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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20230308BHJP
   H04N 1/44 20060101ALI20230308BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20230308BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20230308BHJP
   B41J 5/30 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
H04N1/00 838
H04N1/00 127B
H04N1/44
B41J29/00 Z
B41J29/38
B41J5/30 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019014350
(22)【出願日】2019-01-30
(65)【公開番号】P2019195155
(43)【公開日】2019-11-07
【審査請求日】2021-11-01
(31)【優先権主張番号】P 2018085074
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【弁理士】
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】榎本 優子
(72)【発明者】
【氏名】植木 俊幸
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-166283(JP,A)
【文献】特開2003-280469(JP,A)
【文献】特開平07-023157(JP,A)
【文献】特開2008-199217(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/44
B41J 29/00 - 29/70
B41J 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿データが符号化された符号化画像データを前記原稿データに復号する画像データ復号部を備える画像処理装置であって、
前記画像データ復号部によって復号された前記原稿データの印刷の実行可否を判定する判定部を備え、
前記符号化画像データは、前記原稿データと、当該原稿データの印刷の実行可否の判定を行うための印刷実行判定情報と、宛先情報とが符号化されることによって生成されたものであり、
前記画像データ復号部は、前記符号化画像データを前記原稿データ前記印刷実行判定情報、及び前記宛先情報に復号し、
前記判定部は、前記画像データ復号部によって復号された前記印刷実行判定情報に基づき、前記画像データ復号部によって復号された前記原稿データの印刷の実行可否を判定し、
前記画像処理装置は、前記宛先情報に対応する送信先に復号実施情報を送信する送信部を更に備え、
前記復号実施情報は、前記判定部による前記原稿データの印刷の実行可否の判定結果を表す情報を含む
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記印刷実行判定情報は、前記原稿データの印刷可能時間を表す情報を含む
ことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記印刷実行判定情報は、前記原稿データの印刷のための認証情報を含む
ことを特徴とする請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記印刷実行判定情報は、前記画像データ復号部によって復号された前記原稿データの最大印刷枚数を表す情報を含み、
前記判定部は、前記最大印刷枚数を表す情報と、印刷指定枚数とを比較し、前記画像データ復号部によって復号された前記原稿データの印刷の実行可否を判定する
ことを特徴とする請求項記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記印刷実行判定情報は、復号可能回数を表す情報を含み、
前記判定部は、前記復号可能回数を表す情報と、過去の復号履歴を表す復号履歴情報とを比較し、前記画像データ復号部によって復号された前記原稿データの印刷の実行可否を判定する
ことを特徴とする請求項又は記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記復号実施情報は、復号の実施指示を行ったユーザのユーザ情報を含む
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿データを符号化することによって符号化画像データを生成する画像処理装置、及び符号化画像データを原稿データに復号する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セキュリティ保護対象の情報が印刷された印刷媒体に対して、消色トナーを用いて、マスクパターンと、パスワードをコード化したパスワード画像とを印刷し、パスワード画像のパスワードと入力されたパスワードとが一致する場合に消色トナーのトナー色を消去する画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、元原稿のデータの第1の領域を処理することにより第1の認証データを生成する工程と、元原稿のデータの第2の領域を処理することにより第2の認証データを生成する工程と、第1の認証データ及び第2の認証データを表すバーコードデータを元原稿のデータに組み込むことにより処理済み原稿のデータを生成する工程とを含む原稿認証方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
また、原稿データを符号化することによって符号化画像データを生成し、この符号化画像データを媒体に印刷し、この媒体から読み取られた符号化画像データを原稿データに復号し印刷する機能(紙メモリープリント機能)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-63292号公報
【文献】特開2007-300602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の紙メモリープリント機能において、ある一定期間のみ情報漏洩を防ぐことが求められる原稿データがある。このような原稿データは、例えば、予め公開する情報が決まっていて、指定日時になれば秘密にする必要がなくなる情報(試験問題の情報など)を含む原稿データである。
【0007】
また、紙メモリープリント機能において、符号化画像データが印刷された媒体を不正に入手したユーザへの情報漏洩を防ぐために、特定のユーザのみに、復号された原稿データの印刷を許容したい場合がある。
【0008】
これらの場合、符号化画像データを原稿データに復号し印刷する際に、印刷可能日時であるか或いは印刷可能なユーザであるかなどの印刷の実行の可否を判定することになる。
【0009】
なお、上述のように、消色トナーを用いる画像形成装置では、セキュリティ保護対象の情報が印刷された印刷媒体自体にマスクパターン及びパスワード画像が印刷されることになる。そのため、消色トナーを用いてマスクパターン及びパスワード画像を印刷する処理、及び消色トナーのトナー色を消去する処理が必要になる。また、上述のように、バーコードデータを元原稿のデータに組み込む原稿認証方法においては、複雑な制御を行う上に、元原稿のデータに強制的にバーコードデータが組み込まれることになる。
【0010】
本発明の目的は、簡単な制御で、符号化された原稿データのセキュリティを高めることができる画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1つの態様では、画像処理装置は、原稿データを符号化することによって符号化画像データを生成する符号化画像データ生成部を備える画像処理装置であって、前記符号化画像データ生成部は、前記原稿データと、当該原稿データの印刷の実行可否の判定を行うための印刷実行判定情報とを符号化することによって、前記符号化画像データを生成する。
【0012】
他の1つの態様では、画像処理装置は、原稿データが符号化された符号化画像データを前記原稿データに復号する画像データ復号部を備える画像処理装置であって、前記画像データ復号部によって復号された前記原稿データの印刷の実行可否を判定する判定部を備え、前記符号化画像データは、前記原稿データと、当該原稿データの印刷の実行可否の判定を行うための印刷実行判定情報とが符号化されることによって生成されたものであり、前記画像データ復号部は、前記符号化画像データから前記原稿データ及び前記印刷実行判定情報を復号し、前記判定部は、前記画像データ復号部によって復号された前記印刷実行判定情報に基づき、前記画像データ復号部によって復号された前記原稿データの印刷の実行可否を判定する。
【発明の効果】
【0013】
前記態様によれば、簡単な制御で、符号化された原稿データのセキュリティを高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施の形態におけるユーザ端末及び画像形成装置を示すネットワーク構成図である。
図2】実施の形態におけるユーザ端末を示す構成図である。
図3】実施の形態における画像形成装置を示す構成図である。
図4】実施の形態における符号化処理を説明するためのフローチャートである。
図5】実施の形態における復号化処理を説明するためのフローチャートである。
図6図5の印刷実行可否判定処理を説明するためのフローチャートである。
図7】実施の形態における符号化画像データを説明するための説明図である。
図8】他の実施の形態における符号化処理を説明するためのフローチャートである。
図9】他の実施の形態における復号化処理を説明するためのフローチャートである。
図10】他の実施の形態における符号化画像データを説明するための説明図である。
図11】変形例における印刷実行可否判定処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る画像処理装置(ユーザ端末10及び画像形成装置20)について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1は、ユーザ端末10及び画像形成装置20,30を示すネットワーク構成図である。
【0017】
図1に示すように、ユーザ端末10は、画像形成装置30にネットワークを介して無線又は有線で接続されている。一方、ユーザ端末10は、画像形成装置20とは接続されていなくてもよい。
【0018】
詳しくは後述するが、画像形成装置30は、図7に示すように、媒体の一例である用紙P1から原稿画像の原稿データD1を読み取る。ユーザ端末10は、画像形成装置30によって読み取られた原稿データD1と、この原稿データD1の印刷の実行可否の判定を行うための印刷実行判定情報とを符号化することによって符号化画像データD2を生成し、画像形成装置30に対し、媒体の一例である用紙P2に符号化画像データD2を印刷させる。このように、ユーザ端末10は、原稿データD1及び印刷実行判定情報を符号化することによって符号化画像データD2を生成する第1の画像処理装置の一例として機能する。
【0019】
一方、画像形成装置20は、用紙P2の符号化画像データD2を読み取り、この読み取られた符号化画像データD2を原稿データD1及び印刷実行判定情報に復号する。また、画像形成装置20は、復号された印刷実行判定情報に基づき、原稿データD1の印刷の実行可否を判定し、実行可能と判定すれば、復号された原稿データD1を印刷する。このように、画像形成装置20は、符号化画像データD2を原稿データD1及び印刷実行判定情報に復号し、原稿データD1の印刷の実行可否を判定する第2の画像処理装置の一例として機能する。
【0020】
なお、画像形成装置20及びユーザ端末10のうちの一方が第1の画像処理装置及び第2の画像処理装置を兼ねてもよいし、ユーザ端末10が第1の画像処理装置ではなく第2の画像処理装置として機能してもよいし、画像形成装置20が第2の画像処理装置ではなく第1の画像処理装置として機能してもよい。また、画像形成装置20が、原稿データD1の読み取りや符号化画像データD2の印刷を行う画像形成装置30を兼ねてもよい。
【0021】
図2に示すように、ユーザ端末10は、制御部11と、記憶部12と、入力部13と、表示部14と、インターフェース15とを備える。ユーザ端末10は、例えば、パーソナルコンピュータ等の設置型端末であるか、或いは、タブレット端末、スマートフォンなどの携帯型端末である。
【0022】
制御部11は、ユーザ端末10全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU: Central Processing Unit)を有する。このプロセッサは、所定のプログラムを読み出して実行することにより、原稿データD1及び印刷実行判定情報(例えば、原稿データD1の印刷可能時間を表す情報、認証情報など)を公知の方式で符号化することによって符号化画像データD2を生成する符号化画像データ生成部11aとして機能する。なお、原稿データD1は、画像形成装置30のスキャナによって読み取られたものであり、印刷実行判定情報は、例えば、入力部13においてユーザの設定を受け付けることによって取得される。
【0023】
ここで、プロセッサが実行するプログラムは、原稿データD1と、当該原稿データD1の印刷の実行可否の判定を行うための印刷実行判定情報とを符号化することによって、符号化画像データD2を生成する機能をコンピュータ(ユーザ端末10又は制御部11)に実行させる第1のプログラムを含む。
【0024】
また、コンピュータ(ユーザ端末10又は制御部11)は、原稿データD1と、当該原稿データD1の印刷の実行可否の判定を行うための印刷実行判定情報とを符号化することによって、符号化画像データD2を生成する工程を含む第1の画像処理方法を行う。
【0025】
記憶部12は、例えば、所定の制御プログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM(Read Only Memory)、制御部11が各種のプログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)、ハーディディスク装置などである。
【0026】
入力部13は、例えば、キーボード装置、マウス装置、タッチパネルなどであり、ユーザによる各種の操作情報の入力を受け付ける。
【0027】
表示部14は、ユーザの入力操作のための表示画面などの各種情報を表示するディスプレイである。
【0028】
インターフェース15は、画像形成装置30などの他の装置との間での各種情報の授受を行う。
【0029】
図3に示すように、画像形成装置20は、制御部21と、記憶部22と、入力部23と、表示部24と、インターフェース25と、印刷部26と、読取部27と、搬送部28とを備える。
【0030】
制御部21は、画像形成装置20全体の動作を制御する演算処理装置として機能するプロセッサ(例えばCPU)を有する。このプロセッサは、所定のプログラムを読み出して実行することにより、原稿データD1が符号化された符号化画像データD2を原稿データD1及び印刷実行判定情報に復号する画像データ復号部21a、及び復号された印刷実行判定情報に基づき、原稿データD1の印刷の実行可否を判定する判定部21bとして機能する。
【0031】
ここで、制御部21のプロセッサが実行するプログラムは、原稿データD1と当該原稿データD1の印刷の実行可否の判定を行うための印刷実行判定情報とが符号化された符号化画像データD2を原稿データD1及び印刷実行判定情報に復号する機能と、復号された印刷実行判定情報に基づき、復号された原稿データD1の印刷の実行可否を判定する機能とをコンピュータ(画像形成装置20又は制御部21)に実行させる第2のプログラムを含む。
【0032】
また、コンピュータ(画像形成装置20又は制御部21)は、原稿データD1と当該原稿データD1の印刷の実行可否の判定を行うための印刷実行判定情報とが符号化された符号化画像データD2を原稿データD1及び印刷実行判定情報に復号する工程と、復号された印刷実行判定情報に基づき、復号された原稿データD1の印刷の実行可否を判定する工程とを含む第2の画像処理方法を行う。
【0033】
記憶部22は、例えば、所定のプログラムが予め記録されている読み出し専用半導体メモリであるROM、制御部21が各種のプログラムを実行する際に必要に応じて作業用記憶領域として使用される随時書き込み読み出し可能な半導体メモリであるRAM、ハーディディスク装置などである。
【0034】
入力部23は、例えば、タッチパネル、入力ボタンなどであり、ユーザによる各種の操作情報の入力を受け付ける。
【0035】
表示部24は、ユーザの入力操作のための表示画面などの各種情報を表示するディスプレイである。
【0036】
インターフェース25は、ユーザ端末10などの他の装置との間での各種情報の授受を行う。
【0037】
印刷部26は、符号化画像データD2から復号された原稿データD1を印刷する。印刷部26の印刷方式は、例えば、インクジェット印刷方式、孔版印刷方式、電子写真方式などであるが、特に制限されない。
【0038】
読取部27は、媒体(媒体の画像)から画像データ(原稿データ)を読み取るスキャナを有する。このスキャナは、用紙P2(用紙P2)から符号化画像データD2を読み取る。
【0039】
搬送部28は、印刷部26によって、復号された原稿データD1の印刷が行われる用紙や、読取部27によって、符号化画像データD2の読み取りが行われる用紙P2等の媒体の搬送を行う。
【0040】
なお、図示はしないが、画像形成装置30は、画像形成装置20と同様に、制御部、記憶部、入力部、表示部、インターフェース、印刷部、読取部、搬送部等を有し、上述のように、用紙P1からの原稿データD1の読み取りや、用紙P2への符号化画像データD2の印刷などを行う。画像形成装置30の印刷部の印刷方式も特に制限されないが、符号化画像データD2の印刷を行うため、高精細な印刷を行うことができる画像形成装置(一例としてはレーザービームプリンタ)であることが望ましい。
【0041】
図4は、符号化処理を説明するためのフローチャートである。
【0042】
図4に示す各処理は、ユーザ端末10の制御部11が記憶部12から所定のプログラムを読み出して実行することによって行われる。
【0043】
まず、制御部11は、画像形成装置30が読み取った図7に示す用紙P1の原稿データD1を取得する(ステップS11)。
【0044】
次に、制御部11の符号化画像データ生成部11aは、原稿データD1と、この原稿データD1の印刷の実行可否の判定を行うための印刷実行判定情報とを符号化することによって符号化画像データD2を生成する(ステップS12)。この符号化画像データD2は、例えば、変換された印刷実行判定情報D2aがヘッダー部分に位置し、変換された原稿データD2bがヘッダー部分に続く本文部分(図7におけるヘッダー部分の下方)に位置する。このように、変換された原稿データD2bは、符号化画像データD2内において、変換された印刷実行判定情報D2aとは分離して位置する。
【0045】
印刷実行判定情報は、原稿データD1の印刷可能時間を表す情報を含むとよい。この印刷可能時間を表す情報は、例えば、所定の日時以降に印刷できるという情報、所定の日時以降に印刷できなくなるという情報、所定の一定期間のみ印刷できるという情報、所定の一定期間のみ印刷できないという情報などである。
【0046】
また、印刷実行判定情報は、原稿データD1の印刷のための認証情報を含むとよい。この認証情報は、例えば、ユーザ情報(ユーザID)、パスワード情報などの少なくとも1つである。なお、符号化画像データD2を原稿データD1及び印刷実行判定情報に復号し、原稿データD1の印刷の実行可否を判定する第2の画像処理装置が画像形成装置20ではなくユーザ端末10である場合には、このユーザ端末10(第2の画像処理装置)と、符号化画像データD2の生成を行ったユーザ端末10(第1の画像処理装置)とが一致するかを判定するための認証情報(例えばMAC(Media Access Control)アドレス)であってもよい。
【0047】
また、印刷実行判定情報は、符号化画像データD2から復号された原稿データD1を印刷する場合の印刷枚数、印刷色、解像度、色材使用量、用紙サイズなどの印刷情報等であってもよい。このように印刷実行判定情報が印刷情報であっても、画像形成装置20の判定部21bは、印刷情報に基づき、原稿データD1の印刷の実行可否を判定することができる。
【0048】
次に、制御部11は、画像形成装置30に対し、用紙P2に符号化画像データD2を印刷させる(ステップS13)。なお、符号化画像データD2が印刷される用紙P2の枚数は、原稿データD1が読み取られた用紙P1の枚数よりも多くなる場合がある。また、用紙P2には、符号化されていない印刷可能日時(印刷実行判定情報)、符号化原稿作成日時(すなわち用紙P2の作成日時)、符号化画像データD2の向きを表す情報(図7における用紙P2の上向き三角)、符号化画像データD2の位置を表す情報(符号化画像データD2の四つ角の四角部分)、符号化画像データD2から復号された原稿データD1を印刷する場合の用紙サイズの情報(印刷情報)、原稿データD1のファイル名の情報、用紙P2のページ数の情報などが印刷されるとよい。
【0049】
図5は、復号化処理を説明するためのフローチャートである。
【0050】
図5に示す各処理は、画像形成装置20の制御部21が記憶部22から所定のプログラムを読み出して実行することによって行われる。
【0051】
まず、制御部21は、読取部27が読み取った図7に示す用紙P2の符号化画像データD2を取得する(ステップS21)。
【0052】
次に、制御部21の画像データ復号部21aは、符号化画像データD2を原稿データD1及び印刷実行判定情報に復号する(ステップS22)。
【0053】
次に、制御部21は、印刷実行判定情報が復号されたかを判定する(ステップS23)。制御部21は、印刷実行判定情報が復号されたと判定すれば(ステップS23:YES)、図6に示す印刷実行可否判定処理(ステップS24)を行う。
【0054】
図6のフローチャートの例では、印刷実行判定情報が印刷可能時間を表す情報又は認証情報である場合を例に説明する。なお、図6に示す各処理は、画像形成装置20の制御部21の判定部21bによって行われる。
【0055】
まず、判定部21bは、印刷実行判定情報が印刷可能時間を表す情報であるかを判定する(ステップS31)。
【0056】
判定部21bは、印刷実行判定情報が印刷可能時間を表す情報であると判定した場合(ステップS31:YES)、画像形成装置20が保持している日時情報が印刷可能時間であるかを判定する(ステップS32)。なお、画像形成装置20が保持している日時情報は、管理者以外が変更できなくなっている。
【0057】
判定部21bは、画像形成装置20が保持している日時情報が印刷可能時間であれば(ステップS32:YES)、原稿データD1の印刷を実行可能と判定する。また、判定部21bは、画像形成装置20が保持している日時情報が印刷可能時間でなければ(ステップS32:NO)、原稿データD1の印刷を実行不可と判定する。判定部21bは、このように原稿データD1の印刷の実行可否を判定した後、図6に示す印刷実行可否判定処理を終了する。
【0058】
判定部21bは、上述のステップS31において、印刷実行判定情報が印刷可能時間を表す情報でなく認証情報と判定した場合(ステップS31:NO)、画像形成装置20において認証を行う設定がされているかを判定する(ステップS33)。判定部21bは、認証を行う設定がされていない場合(ステップS33:NO)、原稿データD1の印刷を実行可能と判定し、図6に示す印刷実行可否判定処理を終了する。
【0059】
判定部21bは、認証を行う設定がされている場合(ステップS33:YES)、入力部23においてユーザへ認証情報を入力させて取得する(ステップS34)。この認証情報は、ユーザ情報(ユーザID)、パスワード情報などの少なくとも1つであるが、画像形成装置20にログインしているユーザがいる場合には、ログイン情報が取得されることで、認証情報が取得されてもよい。
【0060】
次に、判定部21bは、ユーザが入力した認証情報と、画像データ復号部21aによって復号された認証情報(印刷実行判定情報)とが一致しているかを判定する(ステップS35)。なお、画像データ復号部21aによって復号された認証情報が特定グループのユーザであれば許容するという情報である場合には、制御部21は、認証情報を入力したユーザが上記のグループに属しているかを判定してもよい。
【0061】
判定部21bは、ユーザが入力した認証情報と、画像データ復号部21aによって復号された認証情報とが一致していれば(ステップS35:YES)、原稿データD1の印刷を実行可能と判定する。また、判定部21bは、ユーザが入力した認証情報と、画像データ復号部21aによって復号された認証情報とが一致していなければ(ステップS35:NO)、原稿データD1の印刷を実行不可と判定する。判定部21bは、このように原稿データD1の印刷の実行可否を判定した後、図6に示す印刷実行可否判定処理を終了する。
【0062】
図5のフローチャートに戻り、制御部21は、上述の印刷実行可否判定処理(ステップS24)において、原稿データD1の印刷が実行可能であったかを判定する(ステップS25)。
【0063】
制御部21は、原稿データD1の印刷が実行可能であった場合(ステップS25:YES)、及び上述のステップS23において印刷実行判定情報が復号されていないと判定した場合(ステップS23:NO)、印刷部26に原稿データD1を印刷させ(ステップS26)、図5に示す復号化処理を終了する。なお、制御部21は、印刷実行判定情報が復号されていないと判定した場合(ステップS23:NO)、印刷実行判定情報の復号に失敗したものとして、後述するステップS27の処理と同様に、印刷が実行不可であることをユーザに通知してもよい。
【0064】
制御部21は、原稿データD1の印刷が実行不可であった場合(ステップS25:NO)、原稿データD1の印刷が実行不可であることをユーザに通知し(ステップS27)、図5に示す復号化処理を終了する。なお、ユーザへの通知は、例えば、表示部24における表示、図示しない音声出力部による音声出力などで行うことができる。
【0065】
以上説明した本実施の形態では、第1の画像処理装置の一例であるユーザ端末10は、原稿データD1を符号化することによって符号化画像データD2を生成する符号化画像データ生成部11aを備える画像処理装置であって、符号化画像データ生成部11aは、原稿データD1と、当該原稿データD1の印刷の実行可否の判定を行うための印刷実行判定情報とを符号化することによって、符号化画像データD2を生成する。
【0066】
また、本実施の形態では、第2の画像処理装置の一例である画像形成装置20は、原稿データD1が符号化された符号化画像データD2を原稿データD1に復号する画像データ復号部21aを備える画像処理装置であって、画像データ復号部21aによって復号された原稿データD1の印刷の実行可否を判定する判定部21bを備え、符号化画像データD2は、原稿データD1と、当該原稿データD1の印刷の実行可否の判定を行うための印刷実行判定情報とが符号化されることによって生成されたものであり、画像データ復号部21aは、符号化画像データD2を原稿データD1及び印刷実行判定情報に復号し、判定部21bは、画像データ復号部21aによって復号された印刷実行判定情報に基づき、画像データ復号部21aによって復号された原稿データD1の印刷の実行可否を判定する。
【0067】
これらのユーザ端末10(第1の画像処理装置)又は画像形成装置20(第2の画像処理装置)を用いることによって、原稿データD1とともに印刷実行判定情報を符号化することができる。また、符号化画像データD2から復号された原稿データD1の印刷の実行可否を、符号化画像データD2から復号された印刷実行判定情報に基づき判定することができる。よって、本実施の形態によれば、簡単な制御で、符号化される原稿データD1のセキュリティを高めることができる。
【0068】
また、本実施の形態では、印刷実行判定情報は、原稿データD1の印刷可能時間を表す情報を含む。これにより、印刷可能時間のみに原稿データD1の印刷を実行することができるため、ある一定期間のみ情報漏洩を防ぐことが求められる原稿データD1のセキュリティを高めることができる。また、ユーザは、パスワード等の認証情報の管理(原稿データD1とパスワードとの紐付けの管理、パスワードの漏洩防止など)、認証情報の入力などを行わなくともよくなる。これにより、セキュリティの意識が高くないユーザにも、符号化画像データD2が印刷された用紙P2を渡しやすくなる。
【0069】
また、本実施の形態では、印刷実行判定情報は、原稿データD1の印刷のための認証情報を含む。これにより、符号化された認証情報と、ユーザによって入力された認証情報とが一致した場合のみに原稿データD1の印刷を実行することができるため、符号化画像データD2が印刷された用紙P2を不正に入手したユーザに対しては、原稿データD1の印刷を行わせないようにすることができる。したがって、原稿データD1のセキュリティを高めることができる。また、認証のためのICカードやICカードリーダ等の初期費用を要することなく、媒体(用紙P2の符号化画像データD2に符号化された認証情報)を用いた認証を行うことができる。
【0070】
なお、原稿データD1は、画像形成装置30のスキャナで読み取る以外に、ユーザ端末10のアプリ等で作成されたデータであってもよい。
【0071】
以下、図8図10を参照しながら、他の実施の形態について説明する。
【0072】
当該他の実施の形態は、図10に示すように、符号化画像データD3が、印刷実行判定情報D3a及び原稿データD3bに加えて、例えば電子メールアドレスである宛先情報D3cを符号化することよって生成される点において、上述の実施の形態と主に相違し、その他の事項については上述の実施の形態と同様にすることができる。そのため、詳細な説明は省略する。
【0073】
図8は、他の実施の形態における符号化処理を説明するためのフローチャートである。
【0074】
図8に示す各処理は、図2に示すユーザ端末10の制御部11が記憶部12から所定のプログラムを読み出して実行することによって行われる。
【0075】
まず、制御部11は、図1に示す画像形成装置30が読み取った図10に示す用紙P1の原稿データD1を取得する(ステップS41)。
【0076】
次に、制御部11の符号化画像データ生成部11aは、原稿データD1と、この原稿データD1の印刷の実行可否の判定を行うための印刷実行判定情報と、宛先情報とを符号化することによって符号化画像データD3を生成する(ステップS42)。この符号化画像データD3は、例えば、変換された印刷実行判定情報D3a及び宛先情報D3cがヘッダー部分に位置し、変換された原稿データD3bがヘッダー部分に続く本文部分(図10におけるヘッダー部分の下方)に位置する。このように、変換された原稿データD3bは、符号化画像データD3内において、変換された印刷実行判定情報D3a及び宛先情報D3cとは分離して位置する。
【0077】
次に、制御部11は、図1に示す画像形成装置30に対し、用紙P3への符号化画像データD3の印刷を行わせる(ステップS43)。
【0078】
図9は、復号化処理を説明するためのフローチャートである。
【0079】
図9に示す各処理は、図3に示す画像形成装置20の制御部21が記憶部22から所定のプログラムを読み出して実行することによって行われる。
【0080】
まず、制御部21は、読取部27が読み取った図10に示す用紙P3の符号化画像データD3を取得する(ステップS51)。
【0081】
次に、制御部21の画像データ復号部21aは、符号化画像データD32を、原稿データD1、印刷実行判定情報、及び宛先情報に復号する(ステップS52)。
【0082】
次に、制御部21は、印刷実行判定情報が復号されたかを判定する(ステップS53)。制御部21は、印刷実行判定情報が復号されたと判定すれば(ステップS53:YES)、上述の図6に示す印刷実行可否判定処理(ステップS54)を行う。
【0083】
制御部21は、印刷実行可否判定処理(ステップS54)を行った後、及び上述のステップS53において印刷実行判定情報が復号されていないと判定した場合(ステップS53:NO)には、宛先情報の復号に成功したかを判定する(ステップS55)。
【0084】
制御部21は、宛先情報が復号されていないと判定した場合(ステップS55:NO)、宛先情報の復号に失敗したことをユーザに通知する(ステップS56)。なお、ユーザへの通知は、例えば、表示部24における表示、図示しない音声出力部による音声出力などで行うことができる。
【0085】
制御部21は、宛先情報の復号に成功したと判定した場合(ステップS55:YES)、復号の指示を行ったユーザ(例えば、符号化画像データD3が印刷された用紙P3を読取部27にセットし、読み取り操作を行ったユーザ)が特定可能であるかを判定する(ステップS57)。制御部21は、例えば、画像形成装置20にログインしているユーザがいる場合には、ユーザが特定可能であると判定することができる。この場合、制御部21は、ログイン情報をユーザ情報として取得する。また、制御部21は、入力部23において、ユーザへユーザ情報及びパスワードなどの認証情報を入力させ、この認証情報からユーザ情報を取得してもよい。また、制御部21は、ユーザのICカードから読み取られたユーザ情報などを取得してもよい。
【0086】
制御部21は、ユーザが特定可能であると判定した場合(ステップS57:YES)、復号された宛先情報に対応する送信先に、復号実施情報を送信する(ステップS58)。例えば、制御部21は、宛先情報の一例である電子メールアドレスに、復号実施情報の一例として、ユーザ情報、上述のステップS54における印刷の実行可否の判定結果を表す情報などを送信するようにインターフェース25を制御する。この送信内容は、さらに、復号された原稿データD1又はこの原稿データD1を表す情報、ユーザが指定する印刷枚数、復号日時などを含むとよい。なお、インターフェース25は、宛先情報に対応する送信先に復号実施情報を送信する送信部の一例として機能する。インターフェース25は、管理者の端末のアプリ等に復号実施情報を送信してもよい。また、画像形成装置20の記憶部22が電子メールアドレス等と管理者とを対応付けて記憶している場合などには、宛先情報は、管理者を特定するための管理者情報であってもよい。
【0087】
また、制御部21は、ユーザが特定不可能と判定した場合(ステップS57:NO)、復号された電子メールアドレスなどの宛先情報に対応する送信先に、ユーザ情報を含まず、印刷実行可否の判定結果を表す情報などを含む復号実施情報を送信する(ステップS59)。
【0088】
なお、制御部21は、予め復号が許容されたユーザが指定されている場合に、復号が許容されていないユーザによる復号が行われることが電子メールなどによって送信されるときには、電子メールを受信した管理者が、復号を許可する返信等を行うまでは、後述する原稿データD1の印刷処理(ステップS61)を行わないようにしてもよい。
【0089】
制御部21は、上述のステップS55~59の処理を、後述するステップS60~S62の処理の後に行い、印刷完了後に、印刷枚数等の印刷状況なども含めて、電子メールなどによって復号実施状況を送信するようにしてもよい。或いは、ユーザのログイン解除後に、ログイン時の複数回の復号実施情報をまとめて、電子メールなどによって送信するようにしてもよい。
【0090】
制御部21は、電子メールの送信(ステップS58,S59)を行った後、及び上述のように宛先情報の復号に失敗したことをユーザに通知(ステップS56)した後には、上述の印刷実行可否判定処理(ステップS54)において印刷の実行可否が不可と判定されたかを判定する(ステップS60)。
【0091】
制御部21は、印刷の実行可否が可能と判定された場合、及び印刷実行判定情報が復号されていない場合(ステップS53:NO)には、印刷の実行可否が不可と判定されていないといえるため(ステップS60:NO)、印刷部26に原稿データD1を印刷させ(ステップS61)、図9に示す復号化処理を終了する。
【0092】
なお、制御部21は、印刷実行判定情報が復号されていないと判定した場合(ステップS53:NO)、後述するステップS62の処理と同様に、印刷が実行不可であることをユーザに通知してもよい。
【0093】
制御部21は、原稿データD1の印刷が実行不可であった場合(ステップS60:YES)、原稿データD1の印刷が実行不可であることをユーザに通知し(ステップS62)、図9に示す復号化処理を終了する。
【0094】
以上説明した図8図10に対応する他の実施の形態では、上述の図1図7に対応する実施の形態と同様の事項については、同様の効果、例えば、簡単な制御で、符号化される原稿データD1のセキュリティを高めることができるなどの効果を得ることができる。
【0095】
また、上述の他の実施の形態では、符号化画像データD3は、原稿データD1と、当該原稿データD1の印刷の実行可否の判定を行うための印刷実行判定情報と、宛先情報とが符号化されることによって生成されたものであり、画像データ復号部21aは、符号化画像データD3を、原稿データD1、印刷実行判定情報、及び宛先情報に復号し、第2の画像処理装置の一例である画像形成装置20は、宛先情報に対応する送信先に復号実施情報を送信する送信部の一例であるインターフェース25を更に備える。これにより、電子メールなどの送信先である管理者が復号実施情報を把握することができるため、原稿データD1の悪用を防止することができる。また、復号化画像データD3が印刷された用紙P3において、宛先情報が符号化されているため、宛先情報に対応する箇所を塗りつぶすことによって復号実施情報の送信が妨害されるのを防止することもできる。また、宛先情報が符号化されているため、宛先情報の漏洩防止を図ることもできる。したがって、符号化される原稿データD1のセキュリティをより一層高めることができる。
【0096】
また、上述の他の実施の形態では、復号実施情報は、制御部21の判定部21bによる原稿データD1の印刷の実行可否の判定結果を表す情報を含む。これにより、電子メールなどを見た管理者は、原稿データD1の復号及び印刷の実施状況を把握することができる。したがって、符号化される原稿データD1のセキュリティをより一層高めることができる。例えば、管理者は、原稿データD1の復号及び印刷が定期的に行われる場合に、滞りなく復号及び印刷が行われていることや、何らかの不備で復号及び印刷が行われないことを把握することができる。
【0097】
また、上述の他の実施の形態では、復号実施情報は、復号の実施指示を行ったユーザのユーザ情報を含む。これにより、電子メールなどを見た管理者は、どのユーザが復号の実施を指示したかを把握することができる。したがって、符号化される原稿データD1のセキュリティをより一層高めることができる。
【0098】
ところで、上述の図1図7に対応する実施の形態、及び上述の図8図10に対応する他の実施の形態では、図6に示すように、印刷実行判定情報が印刷可能時間を表す情報又は認証情報である場合を例に説明した。
【0099】
以下の変形例では、印刷実行判定情報が、復号された原稿データD1の最大印刷枚数を表す情報、又は復号可能回数を表す情報を含む場合を例に説明する。
【0100】
印刷実行判定情報は、復号された原稿データD1の最大印刷枚数を表す情報を含むとよい。この原稿データD1の最大印刷枚数を表す情報は、例えば、一度の復号で印刷可能な最大印刷枚数、ある一定期間に印刷可能な最大印刷枚数、又は期間に限られない累計の最大印刷枚数などである。
【0101】
また、印刷実行判定情報は、復号可能回数を表す情報を含むとよい。この復号可能回数を表す情報は、例えば、ある一定期間に復号可能な回数、又は期間に限られない累計の復号可能な回数などである。後述するように、図3に示す判定部21bが復号可能回数と過去の復号回数とを比較するために、記憶部22は、過去の復号履歴を表す復号履歴情報を記憶するとよい。この復号履歴情報は、インターフェース25が他の装置から受信するものであってもよい。なお、過去の復号回数は、図3に示す画像形成装置20のみの復号回数であってもよいし、図3に示す画像形成装置20の復号回数と、他の装置から取得できる他の装置の復号回数とを合算した復号回数であってもよい。
【0102】
図11は、変形例における印刷実行可否判定処理を説明するためのフローチャートである。
【0103】
図11に示すフローチャートの例では、印刷実行判定情報が、復号された原稿データD1の最大印刷枚数を表す情報又は最大印刷枚数を表す情報である場合を例に説明する。なお、図11に示す各処理は、画像形成装置20の制御部21の判定部21bによって行われる。
【0104】
まず、判定部21bは、印刷実行判定情報が最大印刷枚数を表す情報であるかを判定する(ステップS71)。
【0105】
判定部21bは、印刷実行判定情報が最大印刷枚数を表す情報であると判定した場合(ステップS71:YES)、ユーザの印刷操作に対応する印刷ジョブから印刷指定枚数の情報を取得し、この印刷指定枚数が最大印刷枚数以下であるかを判定する(ステップS72)。なお、最大印刷枚数が、一度の復号で印刷可能な最大印刷枚数ではなく、ある一定期間に印刷可能な最大印刷枚数、又は期間に限られない累計の最大印刷枚数である場合、上述の復号履歴情報に含まれる印刷履歴情報に基づいて、画像形成20(又は、画像形成装置20及び他の装置)の累計印刷枚数と指定印刷枚数とを合算して、最大印刷枚数との比較を行ってもよい。
【0106】
判定部21bは、印刷指定枚数が最大印刷枚数以下であれば(ステップS72:YES)、原稿データD1の印刷を実行可能と判定する。また、判定部21bは、印刷指定枚数が最大印刷枚数を超える場合(ステップS72:NO)、原稿データD1の印刷を実行不可と判定する。判定部21bは、このように原稿データD1の印刷の実行可否を判定した後、図11に示す印刷実行可否判定処理を終了する。なお、原稿データD1の印刷を実行不可と判定された場合、上述の図5に示すフローチャートのステップS27、又は上述の図9に示すフローチャートのステップS62において印刷が実行不可であることがユーザに通知されるが、この通知の際に、印刷指定枚数を最大印刷枚数以内に変更するように枚数変更を促してもよい。
【0107】
判定部21bは、上述のステップS71において、印刷実行判定情報が最大印刷枚数を表す情報でなく復号可能回数を表す情報と判定した場合(ステップS71:NO)、例えば図3に示す記憶部22から上述の復号履歴情報を取得し、参照する(ステップS73)。
【0108】
そして、判定部21bは、過去の復号回数が復号可能回数よりも少ないかを判定する((ステップS74)。
【0109】
判定部21bは、過去の復号回数が復号可能回数よりも少ない場合(ステップS74:YES)、原稿データD1の印刷を実行可能と判定する。また、判定部21bは、過去の復号回数が復号可能回数以上である場合(ステップS74:NO)、原稿データD1の印刷を実行不可と判定する。判定部21bは、このように原稿データD1の印刷の実行可否を判定した後、図11に示す印刷実行可否判定処理を終了する。
【0110】
以上説明した本変形例では、印刷実行判定情報は、画像データ復号部21aによって復号された原稿データD1の最大印刷枚数を表す情報を含み、判定部21bは、最大印刷枚数を表す情報と、印刷指定枚数とを比較し、画像データ復号部21aによって復号された原稿データD1の印刷の実行可否を判定する。これにより、最大印刷枚数の範囲で原稿データD1の印刷を実行することができるため、想定外の枚数の印刷が行われることを防止することができる。したがって、符号化される原稿データD1のセキュリティをより一層高めることができる。
【0111】
また、本変形例では、印刷実行判定情報は、復号可能回数を表す情報を含み、判定部21bは、復号可能回数を表す情報と、過去の復号履歴を表す復号履歴情報とを比較し、画像データ復号部21aによって復号された原稿データD1の印刷の実行可否を判定する。これにより、指定された復号可能回数の範囲で復号回数を制限することができるため、想定外の回数の復号及び印刷が行われることを防止することができる。したがって、符号化される原稿データD1のセキュリティをより一層高めることができる。
【0112】
なお、本発明は、上述の実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上述の実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0113】
[付記1]
原稿データを符号化することによって符号化画像データを生成する符号化画像データ生成部を備える画像処理装置であって、
前記符号化画像データ生成部は、前記原稿データと、当該原稿データの印刷の実行可否の判定を行うための印刷実行判定情報とを符号化することによって、前記符号化画像データを生成する
ことを特徴とする画像処理装置。
【0114】
[付記2]
原稿データが符号化された符号化画像データを前記原稿データに復号する画像データ復号部を備える画像処理装置であって、
前記画像データ復号部によって復号された前記原稿データの印刷の実行可否を判定する判定部を備え、
前記符号化画像データは、前記原稿データと、当該原稿データの印刷の実行可否の判定を行うための印刷実行判定情報とが符号化されることによって生成されたものであり、
前記画像データ復号部は、前記符号化画像データから前記原稿データ及び前記印刷実行判定情報を復号し、
前記判定部は、前記画像データ復号部によって復号された前記印刷実行判定情報に基づき、前記画像データ復号部によって復号された前記原稿データの印刷の実行可否を判定する
ことを特徴とする画像処理装置。
【0115】
[付記3]
前記印刷実行判定情報は、前記原稿データの印刷可能時間を表す情報を含む
ことを特徴とする付記1又は2記載の画像処理装置。
【0116】
[付記4]
前記印刷実行判定情報は、前記原稿データの印刷のための認証情報を含む
ことを特徴とする付記1から3のいずれか記載の画像処理装置。
【0117】
[付記5]
前記印刷実行判定情報は、前記画像データ復号部によって復号された前記原稿データの最大印刷枚数を表す情報を含み、
前記判定部は、前記最大印刷枚数を表す情報と、印刷指定枚数とを比較し、前記画像データ復号部によって復号された前記原稿データの印刷の実行可否を判定する
ことを特徴とする付記2記載の画像処理装置。
【0118】
[付記6]
前記印刷実行判定情報は、復号可能回数を表す情報を含み、
前記判定部は、前記復号可能回数を表す情報と、過去の復号履歴を表す復号履歴情報とを比較し、前記画像データ復号部によって復号された前記原稿データの印刷の実行可否を判定する
ことを特徴とする付記2又は5記載の画像処理装置。
【0119】
[付記7]
前記符号化画像データは、前記原稿データと、当該原稿データの印刷の実行可否の判定を行うための印刷実行判定情報と、宛先情報とが符号化されることによって生成されたものであり、
前記画像データ復号部は、前記符号化画像データを、前記原稿データ、前記印刷実行判定情報、及び前記宛先情報に復号し、
前記画像処理装置は、前記宛先情報に対応する送信先に復号実施情報を送信する送信部を更に備える
ことを特徴とする付記2、5、及び6のいずれか記載の画像処理装置。
【0120】
[付記8]
前記復号実施情報は、前記判定部による前記原稿データの印刷の実行可否の判定結果を表す情報を含む
ことを特徴とする付記7記載の画像処理装置。
【0121】
[付記9]
前記復号実施情報は、復号の実施指示を行ったユーザのユーザ情報を含む
ことを特徴とする付記7又は8記載の画像処理装置。
【符号の説明】
【0122】
10 ユーザ端末
11 制御部
11a 符号化画像データ生成部
12 記憶部
13 入力部
14 表示部
15 インターフェース
20 画像形成装置
21 制御部
21a 画像データ復号部
21b 判定部
22 記憶部
23 入力部
24 表示部
25 インターフェース
26 印刷部
27 読取部
28 搬送部
30 画像形成装置
D1 原稿データ
D2,D3 符号化画像データ
D2a,D3a 変換された印刷実行判定情報
D2b,D3b 変換された原稿データ
D3c 変換された宛先情報
P1,P2,P3 用紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11