IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社リーフの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】部材同士の連結構造
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/00 20060101AFI20230308BHJP
   E02D 27/12 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
E02D27/00 D
E02D27/12 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022065947
(22)【出願日】2022-04-12
【審査請求日】2022-05-09
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521125442
【氏名又は名称】株式会社リーフ
(74)【代理人】
【識別番号】230117846
【弁護士】
【氏名又は名称】長友 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100217032
【弁理士】
【氏名又は名称】常本 俊幸
(72)【発明者】
【氏名】北原 陽介
【審査官】大塚 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-253380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/00-27/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材と第2部材とを連結するための連結構造であって、
前記第1部材には、5個以上の複数の直線状の長孔が、間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度で交差するように設けられており、
前記第1部材において前記直線状の長孔が基準線と交差する角度αを略30~70度の範囲で調整し、
前記第2部材には、前記第1部材の直線状の長孔と適宜交差する方向に、個以上の複数の直線状の長孔が設けられ、
前記第1部材において、前記5個以上の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第1部材と、前記第2部材とを重ね合わせた際に、
当該部材の半径に対し少なくとも30%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合でも、
前記第1部材と第2部材の長孔どうしが、部材の中心を挟んで略両側に少なくとも1か所ずつ、計2か所以上において重合し、
当該長孔どうしが重合する箇所において、前記第1部材と第2部材の長孔どうしが略平行とはならず所定の交差角をもって交差すると共に、
前記第1部材に設けられた複数の長孔と、前記第2部材に設けられた複数の長孔とが重なり合う箇所で連結部品が通され、部材どうしを連結すること、
を特徴とする部材どうしの連結構造。
【請求項2】
第1部材と第2部材とを連結するための連結構造であって、
前記第1部材には、6個以上の複数の直線状の長孔が、間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度で交差するように設けられており、
前記第1部材において前記直線状の長孔が基準線と交差する角度αを略20~70度の範囲で調整し、
前記第2部材には、前記第1部材の直線状の長孔と適宜交差する方向に、個以上の複数の直線状の長孔が設けられ、
前記第1部材において、前記6個以上の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第1部材と、前記第2部材とを重ね合わせた際に、
当該部材の半径に対し少なくとも30%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合でも、
前記第1部材と第2部材の長孔どうしが、当該部材の中心を挟んだ略両側に少なくとも1か所ずつ、計2か所以上において重合し、
当該長孔どうしが重合する箇所において、前記第1部材と第2部材の長孔どうしが略平行とはならず所定の交差角をもって交差すると共に、
前記第1部材に設けられた複数の長孔と、前記第2部材に設けられた複数の長孔とが重なり合う箇所に連結部品が通され、部材どうしを連結すること、
を特徴とする部材どうしの連結構造。
【請求項3】
第1部材と第2部材とを連結するための連結構造であって、
前記第1部材には、7個以上の複数の直線状の長孔が、間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度で交差するように設けられており、
前記第1部材において前記直線状の長孔が基準線と交差する角度αを略30~70度の範囲で調整し、
前記第2部材には、前記第1部材の直線状の長孔と適宜交差する方向に、2個以上の複数の直線状の長孔が設けられ、
前記第1部材において、前記7個以上の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第1部材と、前記第2部材とを重ね合わせた際に、
当該部材の半径に対し少なくとも略30%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合でも、
前記第1部材と第2部材の長孔どうしが、当該部材の中心を挟んだ略両側に少なくとも1か所ずつ、計2か所以上において重合し、
当該長孔どうしが重合する箇所において、前記第1部材と第2部材の長孔どうしが略平行とはならず所定の交差角をもって交差すると共に、
前記第1部材に設けられた複数の長孔と、前記第2部材に設けられた複数の長孔とが重なり合う箇所で連結部品が通され、部材どうしを連結すること、
を特徴とする部材どうしの連結構造。
【請求項4】
第1部材と第2部材とを連結するための連結構造であって、
前記第1部材には、5個の複数の直線状の長孔が、間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度αで交差するように設けられており、前記直線状の長孔が基準線と交差する角度αを略60度に調整し、前記5個以上の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第2部材には、5個の複数の直線状の長孔が、間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度γで交差するように設けられており、前記直線状の長孔が基準線と交差する角度γを略60度に調整し、前記5個以上の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第1部材と、前記第2部材とを重ね合わせた際に、
当該部材の半径に対し少なくとも30までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合でも、
前記第1部材と第2部材の長孔どうしが、当該部材の中心を挟んで略両側に少なくとも1か所ずつ、計2か所以上において重合し、
当該長孔どうしが重合する箇所において、前記第1部材と第2部材の長孔どうしが略平行とはならず所定の交差角をもって交差すると共に、
前記第1部材に設けられた複数の長孔と、前記第2部材に設けられた複数の長孔とが重なり合う箇所で連結部品が通され、部材どうしを連結すること、
を特徴とする部材どうしの連結構造。
【請求項5】
第1部材と第2部材とを連結するための連結構造であって、
前記第1部材には、6個以上の複数の直線状の長孔が、間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度αで交差するように設けられており、前記直線状の長孔が基準線と交差する角度αを略30~60度の範囲で調整し、前記6個以上の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第2部材には、6個以上の複数の直線状の長孔が、間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度γで交差するように設けられており、前記直線状の長孔が基準線と交差する角度γを略30~60度の範囲で調整し、
前記6個以上の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第1部材と、前記第2部材とを重ね合わせた際に、
当該部材の半径に対し少なくとも30%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合でも、
前記第1部材と第2部材の長孔どうしが、当該部材の中心を挟んで略両側に少なくとも1か所ずつ、計2か所以上において重合し、
当該長孔どうしが重合する箇所において、前記第1部材と第2部材の長孔どうしが略平行とはならず所定の交差角をもって交差すると共に、
前記第1部材に設けられた複数の長孔と、前記第2部材に設けられた複数の長孔とが重なり合う箇所で連結部品が通され、部材どうしを連結すること、
を特徴とする部材どうしの連結構造
【請求項6】
第1部材と第2部材とを連結するための連結構造であって、
前記第1部材には、7個以上の複数の直線状の長孔が、間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度αで交差するように設けられており、前記直線状の長孔が基準線と交差する角度αを略20~70度の範囲で調整し、前記7個以上の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第2部材には、7個以上の複数の直線状の長孔が、間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度γで交差するように設けられており、前記直線状の長孔が基準線と交差する角度γを略20~70度の範囲で調整し、
前記7個以上の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第1部材と、前記第2部材とを重ね合わせた際に、
当該部材の半径に対し少なくとも略30%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合でも、
前記第1部材と第2部材の長孔どうしが、当該部材の中心を挟んだ略両側に少なくとも1か所ずつ、計2か所以上において重合し、
当該長孔どうしが重合する箇所において、前記第1部材と第2部材の長孔どうしが略平行とはならず所定の交差角をもって交差すると共に、
前記第1部材に設けられた複数の長孔と、前記第2部材に設けられた複数の長孔とが重なり合う箇所で連結部品が通され、部材どうしを連結すること、
を特徴とする部材どうしの連結構造。
【請求項7】
第1部材と第2部材とを連結するための連結構造であって、
前記第1部材に、5個の複数の直線状の長孔が、中心角で角度βごとに間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度αで交差するように設けられており、
前記第2部材には、5個の複数の直線状の長孔が、中心角で角度δごとに間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度γで交差するように設けられており、
前記直線状の長孔が基準線と交差する角度α、γについて、
前記第1部材において前記直線状の長孔が基準線と交差する角度αを略60度に、及び、
前記第2部材において前記直線状の長孔が基準線と交差する角度γを略60度に調整し、
前記第1部材ないし第2部材それぞれにおいて、前記5個以上の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第1部材と、前記第2部材とを重ね合わせた際に、
当該部材の半径に対し少なくとも30%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合でも、
前記第1部材と第2部材の長孔どうしが、当該部材の中心を挟んで略両側に少なくとも1か所ずつ、計2か所以上において重合し、
当該長孔どうしが重合する箇所において、前記第1部材と第2部材の長孔どうしが略平行とはならず所定の交差角をもって交差すると共に、
前記第1部材に設けられた複数の直線状の長孔と、前記第2部材に設けられた複数の直線状の長孔とが重なり合う箇所で連結部品が通され、部材どうしを連結すること、
を特徴とする部材どうしの連結構造。
【請求項8】
第1部材と第2部材とを連結するための連結構造であって、
前記第1部材に、6個以上の複数の直線状の長孔が、中心角で角度βごとに間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度αで交差するように設けられており、
前記第2部材には、6個以上の複数の直線状の長孔が、中心角で角度δごとに間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度γで交差するように設けられており、
前記直線状の長孔が基準線と交差する角度α、γについて、
前記第1部材において前記直線状の長孔が基準線と交差する角度αを略30~60の範囲、及び、
前記第2部材において前記直線状の長孔が基準線と交差する角度γを略30~60の範囲で調整し、
前記第1部材ないし第2部材それぞれにおいて、前記6個以上の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第1部材と、前記第2部材とを重ね合わせた際に、
当該部材の半径に対し少なくとも30%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合でも、
前記第1部材と第2部材の長孔どうしが、当該部材の中心を挟んで略両側に少なくとも1か所ずつ、計2か所以上において重合し、
当該長孔どうしが重合する箇所において、前記第1部材と第2部材の長孔どうしが略平行とはならず所定の交差角をもって交差すると共に、
前記第1部材に設けられた複数の直線状の長孔と、前記第2部材に設けられた複数の直線状の長孔とが重なり合う箇所で連結部品が通され、部材どうしを連結すること、
を特徴とする部材どうしの連結構造。
【請求項9】
第1部材と第2部材とを連結するための連結構造であって、
前記第1部材に、7個以上の複数の直線状の長孔が、中心角で角度βごとに間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度αで交差するように設けられており、
前記第2部材には、7個以上の複数の直線状の長孔が、中心角で角度δごとに間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度γで交差するように設けられており、
前記直線状の長孔が基準線と交差する角度α、γについて、
前記第1部材において前記直線状の長孔が基準線と交差する角度αを略20~70度の範囲、及び、
前記第2部材において前記直線状の長孔が基準線と交差する角度γを略20~70度の範囲で調整し、
前記第1部材ないし第2部材それぞれにおいて、前記7個以上の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第1部材と、前記第2部材とを重ね合わせた際に、
当該部材の半径に対し少なくとも略30%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合でも、
前記第1部材と第2部材の長孔どうしが、当該部材の中心を挟んだ略両側に少なくとも1か所ずつ、計2か所以上において重合し、
当該長孔どうしが重合する箇所において、前記第1部材と第2部材の長孔どうしが略平行とはならず所定の交差角をもって交差すると共に、
前記第1部材に設けられた複数の直線状の長孔と、前記第2部材に設けられた複数の直線状の長孔とが重なり合う箇所で連結部品が通され、部材どうしを連結すること、
を特徴とする部材どうしの連結構造。
【請求項10】
第1部材と第2部材とを連結するための連結構造であって、
前記第1部材に、6~12個の複数の直線状の長孔が、中心角で角度βごとに間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度αで交差するように設けられており、
前記第2部材には、6~12個の複数の直線状の長孔が、中心角で角度δごとに間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度γで交差するように設けられており、
前記直線状の長孔が基準線と交差する角度α、γについて、
前記第1部材において前記直線状の長孔が基準線と交差する角度αを略30~60度の範囲、及び、
前記第2部材において前記直線状の長孔が基準線と交差する角度γを略30~60度の範囲で調整し、
前記第1部材ないし第2部材それぞれにおいて、前記6~10個の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第1部材と、前記第2部材とを重ね合わせた際に、
当該部材の半径に対し少なくとも略40%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合でも、
前記第1部材と第2部材の長孔どうしが、当部材の中心を挟んだ略両側に少なくとも1か所ずつ、計2か所以上において重合し、
当該長孔どうしが重合する箇所において、前記第1部材と第2部材の長孔どうしが略平行とはならず所定の交差角をもって交差すると共に、
前記第1部材に設けられた複数の直線状の長孔と、前記第2部材に設けられた複数の直線状の長孔とが重なり合う箇所で連結部品が通され、部材どうしを連結すること、
を特徴とする部材どうしの連結構造。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つに記載の連結構造において使用される部材であって、
前記第2部材と重ね合わせて使用するための前記第1部材、又は及び前記第1部材と重ね合わせて使用するための前記第2部材。
【請求項12】
請求項1~10のいずれか1つに記載の連結構造において使用される部材であって、前記第1部材又は第2部材に対して、地中に埋設するための杭が接合された、杭付きの部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部材どうしを連結する構造に関する。例えば、地面に埋設する杭の上端の部材と、建造物の支柱の下端の部材とを連結する構造に関するものであり、農業用温室などの建造物やソーラーパネルの設置用架台などに使用する連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
農業用温室などの建造物やソーラーパネルの設置用架台を設置する際に、基礎として杭を地盤に打ち込んだうえで、杭の上端に設けられた部材と、農業用温室などの建造物やソーラーパネルを支える支柱の下端に設けられた部材と、を連結して組み立てていく方法が採用されている。
杭の埋設方法としては、打ち込み法、螺旋状リブを利用したねじ込み法などが採用されているが、いずれも杭の上端の連結用の部材の中心と、支柱の下端の連結用の部材の中心との間にずれが生じるため、このずれを許容して連結するものが用いられていた。
【0003】
例えば、特許文献1「部材同士のボルト連結構造」には、杭側ベースプレート(下側)と柱側ベースプレート(上側)とにボルトを通す長孔が備えられ、杭側ベースプレートの長孔と柱側ベースプレートの長孔とは互いに交差する方向を向き、この長孔交差部にボルトが通され、このボルトで前記ベースプレート同士が連結する技術が開示されている。
より具体的には、杭側ベースプレート(下側)の長孔が、略正方形の杭側ベースプレートの端の方に、それぞれ平行に向かい合うようにして2対、合計4個設けられ、柱側ベースプレート(上側)の長孔も、杭側ベースプレートのそれぞれの長孔に1対1に対応して交差するように合計4個設けられている。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の技術では、両ベースプレートにおいて、地面に対して水平な面における二次元方向(以下「水平二次元方向」という)に相対的なずれが発生する場合には、ボルトを通すための、両者の長孔どうしが重なり合う箇所(以下「長孔どうしの重合箇所」又は単に「重合箇所」という)を見出すことができるが、周方向に一定以上の回転ズレが発生した場合には、重合箇所を見出すことができないという不都合があった。
より具体的には、杭側ベースプレートに接合される杭として、打ち込み杭を使用した場合には、相対的な回転ズレが生じないように打ち込めばさほど大きな回転ズレを起こすことなく施工できるので重合箇所を見出すことができるが、杭として、地面に回転しながらねじ込んでいくスパイラル状(螺旋状)の羽を備えた杭(以下「スパイラル杭」または「螺旋杭」という)を用いた場合には、かなり大きな回転ズレが発生するため、長孔どうしの重合箇所を見いだせず、ボルト止めできないという不都合である。
【0005】
なお、スパイラル杭を用いる理由は、スパイラル杭を使用した場合は、地中に安定して設置するための土台としてコンクリートを使う必要がないことや、廃土が発生しないことに加え、押込み応力や引抜き応力にも強く、暴風時の吹き上げにも十分な強度を維持することが可能で、杭のサイズによっては人力での施工も可能というメリットがあるからである。
【0006】
このため、スパイラル杭を使用した場合において、接合(連結)させる2つの部材に回転ズレが発生した場合にも対応できるような技術が必要とされるようになっていた。これに対応する技術として、特許文献2の技術がある。
【0007】
特許文献2「基礎杭と建造物の支柱との接合構造およびそれに使用する基礎杭」には、下側の基板に径方向中心から伸びる放射線状に間隔を隔てて10個の長孔を備え、上側の取付板に対向状に2個の長孔を備えることにより、それぞれの長孔との重合範囲において、基板と取付板とを固定する技術が開示されている。
特許文献2の技術によれば、接合させる2つの部材に回転ズレが発生した場合でも、長孔どうしの重合箇所を見出すことが可能となることが示されている。
【0008】
また、特許文献3「部材連結構造」によれば、連結させる2つの部材の双方に、湾曲した長孔を用いることで、長孔どうしが重合する範囲を広げることが可能となることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2005-48537号公報
【文献】特開2007-205108号公報
【文献】特開2013‐253380号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献2の技術では、下側(杭側)の基板に杭を溶接する関係で、杭の直径より外側に長孔を設ける必要があるが、径方向中心から伸びる放射線状に長孔を配置する関係で、長孔の長さを十分にとることができないことにより、回転ズレ又は及び水平二次元方向に相対的なずれが発生した際のずれ具合によっては、上側の取付板に対向状に設けた2つの長孔との重合箇所を十分に見出すことができない場合もあった。
【0011】
より具体的には、図2に示すように、径方向中心から伸びるライン11に沿って長孔12を設けるという構成と、杭14を溶接等して接続するための領域を示すライン(二重破線)よりも外側に長孔を設ける必要がある関係で、長孔12の有効長13が制限されるという課題があった。
このため、図4に示すように、下側(杭側)の基板10と上側(支柱側)の取付板20とを組み合わせた際に、水平二次元方向のずれが一定程度発生した場合、支柱側の左側の長孔(L)22および支柱側の右側の長孔(R)23のいずれにも、杭側の長孔12との重合箇所が見いだせない場合があった。
このような場合、上側の取付板に接続された支柱のたわみを利用して、取付板を強制的に移動させ、長孔どうしの重合箇所を作り出したうえで、ボルトで固定するという方法を取らざるを得ない場合もあった。このような場合は、支柱やボルトに常に応力が掛かった状態となるという不都合も生じていた。
【0012】
また、基板に径方向中心から伸びる放射線状に長孔を設けていることと、取付板に対向状に長孔を設けていることにより、取付用のボルトやナットが緩んだ際に、取付板が長孔の長手方向にずれてしまうという不都合があった。
より具体的には、図5に示すように、長孔が重合する箇所(ボルトを挿入する箇所)が、中心に対し、左右対称な位置関係になり、ボルトが緩んだ際の支柱側の取付板20の可動方向が、左右の重合箇所で同じ方向になるため、取付板20が上下左右にずれてしまうという不都合である。
【0013】
ここで、「取付板20の可動方向が左右の重合箇所で同じ方向である」とは、左側の重合箇所における杭側の基板10の長孔の向きに対応する可動方向L1(符号51)と、右側の重合箇所における杭側の基板10の長孔の向きに対応する可動方向R1(符号61)が同じ方向であり、かつ、左側の重合箇所における支柱側の取付板20の長孔の向きに対応する可動方向L2(符号52)と、右側の重合箇所における支柱側の取付板20の長孔の向き(長孔の長手方向)に対応する可動方向R2(符号62)が同じ方向であることをいう。
【0014】
また、下側の基板の長孔と、上側の取付板の長孔の配置が異なるため、基板や取付板の製造工程において、打ち抜き加工を行う場合に、金型が2種類必要になるという不都合もあった。
【0015】
また、特許文献3の技術では、湾曲した長孔を用いるため、水平ズレだけの場合には上下の部材の長孔どうしの重合範囲をわずかに広げる効果が認められる。しかし、回転ズレが発生した場合の長孔どうしの重合箇所については検討されておらず、水平ズレだけでなく回転ズレが重畳して発生した場合には、重合箇所を1か所しか見いだせない場合や、重合箇所を2か所見いだせたとしても、その位置関係が、部材を中心に挟んで略対面するものではなく、部材の中心角が90度以下の範囲に2か所を見いだせるに留まる場合があった。
【0016】
また、長孔どうしが重合する箇所における、長孔どうしが交差する角度は、略平行(交差角でみると略0度又は略180度)ではなく、一定の角度(最適値は90度であるが、20度程度以上)であることが望ましいところ、実験の結果、特許文献3の技術では、略平行になる箇所が散見されるという不都合があった。
これは、長孔が湾曲しているので、回転ズレの状況によっては、長孔どうしが平行に近い状態になることによるものであることが判明している。
【0017】
より具体的には、例えば、図28によれば、特許文献3の技術では、部材の半径の20%程度の水平ズレと任意の回転ズレが重畳して発生した場合には、長孔どうしの重合箇所300が1か所しか見いだせない場合があることがわかる。
【0018】
また、図28(B)(C)によれば、長孔が3個の部材と長孔が6個の部材の組み合わせにおいて、部材の半径の30%程度の水平ズレと任意の回転ズレが重畳して発生した場合には、長孔どうしの重合箇所300が1か所しか見いだせない場合があることがわかる。これは、長孔が湾曲しているため、水平ズレと回転ズレの状況によっては、長孔どうしが略平行になってしまい(破線で示した領域400の箇所を参照)、一定の交差角で交差できないことが原因として考えられる。
【0019】
また、特許文献3の図面には記載がないが、図29(C)のように、長孔が8個の部材と長孔が8個の部材を組み合わせた場合について実験してみたところ、重合箇所が3か所見いだせるものの、重合している箇所が、部材の中心を挟んだ両側に存在せず、部材の中心からみた中心角εが90度未満の位置に集中してしまう場合があることがわかる。このような場合、部材に接続された杭や支柱から受ける回転トルクに十分に対応できる強度で部材どうしを固定することが困難となるという不都合が生じる。
【0020】
また、特許文献3の図面の図2図14によれば、長手方向基準線と中心軸線とがなす角度(「長孔と中心軸線との交差角」)は、90度(図2の場合)、0度(図14の場合)のパターンが記載されていると読み取ることが可能であるが、それ以外の角度については例示がなく、長孔と中心軸線との交差角についての考慮がなされていないと考えられる。
【0021】
このため、図2のパターンでは長孔の個数を増やすと長孔どうしが干渉してしまうので、長孔の個数を増やすためには、図14のパターンのように、中心軸線と長手方向基準線との交差角が0度のパターンを採用することになる。この場合、長孔の有効長を稼ぐためには、部材の中心近くまで長孔を伸ばす必要があるが、部材の中心から25%程度の距離に長孔を配置しているため、十分な太さを有する支柱や杭を接続することができないという不都合もある。
【0022】
このように、特許文献3の技術では、水平ズレの許容範囲をわずかに広げるために湾曲した長孔を採用して、回転ズレに対する考慮を欠いた結果、支柱や杭の半径を制限してまでも、長孔の有効長をかなり長く取っているにもかかわらず、水平ズレや回転ズレに弱く、部材の中心を挟んだ両側に2か所以上の重合箇所を見出すことができないという不都合があった。
【0023】
そこで、本願発明では、従来技術の図2の課題に対しては、図3に示すように、長孔110は、中心から径方向外側に伸びる複数の基準線130に対し、それぞれ所定の角度で交差するように設けて、杭120を溶接する領域を確保しても、長孔の有効長Leを十分に確保できるようにし、杭側の部材と支柱側の部材の回転ズレや水平二次元方向に相対的なずれが発生した場合でも、部材どうしの重合箇所を十分に確保することを目的とする。
【0024】
また、本願発明では、下側の部材の長孔と、上側の部材の長孔の配置を工夫することで、回転ズレと水平二次元方向に相対的なずれの両方が重複して発生した場合でも、両者の長孔どうしの重合箇所を十分に確保することを目的とする。
【0025】
また、本願発明では、部材の中心から長孔までの距離を十分に確保して、十分な太さの支柱や杭を接続できるように構成した場合でも、長孔どうしの重合箇所を十分に確保することを目的とする。
【0026】
また、本願発明では、部材の中心を挟んだ両側で2か所以上の重合箇所を確保することを目的とする。
【0027】
また、本願発明では、長孔どうしの重合箇所において、長孔どうしが略平行ではなく、長孔どうしが所定の角度(例えば、90±70度、あるいは90±45度の範囲内など)で交差するようにすることを目的とする。
【0028】
また、本願発明では、従来技術の図5の課題に対しては、図6に示すように、長孔が重合する箇所(ボルトを挿入する箇所)を、中心に対し、左右非対称な位置にも見出すことが可能となるようにして、ボルトが緩んだ際の支柱側の第1部材100の可動方向が、左右の重合箇所で別々の方向を向くようにすることで(杭側の第1部材100の長孔の可動方向L1(符号71)と可動方向R1(符号81)とが互いに異なる方向、かつ、支柱側の第2部材200の長孔の可動方向L2(符号72)と可動方向R2(符号82)とが互いに異なる方向)、ボルトが緩んだ場合でも、第2部材200が上下左右にずれないような部材どうしの連結構造を提供することを目的とする。
【0029】
また、本願発明では、一方の部材の長孔ともう一方の部材の長孔を、それぞれ左右に反転した形状とすることで、一方の部材の長孔と、もう一方の部材の長孔を設けるための製造工程において、共通の金型を利用できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0030】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、
第1部材と第2部材とを連結するための連結構造であって、
前記第1部材には、5個以上の複数の直線状の長孔が、間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度で交差するように設けられており、
前記第1部材において前記直線状の長孔が基準線と交差する角度αを略30~70度の範囲で調整し、
前記第2部材には、前記第1部材の直線状の長孔と適宜交差する方向に、2個以上の複数の直線状の長孔が設けられ、
前記第1部材において、前記5個以上の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第1部材と、前記第2部材とを重ね合わせた際に、
当該部材の半径に対し略20%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合でも、
前記第1部材と第2部材の長孔どうしが、部材の中心を挟んで少なくとも1か所ずつ、計2か所以上において重合し、
前記第1部材に設けられた複数の長孔と、前記第2部材に設けられた複数の長孔とが重なり合う箇所で連結部品が通され、部材どうしを連結すること、
を特徴とする。
ここで例えば、第1部材の下面には地中に埋設するための杭が溶接等され、第2部材の上面には支柱が溶接等された場合に、杭を埋設した際に、杭と支柱のずれ(回転ズレ、及び水平二次元方向のずれ)が生じた場合でも、第1部材の長孔の有効長を十分にとることができるので、第1部材と第2部材のそれぞれの重合箇所を確実に見出すことが可能となる。
当該発明は、図30(項番1~12)に示すように、長孔が基準線と交差する角度を略30~70度の範囲で調整することにより、部材の半径に対し略20%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合において、一方の部材の長孔の個数が5個で、他方の部材において少なくとも2個の長孔が設けられていれば、両部材の長孔どうしが、部材の中心を挟んで中心角で略90度以上離れた位置に少なくとも1か所ずつ、計2か所以上において重合し、以下、項番13、14・・・44、及び図31の項番45、46・・・87と部材の長孔の個数が増えるにつれて、同等以上の重合箇所に関する性能が確保されていることに基づくものである。
【0031】
第2の発明は、
第1部材と第2部材とを連結するための連結構造であって、
前記第1部材には、6個以上の複数の直線状の長孔が、間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度で交差するように設けられており、
前記第1部材において前記直線状の長孔が基準線と交差する角度αを略20~70度の範囲で調整し、
前記第2部材には、前記第1部材の直線状の長孔と適宜交差する方向に、2個以上の複数の直線状の長孔が設けられ、
前記第1部材において、前記6個以上の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第1部材と、前記第2部材とを重ね合わせた際に、
当該部材の半径に対し略20%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合でも、
前記第1部材と第2部材の長孔どうしが、当該部材の中心を挟んだ略両側に少なくとも1か所ずつ、計2か所以上において重合し、
前記第1部材に設けられた複数の長孔と、前記第2部材に設けられた複数の長孔とが重なり合う箇所に連結部品が通され、部材どうしを連結すること、
を特徴とする。
当該発明は、図30(項番13~28)に示すように、長孔が基準線と交差する角度を略20~70度の範囲で調整することにより、部材の半径に対し略20%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合において、一方の部材の長孔の個数が6個で、他方の部材において少なくとも2個の長孔が設けられていれば、両部材の長孔どうしが、部材の中心を挟んで中心角で略120度以上離れた位置で少なくとも2か所以上において重合し、以下、図30の項番29、30・・・44、及び図31の項番45、46・・・87と部材の長孔の個数が増えるにつれて、同等以上の重合箇所に関する性能が確保されていることに基づくものである。
【0032】
第3の発明は、
第1部材と第2部材とを連結するための連結構造であって、
前記第1部材には、7個以上の複数の直線状の長孔が、間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度で交差するように設けられており、
前記第1部材において前記直線状の長孔が基準線と交差する角度αを略20~70度の範囲で調整し、
前記第2部材には、前記第1部材の直線状の長孔と適宜交差する方向に、2個以上の複数の直線状の長孔が設けられ、
前記第1部材において、前記7個以上の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第1部材と、前記第2部材とを重ね合わせた際に、
当該部材の半径に対し略30%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合でも、
前記第1部材と第2部材の長孔どうしが、当該部材の中心を挟んだ略両側に少なくとも1か所ずつ、計2か所以上において重合し、
前記第1部材に設けられた複数の長孔と、前記第2部材に設けられた複数の長孔とが重なり合う箇所で連結部品が通され、部材どうしを連結すること、
を特徴とする。
当該発明は、図30(項番29~44)に示すように、長孔が基準線と交差する角度を略20~70度の範囲で調整することにより、部材の半径に対し略30%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合において、一方の部材の長孔の個数が7個で、他方の部材において少なくとも2個の長孔が設けられていれば、両部材の長孔どうしが、部材の中心を挟んで中心角で略120度以上離れた位置で少なくとも2か所以上において重合し、以下、図31の項番45、46・・・87と部材の長孔の個数が増えるにつれて、同等以上の重合箇所に関する性能が確保されていることに基づくものである。
【0033】
第4の発明は、
第1部材と第2部材とを連結するための連結構造であって、
前記第1部材には、5個以上の複数の直線状の長孔が、間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度αで交差するように設けられており、前記直線状の長孔が基準線と交差する角度αを略30~70度の範囲で調整し、前記5個以上の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第2部材には、5個以上の複数の直線状の長孔が、間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度γで交差するように設けられており、前記直線状の長孔が基準線と交差する角度γを略30~60度の範囲で調整し、前記5個以上の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第1部材と、前記第2部材とを重ね合わせた際に、
当該部材の半径に対し略20%の水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合でも、
前記第1部材と第2部材の長孔どうしが、当該部材の中心を挟んで少なくとも1か所ずつ、計2か所以上において重合し、
前記第1部材に設けられた複数の長孔と、前記第2部材に設けられた複数の長孔とが重なり合う箇所で連結部品が通され、部材どうしを連結すること、
を特徴とする。
当該発明は、図29(項番1~6)に示すように、長孔が基準線と交差する角度を略30~70度の範囲で調整することにより、部材の半径に対し略20%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合において、一方の部材の長孔の個数が5個で、他方の部材の長孔の個数が少なくとも同数以上設けられている場合、両部材の長孔どうしが、部材の中心を挟んで中心角で略90度以上離れた位置で少なくとも2か所以上において重合し、以下、項番7、8・・・56と部材の長孔の個数が増えるにつれて、同等以上の重合箇所に関する性能が確保されていることに基づくものである。
【0034】
第5の発明は、
第1部材と第2部材とを連結するための連結構造であって、
前記第1部材には、6個以上の複数の直線状の長孔が、間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度αで交差するように設けられており、前記直線状の長孔が基準線と交差する角度αを略20~70度の範囲で調整し、前記6個以上の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第2部材には、6個以上の複数の直線状の長孔が、間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度γで交差するように設けられており、前記直線状の長孔が基準線と交差する角度γを略20~70度の範囲で調整し、
前記6個以上の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第1部材と、前記第2部材とを重ね合わせた際に、
当該部材の半径に対し略20%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合でも、
前記第1部材と第2部材の長孔どうしが、当該部材の中心を挟んで少なくとも1か所ずつ、計2か所以上において重合し、
前記第1部材に設けられた複数の長孔と、前記第2部材に設けられた複数の長孔とが重なり合う箇所で連結部品が通され、部材どうしを連結すること、
を特徴とする。
当該発明は、図29(項番7~14)に示すように、長孔が基準線と交差する角度を略20~70度の範囲で調整することにより、部材の半径に対し略20%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合において、一方の部材の長孔の個数が6個で、他方の部材の長孔の個数が少なくとも同数以上設けられている場合、両部材の長孔どうしが、部材の中心を挟んで中心角で略90度以上離れた位置で少なくとも2か所以上において重合し、以下、項番15、16・・・56と部材の長孔の個数が増えるにつれて、同等以上の重合箇所に関する性能が確保されていることに基づくものである。
【0035】
第6の発明は、
第1部材と第2部材とを連結するための連結構造であって、
前記第1部材には、7個以上の複数の直線状の長孔が、間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度αで交差するように設けられており、前記直線状の長孔が基準線と交差する角度αを略20~70度の範囲で調整し、前記7個以上の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第2部材には、7個以上の複数の直線状の長孔が、間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度γで交差するように設けられており、前記直線状の長孔が基準線と交差する角度γを略20~70度の範囲で調整し、
前記7個以上の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第1部材と、前記第2部材とを重ね合わせた際に、
当該部材の半径に対し略30%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合でも、
前記第1部材と第2部材の長孔どうしが、当該部材の中心を挟んだ略両側に少なくとも1か所ずつ、計2か所以上において重合し、
前記第1部材に設けられた複数の長孔と、前記第2部材に設けられた複数の長孔とが重なり合う箇所で連結部品が通され、部材どうしを連結すること、
を特徴とする。
当該発明は、図29(項番15~22)に示すように、長孔が基準線と交差する角度を略20~70度の範囲で調整することにより、部材の半径に対し略30%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合において、一方の部材の長孔の個数が7個で、他方の部材の長孔の個数が少なくとも同数以上設けられている場合、両部材の長孔どうしが、部材の中心を挟んで中心角で略120度以上離れた位置で少なくとも2か所以上において重合し、以下、項番23、24・・・56と部材の長孔の個数が増えるにつれて、同等以上の重合箇所に関する性能が確保されていることに基づくものである。
【0036】
第7の発明は、
第1部材と第2部材とを連結するための連結構造であって、
前記第1部材に、5個以上の複数の直線状の長孔が、中心角で角度βごとに間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度αで交差するように設けられており、
前記第2部材には、5個以上の複数の直線状の長孔が、中心角で角度δごとに間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度γで交差するように設けられており、
前記直線状の長孔が基準線と交差する角度α、γについて、
前記第1部材において前記直線状の長孔が基準線と交差する角度αを略30~70度の範囲、及び、
前記第2部材において前記直線状の長孔が基準線と交差する角度γを略30~70度の範囲で調整し、
前記第1部材ないし第2部材それぞれにおいて、前記5個以上の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第1部材と、前記第2部材とを重ね合わせた際に、
当該部材の半径に対し略20%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合でも、
前記第1部材と第2部材の長孔どうしが、当該部材の中心を挟んで少なくとも1か所ずつ、計2か所以上において重合し、
前記第1部材に設けられた複数の直線状の長孔と、前記第2部材に設けられた複数の直線状の長孔とが重なり合う箇所で連結部品が通され、部材どうしを連結すること、
を特徴とする。
当該発明は、図29(項番1~6)に示すように、長孔が基準線と交差する角度αを略30~70度の範囲に調整することにより、部材の半径に対し略20%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合において、一方の部材の長孔の個数が5個で、他方の部材の長孔の個数が少なくとも同数以上設けられている場合、両部材の長孔どうしが、部材の中心を挟んで中心角で略90度以上離れた位置で少なくとも2か所以上において重合し、以下、項番7、8・・・56と部材の長孔の個数が増えるにつれて、同等以上の重合箇所に関する性能が確保されていることに基づくものである。
【0037】
第8の発明は、
第1部材と第2部材とを連結するための連結構造であって、
前記第1部材に、6個以上の複数の直線状の長孔が、中心角で角度βごとに間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度αで交差するように設けられており、
前記第2部材には、6個以上の複数の直線状の長孔が、中心角で角度δごとに間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度γで交差するように設けられており、
前記直線状の長孔が基準線と交差する角度α、γについて、
前記第1部材において前記直線状の長孔が基準線と交差する角度αを略20~70度の範囲、及び、
前記第2部材において前記直線状の長孔が基準線と交差する角度γを略20~70度の範囲で調整し、
前記第1部材ないし第2部材それぞれにおいて、前記6個以上の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第1部材と、前記第2部材とを重ね合わせた際に、
当該部材の半径に対し略20%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合でも、
前記第1部材と第2部材の長孔どうしが、当該部材の中心を挟んで少なくとも1か所ずつ、計2か所以上において重合し、
前記第1部材に設けられた複数の直線状の長孔と、前記第2部材に設けられた複数の直線状の長孔とが重なり合う箇所で連結部品が通され、部材どうしを連結すること、
を特徴とする。
当該発明は、図29(項番7~14)に示すように、長孔が基準線と交差する角度αを略20~70度の範囲に調整することにより、部材の半径に対し略20%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合において、一方の部材の長孔の個数が6個で、他方の部材の長孔の個数が少なくとも同数以上設けられている場合、両部材の長孔どうしが、部材の中心を挟んで中心角で略90度以上離れた位置で少なくとも2か所以上において重合し、以下、項番15、16・・・56と部材の長孔の個数が増えるにつれて、同等以上の重合箇所に関する性能が確保されていることに基づくものである。
【0038】
第9の発明は、
第1部材と第2部材とを連結するための連結構造であって、
前記第1部材に、7個以上の複数の直線状の長孔が、中心角で角度βごとに間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度αで交差するように設けられており、
前記第2部材には、7個以上の複数の直線状の長孔が、中心角で角度δごとに間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度γで交差するように設けられており、
前記直線状の長孔が基準線と交差する角度α、γについて、
前記第1部材において前記直線状の長孔が基準線と交差する角度αを略20~70度の範囲、及び、
前記第2部材において前記直線状の長孔が基準線と交差する角度γを略20~70度の範囲で調整し、
前記第1部材ないし第2部材それぞれにおいて、前記7個以上の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第1部材と、前記第2部材とを重ね合わせた際に、
当該部材の半径に対し略30%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合でも、
前記第1部材と第2部材の長孔どうしが、当該部材の中心を挟んだ略両側に少なくとも1か所ずつ、計2か所以上において重合し、
前記第1部材に設けられた複数の直線状の長孔と、前記第2部材に設けられた複数の直線状の長孔とが重なり合う箇所で連結部品が通され、部材どうしを連結すること、
を特徴とする。
当該発明は、図29(項番15~22)に示すように、長孔が基準線と交差する角度を略20~70度の範囲で調整することにより、部材の半径に対し略30%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合において、一方の部材の長孔の個数が7個で、他方の部材の長孔の個数が少なくとも同数以上設けられている場合、両部材の長孔どうしが、部材の中心を挟んで中心角で略120度以上離れた位置で少なくとも2か所以上において重合し、以下、項番23、24・・・56と部材の長孔の個数が増えるにつれて、同等以上の重合箇所に関する性能が確保されていることに基づくものである。
【0039】
第10の発明は、
第1部材と第2部材とを連結するための連結構造であって、
前記第1部材に、6~10個の複数の直線状の長孔が、中心角で角度βごとに間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度αで交差するように設けられており、
前記第2部材には、6~10個の複数の直線状の長孔が、中心角で角度δごとに間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度γで交差するように設けられており、
前記直線状の長孔が基準線と交差する角度α、γについて、
前記第1部材において前記直線状の長孔が基準線と交差する角度αを略30~60度の範囲、及び、
前記第2部材において前記直線状の長孔が基準線と交差する角度γを略30~60度の範囲で調整し、
前記第1部材ないし第2部材それぞれにおいて、前記6~10個の複数の直線状の長孔を設けても長孔どうしが相互に干渉しないようにすると共に、
前記第1部材と、前記第2部材とを重ね合わせた際に、
当該部材の半径に対し略40%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合でも、
前記第1部材と第2部材の長孔どうしが、当部材の中心を挟んだ略両側に少なくとも1か所ずつ、計2か所以上において重合し、
かつ、
前記第1部材に設けられた複数の直線状の長孔と、前記第2部材に設けられた複数の直線状の長孔とが重なり合う箇所で連結部品が通され、部材どうしを連結すること、
を特徴とする。
当該発明は、図29(項番9~12)に示すように、長孔が基準線と交差する角度を略30~60度の範囲で調整することにより、部材の半径に対し略40%までの水平ズレ、及び、任意の角度の回転ズレが発生した場合において、一方の部材の長孔の個数が6個で、他方の部材の長孔の個数が少なくとも同数以上設けられている場合、両部材の長孔どうしが、部材の中心を挟んで中心角で略120度以上離れた位置で少なくとも2か所以上において重合し、以下、項番17、19・・・56と部材の長孔の個数が増えるにつれて、同等以上の重合箇所に関する性能が確保されていることに基づくものである。
【0040】
第11の発明は、第1~10の発明のいずれか1つに記載の連結構造において使用される部材であって、前記第2部材と重ね合わせて使用するための前記第1部材、又は及び前記第1部材と重ね合わせて使用するための前記第2部材である。
【0041】
第12の発明は、第1~10の発明のいずれか1つに記載の連結構造において使用される部材であって、前記第1部材又は第2部材に対して、地中に埋設するための杭が接合された、杭付きの部材である。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、長孔110は、中心から径方向外側に伸びる複数の基準線130に対し、それぞれ所定の角度で交差するように設けられており、杭120を溶接する領域を確保しても、長孔の有効長Leを十分に確保できるので、杭側の部材と支柱側の部材の回転ズレや水平二次元方向に相対的なずれが発生した場合でも、両者の長孔の重合箇所を十分に確保することが可能な、部材どうしの連結構造を提供することができる。
【0043】
また、本発明の構成によれば、下側の部材の長孔と、上側の部材の長孔の配置を工夫することで、回転ズレと水平二次元方向に相対的なずれが重複して発生した場合でも、両者の長孔の重合箇所を十分に確保することが可能な、部材どうしの連結構造を提供することができる。
【0044】
また、本発明の構成によれば、長孔が重合する箇所(連結部品を挿入する箇所)を、中心に対し、左右非対称な位置にも見出すことが可能とすることで、ボルト等の連結部品が緩んだ場合でも、第2部材200が上下左右にずれないような部材どうしの連結構造を提供することができる。
【0045】
また、本発明では、一方の部材の長孔ともう一方の部材の長孔を、互いに左右に反転した形状とすることで、一方の部材の長孔と、もう一方の部材の長孔を設けるための製造工程において、共通の金型を利用することができる。
さらに、本発明の技術を活用すれば、地中に埋設する杭と、建物の支柱とを連結する場合だけでなく、支柱と支柱を連結する場合など、多様な活用が考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
図1】本発明の全体の構成の一例を示す図であって、第1部材と第2部材の連結構造を示す分解斜視図である。
図2】従来技術の課題の一例を示す図であって、径方向中心から伸びるラインに沿って長孔を設けるという性質上、長孔の有効長が制限されることを示す平面図である。
図3】本発明の構成の一例を示す図であって、長孔が、中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度で交差するように設けられることにより、長孔の有効長を十分に確保することができることを示す平面図である。
図4】従来技術の構成の一例を示す図であって、下側(杭側)の基板と上側(支柱側)の取付板とを組み合わせた際に、水平二次元方向のずれが一定程度発生した場合の課題を示す平面図である。
図5】従来技術の構成の一例を示す図であって、ボルト等の連結部品が緩んだ際の支柱側の取付板の可動方向が、左右の重合箇所で同じ方向になることにより、取付板が上下左右にずれてしまうという課題を示す平面図である。
図6】本発明の構成の一例を示す図であって、長孔が重合する箇所(ボルト等の連結部品を挿入する箇所)を、中心に対し、左右非対称な位置にも見出すことが可能となるようにして、ボルト等の連結部品が緩んだ場合でも、第2部材が上下左右にずれないようにすることができることを示す平面図である。
図7】本発明の第1部材の構成の一例を示す図であって、複数の長孔が、中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度で交差するように設けられることを示す平面図である。
図8】本発明の第2部材の構成の一例を示す図であって、複数の長孔が、中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度で交差するように設けられることを示す平面図である。
図9】本発明の第1部材および第2部材の構成の一例を示す図であって、例えば、基準線と長孔とがなす角度(αおよびγ)が概ね45度で、基準線どうしがなす角度(βおよびδ)が概ね45度であることにより、8個の長孔で構成された場合において、第1部材には杭が接続され、第2部材には支柱が接続された場合の構成を示す平面図である。図9(A)によれば、杭が二重破線で示されており、杭の半径は、部材の半径に対し略40%であることが示されている。そして、杭と長孔との干渉を防ぐために、杭が接続される位置よりも外側に長孔が配置され、部材の半径に対し略40%より外側に長孔が配置されている。また、図9(B)によれば、略長方形の支柱が2重線で示されており、支柱の長手方向の幅は、部材の半径に対し略40%であることが示されている。そして、支柱と長孔との干渉を避けるため、支柱が接続される位置よりも外側に長孔が配置され、部材の半径に対し略40%より外側に長孔が配置されている。ただし、部材の半径に対しどの程度外側に長孔を配置するかは、自由に選択でき、この数値に限定されない。すなわち、部材の半径に対し、どこまで中心に近い位置に長孔を配置するかは、杭や支柱の強度や剛性との関係を考慮して自由に設定することができる。例えば、杭や支柱の強度や剛性を確保するためには、径を太くする必要があり、ある程度中心から離れた位置に長孔を配置することになる。なお、部材の半径に対しどこまで内側に長孔を配置するかによって、確保できる長孔の有効長が変わり、例えば、部材の半径に対し略30%より外側に長孔を配置するようにすれば、より重合箇所に関する性能が向上する。以下、部材の半径に対し略40%より外側に長孔が配置されている場合について図示して説明するが、中心からこれだけ外側に長孔を配置しても、重合箇所に関する十分な性能を確保することができることがわかる。
図10】本発明の第1部材と第2部材との間に水平二次元方向のずれや回転ズレがない状態における、本発明の第1部材および第2部材を組み合わせた場合の様子を示す図であって、第1部材に設けられた複数の長孔と、第2部材に設けられた複数の長孔とが重なり合う箇所(重合箇所)の様子を示す平面図である。ここで、図10(A)は、上側(支柱側)の第2部材の長孔を実線で示し、杭側の第1部材の長孔を破線で示した図である。また、図10(B)は、重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所を灰色の領域で示した図である。
図11】本発明の第1部材と第2部材との間に部材の半径の略15%の水平二次元方向にずれが発生した場合における、本発明の第1部材および第2部材を組み合わせた場合の様子を示す図であって、第1部材に設けられた複数の長孔と、第2部材に設けられた複数の長孔との重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所を灰色の領域で示した平面図である。ここで、図11に向かって上下方向をY軸、左右方向をX軸とした場合において、図11(A)は、第1部材と第2部材が水平二次元方向(Y軸方向)にずれた場合の様子を示す図であり、図11(B)は、水平二次元方向(X軸方向)にずれた場合の様子を示す図である。
図12】本発明の第1部材と第2部材との間に水平二次元方向にずれがなく、例えば、杭側の第1部材に略20度の回転ズレが発生した場合における、本発明の第1部材および第2部材を組み合わせた場合の様子を示す図であって、第1部材に設けられた複数の長孔と、第2部材に設けられた複数の長孔との重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所を灰色の領域で示した平面図である。
図13】本発明の第1部材と第2部材との間に部材の半径の略15%の水平二次元方向にずれが発生し、かつ、回転ズレが発生した場合における、本発明の第1部材および第2部材を組み合わせた場合の様子を示す図であって、第1部材に設けられた複数の長孔と、第2部材に設けられた複数の長孔との重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所を灰色の領域で示した平面図である。ここで、図13(A)は、回転ズレに加え、第1部材と第2部材が水平二次元方向(Y軸方向)にずれた場合の様子を示す図であり、図13(B)は回転ズレに加え、水平二次元方向(X軸方向)にずれた場合の様子を示す図である。
図14】本発明の第1部材と第2部材との間に水平二次元方向(Y軸方向)に、部材の半径の略40%の大きなずれが発生した場合における、本発明の第1部材および第2部材を組み合わせた場合の様子を示す図であって、第1部材に設けられた複数の長孔と、第2部材に設けられた複数の長孔との重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所を灰色の領域で示した平面図である。
図15】本発明の第1部材と第2部材との間に水平二次元方向(X軸方向)に、部材の半径の略40%の大きなずれが発生した場合における、本発明の第1部材および第2部材を組み合わせた場合の様子を示す図であって、第1部材に設けられた複数の長孔と、第2部材に設けられた複数の長孔との重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所を灰色の領域で示した平面図である。
図16】本発明の第1部材と第2部材との間に水平二次元方向(Y軸方向)に部材の半径の略40%のずれが発生し、かつ、杭側の第1部材に略20度の回転ズレが発生した場合における、本発明の第1部材および第2部材を組み合わせた場合の様子を示す図であって、第1部材に設けられた複数の長孔と、第2部材に設けられた複数の長孔との重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所を灰色の領域で示した平面図である。
図17】本発明の第1部材と第2部材との間に水平二次元方向(X軸方向)に部材の半径の略40%のずれが発生し、かつ、杭側の第1部材に略20度の回転ズレが発生した場合における、本発明の第1部材および第2部材を組み合わせた場合の様子を示す図であって、第1部材に設けられた複数の長孔と、第2部材に設けられた複数の長孔との重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所を灰色の領域で示した平面図である。
図18】本発明の図9の変形例の一例を示す図であって、例えば、基準線と長孔とがなす角度(α1~αnおよびγ1~γm)が概ね30度である場合の平面図である。図18(A)によれば、杭が二重破線で示されており、杭の半径は、部材の半径に対し略40%であることが示されている。そして、杭と長孔との干渉を防ぐために、杭が接続される位置よりも外側に長孔が配置され、部材の半径に対し略40%より外側に長孔が配置されていることがわかる。また、図18(B)によれば、略長方形の支柱が2重線で示されており、支柱の長手方向の幅は、部材の半径に対し略40%であることが示されている。そして、支柱と長孔との干渉を避けるため、支柱が接続される位置よりも外側に長孔が配置され、部材の半径に対し略40%より外側に長孔が配置されていることがわかる。
図19】本発明の第1部材と第2部材との間に水平二次元方向のずれや回転ズレがない状態における、図18に示した第1部材と第2部材とを組み合わせた場合の様子を示す図であって、第1部材に設けられた複数の長孔と、第2部材に設けられた複数の長孔との重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所を灰色の領域で示した平面図である。
図20】本発明の第1部材と第2部材の長孔の配置について、様々な構成をとることが可能であることを示す図であって、例えば、基準線と長孔とがなす角度(α1~αnおよびγ1~γm)が概ね52.5度で、基準線どうしがなす角度(β1~βnおよびδ1~δm)が概ね51.4度であることにより、7個の長孔で構成された場合の構成を示す平面図である。
図21】本発明の第1部材と第2部材との間に水平二次元方向のずれや回転ズレがない状態における、図20に示した第1部材と第2部材とを組み合わせた場合の様子を示す図であって、第1部材に設けられた複数の長孔と、第2部材に設けられた複数の長孔との重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所を灰色の領域で示した平面図である。
図22】本発明の第1部材と第2部材の長孔の配置について、様々な構成をとることが可能であることを示す図であって、例えば、基準線と長孔とがなす角度(α1~αnおよびγ1~γm)が概ね60度で、基準線どうしがなす角度(β1~βnおよびδ1~δm)が概ね60度であることにより、6個の長孔で構成された場合の構成を示す平面図である。
図23】本発明の第1部材と第2部材との間に水平二次元方向のずれや回転ズレがない状態における、図22に示した第1部材と第2部材とを組み合わせた場合の様子を示す図であって、第1部材に設けられた複数の長孔と、第2部材に設けられた複数の長孔との重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所を灰色の領域で示した平面図である。
図24】本発明の第1部材や第2部材の外形について、様々な構成をとることが可能であることを示す図であって、例えば、外形が概ね8角形で構成された場合の構成を示す平面図である。
図25】本発明の第1部材と第2部材との間に水平二次元方向のずれや回転ズレがない状態における、図9(A)に示した第1部材と、図11(B)に示した第2部材とを組み合わせた場合の様子を示す平面図である。このうち図25(A)は杭側の第1部材の長孔を薄い灰色の線で示し、支柱側の第2部材の長孔を実線で示した図である。図25(B)は、第1部材に設けられた複数の長孔と、第2部材に設けられた複数の長孔との重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所を灰色の領域で示した平面図である。
図26】本発明の第1部材と第2部材との間に水平二次元方向のずれや回転ズレがない状態における、図9(A)に示した第1部材と、(図4に示した従来技術の支柱側の取付板20のように)長孔が対向状に2個設けられたタイプの第2部材と、を組み合わせた場合の様子を示す平面図である。杭側の第1部材の長孔を薄い灰色の線で示し、支柱側の第2部材の長孔を実線で示した図である。
図27】本発明の第1部材と第2部材による連結構造の施工状態を示す斜視図である。
図28図28(A)は、先行技術文献の特許文献3において、図2のタイプ(長孔が3個の部材と長孔が3個の部材の組み合わせ)に、部材の半径の20%程度の水平ズレに加え、回転ズレが発生した場合の長孔どうしの重合箇所の様子を示す図である。図28(B)(C)は、先行技術文献の特許文献3において、図14のタイプ(長孔が3個の部材と長孔が6個の部材の組み合わせ)に、部材の半径の30%程度の水平ズレに加え、回転ズレが発生した場合の長孔どうしの重合箇所の様子を示す図である。図28(D)は、先行技術文献の特許文献3において、図14のタイプの変形例として、長孔が8個の部材と長孔が8個の部材の組み合わせに、部材の半径の40%程度の水平ズレに加え、回転ズレが発生した場合の長孔どうしの重合箇所の様子を示す図である。
図29】第1部材と第2部材の両方とも長孔と基準線とが所定の角度で交差するタイプであって、両部材の長孔の個数が同じ場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の状態をまとめた一覧表である。
図30】一方の部材が長孔と基準線とが所定の角度で交差するタイプであり(長孔の数が5~7個の場合)、他方の部材が、部材どうしを組み合わせたときにもう一方の部材の長孔と所定の角度で適宜交差するように自由に長孔の配置や個数を調整したタイプであるときに、両部材を組み合わせた際に、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の状態をまとめた一覧表である。
図31】一方の部材が長孔と基準線とが所定の角度で交差するタイプであり(長孔の数が8個以上の場合)、他方の部材が、部材どうしを組み合わせたときにもう一方の部材の長孔と所定の角度で適宜交差するように自由に長孔の配置や個数を調整したタイプであるときに、両部材を組み合わせた際に、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の状態をまとめた一覧表である。
図32】第1部材と第2部材の両方とも長孔と基準線とが所定の角度で交差するタイプであって、主に、一方と他方の部材の長孔の個数が異なる場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の状態をまとめた一覧表である。
図33】一方と他方の部材の長孔の個数が5個(基準線との交差角α、γが30度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。ここで、二重破線で示した円は支柱又は杭を接続する位置を示したものである(以下、同様)。図では、部材の半径に対して略40%の半径の支柱や杭を接続し、それより外側に長孔を配置した場合の例を示したが、部材の半径に対してどの程度外側に長孔を配置するかについては、これに限定はされず、支柱や杭の強度や剛性に合わせて適宜調整可能である。ボルト等を通すことができる重合箇所のうち、長孔どうしが所定の角度(略15~20度以上)で交差する箇所については、灰色の領域で示してある(以下、同様)。なお、水平ズレについては、図の数が増えすぎないような配慮から、図面に向かって左右方向の水平ズレの図だけを掲載したが、一方の部材の長孔の配置の対称性から、図面に向かって上下方向の水平ズレの場合でも同様である(以下、同様)。
図34】一方と他方の部材の長孔の個数が5個(基準線との交差角α、γが60度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図35】一方と他方の部材の長孔の個数が6個(基準線との交差角α、γが30度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図36】一方と他方の部材の長孔の個数が6個(基準線との交差角α、γが60度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図37】一方と他方の部材の長孔の個数が7個(基準線との交差角α、γが30度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図38】一方と他方の部材の長孔の個数が7個(基準線との交差角α、γが60度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図39】一方と他方の部材の長孔の個数が8個(基準線との交差角α、γが20度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図40】一方と他方の部材の長孔の個数が8個(基準線との交差角α、γが30度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図41】一方と他方の部材の長孔の個数が8個(基準線との交差角α、γが40度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図42】一方と他方の部材の長孔の個数が8個(基準線との交差角α、γが50度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図43】一方と他方の部材の長孔の個数が8個(基準線との交差角α、γが60度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図44】一方と他方の部材の長孔の個数が8個(基準線との交差角α、γが70度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図45】一方と他方の部材の長孔の個数が10個(基準線との交差角α、γが20度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図46】一方と他方の部材の長孔の個数が10個(基準線との交差角α、γが30度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図47】一方と他方の部材の長孔の個数が10個(基準線との交差角α、γが36度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図48】一方と他方の部材の長孔の個数が10個(基準線との交差角α、γが40度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図49】一方と他方の部材の長孔の個数が10個(基準線との交差角α、γが70度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図50】一方と他方の部材の長孔の個数が12個(基準線との交差角α、γが20度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図51】一方と他方の部材の長孔の個数が12個(基準線との交差角α、γが30度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図52】一方と他方の部材の長孔の個数が12個(基準線との交差角α、γが60度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図53】一方と部材の長孔の個数が5個(基準線との交差角30度)、他方の部材の長孔の個数が2個の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図54】一方と部材の長孔の個数が5個(基準線との交差角30度)、他方の部材の長孔の個数が3個の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図55】一方と部材の長孔の個数が5個(基準線との交差角60度)、他方の部材の長孔の個数が2個の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図56】一方と部材の長孔の個数が5個(基準線との交差角60度)、他方の部材の長孔の個数が3個の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図57】一方と部材の長孔の個数が6個(基準線との交差角30度)、他方の部材の長孔の個数が2個の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図58】一方と部材の長孔の個数が6個(基準線との交差角30度)、他方の部材の長孔の個数が3個の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図59】一方と部材の長孔の個数が6個(基準線との交差角60度)、他方の部材の長孔の個数が2個の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図60】一方と部材の長孔の個数が6個(基準線との交差角60度)、他方の部材の長孔の個数が3個の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図61】一方と部材の長孔の個数が7個(基準線との交差角30度)、他方の部材の長孔の個数が2個の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図62】一方と部材の長孔の個数が7個(基準線との交差角30度)、他方の部材の長孔の個数が3個の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図63】一方と部材の長孔の個数が7個(基準線との交差角60度)、他方の部材の長孔の個数が2個の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図64】一方と部材の長孔の個数が7個(基準線との交差角60度)、他方の部材の長孔の個数が3個の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図65】一方と部材の長孔の個数が8個(基準線との交差角30度)、他方の部材の長孔の個数が2個の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図66】一方と部材の長孔の個数が8個(基準線との交差角30度)、他方の部材の長孔の個数が3個の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図67】一方と部材の長孔の個数が8個(基準線との交差角60度)、他方の部材の長孔の個数が2個の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図68】一方と部材の長孔の個数が8個(基準線との交差角60度)、他方の部材の長孔の個数が3個の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図69】一方と部材の長孔の個数が10個(基準線との交差角30度)、他方の部材の長孔の個数が2個の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図70】一方と部材の長孔の個数が10個(基準線との交差角30度)、他方の部材の長孔の個数が3個の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図71】一方と部材の長孔の個数が10個(基準線との交差角60度)、他方の部材の長孔の個数が2個の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図72】一方と部材の長孔の個数が10個(基準線との交差角60度)、他方の部材の長孔の個数が3個の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図73】一方と部材の長孔の個数が12個(基準線との交差角30度)、他方の部材の長孔の個数が2個の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図74】一方と部材の長孔の個数が12個(基準線との交差角30度)、他方の部材の長孔の個数が3個の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図75】一方と部材の長孔の個数が12個(基準線との交差角60度)、他方の部材の長孔の個数が2個の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図76】一方と部材の長孔の個数が12個(基準線との交差角60度)、他方の部材の長孔の個数が3個の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図77】一方と部材の長孔の個数が8個(基準線との交差角45度)、他方の部材の長孔の個数が4個(交差角90度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図78】一方と部材の長孔の個数が8個(基準線との交差角45度)、他方の部材の長孔の個数が5個(交差角90度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図79】一方と部材の長孔の個数が8個(基準線との交差角30度)、他方の部材の長孔の個数が5個(交差角45度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図80】一方と部材の長孔の個数が8個(基準線との交差角30度)、他方の部材の長孔の個数が6個(交差角60度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図81】一方と部材の長孔の個数が8個(基準線との交差角30度)、他方の部材の長孔の個数が10個(交差角36度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
図82】一方と部材の長孔の個数が8個(基準線との交差角30度)、他方の部材の長孔の個数が12個(交差角30度)の場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の様子を示した図である。
【0047】
<用語の説明>
◇柱又は支柱とは、温室などの建造物やソーラーパネルなどの構造物を支えるための、一定の長さを有するパイプ状の部品であって、断面が略円形、略長方形などの形状を有している。軽量化と強度を保つため内部が中空で、金属製のものが用いられるが、これに限定されない。
◇杭とは、地面に埋設して建造物や構造物を支える部品であって、大きく分けて、打ち込み杭と、螺旋状リブを備えて回転させることで地面にねじ込んでいく螺旋杭(スパイラル杭)とがある。打ち込み杭は、重機などで打撃により地面に打ち込んでいく必要があるのに対し、螺旋杭の方は、重機はもちろん、直径や長さによっては人力で工具を用いて地面にねじ込んでいく方法を取ることもできる。
杭の直径は、支える建造物や構造物の大きさや質量に応じて自由に選択されるが、温室やソーラーパネルの基礎として用いる場合は6~12cmが採用されることが多い。また、杭の長さも、支える建造物や構造物の大きさや質量に応じて自由に選択され、1m~4m程度が採用されることが多い。
螺旋杭は、コンクリート工事を必要とせず、押込み(沈み込み)や引き抜きに強いという性質がある。
【0048】
◇部材とは、杭や支柱などの端に溶接又は接着等して接続するための、所定の厚みを持った板金状の、金属製又は強固な樹脂製の部品であって、部材どうしをボルト等の連結部品で連結することで、杭と支柱、又は支柱と支柱を連結する部品である。
外形が円盤状の部材はフランジと呼ばれることもあるが、本発明の第1部材、第2部材の外形は円形のほか、多角形など様々な形状であっても構わない。
◇部材の中心とは、部材の外周の外形が円形である場合の中心のほか、外形が多角形である場合の重心点であってもよい。
◇部材の半径とは、部材の外周の外形が円形である場合の中心から外周までの距離のほか、外形が多角形である場合の重心点から外周までの距離であってもよい。
【0049】
◇部材どうしの連結部品とは、ボルトとナットのほか、ねじその他、部材どうしを連結できる部品であれば何でも構わない。
◇長孔とは、一定の長さを有する穴であって、主に、半円と半円を長方形でつなげたような形状をした孔(以下「丸長孔」という)をいうが、一定の幅と一定の長さ(有効長)を有する形状であれば足り、長孔の端部は半円のほか多角形状の形状であっても良い。また、長孔全体として、概ね四角形や平行四辺形を含む略長方形のほか、楕円形などの形状であっても構わないし、長手方向に直線的に伸びる形状のほか、多少湾曲したバナナ状の形状であっても構わない。
長孔は、金型などを作成して、プレス機械などで打ち抜き加工で設けるほか、NCマシンによる切削加工で設けるようにしても良い。
部材に複数の長孔を設けて、部材を組み合わせた際に、長孔どうしの重合箇所にボルト等の連結部品を通して連結することができる。
◇重合箇所とは、部材を組み合わせた際に、2つの部材の長孔どうしが重なり合う箇所をいう。ボルト等の連結部品の径を超える幅で重合している個所と、ボルト等の連結部品の径を下回る幅で重合している個所が生じるが、2つの部材を連結するためには、ボルトの径を超える範囲で重合している必要があり、本発明の図面では、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所を灰色で示している。
【0050】
◇水平二次元方向のずれ(以下、「水平方向のズレ」と略すことがある)とは、部材どうしが、同じ水平面上で、X軸方向、Y軸方向の二次元方向にずれることをいう。X軸方向とは、部材を上から見た場合の左右方向を意味し、Y軸方向とは部材を上から見た場合の上下方向を意味する。なお、同じ水平面でのずれを考慮したのは、部材に溶接等された杭を地面に埋設する際に、鉛直方向に正確に埋設すること、および、部材どうしが接する高さを合わせることは十分可能であることによるものである。
◇回転ズレとは、部材が軸回りに回転することで、部材どうしが相対する角度が所定の角度からずれることをいう。主に、螺旋杭を用いた場合において、杭側の部材の高さを螺旋杭の回転によって調整する際に、回転ズレが生じる。
【0051】
◇最も厳しい角度の回転ズレとは、長孔の個数に応じて変動し、例えば、長孔の個数が5個の場合は、中心角で概ね72度の略等間隔に長孔が配置されるので、その半分の略36度が該当する。同様に、6個の場合は略30度、7個の場合は略25度、8~10個の場合は略20度、12個の場合は略15度の回転ズレが最も厳しい角度の回転ズレとなる。また、最も厳しい角度の回転ズレについて重合箇所に関する性能が確保されるということは、任意の角度の回転ズレについても重合箇所に関する性能が確保されているといえるので、任意の角度の回転ズレと言い換えるものとする。
◇長孔と基準線が交差する角度とは、長孔が中心から延びる基準線と交差する位置が、長孔の外縁の略中央において交差する位置でみた場合における、長孔と基準線とがなす角度をいう。
◇長孔どうしが交差する角度が所定の範囲にあるとは、第1部材の長孔と第2部材の長孔とが交差する角度が略平行ではない状態であって、最適値としては90度を中心とする所定の範囲、例えば、90度±45度の範囲で交差することをいうが、実用的には、略平行な状態(180度の交差角)から略15~20度程度ずれた状態、すなわち略90度±70度、又は略90度±75度の範囲で交差すれば足りる。これは、第1部材の長孔と第1部材の長孔とが90度に近い角度で交差すると重合箇所があいまいにならず、仮にボルトが緩んでも、第1部材と第2部材との位置関係が変わらない状態を保持しやすいことによるものである。
【0052】
◇第1部材と第2部材の長孔どうしが、部材の中心を挟んで少なくとも1か所ずつ、計2か所以上において重合するとは、望ましくは、一方の長孔どうしの重合箇所から、中心角で略120度以上離れた位置に他方の長孔どうしの重合箇所が存在することをいうが、実用的には、中心角で略90度以上離れた位置に他方の長孔どうしの重合箇所が存在すれば、支柱と杭との間で生じる各種の方向の力(支柱や杭が伸びる方向をZ軸方向とした場合に、Z軸周りの回転トルク、又はZ軸を傾ける方向の力など各種の力)を受け止めることができるので、中心角で90度以上離れた位置に2か所以上の長孔同士の重合箇所が存在することをいう。
◇第1部材と第2部材の長孔どうしが、部材の中心を挟んだ略両側に少なくとも1か所ずつ、計2か所以上において重合するとは、一方の長孔どうしの重合箇所から、中心角で略120度以上離れた位置に他方の長孔どうしの重合箇所が存在することをいう。
◇部材の長孔の配置が略風車状とは、長孔が基準線と所定の角度で交差する場合、長孔を複数配置した場合には、概ね風車のようにみえることをいう。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明の実施例について説明する。
なお、説明中の第1部材や第2部材の長孔の形状や配置、および外形の形状、あるいは杭や支柱の形状はあくまで例示であって、他の形状や配置にも適用できる。
また、第1部材、第2部材には、地中に埋設するための杭、又は農業用温室などの建造物やソーラーパネルを支える支柱を接続することができる。
以下の説明では、説明の便宜上、主に、第1部材には杭を接続し第2部材には支柱を接続した例によって説明するが、第1部材に支柱を接続し第2部材に杭を接続しても良く、あるいは、第1部材、第2部材共に支柱を接続して支柱どうしを連結する用途に用いても良い。
【0054】
1.本発明の第1部材と第2部材による連結構造の全体概要
まず、図1を用いて、本発明の第1部材と第2部材による連結構造の全体概要について説明する。
図1によれば、杭側1に、螺旋状リブ170を備えた杭120、及び杭の上端に接続された第1部材100と、第1部材に設けられた複数の長孔110が示されている。また、支柱側2に、支柱220および、支柱の下端に接続された第2部材200と、第2部材に設けられた複数の長孔210が示されている。
【0055】
第1部材の複数の長孔110と、第2部材の複数の長孔210は、所定の位置で重合して、複数の重合箇所300を見出すことができ、数カ所の重合箇所300にボルト等の連結部品400を通して、第1部材100と第2部材200とを、ナット等410で固定することができる。
杭120の例としては、螺旋状リブ170を備えた螺旋杭を例にしたが、螺旋状リブを備えない打ち込み杭を利用することもできる。
【0056】
2.本発明の構成について
2-1.本発明の第1部材の構成について
次に、本発明の第1部材100について、図7を用いて説明する。
図7は、本発明の第1部材100の構成の一例を示す図であって、複数の長孔が、中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度で交差するように設けられていることを示す平面図である。
【0057】
第1の長孔110-1は、第1の基準線130-1に対し、所定の角度α1で交差するように設けられている。
また、第2の長孔は、第1の基準線130-1から時計回りに角度β2だけ回転させた第2の基準線130-2に対し、所定の角度α2で交差するように設けられている。
【0058】
そして、同様に、順次、中心から径方向外側に伸びる基準線に対し、所定の角度で交差するように長孔が設けられており、第nの長孔110-nが、第(n-1)の基準線に対し角度βnだけ回転させた第nの基準線に対し(βnは図示せず)、所定の角度αnで交差するように設けられている(nは2以上の整数)。
従って、本発明の構成によれば、杭を溶接等して接続するための領域よりも外側に長孔を設ける制約があっても、長孔110の有効長Leを長くとることができるという効果を奏する(以下「第1の効果」という)。
その結果、図2で示した従来技術における長孔の有効長に制限があるという課題を、図3に示すような形で解決することができることになる。
【0059】
ここで、中心から径方向外側に伸びる基準線130と長孔110との位置関係は、長孔110の有効長Leを適宜調整したうえで、長孔110どうしが重複しない範囲で、適宜調整することができ、例えば、長孔の長手方向の中心線が、中心から径方向外側に伸びる基準線130と交差する位置が、中心150から距離Laの位置であって、長孔の有効長Leのうち長孔の端から距離Lcの位置で交差するように設けることができる。
【0060】
長孔110が基準線130と交差する角度α1~αn、中心から径方向外側に伸びる基準線130どうしがなす角度β1~βnは、長孔110の有効長Leを適宜調整したうえで、長孔110どうしが重複しない範囲で、かつ、第1部材に接続する杭(図示せず)と干渉しない範囲で、任意の数値を取ることができるし、各長孔の有効長Leや、長孔の長手方向の中心線と交差する中心からの距離Laもそれぞれの長孔ごとに異なる数値を採用しても良い。
【0061】
また、長孔110が基準線130と交差する角度α1~αnは、それぞれが異なっていても良いし、すべて同一であっても良い。また、中心から径方向外側に伸びる基準線130どうしがなす角度β1~βnは、それぞれが異なっていても良いし、すべて同一であっても良い。
【0062】
また、長孔110が基準線130と交差する角度α1~αnは、基準線130に対し、長孔110が、ある程度の角度で交差することで、十分な有効長を確保することができるという観点、及び第1部材と第2部材の長孔どうしが所定の角度で交差しやすくする観点から、概ね20~70度又は110~160度を採用することが望ましい。
【0063】
中心から径方向外側に伸びる基準線130どうしがなす角度β1~βnは、長孔110を何個設けるかと表裏一体となり、例えば、角度β1~βnがすべて等しい設定とし、36度に設定した場合には長孔110の数は10個(この場合n=10)、45度に設定した場合には長孔110の数が8個(この場合n=8)、60度に設定した場合には長孔110の数は6個(この場合n=6)になる。
【0064】
また、第1部材100の大きさ(直径=半径Lb×2)や、長孔110の有効長Leは、連結構造の用途によって任意の値を取り得るが、例えば、温室やソーラーパネルの基礎用の杭及び支柱として用いる場合は、第1部材100の直径(=半径Lb×2)が20~25cm程度、その際の長孔110の有効長Leは6~8cmに設定することができる。
また、長孔110の幅Ldも、ボルト等の連結部品400の直径に合わせて任意の値を取り得るが、12~20mmに設定することができる。
また、部材の厚みは、必要な強度に応じて適宜選択され、数mm~15mm程度に設定することができる。
なお、第1部材の外形は、簡便のため、円形で記載したが、これに限定されるものではなく、4~10角形などの多角形、及びその他の形状を適宜用いることができる。
【0065】
このように、長孔110が基準線130と交差する角度α1~αn、中心から径方向外側に伸びる基準線130どうしがなす角度β1~βnをはじめ、長孔110の有効長Le、部材の大きさ(Lb)、長孔と基準線の位置関係(La、Lc)などの各パラメータは様々な値を取り得るものであって、上記の説明および、後述の説明に限定されるものではない。
【0066】
2-2.本発明の第2部材の構成について
次に、本発明の第2部材200について、図8を用いて説明する。
図8は、本発明の第2部材200の構成の一例を示す図であって、複数の長孔が、中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度で交差するように設けられていることを示す平面図である。
第1部材単独の効果(第1の効果)によっても十分な効果があるので、第2部材の長孔210は、第1部材の長孔110と組み合わせた際に、適宜、所定の角度で交差する位置にくるように設ければそれで足りる(前記の第1~第5の発明を参照)。
【0067】
もっとも、好ましくは、第2部材200として、第1部材100と同様の構成を採用することができ、例えば、図8のような構成を採用することができる(前記の第6~第10の発明を参照)。
図7図8の違いは、図7における長孔110と基準線130とが交差する角度α1~αnに対し、図8における長孔210と基準線230とが交差する角度γ1~γmが、基準線に対して、左右に反転した関係になっていることである。
なお、左右に反転した関係とは、基準線となす角度の測り方が、基準線に対して相互に左右対称(基準線に対して相互に逆方向に向かう角度)という意味であって、αとγとが同じ角度で左右対称であることを含むが、必ずしも同じ角度で左右対称である必要はない(図25参照)。
【0068】
このような構成により、第1部材100と第2部材200とを組み合わせた際に、第1部材の長孔110と、第2部材の長孔210とが、確実に所定の角度で交差するようにすることができるという効果を奏する(以下「第2の効果」という)。この点は、後掲の図10(A)の説明箇所で詳述する。
【0069】
また、第1部材100と第2部材200の長孔の数は、互いに異なっていても構わないので(図25参照)、長孔の数も第1部材100ではn個、第2部材ではm個に設定されており、これに付随して、基準線の数も第1部材ではn本であるのに対し、第2部材ではm本に設定されている(mは2以上の整数)。
なお、mとnは同一であっても良いし、異なっていても良い(図25図26参照)。
【0070】
また、同様に、第1部材100における中心から径方向外側に伸びる基準線130どうしがなす角度β1~βnと、第2部材における中心から径方向外側に伸びる基準線230どうしがなす角度δ1~δmとは(δmは図示せず)、それぞれ異なっていても良く、同じ長孔の数を設ける場合には、同じ角度にしても良い。
また、長孔210が基準線230と交差する角度γ1~γmは、基準線230に対し、長孔210が、ある程度の角度で交差することで、十分な有効長を確保することができるという観点、及び第1部材と第2部材の長孔どうしが所定の角度で交差しやすくする観点から、概ね20~70度又は110~160度を採用することが望ましい。
【0071】
ここで、第1部材100と第2部材200とを組み合わせた場合に、両者の長孔どうしが重合する箇所において、長孔どうしが交差する角度(図10(A)のθ1、θ2参照)は、所定の範囲内の角度であるほうが(例えば、略90度±45度)、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所を見出しやすいという傾向がある。
このため、例えば、第1部材と第2部材の両方の部材において、その長孔が略風車状に配置された部材を用いる場合において、第1部材100の長孔110が基準線130となす角度α(α1~αn)と、第2部材200の長孔210が基準線230となす角度γ(γ1~γm)の関係は、基準線を同一にした場合に左右に反転する関係にあることを前提とした場合、例えば、角度αとして概ね20~70度に設定した場合は、両者の長孔どうしが一定の角度以上で交差する関係にあることが望ましいという観点から、角度γも概ね20~70度に設定することが望ましい。
【0072】
これは、例えば、角度αとして概ね20~70度に設定した場合に、角度γを110~160度にすると、第1部材の長孔110と、第2部材の長孔210とがほぼ同じ方向(長孔の長手方向の向きがほぼ同じ方向)を向いてしまい、長孔どうしの重合箇所として、長孔どうしが一定の角度で交差する関係になりにくいことによるものである。
同様に、角度αとして概ね110~160度に設定した場合は、角度γも概ね110~160度に設定することが望ましい。
【0073】
以上、両方の部材の長孔が略風車状に配置されている場合を例に説明したが、これに限定されず、いずれか一方の部材の長孔が略風車状に配置されていれば、他方の部材の長孔については、一方の長孔と適宜交差する方向に2個以上の複数の長孔が設けられていれば足りる。
より具体的には、基準線との交差角は20~70度又は110~160度のほか、例えば、図53(B)のように90度としてもよく、適宜70~110度(90度±20度)の範囲でも構わない(詳細は「6.」で後述する)。
【0074】
また、中心から径方向外側に伸びる基準線230と長孔210との位置関係は、長孔210の有効長Le′を適宜調整したうえで、長孔210どうしが重複しない範囲で、適宜調整することができ、例えば、長孔の長手方向の中心線が、中心から径方向外側に伸びる基準線230と交差する位置が、中心250から距離La′の位置であって、長孔の有効長Le′のうち長孔の端から距離Lc′の位置で交差するように設けることができる。
【0075】
また、長孔210が基準線230と交差する角度γ1~γm、中心から径方向外側に伸びる基準線230どうしがなす角度δ1~δmは、長孔210の有効長Le′を適宜調整したうえで、長孔210どうしが重複しない範囲で、かつ、第2部材に接続する支柱(図示せず)と干渉しない範囲で、任意の数値を取ることができるし、各長孔の有効長Le′や、長孔の長手方向の中心線と交差する中心からの距離La′もそれぞれの長孔ごとに異なる数値を採用しても良い。
【0076】
その他、図8に記載された各符号のパラメータは、図7と同様に、任意の値を取り得る。
なお、第2部材200の外形の形状も、第1部材100の外形の形状と同じでもよいし、異なっていても構わない。
また、第2部材200の大きさ(直径=半径Lb′×2)も、第1部材100の外形の大きさと同じでもよいし、異なっていても構わない。
また、部材どうしを組み合わせて温室等を建設する場合において、両者の部材どうしのずれ具合を目視で確認しながら作業するという観点からは、上側(支柱側)の第2部材200の大きさを、下側(杭側)の第1部材200よりも少し小さめに設定する方が望ましい。
【0077】
2-3.本発明の第1部材と第2部材の典型例について
次に、本発明の第1部材と第2部材の典型例について、図9を用いて説明する。
図9(A)は、例えば、第1部材100において、基準線130と長孔110とがなす角度(α1~αn)が同一の角度αとなっており、角度αが概ね45度であり、基準線130どうしがなす角度(β1~βn)が概ね45度であることにより、8個の長孔で構成され、外観上、風車状の形状となっている構成例を示した平面図である。
【0078】
図9(B)は、例えば、第2部材200において、基準線230と長孔210とがなす角度(γ1~γm)が同一の角度γとなっており、角度γが概ね45度であり、基準線230どうしがなす角度(δ1~δm)が概ね45度であることにより、8個の長孔で構成され、長孔の配置が全体として風車状の形状になっている構成例を示した平面図である。
【0079】
ここで、図9(A)の第1部材100には、地面に埋設して固定するための杭120が溶接等により接続された様子が示され、図9(B)の第2部材200には、温室等の建造物の支柱220が溶接等により接続された様子が示されている。
また、図9(A)の中心円160、図9(B)の中心円260は、それぞれ、杭120や支柱220を溶接等するための治具に取り付けるための位置決めの役割、又は及び、杭120や支柱220を溶接等して接続した後に、防錆剤や塗料の入った槽に浸して、杭や支柱の内部にまで防錆剤や塗装を行き渡らせた後に、防錆剤や塗料を抜くための役割を有している。
【0080】
なお、図9(A)の第1部材100と図9(B)の第2部材200は、長孔の配置が相互に反転する関係にあり、同じ金型で打ち抜き加工することができるという効果を奏する(以下「第3の効果という」)。
これは、各部材の外形の形状や大きさが異なっている場合でも同様である。
【0081】
3.本発明の第1部材と第2部材を組み合わせた時の作用効果について
以上のように、本発明の第1部材100と第2部材200の長孔の構成は多様な態様を取り得るが、説明の便宜のため、図10に示した、8個の長孔で構成される第1部材と第2部材の典型例を中心として、本発明の第1部材と第2部材を組み合わせた時の作用効果について、以下説明する。
【0082】
3-1.水平二次元方向のずれや回転ズレがない場合
まず、図10を用いて、本発明の第1部材と第2部材との間に水平二次元方向のずれや回転ズレがない状態における、本発明の第1部材および第2部材を組み合わせた場合の作用効果について説明する。
図10(A)は、上側(支柱側)の第2部材の長孔210を実線で示し、杭側の第1部材の長孔110を破線で示した平面図である。図10(B)は、長孔どうしの重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所300を灰色の領域で示した平面図である。
【0083】
ここで、前述の第2の効果について改めて確認してみると、次のように説明することができる。
まず、前提として、第1部材100における基準線と長孔とがなす角度αと、第2部材200における基準線と長孔がなす角度γとは、基準線に対して相互に反転する関係になっていることが確認できる(図7の角度α1と図8の角度γ1を参照)。
そして、このことにより、図10(A)に示すように、第1部材100と第2部材200とを組み合わせた際に、両者の長孔どうしが、所定の角度(θ1、θ2など)で交差するようにすることができることが分かる。
【0084】
そして、中心から径方向外側に伸びる基準線に対し、所定の角度で交差するように設けられていることにより、第1部材及び第2部材のそれぞれの長孔の有効長を十分に確保することができるという第1の効果、さらに、第1部材と第2部材の長孔の位置関係が所定の角度で交差しやすくすることができるという第2の効果、の相乗効果により、長孔どうしの重合箇所を一層見出しやすくするという効果を奏する(以下、「第1の効果と第2の効果による相乗効果」という)。
【0085】
従って、例えば、水平二次元方向のずれや回転ズレがない場合には、図10(B)によれば、ボルト等の連結部品を通すことができる長孔どうしの重合箇所300は、それぞれの第2部材の長孔210に対し、2か所程度見出すことができていることが分かる。
また、この場合、全部で長孔8個×2か所で16か所の重合箇所300があり、例えば、重合箇所300-1に対して、左右対称な位置である重合箇所300-2以外に、左右非対称な位置である重合箇所300-3、あるいは重合箇所300-4などの重合箇所も見出すことができるという効果を奏する(以下「第1の効果と第2の効果による相乗効果による波及効果」という)。
この結果、図5を用いて説明した従来技術の課題に対して、図6のような課題解決を行うことができることになる。
【0086】
また、第1の効果と第2の効果による相乗効果により、従来技術の課題であった、水平二次元方向のずれや回転ズレが一定以上発生した場合に、長孔どうしの重合箇所を十分に見出すことができないという課題(図4参照)を解決することができるので、以下説明する。
【0087】
3-2.水平二次元方向のずれがある場合
次に、図11を用いて、本発明の第1部材100と第2部材200との間に水平二次元方向のずれがある場合における、本発明の第1部材100および第2部材200を組み合わせた場合の作用効果について説明する。
図11(A)は、Y軸方向で水平二次元方向のずれがある場合において、第1部材の長孔110と、第2部材の長孔210との重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所300を灰色の領域で示した平面図である。
【0088】
同様に、図11(B)は、X軸方向で水平二次元方向のずれがある場合において、第1部材の長孔110と、第2部材の長孔210との重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所300を灰色の領域で示した平面図である。
図11によれば、水平二次元方向のずれがある場合でも、ボルト等の連結部品を通すことができる長孔どうしの重合箇所300は、それぞれの第2部材の長孔210に対し、1~2か所程度見出すことができていることが分かる。
【0089】
3-3.回転ズレがある場合
次に、図12を用いて、本発明の第1部材100と第2部材200との間に回転ズレがある場合における、本発明の第1部材100および第2部材200を組み合わせた場合の作用効果について説明する。
図12は、両者の間に回転ズレがある場合において、第1部材の長孔110と、第2部材の長孔210との重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所300を灰色の領域で示した平面図である。
【0090】
ここで、杭120として、地面に打ち込む方法で固定する場合には、回転ズレがないように打ち込めばよいので、ほとんど回転ズレが発生しないが、杭120として螺旋状リブ170を備えた螺旋杭を用いた場合に、杭を回転させながら地面に埋設して固定するので、ある程度の回転ズレが必然的に生じてしまうという課題がある。
図12によれば、このような回転ズレがある場合でも、ボルト等の連結部品を通すことができる長孔どうしの重合箇所300は、それぞれの第2部材の長孔210に対し、1か所程度見出すことができていることが分かる。
また、左右対称な位置である重合箇所以外に、左右非対称な位置である重合箇所も見出すことができていることが分かる。
【0091】
回転ズレの量は、8個の長孔が45度の間隔を置いて設けられた典型例の構成をベースにした場合、45度の半分弱の20度前後の回転ズレが、重合箇所ができにくい最も厳しい回転ズレになるので、略20度の回転ズレが生じた場合の図を作成したものである。
なお、回転ズレが45度になると、ちょうど元の長孔の配置と同じ関係になるので、最も厳しい略20度前後の角度の回転ズレ以外の図は作成する必要はないことになる。
【0092】
3-4.水平二次元方向のずれと回転ズレの両方がある場合
次に、図13を用いて、本発明の第1部材100と第2部材200との間に水平二次元方向のずれと回転ズレの両方がある場合における、本発明の第1部材100および第2部材200を組み合わせた場合の作用効果について説明する。
【0093】
図13(A)は、Y軸方向で水平二次元方向のずれと、略20度の回転ズレがある場合において、第1部材の長孔110と、第2部材の長孔210との重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所300を灰色の領域で示した平面図である。
図13(B)は、X軸方向で水平二次元方向のずれと、略20度の回転ズレがある場合において、第1部材の長孔110と、第2部材の長孔210との重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所300を灰色の領域で示した平面図である。
【0094】
図13(A)及び(B)によれば、水平二次元方向のずれと回転ズレの両方がある場合でも、ボルト等の連結部品を通すことができる長孔どうしの重合箇所300は、それぞれの第2部材の長孔210に対し、1か所程度見出すことができていることが分かる。
また、左右対称な位置である重合箇所以外に、左右非対称な位置である重合箇所も見出すことができていることが分かる。
【0095】
3-5.水平二次元方向の大きなずれがある場合
次に、図14図15を用いて、本発明の第1部材100と第2部材200との間に水平二次元方向の大きなずれがある場合における、本発明の第1部材100および第2部材200を組み合わせた場合の作用効果について説明する。
【0096】
図14は、Y軸方向に水平二次元方向の大きなずれがある場合において、第1部材の長孔110と、第2部材の長孔210との重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所300を灰色の領域で示した平面図である。
図15は、X軸方向に水平二次元方向の大きなずれがある場合において、第1部材の長孔110と、第2部材の長孔210との重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所300を灰色の領域で示した平面図である。
【0097】
図14図15によれば、水平二次元方向の大きなずれがある場合でも、ボルト等の連結部品を通すことができる長孔どうしの重合箇所300は、第2部材200の中心円260を挟んだ両側に、3か所程度見出すことができていることが分かる。
また、このような大きなずれがある場合でも、左右対称な位置である重合箇所以外に、左右非対称な位置である重合箇所も見出すことができていることが分かる。
【0098】
この場合、前述の長孔の有効長を十分に確保できるという第1の効果はもちろん、第1部材と第2部材の長孔の位置関係が、重合する箇所において、所定の角度で交差しやすくすることができるという第2の効果、及び、長孔どうしの重合箇所を一層見出しやすくするという効果(第1の効果と第2の効果による相乗効果)、そして左右非対称な位置である重合箇所も見出すことができるという第1の効果と第2の効果による相乗効果による波及効果が発現していることになる。
【0099】
3-6.水平二次元方向の大きなずれと回転ズレの両方がある場合
次に、図16図17を用いて、本発明の第1部材100と第2部材200との間に水平二次元方向の大きなずれが発生し、かつ、略20度の回転ズレが発生した場合における、本発明の第1部材100および第2部材200を組み合わせた場合の作用効果について説明する。
【0100】
図16は、本発明の第1部材と第2部材との間に、水平二次元方向(Y軸方向)にずれが発生し、かつ、杭側の第1部材に略20度の回転ズレが発生した場合において、第1部材の長孔110と、第2部材の長孔210との重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所300を灰色の領域で示した平面図である。
図17は、本発明の第1部材と第2部材との間に水平二次元方向(X軸方向)にずれが発生し、かつ、杭側の第1部材に略20度の回転ズレが発生した場合において、第1部材の長孔110と、第2部材の長孔210との重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所300を灰色の領域で示した平面図である。
【0101】
図16図17によれば、水平二次元方向の大きなずれと、回転ズレの両方がある場合でも、ボルト等の連結部品を通すことができる長孔どうしの重合箇所300は、第2部材200の中心円260を挟んだ両側に、3か所程度見出すことができていることが分かる。
また、このような水平二次元方向の大きなずれと、回転ズレの両方がある場合でも、左右対称な位置である重合箇所以外に、左右非対称な位置である重合箇所も見出すことができていることが分かる。
【0102】
このように、水平二次元方向の大きなずれに加え、さらに回転ズレが発生しているような非常に厳しい場合でも、前述の長孔の有効長を十分に確保できるという第1の効果はもちろん、第1部材と第2部材の長孔の位置関係が所定の角度で交差しやすくすることができるという第2の効果、及び、長孔どうしの重合箇所を一層見出しやすくするという効果(第1の効果と第2の効果による相乗効果)、そして左右非対称な位置である重合箇所も見出すことができるという第1の効果と第2の効果による相乗効果による波及効果が発現していることになる。
【0103】
4.本発明の変形例について
以上のように、主に、図9に示した典型例の構成を用いて、本発明の作用効果を説明したが、図7図8で説明したように、各パラメータは様々な値を取り得るので、図9の典型例に限定されることはなく、様々な構成を取り得る。
従って、以下、様々な構成の一部について例示するが、これに限定されるものではない。
【0104】
4-1.長孔が基準線と交差する角度α、γを変形した場合
図18図19を用いて、長孔が基準線と交差する角度(α、γ)を30度に変更した場合の変形例について説明する。
図18(A)(B)は、本発明の図9の変形例の一例を示す図であって、例えば、基準線と長孔とがなす角度(α、γ)が概ね30度である場合における第1部材100および第2部材200の平面図である。
また、長孔どうしの干渉を避けたり、長孔の重合箇所を見出しやすくしたりするために、長孔の長手方向の中心線が、中心から径方向外側に伸びる基準線130と交差する位置(中心150からの距離Laおよび、長孔の端から交差するまでの距離Lc)を調整しても良い。
【0105】
図19は、図18(A)の第1部材100と、図18(B)の第2部材を組み合わせた場合において、第1部材の長孔110と、第2部材の長孔210との重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所300を灰色の領域で示した平面図である。
図19によれば、ボルト等の連結部品を通すことができる長孔どうしの重合箇所300は、それぞれの第2部材の長孔210に対し、1か所程度見出すことができていることが分かる。
【0106】
また、左右対称な位置である重合箇所以外に、左右非対称な位置である重合箇所も見出すことができていることが分かる。
なお図示しないが、水平二次元方向のずれや、回転ズレが発生した場合、および両方のずれが発生した場合でも、十分な重合箇所を見出すことができる点は、図9の典型例と同様である。
【0107】
4-2.長孔が基準線と交差する角度α、γおよび、基準線どうしがなす角度β、δを変形した場合(長孔の数が7個の場合)
次に、図20図21を用いて、長孔が基準線と交差する角度(α、γ)を概ね52.5度、基準線どうしがなす角度(β、δ)を概ね51.4度に変更した場合(すなわち長孔の数を7個にした場合)の変形例について説明する。
【0108】
図20(A)(B)は、本発明の図9の変形例の一例を示す図であって、例えば、基準線と長孔とがなす角度(α、γ)が概ね52.5度で、基準線どうしがなす角度(β、δ)が概ね51.4度である場合における第1部材100および第2部材200の平面図である。
【0109】
なお、この場合において、長孔の数が、図9の8個に対し、7個に減少するので、長孔の有効長を適宜長くすることで、長孔どうしの重合箇所を見出しやすくしても良い。
また、長孔どうしの干渉を避けたり、長孔の重合箇所を見出しやすくしたりするために、長孔の長手方向の中心線が、中心から径方向外側に伸びる基準線130と交差する位置(中心150からの距離Laおよび、長孔の端から交差するまでの距離Lc)を調整しても良い。
【0110】
図21は、図20(A)の第1部材100と、図20(B)の第2部材を組み合わせた場合において、第1部材の長孔110と、第2部材の長孔210との重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所300を灰色の領域で示した平面図である。
図21によれば、ボルト等の連結部品を通すことができる長孔どうしの重合箇所300は、それぞれの第2部材の長孔210に対し、1か所程度見出すことができていることが分かる。
【0111】
また、左右対称な位置である重合箇所以外に、左右非対称な位置である重合箇所も見出すことができていることが分かる。
なお図示しないが、水平二次元方向のずれや、回転ズレが発生した場合、および両方のずれが発生した場合でも、十分な重合箇所を見出すことができる点は、図9の典型例と同様である。
【0112】
4-3.長孔が基準線と交差する角度α、γおよび、基準線どうしがなす角度β、δを変形した場合(長孔の数が6個の場合)
次に、図22図23を用いて、長孔が基準線と交差する角度(α、γ)を概ね60度、基準線どうしがなす角度(β、δ)を概ね60度に変更した場合(すなわち長孔の数を6個にした場合)の変形例について説明する。
図22(A)(B)は、本発明の図9の変形例の一例を示す図であって、例えば、基準線と長孔とがなす角度(α、γ)が概ね60度で、基準線どうしがなす角度(β、δ)が概ね60度である場合における第1部材100および第2部材200の平面図である。
【0113】
なお、この場合において、長孔の数が、図9の8個に対し、6個に減少するので、長孔の有効長を適宜長くすることで、長孔どうしの重合箇所を見出しやすくしても良い。
また、長孔どうしの干渉を避けたり、長孔の重合箇所を見出しやすくしたりするために、長孔の長手方向の中心線が、中心から径方向外側に伸びる基準線130と交差する位置(中心150からの距離Laおよび、長孔の端から交差するまでの距離Lc)を調整しても良い。
【0114】
図23は、図22(A)の第1部材100と、図22(B)の第2部材を組み合わせた場合において、第1部材の長孔110と、第2部材の長孔210との重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所300を灰色の領域で示した平面図である。
図23によれば、ボルト等の連結部品を通すことができる長孔どうしの重合箇所300は、それぞれの第2部材の長孔210に対し、1か所程度見出すことができていることが分かる。
【0115】
また、左右対称な位置である重合箇所以外に、左右非対称な位置である重合箇所も見出すことができていることが分かる。
なお図示しないが、水平二次元方向のずれや、回転ズレが発生した場合、および両方のずれが発生した場合でも、十分な重合箇所を見出すことができる点は、図9の典型例と同様である。
【0116】
4-4.第1部材、第2部材の外形を変形した場合
図24は、第1部材、第2部材の外形を例えば、8角形に変形した場合の平面図である。
外形は、このほか、4角形、5角形、6角形、7角形、9角形、10角形など多角形を採用することもできるし、その他の様々な形状であっても構わない。
【0117】
4-5.第1部材、第2部材の長孔の数や配置が異なる場合
次に、第1部材、第2部材の長孔の数や配置が異なる場合でも、長孔どうしの重合箇所を十分に見出すことができることを説明する。
図25(A)(B)は、第1部材100として長孔の数が8個の場合(図9の典型例を参照)で、第2部材200として長孔の数が6個の場合(図22参照)とを組み合わせた場合の平面図である。
【0118】
図25(A)は、第1部材の長孔110を灰色の線で示し、第2部材の長孔210を黒色の線で示した図である。
図25(B)は、図9の第1部材100と、図22の第2部材を組み合わせた場合において、第1部材の長孔110と、第2部材の長孔210との重合箇所のうち、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所300を灰色の領域で示した平面図である。
【0119】
図25(B)によれば、ボルト等の連結部品を通すことができる長孔どうしの重合箇所300は、それぞれの第2部材の長孔210に対し、1~2か所程度見出すことができていることが分かる。
また、左右対称な位置である重合箇所以外に、左右非対称な位置である重合箇所も見出すことができていることが分かる。
なお図示しないが、水平二次元方向のずれや、回転ズレが発生した場合、および両方のずれが発生した場合でも、十分な重合箇所を見出すことができる点は、第1部材及び第2部材とも図9の典型例を使用した場合と同様である。
【0120】
4-6.第1部材、第2部材の長孔の数や配置が異なる場合であって第2部材をさらに変形した場合
次に、第1部材、第2部材の長孔の数や配置が異なる場合であって、一方の長孔の配置や構成をさらに変形した場合でも、長孔どうしの重合箇所を十分に見出すことができることを説明する。
図26は、本発明の第1部材100と第2部材200との間に水平二次元方向のずれや回転ズレがない状態における、図9(A)に示した第1部材と(n=8の場合)、第2部材として、図4に示した従来技術の支柱側の取付板20のように、長孔が対向状に2個設けられたタイプの部材と、を組み合わせた場合の様子を示す平面図である。
杭側の第1部材の長孔を薄い灰色の線で示し、支柱側の第2部材の長孔を実線で示した図である。
【0121】
図26によれば、ボルト等の連結部品を通すことができる重合箇所300として、左側の重合箇所300-1と右側の重合箇所300-2の少なくとも2か所の重合箇所を見出すことができることが分かる。
なお図示しないが、水平二次元方向のずれや、回転ズレが発生した場合、および両方のずれが発生した場合でも、十分な重合箇所を見出すことができる点は、第1部材及び第2部材とも図9の典型例を使用した場合と同様である。
【0122】
このように、一方の部材の長孔が、間隔を隔てて設けられた中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対し、それぞれ所定の角度で交差するように設けられていれば、他方の長孔は、それらと交差するように2個以上設けられていれば足りる(第1~第5の発明の第1部材と第2部材の関係に相当)。
【0123】
5.両方の部材の長孔が基準線に対し所定の角度で交差する態様(略風車状)の場合の変形例
【0124】
以上、第1部材と第2部材の長孔の個数がそれぞれ8個の場合において、第1部材と第2部材との間で所定の水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合の、各部材の長孔どうしの重合箇所の様子について図9図19を用いて説明した。
また、長孔の個数が7個の場合について図20図21、長孔の個数が6個の場合について図22~23を用いて、部材どうしを重ね合わせた場合の重合箇所の様子について説明した。
【0125】
次に、本発明によれば、長孔と基準線との交差角を任意に調整した場合、および長孔の個数を任意に調整した場合でも、第1部材と第2部材との間で所定の水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合において、部材の中心を挟んで2か所以上の重合箇所を見出したり、長孔どうしの交差角を略平行ではなく所定の範囲内に収めたりすることができることを、図29及び図33図52を用いて説明する。
【0126】
図29は、第1部材と第2部材の長孔の個数が同じ場合であって、各部材の長孔の個数が5~12個の場合において、長孔と基準線との交差角が略30~70度、又は略20~70度の範囲まで調整した場合に、所定の水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合の長孔どうしの重合箇所がどのように確保されたかを示す一覧表である。
【0127】
なお、図29の各パターンの具体例は、図33図52に、できる限り図面化したが、全てを記載すると相当数の図面数になるため適宜省略した(項番5、6、7、8、13、14など)。
また、図29では、一方の部材の長孔の個数と、他方の部材の長孔の個数が同数の場合について説明したが、他方の部材の長孔の個数が一方の長孔の個数を超える場合については、当然に、同等以上の長孔どうしの重合箇所に関する性能が確保されることは自明であるため記載を省略した。
【0128】
また、図29では、長孔が基準線と交差する角度(α、γ)は、第1部材と第2部材とで同じ角度の場合(つまり両者が相互に反転する場合)について記載し、交差角が異なるものどうしを組み合わせる場合については図を省略したが、長孔が基準線と交差する角度は第1部材と第2部材で相互に異なっていても構わない。
例えば、項番23、24の部材(図39参照)と、項番25と26(図40参照)とを組み合わせた場合でも、重合箇所に関する性能に関して低い方(この場合は、項番23、24の場合)より高い性能が確保されることは自明であるので記載を省略したものである。
【0129】
図33図52は、第1部材、第2部材とも略風車状に長孔を配置した場合の例であって、図29の各パターンにおける各部材の構成、及び各部材の長孔どうしの重合箇所の様子を示したものである。
図では、中心から長孔までの距離が、部材の半径の略40%より外側になるように配置して、十分な太さの支柱や杭を接合できるように配慮した例を記載したが、水平ズレや回転ズレについて求められる性能に応じて、長孔の有効長や配置を調整することができる。
【0130】
また、図33以降では、断面が円形状の杭を表現した二重破線の円を図示したが(図9(A)参照)、図9(B)において、中心付近に略長方形の形状で示したように、断面が略長方形の支柱を設けてもよい。
【0131】
まず、図29によって、項番1~56を概観してみると、本願発明によれば、いずれのパターンにおいても、所定の水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合でも、部材の中心を挟んで2か所以上の重合箇所を見出したり、長孔どうしの交差角を略平行ではなく所定の範囲内に収めたりすることができることがわかる。
【0132】
より具体的には、例えば、長孔の個数が5個の場合には、長孔どうしの重合箇所に関する性能が最も低い項番1でも部材の半径に対し略20%までの水平ズレと任意の回転ズレが発生した場合でも、中心角で略90度以上離れた位置で2か所以上重合し、項番3~6ではそれ以上の重合箇所に関する性能を有していることがわかる。
また、長孔の個数が6個以上の場合は、部材の半径に対し略20%までの水平ズレと任意の回転ズレが発生した場合でも、中心角で略90度以上離れた位置で2か所以上重合する性能を有していることがわかる(項番7~56を参照)。
従って、長孔の個数が5個の場合には、長孔と基準線との交差角が略30~70度の範囲において、少なくとも、部材の半径の略20%までの水平ズレ、又は及び任意の回転ズレが発生した場合でも、重合箇所が部材の中心を挟んで中心角で略90度以上離れた位置で2か所以上重合する性能を有しているということができる。
【0133】
また同様に、長孔の個数が6個以上の場合には、長孔と基準線との交差角が20~70度の範囲において、少なくとも、部材の半径の略20%までの水平ズレ、又は及び任意の回転ズレが発生した場合でも、重合箇所が部材の中心を挟んで中心角で略90度以上度以上離れた位置で2か所以上重合する性能を有していることがわかる(項番7~14を参照)。
また、長孔の個数が6個以上の場合には、長孔と基準線との交差角が略30~60度の範囲において、重合箇所が部材の中心を挟んで中心角で、略120度以上離れた位置で2か所以上重合する性能を有していることがわかる(項番9~12、17~20、・・・を参照)。
【0134】
また、長孔の個数が7個以上の場合には、長孔と基準線との交差角が略20~70度の範囲まで広げても、少なくとも、部材の半径の略30%までの水平ズレ、又は及び任意の回転ズレが発生した場合でも、重合箇所が部材の中心を挟んで中心角で略120度以上離れた位置で2か所以上重合する性能を有していることがわかる(項番15~56を参照)。
【0135】
このように、長孔の個数を増やすにつれ、長孔と基準線との交差角をかなり幅広く変更しても、水平ズレ及び任意の回転ズレに対する許容度を向上させることができることがわかる。
【0136】
次に、部材どうしを組み合わせたときの長孔どうしの重合箇所の様子について、図33~52を用いて説明する。
なお、図33~52では、水平ズレが発生せず、回転ズレだけが発生した場合の図を省略したが、いずれのパターンでも回転ズレだけの場合は、部材の中心を挟んで中心角で略120度以上離れた位置で2か所以上の重合箇所を見出すことができることを確認済みである。
また、水平ズレについては、図に向かって左右方向の水平ズレが発生した場合についてだけ図示したが、長孔の配置の対称性から、図に向かって上下方向の水平ズレについては図を省略した。
また、長孔の個数が8個で、長孔と基準線との交差角が略45度にパターンについては、図14図17ですでに説明したので、ここでは説明を省略する。
【0137】
まず、図33によれば、長孔の個数が5個で、長孔と基準線との交差角が略30度のパターンの部材の図が示されている。ここで、図33(A)の部材と、(B)の部材は、長孔どうしが所定の角度で交差しやすいように、相互に反転した態様となっている。
図33(C)(D)は、部材の半径に対し所定の量だけ水平ズレを起こした場合の状態を示している。ここで、灰色の領域は、長孔どうしが重合している箇所のうち、ボルトを通すことができる箇所を示している。
ここで、図33(C)によれば、部材の中心に対し、中心角で略120度以上離れた位置に、少なくとも2か所の重合箇所を見出すことができることがわかる。そして、この場合の重合箇所の長孔どうしがなす角度(交差角)は略40度以上を確保できていることがわかる。
他方、図33(D)によれば、2か所の重合箇所が見いだせるものの、両者の位置関係は中心角で90度を下回ることが示されている。
【0138】
また、図33(E)(F)は、水平ズレに加え、さらに任意の回転ズレが発生した場合の様子を示している。任意の回転ズレの一例として、5個の長孔を設けた場合には、略72度の中心角で略等間隔に長孔を設けると、最も厳しい回転ズレの角度は略36度になるので当該角度の回転ズレの例を図示したものである。
図33(E)によれば、中心角で略100度程度の位置に、少なくとも2か所の重合箇所を見出すことができることがわかる。そして、この場合の重合箇所の長孔どうしがなす角度(交差角)は略80度以上を確保できていることがわかる。
【0139】
以上を纏めると、重合箇所に関する性能としては、中心角で略90度以上離れた位置に2か所以上の重合箇所を見出すことができ、ワーストケースでも長孔どうしの交差角を略40度以上確保できているので(換言すると、交差角は略90度±50度の範囲内)、図29の項番1~2のように整理することができる。
【0140】
また、図34によれば、長孔の個数が5個で、長孔と基準線との交差角が60度のパターンの部材の図が示されている。このパターンでは、部材の半径に対し略30%及び40%の水平ズレが発生し、最も厳しい角度の回転ズレ(換言すれば、任意の角度の回転ズレ)が発生した場合でも、部材の中心を挟んで中心角で略120度以上離れた位置に2か所以上の重合箇所を見出すことができることがわかる。また、重合箇所における長孔どうしの交差角については、図34(C)(D)で略45度以上、図34(E)(F)では略30度以上を確保できていることがわかる(換言すると、長孔どうしの交差角は略90度±60度の範囲内)。
【0141】
以上を纏めると、重合箇所に関する性能としては、中心角で略120度以上離れた位置に2か所以上の重合箇所を見出すことができ、ワーストケースでも長孔どうしの交差角を略30度以上確保できているので、図29の項番3~4のように整理することができる。
また、具体的な図は省略するが、長孔の個数が5個の場合で、長孔と基準線との交差角が略70度のパターンについて実験してみると、図29の項番5~6のように整理することができる。
【0142】
同様に、所定の水平ズレと、任意の回転ズレとして、長孔の個数(長孔どうしの中心角)に応じて最も厳しい角度の回転ズレ(換言すれば任意の角度の回転ズレ)が発生した場合の様子を、図35~52に示したが、それぞれの図を見れば重合箇所の態様は明白であり、重合箇所に関する性能についても図29に整理して示したので、以下、個々の図についての説明を省略する。
【0143】
6.一方の部材の長孔が基準線に対し所定の角度で交差する態様(略風車状)で、他方の部材の長孔の態様(基準線との交差角)は問わない場合の変形例
【0144】
6-1.相手方の部材の長孔数が2個以上の場合
以上、第1部材、又は第2部材の両方の部材において、基準線に対して、長孔が概ね略20~70度又は略110~160度の角度で交差するように配置することにより、長孔どうしが所定の角度(略平行ではなく、例えば略90度±60度など)で交差するようにできる点で好ましいことを説明した。
もっとも、第1部材、又は第2部材のいずれかが一方において、長孔110が、基準線130に対し、所定の角度で交差するタイプ(略風車状のタイプ)であれば、他方は、長孔と基準線との交差角を任意に設定して、他方の長孔と適宜交差するという程度の長孔を設けるだけでも必要十分な数の長孔どうしの重合箇所を見出すことができることが判明している。
以下、それらのパターンについて、図30図31、及び図53~76を用いて説明する。
【0145】
図30図31は、一方の部材が長孔と基準線とが所定の角度で交差するタイプ(略風車状)であり、他方の部材が、長孔と基準線との交差角に制限はなく、部材どうしを組み合わせたときに、相手方の部材の長孔と所定の角度で適宜交差するように、自由に長孔の配置や個数を調整可能なタイプ、の両者を組合せて、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の状態をまとめた一覧表である。
【0146】
なお、相手方の長孔数が4個以上の場合は、長孔数が3個の場合における重合箇所に関する性能より上であるため記載を省略した。また、一方が、9個の場合は8個と10個の同等程度の性能であり、11個の場合は10個と12個の同等程度の性能であるため記載を省略した。
【0147】
まず、図30図31によって項番1~87を概観してみると、本願発明によれば、いずれのパターンにおいても、他方の部材において、長孔の個数が2個ないし3個と少ない場合に、所定の水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合でも、部材の中心を挟んで2か所以上の重合箇所を見出したり、長孔どうしの交差角を略平行ではなく所定の範囲内に収めたりすることができることがわかる。
【0148】
より具体的には、例えば、一方の部材の長孔の個数が5個であり、長孔と基準線との交差化を略30~70度まで可変した場合において、相手方の部材の長孔数が2個の場合に、部材の半径に対し略20%までの水平ズレと任意の回転ズレが発生した場合でも、中心角で略90度以上離れた位置で2か所以上重合する性能(〇印)を有し(項番1)、項番3以降ではそれ以上の重合箇所に関する性能(◎印)を有していることがわかる。
【0149】
また、一方の部材の長孔の個数が6個以上であり、長孔と基準線との交差角を略20~70度まで可変した場合において、相手方の部材の長孔数が2個の場合でも、部材の半径に対し略20%までの水平ズレと任意の回転ズレが発生したときに、中心角で120度以上離れた位置で2か所以上重合する性能(◎印)を有していることがわかる(項番13以降を参照)。
【0150】
また、長孔の個数が8個以上であり、長孔と基準線との交差化を20~70度まで可変した場合において、相手方の長孔数が2個の場合でも、部材の半径に対し略30%までの水平ズレと任意の回転ズレが発生した場合でも、中心角で120度以上離れた位置で2か所以上重合する性能(◎印)を有していることがわかる(項番17以降を参照)
なお、△印は、2か所以上で重合するが重合箇所どうしの位置が中心角で90度未満である場合、2か所で重合するが一方の重合箇所において長孔どうしの交差角が15度未満である場合、又は1か所でしか重合しない場合、を表している。また、「-」印は、△印の箇所において、長孔どうしの交差角を記載する意味がないことにより、長孔どうしの交差角を省略したものである。
【0151】
このように、一方の長孔の個数を増やすにしたがって、長孔と基準線との交差角をかなり幅広く変更しても、水平ズレ及び任意の回転ズレに対する許容度を向上させることができることがわかる。
【0152】
次に、部材どうしを組み合わせたときの長孔どうしの重合箇所の様子について、図53~76を用いて説明する。
なお、図53~76では、水平ズレが発生せず、回転ズレだけが発生した場合の図を省略したが、いずれのパターンでも回転ズレだけの場合は、部材の中心を挟んで中心角で略120度以上離れた位置で2か所以上の重合箇所を見出すことができることは確認済みである。
また、水平ズレについては、図に向かって左右方向の水平ズレについてだけ図示したが、長孔の配置の対称性から、図に向かって上下方向の水平ズレについては図を省略した。
【0153】
図53によれば、一方の部材の長孔の個数が5個で、長孔と基準線との交差角が略60度のパターンの部材の図が示されている(図53(A)参照)。そして、相手方の部材として、長孔の個数が2個で、長孔と基準線との交差角が略90度のパターンの部材の例が示されている(図53(B)参照)。もっとも、相手方の部材において、長孔と基準線との交差角について特に意味はなく、他の角度の場合でも、一方の部材の長孔と適宜交差するように長孔を設けていればそれで足りる。
【0154】
図53のパターンでは、30%の水平ズレの場合、図53(D)に示すように、水平ズレだけだと重合箇所が中心を挟んで中心角で略120度以上の位置で2か所以上重合するものの、(F)に示すように、最も厳しい角度の回転ズレ(換言すれば任意の角度の回転ズレ)が重畳して発生した場合には重合箇所が2か所以上発生しない場合がある。
【0155】
しかし、図53(C)(E)に示すように、部材の半径に対し略20%の水平ズレが発生し、最も厳しい角度の回転ズレ(換言すれば、任意の角度の回転ズレ)が発生した場合でも、部材の中心を挟んで中心角で略90度以上離れた位置に2か所以上の重合箇所を見出すことができることがわかる。また、重合箇所における長孔どうしの交差角については、図53(C)(E)によれば、略40度以上を確保できていることがわかる(換言すると、長孔どうしの交差角は略90度±50度の範囲内)。
従って、図30の項番1~2のように整理することができる。
【0156】
同様に、図54では、一方の長孔の個数が5個で長孔と基準線との交差角が略60度のパターンの部材と、相手方の部材の長孔の個数が3個の場合の一例が示されている。
この場合、部材の半径に対し略30%の水平ズレが発生し、最も厳しい角度の回転ズレ(換言すれば、任意の角度の回転ズレ)が発生した場合でも、部材の中心を挟んで中心角で略120度以上離れた位置に2か所以上の重合箇所を見出すことができることがわかる。また、重合箇所における長孔どうしの交差角については、図54(D)(F)によれば、略60度以上を確保できていることがわかる(換言すると、長孔どうしの交差角は略90度±30度の範囲内)。
従って、図30の項番3~4のように整理することができる。
【0157】
同様に、所定の水平ズレと、任意の回転ズレとして、長孔の個数(長孔どうしの中心角)に応じて最も厳しい角度の回転ズレ(換言すれば任意の角度の回転ズレ)が発生した場合の様子を、図55~76に示したが、それぞれの図を見れば重合箇所の態様は明白であり、重合箇所に関する性能についても図30図31に整理して示したので、以下、個々の図についての説明を省略する。
【0158】
6-2.相手方の部材の長孔の個数が4個以上の場合
以上、図30図31を用いて、一方の部材の長孔の個数が5個以上であれば、相手方の部材の長孔の個数が2個ないし3個の場合でも、部材の中心を挟んで2か所以上の重合箇所を見出せることを説明した。
したがって、一方の部材の長孔の個数が5個以上であれば、相手方の部材の長孔の個数が4個以上の場合には、長孔どうしの重合箇所における性能は、同等以上を確保できることは自明であるが、念のために、一方の長孔の個数が8個の場合を例にして、相手方の部材の長孔の個数が4個以上のものを組み合わせた場合についても、検証した結果を図32図77~82を用いて、以下説明する。
【0159】
図32は、第1部材と第2部材の両方とも長孔と基準線とが所定の角度で交差するタイプであって、主に、両部材の長孔の個数が異なる場合において、部材どうしを組み合わせたときに、水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合における長孔どうしの重合箇所の状態をまとめた一覧表である。
【0160】
なお、図32では、一方の部材の長孔数が8個である場合について記載したが、一方の部材の長孔数が5個、6個、7個、9個、10個、11個、12個である場合も、図30図31に示したように、他方の部材の長孔数が2~3個程度の場合でも2か所以上で重合する性能を有していることから、他方の部材において、4個以上の長孔を有し、その長孔が基準線と所定の角度で交差するタイプを組み合わせても、図30図31に示した組合せと同等程度の重合箇所に関する性能を確保できるため、記載を省略したものである。
【0161】
まず、図32によって図77~82について概観すると、本願発明によれば、いずれのパターンにおいても、所定の水平ズレ又は及び任意の回転ズレが発生した場合でも、部材の中心を挟んで2か所以上の重合箇所を見出したり、長孔どうしの交差角を略平行ではなく所定の範囲内に収めたりすることができることがわかる。
【0162】
より具体的には、例えば、相手方の長孔の個数が4個のとき、部材の半径に対し略40%までの水平ズレと任意の回転ズレが発生した場合でも、中心角で略120度以上離れた位置で2か所以上重合していることがわかる(項番3~4参照)。
また、相手方の長孔の個数が5個以上のとき、部材の半径に対し略40%までの水平ズレと任意の回転ズレが発生した場合でも、中心角で略120度以上離れた位置で2か所以上重合する性能を有していることがわかる(項番6~9参照)。
【0163】
同様に、相手方の長孔の個数が10個ないし12個のときは、一方の部材の長孔の個数より多いので、十分な性能を有していることは自明であるが、念のために確認すると、部材の半径の略40%までの水平ズレ、又は及び任意の回転ズレが発生した場合でも、重合箇所が部材の中心を挟んで中心角で略120度以上離れた位置で2か所以上重合する性能を有しており(項番14~18参照)、図31に示した項番45~60の8個の長孔を有する部材どうしを組み合わせた場合の重合箇所に関する性能と同等以上であることがわかる。
【0164】
なお、所定の水平ズレと、任意の回転ズレとして、長孔の個数(長孔どうしの中心角)に応じて最も厳しい角度の回転ズレ(換言すれば任意の角度の回転ズレ)が発生した場合の様子を、図77~82に示したが、それぞれの図を見れば重合箇所の態様は明白であり、重合箇所に関する性能についても図32に整理して示したので、以下、個々の図についての説明を省略する。
【0165】
7.地面に敷設した場合の連結構造の施工状態について
図27は、本発明の第1部材と第2部材による連結構造の施工状態を示す斜視図である。
杭120として螺旋状リブ170を備えた螺旋杭を使用した場合には、杭120の上端に接続された第1部材100について、水平二次元方向のずれだけでなく、回転ズレが生じることがあるが、これらのずれを許容して、支柱220の下端に接続された第2部材200とを連結することができる。
【0166】
より詳細には、杭を埋設する位置は測量によってかなり正確に位置決めされるが、ある程度の水平二次元方向のずれは発生してしまうし、螺旋杭を使用した場合には、杭のねじ込み具合によって地面からの高さが変わるので、高さ調整のために、杭を回転させる必要があることにより、回転ズレが生じてしまう。
このように、水平二次元方向のずれと、回転ズレの一方、又は両方のずれが発生した場合でも、本発明の第1部材と第2部材の組み合わせによれば、両者の長孔どうしの重合箇所を十分に見出すことができるので、ずれを許容して、杭と支柱を連結することが可能となる。
なお、図示はしないが、第1部材と螺旋杭の間に、数枚の羽根で構成された水平安定翼を設けて、杭の傾きを抑制するようにしても良い。
【0167】
8.小括
以上のように、本発明の第1部材、第2部材、及びこれらを利用した連結構造によれば、杭側と支柱側の水平二次元方向又は及び回転ズレを許容して、支柱に無理な力を作用させることなく、部材どうしを連結することが可能となることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0168】
本発明の第1部材、第2部材、及びこれらを利用した連結構造は、温室やソーラーパネルの基礎となり地面に埋設する杭と、構造物を支える柱となる支柱とを連結する部材又は連結構造として用いることができる。
さらに、地中に埋設する杭と構造物の支柱とを連結する場合だけでなく、支柱と支柱を連結する場合など、多様な活用が考えられる。
【符号の説明】
【0169】
1 杭側
2 支柱側
10 杭側の基板
11 径方向中心から伸びるライン
12 杭側の長孔
13 有効長
14 杭
15 中心
20 支柱側の取付版
22 支柱側の長孔(L)
23 支柱側の長孔(R)
41 ボルト(L)
42 ボルト(R)
51 可動方向L1
52 可動方向L2
61 可動方向R1
62 可動方向R2
71 可動方向L1
72 可動方向L2
81 可動方向R1
82 可動方向R2
100 第1部材
110 第1部材の長孔
120 杭
130 基準線
150 中心
160 中心円
170 螺旋状リブ
200 第2部材
210 第2部材の長孔
220 支柱
250 中心
260 中心円
300 重合箇所
400 ボルト等
401 ボルト(L)
402 ボルト(R)
410 ナット等
110-1 第1の長孔
110-2 第2の長孔
110-3 第3の長孔
110-n 第nの長孔
130-1 第1の基準線
130-2 第2の基準線
130-3 第3の基準線
130-n 第nの基準線
140-1 長孔の長手方向の中心線
140-2 長孔の長手方向の中心線
140-3 長孔の長手方向の中心線
140-n 長孔の長手方向の中心線
210-1 第1の長孔
210-2 第2の長孔
210-3 第3の長孔
210-m 第mの長孔
230-1 第1の基準線
230-2 第2の基準線
230-3 第3の基準線
230-m 第mの基準線
240-1 長孔の長手方向の中心線
240-2 長孔の長手方向の中心線
240-3 長孔の長手方向の中心線
240-m 長孔の長手方向の中心線
300-1 重合箇所
300-2 重合箇所
300-3 重合箇所
300-4 重合箇所
α 第1部材の長孔と基準線がなす角度
β 第1部材の基準線どうしがなす角度
Le 第1部材の長孔の有効長
Ld 第1部材の長孔の幅
γ 第2部材の長孔と基準線がなす角度
δ 第2部材の基準線どうしがなす角度
Le′ 第2部材の長孔の有効長
Ld′ 第2部材の長孔の幅
θ1、θ2 長孔どうしがなす角度
【要約】      (修正有)
【課題】連結対象の2つの部材において、相互に二次元方向のずれ及び周方向の回転ズレが生じた場合でも、ずれを許容して部材どうしを連結部品で連結することができる部材どうしの連結構造を提供する。
【解決手段】部材どうしを連結するための連結構造であって、第1部材には複数の直線状の長孔が中心から径方向外側に伸びる複数の基準線に対しそれぞれ所定の角度で交差するように設けられており、第1部材において直線状の長孔が基準線と交差する角度を所定の範囲で調整し、第2部材には第1部材の長孔と交差する方向に2個以上の複数の直線状の長孔が設けられ、第1部材と第2部材とを重ね合わせた際に、部材の半径に対し所定の水平ズレ及び任意の角度の回転ズレが発生した場合でも、各部材の長孔どうしが、部材の中心を挟んで少なくとも1か所ずつ計2か所以上において重合し、重合する箇所で連結部品が通され、部材どうしを連結するように構成した連結構造。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58
図59
図60
図61
図62
図63
図64
図65
図66
図67
図68
図69
図70
図71
図72
図73
図74
図75
図76
図77
図78
図79
図80
図81
図82