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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】建築板の施工構造
(51)【国際特許分類】
   E04F 13/14 20060101AFI20230308BHJP
【FI】
E04F13/14 102C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018065900
(22)【出願日】2018-03-29
(65)【公開番号】P2019173519
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-01-29
(73)【特許権者】
【識別番号】503367376
【氏名又は名称】ケイミュー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西野 祥平
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-110719(JP,U)
【文献】特開2013-204337(JP,A)
【文献】特開2009-057724(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0265237(US,A1)
【文献】特開2017-227092(JP,A)
【文献】特開平09-144268(JP,A)
【文献】実開平04-101439(JP,U)
【文献】特開2008-163675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 13/14
E04F 13/08
E04F 13/16
E04F 15/02
E04F 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹凸模様を有し、前記凹凸模様の形状が、前記表面に沿った一方向で徐々に変化するように形成されている建築板と、
前記一方向において前記建築板に隣接して配置される隣接建築板とを備える建築板の施工構造であって
記隣接建築板は、表面に隣接凹凸模様を有し、
記隣接建築板を第一隣接建築板とし、前記隣接凹凸模様を第一隣接凹凸模様とし、
前記一方向と反対側において前記建築板に隣接して配置される第二隣接建築板を備え、
前記第二隣接建築板は、表面に前記第一隣接凹凸模様と異なる第二隣接凹凸模様を有し、
前記建築板の前記凹凸模様の形状は、前記一方向において、前記第二隣接凹凸模様の形状から前記第一隣接凹凸模様の形状にまで徐々に変化するように形成されており、
前記第一隣接建築板と前記第二隣接建築板とは厚みが異なっており、
前記建築板は、軒天井板又は外壁材であり、前記第一隣接建築板は軒天井板であり、前記第二隣接建築板は外壁材である、
建築板の施工構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記凹凸模様の形状の変化は、前記建築板の前記一方向における一端からその反対側の一端にまで至るように形成されている
建築板の施工構造。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記凹凸模様は複数の凸部と複数の凹部との少なくとも一方を備え、
前記凹凸模様の形状の変化は、前記複数の凸部と前記複数の凹部の少なくとも一方の外形が変化するように形成されている
建築板の施工構造。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一項において、
前記一方向における前記凹凸模様の形状の変化率が0%よりも大きく50%以下である建築板の施工構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、建築板の施工構造に関する。詳しくは、外壁板などとして使用される建築板の施工構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の外壁として外観の異なる二以上の部分を形成することにより、外壁の意匠性を高めることが行われている(例えば、特許文献1参照)。このような外壁が複数の外壁材を並べて形成される場合、表面の凹凸模様が異なる二種類以上の外壁材を使用し、これらを隣接して施工することが考えられる。
【0003】
しかし、表面の凹凸模様が極端に異なる二種類の外壁材を隣接させて施工した場合、隣接する外壁材の間で凹凸模様の連続性が低下して違和感が生じ、かえって外壁の意匠性が損なわれることがある。そこで、表面の凹凸模様が極端に異ならない二種類の外壁材を隣接させて突き付けて施工することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-50634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、表面の凹凸模様が極端に異ならない二種類の外壁材を使用する場合は、使用可能な外壁材の種類の組み合わせが限定されてしまう。このため、建物の意匠のバリエーションが少なくなることが考えられる。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされ、建物の意匠のバリエーションを多くすることができる建築板の施工構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る一態様の建築板の施工構造は、表面に凹凸模様を有し、前記凹凸模様の形状が、前記表面に沿った一方向で徐々に変化するように形成されている建築板と、前記一方向において前記建築板に隣接して配置される隣接建築板とを備える建築板の施工構造であって、前記隣接建築板は、表面に隣接凹凸模様を有し、前記隣接建築板を第一隣接建築板とし、前記隣接凹凸模様を第一隣接凹凸模様とし、前記一方向と反対側において前記建築板に隣接して配置される第二隣接建築板を備え、前記第二隣接建築板は、表面に前記第一隣接凹凸模様と異なる第二隣接凹凸模様を有し、前記建築板の前記凹凸模様の形状は、前記一方向において、前記第二隣接凹凸模様の形状から前記第一隣接凹凸模様の形状にまで徐々に変化するように形成されており、前記第一隣接建築板と前記第二隣接建築板とは厚みが異なっており、前記建築板は、軒天井板又は外壁材であり、前記第一隣接建築板は軒天井板であり、前記第二隣接建築板は外壁材である
【発明の効果】
【0010】
本発明では、建物の意匠のバリエーションを多くすることができる建築板の施工構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1Aは、建築板に係る一実施形態を示す一部の断面図である。図1Bは、建築板に係る一実施形態を示す一部の正面図である。
図2図2Aは、建築板の施工構造に係る一実施形態を示す正面図である。図2Bは、建築板の施工構造に係る他の一実施形態を示す正面図である。
図3図3Aは、建築板の施工構造に係る一実施形態を示す正面図である。図3Bは、建築板の施工構造に係る他の一実施形態を示す正面図である。
図4図4は、建築板の施工構造に係る一実施形態を示す正面図である。
図5図5は、建築板の施工構造に係る一実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
図1A及び図1Bに本実施形態に係る建築板2を示す。建築板2は窯業系基材であって、セメントを主成分とする水硬性材料の硬化物である。建築板2は、表面(前面)に凹凸模様1を有している。凹凸模様1の形状は、建築板2の表面に沿った一方向に徐々に変化するように形成されている。本実施形態では、上記一方向を上方向として説明する。上方向は図1A及び図1Bにおいて矢印Yの指す方向である。矢印Yが指す方向と反対側は下方向である。矢印Xが指す方向は右方向であり、矢印Xが指す方向と反対側は左方向である。矢印Zが指す方向は前方向であり、矢印Zが指す方向と反対側は後方向である。
【0013】
凹凸模様1は複数の凸部3と複数の凹部4とを有する。各凸部3は凹部4の底面4aよりも前側に突出して形成されている。各凹部4は凸部3の前面3aよりも後側に凹んで形成されている。複数の凸部3は上下方向及び左右方向並んで形成されている。各凹部4は隣り合う凸部3の間に形成されている。そして、凹凸模様1の形状の変化は、各凸部3の外形の変化と、各凹部4の外形の変化とで構成されている。凹凸模様1の形状の変化の態様は、例えば、以下のとおりである。
【0014】
(変化態様1)
図1Aにおいては、複数の凸部3と複数の凹部4が上下方向に交互に並んでいるが、上方向において、各凸部3の上下寸法が徐々に大きくなるように形成される。すなわち、YL1<YL2<YL3の関係を満たすように、各凸部3及び各凹部4のそれぞれの外形が形成される。逆に、上方向において、各凸部3の上下寸法が徐々に小さくなるように、すなわち、YL1>YL2>YL3の関係を満たすように、各凸部3及び各凹部4の外形がそれぞれ形成される場合もある。なお、凸部3の上下寸法は、上下方向で隣り合う凹部4の間隔と同等である。
【0015】
(変化態様2)
上方向において、各凹部4の上下寸法が徐々に大きくなるように形成される。すなわち、YP1<YP2<YP3の関係を満たすように、各凸部3及び各凹部4のそれぞれの外形が形成される。逆に、上方向において、各凹部4の上下寸法が徐々に小さくなるように、すなわち、YP1>YP2>YP3の関係を満たすように、各凸部3及び各凹部4のそれぞれの外形が形成される場合もある。なお、凹部4の上下寸法は、上下方向で隣り合う凸部3の間隔と同等である。
【0016】
(変化態様3)
上方向において、各凸部3の前後寸法が徐々に大きくなるように形成される。すなわち、ZH1<ZH2<ZH3の関係を満たすように、各凸部3又は各凹部4のそれぞれの外形が形成される。逆に、上方向において、凸部3の前後寸法が徐々に小さくなるように、すなわち、ZH1>ZH2>ZH3の関係を満たすように、各凸部3及び各凹部4のそれぞれの外形が形成される場合もある。なお、凸部3の前後寸法は凹部4の前後寸法と同等である。態様3の場合、各凸部3の前面3aの前後方向の位置を同じにして、各凹部4の底面4aの前後方向の位置を変化させることができる。また逆に、各凹部4の底面4aの前後方向の位置を同じにして、各凸部3の前面3aの前後方向の位置を変化させることができる。
【0017】
(変化態様4)
上方向において、凸部3の左右寸法が徐々に大きくなるように形成される。すなわち、XW1<XW2<XW3の関係を満たすように、各凸部3又は凹部4のそれぞれの外形が形成される。逆に、上方向において、凸部3の前後寸法が徐々に小さくなるように、すなわち、XW1>XW2>XW3の関係を満たすように、各凸部3及び各凹部4のそれぞれの外形が形成される場合もある。なお、凸部3の左右寸法は、左右方向で隣り合う凹部4の間隔と同等である。
【0018】
(変化態様5)
上方向において、凹部4の開口の左右寸法が徐々に大きくなるように形成される。すなわち、XP1<XP2<XP3の関係を満たすように、各凸部3又は凹部4のそれぞれの外形が形成される。逆に、上方向において、凸部3の前後寸法が徐々に小さくなるように、すなわち、XP1>XP2>XP3の関係を満たすように、各凸部3及び各凹部4のそれぞれの外形が形成される場合もある。なお、凹部4の左右寸法は、左右方向で隣り合う凸部3の間隔と同等である。
【0019】
(変化態様6)
凸部3の前面3aと凹部4の底面4aの一方または両方において、凹凸柄を形成する場合があるが、この凹凸柄を上方向において徐々に変化することができる。例えば、前面3aにおいて、天然石の表面形状のような凹凸柄を形成している場合、これら凹凸柄を上方向で徐々に大きくしたり、徐々に小さくしたり、徐々に深くしたり、徐々に浅くしたり、徐々に消失させたりすることができる。
【0020】
凹凸模様1の形状は、上記の変化態様1~6のうちの少なくとも1つで変化させることができる。また凹凸模様1の形状は、上記の変化態様1~6のうちの2つ以上を組み合わせて変化させることができる。例えば、変化態様1のYL1<YL2<YL3の関係を満たしながら、変化態様2のYP1<YP2<YP3の関係を満たすように、各凸部3及び各凹部4のそれぞれの外形が形成される。
【0021】
凹凸模様1の形状の変化は、建築板2の上方向における一端からその反対側の一端にまで至るように形成されている。すなわち、凹凸模様1の形状は、建築板2の上端から下端に至るまで徐々に変化しながら形成されている。このような建築板2は、凹凸模様1の形状が徐々に変化するような外観を呈し、一枚の建築板2の中で、凹凸模様1の形状が急激に変化することがほとんどない。したがって、表面の凹凸模様の形状が異なる複数種の建築板の間に、本実施形態の建築板2を配置することにより、表面の凹凸模様の形状が異なる建築板の間で、凹凸模様を徐々に変化せることができ、凹凸模様の形状の変化に違和感が生じにくくなる。したがって、表面の凹凸模様の形状が異なる複数種の建築板を一緒に使用しても、凹凸模様の形状の変化に連続性が生じやすくなり、同時に使用可能な建築板の種類が増えて、建物の意匠のバリエーションが多くなる。
【0022】
(変化率の説明)
凹凸模様1の形状が徐々に変化する場合には、凹凸模様1の形状が段階的に変化する場合も含む。凹凸模様1の形状が徐々に変化する場合には、凹凸模様1の形状の変化率が0%よりも大きく50%以下であることが好ましい。この場合、凹凸模様1の形状の変化が目視で確認することができ、且つ凹凸模様1の形状が急激に変化するような外観を呈することがほとんどない。より好ましくは、凹凸模様1の形状の変化率が2%以上20%、さらに好ましくは、凹凸模様1の形状の変化率が5%以上15%以下である。
【0023】
凹凸模様1の形状の変化率は、上方向において隣り合う凸部3同士を比較して、その寸法変化で規定することができる。例えば、上方向において、凸部3の上下方向の寸法(YL1、YL2、YL3)を徐々に変化させていく場合、YL1とYL2の変化率及びYL2とYL3の変化率を0%よりも大きく50%以下の範囲とすることができる。例えば、YL1=30mm、YL2=28mm、YL3=26mmと変化する場合、YL1とYL2の間の変化率は、(YL1-YL2)/YL1×100=約6.7(%)となり、YL2とYL3の間の変化率は、(YL2-YL3)/YL2×100=約7.1(%)となる。
【0024】
また凹凸模様1の形状の変化率は、上方向において隣り合う凹部4同士を比較して、その寸法変化で規定することができる。例えば、上方向において、凹部4の前後方向の寸法(ZH1、ZH2、ZH3)を徐々に変化させていく場合、ZH1とZH2の変化率及びZH2とZH3の変化率を0%よりも大きく50%以下の範囲とすることができる。例えば、ZH1=10mm、ZH2=11mm、ZH3=12mmと変化する場合、ZH1とZH2の間の変化率は、(ZH2-ZH1)/ZH1×100=10(%)となり、ZH2とZH3の間の変化率は、(ZH3-ZH2)/ZH2×100=約9.1(%)となる。
【0025】
(実施形態2)
建築板2は、外壁材20として、例えば、建物の下階と上階とでそれぞれ使用することが可能である。外壁材20は表面に複数の凸部3と複数の凹部4とを備えた凹凸模様10が形成されているが、この凹凸模様10の形状が上方向で徐々に変化している。凹凸模様10は、石積み模様と梨地模様とを組み合わせて形成されている。
【0026】
下階で使用されている外壁材21は、例えば、その表面の凹凸模様11の形状が上方向において(下端から上端に向かって)石積み模様から梨地模様に徐々に変化している。上階で使用されている外壁材22は、例えば、その表面の凹凸模様12の形状が上方向において梨地模様から石積み模様に徐々に変化している。石積み模様から梨地模様への凹凸模様11、12の変化は、上方向において、凸部3の前面3aに形成されている天然石のような凹凸柄が徐々に消失して梨地模様へと変化し、且つ凹部4の底面4aが徐々に前方向に位置するように変化して凹部4が消失し、底面4aであった箇所に梨地模様が形成されていく。梨地模様から石積み模様への凹凸模様11、12の変化は、上方向において、凹部4の底面4aとなる箇所が徐々に後方向に位置するように変化して凹部4及び凸部3が生成され、且つ凸部3の前面3aに天然石のような凹凸柄が徐々に生成されて石積み模様へと変化する。外壁材21と外壁材22とは互いに上下を反転して使用することで兼用することが可能である。
【0027】
図2Aに示すように、外壁材21の上方向(上端側)には、第一隣接建築板31が突き付けにより隣接して施工されている。第一隣接建築板31は、表面に梨地模様の第一隣接凹凸模様311が全面にわたって形成されている。第一隣接凹凸模様311は外壁材21の上端近くの凹凸模様11と同じかあるいは見分けがつかない程度に近似している。
【0028】
また外壁材21の上方向と反対側(下端側)には、第二隣接建築板41が突き付けにより隣接して施工されている。第二隣接建築板41は、表面に石積み模様の第二隣接凹凸模様411が全面にわたって形成されている。第二隣接凹凸模様411は外壁材21の下端近くの凹凸模様11と同じかあるいは見分けがつかない程度に近似している。
【0029】
一方、図2Bに示すように、外壁材22の上方向(上端側)には、第一隣接建築板32が突き付けにより隣接して施工されている。第一隣接建築板32は、表面に石積み模様の第一隣接凹凸模様321が全面にわたって形成されている。第一隣接凹凸模様321は外壁材22の上端近くの凹凸模様12と同じかあるいは見分けがつかない程度に近似している。
【0030】
さらに外壁材22の上方向と反対側(下端側)には、第二隣接建築板42が突き付けにより隣接して施工されている。第二隣接建築板42は、表面に梨地模様の第二隣接凹凸模様421が全面にわたって形成されている。第二隣接凹凸模様421は外壁材22の下端近くの凹凸模様12と同じかあるいは見分けがつかない程度に近似している。
【0031】
このように第二隣接建築板41、42と、本実施形態の建築板21,22と、第一隣接建築板31、32を上方向にこの順で並べて施工することによって、上方向において第二隣接凹凸模様411、421から凹凸模様11、12を経て第一隣接凹凸模様311、321へと徐々に変化する。したがって、第二隣接建築板41、42と第一隣接建築板31、32とを直接隣接させて施工する場合に比べて、外壁の表面の凹凸模様が急激に変化することが少なく、且つ外壁の表面の凹凸模様の連続性も損ないにくくなる。
【0032】
なお、第一隣接建築板31、32及び第二隣接建築板41、42は建築板2と同様の窯業系建築板であり、第二隣接凹凸模様411,421及び第一隣接凹凸模様311、321は凹凸模様11、12と同様に凸部と凹部から形成される。
【0033】
(実施形態3)
図3A及び図3Bに実施形態3に係る建築板2を外壁材6として用いた施工構造を示す。外壁材6は表面に複数の凸部3と複数の凹部4とを備えた凹凸模様60が形成されているが、この凹凸模様60の形状が上方向で徐々に変化している。凹凸模様60は、左右方向に長い凸部3と凹部4とが上方向で交互に並んでストライプ模様に形成されている。
【0034】
外壁材6は、その表面の凹凸模様60の形状が上方向において(下端から上端に向かって)、凸部3の上下寸法と凹部4の上下寸法が徐々に変化している。図3Aにおいては外壁材61は、その表面の凹凸模様611の形状が上方向において、凸部3の上下寸法と凹部4の上下寸法が徐々に大きくなるように変化している。図3Bにおいては外壁材62は、その表面の凹凸模様621の形状が上方向において、凸部3の上下寸法と凹部4の上下寸法が徐々に小さくなるように変化している。外壁材61と外壁材62とは互いに上下を反転して使用することで兼用することが可能である。
【0035】
図3Aにおいては外壁材61の上方向(上端側)には、第一隣接建築板71が突き付けにより隣接して施工されている。第一隣接建築板71は、表面に横長のストライプ模様の第一隣接凹凸模様711が全面にわたって形成されている。第一隣接凹凸模様711は外壁材61の上端近くの凹凸模様611と同じかあるいは見分けがつかない程度に近似している。
【0036】
また図3Aにおいては外壁材61の上方向と反対側(下端側)には、第二隣接建築板81が突き付けにより隣接して施工されている。第二隣接建築板81は、表面に横長のストライプ模様の第二隣接凹凸模様811が全面にわたって形成されている。第二隣接凹凸模様811は外壁材61の下端近くの凹凸模様611と同じかあるいは見分けがつかない程度に近似している。
【0037】
一方、図3Bに示すように、外壁材62の上方向(上端側)には、第一隣接建築板72が突き付けにより隣接して施工されている。第一隣接建築板72は、表面に横長のストライプ模様の第一隣接凹凸模様721が全面にわたって形成されている。第一隣接凹凸模様721は外壁材62の上端近くの凹凸模様621と同じかあるいは見分けがつかない程度に近似している。
【0038】
さらに図3Bに示すように、外壁材62の上方向と反対側(下端側)には、第二隣接建築板82が突き付けにより隣接して施工されている。第二隣接建築板82は、表面に横長のストライプ模様の第二隣接凹凸模様821が全面にわたって形成されている。第二隣接凹凸模様821は外壁材62の下端近くの凹凸模様621と同じかあるいは見分けがつかない程度に近似している。
【0039】
このように第二隣接建築板81、82と、本実施形態の建築板61,62と、第一隣接建築板71、72を上方向にこの順で並べて施工することによって、上方向において第二隣接凹凸模様811、821から凹凸模様611、621を経て第一隣接凹凸模様711、721へと徐々に変化する。したがって、第二隣接建築板81、82と第一隣接建築板71、72とを直接隣接させて施工する場合に比べて、外壁の表面の凹凸模様が急激に変化することが少なく、且つ外壁の表面の凹凸模様の連続性も損ないにくくなる。
【0040】
なお、第一隣接建築板71、72及び第二隣接建築板81、82は建築板2と同様の窯業系建築板であり、第一隣接凹凸模様711、721及び第二隣接凹凸模様811,821は凹凸模様61、62と同様に凸部と凹部から形成される。
【0041】
(実施形態4)
図4に実施形態4に係る建築板2を外壁材としての第一建築板9aと第二建築板9bとして用いた施工構造を示す。第一建築板9aは表面に複数の凸部3と複数の凹部4とを備えた第一凹凸模様90aが形成されている。第二建築板9bは表面に複数の凸部3と複数の凹部4とを備えた第二凹凸模様90bが形成されている。第一凹凸模様90aと第二凹凸模様90bの形状が上方向で徐々に変化している。第一凹凸模様90aと第二凹凸模様90bは、左右方向に長い凸部3と凹部4とが上方向で交互に並んでストライプ模様に形成されている。
【0042】
第一建築板9aと第二建築板9bは、その表面の第一凹凸模様90aと第二凹凸模様90bの形状が上方向において(下端から上端に向かって)、凸部3の上下寸法と凹部4の上下寸法が徐々に変化している。第一凹凸模様90aと第二凹凸模様90bは、上方向において、凸部3の上下寸法と凹部4の上下寸法が徐々に大きくなるように変化している。第一建築板9aは上方向において、凸部3の上下寸法と凹部4の上下寸法が徐々に大きくなるように変化している。第二建築板9bは上方向において、第一建築板9aよりも凸部3の上下寸法と凹部4の上下寸法がさらに徐々に大きくなるように変化している。
【0043】
図4においては、第一建築板9aの上方向と反対側(下端側)には、第二建築板9bが突き付けにより隣接して施工されている。これにより、第一凹凸模様90aと第二凹凸模様90bが並んで連続している凹凸模様のような外観を呈する。
【0044】
第一建築板9aの上方向(上端側)には、第一隣接建築板71が突き付けにより隣接して施工されている。第一隣接建築板71は、表面に横長のストライプ模様の第一隣接凹凸模様711が全面にわたって形成されている。第一隣接凹凸模様711は第一建築板9aの上端近くの第一凹凸模様90aと同じかあるいは見分けがつかない程度に近似している。
【0045】
また第二建築板9bの上方向と反対側(下端側)には、第二隣接建築板81が突き付けにより隣接して施工されている。第二隣接建築板81は、表面に横長のストライプ模様の第二隣接凹凸模様811が全面にわたって形成されている。第二隣接凹凸模様811は第二建築板9bの下端近くの第二凹凸模様90bと同じかあるいは見分けがつかない程度に近似している。
【0046】
このように第二隣接建築板81と、本実施形態の第二建築板9bと、本実施形態の第一建築板9aと、第一隣接建築板71を上方向にこの順で並べて施工することによって、上方向において第二隣接凹凸模様811から第二凹凸模様90b及び第一凹凸模様90aとを経て第一隣接凹凸模様711へと徐々に変化する。したがって、第二隣接建築板81と第一隣接建築板71とを直接隣接させて施工する場合に比べて、外壁の表面の凹凸模様が急激に変化することが少なく、且つ外壁の表面の凹凸模様の連続性も損ないにくくなる。
【0047】
(変形例)
上記では、建築板及び隣接建築板が外壁材である場合について説明したが、これに限定されず、例えば、建築板及び隣接建築板は内壁材又は天井材などの内装材であってもよい。また建築板及び隣接建築板は、外壁材以外の外装材、例えば、屋根材又は幕板などであってもよい。
【0048】
上記では、建築板及び隣接建築板のいずれもが外壁材である場合について説明したが、これに限られない。例えば、図5に示すように、本実施形態の建築板が軒天井板900で、その隣接建築板が外壁材910であってもよい。この場合、軒天井板900の表面の凹凸模様901が外壁材910の表面の凹凸模様911に近づくように徐々に変化している。
【0049】
また上記では、一方向を上方向とし、一方向と反対側を下方向として説明したが、これに限定されず、一方向を下方向とし、一方向と反対側を上方向としてもよい。また一方向を右方向とし、一方向と反対側を左方向としてもよく、さらに一方向を左方向とし、一方向と反対側を右方向としてもよい。すなわち、左右方向に凹凸模様が変化する外壁等を形成することができる。
【0050】
また上記では、凹凸模様及び隣接凹凸模様が石積み模様と梨地模様の組み合わせ又は横長のストライプ模様で形成されていたが、これに限らない。凹凸模様及び隣接凹凸模様はそれぞれ、例えば、レンガ積み模様、タイル模様、縦長のストライプ模様、あるいはランダムな凹凸模様などを任意に組み合わせて形成することができる。
【0051】
また上記では、一方向において、凹凸模様は石積み模様から梨地模様へと変化する場合及びその逆の変化について説明したが、これに限られない。例えば、一方向において、凹凸模様は石積み模様から梨地模様へと徐々に変化し、さらに梨地模様からストライプ模様へと徐々に変化してもよい。すなわち、一枚の建築板の中で、形状の異なる複数種類の凹凸模様が混在するが、ある種類の凹凸模様から他の種類の凹凸模様への変化は徐々になっている。
【0052】
また上記では、表面の凹凸模様の形状が変化する場合について説明したが、これに限らず、表面の凹凸模様の形状の変化とともに、建築板の表面の色を変化させてもよく、例えば、一方向に色のグラデーションを形成してもよい。
【0053】
また、第一隣接建築板と第二隣接建築板とは厚みも異なるものであっても良い。
【符号の説明】
【0054】
1 凹凸模様
2 建築板
3 凸部
4 凹部
31、32 第一隣接建築板
311、321 第一隣接凹凸模様
41、42 第二隣接建築板
411,421 第二隣接凹凸模様
図1
図2
図3
図4
図5