(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】宅配ボックスシステム
(51)【国際特許分類】
A47G 29/122 20060101AFI20230308BHJP
A47G 29/124 20060101ALI20230308BHJP
E05B 65/00 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
A47G29/122 A
A47G29/124
E05B65/00 D
(21)【出願番号】P 2019049004
(22)【出願日】2019-03-15
【審査請求日】2022-01-28
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100161230
【氏名又は名称】加藤 雅博
(72)【発明者】
【氏名】山本 菜緒
【審査官】粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-142961(JP,A)
【文献】特開平11-137407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/12-29/126
E05B 65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の出入口を開閉する開閉体と、その開閉体に設けられ、ユーザによる所定の解錠操作に基づいて解錠される施錠装置とを備える建物に適用され、
前記出入口付近に設けられ、屋外からの宅配物の出し入れを可能とする宅配ボックスと、
前記所定の解錠操作により前記施錠装置が解錠された場合に、当該解錠操作を行ったユーザを特定する特定手段と、
前記宅配ボックス内の宅配物の大きさ及び重量の少なくともいずれかの情報を取得する情報取得手段と、
前記特定手段による特定結果と前記情報取得手段により取得された前記宅配物の情報とに基づいて、前記宅配ボックスからの宅配物の取り出しを許可又は非許可とする制御手段と、
を備えることを特徴とする宅配ボックスシステム。
【請求項2】
前記宅配ボックスには、前記宅配物の大きさ及び重量の少なくともいずれかを検出する検出手段が設けられており、
前記情報取得手段は、前記検出手段の検出結果から得られる前記宅配物の情報を取得する、請求項1に記載の宅配ボックスシステム。
【請求項3】
前記施錠装置が屋外側又は屋内側のどちら側から解錠されたかを判定する判定手段を備え、
前記制御手段は、
前記判定手段により屋外側からの解錠と判定された場合には、前記特定手段による特定結果と前記情報取得手段により取得された前記宅配物の情報とに基づいて、前記宅配ボックスからの宅配物の取り出しを許可又は非許可とし、
前記判定手段により屋内側からの解錠と判定された場合には、前記特定手段による特定結果と前記情報取得手段による情報とにかかわらず、前記宅配ボックスからの宅配物の取り出しを許可する、請求項1又は2に記載の宅配ボックスシステム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記特定手段による特定結果と前記情報取得手段により取得された前記宅配物の情報とに基づいて前記宅配ボックスからの宅配物の取り出しが許可された場合に、前記宅配物の取り出しが許可されてから所定の待機時間において前記宅配物の取り出しを許可する、請求項1~3のいずれか1項に記載の宅配ボックスシステム。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記判定手段により屋外側からの解錠と判定された場合に、前記宅配物の取り出しが許可されてから所定の第1待機時間において前記宅配物の取り出しを許可し、
前記判定手段により屋内側からの解錠と判定された場合に、前記宅配物の取り出しが許可されてから前記第1待機時間よりも短い所定の第2待機時間において前記宅配物の取り出しを許可する、請求項3に記載の宅配ボックスシステム。
【請求項6】
前記出入口付近に設けられ、前記宅配ボックスの使用状況を報知する報知手段と、
前記報知手段による報知を実行する報知実行手段と、
を備え、
前記報知実行手段は、前記特定手段による特定結果と前記情報取得手段により取得された前記宅配物の情報とに基づいて、前記宅配ボックスからの宅配物の取り出しが許可されているか許可されていないかを前記報知手段により報知する、請求項1~5のいずれか1項に記載の宅配ボックスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅配ボックスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅等の建物又はその敷地において、宅配業者から宅配される宅配物を受け取るための宅配ボックスが設けられている場合がある。例えば、複数の世帯が住居する集合住宅においては、複数の宅配ボックスを備えた宅配ロッカーが設けられていることが多い。このような宅配ロッカーにおいては、宅配物を宅配ボックスに収納する場合に、その宅配物(宅配ボックス)と住人の部屋番号データとを紐付けすることにより、宅配ボックスでの荷物の受け渡しが可能となるシステムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1では、ある住人宛ての宅配物が宅配ボックスに収納されている状況において、その住人が帰宅して集合住宅の入口に設けられた電気扉を携帯型通信機により解錠しようとすると、携帯型通信機が振動し、これにより宅配ボックスに宅配物があることを住人に通知するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、帰宅してきた際に宅配ボックスに宅配物があることを通知されたとしても、宅配ボックスを開けた結果、大きい又は重い宅配物であったために宅配物を宅配ボックスから取り出せない場合がある。この場合、宅配ボックスを開けたのにもかかわらず、その場は宅配ボックスをいったん閉じることになり、宅配物の通知による利便性が発揮されていない。また、このような宅配ボックス内の宅配物を確認するだけの作業は、ユーザにとっても手間である。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、宅配ボックスからの宅配物の取り出しを好適に行わせることにより、利便性の向上を図ることができる宅配ボックスシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、第1の発明の宅配ボックスシステムは、
建物の出入口を開閉する開閉体と、その開閉体に設けられ、ユーザによる所定の解錠操作に基づいて解錠される施錠装置とを備える建物に適用され、
前記出入口付近に設けられ、屋外からの宅配物の出し入れを可能とする宅配ボックスと、
前記所定の解錠操作により前記施錠装置が解錠された場合に、当該解錠操作を行ったユーザを特定する特定手段と、
前記宅配ボックス内の宅配物の大きさ及び重量の少なくともいずれかの情報を取得する情報取得手段と、
前記特定手段による特定結果と前記情報取得手段により取得された前記宅配物の情報とに基づいて、前記宅配ボックスからの宅配物の取り出しを許可又は非許可とする制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
第1の発明によれば、ユーザ(以下、居住者)が帰宅して建物の開閉体を開けるために所定の解錠操作を行うことにより、その居住者が特定される。そして、宅配ボックス内に宅配物が存在する場合、その宅配物の重さ及び大きさの少なくとも一方の情報が取得される。この場合において、宅配物の情報と、その居住者の特定結果とに基づいて、宅配物の取出しを許可又は非許可とされる。これにより、例えば、帰宅した居住者(すなわち、特定された居住者)にとっては大きすぎる宅配物の場合には、宅配物の取り出しを非許可とされ、帰宅した居住者に運搬可能な宅配物の場合には、宅配物の取り出しを許可とされることが可能となる。
【0009】
よって、宅配物の取り出しを許可された場合には、その居住者が運搬可能とされる宅配物であるため、宅配ボックスを開けたのにもかかわらず、その場は宅配ボックスをいったん閉じるというような状況がなく、利便性の向上を図ることができる。
【0010】
第2の発明の宅配ボックスシステムは、第1の発明において、
前記宅配ボックスには、前記宅配物の大きさ及び重量の少なくともいずれかを検出する検出手段が設けられており、
前記情報取得手段は、前記検出手段の検出結果から得られる前記宅配物の情報を取得することを特徴とする。
【0011】
宅配ボックスに宅配物の大きさ及び重量の少なくともいずれかを検出する検出手段が設けられることにより、上記第1の発明の効果を好適に得ることができる。例えば、宅配物の配送者が宅配物の情報を入力したり、居住者が宅配物の情報を消去したりする手間をかけることがなく、その都度、宅配物の大きさや重さの情報を検出手段により取得できる。
【0012】
第3の発明の宅配ボックスシステムは、第1又は第2の発明において、
前記施錠装置が屋外側又は屋内側のどちら側から解錠されたかを判定する判定手段を備え、
前記制御手段は、
前記判定手段により屋外側からの解錠と判定された場合には、前記特定手段による特定結果と前記情報取得手段により取得された前記宅配物の情報とに基づいて、前記宅配ボックスからの宅配物の取り出しを許可又は非許可とし、
前記判定手段により屋内側からの解錠と判定された場合には、前記特定手段による特定結果と前記情報取得手段による情報とにかかわらず、前記宅配ボックスからの宅配物の取り出しを許可することを特徴とする。
【0013】
第3の発明によれば、開閉体(施錠装置)が屋外側又は屋内側のいずれで行われたかに応じて、宅配ボックスの取り出し許可の条件を変更するようにしている。すなわち、屋外側から開閉体が解錠される場合、帰宅してきた居住者がその開閉体を解錠する状況と想定される。この場合には、その解錠した居住者の特定結果と、宅配物の情報とに基づいて、宅配物の取出しが許可又は非許可とされる。これにより、その居住者が運搬可能とされる宅配物か否かを判定することができるため、利便性の向上を図ることができる。屋内側から開閉体が解錠される場合、居住者が宅配ボックスから宅配物を取り出すために屋内側から屋外側へと出る状況が想定される。このとき、居住者は、宅配物を取り出すための準備を整えた状態(例えば、カートを用意)であると考えられ、よって、この場合には、その居住者が運搬可能とされる宅配物か否かを判定する必要がなく、解錠した居住者の特定結果と宅配物の情報とにかかわらず、宅配物の取り出しが許可される。これにより、屋内側から屋外側に出た居住者はそのまま宅配物の取り出しができるため、利便性の向上をより図ることができる。
【0014】
第4の発明の宅配ボックスシステムは、第1~3の発明のいずれかにおいて、
前記制御手段は、前記特定手段による特定結果と前記情報取得手段により取得された前記宅配物の情報とに基づいて前記宅配ボックスからの宅配物の取り出しが許可された場合に、前記宅配物の取り出しが許可されてから所定の待機時間において前記宅配物の取り出しを許可することを特徴とする。
【0015】
第4の発明によれば、宅配ボックスからの宅配物の取り出しが許可された場合には、宅配物の取り出しが許可されてから所定の待機時間においてその宅配物の取り出しが許可される。これにより、宅配物を取り出すまでに時間の猶予ができる。よって、帰宅した居住者に対して宅配物の取り出しが許可されているが、その居住者が手に荷物を持っている場合には、いったん荷物を建物内に置いた後に宅配ボックスから宅配物を取り出すことができ、利便性の向上を図ることができる。
【0016】
第5の発明の宅配ボックスシステムは、第3の発明において、
前記制御手段は、
前記判定手段により屋外側からの解錠と判定された場合に、前記宅配物の取り出しが許可されてから所定の第1待機時間において前記宅配物の取り出しを許可し、
前記判定手段により屋内側からの解錠と判定された場合に、前記宅配物の取り出しが許可されてから前記第1待機時間よりも短い所定の第2待機時間において前記宅配物の取り出しを許可することを特徴とする。
【0017】
第5の発明によれば、宅配ボックスからの宅配物の取り出しが許可された場合には、開閉体が屋内側又は屋外側のどちら側から解錠されたかに基づいて、宅配物の取り出しが許可される待機時間が相違し、屋外側から解錠された場合には、屋内側から解錠された場合よりも待機時間が長い。屋外側から開閉体が解錠された場合には、上記第4の発明と同様に、宅配物の取り出しが許可された居住者が、いったん建物内に入った後に屋外側へ戻ってきてから宅配物を取り出すことがありうる。そのため、その戻ってくる時間を待つための待機時間が定められているのが望ましいが、屋内側から開閉体が解錠された場合には、その待機時間は不要である。よって、上記構成とすることにより、宅配ボックスからの宅配物の取り出しが許可される待機時間を必要に応じた時間に設定できるため、過剰に長い間において宅配ボックスからの宅配物の取り出しが許可されることがなく、防犯上好ましい。
【0018】
第6の発明の宅配ボックスシステムは、第1~5の発明のいずれかにおいて、
前記出入口付近に設けられ、前記宅配ボックスの使用状況を報知する報知手段と、
前記報知手段による報知を実行する報知実行手段と、
を備え、
前記報知実行手段は、前記特定手段による特定結果と前記情報取得手段により取得された前記宅配物の情報とに基づいて、前記宅配ボックスからの宅配物の取り出しが許可されているか許可されていないかを前記報知手段により報知することを特徴とする。
【0019】
第6の発明によれば、宅配ボックス内の宅配物の取り出しが許可されたか許可されていないかが報知手段により報知される。これにより、帰宅して建物の開閉体を解錠した居住者は、自身が取り出す宅配物が宅配ボックス内に収納されているか否かを確実に知ることができる。よって、居住者は、帰宅と同時に自身が取り出す宅配物の有無の確認ができ、自身が取り出す宅配物がある場合には帰宅と同時に建物内に宅配物を持ち運べるため、利便性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】宅配ボックスの施解錠処理を示すフローチャート。
【
図3】記憶部に記録された宅配物の取り出しにおける許可条件を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明を具体化した一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、宅配ボックスシステムの構成を示す概略図であり、宅配ボックスシステムは住宅等の建物10に設けられている。
【0022】
図1に示すように、建物10には、屋内スペースとして、玄関部11、廊下12、居室13等が設けられている。玄関部11には、出入口としての玄関口15が設けられている。この玄関口15を通じて建物10への出入りが可能となっている。玄関口15には、開閉体としての玄関ドア16が設けられており、この玄関ドア16により玄関口15が開閉される。
【0023】
玄関ドア16には、屋外側に取っ手としてのドアハンドル17が設けられ、ドアハンドル17にはタッチセンサ18が内蔵されている(
図1、玄関ドア16の部分拡大図参照)。タッチセンサ18は、静電容量式のセンサであり、そのセンサ部分に人が接触したことを検出する。ドアハンドル17には、表示灯19が備えられている。表示灯19には、赤と緑とのLEDランプが内蔵されている。表示灯19が報知手段に相当する。
【0024】
玄関ドア16には、施錠装置21が取り付けられている。施錠装置21は通電により玄関ドア16の施錠(ロック)及び解錠(アンロック)を行う電気錠からなる。施錠装置21は、建物10の居住者が携帯する電子キー22によって施解錠されるようになっている。
【0025】
玄関ドア16付近の屋外側(玄関ドア16の屋外側の面でも可)には、通信装置23が設けられている。通信装置23は、リクエスト信号を発信して、無線通信用の通信エリアCAを形成する。通信装置23における通信エリアCAは、平面視において通信装置23を中心とする円形の所定範囲である。通信装置23は、その通信エリアCA内にて電子キー22と双方向での通信が可能とされている。
【0026】
施錠装置21は、屋内側(玄関部11側)から施解錠操作が可能なサムターン部21aを有している。本実施形態では、屋内側から施錠装置21が施解錠される場合には、このサムターン部21aが操作されることにより施解錠されることとする。
【0027】
施錠装置21には、施解錠検出センサ24が内蔵されている。施解錠検出センサ24は、施錠装置21が施錠状態にあるか又は解錠状態にあるかを検出するセンサである。
【0028】
玄関口15付近の屋外側には、
図1に示すように、宅配ボックス30が設けられている。宅配ボックス30には、開口部31が設けられており、この開口部31を通じて、屋外から宅配ボックス30内への宅配物の収納と取り出しとが可能となっている。
【0029】
開口部31には、開口部31を開閉する扉32が取り付けられている。扉32は、例えば回動可能な横開きの扉とされている。扉32には、当該扉32を施解錠するための施錠装置33が設けられている。施錠装置33は、通電により施解錠を行う電気錠からなる。
【0030】
宅配ボックス30内(例えば、宅配ボックス30内の上部)には、赤外線センサ34が設けられている。赤外線センサ34は、宅配ボックス30内の空間に向けて赤外線を照射する。赤外線センサ34は、その照射する赤外線が遮られることにより、宅配ボックス30内における宅配物の存在と、その宅配物の大きさ(宅配物上面のサイズ及び宅配物の高さ)とを検出する。赤外線センサ34は検出手段に相当する。なお、赤外線センサ34は、超音波センサや可視光等の光センサであってもよい。
【0031】
宅配ボックス30内(例えば、宅配ボックス30内の底部)には、重量センサ35が設けられている。重量センサ35は、宅配ボックス30内に存在する宅配物の重量を検出する。重量センサ35は検出手段に相当する。
【0032】
次に、本システムの電気的構成について説明する。
【0033】
建物10には、宅配ボックスシステムを制御するコントローラ40が備えられている。コントローラ40は、例えば、玄関部11の壁に取り付けられている。コントローラ40が特定手段、情報取得手段及び制御手段に相当する。
【0034】
コントローラ40は、CPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータを備えて構成されている。コントローラ40は、居住者に関する情報、各種センサ類からの検出結果等を記憶する記憶部41を有している。
【0035】
コントローラ40には、通信装置23が接続されている。ここで、通信エリアCA内において、電子キー22は、コントローラ40からの要求に応じてID情報を送信する。すなわち、電子キー22は、通信装置23の通信エリアCAに進入してリクエスト信号を受信する。そして、電子キー22は、そのリクエスト信号に応答してID情報を通信装置23に送信する。ID情報が通信装置23により受信されると、当該ID情報が通信装置23からコントローラ40に入力される。コントローラ40は、通信装置23を介して電子キー22からのID情報が入力されると、当該ID情報と予め記憶部41に登録されたID情報との一致判定を行い、正規の電子キー22であるか否かの認証を行う。
【0036】
コントローラ40には、施錠装置21と、タッチセンサ18とが接続されている(タッチセンサ18は接続の図示略)。コントローラ40には、タッチセンサ18から逐次検出結果が入力される。そして、上記ID情報によって電子キー22が正規認証されている状況において、タッチセンサ18からの検出結果(すなわち、タッチセンサ18に人が接触した旨の検出結果)が入力されると、コントローラ40は施錠装置21の施錠又は解錠を行う。すなわち、施錠装置21が施錠されている状態においてタッチセンサ18からの検出結果が入力されると施錠装置21を解錠し、施錠装置21が解錠されている状態においてタッチセンサ18から検出結果が入力されると施錠装置21を施錠する。電子キー22が正規のものに該当しない場合には、施錠装置21の施解錠は行われない。本実施形態では、屋外側から施錠装置21が施解錠される場合には、この電子キー22による認証に基づいて行われるものとする。
【0037】
なお、本実施形態では、記憶部41において、ID情報はそれぞれ電子キー22を携帯する人と紐付けされて記憶されている。例えば、建物10には、5人の居住者が住んでおり、各自が電子キー22を保有しているとする。この場合、ID情報「12345678」に対して「父」とされ、ID情報「43214321」に対して「母」とされ、以下、同様に、子A、子B、子Cの各自に電子キー22のID情報が紐付けされている。
【0038】
コントローラ40には、施解錠検出センサ24が接続されている。コントローラ40には、施解錠検出センサ24から逐次検出結果が入力される。コントローラ40は、施解錠検出センサ24からの検出結果に基づいて、施錠装置21の施解錠状態(施錠状態又は解錠状態)を判定する。
【0039】
コントローラ40には、表示灯19が接続されている(接続の図示略)。コントローラ40は、表示灯19の表示(表示形式)を制御する。
【0040】
コントローラ40には、赤外線センサ34と重量センサ35とが接続され、それぞれの検出結果が逐次入力される。
【0041】
コントローラ40には、施錠装置33が接続されている。コントローラ40は、施錠装置33の施解錠を制御する。
【0042】
次に、コントローラ40により実行される宅配ボックスシステムの制御処理の内容について、
図2のフローチャートに基づいて説明する。本処理は、所定の時間周期(例えば、0.5秒)で繰り返し実行される。
【0043】
図2に示すように、ステップS11では、玄関ドア16が解錠されたか否かを判定する。ここでは、施解錠検出センサ24からの検出結果に基づき、施錠装置21が施錠状態から解錠状態とされたことが検出された場合は、玄関ドア16が解錠されたとしてステップS12へ進む。施錠装置21が施錠状態から解錠状態とされたことが検出されていない場合は、玄関ドア16は解錠されていないとして本処理を終了する。
【0044】
ステップS12では、赤外線センサ34による検出結果を取得することにより、宅配ボックス30内に宅配物があるか否かを判定する。赤外線センサ34により物体の存在が検出されている場合には、宅配ボックス30内に宅配物があるとしてステップS13に進む。赤外線センサ34により物体の存在が検出されていない場合には、宅配ボックス30内に宅配物はないとして本処理を終了する。
【0045】
ステップS13では、ステップS11における玄関ドア16の解錠が、電子キー22の認証に基づいてなされたものであったか否かを判定する。すなわち、通信装置23を介して電子キー22から受信したID情報が、記憶部41に記憶されたID情報のいずれかと一致したこと及びタッチセンサ18における接触に基づいて施錠装置21が解錠された場合には、電子キー22の認証に基づいてなされたものであるとしてステップS14へ進む。施錠装置21が電子キー22のID情報の認証とは関係なく解錠された場合には、電子キー22の認証に基づいてなされたものでないとしてステップS23へ進む。
【0046】
ステップS23では、屋内側からの解錠と判定する。施錠装置21は、屋内側からサムターン部21aを操作することにより解錠操作が可能である。よって、ステップS11における解錠が電子キー22の認証による解錠でない場合には、屋内側からのサムターン部21aの操作により解錠されていると判定される。ステップS23で、屋内側から玄関ドア16が解錠されたと判定された場合には、ステップS19へ進む。
【0047】
ステップS14では、屋外側からの解錠と判定する。すなわち、ステップS11における解錠が電子キー22の認証に基づいてなされたものである場合には、電子キー22を携帯する居住者によって屋外側から解錠されたものであると考えられるためである。続くステップS15において、解錠者を特定する。ここでは、ステップS11における解錠によって電子キー22のID情報を受信しているため、記憶部41に記憶されたID情報のうち、この受信したID情報と一致するID情報に紐付けされている居住者が解錠者として特定される。
【0048】
続いて、ステップS16では、赤外線センサ34及び重量センサ35による検出結果を取得することにより、宅配ボックス30内の宅配物の大きさ及び重量を特定する。
【0049】
次に、ステップS17では、宅配物の取り出しを許可するか否かを判定する。ここで、本実施形態では、宅配物の取り出しにおける許可条件があらかじめ定められている。
図3には、記憶部41に記憶された許可条件の概念図が示されている。
図3に示すように、各居住者に対して、宅配物の大きさ(宅配物上面のサイズ及び宅配物の高さ)と宅配物の重さとが定められている。これにより、運搬可能な大きさ及び重さを各居住者に対して設定することができる。よって、ステップS17では、ステップS16で特定された宅配物の大きさ及び重量に基づいて、ステップS15において特定された玄関ドア16の解錠者が許可条件を満たしているか否かを判定することにより、宅配物の取り出しを許可するか否かを判定する。玄関ドア16の解錠者が許可条件を満たしている場合には、宅配物の取り出しを許可するとしてステップS18へ進む。玄関ドア16の解錠者が許可条件を満たしていない場合には、宅配物の取り出しを許可しないとしてステップS24へ進む。
【0050】
ステップS24では、ドアハンドル17に設けられた表示灯19を赤色で点滅させることにより、自身(玄関ドア16の解錠者)が取り出しを許可されていない宅配物が宅配ボックス30内にあることを通知する。通知処理後、本処理を終了する。
【0051】
ステップS18では、ドアハンドル17に設けられた表示灯19を緑色で点滅させることにより、自身(玄関ドア16の解錠者)が取り出しを許可された宅配物が宅配ボックス30内にあることを通知する。通知処理後、ステップS19に進む。
【0052】
ステップS19では、施錠装置33(扉32)を解錠することにより、宅配ボックス30を解錠する(開閉可能とする)。ここで、ステップS19は、ステップS18からステップS19へと進む場合と、ステップS23からステップS19へと進む場合がある。前者の場合は、屋外側から解錠される場合であり、よって、解錠者が許可条件を満たすことに基づいて宅配ボックス30が解錠される場合である。後者の場合は、玄関ドア16が屋内側から解錠されたことに基づいて宅配ボックス30が解錠される場合である。この場合には、例えば、屋内側から宅配物を取り出すために居住者が建物10から出てきたことが想定されるため、許可条件にかかわらず、宅配ボックス30を解錠する。
【0053】
続くステップS20では、赤外線センサ34による検出結果を取得することにより、宅配ボックス30内に宅配物があるか否かを判定する。ここでは、宅配ボックス30が解錠された後に宅配物が取り出されたか否かを判定している。赤外線センサ34により、宅配ボックス30内に物体の存在が検出されている場合には、宅配物が取り出されていない、すなわち、宅配ボックス30内に宅配物があるとしてステップS21に進む。赤外線センサ34により、宅配ボックス30内に物体の存在が検出されていない場合には、宅配物が取り出された、すなわち、宅配ボックス30内に宅配物はないとしてステップS22へ進む。
【0054】
ステップS21では、宅配ボックス30を解錠してから所定の待機時間が経過したか否かを判定する。所定の待機時間は、例えば、帰宅した居住者が、いったん建物10の屋内側に入り、玄関部11等に荷物を置いた後に屋外側へ戻り、宅配ボックス30から宅配物を取り出すまでに要する所要時間であればよい。本実施形態では、3分とする。待機時間が経過した場合には、ステップS22へ進む。待機時間が経過していない場合には、ステップS20へ戻り、各処理を繰り返す。よって、宅配ボックス30を解錠してから待機時間が経過するまで、宅配ボックス30は解錠されたままとされる。
【0055】
ステップS20において宅配物がないと判定された場合、又はステップS21において待機時間が経過したと判定された場合には、ステップS22へ進み、施錠装置33(扉32)を施錠することにより、宅配ボックス30を施錠する(開閉不可とする)。施錠した後、本処理を終了する。
【0056】
以上、詳述した本実施形態の構成によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0057】
(1)本実施形態によれば、居住者が帰宅して屋外側から玄関ドア16を開けるために所定の解錠操作を行う(すなわち、電子キー22の認証に基づき解錠する)ことにより、その解錠した居住者が特定される。そして、宅配ボックス30内に宅配物が存在する場合、その宅配物の情報(重さ及び大きさ)が取得される。本実施形態によれば、建物10の各居住者に対して、宅配物の大きさと重量とについて許可条件があらかじめ定められている。よって、建物10の玄関ドア16を解錠した居住者の特定結果と宅配物の情報とに基づいて、解錠した居住者が許可条件を満たしているか否かが判定され、宅配物の取出しが許可又は非許可とされる。
【0058】
これにより、例えば、帰宅した居住者(すなわち、特定された居住者)にとっては大きすぎる宅配物の場合には、許可条件を満たしていないとして宅配物の取り出しが非許可とされ、帰宅した居住者に運搬可能な宅配物の場合には、許可条件を満たしているとして宅配物の取り出しが許可されることが可能となる。この場合、宅配物の取り出しを許可された場合には、その居住者が運搬可能とされる宅配物であるため、宅配ボックス30を開けたのにもかかわらず、その場は宅配ボックス30をいったん閉じるというような状況がなく、利便性の向上を図ることができる。
【0059】
(2)本実施形態によれば、解錠した居住者が許可条件を満たしていると判定された場合には、自動的に宅配ボックス30に備えられた施錠装置33(扉32)が解錠されることにより、宅配ボックス30が解錠される。これにより、宅配物の取り出しのために宅配ボックス30を解錠する手間が省略でき、利便性の向上を図ることができる。
【0060】
(3)本実施形態によれば、建物10の玄関ドア16(施錠装置21)が屋外側から解錠された場合には、その解錠した居住者の特定結果と宅配物の情報とに基づいて宅配物の取り出しが許可又は非許可とされるのに対して、建物10の玄関ドア16が屋内側から解錠された場合には、その解錠した居住者の特定結果や宅配物の情報にかかわらず、宅配物の取り出しが許可される。屋内側から玄関ドア16が解錠される場合、居住者が宅配ボックス30から宅配物を取り出すために屋内側から屋外側へと出る状況が想定される。このとき、居住者は、宅配物を取り出すための準備を整えた状態(例えば、カートを用意)であると考えられる。よって、本実施形態によれば、このような場合には解錠した居住者が許可条件を満たしているかにかかわらず宅配物の取り出しを許可する。これにより、屋内側から屋外側に出た居住者は、宅配ボックス30の施錠装置33を解錠することなく、そのまま宅配物の取り出しができるため、利便性の向上を図ることができる。
【0061】
(4)本実施形態によれば、宅配ボックス30内の宅配物の取り出しが許可されたか許可されていないかが表示灯19による表示にて報知される。これにより、帰宅して建物10の玄関ドア16を解錠した居住者は、自身が取り出す宅配物が宅配ボックス30内に収納されているか否かを確実に知ることができる。よって、居住者は、帰宅と同時に自身が取り出す宅配物の有無の確認ができ、自身が取り出す宅配物がある場合には帰宅と同時に建物内に宅配物を持ち運べるため、利便性の向上を図ることができる。
【0062】
(5)本実施形態によれば、宅配ボックス30からの宅配物の取り出しが許可された場合には、宅配ボックス30が解錠されてから所定の待機時間においてその宅配ボックス30が解錠状態のままとされる。これにより、宅配物を取り出すまでに時間の猶予ができる。よって、帰宅した居住者に対して宅配物の取り出しが許可されているが、その居住者が手に荷物を持っている場合には、いったん建物10の屋内側に入り、荷物を置いた後に屋外側へ戻り、宅配ボックス30から宅配物を取り出すことができ、利便性の向上を図ることができる。
【0063】
(6)本実施形態によれば、居住者の携帯する電子キー22のID情報に基づいて、玄関ドア16(施錠装置21)を屋外側から解錠した居住者が特定される。これにより、新たな設備を導入することなく、玄関ドア16を解錠した居住者の特定が可能である。
【0064】
本発明は上記実施形態に限らず、例えば次のように実施されてもよい。
【0065】
(1)上記実施形態では、居住者の携帯する電子キー22のID情報を利用してユーザを特定する構成としたが、ユーザの特定手段としてはこれに制限されず、玄関ドア16の解錠をする居住者が特定できればよい。例えば、玄関ドア16付近の屋外側にカメラ又は指紋認証用の装置が設けられ、当該カメラにより撮影された人の画像に基づいて、又は指紋認証用の装置により取得された指紋に基づいて、解錠した居住者を特定してもよい。
【0066】
(2)上記実施形態では、電子キー22からのID情報に基づいて解錠されたか否かにより施錠装置21の解錠操作が屋外側からの解錠操作か又は屋内側からの解錠操作かを判断したが、屋内側からと屋外側からとの識別方法はこれに制限されない。例えば、サムターン部21aにタッチセンサを設け、施解錠検出センサ24から解錠が検出され、かつサムターン部21aに設けられたタッチセンサにおいて人の接触が検出された場合に屋内側からの解錠操作と判定してもよい。また、玄関ドア16の屋内側と屋外側とにそれぞれ人感センサを設け、施解錠検出センサ24から解錠が検出された場合に、屋内側又は屋外側のどちらの人感センサにより人の存在が検出されたかに基づいて、屋内側からの解錠操作か又は屋外側からの解錠操作かを判定してもよい。
【0067】
(3)上記実施形態では、報知手段が表示灯19とされているが、報知手段はこれに制限されず、例えば、玄関ドア16付近の屋外側にスピーカが設けられ、当該スピーカにより音声やアラーム音などで宅配物があることを通知(報知)されてもよい。
【0068】
(4)上記実施形態では、宅配ボックス30内に宅配物がある状況において屋外側から玄関ドア16が解錠された場合には、その宅配物の取り出しが許可又は非許可にかかわらず、表示灯19が点滅することにより宅配物がある旨が通知されているが、例えば、宅配物の取り出しが許可されている場合にかぎり宅配物があることを通知される構成であってもよい。
【0069】
(5)上記実施形態では、宅配ボックス30が解錠されてから所定の待機時間において宅配ボックス30が解錠状態のままとされているが、屋外側からの玄関ドア16の解錠(すなわち、電子キー22の認証による解錠)に伴う宅配ボックス30の解錠と、屋内側からの玄関ドア16の解錠(すなわち、サムターン部21aの操作による解錠)に伴う宅配ボックス30の解錠とで、待機時間を相違させてもよい。例えば、屋外側からの解錠に伴う宅配ボックス30の解錠の場合には、待機時間を3分とし、屋内側からの解錠に伴う宅配ボックス30の解錠の場合には、待機時間を1分とする。この場合、
図2のステップS21において、屋外側からの解錠か、屋内側からの解錠かに基づいて、待機時間を変えればよい。
【0070】
屋外側からの玄関ドア16の解錠に伴う宅配ボックス30の解錠の場合には、玄関ドア16の解錠後にいったん建物10内に入ってから宅配物の取り出しに屋外側まで戻ってくることが考えられる。そのため、その戻ってくる時間を待つための待機時間が定められているのが望ましいが、屋内側からの玄関ドア16の解錠に伴う宅配ボックス30の解錠の場合には、その待機時間は不要である。この場合、宅配ボックス30が解錠状態とされる待機時間を必要に応じた時間に設定できるため、過剰に長い間において宅配ボックス30が解錠状態とされることがなく、防犯上好ましい。
【0071】
(6)上記実施形態では、宅配物の情報として宅配ボックス30内の宅配物の大きさと重量とが取得されているが、宅配物の大きさ及び重量の少なくとも一方が宅配物の情報として取得されていればよい。この場合、取得された宅配物の大きさ及び重量の少なくとも一方の宅配物の情報に対する許可条件が定められていればよい。
【0072】
(7)上記実施形態では、宅配ボックス30の扉32に施錠装置33が取り付けられているが、施錠装置33は必須の構成ではない。例えば、電気的に扉32が開閉可能な宅配ボックス30であってもよく、この場合、宅配物の取り出しが許可される場合には、扉32が開閉可能され、宅配物の取り出しが非許可の場合には扉32が開閉不可とされる構成とされる。
【符号の説明】
【0073】
10…建物、15…出入口としての玄関口、16…開閉体としての玄関ドア、19…報知手段としての表示灯、21…施錠装置、30…宅配ボックス、34…検出手段としての赤外線センサ、35…検出手段としての重量センサ、40…特定手段、情報取得手段及び制御手段としてのコントローラ。