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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】2色成形レンズ
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/16 20060101AFI20230308BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
B29C45/16
B29C45/26
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019103554
(22)【出願日】2019-06-03
(65)【公開番号】P2020078923
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】P 2018212811
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100099999
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 隆
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 卓志
(72)【発明者】
【氏名】八木 孝将
(72)【発明者】
【氏名】片山 征史
(72)【発明者】
【氏名】杉山 健太
(72)【発明者】
【氏名】山本 彰則
(72)【発明者】
【氏名】植松 聡
(72)【発明者】
【氏名】水谷 圭佑
【審査官】清水 研吾
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107322876(CN,A)
【文献】特開2017-222117(JP,A)
【文献】特開2000-182409(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明樹脂製の1次成形品と不透明樹脂製の2次成形品とからなる2色成形レンズであって、レンズ本体部とこのレンズ本体部の周縁部から上記2色成形レンズの内表面側に立ち上がるレンズ周壁部とを備え、内表面に防曇塗装膜が形成された2色成形レンズにおいて、
上記1次成形品は、上記2色成形レンズの外表面に沿って上記レンズ本体部から上記レンズ周壁部へ回り込むように形成されており、
上記2次成形品は、上記2色成形レンズの内表面に沿って上記レンズ周壁部から上記レンズ本体部へ回り込むように形成されており、
上記2色成形レンズの内表面側における上記1次成形品の内周端面と上記2次成形品の外周端面との接合面が、上記レンズ本体部において上記2色成形レンズの外表面側から上記2色成形レンズの内表面まで延びるように形成されており、
上記2次成形品に、上記1次成形品との接合面から該1次成形品の内表面に沿って該1次成形品に被さるようにして延びる被せ部が延長形成されている、ことを特徴とする2色成形レンズ。
【請求項2】
上記2色成形レンズの外表面にハードコート膜が形成されている、ことを特徴とする請求項1記載の2色成形レンズ。
【請求項3】
上記被せ部は、該被せ部の先端面が上記1次成形品の内表面へ向けて傾斜して延びるように形成されている、ことを特徴とする請求項1または2記載の2色成形レンズ。
【請求項4】
上記被せ部の先端面の傾斜角度が30~60°に設定されている、ことを特徴とする請求項3記載の2色成形レンズ。
【請求項5】
上記1次成形品において該1次成形品の内表面と上記接合面との角部に形成されるコーナーRが、R0.1~0.5mmの値に設定されている、ことを特徴とする請求項1~4いずれか記載の2色成形レンズ。
【請求項6】
上記接合面と上記1次成形品の内表面との挟角が100°以上の値に設定されている、ことを特徴とする請求項1~5いずれか記載の2色成形レンズ。
【請求項7】
上記1次成形品は、上記接合面に沿った環状領域が該環状領域の内周側に位置する一般領域に対して上記2色成形レンズの内表面側に段上がりになった厚肉部として形成されており、
上記1次成形品の一般領域の内表面と上記厚肉部の内周面との角部にR0.2mm以上のコーナーRが形成されている、ことを特徴とする請求項1~6いずれか記載の2色成形レンズ。
【請求項8】
透明樹脂製の1次成形品と不透明樹脂製の2次成形品とからなる2色成形レンズであって、レンズ本体部とこのレンズ本体部の周縁部から上記2色成形レンズの内表面側に立ち上がるレンズ周壁部とを備え、内表面に防曇塗装膜が形成された2色成形レンズにおいて、
上記1次成形品は、上記2色成形レンズの外表面に沿って上記レンズ本体部から上記レンズ周壁部へ回り込むように形成されており、
上記2次成形品は、上記2色成形レンズの内表面に沿って上記レンズ周壁部から上記レンズ本体部へ回り込むように形成されており、
上記2色成形レンズの内表面側における上記1次成形品の内周端面と上記2次成形品の外周端面との接合面が、上記レンズ本体部において上記2色成形レンズの外表面側から上記2色成形レンズの内表面まで延びるように形成されており、
上記1次成形品は、上記接合面に沿った環状領域が該環状領域の内周側に位置する一般領域に対して上記2色成形レンズの内表面側に段上がりになった厚肉部として形成されており、
上記1次成形品の一般領域の内表面と上記厚肉部の内周面との角部にR0.2mm以上のコーナーRが形成されている、ことを特徴とする2色成形レンズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、内表面に防曇塗装膜が形成された2色成形レンズに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、透明樹脂製の1次成形品と不透明樹脂製の2次成形品とからなる2色成形レンズが知られている。
【0003】
車両用灯具に用いられる2色成形レンズとしては、例えば「特許文献1」に記載されているように、レンズ本体部とその周縁部から2色成形レンズの内表面側に立ち上がるレンズ周壁部とを備えた構成が一般的である。
【0004】
このような2色成形レンズにおいては、1次成形品が2色成形レンズの外表面に沿ってレンズ本体部からレンズ周壁部へ回り込むように形成されるとともに、2次成形品が2色成形レンズの内表面に沿ってレンズ周壁部からレンズ本体部へ回り込むように形成されている。
【0005】
また従来より、車両用灯具の前照灯レンズにおいては、その外表面にハードコート膜が形成されるとともにその内表面に防曇塗装膜が形成された構成が多く採用されている。
【0006】
これらの成膜作業は、例えば「特許文献2」に記載されているように、レンズの外表面にハードコート膜を形成した後、紫外線照射によって塗料中の合成樹脂組成物を硬化させ、その後、レンズの内表面に防曇塗装膜を形成した後、この防曇塗装膜を熱によって硬化させる、という独立した2つの工程(以下「独立型成膜工程」という)によって行われるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-176974号公報
【文献】特開2000-182409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
2色成形レンズとして、その外表面にハードコート膜が形成されるとともにその内表面に防曇塗装膜が形成された構成とした場合において、その成膜工程として、従来の独立型成膜工程の代わりに、2色成形レンズの外表面にハードコート膜を形成した後、その内表面に防曇塗装膜を形成し、その後、ハードコート膜を紫外線照射によって硬化させた後、防曇塗装膜を熱によって硬化させる工程(以下「ハイブリッド型成膜工程」という)を採用すれば、成膜工程における省人化を図ることができ、これにより2色成形レンズの製造工程での作業効率を向上させることができる。
【0009】
しかしながら、このようなハイブリッド型成膜工程を採用した場合には、次のような問題が生じてしまう。
【0010】
すなわち、2色成形レンズにおいては、1次成形品の成形後に2次成形品の成形が行われるので、1次成形品にはその内表面と2次成形品に対する接合面との角部にコーナーRが不可避的に形成されてしまい、これをピン角(すなわちR0)で形成することはできない。その際、通常の金型加工では、エンドミルの構造上、最小コーナーRはR0.3mm程度の大きさとなる。
【0011】
このため2色成形レンズには、1次成形品の角部に沿って略楔形の断面形状を有する溝状の隙間が形成されてしまう。
【0012】
このような状況の下、ハイブリッド型成膜工程を採用した場合には、紫外線照射によるハードコート膜の硬化後に防曇塗装膜の硬化が行われるので、その間に2色成形レンズにおいては、1次成形品の角部に形成される溝状の隙間に溜まった防曇塗料が1次成形品の内部に含浸してしまい、これにより1次成形品の角部周辺にクラックが発生しやすくなる。
【0013】
特に、2次成形品を成形する際、金型内に配置された状態にある1次成形品は金型内に射出された溶融樹脂によって押圧力を受けるので、成形完了後の2色成形レンズには1次成形品の角部周辺に残留応力が生じてしまい、このためクラックが一層発生しやすくなる。
【0014】
そして、このようにして1次成形品の角部周辺にクラックが発生すると、このクラックが透明なレンズ本体部を透して見えてしまうので、2色成形レンズに外観不良が発生してしまう。
【0015】
このような課題は、独立型成膜工程を採用した場合や、2色成形レンズの構成として外表面にハードコート膜が形成されていない構成とした場合であっても、レンズの内表面に防曇塗装膜が形成された後その硬化が完了するまでに一定以上の時間がかかってしまったような場合には、同様に生じ得る課題である。
【0016】
本願発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、内表面に防曇塗装膜が形成された2色成形レンズにおいて、外観不良の発生を効果的に抑制することができる2色成形レンズを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願発明は、2次成形品の構成に工夫を施すことにより、上記目的達成を図るようにしたものである。
【0018】
すなわち、本願発明に係る2色成形レンズは、
透明樹脂製の1次成形品と不透明樹脂製の2次成形品とからなる2色成形レンズであって、レンズ本体部とこのレンズ本体部の周縁部から上記2色成形レンズの内表面側に立ち上がるレンズ周壁部とを備え、内表面に防曇塗装膜が形成された2色成形レンズにおいて、
上記1次成形品は、上記2色成形レンズの外表面に沿って上記レンズ本体部から上記レンズ周壁部へ回り込むように形成されており、
上記2次成形品は、上記2色成形レンズの内表面に沿って上記レンズ周壁部から上記レンズ本体部へ回り込むように形成されており、
上記2色成形レンズの内表面側における上記1次成形品の内周端面と上記2次成形品の外周端面との接合面が、上記レンズ本体部において上記2色成形レンズの外表面側から上記2色成形レンズの内表面まで延びるように形成されており、
上記2次成形品に、上記1次成形品との接合面から該1次成形品の内表面に沿って該1次成形品に被さるようにして延びる被せ部が延長形成されている、ことを特徴とするものである。
【0019】
上記「2色成形レンズ」は、1次成形品が2色成形レンズの外表面に沿ってレンズ本体部からレンズ周壁部へ回り込むように形成されるとともに2次成形品が2色成形レンズの内表面に沿ってレンズ周壁部からレンズ本体部へ回り込むように形成されていれば、その具体的な形状は特に限定されるものではない。
【0020】
上記「レンズ周壁部」は、レンズ本体部の周縁部の全周にわたって形成されていてもよいし、その一部に形成されていてもよい。
【0021】
上記「被せ部」は、1次成形品との接合面からその内表面に沿って1次成形品に被さるようにして延びていれば、その具体的な形状は特に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0022】
本願発明に係る2色成形レンズは、その内表面に沿ってレンズ周壁部からレンズ本体部へ回り込むように形成された2次成形品に、1次成形品との接合面から1次成形品の内表面に沿って1次成形品に被さるようにして延びる被せ部が延長形成されているので、1次成形品の角部に溝状の隙間が形成されてしまうのを未然に防止することができる。
【0023】
したがって、レンズの内表面に防曇塗装膜が形成された後その硬化が完了するまでに一定以上の時間がかかってしまったような場合であっても、1次成形品の角部周辺にクラックが発生するのを効果的に抑制することができ、これによりクラック発生に起因する外観不良の発生を効果的に抑制することができる。
【0024】
このように本願発明によれば、内表面に防曇塗装膜が形成された2色成形レンズにおいて、外観不良の発生を効果的に抑制することができる。
【0025】
上記構成において、さらに、2色成形レンズの構成として、外表面にハードコート膜が形成された構成となっている場合には、次のような作用効果を得ることができる。
【0026】
すなわち、外表面にハードコート膜が形成されるとともに内表面に防曇塗装膜が形成された2色成形レンズにおいて、これらの成膜作業をハイブリッド型成膜工程によって行うようにした場合には、防曇塗装膜の形成からその硬化が完了するまでに比較的長い時間がかかってしまうが、本願発明に係る2色成形レンズにおいては1次成形品の角部に溝状の隙間が存在しないので、クラック発生に起因する外観不良が発生してしまうのを効果的に抑制することができる。したがって、ハイブリッド型成膜工程の採用により成膜工程における省人化を図ることができ、これにより2色成形レンズの製造工程での作業効率を向上させることができる。
【0027】
上記構成において、さらに、2次成形品の被せ部の構成として、その先端面が1次成形品の内表面へ向けて傾斜して延びるように形成された構成とすれば、2次成形品の被せ部と1次成形品の内表面との接続部分に防曇塗料が溜まりにくい構成とすることができる。したがって、この接続部分に溜まった防曇塗料が1次成形品の内部に含浸してしまうのを効果的に抑制することができ、これにより1次成形品の角部周辺にクラックが発生してしまうのをより効果的に抑制することができる。
【0028】
その際、被せ部の先端面の傾斜角度が30~60°に設定された構成とすれば、2次成形品を成形する際、その被せ部への溶融樹脂の充填性を十分に確保した上で、2次成形品の被せ部の先端面と1次成形品の内表面との接続部分に防曇塗料が溜まりにくくする効果を高めることができる。
【0029】
上記構成において、さらに、1次成形品においてその内表面と2次成形品との接合面との角部に形成されるコーナーRが、R0.1~0.5mmの値に設定された構成とすれば、2次成形品を成形する際、その被せ部への溶融樹脂の充填性を十分に確保した上で、1次成形品と2次成形品との接合面から延長形成された被せ部の被せ幅を小さく抑えることができ、これによりレンズ本体部のより多くの部分を透明領域として有効に利用することができる。
【0030】
上記構成において、さらに、1次成形品と2次成形品との接合面と1次成形品の内表面との挟角が100°以上の値に設定された構成とすれば、2次成形品を成形する際、その被せ部への溶融樹脂の充填性を向上させることができる。
【0031】
上記構成において、さらに、1次成形品の構成として、2次成形品との接合面に沿った環状領域が該環状領域の内周側に位置する一般領域に対して2色成形レンズの内表面側に段上がりになった厚肉部として形成された構成とした上で、その一般領域の内表面と厚肉部の内周面との角部(以下「第2の角部」ともいう)にR0.2mm以上のコーナーRが形成された構成とすれば、次のような作用効果を得ることができる。
【0032】
すなわち、2色成形レンズの製造を精度良く行うためには、2次成形品を成形する際、金型内において1次成形品が位置決めされた状態を維持することが肝要である。
【0033】
これを実現するため、1次成形品の構成として2次成形品との接合面に沿った環状領域を厚肉部として形成しておき、2次成形品を成形する際、この厚肉部に金型を押し当てて1次成形品の位置決めを図る手法が従来より採用されている。
【0034】
しかしながら、厚肉部は金型が押し当てられることによって多少潰れるので、これにより1次成形品にはその第2の角部に応力集中が発生してしまい、これによって第2の角部の周辺領域にクラックが発生しまうことがある。
【0035】
これに対し、1次成形品として第2の角部にR0.2mm以上のコーナーRが形成された構成とすれば、厚肉部が多少潰れても第2の角部に応力集中が発生してしまうのを未然に防止することができる。したがって、第2の角部の周辺領域にクラックが発生するのを効果的に抑制することができ、これによりクラック発生に起因する外観不良の発生を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本願発明の一実施形態に係る2色成形レンズを示す正面図
図2図1のII-II線断面図
図3図2のIII 部詳細図
図4】(a)は図3のIV部詳細図、(b)は上記2色成形レンズの2次成形品を成形する際の様子を示す(a)と同様の図
図5】(a1)~(a3)は上記2色成形レンズの製造工程を示す図、(b1)~(b4)は従来の製造工程を(a1)~(a3)と対比して示す図
図6】(a1)は図3のVI部詳細図、(b1)は上記2次成形品を成形する際の様子を示す(a1)と同様の図、(a2)および(b2)は上記実施形態の比較例を示す(a1)および(b1)と同様の図
図7】上記実施形態の第1および第2変形例を示す、図4(a)と同様の図
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を用いて、本願発明の実施の形態について説明する。
【0038】
図1は、本願発明の一実施形態に係る2色成形レンズ10を示す正面図であり、図2は、図1のII-II線断面図である。
【0039】
これらの図において、Xで示す方向が2色成形レンズ10としての「前方」であり、Yで示す方向が「前方」と直交する「左方向」(レンズ正面視では「右方向」)であり、Zで示す方向が「上方向」である。これら以外の図においても同様である。
【0040】
図1に示すように、本実施形態に係る2色成形レンズ10は、車両の右前端部に配置されるヘッドランプの透光カバーであって、透明樹脂製(例えば無色透明のPC樹脂製等)の1次成形品10Pと不透明樹脂製(例えば黒色のPC樹脂製やABS樹脂製等)の2次成形品10Sとによって構成されている。
【0041】
この2色成形レンズ10は、灯具正面視において横長略矩形状に形成されたレンズ本体部12と、このレンズ本体部12の外周縁から2色成形レンズ10の内表面10b側(すなわちレンズ後方側)へ向けて延びるレンズ周壁部14と、このレンズ周壁部14の後端位置から外周側へ向けて延びる外周フランジ部16とを備えた構成となっている。そして、この2色成形レンズ10は、車両に装着されたとき、そのレンズ本体部12が車体の表面形状に沿って延びる意匠面を構成するようになっている。
【0042】
図2に示すように、1次成形品10Pは、2色成形レンズの外表面10aに沿ってレンズ本体部12からレンズ周壁部14へ回り込むように形成されており、一方、2次成形品10Sは、2色成形レンズの内表面10bに沿ってレンズ周壁部14からレンズ本体部12へ回り込むように形成されている。
【0043】
2色成形レンズ10の外表面10a側における1次成形品10Pと2次成形品10Sとの接合面10a1は、レンズ周壁部14におけるレンズ本体部12と外周フランジ部16との略中央に位置している。一方、2色成形レンズ10の内表面10b側における1次成形品10Pと2次成形品10Sとの接合面10b1は、レンズ本体部12の周縁部近傍に位置している。
【0044】
本実施形態に係る2色成形レンズ10は、その外表面10aにハードコート膜22が形成されるとともに、その内表面10bに防曇塗装膜24が形成された構成となっている。その際、ハードコート膜22は1次成形品10Pの全領域を覆うように形成されており、防曇塗装膜24も1次成形品10Pの全領域を覆うように形成されている。
【0045】
2色成形レンズ10の詳細構造について説明する前に、その製造工程について説明する。
【0046】
図5(a1)~(a3)は、成形完了後の2色成形レンズ10に対して成膜作業を行う工程としてのハイブリッド型成膜工程を示す図である。
【0047】
このハイブリッド型成膜工程においては、図5(a1)に示す第1工程で、2色成形レンズ10の外表面10aにハードコート膜22を形成した後、その内表面10bに防曇塗装膜24を形成し、次に、図5(a2)に示す第2工程で、ハードコート膜22を紫外線照射によって硬化させ、最後に、図5(a3)に示す第3工程で、防曇塗装膜24を熱によって硬化させるようになっている。
【0048】
図5(a1)に示す第1工程では、2色成形レンズ10をターンテーブル(図示せず)に設置された治具(図示せず)に載置した状態で、ハードコート膜22を形成した後、ターンテーブルを180°回転させ、この状態で防曇塗装膜24を形成するようになっている。
【0049】
ハードコート膜22の形成は、2色成形レンズ10の外表面10aに沿ってスプレーガンのノズル102を移動させながら、このノズル102からハードコート塗料P1を外表面10aに吹き付けることにより行うようになっている。
【0050】
その際、ハードコート塗料P1としては、例えば、アクリル系モノマー、紫外線吸収剤、光安定剤、重合開始剤、溶剤等からなるアクリル系ハードコート塗料等が採用可能である。
【0051】
また、防曇塗装膜24の形成は、2色成形レンズ10の内表面10bに沿ってスプレーガンのノズル104を移動させながら、このノズル104から防曇塗料P2を内表面10bに吹き付けることにより行うようになっている。
【0052】
その際、防曇塗料P2としては、例えば、アクリル樹脂、界面活性剤、硬化剤(触媒)等からなるアクリル系防曇塗料等が採用可能である。
【0053】
図5(a2)に示す第2工程では、紫外線照射装置106から2色成形レンズ10の外表面10aに紫外線を照射することにより、外表面10aに塗布されたハードコート膜22を硬化させるようになっている。なお、この紫外線照射に先立ち、2色成形レンズ10を赤外線照射等によって加熱するようにしてもよい。
【0054】
図5(a3)に示す第3工程では、2色成形レンズ10を加熱炉108に入れてその内表面10bに120℃程度の温風で熱することにより、内表面10bに塗布された防曇塗装膜24を硬化させるようになっている。
【0055】
第2および第3工程は、2色成形レンズ10をローラ搬送路(図示せず)で搬送することにより連続的に行われるようになっている。
【0056】
このハイブリッド型成膜工程においては、成膜後の検査要員のほかに、第1工程と第2工程との間に2色成形レンズ10をターンテーブルからローラ搬送路に移し替える作業を行うための作業員2が1人配置されるようになっている。
【0057】
一方、図5(b1)~(b4)は、成形完了後の2色成形レンズ10に対して成膜作業を行う工程として従来より行われている独立型成膜工程を示す図である。
【0058】
まず、図5(b1)に示す第1工程で、2色成形レンズ10の外表面10aに沿ってスプレーガンのノズル102を移動させながら、このノズル102からハードコート塗料P1を外表面10aに吹き付けることにより、外表面10aにハードコート膜22を形成するようになっている。
【0059】
次に、図5(b2)に示す第2工程で、紫外線照射装置106から2色成形レンズ10の外表面10aに紫外線を照射することにより、外表面10aに塗布されたハードコート膜22を硬化させるようになっている。
【0060】
次に、図5(b3)に示す第3工程で、2色成形レンズ10の内表面10bに沿ってスプレーガンのノズル104を移動させながら、このノズル104から防曇塗料P2を内表面10bに吹き付けることにより、内表面10bに防曇塗装膜24の形成するようになっている。
【0061】
最後に、図5(b4)に示す第4工程で、2色成形レンズ10を加熱炉108に入れてその内表面10bに120℃程度の温風で熱することにより、内表面10bに塗布された防曇塗装膜24を硬化させるようになっている。
【0062】
この独立型成膜工程においては、成膜後の検査要員のほかに、第1工程と第2工程との間に2色成形レンズ10をハードコート用ブースから紫外線照射用ブースに移し替える作業を行うための作業員2が配置され、また、第3工程と第4工程との間に2色成形レンズ10を防曇塗装用ブースから加熱炉108に移し替える作業を行うための作業員2が配置されるようになっている。さらに必要に応じて、第2工程と第3工程との間にも作業員2が配置されるようになっている。
【0063】
この独立型成膜工程をハイブリッド型成膜工程に切り替えることにより、作業員2を少なくとも1名削減することが可能となる。
【0064】
次に、2色成形レンズ10の詳細構造について説明する。
【0065】
図3は、図2のIII 部詳細図である。
【0066】
図3に示すように、1次成形品10Pは、接合面10b1に沿った環状領域が、その内周側の一般領域に対してレンズ後方側に段上がりになった厚肉部10Paとして形成されている。
【0067】
一方、2次成形品10Sにおいてレンズ本体部12側に回り込んでいる本体側回込み部分10Saは、その内表面10Sa1が1次成形品10Pの厚肉部10Paの内表面10Pa1に対してレンズ後方側に段上がりで、かつ該内表面10Pa1と略平行に延びるように形成されている。
【0068】
また、この本体側回込み部分10Saには、1次成形品10Pとの接合面10b1からその厚肉部10Paの内表面10Pa1に沿って該厚肉部10Paに被さるようにして延びる被せ部10Sbが延長形成されている。
【0069】
図4(a)は、図3のIV部詳細図である。
【0070】
図4(a)に示すように、1次成形品10Pにおいて、その厚肉部10Paの内表面10Pa1と接合面10b1との挟角θ1は、100°以上の値(例えば120°程度の値)に設定されている。
【0071】
また、1次成形品10Pにおいて、その厚肉部10Paの内表面10Pa1と接合面10b1との角部10Pbには、RA=R0.1~0.5mm程度(例えばRA=R0.3mm程度)のコーナーRが形成されている。
【0072】
この角部10Pbは、2色成形レンズ10の内表面10b側におけるレンズ本体部12とレンズ周壁部14との接続位置10cから1~3mm程度(例えば2mm程度)離れた位置に形成されている。
【0073】
一方、2次成形品10Sの被せ部10Sbは、その先端面10Sb1が1次成形品10Pの厚肉部10Paの内表面10Pa1へ向けて傾斜して延びるように形成されている。その際、この被せ部10Sbの先端面10Sb1の傾斜角度θ2は、30~60°程度の値(例えば45°程度の値)に設定されている。
【0074】
また、被せ部10Sbの被せ幅(すなわち角部10Pbにおける接合面10b1側のR止まりの位置から先端面10Sb1の先端位置までの幅)Wは、0.5~1mm程度の値(例えば0.8mm程度の値)に設定されている。
【0075】
そして、被せ部10Sbの被せ厚(すなわちレンズ前後方向の厚み)Tは、1次成形品10Pの厚肉部10Paの内表面10Pa1と2次成形品10Sの本体側回込み部分10Saの内表面10Sa1との段差に等しく、0.4~1mm程度の値(例えば0.5mm程度の値)に設定されている。
【0076】
防曇塗装膜24は、2色成形レンズ10の内表面10bにおける1次成形品10Pの部分の全領域と2次成形品10Sの本体側回込み部分10Saの内表面10Sa1および被せ部10Sbの先端面10Sb1の全領域とレンズ周壁部14の内表面の前端領域とを覆うようにして形成されている。
【0077】
図4(b)は、2色成形レンズ10の2次成形品10Sを成形する際の様子を示す、図4(a)と同様の図である。
【0078】
図4(b)に示すように、2次成形品10Sは、2次成形用の金型100とこの金型100内に配置された状態にある1次成形品10Pとの間に形成される2次成形用空間Cに溶融樹脂Rsを射出することによって形成されるようになっている。
【0079】
その際、金型100は、1次成形品10Pの厚肉部10Paの内表面10Pa1に押し当てられた状態で配置されるようになっている。そして、溶融樹脂Rsは、この金型100の表面を回り込むようにして2次成形用空間Cの隅々まで充填され、2次成形品10Sの被せ部10Sbを形成するための2次成形用空間Cbにも充填されるようになっている。
【0080】
このようにして2次成形品10Sを成形する際、1次成形品10Pは2次成形用空間Cに充填された溶融樹脂Rsによりその接合面10b1において押圧力Fを受けるので、成形完了後の2色成形レンズ10には1次成形品10Pの角部10Pb周辺に残留応力が生じやすくなる。
【0081】
この点、本実施形態においては、2次成形品10Sの成形完了時、その被せ部10Sbが1次成形品10Pの角部10Pbを覆うようにして形成されるので、上記残留応力によって角部10Pb周辺にクラックが発生してしまうおそれは最小限に抑制される。
【0082】
なお、2次成形品10Sを成形する際、1次成形品10Pはその厚肉部10Paが金型100によって押圧されるので、成形完了後の2色成形レンズ10は、その1次成形品10Pの厚肉部10Paの内表面10Pa1において金型100が押し当てられていた部分が他の部分よりも外表面10a側に僅かに(例えば0.1~0.15mm程度)変位した形状となる。
【0083】
図6(a1)は、図3のVI部詳細図である。
【0084】
図6(a1)に示すように、1次成形品10Pにおいて、その厚肉部10Paの内周面10Pa2とその内周側に位置する一般領域の内表面10bとの角部(すなわち第2の角部)10Pcには、RB=R0.2mm以上のコーナーR(例えばRB=R0.2~0.8mm程度)が形成されている。
【0085】
図6(b1)は、2色成形レンズ10の2次成形品10Sを成形する際の様子を示す、図6(a1)と同様の図である。
【0086】
図6(b1)に示すように、2次成形品10Sを成形する際には、金型100が1次成形品10Pの厚肉部10Paに押し当てられるので、上述したように厚肉部10Paが多少潰れて、その内表面10Pa1が図中2点鎖線で示す位置から図中実線で示す位置まで変位する。これに伴い、角部10Pcも多少潰れてしまうので、そのコーナーRは元のコーナーR(すなわち図中2点鎖線で示すコーナーR)よりも多少小さくなるが、角部10PcにRB=R0.2mm以上のコーナーRが形成された状態は維持される。
【0087】
図6(a2)、(b2)は、本実施形態の比較例を示す図6(a1)、(b1)と同様の図である。
【0088】
図6(a2)に示すように、仮に、1次成形品10Pにおいて、その厚肉部10Paの内周面10Pa2とその内周側に位置する一般領域の内表面10bとの角部10Pcが、ピン角またはピン角に近いコーナーRしか形成されていなかったとした場合には、2次成形品10Sを成形する際、図6(b2)に示すように、金型100が1次成形品10Pの厚肉部10Paに押し当てられて厚肉部10Paが多少潰れることによって、その内表面10Pa1が図中2点鎖線で示す位置から図中実線で示す位置まで変位すると、1次成形品10Pにはその角部10Pcの周辺領域Ascに応力集中が発生してしまう。
【0089】
このため、図6(a2)に示すように、その後、防曇塗装膜24を形成する際、上記応力集中によって角部10Pcの周辺領域AscにクラックCRが発生しまうことがある。
【0090】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0091】
本実施形態に係る2色成形レンズ10は、その内表面10bに沿ってレンズ周壁部14からレンズ本体部12へ回り込むように形成された2次成形品10Sの本体側回込み部分10Saに、1次成形品10Sとの接合面10b1から1次成形品10Pの厚肉部10Paの内表面10Pa1に沿って1次成形品10Pに被さるようにして延びる被せ部10Sbが延長形成されているので、1次成形品10Pの角部10Pbに溝状の隙間が形成されてしまうのを未然に防止することができる。
【0092】
したがって、2色成形レンズ10の内表面10bに防曇塗装膜24が形成された後その硬化が完了するまでに一定以上の時間がかかってしまったような場合であっても、1次成形品10Pの角部10Pb周辺にクラックが発生するのを効果的に抑制することができ、これによりクラック発生に起因する外観不良の発生を効果的に抑制することができる。
【0093】
このように本実施形態によれば、内表面10bに防曇塗装膜が形成された2色成形レンズ10において、外観不良の発生を効果的に抑制することができる。
【0094】
特に、本実施形態に係る2色成形レンズ10は、その外表面10aにハードコート膜22が形成された構成となっているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0095】
すなわち、外表面10aにハードコート膜22が形成されるとともに内表面10bに防曇塗装膜24が形成された2色成形レンズ10において、これらの成膜作業をハイブリッド型成膜工程によって行うようにした場合には、防曇塗装膜24の形成からその硬化が完了するまでに比較的長い時間がかかってしまうが、本実施形態に係る2色成形レンズ10においては1次成形品10Pの角部10Pbに溝状の隙間が存在しないので、クラック発生に起因する外観不良が発生してしまうのを効果的に抑制することができる。したがって、ハイブリッド型成膜工程の採用により成膜工程における省人化を図ることができ、これにより2色成形レンズ10の製造工程での作業効率を向上させることができる。
【0096】
また、2次成形品10Sの被せ部10Sbは、その先端面10Sb1が1次成形品10Pの厚肉部10Paの内表面10Pa1へ向けて傾斜して延びるように形成されているので、この先端面10Sb1と1次成形品10Pの厚肉部10Paの内表面10Pa1との接続部分に防曇塗料が溜まりにくい構成とすることができる。したがって、この接続部分に溜まった防曇塗料が1次成形品10Pの内部に含浸してしまうのを効果的に抑制することができ、これにより1次成形品10Pの角部10Pb周辺にクラックが発生してしまうのをより効果的に抑制することができる。
【0097】
その際、被せ部10Sbは、その先端面10Sb1の傾斜角度θ2が30~60°に設定されているので、2次成形品10Sを成形する際、その被せ部10Sbへの溶融樹脂Rsの充填性を十分に確保した上で、2次成形品10Sの被せ部10Sbの先端面10Sb1と1次成形品10Pの厚肉部10Paの内表面10Pa1との接続部分に防曇塗料が溜まりにくくする効果を高めることができる。
【0098】
本実施形態においては、1次成形品10Pにおいてその厚肉部10Paの内表面10Pa1と2次成形品10Sとの接合面10b1との角部10Pbに形成されるコーナーRが、RA=R0.1~0.5mmの値に設定されているので、2次成形品10Sを成形する際、その被せ部10Sbへの溶融樹脂Rsの充填性を十分に確保した上で、1次成形品10Pと2次成形品10Sとの接合面10b1から延長形成された被せ部10Sbの被せ幅Wを小さく抑えることができ、これによりレンズ本体部12のより多くの部分を透明領域として有効に利用することができる。
【0099】
また本実施形態においては、1次成形品10Pと2次成形品10Sとの接合面10b1と1次成形品10Pの内表面10bとの挟角が100°以上の値に設定されているので、2次成形品10Sを成形する際、その被せ部10Sbへの溶融樹脂Rsの充填性を向上させることができる。
【0100】
本実施形態においては、1次成形品10Pに厚肉部10Paが形成されているので、2次成形品10Sを成形する際、金型100内において1次成形品10Pが位置決めされた状態を維持することができ、これにより2色成形レンズ10の製造を精度良く行うことができるが、1次成形品10Pの一般領域の内表面10bと厚肉部10Paの内周面10Pa2との角部(すなわち第2の角部)10PcにはRB=R0.2mm以上のコーナーRが形成されているので、次のような作用効果を得ることができる。
【0101】
すなわち、2次成形品10Sを成形する際、1次成形品10Pの厚肉部10Paは金型100が押し当てられることによって多少潰れてしまうが、角部10PcにはRB=R0.2mm以上のコーナーRが形成されているので、厚肉部10Paが多少潰れても角部10Pcに応力集中が発生してしまうのを未然に防止することができる。したがって、この応力集中によって角部10Pc周辺にクラックが発生するのを効果的に抑制することができ、これによりクラック発生に起因する外観不良の発生を効果的に抑制することができる。
【0102】
上記実施形態においては、2色成形レンズ10が車両用ヘッドランプの透光カバーであるものとして説明したが、これ以外の用途に用いられる場合においても上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0103】
上記実施形態においては、2色成形レンズ10の外表面10aにハードコート膜22が形成されているものとして説明したが、このようなハードコート膜22が形成されていない構成とすることも可能である。
【0104】
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0105】
まず、上記実施形態の第1変形例について説明する。
【0106】
図7(a)は、本変形例に係る2色成形レンズの要部を示す、図4(a)と同様の図である。
【0107】
図7(a)に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、2次成形品110Sの構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0108】
すなわち本変形例においても、2次成形品110Sの本体側回込み部分110Saに、1次成形品10Pとの接合面10b1からその厚肉部10Paの内表面10Pa1に沿って1次成形品10Pに被さるようにして延びる被せ部110Sbが延長形成されている。
【0109】
ただし、本変形例の2次成形品110Sは、その本体側回込み部分110Saが、厚肉部10Paの内表面10Pa1と略平行に延びる(すなわち上記実施形態の内表面10Sa1と同様の)第1内表面110Sa1と、この第1内表面110Sa1に対してレンズ後方側に段上がりで形成された第2内表面110Sa2とを備えた構成となっている。
【0110】
本変形例の被せ部110Sbは、上記実施形態の被せ部10Sbと同様の形状を有しており、その先端面110Sb1も上記実施形態の被せ部10Sbの先端面10Sb1と同様の形状を有している。
【0111】
また、第1内表面110Sa1と第2内表面110Sa2との段差部分も、被せ部110Sbの先端面110Sb1と略同様の形状を有する斜面110Scで構成されている。
【0112】
本変形例の構成を採用した場合においても上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0113】
その上で、本変形例の構成を採用することにより、2次成形品110Sを成形する際、その被せ部110Sbへの溶融樹脂の充填性を一層向上させることができる。
【0114】
次に、上記実施形態の第2変形例について説明する。
【0115】
図7(b)は、本変形例に係る2色成形レンズの要部を示す、図4(a)と同様の図である。
【0116】
図7(b)に示すように、本変形例の基本的な構成は上記実施形態の場合と同様であるが、2次成形品210Sの構成が上記実施形態の場合と一部異なっている。
【0117】
すなわち本変形例においても、2次成形品210Sの本体側回込み部分210Saに、1次成形品10Pとの接合面10b1からその厚肉部10Paの内表面10Pa1に沿って1次成形品10Pに被さるようにして延びる被せ部210Sbが延長形成されている。
【0118】
ただし、本変形例の2次成形品210Sは、その本体側回込み部分210Saの内表面210Sa1が、レンズ周壁部14側へ向けてレンズ後方側に傾斜した方向に延びるように形成されている。
【0119】
本変形例の被せ部210Sbは、上記実施形態の被せ部10Sbと同様の形状を有しており、その先端面210Sb1も上記実施形態の被せ部10Sbの先端面10Sb1と同様の形状を有している。
【0120】
本変形例の構成を採用した場合においても上記実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0121】
その上で、本変形例の構成を採用することにより、2次成形品210Sを成形する際、その被せ部210Sbへの溶融樹脂の充填性を一層向上させることができる。
【0122】
なお、上記実施形態およびその変形例において諸元として示した数値は一例にすぎず、これらを適宜異なる値に設定してもよいことはもちろんである。
【0123】
また、本願発明は、上記実施形態およびその変形例に記載された構成に限定されるものではなく、これ以外の種々の変更を加えた構成が採用可能である。
【符号の説明】
【0124】
2 作業員
10 2色成形レンズ
10a 外表面
10a1、10b1 接合面
10b、10Pa1、10Sa1、210Sa1 内表面
10c 接続位置
10P 1次成形品
10Pa 厚肉部
10Pa2 内周面
10Pb 角部
10Pc 角部(第2の角部)
10S、110S、210S 2次成形品
10Sa、110Sa、210Sa 本体側回込み部分
10Sb、110Sb、210Sb 被せ部
10Sb1、110Sb1、210Sb1 先端面
12 レンズ本体部
14 レンズ周壁部
16 外周フランジ部
22 ハードコート膜
24 防曇塗装膜
100 2次成形用の金型
102、104 ノズル
106 紫外線照射装置
108 加熱炉
110Sa1 第1内表面
110Sa2 第2内表面
110Sc 斜面
C、Cb 2次成形用空間
F 押圧力
P1 ハードコート塗料
P2 防曇塗料
RA、RB コーナーR
Rs 溶融樹脂
T 被せ厚
W 被せ幅
θ1 挟角
θ2 傾斜角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7