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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】車両用ピラー構造
(51)【国際特許分類】
   B62D 25/04 20060101AFI20230308BHJP
【FI】
B62D25/04 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019228692
(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公開番号】P2021095048
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082876
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100086807
【弁理士】
【氏名又は名称】柿本 恭成
(74)【代理人】
【識別番号】100178906
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 充和
(72)【発明者】
【氏名】嘉山 寛章
(72)【発明者】
【氏名】高屋舗 泰幹
(72)【発明者】
【氏名】山元 歩
【審査官】谷川 啓亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-060441(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0102087(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0332673(US,A1)
【文献】特開2011-235781(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 21/00 - 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に延びる第1パネルと、前記第1パネルより車両外側に配置されてハット形断面が前記一方向に連続した第2パネルと、が両側縁部で接合されることで、閉断面形状が前記一方向に連続して形成された車両用ピラー構造であって、
前記第2パネルは、前記ハット形断面の頂部に設けられた外壁部と、前記外壁部と各前記側縁部との間にそれぞれ設けられた縦壁部と、を備え、
前記縦壁部は、前記外壁部から各前記側縁部まで屈曲部なく連続した湾曲形状を有し、前記側縁部の前記第1パネルに対する角度が前記外壁部から各前記側縁部まで連続的に漸減している、車両用ピラー構造。
【請求項2】
前記縦壁部では前記外壁部から各前記側縁部まで曲率半径が漸減している、請求項1に記載の車両用ピラー構造。
【請求項3】
前記縦壁部では前記外壁部と連続する外側端部から前記側縁部と連続する内側端部までの範囲で、前記側縁部の前記第1パネルに対する角度が直角以下の角度から連続して変化する、請求項1又は2に記載の車両用ピラー構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、閉断面形状を有する車両用ピラー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一方向に延びる第1パネルと、第1パネルの車両外側に配置されてハット形断面を有する第2パネルと、が両側縁部で接合され、閉断面形状が一方向に連続して形成された車両用ピラーが種々提案されている。
【0003】
例えば下記特許文献1には、第1面部と幅広の第2面部とが対向し、第1面部と第2面部との幅方向の端部同士が2つの側面部で繋がれて閉断面を構成した車両用フレーム構造において、各側面部における第1面部と第2面部との間の中間位置に、閉断面内側に突出する屈曲部を設けた構造が提案されている。
【0004】
このような車両用フレーム構造では、第1面部における長手方向の中間位置に外部入力荷重が作用すると、側面部の第1面部側の端部ないしその近傍に、閉断面外向きに作用する力が生じるが、閉断面内側に突出する屈曲部により閉断面外向きの力を打ち消す力が生じる。そのため、第1面部に大きな外部入力荷重が作用しても、側面部の第1面部側の座屈を防止できるとされている。
【0005】
下記特許文献2には、ピラーアウタ部材とピラーインナ部材とが対向配置されて両側縁のフランジ部で溶接固定されていて、ピラーアウタ部材に外壁部と一対の側壁部とが設けられ、側壁部に車幅方向の途中で屈曲させて稜線が設けられた車両側部構造が提案されている。この構造にあっては、車幅方向外側から荷重が作用すると、側壁部が稜線を基点として折れ曲がることで、フランジ部に過度の荷重が集中することを防止して、フランジ部における溶接点の破断を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-159121号公報
【文献】特開2018-94964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の車両用ピラーでは、対向配置された車両外側の外壁部と車両内側の内壁部との間の縦壁部に長手方向に延びる屈曲部を設けることで、側突時等に車両外側から衝撃荷重が入力された際、縦壁部の座屈を抑制したり、縦壁部を積極的に座屈させたりしていた。縦壁部に長手方向に延びる屈曲部を設けた車両用ピラーでは、屈曲部で縦壁部の他の部位から不連続に強度が変化しているためである。
【0008】
ところが、CAE解析の結果、縦壁部に長手方向に延びる屈曲部が設けられていると、側突時等に車両外側から衝撃荷重が入力された際、車両用ピラーに変形が生じた初期段階で、縦壁部の屈曲部より外側の領域に膨らみや撓みが生じていて、材料の強度を十分に有効には活用できていないことが明らかになった。
その結果、従来の車両用ピラーでは、外壁部や縦壁部等の各部の板厚を厚くすることで強度を確保していて、衝撃荷重が入力された際の強度に更なる改善の余地があることが判明した。
【0009】
そこで本発明では、車両外側から衝撃荷重が入力された際の強度を確保しつつ、軽量化を図ることが可能な車両用ピラー構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の車両用ピラー構造は、一方向に延びる第1パネルと、第1パネルより車両外側に配置されてハット形断面が一方向に連続する第2パネルと、が両側縁部で接合されることで、閉断面形状が一方向に連続して形成された車両用ピラー構造であって、第2パネルは、ハット形断面の頂部に設けられた外壁部と、外壁部と各側縁部との間にそれぞれ設けられた縦壁部と、を備え、縦壁部は、外壁部から各側縁部まで屈曲部なく連続した湾曲形状を有し、前記側縁部の前記第1パネルに対する角度が前記外壁部から各前記側縁部まで連続的に漸減していることを特徴とする。
【0011】
本発明の車両用ピラー構造は、縦壁部において外壁部から各側縁部まで曲率半径が漸減しているのが好適である。
本発明の車両用ピラー構造は、好ましくは、縦壁部において外壁部と連続する外側端部から側縁部と連続する内側端部までの範囲で、側縁部の第1パネルに対する角度が直角以下の角度から連続して変化する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両用ピラー構造によれば、第1パネルと両側縁部で接合されて閉断面形状を形成する第2パネルが、外壁部と外壁部の両側の縦壁部とを備え、その縦壁部が外壁部から各側縁部まで連続した湾曲形状を有しているので、車両外側から衝撃荷重が入力された際の強度が外壁部から各側縁部までの間の縦壁部に不連続に変化する部位が生じない。
【0013】
しかも縦壁部の外壁部から各側縁部まで、側縁部の第1パネルに対する角度が漸減するように角部なく連続した湾曲形状に形成されているので、第2パネルの外壁部側に車両外側から衝撃荷重が入力されると、初期段階で各縦壁部の外壁部側に膨らみや撓みが生じることを抑えて、各縦壁部の外壁部から側縁部までの間の全体で均等に分散して、衝撃荷重を支持することができる。
【0014】
よって、本発明の車両用ピラー構造によれば、車両外側から衝撃荷重が入力された際の強度を確保しつつ、軽量化を図り得る車両用ピラー構造を提供することができる。
【0015】
本発明の車両用ピラー構造において、縦壁部では外壁部から各側縁部まで曲率半径が漸減していれば、より効率よく車両外側から衝撃荷重を縦壁全体に分散して支持することができる。
【0016】
本発明の車両用ピラー構造において、縦壁部では外壁部と連続する外側端部から側縁部と連続する内側端部までの範囲で、側縁部の第1パネルに対する角度が直角以下の角度から連続して変化するように構成すれば、外壁部に衝撃荷重が入力された際、縦壁部の外壁部側の膨らみや撓みを確実に防止するとともに、縦壁部の第1パネル近傍に屈曲部位が生じて強度が低下するようなことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る車両用ピラー構造の側面図である。
図2】本発明の実施形態に係る車両用ピラー構造を示す図1のA-A断面図である。
図3】本発明の実施形態に係る第1パネルと第2パネルとの接合状態における図1のA-A断面相当図である。
図4】本発明の実施例及び比較例において設定した車両用ピラー構造の断面を示す図で、(a)は実施例1の構造、(b)は比較例1の構造、(c)は比較例2の構造を示す。
図5】本発明の実施例及び比較例においてシミュレーションにより得られたF-S線図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図を用いて詳細に説明する。本実施形態では、車両用ピラー構造として、車幅方向に重なるように組み合わされた3枚のパネルを備えたセンターピラー10の構造の例を用いて説明する。
【0019】
このセンターピラー10の構造では、図1及び図2に示すように、一方向として車両上下方向Dhに延びる第1パネルとしてのインナーパネル11と、インナーパネル11より車両外側Doに配置されてハット形断面が車両上下方向Dhに連続する第2パネルとしてのセンターピラーリインフォースメント(以下、センターピラーRFと称する)13と、車両上下方向Dhに延びるアウターパネル15と、を備えている。
【0020】
特に限定されるものではないが、本実施形態ではインナーパネル11とアウターパネル15とがルーフサイドレール部19とロッカ部17とに上下端で接合されていて、センターピラーRF13がルーフサイドレール部19からセンターピラー10の途中位置までの範囲に配設されている。
【0021】
インナーパネル11は、車体外形形状及び車室形状に対応した立体形状を有するとともに、各種の取付部、接合部、ビード等を有するが、本発明の要点ではないため、図中では詳細な記載を省略し、略平板状に簡略して図示している。
アウターパネル15は、ハット形断面を有して車両上下方向Dhに延びており、インナーパネルに対応した形状を有し、車体外形形状及び車室形状に応じた立体形状で各種の取付部、接合部、ビード等が設けられているが、詳細な図示は省略する。
このアウターパネル15の車両前後方向の両側には、フランジ状の側縁部15aが設けられており、これらの側縁部15aがインナーパネル11の両側の側縁部11aと溶接などにより接合されることで、上下に連続する閉断面形状が形成されている。
【0022】
センターピラーRF13は、ハット形断面の頂部に設けられた外壁部13bと、アウターパネル15の両側縁部15a間よりも狭い幅で形成された車両前後方向Dfにおける両側に設けられたフランジ状の側縁部13aと、外壁部13bと各側縁部13aとの間にそれぞれ設けられた一対の縦壁部13cと、を備えている。
【0023】
このセンターピラーRF13は、両側のフランジ状の側縁部13aをインナーパネル11の側縁部11aに略平行に当接配置して、溶接等により接合されている。本実施形態では、両側の側縁部13aが車両前後方向に延長して設けられており、この側縁部13aの外側にアウターパネル15の側縁部15aが配置されて、インナーパネル11の側縁部13aと積層状態で接合されている。センターピラーRF13がインナーパネル11と接合されることで、車両上下方向Dhに連続する閉断面形状が形成されている。
【0024】
このセンターピラーRF13は、各縦壁部13cが特定の形状を有している。具体的には、図3に示すように、まず各縦壁部13cが外壁部13bと連続する位置の外側端部13dから、各側縁部13aと連続する位置の内側端部13eまでの間で、側縁部13aにおけるインナーパネル11に対する角度θが漸減するように、角部を形成することなく、好ましくは角部及び平坦部分が無いように連続した湾曲形状を有している。
【0025】
本実施形態の各縦壁部13cにあっては、縦壁部13cの外壁部13bと連続する位置の外側端部13dでは、側縁部13aのインナーパネル11に対する角度θが直角以下の角度、好ましくは直角に近似した直角未満の角度とされている。一方、側縁部13aと連続してインナーパネル11と平行となる位置の内側端部13eでは、側縁部13aのインナーパネル11に対する角度θが0度とされている。そのため、各縦壁部13cでは、側縁部13aのインナーパネル11に対する角度θが直角以下の角度から0度まで連続的に変化している。
【0026】
また本実施形態の各縦壁部13cでは、湾曲形状の曲率半径、即ち、センターピラーRF13を長手方向と直交する方向に切断したときのハット形の断面形状における縦壁部13cの曲率半径が、外壁部13b側で大きく、各側縁部13aで小さくなっており、外壁部13bから各側縁部13aまでの間で曲率半径が漸減するように形成されている。
本実施形態では、縦壁部13cを内外方向に複数の領域に分割し、領域毎に曲率半径を変化させることで曲率半径を実質的に漸減させている。
【0027】
さらに本実施形態のセンターピラーRF13において、外壁部13bにおける縦壁部13cとの隣接部位では、縦壁部13cの湾曲形状とは逆方向に湾曲した形状を有し、曲率半径が変曲点を介して連続して変化することで、外壁部13bと縦壁部13cとの境界付近で角部や平坦部分が生じることなく、連続的な湾曲形状が保たれている。
【0028】
このようなセンターピラー10の構造では、車両の側突時にアウターパネル15の外側から車両内側Diへの横方向の衝撃荷重が入力されると、初期段階でアウターパネル15が変形して、センターピラーRF13に外壁部13b側から衝撃荷重が負荷される。そして、この荷重が縦壁部13cに負荷されると、縦壁部13c全体に分散されてインナーパネル11との閉断面形状の変形により、効率よく衝撃荷重が吸収される。
【0029】
以上のような本実施形態のセンターピラー10の構造によれば、インナーパネル11と両側縁部13aで接合されて閉断面形状を形成するセンターピラーRF13が、外壁部13bと外壁部13bの両側の縦壁部13cとを備え、その縦壁部13cが外壁部13bから各側縁部13aまで連続した湾曲形状を有しているので、車両外側Doから衝撃荷重が入力された際の強度が、外壁部13bから各側縁部13aまでの間の縦壁部13cに不連続に変化する部位が生じない。
【0030】
さらに、縦壁部13cの外壁部13bから各側縁部13aまで、側縁部13aのインナーパネル11に対する角度θが漸減するように、角部を形成しないように連続した湾曲形状に形成されているので、センターピラーRF13の外壁部13b側に車両外側Doから衝撃荷重が入力されると、初期段階で各縦壁部13cの外壁部13b側に膨らみや撓みが生じることを抑えて、各縦壁部13cの外壁部13bから側縁部13aまでの間の全体で均等に分散して衝撃荷重を支持することができる。
その結果、本実施形態のセンターピラー10の構造によれば、車両外側Doから衝撃荷重が入力された際の強度を確保しつつ軽量化を図ることが可能になる。
【0031】
本実施形態のセンターピラー10の構造では、縦壁部13cの湾曲形状が外壁部13bから各側縁部13aまで曲率半径が漸減しているので、より効率よく車両外側Doから衝撃荷重を縦壁全体に分散して支持することができる。
【0032】
本実施形態のセンターピラー10の構造では、外壁部13bにおける縦壁部13cとの隣接部が、縦壁部13cの湾曲形状とは逆方向に湾曲して縦壁部13cと角部なく連続している。従って、外壁部13bの頂部に衝撃荷重が入力された直後に、縦壁部13cとの連結部分に屈曲部位が生じて強度が低下するようなことを防止できる。
【0033】
本実施形態のセンターピラー10の構造では、縦壁部13cの外壁部13bと連続する外側端部13dから側縁部13aと連続する内側端部13eまでの範囲で、側縁部13aのインナーパネル11に対する角度θが直角以下の角度から連続して変化して形成されている。よって、外壁部13bに衝撃荷重が入力された際、縦壁部13cの外壁部13b側の膨らみや撓みを確実に防止することができると同時に、縦壁部13cのインナーパネル11近傍に屈曲部位が生じて強度が低下するようなことを防止できる。
【0034】
本実施形態は本発明の範囲内において適宜変更可能である。
上記実施形態では、センターピラー10の構造に本発明の車両用ピラー構造を適用した例について説明したが、特に限定されるものではなく、フロントピラー、リヤピラーなどであっても同様に適用可能である。
【0035】
上記実施形態では、インナーパネル11とセンターピラーRF13とアウターパネル15との3枚のパネルを車両内外方向に組み合わせて構成した車両用ピラー構造の例について説明し、第1パネルをインナーパネル11とし、第2パネルをセンターピラーRF13としたが、特にこの組合せに限定されるものではない。
【0036】
例えば第1パネルをインナーパネル11とし、第2パネルをアウターパネル15とし、両者の間に他のセンターピラーRFを配置して本発明の車両用ピラー構造を構成することも可能である。また第1パネルをインナーパネル11とし、第2パネルをアウターパネル15として、2枚のパネルを車両内外方向に組み合わせて構成した車両用ピラー構造とすることも可能である。さらに上記では、センターピラー10の構造について説明したため上下方向に配設されているが、車幅方向或いは車両前後方向に延びる自動車用ピラーであっても本発明は適用可能である。
【実施例
【0037】
以下、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
図4(a)に示すような断面形状が一軸方向に連続した車両用ピラー構造について、4点曲げ試験で、車両外側から所定の衝撃荷重を入力して変形させるシミュレーションを、CAE解析を用いて実施した。
【0038】
この車両用ピラー構造は、鋼材からなる第1パネルとしてのインナーパネル11と、インナーパネル11の車両外側Doに配置されてハット形断面形状を有する鋼材からなる第2パネルとしてのアウターパネル15と、アウターパネル15の内側面に積層された鋼材からなるセンターピラーRF13と、を備えている。
インナーパネル11には、長手方向に連続したフランジ状の側縁部11aが幅方向両側に一対で平行に設けられている。
【0039】
アウターパネル15はハット形断面形状を有し、幅方向両側にはインナーパネル11の側縁部11aと同じ間隔で長手方向に連続して設けられた一対のフランジ状の側縁部15aと、ハット形断面形状の頂部にインナーパネル11と対向して設けられた外壁部15bと、外壁部15bと各側縁部15aとの間に設けられた一対の縦壁部15cと、を備えている。
【0040】
アウターパネル15の外壁部15bは、両側縁部15aから突出して両側縁部15a間より狭い幅に形成されている。外壁部15bにおける縦壁部15cとの隣接部位は、縦壁部15cとは逆方向に湾曲して連続している。
アウターパネル15の各縦壁部15cは、外壁部13bと連続する位置の外側端部から側縁部15aと連続する位置の内側端部までの間、インナーパネル11の側縁部11aに対する角度θが漸減するように、連続した湾曲形状を有する。また各縦壁部15cの曲率半径は、外壁部15b側から各側縁部15a側までの間で漸減している。
【0041】
センターピラーRF13は、断面形状がアウターパネル15の車両外側部分の相似形状を有し、両側縁が、インナーパネル11から一定距離した位置でアウターパネル15の縦壁部15cの内側面に固定されている。
【0042】
実施例1では、このようなセンターピラーRF13がアウターパネル15の外壁部15b及び両縦壁部15cの内側に重ねて接合されるとともに、アウターパネル15の各側縁部15aとインナーパネル11の各側縁部11aとが接合されることで、閉断面形状が直線的に連続し車両用ピラー構造が構成されている。
【0043】
このような車両用ピラー構造について、4点曲CAEを実施したところ、図5に示すようなF-S線図が得られた。ピーク荷重は165kgfで、質量効率は0.156kgf/mmであった。さらに変形時には、アウターパネル15が外向きに膨らむような変形は実質的に生じなかった。
【0044】
[比較例1]
図4(b)に示すように、アウターパネル15の縦壁部15cが湾曲することなく実質的に連続した傾斜平面形状に形成されている他は、全て実施例1と同様にして車両用ピラー構造を設定し、シミュレーションを実施した。
4点曲げのCAE解析を実施して得られたF-S線図を図5に示す。ピーク荷重は142kgfで、質量効率は0.127kgf/mmであった。さらに変形時には、アウターパネル15が外向きに大きく膨らんで変形した。
【0045】
[比較例2]
図4(c)に示すように、アウターパネル15の縦壁部15cが湾曲することなく、中間位置において長手方向に連続した屈曲線15fで屈曲させた2つの傾斜平面形状に形成されている他は、全て実施例1と同様にして車両用ピラー構造を設定し、シミュレーションを実施した。
4点曲げのCAE解析を実施して得られたF-S線図を図5に示す。ピーク荷重は156kgfで、質量効率は0.147kgf/mmであった。さらに変形時には、アウターパネル15が外向きに大きく膨らんで変形した。
【0046】
実施例1及び比較例1、2から明らかなように、第2パネルであるアウターパネル15の各縦壁部15cを、本発明実施例のように屈曲部のない湾曲形状とすることで、ピーク荷重を増大でき、質量効率を向上できることが確認できた。
【符号の説明】
【0047】
Dh 車両上下方向
Do 車両外側
Di 車両内側
Df 車両前後方向
θ インナーパネルに対する角度
10 センターピラー
11 インナーパネル
11a 側縁部
13 センターピラーRF
13a 側縁部
13b 外壁部
13c 縦壁部
13d 外側端部
13e 内側端部
15 アウターパネル
15a 側縁部
15b 外壁部
15c 縦壁部
15f 屈曲線
17 ロッカ部
19 ルーフサイドレール部
図1
図2
図3
図4
図5