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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】裁断装置
(51)【国際特許分類】
   B26D 7/18 20060101AFI20230308BHJP
【FI】
B26D7/18 G
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018213356
(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公開番号】P2020078846
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【弁理士】
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【弁理士】
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】森脇 俊之
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 力
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-136480(JP,A)
【文献】特開平09-234698(JP,A)
【文献】特開平04-035894(JP,A)
【文献】特開2012-011532(JP,A)
【文献】特開2014-061562(JP,A)
【文献】特開2003-326616(JP,A)
【文献】特開平06-278093(JP,A)
【文献】特開2009-095984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給装置から順次移送された複数の枚葉シートを順に裁断する裁断装置であって、
前記枚葉シートを、吸引により保持しつつ、所定のピッチで断続的に搬送する搬送路を有する、搬送手段と、
パンチ、及び当該パンチが進入する進入口が形成されているダイによって、前記搬送路によって搬送される前記枚葉シートの外縁の一部に打抜き加工を施す、少なくとも一つの打ち抜き手段と、
前記打ち抜き手段によって前記枚葉シートから打ち抜かれた打ち抜き片を、前記進入口を通じて、吸引する第1吸引手段と、
を備え、
前記ダイ及びパンチにより構成される打ち抜き刃の一部を用いて、前記枚葉シートに対する打抜き加工が施され、
前記第1吸引手段は、前記打抜き加工の1サイクル内で吸引のONとOFFとを行うように制御されている、
前記1サイクル内において、前記第1吸引手段よりも低圧で、常時吸引を行う第2吸引手段をさらに備え、
前記第2吸引手段は、前記打ち抜き片の吸引経路において、前記第1吸引手段よりも下流側に配置されている、裁断装置。
【請求項2】
前記第1吸引手段は、前記進入口の上流側から下流側へ前記枚葉シートが通過しているときに、吸引をOFFにするように制御されている、請求項1に記載の裁断装置。
【請求項3】
前記第1吸引手段は、
前記枚葉シートの移動の停止後、前記パンチが前記ダイに向かって移動を開始する前に、吸引をONにし、
前記パンチが前記ダイから離間するのを開始した後、前記枚葉シートの移動再開前に、吸引をOFFにする制御されている、請求項1または2に記載の裁断装置。
【請求項4】
前記第1吸引手段は、圧縮空気を噴出することで、前記進入口の内部を負圧にして前記打ち抜き片を吸引するように構成されている、請求項1から3のいずれかに記載の裁断装置。
【請求項5】
前記ダイの進入口に向かって空気を噴射する噴射手段をさらに備えており、
前記噴射手段は、前記打抜き加工の1サイクル内で噴射のONとOFFとを行うように制御されている、請求項1からのいずれかに記載の裁断装置。
【請求項6】
前記噴射手段は、前記パンチとともに前記ダイに向かって移動するように構成されている、請求項に記載の裁断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、裁断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示すような裁断装置は、パンチをダイの進入口に進入させることでシート材の打抜き加工を行っている。このとき、エアを噴射し、シート材から打ち抜かれた打ち抜き片をダイの進入路に落とすようにしている。さらに、外部に設けられたブロア等で打ち抜き片を進入路へ吸引し、打ち抜き片がパンチ側あるいは製品側に戻らないように排出していた。これによって、打ち抜き片がシート材に付着するなどの不具合を防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-66293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、柔らかい材料で形成されることが多い枚葉シートを搬送中に、打抜き加工を行うときに、上記のように吸引を行うと、枚葉シート自体も吸引されるおそれがあり、枚葉シートの搬送に影響を及ぼすおそれがあった。
【0005】
本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、枚葉シートの搬送に影響を及ぼすのを防止できる、裁断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の枚葉シートを順に裁断する裁断装置であって、前記枚葉シートを、所定のピッチで断続的に搬送する搬送路を有する、搬送手段と、パンチ、及び当該パンチが進入する進入口が形成されているダイによって、前記搬送路によって搬送される前記枚葉シートの少なくとも一部に打抜き加工を施す、少なくとも一つの打ち抜き手段と、前記打ち抜き手段によって前記枚葉シートから打ち抜かれた打ち抜き片を、前記進入口を通じて、吸引する第1吸引手段と、を備え、前記第1吸引手段は、前記打抜き加工の1サイクル内で吸引のONとOFFとを行うように制御されている。
【0007】
この構成によれば、第1吸引手段により、打抜き加工により打ち抜かれた打ち抜き片を吸引することができるため、打ち抜き片が搬送路や枚葉シートに付着するのを防止することができる。特に、枚葉シートは、柔らかい材料で形成されることが多いため、打ち抜き片をダイに押し込みにくい。したがって、本発明のような第1吸引手段を設けると特に有利である。また、第1吸引手段は、打抜き加工の1サイクル内で吸引のONとOFFとを行うように制御されている。すなわち、打抜き加工が開始されてから、次の打抜き加工が開始されるまでの間に、吸引をOFFにする時間を設けているため、この間の枚葉シートが搬送手段により移動しているときに、枚葉シートが吸引されるのを防止することができる。したがって、枚葉シートの搬送ピッチが乱れたり、搬送路からずれるなどの不具合を防止することができる。また、枚葉シート自体が吸引されない程度に吸引しても、打ち抜き片がシート材に付着するなどの不具合が生じるおそれがあるが、本発明によれば、このような不具合も防止することができる。
【0008】
上記裁断装置において、前記第1吸引手段は、前記進入口の上流側から下流側へ前記枚葉シートが通過しているときに、吸引をOFFにするように制御することができる。
【0009】
第1吸引手段の吸引をOFFにするタイミングは種々の設定が可能であるが、特に、枚葉シートが進入路の上流側から下流側に通過するときに、第1吸引手段の吸引がONになっていると、枚葉シートが進入口に吸引されやすいので、このタイミングで吸引をOFFにすると、枚葉シートの搬送の不具合をより防止することができる。
【0010】
上記裁断装置において、前記第1吸引手段は、前記枚葉シートの移動の停止後、前記パンチが前記ダイに向かって移動を開始する前に、吸引をONにし、前記パンチが前記ダイから離間するのを開始した後に、前記枚葉シートの移動再開前に、吸引をOFFにする制御することができる。
【0011】
これにより、枚葉シートの搬送の邪魔にならないタイミングで、吸引時間を長くすることができるため、打ち抜き片の吸引をより効果的に行うことができる。
【0012】
上記裁断装置において、前記第1吸引手段は、圧縮空気を噴出することで、前記進入口の内部を負圧にして前記打ち抜き片を吸引するように構成することができる。
【0013】
この構成によれば、吸引のON/OFFを空気の噴射のON/OFFで制御するので、実際に吸引が行われるまでの応答性を向上することができる。したがって、吸引のON/OFFをより細かなタイミングで行うことができ、より確実に打ち抜き片を吸引することができる。
【0014】
上記裁断装置では、前記1サイクル内において、前記第1吸引手段よりも低圧で、常時吸引を行う第2吸引手段をさらに備え、前記第2吸引手段は、前記打ち抜き片の吸引経路において、前記第1吸引手段よりも下流側に配置することができる。
【0015】
この構成によれば、第1吸引手段によって吸引された打ち抜き片を、常時吸引を行っている第2吸引手段によって吸引することができるため、打ち抜き片を所定の位置まで吸引し、回収することができる。
【0016】
上記裁断装置においては、前記ダイの進入口に向かって空気を噴射する噴射手段をさらに備えることができ、前記噴射手段は、前記打抜き加工の1サイクル内で噴射のONとOFFとを行うように制御することができる。
【0017】
この噴射手段により、第1吸引手段による打ち抜き片の吸引を補助することができる。すなわち、噴射手段から噴射される空気によって、打ち抜き片を進入口に向かわせることができるため、打ち抜き片を確実に進入口に吸引することができる。その結果、打ち抜き片が搬送路や枚葉シートに付着するのを確実に防止することができる。
【0018】
上記裁断装置において、前記噴射手段は、前記パンチとともに前記ダイに向かって移動するように構成することができる。
【0019】
この構成によれば、噴射手段がパンチとともに移動するため、進入口により近い位置で空気を噴射することができる。したがって、打ち抜き片を進入口へより確実に向かわせることができる。
【0020】
上記裁断装置においては、前記ダイ及びパンチにより構成される打ち抜き刃の一部を用いて、前記枚葉シートに対する打抜き加工を施すことができる。
【0021】
このように、打ち抜き刃の一部を用いて、枚葉シートに対する打抜き加工が行われると、パンチの外縁の一部によって打ち抜き片が進入口へと押し込まれるため、次のような利点がある。例えば、パンチの外縁全体で打ち抜き片を打ち抜く場合に比べ、打ち抜き片の外縁に、打ち抜かれている箇所と打ち抜かれていない箇所があるため、打ち抜き片の外縁において、パンチから離れるタイミングにズレが生じ易い。そのため、打ち抜き片が進入口に入りがたくなるおそれがある。したがって、このような打ち抜き加工の態様において、本発明に係る第1吸引手段を用いると、特に有利である。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る裁断装置によれば、枚葉シートの搬送に影響を及ぼすのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】裁断対象となる袋の平面図である。
図2】本発明に係る断裁装置の一実施形態を示す概略構成図である。
図3】無端ベルトの内面を示す平面図である。
図4】支持台の一部平面図である。
図5図4のA-A線断面図である。
図6】第1打ち抜きユニットの上刃部材を示す平面図である。
図7】第1打ち抜きユニットの下刃部材を示す平面図である。
図8】第2打ち抜きユニットの上刃部材を示す平面図である。
図9】第2打ち抜きユニットの下刃部材を示す平面図である。
図10】第1及び第2吸引ユニットを示す側面図である。
図11】第1吸引ユニットの拡大断面図である。
図12】打抜き加工を行っているときの、第1及び第2吸引ユニットを示す側面図である。
図13】パターン1に係る袋の搬送のモデル図である。
図14】パターン2に係る袋の搬送のモデル図である。
図15】第1吸引ユニット及び噴射ユニットの駆動のタイミングチャートである。
図16】袋が下刃部材を通過する例を示す側面図である。
図17】袋が下刃部材を通過する例を示す側面図である。
図18】打ち抜きユニットの他の例を示す平面図である。
図19】打ち抜きユニットの他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る断裁装置を袋の裁断に適用した場合の一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0025】
<1.裁断対象の袋の概要>
まず、裁断対象となる袋(枚葉シート)について、図1を参照しつつ説明する。図1は、裁断対象となる袋の平面図である。同図に示すように、この袋10は、矩形状に形成された2枚のシート材の周縁を融着などによって固定したものである。シート材は、例えば、プラスチックフィルム等の樹脂材料のフィルム、プラスチックフィルムに金属等を蒸着したフィルム、金属箔、それらを組み合わせたフィルム等で形成することができる。そして、裁断装置では、この袋10を短辺が搬送方向に沿うように搬送し、4つの隅部を円弧状に裁断する。以下では、搬送方向の上流側の一対の隅部を第1隅部11と称し、下流側の一対の隅部を第2隅部12と称することとする。そして、この裁断装置は、後述するように、第1隅部11を裁断した後、第2隅部12を裁断するように構成されている。なお、本明細書における「袋(枚葉シート)の幅」とは、裁断装置での搬送方向の長さをいうこととする。
【0026】
<2.裁断装置の概要>
図2は、本実施形態に係る断裁装置の概略構成図である。同図に示すように、本実施形態に係る裁断装置は、無端ベルト23を有する搬送路によって、上述した袋10を所定の搬送ピッチで断続的に搬送するものである。すなわち、上流側の製袋装置(供給装置)100で製造された袋10を受け取り、所定の搬送ピッチだけ、無端ベルト23を移動させて袋10を搬送した後、所定時間停止する。これを繰り返すことで、袋10を下流側の処理装置200に供給するようになっている。そして、搬送路の途中において、無端ベルト23の停止中には、後述する打ち抜きユニット4,5により隅部11,12の裁断が行われる。また、無端ベルト23の最下流付近においては、幅の異なる袋であっても同じ位置で停止し、その下流側の処理装置に袋10を受け渡すようになっている。以下、裁断装置の構成について説明した後、搬送に係る制御について説明する。
【0027】
図2に示すように、この裁断装置は、水平方向に、所定間隔をおいて配置された駆動プーリ21と、従動プーリ22と、これらプーリ21,22に掛け渡された無端ベルト23と、を備えている。駆動プーリ21にはサーボモータ(図示省略)が接続されており、このサーボモータで駆動プーリ21が断続的に回転することで、無端ベルト23が所定のピッチで、断続的に駆動するようになっている。
【0028】
また、上側を通過する無端ベルト23の下面は、支持台3によって支持されている。一方、上側を通過する無端ベルト23の上面には、上述した袋10が所定間隔で供給され、搬送されるようになっている。したがって、この無端ベルト23の上面が、袋10の搬送路を構成している。なお、本実施形態では、図2の右側から左側へ袋が搬送されることとし、右側が上流側または後側、左側が下流側または前側として説明を行うこととする。また、この搬送方向と直交する方向を幅方向と称することがある。
【0029】
さらに、この裁断装置には、無端ベルト23によって搬送される袋10の隅部11,12を裁断するための第1打ち抜きユニット4と、これよりも下流側に配置される第2打ち抜きユニット5が配置されている。また、無端ベルト23の搬送、打ち抜きユニット4,5の位置など、裁断装置の各種の制御は、制御ユニット7により行われている。以下、上述した各部材を詳細に説明する。
【0030】
<2-1.プーリ、無端ベルト、及び支持台>
各プーリ21,22の外周面には、軸方向に延びる歯が形成されている。すなわち、各プーリ21,22は歯車状に形成されている。
【0031】
無端ベルト23の内側の面(以下、内面といい、その反対の面を外面という)、つまりプーリ21,22が掛け渡されている面には、複数の突部231が所定間隔をおいて形成されており、これらの突部231が各プーリ21,22の歯に係合するようになっている。より詳細には、図3に示すように、無端ベルト23の内面において、幅方向(搬送方向と直交する方向)の両端には、幅方向に延びる突部231が形成されており、搬送方向に所定間隔をおいて配置されている。また、無端ベルト23の幅方向の中央、つまり両端の突部231の間には、平坦領域233が形成されており、この平坦領域233に、複数の貫通孔232が形成されている。
【0032】
本実施形態では、搬送方向に平行に並ぶ4列に沿って複数の貫通孔232が形成されている。但し、4列のうち、少なくとも一組の列の貫通孔232は幅方向に並ばないように、千鳥状に配置されている。
【0033】
図4は支持台の平面図、図5図4のA-A線断面図である。図4及び図5に示すように、支持台3の上面は、上側を通過する無端ベルト23の下面に接するように構成されており、この上面の幅方向の両端には、無端ベルト23の突部231が収容される一対の溝部31が形成されている。そして、両溝部31の間には、無端ベルト23の内面の平坦領域233に接する平坦な支持面32が形成され、この支持面32内に空気を吸引するための、吸引口33が形成されている。上記のように、平坦領域233には複数の貫通孔232が形成されているため、吸引口33から空気を吸引すると、貫通孔232を介して空気が吸引される。これにより、無端ベルト23の外面に袋10が吸引され、搬送中に位置ずれが生じないようになっている。
【0034】
<2-2.打ち抜きユニット>
両打ち抜きユニット(打ち抜き手段)4,5は、概ね同様の構成を有しているため、ここでは、主として第1打ち抜きユニット4について説明し、相違部分については後述する。
【0035】
図6は上刃部材の平面図であり、図7は下刃部材の平面図である。第1打ち抜きユニット4は、袋10の第1隅部11を裁断し、円弧状に形成するための装置である。そのため、図6及び図7に示すように、袋10の長手方向に並ぶ一対の上刃部材(パンチ)41と、これら上刃部材41の下方に配置された一対の下刃部材(ダイ)42と、上刃部材41を上下動する駆動部(図示省略)と、を備えている。さらに、第1打ち抜きユニット4には、一対の上刃部材41における袋10の長手方向の間隔、及び一対の下刃部材42における袋10の長手方向の間隔を調整可能な調整機構(図示省略)と、第1打ち抜きユニット4を搬送方向に移動させる移動機構(図示省略)と、を備えている。
【0036】
図6に示すように、各上刃部材41は、左右対称で、断面が概ね三日月状に形成されている。すなわち、上刃部材41の断面は、第1隅部11を裁断する円弧状の切断刃411と、この切断刃411よりも外側に配置された円弧状の外縁部412と、切断刃と外縁部の両端同士を連結する連結部413と、で囲まれた外形を有し、外縁部412が、第1隅部11の外側に凸となるように配置されている。
【0037】
また、各上刃部材41の下方には、下刃部材42がそれぞれ配置されている。図7に示すように、両下刃部材42は、平面視において、袋10の長手方向に、無端ベルト23及び支持台3を挟むように配置されており、各下刃部材42の上面が、無端ベルト23の上面と概ね同じ高さになるように設置されている。
【0038】
図7に示すように、各下刃部材42は、対応する上刃部材41が嵌まるように、上刃部材41と、同じ断面形状、つまり断面三日月状の凹部(進入口)420を有している。そして、各凹部420の開口周縁において、上刃部材41の切断刃411と対応する円弧状の部分が、下刃部材42の切断刃421を構成しており、上刃部材41の切断刃411と下刃部材42の切断刃421とで、袋10の第1隅部11を円弧状に切断するようになっている。
【0039】
以上のように構成された第1打ち抜きユニット4は、上記移動機構により搬送方向に移動可能となっている。すなわち、搬送路の任意の位置で、第1隅部11を裁断できるようになっている。より詳細に説明すると、この裁断装置には、搬送方向に延びるガイドレール(図示省略)が配置されており、このガイドレールに沿って、第1打ち抜きユニット4が搬送方向に移動可能となっている。また、ガイドレールと平行にラック(図示省略)が配置されており、第1打ち抜きユニット4には、このラックに噛み合うピニオン(図示省略)が回転駆動可能に取り付けられている。したがって、制御ユニット7により、ピニオンを回転駆動すると、第1打ち抜きユニット4を、搬送方向の任意の位置に配置することができる。
【0040】
一方、図8及び図9に示すように、第2打ち抜きユニット5は、第1打ち抜きユニット4と同様に構成されているが、上刃部材51及び下刃部材52の向きが相違している。すなわち、第2打ち抜きユニット5の上刃部材51及び下刃部材52は、切断刃511,521が搬送方向の上流側を向くように配置されている。これにより、袋10の第2隅部12を裁断するようになっている。また、第1打ち抜きユニット4と同様の構成により、第2打ち抜きユニット5も搬送方向に移動可能となっている。
【0041】
<2-3.吸引ユニット>
次に、第1及び第2吸引ユニットについて、図10及び図11を参照しつつ説明する。図10は第1及び第2吸引ユニットの概略構成を示す側面図、図11は第1吸引ユニットの拡大断面図である。
【0042】
図10に示すように、第1吸引ユニット(第1吸引手段)6は、各下刃部材42,52の下部に連結されており、下刃部材42,52の凹部420,520と連通する連結管61を有している。そして、連結管61の下部には、エジェクタ62が連結され、エジェクタ62の下流側の開口は、接続管63に連結されている。この接続管63には、各下刃部材42,52に連結されたエジェクタ62が連結されており、接続管63の下流には、コンプレッサと回収空間とを有する第2吸引ユニット(第2吸引手段)60が設けられている。
【0043】
図11に示すように、エジェクタ62は、公知のものを採用することができる。すなわち、このエジェクタ62は、連結管61と接続管63とを連通し、上下方向に延びる連通路621を有しており、この連通路621の途中に、斜め下方に延びる複数の注入路622が連結されている。そして、各注入路622には連通路621に向けて圧縮空気が注入されるようになっており、これによって、連通路621において、注入路622との連結部分よりも上方に負圧が生じるようになっている。そして、この負圧によって、各打ち抜きユニット4,5において、上刃部材41,51と下刃部材42,52によって切断された袋10の打ち抜き片Kが、吸引されるようになっている。
【0044】
後述するように、注入路622には、断続的に圧縮空気が注入されるようになっており、この空気の注入のタイミングに合わせて、打ち抜き片Kが吸引される。また、各下刃部材42,52からエジェクタ62によって吸引された打ち抜き片Kは、接続管63に吸引される。すなわち、上述した第2吸引ユニット60のコンプレッサにより吸引され、回収空間に回収される。そのため、第2吸引ユニット60のコンプレッサは、常時ONになっており、全ての下刃部材42,52の凹部420,520から吸引された打ち抜き片Kを回収するようになっている。
【0045】
<2-4.噴射ユニット>
次に、噴射ユニット8について説明する。図10に示すように、噴射ユニット8は、各上刃部材41,51に設けられている。この噴射ユニット8は、上刃部材41,51にブラケット80を介して取り付けられる2つの噴射管、つまり第1噴射管81と第2噴射管82とを有している。これら噴射管81,82は、コンプレッサ(図示省略)に接続されており、空気を噴射するようになっている。すなわち、第1噴射管81の噴射口は、上刃部材41の下端の切断刃411の中央付近に向けて斜め下方に空気を噴射するようになっている(図6の符号Pの付近)。すなわち、噴射された空気が上刃部材41,51の前方から上刃部材41,51の直下に向かうように構成されている。一方、第2噴射管82は、上刃部材41の下端の外縁部412の中央付近に向けて斜め下方に空気を噴射するようになっている(図6の符号Qの付近)。すなわち、噴射された空気が上刃部材41,51の後方から上刃部材41,51の直下に向かうように構成されている。
【0046】
そして、この噴射ユニット8は、第1及び第2噴射管81,82は、上刃部材41,51とともに移動するようになっており、図12に示すように、上刃部材41,51が下降している間の所定のタイミングで、空気を噴射するようになっている。したがって、上刃部材41,51が下刃部材42,52と嵌合する際には、噴射された空気は、下刃部材42,52の凹部420,520に向かうようになっており、これによって、打ち抜き片Kが凹部420,520内に流れるのを促進するようになっている。
【0047】
また、上刃部材41,51の下面には、噴射口415,515が形成されており、図示を省略すコンプレッサから上刃部材41,51を貫通する通路を介して、噴射口415,515から空気が噴射される。
【0048】
<2-5.制御ユニット>
次に、制御ユニット7について説明する。制御ユニットは、PLC(Programmable Logic Controller)など、公知のコンピュータで構成することができる。そして、上述したように、幅の異なる袋10であっても、隅部11,12の打ち抜きを正確に行うとともに、搬送路の最下流付近で同じ位置で袋を停止させて、下流の処理装置に受け渡すようにするため、制御ユニット7により、無端ベルト23の搬送ピッチ、各打ち抜きユニット4,5の位置決めなどの制御を行うことができる。その他、制御ユニット7は、処理速度の調整のため、無端ベルト23の搬送速度、停止時間などの制御も行うことができる。また、制御ユニット7には、袋10の搬送方向の幅を入力するための、テンキー、キーボード、タッチパネルなどの入力装置が設けられている。
【0049】
この制御ユニット7により、幅の異なる袋10の裁断処理を以下のように設定することができる。まず、製袋装置100からの袋10の受け入れ位置と、処理装置への袋10の受け渡し位置を予め決定しておく。受け入れ位置は、搬送路における最上流での袋10の停止位置であり、本実施形態では、袋10の上流側の端縁が、搬送路の最上流地点と一致するようになっている。図13に示すように、受け渡し位置は、搬送路における最下流での停止位置であり、搬送路の最下流地点からD1の幅をあけて袋10が配置されるようになっている。これら受け入れ位置及び受け渡し位置は、予め決定しておいてもよいし、入力装置により都度入力してもよい。そして、入力装置に、袋10の幅が入力されると、搬送路の長さは、既知であるため、ここから、無端ベルト23の搬送ピッチ、両打ち抜きユニット4,5の搬送方向の位置(各上刃部材41,51、各下刃部材42,52の打ち抜き位置)、搬送路上の袋10の個数が決定される。このとき、搬送される袋10の間隔D2が所定値以上(例えば、10mm以上)となるようにする。この間隔D2は、予め決定しておいてもよいし、入力装置により都度入力してもよい。これは、袋10の間隔が狭すぎると、裁断を行うときに隣接する袋10の隅部も裁断するおそれがあることによる。したがって、袋10の間隔の最小値を予め決めておけば、搬送路上に同時に配置される袋10の数も決定される。例えば、以下のように設定することができる。
【0050】
(パターン1)
・搬送路の長さL:1620mm(既知)
・袋の幅X:220mm
・袋の受け渡し位置(最下流点と袋との距離)D1:10mm(予め決定)
・隣接する袋の間隔D2:10mm以上(予め決定)
ここでは、受け渡し位置での袋10の位置が固定されているため、これを差し引いて、残りの袋10のピッチを計算する。すなわち、「(1620mm-10(D1)mm-220mm(受け渡し位置の袋10の幅))/(220mm+10mm)=6余り10mm」となり、同時に搬送される袋の個数は、受け渡し位置での袋を含めて、6+1=7個となる。そして、余りの10mmを6で割ると、1.66mmとなるため、袋の搬送ピッチPは、「220mm+10mm+1.66mm=231.66mm」となる。また、袋10が停止する位置に合わせて、各打ち抜きユニット4,5による裁断位置を決定し、各打ち抜きユニット4,5を移動させる。なお、各打ち抜きユニット4,5による裁断位置は特には限定されないが、搬送路の中央付近とすることができる。
【0051】
また、D1とD2とを同じにする場合(例えば、D1=D2≧10)には、以下のように計算することができる。すなわち、「(1620mm/(220mm+10mm)=7余り10mm」となり、同時に搬送される袋の個数は7個となる。そして、余りの10mmを7で割ると、1.43mmとなるため、袋の搬送ピッチPは、「220mm+10mm+1.43mm=231.43mm」となる。
【0052】
図13は、パターン1の搬送のモデル図である。このパターン1では、無端ベルト23は、231.66mm移動するごとに停止しつつ、下流側へ袋10を搬送する。そして、この例では、合計7個の停止位置のうち、4番目の停止位置で、第1打ち抜きユニット4により第1隅部11が裁断され、5番目の停止位置で、第2打ち抜きユニット5により第2隅部12が裁断されるように設定されている。
【0053】
(パターン2)
・搬送路の長さL:1620mm(既知)
・袋の幅X:160mm
・袋の受け渡し位置(最下流点と袋との距離)D1:10mm(予め決定)
・隣接する袋の間隔D2:10mm以上(予め決定)
上記パターン1と同様に計算を行う。「1620mm-10(D1)mm-220mm/(160mm+10mm)=8余り90mm」となり、同時に搬送される袋の個数は、受け渡し位置での袋を含めて、8+1=9個となる。そして、余りの90mmを8で割ると、11.25mmとなるため、袋の搬送ピッチPは、「160mm+10mm+11.25mm=181.25mm」となる。D1=D2の場合の計算は省略するが、パターン1で示したとおりである。
【0054】
図14は、パターン2の搬送のモデル図である。このパターンでは、無端ベルト23は、181.25mm移動するごとに停止しつつ、下流側へ袋10を搬送する。そして、この例では、合計9個の停止位置のうち、5番目の停止位置で、第1打ち抜きユニット4により第1隅部11が裁断され、6番目の停止位置で、第2打ち抜きユニット5により第2隅部12が裁断されるように設定されている。
【0055】
図13及び図14に示すように、以上のいずれのパターンにおいて、袋10の幅が変わっても、最上流での袋の停止位置、つまり製袋装置100からの受け入れ位置では、袋10の上流側の端縁が、搬送路の最上流地点と一致するようになっている。そして、最下流での停止位置、つまり処理装置200への袋の受け渡し位置では、搬送路の最下流地点から10mmの幅をあけて袋10が配置されるようになっている。
【0056】
また、この制御ユニット7は、後述するように、第1吸引ユニット6のエジェクタ62において、注入路622から圧縮空気を注入するタイミング、及び噴射ユニット8において各噴射管から空気を噴射するタイミングも制御している。
【0057】
<3.裁断装置の動作>
以上のように構成された裁断装置の動作について説明する。まず、裁断対象となる袋10の幅を制御ユニットに入力する。これにより、制御ユニットは、搬送路で配置する袋10の個数、搬送ピッチ、各打ち抜きユニット4,5の位置を決定する。ここでは、上記パターン1の入力を行うこととする。これに続いて、無端ベルト23を決定された搬送ピッチで、断続的に駆動する。
【0058】
そして、製袋装置100から裁断装置の搬送路の最上流地点に袋10を供給する。すなわち、図13に示すように、無端ベルト23が停止中に、搬送路の最上流地点に袋10の上流側の端縁が一致するように、製袋装置100から無端ベルト23へ袋10を受け渡す。これを繰り返すことで、製袋装置100から無端ベルト23へ袋10が順に渡され、常時7個の袋10が無端ベルト23で搬送されるようにする。そして、無端ベルト23で搬送中の袋10は、4番目の停止位置で第1隅部11が裁断され、5番目の停止位置で第2隅部12が裁断される。
【0059】
こうして、7番目の停止位置、つまり最下流位置において、袋10は、搬送路の最下流点から10mm離れた位置で停止し、この停止中に、下流側の処理装置200に渡される。
【0060】
次に、上述した第1吸引ユニット6と噴射ユニット8のON/OFFのタイミングについて、図15に示すタイミングチャートを参照しつつ説明する。なお、以下で説明する第1吸引ユニット6と噴射ユニット8の動作は、第1及び第2打ち抜きユニット4,5の両方で同じであるため、ここでは、第1打ち抜きユニット4における動作を説明する。また、図15に示す秒数は、一例であり、これに限定されるものではない。
【0061】
図15に示すように、袋10の搬送中の時刻t1で無端ベルト23が停止すると、これと同時に上刃部材41が下降を始める。また、これと同時に、噴射ユニット8及び第1吸引ユニット6がONになる。すなわち、各噴射管81,82からの空気の噴射が開始されるとともに、エジェクタ62の注入路622に圧縮空気が注入され、下刃部材42の凹部420において空気の吸引を開始する。その後、上刃部材41は下刃部材42の凹部420に嵌入して袋10の第1隅部11の裁断を行う。そして、時刻t2において上刃部材41が下限位置に到達すると、即座に上昇し、時刻t3において上限位置に達すると、上昇を停止する。裁断された打ち抜き片Kは、凹部420に吸引され、さらにエジェクタ62から接続管63を介して、第2吸引ユニット60に回収される。
【0062】
各噴射管81,82からの空気の噴射は、時刻t3において停止する。しかし、エジェクタ62による空気の吸引は、時刻t3後の時刻t4まで続く。その後、時刻t5において、無端ベルト23が再び駆動し、袋が搬送される。そして、時刻t6において、再び、無端ベルト23が停止し、上刃部材41,51が下降する。以上の動作を繰り返しながら、袋10の搬送と裁断が行われる。
【0063】
<4.特徴>
以上のように構成された裁断装置では、次の効果を得ることができる。
(1)各隅部11,12の裁断は、エジェクタ62が空気の吸引を行っている間に行われるため、裁断によって生じた打ち抜き片Kは、凹部420,520へと吸引されていく。また、各噴射管81,82から空気が噴射されているため、この空気によって、打ち抜き片Kは、凹部420,520へと誘導される。したがって、打ち抜き片Kが搬送路に残留したり、裁断後の袋10に付着するのを防止することができる。
【0064】
(2)本実施形態では、打ち抜き片Kの外周全体を切断刃で切断するのではなく、自由端である隅部11,12を袋10から切り離すように、上刃部材41,51の外縁の一部を用いて打抜き加工を行う。上記のように、上刃部材41,51には噴射口415,515が設けられており、打ち抜き時は、そこから噴射ユニット8と同じタイミングで打ち抜き片Kに向けて空気を噴射するようになっている。しかし、受け渡し時及び搬送時に袋10の位置がズレたり、袋10の寸法がばらつくと、打ち抜き片Kの大きさにバラツキが生じる可能性がある。これにより、上刃部材41,51の噴射口415,515からの噴射位置が一定であっても、打ち抜き片Kに対する噴射位置がばらつくおそれがある。
したがって、例えば、閉じた領域を打ち抜くように上刃部材で打ち抜き片の全体を凹部に押し込むのに比べ、本実施形態のように上刃部材41,51の一部を用いて裁断を行うと、上刃部材41,51が打ち抜き片Kに対して作用させることのできる力が弱い。そのため、切断後の打ち抜き片Kを凹部420,520に確実に押し込むことが難しい。また、本実施形態が対象とする袋10のような枚葉シートは、比較的柔らかい材料で形成されているため、特に、打ち抜き片Kを凹部420,520に押し込みにくい。したがって、上記のように隅部11,12に対して打抜き加工を施す際に、上記のような第1吸引ユニット6や噴射ユニット8を用いると特に有利である。
【0065】
(3)本実施形態に係る袋10のような枚葉シートは、上述したような比較的柔らかい材料で形成され、厚みが0.4mm以下の薄い場合や、袋10の隅部11,12の打ち抜き形状は任意であるものの、隅部11,12のRが5mm(C5mm)より大きくなる場合もある。そのような枚葉シートは、吸引力に抗する剛性が低くなり、凹部420、520に吸引されやすく、搬送時のトラブルの原因になる。そこで、本実施形態においては、エジェクタ62による空気の吸引は、無端ベルト23が駆動している間は停止している。したがって、搬送中の袋10が凹部420,520の上を通過しているときに、凹部420,520に吸引されるのを防止することができる。
【0066】
(4)エジェクタ62により、圧縮空気の注入をON/OFFすることで、空気の吸引を行っているため、吸引の応答性が高い。したがって、細かなタイミングで、吸引を迅速に行うことができる。
【0067】
(5)本実施形態では、袋10の第1隅部11と第2隅部12とを異なる打ち抜きユニット4,5で裁断するようにし、さらにこれらの搬送方向の位置を調整可能となっている。そのため、搬送ピッチと、裁断位置とを調整することで、袋10の幅が変わっても、上記パターン1,2のように、袋10の両端の隅部11,12の裁断を正確に行えるとともに、袋10が搬送路からの排出されるときの停止位置を揃えることができる。したがって、搬送路から排出される袋10を、その下流の処理装置200に対し、同じ位置で受け渡すことができるため、その後の袋10に対する処理をスムーズに行うことができる。例えば、袋の幅が変わるたびに、袋の受け取り場所を処理装置において調整するなどの複雑な処理が不要となる。なお、袋10の処理装置200への受け渡し位置は、完全に同じでなくてもよく、処理装置200への受け渡しに支障を来さない程度であれば、多少ずれていてもよい。したがって、このようにずれを許容された搬送ピッチを制御ユニット7により算出することもできる。なお、この点は、製袋装置100からの受け取り位置についても同じである。
【0068】
<5.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0069】
<5-1>
第1吸引ユニット6において、空気を吸引するタイミングは、特には限定されず、打抜き加工の1サイクル内で吸引のONとOFFとを行うように制御されていればよい。したがって、上記実施形態で示したタイミングチャートは一例であり、種々の変更が可能である。したがって、例えば、上記実施形態では、無端ベルト23が停止すると同時に第1吸引ユニット6で吸引を開始しているが、無端ベルト23が停止する前であっても、袋10が凹部420、凹部520を通過した時点で、吸引を開始してもよい。また、例えば、図16に示すように、袋10が位置(A)から位置(B)に連続的に移動し、その間に第1打ち抜きユニット4の下刃部材42の上方を通過する際には、吸引を行っていると、袋10が凹部420に吸い込まれるため、袋10がこのような挙動を取るときには、吸引を停止する必要がある。
【0070】
一方、図17に示すように、例えば、袋10が位置(C)から位置(D)に連続的に移動し、第2打ち抜きユニット5の下刃部材52の凹部の上方で停止する際には、吸引を行っていても著しい問題はない。この場合、空気の吸引を行うと、袋10の下流側の端部である第2隅部12は凹部520によって吸引されるが、第2隅部12は、打ち抜かれるため、この部分が吸引されていても問題はない。したがって、袋10の下流側の端部が、打ち抜き前に下刃部材52の上方で停止する際には、必ずしも空気の吸引を停止しなくてもよい。
【0071】
<5-2>
上記実施形態では、2つの打ち抜きユニット4,5で、第1隅部11に対して打抜き加工を施してから、第2隅部12の打抜き加工を行ったが、これを反対にし、第2隅部12に対して打抜き加工を施してから、第1隅部11の打抜き加工を行ってもよい。
【0072】
また、例えば、図18に示すように、2つの打ち抜きユニットを一体化し、隣接する袋10において、下流側の袋10の第1隅部11と、上流側の袋10の第2隅部12を同時に打ち抜くこともできる。この場合、各隅部11,12を打ち抜く、上述した2つの上刃部材41,51が一体となった上刃部材9と、これに対応する下刃部材(図示省略)が用いられる。
【0073】
また、上刃部材及び下刃部材の形状は一例であり、各隅部11,12を打ち抜くことができるのであれば、特には限定されない。
【0074】
<5-3>
上記実施形態では、搬送路上で袋10を一列にして搬送しているが、例えば、図19に示すように、2列以上で袋10を搬送することもできる。この場合、第1打ち抜きユニット4において、幅方向に隣接する隅部の裁断を行う上刃部材48を一体化し、2つの切断面を有するように構成することができる。この点は、下刃部材42、第2打ち抜きユニット5でも同様に構成することができる。
【0075】
<5-4>
無端ベルト23、各プーリ21,22、支持台3の構成は、特には限定されず、上述した以外の構成でもよく、プーリの数、位置なども適宜設定することができる。上記実施形態では、高速搬送を行うことができるようにプーリ21,22を歯車状に形成し、これに合わせて無端ベルト23に突部231を形成したり、支持台3に溝部31を形成したりしているが、搬送速度等によっては、突部231を有さない無端ベルト23であってもよい。
【0076】
<5-5>
両打ち抜きユニット4,5では、袋10の隅部11,12を円弧状に打ち抜いているが、円弧状に限られず、例えば、隅部11,12を斜めに直線状に切り取ったり、直線と曲線とが混在した形状に切り取るような処理を行うこともできる。また、本発明に係る吸引ユニットは、袋10の隅部でなく、閉じた領域を打ち抜くような打抜き加工にも適用することができる。
【0077】
<5-6>
第1吸引ユニット6では、エジェクタ62を用いて吸引を行っているが、打ち抜き片Kを吸引できるのであれば、これ以外の吸引手段を用いることもできる。
【0078】
<5-7>
噴射ユニット8の構成は特には限定されず、種々の変更が可能である。例えば、噴射管81,82の数、空気を噴射する位置は特には限定されない。また、噴射管81,82を上刃部材41,51とともに移動させず、静止したままで空気を噴射するようにしてもよい。
【0079】
<5-8>
上記実施形態では、第1吸引ユニット6と噴射ユニット8の両方を用いているが、噴射ユニット8は必ずしも設けなくてもよい。また、第2吸引ユニット60の構成は特には限定されず、これを用いず、第1吸引ユニット6で吸引した打ち抜き片Kを他の手段で回収することもできる。
【0080】
<5-9>
上記実施形態では、本発明に係る裁断装置を袋10の裁断に適用した例を示したが、本発明は、袋の裁断以外でも、シート材などの枚葉シート全般の裁断に適用することができる。
【符号の説明】
【0081】
10 袋(枚葉シート)
11 第1隅部
12 第2隅部
4 第1打ち抜きユニット(打ち抜き手段)
41 上刃部材(パンチ)
42 下刃部材(ダイ)
420 凹部(進入口)
5 第2打ち抜きユニット(打ち抜き手段)
51 上刃部材(パンチ)
52 下刃部材(ダイ)
520 凹部(進入口)
6 第1吸引ユニット(第1吸引手段)
60 第2吸引ユニット(第2吸引手段)
8 噴射ユニット(噴射手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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