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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20230308BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20230308BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
G09F9/00 350Z
G09F9/00 366A
G09F9/00 336E
G09F9/00 302
G09F9/30 308A
G09F9/00 313
G09F9/00 324
G09F9/30 349B
G09F9/30 309
G02F1/1333
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018150439
(22)【出願日】2018-08-09
(65)【公開番号】P2020027127
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-07-08
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】303018827
【氏名又は名称】Tianma Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 哲朗
【審査官】中村 直行
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-072463(JP,A)
【文献】特開2016-194670(JP,A)
【文献】国際公開第2010/125976(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0315407(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0128562(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 9/00 - 9/46
G02F 1/1333
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示領域を含む第1面と、前記第1面に対向する第2面と、を第1方向に湾曲する湾曲面として、有する液晶パネルと、
前記液晶パネルの前記第2面に取り付けられた接触部材と、
前記接触部材に取り付けられ、前記液晶パネルが平板に戻ろうとする弾性力と対向する押圧力を前記液晶パネルに対してかける押圧部材と、
前記接触部材と対向する位置において、前記押圧部材を固定する固定シャーシと、
前記固定シャーシを支持する支持部材と、を備え、
前記液晶パネルは、液晶を封止し前記湾曲面の内周に沿うシール、を含み、
前記湾曲面の非湾曲辺が定める第1軸と、前記第1方向が定める第2軸と、に直交する第3軸において、前記接触部材と前記液晶パネルとの接触領域は、前記シールの内側に位置
前記液晶パネルは、TFT基板と、前記TFT基板より前記第1面側に配置されたカラーフィルター基板と、を含み、
前記液晶を含む液晶層と、前記シールと、は前記TFT基板と前記カラーフィルター基板とに挟まれ、
前記液晶パネルは、前記TFT基板の前記第2面側に取り付けられたTFT偏光板と、
前記カラーフィルター基板の前記第1面側に取り付けられたカラーフィルター偏光板と、を含み、
前記TFT偏光板及び前記カラーフィルター偏光板の、前記第3軸における前記液晶パネルの外側方向における端部は、前記シールの前記外側方向に対向する内側方向における端部より、前記内側方向に位置し、
前記接触部材を通る前記第2軸に平行な第4軸上に、前記TFT偏光板と前記カラーフィルター偏光板と、が配置され、
前記TFT基板内の領域のうち、前記接触部材と前記TFT偏光板の接触領域が前記第2軸方向に投影された領域にのみ前記押圧部材による押圧力がかかるよう、前記接触部材が配置されている、表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示装置であって、
前記液晶パネルの前記第2面側に配置されたバックライトと、
前記固定シャーシは、前記バックライトの前記第1軸及び第2軸の少なくとも一方における周囲に配置されている、表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の表示装置であって、
前記固定シャーシは、前記液晶パネル、前記接触部材、前記押圧部材、及び前記バックライトを格納する容器であり、
前記支持部材は、
前記液晶パネルの前記第1面側に位置し、
前記固定シャーシに取り付けられ、
前記固定シャーシの開口部を覆う、表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の表示装置であって、
前記支持部材と前記液晶パネルの前記第1面とに挟まれたタッチパネルセンサを備える、表示装置。
【請求項5】
請求項2に記載の表示装置であって、
前記液晶パネルの前記第1面に取り付けられたタッチパネルセンサを備え、
前記支持部材は、前記タッチパネルセンサである、表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の表示装置であって、
前記液晶パネル、前記接触部材、前記押圧部材、前記バックライト、前記固定シャーシ、及び前記タッチパネルセンサを格納する容器である、バックライトシャーシと、
前記液晶パネルの前記第1面側に位置し、前記バックライトシャーシに取り付けられた前面カバーと、を備え、
前記タッチパネルセンサは、前記前面カバーと前記液晶パネルの前記第1面とに挟まれている、表示装置。
【請求項7】
請求項2に記載の表示装置であって、
前記液晶パネルの前記第1面側に位置する前面カバーと、
前記前面カバーと前記液晶パネルの前記第1面とに挟まれるタッチパネルセンサと、を備え、
前記支持部材は、前記前面カバーである、表示装置。
【請求項8】
請求項7に記載の表示装置であって、
前記液晶パネル、前記接触部材、前記押圧部材、前記バックライト、前記固定シャーシ、及び前記タッチパネルセンサを格納する容器である、バックライトシャーシを備え、
前記前面カバーは、前記バックライトシャーシに取り付けられ、前記固定シャーシの開口部を覆う、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搭載機器や設置場所のデザインに対応した形状を有する表示装置が求められている。このような要請に対して、例えば、表示面を湾曲形状にして筐体の外形と一体化した湾曲ディスプレイが提案されている。湾曲ディスプレイは、列車や車両等に搭載される。
【0003】
湾曲ディスプレイを実現するためには、表示パネルを構成する基板に可撓性を持たせることが必要とされている。表示パネルとして広く用いられる液晶ディスプレイにはガラス基板が用いられており、ガラス基板は膨張率が小さく、耐熱性や耐薬品性に優れているものの、ガラス基板は硬いため湾曲形状のディスプレイに、適用するのは不向きであるとされてきた。厚さ0.2mm程度以下のガラス基板によれば、可撓性を持たせて湾曲化が可能であることが提案されている。
【0004】
しかしながら、湾曲ディスプレイにおけるガラス基板には湾曲による引っ張りまたは圧縮の応力が加わり続けるため、非湾曲辺近傍の表示ムラの発生や接着剥がれなどの不具合が発生するおそれがある。そこで、表示パネル自体による平面形状に戻ろうとする弾性力に対抗して、表示パネルを湾曲状態に維持する構造が求められている。
【0005】
特開2011-85740号公報(特許文献1)には、湾曲形状の表示パネルに対して、表示面に対向する裏面側に液晶パネルの非湾曲辺の端部近傍を支持する裏面支持基板を設け、裏面支持基板332が、液晶パネルの非湾曲辺の端部近傍において、液晶パネルの非湾曲辺の端部に対面する部分が浮き上がって当該非湾曲辺の端部と接触しない浮き上がり形状を有する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-85740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術において、裏面支持基板は液晶パネルに対して押圧力をかけ続けているが、当該押圧力は液晶パネルの表示画面内に加わる構造である。従って、裏面支持基板と液晶パネルの被接触面との間には均一な接触が求められる。
【0008】
それに対して、高い温度や高い湿度等に周囲の環境が変化した場合は、裏面支持基板の寸法及び弾性率の変化により均一な接触が確保できない状態となる。すると、液晶パネルの表示画面に局所的な押圧の差が発生し、これによってカラーフィルター基板とアレイ基板とのギャップが変動してしまう。また、偏光板等の液晶パネルを構成する部材に対しても同様に、不要な力が加わることになる。その結果、局所的に強い力が加わったりして表示ムラ等の不具合が発生するおそれがある。
【0009】
そこで、本開示の一態様は、表示領域内における表示ムラ(表示の不均一性)が発生しない湾曲した表示面を有する表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本開示の一態様は以下の構成を採用する。表示装置は、表示領域を含む第1面と、前記第1面に対向する第2面と、を第1方向に湾曲する湾曲面として、有する液晶パネルと、前記液晶パネルの前記第2面に取り付けられた接触部材と、前記接触部材に取り付けられ、前記液晶パネルが平板に戻ろうとする弾性力と対向する押圧力を前記液晶パネルに対してかける押圧部材と、前記接触部材と対向する位置において、前記押圧部材を固定する固定シャーシと、前記固定シャーシを支持する支持部材と、を備え、前記液晶パネルは、液晶を封止し前記湾曲面の内周に沿うシール、を含み、前記湾曲面の非湾曲辺が定める第1軸と、前記第1方向が定める第2軸と、に直交する第3軸において、前記接触部材と前記液晶パネルとの接触領域は、前記シールの内側に位置する。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様によれば、表示領域内における表示ムラが発生しない湾曲した表示面を有する表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態における表示装置の一例を示す斜視図である。
図2】実施例1における図1のA-A’線で切断した表示装置の断面の一例を示す断面図である。
図3図3のA部の一例を示す部分拡大図である。
図4】実施例1におけるTFT基板を裏面側(即ちZ軸の負の方向)から見た場合におけるシールと接触部材の位置の一例を示す模式図である。
図5】実施例1における液晶パネルが平板に戻ろうとする弾性力のシミュレーションモデルにおける液晶パネルの一例を示す部分断面図である。
図6図5の表示装置の液晶パネルの一例を示す平面図である。
図7】実施例1において、押圧部材による押圧力が働いていない場合における、液晶パネルが平板に戻ろうとする弾性力のシミュレーション結果の一例を示す説明図である。
図8】実施例1において、押圧部材による押圧力が働いている場合における、液晶パネルが平板に戻ろうとする弾性力のシミュレーション結果の一例を示す説明図である。
図9】実施例2における図1のA-A’線で切断した表示装置の断面の一例を示す断面図である。
図10図9のA部の一例を示す部分拡大図である。
図11】実施例3における図1のA-A’線で切断した表示装置の断面の一例を示す断面図である。
図12】実施例4における図1のA-A’線で切断した表示装置の断面の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して実施形態を説明する。本実施形態は本開示を実現するための一例に過ぎず、本開示の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。各図において共通の構成については同一の参照符号が付されている。また、図面に描かれた形状は、実際の寸法及び比率とは必ずしも一致しない。また、各図面におけるハッチングは、各構成要素を区別するためのものでもあり、必ずしも切断面を意味するものではない。また、説明をわかりやすくするため、図示した物の寸法、形状については、誇張して記載している場合もある。
【実施例1】
【0014】
図1は、表示装置の一例を示す斜視図である。表示装置10は、例えば、前面カバー101とバックライトシャーシ201とを含む。バックライトシャーシ201は、例えば、開口部を有する所定形状のステンレス製の容器である。図1の例では、バックライトシャーシ201は、直方体の容器であり、1つの面が開いて開口部を形成している。前面カバー101は、例えば、バックライトシャーシ201の開口部を覆うようにバックライトシャーシ201に積層されている、ガラス板又は樹脂成型板である。
【0015】
前面カバー101の面150と対向する面において、バックライトシャーシ201が固定されている。面150は、画像が表示される表示面側の前面カバー101の面である。前面カバー101は、例えば、面150と面150に対向する面それぞれが、バックライトシャーシ201が配置されている方向へ湾曲する形状、を有する。
【0016】
図2は、図1のA-A’線で切断した表示装置10の断面の一例を示す断面図である。表示装置10は、前面ユニット100と後面ユニット200とを含む。前面ユニット100は、例えば、前面カバー101、第1接着層102、及び液晶パネル110を含む。液晶パネル110は、CF(Color Filter)偏光板111、CF基板112、シール113、TFT(Thin Film Transistor)基板114、及びTFT偏光板115を含む。
【0017】
後面ユニット200は、例えば、バックライトシャーシ201、バックライトユニット202、1つ以上の押圧部材203、及び1つ以上の接触部材204を含む。前面カバー101以外の前面ユニット100の各部材、及びバックライトシャーシ201以外の後面ユニット200の各部材は、バックライトシャーシ201内に格納される。
【0018】
なお、以下、バックライトシャーシ201に前面カバー101が積層する方向をZ軸方向(図2における上方向)とし、Z軸に垂直な平面をXY平面とし、XY平面のうち、バックライトシャーシ201の底面の長辺方向の一方(図2における右方向)をX軸方向とし、バックライトシャーシ201の底面の短辺方向の一方(図2における奥行方向)をY軸方向とする。前面カバー101の正のZ軸方向側に位置する面が、表示装置10における表示面である。なお、正のZ軸方向を上、負のZ軸方向を下、正のX軸方向を右、負のX軸方向を左、とも表現する。
【0019】
前面カバー101は、液晶パネル110の曲面形状を形作る高い剛性を持った曲面形状の構造体である。前面カバー101は、第1接着層102を介して、液晶パネル110上に積層されている。つまり、前面カバー101の非表示面(表示面を含む面に対向する面)側と液晶パネル110とは、第1接着層102によって接着されている。第1接着層102として、例えば、OCA(Optical Clear Adhesive Film)が用いられる。第1接着層102は、液晶パネル110のCF偏光板111上に積層されている。
【0020】
なお、高い剛性を持つ前面カバー101に液晶パネル110が接着されており、液晶パネル110に含まれる各基板及び各偏光板は、前面カバー101に沿った湾曲形状を有する。前面カバー101と同様に、当該各基板及び当該各偏光板は、XY平面に平行な面に底面を有する直方体(直方体は立方体を含む)の、XY平面に平行な面を湾曲面として、X軸方向の中央部に近づくほどZ軸の負の方向に湾曲させた形状を有する。
【0021】
つまり、当該各基板及び当該各偏光板のZX平面に平行な面における断面は、長方形(又は正方形)のX軸方向に平行な辺を湾曲辺、Y軸方向に平行な辺を非湾曲辺として湾曲させた形状である。つまり、当該各基板及び当該各偏光板のYZ平面に平行な面は、非湾曲辺のみからなる長方形(又は正方形)である。なお、液晶パネル110全体でみれば、液晶パネル110の表示領域を含む表示面と、表示面に対向する非表示面と、が負のZ軸方向に湾曲している。
【0022】
CF偏光板111は、CF基板112上に積層されている。CF基板112は、シール113上に積層されている。シール113は、TFT基板114上に積層されている。なお、シール113は、例えば、額縁状の形状をしており、その外枠は、TFT基板114及びCF基板112の外枠の内周に沿う。CF基板112とTFT基板114との間の空隙に液晶が充填され、シール113によって封止される。TFT基板114は、TFT偏光板115上に積層されている。
【0023】
バックライトユニット202上に、液晶パネル110が配置される。具体的には、TFT偏光板115が、バックライトユニット202の上面に積層されている。なお、TFT偏光板115とバックライトユニット202は接触しているものの、接合されていない。
【0024】
なお、TFT偏光板115の一部が、XY平面において、バックライトユニット202の上面からはみ出しており、当該一部において、TFT偏光板115の下面が接触部材204と接触する。接触部材204は、例えば、ゴムや樹脂材からなる。前述したように、接触部材204の正のZ軸方向の一面はTFT偏光板115と接触し、対向する面は押圧部材203と連結している。接触部材204は、Y軸方向のシール113に沿って形成されている。つまり、接触部材204は、TFT基板114の湾曲辺の端部近傍に位置し、非湾曲辺の内周に沿う。
【0025】
なお、接触部材204が、TFT基板114と接触する構造が採用されてもよい。具体的には、例えば、TFT偏光板115のX軸方向の端部が、シール113より内側に位置する場合に、接触部材204が、TFT基板114と接触する。
【0026】
押圧部材203は、バックライトシャーシ201の底面とも連結している。押圧部材203は、例えば、適切な押圧力(反力)を発生させるほどに圧縮された圧縮コイルばねである。なお、押圧部材203は、押圧を加えられる他の部材(例えば、天然ゴムや合成ゴムを代表とした圧縮された状態のエラストマー、又は金属や非金属からなる板バネや皿ばねのようなバネ材)でもよい。
【0027】
本実施例では、バックライトシャーシ201は押圧部材203を固定する固定シャーシとして機能し、前面カバー101は、固定シャーシであるバックライトシャーシ201を支持する支持板として機能する。支持板は高い剛性を有していることが望ましい。なお、表示装置10は、CF偏光板111及びTFT偏光板115の少なくとも一方を含まなくてもよい。
【0028】
図2中の矢印は、押圧部材203による押圧力の向きを示す。押圧部材203は、バックライトシャーシ201と接触部材204との間に位置し、接触部材204を介して液晶パネル110へ押圧力を掛けている。押圧力の強さが、液晶パネル110が曲面状態から平板に戻ろうとする弾性力(変形荷重)を打ち消す力となるように、押圧材の素材や圧縮幅が定められている。具体的には、当該押圧力は、当該弾性力以上であることが望ましい。
【0029】
バックライトユニット202は、バックライトを含み、例えば、バックライトシャーシ201の底面の中央部に配置される。バックライトユニット202は、例えば、導光板、光学フィルム、及びランプを含む。なお、押圧部材203は、バックライトユニット202のXY平面における周囲に配置されている。
【0030】
バックライトシャーシ201は、前面カバー101を除く前面ユニット100の各部と、バックライトユニット202と、押圧部材203と、接触部材204と、を収納する。バックライトシャーシ201は、前面カバー101と結合している。また、バックライトシャーシ201は、バックライトシャーシ201を除く後面ユニット200に含まれる各部を支える骨格となる。ここでは、バックライトシャーシ201は前面カバー101と結合されているが、バックライトユニット202が液晶パネル110の表示面との適正な位置を確保できるのであれば液晶パネル110の他の構造体と結合していてもよい。
【0031】
なお、本実施例における表示装置10の製造において、例えば、前面ユニット100と後面ユニット200とが別々に組み立てられ、後面ユニット200を前面ユニット100に押しつけて貼り付けられる。
【0032】
図3は、図2のA部の一例を示す部分拡大図である。点線151は、第1接着層102とCF偏光板111とTFT偏光板115の負のX軸方向の端部を示す。点線152は、シール113の内周端を示す。点線151が示す端部は、液晶パネル110の画面中心からシール113の内周端より外側に位置する。シール113の幅cは、例えば、1mm~3mm程度である。ここでいう幅とは、非湾曲辺によって定められる軸(Y軸)と、湾曲面を湾曲させた軸(Z軸方向)と、に直交する軸、即ちX軸における幅である。
【0033】
接触部材204とTFT偏光板115との接触幅dは、シール113の幅c以下である。また、接触部材204とTFT偏光板115との接触位置は、シール幅cの範囲内(シール113の外周部を含む)とする。即ち、接触部材204とTFT偏光板115との接触領域内の任意の点における正のz軸方向には、シール113が存在する(つまり、X軸において、接触部材204とTFT偏光板115との接触領域はシール113の内側に位置する)。
【0034】
また、例えば、接触部材204のY軸方向の長さは、シール113のY軸方向の長さと同一又は略同一である。図3を用いて説明した構成により、押圧部材203による押圧力は、液晶パネル110を介して前面カバー101へと伝達する。接触部材204の正のZ軸方向上には、少なくとも前面カバー101、第1接着層102、CF基板112、及びTFT基板114が配置されている。
【0035】
図4は、TFT基板114を裏面側(即ちZ軸の負の方向)から見た場合におけるシール113と接触部材204の位置の一例を示す模式図である。シール113は、前述したように額縁状の形状であり、TFT基板114の図4における正面視奥側の面に配置されている。また、領域153は、接触部材204とTFT偏光板115の接触領域がZ軸方向に投影された領域である。
【0036】
液晶パネル110が曲面状態から平板に戻ろうとする弾性力が、領域153において、Z軸の負の方向にかかる。そこで、従って、領域153に、押圧部材203による正のZ軸方向への押圧力を、Y軸方向に均一にかけることにより、液晶パネル110が曲面状態を維持することができる。
【0037】
なお、領域153は、CF基板112とTFT基板114をシール113で接合した領域でもあるため、領域153は液晶パネル110において、Z軸方向の剛性が最も高い領域である。TFT基板114内のうち領域153にのみ、押圧部材203による押圧力がかかるように、接触部材204が配置されていることが望ましい。これにより、液晶パネル110のCF基板112とTFT基板114の押圧力による変形を防ぐことができるからである。
【0038】
さらに、第1接着層102、CF偏光板111とTFT偏光板115の貼合位置(外形寸法)がシール113の内周端より外側に位置し、シール113を覆うことで、押圧力が前面カバー101に向かってZ軸方向にかかるようになる。
【0039】
前述した押圧力により、液晶パネル110を湾曲状態に維持することができる。また、接触部材204にかかる押圧力は、液晶パネル110を構成する部材や、第1接着層102等を屈曲させる応力とはならないため、接触部材204の接触領域近辺(Y軸方向の端部付近)の局所的な押圧による表示ムラの発生を抑えることができる。
【0040】
図5は、液晶パネル110が平板に戻ろうとする弾性力のシミュレーションモデルにおける液晶パネル110の一例を示す部分断面図である。前面カバー101と第1接着層102とは、接着固定されている。但し、第1接着層102が存在しないものとして後述するシミュレーションが行われている。第1接着層102とCF偏光板111とは、接着固定されている。CF偏光板111とCF基板112とは、接着固定されている。
【0041】
点線154は、表示面における画像の表示領域と非表示領域との境界を示し、点線154より内側(図5における負のX軸方向)が表示領域であり、外側が非表示領域である。表示面とシール113のX軸方向における距離は、例えば、3~6mm程度である。
【0042】
なお、図5には接触部材204は図示されていないが、接触部材204の全体が、XY平面において表示領域より外側に位置している。つまり、接触部材204は、バックライトユニット202から液晶に照射される光路上に位置していない。これにより、押圧部材203による押圧力は、主として表示領域ではなく接触部材204の正のZ軸方向へと働くため、表示領域における押圧力の差が発生しないため、表示ムラが発生しにくい。
【0043】
CF基板112とTFT基板114と、は非表示領域においてシール113を介して接着固定されている。CF基板112とTFT基板114と、表示領域において、画面内スペーサ部材116を介して密着する。画面内スペーサ部材116は、液晶層(液体)とスペーサ部材(但し、TFT表面とは接着せず)とを含む。TFT基板114とTFT偏光板115とは、接着固定されている。
【0044】
また、画面内スペーサ部材116に含まれる液晶層とスペーサ部材は、シール113と比較して柔らかい部材(ヤング率が低い)であることが望ましい。TFT基板114とTFT偏光板115の内部応力として曲面から平板状態へ戻ろうとする弾性力があり、弾性力が常にTFT基板114とTFT偏光板115に働いている状態である。
【0045】
この弾性力がシール113と表示領域内に働く場合、シール113はCF基板112と接着固定されているため、TFT基板114とTFT偏光板115の外見上の変化は少なく、一方、表示領域内ではTFT基板114が変形する現象が表に大きく現れると考えられる。そこで、以下では、弾性力の代表としてTFT基板114のX軸方向における端部に応力をかけた場合に、当該応力によって、画面内スペーサ部材116の変位(変形)どのように表れるのかを示すシミュレーション結果について説明する。
【0046】
図6は、図5の表示装置10の液晶パネル110の一例を示す平面図である。図6には、液晶パネル110の左半面(負のX軸方向の半面)が描かれている。表示領域155は、TFT基板114内の画像の表示領域である。領域156は、表示領域155の負のX軸方向の端部である。
【0047】
図7は、押圧部材203による押圧力が働いていない場合における、液晶パネル110が平板に戻ろうとする弾性力のシミュレーション結果の一例を示す説明図である。図7の例では、湾曲したTFT基板114とTFT偏光板115が平板に戻ろうとする弾性力がシール113に働いたことによる、TFT基板114の表示領域155内の領域156における変形量を示すシミュレーション結果が示されている。
【0048】
領域156の左側(即ち負のX軸方向)ほど変形量が大きく、領域156の左端(即ち表示領域155の負のX軸方向の端部)において概ね0.3μm変形している。また、領域156内の最大変形量は、1.011μmである。
【0049】
図8は、押圧部材203による押圧力が働いている場合における、液晶パネル110が平板に戻ろうとする弾性力のシミュレーション結果の一例を示す説明図である。当該押圧力は、前述した弾性力と同一であるものとする。領域156の左側ほど変形が確認されるものの、変形している領域の面積及びその変形量は、図7のシミュレーション結果と比較して小さい。変形量は、変形している領域のほぼ全ての箇所で0.11μm以下である。また、領域156内の最大変形量は、0.2878μmであり、図7のシミュレーション結果よりも小さい。
【0050】
以上、本実施例の表示装置10において、押圧部材203は、液晶パネル110が曲面状態から平板に戻ろうとする弾性力(変形荷重)を打ち消す押圧力をかけることにより、液晶パネル110の湾曲状態を維持することができ、ひいては液晶パネル110における表示ムラの発生を抑制することができる。
【0051】
なお、本実施例では、前面カバー101、第1接着層102、及び液晶パネル110が負のZ軸方向に湾曲している例を説明したが、前面カバー101、第1接着層102、及び液晶パネル110が正のZ軸方向に湾曲していてもよい。但し、この場合、前面カバー101、第1接着層102、及び液晶パネル110弾性力は正のZ軸方向に働くため、押圧部材203による押圧力が負のZ軸方向にかかっている必要がある。具体的には、押圧部材203がばねである場合には、押圧部材203は伸長された状態で固定されている。
【0052】
また、本実施例では、前面カバー101、第1接着層102、及び液晶パネル110はX軸方向の中央部に近づくほど負のZ軸方向に湾曲している例を説明したが、例えば、前面カバー101、第1接着層102、及び液晶パネル110のX軸方向又はY軸方向における端部に近づくほど、正の(又は負の)Z軸方向に湾曲していてもよい。具体的には、例えば、前面カバー101、第1接着層102、及び液晶パネル110は負のX軸方向の端部から正のX軸方向へ辿った途中の位置までは平坦面であり、当該途中の位置から正のX軸方向の端部にかけて緩やかに正のZ軸方向に湾曲化する部分湾曲形状であってもよい。この場合、湾曲化された側の非湾曲辺側(即ち正のX軸方向の端部側)だけに押圧部材203及び接触部材204が設けられてもよい。
【実施例2】
【0053】
実施例1の表示装置10との相違点について説明する。本実施例の表示装置10は、タッチパネルセンサを含む。図9は、図1のA-A’線で切断した表示装置10の断面の一例を示す断面図である。前面ユニット100は、バックライトシャーシ201に内に格納されるタッチパネルセンサ103と第2接着層104とを含む。
【0054】
タッチパネルセンサ103は、前面カバー101と液晶パネル110との間に配置され、第1接着層102によって前面カバー101と接着されている。第2接着層104は、タッチパネルセンサ103と液晶パネル110のCF偏光板111とを接着する。第2接着層104として、例えば、OCAが用いられる。タッチパネルセンサ103のセンサ有効領域のXY平面における端部は、例えば、液晶パネル110の表示領域よりもXY平面において外側に位置している。
【0055】
なお、タッチパネルセンサ103は、液晶パネル110と同様の湾曲形状を有する。つまり、タッチパネルセンサ103にも、液晶パネル110と同様に、平板に戻ろうとする弾性力が生じる。従って、押圧部材203による押圧力の強さは、タッチパネルセンサ103と液晶パネル110が曲面状態から平板に戻ろうとする弾性力(変形荷重)を打ち消す力であることが望ましい。
【0056】
なお、タッチパネルセンサ103の検出方式として、例えば、抵抗膜方式、静電容量方式、又は超音波表面弾性波方式等の任意の検出方式を採用することができる。また、タッチパネルセンサ103は、タッチパネルセンサ層と固定基板(例えばガラス基板)を含むタッチパネルセンサ基板(例えば、0.5mm~1mm程度の厚さ)であってもよいし、固定基板を含まないタッチパネルセンサフィルムであってもよい。
【0057】
図10は、図9のA部の一例を示す部分拡大図である。点線151は、第1接着層102と第2接着層104とCF偏光板111とTFT偏光板115の負のX軸方向の端部を示す。点線151が示す端部は、液晶パネル110の画面中心からシール113の内周端より外側に位置する。押圧部材203による押圧力は、液晶パネル110とタッチパネルセンサ103を介して前面カバー101へ伝達する。接触部材204の正のZ軸方向上には、少なくとも前面カバー101、第1接着層102、タッチパネルセンサ103、第2接着層104、CF基板112、及びTFT基板114が配置されている。
【0058】
以上、本実施例の表示装置10は、タッチパネルセンサ103を含み、液晶パネル110及びタッチパネルセンサ103を湾曲状態に維持することができる。
【実施例3】
【0059】
実施例2の表示装置10との相違点を説明する。本実施例の表示装置10は、後面シャーシを含み、押圧部材203の一方の端部とタッチパネルセンサ103とが後面シャーシに固定されている。
【0060】
図11は、図1のA-A’線で切断した表示装置10の断面の一例を示す断面図である。後面ユニット200は、1つ以上の後面シャーシ205を含む。後面シャーシ205それぞれは、バックライトユニット202のXY平面に平行な面において外側に配置され、バックライトシャーシ201内に格納される。後面シャーシ205は、例えば、ステンレス等によって形成される。
【0061】
後面シャーシ205それぞれの、正のZ軸方向の端部はタッチパネルセンサ103の正又は負のZ軸方向の端部と(図11の例では、後面シャーシ205がクリップとしてタッチパネルセンサ103を挟み込むように)結合する。後面シャーシ205それぞれの負のZ軸方向の端部は、押圧部材203の負のZ軸方向の端部と接続して押圧部材203の押圧力を支える。
【0062】
本実施例では、後面シャーシ205は、押圧部材203を固定する固定シャーシとして機能し、タッチパネルセンサ103は、固定シャーシである後面シャーシ205を支持する支持板として機能する。なお、後面シャーシ205を支持する支持板、即ち後面シャーシ205の正のZ軸方向の端部の結合先は、高い剛性を有する部材であり、かつ接触部材204より上層(即ち正のZ軸方向)に位置していれば、タッチパネルセンサ103以外の部材であってもよい。
【0063】
なお、図11における2つの後面シャーシ205同士が、正のY軸方向及び負のY軸方向の少なくとも一方におけるバックライトユニット202の外側において一体化した形状であってもよい。つまり、この場合、後面ユニット200は、後面シャーシ205を1つのみ含む。
【0064】
なお、本実施例におけるタッチパネルセンサ103は、前述したように後面シャーシ205を支持するために、固定基板を含まないタッチパネルセンサフィルムではなく、固定基板(例えばガラス基板)を含むタッチパネルセンサ基板であることが望ましい。
【0065】
なお、本実施例における表示装置10の製造において、例えば、タッチパネルセンサ103が接着された液晶パネル110を、第1接着層102を付した前面カバー101に貼り付けて前面ユニット100を組み立てる工程と、押圧部材203と接触部材204と後面シャーシ205とを一体化する工程と、を別々に実行する。続いて、一体化された押圧部材203と接触部材204と後面シャーシ205とを、前面ユニット100に押して貼り付け、その後、バックライトユニット202とバックライトシャーシ201とを一体化して、さらに貼り付ける。
【実施例4】
【0066】
実施例3の表示装置10との相違点を説明する。本実施例の表示装置10における後面シャーシ205は、押圧部材203の一方の端部と前面カバー101とに固定されている。
【0067】
図12は、図1のA-A’線で切断した表示装置10の断面の一例を示す断面図である。後面シャーシ205それぞれの正のZ軸方向の端部は前面カバー101の面150と対向する面と結合するクランパとして機能する。後面シャーシ205それぞれの負のZ軸方向の端部は、押圧部材203の負のZ軸方向の端部と接続して押圧部材203の押圧力を支える。
【0068】
本実施例では、後面シャーシ205が押圧部材203を固定する固定シャーシとして機能し、前面カバー101が、固定シャーシである後面シャーシ205を支持する支持板として機能する。また、タッチパネルセンサ103は、固定基板(例えばガラス基板)を含むタッチパネルセンサ基板であってもよいし、固定基板を含まないタッチパネルセンサフィルムであってもよい。
【0069】
なお、本実施例における表示装置10の製造において、例えば、タッチパネルセンサ103が接着された液晶パネル110を、第1接着層102を付した前面カバー101に貼り付けて前面ユニット100を組み立て、後面シャーシ205を押して貼り付け、その後、バックライトユニット202とバックライトシャーシ201とを一体化して、さらに貼り付ける。
【0070】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明が上記の実施形態に限定されるものではない。当業者であれば、上記の実施形態の各要素を、本発明の範囲において容易に変更、追加、変換することが可能である。ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。
【符号の説明】
【0071】
10 表示装置、100 前面ユニット、101 前面カバー、102 第1接着層、103 タッチパネルセンサ、104 第2接着層、110 液晶パネル、111 CF偏光板、112 CF基板、113 シール、114 TFT基板、115 TFT偏光板、200 後面ユニット、201 バックライトシャーシ、202 バックライトユニット、203 押圧部材、204 接触部材、205 後面シャーシ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12