(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】ビームプロファイル測定システム
(51)【国際特許分類】
A61N 5/10 20060101AFI20230308BHJP
G01T 1/29 20060101ALI20230308BHJP
G21K 5/04 20060101ALI20230308BHJP
H05H 9/00 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
A61N5/10 Q
G01T1/29 B
G01T1/29 C
G21K5/04 C
G21K5/04 A
H05H9/00 C
(21)【出願番号】P 2019547360
(86)(22)【出願日】2018-02-28
(86)【国際出願番号】 US2018020290
(87)【国際公開番号】W WO2018160742
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-01-06
(32)【優先日】2017-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505172824
【氏名又は名称】アキュレイ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】マッコイ ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】満石 敦
(72)【発明者】
【氏名】古賀 秀尊
(72)【発明者】
【氏名】小林 一之
(72)【発明者】
【氏名】小川 茂美
(72)【発明者】
【氏名】大谷 匡史
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0109939(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0250618(US,A1)
【文献】特開昭62-195580(JP,A)
【文献】特開2011-161056(JP,A)
【文献】特開2006-231071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
G01T 1/29
G21K 5/04
H05H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビームプロファイル測定(BPM)ファントム及び線形加速器(LINAC)に操作可能に接続されたBPMコントローラを用いて、前記BPMファントムの線量計を第1の位置に位置決めするステップと、
前記BPMコントローラを用いて、前記LINACを第2の位置に位置決めするステップと、
前記BPMコントローラを用いて、前記第2の位置から第3の位置へ前記LINACの第1の移動を実行するステップ
であって、前記第1の移動の前記実行は、1又は2以上の水平対角線方向に前記LINACを移動させるステップを含む、第1の移動を実行するステップと、
前記第2の位置から第3の位置への前記LINACの前記第1の移動中に前記LINACから放射線ビームを放出するステップと、
前記線量計によって、前記放出中に前記放射線ビームに関するイオン測定を実行するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記線量計は前記放出の間に静止しており、
前記放出は照射野を形成し、
前記イオン測定の前記実行は、前記照射野の複数角度における複数の軸外線量比(OCR)測定値を丸形の照射野と比較するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の移動の前記実行は、円形方向に前記LINACを移動させるステップを含み、
前記線量計は前記放出の間に静止しており、
前記放出は照射野を形成し、
前記イオン測定の前記実行は、前記照射野の第1の縁部を丸形照射野の第2の縁部と比較するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の移動の前記実行は、矩形方向に前記LINACを移動させるステップを含み、
前記線量計は前記放出の間に静止しており、
前記放出は照射野を形成し、
前記イオン測定は前記矩形の照射野の縁部である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の移動の前記実行は、螺旋方向に前記LINACを移動させるステップを含み、
前記線量計は前記放出の間に静止している、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の移動の前記実行は、垂直方向に前記LINACを移動させるステップを含み、
前記方法は、前記BPMコントローラを用いて、前記垂直方向に前記第1の位置から第4の位置へ前記線量計の第2の移動を実行するステップを更に含み、
前記LINACからの前記放射線ビームの前記放出は、前記第1の移動と前記第2の移動との間であり、
前記第1の移動と前記第2の移動は同時で且つ実質的に等しい、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
非一時的なコンピュータ可読媒体であって、処理デバイスによって実行されたときに、前記処理デバイスに、
ビームプロファイル測定(BPM)ファントムの線量計を第1の位置に位置決めする、
線形加速器(LINAC)を第2の位置に位置決めする、
前記第2の位置から第3の位置へ前記LINACの第1の移動を生じ
させ、該第1の移動の実行は、1又は2以上の水平対角線方向に前記LINACを移動させる、
前記第1の移動中に前記LINACに放射線ビームを放出させる、並びに
前記線量計から、前記第1の移動中に前記放射線ビームに関するイオン測定値を受信する、ことを行わせる命令を有する非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項8】
前記第1の移動は、円形方向に前記LINACを移動させるステップを含み、
前記線量計は前記イオン測定の間、静止しており、
そして
前記放射線ビームの放出は照射野を形成
する、
請求項
7に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項9】
前記処理デバイスは、さらに、矩形方向に前記LINACを移動させ、
前記線量計は前記イオン測定の間、静止しており、
前記放射線ビームの放出は照射野を形成し、
前記イオン測定は前記矩形の照射野の縁部である、請求項8に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項10】
前記処理デバイスは、さらに、螺旋方向に前記LINACを移動させ、
そして、
前記線量計は前記イオン測定の間、静止している、請求項
7に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項11】
前記処理デバイスは、さらに、垂直方向に前記LINACを移動させ、
そして、
前記処理デバイスは更に、前記垂直方向に前記第1の位置から第4の位置へ前記線量計の第2の移動を生じることになっており、
前記LINACからの前記放射線ビームの放出は、前記第1の移動と前記第2の移動との間であり、
前記第1の移動と前記第2の移動は実質的に等しく、
前記BPMファントムは、前記放出中に静止しているタンクを備える、請求項
7に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項12】
ビームプロファイル測定(BPM)システムであって、
BPMファントムであって、液体を収容するタンクと、前記タンク内に配置された線量計であって、前記線量計は線形加速器(LINAC)から放出された放射線ビームに関するイオン化を検出することになっている線量計と、前記線量計を垂直方向に移動させるための位置決めデバイスと、を備えるBPMファントムと、
前記BPMファントム及び前記LINACに操作可能に接続するBPMコントローラと、
を備え、前記BPMコントローラは、
前記線量計を第1の位置に位置決めする、
前記LINACを第2の位置に位置決めする、
前記第2の位置から第3の位置へ前記LINACの第1の移動を実行
し、該第1の移動の実行は、1又は2以上の水平対角線方向に前記LINACを移動させる、
前記第1の移動中に前記LINACを用いて前記放射線ビームを放出する、並びに
前記線量計から、前記第1の移動中に前記放射線ビームに関するイオン測定値を受信する、ことになっている、ビームプロファイル測定(BPM)システム。
【請求項13】
前記位置決めデバイスは、前記線量計を前記タンク内の液体上面より下方約15ミリメートル(mm)から約200mmまで移動させることになっている、請求項
12に記載のBPMシステム。
【請求項14】
前記線量計は電離箱である、請求項
12に記載のBPMシステム。
【請求項15】
前記位置決めデバイスは、垂直方向に前記線量計の第2の移動を提供するためにキャリッジに連結されたモータを備える、請求項
12に記載のBPMシステム。
【請求項16】
前記BPMコントローラは1又は2以上の環境センサに接続され、前記BPMコントローラは更に、
前記1又は2以上の環境センサから1又は2以上の周囲圧力及び温度測定値を受信する、
前記1又は2以上の周囲圧力及び温度測定値を考慮して、前記線量計から受信された前記放射線ビームに関する前記イオン測定値を調整する、並びに
前記1又は2以上の環境センサから、前記BPMシステムに対する前記LINACの1又は2以上の位置測定値を受信し、前記LINACの位置決めは、前記1又は2以上の位置測定値を考慮する、ようになっている、請求項
12に記載のBPMシステム。
【請求項17】
前記線量計は、前記放射線ビームに関する前記イオン測定値を増幅するために電位計に接続される、請求項
12に記載のBPMシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施構成は、ビームプロファイル測定(BPM)システムに関する。
【背景技術】
【0002】
放射線治療のために標的(例えば、患者体内の腫瘍)に放射線ビームを放出するために、線形加速器(LINAC)が用いられる。LINACを初めて使用する(例えば、臨床用途などに)前に、LINACはコミッショニング(試運転)される(例えば、受入れ試験)。定期的に(例えば、年1回)、LINACに関して品質保証(QA)が実施される。コミッショニング及びQAは、さもなければ治療成績の低下に繋がる線量測定及び患者治療の誤りを回避するのに役立つ。
【0003】
コミッショニング及びQAには、精度の必要性、様々な試験方法、データ検証、規格の欠如、及び時間の制約を含めて、多くの課題がある。コミッショニング及びQAビームデータは基準値として扱われ、後に治療計画システムで使用することができる。従って、線量測定及び患者治療の誤りを回避するため、収集されるデータは最高品質でなければならない。米国医学物理学会の治療物理委員会のタスクグループ106(TG-106)は、LINACから放出される放射線ビームのビームデータセットを正しく測定するためのガイドラインを提供している。一部の実施構成では、LINACコミッショニング及びQAビームデータはTG-106ガイドラインに準拠する必要がある。
【0004】
LINACのコミッショニング及びQAは、LINACのシステム製造業者、購入サイトの所有者(例えば、病院の組織内物理士)、又は第三者企業によって実施される場合がある。従来、コミッショニング及びQAは、LINACだけでなく、線量測定システム(例えば、ファントム)にも関係する。LINACシステムは、LINACにより放出された放射線ビームの線量を測定するために較正された内部線量測定システムを有する。較正、検証、及びコミッショニングの目的で、内部線量測定システムに加えて、外部線量測定システム(基準システム)が設けられる。外部線量測定システムは、液体、固体、又は気体を収容するタンク内部に設置された線量計(例えば、電離箱、リニアダイオードなど)を含んだファントムを含む。本開示は、液体を収容するタンクを参照するが、固体又は気体が使用可能である(ヒトの類似物として)と理解される。この線量計は、タンクの液体、固体又は気体内の種々の位置に移動させることができ、LINACから放出された放射線ビームの測定を行うために使用することができる。外部測定システムは、内部測定システム内に統合されない又はそれと接続されないので、コミッショニング及びQAは、測定を時間及び労力の過大なものにする複数の手作業ステップを含む。
【0005】
従来、LINACのコミッショニング及びQAは、従来型ファントムの正確な位置決めと、複数(例えば、100を超える)位置でのLINACの位置決めとを必要とする長い手作業のプロセスである。従来型ファントムは、タンク内の液体、固体、又は気体内で1又は2以上の軸に沿って線量計を移動させる。従来、コミッショニング及びQAのために、LINACはLINACコントローラによって位置決めされ、ファントムの線量計は、LINACコントローラに接続されていない従来型ファントムシステム(例えば、ハードウェア及びソフトウェア)によって位置決めされる。従来型ファントムシステムは線量計の位置のみを制御し、その線量計から、LINACから放出された放射線ビームの測定値を受け取る。従来型システムでは、測定が実施可能となる前にLINACとファントムを別々に正しい位置に移動させる必要があるため、長期にわたるセットアップ時間(例えば、最大で数時間)が生じる可能性がある。従来のセットアップ操作は、LINACを所定位置に移動させるステップ、タンクの原点をLINACのアイソセンタに位置合わせするステップ、可動部分を最小限に抑えるように水ファントムを方向付ける(例えば、アーム全体を移動させるy方向ではなく、線量計をアームに沿って移動させるx方向を用いる)ステップ、ハンドペンダントを介して粗い位置決めを提供するステップ、x及びy方向の微動とファントムの回転とによって最終的な微調整を提供するステップ、タンクを水平にしてビーム軸と位置合わせするステップ、線量計を切り替えた後などにアイソセンタ又は原点の内の少なくとも1つをリセットするステップ、の内の1又は2以上を含む。
【0006】
従来型ファントムシステムは、線量計の位置を制御し、放射線ビームの測定中に線量計を移動させることができる。従来型ファントムシステムはLINACを位置決めすることができず、放射線ビームの測定中にLINACを移動させることができないため、従来型システムは、深部線量百分率(PDD)及び軸外線量比(OCR)測定などの測定(例えば、放射線ビームを放出している間に線量計を動かして、放射線ビームの測定を行うこと)に制限される。一実施構成では、従来のシステムは、液体、固体、又は気体をファントムに手動で付加する又は除去することにより、組織ファントム線量比(TPR)測定を実行することができる。別の実施構成では、従来のシステムは、線量計を保持するアタッチメント(例えば、「鳥籠型」アタッチメント)をLINACに固定することによってTPR測定を実行することができる。LINACは、線量計とアタッチメントの少なくとも一部がタンク内の液体、固体、又は気体の中にあるように位置決めされる。LINACを手動で動かすとアタッチメント及び線量計も移動するので、線量計はタンク内の液体、固体、又は気体において種々の深さになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
LINACと従来型ファントムは別々に位置決めされ、測定の実行中はLINACが静止したままであるため、従来のシステムでは実行できない測定が複数存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、添付図面の図において、限定としてではなく、例として示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施構成による、BPMコントローラ及びBPMファントムを有するBPMシステムの構成要素を示す図である。
【
図2A】本開示の実施構成による、BPMファントムの図である。
【
図2B】本開示の実施構成による、BPMファントムの図である。
【
図2C】本開示の実施構成による、BPMファントムの図である。
【
図2D】本開示の実施構成による、BPMファントムの図である。
【
図2E】本開示の実施構成による、BPMファントムの図である。
【
図3A】本開示の実施構成による、ビームプロファイリングを実行する際に使用できるシステムの図である。
【
図3B】本開示の実施構成による、ビームプロファイリングを実行する際に使用できるシステムの図である。
【
図4A】本開示の実施構成による、BPMコントローラに接続されたLINACを用いて放出された放射線ビームのビームプロファイルを測定する方法の流れ図である。
【
図4B】本開示の実施構成による、BPMコントローラに接続されたLINACを用いて放出された放射線ビームのビームプロファイルを測定する方法の流れ図である。
【
図5A】本開示の実施構成による、BPMシステムで軸外線量比(OCR)測定を実行するステップを示す図である。
【
図5B】本開示の実施構成による、BPMシステムで軸外線量比(OCR)測定を実行するステップを示す図である。
【
図5C】本開示の実施構成による、BPMシステムで軸外線量比(OCR)測定を実行するステップを示す図である。
【
図5D】本開示の実施構成による、BPMシステムで軸外線量比(OCR)測定を実行するステップを示す図である。
【
図6A】本開示の実施構成による、BPMシステムで深部線量百分率(PDD)測定を実行するステップを示す図である。
【
図6B】本開示の実施構成による、BPMシステムで深部線量百分率(PDD)測定を実行するステップを示す図である。
【
図6C】本開示の実施構成による、BPMシステムで深部線量百分率(PDD)測定を実行するステップを示す図である。
【
図7A】本開示の実施構成による、BPMシステムで組織ファントム線量比(TPR)測定又は組織最大線量比(TMR)を実行するステップを示す図である。
【
図7B】本開示の実施構成による、BPMシステムで組織ファントム線量比(TPR)測定又は組織最大線量比(TMR)を実行するステップを示す図である。
【
図8A】本開示の実施構成による、BPMシステムで対角線ビーム測定を実行するステップを示す図である。
【
図8B】本開示の実施構成による、BPMシステムで対角線ビーム測定を実行するステップを示す図である。
【
図8C】本開示の実施構成による、BPMシステムで対角線ビーム測定を実行するステップを示す図である。
【
図9A】本開示の実施構成による、BPMシステムで回転スキャン測定を実行するステップを示す図である。
【
図9B】本開示の実施構成による、BPMシステムで回転スキャン測定を実行するステップを示す図である。
【
図9C】本開示の実施構成による、BPMシステムで回転スキャン測定を実行するステップを示す図である。
【
図10A】本開示の実施構成による、BPMシステムで矩形スキャン測定を実行するステップを示す図である。
【
図10B】本開示の実施構成による、BPMシステムで矩形スキャン測定を実行するステップを示す図である。
【
図11】本開示の実施構成による、BPMシステムで螺旋スキャン測定を実行するステップを示す図である。
【
図12】本開示の実施構成による、放射線治療を実行する際に使用できるシステムの図である。
【
図13】本開示の実施構成による、ガントリベースの強度変調放射線療法システムの図である。
【
図14】本開示の実施構成による、トモセラピー放射線療法システムの図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載するのは、BPMコントローラを用いることによってBPMファントムとLINACの双方を制御することで(例えば、BPMコントローラがBPMファントム及びLINACに操作可能に接続されることになる)、上記及び他の不具合に対処するBPMシステム及び使用方法である。BPMコントローラは、ハードウェア及びソフトウェア(例えば、対応するデバイスを制御し監視するアプリケーションソフトウェア)を介して、内部線量測定システムと外部線量測定システムとを統合する。BPMコントローラは、線量計及びLINACを位置決めし、移動中にLINACを用いて放射線ビームを放出しつつLINAC又は線量計の内の少なくとも1つの移動を実行し、移動中に線量計から放射線ビームの測定値を受け取ることができる。本明細書に開示するBPMシステムの実施構成の利点は、BPMコントローラを用いて線量計とLINACの両方を位置決めすることによってセットアップ時間を短縮すること(例えば、従来のBPMファントムシステムと比べ、本明細書に開示するBPMシステムは約10分のセットアップ時間を有するとすることができる)を含むことができる。他の利点は、例えば、放射線ビームを放出して測定を実行しつつLINAC又は線量計の内の少なくとも1つを移動することによって、本明細書で開示するBPMシステムで付加的な測定(例えば、従来のBPMファントムシステムと比べて)を実行することも含むことができる。他の利点は、オペレータに求められる知識及び技能をかなり低減させること、並びにより一貫した結果を生み出すことを含む。
【0011】
図1は、本開示の実施構成に従って、BPMコントローラ110及びBPMファントム120を有するBPMシステム100の構成要素を示す。BPMコントローラ110は、BPMファントム120及びLINAC130に接続される。LINAC130は、ロボットアーム140に取り付けられる(例えば、LINAC130はロボットベースである)。ロボットアーム140は、水平、垂直、対角線、螺旋、矩形、円形などの方向の内の1又は2以上にLINAC130を動かす。LINAC130は、BPMファントム120に放射線ビーム150を放出するように位置決めされる。
【0012】
代替の実施構成では、本明細書に記載する方法は、他タイプのファントム、他タイプのLINAC、及び他タイプのBPMシステムと共に使用することができる。一実施構成では、BPMシステム100は、フレームレスロボット放射線手術システム(例えば、CyberKnife(登録商標))に連結される。別の実施構成では、BPMシステム100はガントリベースのLINAC治療システムに連結され、その場合、例えばLINAC130が
図13のガントリベースシステム1300のガントリ1303に連結される。代わりに、BPMシステム100は、他タイプの放射線治療システム、例えば
図14に示すようなトモセラピーシステムと共に使用することができる。
【0013】
図2A~Eは、本開示の実施構成に従ってBPMファントム120の図を示す。本開示の実施構成に従って、
図2AはBPMファントム120の正面図であり、
図2Bは側面図であり、
図2Cは上面図であり、
図2Dは正面斜視図であり、そして
図2Eは背面斜視図である。BPMファントム120は、タンク210、線量計220、及び位置決めデバイス230を含む。
【0014】
タンク210は、LINAC130を用いて放射線ビーム150を放出して線量計220による測定を実行する間、液体(例えば、水)、固体、又は気体(例えば、ヒトの類似物として作用する)を含む。タンク210は、底壁、前壁、後壁、第1側壁、及び第2側壁を含む。タンク210の上面は開いている(例えば、上壁がない)。一実施構成では、タンク210は、約370ミリメートル(mm)の第2の高さ212(タンク210の底壁外面からタンク210の頂面まで)、約370mmの第2の深さ214(タンク210の前壁外面からタンク210の後壁の外面まで)、及び約320mmの第1の幅216(タンク210の第1側壁の外面からタンク210の第2側壁の外面まで)を有することができる。別の実施構成では、タンク210は、10インチx10インチx10インチ以下の外寸を有する場合がある。一実施構成では、タンク210は、約300mmの第2の高さ212を有する。
【0015】
線量計220は、イオン化室(電離箱)、リニアダイオード、検出器、ダイオード検出器などの内の1又は2以上である。一実施構成では、BPMファントム120は、垂直方向にのみ可動な線量計220を含む。
図2A~B及びD~Eは、線量計220の第1の位置222及び第2の位置224(例えば、2つの可能性のある位置)を表示している。一実施構成では、第1の位置222は、タンク210に対する線量計220の最大高さとすることができ、第2の位置224は、タンク210に対する線量計220の最小高さとすることができる。線量計220は、最大高さ(例えば、第1の位置222)から最小高さ(例えば、第2の位置224)までの何れかの位置に位置する。放射線ビーム150を放出して測定を実行する間、線量計220が液体、固体、又は気体に完全に浸るように、タンク210は液体、固体、又は気体で満たされる。放射線ビーム150を放出して測定を実行する間、線量計220は静止しているか、垂直方向に移動している(
図5A~11参照)。一実施構成では、線量計220は、タンク210の前面から線量計220の中心まで約160mmの第3の深さ229を有することができる(
図2C参照)。
【0016】
位置決めデバイス230を利用して、線量計を垂直方向に移動させる。位置決めデバイス230は、モータ付きキャリッジ、駆動軸、モータ、ベルト、駆動軸などの内の1又は2以上を含む。位置決めデバイス230は、軌道234に連結されたキャリッジ232を含み、軌道234はモータ236に連結される。一実施構成では、モータ236は、キャリッジ232を軌道234に沿って垂直方向に移動させるベルトに連結される。別の実施構成では、モータは、キャリッジ232を軌道234に沿って垂直方向に移動させる駆動軸に連結される。キャリッジ232は線量計220を固定する。キャリッジ232及び軌道234は、タンク210の内側に位置し、モータ236は、タンク210の外部に(例えば、上方に)位置する。モータ236は、トラック234に沿ってキャリッジ232を移動させる(例えば、これが線量計220を移動させる)。一実施構成では、位置決めデバイス230を用いて、線量計220をタンク210内の液体、固体、又は気体の上面より下方約15mmから約200mmまで移動させる。一実施構成では、位置決めデバイス230は、線量計220を1つの垂直軸に沿って移動させるだけであり、線量計220を1又は2以上の軸に沿って移動させる位置決めデバイスの場合より、タンク210内の液体、固体、又は気体の乱れ(例えば、水の波打ち、液体又は固体又は気体の表面の動き)が少ない。
【0017】
一実施構成では、BPMファントム120は、タンク210の底壁の外面から位置決めデバイス230(
図2A参照)の頂面まで約401mmの第1の高さ231と、タンク210の前壁の外面から位置決めデバイス230の背面(例えば、モータ236の背面、
図2C参照)まで約430mmの第1の深さ238とを有することができる。第1の位置222のキャリッジ232は、第1の位置222のキャリッジ232の頂部からタンク210の頂面まで約30mmの第3の高さを有することができる(
図2A参照)。第2の位置224のキャリッジ232は、第2の位置224のキャリッジ232の頂部から第1の位置222のキャリッジ232の頂部まで約200mmの第4の高さを有することができる(
図2A参照)。
【0018】
図3A~Bは、本開示の実施構成に従って、ビームプロファイリングを実行する際に使用できるシステムを示す。
【0019】
図3Aを参照すると、処理デバイス300は、BPMコントローラ110と接続される。BPM操作ソフトウェアは、処理デバイス300上で動作して、BPMコントローラ110を制御する。BPMコントローラ110は、BPMファントム120及びLINAC130に接続される(
図1)。BPMファントム120は、位置決めデバイス230及び線量計220を含む(
図2A~E参照)。具体的には、BPMコントローラ110は、LINAC130、位置決めデバイス230、及び線量計220に接続される(
図2A~E参照)。BPMコントローラ110は、BPMファントム120及びLINAC130に操作可能に接続され、BPMコントローラ110は、線量計220を第1の位置に位置決めし、LINAC130を第2の位置に位置決めし、第2の位置から第3の位置へLINAC130の第1の移動を実行し、第1の移動中にLINAC130を用いて放射線ビーム150を放出し、線量計220から第1の移動中の放射線ビーム150に関するイオン測定値を受け取る。
【0020】
プロセッサ300、BPMコントローラ110、又はLINAC130の内の1又は2以上が、1又は2以上の環境センサ320に接続される。BPMコントローラ110又はプロセッサ300は、1又は2以上の環境センサ320から1又は2以上の周囲圧力及び温度測定値を受け取る。BPMコントローラ110又はプロセッサ300は、1又は2以上の周囲圧力及び温度測定値を考慮して、線量計220から受け取った放射線ビーム150に関するイオン測定値を調整する。BPMコントローラ110又はプロセッサ300は、BPMシステムに対するLINAC130の1又は2以上の位置測定値(例えば、LINAC130とBPMコントローラ110間、LINAC130と処理デバイス300間、LINAC130とBPMファントム120間、LINAC130と位置決めデバイス230間、LINAC130と線量計220間の距離など)を1又は2以上の環境センサ320から受け取る。LINAC130の位置決めは、1又は2以上の位置測定値を考慮する。BPMコントローラ110は、1又は2以上の環境センサ320からの位置測定値を考慮して、BPMファントム120及びLINAC130のセットアップを実行することができる。
【0021】
環境センサ320は、圧力センサ、温度センサ、気圧温度センサ、GPS圧力温度センサ、並びに圧力及び温度(例えば、供給温度及び圧力)、各構成要素の相対的な存在(例えば、LINAC130とBPMコントローラ110間、LINAC130と処理デバイス300間、LINAC130とBPMファントム120間、LINAC130と位置決めデバイス230間、LINAC130と線量計220間の距離など)、構成要素のレベリング情報(例えば、LINAC130が水平かどうか、BPMファントム120が水平かどうか、線量計220が水平かどうか、位置決めデバイス230が水平かどうかなど)、第2の構成要素に対する第1の構成要素のレベリング情報(例えば、LINAC130の表面がBPMファントム120の表面に平行であるかどうかなど)などを測定するセンサ、の内の1又は2以上を含むことができる。処理デバイス300、BPMコントローラ110、又はLINAC130に繋がるインタフェースに接続されたマイクロコントローラに、環境センサ320を接続することができる。デジタル信号は、±1ヘクトパスカル(hPa)(ミリバール(mbar))の絶対圧力精度と温度に関して0.5摂氏度(C)の精度とを有することができ、0.02%のセンチグレイ(cGy)誤差推定量を有するとすることができる。
【0022】
図3Bを参照すると、処理デバイス300は、BPMコントローラ110、環境センサ320、及び電位計310に接続される。BPM操作ソフトウェアは、処理デバイス300上で動作して、BPMコントローラ110及び電位計310を制御する。
【0023】
電位計310は、BPMファントム120の線量計220と接続される。電位計310は、線量計220が検出したイオン化量を増幅する。電位計310は、外部デバイス制御用のハードウェアインタフェース(イーサネットインタフェース、RS-232Cインタフェースなど)と、デバイスのセットアップ、デバイスの制御、測定値のモニタに使用できるコマンドセットを指定するプロトコル(例えば、ソフトウェア)とを提供する。一実施構成では、ソフトウェア・アプリケーションプログラミングインタフェース(API)が、プロトコルのコマンドセットの内の1又は2以上を実行する場合がある。電位計310の高電圧検知(正又は負)は、高電圧検知の変更を必要とする活動(例えば、TG-51)を完全に自動化できるように、自動的に変更することができる(例えば、手動では切り替えられない)。電位計310は、電位計310の電圧の電圧振幅及び符号を(例えば、TG-51が要求するとおりに)変更する(例えば、検知を含めて電位計高電圧を設定する)ことを可能にすることができる。
【0024】
BPMコントローラ110は、BPMファントム120の位置決めデバイス230と、LINAC130に接続される。一実施構成では、BPMコントローラ110は、LINAC130と接続されたLINACコントローラ320に繋がれる。LINACコントローラ320は、LINAC130の位置、LINAC130を用いた放射線ビーム150の放出、LINAC130の移動などの内の1又は2以上を制御する。BPMコントローラ110は、LINACコントローラ320を介してLINAC130を制御する。BPMコントローラ110は、BPMファントム120及びLINAC130に操作可能に接続され、その場合、BPMコントローラ110は、線量計220を第1の位置に位置決めし、LINAC130を第2の位置に位置決めし、第2の位置から第3の位置へLINAC130の第1の移動を実行し、第1の移動中にLINAC130を用いて放射線ビーム150を放出し、線量計220から、第1の移動中の放射線ビーム150に関するイオン測定値を受け取る。BPMコントローラ110は、処理デバイス300及び電位計310を介してイオン測定値を受け取る。
【0025】
一実施構成形態では、処理デバイス300は、OCR、PDD、TPR、TMR、対角線ビーム、回転スキャン、矩形スキャン、螺旋スキャン、タスクグループ51(TG-51)、タスクグループ135(TG-135)などの内の1又は2以上を含めて、種々の測定の完全にソフトウェア制御された(手動で実行されない)データ収集を実行することができる。処理デバイス300は、異なるコリメータのサイズ及びタイプがLINAC130に接続される場合、異なる測定を実行することができる。処理デバイス300は、放射線ビーム150のデータ収集を自動化するために、ロボットアーム140、LINAC130、線量計220、位置決めデバイス230、及び環境センサ320の制御を単一のプロセスに統合している場合がある。処理デバイス300は、BPMファントム120(例えば、線量計220及び位置決めデバイス230)とLINACシステム(例えば、ロボットアーム140及びLINAC130)との間に通信を提供することができる。データ収集は、線量測定活動(例えば、現場の物理士によって実行される、LINACの製造業者によって実行されるなど)をカプセル化する自動線量測定とすることができる。
【0026】
一実施構成では、BPM操作ソフトウェアは、線量を測定するためのグラフィカルユーザインタフェース(GUI)、線量を較正するための第1のコマンドラインユーティリティ、並びに線量の一貫性を測定するための第2のコマンドラインユーティリティを含む。GUIは、LINAC130を操作するためのソフトウェアアプリケーションの拡張とすることができる。GUIは、電位計310及び環境センサ320に対するサポートを含むことができる。環境センサ320を使用してもよいし、又は温度及び圧力値を手動で入力してもよい。GUIの初期化に際して、電位計310が適切にセットアップされる。放射線ビーム150が送出されている時に、GUIは、放射線ビーム150の線量の内部測定量と、放射線ビーム150の線量の外部(基準)測定量(例えば、線量計220に接続された電位計310で測定された時の線量)とを表示する。GUIはまた、内部線量測定値と基準線量測定値の絶対的及び相対的な差(誤差)も表示する。
【0027】
第1のコマンドラインユーティリティは、10、30、50、100、及び200公称モニタ単位数(MU)(線量計220によって測定されるようなLINAC130からの機械出力の尺度)を運転し、電位計310が報告するものを測定する。一旦測定が完了すると、第1のコマンドラインユーティリティは、各線量チャネルに対するモデルパラメータ(例えば、ゲイン)を計算し、対応するデータファイルにモデルパラメータを保存する。第1のコマンドラインユーティリティは、線量の較正を自動的に(例えば、手動ではなく)実行する。
【0028】
第2のコマンドラインユーティリティは、送出前の条件が変わった時に線量の一貫性を試験する。線量測定は、測定が始まる前のLINAC130の状態に依存する。例えば、測定は、高電圧(例えば、高電圧及び放射線ビーム150)が作動したかどうかに依存する場合がある。測定値はまた、第1の放射線ビームを放射してから第2の放射線ビームを放射するまでの期間の長さに依存する。第2のコマンドラインユーティリティは、LINAC130、内部線量測定システム(LINAC130に接続された撮像システム)又は外部(基準)線量測定システム(BPMシステム100)が誤作動しているかどうかを判定することができる。試験手順は、LINAC130が較正されていること、並びに機器が適切にセットアップされていることを検証するステップ、ビーム間の遅延なしで連続する20個の放射線ビーム(各100cGy)を運転するステップ、高電圧及び放射線ビームをオフの状態で2時間待機するステップ、ビーム間の遅延なしで連続する20個の放射線ビーム(各100cGy)を運転するステップ、高電圧オン及びビームオフの状態で2時間待機するステップ、ビーム間の遅延なしで連続する20個の放射線ビーム(各100cGy)を運転するステップ、並びに高電圧オン及びビームオンの状態で2時間待機するステップを含むことができる。試験手順は、20個の放射線ビームを4回連続運転し、2時間の遅延を3回有する。各遅延は、高電圧及び放射線ビームに関する種々の条件を有し、それぞれの遅延に続く各測定値は異なる絶対誤差(cGy)を有する可能性があるため、遅延中の条件が測定値に影響する場合がある。
【0029】
図4Aは、本開示の実施構成に従って、BPMコントローラ110に接続されたLINAC130を用いて放出される放射線ビーム150のビームプロファイルを測定する方法400の流れ図を示す。方法400は、LINAC130が放射線をBPMファントム120に送出する時のビームプロファイル測定に関して記述される。しかしながら、方法400はまた、放射線を放出する他のシステムによって、詳細にはBPMコントローラ110に接続可能な他のシステムによってBPMファントム120に放出された放射線を判定するために使用できることも理解されたい。方法400は、ハードウェア(例えば、回路、専用ロジック、プログラマブルロジック、マイクロコードなど)、ソフトウェア(例えば、ハードウェアシミュレーションを行うために処理デバイス上で実行される命令)、又はそれらの組合せを含む処理ロジックによって実行することができる。
【0030】
ブロック405で、処理ロジックは、BPMファントム120及びLINAC130に操作可能に接続されたBPMコントローラ110を用いて、BPMファントム120の線量計220を第1の位置に位置決めする。処理ロジックは、位置決めデバイス230を用いて線量計220を位置決めする(
図2A~E参照)。処理ロジックは、モータ236に対して、キャリッジ232及び線量計220を第1の位置へ移動させる。
【0031】
ブロック410で、処理ロジックは、BPMコントローラ110を用いてLINAC130を第2の位置に位置決めする。処理ロジックは、ロボットアーム140(
図1参照)又はLINACコントローラ320(
図3B参照)を用いてLINAC130を位置決めする。
【0032】
ブロック415で、処理ロジックは、BPMコントローラ110を用いて、第2の位置から第3の位置へLINAC130の第1の移動を実行する。第2の位置から第3の位置へは、水平方向(
図5A~C参照)、垂直方向(
図7A~B参照)、水平対角線方向(
図8Aを参照)、水平回転方向(
図9A参照)、水平矩形方向(
図10A参照)、又は水平螺旋方向(
図11参照)とすることができる。第2の位置と第3の位置は同じ位置でもよい(放出の間、LINACは静止している;
図6A~B参照)。
【0033】
ブロック420で、処理ロジックは、(例えば、ブロック415の)第1の移動中に、LINAC130から放射線ビーム150を放出する。放射線ビーム150の放出中、線量計220は静止していても、垂直方向に移動していてもよい。
【0034】
ブロック425で、処理ロジックは、線量計220によって、(例えば、ブロック420の)放出中に放射線ビーム150に関するイオン測定を実行する。一実施構成では、処理ロジックは、LINAC130又はBPMシステム100に統合される又は独立型とすることのできる1又は2以上のセンサ(例えば、圧力センサ、温度センサ、温度及び圧力測定用センサなど)に繋ぐことができる。処理ロジックは、イオン測定(ブロック425)並びに1又は2以上の圧力及び温度測定値を考慮して、放射線ビーム150の調整されたイオン測定値を決定することができる。
【0035】
一実施構成では、第1の移動の実行(ブロック415)は、LINAC130を水平方向に移動させるステップを含むことができ、その場合、放出(ブロック420)中は線量計220が静止している(
図5参照)。
【0036】
一実施構成では、第2の位置と第3の位置は同じ位置であり(例えば、LINAC130は静止している)、方法400は、BPMコントローラ110を用いて、垂直方向に第1の位置から第4の位置へ線量計220の第2の移動を実行するステップを更に含むことができ、LINAC130からの放射線ビーム150の放出(ブロック420)は、第2の移動中である(
図6参照)。
【0037】
一実施構成では、第1の移動の実行(ブロック415)は、LINACを垂直方向に移動させるステップを含むことができ、方法400は、処理ロジックがBPMコントローラ110を用いて、垂直方向に第1の位置から第4の位置へ線量計220の第2の移動を実行するステップを更に含むことができ、その場合、LINAC130からの放射線ビーム150の放出(ブロック420)は第1の移動と第2の移動の間であり、第1の移動と第2の移動は同時で且つ実質的に等しく、並びにBPMファントム120は放出中静止しているタンク210を含む(ブロック420)(
図7参照)。
【0038】
一実施構成では、第1の移動の実行(ブロック415)は、1又は2以上の水平対角線方向にLINAC130を移動させるステップを含むことができ、その場合、放出(ブロック420)中は線量計220が静止しており、その放出(例えば、放出物)は照射野を形成し、イオン測定の実行(ブロック425)は、照射野の複数角度における複数の軸外線量比(OCR)測定値を丸形の照射野と比較するステップを含む(例えば、それらの比較を含む)(
図8参照)。
【0039】
一実施構成では、第1の移動の実行(ブロック415)は、円形方向にLINAC130を移動させるステップを含むことができ、その場合、放出(ブロック420)中は線量計220が静止しており、その放出は照射野を形成し、イオン測定の実行(ブロック425)は、照射野の第1の縁部を丸形照射野の第2の縁部と比較するステップを含む(例えば、それらの比較を含む)(
図9参照)。
【0040】
一実施構成では、第1の移動の実行(ブロック415)は、矩形方向にLINAC130を移動させるステップを含むことができ、その場合、放出(ブロック420)中は線量計220が静止しており、その放出は照射野を形成し、イオン測定は矩形照射野の縁部である(
図10参照)。
【0041】
一実施構成では、第1の移動の実行(ブロック415)は、LINAC130を螺旋方向に移動させるステップを含むことができ、その場合、放出中は線量計220が静止している(ブロック420)(
図11参照)。
【0042】
上述の操作は、放出された放射線ビーム150のビームプロファイルを測定する一方法に過ぎず、代替実施構成では、
図4Aの操作の内の特定のものは任意選択である、又はより簡単な形をとる場合があることに留意されたい。
【0043】
図4Bは、本開示の実施構成に従って、BPMコントローラ110に接続されたLINAC130を用いて放出される放射線ビーム150のビームプロファイルを測定する方法430の流れ図を示す。方法430は、LINAC130がBPMファントム120に放射線を送出する時のビームプロファイル測定に関して記述される。しかしながら、方法430はまた、放射線を放出する他のシステムによって、詳細にはBPMコントローラ110に接続可能な他のシステムによってBPMファントム120に放出された放射線を判定するために使用できることも理解されたい。方法430は、ハードウェア(例えば、回路、専用ロジック、プログラマブルロジック、マイクロコードなど)、ソフトウェア(例えば、ハードウェアシミュレーションを行うために処理デバイス上で実行される命令)、又はそれらの組合せを含む処理ロジックによって実行することができる。一実施構成では、方法430は、
図3A又は3Bの処理デバイス300上で動作するBPM操作ソフトウェアによって実行される。
【0044】
ブロック435で、処理ロジックは、BPMコントローラ110に、LINAC130を第2の位置(例えば、測定位置)に位置決めするための第1のコマンドを送信する。BPMコントローラ110は、LINACコントローラ320(例えば、ロボットコントローラ)に、LINAC130を第2の位置に位置決めするための第1のコマンドを送信する。LINAC130は、LINACコントローラ320が第1のコマンドを受信するのに応じて、第2の位置に位置決めされる。
【0045】
ブロック440で、処理ロジックは、BPMコントローラ110から、LINAC130が第2の位置に移動したという第1の指示を受信する。第1の指示は、LINACコントローラ320からBPMコントローラ110によって受信される。
【0046】
ブロック445で、処理ロジックは、BPMコントローラ110に、BPMファントム120の線量計220を第1の位置(例えば、測定位置)に位置決めするための第2のコマンドを送信する。BPMコントローラ110は、BPMファントム120(例えば、位置決めデバイス230)に、線量計220を第1の位置に位置決めするための第2のコマンドを送信する。線量計220は、BPMファントム120が第2のコマンドを受信するのに応じて、第1の位置に位置決めされる。
【0047】
ブロック450で、処理ロジックは、BPMコントローラ110から、線量計220が第2の位置に移動したという第2の指示を受信する。第2の指示は、BPMファントム120からBPMコントローラ110によって受信される。
【0048】
ブロック455で、処理ロジックは、線量計220に接続された電位計310から、線量計220によって決定されたイオン化値を受信する。イオン化値は、BPMコントローラ110を用いて第2の位置から第3の位置へLINAC130の第1の移動を行う間に、LINAC130から放射線ビーム150の放出中に線量計220によって実行されたイオン測定値である。
【0049】
ブロック460で、処理ロジックは、イオン化値を含むグラフを生成する。一実施構成では、イオン化値は更に、温度測定値又は圧力測定値の内の少なくとも一方を考慮したものとすることができる。その温度測定値又は圧力測定値の内の少なくとも一方は、LINAC130又はBPMシステム100に統合される又は独立型とすることのできる1又は2以上のセンサ(例えば、圧力センサ、温度センサ、温度及び圧力測定用センサなど)から処理ロジックによって受信されるとすることができる。
【0050】
上述の操作は、放出された放射線ビーム150のビームプロファイルを測定する一方法に過ぎず、代替実施構成では、
図4Bの操作の内の特定のものは任意選択である、又はより簡単な形をとる場合があることに留意されたい。
【0051】
図5A~11は、本開示の実施構成に従って、BPMシステム100で種々のビームプロファイル測定を実行するステップを示す。一部の態様では、LINACのコミッショニング及びQAビームデータは、
図5A~11のビームプロファイル測定の内の1又は2以上によって取得される。
図5A~11のビームプロファイル測定は、以下の内の1又は2以上に従うとすることができる:タスクグループ51(米国医学物理学会(AAPM)の放射線治療委員会のTG-51;高エネルギ光子及び電子ビームの臨床基準線量に関するプロトコル)、技術報告第398号(国際原子力機関(IEAA)、世界保健機関(WHO)、汎米保健機構(PAHO)、及び欧州放射線治療腫瘍学会(ESTRO)が主催するTRS-398;外部ビーム放射線治療における吸収線量決定;水に対する吸収線量基準に基づく線量測定に関する国際的な作業標準)。タスクグループ106(LINACから放出される放射線ビーム150のビームデータセットの正しい測定に関する、AAPMの放射線治療委員会のTG-106)など。本明細書に開示する実施構成は、TG-51、TRS-398、及びTG-106のガイドラインだけでの使用に限定されない。
【0052】
図5A~Dは、本開示の実施構成に従って、BPMシステム100で軸外線量比(OCR)測定を実行するステップを示す。
【0053】
図5Aは、LINAC130が第1の移動を行い、線量計220が静止している(例えば、タンク210内の液体、固体、又は気体の表面から線量計220まで15mm、50mm、100mm、200mm、250mm、300mmなどの深さの内の1つで)間に、LINAC130がBPMファントム120に放射線ビーム150を放出するところの側面図であり、
図5Bは正面図であり、
図5Cは底面図である。
【0054】
BPMコントローラ110は、線量計220を第1の位置に位置決めし、LINAC130を第2の位置に位置決めし、第2の位置から第3の位置へLINAC130の第1の移動を実行し、第1の移動中にLINAC130から放射線ビーム150を放出し、線量計220によって、放出中の放射線ビーム150に関するイオン測定を実行する。OCR測定(
図5A~D)の実行において、第1の移動の間、線量計220は静止したままであり、第1の移動は1又は2以上の水平方向の移動である。第1の移動は、LINAC130が第1の水平方向510(例えば、タンク210の前面及び背面に実質的に垂直、タンク210の第1側面及び第2側面に実質的に平行)に移動するステップ、又は第2の水平方向520(例えば、タンク210の第1側面及び第2側面に実質的に垂直、タンク210の前面及び背面に実質的に平行)に移動するステップの内の1又は2以上を含む。
【0055】
図5Dは、本開示の実施構成による、1又は2以上のOCR測定に関するビームプロファイルグラフ530である。スキャニングの方向は、第1の水平方向510又は第2の水平方向520の内の1又は2以上である。相対百分率は、線量計220によって検出された放射線の量の、LINAC130によって放出された放射線の量に対する比である。ビームプロファイルグラフ530は釣鐘形曲線である。一実施構成では、ビームプロファイルグラフ530は、線量計220とLINAC130間の0mmオフセットで約100%の相対百分率を有することができる(例えば、LINAC130を用いて放出された放射線ビーム150は線量計220と直接一致する。)。ビームプロファイルグラフ530は、20mmオフセットで約90%の相対百分率、30mmオフセットで約70%の相対百分率、40mmオフセットで約5%の相対百分率などを有する可能性がある(例えば、オフセットは、LINAC130を用いて放射される放射線ビーム150の中心と線量計220の中心との距離である)。
【0056】
図6A~Cは、本開示の実施構成に従って、BPMシステム100で深部線量百分率(PDD)測定を実行するステップを示す。PDD測定値は、或る深さでの放射線ビーム150の第1の吸収線量の、一定の基準深さ(例えば、最大線量の)での放射線ビーム150の第2の吸収線量に対する比である。PDD測定値は、深さ「d」での線量を最大深さ「dmax」(例えば、最大線量に対応する基準深さ)での線量で割って計算される。PDD測定には、一定の線源表面間距離(SSD)を使用することができる。タンク210の位置及びタンク210内の液体、固体、又は気体の量は、BPMシステム100を用いたPDD測定の実行中、一定のままである。
【0057】
図6Aは、LINAC130が静止して(例えば、LINAC130は第2の位置から第3の位置への第1の移動を行い、その場合、第2の位置と第3の位置は同じ位置である)線量計220が第2の移動を実行する間に、LINAC130がBPMファントム120に放射線ビーム150を放出するところの側面図であり、
図6Bは正面図である。
【0058】
BPMコントローラ110は、線量計220を第1の位置に位置決めし、LINAC130を第2の位置に位置決めし、第1の位置から第4の位置へ線量計220の第2の移動を実行し、第2の移動中にLINAC130から放射線ビーム150を放出し、線量計220によって、放出中の放射線ビーム150に関するイオン測定を実行する。PDD測定(
図6A~C)の実行において、LINAC130は、この第2の移動の間、静止したままであり(例えば、第2の位置から第3の位置への第1の移動を行い、その場合、第2の位置と第3の位置は同じ位置である)、第2の移動は垂直方向移動610である。PDD測定の実行において、タンク210は静止したままでもよい。
【0059】
図6Cは、本開示の実施構成による、1又は2以上のPDD測定に関するビームプロファイルグラフ620である。スキャニングの方向は垂直方向移動610である。相対百分率は、線量計220によって検出された放射線の量の、LINAC130によって放出された放射線の量の比である。一実施構成では、線量計220がその最大高さから約0mmのオフセットを有する(例えば、線量計220が第1の位置222にある、
図2A~B及び2D~Eを参照)時に、ビームプロファイルグラフ620は約55%の相対百分率を有する可能性がある。ビームプロファイルグラフ620は、15mmオフセットで約100%、50mmで約82%、100mmで約60%、150mmで約42%、200mmで約30%などの相対百分率を有する可能性がある。
【0060】
図7A~Bは、本開示の実施構成に従って、BPMシステム100で組織ファントム線量比(TPR)測定又は組織最大線量比(TMR)測定を実行するステップを示す。TPR又はTMRは、線源検出器間距離(例えば、LINAC130から線量計220までの距離)を一定に保ち、BPMファントム120内での線量計220の深さを変えることにより測定される。TPR(例えば、TPR20/10)は、ファントム内の所与の点における放射線ビーム150の第1の吸収線量の、一定の基準深さ(例えば、5cm、10cm)での同じ点における放射線ビーム150の第2の吸収線量に対する比である。TMRは、放射線ビーム150の最大線量に対応する基準深さを有するTPRである。TPR及びTMRは、一定の表面軸間距離(SAD)で測定される。タンク210の位置及びタンク210内の液体、固体、又は気体の量は、TPR又はTMR測定の実行中、一定のままである。線量計220は、LINAC130によってではなく位置決めデバイス230によって移動する(例えば、線量計220は、LINACに固定されるアタッチメント(「鳥籠型アタッチメント」)に収容されない)。
【0061】
図7Aは、LINAC130が第1の移動を行って線量計220が第2の移動を実行する間に、LINAC130がBPMファントム120に放射線ビーム150を放出するところの側面図であり、
図7Bは正面図である。
【0062】
BPMコントローラ110は、線量計220を第1の位置に位置決めし、LINAC130を第2の位置に位置決めし、第2の位置から第3の位置へLINAC130の第1の移動を実行し、第1の位置から第4の位置へ線量計の第2の移動を実行し、第1の移動及び第2の移動の間にLINAC130から放射線ビーム150を放出し、線量計によって、放出中の放射線ビーム150に関するイオン測定を実行する。PDD測定(
図7A~B)の実行において、第1の移動は第1の垂直方向710であり、第2の移動は第2の垂直方向720であり、第1の移動と第2の移動は同時で且つ実質的に等しく(例えば、第1及び第2の移動は、実質的に同じ時間で並びに実質的に同じ速度で実質的に同じ距離に亘り)、放出の間、タンク210は静止している。
【0063】
図8A~Cは、本開示の実施構成に従って、BPMシステム100で対角線スキャン測定を実行するステップを示す。
【0064】
図8Aは、LINAC130が第1の移動を行って線量計220が静止している間に、LINAC130がBPMファントム120に放射線ビーム150を放出するところの底面図である。
【0065】
BPMコントローラ110は、線量計220を第1の位置に位置決めし、LINAC130を第2の位置に位置決めし、第2の位置から第3の位置へLINAC130の第1の移動を実行し、第1の移動中にLINAC130から放射線ビーム150を放出し、線量計220によって、放出中の放射線ビーム150に関するイオン測定を実行する。対角線スキャン測定(
図8A)の実行において、第1の移動の間、線量計220は静止したままであり、第1の移動は1又は2以上の水平対角線移動である。第1の移動は、LINAC130が1又は2以上の水平対角線方向(例えば、第1の対角線方向810a、第2の対角線方向810bなど(以下、対角線方向810))に移動するステップを含む。一実施構成では、対角線スキャン測定を実行することにより、十二角形照射野(例えば、LINAC130に対してIrisコリメータを使用する場合)の複数角度におけるOCRを検証することができ、十二角形照射野の或る角度でのOCRを丸形の照射野と比較することができる。
【0066】
図8Bは、種々の角度での対角線スキャンを含む十二角形の照射野を示す。十二角形の照射野は、第1の角度での対角線スキャン820a、第2の角度での対角線スキャン820bなどを含む。
【0067】
図8Cは、種々の角度での対角線スキャンを含む丸形(例えば円形)の照射野を示す。丸形の照射野は、第1の角度820aでの対角線スキャン、第2の角度820bでの対角線スキャンなどを含む。
【0068】
図8Bの十二角形照射野の1又は2以上の角度におけるOCR測定値を
図8Cの丸形照射野と比較して、LINAC130により放出される放射線ビーム150の整合性を判定する。
【0069】
図9A~Cは、本開示の実施構成に従って、BPMシステム100で回転スキャン測定を実行するステップを示す。
【0070】
図9Aは、LINAC130が第1の移動を行って線量計220が静止している間に、LINAC130がBPMファントム120に放射線ビーム150を放出するところの底面図である。
【0071】
BPMコントローラ110は、線量計220を第1の位置に位置決めし、LINAC130を第2の位置に位置決めし、第2の位置から第3の位置へLINAC130の第1の移動を実行し、第1の移動中にLINAC130から放射線ビーム150を放出し、線量計220によって、放出中の放射線ビーム150に関するイオン測定を実行する。回転スキャン測定(
図9A)の実行において、第1の移動の間、線量計220は静止したままであり、第1の移動は水平面内で実質的に円形である。第1の移動は、LINAC130が水平円形方向(例えば、円形方向910)に移動するステップを含む。一実施構成では、回転スキャン測定を実行することにより、十二角形照射野(例えば、LINAC130にIrisコリメータを使用する場合)の縁部を検証することができ、十二角形照射野の縁部を丸形照射野と比較することができる。
【0072】
図9Bは、回転スキャン920を含む十二角形の照射野を示す。
図9Cは、回転スキャン920を含む丸形(例えば円形)の照射野を示す。
図9Bの十二角形照射野の縁部を
図9Cの丸形照射野と比較して、LINAC130により放出される放射線ビーム150の整合性を判定する。
【0073】
図10A~Bは、本開示の実施構成に従って、BPMシステム100で矩形スキャン測定を実行するステップを示す。
【0074】
図10Aは、LINAC130が第1の移動を行って線量計220が静止している間に、LINAC130がBPMファントム120に放射線ビーム150を放出するところの底面図である。
【0075】
BPMコントローラ110は、線量計220を第1の位置に位置決めし、LINAC130を第2の位置に位置決めし、第2の位置から第3の位置へLINAC130の第1の移動を実行し、第1の移動中にLINAC130から放射線ビーム150を放出し、線量計220によって、放出中の放射線ビーム150に関するイオン測定を実行する。矩形スキャン測定(
図10A)の実行において、第1の移動の間、線量計220は静止したままであり、第1の移動は水平面内で実質的に矩形である。第1の移動は、LINAC130が水平矩形方向(例えば、矩形方向1010)に移動するステップを含む。
【0076】
図10Bは、矩形スキャン1020(例えば、照射野の縁部のスキャンなど)を含む矩形の照射野(例えば、放射線ビーム150の放出によって形成される)を示す。一実施構成では、矩形スキャン測定を実行することにより、矩形照射野の縁部(例えば、LINAC130に対してマルチリーフコリメータ(MLC)コリメータを使用する場合)を検証することができる。
【0077】
図11は、本開示の実施構成に従って、BPMシステム100で螺旋スキャン測定を実行するステップを示す。
【0078】
図11は、LINAC130が第1の移動を行って線量計220が静止している間に、LINAC130がBPMファントム120に放射線ビーム150を放出するところの底面図である。
【0079】
BPMコントローラ110は、線量計220を第1の位置に位置決めし、LINAC130を第2の位置に位置決めし、第2の位置から第3の位置へLINAC130の第1の移動を実行し、第1の移動中にLINAC130から放射線ビーム150を放出し、線量計によって、放出中の放射線ビーム150に関するイオン測定を実行する。矩形スキャン測定(
図11A)の実行において、第1の移動の間、線量計220は静止したままであり、第1の移動は水平面内で実質的に螺旋(例えば、渦巻など)である。第1の移動は、LINAC130が水平螺旋方向(例えば、螺旋方向1110)に移動するステップを含む。
【0080】
図12は、本開示の実施構成に従って、放射線治療を実行する際に使用できるシステムを示す。これらのシステムを用いて、例えば、前述の方法を実行することができる。以下に記載し
図12に示すように、システム1200は、BPMシステム100と治療送達システム1215とを含むことができる。
【0081】
BPMシステム100は、ビームプロファイル測定値を生成し修正するために処理デバイス1240を含む。一実施構成では、処理デバイスは、
図3A又は
図3Bの処理デバイス300と同じとすることができる。処理デバイス1240は、1又は2以上の汎用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、デジタル信号プロセッサ(DSP)などの専用プロセッサ、或いはコントローラ又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの他タイプのデバイスを表すとすることができる。処理デバイス1240は、本明細書で論じる動作を生成しながらビームプロファイル測定を行うための命令を実行するように構成することができる。
【0082】
BPMシステム100はまた、情報と処理デバイス1240が実行する命令とを保存するために、バス1286によって処理デバイス1240に接続された、ランダムアクセスメモリ(RAM)を含むことのできるシステムメモリ1235又は他の動的記憶デバイスを含むことができる。システムメモリ1235はまた、処理デバイス1240による命令の実行中に一時変数又は他の中間情報を保存するために使用することができる。システムメモリ1235はまた、静的情報と処理デバイス1240に対する命令とを保存するために、バスに接続された読出し専用メモリ(ROM)又は他の静的記憶デバイスの内の少なくとも1つを含むことができる。
【0083】
BPMシステム100はまた、情報及び命令を保存するためにバス1286に接続された1又は2以上の記憶デバイス(例えば、磁気ディスクドライブ又は光ディスクドライブ)を表す記憶デバイス1245を含むことができる。記憶デバイス1245は、本明細書で論じるビームプロファイル測定ステップを実行するための命令を保存するために使用することができる。
【0084】
処理デバイス1240はまた、情報(例えば、
図5Dのビームプロファイルグラフ、
図6Cのビームプロファイルグラフなど)をユーザに表示するために、陰極線管(CRT)又は液晶ディスプレイ(LCD)などの表示デバイスに接続することができる。キーボードなどの入力デバイス1255は、情報又はコマンド選択の内の少なくとも1つを処理デバイス1240に伝達するために処理デバイス1240に接続することができる。1又は2以上の他のユーザ入力デバイス(例えば、マウス、トラックボール又はカーソル方向キー)もまた、方向情報を伝達し、処理デバイス1240用のコマンドを選択し、ディスプレイ1250上のカーソル移動を制御するために使用することができる。処理デバイス1240は、バス1286又は他タイプの制御及び通信インタフェースによってシステムメモリ1235、記憶デバイス1245、表示デバイス1250、及び入力デバイス1255に接続することができる。
【0085】
一実施構成では、入力デバイス1255はユーザからの入力を受信して、1又は2以上のビームプロファイリング測定(例えば、コミッショニングのために、QAのためになど)を実行することができる。処理デバイス1240はコマンドをBPMコントローラ110に送信して、1又は2以上のビームプロファイリング測定を実行することができる。BPMコントローラ110は、線量計220を第1の位置に位置決めし、LINAC130を第2の位置に位置決めし、第2の位置から第3の位置へLINAC130の第1の移動を実行し、第1の移動中にLINAC130を用いて放射線ビーム150を放出することができる。処理デバイス1240は、第1の移動中に放射線ビーム150に関するイオン測定値を線量計220から(例えば、BPMコントローラ110(
図3A参照)を介して、電位計310(
図3B参照)を介してなど)受け取ることができる。処理デバイス1240は、表示デバイス1250を介して表示されるイオン測定からの情報(例えば、
図5Dのビームプロファイルグラフ530、
図6Cのビームプロファイルグラフ620など)を生成することができる。
【0086】
BPMシステム100は、そのデータベース(例えば、記憶装置1245に保存されたデータ)を治療送達システム104と共有することができるので、治療送達前に治療計画システムからエクスポートする必要はないとすることができる。BPMシステム100は、一実施構成では直接リンク、LANリンク、又はWANリンクとすることのできるデータリンク1290を介して治療送達システム1215に繋ぐことができる。
【0087】
一実施構成では、治療送達システム1215は、標的体積(例えば、患者、BPMファントム120など)に処方放射線量(例えば、放射線ビーム150)を投与するために、治療又は手術用の放射線源1260(例えば、LINAC130)の内の1又は2以上を含む。治療送達システム1215はまた、コーンビームCTなどのコンピュータ断層撮影(CT)を実行することができ、撮像システム1265によって生成された画像は2次元(2D)又は3次元(3D)とすることができる。
【0088】
治療送達システム1215はまた、放射線源1260を制御し、BPMシステム100からデータを受信して処理し、治療寝台1275などの患者支持デバイスを制御するために処理デバイス1270を含むこともできる。処理デバイス1270は、1又は2以上の汎用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、デジタル信号プロセッサ(DSP)などの専用プロセッサ、或いはコントローラ又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの他タイプのデバイスを含むことができる。処理デバイス1270は、LINAC130を位置決めする命令を実行するように構成することができる。
【0089】
治療送達システム1215はまた、情報と処理デバイスが実行する命令とを保存するために、処理デバイスに接続されたランダムアクセスメモリ(RAM)などのシステムメモリ又は他の動的記憶デバイスを含むことができる。システムメモリ1235はまた、処理デバイス1270又は処理デバイス1240による命令(例えば、BPMシステム100から受信された命令)の実行中に一時変数又は他の中間情報を保存するために使用することができる。システムメモリはまた、静的情報と処理デバイスの命令とを保存するために、読出し専用メモリ(ROM)又は他の静的記憶デバイスの内の1又は2以上を含むことができる。
【0090】
治療送達システム1215はまた、情報及び命令(例えば、BPMシステム100から受信された命令)を保存するために1又は2以上の記憶デバイス(例えば、磁気ディスクドライブ又は光ディスクドライブ)を表す記憶デバイスを含むことができる。処理デバイス1270は、バス1292又は他タイプの制御及び通信インタフェースによって放射線源1260及び治療寝台1275に接続することができる。
【0091】
処理デバイス1270は、放射線源1260によって送達される放射線治療ビームとのターゲットの位置合わせを維持するために、診断用X線撮像のタイミングを管理する方法を実施することができる。
【0092】
一実施構成では、治療送達システム1215は、バス1292を介して処理デバイス1270に接続された入力デバイス1278及びディスプレイ1277を含む。ディスプレイ1277は、標的の移動速度(例えば、治療中の標的体積の移動速度)を特定するトレンドデータを示すことができる。ディスプレイ1277はまた、患者の現在の放射線被曝量及び患者に投射される放射線被曝量を示すことができる。入力デバイス1278により、臨床医は治療中に治療送達計画のパラメータを調整することができる。
【0093】
データリンクがLAN又はWAN接続として実施される場合、BPMシステム100又は治療送達システム1215の内の少なくとも一方は分散配置にすることができるので、システムは互いに物理的に離れていてもよいことに留意されたい。代わりに、BPMシステム100又は治療送達システム1215の内の少なくとも一方は、1又は2以上のシステム内に統合することができる。
【0094】
図13は、本開示の実施構成に従って、ガントリベースの強度変調放射線療法(IMRT)システム1300を示す。一実施構成では、LINAC130はガントリ1303に取り付けられる。ガントリベースのシステム1300では、ヘッド組立体1301を有する放射線源(例えば、LINAC130)は、患者の軸方向スライスに対応する平面内で回転するようにガントリ1303に取り付けられる。その場合、放射線は円形の回転面上の複数位置から送達される。IMRTでは、BPMコントローラ110は、ガントリベースシステム1300のガントリ1303及びヘッド組立体1301を介してLINACを動かすことにより、LINAC130を第2の位置に位置決めしてLINAC130の第1の移動を実行することができる。結果として得られるシステムは、アイソセンタで互いに交差する任意形状の治療ビームを生成して、線量分布を標的位置に送達する。一実施構成では、ガントリベースのシステム1300は、Cアームベースのシステムとすることができる。
【0095】
図14は、本開示の実施構成に従って、トモセラピー放射線療法システム1400を示す。トモセラピーは、狭い強度変調ペンシルビーム(つまり、放射線ビーム150)を用いて、放射線を標的領域(例えば、腫瘍、患者、BPMファントム120など)に送達する放射線療法の一種である。トモセラピー放射線療法システム1400は、リングガントリ1420に取り付けられたLINAC130を含む。リングガントリ1420はトロイダル形状を有し、標的領域(例えば、BPMファントム120、患者など)は、リングガントリ1420のトロイダル形状の穴を通って移動する。中心軸はその穴の中心を通る。一実施構成では、放射線ビーム150は、中心軸の周りを回転するリングガントリ1420に取り付けられたLINAC130によって生成されて、放射線ビーム150を様々な角度からBPMファントム120に送達する。放射線ビーム150が送達されている間、BPMファントム120は治療寝台1440(例えば、調整可能なテーブル)上にあり、BPMファントム120は同時に放射線ガントリ1420の穴を通って移動し、LINAC130又は線量計220を水平方向に動かすことなく線量計220に対して放射線ビーム150の水平移動を可能にする。例えば、
図5A~DのOCR測定を実行するために、LINAC130は静止したままであり、治療寝台1440はBPMファントム120を水平方向に移動させる。
【0096】
一部の実施構成では、LINAC130をカンチレバー様の方法でCアームガントリに取り付けることができ、これにより、リングガントリ1420のアイソセンタを通過する軸の周りにLINAC130が回転する。別の実施構成では、LINAC130をリングガントリ1420の周囲に位置決めして、治療寝台1440により水平方向に動かされるBPMファントム120内の線量計220を照射するために、LINAC130を複数(例えば、5以上)の自由度を有するロボットアームに取り付けることができる。
【0097】
前述の説明から、本開示の態様は、少なくとも部分的にソフトウェアで具体化できることが明らかであろう。すなわち、本技法は、処理デバイス300又は1240(
図3A~B及び12を参照)に応じてコンピュータシステム又は他のデータ処理システムで実施することができ、例えば、メモリ内に収容された命令シーケンスを実行する。様々な実施構成で、ハードウェア回路をソフトウェア命令と組み合わせて使用して、本開示を実装することができる。従って、本技法は、ハードウェア回路とソフトウェアとの何れか特定の組合せに、又はデータ処理システムによって実行される命令の何れか特定ソースに限定されない。更に、この説明全体を通して、説明を簡単にするために、様々な機能及び動作をソフトウェアコードによって実行される又は引き起こされるものとして説明することができる。しかしながら、そのような表現によって示されるのは、それらの機能が処理デバイス300又1240によるコードの実行から生じるということであると当業者は認識しよう。
【0098】
汎用又は専用のデータ処理システムによって実行された時にそのシステムに本開示の様々な方法を実行させるソフトウェア及びデータを保存するために、機械可読媒体を使用することができる。この実行可能なソフトウェア及びデータは、例えば、システムメモリ及び記憶装置、或いはソフトウェアプログラム又はデータの内の少なくとも1つを保存することのできる何れか他のデバイスを含めて、様々な場所に保存することができる。従って、機械可読媒体には、マシン(例えば、コンピュータ、ネットワークデバイス、携帯情報端末、製造用ツール、1又は2以上のプロセッサの組を備えた何れかのデバイスなど)によってアクセス可能な形式で情報を提供する(すなわち、記憶する)何れかの機構が含まれる。例えば、機械可読媒体には、読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイスなどの記録可能/記録不可能な媒体が含まれる。機械可読媒体は、非一時的コンピュータ可読記憶媒体であるとすることができる。
【0099】
特に明記しない限り、前述の説明から明らかなように、「受け取る」、「位置決めする」、「放出する」、「引き起こす」などの用語は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的な(例えば、電子的な)量として表されるデータを操作して、コンピュータシステムのメモリ又はレジスタ又は他のこのような情報記憶装置又は表示デバイスの中の物理量として同様に表される別データに変換する、コンピュータシステム又は同様の電子コンピューティングデバイスの動作及び処理を指すとすることができると理解されよう。本明細書に記載する方法の実施は、コンピュータソフトウェアを用いて実施することができる。公認規格に準拠するプログラミング言語で書かれている場合、本方法を実施するように設計された命令シーケンスは、様々なハードウェアプラットフォーム上で実行するため、並びに様々なオペレーティングシステムとのインタフェースのためにコンパイルすることができる。更に、本開示の実施構成は、何れか特定のプログラミング言語に関連して説明されない。様々なプログラミング言語を用いて本開示の実施構成を実装することができると理解されよう。
【0100】
本明細書に記載する方法及び装置は、医療診断撮像及び治療での使用だけに限定されないことに留意されたい。別の実施構成では、本明細書の方法及び装置は、工業用撮像及び材料の非破壊検査などの医療技術分野以外の用途で使用することができる。そのような用途では、例えば、「治療」は一般に、ビーム(例えば、放射線、音響など)の適用など、治療計画システムによって制御される動作の遂行を指すとすることができ、「標的」は非解剖学的な物体又は領域を指すとすることができる。
【0101】
上述の明細書では、その特定の例示的な実施構成に関連して本開示を説明した。しかしながら、添付の特許請求の範囲に記載される本開示のより広範な趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更をそれらに加えることができることは明らかであろう。従って、明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考慮すべきである。
【符号の説明】
【0102】
100 ビームプロファイル測定(BPM)システム
110 BPMコントローラ
120 BPMファントム
130 LINAC
140 ロボットアーム
150 放射線ビーム