(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】集積装置
(51)【国際特許分類】
B65G 57/04 20060101AFI20230308BHJP
B65G 47/08 20060101ALI20230308BHJP
B65G 47/90 20060101ALI20230308BHJP
B65G 47/91 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
B65G57/04
B65G47/08
B65G47/90
B65G47/91
(21)【出願番号】P 2019132736
(22)【出願日】2019-07-18
【審査請求日】2022-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001339
【氏名又は名称】グンゼ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100179213
【氏名又は名称】山下 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100170542
【氏名又は名称】桝田 剛
(72)【発明者】
【氏名】森脇 俊之
【審査官】板澤 敏明
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-014530(JP,A)
【文献】特開2013-103779(JP,A)
【文献】特開平05-193764(JP,A)
【文献】特開2003-137220(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G57/00-57/32
B65G47/00-47/20
B65G47/90-47/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部にジッパー付きの取出部が形成された扁平状の袋体を集積するための集積装置であって、
複数の前記袋体を、間隔を空けて搬送する第1搬送手段と、
前記第1搬送手段上にある前記袋体を、吸着手段により吸着して移載する移載手段と、
前記移載手段により移載された前記袋体が順に積み重ねられるとともに、積み重ねられた複数の前記袋体を搬送する第2搬送手段と、
を備え、
前記移載手段は、複数の前記袋体を前記第2搬送手段上に積み重ねるときに、隣接する前記袋体のジッパーが重ならないように、当該ジッパーの延びる方向と略直交する方向に、隣接する前記袋体をずらしながら、前記第2搬送手段上に積み重ねて、所定の数の前記袋体を含む積層体を形成するように構成されている、集積装置。
【請求項2】
前記移載手段は、一の前記積層体を形成後、当該一の積層体上に、少なくとも1つの他の前記積層体を積層するように構成されている、請求項1に記載の集積装置。
【請求項3】
前記第1搬送手段により搬送される前記袋体を上方から撮影するカメラをさらに備え、
前記カメラによって撮影された前記袋体の撮影画像を用いて、前記袋体の吸着位置を算出し、
前記吸着手段による前記袋体の吸着位置を制御するように構成されている、請求項1または2に記載の集積装置。
【請求項4】
前記第1搬送手段により搬送される前記袋体の位置を算出する位置検出手段をさらに備え、
前記カメラは、前記第1搬送手段により搬送される前記袋体を撮影するように構成されており、
前記カメラによって撮影された前記各袋体の撮影画像と前記位置検出手段により検出された前記袋体の各位置情報を用いて、複数の前記袋体の吸着位置を算出し、
前記吸着手段による複数の前記袋体の吸着位置を制御するように構成されている、請求項3に記載の集積装置。
【請求項5】
前記カメラにより撮影された2個の前記袋体の撮影画像と、前記位置検出手段により検出された2個の前記袋体の位置情報を用いて、2個の前記袋体の吸着位置を算出し、
前記移載手段は、
2個の前記袋体のうち、一方の前記袋体を吸着した後に、他方の前記袋体を吸着するように構成されている、請求項4に記載の集積装置。
【請求項6】
前記第2搬送手段は、
前記移載手段によって移載された前記袋体が載置され、前記積層体の少なくとも一部が形成される、中間載置部と、
前記中間載置部の下方に配置され、前記積層体が形成されるとともに、当該積層体を搬送する搬送部と、
を備え、
前記移載手段は、前記中間載置部及び前記搬送部の一方に選択的に、前記袋体を積層するように構成され、
前記搬送部上に形成された前記積層体が前記中間載置部の下方から搬送された後、前記移載手段により前記中間載置部上に形成された前記袋体を前記搬送部に落下させるように構成されている、請求項1から5のいずれかに記載の集積装置。
【請求項7】
前記中間載置部は、積層される前記袋体を支持する支持部を備え、
前記支持部は、複数の前記袋体がずれる方向と直交する方向に移動することで、前記袋体を前記搬送部に落下させるように構成されている、請求項6に記載の集積装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1、2には、扁平状の袋体の配列方法が開示されている。特許文献1では、製袋機などから排出される袋体を1枚ずつ分離し、垂直方向に積層する技術が開示されている。また、特許文献2では、コンベア上に搬送される袋体を、別のコンベア(集積コンベア)に移載する際に、移載される毎に袋の長さより短い距離ずつ間欠移動し、集積コンベア上に互いに一部重なり合うように積層させ、袋体が所定個数に達したとき、次の袋体が重ならないだけの距離分間欠移動するような技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6492359号公報
【文献】特開平10-17134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年は、ジッパー付きの袋体が利用されることが多く、これを積み重ねた状態で搬送することが要望されている。しかしながら、ジッパー付きの袋体は、ジッパーが設けられている部分が隆起しているため、これをそのまま積み重ねると、隆起した部分が重なり、不安定な状態で積層されることになる。そのため、外力が加わると、簡単に崩れるおそれがある。しかしながら、上述した特許文献1,2の技術では、このようなジッパー付きの袋体の積層には対応していなかった。本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、ジッパー付きの袋体であっても積層することができる、集積装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、一端部にジッパー付きの取出部が形成された扁平状の袋体を集積するための集積装置であって、複数の前記袋体を、間隔を空けて搬送する第1搬送手段と、前記第1搬送手段上にある前記袋体を、吸着手段により吸着して移載する移載手段と、前記移載手段により移載された前記袋体が順に積み重ねられるとともに、積み重ねられた複数の前記袋体を搬送する第2搬送手段と、を備え、前記移載手段は、複数の前記袋体を前記第2搬送手段上に積み重ねるときに、隣接する前記袋体のジッパーが重ならないように、当該ジッパーの延びる方向と略直交する方向に、隣接する前記袋体をずらしながら、前記第2搬送手段上に積み重ねて、所定の数の前記袋体を含む積層体を形成するように構成されている。
【0006】
本発明に係る集積装置では、第1搬送手段によって搬送されたジッパー付きの袋体を、移載手段によって吸着し、第2搬送手段上に順に積み重ねるように構成されている。このとき、移載手段は、隣接する前記袋体のジッパーが重ならないように、当該ジッパーの延びる方向と略直交する方向に、隣接する前記袋体をずらしながら、積み重ねて積層体を形成するように構成されている。これによって、複数の袋体が、ジッパーが重ならないように積み重ねられるため、積み重ねられた袋体が崩れるのを防止することができる。したがって、本発明に係る集積装置によれば、ジッパー付きの袋体であっても、安定的に、しかも自動で積み重ねることができるため、生産性を向上することができる。なお、第1搬送手段において、「間隔を空けて搬送する」とは、複数の袋体が重ならないように搬送することを意味し、隣接する袋体の間隔が0であってもよい。また、袋体の間隔は、例えば、第1搬送手段よりも上流の装置等に合わせるなど、適宜決定することができる。
【0007】
上記集積装置において、前記移載手段は、一の前記積層体を形成後、当該一の積層体上に、少なくとも1つの他の前記積層体を積層するように構成することができる。
【0008】
この構成によれば、袋体が積み重ねられた積層体を、複数積み重ねるように構成されている。したがって、多数の袋体をコンパクトに搬送することができる。
【0009】
上記集積装置においては、前記第1搬送手段により搬送される前記袋体を上方から撮影するカメラをさらに備えることができ、前記カメラによって撮影された前記袋体の撮影画像を用いて、前記袋体の吸着位置を算出し、前記吸着手段による前記袋体の吸着位置を制御するように構成することができる。
【0010】
この構成によれば、例えば、第1搬送手段上を袋体が設計上の位置からずれて搬送されたとき、カメラによって撮影された撮影画像を用いて、袋体の吸着位置を算出し、袋体の吸着位置を制御している。そのため、例えば、第1搬送手段上で袋体の位置ずれが生じていたとしても、袋体を適切な向きで吸着することができる。そのため、第2搬送ユニットにおいて適切な向きで袋体を積層されることができる。したがって、隣接する袋体のジッパーが重なることなく、安定的な積層体を形成することができる。
【0011】
上記集積装置においては、前記第1搬送手段により搬送される前記袋体の位置を算出する位置検出手段をさらに備えることができ、前記カメラは、前記第1搬送手段により搬送される前記袋体を撮影するように構成されており、前記カメラによって撮影された前記各袋体の撮影画像と前記位置検出手段により検出された前記袋体の各位置情報を用いて、複数の前記袋体の吸着位置を算出し、前記吸着手段による複数の前記袋体の吸着位置を制御するように構成することができる。なお、カメラによって複数の袋体を一度に撮影してもよいし、1個ずつ撮影することもできる。この点は、次のように、複数の袋体にも適用することができる。
【0012】
上記集積装置において、前記カメラにより撮影された2個の前記袋体の撮影画像と、前記位置検出手段により検出された2個の前記袋体の位置情報を用いて、2個の前記袋体の吸着位置を算出することができ、前記移載手段は、2個の前記袋体のうち、一方の前記袋体を吸着した後に、他方の前記袋体を吸着するように構成することができる。
【0013】
上記集積装置において、前記第2搬送手段は、前記移載手段によって移載された前記袋体が載置され、前記積層体の少なくとも一部が形成される、中間載置部と、前記中間載置部の下方に配置され、前記積層体が積層されるとともに、当該積層体を搬送する搬送部と、を備えることができ、前記移載手段は、前記中間載置部及び前記搬送部の一方に選択的に、前記袋体を積層するように構成され、前記搬送部上に形成された前記積層体が前記中間載置部の下方から搬送された後、前記移載手段により前記中間載置部上に形成された前記袋体を前記搬送部に落下させるように構成することができる。
【0014】
この構成によれば、次の効果を得ることができる。第2搬送手段では、袋体の積層と搬送とを繰り返しているが、所定の数の袋体が積層されて積層体が形成されると、これを搬送する。したがって、袋体が積層されるべき位置から積層体が完全に搬送される前に、次の積層体を形成するための袋体の積層が始まると、搬送中の積層体の上に袋体が積層されるおそれがある。特に、第1搬送手段から連続的に袋体が搬送されると、第2搬送手段上で積層体が移動されている間にも、第1搬送手段から移載手段によって袋体が連続的に移載されるため、上記のような問題が顕著になる。
【0015】
そこで、上記のように構成すると、移載手段は、一旦、中間載置部に袋体を積層する。そして、その下方にある搬送部から積層体が搬送され、中間載置部の下方に袋体が載置されていない状態になったときに、中間載置部から搬送部へ袋体を落下させる。落下した袋体の数が、積層体を構成する数に至ってない場合には、移載手段によって引き続き袋体を積み重ねる。そして、積層された袋体が所定の数になった積層体が形成されると、搬送部によって搬送を行う。一方、落下した複数の袋体の数が所定の数に達しており、積層体を構成している場合には、落下後に、搬送部によってこの積層体を搬送する。
【0016】
上記集積装置において、前記中間載置部は、積層される前記袋体を支持する支持部を備えることができ、前記支持部は、複数の前記袋体がずれる方向と直交する方向に移動することで、前記袋体を前記搬送部に落下させるように構成することができる。
【0017】
この構成によれば、複数の袋体のずれの方向と、支持部が移動する方向とが直交しているため、支持部の移動によって、複数の袋体のずれが乱れるのを防止できる。よって、支持部の移動により,複数の袋体が落下する際に、複数の袋体がずれて積層されている状態を維持することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る集積装置によれば、ジッパー付きの袋体であっても積層することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1A】本発明の対象となるジッパー付き袋体の一例を示す平面図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る集積装置の平面図である。
【
図5】移載ユニットによる袋体の吸着を説明する平面図である。
【
図6】移載ユニットによる袋体の吸着を説明する平面図である。
【
図7】移載ユニットによる袋体の移載を説明する平面図である。
【
図8】移載ユニットによる袋体の積層を説明する側面図である。
【
図9】第2搬送ユニットにおける袋体の搬送を説明する平面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る第2搬送ユニットの平面図である。
【
図12】
図10の第2搬送ユニットの動作を説明する平面図である。
【
図13】
図10の第2搬送ユニットの動作を説明する平面図である。
【
図14】
図10の第2搬送ユニットの動作を説明する断面図である。
【
図15A】袋体の積層の他の例を示す側面図である。
【
図15B】袋体の積層の他の例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
<A.第1実施形態>
以下、本発明に係る集積装置の第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態に係る集積装置は、ジッパーが設けられた袋体を積層することで積層体を形成し、この積層体を搬送するための装置である。以下では、まず、袋体について説明し、その後、集積装置について説明する。
【0021】
<1.袋体>
図1Aは袋体の平面図、
図1Bは袋体の側面図である。
図1A及び
図1Bに示すように、袋体1は2枚の樹脂製等のシート材により形成されている。より詳細に説明すると、各シート材の周縁は、長辺を構成する一対の側縁部11と、短辺を構成する第1縁部12及び第2縁部13と、を有しており、全体として矩形状に形成されている。そして、両シート材の両側縁部11及び第1縁部12がヒートシールによって互いに融着されることで、袋体1が形成されている。袋体1の第1縁部12は、製品となったときの取出部を構成している。そのため、両側縁部11において、第1縁部12に近接する位置には、切り欠き18が形成されており、これら切り欠き18を結ぶ切り取り線14を切り取ることで、内容物を取り出すための開口が形成される。
【0022】
また、この開口の内縁、つまり切り取り線14よりも内側には、ジッパー15が取り付けられている。ジッパー15は、一方のシート材の内面において第1縁部12に沿うように延びる凸条と、他方のシート材の内面において第1縁部12に沿うように延びる凹条とで構成されている。これら凸条及び凹条は弾性変形可能な樹脂材料で形成されており、凸条と凹条とが着脱自在に嵌まるように構成されている。これにより、第1縁部12が切り取られた後にも、凸条と凹条とを着脱することで、開口を開閉することができるようになっている。
【0023】
一方、第2縁部13は、融着されていないため、開口が形成されている。この開口からは、内容物が投入されるようになっており、内容物が投入された後に、第2縁部13がヒートシールによって閉じられるようになっている。こうして、袋体1は、内容物が収容された製品となる。
【0024】
以上のように形成された袋体1の表面は、ジッパー15が配置されている部分が隆起しているため、複数の袋体1を揃えて積層すると、ジッパー15が重なり合うため、袋体1の積層がくずれ、安定的に積層できないという問題がある。そこで、本実施形態に係る集積装置では、後述するように、ジッパー15がずれるように複数の袋体1を積層するようになっている。
【0025】
<2.集積装置>
次に、集積装置について説明する。
図2は集積装置の平面図、
図3は
図2の側面図である。本実施形態に係る集積装置は、複数の袋体を搬送する第1搬送ユニット2と、第1搬送ユニット2の袋体1を移載する移載ユニット4と、移載ユニット4により移載された複数の袋体1が積み重ねられた後、これら袋体1を搬送する第2搬送ユニット3を備えている。以下、各ユニットについて詳細に説明する。
【0026】
<2-1.第1搬送ユニット>
第1搬送ユニット2は、複数の袋体1を、間隔をおいて順に搬送する公知のコンベア21を有している。コンベア21上では、各袋体1はジッパー15が搬送方向と平行に延びるように配置され、且つ、ジッパー15が配置された第1縁部12が搬送方向の右側を向くように配置されている。
【0027】
<2-2.移載ユニット>
第1搬送ユニット2には、2列のコンベア31,32を有する第2搬送ユニット3が隣接している。移載ユニット4は、第1搬送ユニット2から、2個の袋体1を吸着し、これらを第2搬送ユニット3の各コンベア31,32に移載するためのものである。具体的には、
図3に示すように、移載ユニット4は、2個の袋体1が吸着される支持部41と、この支持部41の移動及び回転を行うパラレルリンクロボット42と、カメラ43と、制御部(図示省略)と、を備えている。支持部41は、矩形状の支持本体411と、この支持本体411の下面に設けられた4個の吸着部412,413と、を備えており、支持本体411の上面がパラレルリンクロボット42に連結されている。制御部は、PLC(Programmable Logic Controller)など、公知のコンピュータで構成することができ、主として、吸着部412,413のON/OFFと、支持本体411を移動させるためのパラレルリンクロボット42の制御を行う。
【0028】
図4は支持本体の底面図である。
図4に示すように、支持本体411の下面の長辺方向の一端部(
図4の左側)には、短辺方向に並ぶ2個の吸着部412が設けられており、これら2個の吸着部412によって、1個の袋体1が支持される。一方、支持本体411の下面の長辺方向の他端部(
図4の右側)にも、短辺方向に並ぶ2個の吸着部413が設けられており、これら2個の吸着部413によって、1個の袋体1が支持される。以下では、支持本体411の一端部側で1個の袋体1を吸着する2個の吸着部をまとめて第1吸着部412と称し、支持本体411の他端部側でもう1個の袋体1を吸着する2個の吸着部をまとめて第2吸着部413と称することとする。また、第1吸着部412及び第2吸着部413には、エアシリンダ等の昇降ユニット(図示省略)が設けられており、支持本体411に対し、別個に昇降可能となっている。
【0029】
初期状態では、支持本体411は、長辺が、第1搬送ユニット2の搬送方向と平行に延びるように配置され、第1吸着部412で下流側の袋体(以下、第1袋体1Aと称する)を吸着し、第2吸着部413で上流側の袋体(以下、第2袋体1Bと称する)を吸着する。
【0030】
各吸着部412,413では、図示を省略するコンプレッサによってエアが吸引され、これによって袋体1が吸着される。
【0031】
パラレルリンクロボット42は、第1及び第2搬送ユニット2,3の上方にあるブラケット(図示省略)により支持されており、下方に延びる複数のリンクが支持本体411に連結されている。このパラレルリンクロボット42は、例えば、4軸以上の公知のものを利用することができ、これによって、支持部41を三次元的に移動させるほか、支持部41の回転も行うことができる。
【0032】
また、第1搬送ユニット2の上方には、上述したカメラ43が配置されており、このカメラ43によってコンベア21上を搬送される袋体1が撮影される。カメラ43は、袋体1を吸着する位置の付近、またはその上流側で、袋体1の撮影を行い、撮影画像から袋体1の傾きを取得する。さらに、第1搬送ユニット2には、エンコーダ(位置検出手段)が設けられており、このエンコーダによって搬送方向における袋体1の位置を検出する。そして、移載ユニット4の制御部は、上記のように取得した袋体1の傾き及び搬送方向の位置にしたがって、袋体1を吸着する際の支持本体411の位置や向きをパラレルリンクロボット42によって制御する。例えば、
図5に示すように、2個の袋体1が設計上の位置と一致する場合には、支持本体411はそのまま(長辺が搬送方向と平行な向き)移動し、2個の袋体1を同時に吸着する。
【0033】
一方、例えば、
図6に示すように、袋体1が傾いている場合には、撮影画像からこれを検出し、次のように、袋体1の吸着位置を制御する。まず、下流側の第1袋体1Aに合わせて支持本体を反時計回りに回転させて(
図6の動作(1))、昇降ユニットにより支持本体411から第1吸着部412が下降し、第1袋体1Aを吸着する。このとき、昇降ユニットにより第2吸着部413は上昇位置にあり、第2袋体1Bの上方に待機している。これに続いて、第1袋体1Aを吸着したままで、第1吸着部412をやや上昇させ、上流側の第2袋体1Bに合わせて支持本体411を時計回りに回転させた後(
図6の動作(2))、昇降ユニットにより、第2吸着部413を下降させて第2袋体1Bを吸着する。このとき、第1吸着部412は、昇降ユニットにより上昇位置にあり、上方に待機している。こうして、2個の袋体1A,1Bが吸着される。その後、パラレルリンクロボット42は、
図7に示すように、支持本体411を時計回りに90°回転させながら、2個の袋体1A,1Bを第2搬送ユニット3の第1コンベア31及び第2コンベア32上に移載する。
【0034】
上記のような制御を行うため、制御部は、撮影画像から取得した袋体1の傾きと、エンコーダから取得した袋体1の搬送方向の位置情報に基づいて、搬送される現在の袋体1の吸引位置を算出する。そして、この吸引位置に向かって、角度を変更しつつ支持本体411を移動させる。但し、袋体1の傾き、搬送方向の位置の算出については、この方法に限定されず、他のセンサ、PLC内のタイマー、第1搬送ユニット2の駆動からの情報などに基づき算出してもよく、特に限定されない。
【0035】
<2-3.第2搬送ユニット>
上述したように、第2搬送ユニット3は、2つのコンベア、つまり第1コンベア31と第2コンベア32とを有している。
図2に示すように、第1コンベア31は、第1搬送ユニット2に近い側に配置され、第2コンベア32は遠い側に配置されているが、いずれも第1搬送ユニット2のコンベア21と平行に延びており、搬送方向も同じである。なお、第1及び第2コンベア31,32は、同一構成であるため、以下では、第1コンベアについてのみ説明する。
【0036】
第1コンベア31は、公知のコンベアであり、断続的に移動するように構成されている。すなわち、移載ユニット4によって第1コンベア31上に袋体1が積み重ねられているときには、第1コンベア31は停止しており、所定の数の袋体1が積み重ねられると、第1コンベア31が移動し、積み重ねられた袋体1が下流側へ搬送される。
【0037】
<3.集積装置の動作>
次に、上記のように構成された集積装置の動作について説明する。上記のように、第1搬送ユニット2上にある袋体1は、移載ユニット4によって2個ずつ吸引され、第2搬送ユニット3に積み重ねられる。このとき、各袋体1は、90°回転した上で、第1及び第2コンベア31,32上にそれぞれ配置される。すなわち、各袋体1のジッパー15が上流側を向き、且つジッパー15の延びる方向が幅方向を向くように配置される。これを繰り返すことで、各コンベア31,32上に袋体1が積層されていくが、このとき、
図8に示すように、複数の袋体1は、搬送方向に下流側に順次ずれるように積み重ねられていく。すなわち、積み重ねられている上下の袋体1は、幅方向の位置は揃っているが、上側の袋体1のジッパー15が、下側の袋体1のジッパー15と重ならない位置に配置されていく。
【0038】
このような積層を行うために、移載ユニット4の支持本体411は、袋体1を各コンベア31,32上に配置すると、第1吸着部412をOFFにして袋体1を第1吸着部412から離脱させる。これに続いて、支持本体411は、第1搬送ユニット2に戻って、2個の袋体1を吸着した後、第2搬送ユニット3上に移動して、袋体1を積み重ねる。このとき、既に積み重ねられた袋体1よりもやや下流側に支持本体411を移動させた後、袋体1を下側の袋体1上に配置し、吸着部412をOFFにする。以上の動作を繰り返すことにより、複数の袋体1が下流側にズレながら積み重ねられる。なお、袋体1を各コンベア31,32上に配置する位置(袋体1の下降位置)を固定し、積み重ねられる積層体10を、コンベア31,32を駆動してジッパー15が重ならないように下流側に移動させることを繰り返すことにより、複数の袋体1を下流側にズラしながら積み重ねることもできるが、袋体1の表面は、ジッパー15が配置されている部分が隆起しているため、ジッパー15が重ならないように積層すると、搬送時の加減速により積層体10が崩れやすく、速度を上げると安定的に積層できない問題がある。
【0039】
そして、所定の数の袋体1が積層されると、各コンベア31,32が移動するようになっている。以下では、積み重ねられた所定の数の袋体1を積層体10と称することとする。すなわち、各コンベア31,32は、積層体10が形成される度に、下流側へ移動する。そして、
図9に示すように、この積層体10よりも上流側に、次の積層体10を配置する積層スペースSが形成される位置まで移動すると、各コンベア31,32を停止する。したがって、各コンベア31,32は、積層体10が形成されるまで停止した後、所定距離だけ移動するといった、断続的な駆動が行われる。
【0040】
<4.特徴>
(1)この集積装置では、第1搬送ユニット2によって搬送されたジッパー付きの袋体1を、移載ユニット4によって吸着し、第2搬送ユニット3上に順に積み重ねるように構成されている。このとき、移載ユニット4は、上下方向に隣接する袋体1のジッパー15が重ならないように、ジッパー15の延びる方向と直交する方向、つまり搬送方向に、隣接する袋体1をずらしながら、積み重ねて積層体10を形成するように構成されている。これによって、複数の袋体1が、ジッパー15が重ならないように積み重ねられるため、積み重ねられた袋体1が崩れるのを防止することができる。したがって、ジッパー付きの袋体1を安定的に自動で積み重ねることができるため、生産性を向上することができる。
【0041】
(2)第1搬送ユニット2上を袋体1が設計上の位置からずれて搬送されたとき、カメラ43によって撮影された撮影画像から袋体1の傾きを取得するとともに、エンコーダによって袋体1の搬送方向の位置を取得し、これらの現在位置情報に基づいて、吸着部412,413による袋体1の吸着位置を制御している。そのため、例えば、第1搬送ユニット2上で袋体1の位置ずれが生じていたとしても、現在位置情報に基づき、第2搬送ユニット3においては適切な向きで袋体を積層されることができる。したがって、隣接する袋体1のジッパー15が重なることなく、安定的な積層体10を形成することができる。なお、現在位置情報の取得方法、取得するためのデバイスは特には限定されない。
【0042】
<B.第2実施形態>
次に、本発明に係る集積装置の第2実施形態について、図面を参照しつつ説明する。第2実施形態に係る集積装置が第1実施形態と相違する点は、第2搬送ユニットの構成であり、それ以外は同一の構成には同一の符号を付して、説明を省略する。
【0043】
<1.第2搬送ユニットの構成>
上記のように、第2搬送ユニット3の各コンベア31,32では、袋体1の積層と搬送とが繰り返されている。すなわち、所定の数の袋体1が積層されて積層体10が形成されると、これを搬送する。したがって、上述した袋体1が積層されるべき積層スペースSから積層体10が完全に搬送される前には、次の積層体10を形成することはできない。しかし、第1搬送ユニット2から連続的に袋体1が搬送されると、各コンベア31,32上が積層体10を移動させている間にも、第1搬送ユニット2からは袋体1が連続的に移載されるため、第1搬送ユニット2の搬送速度を低速化するか、第2搬送ユニット3の各コンベア31,32上の積層体を高速に移動させるなどの対策を講じなければ、積層体10を連続的に形成することはできない。しかし、第1搬送ユニット2の搬送速度を低速化すると、更に上流側の製袋機側も低速化する必要があり、現実的でない。また袋体1の表面はジッパー15が配置されている部分が隆起しているため、積層体10を高速に移動させると積層体が崩れやすく、高速化に対応することは難しい。
【0044】
これに対し、第2実施形態では、第2搬送ユニット3の各コンベア31,32に、中間載置部5を設けることで、第1搬送ユニット2の搬送速度を低下することなく、積層体10を形成するようにしている。以下、中間載置部について詳細に説明する。なお、第1コンベア31と第2コンベア32とでは、概ね同一構成の中間載置部5が設けられるため、以下では、第1コンベア31に設けられる中間載置部5について説明する。
【0045】
図10は第1コンベア31に設けられた中間載置部の平面図、
図11は
図10の断面図である。
図10及び
図11に示すように、中間載置部5は、第1コンベア31の幅方向の両側に、それぞれ配置される第1側板51及び第2側板52を備えている。第1側板51は、第1搬送ユニット2に近い側の側板であり、第2側板52は第1搬送ユニット2から遠い側の側板である。つまり、第2側板52は第2コンベア32と隣接している。以下では、両側板51,52の間の空間を搬送空間と称することとする。
【0046】
いずれの側板51,52も上下方向に延びるように起立しているが、第1側板51には、第1コンベア31の上方において、搬送方向に並ぶ複数の貫通孔が形成されている。そして、これ貫通孔には棒状の支持部材53が挿通されており、搬送空間に向けて水平方向に進退可能となっている。すなわち、支持部材53は、
図11Aに示すように、搬送空間を幅方向に横断するように突出する第1位置と、
図11Bに示すように、搬送空間から待避し、第1搬送ユニット2側に位置する第2位置との間を移動可能となっている。各支持部材53において、第1側板51の外側の端部は、搬送方向に延びる連結部材54によって連結されており、この連結部材54に取り付けられたシリンダ等の駆動部(図示省略)によって、支持部材53が進退するようになっている。
【0047】
複数の支持部材53が第1位置にあるときには、これらの支持部材53は、搬送空間を幅方向に横断し、且つ搬送方向に沿って平行に配置されるため、これによって、袋体1を支持する。すなわち、支持部材53が第1位置にあるときには、移載ユニット4により移載される袋体1が、これら支持部材53上に配置される。一方、支持部材53が第2位置にあるときには、移載ユニット4により搬送される袋体1が、第1コンベア31上に配置される。
【0048】
また、第1位置にある支持部材53上に袋体1が積み重ねられているとき、支持部材53が第2位置に待避すると、積み重ねられていた袋体1が落下し、第1コンベア31上に配置されるようになっている。
【0049】
以上のような中間載置部5が第2コンベア32にも設けられている。但し、第2コンベア32に設けられる中間載置部5では、第2側板52に貫通孔が形成され、第2側板52から支持部材53が進退するようになっている。その他の構成は、第1コンベア31の中間載置部5と同じである。
【0050】
<2.集積装置の動作>
次に、第1コンベア31における中間載置部5を用いた袋体1の積層について説明する。第1搬送ユニット2から袋体1が移載される際、所定の数の袋体1が積み重ねられた後の積層体10が積層位置から下流側に移動し、第1コンベア31が停止している場合には、第1実施形態と同様に、袋体1の積層を行う。一方、所定の数の袋体1が積み重ねられた後の積層体10が下流側に移動中には、袋体1の積層を行うことができないため、
図12に示すように、移載ユニット4は、一旦、中間載置部5の支持部材53上に袋体1を積層する。つまり、支持部材53を第1位置に移動させておき、袋体1を第1コンベア31に積層する場合と同様に、下流側にずらしながら積層する。
【0051】
そして、第1コンベア31において、積層体10が下流側に搬送され、完全に停止したとき、つまり、支持部材53の下方に積層スペースSが形成されたときには、支持部材53を第2位置に待避させ、
図13及び
図14に示すように、第1コンベア31上に袋体1を落下させる。落下した袋体1の数が、積層体10を構成する数に至ってない場合には、移載ユニット4によって、引き続き、第1コンベア31上で袋体1を積み重ねる。そして、積層された袋体1が所定の数になり、積層体10が形成されると、第1コンベア31を移動し、積層体10を下流側に搬送する。一方、落下した複数の袋体1の数が所定の数に達しており、積層体10が形成されている場合には、落下後に、第1コンベア31によって、この積層体10を搬送する。以上のような動作が、第2コンベア32においても行われる。
【0052】
<3.特徴>
以上のように、本実施形態によれば、各コンベア31,32によって積層体10が移動中であるときには、中間載置部5の支持部材53上に袋体1を積層し、各コンベア31上の積層体10の移動が完了すると、支持部材53上の袋体1を各コンベア31,32上に落下して積層を続けるようにしている。これにより、積層体10が移動中に、第1搬送ユニット2から連続的に袋体1が移載されても、袋体1の積層作業を停止することなく、連続的に袋体1の移載を行うことができる。よって、積層体10の形成と搬送の効率を向上することができる。なお、中間載置部5において、積層された袋体1をコンベア31,32に落下させる構成は特には限定されず、上記以外の態様も可能である。
【0053】
<C.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0054】
<1>
上記実施形態では、第2搬送ユニット3上に、ジッパー15が上流側を向くように、袋体1を積み重ねているが、ジッパー15が下流側を向くように積み重ねてもよい。また、複数の積層体10を積み重ね、その後、搬送を行うこともできる。例えば、
図15Aに示すように、複数の積層体10をジッパー15が同じ方向(上流側または下流側)を向くように積み重ねることもできるし、
図15Bに示すように、複数の積層体10をジッパー15が異なる方向を向くように積み重ねることもできる。さらには、複数の積層体10は、ジッパー15の向き、積層体10の重ね合わせの方向(ズレの向き)などは後工程、前工程に合わせて適宜決定すればよく、上述した実施形態に限定されない。
【0055】
<2>
上記実施形態では、第2搬送ユニット3に2つのコンベア31,32を設け、移載ユニット4が、第1搬送ユニット2から袋体1を2個ずつ移載するようにしているが、その数は特には限定されない。すなわち、第1搬送ユニット2から1度に移載する袋体の数は特には限定されず、1個、または3個以上でもよく、これに合わせて第2搬送ユニット3のコンベアの数を調整すればよい。また、第1搬送ユニット2のコンベアの数を2以上にしてもよい。
【0056】
<3>
上記実施形態では、移載ユニット4がパラレルリンクロボット42を利用して袋体1を搬送しているが、袋体1を移載するための機構は特には限定されず、他の機構でもよい。また、上記実施形態では、第1搬送ユニット2から第2搬送ユニット3へ袋体1を移載する際には、袋体1を90°回転させているが、これに限定されない。例えば、袋体1を回転させることなく、移載してもよいし、90°以外の角度で回転させて移載してもよい。
【0057】
<4>
袋体1は、扁平状に形成され、一端部にジッパー15が設けられていればよく、形状等の形態は、特には限定されない。
【符号の説明】
【0058】
1 袋体
2 第1搬送ユニット(第1搬送手段)
3 第2搬送ユニット(第2搬送手段)
31 第1コンベア(搬送部)
32 第2コンベア(搬送部)
4 移載ユニット(移載手段)
5 中間載置部
53 支持部材(支持部)