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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】接続器具及び水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/10 20060101AFI20230308BHJP
   C02F 1/28 20230101ALI20230308BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20230308BHJP
   C02F 1/42 20230101ALI20230308BHJP
【FI】
E03C1/10
C02F1/28 R
C02F1/44 B
C02F1/42 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019147996
(22)【出願日】2019-08-09
(65)【公開番号】P2021028448
(43)【公開日】2021-02-25
【審査請求日】2022-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】504346204
【氏名又は名称】三菱ケミカル・クリンスイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】河合 由修
(72)【発明者】
【氏名】中川 芳一
(72)【発明者】
【氏名】亘 謙治
(72)【発明者】
【氏名】照井 秀幸
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-227135(JP,A)
【文献】特開2019-82084(JP,A)
【文献】特開平10-195946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00-1/10
C02F 1/28
C02F 1/44
C02F 1/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに外径が異なる少なくとも2種類の水処理カートリッジのそれぞれを、吐水器具に接続可能な接続部を備える接続器具であって、
前記接続部は、
第1の外径を有する第1水処理カートリッジと嵌合する、第1の内径の第1筒状構造を有する第1接続部と、
前記第1の外径より小さい第2の外径を有する第2水処理カートリッジと嵌合する、第2の内径の第2筒状構造を有する第2接続部と、を備え、
前記第1接続部と前記第2接続部とが、
前記第1筒状構造の開口面の法線方向から平面視したとき、前記第1筒状構造の開口面の内側に前記第2筒状構造の開口面が収まるように配置されており、かつ、
接続する対象の水処理カートリッジを嵌め入れる側から見て、前記第2接続部は前記第1接続部よりも奥側に配置されている、接続器具。
【請求項2】
前記接続部は、前記第2の外径より小さい第3の外径を有する第3水処理カートリッジと嵌合する第3接続部を備える、請求項1に記載の接続器具。
【請求項3】
前記第3接続部が前記第3水処理カートリッジと嵌合する箇所が、第1筒状構造の開口面の法線方向から平面視したとき、第2筒状構造の開口面の内側に収まるように配置されている、請求項2に記載の接続器具。
【請求項4】
前記第3接続部の前記第3水処理カートリッジとの装着構造がネジ式又はバヨネット式である、請求項2又は3に記載の接続器具。
【請求項5】
前記少なくとも2種類の水処理カートリッジのうちのいずれかの水処理カートリッジの側壁と当接する当接部をさらに備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の接続器具。
【請求項6】
前記第1接続部及び前記第2接続部のうち少なくとも一方はパッキンを備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の接続器具。
【請求項7】
前記接続部は、内部に前記少なくとも2種類の水処理カートリッジのうちいずれかの水処理カートリッジを格納する水栓装置が備える前記吐水器具に、前記少なくとも2種類の水処理カートリッジのうちのいずれかの水処理カートリッジのそれぞれを接続する、請求項1~6のいずれか1項に記載の接続器具。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の接続器具を備える、水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続器具及び水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吐水ヘッドに設けた筒状の容器部の内側に、筒状の浄水カートリッジが収容された浄水装置付き水栓が記載されている。
【0003】
特許文献2には、シャワーヘッド内に化粧剤カートリッジが収容されたシャワーヘッドが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-2027号公報
【文献】特開2015-105251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のような従来技術では、カートリッジの形状が決まっており、1種類の形状にしか嵌合しない。
【0006】
一方、スパウトイン型(水栓内蔵型)の浄水カートリッジについては、スパウトが備える筒状のケース内に設けた、水処理カートリッジを格納するためのスペースに限界がある。そのため、当該スペースに格納するための水処理カートリッジの全長、外径、及び容積に限界がある。その上、中空糸膜、活性炭等の吸着材等のろ過材の長さや容積等にも制限がある。そのため、例えば中空糸膜と活性炭とを備えるろ過材の場合、中空糸膜及び活性炭のうちいずれかが先行して目詰まりを起こす等、水処理カートリッジ自体の寿命が不安定であり、その点における改良の必要性がある。
【0007】
そこで、水質や目的とする除去物質に合わせて、中空糸膜と吸着材とのバランスを変更した複数種類の水処理カートリッジを用意すると効果的である。その際、採用するろ過材の容積や種類により、最適となる水処理カートリッジの容量が異なるため、水処理カートリッジの外径が異なる場合もある。
【0008】
また、使用者が水処理カートリッジの種類を誤って使用しないように、敢えて、水処理カートリッジの形状を変えることにより区別を付けることも可能である。そうした際に、形状の異なる水処理カートリッジを取り付け可能な接続器具が求められている。
【0009】
本発明の一態様は、外径の異なる少なくとも2種類の水処理カートリッジを取り付け可能な接続器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る接続器具は、互いに外径が異なる少なくとも2種類の水処理カートリッジのそれぞれを、吐水器具に接続可能な接続部を備える接続器具であって、前記接続部は、第1の外径を有する第1水処理カートリッジと嵌合する、第1の内径の第1筒状構造を有する第1接続部と、前記第1の外径より小さい第2の外径を有する第2水処理カートリッジと嵌合する、第2の内径の第2筒状構造を有する第2接続部と、を備え、前記第1接続部と前記第2接続部とが、前記第1筒状構造の開口面の法線方向から平面視したとき、前記第1筒状構造の開口面の内側に前記第2筒状構造の開口面が収まるように配置されており、かつ、接続する対象の水処理カートリッジを嵌め入れる側から見て、前記第2接続部は前記第1接続部よりも奥側に配置されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、少なくとも2種類の水処理カートリッジを取り付け可能な接続器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る水栓装置の構成を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態に係る接続器具の構成を示す模式図である。
図3】本発明の実施形態に係る接続器具を、図2におけるA方向から平面視した図である。
図4】本発明の実施形態に係る接続器具、及び当該接続器具の第1接続部に嵌合した第1水処理カートリッジの構成を示す模式図である。
図5】本発明の実施形態に係る接続器具、及び当該接続器具の第2接続部に嵌合した第2水処理カートリッジの構成を示す模式図である。
図6】本発明の実施形態に係る接続器具の第1接続部に嵌合する第1水処理カートリッジ、及び本発明の実施形態に係る接続器具の第3接続部に嵌合する第3水処理カートリッジの構成を示す模式図である。
図7】本発明の実施形態に係る接続器具、及び当該接続器具の第3接続部に嵌合した第3水処理カートリッジの構成を示す模式図である。
図8】本発明の実施形態の変形例に係る接続器具の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔水栓装置〕
本発明の実施形態1に係る水栓装置について、図1~7を参照して以下に説明する。図1は、水栓装置1の構成を示す模式図である。図2は、接続器具10の構成を示す模式図である。図3は、接続器具10を、図2におけるA方向から平面視した図である。図4は、接続器具10、及び接続器具10の第1接続部111に嵌合した第1水処理カートリッジ21の構成を示す模式図である。図5は、接続器具10、及び接続器具10の第2接続部112に嵌合した第2水処理カートリッジ22の構成を示す模式図である。図6は、接続器具10の第1接続部111に嵌合する第1水処理カートリッジ21、及び接続器具10の第3接続部113に嵌合する第3水処理カートリッジ23の構成を示す模式図である。図7は、接続器具10、及び接続器具10の第3接続部113に嵌合した第3水処理カートリッジ23の構成を示す模式図である。
【0014】
図1に示すように、水栓装置1は、接続器具10、スパウト20、ホース60、ベース部70、及びレバー80を備えている。また、水栓装置1は、第1水処理カートリッジ21、第2水処理カートリッジ22及び第3水処理カートリッジ23を択一的に取り付け可能である。以下、第1水処理カートリッジ21、第2水処理カートリッジ22、第3水処理カートリッジ23等の、水栓装置1に取り付ける水処理カートリッジを総称して単に「水処理カートリッジ」ということもある。また、水栓装置1は、ケース40の内部に水処理カートリッジを格納するスパウトイン型の水栓装置である。
【0015】
水処理カートリッジは、原水を処理して処理水を生成するためのカートリッジである。例えば、ケースに処理材が格納されて形成されたカートリッジが挙げられる。処理材としては、例えば、原水中の不純物をろ過するろ過材が挙げられる。
【0016】
第1水処理カートリッジ21は、筐体210を備えている。筐体210には原水入口211及び処理水出口213が設けられている。また、筐体210内にはろ過材212が格納されている。原水入口211は、第1水処理カートリッジ21内に原水を供給するための開口部である。ろ過材212は、原水をろ過して処理水を生成する。ろ過材212としては、例えば、活性炭、中空糸膜、イオン交換樹脂等が挙げられる。処理水出口213は、第1水処理カートリッジ21から処理水を吐出する場所である。第2水処理カートリッジ22は、第1の外径より小さい第2の外径を有する以外は第1水処理カートリッジ21と同様の構成である。第3水処理カートリッジ23は、第2の外径より小さい第3の外径を有し、図6、7に示すように突出部234を備えており、突出部234の端部に処理水出口233を備えている以外は第1水処理カートリッジ21と同様の構成である。
【0017】
図1~3における矢印Aは、水の流路を示している。原水を水処理カートリッジを用いて処理した浄水を吐水器具30から吐水する場合、原水入口211から供給された原水は、ろ過材212を通過する。ろ過材212を通過した処理水は、処理水出口213から流出し、接続器具10内を通って吐水器具30に到り、吐水器具30から吐出する。第1水処理カートリッジ21の代わりに、第2水処理カートリッジ22又は第3水処理カートリッジ23を接続器具10に嵌め入れた場合も同様である。
【0018】
水処理カートリッジの形状は、ケース40内に格納することができるように、柱状であることが好ましく、円柱状であることがより好ましい。なお、本実施形態において、水栓装置1に取り付ける水処理カートリッジの形状は円柱状である場合について説明するが、本発明の接続器具に取り付け可能な水処理カートリッジの形状は円柱状に限定されない。水処理カートリッジの形状に応じて、本発明の接続器具の形状も変更可能である。
【0019】
第1水処理カートリッジ21は第1の外径を有する。第2水処理カートリッジ22は、第1の外径より小さい第2の外径を有する。第3水処理カートリッジ23は、第2の外径より小さい第3の外径を有する。例えば、第1の外径は、29mm以上、32mm以下であり、本実施形態では30mmである場合について説明する。第2の外径は、例えば、26mm以上、28mm以下であり、本指示形態では27mmである場合について説明する。第3の外径としては、例えば、24mm以上、26mm以下であり、本実施形態では25mmである場合について説明する。ここで、水処理カードリッジの外径とは、長さ方向に垂直な断面の直径(円形でない場合は最大径)をいう。具体的には、水処理カートリッジの外径は、図6に示すBの長さである。
【0020】
第1接続部111に固定して処理水の漏れを防止する観点から、第1水処理カートリッジ21は処理水出口213側の先端にOリングを備えていることが好ましい。第2水処理カートリッジ22は処理水出口223側の先端にOリングを備えていることが好ましい。第2接続部112に固定して処理水の漏れを防止する観点から、第2水処理カートリッジ22は処理水出口223側の先端にOリングを備えていることが好ましい。Oリングの材質としては、弾性を有する材料を適宜選択すればよく、例えば、ニトリルゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
【0021】
ホース60は、原水をスパウト20に供給するための管である。ホース60は、ベース部70又はケース40内に出し入れ可能に設けられる。
【0022】
ベース部70は、水栓装置1をカウンター等に固定するための土台である。ベース部70は、ホース60を出し入れ可能に収容する。スパウト20はベース部70に取り付け可能である。スパウト20をベース部70に取り付ける場合、ホース60はケース40及び/又はベース部70内に格納される。
【0023】
レバー80は、処理水又は原水をスパウト20から出水又は止水するための傾動可能なレバーである。レバー80は、開位置(例えば傾動範囲の上側に位置)にあるときに、ホース60を介してスパウト20へ処理水又は原水が供給されるようにする。レバー80は、閉位置(例えば傾動範囲の下側の位置)にあるときに、スパウト20への処理水又は原水の供給を停止させる。なお、水栓装置1はレバー80を必ずしも備えていなくてもよく、使用者が処理水又は原水をスパウト20から出水又は止水することができればよい。例えば、水栓装置1は、スパウト20から吐水された水を受ける位置の物体の有無を検知するセンサーを備え、当該センサーが物体の存在を検知した場合、スパウト20から出水するように制御してもよい。また、水栓装置1は、使用者の音声に基づいて処理水又は原水をスパウト20から出水又は止水するように制御してもよい。
【0024】
スパウト20は、水処理カートリッジを格納し、また、当該水処理カートリッジによって処理された処理水又は原水を吐水するための器具である。図1に示すように、スパウト20は、吐水器具30及びケース40を備えている。
【0025】
吐水器具30は、原水又は水処理カートリッジによって処理された処理水を吐水する器具である。吐水器具30は、ケース40の先端に着脱自在に取り付けられる。吐水器具30は、処理水とは異なる経路から供給された原水を吐水してもよい。例えば、ケース40と水処理カートリッジの外壁との間を通過して吐水器具30に供給された原水を吐水してもよい。処理水と原水とを切り替えるための切替部を使用者が操作することによって、処理水と原水とを切り替える設定としてもよい。また、吐水器具30は水をシャワー状に吐出してもよい。つまり、水栓装置1は、吐水する水を、シャワー状ではない処理水、シャワー状の処理水、シャワー状ではない原水及びシャワー状の原水の中から選択できるような切替部を備えていてもよい。
【0026】
ケース40は、水処理カートリッジの収容空間を内部に有し、先端に吐水器具30が着脱自在に取り付けられる。また、ケース40は、ベース部70から着脱可能に取り付けられる。ケース40が当該ベース部70から取り外された場合も、ベース部70又はケース40内に出し入れ可能に設けられたホース60で連結している。よって、ケース40がベース部70から取り外されても、原水はホースを通過して、切替部の状態によっては水処理カートリッジによって処理されて、吐水器具30より吐水され得る。このようにケース40及び吐水器具30とで、スパウト式の吐水ヘッドを構成している。
【0027】
接続器具10は、水処理カートリッジで処理された水を吐水器具30に供給するための接続器具(アダプター)である。接続器具10の材質としては、例えば、POM(ポリアセタール)樹脂、ABS(アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン)樹脂、PP(ポリプロピレン)樹脂、PPS(ポリフェニレンスルファイド)樹脂等が挙げられる。
【0028】
〔接続器具〕
図2に示すように、接続器具10は、接続部11、吐水器具接続部12、リブ13(当接部)、第1ストッパー部14及び第2ストッパー部15を備えている。
【0029】
接続部11は、互いに外径が異なる少なくとも2種類の水処理カートリッジのそれぞれを、吐水器具30に接続する。本実施形態では、接続部11は、水栓装置1の内部において、吐水器具30に、互いに外径が異なる、第1水処理カートリッジ21、第2水処理カートリッジ22、第3水処理カートリッジ23のそれぞれをいずれか一つ接続する。
【0030】
接続部11は、第1接続部111、第2接続部112及び第3接続部113を備えている。第1接続部111は、第1水処理カートリッジ21と嵌合する、第1の内径の第1筒状構造を有する。具体的には、図4に示すように、第1接続部111の第1筒状構造の内側に、第1水処理カートリッジ21の処理水出口213側の先端が入り込むことによって、嵌合する。第2接続部112は、第2水処理カートリッジ22と嵌合する、第2の内径の第2筒状構造を有する。具体的には、図5に示すように、第2接続部112の第2筒状構造の内側に、第2水処理カートリッジ22の処理水出口223側の先端が入り込むことによって嵌合する。第3接続部113は、第3水処理カートリッジ23と嵌合する構造を有する。具体的には、図7に示すように、第3接続部113は、第3水処理カートリッジ23との装着構造がネジ式又はバヨネット式となっている。これにより、第3接続部113は、第3水処理カートリッジ23を吐水器具30に接続することができる。
【0031】
接続部11が第1接続部111、第2接続部112及び第3接続部113を備えていることにより、第1水処理カートリッジ21、第2水処理カートリッジ22及び第3水処理カートリッジ23のそれぞれを、吐水器具30に接続することができる。そのため、水質や目的とする除去物質に合わせて複数種類の水処理カートリッジを用いる水栓装置の場合において、種類に応じて外径を変えることによって形状に区別を付けて、それぞれの形状の水処理カートリッジを取り付けることが可能となる。また、1種類の水処理カートリッジのみと嵌合する従来の接続器具の場合、当該水処理カートリッジの外径とは異なる外径を有する水処理カートリッジを誤って購入したときには嵌合することができずに無駄になってしまうという問題がある。これに対して、接続器具10を用いることにより、第1水処理カートリッジ21及び第2水処理カートリッジ22のいずれの水処理カートリッジを購入したとしても、無駄にせずに使用することができる。また、将来的に、例えば第1水処理カートリッジ21が流通しなくなり、第2水処理カートリッジ22が主流となった場合であっても、接続器具、又は接続器具を備えた水栓装置ごと取り替える必要がなく使用し続けることができる。
【0032】
図3に示すように、第1接続部111と、第2接続部112とは、第1筒状構造の開口面1111の法線方向(図1~3における、水の流れる矢印Aで示す方向とも一致するので、当該法線方向を本明細書中において「A方向」とも称する)から平面視したとき、第1筒状構造の開口面1111の内側に第2筒状構造の開口面1121が収まるように配置されている。このような配置であることにより、第1水処理カートリッジ21だけでなく第2水処理カートリッジを接続器具10に取り付けることができる。つまり、外径の異なる2種類の水処理カートリッジを取り付けることができる。
【0033】
なお、本実施形態は、開口面1111及び開口面1121を平面視したとき、同心円となるが、本発明はこのような形態に限定されない。例えば、第1筒状構造の開口面及び第2筒状構造の開口面が共に円や楕円等の環状である場合でも、第1筒状構造の開口面の内側に第2筒状構造の開口面が収まっている限り、中心は異なっていてもよく、その外縁の一部が重なっていてもよい。また、第3接続部が第3水処理カートリッジと嵌合する箇所と第2筒状構造の開口面との位置関係についても同様である。
【0034】
また、図2に示すように、第1接続部111と、第2接続部112とは、接続する対象の水処理カートリッジを嵌め入れる側から見て、第2接続部112は第1接続部111よりも奥側に配置されている。このような配置であることにより、第2水処理カートリッジ22だけでなく、第1水処理カートリッジ21を接続器具10に取り付けることができる。つまり、外径の異なる2種類の水処理カートリッジを取り付けることができる。
【0035】
第1接続部111及び第2接続部112のうち少なくとも一方は、第1水処理カートリッジ21及び第2水処理カートリッジ22のうち少なくとも一方のOリングが不要になる観点から、パッキンを備えていてもよい。パッキンの材質としては、弾性を有する材料を適宜選択すればよく、例えば、ニトリルゴム、フッ素ゴム、エチレンプロピレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
【0036】
第1の内径及び第2の内径は、それぞれ第1の外径及び第2の外径、Oリング及びパッキンの有無、Oリングの外径及び材質、並びにパッキンの内径及び材質に応じて適宜設定すればよい。第1の内径及び第2の内径は、それぞれ第1の外径及び第2の外径に応じて定めればよい。
【0037】
図3に示すように、第3接続部113が前記第3水処理カートリッジ23と嵌合する箇所は、A方向から平面視したとき、第2筒状構造の開口面1121の内側に収まるように配置されている。また、接続する対象の水処理カートリッジを嵌め入れる側からみて、第3接続部113は第2接続部112よりも奥側に配置されている。
【0038】
第3接続部113の第3水処理カートリッジ23の突出部234との装着構造は、外径が細くても、抜け難く、かつ、がたつき難く固定できる観点から、ネジ式又はバヨネット式であることが好ましい。
【0039】
吐水器具接続部12は、吐水器具30と嵌合する。吐水器具接続部12において吐水器具30と嵌合した接続器具10の接続部11に、水処理カートリッジを嵌め入れることにより、水処理カートリッジを吐水器具30に接続することができる。
【0040】
リブ13は、第1水処理カートリッジ21及び第2水処理カートリッジ22の側壁と当接する。接続器具10がリブ13を備えていることにより、第1水処理カートリッジ21及び第2水処理カートリッジ22のがたつきを防止することができる。本発明の接続器具の一態様が備える当接部はリブ13のような形態に限定されない。つまり、当接部は、少なくとも2種類の水処理カートリッジのうちのいずれかの水処理カートリッジの側壁と当接するものであればよい。
【0041】
リブ13の形状は、第1水処理カートリッジ21を第1接続部111に嵌め入れたときに、ケース40の内壁に全てのリブが同時に接触しないように適宜設定すればよい。
【0042】
第1ストッパー部14は、第1水処理カートリッジ21の接続器具10に嵌め入れる側の端面が到達可能な最奥端である。第2ストッパー部15は、第2水処理カートリッジ22の接続器具10に嵌め入れる側の端面が到達可能な最奥端である。これらのストッパー部によって、第1水処理カートリッジ21、第2水処理カートリッジ22の最奥の位置を規定することができる。
【0043】
〔変形例〕
図8は、本発明の実施形態の変形例に係る接続器具50の構成を示す模式図である。本発明の変形例として、接続器具50は、図8に示すように、リブ13を備えていなくてもよい。
【0044】
また、上述した実施形態において、第3水処理カートリッジ23は突出部234を備える態様であったが、本発明はこれに限定されない。具体的には、第3水処理カートリッジの外径が第2水処理カートリッジ22よりも小さければよく、第3水処理カートリッジが突出部234を備えていない、第1水処理カートリッジ21及び第2水処理カートリッジ22と同様の形状であってもよい。この場合、第3接続部は第3水処理カートリッジの処理水出口側の先端と嵌合する第3筒状構造を有する。第2接続部と、第3接続部とはA方向から平面視したとき、第2筒状構造の開口面1121の内側に第3筒状構造の開口面が収まるように配置されており、かつ、接続する対象の水処理カートリッジを嵌め入れる側から見て、第3接続部は第2接続部112よりも奥側に配置されていればよい。
【0045】
また、第1水処理カートリッジ及び第2水処理カートリッジの少なくとも一方は、第3水処理カートリッジ23の突出部234よりもA方向に長い、第3接続部113と嵌合する突出部をさらに備えていてもよい。この場合、第1水処理カートリッジは第1接続部111及びリブ13に加えて、第3接続部113においても固定される。第2水処理カートリッジは第2接続部112及びリブ13に加えて、第3接続部113においても固定される。そのため、突出部を備える第1水処理カートリッジ又は第2水処理カートリッジをより強固に接続器具10に固定することができる。
【0046】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0047】
〔付記事項〕
以上のように本発明に係る接続器具の一態様では、前記接続部は、前記第2の外径より小さい第3の外径を有する第3水処理カートリッジと嵌合する第3接続部を備えることがより好ましい。
【0048】
また、本発明に係る接続器具の一態様では、前記第3接続部が前記第3水処理カートリッジと嵌合する箇所が、第1筒状構造の開口面の法線方向から平面視したとき、第2筒状構造の開口面の内側に収まるように配置されていることがより好ましい。
【0049】
また、本発明に係る接続器具の一態様では、前記第3接続部の前記第3水処理カートリッジとの装着構造がネジ式又はバヨネット式であることがより好ましい。
【0050】
また、本発明に係る接続器具の一態様では、前記少なくとも2種類の水処理カートリッジのうちのいずれかの水処理カートリッジの側壁と当接する当接部をさらに備えることがより好ましい。
【0051】
また、本発明に係る接続器具の一態様では、前記第1接続部及び前記第2接続部のうち少なくとも一方はパッキンを備えることがより好ましい。
【0052】
また、本発明に係る接続器具の一態様では、前記接続部は、内部に前記少なくとも2種類の水処理カートリッジのうちいずれかの水処理カートリッジを格納する水栓装置が備える前記吐水器具に、前記少なくとも2種類の水処理カートリッジのうちのいずれかの水処理カートリッジのそれぞれを接続することがより好ましい。
【0053】
また、本発明に係る水栓装置の一態様は、本発明に係る接続器具の一態様を備える。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は水栓装置等に利用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 水栓装置
10、50 接続器具
11 接続部
12 吐水器具接続部
13 リブ(当接部)
14 第1ストッパー部
15 第2ストッパー部
21 第1水処理カートリッジ(水処理カートリッジ)
22 第2水処理カートリッジ(水処理カートリッジ)
23 第3水処理カートリッジ(水処理カートリッジ)
30 吐水器具
40 ケース
60 ホース
70 ベース部
80 レバー
111 第1接続部
112 第2接続部
113 第3接続部
234 突出部
1111 第1筒状構造の開口面
1121 第2筒状構造の開口面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8