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特許7240177方法、レジメン、組み合わせ、及びアンタゴニスト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】方法、レジメン、組み合わせ、及びアンタゴニスト
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20230308BHJP
   A61K 38/18 20060101ALI20230308BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20230308BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230308BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20230308BHJP
   C07K 14/505 20060101ALI20230308BHJP
   C07K 16/22 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61K38/18
A61K45/00
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61P7/06
C07K14/505
C07K16/22
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2018556972
(86)(22)【出願日】2017-04-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-13
(86)【国際出願番号】 GB2017051208
(87)【国際公開番号】W WO2017191437
(87)【国際公開日】2017-11-09
【審査請求日】2020-03-06
(31)【優先権主張番号】1607705.9
(32)【優先日】2016-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512006066
【氏名又は名称】カイマブ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャーマンシェウスキー ヴォルカー
(72)【発明者】
【氏名】テュール,イゴール
(72)【発明者】
【氏名】イェイトメン,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】アーキンストール,スティーブ
(72)【発明者】
【氏名】クルーブ,ジャスパー
【審査官】渡邉 潤也
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-508764(JP,A)
【文献】特表2016-501273(JP,A)
【文献】国際公開第2016/098079(WO,A2)
【文献】AMIR HAYAT,ERYTHROPOIETIN STIMULATING AGENTS IN THE MANAGEMENT OF ANEMIA OF CHRONIC KIDNEY DISEASE,PATIENT PREFERENCE AND ADHERENCE 2008,2008年,V2,P195-200,http://dx.doi.org/10.2147/PPA.S2356
【文献】Amgen Inc.,ARANESP(R)(darbepoitin alfa)injection, for intravenous or subcutaneous use,2015年07月,p.1-24
【文献】Amgen Inc.,Epogen(R)(epoetin alfa) injection, for intravenous or subcutaneous use,2013年12月,p.1-26
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/395
A61K 38/18
A61P 43/00
A61P 7/06
C07K 14/505
C07K 16/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節リウマチを患う対象における貧血の治療または予防のための抗骨形成タンパク質6(BMP6)アンタゴニスト含有薬学的組成物であって、
前記抗BMP6アンタゴニストである抗BMP6抗体またはその抗原結合フラグメントを有効成分として含有し、
治療または予防が、(a)前記抗BMP6アンタゴニスト含有薬学的組成物を対象に投与すること;及び(b)赤血球生成促進剤(ESA)を複数回の用量で対象に投与することを含み、ESAは、エリスロポエチンまたは低酸素誘導性因子プロリル-ヒドロキシラーゼ(HIF-PH)阻害剤であり、貧血が治療または予防され、
抗BMP6抗体またはその抗原結合フラグメントが、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含み、
(i)前記HCVRが、GYTFTSYAMH(配列番号20)のアミノ酸配列を含む重鎖相補性決定領域(HCDR)HCDR1;YINPYNDGTKYNENFKG(配列番号21)のアミノ酸配列を含むHCDR2;及び、RPFGNAMDI(配列番号22)のアミノ酸配列を含むHCDR3を含み、前記LCVRが、RSSENIYRNLA(配列番号23)のアミノ酸配列を含む軽鎖相補性決定領域(LCDR)LCDR1;AATNLAD(配列番号24)のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び、QGIWGTPLT(配列番号25)のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む;または、
(ii)前記HCVRが、配列番号20のアミノ酸配列を含むHCDR1;YINPYNRGTKYNENFKG(配列番号26)のアミノ酸配列を含むHCDR2;及び、配列番号22のアミノ酸配列を含むHCDR3を含み、前記LCVRが、配列番号23のアミノ酸配列を含むLCDR1;配列番号24のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び、配列番号25のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む;または、
(iii)前記HCVRが、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖のHCDR1、HCDR2、及び、HCDR3を含み、前記LCVRが、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖のLCDR1、LCDR2、及び、LCDR3を含む;または、
(iv)前記HCVRが、SYVVH(配列番号27)のアミノ酸配列を含むHCDR1;RIRLETHGYAAEYAASVKG(配列番号28)のアミノ酸配列を含むHCDR2;及び、VERSKSGFDN(配列番号29)のアミノ酸配列を含むHCDR3を含み、前記LCVRが、TGSSSNIGAGYSVH(配列番号30)のアミノ酸配列を含むLCDR1;GQSERPS(配列番号31)のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び、QSWDSSQTLVV(配列番号32)のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む;または、
(v)前記HCVRが、GFTFSSY(配列番号33)のアミノ酸配列を含むHCDR1;RLETHGYA(配列番号34)のアミノ酸配列を含むHCDR2;及び、VERSKSGFDN(配列番号35)のアミノ酸配列を含むHCDR3を含み、前記LCVRが、SSSNIGAGYS(配列番号36)のアミノ酸配列を含むLCDR1;GQS(配列番号37)のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び、WDSSQTLV(配列番号38)のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む;または、
(vi)前記HCVRが、SYVVH(配列番号39)のアミノ酸配列を含むHCDR1;RIKRESSSYTTMYAAPVKG(配列番号40)のアミノ酸配列を含むHCDR2;及び、VERSKSGFDN(配列番号41)のアミノ酸配列を含むHCDR3を含み、前記LCVRが、TGSSSNIGAGYSVH(配列番号42)のアミノ酸配列を含むLCDR1;GQSERPS(配列番号43)のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び、QSWDSSQTLVV(配列番号45)のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む;または、
(vii)前記HCVRが、GFTFSSY(配列番号46)のアミノ酸配列を含むHCDR1;KRESSSYT(配列番号47)のアミノ酸配列を含むHCDR2;及び、VERSKSGFDN(配列番号48)のアミノ酸配列を含むHCDR3を含み、前記LCVRが、SSSNIGAGYS(配列番号49)のアミノ酸配列を含むLCDR1;GQS(配列番号50)のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び、WDSSQTLV(配列番号51)のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む;または、
(viii)前記HCVRが、SYVVH(配列番号52)のアミノ酸配列を含むHCDR1;RTRHSDMGYATSYAAPVKG(配列番号53)のアミノ酸配列を含むHCDR2;及び、VERSKSGFDN(配列番号54)のアミノ酸配列を含むHCDR3を含み、前記LCVRが、TGSSSNIGAGYSVH(配列番号55)のアミノ酸配列を含むLCDR1;GQSERPS(配列番号56)のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び、QSWDSSQTLVV(配列番号57)のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む;または、
(ix)前記HCVRが、GFTFSSY(配列番号58)のアミノ酸配列を含むHCDR1;RHSDMGYA(配列番号59)のアミノ酸配列を含むHCDR2;及び、VERSKSGFDN(配列番号60)のアミノ酸配列を含むHCDR3を含み、前記LCVRが、SSSNIGAGYS(配列番号61)のアミノ酸配列を含むLCDR1;GQS(配列番号62)のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び、WDSSQTLV(配列番号63)のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む;または、
(x)前記HCVRが、SYVVH(配列番号64)のアミノ酸配列を含むHCDR1;RIKDHKQGYTTAYAASVKG(配列番号65)のアミノ酸配列を含むHCDR2;及び、VERSKSGFDN(配列番号66)のアミノ酸配列を含むHCDR3を含み、前記LCVRが、TGSSSNIGAGYSVH(配列番号67)のアミノ酸配列を含むLCDR1;GSSERPS(配列番号68)のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び、QSWDSSQTLVV(配列番号69)のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む;または、
(xi)前記HCVRが、GFTFSSY(配列番号70)のアミノ酸配列を含むHCDR1;KDHKQGYT(配列番号71)のアミノ酸配列を含むHCDR2;及び、VERSKSGFDN(配列番号72)のアミノ酸配列を含むHCDR3を含み、前記LCVRが、SSSNIGAGYS(配列番号73)のアミノ酸配列を含むLCDR1;GSS(配列番号74)のアミノ酸配列を含むLCDR2;及び、WDSSQTLV(配列番号75)のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、
抗BMP6アンタゴニスト含有医薬組成物。
【請求項2】
治療または予防が以下を含む、請求項1に記載の関節リウマチを患う対象における貧血の治療もしくは予防のための抗BMP6アンタゴニスト含有薬学的組成物:
(a)最初の日(D)に、対象に抗BMP6アンタゴニスト含有薬学的組成物を投与すること;及び、
(b)Dから開始する少なくとも3連続週の治療期間において、ESAの複数回の用量を投与すること。
【請求項3】
以下の特徴を有する、請求項1もしくは2に記載の関節リウマチを患う対象における貧血の治療もしくは予防のための抗BMP6アンタゴニスト含有薬学的組成物:
(i)対象がESAに対する不応性もしくは非反応性である;
(ii)対象が高血圧を有する;
(iii)対象が赤芽球癆を有する;または、
(iv)ESA用量が、抗BMP6アンタゴニスト含有薬学的組成物の非存在下での対象に対する従来のESA用量よりも低い。
【請求項4】
対象がESAに対する不応性もしくは非反応性である、請求項3に記載の関節リウマチを患う対象における貧血の治療もしくは予防のための抗BMP6アンタゴニスト含有薬学的組成物。
【請求項5】
対象が高血圧を有する、請求項3に記載の関節リウマチを患う対象における貧血の治療もしくは予防のための抗BMP6アンタゴニスト含有薬学的組成物。
【請求項6】
対象が赤芽球癆を有する、請求項3に記載の関節リウマチを患う対象における貧血の治療もしくは予防のための抗BMP6アンタゴニスト含有薬学的組成物。
【請求項7】
赤芽球癆がESAの投与に起因する、請求項6に記載の関節リウマチを患う対象における貧血の治療もしくは予防のための抗BMP6アンタゴニスト含有薬学的組成物。
【請求項8】
ESA用量が、抗BMP6抗体またはその抗原結合フラグメントの非存在下での対象に対する従来のESA用量よりも低い、請求項3に記載の関節リウマチを患う対象における貧血の治療もしくは予防のための抗BMP6アンタゴニスト含有薬学的組成物。
【請求項9】
ESAが、エポエチンアルファ、エポエチンベータ、エポエチンデルタ、エポエチンオメガ、エポエチンゼータ、および組換えエリスロポエチンからなる群の1つ以上から選択されるエリスロポエチンであるか、または、ESAが低酸素誘導性因子プロリル-ヒドロキシラーゼ(HIF-PH)阻害剤である、請求項1~8のいずれか一項に記載の関節リウマチを患う対象における貧血の治療もしくは予防のための抗BMP6アンタゴニスト含有薬学的組成物。
【請求項10】
エポエチンアルファが、ダルベポエチンであり、
エポエチンベータが、メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータである、請求項9に記載の関節リウマチを患う対象における貧血の治療もしくは予防のための抗BMP6アンタゴニスト含有薬学的組成物。
【請求項11】
ESAがダルベポエチンアルファまたはエポエチンアルファである、請求項1~10のいずれか一項に記載の関節リウマチを患う対象における貧血の治療もしくは予防のための抗BMP6アンタゴニスト含有薬学的組成物。
【請求項12】
前記HCVRが、配列番号20のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号21のアミノ酸配列を含むHCDR2、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むHCDR3を含み、前記LCVRが、配列番号23のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号24のアミノ酸配列を含むLCDR2、配列番号25のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の関節リウマチを患う対象における貧血の治療もしくは予防のための抗BMP6アンタゴニスト含有薬学的組成物。
【請求項13】
前記HCVRが、配列番号20のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号26のアミノ酸配列を含むHCDR2、及び配列番号22のアミノ酸配列を含むHCDR3を含み、前記LCVRが、配列番号23のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号24のアミノ酸配列を含むLCDR2、及び配列番号25のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の関節リウマチを患う対象における貧血の治療もしくは予防のための抗BMP6アンタゴニスト含有薬学的組成物。
【請求項14】
前記HCVRが、配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖のHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、前記LCVRが、配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖のLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の関節リウマチを患う対象における貧血の治療もしくは予防のための抗BMP6アンタゴニスト含有薬学的組成物。
【請求項15】
前記HCVRが、配列番号27のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号28のアミノ酸配列を含むHCDR2、及び配列番号29のアミノ酸配列を含むHCDR3を含み、前記LCVRが、配列番号30のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号31のアミノ酸配列を含むLCDR2、及び配列番号32のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の関節リウマチを患う対象における貧血の治療もしくは予防のための抗BMP6アンタゴニスト含有薬学的組成物。
【請求項16】
前記HCVRが、配列番号33のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号34のアミノ酸配列を含むHCDR2、及び配列番号35のアミノ酸配列を含むHCDR3を含み、前記LCVRが、配列番号36のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号37のアミノ酸配列を含むLCDR2、及び配列番号38のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の関節リウマチを患う対象における貧血の治療もしくは予防のための抗BMP6アンタゴニスト含有薬学的組成物。
【請求項17】
前記HCVRが、配列番号39のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号40のアミノ酸配列を含むHCDR2、及び配列番号41のアミノ酸配列を含むHCDR3を含み、前記LCVRが、配列番号42のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号43のアミノ酸配列を含むLCDR2、及び配列番号45のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の関節リウマチを患う対象における貧血の治療もしくは予防のための抗BMP6アンタゴニスト含有薬学的組成物。
【請求項18】
前記HCVRが、配列番号46のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号47のアミノ酸配列を含むHCDR2、及び配列番号48のアミノ酸配列を含むHCDR3を含み、前記LCVRが、配列番号49のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号50のアミノ酸配列を含むLCDR2、及び配列番号51のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の関節リウマチを患う対象における貧血の治療もしくは予防のための抗BMP6アンタゴニスト含有薬学的組成物。
【請求項19】
前記HCVRが、配列番号52のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号53のアミノ酸配列を含むHCDR2、配列番号54のアミノ酸配列を含むHCDR3を含み、前記LCVRが、配列番号55のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号56のアミノ酸配列を含むLCDR2、配列番号57のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の関節リウマチを患う対象における貧血の治療もしくは予防のための抗BMP6アンタゴニスト含有薬学的組成物。
【請求項20】
前記HCVRが、配列番号58のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号59のアミノ酸配列を含むHCDR2、及び配列番号60のアミノ酸配列を含むHCDR3を含み、前記LCVRが、配列番号61のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号62のアミノ酸配列を含むLCDR2、及び配列番号63のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の関節リウマチを患う対象における貧血の治療もしくは予防のための抗BMP6アンタゴニスト含有薬学的組成物。
【請求項21】
前記HCVRが、配列番号64のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号65のアミノ酸配列を含むHCDR2、及び配列番号66のアミノ酸配列を含むHCDR3を含み、前記LCVRが、配列番号67のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号68のアミノ酸配列を含むLCDR2、及び配列番号69のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の関節リウマチを患う対象における貧血の治療もしくは予防のための抗BMP6アンタゴニスト含有薬学的組成物。
【請求項22】
前記HCVRが、配列番号70のアミノ酸配列を含むHCDR1、配列番号71のアミノ酸配列を含むHCDR2、及び配列番号72のアミノ酸配列を含むHCDR3を含み、前記LCVRが、配列番号73のアミノ酸配列を含むLCDR1、配列番号74のアミノ酸配列を含むLCDR2、及び配列番号75のアミノ酸配列を含むLCDR3を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の関節リウマチを患う対象における貧血の治療もしくは予防のための抗BMP6アンタゴニスト含有薬学的組成物。
【請求項23】
関節リウマチを患う対象における貧血の治療または予防のための組み合わせであって、以下を含み:
(i)請求項1~22のいずれか一項に記載の抗BMP6アンタゴニスト含有医薬組成物;及び、
(ii)ある量の赤血球生成促進剤(ESA);
治療または予防が、以下を含
(a)前記抗BMP6アンタゴニスト含有医薬組成物を投与すること;及び、
(b)赤血球生成促進剤(ESA)を複数回の用量で対象に投与すること
ESAは、エリスロポエチンまたは低酸素誘導性因子プロリル-ヒドロキシラーゼ(HIF-PH)阻害剤である、組み合わせ物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物またはヒトのような対象における貧血を治療または予防することに関する。特に、本発明は、中程度から重度の貧血に対処する。さらに、本発明は、赤血球生成促進剤(ESA)の対象への投与を節約するための手段を提供する。
【背景技術】
【0002】
貧血は、世界人口の25%、または17億人を超える人、特に妊婦、新生児、及び子供に影響を与える主要な疾患である。40%を超える貧血が鉄の摂取、貯蔵、及び再利用の恒常性制御における機能不全を反映する。この調節不全は、感染(例えば、HIV、肝炎)、炎症(例えば慢性関節リウマチ)、癌、及び腎臓疾患を含む様々な慢性疾患の結果である。鉄の恒常性の調節不全を引き起こす疾患の甚大な影響は、65歳を超える成人の4000万人のうち10%が貧血に苦しみ、これらの1/3が慢性障害によって引き起こされる米国で見ることができる。
【0003】
標準治療は、輸血、及びEPOまたはAranesp(登録商標)(Amgen,Inc)などのESAによる治療に重点を置いている。
【0004】
抗体などの抗骨形成タンパク質6(BMP6)アンタゴニストは、貧血を治療または予防する方法における使用のために開発されている(例えば、WO2016/098079、US2016/0176956A1を参照)。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、抗BMP6アンタゴニストとESAとの併用療法を、貧血、特に中程度から重度の貧血(すなわち、9.5g/dL未満の血中ヘモグロビンによって示される)の治療または予防に使用できるという発明者らの実現に基づく。
【0006】
本発明者らは、そのような組み合わせが、ACD(慢性疾患の貧血)、炎症、または感染のような貧血の治療に驚くほど有効であることを見出し、この併用療法が、血液ヘモグロビン濃度の維持及び上昇を生じさせ、これは抗BMP6抗体単独の使用に対して統計学的に有意であることを実証した。さらに、そのような効果は、数週間にわたって驚くほど耐久性がある(単回投与で投与された抗BMP6抗体の後でさえも)。我々は、これが先行技術において示されていないかまたは示唆されていないと考えている。
【0007】
さらに、本発明の併用療法は、ESAを節約する貧血の治療に有用であり、すなわち、ESAの標準用量より低いESAによる治療を可能にする。これは、ESAの潜在的に有害な副作用の観点から有用である。本発明はまた、ESAに対して不応性であるか、または標準的なESA療法に対する応答が低い対象における貧血治療に有用であり得る。本発明は、中程度から重度の貧血の範囲外に血液ヘモグロビンを有効に維持することができ、かつ/または血液ヘモグロビンのこのような範囲への減少を予防することができる。したがって、本発明は、鉄または輸血療法の必要性を低減するのに有用である。
【0008】
本明細書に例示されるように、本発明は、炎症性疾患の背景及び微生物感染の背景における貧血治療に有用である。
【0009】
この目的のために、本発明は、以下の形態1-13を提供する:-
1.対象において少なくとも10g/dLのレベルに血液ヘモグロビンを維持する方法であって、抗BMP6アンタゴニストと赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含む、方法。
【0010】
2.対象の血液ヘモグロビンレベルの10g/dL未満への減少を予防する方法であって、抗BMP6アンタゴニストと赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含む、方法。
【0011】
3.貧血に罹患している対象において血液ヘモグロビンを少なくとも10g/dLのレベルまで上昇させる方法であって、抗BMP6アンタゴニストと赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含み、上記貧血が治療される、方法。
【0012】
4.対象における中程度または重度の貧血を治療または予防する方法であって、抗BMP6アンタゴニストと赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含み、上記貧血が治療または予防される、方法。
【0013】
5.炎症性疾患または状態に罹患している対象において貧血を治療または予防する方法であって、抗BMP6アンタゴニストと赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含み、上記貧血が治療または予防される、方法。
【0014】
6.貧血に罹患している対象に対して鉄の投与または輸血の必要性を排除または低減する方法であって、抗BMP6アンタゴニストと赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含み、上記必要性が排除または低減される、方法。
【0015】
一例において、不安定な血漿鉄(LPI)、強化LPI(eLPI)、及び非トランスフェリン結合鉄(NTBI)のうちの1つ、より多くまたは全てが対象において減少する。一例において、不安定な血漿鉄(LPI)、強化LPI(eLPI)及び非トランスフェリン結合鉄(NTBI)のうちの1つ、より多くまたは全てが対象において減少する。
【0016】
7.微生物感染に罹患している対象において貧血を治療または予防する方法であって、抗BMP6アンタゴニストと赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含む、方法。
【0017】
8.貧血に罹患している対象に対する貧血を治療するための赤血球生成促進剤(ESA)の投与を低減する方法であって、抗BMP6アンタゴニストと上記ESAとを投与することを含み、貧血が対象において治療される、方法。
【0018】
9.貧血に罹患しているかまたは貧血のリスクのある対象において貧血を治療するかまたは貧血のリスクを低減する方法であって、抗BMP6アンタゴニストと低用量の赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含み、対象において貧血が治療されるかまたは貧血のリスクが低減する、方法。
【0019】
10.貧血に罹患しているかまたは貧血のリスクのある対象において貧血を治療または予防するための治療レジメンであって、抗BMP6アンタゴニストとESAとを同時にまたは連続的に対象に投与することを含み、
a.0日目に、アンタゴニストを対象に投与し、7日目まで(例えば、1日目)にESAを対象に投与するか、または
b.0日目に、ESAを対象に投与し、7日目まで(例えば、1日目)にアンタゴニストを対象に投与するか、または
c.0日目に、アンタゴニストとESAとを同時に対象に投与するか、または
d.0日目に、対象は既にESAを投与されており、0日目にアンタゴニストを対象に投与するか、または
e.0日目に対象は既にアンタゴニストを投与されており、0日目にESAを対象に投与し、
それによって14日目またはそれ以降に、血液ヘモグロビンレベルが対象において少なくとも10g/dLであり、上記貧血が治療または予防される、治療レジメン。
【0020】
11.対象における貧血を治療または予防するための、先行する項に記載の方法またはレジメンで使用するための併用療法であって、組み合わせが
a.抗BMP6アンタゴニスト、
b.ESA、及び
c.任意で、方法またはレジメンにおける使用のための指示書を含む、併用療法。
【0021】
12.対象における貧血を治療または予防するための先行するいずれかの形態の方法またはレジメンにおいて使用するための抗BMP6アンタゴニスト。
【0022】
13.対象における貧血を治療または予防する方法で使用するための抗骨形成タンパク質6(BMP6)アンタゴニストであって、方法が上記抗BMP6アンタゴニストと赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含み、上記貧血が治療または予防される、抗骨形成タンパク質6(BMP6)アンタゴニスト。
【0023】
一態様において、アンタゴニストは、抗BMP6抗体またはフラグメントを含むか、またはそれらからなり、方法は、
(a)最初の日(D)に、対象に抗BMP6抗体またはフラグメントを投与することと、
(b)Dから開始する少なくとも3連続週の期間において、ESAの複数回の用量を投与することであって、上記対象の血液Hb濃度が上記期間の全継続期間にわたってDのベースライン濃度から上昇する、投与することと、を含み、
それによって、
(i)上記期間の全継続期間にわたって、Hb濃度がベースラインHb濃度の100%以上であり、上記期間中、Hb濃度がベースラインの少なくとも120%に達し、及び/または
(ii)上記期間の全継続期間にわたって、Hb濃度がベースラインを少なくとも1g/dl超えて増加する。
【0024】
以下に、方法または実施例及びデータによってさらなる実例を提示する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】マウスBrucellaモデルにおけるヘモグロビン値-抗体10mg/kg 0日目及び6日目、ESAなし
図2】マウスBrucellaモデルにおけるヘモグロビン値-抗体10mg/kg 0日目及び6日目、1日目のESA
図3】マウスBrucellaモデルにおけるヘモグロビンレベル-抗体10mg/kg 0日目及び6日目、7日目のESA
図4】治療概要
図5】ヘモグロビン濃度
図6】平均赤血球ヘモグロビン(MCH)レベル
【発明を実施するための形態】
【0026】
鉄はあらゆる形態の生命にとって必須のものであり、環境から供給されなければならないため、身体における利用可能性と使用は厳重に制御されている。鉄の恒常性の重要な調節因子は、ヘプシジンと呼ばれる25アミノ酸のペプチドホルモンである。ヘプシジンは肝臓によって産生され、鉄輸送体分子フェロポーチンの発現を制御することにより、主要な鉄摂取及び保存区画であるところの十二指腸腸細胞及びマクロファージに鉄を保持させる。ヘプシジン自体は、感染及び/または炎症の際の免疫系の活性化ならびに赤血球生成の後に、恒常性制御機構を通じて鉄のレベルによって調節される。重要なことに、ヘプシジンレベルは、慢性炎症状態、感染、及び特定の癌において上昇する。上昇したヘプシジンレベルは、腸細胞、マクロファージ、及び肝細胞において鉄を隔離し、それによって、ヘモグロビン合成及び赤血球生成を抑制する。これは、鉄貯蔵レベルが正常であるにもかかわらず、貧血をもたらす。ヘプシジン遺伝子発現は、BMP6(骨形成タンパク質6)と呼ばれる可溶性因子によって制御される。BMP6が存在しない場合、サイトカイン単独(または他のBMP)はBMP6シグナルの欠損を克服することができないため、BMP6はマスター調節因子と考えられている。したがって、本発明者らは、BMP6が、例えば慢性疾患の貧血(ACD)におけるような貧血における鉄恒常性の異常な調節不全を制御するための重要な薬物標的であることに注目した。
【0027】
BMP6は、マウス及びヒトにおけるヘプシジン産生の「マスター」調節因子と考えられる高度に保存された可溶性タンパク質因子である。したがって、BMP6のマウスへの投与は、ヘプシジンレベルを増加させ、血液及び血清の鉄を減少させるが、BMP6の阻害剤は逆のことをする。さらに、マウスBMP6遺伝子のノックアウトまたはBMP6経路内のヒト突然変異は、ヘプシジンならびに血液及び血清の鉄レベルの制御におけるBMP6の中心的役割を裏付ける。さらに、BMP6を標的とする前臨床及び臨床評価は、それぞれ、抗BMP6抗体をげっ歯類若しくはカニクイザルに投与することによる、またはフェーズI試験においてHJV-Fc(FMX-8、Ferrumax Inc)を用いてBMP6中和を行うことによる、利用可能な鉄のレベルの増加に由来する。Andriopoulos Jr. B,Corradini E,Xia Y,Faasse SA,Chen S,Grgurevic L,Knutson MD,Pietrangelo A,Vukicevic S,Lin HY and Babitt.2009.BMP-6 is a key endogenous regulator of hepcidin expression and iron metabolism.Nat.Genet.41(4),482-487;WO2016/098079、及びUS8980582が参照される。
【0028】
本発明の態様は以下のとおりであり、これらの態様(及び番号が付されていない全ての段落)は、任意の他の本明細書に記載される本発明の形態、例、特徴、態様、または条項と組み合わせることができ、本発明のアンタゴニスト(例えば、抗BMP6抗体もしくはフラグメント)またはESAは、以下の態様における方法において使用するために提供することができる(または方法において使用することができる)。
1.対象において少なくとも10、10.5、11、11.5、12、12.5、または13g/dLのレベルに血液ヘモグロビンを維持する方法であって、抗BMP6アンタゴニストと赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含む、方法。
【0029】
一例において、対象におけるHbレベルは11.11.5、または12g/dl以下である。
2.対象において対象の血液ヘモグロビンレベルの10、10.5、11、11.5、12、12.5、または13g/dL未満への減少を予防する方法であって、抗BMP6アンタゴニストと赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含む、方法。
【0030】
3.貧血に罹患している対象において血液ヘモグロビンを少なくとも10、10.5、11、11.5、12、12.5、または13g/dLのレベルまで上昇させる方法であって、抗BMP6アンタゴニストと赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含み、上記貧血が治療される、方法。
【0031】
任意の態様の一例において、対象は、BMP6アンタゴニストの投与前に、中等度または重度の貧血に罹患している。一実施形態において、方法の結果は対象が貧血を有していないか、または軽度(及び中程度または重度でない)の貧血を有することである。
【0032】
4.対象における中程度または重度の貧血を治療または予防する方法であって、抗BMP6アンタゴニストと赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含み、上記貧血が治療または予防される、方法。
【0033】
5.炎症性疾患または状態に罹患している対象において貧血を治療または予防する方法であって、抗BMP6アンタゴニストと赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含み、上記貧血が治療または予防される、方法。
【0034】
一例において、炎症性疾患または状態は、微生物感染(例えば、細菌感染)または関節リウマチの炎症からなる群から選択される。一例において、貧血は炎症の貧血(慢性疾患の貧血、ACDとしても知られる)である。
【0035】
6.貧血に罹患している対象に対して鉄の投与または輸血の必要性を排除または低減する方法であって、抗BMP6アンタゴニストと赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含み、上記必要性が排除または低減される、方法。
【0036】
一実施形態において、方法は、鉄の用量(例えば、毎週、2週間、または毎月の用量)または投薬頻度を低減する。
【0037】
7.微生物(例えば細菌)感染に罹患している対象において貧血を治療または予防する方法であって、抗BMP6アンタゴニストと赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含む、方法。
【0038】
8.貧血に罹患している対象に対する貧血を治療するための赤血球生成促進剤(ESA)の投与を低減する方法であって、抗BMP6アンタゴニストと上記ESAとを投与することを含み、貧血が対象において治療される、方法。
【0039】
9.貧血に罹患しているかまたは貧血のリスクのある対象において貧血を治療するかまたは貧血のリスクを低減する方法であって、抗BMP6アンタゴニストと低用量の赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含み、対象において貧血が治療されるかまたは貧血のリスクが低減する、方法。
【0040】
用量は、対象、例えば、男性または女性のようなヒトまたは成人における貧血を治療または低減するために典型的に使用される標準用量よりも低い。治療または予防のための典型的な用量は、当業者には容易に明らかであろう。たとえば、態様10を参照できる。
【0041】
Epogenは、典型的には複数の製剤でバイアル中に処方される。等張性塩化ナトリウム/クエン酸緩衝液で製剤化された単回用量バイアルは、複数の強度で供給される。各1mLバイアルは、注射用水であるUSP(pH6.9±0.3)中に、2000、3000、4000、または10,000単位のエポエチンアルファ、アルブミン(ヒト)(2.5mg)、クエン酸(0.06mg)、塩化ナトリウム(5.9mg)、及びクエン酸ナトリウム(5.8mg)を含む。等張性塩化ナトリウム/リン酸ナトリウム緩衝液で製剤化された単回用量の1mLバイアルは、注射用水であるUSP(pH6.9±0.3)中に、40,000単位のエポエチンアルファアルブミン(ヒト)(2.5mg)、クエン酸(0.0068mg)、塩化ナトリウム(5.8mg)、クエン酸ナトリウム(0.7mg)、リン酸二水素ナトリウム(1.8mg)、及びリン酸一塩基一水和物(1.2mg)を含む。複数回投与である2mLのバイアルは、1mLの注射用水であるUSP(pH6.1±0.3)当たり、10,000単位のエポエチンアルファ、アルブミン(ヒト)(2.5mg)、ベンジルアルコール(1%)、塩化ナトリウム(8.2mg)、及びクエン酸ナトリウム(1.3mg)を含む。複数回投与である1mLのバイアルは、1mLの注射用水であるUSP(pH6.1±0.3)中に、1mL当たり、20,000単位のエポエチンアルファ、アルブミン(ヒト)(2.5mg)、ベンジルアルコール(1%)、塩化ナトリウム(8.2mg)、クエン酸(0.11mg)、及びクエン酸ナトリウム(1.3mg)を含む。本発明の一例において、ESAは、これらの製剤の1つとして投与される。
【0042】
10.ESAが
a.エポエチンアルファであり、1000、1500、2500、5000、11000、18000、34000、または90000単位未満の週1回の投与量で投与され、任意で対象は、それぞれ<1500、1500~2499、2500~4999、5000~10999、11000~17999、18000~33999、34000~89999、または≧90000単位の週1回のエポエチンアルファ治療を以前に受けている;
b.ダルベポエチンアルファまたはAranesp(登録商標)であり、6.25、10、12.5、20、25、40、60、100、または200mcg未満の週1回の投与量で投与され、任意で対象は、それぞれ6.25、10、12.5、20、25、40、60、100、または200mcgの週1回のダルベポエチンアルファまたはAranesp(登録商標)治療を以前に受けているか、または
c.ダルベポエチンアルファまたはAranesp(登録商標)であり、6.25、10、20、40、60、100、または200mcg未満の週1回の投与量で投与され、任意で対象は、それぞれ1500~2499、2500~4999、5000~10999、11000~17999、18000~33999、34000~89999、または≧90000単位の週1回のエポエチンアルファ治療を以前に受けている、先行するいずれかの態様の方法。
【0043】
11.抗BMP6アンタゴニストが抗体であり、1、2、もしくは3週毎、または毎月、2か月毎、もしくは3か月毎などで30mg/kg以下(例えば、0.1~30mg/kg)の総用量で投与される、先行するいずれかの態様の方法。投与は、例えば、静脈内または皮下であり得、対象はヒト成人のようなヒトである。
【0044】
12.貧血に罹患しているかまたは貧血のリスクのある対象において貧血を治療または予防するための治療レジメンであって、抗BMP6アンタゴニストとESAとを同時にまたは連続的に対象に投与することを含み、
a.0日目に、アンタゴニストを対象に投与し、56、28、14、または7日目まで(例えば、1、6、または7日目)にESAを対象に投与するか、または
b.0日目に、ESAを対象に投与し、56、28、14、または7日目まで(例えば、1、6、または7日目)にアンタゴニストを対象に投与するか、または
c.0日目に、アンタゴニストとESAとを同時に対象に投与するか、または
d.0日目に、対象は既にESAを投与されており、0日目にアンタゴニストを対象に投与する;または
e.0日目に対象は既にアンタゴニストを投与されており、0日目にESAを対象に投与し、
それによって14日目またはそれ以降(例えば28、56、または70日目)に、血液ヘモグロビンレベルが対象において少なくとも10、10.5、11、11.5、12、12.5、または13g/dLであり、上記貧血が治療または予防される、治療レジメン。
【0045】
任意で、アンタゴニストは、7日目までに2回目が投与される(例えば、アンタゴニストが6日目に投与される)。
【0046】
13.抗BMP6アンタゴニストとESAとが7日を超えない間隔で対象に投与される、先行するいずれかの態様の方法またはレジメン。
【0047】
14.方法またはレジメンが、対象における血中ヘモグロビンレベルを対象において10g/dLを超えて維持する、先行するいずれかの態様のいずれか1つの方法またはレジメン。
【0048】
15.方法またはレジメンが、対象が抗BMP6アンタゴニストとESAを受けた後少なくとも13日または14日目に対象において血液ヘモグロビンレベルを少なくとも10g/dLに維持または上昇させる、先行するいずれかの態様のいずれかの方法またはレジメン。
【0049】
16.抗BMP6アンタゴニストとESAとが1日を超えない間隔で対象に投与される、態様14または15の方法またはレジメン。
【0050】
17.抗BMP6アンタゴニストとESAとが同時に対象に投与される、先行するいずれかの態様の方法またはレジメン。
【0051】
18.対象の血液ヘモグロビンレベルが、(例えば、14日目において)10、10.5、11、11.5、12、12.5、または13g/dL未満まで低下することが予防される、先行するいずれかの態様の方法またはレジメン。
【0052】
19.対象の血液ヘモグロビンが、(例えば、14日目において)少なくとも10、10.5、11、11.5、12、12.5、または13g/dLのレベルまで上昇する、先行するいずれかの態様の方法またはレジメン。
【0053】
20.対象において(例えば、14日目において)中程度または重度の貧血が予防される、先行するいずれかの態様の方法またはレジメン。
【0054】
21.対象が、
a.炎症性疾患もしくは状態に罹患しているか、または
b.感染症に罹患しているか、
c.腎臓病に罹患しているか、
d.HIVに罹患しているか、もしくはHIV治療を受けているか、または
e.癌に罹患しており、そして
対象において貧血が治療または予防される、先行するいずれかの態様の方法またはレジメン。
【0055】
一例において、対象は、HIV感染に罹患している、はHIV、肝炎、慢性関節リウマチ、慢性腎臓病、または末期腎臓病である。例えば、感染はグラム陰性細菌感染である。例えば、感染はグラム陽性細菌感染である。
【0056】
抗HIV療法で治療されたHIV感染したヒトは、貧血を発症する可能性がある。したがって、本発明は、そのような患者の貧血を治療または予防するために有用であり得る。一例において、方法またはレジメンは、例えば、ジドブジンが4200mg/週未満で投与される抗HIV療法を施されたHIV感染したヒトにおける貧血を治療または予防する。
【0057】
抗癌化学療法(例えば、抗CTLA4、抗PD-L1、抗TIGIT、抗ICOS、または抗PD1抗体などの対象に免疫チェックポイント阻害剤を投与することなどによる免疫療法)で治療された癌患者は貧血を発症する可能性がある。したがって、本発明は、そのような患者の貧血を治療または予防するために有用であり得る。一例において、方法またはレジメンは、癌に罹患しているヒトにおける貧血を治療または予防する。当技術分野において、エリスロポエチンなどのESAは、典型的には、初めに週に3回、150単位/kgの用量の静脈内または皮下でそのような患者に投与され、代替的に化学療法の過程が終了するまで週に1回、40,000単位の皮下で投与される。一例において、本発明は、ESAを週に3回、静脈内または皮下に150単位/kg未満で、もしくは450単位/ kg未満の1週間の総週用量で、または毎週、皮下に40,000単位未満で、ヒトに投与して、ヒト癌患者の貧血を治療または予防する。
【0058】
ESA治療は、当該技術分野において、患者、例えば外科手術を受けている患者における赤血球(RBC)輸血の必要性の低減のために使用されている。したがって、ESA治療は、例えば、待期的手術、非心臓手術、非血管手術のような手術による手術前後の失血のリスクが高い、10g/dLを超えるが13g/dL以下の手術前ヘモグロビンを有するヒト患者において使用される。ESAは、300単位/kgを皮下で15日間連続して1日1回投与される(手術前の10日間、手術の日、手術後4日間)、代替的に600単位/kgを皮下で、手術の21、14、及び7日前、ならびに手術日の4回投与される。一例において、本発明は、ヒトの外科手術患者における貧血を治療または予防し、ESAは、300単位/kg未満で連続15日間(手術前10日間、手術の日、手術後4日間)に1日1回、もしくは4500単位/kg未満の合計15日用量、または3~5回もしくは4回用量で600単位/kg未満、例えば、手術の21日前、14日、前及び7日前及び手術当日に、ヒトに投与される。
【0059】
22.対象において中程度または重度の貧血が治療または予防される、態様21の方法。
【0060】
23.対象が哺乳動物である、先行するいずれかの態様の方法またはレジメン。
【0061】
24.対象における貧血を治療または予防するための、先行するいずれかの態様に記載の方法またはレジメンで使用するための併用療法であって、組み合わせが
a.抗BMP6アンタゴニスト、
b.ESA、及び
c.任意で、方法またはレジメンにおける使用のための指示書を含む、併用療法。
【0062】
25.対象における貧血を治療または予防するための先行するいずれかの態様の方法またはレジメンにおいて使用するための抗BMP6アンタゴニスト。
【0063】
26.中程度または重度の貧血を治療または予防するための、態様24の組み合わせまたは態様25のアンタゴニスト。
【0064】
27.抗炎症剤と組み合わされる、態様24~26のいずれか1つのアンタゴニストの組み合わせ。
【0065】
28.アンタゴニストが抗BMP6抗体結合部位を含み、例えば、アンタゴニストが抗体または抗BMP6トラップである、先行するいずれかの態様の方法、レジメン、組み合わせ、またはアンタゴニスト。
【0066】
一例において、トラップは、ヒト抗体Fc領域に融合したヒトBMP6受容体ドメインを含む。一実施形態において、Fcはヒトγ-1または-4重鎖定常領域を含む。
【0067】
29.ESAがエリスロポエチンである、先行するいずれかの態様の方法、レジメン、組み合わせ、またはアンタゴニスト。
【0068】
30.抗炎症剤が対象に投与される、態様1~23、28、及び29のいずれか1つの方法またはレジメン。
【0069】
一例において、本発明は、内在性の鉄貯蔵を動員し、ヘモグロビン合成を増加させ、任意で赤血球産生をも増加させるために抗BMP6モノクローナル抗体(mAb)を使用する。本発明は、一態様において、ACD患者における静脈内の鉄または血液の注入の同時かつ一般的な使用の必要性を低減し得る。追加的または代替的に、本発明は、ESA(例えばEPO)による標準治療の基礎をなす用量を低減することができるか、またはESA(例えばEPO)に非応答性患者(もしくは低応答性のもの)を、抗BMP6アンタゴニストとのESAの共投与に応答性にすることができる。追加的または代替的に、本発明は、貧血がESA標準治療に不応性または非応答性である患者における貧血を治療または予防することができる。ESAは、制御不能の高血圧を有するか、またはESA(例えば、Arenesp(登録商標)のようなダルベポエチンアルファ、または例えばEpogen(登録商標)にもしくはProcrit(登録商標)のようなエポエチンアルファ)を投与されることに起因する赤芽球癆(PRCA、貧血の一種)を有する患者において普及している。
したがって、本発明の一実施形態において、対象(例えば、ヒト)は、
i.ESA(例えば、ダルベポエチンアルファまたはエポエチンアルファ)に対する不応性または非反応性であるか、
ii.高血圧(例えば、制御不能の高血圧)に罹患するか、罹患しているか、または
iii.赤芽球癆(例えば、ダルベポエチンアルファまたはエポエチンアルファのようなESAを投与されて引き起こされる)に罹患するか、罹患している。
【0070】
ESA治療などの薬物治療に関連した「難治性」は、当業者には容易に明らかであり、例えば、対象がESA抵抗性であるか、またはESAに対する低い応答性(すなわち、平均応答未満)であり、ESAを用いる標準治療によって貧血が効果的に治療されていないことを意味する。
【0071】
ESAは、典型的にはヘモグロビンを最低レベルに維持するために使用され、それは輸血を最小限に抑えることと、患者のニーズを最も満たすこととの両方をもたらす。上に説明したように、本発明は、その様々な形態、態様、例、及び実施形態において、ESAを節約する貧血の治療に有用であり、すなわち、ESAの標準用量より低いESAによる治療を可能にする。これは、ESAの潜在的に有害な副作用の観点から有用である。表1~4は、この点に関する関連情報を提供する。
【0072】
【表1-1】
【0073】
【表1-2】
【0074】
一例において、対象は、透析を受けていない慢性腎疾患(CKD)患者である。一例において、対象は、透析を受けている慢性腎疾患(CKD)患者である。一例において、対象は化学療法患者である(例えば、癌の化学療法を受けるか、または受けている)。
【0075】
【表2-1】
【0076】
【表2-2】
【0077】
【表2-3】
【0078】
【表2-4】
【0079】
【表2-5】
【0080】
一実施形態において、本発明の治療または予防は、表2に列挙された一つ以上の副作用、例えば、「一般的」な、「より一般的」な、または「非常に一般的」な副作用の一つ以上の発生またはリスクを、対象において低減させる。
【0081】
一態様において、本発明は、貧血に罹患しているかまたは貧血のリスクのある対象の副作用を低減したESA治療の方法であって、抗BMP6アンタゴニストと赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含み、上記貧血が治療または予防される、方法を提供する。任意で、表2に列挙された一つ以上のESAの副作用(例えば、「一般的」な、「より一般的」な、または「非常に一般的」な副作用の一つ以上)の発生またはリスクが低減する。一例において、治療は貧血治療である。一例において、治療は貧血予防である。一例において、貧血は中程度または重度の貧血である。
【0082】
【表3】
【0083】
一実施形態において、本発明の治療または予防は、対象において、表3に列挙される1つ以上の副作用の発生またはリスク、例えば、短縮した全生存期間及び/または腫瘍進行または再発の増加したリスクであって、ここで対象は、乳癌、非小細胞肺癌、頭頸部癌、リンパ性癌、及び子宮頸癌患者であるか、または脳卒中のような心臓血管または血栓塞栓反応を有するリスクを低減する。
【0084】
一態様において、本発明は、貧血に罹患しているかまたは貧血のリスクのある対象の副作用を低減したESA治療の方法であって、抗BMP6アンタゴニストと赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含み、上記貧血が治療または予防される、方法を提供する。任意で、表3に列挙される1つ以上のESAの副作用の発生またはリスク(例えば、短縮した全生存期間及び/または腫瘍進行または再発の増加したリスクであって、ここで対象は、乳癌、非小細胞肺癌、頭頸部癌、リンパ性癌、及び子宮頸癌患者であるか、または脳卒中のような心臓血管または血栓塞栓反応を有するリスク)が低減される。一例において、治療は貧血治療である。一例において、治療は貧血予防である。一例において、貧血は中程度の貧血である。一例において、貧血は中程度から重度の貧血である。一例において、貧血は重度の貧血である。一例において、本発明の貧血は、骨髄抑制化学療法による貧血である。
【0085】
【表4】
【0086】
本発明の態様は、(i)及び(ii)を提供する。
(i)貧血に罹患している対象に対する貧血を治療するための赤血球生成促進剤(ESA)の投与を低減する方法であって、抗BMP6アンタゴニストと上記ESAとを投与することを含み、貧血が対象において治療される、方法。
【0087】
(ii)貧血に罹患しているかまたは貧血のリスクのある対象において貧血を治療するかまたは貧血のリスクを低減する方法であって、抗BMP6アンタゴニストと低用量の赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含み、対象において貧血が治療されるかまたは貧血のリスクが低減する、方法。
【0088】
これらの態様の例では、ESAは
a.エポエチンアルファであり、1000、1500、2500、5000、11000、18000、34000、または90000単位未満の週1回の投与量で投与され、任意で対象は、それぞれ<1500、1500~2499、2500~4999、5000~10999、11000~17999、18000~33999、34000~89999、または≧90000単位の週1回のエポエチンアルファ治療を以前に受けているか、
b.ダルベポエチンアルファまたはAranesp(登録商標)であり、6.25、10、12.5、20、25、40、60、100、または200mcg未満の週1回の投与量で投与され、任意で対象は、それぞれ6.25、10、12.5、20、25、40、60、100、または200mcgの週1回のダルベポエチンアルファまたはAranesp(登録商標)を以前に受けているか、または
c.ダルベポエチンアルファまたはAranesp(登録商標)であり、6.25、10、20、40、60、100、または200mcg未満の週1回の投与量で投与され、任意で対象は、それぞれ1500~2499、2500~4999、5000~10999、11000~17999、18000~33999、34000~89999、または≧90000単位の週1回のエポエチンアルファ治療を以前に受けている。
【0089】
一例において、ESAは
(i)エポエチンアルファであり、3000~30000単位の範囲の週用量で投与されるか、または
(ii)ダルベポエチンアルファまたはAranesp(登録商標)であり、15~100単位の範囲の週用量で投与され、かつ
対象はヒト、例えば成人である。
【0090】
一例において、血液ヘモグロビンは、10g/dLを超えるレベルまで上昇するか、または維持される。
【0091】
一例において、対象は成人である。一例において、対象は乳幼児のヒトである。一例において、対象は、透析治療を受けているヒトCKD患者である。一例において、対象は末期腎疾患を有するヒトである。
【0092】
本発明の方法において、アンタゴニスト及びESAの治療上または予防上の有効量が対象に投与される。一例において、抗BMP6アンタゴニストとESAは、10、14、21または28日を超えない間隔で対象に投与される。例えば、抗BMP6アンタゴニストとESAは、1ヶ月または2ヶ月以下の間隔で対象に投与される。
【0093】
赤血球生成促進剤(ESA)の例は、エポエチンアルファ、Epogen(登録商標)、Dynepo(登録商標)、Eprex(登録商標)、エリスロポエチン、ダルベポエチンアルファ、Aranesp(登録商標)、エポエチンベータ、NeoRecormon(登録商標)、メトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ、Mircera(登録商標)、Procrit(登録商標)である。一実施形態において、本発明のESAは、これらのいずれか1つまたはこれらの2つ以上の組み合わせである。
一例において、ESAは、例えば以下の表から選択される組換えエリスロポエチンを含むか、またはそれからなる。エリスロポエチンは、様々なグリコシル化パターンを有し、アルファ、ベータ、デルタ、及びオメガの形態を生じる:
【0094】
【表5-1】
【0095】
【表5-2】
【0096】
一例において、本発明のESAは、アルファ、ベータ、デルタ、ゼータ、及びオメガの形態からなる群より選択される。
【0097】
一例において、ESAは、低酸素誘導性因子プロリル-ヒドロキシラーゼ(HIF-PH)阻害剤、例えば、ロキサデュスタットまたはFG-4592である。HIFは、体内の赤血球(RBC)の産生の主要な調節因子であり、潜在的に新規な貧血治療の機序である。この新規な作用機序は、低酸素誘導因子-プロリルヒドロキシラーゼ(HIF-PH)阻害剤と呼ばれている。HIF-PH阻害剤は、貧血に対する生体の自然な応答を模倣することによって作用する。これにより、体内の赤血球生成系の制御された、適応性のある刺激が可能になる。このシステム全体の活性化は、赤血球(RBC)産生の増加と骨髄の鉄供給の安定化の向上の両方をもたらし、このようなRBC産生に必要な鉄のヘモグロビンへの適切な取り込みを保証する。この適応シミュレーションは、人が高地に上昇するときに誘発される自然の応答と非常によく類似する。より高い高地においては、血流中を循環する低レベルの酸素が、腎臓及び肝臓中の関連する細胞における低減したHIF-PH活性をもたらす。低減したHIF-PH活性は、タンパク質HIF1α及びHIF2α(まとめてHIFαと呼ばれる)の細胞内レベルを安定化及び増加させる。ほとんどの細胞に関して、HIF2αの安定化はHIF1αの安定化よりも大きく、最終的にはエリスロポエチン(EPO)分泌の増加及びその後のRBC産生の増加をもたらす。HIF-PH阻害剤は、HIFαタンパク質の分解を促進するプロリルヒドロキシラーゼ酵素の作用を遮断することによって作用する。分解が阻害されると、これらのHIFαタンパク質のレベルは細胞内で増加する。これらのHIFは、生体及びその個々の細胞の全てが酸素レベルの変化に適応することを可能にする主要なタンパク質メディエーターである。両方のHIFαタンパク質が定常的に産生され、細胞中のそれらのレベルは、HIFαタンパク質を分解の標的とするHIF-PH酵素の活性によって調節される。HIF1αは、細胞が非常に低い酸素条件で生存するのを助けるが、HIF2αは海面から7500フィートまでの高度の変化に伴って起こるような酸素の中程度の変化に細胞や生体が適応するのを助ける。HIFαが安定化されているとき、それがタンパク質HIFに結合し、細胞の核に移動する。共に結合すると、それらはEPO及び他のいくつかのタンパク質の産生のための遺伝子シグナルを誘導する。HIF-PH阻害剤は、酸素の減少がHIFαレベルを増加させるのと同じように、体内のHIF-PH酵素を阻害することによってHIFαレベルを増加させる。HIFαの持続的な安定化(より高い高度での滞在またはHIF-PH阻害剤の毎日の投与による)によって、血液中を循環する酸素の量を増加させるために、ヘモグロビン及びRBCのレベルが上昇する。
【0098】
一例において、アンタゴニストは、代わりに抗BMP6抗体または抗BMP6抗体結合フラグメントである。抗BMP6抗体の例は、R&D Systemsより市販されているMAB507である(モノクローナルマウスIgG2B、クローン#74219)。他の好適な抗体は、抗BMP6アンタゴニストとしての本発明における可能性のある使用のために、その開示(ならびに明示的にそれらの中の抗体、可変領域、及びCDRの配列)が参照により本明細書に組み入れられる、US8980582、WO2016/098079、及びUS2016/0176956A1に開示される。
【0099】
一実施形態において、アンタゴニストは、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含む、ヒトBMP-6(配列番号1)に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを含むか、またはそれらからなり、ここで、LCVRは、相補性決定領域(CDR)であるLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、HCVRは、CDRであるHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、ここでLCDR1は、配列番号2のポリペプチドであり、LCDR2は、配列番号3のポリペプチドであり、LCDR3は、配列番号4のポリペプチドであり、HCDR1は、配列番号5のポリペプチドであり、HCDR2は、配列番号6または配列番号7のポリペプチドであり、HCDR3は、配列番号8のポリペプチドである。配列番号は、US8980582に開示されているものであり、これらの配列は、本発明における可能性のある使用のために、及び本明細書の1項以上の請求項に可能性として含めるために、参照により明示的に組み入れられる。
【0100】
一実施形態において、アンタゴニストは、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含む、ヒトBMP-6(配列番号1)に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを含むか、またはそれらからなり、ここで、LCVRは、相補性決定領域(CDR)であるLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、HCVRは、CDRであるHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、ここでLCDR1は、配列番号2のポリペプチドであり、LCDR2は、配列番号3のポリペプチドであり、LCDR3は、配列番号4のポリペプチドであり、HCDR1は、配列番号5のポリペプチドであり、HCDR2は、配列番号6のポリペプチドであり、HCDR3は、配列番号8のポリペプチドである。配列番号は、US8980582に開示されているものであり、これらの配列は、本発明における可能性のある使用のために、及び本明細書の1項以上の請求項に可能性として含めるために、参照により明示的に組み入れられる。
【0101】
一実施形態において、アンタゴニストは、軽鎖可変領域(LCVR)及び重鎖可変領域(HCVR)を含む、ヒトBMP-6(配列番号1)に結合する抗体またはその抗原結合フラグメントを含むか、またはそれらからなり、ここで、LCVRは、相補性決定領域(CDR)であるLCDR1、LCDR2、及びLCDR3を含み、HCVRは、CDRであるHCDR1、HCDR2、及びHCDR3を含み、ここでLCDR1は、配列番号2のポリペプチドであり、LCDR2は、配列番号3のポリペプチドであり、LCDR3は、配列番号4のポリペプチドであり、HCDR1は、配列番号5のポリペプチドであり、HCDR2は、配列番号7のポリペプチドであり、HCDR3は、配列番号8のポリペプチドである。配列番号は、US8980582に開示されているものであり、これらの配列は、本発明における可能性のある使用のために、及び本明細書の1項以上の請求項に可能性として含めるために、参照により明示的に組み入れられる。
【0102】
一実施形態において、アンタゴニストは、LCVR及びHCVRを含み、LCVRが配列番号9のポリペプチドであり、HCVRが配列番号10または配列番号11のポリペプチドである、ヒトBMP-6(配列番号1)に結合する抗体またはそれらの抗原結合フラグメントを含むか、またはそれらからなる。さらなる実施形態において、アンタゴニストは、LCVR及びHCVRを含み、LCVRが配列番号9のポリペプチドであり、HCVRが配列番号10のポリペプチドである、ヒトBMP-6(配列番号1)に結合する抗体またはそれらの抗原結合フラグメントを含むか、またはそれらからなる。別の実施形態において、アンタゴニストは、LCVR及びHCVRを含み、LCVRが配列番号9のポリペプチドであり、HCVRが配列番号11のポリペプチドである、ヒトBMP-6(配列番号1)に結合する抗体またはそれらの抗原結合フラグメントを含むか、またはそれらからなる。配列番号は、US8980582に開示されているものであり、これらの配列は、本発明における可能性のある使用のために、及び本明細書の1項以上の請求項に可能性として含めるために、参照により明示的に組み入れられる。
【0103】
一実施形態において、アンタゴニストは、LCVR及びHCVRを含み、LCVRが配列番号9のポリペプチドであり、HCVRが配列番号10または配列番号11のポリペプチドである、ヒトBMP-6(配列番号1)に結合する抗体を含むか、またはそれらからなる。さらなる実施形態において、本発明は、LCVR及びHCVRを含み、LCVRが配列番号9のポリペプチドであり、HCVRが配列番号10のポリペプチドである、ヒトBMP-6(配列番号1)に結合する抗体を提供する。別の実施形態において、アンタゴニストは、LCVR及びHCVRを含み、LCVRが配列番号9のポリペプチドであり、HCVRが配列番号11のポリペプチドである、ヒトBMP-6(配列番号1)に結合する抗体を含むか、またはそれらからなる。配列番号は、US8980582に開示されているものであり、これらの配列は、本発明における可能性のある使用のために、及び本明細書の1項以上の請求項に可能性として含めるために、参照により明示的に組み入れられる。
【0104】
一実施形態において、アンタゴニストは、軽鎖(LC)及び重鎖(HC)を含み、LCが配列番号12のポリペプチドであり、HCが配列番号13または配列番号14のポリペプチドである、ヒトBMP-6(配列番号1)に結合する抗体を含むか、またはそれらからなる。さらなる実施形態において、アンタゴニストは、LC及びHCを含み、LCが配列番号12のポリペプチドであり、HCが配列番号13のポリペプチドである、ヒトBMP-6(配列番号1)に結合する抗体を含むか、またはそれらからなる。別の実施形態において、アンタゴニストは、LC及びHCを含み、LCが配列番号12のポリペプチドであり、HCが配列番号14のポリペプチドである、ヒトBMP-6(配列番号1)に結合する抗体を含むか、またはそれらからなる。配列番号は、US8980582に開示されているものであり、これらの配列は、本発明における可能性のある使用のために、及び本明細書の1項以上の請求項に可能性として含めるために、参照により明示的に組み入れられる。
【0105】
一実施形態において、アンタゴニストは、2本の軽鎖及び2本の重鎖を含み、各々の軽鎖が配列番号12のポリペプチドであり、各々の重鎖が配列番号13のポリペプチドである、ヒトBMP-6(配列番号1)に結合する抗体を含むか、またはそれらからなる。一実施形態において、アンタゴニストは、2本の軽鎖及び2本の重鎖を含み、各々の軽鎖が配列番号12のポリペプチドであり、各々の重鎖が配列番号14のポリペプチドである、ヒトBMP-6(配列番号1)に結合する抗体を含むか、またはそれらからなる。配列番号は、US8980582に開示されているものであり、これらの配列は、本発明における可能性のある使用のために、及び本明細書の1項以上の請求項に可能性として含めるために、参照により明示的に組み入れられる。
【0106】
一実施形態において、本発明は、本発明の抗BMP6アンタゴニスト(例えば、抗体またはそれらの抗原結合フラグメント)及び許容可能な担体、希釈剤または賦形剤を含む薬学的組成物を提供する。より詳細には、本発明の組成物は、1種以上の追加の治療剤、例えばESA及び/または抗炎症剤をさらに含む。好適な抗炎症剤は、抗体または抗体フラグメント、例えば抗TNFα抗体(例えば、アダリムマブ、Humira(登録商標)、インフリキシマブ、Remicade(登録商標)、ゴリムマブ、Simponi(登録商標)、またはトラップ(例えば、エタネルセプトもしくはEnbrel(登録商標));または抗TNFR抗体もしくは抗体フラグメント、または抗IL6R抗体(例えば、サリルマブ、トシリズマブまたはActemra(登録商標))であり得る。
【0107】
一例において、抗BMP6アンタゴニスト、抗体またはフラグメントは、当該技術分野で公知の一般的な方法によって、例えば、表面プラズモン共鳴(SPR)バイオセンサーを37℃で使用することによって測定されるとき、約1×10-8M未満、好ましくは約1×10-9M未満のKDでBMP6に結合する。
【0108】
「有効量」とは、生物学的もしくは医学的反応または所望の治療効果を対象、哺乳動物またはヒトに対して引き起こす本発明のアンタゴニスト(例えば、抗体)もしくはESAまたは本発明の薬学的組成物の量を意味し、研究者、医師、または他の臨床医によって求められる。有効量は、個人の病状、年齢、性別、及び体重、ならびに個人における所望の応答を引き起こす抗体及び/またはESAの能力などの要因に応じて変動し得る。有効量はまた、任意の毒作用または有害作用よりも治療的に有益な効果が上回る量である。
【0109】
用語「治療」、「治療する」、「治療する」などは、貧血、中程度の貧血、重度の貧血または血液ヘモグロビン減少などの障害の進行を遅くするまたは逆行させることを含むことを意味する。これらの用語は、障害または状態が実際に完全には消失しない場合でさえ、障害または状態(貧血、中程度の貧血、重度の貧血または血液ヘモグロビン減少など)の1つ以上の症状を緩和する、改善する、軽減する、排除する、または低減することを含む。対象または患者は、BMP-6活性の阻害から恩恵を受ける哺乳動物、好ましくは、疾患、障害または状態(例えば、貧血または貧血のリスクがある)を有するヒトを指す。「予防する」という用語は、例えば、貧血などの疾患または状態のリスクを低減することである。
【0110】
本発明のESA、抗BMP6アンタゴニスト抗体、もしくはそれらの抗原結合フラグメント、またはそれらを含む薬学的組成物は、非経口経路(例えば、皮下、静脈内、腹腔内、筋肉内、または経皮)によって投与され得る。投与は単独で、または医薬的に許容可能な担体及び/もしくは希釈剤と1回または複数回の用量で組み合わせて対象に投与することができる。本発明の薬学的組成物、組み合わせ、またはアンタゴニストは、当該技術分野において周知の方法(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,19th ed.(1995),A.Gennaro et al.,Mack Publishing Co.)によって調製され得、1種以上の薬学的に許容可能な担体、希釈剤、または賦形剤を含むか、またはそれらと組み合わせてもよい。
【0111】
一例において、対象は、BMP6アンタゴニストの投与前に中程度または重度の貧血に罹患しており、中程度または重度の貧血が治療される。一実施形態において、対象は投与前に中程度の貧血に罹患しており、対象は治療後に軽度の貧血を有するかまたは貧血を有していない。一実施形態において、対象は投与前に重度の貧血に罹患しており、対象は治療後に軽度もしくは中程度の貧血を有するかまたは貧血を有していない。一実施形態において、治療後、対象は、軽度の貧血を有するかまたは貧血を有しておらず、そして中程度または重度の貧血を有していない。別の実施形態において、治療後、対象は貧血を有さない。一実施形態において、対象は、投与前に9.5g/dL未満の血液ヘモグロビンレベルを有し、治療後、対象は、少なくとも10、11、12、13または14g/dLの血液ヘモグロビンレベルを有する。
【0112】
ヘモグロビン濃度が妊婦で11g/dL、妊娠していない女性で12g/dL、男性で13g/dLを下回るとき、一般的に貧血を考慮に入れる。
【0113】
貧血の重篤度は、以下のヘモグロビン濃度範囲によって分類される:
●ヘモグロビンが9.5~13.0g/dLの間にあるとき、軽度の貧血を考慮に入れる。
●ヘモグロビンが8.0~9.5g/dLの間にあるとき、中程度の貧血を考慮に入れる。
●ヘモグロビン濃度が8.0g/dL未満であるとき、重度の貧血を考慮に入れる。
【0114】
一例において、ヘモグロビンのレベルは、海面での測定値であるか、またはそれと同等である。
【0115】
一実施形態において、対象はヒトの男性、例えば、成人または乳幼児である。一実施形態において、対象はヒトの女性、例えば成人または乳幼児、例えば妊娠していない女性または妊婦である。一例において、ヒトは透析患者である。乳幼児は、生後1ヶ月超のヒトであり得る。
【0116】
一例において、方法は、貧血に罹患している対象に対して鉄の投与または輸血の必要性を排除または低減する方法、例えば、対象に対する鉄の用量及び投与頻度を低減するための方法である。
【0117】
本発明は、抗BMP6アンタゴニストとESAを同時にまたは連続的に投与することを含み得る。一例において、アンタゴニストとESAは、1ヶ月、4週間、3週間、2週間、1週間、10日間、9日間、8日間、7日間、6日間、5日間、4日間、3日間、2日または1日を超えない間隔で投与される。本明細書に例示されるように、アンタゴニストとESAの投与は、7日を超えない(例えば、1日を超えない)間隔である場合に有効であり得る。一例において、抗BMP6アンタゴニストとESAは、10、14、21または28日を超えない間隔で対象に投与される。
【0118】
一例において、ESAは、1週間に2、3、または4回投与される。一例において、ESAは、1月当たりまたは8週間の期間に1、2、3、または4回投与される。一例において、ESA(例えば、エポエチンアルファ)は、<3000、2900、2800、2700、2600、<2500、2500、2400、2300、2200、2100、<2000、2000、1900、1800、1700、1600、1500、1400、1300、1200、1100、または1000単位/kg/週の総用量で投与される。別の例において、ESAは、1月当たりまたは8週間の期間に1、2、3、または4回投与される。一例において、ESA(例えば、エポエチンアルファ)は、<15、<30、12、11、10、9、8、7、6、または5単位/kg/週の総用量で投与される。
【0119】
一例において、ESA及び/またはアンタゴニストは、静脈内または皮下で対象に投与される。
【0120】
一例において、貧血は、ジドブジン治療を受けるか、または受けている対象にある。
【0121】
任意で、本発明のいずれの形態はまた、以下の1つ以上のものである:
(a)例えば、貧血のリスクを治療または低減するために、増加した血液の鉄の増加または維持すること、
(b)鉄欠乏症を治療すること、
(c)慢性炎症貧血(ACI)のリスクを治療または低減すること、
(d)慢性疾患の貧血(ACD)のリスクを治療または低減すること、
(e)癌、腎臓病またはGvHDに関連する貧血のリスクを治療または低減すること、
(f)血液または血清の鉄レベルを上昇させること、
(g)網状赤血球数を増加させること、
(h)赤血球数を増加させること、
(i)ヘモグロビンを増加させること、及び
(j)対象(例えば、ヒト)におけるヘマトクリットを増加させること。
【0122】
一実施形態において、本発明は、対象における赤血球生成を調節する(例えば、増加させる)ためのものである。
【0123】
一実施形態において、対象は、BMP6遺伝子SNP rs111588693を含むヒトである。これは貧血の傾向の増加と相関する可能性がある。
【0124】
一例において、貧血は、癌の貧血または慢性腎疾患(CKD)の貧血などの慢性疾患の貧血(ACD)である。過剰な炎症性サイトカインが鉄恒常性の調節不全、赤血球生成の減少、及び赤血球の寿命の低下を引き起こすとき、癌、腎臓疾患、及び自己免疫疾患のようなある種の慢性疾患がACDを引き起こす可能性がある。ヘプシジンは鉄恒常性に関与する重要なホルモンであると同定されており、高レベルのヘプシジンは、ACDで見られる鉄制限赤血球生成と関連している。BMP-6は、ヘプシジン発現を増加させることが示されている。一例において、本発明は、対象における減少したヘプシジンレベルを低減または維持するためのものである。
【0125】
CKDの貧血は、CKDに罹患している患者の初期かつ一般的な合併症である貧血である。癌の貧血は、血液悪性腫瘍、及び一部の固形腫瘍によって引き起こされる貧血であり、一方、化学療法誘発性(例えば、免疫療法誘発性)貧血は、化学療法剤による癌患者の治療によって引き起こされる貧血である。CKDにおける貧血は、諸状態のうちで、糖尿病性神経障害、心血管疾患、及び網膜症を悪化させる。癌関連貧血は、相対的死亡リスクの増加と関連している。赤血球生成刺激剤は化学療法誘発性貧血のみに適応するため、癌関連貧血の現在の治療選択肢は輸血に限られている。
【0126】
一例において、対象は、癌(例えば、血液悪性腫瘍または固形腫瘍)、腎臓疾患、自己免疫障害のような慢性疾患、または化学療法誘発貧血に罹患している。一例において、対象(例えば、ヒト)は、CKD、ならびに糖尿病性神経障害、心臓血管疾患、及び網膜症の1つ以上に罹患している。
【0127】
一例において、貧血は、ヘプシジン関連鉄制限貧血である。一例において、貧血は鉄剤不応性鉄欠乏性貧血(IRIDA)である。一実施形態において、IRIDAは、対象のTMPRSS6遺伝子の欠損によって引き起こされ、例えばIRIDAがTMPRSS6遺伝子変異(例えば、rs855791、rs2543519、rs2235324、またはrs1421312などのSNP)によって引き起こされる。
【0128】
一例において、この方法は、貧血を治療または予防することに加えて、またはその代わりにシェーグレン症候群を治療または予防する方法である。
【0129】
一例において、本発明は、対象(例えば、ヒト)における血液鉄レベル、血清鉄レベル、網状赤血球数、赤血球数、ヘモグロビン、及び/またはヘマトクリットを増加させるためのものである。
【0130】
一実施形態において、本発明は、医薬の製造のための抗BMP6アンタゴニストとESAの使用を提供する。さらなる実施形態において、本発明は、例えば中程度から重度の貧血のような貧血の治療または予防のための医薬の製造のための抗BMP6アンタゴニストとESAの使用を提供する。別の実施形態において、本発明は、慢性疾患の貧血の治療のための医薬の製造のための抗BMP6アンタゴニストとESAの使用を提供する。別の実施形態において、本発明は、慢性腎疾患の貧血の治療のための医薬の製造のための抗BMP6アンタゴニストとESAの使用を提供する。別の実施形態において、本発明は、癌の貧血の治療のための医薬の製造のための抗BMP6アンタゴニストとESAの使用を提供する。一実施形態において、本発明は、IRIDAの治療のための医薬の製造のための抗BMP6アンタゴニストとESAの使用を提供する。さらなる実施形態において、本発明は、IRIDAの治療のための医薬の製造のための抗BMP6アンタゴニストとESAの使用を提供し、ここでIRIDAは、TMPRSS6遺伝子変異(例えば、rs855791、rs2543519、rs2235324、またはrs1421312などのSNP)によって引き起こされる。一実施形態において、本発明は、シェーグレン症候群の治療のための医薬の製造のための抗BMP6アンタゴニストとESAの使用を提供する。
【0131】
条項
本発明の条項は以下のとおりであり、これらの条項(及び番号が付されていない全ての段落)は、本明細書に記載される本発明の任意の他の形態、例、特徴、または態様と組み合わせることができ、本発明のアンタゴニスト(例えば、抗BMP6抗体もしくはフラグメント)またはESAは、以下の条項における方法において使用するために提供することができる(または方法において使用することができる)。
1.対象における貧血を治療または予防する方法で使用するための抗骨形成タンパク質6(BMP6)アンタゴニストであって、方法が上記抗BMP6アンタゴニストと赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含み、上記貧血が治療または予防される、抗BMP6アンタゴニスト。
【0132】
一実施形態において、方法は、対象における貧血を治療するためのものであり、上記貧血が治療される。
【0133】
一例において、アンタゴニストは、抗BMP6抗体またはフラグメント、例えばヒト抗体、ヒト化抗体、またはキメラ抗体を含むか、またはそれらからなる。抗体またはフラグメントの代わりに、異なるBMP6アンタゴニスト、例えば抗BMP6トラップまたはHJV-Fcが本発明によって企図される。
【0134】
2.アンタゴニストが抗BMP6抗体またはそのフラグメントを含むかまたはそれからなるアンタゴニストであって、方法が
(a)最初の日(D)に、対象に抗BMP6抗体またはフラグメントを投与することと、
(b)Dから開始する少なくとも3連続週の期間において、ESAの複数回の用量を投与することであって、上記対象の血液Hb濃度が上記期間の全継続期間にわたってDのベースライン濃度から上昇する、投与することと、を含み、
それによって、
(i)上記期間の全継続期間にわたって、Hb濃度がベースラインHb濃度の100%以上であり、上記期間中、Hb濃度がベースラインの少なくとも120%に達し、及び/または
(ii)上記期間の全継続期間にわたって、Hb濃度がベースラインを少なくとも1g/dl超えて増加する、条項1に記載のアンタゴニスト。
【0135】
本明細書の任意の条項で、上記期間の全継続期間の例において、Hb濃度は、少なくとも1g/dl、例えば少なくとも1.5、2、または2.5g/dlでベースラインを超えて上昇する。一例において、例えば成人男性または女性のヒトである対象におけるHb濃度は11、11.5、または12g/dl以下である。
【0136】
Hb濃度、及びMCH(下記参照)は、対象から得られる1つ以上の血液試料を用いて測定され得る。例えば、上記期間の各週の終わりに採取された血液試料(及びDで採取された試料を用いて測定されたベースライン)を用いて決定される。
【0137】
3.貧血を治療する方法における使用のためのある量の抗BMP6抗体またはフラグメントとある量のESA(例えば、上記ESAの複数回用量を含む)の組み合わせであって、抗体、フラグメント、及び方法が、条項2に記載される、組み合わせ。
【0138】
4.方法が、上記量の抗体またはフラグメントから単回用量を得ることを含み、単回用量がDで対象に投与され、方法がさらに、上記ESAの複数回の用量を得ることを含み、少なくとも1回の用量がDから毎週投与される、条項3に記載の組み合わせ。
【0139】
本明細書の任意の条項では、一例において、ESAの第1の用量は、Dに投与される。
【0140】
5.抗体またはフラグメントが薬学的組成物に含まれ、抗体またはフラグメントが、Dにおける上記対象への投与のためにESAの用量と混合される、条項3または4に記載の組み合わせ。
【0141】
6.条項3~5のいずれか1項に記載の組み合わせと、上記量の抗体またはフラグメントを含む第1の滅菌容器と、上記量のESAを含む第2の滅菌容器と、任意で上記方法を実施するための説明書とを含む医療キット。
【0142】
7.アンタゴニストが、エリスロポエチン刺激剤(ESA)(例えば、上記ESAの複数回用量によって構成される)を含むか、またはそれらからなり、方法が
(a)最初の日(D)に、対象に抗BMP6抗体またはフラグメントを投与することと、
(b)Dから開始する少なくとも3連続週の期間において、上記ESAの複数回の用量を投与することであって、上記対象の血液ヘモグロビン(Hb)濃度が上記期間の全継続期間にわたってDのベースライン濃度から上昇する、投与することと、を含み、
それによって、
(i)上記期間の全継続期間にわたって、Hb濃度がベースラインHb濃度の100%以上であり、上記期間中、Hb濃度がベースラインの少なくとも120%に達し、及び/または
(ii)上記期間の全継続期間にわたって、Hb濃度がベースラインを少なくとも1g/dl超えて増加する、条項1に記載のアンタゴニスト。
【0143】
8.条項2~7のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキットであって、
(iii)上記連続週期間の最終日のHb濃度が、上記最終日の直前の7日目のHb濃度の少なくとも120%である、アンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0144】
9.ESAが、抗BMP6抗体またはフラグメントの投与から24時間以内に対象に投与される、条項2~8のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0145】
10.上記連続週期間が3または4の連続週の期間からなる、条項2~9のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0146】
11.上記期間中、Hb濃度が1~8g/dlの範囲でベースラインを超える増加に達する、条項2~10のいずれか1項(例えば、条項10)に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0147】
本明細書の任意の条項では、上記期間中の一例において、Hb濃度がベースラインを超えて1~3、2.5、2、1.5、または1.25g/dlの範囲の増加に達する。例えば、Hb濃度は1~2g/dlまでの増加に達する。
【0148】
12.上記期間が3または4の連続週からなり、上記期間の最後にHb濃度がベースラインの少なくとも150%に達する、条項2~11のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0149】
13.期間が3または4の連続週からなり、
(a)上記期間の全継続期間にわたって、Hb濃度がベースラインHb濃度の110%以上であり、上記期間中、Hb濃度がベースラインの少なくとも150%に達し、及び/または
(b)上記期間の全継続期間にわたって、Hb濃度がベースラインを少なくとも1g/dl上回って増加し、上記期間中、Hb濃度がベースラインを超えて1~8g/dlの範囲の増加に達する、条項2~12のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。例えば、Hb濃度は1~2g/dlまでの増加に達する。
【0150】
14.上記期間において、抗体またはフラグメントがDに投与される、条項2~13のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0151】
15.抗体またはフラグメントが対象にD0で単回用量として投与される、条項14に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0152】
本明細書の任意の条項では、一例において、抗体またはフラグメントは、Dに単回用量として対象に投与され、単回用量は、1回または複数回のアリコートで対象に投与される。
【0153】
16.最初ESA用量がDまたはその後2日以内に投与される、条項2~15のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0154】
17.ESA用量が、Dの直後の4~9日目(例えば、7日目)に投与される、条項2~16のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0155】
18.ESA用量が、Dの直後の12~16日目(例えば、14日目)に投与される、条項2~17のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0156】
19.ESA用量が、Dの直後の19~23日目(例えば、21日目)に投与される、条項2~18のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0157】
本明細書の任意の条項では、一例において、ESA用量は、D直後の、(i)4~9日(例えば、7日)、(ii)12~16日目(例えば、14日目)、及び(iii)19~23日(例えば、21日)の各々で投与される。
【0158】
20.上記期間中に4回の同用量のESAが投与される、条項2~19のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0159】
本明細書において「等価」によって、ESAの複数のアリコートを(例えば、同一の日にまたは連続的に)投与することができ、アリコートがESAの総用量に達することを意図する。一例において、ESAはダルベポエチンアルファまたはAranesp(登録商標)であり、用量は15~100mcg(マイクログラム)または30~100mcgの範囲である。一例において、ESAはエポエチンアルファであり、用量は3000~30000単位(すなわち、単位はIU、UI、IE、ME、NEとしても知られている国際単位を指す)の範囲である。
【0160】
一般的に、本明細書では、1つのアリコートまたは複数のアリコート(例えば、同一の日に、同時に、30、1または24時間の期間内)で(例えば、抗体、フラグメントまたはESAの)用量を投与することができる。
【0161】
21.ESAが、最初のESA投与後の第1及び第2の週の各々の間に対象に投与される、条項2~20のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0162】
22.ESAが、最初のESA投与後の第1、第2、及び第3の週のそれぞれの間に対象に投与される、条項2~21のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0163】
23.ESAが、上記週の各々の終わりに単一用量として投与され、任意で上記期間がDから開始する3または4週間からなる、条項21または22に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0164】
任意の条項の例において、上記期間はDから始まる4週間からなり、貧血は4週に治療される。
【0165】
24.上記期間中に対象に4回以下の用量のESAを投与し、任意で上記抗体またはフラグメントの1回用量を投与する、条項2~23のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0166】
25.上記期間(期間が4週間連続の期間である)にわたって、抗体の総用量及びESAの総用量が、X:Yの比で上記対象に投与され、Xが10~2×10かつYが4である、条項2~24のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0167】
一例において、ESA(例えば、対象がヒトである)の総週用量は、10または15~80、100、200または300mcg(マイクログラム)である。例えば、総週用量は10~80、15~80、または30~80mcgである。例えば、ESAは、ダルベポエチンアルファ、エポエチンアルファまたは本明細書中に開示される任意の他のESAを含むか、またはそれらからなる。一例において、ESAの各用量(または週用量)は、1.5~2mcg/kg ESAの範囲で対象に投与される。
【0168】
ある形態において、方法は、ESAの投与の低減または節約に関する。この場合、例えば、ESAの総週用量(例えば、対象がヒトである)は、1~20mcg、例えば1~15mcgである。ESA節約または低減がある例において、ESAの各用量(または週用量)を、0.01、または0.1~0.3、または1mcg/kgのESA、例えば0.01~0.3、または0.1~0.3、0.01~1、または0.1~1mcg/kgの範囲で対象に投与する。
【0169】
26.上記期間(例えば3または4の連続週期間)の終了時のHb濃度が、患者が上記期間中にESAの投与を受けていないことを除いて上記対象と同一の投与レジメンで抗BMP6またはフラグメントの投与を受けた同種の対照貧血患者におけるHb濃度の少なくとも130%である、条項2~25のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0170】
27.上記期間の終了時の上記Hb濃度が、p<0.0001のp値によって決定されるとき、上記期間の終了時の上記対照におけるものより有意に高い、条項26に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0171】
28.上記期間の終了時の平均赤血球ヘモグロビン(MCH)が、患者が上記期間中にESAの投与を受けていないことを除いて上記対象と同一の投与レジメンで抗BMP6またはフラグメントの投与を受けた同種の対照貧血患者におけるMCHの少なくとも109%である、条項2~27のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0172】
平均赤血球ヘモグロビン(MCH)は、血液試料中の赤血球当たりのヘモグロビンの平均質量である。
【0173】
29.上記期間(例えば3または4の連続週期間)の終了時のHb濃度が、患者が上記期間中に抗BMP6抗体またはフラグメントの投与を受けていないことを除いて上記対象と同一の投与レジメンで上記ESAの投与を受けた同種の対照貧血患者におけるHb濃度の少なくとも120%である、条項2~28のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。任意で、対照患者は、BMP6に特異的に結合しない対照IgG4抗体を投与された(例えば、BMP6抗体と対照抗体がそれぞれ対象と対照患者に同一の用量で投与される)。任意に、Xは10~2×10、2×10、または2×10である。
【0174】
30.上記期間の終了時の上記Hb濃度が、p<0.0001のp値によって決定されるとき、上記期間の終了時の上記対照におけるものより有意に高い、条項29に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0175】
31.上記期間(例えば3または4の連続週期間)の終了時の平均赤血球ヘモグロビン(MCH)が、患者が上記期間中に抗BMP6抗体またはフラグメントの投与を受けていないことを除いて上記対象と同一の投与レジメンで上記ESAの投与を受けた同種の対照貧血患者におけるMCHの少なくとも119%である、条項2~30のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0176】
32.上記期間の終了時の上記MCHが、p<0.0001のp値によって決定されるとき、上記期間の終了時の上記対照におけるものより有意に高い、条項31に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0177】
33.Dの上記対象が慢性疾患の貧血(ACD)に罹患しており、任意で貧血が慢性炎症(例えば、対象が関節炎に罹患している)もしくは細菌感染(例えばStreptococcus感染)に関連しているか、または対象が、慢性腎疾患(CKD)患者である、条項2~32のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0178】
34.上記期間の終了時の上記対象における貧血がDよりもより軽い重症度である、条項2~33のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0179】
35.アンタゴニストが、抗BMP6抗体またはフラグメントを含むか、またはそれらからなる、条項1に記載のアンタゴニスト。
【0180】
36.抗体またはフラグメントが、BMP6への結合について参照抗体と競合し、参照抗体がmAb507(R&D Systems)、または
a.配列番号1または2のアミノ酸配列をそれぞれ含むかまたはそれからなる重鎖、及び配列番号3のアミノ酸配列をそれぞれ含むかまたはそれからなる軽鎖、または
b.配列番号4のアミノ酸配列をそれぞれ含むかまたはそれからなる重鎖、及び配列番号5のアミノ酸配列をそれぞれ含むかまたはそれからなる軽鎖、を含む抗体である、条項2~34のいずれか1項に記載の、アンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0181】
本明細書中における競合は、例えば、(pH7.6で37℃において、及び任意でFabとして)SPRによって、ELISAによって、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)によって、または均一性時間分解蛍光法(HTRF)アッセイによって、測定することができる。SPRは、Biacore(商標)、Proteon(商標)、または別の標準的なSPR技術を用いて実施することができる。一実施形態において、競合は、当業者に容易に明らかな技術であるForteBio Octet(登録商標)Bio-Layer Interferometry(BLI)によって決定される。
【0182】
代替的に、参照抗体は、WO2016/098079に開示されている任意の抗BMP6抗体である(そのような抗体に関する配列及び開示は、本発明における可能性のある使用のために本明細書に組み入れられる)。
【0183】
37.抗体またはフラグメントが配列番号6への結合について上記参照抗体と競合する、条項2~36のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。上記配列番号6は、ペプチドそのもの、より大きなペプチドの一部、またはBMP6タンパク質の一部(例えば、野生型ヒトBMP6または組換え産生BMP6)として使用することができる。
【0184】
これに加えてまたはこれに代えて、抗体またはフラグメントは、配列番号7~19からなる群より選択されるさらなる配列への結合に関して上記参照抗体と競合する。上記さらなる配列は、ペプチドそのもの、より大きなペプチドの一部(例えば配列番号6を含む)、またはBMP6タンパク質の一部(例えば、野生型ヒトBMP6または組換え産生BMP6、例えば配列番号6を含む)として使用することができる。例えば、抗体またはフラグメントは、配列番号7への結合に関して上記参照抗体と競合する。例えば、抗体またはフラグメントは、配列番号8への結合に関して上記参照抗体と競合する。例えば、抗体またはフラグメントは、配列番号9への結合に関して上記参照抗体と競合する。例えば、抗体またはフラグメントは、配列番号10への結合に関して上記参照抗体と競合する。例えば、抗体またはフラグメントは、配列番号11への結合に関して上記参照抗体と競合する。例えば、抗体またはフラグメントは、配列番号12への結合に関して上記参照抗体と競合する。例えば、抗体またはフラグメントは、配列番号13への結合に関して上記参照抗体と競合する。例えば、抗体またはフラグメントは、配列番号14への結合に関して上記参照抗体と競合する。例えば、抗体またはフラグメントは、配列番号15への結合に関して上記参照抗体と競合する。例えば、抗体またはフラグメントは、配列番号16への結合に関して上記参照抗体と競合する。例えば、抗体またはフラグメントは、配列番号17への結合に関して上記参照抗体と競合する。例えば、抗体またはフラグメントは、配列番号18への結合に関して上記参照抗体と競合する。例えば、抗体またはフラグメントは、配列番号19への結合に関して上記参照抗体と競合する。
【0185】
38.抗体またはフラグメントが、可溶性ヘモジュベリン(HJV)のBMP6への結合を競合的に阻害する、条項2~37のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0186】
39.抗体またはフラグメントが、可溶性ヘモジュベリン(HJV)のBMP6への結合を(例えばSPR、HTRF、またはELISAによって測定されるとき、)競合的に阻害する、条項1~38のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0187】
40.抗体がVDJ領域配列によってコードされるVHドメインを含み、VDJがVH遺伝子断片、D遺伝子断片、及びJH遺伝子断片の組換えに由来し、VHがヒト生殖系列の(i)VH1~3、(ii)VH2~5、または(iii)VH3~15遺伝子断片である、条項2~39のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0188】
41.抗体がVJ領域配列によってコードされるVLドメインを含み、VJがVL遺伝子断片とJL遺伝子断片の組換えに由来し、VLがヒト生殖系列の(iv)Vκ3~20、(v)Vλ3~1、(vi)Vκ1~17、または(vii)Vλ1~40である、条項2~40のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0189】
42.抗体またはフラグメントが、BMP7に対する結合よりも強い親和性(SPRによって決定されるより低いKD)でBMP6に結合し、任意で、BMP5に対する結合よりも強い親和性でBMP6に結合する、条項2~41のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0190】
任意で、抗体またはフラグメントは、BMP2、4、5、及び9のそれぞれに対するよりも強い親和性でBMP6に結合する。
【0191】
43.抗体またはフラグメントが配列番号6を含むヒトBMP6配列に結合する、条項2~42のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0192】
44.抗体が、1pM~5nMのBMP6への結合の親和性(KD)を有し、任意で結合が上記抗体のFabを用いてSPRによって37℃、pH7.6において測定される、条項2~43のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0193】
一例において、抗体(例えばFabとして)またはフラグメントは、以下のBMP6に結合する親和性(KD)を有する。
(a)2、3、4、5、または10pMから3、4、または5nMまで、
(b)1~10pMから5nMまで、
(c)10pMから3、4、または5nMまで、
(d)50または80pMから200nMまで、
(e)50または80pMから150nMまで、または
(f)50または80pMから100nMまで。
【0194】
一例において、KDは5~15pM(または約5~15pM)(例えば、10pM)である。一例において、KDは2~5nM(または約2~5nM)(例えば、3nM)である。一例において、KDは100~400pM(または約100~400pM)(例えば、140または390pM)である。
【0195】
45.抗体が、1×10-5~1×10-3-1のBMP6への結合の解離速度(Koff)を有し、任意で結合が上記抗体のFabを用いてSPRによって37℃、pH7.6において測定される、条項2~44のいずれか1項(例えば条項44)に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0196】
一例において、抗体(例えばFabとして)またはフラグメントは、以下のBMP6への結合の解離速度(Koff)を有する。
(a)1×10-5~5×10-4-1
(b)1×10-5~6×10-4-1
(c)1×10-5~7×10-4-1
(d)1×10-5~8×10-4-1
(e)2×10-5~1×10-3-1
(f)2×10-5~5×10-4-1
(g)2×10-5~6×10-4-1
(h)2×10-5~7×10-4-1、または
(i)2×10-5~8×10-4-1
【0197】
一例において、Koffは、5×10-4-1(または約5×10-4-1)である(例えば、KDが2nM~400pM(または約2nM~約400pM)であるとき、KDが2~5nM(または約2~5nM)(例えば、3nM)であるとき、またはKDが100~400pM(または約100~400pM)(例えば、140または390pM)であるとき)。一例において、Koffは3×10-5-1(または約3×10-5-1)である(例えば、KDが5~15pM(または約KDが5~15pM)(例えば10pM)であるとき)。
【0198】
46.抗体が、1×10~1×10-1-1のBMP6への結合の会合速度(Kon)を有し、任意で結合が上記抗体のFabを用いてSPRによって37℃、pH7.6において測定される、条項2~45のいずれか1項(例えば条項44及び/または45)に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0199】
一例において、抗体(例えばFabとして)またはフラグメントは、以下のBMP6への結合の会合速度(Kon)を有する。
(a)1×10~1×10-1-1
(b)1×10~2×10-1-1
(c)1×10~3×10-1-1
(d)1×10~4×10-1-1
(e)1×10~5×10-1-1
(f)2×10~5×10-1-1
(g)3×10~5×10-1-1
(h)4×10~5×10-1-1
(i)5×10~5×10-1-1
(j)6×10~5×10-1-1
【0200】
一例において、Konは1または2×10-5-1-1(または約1または2×10-5-1-1)である(例えば、KDが2~5nM(例えば3nM)であるとき)。一例において、Konは1~4、1、2、3、または4×10-6-1-1(または約1~4、1、2、3、または4×10-6-1-1)である(例えば、KDが5~400pM(または約5~400pM)(例えば140もしくは390pM)、または5~15pM(例えば10pM)であるとき)。
【0201】
47.条項2~46のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキットであって、
(a)期間が3または4の連続週間からなり、
(i)上記期間の全継続期間にわたって、Hb濃度がベースラインHb濃度の110%以上であり、上記期間中、Hb濃度がベースラインの少なくとも120%に達し、及び/または
(ii)上記期間の全継続期間にわたって、Hb濃度がベースラインを少なくとも1g/dl上回って増加し、上記期間中、Hb濃度がベースラインを超えて1~8g/dlの範囲の増加に達し、
(b)上記期間の最初の2または3週間にESAの用量を少なくとも2回投与し、
(c)抗体またはフラグメントが、BMP7に対する結合よりも強い親和性(SPRによって決定されるより低いKD)でBMP6に結合し、任意で、BMP5に対する結合よりも強い親和性でBMP6に結合し(及び任意でBMP2、4、5、及び9の各々に対するものよりも強い親和性でBMP6に結合し)、
(d)抗体またはフラグメントが、BMP6への結合について参照抗体と競合し、参照抗体がmAb507(R&D Systems)、または
I.配列番号1または2のアミノ酸配列をそれぞれ含むかまたはそれからなる重鎖、及び配列番号3のアミノ酸配列をそれぞれ含むかまたはそれからなる軽鎖、または
II.配列番号4のアミノ酸配列をそれぞれ含むかまたはそれからなる重鎖、及び配列番号5のアミノ酸配列をそれぞれ含むかまたはそれからなる軽鎖、を含む抗体である、アンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0202】
任意で部分Iにおいて、重鎖は配列番号1のアミノ酸配列からなり、軽鎖は配列番号3のアミノ酸配列からなる。任意で部分Iにおいて、重鎖は配列番号2のアミノ酸配列からなり、軽鎖は配列番号3のアミノ酸配列からなる。任意で部分IIにおいて、重鎖は配列番号4のアミノ酸配列からなり、軽鎖は配列番号5のアミノ酸配列からなる。
【0203】
一例では(下記の実施例2で使われる抗体のように)、部分(d)において、本発明の抗BMP6抗体は、HTRFアッセイにおいて、部分Iまたは部分IIの参照抗体と競合する抗体である。例えば、HTRFアッセイにおいて、本発明の抗体は、ヒトBMP6とプレインキュベートされ、続いて(IまたはIIに従う)非標識参照抗体と組み合わされた標識抗体であり、抗体間の競合は、アッセイにおいて検出される。一例において、アッセイは、AlexaFluor(商標)647標識された本発明の抗体を使用する。代替的に、ヒトBMP6を標識する(例えば、AlexaFluor(商標)647によって標識し、試験抗体はEu3+クリプテート-ストレプトアビジンとの結合のためにビオチンで標識され、参照抗体は標識されていない)。
【0204】
任意で、本発明の抗BMP6抗体(試験抗体)は、ヒトBMP6に結合するための参照抗体とのHTRFアッセイにおいて競合(または参照抗体と同一のヒトBMP6のエピトープに結合する)し、アッセイは、ドナー(例えば、Eu3+クリプテートなど)、またはアクセプターフルオロフォア(例えば、AlexaFluor(商標)647など)によって直接的または間接的に標識された、直接的または間接的に標識された試験抗体、及びドナーまたはアクセプターフルオロフォアのいずれかで標識された標的BMP6を用い、ドナーとアクセプター間のエネルギー移動を可能にし、これによって、蛍光シグナルが生成され、検出される。AlexaFluor(商標)647標識が使用される例において、試験抗体が参照抗体の存在下にあるとき、参照抗体なしのシグナルに対する665nMにおける少なくとも20%の蛍光シグナルの減少によって競合が検出される。任意で、665nMにおけるシグナルの減少は、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、または90%である。
【0205】
任意で、抗BMP6抗体(試験抗体)は、HTRFアッセイにおいてヒトBMP6への結合に関して参照抗体と競合する(または参照抗体と同一のヒトBMP6のエピトープに結合する)ものであり、参照抗体はそれぞれ配列番号1または2のアミノ酸配列を含む重鎖、及びそれぞれ配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、アッセイは、ドナー標識(例えば、Eu3+クリプテートなど)、またはアクセプターフルオロフォア標識(例えば、AlexaFluor(商標)647など)によって直接的または間接的に標識された試験抗体、及びアクセプターフルオロフォアまたはドナーのいずれかで標識されたヒトBMP6を用い、それぞれがドナーとアクセプター間のエネルギー移動を可能にし、試験抗体が参照抗体の存在下にあるとき、参照抗体なしのシグナルに対する少なくとも20%の蛍光シグナルの減少によって抗体間の上記競合が検出される。例えば、試験抗体がAlexaFluor(商標)647標識によって直接的または間接的に標識され、試験抗体が参照抗体の存在下にあるとき、参照抗体なしのシグナルに対する665nMにおける少なくとも20%の蛍光シグナルの減少によって競合が検出される。任意で、665nMにおけるシグナルの減少は、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、または90%である。
【0206】
任意で、抗BMP6抗体(試験抗体)はまた、HTRFアッセイにおいてヒトBMP6への結合に関して参照抗体と競合する(または参照抗体と同一のヒトBMP6のエピトープに結合する)し、参照抗体はそれぞれ配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖、及びそれぞれ配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、アッセイは例えば、ドナー標識(例えば、Eu3+クリプテートなど)、またはアクセプターフルオロフォア標識(例えば、AlexaFluor(商標)647など)によって直接的または間接的に標識された試験抗体、及びアクセプターフルオロフォアまたはドナーのいずれかで標識されたヒトBMP6を用い、それぞれがドナーとアクセプター間のエネルギー移動を可能にし、試験抗体が参照抗体の存在下にあるとき、参照抗体なしのシグナルに対する少なくとも20%の蛍光シグナルの減少によって抗体間の上記競合が検出される。例えば、試験抗体がAlexaFluor(商標)647標識によって直接的または間接的に標識され、試験抗体が参照抗体の存在下にあるとき、参照抗体なしのシグナルに対する665nMにおける少なくとも20%の蛍光シグナルの減少によって競合が検出される。任意で、665nMにおけるシグナルの減少は、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、または90%である。
【0207】
例えば、部分(b)において、ESAの用量は、上記期間の最初の3週間の間に、または上記期間中に、2、3、または4回投与される。
【0208】
代替的に、参照抗体は、WO2016/098079に開示されている任意の抗BMP6抗体である(そのような抗体に関する配列及び開示は、本発明における可能性のある使用のために本明細書に組み入れられる)。
【0209】
48.条項1~47のいずれか1項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、またはキットであって、
a.対象におけるACDを治療することと、
b.対象における中程度または重度の貧血を治療または予防することと、
c.炎症性疾患または状態に罹患している対象における貧血を治療または予防することと、
d.対象への鉄の投与または輸血の必要性を排除または低減することと、
e.細菌感染に罹患している対象における貧血を治療または予防することと、
f.対象へのESAの投与を低減することと、のための、アンタゴニスト、組み合わせ、またはキット。
【0210】
49.対象における貧血を治療する方法であって、
(a)最初の日(D)に、対象に抗BMP6抗体またはフラグメントを投与することと、
(b)Dから開始する少なくとも3連続週の期間において、赤血球生成促進剤(ESA)の複数回の用量を投与することであって、上記対象の血液ヘモグロビン(Hb)濃度が上記期間の全継続期間にわたってDのベースライン濃度から上昇する、投与することと、を含み、
上記期間の全継続期間において、-
(i)Hb濃度がベースラインHb濃度の100%以上であり、上記期間中、Hb濃度がベースラインの少なくとも120%に達し、及び/または
(ii)Hb濃度がベースラインを超えて少なくとも1g/dl増加する、方法。
【0211】
50.方法、抗体フラグメント、またはESAが、条項2~48のいずれか1項に記載のものである、条項49に記載の方法。
【0212】
51.貧血が中程度または重度の貧血である、先行する条項のいずれかに記載のアンタゴニスト、組み合わせ、キットまたは方法。
【0213】
52.対象において少なくとも10g/dLのレベルに血液ヘモグロビン(Hb)を維持する方法において使用するための抗骨形成タンパク質6(BMP6)アンタゴニストであって、方法が、抗BMP6アンタゴニストと赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含む、抗骨形成タンパク質6(BMP6)アンタゴニスト。
【0214】
53.対象の血液ヘモグロビンレベルの10g/dL未満への減少を予防する方法において使用するための抗骨形成タンパク質6(BMP6)アンタゴニストであって、方法が、抗BMP6アンタゴニストと赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含む、抗BMP6アンタゴニスト。
【0215】
54.貧血に罹患している対象において血液ヘモグロビンを少なくとも10g/dLのレベルまで上昇させる方法において使用するための抗骨形成タンパク質6(BMP6)アンタゴニストであって、方法が、抗BMP6アンタゴニストと赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含み、上記貧血が治療される、抗BMP6アンタゴニスト。
【0216】
55.炎症性疾患または状態に罹患している対象における貧血を治療または予防する方法で使用するための抗骨形成タンパク質6(BMP6)アンタゴニストであって、方法が抗BMP6アンタゴニストと赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含み、上記貧血が治療または予防される、抗BMP6アンタゴニスト。
【0217】
56.貧血に罹患している対象に対して鉄の投与または輸血の必要性を排除または低減する方法において使用するための抗骨形成タンパク質6(BMP6)アンタゴニストであって、方法が、抗BMP6アンタゴニストと赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含み、上記必要性が排除または低減される、抗BMP6アンタゴニスト。
【0218】
57.細菌感染に罹患している対象における貧血を治療または予防する方法で使用するための抗骨形成タンパク質6(BMP6)アンタゴニストであって、方法が抗BMP6アンタゴニストと赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含む、抗BMP6アンタゴニスト。
【0219】
58.貧血に罹患している対象に対する貧血を治療するための赤血球生成促進剤(ESA)の投与を低減する方法で使用するための抗骨形成タンパク質6(BMP6)アンタゴニストであって、方法が、抗BMP6アンタゴニストと上記ESAとを投与することを含み、貧血が対象において治療される、抗BMP6アンタゴニスト。
【0220】
59.貧血に罹患しているかまたは貧血のリスクのある対象において貧血を治療するかまたは貧血のリスクを低減する方法で使用するための抗骨形成タンパク質6(BMP6)アンタゴニストであって、方法が、抗BMP6アンタゴニストと低用量の赤血球生成促進剤(ESA)とを対象に投与することを含み、対象において貧血が治療されるかまたは貧血のリスクが低減する、抗骨形成タンパク質6(BMP6)アンタゴニスト。
【0221】
60.アンタゴニストが、請条項1~1、2、7~48、及び51のいずれか1項に記載のものである、条項52~59のいずれか1項に記載のアンタゴニスト。
【0222】
61.アンタゴニストが、条項52~59に記載のもの以外の任意のものである、条項52~59のいずれか1項に記載のアンタゴニスト。
【0223】
62.ESAが、
a.エポエチンアルファであり、1000、1500、2500、5000、11000、18000、34000、または90000単位未満の週1回の投与量で投与され、任意で対象は、それぞれ<1500、1500~2499、2500~4999、5000~10999、11000~17999、18000~33999、34000~89999、または≧90000単位の週1回のエポエチンアルファ治療を以前に受けているか、
b.ダルベポエチンアルファまたはAranesp(登録商標)であり、6.25、10、12.5、20、25、40、60、100、または200mcg未満の週1回の投与量で投与され、任意で対象は、それぞれ6.25、10、12.5、20、25、40、60、100、または200mcgの週1回のダルベポエチンアルファまたはAranesp(登録商標)を以前に受けているか、または
c.ダルベポエチンアルファまたはAranesp(登録商標)であり、6.25、10、20、40、60、100、または200mcg未満の週1回の投与量で投与され、任意で対象は、それぞれ1500~2499、2500~4999、5000~10999、11000~17999、18000~33999、34000~89999、または≧90000単位の週1回のエポエチンアルファ治療を以前に受けている、先行するいずれか条項のアンタゴニスト、組み合わせ、キット、または方法。
【0224】
63.抗BMP6アンタゴニストが抗体であり、各用量が合計で30mg/kg以下で投与される、先行するいずれかの条項に記載のアンタゴニスト、組み合わせ、キット、または方法。
【0225】
64.貧血に罹患しているかまたは貧血のリスクのある対象において貧血を治療または予防するための治療レジメン方法で使用するための抗BMP6アンタゴニスト及び/またはESAであって、レジメンが、抗BMP6アンタゴニストとESAとを同時にまたは連続的に対象に投与することを含み、
a.0日目に、アンタゴニストを対象に投与し、7日目まで(例えば、1日目)にESAを対象に投与するか、または
b.0日目に、前記ESAを対象に投与し、7日目まで(例えば、1日目)にアンタゴニストを対象に投与するか、または
c.0日目に、アンタゴニストとESAとを同時に対象に投与するか、または
d.0日目に、対象は既にESAを投与されており、0日目にアンタゴニストを対象に投与するか、または
e.0日目に対象は既にアンタゴニストを投与されており、0日目にESAを対象に投与し、
それによって14日目またはそれ以降に、血液ヘモグロビンレベルが対象において少なくとも10g/dLであり、上記貧血が治療または予防される、抗BMP6アンタゴニスト及び/またはESA。
【0226】
65.条項1~1、2、7~48、及び51のいずれか1項にさらに記載の、条項64に記載のアンタゴニスト及び/またはESA。
【0227】
66.抗BMP6アンタゴニストとESAが、7日以内の間隔で対象に投与される、条項64または65に記載のアンタゴニスト及び/またはESA。
【0228】
67.レジメンが、対象における血中Hbレベルを対象において10g/dLを超えて維持する、条項64、65、または66に記載のアンタゴニスト及び/またはESA。
【0229】
68.方法が、対象が抗BMP6アンタゴニストとESAを投与された後少なくとも13日または14日目に前記対象において血液ヘモグロビンレベルを少なくとも10g/dLに維持または上昇させる、条項64~67のいずれか1項に記載のアンタゴニスト及び/またはESA。
【0230】
69.抗BMP6アンタゴニストとESAが、1日以内の間隔で対象に投与される、条項67または68に記載のアンタゴニスト及び/またはESA。
【0231】
70.抗BMP6アンタゴニストとESAが、同時に前記対象に投与される、条項64~69のいずれか1項に記載のアンタゴニスト及び/またはESA。
【0232】
71.(例えば、14日目において)対象の血液ヘモグロビンレベルが10g/dL未満まで低下することが予防される、条項64~70のいずれか1項に記載のアンタゴニスト及び/またはESA。
【0233】
72.(例えば、14日目において)対象の血液ヘモグロビンが少なくとも10g/dLのレベルまで上昇する、条項64~71のいずれか1項に記載のアンタゴニスト及び/またはESA。
【0234】
73.(例えば、14日目において)対象における中程度または重度の貧血が予防される、条項64~72のいずれか1項に記載のアンタゴニスト及び/またはESA。
【0235】
74.対象が、
a.炎症性疾患もしくは状態に罹患しているか、または
b.感染症に罹患しているか、
c.腎臓病に罹患しているか、
d.HIVに罹患しているか、もしくはHIV治療を受けているか、または
e.癌に罹患しており、そして
対象において貧血が治療または予防される、先行する条項のいずれかに記載のアンタゴニスト、組み合わせ、キット、ESA、または方法。
【0236】
75.対象が哺乳動物である、先行する条項のいずれかに記載のアンタゴニスト、組み合わせ、キット、ESA、または方法。
【0237】
76.抗炎症剤と組み合わされるか、または抗炎症剤が対象に投与される、先行する条項のいずれかに記載のアンタゴニスト、組み合わせ、キット、ESA、または方法。
【0238】
77.ESAがエリスロポエチンである、先行する条項のいずれかに記載のアンタゴニスト、組み合わせ、キット、ESA、または方法。
【0239】
一例において、対象は慢性腎疾患(CKD)に罹患している。KDIGO Clinical Practice Guideline for Anemia in Chronic Kidney Disease”,Kidney International Supplements(2012)2,279;doi:10.1038/kisup.2012.37が参照される。これは、慢性腎疾患のステージ(ステージ1~5)、診断、CKD命名法、様々な年齢のヒトのHbのレベル及び範囲、ならびにESA低反応性について議論する。この参考文献は以下を開示する。
貧血の診断
●Hb濃度が男性で13.0g/dl未満、女性で12.0g/dl未満のとき、CKDを有する成人と15歳を超える子供において貧血と診断する。(等級付けされていない)
●Hb濃度が0.5~5歳の子供において11.0g/dl未満、5~12歳の子供において11.5g/dl未満、12~15歳の子供において12.0g/dl未満であれば、CKDを有する子供において貧血と診断する。(等級付けされていない)
したがって、本発明においては、任意で、
(a)対象がCKDを有する成人または15歳を超える子供であり、上記期間中(例えば、Dから3週の初めに)Hb濃度が13.0g/dl未満(対象が男性であるとき)、または12.0g/dl未満(対象が女性であるとき)であるか、または、
(b)CKDを有する対象及び上記期間(例えば、Dから3週の初めに)Hb濃度が11.0g/dl未満(対象が0.5~5歳である)、11.5g/dl未満(対象が5~12歳である)、または12.0g/dl未満(対象が12~15歳である)である。
【0240】
任意で、対象は、悪性腫瘍と診断されたCKD患者であり、1回以上の卒中に罹患しており、かつ/または悪性腫瘍に罹患している。ESA療法は、通常、そのような患者においては(仮にそうであったとしても)慎重に進められるべきであり、したがって、本発明(特にそのESA低減または節約の態様)は、そのような対象において有益である。
【0241】
任意で、対象は、9.0~10.0g/dlのHb濃度を有するCKD 5D患者(例えば、ヒト成人、例えば、男性または女性)である。
【0242】
任意で、本発明は、CKDを有するヒト成人患者において11.5g/dlを超えるHb濃度を維持するためのものである。
【0243】
任意で、本発明は、CKDを有するヒト成人患者において9.0~13g/dl(例えば9.0~11.5g/dl)のHb濃度を維持するためのものである。
【0244】
任意で、本発明は、CKDを有するヒト乳幼児患者において11.0~12g/dlのHb濃度を維持するためのものである。一例において、患者は15歳以下、または15歳未満、または10歳以下である。
【0245】
一例において、CKD患者は成人男性である。別の例において、CKD患者は成人女性である。
【0246】
任意で、対象(例えば、成人)は、CKD 5HD患者、血液濾過患者、または血液透析ろ過法患者であり、方法はESAの静脈内または皮下投与を含む。
【0247】
任意で、対象(例えば、成人)は、CKD NDまたはCKD 5PD患者であり、方法はESAの皮下投与を含む。
【0248】
任意で、フラグメントの抗BMP6抗体の投与前に、患者は、ESA治療1ヶ月後(本発明の方法を実施する前)にHb濃度の5%未満の増加または増加なしで示されるESA低反応性である。
【実施例
【0249】
実施例1:貧血のマウスモデルにおけるヘモグロビン代謝に対するESAを伴うBMP6アンタゴニストの評価
貧血のマウスモデルにおいて
1.目的
貧血は、感染症及び炎症性疾患の一般的な合併症である。この研究の目的は、Kim et al,2014(下記)によって記載されるように、健康なC57BL/6J雄マウスへの熱及びフェノールで死滅させたBrucella abortus(BA)の注射によって誘発された急性貧血のマウスモデルにおいて、ベースラインのヘモグロビンレベル及び赤血球生成促進剤であるダルベポエチンαに対するヘモグロビン応答に対する抗ヒトBMP6抗体(以後、ヒト抗体「KYAB1248」)の時間依存性効果を評価することであった。KYAB1248の効果を、BMP6に特異的に結合しないヒトIgG4アイソタイプ対照(抗体KYAB1110)のものと比較した。
【0250】
[Kim A,Fung E,Parikh SG,Valore EV,Gabayan V,Nemeth E,and Ganz T.2014.A mouse model of anaemia of inflammation: complex pathogenesis with partial dependence on hepcidin.Blood.123(8),1129-11362.]
【0251】
2.材料及び方法
2.1.動物
実験は、実験開始時に体重20-35g(12週齢)の120匹の雄C57BL/6Jマウスを用いて実施した。
【0252】
動物は、室温(22±2℃)、湿度(55±10%)、明/暗サイクル(12時間/12時間)、空気置換(15-20容量/時間)、水及び食物(SDS、公称159.3mg/kg鉄含有RM1)を自由に与える、標準的な条件下でポリスルホンケージ(床面積=1500cm)内で5~10匹の群で収容した。攻撃性が優勢の場合、マウスは社会集団から隔離された。実験前にマウスを環境条件に少なくとも5日間順化させた。マウスは、消えないマーカーを用いてそれらの尾をマークすることによって同定した。この試験は、実験における動物使用のためのEU動物福祉規則(European Directive 2010/63/EU)のもとで実施された。
【0253】
2.2.種の選択
マウスは、血清鉄、ヘプシジン遺伝子発現、及び非ヘム鉄の組織レベルを含む鉄代謝の急性マーカーを調べるための適切な非臨床モデルとしての歴史的文献から十分に確立されているので、抗体の効果を評価するように選択されている(Andriopoulos et al.,2009、前掲)。さらに、Kimら(Kim et al.,2014、前掲)に記載されているように、C57BL/6Jマウスを用いてBA誘発貧血モデルを開発した。
【0254】
2.3.Brucella abortus懸濁液の調製
熱及びフェノールによって不活性化されたBrucella abortus(Weybridge 99株)の濃縮懸濁液をマウスにおいて貧血を誘発するのに使用した(Pourquier Wrightの血清凝集性ブルセラ症抗原、ref P00110、Idexx)。この懸濁液を濃縮懸濁液の調製まで5±3℃で保存した。BA懸濁液を15,000gで15分間室温で遠心分離した。ペレットを滅菌PBS(ref.14190-094、Gibco)に再懸濁し、50倍濃縮BA懸濁液を得た。アリコートを調製し、使用するまで-80℃で保存した。投与の日に、この懸濁液を滅菌PBSで10倍の所望の濃度に希釈した。
【0255】
2.4.投与プロトコール
マウスを処理群の1つ(N=4/群)に無作為に割り当て、以下の表6に記載の処理スケジュールに従って投与した。
【0256】
熱及びフェノールで死滅させたBAをマウス1匹当たり200μLの固定容量の10倍濃縮BA懸濁液を単回腹腔内(ip)注射として投与した(第0日)。「前投与」群において、マウスにBA懸濁液を投与しなかった。「1日目のESA」群において、マウスはBA懸濁液の代わりにPBS(200μL)の腹腔内投与を受けた。
【0257】
KY1110のhIgG4アイソタイプ対照のものと比較したKYAB1248の効果を評価するために、意図された臨床経路であるため、静脈内(iv)投与経路を用いた。KYAB1110及びKYAB1248の各投与は、5mL/kg体重の容量で10mg/kg体重の用量での抗体溶液の尾静脈ボーラス静脈内注射として、0日目及び6日目に実施した。投与前に各マウスの体重を計量した。KYAB1248及びKYAB1110の用量は、各抗体の既知の薬理学的プロファイルに従って選択した。
【0258】
「前投与」群において、マウスに抗体をいっさい投与しなかった。「1日目のESA」群において、マウスはKYAB1110またはKYAB1248の代わりにPBS(5mL/kg体重の容量で)の静脈内投与を受けた。
【0259】
0日目の投薬のために、BA懸濁液を最初に投与し、次いで直ちにKYAB1248またはKYAB1110抗体静脈内注射を5分の時間内に実施した。
【0260】
ESA(ダルベポエチンアルファ、Aranesp(登録商標)、Amgen)を、1日目または7日目(抗体投与後24時間)10mL/kg体重の容量で、100μg/kg体重の用量で単回皮下(sc)注射として投与した。投与前に各マウスの体重を計量した。
【0261】
【表6-1】
【0262】
【表6-2】
【0263】
【表6-3】
【0264】
【表6-4】
【0265】
【表6-5】
【0266】
【表6-6】
【0267】
【表6-7】
【0268】
【表6-8】
【0269】
2.5.パラメーター
臨床徴候を評価した。ヘモグロビンは、「7日目のKYAB1248+ESA」投与群(8日目の犠牲)からのものを除き、全ての動物において測定した。
【0270】
2.6.終末手順
2.6.1.終末採血
終末手順は、上述の表に示された群番号を有する示された時点(すなわち、投与後6時間後、24時間後、7、8、14、21、及び28日目)において実施した。前投与群(T0、非投与マウス)もまた犠牲にした。
【0271】
実験終了時、すなわち各時点で、全ての動物をペントバルビタール(180mg/kg、腹腔内)で麻酔し、心臓穿刺を用いて静脈血を採取した。以下に記載するように、全血を直ちにリチウムヘパリン処理した採血管に入れた。採血管を静かに混合した。血液サンプリングの正確な時間を各動物について記録した。0.2mLの非溶血全血の最小容量を、標準的な血液学的評価のための第1のリチウムヘパリン処理した採血管に入れた。
【0272】
各試験項目における製剤は、投与日に滅菌条件下で新たに調製した。各抗体について、10mg/kgの用量で動物を投与するためには、2mg/mLの濃度の溶液が必要である。この溶液は、ビヒクル(滅菌エンドトキシンで試験したPBS(Life Technologies,Product 10010023))中で10mg/mLの原液を1:5希釈比で希釈することによって得た。
【0273】
3.結果
抗体用量のみを投与されたBA接種動物(すなわち、ESA投与なし)においては、KYAB1248とhIgG4アイソタイプ対照群(図1)との間の血液ヘモグロビン貧血プロフィールに差異は認められなかった。
【0274】
アイソタイプ対照抗体を投与されたBA処理動物に対するESAの投与は、ヘモグロビンレベル及び貧血の重篤度に影響を及ぼさなかった(14日目の平均ヘモグロビン結果は、「ESAなし」群(図1参照)、「1日目のESA」(図2参照)、及び「7日目のESA」(図3参照)についてそれぞれ8.1、7.8、及び8.2g/dLであった)。
【0275】
しかしながら、血液ヘモグロビンの変化及び貧血の改善は、KYAB1248抗体及びESAを投与された動物において達成された。この効果は、1日目、すなわちBA注射と最初のKYAB1248抗体注射の24時間後にESAを投与された動物において最も顕著であった(図2)。アイソタイプ対照の投与された動物と比較してヘモグロビンのより高い平均レベルは、BA後の試験された各時点(8、14、21、及び28日目)で記録され、14日目のヘモグロビンの最下点である時点において統計学的に有意に達した(7.8g/dL(アイソタイプ抗体+ESA)対10.1g/dL(KYAB1248+ESA)、p<0.05 ANOVA)。14日目における平均ヘモグロビンレベルの増加は、統計学的に有意ではないが、7日目、すなわち貧血がすでに発症している時点にESA注射を受けたKYAB1248抗体投与動物においても見られた(9.3g/dL(KYAB1248+ESA)対8.2g/dL(アイソタイプ抗体+ESA))。
【0276】
実施例2:慢性疾患の貧血(ACD)治療モデルにおける抗BMP6/ESA対抗BMP6単独でのヘモグロビン濃度及び平均赤血球ヘモグロビン(MCH)の実証での維持及び統計学的に有意な増加
雌Lewisラットを、標準的なげっ歯類の飼料で、6~8週齢及び140~160gの体重に達するまで維持した。全ての処理は、腹腔内(i.p.)または皮下(s.c.)注射によって実施した。15μgラムノース/g体重の総用量で、A群連鎖球菌ペプチドグリカン-多糖類(PG-APS)(Lee Laboratories,Grayson,GA,USA)の腹腔内注射を用いてACDを引き起こす慢性炎症(関節炎)を誘導した。
【0277】
関節炎の発達及び増加した好中球数によって決定されるPG-APS注射に応答するラットを4つの異なる群に無作為化した。処理は、PG-APS注射の2週間後に開始した(0日目=D)。図4は、以下のような治療スケジュールを示す:
群1:IgG4アイソタイプ対照抗体[3mg/kg]をDで単回皮下注射した非炎症対照ラット(PG-APSを投与しなかった)。対照は、BMP6に特異的に結合しないヒト化IgG4抗体であった。
群2:IgG4アイソタイプ対照抗体[3mg/kg]をDで単回皮下注射したACDラット(すなわち、ACDを有するラット)。
群3:抗BMP6IgG4抗体[3mg/kg]をDで単回皮下注射したACDラット。
群4:IgG4アイソタイプ対照抗体[3mg/kg]をDで単回皮下注射したACDラット。そして、毎週1回、10μg/kg体重の用量で、ダルベポエチンアルファ(ARANESP(登録商標)、Amgen Inc)単回皮下注射。このようなダルベポエチンアルファ注射は合計で4回であった。
群5:抗BMP6IgG4抗体[3mg/kg]をDで単回皮下注射したACDラット。そして、毎週1回、10μg/kg体重の用量で、ダルベポエチンアルファ単回皮下注射。このようなダルベポエチンアルファ注射は合計で4回であった。
【0278】
4週間の処理後(PG-APS適用の6週間後)に実験を終了し、ラットを犠牲にした。ヘモグロビンレベルの測定(経時的のために、各動物からの尾静脈穿刺により少量の血液試料(300μL)を、毎週採取した。
【0279】
4週間の処理後、動物を犠牲にし、実験を終了した。
【0280】
抗BMP6抗体(試験抗体)は、HTRFアッセイにおいてヒトBMP6への結合に関して参照抗体と競合する(または参照抗体と同一のヒトBMP6のエピトープに結合する)ものであり、参照抗体はそれぞれ配列番号1または2のアミノ酸配列を含む重鎖、及びそれぞれ配列番号3のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、アッセイは、ドナー標識であるEu3+クリプテートによって標識された試験抗体、及びアクセプターフルオロフォアであるAlexaFluor(商標)647によって標識されたヒトBMP6を用い、ドナーとアクセプター間のエネルギー移動を可能にし、試験抗体が参照抗体の存在下にあるとき、参照抗体なしのシグナルに対する少なくとも20%の蛍光シグナルの減少によって抗体間の上記競合が検出される。
【0281】
抗BMP6抗体(試験抗体)は、HTRFアッセイにおいてヒトBMP6への結合に関して参照抗体と競合する(または参照抗体と同一のヒトBMP6のエピトープに結合する)ものであり、参照抗体はそれぞれ配列番号4のアミノ酸配列を含む重鎖、及びそれぞれ配列番号5のアミノ酸配列を含む軽鎖を含み、アッセイは、ドナー標識であるEu3+クリプテートによって標識された試験抗体、及びアクセプターフルオロフォアであるAlexaFluor(商標)647で標識されたヒトBMP6を用い、ドナーとアクセプター間のエネルギー移動を可能にし、試験抗体が参照抗体の存在下にあるとき、参照抗体なしのシグナルに対する少なくとも20%の蛍光シグナルの減少によって抗体間の上記競合が検出される。
【0282】
結果
実験群における血液Hb濃度及びMHCレベルを示す図5及び6を参照する。
統計:Dunnettの多重比較検定を伴うAnovaを用いた。
*=抗BMP6抗体単独を投与したラット対抗BMP6抗体+ESAを投与したラットを比較した
**** p<0.0001
*** p<0.001
** p<0.01
* p<0.05
#=ESA単独を投与したラット対抗BMP6抗体+ESAを投与したラットを比較した
#### p<0.0001
### p<0.001
## p<0.01
# p<0.05
【0283】
【表7】
【0284】
【表8-1】
【0285】
【表8-2】
【0286】
【表9】
【0287】
【表10-1】
【0288】
【表10-2】
【0289】
【表11】
【0290】
【表12-1】
【0291】
【表12-2】
【0292】
結果は、抗BMP6抗体とESA(群5)の組み合わせが、貧血を確立した対象を治療するために使用することができることを実証した組み合わせ処理は、3及び4週間の期間(Dから数えた)にわたってベースライン値を上回るHb濃度を維持し、4週間の終わりにHb濃度がベースラインから8g/dlを超えて上昇した。これは、抗BMP6抗体単独の投与(群3)と比較して非常に有意な結果であり(p<0.0001のp値により決定された)、これは、従来の量より低くESA用量を下げるか、節約する(したがってESAの副作用を最小限にする)能力を裏付けると考えられる。処理期間の終わりのHb濃度もまた、ESA単独と比べて組み合わせ処理において有意に高かった(p<0.0001のp値によって決定されるとき)。
【0293】
組み合わせ群において、期間(抗体投与後4週)の終わりに向かってでさえ、他の治療群では観察されなかった25%増加が存在した。
【0294】
(p<0.0001のp値によって決定されるように)第3と第4週の終わりの両方において、組み合わせ処理をESA単独と比較するときにもMCHにおける有意な改善が見られた。重要なことに、組み合わせ群のMCHは有意に減少しなかった。したがって、組み合わせ群において上昇したHb濃度は、増加した赤血球生成(増加したHb濃度及びMCHの有意な減少がないことによって示される)において生産的に使用されると考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
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