(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】設定装置、設定方法及び設定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230308BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2019188215
(22)【出願日】2019-10-11
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】319013263
【氏名又は名称】ヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】坪内 孝太
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 照彦
(72)【発明者】
【氏名】丸山 三喜也
(72)【発明者】
【氏名】山本 拓巳
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-228115(JP,A)
【文献】特開2010-217952(JP,A)
【文献】特開2019-078649(JP,A)
【文献】特開2017-157956(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の依頼者によって指定された位置において生じた事象の確認依頼を
利用者が乗った移動体の運転手に提供する提供部と、
前記
運転手又は前記利用者から、前記指定された位置に訪問し、当該位置で生じた事象の確認結果を示す結果情報を取得する取得部と、
前記結果情報を前記依頼者が確認した場合は、当該依頼者から前記
運転手又は前記利用者に対する所定の利益を設定する設定部と
を有することを特徴とする設定装置。
【請求項2】
前記設定部は、前記取得部が前記利用者から前記結果情報を取得した場合、前記取得部が前記運転手から前記結果情報を取得した場合と比べて、前記運転手の利益を減少させ、前記利用者の利益を増加させることを特徴とする請求項1に記載の設定装置。
【請求項3】
前記提供部は、前記確認依頼を利用者が乗ったタクシーの運転手に提供することを特徴とする請求項1に記載の設定装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記利用者の前記タクシーの乗車料金の少なくとも一部を代理で支払う処理を行うことにより、利益を設定することを特徴とする請求項3に記載の設定装置。
【請求項5】
設定装置が実行する設定方法であって、
所定の依頼者によって指定された位置において生じた事象の確認依頼を
利用者が乗った移動体の運転手に提供する提供工程と、
前記
運転手又は前記利用者から、前記指定された位置に訪問し、当該位置で生じた事象の確認結果を示す結果情報を取得する取得工程と、
前記結果情報を前記依頼者が確認した場合は、当該依頼者から前記
運転手又は前記利用者に対する所定の利益を設定する設定工程と
を含むことを特徴とする設定方法。
【請求項6】
所定の依頼者によって指定された位置において生じた事象の確認依頼を
利用者が乗った移動体の運転手に提供する提供手順と、
前記
運転手又は前記利用者から、前記指定された位置に訪問し、当該位置で生じた事象の確認結果を示す結果情報を取得する取得手順と、
前記結果情報を前記依頼者が確認した場合は、当該依頼者から前記
運転手又は前記利用者に対する所定の利益を設定する設定手順と
をコンピュータに実行させるための設定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定装置、設定方法及び設定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、人手による各種の確認を効率化するための技術が知られている。このような確認に要する人手を軽減するため、作業者の移動経路を最適化する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した技術では、確認対象となる領域を走行する作業者の移動経路を最適化しているに過ぎないため、決まった位置以外で生じた確認事項に対応することができない。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、決まった位置以外で生じる人手での確認を効率化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願に係る設定装置は、所定の依頼者によって指定された位置において生じた事象の確認依頼を利用者に提供する提供部と、利用者から、指定された位置に訪問し、当該位置で生じた事象の確認結果を示す結果情報を取得する取得部と、結果情報を依頼者が確認した場合は、当該依頼者から利用者に対する所定の利益を設定する設定部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、決まった位置以外で生じる人手での確認を効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る設定装置が実行する設定処理の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る設定装置の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る確認依頼データベースに登録される情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る利用者データベースに登録される情報の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る設定装置が実行する設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る設定装置、設定方法及び設定プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する。)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る設定装置、設定方法及び設定プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0010】
[実施形態]
〔1-1.設定装置の一例〕
まず、
図1を用いて、設定装置が実行する設定処理の一例について説明する。
図1は、実施形態に係る設定装置が実行する設定処理の一例を示す図である。
【0011】
図1では、インターネット等の所定のネットワークN(例えば、
図2参照)を介して、利用者Uが使用する利用者端末100、運転手Dが使用する運転手端末200、依頼者RUが使用する依頼者端末300及び設定装置10は、相互に通信可能である。また、設定装置10は、決済サーバSS(例えば、
図2参照)とも相互に通信可能であるものとする。なお、以降の説明では、利用者端末100、運転手端末200及び依頼者端末300を単に端末と総称する場合がある。
【0012】
端末は、スマートフォンやタブレット等のスマートデバイスであり、3G(Generation)やLTE(Long Term Evolution)等の4G、又は5G等の無線通信網を介して任意のサーバ装置と通信を行うことができる携帯端末装置である。なお、端末は、スマートデバイスのみならず、デスクトップPC(Personal Computer)やノートPC等の情報処理装置であってもよい。
【0013】
また、端末は、GPS(Global Positioning System)等の測位システムを用いて、現在位置を特定し、特定した位置を示す位置情報を出力する機能を有するものとする。ここで、端末は、インターネットを利用した経路検索を実行可能であるものとする。また、端末は、経路検索の他にも、Webサイトの検索及び閲覧、電子商店街における購買、ネットオークションの利用、音楽コンテンツや動画コンテンツの再生等、一般的なモバイルデバイスが実行可能な各種の処理を実行可能であってもよい。
【0014】
〔1-2.事象の確認〕
図1に示す各装置の集合は、事象の確認を行うためのシステムとして機能する。ここで、事象の確認とは、移動体の経路付近の状態を、確認者の五感、及び所定のセンサを搭載したカメラや計測機器等を用いて確認することである。
【0015】
例えば、災害時等に、自治体である依頼者RUが、道路付近の設備が壊れているとの通報を住民から受けた際に、実際に当該設備の状況を確認することが必要になる場合がある。一方で、人手不足等の要因により、依頼者RUは速やかな確認を行うことができない場合がある。そこで、依頼者RUは、システムを利用して、当該設備付近に所在する移動体の運転手Dに確認を依頼することができる。
【0016】
ただし、運転手Dは、乗客として利用者Uを移動体に乗せている場合がある。その場合、運転手Dは、利用者Uから許諾を得た上で当該設備の場所まで移動し確認を行う。また、確認を許諾した利用者Uに対しては、報酬が与えられる。そして、運転手Dは、確認結果を依頼者RUに報告する。
【0017】
ここでの移動体は、例えばタクシーである。また、確認対象の設備は、道路や線路そのもの及びガードレール等である。また、依頼者RUは、例えば、自治体、道路や線路の管理団体、建設業者等である。また、確認対象は、ガードレール、踏切、道路や線路そのもの、建物等であってもよい。また、被依頼者は、利用者U及び運転手Dのいずれか又は両方である。
【0018】
また、利用者Uは、報酬として、現金や仮想通貨等を直接受け取ってもよいし、移動体の乗車料金の割り引きを受けてもよい。また、依頼者RUから運転手Dに与えられる報酬の一部を、利用者Uが受け取るようにしてもよい。
【0019】
また、確認の依頼、確認結果の報告、報酬の授受等は、設定装置10を介して行われる。ここで、設定装置10による処理を説明する。まず、設定装置10は、依頼者端末300から確認依頼を受け付ける。確認依頼には、依頼者RU、確認位置、確認対象及び報酬を特定するための情報が含まれる。
【0020】
設定装置10は、所定の依頼者によって指定された位置において生じた事象の確認依頼を被依頼者に提供する。設定装置10は、運転手端末200に確認依頼を送信してもよいし、利用者端末100に確認依頼を送信してもよい。そして、設定装置10は、指定された位置に訪問した被依頼者から、当該位置で生じた事象の確認結果を示す結果情報を取得する。また、設定装置10は、結果情報を依頼者RUが確認した場合は、当該依頼者RUから被依頼者に対する所定の利益、すなわち報酬を設定する。
【0021】
設定装置10は、指定された位置から所定の範囲内に所在する被依頼者に確認依頼を提供する。例えば、複数の被依頼者の候補が存在する場合、設定装置10は、現在位置と指定された位置との間の距離が短い被依頼者に優先的に確認依頼を提供する。例えば、設定装置10は、複数台のタクシーの現在位置を一定期間ごとに収集しておき、最後に収集した各タクシーの現在位置を基に被依頼者を決定することができる。
【0022】
設定装置10は、指定された位置から所定の範囲内に移動予定の被依頼者に確認依頼を提供する。例えば、複数の移動中の被依頼者の候補が存在する場合、設定装置10は、各候補の移動先の位置と指定された位置との間の距離が短い被依頼者に優先的に確認依頼を提供する。例えば、設定装置10は、複数台のタクシーの目的地を一定期間ごとに収集しておき、最後に収集した各タクシーの目的地を基に被依頼者を決定することができる。
【0023】
設定装置10は、移動予定の経路が指定された位置から所定の範囲内にいる被依頼者に確認依頼を提供する。例えば、複数の移動中の被依頼者の候補が存在する場合、設定装置10は、各候補が移動する予定の経路を基に、指定された位置との間の距離が最も近くなることが予想される被依頼者に確認依頼を提供する。例えば、設定装置10は、複数台の移動中のタクシーの現在地及び目的地を一定期間ごとに収集し、収集した現在地及び目的地を基に推定された移動経路を基に被依頼者を決定することができる。
【0024】
設定装置10は、結果情報の提供履歴が所定の要件を満たす被依頼者に確認依頼を提供する。例えば、複数の被依頼者の候補が存在する場合、設定装置10は、各候補のこれまでの確認依頼に対する確認結果の報告回数を参照し、報告数が多い候補に優先して確認依頼を提供してもよい。また、設定装置10は、各候補のこれまでの確認依頼に対する確認結果の正確さを評価した結果を参照し、不正確な報告結果が一定割合以上である候補を除外してもよい。
【0025】
ここで、設定装置10が、利用者Uが乗客として乗っているタクシーの運転手Dに確認依頼を提供する場合を考える。このとき、設定装置10は、利用者端末100に、確認依頼を許諾すれば、遠回りになる代わりに料金が安くなることを説明するメッセージを送信する。そして、利用者Uは、確認依頼を許諾するか否かを運転手Dに伝える。また、利用者Uは、利用者端末100を操作することで、設定装置10に確認依頼を許諾するか否かを示す情報を送信してもよい。
【0026】
設定装置10は、所定の移動体を運転中の被依頼者に確認依頼を提供する。例えば、設定装置10は、タクシー又は自家用車の運転手Dの端末に確認依頼を提供する。また、運転手端末200は、移動体に組み込まれたものであってもよい。この場合、運転手端末200は、速度メータの速度情報等を参照し、移動体が操作されているか否かを判定し、設定装置10に通知することができる。そして、設定装置10は、被依頼者が利用中の移動体を操作する操作者に対して、確認依頼を提供する。
【0027】
設定装置10は、依頼者RUが結果情報に対して報酬を出すことを許可した場合にのみ、依頼者RUから被依頼者に対する所定の利益を設定する。例えば、依頼者RUは、被依頼者が取得した結果情報から十分な情報を得ることができた場合、報酬を出すことを許可することを設定装置10に通知する。逆に、依頼者RUは、被依頼者が取得した結果情報から十分な情報を得ることができない場合、設定装置10に対して報酬を出すことを許可しないことを設定装置10に通知する。例えば、結果情報として得られた画像が不鮮明である場合や、結果情報として得られた文章に必要な情報が含まれていない場合に、依頼者RUは十分な情報を得ることができないと考えられる。
【0028】
設定装置10は、複数の被依頼者に確認依頼を提供する。そして、設定装置10は、複数の被依頼者のそれぞれに対し、結果情報の品質に応じた利益を設定する。例えば、設定装置10は、複数の被依頼者のうち、最も品質が高い結果情報を取得した被依頼者に対してのみ利益を設定することができる。また、設定装置10は、取得した結果情報の品質の高さに応じた傾斜をかけて利益を分配することができる。なお、結果情報の品質は、設定装置10が自動的に評価してもよい。その場合、例えば、設定装置10は、結果情報として得られた画像の解像度や、対象物の明りょうさの度合いを基に品質を評価する。
【0029】
設定装置10は、1つの移動体に乗る複数の被依頼者であって、それぞれ目的地が異なる複数の被請求者に確認依頼を提供する。そして、設定装置10は、複数の被依頼者のそれぞれに対し、指定された位置と目的地との距離に応じた利益を設定する。設定装置10は、バスに同乗する複数の乗客が被依頼者である場合、各乗客が降りたバス停を記録しておき、指定された位置と各バス亭との距離が長いほど大きくなるように、各乗客に対して利益を設定する。また、この場合、全ての乗客が利用者端末100を介して同意する旨の操作を行った場合にのみ確認が実施されるようにしてもよい。また、被依頼者には、バスの乗客だけでなく、バスの運転手が含まれていてもよい。
【0030】
ここで、MaaSの技術を利用することで、バスやタクシーといった各種の車両や地下鉄等の各種列車、自転車等の各種移動体による移動サービスを利用者に提供し、利用者から月単位や年単位の料金を徴収するサブスクリプション形式のサービスを提供することができる。設定装置10は、操作者として、サブスクリプション形式で料金が発生する移動体の操作者に対して、確認依頼を提供する。
【0031】
〔1-3.設定処理の一例〕
図1を用いて、設定装置10が実行する設定処理の一例について説明する。まず、依頼者RUは、確認対象が所在する位置と、確認内容とを示す確認依頼を、依頼者端末300を介して設定装置10に送信する(ステップS1)。次に、設定装置10は、確認対象となる指定された位置の近傍を走行する移動体の運転手Dに、確認依頼を提供する(ステップS2)。
【0032】
運転手Dは、乗客である利用者Uに確認の許諾を求める(ステップS3)。確認の許諾は、口頭で行われてもよいし、端末及び設定装置10を介して行われてもよい。また、運転手Dの移動体に乗客が乗っていない場合、ステップS3は行われなくてもよい。
【0033】
許諾が得られた後、運転手Dは、移動体を操作し、確認対象となる指定された位置まで赴き、確認対象を撮影する(ステップS4)。確認対象の撮影は、運転手端末200によって行われてもよいし、移動体に搭載されたカメラによって行われてもよい。
【0034】
運転手Dは、運転手端末200を介して、設定装置10に、確認対象を撮影した画像を確認結果として報告する(ステップS5)。なお、確認結果の画像は、利用者端末100によって代理で撮影され設定装置10に送信されてもよい。また、設定装置10は、画像の撮影及び送信が利用者端末100によって代理で行われた場合、運転手Dの報酬を減少させ、利用者Uの報酬を増加させてもよい。
【0035】
設定装置10は、受け取った確認結果を依頼者端末300に報告する(ステップS6)。依頼者端末300は、確認結果を受け取ると、確認に対する報酬を設定装置10に対して設定する(ステップS7)。そして、設定装置10は、確認に対する報酬を運転手D及び利用者Uに提供する(ステップS8)。例えば、設定装置10は、電子マネー等に交換可能なコードを報酬として送信してもよい。また、設定装置10は、あらかじめ指定された口座に報酬を入金するようにしてもよい。また、設定装置10は、決済サーバSSに対し、利用者Uの乗車料金を報酬の分だけ代理で支払う処理を行うことにより、乗車料金の減額を実現してもよい。
【0036】
〔2.設定装置の構成〕
以下、上記した設定処理を実現する設定装置10が有する機能構成の一例について説明する。
図2は、実施形態に係る設定装置の構成例を示す図である。
図2に示すように、設定装置10は、通信部20、記憶部30、及び制御部40を有する。
【0037】
通信部20は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部20は、ネットワークNと有線又は無線で接続され、利用者端末100との間で情報の送受信を行う。
【0038】
記憶部30は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、又は、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。また、記憶部30は、確認依頼データベース31及び利用者データベース32を記憶する。
【0039】
図3を用いて、確認依頼データベース31に登録される情報の一例について説明する。
図3は、実施形態に係る確認依頼データベースに登録される情報の一例を示す図である。
図3に示すように、確認依頼データベース31には、「依頼ID」、「依頼者情報」、「確認位置」、「確認対象」、「報酬情報」といった項目を有する情報が登録される。
【0040】
ここで、「依頼ID」とは、確認依頼を識別するための識別子である。また、「依頼者情報」とは、依頼者RUを識別するための情報である。「依頼者情報」は、依頼者RUを識別するための識別子であってもよいし、会社や自治体等の組織の名称であってもよい。また、「確認位置」は、確認対象の指定された位置である所在地を特定するための情報である。例えば、「確認位置」は、確認対象の座標又は住所等である。「確認対象」は、確認対象を特定するための情報である。例えば、「確認対象」は、「ガードレール」のような設備の名称である。
【0041】
図4を用いて、利用者データベース32に登録される情報の一例について説明する。
図4は、実施形態に係る利用者データベースに登録される情報の一例を示す図である。
図4に示すように、利用者データベース32には、「利用者ID」、「現在位置」、「稼働状況」、「運転手情報」、「確認履歴」といった項目を有する情報が登録される。
【0042】
ここで、「利用者ID」とは、利用者Uを識別するための識別子である。また、「現在位置」は、利用者Uの現在位置を特定するための情報である。「稼働状況」は、利用者Uが移動体に乗車中であるか否か、及び乗車中の移動体が操作されているか否かを特定するための情報である。「運転手情報」は、利用者Uが乗車中の移動体の運転手Dを特定するための情報である。「確認履歴」は、利用者U又は運転手のDの過去の確認履歴である。
【0043】
制御部40は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサによって、設定装置10内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部40は、コントローラ(controller)であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。
【0044】
図2に示すように、制御部40は、受付部41、提供部42、取得部43、報告部44及び設定部45を有する。受付部41は、確認依頼を受け付ける。また、提供部42は、所定の依頼者RUによって指定された位置において生じた事象の確認依頼を被依頼者に提供する。また、取得部43は、被依頼者から、指定された位置に訪問し、当該位置で生じた事象の確認結果を示す結果情報を取得する。また、報告部44は、確認結果を表す結果情報を依頼者RUに報告する。また、設定部45は、結果情報を依頼者RUが確認した場合は、当該依頼者RUから被依頼者に対する所定の利益を設定する。
【0045】
また、提供部42は、指定された位置から所定の範囲内に所在する被依頼者に確認依頼を提供することができる。また、提供部42は、指定された位置から所定の範囲内に移動予定の被依頼者に確認依頼を提供することができる。また、提供部42は、移動予定の経路が指定された位置から所定の範囲内にとなる被依頼者に確認依頼を提供することができる。
【0046】
また、提供部42は、結果情報の提供履歴が所定の要件を満たす被依頼者に確認依頼を提供する。また、提供部42は、所定の移動体を運転中の被依頼者に確認依頼を提供することができる。また、提供部42は、被依頼者が利用中の移動体を操作する操作者に対して、確認依頼を提供することができる。提供部42は、操作者として、サブスクリプション形式で料金が発生する移動体の操作者に対して、確認依頼を提供することができる。
【0047】
また、設定部45は、依頼者RUが結果情報に対して報酬を出すことを許可した場合にのみ、依頼者RUから被依頼者に対する所定の利益を設定することができる。
【0048】
また、提供部42は、複数の被依頼者に確認依頼を提供することができる。また、設定部45は、複数の被依頼者のそれぞれに対し、結果情報の品質に応じた利益を設定する。
【0049】
また、提供部42は、1つの移動体に乗る複数の被依頼者であって、それぞれ目的地が異なる複数の被請求者に確認依頼を提供することができる。また、設定部45は、複数の被依頼者のそれぞれに対し、指定された位置と目的地との距離に応じた利益を設定する。
【0050】
〔3.設定装置の処理フロー〕
次に、
図5を用いて、設定装置10が実行する設定処理の手順の一例について説明する。
図5は、実施形態に係る設定装置が実行する設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0051】
まず、
図5に示すように、設定装置10は、確認依頼を受け付けるまで待機する(ステップS101、No)。設定装置10は、確認依頼を受け付けると(ステップS101、Yes)、利用者のうち、指定された位置の近傍に位置する利用者を特定する(ステップS102)。
【0052】
次に、設定装置10は、特定した利用者が利用している移動体の運転手Dに、確認依頼を提供する(ステップS103)。そして、設定装置10は、確認結果を受け付けるまで待機する(ステップS104、No)。設定装置10は、確認結果を受け付けると(ステップS104、Yes)、依頼者RUに確認結果を報告する(ステップS105)。さらに、設定装置10は、依頼者RUから利用者Uに対する所定の報酬を設定する(ステップS106)。
【0053】
〔4.変形例〕
上記では、設定装置10による設定処理の一例について説明した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。以下、設定装置10が実行する設定処理のバリエーションについて説明する。
【0054】
〔4-1.被依頼者について〕
上記では、タクシーである移動体に運転手D及び利用者Uが乗車している場合の例について説明した。一方で、被依頼者は、運転手Dのみ又は利用者Uのみであってもよい。運転手Dのみが被依頼者である場合、設定装置10は、例えば運転手Dのタクシーに乗客が乗っていないタイミングで運転手端末200に確認依頼を提供する。また、利用者Uのみが被依頼者である場合、例えば、利用者Uが所有する自家用車を使って確認を行い確認結果に基づいて報酬を得ることができる。
【0055】
〔4-2.依頼者について〕
また、上記では、依頼者RUが自治体等の組織である場合の例について説明した。一方で、依頼者RUは個人であってもよい。その場合、例えば、外出中の依頼者RUが、自宅の出入口が施錠されているか否か、ペットに餌が与えられているか否か等の確認することを依頼することができる。
【0056】
〔4-3.その他〕
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0057】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0058】
また、上記してきた各実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0059】
〔4-4.プログラム〕
また、上述した実施形態に係る設定装置10は、例えば
図6に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図6は、ハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置1040、二次記憶装置1050、出力IF(Interface)1060、入力IF1070、ネットワークIF1080がバス1090により接続された形態を有する。
【0060】
演算装置1030は、一次記憶装置1040や二次記憶装置1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。一次記憶装置1040は、RAM等、演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するメモリ装置である。また、二次記憶装置1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。
【0061】
出力IF1060は、モニタやプリンタといった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインタフェースであり、例えば、USB(Universal Serial Bus)やDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現される。また、入力IF1070は、マウス、キーボード、及びスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインタフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0062】
なお、入力装置1020は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、又は半導体メモリ等から情報を読み出す装置であってもよい。また、入力装置1020は、USBメモリ等の外付け記憶媒体であってもよい。
【0063】
ネットワークIF1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0064】
演算装置1030は、出力IF1060や入力IF1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行う。例えば、演算装置1030は、入力装置1020や二次記憶装置1050からプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
【0065】
例えば、コンピュータ1000が設定装置10として機能する場合、コンピュータ1000の演算装置1030は、一次記憶装置1040上にロードされたプログラム又はデータ(例えば、処理モデルM1)を実行することにより、制御部40の機能を実現する。コンピュータ1000の演算装置1030は、これらのプログラム又はデータ(例えば、処理モデルM1)を一次記憶装置1040から読み取って実行するが、他の例として、他の装置からネットワークNを介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0066】
〔5.効果〕
上述したように、設定装置10は、所定の依頼者によって指定された位置において生じた事象の確認依頼を被依頼者に提供する。また、設定装置10は、被依頼者から、指定された位置に訪問し、当該位置で生じた事象の確認結果を示す結果情報を取得する。また、設定装置10は、結果情報を依頼者が確認した場合は、当該依頼者から被依頼者に対する所定の利益を設定する。この結果、設定装置10は、利益の対価として被依頼者に確認を依頼することになるため、決まった位置以外で生じる人手での確認を効率化することができる。
【0067】
また、設定装置10は、指定された位置から所定の範囲内に所在する被依頼者に確認依頼を提供することができることができる。この結果、設定装置10は、移動にかかる時間等のコストを抑え、確認を効率化することができる。
【0068】
設定装置10は、指定された位置から所定の範囲内に移動予定の被依頼者に確認依頼を提供することができる。この結果、設定装置10は、移動にかかる時間等のコストを抑え、確認を効率化することができる。
【0069】
設定装置10は、移動予定の経路が指定された位置から所定の範囲内にとなる被依頼者に確認依頼を提供することができる。この結果、設定装置10は、移動にかかる時間等のコストを抑え、確認を効率化することができる。
【0070】
設定装置10は、結果情報の提供履歴が所定の要件を満たす被依頼者に確認依頼を提供することができる。この結果、設定装置10は、要件に対して被依頼者が許諾した場合に確認依頼を提供するので、確認を効率化することができる。
【0071】
設定装置10は、所定の移動体を運転中の被依頼者に確認依頼を提供することができる。この結果、設定装置10は、速やかに対応可能な被依頼者に対して確認依頼を提供するので、確認を効率化することができる。
【0072】
設定装置10は、被依頼者が利用中の移動体を操作する操作者に対して、確認依頼を提供することができる。この結果、設定装置10は、速やかに対応可能な被依頼者に対して確認依頼を提供するので、確認を効率化することができる。
【0073】
設定装置10は、操作者として、サブスクリプション形式で料金が発生する移動体の操作者に対して、確認依頼を提供することができる。この結果、設定装置10は、あらかじめ特定された候補の中から被依頼者を抽出することで、確認を効率化することができる。
【0074】
設定装置10は、依頼者が結果情報に対して報酬を出すことを許可した場合にのみ、依頼者から被依頼者に対する所定の利益を設定することができる。この結果、設定装置10は、結果情報の品質の向上を促し、確認を効率化することができる。
【0075】
設定装置10は、複数の被依頼者に確認依頼を提供することができる。また、設定装置10は、複数の被依頼者のそれぞれに対し、結果情報の品質に応じた利益を設定する。この結果、設定装置10は、結果情報の品質の向上を促し、確認を効率化することができる。
【0076】
設定装置10は、1つの移動体に乗る複数の被依頼者であって、それぞれ目的地が異なる複数の被請求者に確認依頼を提供することができる。また、設定装置10は、複数の被依頼者のそれぞれに対し、指定された位置と目的地との距離に応じた利益を設定する。この結果、設定装置10は、被依頼者の満足度を向上させることができる。
【0077】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0078】
また、上記してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」等に読み替えることができる。例えば、推定部は、推定手段や推定回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0079】
10 設定装置
20 通信部
30 記憶部
31 確認依頼データベース
32 利用者データベース
40 制御部
41 受付部
42 提供部
43 取得部
44 報告部
45 設定部
100 利用者端末
200 運転手端末
300 依頼者端末