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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】放出物発射機及びこれを用いた救助方法
(51)【国際特許分類】
   F41B 11/80 20130101AFI20230308BHJP
   F41B 11/62 20130101ALI20230308BHJP
   F41F 1/00 20060101ALI20230308BHJP
   A62B 5/00 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
F41B11/80
F41B11/62
F41F1/00
A62B5/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022162920
(22)【出願日】2022-10-11
【審査請求日】2022-10-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591213014
【氏名又は名称】株式会社スナミヤ
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】砂見 明
【審査官】藤井 浩介
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-142517(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0090586(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103759581(CN,A)
【文献】特許第5401677(JP,B2)
【文献】登録実用新案第3089645(JP,U)
【文献】特開2010-084978(JP,A)
【文献】特開2007-198692(JP,A)
【文献】特開2002-350095(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111268066(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F41B 11/62;11/80
F41F 1/00
A62B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方の標的に向けて発射される放出物を収納する放出物収納容器と、
前記放出物収納容器内の後部に配設され、前記放出物収納容器の内部を摺動する受圧体
と、
前記放出物及び前記受圧体を高速で加速させる加速手段を収納し、前記放出物収納容器
の後方に配設される本体部と、
前記受圧体を所定の距離拘束する受圧体拘束機構と、
前記放出物と前記受圧体とを着脱可能に、かつ、前記放出物が携行中に自重により落下
しないように係合する係合機構と、を有し、
前記加速手段で前記放出物及び前記受圧体が加速されて前記所定の距離まで飛ぶと前記
係合機構による係合が外れて、前記放出物のみを前方に飛ばせる放出物発射機。
【請求項2】
前記係合機構は、前記放出物の後方の形状及び前記受容体の前方の形状のいずれか一方
が凸状面を有し、他方が当該凸状面と合う凹状面を有し、前記凸状面と前記凹状面の間に
係合材が介在していることを特徴とする請求項1に記載の放出物発射機。
【請求項3】
前記係合機構は、前記放出物の後方部及び前記受容体の前方部のいずれか一方が突起部
を有し、他方に前記突起部と篏合する穴部を有することを特徴とする請求項1に記載の放
出物発射機。
【請求項4】
前記受圧体拘束機構は、前記放出物収納容器の内周面に、前記放出物は通すが前記受圧
体は通さない内方突起部が設けられている請求項1に記載の放出物発射機。
【請求項5】
さらに、一端が前記放出物収納容器、前記本体部、及び、地面と連なる固定部のいずれ
か1つにつながり、他端が前記放出物につながる放出物連結ワイヤーを備えている請求項
1~4のいずれか1項に記載の放出物発射機。
【請求項6】
請求項5の放出物発射機を用いる救助方法であって、
救助者が前記放出物発射機から前記放出物を発射して当該放出物を被救助者に届けるス
テップ1と、
救助者が前記放出物連結ワイヤーの前記放出物側と反対の端部に前記放出物連結ワイヤ
ーよりも太いワイヤーAをくくり付けるステップ2と、
被救助者が前記放出物連結ワイヤーを手繰り寄せて前記ワイヤーAを手に入れるステッ
プ3と、
救助者が前記ワイヤーAよりも太いワイヤーBを当該ワイヤーAの救助者側端部にくく
り付けるステップ4と、
被救助者が前記ワイヤーAを手繰り寄せて前記ワイヤーBを手に入れるステップ5と、
救助者と被救助者が、前記ステップ4及びステップ5を繰り返して、被救助者が最終的
に救助されるための救助具を手繰り寄せることができるワイヤーCを手に入れるステップ
6と、
救助者がワイヤーCの救助者側端部に前記救助具をくくり付けるステップ7と、
被救助者が、前記ワイヤーCを手繰り寄せて前記救助具を手に入れるステップ8と、
被救助者が、前記救助具を使って危険な現場から脱出するステップ9と、を備える救助
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、放出物を発射することができる放出物発射機及びこれを用いた救助方法に
関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の放出物発射機は、ガスボンベから高圧ガスを噴出させて、紙テープ
、紙片、落下傘玩具、ぬいぐるみ、パイロットロープ、撒き餌、捕網などを発射する発射
機である。
図12に示す放出物発射機は、本体101と放出物収納筒102を備えている。放出物
収納筒102には、受圧皿111、紐体112,蓋体113、弾性体114が備えられて
いる。
本体101には、圧縮ガスが詰め込まれたガスボンベ105、ガスボンベ105に穴を
あける穿孔具117、ガスボンベ105を穿孔具117に向けて飛びださせる押出バネ1
04が備えられている。引き金108を引くとガスボンベ108が前方に飛び出して穿孔
具117によって穴があけられ、内部の圧縮ガスが放出され、このガスによって受圧皿1
11が前方に向けて加速されて移動をし、放出物収納筒102内部の紙テープ等が蓋体1
13をあけて外に飛び出すようになっている。
【0003】
犯罪現場となる可能性がある銀行、郵便局、種々の店舗においては、色付き液体が入っ
た球状のカラーボールを犯人にぶつけて、その後の逮捕に向けての目印になるようにカラ
ーボールが多くの施設に置おかれている。また、里山に出没する熊等の野生動物に対して
、野生動物が嫌う臭いを有する液体が入ったボールを、野生動物に遭遇した時に投げつけ
るために登山者等がそのようなボールを携行する場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5401677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
カラーボール等を人の手で直接投げると飛距離が短く、正確に目標にぶつけることがで
きない。人の手によれば、せいぜい5m~10m先の目標にあてることが出来るくらいで
ある。カラーボール等を特許文献1に記載の放出物発射機を用いて発射する場合、発射前
に放出物が放出物収納容器から自重により落下するおそれがある。また、放出物の発射の
際、放出物が放出物収納容器の内壁に当たって放出物が破損するおそれがある。
【0006】
本発明は、放出物発射機を携行中も放出物が放出物収納容器から落下破損せず、放出物
を発射しても放出物を破損させることなく標的に放出させる放出物発射機を提供すること
にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明(1)は、前方の標的に向けて発射される放出物を収納する放出物収納容器と、
前記放出物収納容器内の後部に配設され、前記放出物収納容器の内部を摺動する受圧体と
、前記放出物及び前記受圧体を高速で加速させる加速手段を収納し、前記放出物収納容器
の後方に配設される本体部と、前記受圧体を所定の距離拘束する受圧体拘束機構と、前記
放出物と前記受圧体とを着脱可能に係合する係合機構と、を有し、前記加速手段で前記放
出物及び前記受圧体が加速されて前記所定の距離まで飛ぶと前記係合機構による係合が外
れて、前記放出物のみを前方に飛ばせる放出物発射機である。
【0008】
本発明(1)では、放出物と受圧体とを係合する係合機構を有しているので、放出物が
放出物収納容器から自重により落下することがなくなる。また、放出物を発射しても、放
出物と受圧体とが着脱可能に係合されているので、放出物を破損させることなく標的に放
出させることができる。
【0009】
本発明(2)は、前記係合機構が、前記放出物の後方の形状及び前記受容体の前方の形
状のいずれか一方が凸状面を有し、他方が当該凸状面と合う凹状面を有し、前記凸状面と
前記凹状面の間に係合材が介在していることを特徴とする本発明(1)の放出物発射機で
ある。
【0010】
本発明(2)では、係合機構が、放出物の後方の形状及び受容体の前方の形状のいずれ
か一方が凸状面を有し、他方が当該凸状面と合う凹状面を有し、凸状面と凹状面の間に係
合材が介在してので、放出物と受圧体とが、放出物の発射前には確実に係合し、放出物の
発射時には、放出物は受圧体から適切に分離して標的に向けて放出することができる。
【0011】
本発明(3)は、前記係合機構が、前記放出物の後方部及び前記受容体の前方部のいず
れか一方が突起部を有し、他方に前記突起部と篏合する穴部を有することを特徴とする本
発明(1)の放出物発射機である。
【0012】
本発明(3)では、前記係合機構が、放出物の後方部及び受容体の前方部のいずれか一
方が突起部を有し、他方に突起部と篏合する穴部を有しているので、放出物と受圧体とが
、放出物の発射前には確実に係合し、放出物の発射時には、放出物は受圧体から適切に分
離して標的に向けて放出することができる。
【0013】
本発明(4)は、前記受圧体拘束機構が、前記放出物収納容器の内周面に、前記放出物
は通すが前記受圧体は通さない内方突起部が設けられている本発明(1)の放出物発射機
である。
【0014】
本発明(4)では、受圧体拘束機構が、前記放出物収納容器の内周面に、前記放出物は
通すが受圧体は通さない内方突起部が設けられているので、放出物の発射時には、放出物
は受圧体から適切に分離して標的に向けて放出することができる。
【0015】
本発明(5)は、さらに、一端が前記放出物収納容器、前記本体部、及び、地面と連な
る固定部のいずれか1つにつながり、他端が前記放出物につながる放出物連結ワイヤーを
備えている本発明(1)~(4)のいずれかの放出物発射機である。
【0016】
本発明(5)では、さらに、一端が放出物収納容器、本体部、及び、地面と連なる固定
部のいずれか1つにつながり、他端が放出物につながる放出物連結ワイヤーを備えている
ので、例えば、標的が人であった場合、その人と放出物発射機を発射する人との間を放出
物連結ワイヤーでつなぐことが出来る。
【0017】
本発明(6)は、本発明(5)の放出物発射機を用いる救助方法であって、救助者(操
作者)が被救助者に前記放出物を届けるステップ1と、救助者が前記放出物連結ワイヤー
の前記放出物側と反対の端部に前記放出物連結ワイヤーよりも太いワイヤーAをくくり付
けるステップ2と、被救助者が前記放出物連結ワイヤーを手繰り寄せて前記ワイヤーAを
手に入れるステップ3と、救助者が前記ワイヤーAよりも太いワイヤーBを当該ワイヤー
Aの救助者側端部にくくり付けるステップ4と、被救助者が前記ワイヤーAを手繰り寄せ
て前記ワイヤーBを手に入れるステップ5と、救助者と被救助者が、前記ステップ4及び
ステップ5を繰り返して、被救助者が最終的に救助されるための救助具を手繰り寄せるこ
とができるワイヤーCを手に入れるステップ6と、救助者がワイヤーCの救助者側端部に
前記救助具をくくり付けるステップ7と、被救助者が、前記ワイヤーCを手繰り寄せて前
記救助具を手に入れるステップ8と、被救助者が、前記救助具を使って危険な現場から脱
出するステップ9と、を備える救助方法である。
【0018】
本発明(6)では、本発明(5)の放出物発射機を用い、ステップ1~ステップ9のス
テップを経て、被救助者を救助することができる。被救助者は、例えば、火災で燃えてい
るビルの高層階に取り残された人、洪水の川の中州に取り残された人等である。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、放出物発射機を携行中も放出物が放出物収納容器から落下破損せず、
放出物を発射しても放出物を破損させることなく標的に放出させる放出物発射機を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態1の放出物発射機の部分断面図である。
図2】実施形態1の放出物発射機の斜視図である。
図3】実施形態2の放出物発射機の部分断面図である。
図4】実施形態3の放出物発射機の部分断面図である。
図5】実施形態3の放出物発射機の斜視図である。
図6】放出物と受圧体との各種係合機構を示す斜視図である。
図7】実施形態1で用いられる放出物と突起部の拡大断面図である。
図8】放出物と受圧体とのその他の係合機構を示す断面図である。
図9】放出物と受圧体とのその他の係合機構を示す断面図である。
図10】放出物と受圧体とのその他の係合機構を示す断面図である。
図11】実施例3の放出物発射機を用いて被救助者を救助するステップを示す模式図である。
図12】特許文献1に示す放出物発射機の部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、
本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限す
ることを意図するものではない。
【0022】
図1及び図2に、本発明の放出物発射機の実施形態1を示す。
【0023】
放出物発射機1は、放出物収納容器30と本体部10とを備えている。放出物収納容器
30には、受圧体31が放出物収納容器30の後部に配設され、放出物40が受圧体31
と係合機構で係合されている。係合機構については後述する。
【0024】
本体部10には、ガスボンベ12(加速手段)が配設されている。ガスボンベ12に封
入された高圧ガスが噴射される方向(すなわち図1の例では左方向)を前方とし、その反
対方向(すなわち図1の例では右方向)を後方とする。
図1に示すように、本体部10はガスボンベ12を摺動可能に収納する。本体部10の
後部には押し出しバネ13の後端を固定する押し出しバネ固定具14が装着される。押し
出しバネ13の前端はガスボンベ12の後部に当接し、ガスボンベ12を前方に摺動させ
る駆動力となる。
【0025】
一方で、ガスボンベ12の前方に位置する本体部10の内壁には、ガスボンベ12の摺
動を規制する規制具18が規制具回動軸20を介して回動可能に連結される。規制具18
の他端(すなわち規制具回動軸20の反対端)は係止具16で係止される。つまり規制具
18が規制具回動軸20と係止具16によって固定されるので、ガスボンベ12の摺動が
規制される。その結果、ガスボンベ12は、その前端を規制具18に当接した状態で停止
する。なお、図1に示すように規制具18が内壁面に垂直な状態を閉姿勢と記す。
【0026】
引き金15が不用意に引かれて暴発しないように爆発防止具17が備えられている。係
止具16は、本体部10の壁部を貫通して内壁面に垂直な方向に移動するように設けられ
、さらに係止具窪み部16aを有する。その係止具窪み部16aには引き金15の引き金
突出部15aが嵌合される。引き金15は、本体部10の外壁に規制具回動軸20を介し
て回動可能に連結され、かつ引き金バネ(図示せず)によって係止具16を本体部10の
内壁面から突出させて規制具18を係止する位置に保持される。なお、引き金15が係止
具16を本体部10の内壁面から突出させた状態を待機姿勢と記す。
【0027】
操作者が把持部11を把持して引き金15を引く。引き金15は規制具回動軸20を中
心にして回動し、それに伴って引き金突出部15aが係止具窪み部16aを移動させるの
で、係止具16は本体部10の内壁面から突出しなくなる。その結果、規制具18による
規制が解除されて、押し出しバネ13が伸長してガスボンベ12を前方へ高速で押し出す
。そのとき、規制具18はガスボンベ12の摺動によって規制具回動軸20を中心にして
回動し、本体部10の内面に設けられた規制具対比溝21に退避する。
【0028】
ガスボンベ12が穿孔具19に衝突することによって、ガスボンベ12の先端部が開口
し、封入されていた高圧ガスが噴出する。さらに高圧ガスは、本体部10の前部に装着さ
れた放出物収納容器30に流入する。そのため本体部10から放出物収納容器30へ高圧
ガスの流路を設ける必要があるが、その流路の構成は特に限定しない。たとえば、穿孔具
19を中空にする、あるいは穿孔具19の周囲に開口部を配置する等、様々な構成で対応
できる。
【0029】
受圧体31は受圧体拘束ワイヤー32によって放出物収納容器30とつながっている。
受圧体拘束ワイヤー32の長さまで受圧体31が飛ぶと、受圧体31は受圧体拘束ワイヤ
ー32によって急激に止められ、負の加速度がつき、放出物40との係合機構がはずれ、
放出物40のみが前方に飛翔する。係合機構の具体的実施形態は、図6図8図9及び
図10に示す。
【0030】
図2は、実施形態1の放出物発射機1の発射直後の状態を示している。受圧体31は受
圧体拘束ワイヤー32で拘束され止まり、放出物40が受圧体31と離れて単独で飛翔を
開始している。
【0031】
図3は、実施形態2の放出物発射機2を示している。放出物発射機2と放出物発射機1
との違いは、放出物発射機2では受圧体拘束ワイヤー32がない点と、係合機構が異なっ
ている点である。その他は同じなので説明を省略する。放出物発射機2の係合機構は、図
8~図10で説明をする。放出物発射機2の受圧体拘束ワイヤー32の代わりになるもの
が内方突起部35である。内方突起部35の内径は、受圧体31の外径よりも小さく、放
出物40の外径よりも大きく設定されているので、受圧体31は内方突起部35で停止さ
せられ、係合機構が外れて放出物40のみが飛翔することになる。
【0032】
図4は、実施形態3の放出物発射機3を示している。放出物発射機3と放出物発射機1
との違いは、放出物発射機3では放出物連結ワイヤー46が放出物40に取り付けられて
いる点である。その他は同じなので説明を省略する。放出物連結ワイヤー46は、地面と
連なる固定部につながっているが、放出物収納容器30または本体部10につながっても
よい。この放出物連結ワイヤー46があることによって、例えば、放出物40を受け取っ
た人と放出物発射機3の操作者とがつながることができる。
【0033】
図5は、実施形態3の放出物発射機3の発射直後の状態を示している。受圧体31は受
圧体拘束ワイヤー32で拘束されて止まり、放出物40が受圧体31と離れて単独で飛翔
を開始している。そして、放出物連結ワイヤー46は放出物40とともに送られる。
【0034】
図6は、放出物40と受圧体31との係合機構の例を示す図である。これは一例にすぎ
ず他の形態でも良いことは勿論である。図6(1)では、放出物40は、凸状面41を有
し、表面に接着剤43が4ヶ所塗られている。突起部42があるが、この実施例では、こ
の突起部42は係合機構とは関係がない。受圧体31には凹状面33が形成され、穴部3
4があけられている。この穴部34も係合機構とは関係がない。放出物40の凸状面41
を受圧体31の凹状面33に合わせることで放出物40と受圧体31とは係合される。
【0035】
図6(2)は、図6(1)とは別の係合機構を示している。異なっている点は図6(2
)では接着剤43の代わりに両面テープ44が用いられている点である。図6(3)でも
別の係合機構である面ファスナー45が用いられている点が異なっている。凸状面41に
は、面ファスナーフック面45aが貼られ、凹状面33には、面ファスナーループ面45
bが貼られている。
【0036】
図6(1)~(3)の係合機構では、接着剤43の接着強度、両面テープ44の貼り付
け強度、面ファスナーでは面ファスナーフック面45aと面ファスナーフック面45bの
結合強度を調整することによって、係合機構の係合強度を調節できる。好ましいのは、係
合強度が、放出物40が受圧体31から外れない程度に係合強度を弱くして、放出物発射
機1を発射させて、放出物40と受圧体31の係合が外れる際に、放出物40の減速をで
きるだけ小さくすることである。
【0037】
図7(1)は、放出物40の断面図を示す。内部空間47には、カラーボールで使われ
る有色液体等が開口42aから入れられ、栓体42bで封止される。突起部42は、穴部
34にはまり込む。図7(1)の点線円部分を拡大したものを図7(2)に示す。栓体4
2bは、雄ねじ42cと雌ねじ42bとが噛み合って、突起部42に固定される。
【0038】
図8~10は、図6の係合機構と別の係合機構を示している。図8(1)は、放出物4
0Aと受圧体31Aとが離れている状態を示している。突起部42Aには外方突起部42
Aaが形成されている。受圧体31Aには、穴部34Aに穴部環状溝34Aaが形成され
ている。図8(2)は、放出物40Aと受圧体31Aとが係合された状態を示している。
外方突起部42Aaが穴部34Aを変形させ穴部環状溝34Aaにスナップロック方式で
係合している。放出物発射機2を発射させると、図8(2)から図8(1)の状態になり
、放出物40Aが単独で飛翔する。
【0039】
図9は、図8とは違って、放出物40Bの突起部42Bに雄テーパー42Baが形成さ
れ、受圧体31Bの穴部34Bには雌テーパー34Baが形成されている。図9(1)は
分離状態を示し、図9(2)は係合状態を示している。雄テーパー42Baと雌テーパー
34Baとがテーパー篏合をして、放出物40Bと受圧体31Bとが係合している。放出
物発射機2を発射させると、図9(2)から図9(1)の状態になり、放出物40Bが単
独で飛翔する。
【0040】
図10は、図8及び図9とは違って、放出物40Cの突起部42Cにフランジ部42C
aが形成され、受圧体31Cの穴部34Cには穴底窪み部34Caが形成されている。図
10(1)は分離状態を示し、図10(2)は係合状態を示している。フランジ部42C
aと穴底窪み部34Caとがスナップロック方式で係合し、放出物40Cと受圧体31C
とが係合している。放出物発射機2を発射させると、図10(2)から図10(1)の状
態になり、放出物40Cが単独で飛翔する。
【0041】
図11は、放出物発射機3を使って、火災が起こっているビルに取り残された被救助者
Pを救助する様子を模式的に示している。放出物発射機3から放出物連結ワイヤー46付
き放出物40が被救助者Pに向けて発射されている(図11(1)参照。)
被救助者Pが放出物40を手に取り、操作者(図示なし)によって、ワイヤーA(符号
46A)は放出物連結ワイヤー46の端部にくくりつけられている。(図11(2)参照
。)
さらに、より太いワイヤーが被救助者Pのもとに届き、最後に救助具46Dを被救助者
Pに届けるためのワイヤーC(符号46C)が被救助者Pのもとに届く。(図11(3)
参照。)
最後に、救助具46Dが被救助者Pのもとに届き、被救助者は救助具46Dをつたって
、自ら地上に降りて、救助される。(図11(4)参照。)
【0042】
図11に示す救助方法によれば、消防車、はしご車等の車両が入ることができない道幅
のビルに取り残された人を救援することができる。放出物発射機3は、簡易簡便な発射機
であり、消防車等の車両に、放出物発射機、ワイヤー、救助具を備え付けておくだけで人
命救助が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上説明したように、本発明の放出物発射機は、放出物発射機を携行中も放出物が放出
物収納容器から落下破損せず、放出物を発射しても放出物を破損させることなく標的に放
出させることができるので、防犯や救助等に利用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1、2、3 放出物発射機
10 本体部
11 把持部
12 ガスボンベ(加速手段)
13 押し出しバネ
14 押し出しバネ固定具
15 引き金
19 穿孔具
15a 引き金突出部
16 係止具
16a 係止具窪み部
17 爆発防止具
18 規制具
20 規制具回動軸
21 規制具退避溝
30 放出物収納容器
31、31A、31B、31C 受圧体
32 受圧体拘束ワイヤー
33 凹状面
34、34A、34B、34C 穴部
34Aa 穴部環状溝
34Ba 雌テーパー
34Ca 穴底窪み部
35 内方突起部
40、40A、40B、40C 放出物
41 凸状面
42、42A、42B、42C 突起部
42Aa 外方突起部
42Ba 雄テーパー
42Ca フランジ部
42a 開口
42b 栓体
42c 雄ねじ
42d 雌ねじ
43 接着剤
44 両面テープ
45 面ファスナー
45a 面ファスナーフック面
45b 面ファスナーループ面
46 放出物連結ワイヤー
46A ワイヤーA
46C ワイヤーC
46D 救助具
47 内部空間
P 被救助者
【要約】
【課題】放出物発射機を携行中も放出物が放出物収納容器から落下破損せず、放出物を発
射しても放出物を破損させることなく標的に放出させる放出物発射機を提供すること。
【解決手段】前方の標的に向けて発射される放出物40を収納する放出物収納容器30と、放
出物収納容器内の後部に配設され、放出物収納容器の内部を摺動する受圧体31と、放出物
及び受圧体を高速で加速させる加速手段12を収納し、放出物収納容器の後方に配設される
本体部10と、受圧体を所定の距離拘束する受圧体拘束機構32と、放出物と受圧体とを着脱
可能に係合する係合機構と、を有し、加速手段で放出物及び圧体が加速されて所定の距離
まで飛ぶと係合機構による係合が外れて、放出物のみが前方に飛ぶ。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12