(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】媒体駆動式搬送装置の媒体位置決め具
(51)【国際特許分類】
B65H 5/38 20060101AFI20230308BHJP
B26D 7/06 20060101ALI20230308BHJP
B41J 13/10 20060101ALI20230308BHJP
B26D 5/00 20060101ALN20230308BHJP
【FI】
B65H5/38
B26D7/06 F
B41J13/10
B26D5/00 F
(21)【出願番号】P 2019033939
(22)【出願日】2019-02-27
【審査請求日】2021-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000105062
【氏名又は名称】グラフテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】小島 一也
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-154246(JP,U)
【文献】特開2004-115224(JP,A)
【文献】特開平08-126996(JP,A)
【文献】実開平04-020452(JP,U)
【文献】特開2002-154714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/38
B26D 7/06
B41J 13/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の媒体を搬送ステージの上で水平方向の搬送方向に搬送する媒体駆動式搬送装置に使用されて媒体の位置を決める媒体位置決め具であって、
前記搬送ステージに重ねられる底面と、
前記底面が前記搬送ステージに重ねられている状態で前記底面の端縁から上方に延びる側面と、
前記搬送ステージに前記搬送方向とは直交する水平方向である幅方向に延びるように形成されている形状変化部に上方から係合する突起とを備え、
前記側面は、前記突起が前記形状変化部に係合している状態において、前記搬送方向と平行になるように形成され
、
前記搬送ステージには、媒体をピンチローラと協働して挟む搬送ローラが突出し、
前記底面には、前記突起が前記形状変化部に係合している状態で前記搬送ローラが遊嵌状態で挿入可能な凹部が形成されていることを特徴とする媒体駆動式搬送装置の媒体位置決め具。
【請求項2】
請求項1記載の媒体駆動式搬送装置の媒体位置決め具において、
さらに、前記側面の上端に接続され、前記底面が前記搬送ステージに重ねられている状態で前記搬送ステージに沿うように延びる上面を備え、
前記上面は、前記搬送ステージを有する前記媒体駆動式搬送装置とは機種が異なる他の媒体駆動式搬送装置の他の搬送ステージと重なるように形成され、
前記他の媒体駆動式搬送装置は、前記他の搬送ステージの上で媒体を前記搬送方向に送るものであり、
前記上面には、前記他の搬送ステージに前記幅方向に延びるように形成されている他の形状変化部に係合可能な上面側突起が突設され、
前記側面は、前記上面が前記他の搬送ステージに重ねられているとともに前記上面側突起が前記他の形状変化部に係合している状態で、前記搬送方向と平行になるように形成されていることを特徴とする媒体駆動式搬送装置の媒体位置決め具。
【請求項3】
請求項2記載の媒体駆動式搬送装置の媒体位置決め具において、
前記他の搬送ステージには、媒体を他のピンチローラと協働して挟む他の搬送ローラが突出し、前記上面には、前記上面側突起が前記他の形状変化部に係合している状態で前記他の前記搬送ローラが遊嵌状態で挿入可能な上面側凹部が形成されていることを特徴とする媒体駆動式搬送装置の媒体位置決め具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体駆動式搬送装置にシート状の媒体を位置決めするために用いられる媒体駆動式搬送装置の媒体位置決め具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、卓上プリンタやカッティングプロッタなどの装置においては、印刷用紙やカッティング用シートなどのシート状の媒体を搬送するために、媒体駆動式搬送装置を備えている。この媒体駆動式搬送装置は、例えば特許文献1に記載されているように、搬送ステージの上に載置された媒体に回転する搬送ローラによって推力を付与し、この媒体を水平方向に搬送する構成のものが多い。
【0003】
この媒体駆動式搬送装置で媒体を正しく搬送するためには、搬送方向とは直交する幅方向の端縁が搬送方向と平行に延びるように媒体を媒体駆動式搬送装置に位置決めしなければならない。この位置決めは、特許文献1に示す媒体駆動式搬送装置においては、搬送ステージに立てて固定された板によって行われている。
【0004】
この位置決めを行うための位置決め部材としては、例えば特許文献2に記載されたようなものもある。特許文献2に開示されている位置決め部材は、カッティングプロッタのピンチロール組立体に設けられている。このピンチロール組立体は、媒体の幅方向に移動可能に構成されている。このため、媒体の幅方向において位置決め部材の位置を変えることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-154714号公報
【文献】特許第3476258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されている位置決め部材は、搬送ステージに固定されている。このため、媒体を幅方向の任意の位置に設置することができないという問題がある。
特許文献2に開示されている位置決め部材は、幅方向において設置される位置を変えることが可能であり、媒体を幅方向の任意の位置に設置することが可能なものである。
【0007】
しかし、特許文献2に示す位置決め部材は、搬送中も媒体に接触するために、媒体の幅方向の両端にそれぞれ接するように配置しなければならない。この理由は、位置決め部材が媒体の幅方向の一方のみに接触する状態で媒体が搬送されると、位置決め部材との接触による抵抗で媒体が搬送方向に対して傾くおそれがあるからである。このため、特許文献2に示す位置決め部材では、媒体の幅方向の両側で位置を合わせる設置作業が必要になるから、この設置作業が煩雑になるという問題がある。
【0008】
また、特許文献2に示す位置決め部材は、小型の部品であるピンチロール組立体に専用の取付構造が必要になるものである。このため、この位置決め部材を採用すると、媒体駆動式搬送装置の製造コストが高くなってしまう。
【0009】
本発明の目的は、搬送ステージの任意の位置に簡単に設置でき、しかも、媒体駆動式搬送装置の製造コストを低く抑えることが可能な媒体駆動式搬送装置の媒体位置決め具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために、本発明に係る媒体駆動式搬送装置の媒体位置決め具は、シート状の媒体を搬送ステージの上で水平方向の搬送方向に搬送する媒体駆動式搬送装置に使用されて媒体の位置を決める媒体位置決め具であって、前記搬送ステージに重ねられる底面と、前記底面が前記搬送ステージに重ねられている状態で前記底面の端縁から上方に延びる側面と、前記搬送ステージに前記搬送方向とは直交する水平方向である幅方向に延びるように形成されている形状変化部に上方から係合する突起とを備え、前記側面は、前記突起が前記形状変化部に係合している状態において、前記搬送方向と平行になるように形成されているものである。
【0011】
本発明は、前記媒体駆動式搬送装置の媒体位置決め具において、前記搬送ステージには、媒体をピンチローラと協働して挟む搬送ローラが突出し、前記底面には、前記突起が前記形状変化部に係合している状態で前記搬送ローラが遊嵌状態で挿入可能な凹部が形成されていてもよい。
【0012】
本発明は、前記媒体駆動式搬送装置の媒体位置決め具において、さらに、前記側面の上端に接続され、前記底面が前記搬送ステージに重ねられている状態で前記搬送ステージに沿うように延びる上面を備え、前記上面は、前記搬送ステージを有する前記媒体駆動式搬送装置とは機種が異なる他の媒体駆動式搬送装置の他の搬送ステージと重なるように形成され、前記他の媒体駆動式搬送装置は、前記他の搬送ステージの上で媒体を前記搬送方向に送るものであり、前記上面には、前記他の搬送ステージに前記幅方向に延びるように形成されている他の形状変化部に係合可能な上面側突起が突設され、前記側面は、前記上面が前記他の搬送ステージに重ねられているとともに前記上面側突起が前記他の形状変化部に係合している状態で、前記搬送方向と平行になるように形成されていてもよい。
【0013】
本発明は、前記媒体駆動式搬送装置の媒体位置決め具において、前記他の搬送ステージには、媒体を他のピンチローラと協働して挟む他の搬送ローラが突出し、前記上面には、前記上面側突起が前記他の形状変化部に係合している状態で前記他の搬送ローラが遊嵌状態で挿入可能な上面側凹部が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る媒体位置決め具は、突起が搬送ステージの形状変化部に係合することによって、側面が搬送方向と平行になる状態で搬送ステージに設置される。そして、搬送ステージに媒体を載せ、媒体位置決め具の側面に媒体の幅方向の端縁を突き当てることにより、媒体の縦辺(搬送方向に延びる一辺)が搬送方向と平行になる。このように媒体が位置決めされた状態で媒体が媒体駆動式搬送装置によって送られることにより、媒体が斜めに移動することなく、搬送方向に正しく搬送される。
【0015】
この媒体位置決め具は、搬送ステージに対して着脱自在であるから、媒体駆動式搬送装置の幅方向の任意の位置において搬送ステージに設置することができる。しかも、媒体の位置決めが終了した後は搬送ステージから簡単に取り外すことができるから、媒体が搬送時に搬送方向に対して傾斜することはない。
また、この媒体位置決め具は、搬送ステージの既存の構成部分である形状変化部を利用して位置決めを行うものであるから、媒体駆動式搬送装置に専用の取付構造は不要で、媒体駆動式搬送装置の製造コストに影響を及ぼすことなく設置することができる。
したがって、搬送ステージの任意の位置に簡単に設置でき、しかも、媒体駆動式搬送装置の製造コストを低く抑えることが可能な媒体駆動式搬送装置の媒体位置決め具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る媒体位置決め具を使用するカッティングプロッタの斜視図である。
【
図2】媒体駆動式搬送装置とカッティングヘッドの一部を示す断面図である。
【
図5】媒体位置決め具と搬送装置の要部の断面図である。
【
図6】媒体位置決め具の第1の使用形態を示す斜視図である。
【
図7】媒体位置決め具の第2の使用形態を示す斜視図である。
【
図8】第2の使用形態による媒体位置決め具と他の搬送装置の要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る媒体駆動式搬送装置の媒体位置決め具の一実施の形態を
図1~
図8を参照して詳細に説明する。この実施の形態においては、本発明の媒体位置決め具をカッティングプロッタの搬送装置に用いる場合の一例について説明する。
【0018】
(カッティングプロッタの説明)
図1に示すカッティングプロッタ1は、
図1の上部に描かれている媒体駆動式搬送装置2(以下、単に搬送装置2という)によって搬送ステージ3の上にシート状の媒体4を引き出し、搬送ステージ3の上でこの媒体4にカッティング加工を施すものである。カッティング加工後の媒体4は、搬送ステージ3から
図1の手前側に送られて、搬送ステージ3より低い位置に配置されている巻取装置5に巻取られる。
【0019】
(媒体の説明)
シート状の媒体4は、詳細には図示してはいないが、粘着剤付きのフィルムシートに剥離紙を貼り合わせたものである。この媒体4に施すカッティング加工は、フィルムシートを粘着剤とともに所定の形状に切断する切断加工である。この実施の形態によるカッティングプロッタ1は、
図1の紙面の裏側となる位置に不図示のシートロールを備えている。このシートロールは、未加工のシート状の媒体4がロール状に巻かれて形成されたものである。このシートロールから引き出された媒体4が搬送ステージ3の上に載せられ、搬送装置2によって送られる。
【0020】
このため、この実施の形態によるシート状の媒体4は、長手方向が搬送方向となるように搬送される。搬送方向は、
図1においては右上側から左下側に向かう方向である。
媒体4を最初に搬送ステージ3に載せるときには、搬送ステージ3の上に本発明に係る媒体位置決め具6を装着し、この媒体位置決め具6を使用して媒体4の長手方向が搬送方向と平行になるように媒体4が位置決めされる。媒体位置決め具6の構成は後述する。
【0021】
以下において、カッティングプロッタ1の部品を説明するうえで方向を示すにあたっては、搬送装置2より搬送方向の上流側(
図1においては右上側)をカッティングプロッタ1の「後側」とし、搬送装置2より搬送方向の下流側(
図1においては左下側)をカッティングプロッタ1の「前側」として行う。
また、以下の説明で左右方向と上下方向とを示すにあたっては、設置状態にあるカッティングプロッタ1を前方から見たときの方向で行う。すなわち、
図1の右側がカッティングプロッタ1の右側になり、
図1の上側がカッティングプロッタ1の上側になる。カッティングプロッタ1の左右方向は、媒体4の搬送方向とは直交する水平方向であり、媒体4の幅方向である。
【0022】
(搬送装置の説明)
搬送装置2は、
図2に示すように、媒体4より下に位置する搬送ローラ11と、媒体4より上に位置するピンチローラ12と、搬送ローラ11を駆動するモータ(図示せず)とを有している。
図2は、搬送装置2およびその周辺の部品を簡略化して描いてある。
図2の破断位置は、
図4中にII-II線によって示す位置である。搬送ローラ11とピンチローラ12は、それぞれ左右方向に延びる軸線を中心にして回転する。搬送ローラ11は、上端部が搬送ステージ3の貫通孔13に下方から挿入され、搬送ステージ3から上方に突出するように構成されている。また、搬送ローラ11と貫通孔13は、左右方向に所定の間隔をおいて並ぶ複数の位置にそれぞれ配置されている。ピンチローラ12は、図示していない押圧機構に接続されており、媒体4を上方から搬送ローラ11に押し付け、搬送ローラ11と協働して媒体4を挟む。このように搬送ローラ11に媒体4が押し付けられた状態で搬送ローラ11が左右方向の軸線回りに回転することによって、媒体4が送られる。
【0023】
(カッティング装置の説明)
カッティング加工は、搬送ステージ3の上方近傍に配置されたカッティングヘッド21によって実施される。カッティングヘッド21は、昇降可能なカッティングペン22を備え、左右方向に延びるガイドレール23に左右方向へ移動自在に支持されている。この実施の形態によるカッティングヘッド21は、左右方向に延びる無端ベルト24に取付けられており、この無端ベルト24が図示していないモータによって駆動されて回転することによって、ガイドレール23に沿って左右方向に移動する。
【0024】
カッティングペン22は、下端に刃25(
図2参照)を有し、カッティング加工を行わないときには刃25が媒体4より上に位置するように上昇し、カッティング加工時には刃25が媒体4に刺さるように下降する。
このカッティングヘッド21によるカッティング加工は、刃25が媒体4に刺さった状態でカッティングヘッド21が左右方向に移動するとともに、搬送装置2によって媒体4が前後方向(搬送方向の下流側と上流側)に移動することによって行われる。
【0025】
また、カッティングヘッド21は、媒体4を分断するための切断刃26を備えている。この切断刃26は、搬送ステージ3に左右方向に延びるように形成されたクロスカット穴27の中を通って左右方向に移動し、媒体4の搬送方向の上流側に対して下流側を切り離す。
図2に示すクロスカット穴27は、上方に向けて開放される溝によって構成されており、
図1に示すように、搬送ステージ3の左側端部から右側端部まで途切れることなく延びるように形成されている。言い換えれば、クロスカット穴27は、搬送ステージ3に搬送方向とは直交する水平方向である幅方向に延びるように形成されている。
【0026】
このクロスカット穴27は、
図2に示すように溝として形成される他に、図示してはいないが、搬送ステージ3を前側と後側とに分断するスリットとして形成することもできる。
この実施の形態によるカッティングプロッタ1においては、クロスカット穴27を利用して後述する媒体位置決め具6の取付位置を決める。
【0027】
(媒体位置決め具の説明)
媒体位置決め具6は、
図3および
図4に示すように、搬送ステージ3と搬送装置2のガイドレール23との間に挿入可能な板状に形成され、媒体4をカッティングプロッタ1に対して位置決めするときに搬送ステージ3に装着される。
この媒体位置決め具6は、プラスチック材料によって所定の形状に成型されており、
図5に示すように、上述したクロスカット穴27に上方から係合する第1の突起31を有している。
図5の破断位置は、
図4中にV-V線によって示す位置である。この実施の形態においては、クロスカット穴27が本発明でいう「形状変化部」に相当し、第1の突起31が請求項1記載の発明でいう「突起」に相当する。以下において、媒体位置決め具6の各部の方向を示すにあたっては、媒体位置決め具6を後述する第1の使用形態としてカッティングプロッタ1に装着したときの方向を示す。
【0028】
この媒体位置決め具6は、
図6および
図7に示すように、第1の突起31が突設された底面32と、左側面33、右側面34、前面35、後面36および上面37を有する四角形の板状に形成されている。この実施の形態による媒体位置決め具6は、
図1に示したカッティングプロッタ1の搬送装置2に使用される第1の使用形態と、このカッティングプロッタ1とは機種が異なる他のカッティングプロッタ41(
図8参照)の他の搬送装置42に使用される第2の使用形態とを切り換えて使用することができるように構成されている。
【0029】
この媒体位置決め具6を第1の使用形態で使用するときは、底面32が下に位置する姿勢で搬送ステージ3に載せて使用する。この媒体位置決め具6を第2の使用形態で使用するときは、
図8に示すように、上面37が下に位置する姿勢で、他のカッティングプロッタ41に設けられている他の搬送装置42の他の搬送ステージ43に載せて使用する。他の搬送装置42は、他の搬送ステージ43の上で媒体(図示せず)を搬送方向(
図8においては左右方向)に搬送するものである。
【0030】
媒体位置決め具6の底面32は、この実施の形態に示すカッティングプロッタ1の搬送ステージ3に重ねられる面で、上面37とともに平面視において前後方向に長い長方形状に形成されている。底面32には、第2の使用形態を採るときのカッティングプロッタ1の機種を識別可能な文字44が記載されている。この実施の形態においては、
図7に示すように、Bという文字の形状に形成された溝によって文字44が構成されている。文字44は、媒体位置決め具6の成型時に形成されている。
【0031】
第1の突起31は、底面32の前後方向の中間部に突設されており、底面32の左端から右端まで途切れることなく延びるように形成されている。この実施の形態による第1の突起31は、左右方向に延びる断面四角形の突条によって構成されている。底面32の前後方向の中間部であって第1の突起31の近傍には、第1の使用形態を採る場合に搬送ローラ11との干渉を避けるために第1の凹部45が形成されている。この第1の凹部45は、
図5に示すように、媒体位置決め具6を搬送ステージ3に載せて第1の突起31がクロスカット穴27に係合した状態で、搬送ローラ11と対応する位置に形成されている。この第1の凹部45は、搬送ローラ11が遊嵌状態で挿入されるように、底面32の左端から右端まで途切れることなく延びる断面円弧状の凹曲面によって形成されている。
【0032】
左側面33と右側面34は互いに平行になるように形成されている。詳述すると、左側面33と右側面34は、それぞれ底面32と上面37との間で所定の上下幅を有し、第1の突起31の延びる方向(左右方向、幅方向)とは直交する方向に延びるように形成されている。すなわち、左側面33と右側面34は、第1の突起31がクロスカット穴27に係合している状態において、搬送方向と平行になるように形成されている。これらの左側面33と右側面34とが本発明でいう「側面」に相当する。
【0033】
上面37は、底面32と平行になり、底面32が搬送ステージ3に重なる状態で搬送ステージ3に沿って延びるように形成されている。上面37の前端部には第2の突起46が突設されている。第2の突起46は、上面37の前端部から上方に突出して上面37の左端から右端まで途切れることなく延びる突条によって構成されている。詳述すると、第2の突起46は、第1の突起31が延びる方向と平行な方向であって、左側面33および右側面34と直交する方向に延びている。
【0034】
この第2の突起46は、
図8に示すように、媒体位置決め具6が第2の使用形態で使用されるときに媒体位置決め具6を位置決めするためのものである。第2の使用形態を採るときの他のカッティングプロッタ41の他の搬送ステージ43は、後端部に角51が形成されている。角51は、他の搬送ステージ43の左端から右端まで左右方向(幅方向)に延びるように形成されている。この他のカッティングプロッタ41においては、角51が請求項3記載の発明でいう「他の形状変化部」に相当する。
【0035】
第2の突起46は、底面32と協働して角51に上方から係合するように形成されている。この実施の形態においては、第2の突起46が請求項3記載の発明でいう「上面側突起」に相当する。
媒体位置決め具6の左側面33と右側面34は、上面37が他のカッティングプロッタ41の他の搬送ステージ43に重ねられているとともに第2の突起46が他のカッティングプロッタ41の角51に係合している状態で、他のカッティングプロッタ41の媒体の搬送方向と平行になる。
【0036】
媒体位置決め具6の上面37の前後方向の中間部には、第2の凹部52が形成されている。この第2の凹部52は、媒体位置決め具6を第2の使用形態で使用するときに他のカッティングプロッタ41の他の搬送ローラ53(
図8参照)との干渉を避けるために形成されている。第2の凹部52は、
図8に示すように、媒体位置決め具6を第2の使用形態となるように他のカッティングプロッタ41の他の搬送ステージ43に載せて第2の突起46が角51に係合した状態で、他の搬送ローラ53と対応する位置に形成されている。この第2の凹部52は、他の搬送ローラ53が遊嵌状態で挿入されるように、上面37の左端から右端まで途切れることなく延びる断面円弧状の凹曲面によって形成されている。この実施の形態においては、第2の凹部52が請求項4記載の発明でいう「上面側凹部」に相当する。他の搬送ローラ53は、他のピンチローラ54とともに媒体を挟んだ状態で左右方向の軸線回りに回転する。
【0037】
媒体位置決め具6の上面37には、
図6に示す用に、第1の使用形態を採るときのカッティングプロッタ1の機種を識別可能な文字55が記載されている。この実施の形態においては、Aという文字の形状に形成された溝によって文字55が構成されている。文字55は、媒体位置決め具6の成型時に形成されている。
【0038】
(媒体位置決め具の動作の説明)
この実施の形態によるカッティングプロッタ1や他のカッティングプロッタ41は、幅方向の長さが異なる複数種類の媒体4を使用することができ、左右方向(媒体4の幅方向)において媒体4の位置を変えることが可能なものである。左右方向において媒体4の位置を決める作業は、媒体位置決め具6を搬送ステージ3や他の搬送ステージ43の所定位置に装着した状態で行う。
【0039】
図1に示すカッティングプロッタ1に媒体位置決め具6を装着する場合は、搬送ステージ3の左右方向の所定の位置に位置付けた状態で第1の突起31をクロスカット穴27に係合させる。ここでいう所定の位置とは、左側面33または右側面34が媒体4を通す位置の右端または左端となる位置である。第1の突起31がクロスカット穴27に係合することにより、左側面33と右側面34とが搬送方向と平行になる。
【0040】
このように媒体位置決め具6が搬送ステージ3の上に設置されている状態で、媒体4が搬送ステージ3の上に載せられる。そして、媒体位置決め具6の左側面33または右側面34に媒体4の幅方向の端縁を突き当てることにより、媒体4の縦辺(搬送方向に延びる一辺)が搬送方向と平行になる。媒体位置決め具6は、媒体4が搬送ステージ3に対して位置決めされた後に搬送ステージ3から取り外される。
このように媒体4が位置決めされて媒体位置決め具6が取り外された状態で媒体4が搬送装置2によって送られることにより、媒体4が斜めに送られることなく、搬送方向に搬送される。
【0041】
この媒体位置決め具6は、搬送ステージ3に対して着脱自在であるから、搬送装置2の幅方向の任意の位置において搬送ステージ3に設置することができる。しかも、媒体4の位置決めが終了した後は搬送ステージ3から簡単に取り外すことができるから、媒体4が搬送時に媒体位置決め具6に接触して搬送方向に対して傾斜することはない。
また、この媒体位置決め具6は、搬送ステージ3の既存の構成部分であるクロスカット穴27(形状変化部)を利用して位置決めを行うものであるから、搬送装置2に専用の取付構造は不要で、搬送装置2の製造コストに影響を及ぼすことなく設置することができる。
したがって、この実施の形態によれば、搬送ステージ3の任意の位置に簡単に設置でき、しかも、搬送装置2の製造コストを低く抑えることが可能な媒体駆動式搬送装置の媒体位置決め具を提供することができる。
【0042】
この実施の形態による搬送ステージ3には、媒体4をピンチローラ12と協働して挟む搬送ローラ11が突出している。媒体位置決め具6の底面32には、第1の突起31がクロスカット穴27に係合している状態で搬送ローラ11が遊嵌状態で挿入可能な第1の凹部45が形成されている。
このため、カッティングプロッタ1の左右方向において媒体位置決め具6の取付位置を決めるにあたって、搬送ローラ11によって制約を受けることがない。したがって、媒体4を通す位置の自由度が高い媒体駆動式搬送装置の媒体位置決め具を提供することができる。
【0043】
媒体位置決め具6は底面32が搬送ステージ3に重ねられている状態で搬送ステージ3に沿うように延びる上面37を備えている。この上面37は、搬送ステージ3を有するカッティングプロッタ1(搬送装置2)とは機種が異なる他のカッティングプロッタ41(搬送装置42)の他の搬送ステージ43と重なるように形成されている。この上面37には、他の搬送装置42の他の搬送ステージ43の角51に係合可能な第2の突起46が形成されている。左側面33と右側面34は、第2の突起46が角51に係合している状態で搬送方向と平行になるように形成されている。
【0044】
このため、1枚の媒体位置決め具6で底面32が搬送ステージ3に重ねられる第1の使用形態と、上面37が他の搬送ステージ43に重ねられる第2の使用形態とを採ることができ、1枚の媒体位置決め具6を2種類のカッティングプロッタ1,41で使用することができる。
したがって、カッティングプロッタ1,41の機種毎に媒体位置決め具6を製作する場合と較べると、媒体位置決め具6を成型するための金型の数を減らすことができるから、より一層製造コストを低く抑えることが可能になる。
【0045】
この実施の形態による媒体位置決め具6の上面37には、第2の突起46が他のカッティングプロッタ41の他の搬送装置42の角51に係合している状態で他の搬送装置42の他の搬送ローラ53が遊嵌状態で挿入可能な第2の凹部52が形成されている。
このため、この媒体位置決め具6を他のカッティングプロッタ41に設置する場合であっても、左右方向の設置位置が他のカッティングプロッタ41の他の搬送ローラ53によって制約を受けることがない。したがって、2種類のカッティングプロッタ1,41の両方において、媒体4を通す位置の自由度が高くなる。
【0046】
上述した実施の形態においては、本発明に係る媒体位置決め具6をカッティングプロッタ1の搬送装置2に用いる場合の一例を示した。しかし、本発明は、このような限定にとらわれることはなく、印刷用紙を送る搬送装置を有する印刷機や、描画用のプロッタにも適用することが可能である。
さらに、上述した実施の形態においては、第1および第2の突起31,46がそれぞれ突条によって構成されている例を示した。しかし、第1および第2の突起31,46は、図示してはいないが、それぞれ複数の突体によって構成することができる。この場合は、媒体位置決め具6の左右方向に所定間隔をおいて並ぶ複数の位置にそれぞれ突体が突設される。
【符号の説明】
【0047】
1…カッティングプロッタ、2…搬送装置(媒体駆動式搬送装置)、3…搬送ステージ、4…媒体、6…媒体位置決め具、11…搬送ローラ、12…ピンチローラ、27…クロスカット穴(形状変化部)、31…第1の突起(突起)、32…底面、33…左側面(側面)、34…右側面(側面)、37…上面、42…他の搬送装置(他の媒体駆動式搬送装置)、43…他の搬送ステージ、45…第1の凹部(凹部)、46…第2の突起(上面側突起)、52…第2の凹部(上面側凹部)、53…他の搬送ローラ、54…他のピンチローラ。