ヘテロシクロアルキルは特に好ましい。一部の実施形態において、環炭素原子と1~3個の環ヘテロ原子を有する4~6員非芳香環系である4~6員ヘテロシクロアルキルが好ましい。一部の実施形態において、環炭素原子と1~3個の環ヘテロ原子を有する5~6員非芳香環系である5~6員ヘテロシクロアルキルがより好ましい。さらに、ヘテロシクロアルキル基は、前記ヘテロシクロアルキル基環と1つ以上のシクロアルキル基、アリール基或はヘテロアリール基と縮合した環系を含み、その中、連結点はヘテロシクロアルキル環上に位置する。且つ、このような情況で、環員数は、依然としてヘテロシクロアルキル基の環の員数を示す。ヘテロシクロアルキル基が「置換」で修飾されるかどうかにもかかわらず、各ヘテロシクロアルキルは、独立して、例えば1~5個の置換基、1~3個の置換基もしくは1個の置換基で置換されてもよい。適切な置換基は以下のように定義される。
【0033】
1個のヘテロ原子を含む例示的な3員ヘテロシクロアルキルの例として、アジリジニル、オキシラニル、チオレニル(thiorenyl)が挙げられるが、それらに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な4員ヘテロシクロアルキルの例として、アゼチジニル、オキセタニル、およびチエタニルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロシクロアルキルの例として、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ジヒドロチオフェニル、ピロリジニル、ジヒドロピロリル、およびピロリル-2,5-ジオンが挙げられるが、それに限定されない。2個のヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロシクロアルキルの例として、ジオキソラニル、オキサスルフラニル(oxasulfuranyl)、ジスルフラニル(disulfuranyl)、オキサゾリジン-2-オンが挙げられるが、これらには限定されない。3個のヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロシクロアルキルの例として、トリアゾリニル、オキサジアゾリニル、およびチアジアゾリニルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な6員ヘテロシクロアルキルの例として、ピペリジニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピリジニル、およびチアニル(thianyl)が挙げられるが、それらに限定されない。2個のヘテロ原子を含む例示的な6員ヘテロシクロアルキルの例として、ピペラジニル、モルホリニル、ジチアニル、ジオキサニルが挙げられるが、それらに限定されない。3個のヘテロ原子を含む例示的な6員ヘテロシクロアルキルの例として、トリアジナニル(triazinanyl)が挙げられるが、それに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な7員ヘテロシクロアルキルの例として、アゼパニル、オキセパニル、チエパニルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な8員ヘテロシクロアルキルの例として、アゾカニル(azocanyl)、オキセカニル(oxecanyl)、チオカニル(thiocanyl)が挙げられるが、これらに限定されない。Cアリール環に縮合された例示的な5員ヘテロシクロアルキル(本明細書では、5,6-二環式ヘテロシクロアルキルとも称される)として、インドリニル、イソインドリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリノニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。Cアリール環に縮合された例示的な6員ヘテロシクロアルキル(本明細書では、6,6-二環式ヘテロシクロアルキルとも称される)として、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニルなどが挙げられるが、これらには限定されない。
【0034】
「C6-14アリール基」とは、6~14個の環炭素原子および0個のヘテロ原子を有する単環式または多環式(例えば、二環式もしくは三環式)の4n+2芳香環系(例えば、環状の配列において共有される6、10または14個のπ電子を有する)の基を指す。一部の実施形態において、アリール基は、6個の環炭素原子を有する(「Cアリール基」;例えば、フェニル)。一部の実施形態において、アリール基は、10個の環炭素原子を有する(「C10アリール基」;例えば、1-ナフチルおよび2-ナフチルなどのナフチル)。一部の実施形態において、アリール基は、14個の環炭素原子を有する(「C14アリール基」;例えば、アントリル)。一部の実施形態において、「C6-10アリール基」は特に好ましく、Cアリール基がより好ましい。アリール基は、上記のアリール環が1つ以上のシクロアルキル基またはヘテロシクロアルキル基と縮合した環系も含み、且つ結合点は、上記のアリール環上に存在し、このような場合、炭素原子の数は、依然として上記のアリール環系内の炭素原子の数を示す。アリール基が「置換」で修飾されるかどうかにもかかわらず、各アリール基は、独立して、例えば1~5個の置換基、1~3個の置換基もしくは1個の置換基で置換されてもよい。適切な置換基は以下のように定義される。
【0035】
「5~10員ヘテロアリール基」とは、環炭素原子および1~4個の環ヘテロ原子を有する5~10員の単環式または二環式の4n+2芳香環系(例えば、環状の配列で共有される6または10個のπ電子を有する)の基を指し、ここで、各ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素および硫黄から選択される。1個以上の窒素原子を含むヘテロアリール基において、結合価が許容される限り、結合点は、炭素または窒素原子であり得る。ヘテロアリール二環式環系は、一方または両方の環に1つ以上のヘテロ原子を含み得る。ヘテロアリール基は、上記のヘテロアリール環が1つ以上のシクロアルキル基またはヘテロシクロアルキルと縮合した環系を含み、ここで、結合点は、上記のヘテロアリール環上に存在し、このような場合、環員数は、引き続きヘテロアリール環系内の環の員数を示す。一部の実施形態において、環炭素原子および1~4個の環ヘテロ原子を有する5~6員の単環式または二環式の4n+2芳香環系である5~5員ヘテロアリール基は特に好ましい。ヘテロアリール基が「置換」で修飾されるかどうかにもかかわらず、各ヘテロアリール基は、独立して、例えば1~5個の置換基、1~3個の置換基もしくは1個の置換基で置換されてもよい。適切な置換基は以下のように定義される。
【0036】
1個のヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロアリール基として、ピロリル、フラニル、およびチオフェニルが挙げられるが、これらに限定されない。2個のヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロアリール基として、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、およびイソチアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。3個のヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロアリール基として、トリアゾリル、オキサジアゾリル、およびチアジアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。4個のヘテロ原子を含む例示的な5員ヘテロアリール基として、テトラゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な6員ヘテロアリール基として、ピリジニルが挙げられるが、これらに限定されない。2個のヘテロ原子を含む例示的な6員ヘテロアリール基として、ピリダジニル、ピリミジニル、およびピラジニルが挙げられるが、これらに限定されない。3または4個のヘテロ原子を含む例示的な6員ヘテロアリール基として、それぞれトリアジニルおよびテトラジニルが挙げられるが、これらに限定されない。1個のヘテロ原子を含む例示的な7員ヘテロアリール基として、アゼピニル、オキセピニル、およびチエピニルが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な5,6-二環式ヘテロアリール基として、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、イソベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ベンゾイソフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズチアジアゾリル、インドリジニル、およびプリニルが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な6,6-二環式ヘテロアリール基として、ナフチリジニル、プテリジニル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、キノキサリニル、フタラジニル、およびキナゾリニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0037】
例示的な炭素原子置換基としては、ハロゲン、-CN、-NO、-N、-SOH、-SOH、-OH、-ORaa、-ON(Rbb、-N(Rbb、-N(Rbb 、-N(ORcc)Rbb、-SH、-SRaa、-SSRcc、-C(=O)Raa、-COH、-CHO、-C(ORcc、-COaa、-OC(=O)Raa、-OCOaa、-C(=O)N(Rbb、-OC(=O)N(Rbb、-NRbbC(=O)Raa、-NRbbCOaa、-NRbbC(=O)N(Rbb、-C(=NRbb)Raa、-C(=NRbb)ORaa、-OC(=NRbb)Raa、-OC(=NRbb)ORaa、-C(=NRbb)N(Rbb、-OC(=NRbb)N(Rbb、-NRbbC(=NRbb)N(Rbb、-C(=O)NRbbSOaa、-NRbbSOaa、-SON(Rbb、-SOaa、-SOORaa、-OSOaa、-S(=O)Raa、-OS(=O)Raa、-Si(Raa、-OSi(Raa、-C(=S)N(Rbb、-C(=O)SRaa、-C(=S)SRaa、-SC(=S)SRaa、-SC(=O)SRaa、-OC(=O)SRaa、-SC(=O)ORaa、-SC(=O)Raa、-P(=O)aa、-OP(=O)aa、-P(=O)(Raa、-OP(=O)(Raa、-OP(=O)(ORcc、-P(=O)N(Rbb、-OP(=O)N(Rbb、-P(=O)(NRbb、-OP(=O)(NRbb、-NRbbP(=O)(ORcc、-NRbbP(=O)(NRbb、-P(Rcc、-P(Rcc、-OP(Rcc、-OP(Rcc、-B(Raa、-B(ORcc、-BRaa(ORcc)、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクロアルキル基、アリール、およびヘテロアリールが挙げられるが、これらに限定されず、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクロアルキル基、アリール、およびヘテロアリールは、それぞれ独立して0、1、2、3、4もしくは5個のRdd基で置換され;
【0038】
または、炭素原子上の2つのジェミナル水素は、=O、=S、=NN(Rbb、=NNRbbC(=O)Raa、=NNRbbC(=O)ORaa、=NNRbbS(=O)aa、=NRbbもしくは=NORcc基で置換され;
【0039】
各Raaは、独立して、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクロアルキル基、アリール、およびヘテロアリールから選択されるか、または2つのRaa基が連結して、ヘテロシクロアルキル基もしくはヘテロアリール環を形成し、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクロアルキル基、アリール、およびヘテロアリールは、それぞれ独立して0、1、2、3、4もしくは5個のRdd基で置換され;
【0040】
各Rbbは、独立して、水素、-OH、-ORaa、-N(Rcc、-CN、-C(=O)Raa、-C(=O)N(Rcc、-COaa、-SOaa、-C(=NRcc)ORaa、-C(=NRcc)N(Rcc、-SON(Rcc、-SOcc、-SOORcc、-SORaa、-C(=S)N(Rcc、-C(=O)SRcc、-C(=S)SRcc、-P(=O)aa、-P(=O)(Raa、-P(=O)N(Rcc、-P(=O)(NRcc、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクロアルキル基、アリール、およびヘテロアリールから選択されるか、または2つのRbb基が連結して、ヘテロシクロアルキル基もしくはヘテロアリール環を形成し、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクロアルキル基、アリール、およびヘテロアリールは、それぞれ独立して0、1、2、3、4もしくは5個のRdd基で置換され;
【0041】
各Rccは、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクロアルキル基、アリール、およびヘテロアリールから選択されるか、または2つのRcc基が連結して、ヘテロシクロアルキル基もしくはヘテロアリール環を形成し、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、複素環基、アリール、およびヘテロアリールは、それぞれ独立して0、1、2、3、4もしくは5個のRdd基で置換され;
【0042】
各Rddは、独立して、ハロゲン、-CN、-NO、-N、-SOH、-SOH、-OH、-ORee、-ON(Rff、-N(Rff、-N(Rff 、-N(ORee)Rff、-SH、-SRee、-SSRee、-C(=O)Ree、-COH、-COee、-OC(=O)Ree、-OCOee、-C(=O)N(Rff、-OC(=O)N(Rff、-NRffC(=O)Ree、-NRffCOee、-NRffC(=O)N(Rff、-C(=NRff)ORee、-OC(=NRff)Ree、-OC(=NRff)ORee、-C(=NRff)N(Rff、-OC(=NRff)N(Rff、-NRffC(=NRff)N(Rff、-NRffSOee、-SON(Rff、-SOee、-SOORee、-OSOee、-S(=O)Ree、-Si(Ree、-OSi(Ree、-C(=S)N(Rff、-C(=O)SRee、-C(=S)SRee、-SC(=S)SRee、-P(=O)ee、-P(=O)(Ree、-OP(=O)(Ree、-OP(=O)(ORee、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクロアルキル基、アリール、ヘテロアリールから選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、複素環基、アリール、およびヘテロアリールは、それぞれ独立して0、1、2、3、4もしくは5個のRgg基で置換されてもよく、または2つのジェミナルRdd置換基が連結して、=Oもしくは=Sを形成してもよく;
【0043】
各Reeは、独立して、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、アリール、ヘテロシクロアルキル基、およびヘテロアリールから選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクロアルキル基、アリール、およびヘテロアリールは、それぞれ独立して0、1、2、3、4もしくは5個のRgg基で置換され;
【0044】
各Rffは、独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクロアルキル基、アリール、およびヘテロアリールから選択されるか、または2つのRff基が連結して、ヘテロシクロアルキル基またはヘテロアリール環を形成し、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクロアルキル基、アリール、およびヘテロアリールは、それぞれ独立して0、1、2、3、4もしくは5個のRgg基で置換され;
【0045】
各Rggは、独立して、ハロゲン、-CN、-NO、-N、-SOH、-SOH、-OH、-OC1-6アルキル基、-ON(C1-6アルキル基)、-N(C1-6アルキル基)、-N(C1-6アルキル基) 、-NH(C1-6アルキル基) 、-NH(C1-6アルキル基)、-NH 、-N(OC1-6アルキル基)(C1-6アルキル基)、-N(OH)(C1-6アルキル基)、-NH(OH)、-SH、-SC1-6アルキル基、-SS(C1-6アルキル基)、-C(=O)(C1-6アルキル基)、-COH、-CO(C1-6アルキル基)、-OC(=O)(C1-6アルキル基)、-OCO(C1-6アルキル基)、-C(=O)NH、-C(=O)N(C1-6アルキル基)、-OC(=O)NH(C1-6アルキル基)、-NHC(=O)(C1-6アルキル基)、-N(C1-6アルキル基)C(=O)(C1-6アルキル基)、-NHCO(C1-6アルキル基)、-NHC(=O)N(C1-6アルキル基)、-NHC(=O)NH(C1-6アルキル基)、-NHC(=O)NH、-C(=NH)O(C1-6アルキル基)、-OC(=NH)(C1-6アルキル基)、-OC(=NH)OC1-6アルキル基、-C(=NH)N(C1-6アルキル基)、-C(=NH)NH(C1-6アルキル基)、-C(=NH)NH、-OC(=NH)N(C1-6アルキル基)、-OC(NH)NH(C1-6アルキル基)、-OC(NH)NH、-NHC(NH)N(C1-6アルキル基)、-NHC(=NH)NH、-NHSO(C1-6アルキル基)、-SON(C1-6アルキル基)、-SONH(C1-6アルキル基)、-SONH、-SO1-6アルキル基、-SOOC1-6アルキル基、-OSO1-6アルキル基、-SOC1-6アルキル基、-Si(C1-6アルキル基)、-OSi(C1-6アルキル基)、-C(=S)N(C1-6アルキル基)、C(=S)NH(C1-6アルキル基)、C(=S)NH、-C(=O)S(C1-6アルキル基)、-C(=S)SC1-6アルキル基、-SC(=S)SC1-6アルキル基、-P(=O)(C1-6アルキル基)、-P(=O)(C1-6アルキル基)、-OP(=O)(C1-6アルキル基)、-OP(=O)(OC1-6アルキル基)、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、C-Cアルケニル基、C-Cアルキニル基、C-C炭素環基、C-C10アリール基、C-Cヘテロシクロアルキル基、C-C10ヘテロアリール基であるか;または2つのジェミナルRgg置換基が連結して、=Oもしくは=Sを形成してもよく;、ここで、Xは、対イオンである。
【0046】
例示的な窒素原子上の置換基としては、水素、-OH、-ORaa、-N(Rcc、-CN、-C(=O)Raa、-C(=O)N(Rcc、-COaa、-SOaa、-C(=NRbb)Raa、-C(=NRcc)ORaa、-C(=NRcc)N(Rcc、-SON(Rcc、-SOcc、-SOORcc、-SORaa、-C(=S)N(Rcc、-C(=O)SRcc、-C(=S)SRcc、-P(=O)aa、-P(=O)(Raa、-P(=O)N(Rcc、-P(=O)(NRcc、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクロアルキル基、アリール、およびヘテロアリールが挙げられるが、これらに限定されないか、または窒素原子に結合した2つのRcc基は、連結して、ヘテロシクロアルキル基もしくはヘテロアリール環を形成し、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、炭素環基、ヘテロシクロアルキル基、アリール、およびヘテロアリールは、それぞれ独立して0、1、2、3、4もしくは5個のRdd基で置換され、ここで、Raa、Rbb、RccおよびRddは、上記の通りである。
【0047】
用語「薬学的に許容される塩」とは、妥当な医学的判断の範囲内で、過度な毒性、刺激、およびアレルギー応答などなしで、ヒトおよび下等動物の組織と接触させて使用するために適切であり、そして合理的な利益/危険比に釣り合う、塩を指す。薬学的に許容される塩は、当該分野において周知である。例えば、Bergeらは、薬学的に許容される塩を、J.Pharmaceutical Sciences,1977,66,1-19において詳細に記載している。本発明の化合物の薬学的に許容される塩としては、適切な無機および有機の酸と無機および有機の塩基から誘導される塩が挙げられる。薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸)と形成された塩、または有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸)と形成された塩を含む。また、例えば、イオン交換などの当該分野における慣用の方法で形成された塩も含む。他の薬学的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、および吉草酸塩などが挙げられる。適切な塩基から誘導される薬学的に許容される塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩およびN(C1-4アルキル)塩が挙げられる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウムの塩などが挙げられる。他の薬学的に許容される塩は、ハロゲンイオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、低級アルキルスルホン酸イオン、およびアリールスルホン酸イオンなどの対イオンと形成された、無毒のアンモニウム塩、第四級アンモニウム塩、およびアミン陽イオンを含む。
【0048】
投与される「被験者」としては、ヒト(すなわち、任意の年齢群、例えば、小児被験者(例えば、乳児、小児、青年)または成人被験者(例えば、若年成人、中年成人または高齢成人)の男性または女性)および/または非ヒト動物、例えば、哺乳動物(例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)、ウシ、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、げっ歯類、ネコおよび/またはイヌ)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、被験者は、ヒトである。一部の実施形態において、被験者は、非ヒト動物である。「ヒト」、「患者」および「被験者」は、本明細書中で交換可能に使用される。
【0049】
「疾患」、「障害」および「病状」は、本明細書中で交換可能に使用される。
【0050】
他に特定されない限り、本明細書中で使用される用語「治療」は、被験者が特定の疾患、障害または病状を罹患している間に行われ、その疾患、障害または病状の重篤度を低下させるか、あるいは疾患、障害または病状の進行を遅延させるかまたは遅くする行為(「治療性治療」)を想定し、そしてまた、被験者が特定の疾患、障害または病状を罹患し始める前に行われる行為(「予防性治療」)を想定する。
【0051】
「組み合わせ」及び関連用語は、本発明の治療剤を同時に又は順次に投与することを意味する。例えば、本発明の化合物は、別々の単位製剤で他の治療剤と同時に又は順次に投与したり、単一の単位製剤で他の治療剤と同時に投与したりすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0052】
化合物
本明細書において、「本発明の化合物」とは、以下の式(I)で表われる化合物~式(VII)で表われる化合物(例えば式(II-1)で表われる化合物などの各式のサブセットを含む)、或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物を指す。
【0053】
一実施形態において、本発明は、式(I)で表れる化合物、或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物に関する。
【化3】
ただし、
XはCH、CDまたはNから選択され;
環Aは、少なくとも1つのN原子を含む5員ヘテロアリール環から選択され;
は、H、D、ハロゲン、-CN、-NO、-OH、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルコキシル、C1-6ハロアルコキシル、または-OC3-7シクロアルキルから選択され、ここで、前記のC1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルコキシル、C1-6ハロアルコキシルおよび-OC3-7シクロアルキルが1-13個のR基で置換されていてもよく;
は、H、D、4-7員ヘテロシクロアルキル、または-NRから選択され、ここで、前記の4-7員ヘテロシクロアルキルが1-10個のR基で置換されていてもよく;
は、H、D、ハロゲン、-CN、-NO、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、またはC3-6シクロアルキルから選択され、ここで、前記のC1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、またはC3-6シクロアルキルが1-13個のR基で置換されていてもよく;
は、H、D、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-7シクロアルキル、4-7員ヘテロシクロアルキル、C6-10アリール、または5-10員ヘテロアリールから選択され、ここで、前記のC6-10アリールおよび5-10員ヘテロアリールが1-13個のR基で置換されていてもよく;
は、H、D、-(CHOR、-(CHNR、-(CDOR、または-(CDNRから選択され、ここで、nは1、2、3または4から選択され;
は、H、DまたはC1-6アルキルから選択され、ここで、前記のC1-6アルキルが1-13個のR基で置換されていてもよく;
およびRは、それぞれ独立してH、D、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、または4-7員ヘテロシクロアルキルから選択され、或いはR、Rは、それらが連結しているN原子とともに4-7員ヘテロシクロアルキルを形成し;ここで、前記のC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、または4-7員ヘテロシクロアルキルが1-13個のR基で置換されていてもよく;
は、独立してH、D、ハロゲン、-OH、C1-6アルコキシル、-NH、-NH(C1-6アルキル)、-N(C1-6アルキル)、-C(O)C1-6アルキル、-C(O)OC1-6アルキル、-C(O)NHC1-6アルキル、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-7シクロアルキル、4-7員ヘテロシクロアルキル、C6-10アリール、または5-10員ヘテロアリールから選択され;或いは、同じ原子または隣接する原子上の2つのR基は、C3-7シクロアルキル、4-7員ヘテロシクロアルキル、C6-10アリール、または5-10員ヘテロアリールをともに形成してもよく;ここで、Rの定義における各基が、完全に重水素化されるまで、1つまたは複数のDで置換されていてもよく;
前提は、XがCHであり、かつ環Aが
【化4】
である場合、RがC1-6ハロアルキル、またはC1-6ハロアルコキシルから選択される。
【0054】

1つの特定の実施形態において、XはCHであり;別の特定の実施形態において、XはCDであり;別の特定の実施形態において、XはNである。
【0055】
環A
1つの特定の実施形態において、環Aは、
【化5】
から選択され;別の特定の実施形態において、環Aは、
【化6】
から選択され;別の特定の実施形態において、環Aは、
【化7】
から選択される。
【0056】

1つの特定の実施形態において、Rは、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルコキシル、C1-6ハロアルコキシル、または-OC3-7シクロアルキルから選択され、ここで、前記のC1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C3-7シクロアルキル、C1-6アルコキシル、C1-6ハロアルコキシルおよび-OC3-7シクロアルキルが1-13個(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13個)のR基で置換されていてもよく;1つの特定の実施形態において、Rは-ORから選択され、ここで、RがH、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、またはC3-7シクロアルキルから選択され、ここで、前記のC1-6アルキル、C1-6ハロアルキルおよびC3-7シクロアルキルが1-13個(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13個)のR基で置換されていてもよく;1つの特定の実施形態において、RはC1-6ハロアルコキシルであり、ここで、前記のC1-6ハロアルコキシルが1-12個(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12個)のR基で置換されていてもよく;1つの特定の実施形態において、Rは、-OCH、-OCHCH、-OCH(CH)、-OCHF、-OCF、-OCHCF、-OCD、-OCDCH、-OCD(CD)、-OCDF、-OCFまたは-OCDCFから選択され;1つの特定の実施形態において、Rは、-OCHF、-OCFまたは-OCHCFから選択される。
【0057】

1つの特定の実施形態において、Rは4-7員ヘテロシクロアルキル、または-NRから選択され、ここで、前記の4-7員ヘテロシクロアルキルが1-10個(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個)のR基で置換されていてもよく;1つの特定の実施形態において、Rは、-N(CH
【化8】
-N(CD
【化9】
【化10】
から選択される。
【0058】

1つの特定の実施形態において、Rは、H、D、ハロゲン、-CN、-NO、C1-6アルキルまたはC1-6ハロアルキルから選択され、ここで、前記のC1-6アルキルおよびC1-6ハロアルキルが1-13個(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12または13個)のR基で置換されていてもよく;1つの特定の実施形態において、Rは、H、F、Cl、-CHまたはCDから選択される。
【0059】

1つの特定の実施形態において、Rは、C3-7シクロアルキル、4-7員ヘテロシクロアルキル、C6-10アリール、または5-10員ヘテロアリールから選択され、ここで、前記のC6-10アリールおよび5-10員ヘテロアリールが1-8個(例えば1、2、3、4、5、6、7または8個)のR基で置換されていてもよく;1つの特定の実施形態において、RはC6-10アリール、または5-10員ヘテロアリールから選択され、ここで、前記のC6-10アリールおよび5-10員ヘテロアリールが1-8個(例えば1、2、3、4、5、6、7または8個)のR基で置換されていてもよい。
【0060】

1つの特定の実施形態において、Rは、-(CHOR、-(CHNR、-(CDOR、または-(CDNRから選択され、ここで、nは1、2、3または4から選択され;1つの特定の実施形態において、Rは-(CHNR、または-(CDNRであり、ここで、nは1または2から選択され;1つの特定の実施形態において、Rは、-CHN(CH、-CHN(CH)(CHCH)、
【化11】
【化12】
-CDN(CH、-CHN(CD、または-CDN(CDから選択される。
【0061】

1つの特定の実施形態において、RはHであり;別の特定の実施形態において、RはDである。
【0062】
別の特定の実施形態において、本発明は、以下の一般式で表われる化合物に関する。
【化13】
【化14】
【0063】
別の特定の実施形態において、本発明は、以下の化合物に関する。
【化15】
【化16】
【0064】
本発明の化合物は、1つ以上の不斉中心を含み得るので、様々な立体異性体、例えば、エナンチオマーおよび/またはジアステレオマーとして存在し得る。例えば、本発明の化合物は、個々のエナンチオマー、ジアステレオマーもしくは幾何異性体(例えば、シスおよびトランス異性体)の形態であり得るか、または立体異性体の混合物(ラセミ混合物、および1つ以上の立体異性体に富んだ混合物を含む)の形態であり得る。異性体は、当業者に公知の方法(キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)ならびにキラル塩の形成および結晶化を含む)によって混合物から単離されるか;またが好ましい異性体が、不斉合成によって調製される。
【0065】
当業者は、有機化合物が、溶媒中で反応するか、または溶媒から沈殿あるいは結晶化して、当該溶媒と複合体を形成し得ることを理解できる。これらの複合体は「溶媒和物」と呼ばれる。溶媒が水である場合、複合体は「水和物」と呼ばれる。本発明は、本発明の化合物のすべての溶媒和物を含む。
【0066】
「溶媒和物」という用語とは、一般的に、加溶媒分解反応により形成された、溶媒と組み合わせた化合物またはその塩の形態を指す。この物理的な会合は、水素結合が含まれる。通常の溶媒は、水、メタノール、エタノール、酢酸、DMSO、THF、ジエチルエーテルなどが含まれる。本発明の化合物は、例えば結晶として調製され、且つ溶媒和されることができる。適切な溶媒和物は、薬学的に許容される溶媒和物が含まれ、さらに化学量論的溶媒和物および非化学量論的溶媒和物が含まれる。特定の実施形態において、例えば、1つまたは複数の溶媒分子が結晶性固体の結晶格子に組み込まれている場合、前記の溶媒和物が単離される。「溶媒和物」は、溶液状態の溶媒和物と分離可能な溶媒和物が含まれる。代表的な溶媒和物として、水和物、エタノレート、およびメタノレートが挙げられる。
【0067】
「水和物」という用語は、水と組み合わせた化合物を指す。通常、化合物の水和物に含まれる水分子数の、該水和物中の該化合物分子数に対する比率は、一定である。したがって、化合物の水和物は、たとえば、一般式ROで表れる。、ここで、Rは該化合物であり、xは0より大きい数である。所定の化合物は、複数のタイプの水和物を形成する可能性がある。例えば、一水和物(xは1)、低次水和物(xは0より大きく1より小さい数、例えば、半水和物(R0.5O))、および多水和物(xは1より大きい数、例えば、二水和物(RO)および六水和物(RO))が挙げられる。
【0068】
本発明の化合物は、非晶質または結晶質(結晶多形)のいずれでもよい。また、本発明の化合物は、1種または複数の結晶として存在してもよい。したがって、本発明は、本発明の化合物のすべての非晶質または結晶質をその範囲に含む。「結晶多形」という用語とは、特定の結晶が堆積して並んだ化合物の結晶体(あるいはその塩、水和物または溶媒和物)を指す。すべての多形体は同じ元素組成を有する。異なる結晶体は通常、異なるX線回折パターン、赤外スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形状、光電特性、安定性、および溶解度を有する。再結晶溶媒、結晶化速度、貯蔵温度、および他の要因により、優勢な結晶体が生じる可能性がある。化合物の様々な多形体は、異なる条件下で結晶化することによって調製できる。
【0069】
また、本発明には、式(I)に記載されたものと同等の同位体標識化合物を含むが、1つ以上の原子は、原子質量または質量数が天然に典型的に見られる原子質量または質量数と異なる原子によって置換された。本発明の化合物に導入できる同位体の例として、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素および塩素の同位体、例えばそれぞれH、H、13C、11C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clが挙げる。上記同位体および/または他の原子の他の同位体を含む本発明の化合物、そのプロドラッグ、および前記化合物または前記プロドラッグの薬学的に許容される塩は、本発明の範囲内に含まれる。放射性同位体(例えばHおよび14C)を導入したものなどの一部の同位体標識された本発明の化合物は、薬物および/または基質の組織分布に関する測定に用いられる。トリチウム(即ち、H)と炭素-14(即ち、14C)の同位体は、その製造と検出が容易であるため特に好ましい。さらに、重水素、すなわちHのようなより重い同位体での置換は、代謝安定性に優れているため、治療で利点がある。例えば、インビボでの半減期の延長や投与量の削減ができるので、状況に応じて優先に考えられることがある。通常、同位体標識された本発明の式(I)の化合物およびそのプロドラッグは、以下のスキームおよび/または実施例および調製例で開示されるプロセスが行われる場合、非同位体標識試薬の代わりに、容易に入手可能な同位体標識試薬を使用することにより調製することができる。
【0070】
さらに、プロドラッグも本発明の明細書に含まれる。本明細書で使用される「プロドラッグ」という用語は、インビボで、例えば血液中での加水分解によって医学的な効果を有する活性形態に変換される化合物を指す。薬学的に許容されるプロドラッグは、T. HiguchiおよびV. Stella,Prodrugs as Novel Delivery Systems,A.C.S.Symposium SeriesのVol.14,Edward B.Roche,ed.,Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987、ならびにD.Fleisher、S.RamonおよびH.Barbra“Improved oral drug delivery:solubility limitations overcome by the use of prodrugs”,Advanced Drug Delivery Reviews(1996)19(2)115-130に記載されたが、それらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れられる。
【0071】
プロドラッグは、患者に投与されると、インビボで母体化合物を放出する、任意の共有結合の本発明の化合物である。プロドラッグは、典型的には、通常の操作またはインビボで切断されて母体化合物を生じることができるように官能基を修飾することによって調製される。プロドラッグには、例えば、水酸基、アミノ基またはメルカプト基が任意の基に結合している本発明の化合物が含まれ、それらを患者に投与すると、切断されて、水酸基、アミノ基またはメルカプト基を形成することができる。したがって、プロドラッグの代表例としては、式(I)で表される化合物の水酸基、アミノ基またはメルカプト基とのアセテート/アセトアミド、ホルメート/ホルムアミドおよびベンゾエート/ベンズアミド誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。また、カルボン酸(-COOH)の場合は、メチルエステル、エチルエステル等のエステルを用いることができる。エステル自体は活性を有してもよく、および/またはヒトの体内の条件下で加水分解されてもよい。適切な薬学的に許容されるインビボで加水分解可能なエステル基には、人体中で容易に分解して母体酸またはその塩を放出する基が含まれる。
【0072】
医薬組成物、製剤およびキット
他の様態では、本発明は、本発明の化合物(「活性成分」とも呼ばれる)および薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態において、前記の医薬組成物は、有効量の活性成分を含む。一部の実施形態において、前記の医薬組成物は、治療有効量の活性成分を含む。一部の実施形態において、前記の医薬組成物は、予防有効量の活性成分を含む。
【0073】
本発明の薬学的に許容される賦形剤とは、配合される化合物の薬理学的活性を無効にしない非毒性担体、アジュバントまたは媒体を指す。本発明の組成物で使用できる薬学的に許容される担体、アジュバントまたは媒体には、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝物質(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が含まれるが、これらに限定されない。
【0074】
本発明は、キット(例えば、医薬パック)も含む。提供されるキットは、本発明の化合物、ほかの治療剤、ならびに本発明の化合物、他の治療剤を含有する第1および第2の容器(例えば、バイアル、アンプル、ボトル、シリンジ、および/または分散パッケージ、あるいは他の適切な容器)を含む。一部の実施形態において、提供されるキットは、また、本発明の化合物および/または他の治療薬を希釈または懸濁するための薬学的に許容される賦形剤を含む第3の容器も有しても良い。一部の実施形態において、第1の容器および第2の容器内の本発明の化合物を他の治療薬と組み合わせて単位製剤を形成して提供する。
【0075】
本発明によって提供される医薬組成物は、経口投与、非経口投与、吸入投与、局所投与、直腸内投与、鼻腔投与、口腔投与、膣内投与、インプラントによる投与または他の投与方法などの様々な方式によって投与することができるが、これらに限定されない。例えば、本発明で用いた非経口投与には、皮下投与、皮内投与、静脈内投与、筋肉内投与、関節内投与、動脈内投与、滑膜腔内投与、胸骨内投与、脳脊髄膜内投与、病巣内投与、頭蓋内の注射や輸液技術がある。
【0076】
通常、有効量で本発明によって提供される化合物を投与する。治療される病状、選択される投与方式、実際に投与される化合物、患者の年齢、体重および反応、患者の症状の重篤度などを含む状況に応じて、実際に投与される化合物の量は医師によって決定される。
【0077】
本明細書に記載した病状を予防するために使用される場合、本発明によって提供される化合物は、前記の病状を発症するリスクのある被験者に投与され、典型的には、医師の推奨に基づいて上記の用量レベルで投与される。特定の病状を発症するリスクのある被験者には、典型的には、前記の病状の家族歴史を有する被験者、または遺伝子検査もしくはスクリーニングによって前記の病状を発症しやすい被験者が含まれる。
【0078】
本発明によって提供される医薬組成物(「長期投与」)は長期的に投与することもできる。長期投与とは、例えば3ヶ月、6ヶ月、1年、2年、3年、5年などの長期間にわたって化合物またはその医薬組成物を投与できるか、または、例えば被験者の余生において無期限に連続的に投与できることを指す。たとえば、一部の実施形態において、長期投与は、例えば治療ウィンドウ内で、長期間にわたって血液中に一定レベルの前記の化合物を提供することを意図している。
【0079】
本発明の医薬組成物は、様々な投与方式を用いてさらに送達することができる。例えば、一部の実施形態において、医薬組成物は、例えば、血液中の化合物の濃度を有効レベルまで速く増加させるために、ボーラス注射によって投与することができる。ボーラス用量の配置は、活性成分の目的の全身レベルに依存し、例えば、筋肉内または皮下のボーラス用量は、活性成分のゆっくりとした放出を可能にし、一方で、静脈に直接送達されるボーラス(例えば、IV滴注による)は、より速い送達を可能にし、これは、血液中の活性成分の濃度を有効レベルまで迅速に上昇させる。他の実施形態において、この薬学的組成物は、連続注入として、例えば、IV滴注によって投与されて、被験者の身体内での、活性成分の定常状態濃度の維持を提供し得る。
【0080】
経口投与用の組成物は、バルクの液体の溶液もしくは懸濁液またはバルクの粉末の形態をとり得る。しかしながら、一般的に、組成物を、精確な投薬量で投与できるために、単位投与量で提供される。用語「単位製剤」とは、ヒト被験者および他の哺乳動物に対する単位投与量として好適な物理的に不連続の単位を指し、各単位は、好適な薬学的賦形剤とともに所望の治療効果をもたらすと計算される所定量の活性な材料を含む。典型的な単位製剤としては、液体組成物の予め測定され予め充填されたアンプルもしくは注射器、または固体組成物の場合は丸剤、錠剤、カプセルなどが挙げられる。そのような組成物では、化合物は、通常、少量の成分(約0.1~約50重量%またが好ましくは約1~約40重量%)であり、残りは、所望の投薬形態を形成するのに役立つ様々な担体または賦形剤および加工助剤である。
【0081】
経口投与の場合、1日あたり1~5回、特に2~4回、典型的には3回の経口投与量が、代表的なレジメンである。これらの投薬パターンを使用するとき、各用量は、約0.01~約20mg/kgの本発明の化合物を提供し、好ましい用量は、それぞれ約0.1~約10mg/kg、特に、約1~約5mg/kgを提供する。
【0082】
経皮用量は一般に、注射用量を使用して達成されるレベルと類似であるかまたはより低い血液中レベルを提供するように選択され、一般に、約0.01重量%~約20重量%、好ましくは、約0.1重量%~約20重量%、好ましくは、約0.1重量%~約10重量%、そしてより好ましくは、約0.5重量%~約15重量%の範囲の量である。
【0083】
注射剤の用量レベルは、約0.1mg/kg/時間~少なくとも10mg/kg/時間の範囲であり、すべて約1~約120時間、特に、24~96時間にわたる。約0.1mg/kg~約10mg/kgまたはそれ以上の前負荷ボーラス(preloading bolus)も、適切な定常状態レベルを達成するために投与されてもよい。最大総用量は、40~80kgのヒト患者にとって約2g/日を越えない。
【0084】
経口投与に適した液体の形態は、緩衝剤、懸濁剤および分散剤(dispensing agents)、着色剤、香料などを含む好適な水性または非水性のビヒクルを含み得る。固体の形態は、例えば、以下の成分または同様の性質の化合物のいずれかを含み得る:結合剤(例えば、微結晶性セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチン);賦形剤(例えば、デンプンまたはラクトース)、崩壊剤(例えば、アルギン酸、Primogelまたはトウモロコシデンプン);滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム);滑剤(例えば、コロイド状二酸化ケイ素);甘味剤(例えば、スクロースまたはサッカリン);または香味料(例えば、ペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジフレーバー)。
【0085】
注射可能な組成物は、典型的には、注射可能な滅菌された食塩水もしくはリン酸緩衝食塩水または当該分野で公知の他の注射可能な賦形剤に基づくものである。従来どおり、そのような組成物における活性な化合物は、典型的には、しばしば約0.05~10重量%である微量の成分であり、残りは、注射可能な賦形剤などである。
【0086】
経皮の組成物は、典型的には、活性成分(単数または複数)を含む局所用軟膏またはクリームとして製剤化される。軟膏として製剤化されるとき、活性成分は、典型的には、パラフィン軟膏基剤または水混合性軟膏基剤と混合される。あるいは、活性成分は、例えば、水中油型クリーム基剤を含む、クリームとして製剤化され得る。そのような経皮的製剤は、当該分野で周知であり、一般に、活性成分または製剤の皮膚浸透力または安定性を高めるさらなる成分を含む。そのような既知の経皮の製剤および成分のすべてが、本発明に提供される範囲内に含まれる。
【0087】
本発明の化合物は、経皮的デバイスによっても投与され得る。従って、経皮的投与は、レザバー(reservoir)タイプもしくは多孔質膜タイプまたは固体マトリックス種類のパッチを用いて達成され得る。
【0088】
経口的に投与可能な、注射可能な、または局所的に投与可能な組成物において、上に記載された構成要素は、単に代表的なものである。他の材料ならびに加工手法などは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第17版,1985,Mack Publishing Company,Easton,PennsylvaniaのPart8(参照により本明細書中に援用される)に示されている。
【0089】
本発明の化合物はまた、徐放形態でまたは徐放薬物送達系から投与され得る。代表的な徐放材料の説明は、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに見出すことができる。
【0090】
本発明は、本発明の化合物の薬学的に許容される製剤にも関する。1つの実施形態において、その製剤は、水を含む。別の実施形態において、その製剤は、シクロデキストリン誘導体を含む。最も一般的なシクロデキストリンは、連結される糖部分上に必要に応じて1つ以上の置換基(それらとしては、メチル化、ヒドロキシアルキル化、アシル化およびスルホアルキルエーテル置換が挙げられるが、これらに限定されない)を含む、それぞれ6、7および8個のα-1,4-結合グルコース単位からなるα-、β-およびγ-シクロデキストリンである。ある具体的な実施形態において、シクロデキストリンは、スルホアルキルエーテルβ-シクロデキストリン、例えば、Captisolとしても知られるスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンである。例えば、米国特許第5,376,645号を参照する。一部の実施形態において、上記製剤は、ヘキサプロピル-β-シクロデキストリン(例えば、水において10~50%)を含む。
【0091】
適応症
本発明において、「癌」という用語は、制御されない方式で増殖し、場合によっては転移する細胞の異常な成長を指す。癌の種類としては、例えば、膀胱、腸、脳、乳房、子宮内膜、心臓、腎臓、肺、リンパ組織(リンパ腫)、卵巣、膵臓、または他の内分泌器官(甲状腺)、前立腺、皮膚(黒色腫)または血液腫瘍(白血病など)などの癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0092】
本発明において、「EGFR変異」または「変異型EGFR」という用語は、T790M(耐性または発癌性)、L858R(活性化)、del19(活性化)、またはそれらの組み合わせの変異を指す。
【0093】
特定の実施形態において、本発明は、1つの活性化変異および1つの点突然変異を選択的に阻害する。一部の実施形態において、本発明は、少なくとも1つの活性化変異または欠失変異del19を選択的に阻害する。一部の実施形態において、少なくとも1つの活性化変異は、点突然変異L858Rである。一部の実施形態において、少なくとも1つの耐性変異は、点突然変異T790Mである。一部の実施形態において、EGFRの少なくとも1つの変異は、L858Rおよび/またはT790Mである。
【0094】
本発明において、野生型EGFRの阻害とは対照的に使用される「変異体の選択的阻害」という用語は、本明細書に記載されている少なくとも1つのアッセイ(例えば、生化学的または細胞アッセイ)において、本発明が少なくとも1つのEGFR変異(即ち、少なくとも1つの欠失変異、少なくとも1つの活性化変異、少なくとも1つの耐性変異、または少なくとも1つの欠失変異と少なくとも1つの点突然変異の組み合わせ)を阻害することを意味する。
【0095】
本発明において、他のキナーゼの阻害とは対照的に使用される「選択的に阻害する」という用語は、本発明が少なくとも1つのキナーゼグループを不十分に阻害することを意味する。
【0096】
本発明において、「阻害剤」という用語は、本明細書に記載されている1つまたは複数のキナーゼを阻害する化合物を指す。例えば、「EGFR変異体の阻害剤」という用語は、EGFR変異体受容体を阻害するか、またはシグナル伝達効果を低下させる化合物を指す。
【0097】
本発明において、「プロテインキナーゼによって媒介される疾患」という用語は、本明細書に記載されているプロテインキナーゼによって媒介または調節される任意の病状を指す。このような病状は、非小細胞肺癌が含まれるが、これらに限定されない。
【0098】
本発明において、「EGFR変異体によって媒介される疾患」という用語は、EGFR変異体キナーゼメカニズムによって媒介されるまたは調節される任意の病状を指す。このような病状は、非小細胞肺癌、転移性脳癌、および他の固形腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。
【0099】
本発明において、「JAK3によって媒介される疾患」という用語は、JAK3キナーゼメカニズムによって媒介または調節される任意の病状を指す。このような病状は、関節リウマチ、乾癬、臓器移植拒絶、および一部の固形腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。
【0100】
本発明は、本発明の化合物、或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物、水和物、結晶体、プロドラッグまたは同位体誘導体、若しくは本発明の医薬組成物を、必要とする被験者に投与することを含む、プロテインキナーゼ(例えばEGFRキナーゼ)を阻害する方法、または疾患(例えば癌、細胞増殖性疾患、炎症、感染、免疫疾患、臓器移植、ウイルス性疾患、心血管疾患または代謝性疾患)を治療する方法を提供する。
【0101】
本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩または医薬組成物は、EGFRによる癌を治療するために使用することができる。特に、前記の化合物は、EGFR変異体を発現するEGFRに誘発される癌、およびRTKI療法(例えば、エルロチニブまたはゲフィチニブ)への抵抗性があるEGFRに誘発される癌を治療するために使用することができる。
【0102】
本発明の化合物は、EGFRの少なくとも1つの変異体の阻害剤であるため、1つまたは複数のEGFR変異体(例えば、欠失変異、活性化変異、耐性変異またはそれらの組み合わせ;具体的な例としては、T790M変異、L858R変異、del19、およびdel19/T790MまたはL858R/T790M二重変異が含まれる)の活性に関連する1つまたは複数の病状を治療することに適している。したがって、特定の実施形態において、本発明は、本発明の化合物、または薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物、水和物、結晶体、プロドラッグまたは同位体誘導体、若しくは本発明の医薬組成物を、必要とする患者に投与することを含む、変異型EGFRによって媒介される病状を治療する方法を提供する。
【0103】
本発明の化合物は、JAK3阻害剤であるため、野生型または変異型のJAK3キナーゼの活性に関連する1つまたは複数の病状を治療することに適している。したがって、特定の実施形態において、本発明は、本発明の化合物、または薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物、水和物、結晶体、プロドラッグまたは同位体誘導体、若しくは本発明の医薬組成物を、必要とする患者に投与することを含む、野生型または変異型のJAK3キナーゼによって媒介される病状を治療する方法を提供する。
【0104】
本発明の化合物で治療することができる癌としては、非小細胞肺癌(NSCLS)、小細胞肺癌、肺腺癌、肺扁平上皮癌、膵臓癌、乳癌、前立腺癌、肝癌、皮膚癌、上皮細胞癌、消化管間質腫瘍、白血病、組織球性リンパ腫、鼻咽頭癌などの過剰増殖性疾患が含まれるが、これらに限定されない。さらに、本発明の化合物は、必要とする患者における癌の再発を予防するために使用することができる。
【0105】
本発明の治療方法において、「有効量」とは、前記の治療を必要とする個体において所望の治療効果を生み出すための十分な量または投与量を指す。本発明の化合物の有効量または投与量は、通常の方法(例えば、モデリング、用量漸増または臨床試験)および通常の要因(例えば、薬物送達のモードまたは経路、薬剤の薬物動態、感染の重症度とプロセス、個体の健康と体重、および主治医の判断)によって決定される。例示的な投与量は、1日あたり約0.1mg~1g、または1日あたり約1mg~50mg、または1日あたり約50mg~250mg、または1日あたり約250mg~1gの範囲である。総投与量は、単一または個別の投与単位(例えば、BID、TID、QID)にすることができる。
【0106】
患者の疾患を改善した後、投与量を調整して予防的治療または維持的治療を行っても良い。例えば、投与量または投与頻度、あるいはその両方は、症状に応じて、必要な治療効果または予防効果を維持する量まで減らすことができる。もちろん、症状が適切なレベルに軽減した場合は、治療を中止することができる。ただし、症状が再発した場合は、長期の断続的な治療が必要になることがある。また、患者は長期間の慢性期治療を必要とする場合がある。
【0107】
薬物の併用
本明細書に記載の本発明化合物は、医薬組成物または方法において1つまたは複数の他の有効成分と併用して、本明細書に記載の疾患および障害を治療するために用いられる。他の追加の有効成分には、予想される疾患を標的とする治療剤の副作用を軽減する他の治療剤または薬剤が含まれる。この併用は、有効性を高め、他の疾患の症状を改善し、1つまたは複数の副作用を軽減し、または本発明の化合物の必要な投与量を減らすことができる。追加の有効成分は、本発明の化合物とは別の医薬組成物に調製してもよく、または本発明の化合物と共に単一の医薬組成物に含んでも良い。追加の有効成分は、本発明の化合物の投与と同時に、投与前または投与後に投与することができる。
【0108】
併用薬には、本明細書に記載の疾患および病症の治療に有効であることが知られている(または観察された)追加の有効成分が含まれ、疾患に関連する別の標的に対して有効なものも含まれる。例えば、本発明の組成物および製剤、ならびに治療方法は、標的疾患または関連する症状または病状を治療または緩和するために使用される他の活性剤などの他の薬物または医薬品をさらに含んでも良い。癌の適応症の場合、他の前記の薬剤としては、EGFR阻害剤(例えば、エルロチニブ、ゲフィチニブ(gefitinib))、Raf阻害剤(例えば、ベムラフェニブ(vemurafenib))、VEGFR阻害剤(例えば、スニチニブ(sunitinib))などのキナーゼ阻害剤;例えば、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗腫瘍抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤、プラチナ製剤、有糸分裂阻害剤、抗体、ホルモン療法、またはコルチコステロイドなどの標準的な化学療法剤が挙げられるが、これらに限定されない。疼痛の適応症の場合、適切な併用薬としては、NSAIDなどの抗炎症剤が含挙げられる。本発明の医薬組成物は、1つまたは複数の前記の活性剤をさらに含んでもよく、治療方法は、1つまたは複数の前記の活性剤を有効量で投与することをさらに含んでもよい。
【0109】
実施例
以下、具体的な実施形態によって本発明をさらに説明する。これらの実施例は、本発明を例示するためのみに使用され、本発明の範囲を限定するものではないことを理解しべきである。以下の実施例において、特定の条件を明記しない実験方法は、一般に、通常の条件または製造業者が推奨する条件に従う。特に明記しない限り、部およびパーセンテージは、重量部および重量パーセントである。
【0110】
一般に、調製プロセスにおいて、各反応は、不活性溶媒中、室温から還流温度(例えば、0℃~100℃、好ましくは0℃~80℃)で行われる。通常、反応時間は0.1~60時間、好ましくは0.5~24時間である。
【0111】
実施例1 N-(5-((4-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-6-メトキシ-2-モルホリノピリジン-3-イル)アクリルアミド(化合物T-1)の調製
【化17】
以下の経路によって合成した。
【化18】
【0112】
工程1 化合物2の合成
マグネチックスターラーを備えた250mLの一口フラスコに、4-クロロ-2-メチルチオピリミジン(化合物1,7.25mL,62.3mmol)および95%エタノール(100mL)を順次に加え、完全に溶解するまで撹拌し、0℃まで冷却し、モリブデン酸アンモニウム四水和物(2.18g,1.87mmol)の過酸化水素(30%,14.4mL,187mmol)の予冷した溶液をゆっくりと滴下した後、室温に昇温し、窒素ガス下で撹拌しながら一晩反応させた。ほとんどの有機溶媒を減圧下で蒸発させ、水(200mL)を添加し、ジクロロメタン(70mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、リカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、10.2gの白色の固体を得た。収率85.7%。H NMR(400MHz,CDCl) δ 8.82(d,J=5.6Hz,1H),7.63(d,J=4.8Hz,1H),3.33(s,3H)。
【0113】
工程2 化合物4の合成
マグネチックスターラーおよび冷却管を備えた50mLの一口フラスコに、エタノール/水の混合液(80mL,2/1)および化合物3(3.0g,15.9mmol)を加え、撹拌しながら還元鉄粉(4.44g,79.6mmol)および塩化アンモニウム(4.25g,79.6mmol)を添加し、窒素ガス下で85℃に昇温し、この温度で撹拌しながら1h反応させた。室温まで冷却し、不溶性固形物を濾過して除去し、有機溶媒を減圧下で蒸発させ、飽和NaHCO水溶液(5mL)を添加し、酢酸エチル(50mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、2.47gの褐色の固体を得た。収率97.9%。LC-MS(APCI):m/z=159.1(M+1)
【0114】
工程3 化合物5の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの一口フラスコに、化合物4(1.5g,9.46mmol)およびギ酸(20mL)を順次に加え、混合物を窒素ガス下で100℃に昇温して撹拌しながら1時間反応させた。室温まで冷却し、減圧下で未反応のギ酸を蒸発させ、残留物に酢酸エチル(50mL)および飽和NaHCO(30mL)を添加し、5分間撹拌し、有機層を分離し、酢酸エチルで水相を(40mL×2)抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して1.59gの褐色の固体を得た。収率90.1%。LC-MS(APCI):m/z=187.1(M+1)
【0115】
工程4 化合物6の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの一口フラスコに、化合物5(1.58g,8.47mmol)および無水トリフルオロ酢酸(10mL)を順次に加え、-5℃に冷却し、濃硝酸(533mg,8.47mmol)をゆっくりと滴下した。滴下完了後、窒素雰囲気下、この温度で撹拌しながら1.5時間反応させた。反応混合物を砕いた氷(200g)に注意深く注ぎ、20分間撹拌し、濾過し、フィルターケーキを水(10mL)で洗浄し、酢酸エチル(50mL)に溶解させた。無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、717mgの黄色の固体を得た。収率36.6%。LC-MS(APCI):m/z=232.2(M+1)
【0116】
工程5 化合物7の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの一口フラスコに、化合物6(710mg,3.07mmol)およびアセトニトリル(10mL)を順次に加え、完全に溶解するまで撹拌し、モルホリン(401mg,4.6mmol)およびトリエチルアミン(465mg,4.6mmol)を添加し、窒素雰囲気下、混合物を80℃に昇温し、この温度で3時間撹拌した。室温まで冷却し、減圧下で溶媒を蒸発させ、酢酸エチル(20mL)および水(20mL)を添加し、5分間撹拌し、濾過し、フィルターケーキを水で(10mL)洗浄し、乾燥させ、660mgの黄色の固体を得た。収率76.3%。LC-MS(APCI):m/z=283.2(M+1)H NMR(400MHz,DMSO-D) δ 9.97(s,1H),9.04(s,1H),8.28(s,1H),4.03(s,3H),3.71(t,J=5.6Hz,4H),3.42(t,J=5.6Hz,4H).
【0117】
工程6 化合物8の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの三つ口フラスコに、化合物7(200mg,0.71mmol)および無水DMF(3mL)を加え、0℃まで冷却し、窒素雰囲気下でNaH(34mg,0.85mmol,60%)を添加し、氷浴を取り外し、窒素雰囲気下、室温で撹拌しながら30分間反応させ、さらに0℃まで冷却し、化合物2のDMF溶液(164mg,0.85mmol,2mL)をゆっくりと滴下した後、混合物を室温でさらに撹拌しながら2時間反応させた。飽和NaHCO水溶液(20mL)で反応をクエンチし、2時間撹拌し、析出した固体を濾過し、フィルターケーキを水(10mL)で洗浄し、ジクロロメタン(20mL)に溶解させ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮してシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、115mgの黄色の固体を得た。収率44.2%。LC-MS(APCI):m/z=367.1(M+1)
【0118】
工程7 化合物10の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの三つ口フラスコに、化合物9(60mg,348umol)および乾燥したDMF(2mL)を順次に加え、0℃まで冷却し、NaH(60%,18mg,453umol)を添加し、窒素雰囲気下、室温で撹拌しながら0.5時間反応させた。その後、0℃まで冷却し、化合物8(115mg,314umol)の乾燥したDMF(2mL)溶液をゆっくりと滴下した。次に、反応液を室温まで昇温し、さらに60℃に昇温し、この温度で撹拌しながら2h反応させた。水(25mL)で反応をクエンチし、2h撹拌し、酢酸エチル(50mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、130mgの黄色の固体を得た。収率74.2%。LC-MS(APCI):m/z=503.3(M+1)
【0119】
工程8 化合物11の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの三つ口フラスコに、化合物10(130mg,259umol)およびジクロロメタン/メタノール溶液(4mL,1/1)を順次に加え、完全に溶解するまで撹拌し、ジメチルアミンのメタノール溶液(2.59mL,2M)および氷酢酸(1滴)を添加し、窒素雰囲気下、室温で10分間撹拌しながら、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(49mg,466umol)をゆっくりと加え、室温で撹拌しながら2時間反応させた。水(10mL)で反応をクエンチし、10分間撹拌し、減圧下で有機溶媒を蒸発させ、析出した固体を濾過し、少量の水で洗浄し、乾燥させ、108mgの白色の固体を得た。収率78.5%。 LC-MS(APCI):m/z=532.3(M+1)
【0120】
工程9 化合物12の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの三つ口フラスコに、化合物11(108mg,203umol)およびエタノール/水の混合液(6mL,2/1)を順次に加え、完全に溶解するまで撹拌し、還元鉄粉(113mg,2.03mmol)および塩化アンモニウム(54mg,1.02mmol)を添加し、85℃に昇温し、窒素雰囲気下、この温度で撹拌しながら1時間反応させた。室温まで冷却し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、エタノールを蒸発させ、残留液に飽和NaHCO水溶液(5mL)を加え、ジクロロメタン(15mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して100mgの褐色の固体を得た。収率98.1%。LC-MS(APCI):m/z=502.3(M+1)
【0121】
工程10 化合物T-1の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの三つ口フラスコに、乾燥したジクロロメタン(10mL)および化合物12(100mg,199umol)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、-10℃に冷却し、トリエチルアミン(40mg,399mmol)を添加し、窒素ガス下で塩化アクリロイル(217mg,199umol)のジクロロメタン(1mL)溶液をゆっくりと滴下した。その後、-10℃この温度で撹拌しながら30分間反応させた。飽和NaCO水溶液(5mL)で反応をクエンチし、10分間撹拌し、有機層を分離し、ジクロロメタン(10mL×2)で水相を抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、70mgの白色の固体を得た。収率63.2%。LC-MS(APCI):m/z=556.3(M+1)H NMR(400MHz,CDCl) δ 9.93(s,1H),9.27(s,1H),8.49(d,J=5.6Hz,1H),8.16-8.08(m,3H),7.70(s,1H),7.54-7.42(m,4H),6.60-6.56(m,1H),6.39-6.33(m,1H),5.86(d,J=10.4Hz,1H),4.04(s,3H),3.92(t,J=4.0Hz,4H),3.58(s,2H),3.06(t,J=4.0Hz,4H),2.34(s,6H).
【0122】
実施例2 N-(5-((4-(4-((ジメチルアミノ)メチル-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル-5-フルオロピリミジン-2-イル)アミノ)-6-メトキシ-2-モルホリノピリジン-3-イル)アクリルアミド(化合物T-2)の調製
【化19】
以下の経路によって合成した。
【化20】
【0123】
工程1 化合物14の合成
マグネチックスターラーおよび冷却管を備えた100mLの一口フラスコに、化合物9(860mg,5mmol)およびアセトニトリル(15mL)を順次に加え、完全に溶解するまで撹拌し、炭酸カリウム(1.38g,20mmol)および化合物13(800mg,5mmol)をさらに加え、窒素雰囲気下、室温で撹拌しながら一晩反応させた。減圧下で溶媒を蒸発させ、水(20mL)を添加し、ジクロロメタン(30mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、1.0gの白色の固体を得た。収率64.1%。LC-MS(APCI):m/z =303.1(M+1)H NMR(400MHz,CDCl)δ/ppm:10.20(s,1H),9.21(s,1H),8.74(d,J=2.8Hz,1H),7.95-7.92(m,2H),7.59-7.57(m,3H).
【0124】
工程2 化合物15の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの三つ口フラスコに、化合物14(900mg,3.0mmol)およびエタノール(20mL)を順次に加え、完全に溶解するまで撹拌し、ジメチルアミンのテトラヒドロフラン溶液(1.5mL,3mmol,2M)および氷酢酸(2滴)を添加し、窒素雰囲気下、室温で2分間撹拌し、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(370mg,466umol)をゆっくりと加え、室温で撹拌しながら2時間反応させた。減圧下で溶媒を蒸発させ、水(20mL)を添加してジクロロメタン(30mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、340mgの白色の固体を得た。収率33.2%。 LC-MS(APCI):m/z=332.1(M+1)
【0125】
工程3 化合物16の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの一口フラスコに、化合物7(2.3g,8.1mmol)およびテトラヒドロフラン(10mL)を加え、NaOH水溶液(2.4gを10mLに溶解させたもの、60mmol)を滴下し、窒素雰囲気下、室温で撹拌しながら2時間反応させた。ジクロロメタン(30mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、800mgの褐色の固体を得た。収率39.2%。LC-MS(APCI):m/z=255.1(M+1)
【0126】
工程4 化合物17の合成
マグネチックスターラーを備えた10mLのマイクロ波反応管に、化合物15(166mg,0.5mmol)、化合物16(127mg,0.5mmol)およびtert-ブチルアルコール(5mL)を順次に加え、完全に溶解するまで撹拌し、炭酸カリウム(138mg,1.0mmol)、xphos(2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2,4,6-トリイソプロピルビフェニル,48mg,0.1mmol)およびPd(dab)(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム,46mg,0.05mmol)をさらに添加し、系を真空にして、窒素ガスで3回置換した。混合物をマイクロ波反応装置に入れ、160℃に昇温し、この温度で撹拌しながら1時間反応させた。室温まで冷却し、酢酸エチル(30mL)で希釈し、濾過して不溶性固体を除去し、濾液を濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、129mgの白色の固体を得た。収率47.2%。LC-MS(APCI):m/z=550.2(M+1)
【0127】
工程5 化合物18の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの三つ口フラスコに、化合物17(112mg,203umol)およびエタノール/水混合液(6mL,2/1)を順次に加え、完全に溶解するまで撹拌し、還元鉄粉(113mg,2.03mmol)および塩化アンモニウム(54mg,1.02mmol)を添加し、85℃に昇温し、窒素雰囲気下、この温度で撹拌しながら1時間反応させた。室温まで冷却し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、エタノールを蒸発させ、残留液に飽和NaHCO水溶液(5mL)を添加し、ジクロロメタン(15mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して100mgの褐色の固体を得た。収率98.1%。LC-MS(APCI):m/z=520.3(M+1)
【0128】
工程6 化合物T-2の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの三つ口フラスコに、乾燥したジクロロメタン(10mL)および化合物18(100mg,199umol)を加えし、完全に溶解するまで撹拌し、-10℃まで冷却し、トリエチルアミン(40mg,399mmol)を添加し、窒素雰囲気下で塩化アクリロイル(217mg,199umol)のジクロロメタン(1mL)溶液をゆっくりと滴下した。その後、-10℃の温度で撹拌しながら30分間反応させた。飽和NaCO水溶液(5mL)で反応をクエンチし、10分間撹拌し、有機層を分離し、水相をジクロロメタン(10mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、70mgの白色の固体を得た。収率63.2%。LC-MS(APCI):m/z=574.3(M+1)H NMR(400MHz,DMSO-D)δ 10.37(br s, 1H),9.48(s,1H),9.02(br s,1H),8.68(d,J=4.0Hz,1H),8.64(s,1H),8.29(br s,1H),7.79-7.77(m,2H),7.54-7.46(m,3H),6.68-6.61(m,1H),6.28(d,J=17.6Hz,1H),5.79-5.76(m,1H),4.32(s,2H),3.90(m,3H),3.75(t,J=4.4Hz,4H),3.12(t,J=4.4Hz,4H),2.55(s,6H).
【0129】
実施例3 N-(5-((4-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)-5-メチルピリミジン-2-イル)アミノ)-6-メトキシ-2-モルホリノピリジン-3-イル)アクリルアミド(化合物T-3)の調製
【化21】
以下の経路によって合成した。
【化22】
【0130】
工程1 化合物20の合成
マグネチックスターラーおよび冷却管を備えた100mLの一口フラスコに、化合物9(860mg,5mmol)およびアセトニトリル(15mL)を順次に加え、完全に溶解するまで撹拌し、炭酸カリウム(1.38g,20mmol)および化合物19(800mg,5mmol)をさらに加え、窒素雰囲気下、室温で撹拌しながら一晩反応させた。減圧下で溶媒を蒸発させ、水(20mL)を添加し、ジクロロメタン(30mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、1.0gの白色の固体を得た。収率64.1%。LC-MS(APCI):m/z=299.1(M+1)H NMR(300MHz,DMSO-D) δ 10.11(s,1H),9.46(s,1H),8.89(s,1H),8.01-7.98(m,2H),7.54-7.52(m,3H),2.68(s,3H).
【0131】
工程2 化合物21の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの三つ口フラスコに、化合物20(900mg,3.0mmol)およびエタノール(20mL,)を順次に加え、完全に溶解するまで撹拌し、ジメチルアミンのテトラヒドロフラン溶液(1.5mL,3mmol,2M)および氷酢酸(2滴)を添加し、窒素雰囲気下、室温で2分間撹拌し、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(370mg,466umol)をゆっくりと添加し、室温で撹拌しながら2時間反応させた。減圧下で溶媒を蒸発させ、水(20mL)を加えてジクロロメタン(30mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、340mgの白色の固体を得た。収率33.2%。LC-MS(APCI):m/z=328.1(M+1)
【0132】
工程3 化合物22の合成
マグネチックスターラーを備えた10mLのマイクロ波反応管に、化合物21(166mg,0.5mmol)、化合物16(127mg,0.5mmol)およびtert-ブチルアルコール(5mL)を順次に加え、完全に溶解するまで撹拌し、炭酸カリウム(138mg,1.0mmol)、xphos(48mg,0.1mmol)およびPd(dab)(46mg,0.05mmol)をさらに加え、系を真空にして、窒素ガスで3回置換した。混合物をマイクロ波反応装置に入れ、160℃に昇温し、この温度で撹拌しながら1時間反応させた。室温まで冷却し、酢酸エチル(30mL)で希釈し、濾過して不溶性固体を除去し、濾液を濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、129mgの白色の固体を得た。収率47.2%。LC-MS(APCI):m/z=546.2(M+1)+. H NMR(400MHz,DMSO-D) δ 8.97(s,1H),8.64(s,1H),8.59(s,1H),8.46(s,1H),7.98-7.96(m,2H),7.50-7.46(m,2H),7.42-7.40(m,1H),4.00(s,3H),3.72(t,J=4.8Hz,4H),3.42(t,J=4.8Hz,4H),3.40(s,2H),2.57(s,3H),2.22(s,6H).
【0133】
工程4 化合物23の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの三つ口フラスコに、化合物22(112mg,203umol)およびエタノール/水の混合液(6mL,2/1)を順次に加え、完全に溶解するまで撹拌し、還元鉄粉(113mg,2.03mmol)および塩化アンモニウム(54mg,1.02mmol)を加え、85℃に昇温し、窒素雰囲気下、この温度で撹拌しながら1時間反応させた。室温まで冷却し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、エタノールを蒸発させ、残留液に飽和NaHCO水溶液(5mL)を添加し、ジクロロメタン(15mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、100mgの褐色の固体を得た。収率98.1%。LC-MS(APCI):m/z=516.3(M+1)
【0134】
工程5 化合物T-3の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの三つ口フラスコに、乾燥したジクロロメタン(10mL)および化合物23(100mg,199umol)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、-10℃に冷却し、トリエチルアミン(40mg,399mmol)を添加し、窒素ガス下で塩化アクリロイル(217mg,199umol)のジクロロメタン(1mL)溶液をゆっくりと滴下した。その後、-10℃の温度で撹拌しながら30分間反応させた。飽和NaCO水溶液(5mL)で反応をクエンチし、10分間撹拌し、有機層を分離し、ジクロロメタン(10mL×2)で水相を抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、70mgの白色の固体を得た。収率63.2%。LC-MS(APCI):m/z=570.3(M+1)H NMR(300MHz,CDCl) δ 9.71(br s,1H),9.63(s,1H),8.39(s,1H),8.26(s,1H),7.71(d,J=6.6Hz,2H),7.66(s,1H),7.55-7.46(m,3H),6.57-6.51(m,1H),6.43-6.34(m,1H),5.97(d,J=10.2Hz,1H),4.46(s,2H),4.03(s,3H),3.90(t,J=4.5Hz,4H),3.05(t,J=4.5Hz,4H),2.70(s,3H),2.48(s,6H).
【0135】
実施例4 N-(5-((4-(4-((ジメチルアミノ)メチル)-3-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)-ピリミジン-2-イル)アミノ)-6-イソプロポキシ-2-モルホリノピリジン-3-イル)アクリルアミド(化合物T-4)の調製
【化23】
以下の経路によって合成した。
【化24】
【0136】
工程1 化合物24の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの三つ口フラスコに、化合物9(512mg,3.0mmol)およびエタノール(20mL,)を順次に加え、完全に溶解するまで撹拌し、ジメチルアミンのテトラヒドロフラン溶液(1.5mL,3mmol,2M)および氷酢酸(2滴)を加え、窒素雰囲気下、室温で2分間撹拌し、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(370mg,466umol)をゆっくりと添加し、室温で撹拌しながら2時間反応させた。減圧下で溶媒を蒸発させ、水(20mL)を添加し、ジクロロメタン(30mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、400mgの白色の固体を得た。収率66.0 %。 LC-MS(APCI):m/z=202.1(M+1)H NMR(300MHz,CDCl) δ 7.72-7.68(m,2H),7.54(s,1H),7.45-7.28(m,3H),3.44(s,2H),2.25(s,6H).
【0137】
工程2 化合物26の合成
マグネチックスターラーおよび冷却管を備えた50mLの三つ口フラスコに、化合物24(400mg,2mmol)および無水DMF(10mL)を順次に加え、完全に溶解するまで撹拌し、氷水浴で冷却し、NaH(60%,96mg,2.4mmol)を添加し、10分間撹拌し、化合物25(357mg,2.4mmol)のDMF溶液(2mL)をゆっくりと滴下し、氷浴を取り外し、室温で1時間撹拌し、さらに60℃に昇温し、30分間反応させた。室温まで冷却し、水(100mL)を添加し、大量の固体が析出した。濾過し、ジクロロメタン(50mL)に溶解させ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、350mgの黄色の固体を得た。収率55.7%。LC-MS(APCI):m/z=314.1(M+1)
【0138】
工程3 化合物28の合成
マグネチックスターラーを備えた100mLの一口フラスコに、化合物27(5.8g,30.05mmol)およびアセトニトリル(60mL)を順次に加え、完全に溶解するまで撹拌し、氷水浴で冷却しながら、モルホリン(2.62g,30.05mmol)およびトリエチルアミン(4.56g,45.08mmol)を順次に滴下し、窒素雰囲気下、この温度で撹拌しながら10分間反応させた。ジクロロメタン(200mL)を添加し、水(50mL×2)で洗浄し、飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、5.91gの黄色の固体を得た。収率80.7%。LC-MS(APCI):m/z=244.1(M+1)
【0139】
工程4 化合物29の合成
マグネチックスターラーおよび冷却管を備えた50mLの三つ口フラスコに、NaH(490mg,12.24mmol)を加え、系を真空にして、窒素ガスで置換し、氷水浴で冷却しながら、イソプロパノール(630mg,10.49mmol)の無水THF(25mL)溶液をゆっくりと滴下し、10分間撹拌し、さらに化合物28(2.13g,8.74mmol)の無水THF(5mL)を滴下した。その後、氷浴を取り外し、窒素雰囲気下、室温で撹拌しながら一晩反応させた。酢酸エチルの飽和水溶液(60mL)を添加し、濾過し、濾液を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、1.13gの黄色の固体を得た。収率48.3%。LC-MS(APCI):m/z=268.2(M+1)
【0140】
工程5 化合物30の合成
マグネチックスターラーを備えた100mLの一口フラスコに、化合物29(1.12g,4.19mmol)およびアセトニトリル(20mL)を順次に加え、完全に溶解するまで撹拌し、氷水浴で冷却しながら、NBS(N-ブロモスクシンイミド,746mg,4.19mmol)をゆっくりと加えた。その後、氷浴を取り外し、窒素雰囲気下、室温で撹拌しながら1時間反応させた。減圧下で溶媒を蒸発させ、残留物に水(20mL)を添加し、ジクロロメタン(30mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、1.0gの黄色の固体を得た。収率68.9%。LC-MS(APCI):m/z=346.2(M+1)
【0141】
工程6 化合物31の合成
マグネチックスターラーを備えた10mLマイクロ波反応管に、化合物30(200mg,0.58mmol)およびDMSO(2mL)を順次に加え、完全に溶解するまで撹拌し、CuI(22mg,0.12mmol)、KCO(120mg,0.87mmol)およびL-プロリン(26mg,0.23mmol)を順次に加え、系を真空にして、窒素ガスで3回置換した。アンモニア水(108mg,0.87mmol)を添加し、密封して、混合物をマイクロ波反応装置に入れ、150℃に昇温し、この温度で撹拌しながら1時間反応させた。室温まで冷却し、酢酸エチル(30mL)で希釈し、濾過して不溶性固体を除去し、濾液を濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、52mgの白色の固体を得た。収率31.9%。LC-MS(APCI):m/z=283.2(M+1)H NMR(300MHz,CDCl) δ 7.67(s,1H),5.39-5.31(m,1H),3.85(t,J=4.5Hz,4H),3.34(t,J=4.5Hz,4H),1.41(d,J=6.0Hz,6H).
【0142】
工程7 化合物32の合成
マグネチックスターラーを備えた10mLマイクロ波反応管に、化合物31(50mg,0.18mmol)、化合物26(67mg,0.21mmol)およびtert-ブチルアルコール(3mL)を順次に加え、完全に溶解するまで撹拌し、炭酸カリウム(37mg,0.27mmol)、xphos(8mg)およびPd(dab)(8mg)をさらに加え、系を真空にして、窒素ガスで3回置換した。混合物をマイクロ波反応装置に入れ、160℃に昇温し、この温度で撹拌しながら1時間反応させた。室温まで冷却し、酢酸エチル(30mL)で希釈し、濾過して不溶性固体を除去し、濾液を濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、67mgの白色の固体を得た。収率47.2%。LC-MS(APCI):m/z=560.2(M+1)+. H NMR(300MHz,CDCl) δ 9.65(s,1H),8.70(s,1H),8.51(d,J=5.4Hz,1H),8.03-8.00(m,2H),7.52-7.28(m,5H),5.47-5.43(m,1H),3.88(t,J=4.8Hz,4H),3.51-3.46(m,6H),2.36(s,6H),1.47(d,J=6.0Hz,6H).
【0143】
工程8 化合物33の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの一口フラスコに、化合物32(67mg,120umol)およびエタノール/水混合液(3mL,2/1)を順次に加え、完全に溶解するまで撹拌し、還元鉄粉(67mg,1.2mmol)および塩化アンモニウム(32mg,0.6mmol)を添加し、85℃に昇温し、窒素雰囲気下、この温度で撹拌しながら1時間反応させた。室温まで冷却し、濾過し、濾液を減圧下で濃縮し、エタノールを蒸発させ、残留液に飽和NaHCO水溶液(5mL)を加え、ジクロロメタン(15mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して60mgの褐色の固体を得た。収率94.6%。LC-MS(APCI):m/z=530.3(M+1)





【0144】
工程9 化合物T-4の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの三つ口フラスコに、乾燥したジクロロメタン(10mL)および化合物33(60mg,199umol)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、-10℃に冷却し、トリエチルアミン(23mg,226umol)を添加し、窒素雰囲気下で塩化アクリロイル(15mg,169umol)のジクロロメタン(1mL)溶液をゆっくりと滴下した。その後、-10℃の温度で撹拌しながら30分間反応させた。飽和NaCO水溶液(5mL)で反応をクエンチし、10分間撹拌し、有機層を分離し、ジクロロメタン(10mL×2)で水相を抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、50mgの白色の固体を得た。収率75.6%。LC-MS(APCI):m/z=584.3(M+1)H NMR(300MHz,CDCl) δ 9.83(s,1H),8.51(d,J=5.4Hz,1H),8.23(s,1H),7.85-7.80(m,1H),7.74(s,1H),7.54-7.28(m,4H),6.57-6.52(m,1H),6.41-6.32(m,1H),5.94-5.39(m,1H),5.41-5.36(m,1H),3.91(t,J=4.5Hz,4H),3.04(t,J=4.5Hz,4H),2.43(s,6H),1.43(d,J=6.3Hz,6H).
【0145】
実施例5 N-(5-((4-(2-((ジメチルアミノ)メチル)-1-フェニル-1H-イミダゾール-4-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(化合物T-5)の調製
【化25】
以下の経路によって合成した。
【化26】
【化27】
【0146】
工程1 化合物34の合成
マグネチックスターラーおよび冷却管を備えた100mLの二つ口フラスコに、化合物1(3.2g,20mmol)およびトルエン(50mL)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.2g,1mmol)を添加し、系を真空にして、窒素ガスで3回置換した。窒素雰囲気下、トリブチル(1-エトキシビニル)すず(8.7g,24mmol)を加え、反応混合物を加熱還流し、窒素雰囲気下、この温度で撹拌しながら一晩反応させた。室温まで冷却し、酢酸エチル(100mL)で反応液を希釈し、フッ化カリウムの飽和水溶液(150mL)を添加し、1h撹拌した。不溶性固形物を濾過して除去し、有機相を分離し、水層を酢酸エチル(80mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濾液を減圧下で蒸発させて、濃縮乾固するまで溶媒を除去し、そのまま次の工程で使用した。
【0147】
工程2 化合物35の合成
前記の化合物34に、テトラヒドロフラン(20mL)を添加し、完全に溶解するまで撹拌し、水(15mL)を添加し、氷水浴で冷却し、N-ブロモスクシンイミド(NBS,3.6g,20mmol)を加え、室温で撹拌しながら1h反応させた。有機層を分離し、水層を酢酸エチル(30mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(30mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で溶媒を蒸発させ、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、2.4gの黄色の固体を得た。2つの工程の収率49.0%。LC-MS(APCI):m/z=247.0(M+1),UV254. H NMR(400MHz,CDCl) δ 8.78(d,J=4.4Hz,1H),7.56(d,J=4.4Hz,1H),4.74(s,2H),2.62(s,3H).
【0148】
工程3 化合物36の合成
マグネチックスターラーを備えた100mLの二つ口フラスコに、無水ベンジルアルコール(5.4g,50mmol)および無水テトラヒドロフラン(40mL)を加え、氷水浴で冷却し、水素化ナトリウム(2.3g,60mmol,60%)を添加し、窒素雰囲気下、この温度で0.5時間撹拌した。ブロモアセトニトリル(6.0g,50mmol)のテトラヒドロフラン溶液(15mL)をゆっくりと滴下した後、氷浴を取り外し、窒素雰囲気下、室温で撹拌しながら一晩反応させた。水(40mL)で反応をクエンチし、酢酸エチル(50mL)を添加し、有機層を分離し、水層を酢酸エチル(30mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(50mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、4.0gの淡黄色の油を得た。収率54.4%。LC-MS(APCI):m/z=148.0(M+1),UV254.
【0149】
工程4 化合物37の合成
マグネチックスターラーおよび冷却管を備えた50mLの二つ口フラスコに、化合物36(2.2g,15mmol)および無水トルエン(10mL)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、アニリン(1.67g,1.8mmol)を添加し、系を真空にして、窒素ガスで3回置換した。氷水浴で冷却し、窒素雰囲気下でトリメチルアルミニウム溶液(11mL,17.6mmol,1.6Mトルエン溶液)をゆっくりと滴下した。その後、氷浴を取り外し、加熱還流し、撹拌しながら2時間反応させた。室温まで冷却し、水(30mL)および酢酸エチル(50mL)で反応をクエンチし、不溶性固形物を濾過して除去し、酢酸エチル(20mL)で洗浄し、有機相を分離し、酢酸エチル(40mL×2)で水相を抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、2.6gの褐色の固体を得た。収率72.2%。そのまま次の工程で使用した。LC-MS(APCI):m/z=241.0(M+1),UV254.
【0150】
工程5 化合物38の合成
マグネチックスターラーおよび冷却管を備えた50mLの二つ口フラスコに、化合物37(845mg,3.52mmol)およびイソプロパノール(10mL)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、化合物35(1.13g,4.57mmol)および炭酸水素ナトリウム(591mg,7.03mmol)を加え、窒素雰囲気下で反応液を加熱還流し、この温度で撹拌しながら2時間反応させた。室温まで冷却し、減圧下で溶媒を蒸発させ、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、500mgの白色の固体を得た。収率36.6%。LC-MS(APCI):m/z=389.1(M+1), UV254.
【0151】
工程6 化合物39の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの一口フラスコに、化合物38(250mg,0.63mmol)およびテトラヒドロフラン(5mL)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、水(5mL)を添加し、氷水浴で過硫酸水素カリウム(oxone,593mg,0.96mmol)を加え、窒素雰囲気下、室温で反応液を一晩撹拌した。チオ硫酸ナトリウムの飽和水溶液(10mL)で反応をクエンチし、酢酸エチル(20mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、255mgの白色の固体を得た。収率96.1%。LC-MS(APCI):m/z=421.1(M+1), UV254. H NMR(400MHz,CDCl) δ 8.84(d,J=5.6Hz,1H),8.17(d,J=5.6Hz,1H),8.14(s,1H),7.51-7.49(m,5H),7.34-7.28(m,5H),4.60(s,2H),4.54(s,2H),3.38(s,3H).
【0152】
工程7 化合物41の合成
マグネチックスターラーおよび冷却管を備えた100mLの一口フラスコに、化合物40(9.3g,50mmol)およびギ酸(50mL)を順次に加え、混合物を加熱還流し、この温度で撹拌しながら2時間反応させた。室温まで冷却し、減圧下で未反応のギ酸を蒸発させ、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、7.8gの白色の固体を得た。収率73%。LC-MS(APCI):m/z=215.1(M+1), UV 254.
【0153】
工程8 化合物42の合成
マグネチックスターラーを備えた100mLの一口フラスコに、化合物41(2.14g,10mmol)、DMF(25mL)、KCO(2.07g,15mmol)およびモルホリン(0.87g,10mmol)を順次に加え、窒素雰囲気下、室温で混合物を撹拌しながら一晩反応させた。酢酸エチル(80mL)を添加し、不溶性固形物を濾過して除去し、濾液を濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、2.11gの黄色の固体を得た。収率70%。LC-MS(APCI):m/z=282.1(M+1),UV 254.
【0154】
工程9 化合物43の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの二つ口フラスコに、化合物42(140mg,0.5mmol)および無水DMF(2mL)を加え、氷水浴で冷却しながら、NaH(60%,40mg,1.0mmol)を添加した。窒素ガス下、室温で撹拌しながら0.5時間反応させ、氷水浴で冷却し、化合物39(281mg,0.6mmol)の無水DMF(1mL)溶液をゆっくりと滴下した後、室温で撹拌しながら3時間反応させた。氷水浴で冷却し、2M水酸化ナトリウム水溶液(10mL)を加え、この温度で撹拌しながら0.5時間反応させ、大量の黄色の固体が析出した。濾過し、水(10mL)で洗浄し、ジクロロメタン(20mL)に溶解させ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、240mgの黄色の固体を得た。収率81.2%。LC-MS(APCI):m/z=594.2(M+1), UV 254.
【0155】
工程10 化合物44の合成
マグネチックスターラーを備えた25mLの一口フラスコに、化合物43(200mg,0.34mmol)および濃塩酸(3mL)を加え、窒素雰囲気下で85℃に昇温し、この温度で撹拌しながら1時間反応させた。室温まで冷却し、氷水浴で冷却しながら、2M水酸化ナトリウム水溶液をゆっくりと滴下してpH~9に調整し、ジクロロメタン(20mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、140mgの黄色の固体を得た。収率82.5%。LC-MS(APCI):m/z=504.2(M+1), UV254. H NMR(300MHz,CDCl) δ 9.66(s,1H),8.48(d,J=3.6Hz,1H),8.20(s,1H),7.67(s,1H),7.59-7.57(m,4H),7.52-7.50(m,1H),7.43-7.41(m,1H),6.60(s,1H),4.73(s,2H),4.01(s,3H),3.90-3.88(m,4H),3.08-3.06(m,4H).
【0156】
工程11 化合物45の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの一口フラスコに、化合物44(140mg,0.28mmol)およびジクロロメタン(5mL)を加え、氷水浴でトリエチルアミン(56mg,0.57mmol)およびメタンスルホニルクロリド(48mg,0.42mmol)を添加した。その後、氷浴を取り外し、室温撹拌しながら1時間反応させた。減圧下で濃縮乾固し、そのまま次の工程で使用した。
【0157】
工程12 化合物46の合成
化合物45を含む上記の濃縮液に、アセトニトリル(5mL)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、ジメチルアミンのテトラヒドロフラン溶液(4mL,2M)を添加し、窒素雰囲気下、室温で撹拌しながら1時間反応させた。減圧下で溶媒を蒸発させ、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、90mgの黄色の固体を得た。2つの工程の収率65.8%。LC-MS(APCI):m/z=531.2(M+1), UV 254.
【0158】
工程13 化合物47の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの一口フラスコに、化合物46(90mg,0.16mmol)およびエタノール(4mL)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、水(2mL)を添加し、還元鉄粉(92mg,1.64mmol)および塩化アンモニウム(88mg,1.64mmol)をさらに加え、窒素雰囲気下で加熱還流し、その温度で撹拌しながら1.5時間反応させた。室温まで冷却し、減圧下で有機溶媒を蒸発させ、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液(5mL)を添加し、ジクロロメタン(20mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固し、68mgの褐色の固体を得た。収率82.8%。LC-MS(APCI):m/z=501.2(M+1), UV 254.
【0159】
工程14 化合物T-5の合成
マグネチックスターラーを備えた25mLの二つ口フラスコに、化合物47(68mg,0.14mmol)およびジクロロメタン(4mL)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、-10℃に冷却し、トリエチルアミン(27mg,0.27mmol)を添加し、塩化アクリロイル(18mg,0.20mmol)のジクロロメタン(1mL)溶液をゆっくりと滴下した。その後、この温度で撹拌しながら1時間反応させた。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(5mL)で反応をクエンチし、ジクロロメタン(10mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、50mgの淡黄色の固体を得た。収率66.4%。LC-MS(APCI):m/z=555.3(M+1), UV254. 1H NMR(300MHz,CDCl) δ 9.60(s,1H),9.72(br s, 1H),8.59(s,1H),8.42(d,J=3.6Hz,1H),7.78(s,1H),7.69(d,J=6.0Hz,1H),7.58(s,1H),7.52-7.42(m,3H),6.75(s,1H),6.18-6.11(m,1H),5.86-5.82(m,1H),5.53-5.51(m,1H),3.88(s,3H),3.87-3.81(m,4H),3.35(s,2H),2.86-2.84(m,4H),2.30(s,6H).
【0160】
実施例6 N-(5-((4-(3-((ジメチルアミノ)メチル)-4-フェニル-1H-ピラゾール-1-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(化合物T-6)の調製
【化28】
以下の経路によって合成した。
【化29】
【0161】
工程1 化合物48の合成
マグネチックスターラーを備えた100mL三つ口フラスコに、化合物42(2.81g,10mmol)および無水DMF(15mL)を順次に加え、0℃まで冷却し、NaH(60%,480mg,12mmol)を添加した。窒素ガス下、室温で撹拌しながら0.5時間反応させた。その後、0℃まで冷却し、化合物2(1.93g,10mmol)の乾燥したDMF(15mL)溶液をゆっくりと滴下し、次に、室温で撹拌しながら3h反応させた。水(25mL)で反応をクエンチし、2h撹拌し、酢酸エチル(50mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、2.83gの黄色の固体を得た。収率77%。LC-MS(APCI):m/z=366.1(M+1)H NMR(400MHz,CDCl) δ 9.19(s,1H),8.36(d,J=5.2Hz,1H),7.70(s,1H),6.82(d,J=5.2Hz,1H),6.61(s,1H),4.00(s,3H),3.89(t,J=4.8Hz,4H,3.08(t,J=4.8Hz,4H).
【0162】
工程2 化合物50の合成
マグネチックスターラーを備えた20mLマイクロ波反応管に、化合物49(2.0g,10mmol)、フェニルボロン酸(1.22g,10mmol)および1,4-ジオキサン(10mL)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、炭酸セシウム(4.87g,15mmol)、水(1mL)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(1.15g,1.0mmol)を添加し、系を真空にして、窒素ガスで3回置換した。混合物をマイクロ波反応装置に入れ、150℃に昇温し、この温度で撹拌しながら1時間反応させた。室温まで冷却し、酢酸エチル(30mL)を添加し、不溶性固形物を濾過して除去し、濾液を減圧下で濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、600mgの黄色の固体を得た。収率30.2%。LC-MS(APCI):m/z=203.1(M+1) ,UV 254.
【0163】
工程3 化合物51の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの二つ口フラスコに、化合物50(600mg,3.0mmol)および無水DMF(5mL)を加え、氷水浴で冷却しながらNaH(60%,160mg,4.0mmol)を添加した。窒素雰囲気下、室温で撹拌しながら0.5時間反応させ、氷水浴で冷却し、化合物48(1.1g,3.0mmol)の無水DMF(3mL)溶液をゆっくりと滴下した。その後、室温で撹拌しながら3時間反応させた。水(40mL)を添加し、大量の黄色の固体が析出した。濾過し、水(10mL)で洗浄し、ジクロロメタン(40mL)に溶解させ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、600mgの黄色の固体を得た。収率37.7%。LC-MS(APCI):m/z=532.2(M+1), UV 254.
【0164】
工程4 化合物52の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの一口フラスコに、化合物51(530mg,1.0mmol)および無水THF(20mL)に加え、氷水浴で冷却し、水素化アルミニウムリチウム(38mg,1.0mmol)をゆっくりと加え、窒素雰囲気下、この温度で撹拌しながら1h反応させた。硫酸ナトリウム十水和物(5g)を加えて反応をクエンチし、酢酸エチル(20mL)を添加し、不溶性固形物を濾過して除去し、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、400mgの白色の固体を得た。収率79.5%。LC-MS(APCI):m/z=504.2(M+1), UV254. H NMR(400MHz,CDCl) δ 9.45(s,1H),8.89(s,1H),8.49(d,J=5.6Hz,1H),7.71(s,1H),7.66(d,J=8.0Hz,1H),7.49-7.45(m,2H),7.39(d,J=5.2Hz,2H),7.36-7.34(m,1H),6.60(s,1H),4.92(s,2H),4.01(s,3H),3.91-3.88(m,4H),3.17(br s,1H),3.10-3.06(m,4H).
【0165】
工程5 化合物53の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの一口フラスコに、化合物52(400mg,0.8mmol)およびジクロロメタン(20mL)を加え、氷水浴でトリエチルアミン(1.6g,1.6mmol)およびメタンスルホニルクロリド(MsCl,0.12g,1.0mmol)を添加した後、氷浴を取り外して、室温で撹拌しながら1時間反応させた。減圧下で濃縮乾固し、そのまま次の工程で使用した。
【0166】
工程6 化合物54の合成
化合物53を含む上記の濃縮液に、アセトニトリル(10mL)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、ジメチルアミンのテトラヒドロフラン溶液(10mL,2M)を添加し、窒素雰囲気下、室温で撹拌しながら1時間反応させた。減圧下で溶媒を蒸発させ、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、320mgの黄色の固体を得た。2つの工程の収率75.7%。LC-MS(APCI):m/z=531.2(M+1), UV 254.
【0167】
工程7 化合物55の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの一口フラスコに、化合物54(320mg,0.6mmol)およびエタノール(10mL)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、水(5mL)を添加して、さらに、還元鉄粉(0.34g,6.0mmol)および塩化アンモニウム(0.32g,6.0mmol)を添加し、窒素雰囲気下、加熱還流し、この温度で撹拌しながら1.5時間反応させた。室温まで冷却し、減圧下で有機溶媒を蒸発させ、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液(10mL)を添加し、ジクロロメタン(30mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固し、200mgの褐色の固体を得た。収率66.7%。LC-MS(APCI):m/z=501.2(M+1), UV 254.
【0168】
工程8 化合物T-6の合成
マグネチックスターラーを備えた25mLの二つ口フラスコに、化合物55(200mg,0.4mmol)およびジクロロメタン(10mL)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、-10℃に冷却し、トリエチルアミン(80mg,0.8mmol)を添加し、塩化アクリロイル(45mg,0.50mmol)のジクロロメタン(2mL)溶液をゆっくりと滴下した後、その温度で撹拌しながら1時間反応させた。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)で反応をクエンチし、ジクロロメタン(20mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、130mgの淡黄色の固体を得た。収率58.5%。LC-MS(APCI):m/z=555.3(M+1), UV254. 1H NMR(400MHz,CDCl) δ 9.76(s,1H),9.48(br s,1H),8.65(s,1H),8.46(d,J=4.8Hz,1H),7.89(s,1H),7.69(d,J=7.2Hz,1H),7.43-7.36(m,3H),7.33-7.31(m,1H),6.78(s,1H),6.25-6.21(m,1H),6.15-6.11(m,1H),5.68-5.66(m,1H),4.00(s,2H),3.91(s,3H),3.88-3.86(m,4H),2.88-2.86(m,4H),2.49(s,6H).
【0169】
実施例7 N-(5-((4-(5-((ジメチルアミノ)メチル)-1-フェニル-1H-ピラゾール-3-イル)ピリミジン-2-イル)アミノ)-4-メトキシ-2-モルホリノフェニル)アクリルアミド(化合物T-7)の調製
【化30】
以下の経路によって合成した。
【化31】
【0170】
工程1 化合物56の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの一口フラスコに、化合物34(2.0g,10mmol)およびTHF(20mL)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、4M塩酸(20mL)を添加し、窒素雰囲気下、撹拌しながら1時間反応させた。減圧下で有機溶媒を蒸発させ、酢酸エチル(30mL×3)で抽出し、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、1.5gの白色の固体を得た。収率89.2%。LC-MS(APCI):m/z=169.1(M+1), UV 254.
【0171】
工程2 化合物57の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの二つ口フラスコに、化合物56(1.5g,8.9mmol)および無水THF(10mL)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、化合物57(1.3g,8.9mmol)を添加し、氷水浴で冷却しながら、カリウムtert-ブトキシドのTHF溶液(9.8mL,9.8mmol,1M)を滴下した後、氷浴を取り外し、窒素雰囲気下、室温で撹拌しながら一晩反応させた。水(20mL)および酢酸エチル(40mL)で反応をクエンチし、有機相を分離し、水相を酢酸エチル(30mL×2)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固し、2.3gの褐色の油を得た。収率96.4%。そのまま次の工程で使用した。LC-MS(APCI):m/z=269.1(M+1), UV 254.
【0172】
工程3 化合物58の合成
マグネチックスターラーおよび冷却管を備えた50mLの一口フラスコに、化合物57(2.3g,8.6mmol)およびエタノール(30mL)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、酢酸ナトリウム(2.33g,17.2mmol)および氷酢酸(1.0g,17.2mmol)を添加し、氷水浴で冷却し、フェニルヒドラジン(0.83g,0.76mmol)を加えた後、氷浴を取り外し、加熱還流し、2時間反応させた。室温まで冷却し、減圧下で溶媒を蒸発させ、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、1.5gの黄色の固体を得た,収率51.3%。LC-MS(APCI):m/z=341.1(M+1), UV 254.
【0173】
工程4 化合物59の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの一口フラスコに、化合物58(1.5g,4.4mmol)および無水THF(30mL)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、氷水浴で冷却しながら、水素化アルミニウムリチウム(0.17g,4.4mmol)を添加し、窒素雰囲気下、この温度で撹拌しながら1時間反応させた。硫酸ナトリウム十水和物(5g)を添加して反応をクエンチし、さらに、酢酸エチル(20mL)を添加し、不溶性固形物を濾過して除去し、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、1.0gの白色の固体を得た。収率76.2%。LC-MS(APCI):m/z=299.1(M+1),UV254.1H NMR(400MHz,CDCl) δ 8.43(d,J=5.2Hz,1H),7.45-7.39(m,3H),7.33-7.31(m,2H),6.95(s,1H),6.90(d,J=5.2Hz,1H),4.81(s,2H),2.08(s,3H).
【0174】
工程5 化合物60の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの一口フラスコに、化合物59(600mg,2.0mmol)およびジクロロメタン(20mL)を加え、氷水浴でトリエチルアミン(400mg,4.0mmol)およびメタンスルホニルクロリド(MsCl,0.27g,2.4mmol)を添加した後、氷浴を取り外し、室温撹拌しながら1時間反応させた。減圧下で濃縮乾固し、そのまま次の工程で使用した。
【0175】
工程6 化合物61の合成
上記の濃縮物に、アセトニトリル(20mL)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、ジメチルアミンのテトラヒドロフラン溶液(20mL,2M)を添加し、窒素雰囲気下、室温で撹拌しながら1時間反応させた。減圧下で溶媒を蒸発させ、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、520mgの黄色の固体を得た。2つの工程の収率80.0%。LC-MS(APCI):m/z=326.2(M+1), UV 254. H NMR(400MHz,DMSO-d) δ 8.63(d,J=5.6Hz,1H),7.48-7.46(m,3H),7.38-7.34(m,3H),7.20(s,1H),3.86(s,2H),2.46(s,6H),1.90(s,3H).
【0176】
工程7 化合物62の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの一口フラスコに、化合物61(520mg,1.6mmol)およびテトラヒドロフラン(10mL)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、水(10mL)を添加し、氷水浴で過硫酸水素カリウム(oxone,1.0g,2.4mmol)を添加し、窒素雰囲気下、室温で反応液を一晩撹拌した。チオ硫酸ナトリウムの飽和水溶液(20mL)で反応をクエンチし、酢酸エチル(30mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、飽和食塩水(20mL)で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、500mgの白色の固体を得た。収率87.5%。LC-MS(APCI):m/z=358.1(M+1), UV 254.
【0177】
工程8 化合物63の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの二つ口フラスコに、化合物42(140mg,0.5mmol)および無水DMF(2mL)を加え、氷水浴で冷却しながら、NaH(60%,40mg,1.0mmol)を添加した。窒素雰囲気下、室温で撹拌しながら0.5時間反応させ、氷水浴で冷却し、化合物62(214mg,0.6mmol)の無水DMF(1mL)溶液をゆっくりと滴下した。その後、室温で撹拌しながら3時間反応させた。氷水浴で冷却し、2M水酸化ナトリウム水溶液(10mL)を添加し、その温度で撹拌しながら0.5時間反応させ、大量の黄色の固体が析出した。濾過し、水(10mL)で洗浄し、ジクロロメタン(20mL)に溶解させ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、200mgの黄色の固体を得た。収率75.3%。LC-MS(APCI):m/z=531.2(M+1), UV254.
【0178】
工程9 化合物64の合成
マグネチックスターラーを備えた50mLの一口フラスコに、化合物63(200mg,0.38mmol)およびエタノール(10mL)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、水(5mL)を添加し、さらに、還元鉄粉(211mg,3.8mmol)および塩化アンモニウム(205mg,3.8mmol)を添加し、窒素雰囲気下で加熱還流し、この温度で撹拌しながら1.5時間反応させた。室温まで冷却し、減圧下で有機溶媒を蒸発させ、炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液(10mL)を添加し、ジクロロメタン(30mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固し、150mgの褐色の固体を得た。収率78.9%。LC-MS(APCI):m/z=501.2(M+1), UV254.
【0179】
工程10 化合物T-7の合成
マグネチックスターラーを備えた25mLの二つ口フラスコに、化合物64(150mg,0.3mmol)およびジクロロメタン(10mL)を加え、完全に溶解するまで撹拌し、-10℃に冷却し、トリエチルアミン(60mg,0.6mmol)を添加し、塩化アクリロイル(36mg,0.40mmol)のジクロロメタン(2mL)溶液をゆっくりと滴下した。その後、この温度で撹拌しながら1時間反応させた。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(10mL)で反応をクエンチし、ジクロロメタン(20mL×3)で抽出し、有機相を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製して、90mgの淡黄色の固体を得た。収率54.0%。LC-MS(APCI):m/z=555.3(M+1), UV254. 1H NMR(400MHz,CDCl) δ 9.56(s,1H),8.67(br s,1H),8.26(d,J=5.2Hz,1H),7.72(br s,1H),7.67(s,1H),7.47-7.45(m,3H),7.42-7.38(m,2H),6.78(s,1H),6.45-6.41(m,1H),6.35-6.25(m,2H),5.84-5.81(m,1H),4.00(s,2H),3.90-3.86(m,7H),3.90-3.88(m,4H),2.61(s,6H).
【0180】
生物活性アッセイ
生物学的実施例1:キナーゼ阻害効果
試薬と材料:
WT EGFR(Carna,カタログ番号08-115)、EGFR[L858R](Carna,カタログ番号08-502)、EGFR[L858R/T790M](Carna,カタログ番号08-510)、ATP(Sigma,カタログ番号A7699-1G)、DMSO(Sigma,カタログ番号D2650)、96ウェルプレート(Corning,カタログ番号3365)、384ウェルプレート(Greiner,カタログ番号784076)、HTRF Kinase TKキット(Cisbio,カタログ番号62TK0PEJ)、エルロチニブ(Selleckchem,カタログ番号S7787)、EGFR[d746-750](Life Technologies,カタログ番号PV6178)、5×キナーゼバッファーA(Life Technologies,カタログ番号PV3186)、キナーゼトレーサー199(Life Technologies,カタログ番号PV5830)、LanthaScreen(登録商標) Eu-anti-GST抗体(Life Technologies,カタログ番号PV5594)。
【0181】
具体的なアッセイのプロトコル:
化合物の調製:試験化合物をDMSOに溶解して、20mMのストック溶液を調製した。次に、ストック溶液をDMSOによって3倍で段階希釈を行い、10回希釈した。化合物を添加した後、バッファーで10倍希釈を行った。
【0182】
WT EGFRおよびEGFR[L858R/T790M]キナーゼの検出:5×キナーゼバッファーA中に、WT EGFRまたはEGFR[L858R/T790M]キナーゼを、予備希釈によって調製された異なる濃度の化合物と10分間混合した。各濃度は2回ずつ測定された。対応する基質およびATPを添加し、室温で20分間反応させた(ここで、陰性対照および陽性対照が設置された。陰性対照はブランク対照であり、陽性対照はエルロチニブであった)。反応終了後、検出試薬(HTRF Kinase TKキット内の試薬)を添加し、室温で30分間インキュベートした後、Evnvisionマイクロプレートリーダーによって,各濃度の本発明化合物の存在下での酵素活性を測定し、酵素活性に対する異なる濃度の化合物の阻害活性を算出した。その後、Graphpad 5.0ソフトウェアを使用して4パラメーター方程式に従って、酵素活性に対する異なる濃度の化合物の阻害活性をフィッティングし、IC50値を算出した。
【0183】
本発明化合物は、上記のキナーゼ阻害アッセイで試験された。本発明化合物は、EGFR[L858R/T790M]に対して強力な活性を有し、且つWT EGFRよりもEGFR[L858R/T790M]に対してより優れた選択性を有することが見出された。代表的な実施例の化合物の結果を以下の表1に示す。
【0184】
表1
【表1】
【0185】
生物学的実施例2:細胞毒性アッセイ
MTS法を利用して、インビトロで培養された3つの腫瘍細胞株に対する本発明化合物のインビトロ抗増殖活性を検出した。アッセイ結果は、本発明化合物が、インビトロで培養された癌細胞のインビトロ増殖に対する阻害効果を有し、且つ肺癌細胞のインビトロ増殖に対する阻害効果が、皮膚癌細胞のインビトロ増殖に対する阻害効果よりも強いことを示している。
【0186】
細胞株:皮膚癌細胞A431(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から購入);肺癌細胞NCI-H1975(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から購入)およびHCC827(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)から購入);すべて、10%ウシ胎児血清、100U/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシンを含むRPMI1640培地で培養した。
【0187】
試薬と材料:RPMI-1640(GIBCO,カタログ番号A10491-01);ウシ胎児血清(GIBCO,カタログ番号10099141);0.25%トリプシン-EDTA(GIBCO,カタログ番号25200);ペニシリン-ストレプトマイシン;液体(GIBCO,カタログ番号15140-122);DMSO(Sigma,カタログ番号D2650);MTSアッセイキット(Promega,カタログ番号G3581),96ウェルプレート(Corning,カタログ番号3365)。
【0188】
具体的なアッセイのプロトコル:
化合物の調製:試験化合物をDMSOに溶解して、20mMのストック溶液を調製して、-20℃で保存した。次に、ストック溶液をDMSOによって3倍で段階希釈を行い、10個の濃度を得た。化合物を添加した後、細胞培養培地で4倍希釈を行った。
【0189】
MTS細胞生存率アッセイ:対数増殖期の細胞を0.25%トリプシン-EDTAで消化し、最適化された密度で150μlの細胞を96ウェルプレートに接種した。24時間後、培地で4倍に希釈した化合物を50μl/ウェルで添加した(一般的に、10個の濃度:100、33.3、11.1、3.70、1.23、0.412、0.137、0.0457、0.0152、0.00508μMを選択した)。対照として同量の0.5%DMSOをウェルに加えた。細胞をさらに72時間培養した後、細胞の生存率をMTSで検出した。
【0190】
具体的な手順:細胞を接着させ、培地を廃棄した。20μLのMTSと100μlの培地を含む混合液を各ウェルに加えた。インキュベーター内で1~4時間インキュベートした後、OD650値を基準としてOD490を検出した。GraphPad Prismソフトウェアを使用して用量反応曲線を作成し、IC50を算出した。
【0191】
本発明化合物は、上記の細胞毒性アッセイで試験された。本発明化合物は、肺癌細胞NCI-H1975およびHCC827に対して強力な活性を有し、且つ皮膚癌細胞A431よりも肺癌細胞NCI-H1975およびHCC827に対してより優れた選択性を有することが見出された。癌細胞のインビトロ増殖に対する代表的な実施例の化合物の阻害効果の結果を以下の表2に示す。
【0192】
表2
【表2】
【0193】
生物学的実施例3:ラットにおける薬物動態実験
6匹のSprague-Dawleyラット(オス、7-8週齢、体重約210g)を2つの群に分け、各群3匹ずつ、経静脈または経口で単回投与量の化合物(経口10mg/kg)を投与し、その薬物動態学の差異を比較した。
【0194】
標準飼料でラットを飼育し、水を与えた。試験の16時間前から絶食させた。薬物をPEG400およびジメチルスルホキシドで溶解した。投与した後の0.083時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間および24時間の時点で眼窩採血を行った。
【0195】
ラットにエーテルを吸入させて一時麻酔を行い、眼窩から300μLの血液サンプルを採取して試験管に入れた。試験管中には1%のヘパリン塩溶液30μLがある。使用前に、試験管を60℃で一晩乾燥させた。最後の時点の血液サンプルの採取が完了した後、エーテルで麻酔した後にラットを殺処分した。
【0196】
血液サンプルを採取した直後に、穏やかに試験管を少なくとも5回転倒させ、十分に混合し、氷上に置いた。血液サンプルを4℃、5000rpmで5分間遠心分離して、赤血球と血漿を分離した。100μLの血漿をピペットで清潔なプラスチック遠心管に入れ、化合物の名称および時点を示した。分析まで血漿を-80℃で保存した。血漿中の本発明の化合物濃度をLC-MS/MSにより測定した。薬物動態パラメーターは、異なる時点における各動物の血中濃度に基づいて計算した。
【0197】
実験は、本発明の化合物が動物の体内でもより優れた薬物動態特性を有し、したがってより優れた薬力学および治療効果を有することを示した。
【0198】
表3
【表3】
【0199】
上記の内容は、特定の好ましい実施形態を参照して本発明に対するさらなる詳細な説明であるが、本発明の実施形態がこれらの記載に限定されない。当業者にとって明らかであるように、本発明の精神から逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは、すべてが本発明の保護範囲内にあるとみなされるべきである。
[請求項1]
式(I)で表われる化合物、或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物であって、
[化1]
ただし、
XはCH、CDまたはNから選択され;
環Aは少なくとも1つのN原子を含む5員ヘテロアリール環から選択され;
はH、D、ハロゲン、-CN、-NO 、-OH、C 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、C 3-7 シクロアルキル、C 1-6 アルコキシル、C 1-6 ハロアルコキシル、または-OC 3-7 シクロアルキルから選択され、ここで、前記のC 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、C 3-7 シクロアルキル、C 1-6 アルコキシル、C 1-6 ハロアルコキシルおよび-OC 3-7 シクロアルキルが1-13個のR 基で置換されていてもよく;
はH、D、4-7員ヘテロシクロアルキル、または-NR から選択され、ここで、前記の4-7員ヘテロシクロアルキルが1-10個のR 基で置換されていてもよく;
はH、D、ハロゲン、-CN、-NO 、C 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、またはC 3-6 シクロアルキルから選択され、ここで、前記のC 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、またはC 3-6 シクロアルキルが1-13個のR 基で置換されていてもよく;
はH、D、C 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、C 3-7 シクロアルキル、4-7員ヘテロシクロアルキル、C 6-10 アリール、または5-10員ヘテロアリールから選択され、ここで、前記のC 6-10 アリールおよび5-10員ヘテロアリールが1-8個のR 基で置換されていてもよく;
はH、D、-(CH OR 、-(CH NR 、-(CD OR 、または-(CD NR から選択され、ここで、nが1、2、3または4から選択され;
はH、DまたはC 1-6 アルキルから選択され、ここで、前記のC 1-6 アルキルが1-13個のR 基で置換されていてもよく;
およびR は、それぞれ独立してH、D、C 1-6 アルキル、C 3-7 シクロアルキル、または4-7員ヘテロシクロアルキルから選択され、或いはR 、R は、それらが連結しているN原子とともに4-7員ヘテロシクロアルキルを形成し;ここで、前記のC 1-6 アルキル、C 3-7 シクロアルキル、または4-7員ヘテロシクロアルキルが1-13個のR 基で置換されていてもよく;
は、独立してH、D、ハロゲン、-OH、C 1-6 アルコキシル、-NH 、-NH(C 1-6 アルキル)、-N(C 1-6 アルキル) 、-C(O)C 1-6 アルキル、-C(O)OC 1-6 アルキル、-C(O)NHC 1-6 アルキル、C 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、C 3-7 シクロアルキル、4-7員ヘテロシクロアルキル、C 6-10 アリール、または5-10員ヘテロアリールから選択され;或いは、同じ原子または隣接する原子上の2つのR 基は、C 3-7 シクロアルキル、4-7員ヘテロシクロアルキル、C 6-10 アリール、または5-10員ヘテロアリールをともに形成してもよく;ここで、R の定義における各基が、完全に重水素化されるまで、1つまたは複数のDで置換されていてもよく;
前提は、XがCHであり、かつ環Aが
[化2]
である場合、R がC 1-6 ハロアルキル、またはC 1-6 ハロアルコキシルから選択される、
式(I)で表われる化合物、或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物。
[請求項2]
式(II)で表われる化合物であって、
[化3]
ただし、
XがCH、CDまたはNから選択され;
、Y 、Y 、Y を含む環が芳香環であり、且つY 、Y 、Y 、Y が独立してC、N、OまたはS原子から選択され;
がH、D、ハロゲン、-CN、-NO 、-OH、C 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、C 3-7 シクロアルキル、C 1-6 アルコキシル、C 1-6 ハロアルコキシル、または-OC 3-7 シクロアルキルから選択され、ここで、前記のC 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、C 3-7 シクロアルキル、C 1-6 アルコキシル、C 1-6 ハロアルコキシルおよび-OC 3-7 シクロアルキルが1-13個のR 基で置換されていてもよく;
がH、D、4-7員ヘテロシクロアルキル、または-NR から選択され、ここで、前記の4-7員ヘテロシクロアルキルが1-10個のR 基で置換されていてもよく;
がH、D、ハロゲン、-CN、-NO 、C 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、またはC 3-6 シクロアルキルから選択され、ここで、前記のC 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、またはC 3-6 シクロアルキルが1-13個のR 基で置換されていてもよく;
がH、D、C 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、C 3-7 シクロアルキル、4-7員ヘテロシクロアルキル、C 6-10 アリール、または5-10員ヘテロアリールから選択され、ここで、前記のC 6-10 アリールおよび5-10員ヘテロアリールが1-8個のR 基で置換されていてもよく;
がH、D、-(CH OR 、-(CH NR 、-(CD OR 、または-(CD NR から選択され、ここで、nが1、2、3または4から選択され;
がH、DまたはC 1-6 アルキルから選択され、ここで、前記のC 1-6 アルキルが1-13個のR 基で置換されていてもよく;
およびR が、それぞれ独立してH、D、C 1-6 アルキル、C 3-7 シクロアルキル、または4-7員ヘテロシクロアルキルから選択され、或いはR 、R が、それらが連結しているN原子とともに4-7員ヘテロシクロアルキルを形成し;ここで、前記のC 1-6 アルキル、C 3-7 シクロアルキル、または4-7員ヘテロシクロアルキルが1-13個のR 基で置換されていてもよく;
が、独立してH、D、ハロゲン、-OH、C 1-6 アルコキシル、-NH 、-NH(C 1-6 アルキル)、-N(C 1-6 アルキル) 、-C(O)C 1-6 アルキル、-C(O)OC 1-6 アルキル、-C(O)NHC 1-6 アルキル、C 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、C 3-7 シクロアルキル、4-7員ヘテロシクロアルキル、C 6-10 アリール、または5-10員ヘテロアリールから選択され;或いは、同じ原子または隣接する原子上の2つのR 基が、C 3-7 シクロアルキル、4-7員ヘテロシクロアルキル、C 6-10 アリール、または5-10員ヘテロアリールをともに形成してもよく;ここで、R の定義における各基が、完全に重水素化されるまで、1つまたは複数のDで置換されていてもよく;
前提は、XがCHであり、かつ環Aが
[化4]
である場合、R がC 1-6 ハロアルキル、またはC 1-6 ハロアルコキシルから選択される、
請求項1に記載の化合物、或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物。
[請求項3]
[化5]
が、
[化6]
[化7]
からなる群から選択される、
請求項2に記載の化合物。
[請求項4]
式(II-1)で表われる化合物であって、
[化8]
ただし、
RがH、C 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、またはC 3-7 シクロアルキルから選択され、ここで、前記のC 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキルおよびC 3-7 シクロアルキルが1-13個のR 基で置換されていてもよく;
X、Y -Y 、R -R およびR が、請求項1に定義されているとおりである、
請求項1~3のいずれか1項に記載の化合物。
[請求項5]
式(II-2)で表われる化合物であって、
[化9]
ただし、
RがH、C 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、またはC 3-7 シクロアルキルから選択され、ここで、前記のC 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキルおよびC 3-7 シクロアルキルが1-13個のR 基で置換されていてもよく;
X、Y -Y 、R およびR が、請求項1に定義されているとおりである、
請求項1~4のいずれか1項に記載の化合物。
[請求項6]
(III)または(IV)で表われる化合物であって、
[化10]

ただし、
-R が、請求項1に定義されているとおりである、
請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
[請求項7]
式(III-1)または(IV-1)で表われる化合物であって、
[化11]

ただし、
RがH、C 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、またはC 3-7 シクロアルキルから選択され、ここで、前記のC 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキルおよびC 3-7 シクロアルキルが1-13個のR 基で置換されていてもよく;
-R およびR が、請求項1に定義されているとおりである、
請求項6に記載の化合物。
[請求項8]
式(III-2)または(IV-2)で表われる化合物であって、
[化12]

ただし、
RがH、C 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、またはC 3-7 シクロアルキルから選択され、ここで、前記のC 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキルおよびC 3-7 シクロアルキルが1-13個のR 基で置換されていてもよく;
がH、D、ハロゲン、C 1-6 アルキルまたはC 1-6 ハロアルキルから選択され、ここで、前記のC 1-6 アルキルおよびC 1-6 ハロアルキルが1-13個のR 基で置換されていてもよく;
が、請求項1に定義されているとおりである、
請求項7に記載の化合物。
[請求項9]
式(V)で表われる化合物であって、
[化13]
ただし、
XおよびR -R が、請求項1に定義されているとおりである、
請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
[請求項10]
式(V-I)で表われる化合物であって、
[化14]
ただし、
RがH、C 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、またはC 3-7 シクロアルキルから選択され、ここで、前記のC 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキルおよびC 3-7 シクロアルキルが1-13個のR 基で置換されていてもよく;
X、R -R およびR が、請求項1に定義されているとおりである、
請求項9に記載の化合物。
[請求項11]
式(V-2)で表われる化合物であって、
[化15]
ただし、
RがH、C 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキル、またはC 3-7 シクロアルキルから選択され、ここで、前記のC 1-6 アルキル、C 1-6 ハロアルキルおよびC 3-7 シクロアルキルが1-13個のR 基で置換されていてもよく;
XがCH、CDまたはNから選択され;
がH、D、ハロゲン、C 1-6 アルキルまたはC 1-6 ハロアルキルから選択され、ここで、前記のC 1-6 アルキルおよびC 1-6 ハロアルキルが1-13個のR 基で置換されていてもよく;
が、請求項1に定義されているとおりである、
請求項9に記載の化合物。
[請求項12]
式(VI)または式(VII)で表われる化合物であって、
[化16]

ただし、
がC 1-6 ハロアルキル、またはC 1-6 ハロアルコキシルから選択され、ここで、前記のC 1-6 ハロアルキルおよびC 1-6 ハロアルコキシルが1-12個のR 基で置換されていてもよく;
-R およびR が、請求項1に定義されているとおりである、
請求項1~5のいずれか1項に記載の化合物。
[請求項13]
式(VI-1)または式(VII-1)で表われる化合物であって、
[化17]

ただし、
RがC 1-6 ハロアルキルから選択され、ここで、前記のC 1-6 ハロアルキルが1-12個のR 基で置換されていてもよく;
-R およびR が、請求項1に定義されているとおりである、
請求項12に記載の化合物。
[請求項14]
式(VI-2)または式(VII-2)で表われる化合物であって、
[化18]

ただし、
RがC 1-6 ハロアルキルから選択され、ここで、前記のC 1-6 ハロアルキルが1-12個のR 基で置換されていてもよく;
がH、D、ハロゲン、C 1-6 アルキルまたはC 1-6 ハロアルキルから選択され、ここで、前記のC 1-6 アルキルおよびC 1-6 ハロアルキルが1-13個のR 基で置換されていてもよく;
が、請求項1に定義されているとおりである、
請求項12に記載の化合物。
[請求項15]
[化19]
[化20]
[化21]
からなる群から選択される、化合物、或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物。
[請求項16]
請求項1~15のいずれか1項に記載の化合物、或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物と、
薬学的に許容される賦形剤と
を含む、医薬組成物。
[請求項17]
プロテインキナーゼによって媒介される疾患を治療するための薬物の調製における、請求項1~15のいずれか1項に記載の化合物、或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物、若しくは請求項16に記載の医薬組成物の使用。
[請求項18]
プロテインキナーゼによって媒介される疾患を治療することに用いられる、請求項1~15のいずれか1項に記載の化合物、或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物、若しくは請求項16に記載の医薬組成物。
[請求項19]
請求項1~15のいずれか1項に記載の化合物、或いはその薬学的に許容される塩、立体異性体、溶媒和物または水和物、若しくは請求項16に記載の医薬組成物を、被験者に投与することを含む、被験者におけるプロテインキナーゼによって媒介される疾患を治療する方法。
[請求項20]
前記のプロテインキナーゼが野生型および/または変異型のEGFR、或いは野生型および/または変異型のJAK3から選択される、
請求項17に記載の使用、或いは請求項18に記載の化合物または医薬組成物、或いは請求項19に記載の方法。
[請求項21]
前記の変異型のEGFRが、del19、L858R、T790M、del19/T790M、またはL858R/T790Mから選択される、
請求項20に記載の使用、或いは化合物または医薬組成物、或いは方法。