(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】経皮的弁置換手技で使用する3つの弁尖設計を有する人工心臓弁
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20230308BHJP
【FI】
A61F2/24
(21)【出願番号】P 2019572742
(86)(22)【出願日】2018-06-29
(86)【国際出願番号】 US2018040421
(87)【国際公開番号】W WO2019006383
(87)【国際公開日】2019-01-03
【審査請求日】2021-04-26
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519460867
【氏名又は名称】オハイオ ステート イノベーション ファンデーション
(73)【特許権者】
【識別番号】519460878
【氏名又は名称】ダシ、ラクシュミー プラサド
(73)【特許権者】
【識別番号】519460889
【氏名又は名称】クーパエイ、アティエ ユーセフィ
(73)【特許権者】
【識別番号】519460890
【氏名又は名称】ハイトケンパー、ミーガン クリスティン
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダシ、ラクシュミー プラサド
(72)【発明者】
【氏名】クーパエイ、アティエ ユーセフィ
(72)【発明者】
【氏名】ハイトケンパー、ミーガン クリスティン
【審査官】沼田 規好
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-504031(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0144382(US,A1)
【文献】特表2014-517720(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0196688(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0131793(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2002/0173842(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部及び下部を備えるステント・フレーム
であって、前記上部は、前記上部を前記下部に連結する連結箇所を備える第1の部分と、前記連結箇所の間に配置される第2の部分とを備える、ステント・フレームと、
前記ステント・フレームを取り囲むよう構成される弁尖材料の管とを備え、前記弁尖材料の管は、
前記ステント・フレームの外側面の周りに配置される下側部分、及び
前記弁尖材料の前記管の上側部分の第1の部分と、前記弁尖材料の前記管の前記上側部分の第2の部分とを備える上側部分
を備え
、
前記弁尖材料の
前記管の前記上側部分の
前記第1の部分は、
前記ステント・フレームの前記外側面から前記上部の
前記第1の部分の前記連結箇所の周りに巻き付き、前記ステント・フレーム
の内側面に向かって折り重な
り、前記弁尖材料の
前記管の
前記上側部分の前記第2の部分は、
前記ステント・フレームの前記外側面から縫うように進み、前記ステント・フレームの前記内側面に向かって前記ステント・フレームの前記上部の
前記第2の部分の下
に折り重なり、
それにより、前記弁尖材料の前記管の前記上側部分は、前記ステント・フレーム内の第1の位置から第2の位置に移動可能な少なくとも1つの弁尖を形成する、経カテーテル人工心臓弁。
【請求項2】
前記弁尖材料の管は、弁尖材料の連続シートで形成され、前記弁尖材料の連続シートの上側縁部は、そこから上方へ延びる少なくとも3つのアーチを有する、請求項1に記載の経カテーテル人工心臓弁。
【請求項3】
前記弁尖材料の連続シートの前記上側縁部は、前記少なくとも3つのアーチのそれぞれの間に間隙を備える、請求項2に記載の経カテーテル人工心臓弁。
【請求項4】
前記弁尖材料の管は、弁尖材料の2つ以上の断片で形成される、請求項1に記載の経カテーテル人工心臓弁。
【請求項5】
前記弁尖材料の管は押出成形される、請求項1に記載の経カテーテル人工心臓弁。
【請求項6】
前記弁尖材料の管は、ポリマー材料を含む、請求項1に記載の経カテーテル人工心臓弁。
【請求項7】
ポリマー材料は、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、低密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリカプロラクトン、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルメタクリレート、ポリオキシメチレン、熱可塑性ポリウレタン、及びその組合せを含む、請求項6に記載の経カテーテル人工心臓弁。
【請求項8】
前記ポリマー材料は、直鎖状低密度ポリエチレンである、請求項7に記載の経カテーテル人工心臓弁。
【請求項9】
前記弁尖材料の管は、ポリマー材料及びヒアルロン酸を含む、請求項8に記載の経カテーテル人工心臓弁。
【請求項10】
前記弁尖材料の管は、生体プロテーゼ材料を含む、請求項1に記載の経カテーテル人工心臓弁。
【請求項11】
前記弁尖は3次元の湾曲を有する、請求項1に記載の経カテーテル人工心臓弁。
【請求項12】
前記弁尖は2次元の面を有する、請求項11に記載の経カテーテル人工心臓弁。
【請求項13】
前記ステント・フレームは拡張可能である、請求項1に記載の経カテーテル人工心臓弁。
【請求項14】
前記ステント・フレームは自己拡張可能である、請求項13に記載の経カテーテル人工心臓弁。
【請求項15】
前記ステント・フレームはバルーン拡張可能である、請求項13に記載の経カテーテル人工心臓弁。
【請求項16】
前記ステント・フレームは高さ及び内径を有し、前記内径に対する前記高さの比率は0.5と0.9との間の範囲にある、請求項1に記載の経カテーテル人工心臓弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年6月30日に出願された米国仮特許出願第62/527,640号、及び2017年9月29日に出願された米国仮特許出願第62/565,709号の利益を主張し、全体が本明細書に参照により組み入れられている。
【0002】
本発明は、ヒトの心臓で使用する人工弁の製造及び使用に関する。より詳細には、本発明は、経皮的弁置換手技で使用され得る3つの弁尖の人工心臓弁の製造及び使用に関する。
【背景技術】
【0003】
心臓弁の置換は、米国で実施される2番目に一般的な心臓手術である。現在、毎年、世界中で400万人以上が心臓弁障害と診断されている。さらに、心臓病は米国全体の人口の約2.5%、米国の高齢者人口の10.4%で広まっている。
【0004】
通常、大動脈弁の置換手技で使用される人工心臓弁は、機械式又は生体プロテーゼである。しかし、こうした弁は、患者が生涯にわたる抗凝固療法を受ける必要がある血栓塞栓症の重大なリスクをもたらすか、又は患者が再手術を必要とする弁変性及び組織不全を起こしがちになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願第14/381,332号、名称「Glycosaminoglycan and Synthetic Polymer Material for Blood-Contacting Applications」
【非特許文献】
【0006】
【文献】Bryan A.Garner著「A Dictionary of Modern Legal Usage」624頁(第2版、1995年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
抗凝固療法を必要とせず、耐久性のある人工心臓弁を製造することは有用であろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
最初に特許請求された主題の範囲に相応する特定の実施例を、以下に要約する。こうした実施例は、本開示の範囲を限定することを意図しない。実際、本開示は、以下に示す実施例と類似するかもしれず、又は異なるかもしれない、様々な形態を包含することができる。
【0009】
上部及び下部を具備するステント・フレームを備える経カテーテル人工心臓弁、及びステント・フレームを取り囲むよう構成される弁尖材料の管を提供する。弁尖材料の管は、ステント・フレームの外側面の周りに配置された下側部分と、ステント・フレームの内側面内に少なくとも部分的に配置された上側部分とを備え、ここでステント・フレーム内に配置された上側部分は、ステント・フレーム内の第1の位置から第2の位置に移動可能な少なくとも1つの弁尖を形成する。
【0010】
さらに、弁尖材料の上側部分の少なくとも一部は、上部の連結箇所の周りに巻き付き、ステント・フレームの内側面に向かって折り重なるよう構成される。また、弁尖材料の管の少なくとも第2の部分は、ステント・フレームの上部の上側縁部の下を縫うように進み、ステント・フレームの内側面に向かって折り重なるよう構成される。
【0011】
別の実施例では、弁尖材料の管は、弁尖材料の連続シートで形成され、弁尖材料の連続シートの上側縁部は、そこから上方へ延びる少なくとも3つのアーチを有する。別法として、弁尖材料の管は、弁尖材料の2枚以上の断片で形成されてもよい。
【0012】
別の実施例では、弁尖材料の連続シートの上側縁部は、少なくとも3つのアーチのうちの、直接隣接するどの2つのアーチの間にも間隙を備える。
【0013】
別の実施例では、弁尖材料の管は、管に側部の継目がないよう押出成形される。材料は、ポリマー材料で作ることができる。そのポリマー材料は、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、低密度ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリカプロラクトン、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルメタクリレート、ポリオキシメチレン、熱可塑性ポリウレタン、及びその組合せであってもよい。弁尖材料は、ポリマー材料及びヒアルロン酸をさらに含んでもよい。また、生体プロテーゼ材料も含んでよい。
【0014】
別の実施例では、弁尖は、3次元の湾曲又は2次元の湾曲を有してもよい。
【0015】
ステント・フレームは、自己拡張可能であってもよく、又はバルーンを使用して手動で拡張されてもよい。ステント・フレームは、高さ及び内径を有することができ、ここで内径に対する高さの比率は、約0.5と約0.9との間の範囲内にある。ただし、ステントは、患者の身体の自然な幾何学形状に整合するように作られ得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】弁尖が開位置の状態での、本開示の一実施例の経カテーテル人工心臓弁の正面図である。
【
図2】ステント・フレーム及び弁尖材料のシートを含む、
図1の経カテーテル人工心臓弁の分解図である。
【
図3】本開示の一実施例による、
図1のステント・フレームの平面図である。
【
図4】弁尖が閉位置の状態での、
図1の経カテーテル人工心臓弁の上面図である。
【
図5】本開示の一実施例による、弁尖材料のシートの一実施例の平面図である。
【
図6】本開示の一実施例による、弁尖材料のシートの別の実施例の平面図である。
【
図7】本開示の一実施例による、弁尖材料のシートの一実施例の平面図である。
【
図8】本開示の一実施例による、ステント・フレームの別の実施例の正面図である。
【
図9】本開示の一実施例による、ステント・フレームの別の実施例の斜視図である。
【
図10】本開示の一実施例による、ステント・フレームの別の実施例の平面図である。
【
図11】本開示の一実施例による、ステント・フレームの別の実施例の正面図である。
【
図12】本開示の一実施例による、ステント・フレームの別の実施例の斜視図である。
【
図13】本開示の一実施例による、ステント・フレームの別の実施例の正面図である。
【
図14】本開示の一実施例による、ステント・フレームの別の実施例の斜視図である。
【
図15】本開示の一実施例による、ステント・フレームの別の実施例の平面図である。
【
図16】本開示の一実施例による、ステント・フレームの別の実施例の斜視図である。
【
図17】本開示の一実施例による、ステント・フレームの別の実施例の正面図である。
【
図18】本開示の一実施例による、ステント・フレームの別の実施例の斜視図である。
【
図19】本開示の一実施例による、ステント・フレームの別の実施例の平面図である。
【
図20】本開示の一実施例による、患者の大動脈内のより高い箇所でステント・フレーム512を連結できるよう構成された機構を示す、ステント・フレームの別の実施例の正面図である。
【
図21】本開示の一実施例による、患者の大動脈内のより高い箇所でステント・フレーム512を連結できるよう構成された機構を示す、ステント・フレームの別の実施例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
開示する実施例は、人工心臓弁に関する。詳細には、患者の機能不全の、又は損傷した生来の大動脈弁又は僧帽弁を置換するための経皮的(又は経カテーテル的)弁置換手技(以下「TPHV」)で使用する、3つの弁尖設計を有する人工心臓弁を提供する。本明細書で、3つの弁尖設計を有するTPHVについて説明することにするが、TPHVを使用して、いくつの弁尖でも作成され得ることは、当業者には明らかであろう。本明細書で開示するTPHVは、概ね、
図1~
図4に示すように、ステント・フレーム上に配置された1つ又は複数の弁尖を備えることができる。弁尖は、患者の生来の弁尖を模擬し、心臓のポンピングに応じて開閉するよう構成される。
図4に示すように、弁尖が閉じると、合わせ目が合わさり、血液の逆流を確実に最小限に抑える。
【0018】
特定の実施例では、TPHVは、市販されている他の人工弁と比較して、より大きい有効開口部を備えた人工弁を提供することになる。特定の実施例では、TPHVは、ステント・フレームと弁尖との両方の幾何学的設計により、改善された流動特性を提供することになる。弁尖設計と組み合わせたステント・フレームの設計により、他の市販の人工弁より性能が向上し得る。たとえば、弁尖設計及び/又は弁尖がステント・フレーム上に配置される手法は、TPHVの耐久性を向上させ、弁尖を組み立てるのに必要な縫合糸の数を減らし、及び/又は弁尖の接合を改善することができる。
【0019】
ここで
図1~
図4を参照すると、
図1は、ステント・フレーム12、及び弁尖材料の管状に形成される弁尖材料14のシート(
図5、
図6、又は
図7に示す)を備える、TPHV10の一実施例の斜視図を示す。
図2は、
図1のTPHV10の分解図であり、ステント・フレーム、すなわちフレーム12及び弁尖材料14のシートを示す。
【0020】
図1及び
図2に示すように、ステント・フレーム12は、内側、すなわち内面16、外側、すなわち外面18、上縁22を有する上部20、及び下部24を備える。弁尖材料14の管は、ステント・フレーム12の外側18に配置することができる。しかし、弁尖材料14の管は、ステント・フレーム12上へ、フレームの下部24から上部20へ、上部20の上縁22の近傍まで管をスライドさせることによりステント・フレーム12上に配置されると、弁尖材料14の管が、ステント・フレーム12の内側16に向かって曲がるか、又は折り重なるよう構成される。図示する実施例では、弁尖材料14の管の上側部分28は、ステント・フレーム12の上部20の第1の部分30の周りで曲がるか、又は折り重なり、ステント・フレームの上縁22で、ステント・フレーム12の上部20の第2の部分32の下に挟み込まれるか、又は縫うように進められ(たとえば、弁尖材料14のシートの少なくとも一部が、ステント・フレーム12を縫うように通って)、弁尖34を形成する。一方、弁尖材料14の管の下側部分33は、ステント・フレーム12の外側18に配置される。図示する実施例では、ステント・フレーム12の上部20の第2の部分32は、ステント・フレーム12の上側連結箇所36間に配置され、上側連結箇所は、ステント・フレームの上部20を、ステント・フレーム12の中間部(図示せず)又は下部24に連結する。
【0021】
本明細書では、ステント・フレーム12の上縁22の下に巻き付き、ステント・フレーム12の内側16に向かって折り重なる弁尖材料14の一部は、弁尖34と呼ばれる。上記のように、TPHVは、3つの弁尖設計又は任意の好適な数の弁尖を備える他の設計を有してもよい。弁尖34は、ほぼ第1の方向40に曲がって、第1の位置に開いて血液の順方向の流れを可能にすることができ、ほぼ第2の方向42に曲がって、第2の位置に閉じて血液の逆流を阻止することができる。弁尖34が閉じられると、合わせ目44(
図4に示すように)が合わさり、血液の逆流を確実に最小限に抑える。
【0022】
ステント・フレーム12を縫うように通され、それによって弁尖34を形成する材料14の管は、ステント・フレーム12の上縁22によってある程度制約される。加えて、上縁22の幾何形状及び/又は設計は、より良好な接合のために、弁尖材料14を弁尖34の所望の形に成形するのに寄与することができる。その結果、TPHV10を組み立てるのに必要な縫合糸の数を、大幅に減らすことができる。
【0023】
さらに、弁尖材料14のシートが、ステント・フレーム12を縫うように通されるので、弁尖34が開閉サイクルを経るとき、上縁22の少なくとも一部(たとえば、第2の部分32)が機械的な支持及び/又は補強をもたらすことができ、その結果TPHV10の耐久性を向上させることができる。
【0024】
前述を念頭に置いて、ステント・フレーム12は、単一の材料片で形成されてもよく、又は溶接されるか、さもなければ好適に連結されて単一のステント・フレーム12を形成する、複数のワイヤで形成されてもよい。
【0025】
ステント・フレーム12は、様々な幾何形状の設計を有してもよい。
図1から
図4に示すステント・フレームに関して、特に
図3を参照すると、ステント・フレームは、それぞれの尖端48で連結された、複数の波状で同じサイズのワイヤ又はストラット46で構成される上部20を備えることができる。ステント・フレーム12は、繰り返す菱形50のパターンに形成された複数のワイヤ又はストラットを具備する、下部24をさらに備えることができる。上部20と下部24との間で、ステント・フレーム12は、上部20から下方へ延び、上部20の尖端48間に配置された、V字形ストラット52の形になったストラットのセットをさらに備えることができる。そして最後に、ステント・フレーム12は、下部24に形成された2つの菱形50間に配置され、連結箇所56でステント・フレーム12の上部20に連結された、逆V字形ストラット54の形になったストラットのセットを備えることができる。連結箇所56のそれぞれは、上部20の尖端48のそれぞれの位置に配置することができる。
【0026】
上部20、下部24、及び中央のV字形ストラット52、54は一体で、ステント・フレーム12の3つの主要ユニットXを形成する。しかし、特定の実施例では、ステント・フレーム12は、適宜3つ未満又は3つを上回るユニットXを備えることができる。
【0027】
図1、
図2、
図3及び
図4に示すように、平坦なステント・フレームの端部は連結され、患者の体内に挿入できる管状のステント・フレーム12を形成する。ステント・フレーム12は、ステンレス鋼、ニチノール、コバルトクロム、又は他の好適な材料で作ることができる。フレーム12の形は、本質的にほぼ円形であってもよく、又は楕円形、卵形、若しくは患者の弁輪の湾曲に適応した他の形状であってもよいことを理解されたい。
【0028】
ここで
図5、
図6、及び
図7を参照すると、TPHV10の弁尖材料14の管は、ポリマー又は生体プロテーゼ(ブタ又はウシの心膜など)材料の単一の断片を使用して作成することができる。弁尖材料14の管はまた、ステント・フレーム12の各ユニットX間に固定される、弁尖材料の別個の断片を使用して作成してよいことも理解されよう。
【0029】
図5に示すように、一実施例では、弁尖材料58の連続シートは、上縁部分60と下縁部分62とを有することができる。下縁部分62は、形がほぼ長方形であり得る。上縁部分60は、形がほぼ長方形であってもよく、又は以下で論じ、
図6及び
図7に示すように、上縁部分は、そこから上方へ延びる少なくとも1つのアーチ64を有してもよい。
【0030】
弁尖材料58は、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE:linear low density polyethylene)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE:polytetrafluoroethylene)、低密度ポリエチレン(LDPE:low-density polyethylene)、ポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)、ポリプロピレン(PP:polypropylene)、ポリウレタン、ポリカプロラクトン(PCL:polycaprolactone)、ポリジメチルシロキサン(PDMS:polydimethylsiloxane)、ポリメチルメタクリレート(PMMA:polymethylmethacrylate)、ポリオキシメチレン(POM:polyoxymethylene)、熱可塑性ポリウレタン、及びその組合せなどのポリマー材料で作られてもよい。一実施例では、弁尖材料58は、凝血及び血栓形成を防止するために、ヒアルロン酸を含むLLDPEなどのポリマー材料で作られてもよい。この材料の実例は、米国特許出願第14/381,332号、名称「Glycosaminoglycan and Synthetic Polymer Material for Blood-Contacting Applications」に開示されており、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0031】
上記のように、弁尖材料58は、フレーム12の各ユニットXを縫うように通すことができる。具体的には、弁尖材料58はフレーム12を縫うように通り、それによって
図1に示すように、材料58の大部分がフレーム12の外面18上に配置され、材料58の一部がフレーム12の内側へ、上側連結箇所36間に挟み込まれる。そうすることで、弁尖34が形成され、弁尖の外面がフレーム12の内面16に接する状態で配置される。
【0032】
一実施例では、弁尖材料58は、上部20と逆V字形ストラット54との間の連結箇所56、及び下部24の1つおきの菱形50の間で、材料58をフレーム12に縫合することにより、フレーム12にしっかり留められる。ステント・フレーム12の周りに取り付けられる弁尖材料58の単一の連続片を使用することにより、弁尖34を組み立てるのに必要な縫合糸の数が削減される。しかし、ステント・フレームのどんな箇所でも、より多くの縫合糸を使用できること、又はステント・フレーム12の周囲に弁尖材料の複数の断片を装着することができることを理解されたい。
【0033】
図6及び
図7に示すように、弁尖材料58は、複数のアーチ64(たとえば、少なくとも2つのアーチ64、少なくとも3つのアーチ64)を有する上縁部分60を備えることができる。アーチ64は、弁尖材料58の単一のシートと一体に形成されてもよく、又は材料が形成された後に上縁部分60に取り付けられてもよいことを理解されたい。上縁部分60のアーチ64は、ステント・フレーム12の周りに巻き付けられると、アーチ状の弁尖34を実現する。アーチ状の弁尖34を使用することにより、流れの再付着が促進され、血栓形成に直接関係する再循環領域が減少することを発見した。加えて、アーチ状の弁尖34を使用することにより、弁尖の接合が改善される。
【0034】
図3及び
図7に示すように、弁尖材料58は、上縁部分60に1つ又は複数の間隙又は刻み目66を備えることができ、間隙又は刻み目66は、直接隣接するアーチ64の各対の間に配置される。1つ又は複数の間隙66は、弁尖34の接合を改善するよう構成される。
【0035】
たとえば、1つ又は複数の間隙66は、弁尖34の開閉運動を適応させるのに役立ち、それにより合わせ目(たとえば、上縁部分60)は、より良好な整合を実現し、
図4に示すように弁尖34が閉じたときに、より良好な接合を達成して血液の逆流を確実に最小限に抑える。
【0036】
再び
図1を参照すると、弁尖材料14の管は、アーチ64のそれぞれが上縁22の第2部分32に挟み込まれるか、又はその下に折り重ねられる形で、ステント・フレーム12を縫うように通すことができ、一方間隙66のそれぞれは、対応する上側連結箇所36とほぼ位置合せされる。したがって、1つ又は複数の間隙66は、弁尖材料58(弁尖材料14のシート)が、ステント・フレーム12の下に(上縁22の第2の部分32に)挟み込まれた部分から、ステント・フレーム12の周りに(上縁22の第1の部分30に)巻き付く部分まで移行する場合に、柔軟性及びより良好な整合性をもたらすことができる。
【0037】
弁尖材料58のシートがステント・フレーム12に装備されると、以前は平坦だった弁尖のシート14に熱及び圧力の組合せを加えることにより、弁尖34をより一層形成又は形作ることができる。この処理を使用して、弁尖のシート14の形をさらに3次元形状に(生来の弁尖の場合と同様に)(図示せず)変化させることができる。一実施例では、形成されるTPHV10に、TPHV10の上流側に真空圧を加えて、弁尖のシート14(具体的には、弁尖34)を強制的に閉じる。その後に、(熱可塑性である)ポリマーを弛緩させ、真空によって加えられる力の下で引き延ばすために、熱が下流側から加えられる。その結果得られる弁尖のシート14、特に弁尖34の形は、患者の生来の弁尖の形に、より厳密に類似し得る。
【0038】
以下の説明から理解されるように、ステント・フレームは、
図8~
図21に実例を示す、弁尖材料の少なくとも一部をステント・フレームの外側の周りに配置することができ、一方、少なくとも別の部分が、内側面上に弁尖を形成するよう、ステント・フレーム内を縫うように進められる、様々な幾何学的設計を有することができる。
【0039】
ここで
図8、
図9、及び
図10を参照し、特に
図10を参照すると、別の実施例では、ステント・フレーム112は、ワイヤの上列、中央列、及び下列(114、116、118)、並びにステント・フレーム112の3つの主要ユニットXを一体に形成するワイヤ・コネクタ(120a、120b、120c)のセットを備えることができる。フレーム112の上列114は、それぞれの尖端124で連結された、複数の波状で同じサイズの中間の長さのワイヤ(又はストラット)122で構成される。ワイヤ(又はストラット)は、一体に溶接されてもよく、又はレーザ切断される材料の単一の断片で形成されてもよい。
【0040】
この実施例では、上列114は、長さが約8.14ミリメートル(mm)の12本のかかるワイヤ、すなわちステント・フレームの各ユニットXに4本のワイヤを備える。図示の実施例では、ステント・フレーム112は、少なくとも3つのユニットXを備える。しかし、特定の実施例では、ステント・フレーム112は、適宜3つ未満又は3つを上回るユニットXを備えることができる。
【0041】
中央列116は、概して、それぞれの尖端128で互いに連結された、複数の同じサイズの伸張された長さのワイヤ126で構成される。この実施例では、中央列116は、長さが約17.45mmの6本のかかるワイヤ、すなわちステント・フレーム112の各ユニットXに2本のワイヤを備える。
【0042】
下列118は、概して、それぞれの尖端132で互いに連結された、複数の同じサイズの短い長さのワイヤ130で構成される。この実施例では、下列118は、長さ約3.96mmの24本のかかるワイヤ、すなわちステント・フレーム112の各ユニットXに8本のワイヤを備える。
【0043】
組み立てられるとき、ワイヤ(又はストラット)の中央列116は、中央列116の上方へ延びる各尖端128を、上列114の上方へ延びる尖端124の1つおきに連結することにより、上列114に連結され、3つ(各ユニットXに1つ)の上側連結箇所134を形成する。また、中央列116は、中央列116の下方へ延びる各尖端を、下列118の上方へ延びる第1及び第5の尖端132ごとに連結することにより、下列118に連結され、下側連結箇所136を各ユニットXに2つ形成する。
【0044】
ステント・フレーム112は、下列118に連結されるワイヤ・コネクタ(120a、120b、120c)の2次セットも備える。ワイヤ・コネクタ120a、120b、120cの2次セットは、下列118の上方へ延びる第2及び第4の尖端ごとに連結される、第1の末端140及び第2の末端142を備えることができ、2次連結箇所144を各ユニットXに2つ形成する。2次コネクタ120a、120b、120cは、概して、第1及び第2のストラット146及び148に沿って各末端140、142から上方に延び、屋根形状の設計の第3及び第4のストラット152、154に沿って頂点150で連結する形状である。
【0045】
一実施例では、
図8、
図9、及び
図10に示すステント・フレーム112は、弁尖材料のシートをステント・フレーム112にしっかり留める助けとなるよう特別に形成された、スロットを備えることができる。
図11及び
図12に示すように、ステント・フレーム112は、
図8及び
図9に示すものと類似しており、伸張された長さのワイヤ126にスロット156を備える。
【0046】
さらに、
図11及び
図12に示す実施例では、ステント・フレーム112に適用されるとき、弁尖材料の管は、材料からの延長部(図示せず)を、伸張された長さのワイヤ126に特別に形成されたスロット156(
図11及び
図12に示す)の中へ挿入することによりステント・フレーム112の各ユニットXに取り付けられ得る、弁尖材料の別個の断片を使用して作成することができる。
【0047】
ここで
図13、
図14、及び
図15を参照すると、この実施例では、ステント・フレーム212は3列のコネクタを備える。特に
図15を参照すると、ステント・フレーム212は、3つの大きな屋根形状の上側コネクタの第1のセット214(たとえば上列)、3つの中間のサイズの屋根形状の中央コネクタの第2のセット216(たとえば中央列)、ステント・フレーム218の底部を形成するハニカム形状のワイヤの列88(たとえば、下列)を備えることができる。一実例として、ステント・フレーム212は、
図15に示すようにミリメートル(mm)の寸法を有することができる(たとえば、上側の屋根形状の上側コネクタ214のそれぞれは、長さ約13.88mmであってもよく、屋根形状の中央コネクタ216のそれぞれは、長さ約6.60mmであってもよい、など)。
【0048】
別の実施例では、フレームは、
図16に示すステント・フレーム312として例示する、別の幾何学的設計を有してもよい。この実施例では、ステント・フレーム312は、ワイヤの上列314、中央列316、ワイヤの下列318、ワイヤの上列314をワイヤの中央列316に連結するコネクタの第1のセット320、及びワイヤの中央列316をワイヤの下列318に連結するコネクタの第2のセット322を備えることができる。ワイヤの上列314は、複数の波状で同じサイズのワイヤ又はストラットを備えることができる。ワイヤの中央列316及びコネクタの第1のセット320は、繰り返す屋根形状の設計を形成することができる。ワイヤの下列318は、繰り返す菱形のパターン又は設計を形成することができる。特定の実施例では、ステント・フレーム312は、ワイヤの中央列316にスロット324を備えることができる。スロット324は、
図11及び
図12で上述したように、スロット156が弁尖材料のシートをステント・フレーム212にしっかり留める助けとなるのと同様のやり方で、弁尖材料のシートをステント・フレーム312にしっかり留める助けとなり得る。
【0049】
さらに別の実施例では、ステント・フレームは、
図17、
図18、及び
図19に示すステント・フレーム412として例示する、別の幾何形状の設計を有してもよい。この実施例では、ステント・フレーム412は、ワイヤ又はストラットの上列414、ワイヤ又はストラットの中央列416、及びワイヤ又はストラットの下列418を備えることができる。ワイヤの上列414は、それぞれの尖端422で連結された、複数の波状で同じサイズのワイヤ又はストラット420を備える。ワイヤの中央列416は、それぞれの尖端426で連結された、上方へ延びるワイヤ424の1つ又は複数の対を備える。ワイヤの下列418は、同じサイズの複数の菱形428を有する、繰り返す菱形の設計を形成することができる。
【0050】
上方へ延びるワイヤ424の1つ又は複数の対のそれぞれは、それぞれの尖端422で、ワイヤの上列414に連結される。たとえば、短いワイヤは、ワイヤの上列414のそれぞれの尖端422を、上方へ延びるワイヤ424のそれぞれの尖端426に連結することができる。下列418の菱形428のそれぞれは、菱形428のそれぞれの角430で、それぞれの上方へ延びるワイヤ424に連結することができる。
【0051】
別の実施例では、ステント・フレームは、
図20及び
図21に示すステント・フレーム512として例示する、別の幾何形状の設計を有してもよい。この実施例では、ステント・フレーム512は、弁輪上設置(supra-annular deployment)に使用するため、下側部分514及び上側部分516を備えることができる。具体的には、下側部分514は、ステント・フレーム12、112、212、312、及び412、並びにその組合せに関して本明細書で開示する形状のいずれかで設計され得る。この実施例では、下側部分514は、複数の垂直ワイヤ部分518で上側部分516に連結することができる。上側部分516は、患者の解剖学的構造の幾何形状に応じて、患者の大動脈内のより高い箇所でステント・フレーム512を連結できるよう構成された、1つ又は複数の波状ワイヤ520を備えることができる。
【0052】
図20及び
図21に示すように、ステント・フレーム512は、適宜ステント・フレーム512の径方向に伸縮する機能を有するよう構成される。理解され得るように、本明細書に開示するステント・フレームの他のどの設計(たとえば、ステント・フレーム12、112、212、312、及び412)も、適宜径方向に伸縮するよう構成される。実際には、TPHV10は、当技術分野で知られる任意の好適な方法によって、バルーン・カテーテル又は他のどんな好適な送達デバイスにも圧着することができる。TPHV10はまた、好適な送達デバイスを備えた自己拡張型ステントとして展開されてもよい。ステント・フレーム(たとえば、ステント・フレーム12、112、212、312、及び412)の固有の幾何形状により、弁尖材料のシート(弁尖材料58)が、送達デバイスに圧着されるときに、裂かれる又は引き伸ばされる可能性がより低いことを理解されたい。加えて、ステント・フレーム(たとえば、ステント・フレーム12、112、212、312、及び412)の幾何形状により、TPHV10は、他の市販のデバイスよりも小さな直径に圧着することができる。いくつかの実施例では、本明細書に開示するTPHV10は、内径及び(たとえば、軸方向に沿った)高さを有することができ、内径に対する高さの比率は、TPHV10がほぼ完全に拡張されたとき、約0.5と約0.9との間の範囲にある。
【0053】
弁尖材料の管(弁尖材料)は、本明細書に開示するステント・フレーム(たとえば、ステント・フレーム112、212、312、412、及び512)上に、
図1、
図2、
図3、及び
図4にある上記と同じ形で配置できることも理解されたい。具体的には、弁尖材料の管(弁尖材料)は、適宜、本明細書に開示するステント・フレーム(たとえば、ステント・フレーム112、212、312、412、及び512)を縫うように通すことができる。たとえば、弁尖材料のシートの少なくとも一部は、弁尖材料のシートがステント・フレームを縫うように通されるとき、ワイヤの上列の下に挟み込まれてもよい。弁尖材料のシート(弁尖材料)の少なくとも一部は、コネクタの第1のセット間でワイヤの上列の下に挟み込まれてもよい。
【0054】
いくつかの実施例では、弁尖材料のシート(弁尖材料)は、ステント・フレームの外側に配置され、上縁部分の周りに概ね巻き付き、ステント・フレームの内側に向かって曲がるか、又は折り重なることができる(たとえば、ステント・フレームを縫うように通されることなく)。いくつかの実施例では、弁尖材料のシート(弁尖材料)は、ステント・フレームの内側に、上縁部分の近傍に配置され、内側に向かって折り重なるか、又は曲がることができる(たとえば、ステント・フレームを縫うように通されるか否かにかかわらず)。いくつかの実施例では、本明細書に開示するステント・フレーム(たとえば、ステント・フレーム12、112、212、312、412、及び512)は、漏れを防ぐために外側スカートと組み合わせて使用することができる。
【0055】
用語「include」又は「including」が明細書又は特許請求の範囲で使用される限りにおいて、用語「comprising」が、請求項の中で転換語として使用されるときに解釈されるのと同様の形で、包括的であることを意図している。さらに、「又は」という用語が使用される(たとえば、A又はB)限りにおいて、「A、B、又は両方」を意味することを意図している。出願人が「両方ではなくA又はBのみ」を示すことを意図する場合、用語「両方ではなくA又はBのみ」を使用することとする。したがって、本明細書における用語「又は」の使用は包括的であり、排他的な使用ではない。Bryan A.Garner著「A Dictionary of Modern Legal Usage」624頁(第2版、1995年)を参照されたい。また、用語「in」又は「into」が明細書又は特許請求の範囲で使用される限りにおいて、さらに「on」又は「onto」を意味することを意図する。用語「実質的に」が明細書又は特許請求の範囲で使用される限りにおいて、製造において利用可能な又は慎重な精度の程度を考慮することを意図する。用語「動作可能に接続された」が明細書又は特許請求の範囲で使用される限りにおいて、特定された構成部品が指定された機能を実行するやり方で接続されることを、意味することを意図する。明細書及び特許請求の範囲で使用されるとき、単数形の「a」、「an」、及び「the」は複数形を含む。最後に、用語「約」が数字と組み合わせて使用される場合、数字の±10%を含めることを意図する。つまり、「約10」は9から11を意味する場合がある。
【0056】
上記のように、本出願は、実施例をかなり詳細に説明しながら、その実施例の説明によって例示してきたが、出願人は、添付の特許請求の範囲を、かかる詳細まで限定する、又はいかなる形であれ制限することを意図しない。本出願の利益を有する、さらなる利点及び修正は、当業者には容易に明らかになるであろう。したがって、そのより広い態様における適用は、特定の詳細、示した例示的な実例、又は言及されたどんな装置にも制限されるものではない。一般的な発明の概念の趣旨又は範囲から逸脱することなく、かかる詳細、実例、及び装置から始めることができる。