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特許7240342リッド装置、及び、センターコンソールボックス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】リッド装置、及び、センターコンソールボックス
(51)【国際特許分類】
   B60R 7/04 20060101AFI20230308BHJP
   B60N 3/00 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
B60R7/04 C
B60N3/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020017343
(22)【出願日】2020-02-04
(65)【公開番号】P2021123207
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100098202
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信彦
(72)【発明者】
【氏名】井爪 友治
(72)【発明者】
【氏名】土居 敦
【審査官】浅野 麻木
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-009914(JP,A)
【文献】特開平05-338496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
B60N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リッドロアと、
前記リッドロア上に配されるリッドアッパーとを備えてなり、
前記リッドロアは、リッド装置によって開口を閉塞される開口形成体に軸支されると共に、
前記開口形成体に備えられたラッチ受けに対するラッチ体と、
このラッチ体をそのラッチ端がラッチ受けに係合される位置に常時あるように付勢する付勢手段と、
前記リッドロアに移動可能に備えられると共に、前進位置において前記ラッチ体を前記付勢に抗する向きに押圧して前記ラッチ体と前記ラッチ受けとの係合を解く切り替え部材とを備えており、
前記リッドアッパーは、前記リッドロアの回動中心軸の軸線方向に直交する向きのスライド移動可能に前記リッドロアに組み合わされており、
前記リッドアッパーを前記リッドロアの前記回動中心軸側に移動操作させたときに前記切り替え部材を前記前進位置に移動させるように、前記リッドアッパーと前記リッドロアとを連係させる連係部材を備えてなる、リッド装置。
【請求項2】
リンク体を備えたリッドロアと、
前記リッドロア上に配されるリッドアッパーとを備えてなり、
前記リッドロアの前記リンク体は、一端側を第一軸によってリッド装置によって開口を閉塞される開口形成体に軸支され、かつ、他端側を第一軸と平行な第二軸によってリッドロアに軸支されていると共に、開口形成体に備えられたラッチ受けに対するラッチ体と、このラッチ体をそのラッチ端がラッチ受けに係合される位置に常時あるように付勢する付勢手段とを備えており、
前記リッドロアは、前記リンク体の両端間においてこのリンク体に形成された係合穴に入り込む係合端を備えると共に、この係合端をこの係合穴を通じてリンク体内に最も入り込ませた前進位置と、この係合穴から抜け出させた後退位置と、両位置の間となる中間位置とにそれぞれ位置づけさせる移動可能に備えられる切り替え部材を備えており、
前記切り替え部材の係合端が前進位置にあるときにこの係合端によってラッチ体が前記付勢に抗する向きに押圧されてラッチ受けとの係合が解かれるようにしてなり、
前記リッドアッパーは、前記第一軸及び前記第二軸の軸線方向に直交する向きのスライド移動可能に前記リッドロアに組み合わされていると共に、
前記リッドアッパーが移動前位置にあるときは前記切り替え部材を前記中間位置に位置づけ、
前記リッドアッパーを前記第一軸側に移動操作させたときに前記切り替え部材を前記前進位置に移動させ、
前記リッドアッパーを前記第二軸側に移動操作させたときに前記切り替え部材を前記後退位置に移動させるように、前記リッドアッパーと前記リッドロアとを連係させる連係部材を備えてなる、リッド装置。
【請求項3】
前記リッドアッパーを前記移動前位置に復動付勢するリッドアッパー用付勢手段を備えてなる、請求項2に記載のリッド装置。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のリッド装置における前記リッドアッパーに組み合わされた前記リッドロアを蓋として、かつ、開口形成体をボックスとして構成されると共に、前記リッドロアの回動中心軸を自動車の前後方向又は左右方向に沿うように配してなる、センターコンソールボックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、リッド装置の改良、および、これを利用してなるセンターコンソールボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
リッド本体が開口形成体の開口を閉塞した状態を、リッド本体の側部に備えられたボタン部を押すことで解除すると共に、このリッド本体をこのボタン部の押し込み操作側を自由端として開き出せるようにしたリッド装置として、特許文献1に示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4772541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1のリッド装置では、リッド本体を開き出し操作するときにボタン部を視認してこれを押し込む必要がある。リッド装置が、例えば、自動車のセンターコンソールボックスの蓋であるような場合、運転中は前記のようにボタン部を視認にしてこれを押し込むことは難しい。また、この場合、後部座席側から前記ボタン部の操作を行うことも容易でない。
【0005】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、この種のリッド装置の開放操作を、容易且つ直感的に行えるようにする構造を、リッド装置の外観性を高く維持した状態で、リッド装置に合理的に備えさせるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を達成するために、この発明にあっては、第一の観点から、リッド装置を、二つのリッド構成体から構成される主体部を備えてなり、
前記二つのリッド構成体の一方は、リッド装置によって開口を閉塞される開口形成体に軸支されると共に、
前記開口形成体に備えられたラッチ受けに対するラッチ体と、
このラッチ体をそのラッチ端がラッチ受けに係合される位置に常時あるように付勢する付勢手段と、
前記二つのリッド構成体の一方に移動可能に備えられると共に、前進位置において前記ラッチ体を前記付勢に抗する向きに押圧して前記ラッチ体と前記ラッチ受けとの係合を解く切り替え部材とを備えており、
前記二つのリッド構成体の他方は、前記二つのリッド構成体の一方にスライド移動可能に組み合わされており、
前記二つのリッド構成体の他方を前記スライド移動操作させたときに前記切り替え部材を前記前進位置に移動させるように、前記二つのリッド構成体を連係させる連係部材を備えてなる、ものとした。
【0007】
かかる構成によれば、第一に、前記ラッチ体を開口形成体のラッチ受けに係合させることで、前記リッド装置の主体部によって開口形成体の開口を閉塞した状態を維持することができる。また、第二に、このように開口形成体の開口を閉塞した状態から、前記二つのリッド構成体の他方をスライド移動操作することにより、前記ラッチ体の係合を解いて前記主体部を前記開口形成体の開口を開放する向きに回動させることができる。この開放のための二つのリッド構成体の他方の操作は直感的に行うことができる。第三に、開口形成体の開口を開放した状態から、主体部を復動させることで、主体部によって開口形成体の開口を閉塞した状態を再び作り出すことができ、また、ラッチ体を再びラッチ受けに係合させることで、この状態を維持することができる。
【0008】
また、前記課題を達成するために、この発明にあっては、第二の観点から、リッド装置を、リッドロアと、
前記リッドロア上に配されるリッドアッパーとを備えてなり、
前記リッドロアは、リッド装置によって開口を閉塞される開口形成体に軸支されると共に、
前記開口形成体に備えられたラッチ受けに対するラッチ体と、
このラッチ体をそのラッチ端がラッチ受けに係合される位置に常時あるように付勢する付勢手段と、
前記リッドロアに移動可能に備えられると共に、前進位置において前記ラッチ体を前記付勢に抗する向きに押圧して前記ラッチ体と前記ラッチ受けとの係合を解く切り替え部材とを備えており、
前記リッドアッパーは、前記リッドロアの回動中心軸の軸線方向に直交する向きのスライド移動可能に前記リッドロアに組み合わされており、
前記リッドアッパーを前記リッドロアの前記回動中心軸側に移動操作させたときに前記切り替え部材を前記前進位置に移動させるように、前記リッドアッパーと前記リッドロアとを連係させる連係部材を備えてなる、ものとした。
【0009】
かかる構成によれば、第一に、リッドロアのラッチ体を開口形成体のラッチ受けに係合させることで、リッドロア及びこれに組み合わされたリッドアッパー(以下、これもリッド装置の主体部と称する。)によって開口形成体の開口を閉塞した状態を維持することができる。また、第二に、このように開口形成体の開口を閉塞した状態から、リッドアッパーをリッドロアの回動中心軸側に移動操作することにより、前記ラッチ体の係合を解いて前記主体部を前記開口形成体の開口を開放する向きに前記回動中心軸を中心として回動させることができる。主体部はリッドアッパーの移動操作先側を回動中心としてこの回動中心と反対の側から開き出すことから、この開放のためのリッドアッパーの操作は直感的に行えるものとなる。第三に、開口形成体の開口を開放した状態から、主体部を復動させることで、主体部によって開口形成体の開口を閉塞した状態を再び作り出すことができ、また、ラッチ体を再びラッチ受けに係合させることで、この状態を維持することができる。
【0010】
また、前記課題を達成するために、この発明にあっては、第三の観点から、リッド装置を、リンク体を備えたリッドロアと、
前記リッドロア上に配されるリッドアッパーとを備えてなり、
前記リッドロアの前記リンク体は、一端側を第一軸によってリッド装置によって開口を閉塞される開口形成体に軸支され、かつ、他端側を第一軸と平行な第二軸によってリッドロアに軸支されていると共に、開口形成体に備えられたラッチ受けに対するラッチ体と、このラッチ体をそのラッチ端がラッチ受けに係合される位置に常時あるように付勢する付勢手段とを備えており、
前記リッドロアは、前記リンク体の両端間においてこのリンク体に形成された係合穴に入り込む係合端を備えると共に、この係合端をこの係合穴を通じてリンク体内に最も入り込ませた前進位置と、この係合穴から抜け出させた後退位置と、両位置の間となる中間位置とにそれぞれ位置づけさせる移動可能に備えられる切り替え部材を備えており、
前記切り替え部材の係合端が前進位置にあるときにこの係合端によってラッチ体が前記付勢に抗する向きに押圧されてラッチ受けとの係合が解かれるようにしてなり、
前記リッドアッパーは、前記第一軸及び前記第二軸の軸線方向に直交する向きのスライド移動可能に前記リッドロアに組み合わされていると共に、
前記リッドアッパーが移動前位置にあるときは前記切り替え部材を前記中間位置に位置づけ、
前記リッドアッパーを前記第一軸側に移動操作させたときに前記切り替え部材を前記前進位置に移動させ、
前記リッドアッパーを前記第二軸側に移動操作させたときに前記切り替え部材を前記後退位置に移動させるように、前記リッドアッパーと前記リッドロアとを連係させる連係部材を備えてなる、ものとした。
【0011】
このようにした場合、前記第二の観点にかかるリッド装置の機能に加え、リンク体の第一軸はその一端側にあり、リンク体の第二軸はその他端側にあることから、リッドアッパーを第一軸側に移動操作させたときは主体部を第一軸を回動中心として第二軸の位置される側を自由端とするように開き出させることができる。一方、リッドアッパーを第二軸側に移動操作させたときは主体部を第二軸を回動中心として第一軸の位置される側を自由端とするように開き出させることができる。
【0012】
前記リッド装置に、前記リッドアッパーを前記移動前位置に復動付勢するリッドアッパー用付勢手段を備えさせておくことが、この発明の形態の一つとされる。
【0013】
また、前記課題を達成するために、この発明にあっては、第四の観点から、センターコンソールボックスを、前記各リッド装置のいずれかにおける前記リッドアッパーに組み合わされた前記リッドロアを蓋として、かつ、開口形成体をボックスとして構成されると共に、前記リッドロアの回動中心軸を自動車の前後方向又は左右方向に沿うように配してなる、ものとした。
【0014】
また、前記課題を達成するために、この発明にあっては、第五の観点から、センターコンソールボックスを、ボックス形成体と、前記ボックス形成体に軸支されると共に、ラッチ機構によって前記ボックス形成体の開口を閉塞した状態を保持されるリッド装置とからなり、前記リッド装置に対する移動操作によって、前記ラッチ機構による前記リッド装置の保持状態が解除されるようにしてなる、ものとした。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、この種のリッド装置の開放操作を、リッド装置に対するスライド移動操作により可能とすることから、かかる開放操作を容易且つ直感的に行なうことができる。
特に、前記リッドアッパーは前記主体部の上部を構成するものであり、別途付設されるボタン体などではないことから、前記容易且つ直感的に開放操作を行えるとの機能を、リッド装置の外観性を高く維持した状態で、リッド装置に合理的に備えさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、この発明の一実施の形態にかかるリッド装置の分解斜視構成図である。
図2図2は、前記リッド装置を構成するリッドアッパー及びリッドロアの記載を省略して、これを構成する切り替え部材、連係部材、及びリンク体を表した斜視構成図であり、切り替え部材は中間位置にある。
図3図3は、前記リッド装置、及び、このリッド装置によって開口を閉塞された開口形成体の斜視構成図である。
図4図4は、図3の状態からリッドアッパーを同図の左側に向けてスライド移動操作した直後の状態を示した斜視構成図である。
図5図5は、図4の状態からリッドアッパーを起立回動させて開放形成体の開口を開放させた状態を示した斜視構成図である。
図6図6は、図3の状態から図4と反対の向きにリッドアッパーをスライド移動操作し、リッドアッパーを起立回動させて開放形成体の開口を開放させた状態を示した斜視構成図である。
図7図7は、前記リッド装置を構成するリッドアッパー及びリッドロアの記載を省略して、これを構成する切り替え部材、連係部材、及びリンク体を表した平面構成図であり、切り替え部材は中間位置にある。
図8図8は、図7におけるA-A線位置での断面構成図である。
図9図9は、図7におけるB-B線位置での断面構成図である。
図10図10は、図7におけるC-C線位置での断面構成図である。
図11図11は、図4の状態を前記リッド装置を構成するリッドアッパー及びリッドロアの記載を省略して、これを構成する切り替え部材、連係部材、及びリンク体を表した平面構成図である。
図12図12は、図11におけるD-D線位置での断面構成図である。
図13図13は、図12におけるE-E線位置での断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1図13に基づいて、この発明の典型的な実施の形態について、説明する。
【0018】
この実施の形態にかかるリッド装置2は、二つのリッド構成体とから構成される主体部3を備えている。図示の例では、かかる主体部3は、前記二つのリッド構成体の一方となるリッドロア4と、このリッドロア4上に配される前記二つのリッド構成体の他方となるリッドアッパー5とから構成されている。
【0019】
前記リッドロア4は、リッド装置2によって開口1aを閉塞される開口形成体1に軸支されている。
【0020】
一方、前記リッドアッパー5は、前記リッドロア4の回動中心軸(後述の第一軸12および第二軸13)の軸線方向x(図4及び図7参照)に直交する向きのスライド移動可能に前記リッドロア4に組み合わされている。
【0021】
すなわち、リッドアッパー5とリッドロア4とによりリッド装置2の主体部3が構成されている。かかる主体部3は、リッドロア4を介して開口形成体1に軸支される。
【0022】
図示の例では、前記主体部3と開口形成体1とによって実質的に六面体の箱状をなす収納体が構成されるようになっている。開口形成体1は上面を開放させており、この開放箇所が前記開口1aとなっている。前記主体部3は、四角形の盤状を呈している。前記主体部3の上面3aはリッドアッパー5によって構成され、前記主体部3の下面3bはリッドロア4によって構成されている。
【0023】
主体部3の下面3bを開口形成体1の開口1aを巡る上面部に突き当てた状態、図示の例では、主体部3の上下面3a、3bをそれぞれ実質的に水平に位置させた状態において、主体部3によって開口形成体1の開口1aが閉塞される(図3)。
【0024】
一方、リッドアッパー5は、前記のように開口形成体1の開口1aを閉塞した状態から、実質的に水平方向へのスライド移動可能にリッドロア4に組み合わされている。
【0025】
また、リッドロア4は、前記開口形成体1に備えられたラッチ受け7に対するラッチ体6と、
このラッチ体6をそのラッチ端6aがラッチ受け7に係合される位置に常時あるように付勢する付勢手段8と、
前記リッドロア4に移動可能に備えられると共に、前進位置において前記ラッチ体6を前記付勢に抗する向きに押圧して前記ラッチ体6と前記ラッチ受け7との係合を解く切り替え部材9を備えている。
【0026】
それと共に、リッド装置2は、前記リッドアッパー5を前記リッドロア4の前記回動中心軸(図示の例では後述の第一軸12)側に移動操作させたときに前記切り替え部材9を前記前進位置に移動させるように、前記リッドアッパー5と前記リッドロア4とを連係させる連係部材10を備えている。
【0027】
かかる構成によれば、第一に、リッドロア4のラッチ体6を開口形成体1のラッチ受け7に係合させることで、リッドロア4及びこれに組み合わされたリッドアッパー5(前記主体部3)によって開口形成体1の開口1aを閉塞した状態を維持することができる。また、第二に、このように開口形成体1の開口1aを閉塞した状態から、リッドアッパー5をリッドロア4の回動中心軸側に移動操作することにより、前記ラッチ体6の係合を解いて前記主体部3を前記開口形成体1の開口1aを開放する向きに前記回動中心軸を中心として回動させることができる。主体部3はリッドアッパー5の移動操作先側を回動中心としてこの回動中心と反対の側から開き出すことから、この開放のためのリッドアッパー5の操作は直感的に行えるものとなる。第三に、開口形成体1の開口1aを開放した状態から、主体部3を復動させることで、主体部3によって開口形成体1の開口1aを閉塞した状態を再び作り出すことができ、また、ラッチ体6を再びラッチ受け7に係合させることで、この状態を維持することができる。
【0028】
この実施の形態にあっては、リッドロア4はさらにリンク体11を備えている。かかるリンク体11は、一端側を第一軸12によってリッド装置2すなわち前記主体部3によって開口1aを閉塞される開口形成体1に軸支され、かつ、他端側を第一軸12と平行な第二軸13によってリッドロア4に軸支されている。そしてこの実施の形態にあっては、かかるリンク体11に、開口形成体1に備えられたラッチ受け7に対するラッチ体6と、このラッチ体6をそのラッチ端6aがラッチ受け7に係合される位置に常時あるように付勢する付勢手段8とが備えられている、
【0029】
また、この実施の形態にあっては、リッドロア4に備えられる切り替え部材9は、前記リンク体11の両端間においてこのリンク体11に形成された係合穴11aに入り込む係合端9aを備えると共に、この係合端9aをこの係合穴11aを通じてリンク体11内に最も入り込ませた前進位置と、この係合穴11aから抜け出させた後退位置と、両位置の間となる中間位置とにそれぞれ位置づけさせる移動可能になっている。
【0030】
また、前記リッドアッパー5は、前記第一軸12及び前記第二軸13の軸線方向xに直交する向きのスライド移動可能に前記リッドロア4に組み合わされている。
【0031】
それと共に、前記連係部材10を、前記リッドアッパー5が前記移動前位置にあるときは前記切り替え部材9を前記中間位置に位置づけ、
前記リッドアッパー5を前記第一軸12側に移動操作させたときに前記切り替え部材9を前記前進位置に移動させ、
前記リッドアッパー5を前記第二軸13側に移動操作させたときに前記切り替え部材9を前記後退位置に移動させるように、前記リッドアッパー5と前記リッドロア4とを連係させる構成としている。
【0032】
図示の例では、リッドアッパー5は、リッドアッパー5の下部に固定された雄側ガイド部材14を、リッドロア4の上部に固定された雌側ガイド部材15に組み合わせることで、リッドロア4に前記のようにスライド移動可能に組み合わされている。
【0033】
図示の例では、リッドアッパー5の下部には、リッドアッパー5のスライド移動方向y(図4及び図7参照)に沿う向きに長い一対の連係用バー16aと、この一対の連係用バー16aの一端間に架設されるフレーム構成体16cと、この一対の連係用バー16aの他端間に架設されるフレーム構成体16cによって形成されたフレーム体16が備えられている。
【0034】
一対の連係用バー16aは前記軸線方向xにおいて間隔を開けて配されている。一対のフレーム構成体16cはそれぞれ、その両端間においてフレーム体16の中央に向けて水平方向に延び出すマウント部16dを有している。
【0035】
雄側ガイド部材14は、マウント部16dを利用してフレーム体16の中央に位置づけられた板状を呈している。フレーム体16は前記フレーム構成体16cの上部をリッドアッパー5の下部中央に固定されるようになっており、これにより雄側ガイド部材14とリッドアッパー5とが一体化されている。
【0036】
一方、雌側ガイド部材15は、リッドロア4の上部の中央に固着される四角形の基板15aと、この基板15aにおける前記スライド移動方向yに沿った一対の辺から上方に立ち上がる立ち上がり部15bとを備えた構成となっている。雌側ガイド部材15の一対の立ち上がり部15b間に雄側ガイド部材14は実質的に隙間なく納まるようになっている。立ち上がり部15bの上端にはフレーム体16の中央側に突き出す爪15cが形成されており、これにより雌側ガイド部材15内への雄側ガイド部材14の受け入れ状態が維持されるようになっている。
【0037】
また、図示の例では、前記一対の連係用バー16aが、リッドロア4に前記軸線方向xに沿う向きに移動可能に支持される後述の切り替え部材9に対する前記連係部材10として機能するようになっている。
【0038】
図示の例では、前記一対の連係用バー16aはそれぞれ、その長さ方向中程の位置を後述の切り替え部材9の下方に位置させるようになっていると共に、切り替え部材9の下部から下方に突き出す突起9bがこの連係用バー16aの長さ方向中程の位置に形成された長穴16bに納められている。長穴16bの穴幅は突起9bの径と実質的に等しくなっている。長穴16bはリッドアッパー5のスライド移動方向yに対し実質的に45度の角度をもって交叉する仮想の直線に沿うように形成されている(図7参照)。
【0039】
そして、前記リッドアッパー5が前記移動前位置にあるときは、突起9bは長穴16bの長さ方向略中程に位置し(図7)、このときは、前記切り替え部材9は前記中間位置に位置づけられるようになっている(図7)。このときは、後述のように、リンク体11に備えられたラッチ体6と開口形成体1に備えられたラッチ受け7とが係合され、かつ、係合穴11a位置でリンク体11と主体部3とも一体化されることから、開口形成体1の開口1aを主体部3で閉塞させた状態が維持される(図3図7図10)。
【0040】
次いで、前記リッドアッパー5を前記第一軸12側に移動操作させたときは(図11における右側のリンク体11に関しては図11の上側)、突起9bは長穴16bの一端側に移動され、図11の右側では前記切り替え部材9は前記前進位置に移動されるようになっている(図11図13)。このときは、後述のように、リンク体11に備えられたラッチ体6と開口形成体1に備えられたラッチ受け7との係合が解かれることから、係合穴11a位置でリンク体11を主体部3と一体化させた状態で第一軸12を中心に開口形成体1の開口1aを開放させる向きに主体部3を往動させることができる(図4図5図11図13)。
【0041】
これとは逆に、前記リッドアッパー5を前記第二軸13側に移動操作させたときは(図11における右側のリンク体11に関しては図11の下側)、突起9bは長穴16bの他端側に移動され、図11の右側では前記切り替え部材9は前記後退位置に移動されるようになっている。このときは、後述のように、リンク体11に備えられたラッチ体6と開口形成体1に備えられたラッチ受け7とが係合された状態で係合穴11a位置で主体部3とリンク体11とが分離されることから、開口形成体1側にリンク体11を残した状態で第二軸13を中心に開口形成体1の開口1aを開放させる向きに主体部3を往動させることができる(図6)。
【0042】
図示の例では、切り替え部材9は前記軸線方向xに沿った棒状をなすと共に、この軸線方向xにおいて間隔を開けた二箇所にそれぞれ前記突起9bを備えている。そして、この切り替え部材9の一方の突起9bが一対の連係用バー16aの一方の長穴16bに納まり、この切り替え部材9の他方の突起9bが一対の連係用バー16aの他方の長溝16bに納まっている。
【0043】
また、この実施の形態にあっては、リッド装置2は、前記リッドアッパー5を前記移動前位置に復動付勢するリッドアッパー用付勢手段17を備えている。図示の例では、かかるリッドアッパー用付勢手段17は、リッドロア4に備えられている。かかるリッドアッパー用付勢手段17は、リッドロア4の中央側に圧縮コイルバネ17bの作用により突き出して、前記フレーム体16のフレーム構成体16cのマウント部16dに当接される当接体17aから構成されている。図示の例では、当接体17aはリッドロア4に前記軸線方向xに直交する向きに可動可能に支持されている。また、前記フレーム体16を構成する一対のフレーム構成体16cの一方のマウント部16dの外側に当接される当接体17aと、前記フレーム体16を構成する一対のフレーム構成体16cの他方のマウント部16dの外側に当接される当接体17aとの間に挟まれた状態で、フレーム体16が保持されるようになっている。リッドアッパー5をスライド移動操作すると、移動操作先側にある当接体17aが前記バネ17bを圧縮させながら後退する(図11)。リッドアッパー5のスライド移動操作を止めると後退した当接体17aが元の位置に前進しこれによりリッドアッパー5はスライド移動前の位置に復動される。
【0044】
また、図示の例では、開口形成体1の開口1aは巾と長さを持った略長方形状の輪郭を持つように構成されており、これに対応して、主体部3も、巾と長さとを備えた略長方形の盤状をなすように構成されている。リッド装置2は、開口形成体1の開口1aを閉塞する主体部3を、この開口1aにおける対向する縁部、図示の例では、前記開口1aにおける前記軸線方向xに沿った長さ側の縁部1bのいずれの側を回動中心としても、回動・開き出せるようにしたものとなっている。
【0045】
開口形成体1としては、主体部3によって開放可能に閉塞される開口1aを形成するものであれば本発明を適用し得る開口形成体1となる。典型的には、かかる開口形成体1としては、自動車や航空機などの乗り物の室内に備えられる収納体の本体や、収納部を備えた家具や家電などの本体などがあげられる。
【0046】
具体的には、例えば、開口形成体1が自動車のセンターコンソールボックスを構成する上面を開口1aさせたボックスである場合には、主体部3をその蓋として本発明が適用される。かかる蓋は略水平な状態でかかるボックスの開口1aを閉塞する。そして、本発明の適用により、助手席側からこの蓋を起立回動させて開くことができるようになると共に、運転席側からこの蓋を起立回動させて開くこともできるようになる。あるいはまた、本発明の適用により、後部座席側からこの蓋を起立回動させて開くことができるようになると共に、前部座席側からこの蓋を起立回動させて開くこともできるようになる。前者の場合、前記軸線方向xを自動車の前後方向に配するようにしてセンターコンソールボックスを構成させる。また、後者の場合、前記軸線方向xを自動車の左右方向に配するようにしてセンターコンソールボックスを構成させる。
【0047】
すなわち、本発明の適用により、前記開口形成体1としてのボックス形成体と、このボックス形成体に軸支されると共に、ラッチ機構(前記ラッチ体6及びラッチ受け7)によって前記ボックス形成体の開口を閉塞した状態を保持されるリッド装置とからなり、前記リッド装置に対する移動操作(前記リッドアッパー5のスライド移動操作)によって、前記ラッチ機構による前記リッド装置の保持状態が解除されるようにしてなる、センターコンソールボックスが構成される。
【0048】
図示の例では、前記切り替え部材9の係合端9aが前進位置にあるときにこの係合端9aによってラッチ体6が前記付勢に抗する向きに押圧されてラッチ受け7との係合が解かれるようになっている(図13の右側参照)。このときは、主体部3とリンク体11とは第二軸13と切り替え部材9の係合端9aとの二箇所で接合されており、一方、リンク体11と開口形成体1とは第一軸12によってのみ接合されている。したがって、このときは、主体部3とリンク体11とを分離させない状態でかかる主体部3を第一軸12を中心として回動・開き出させることができる。(以下、この状態を第一軸側回動状態と称する。)
【0049】
かかる切り替え部材9の係合端9aが中間位置にあるときは、ラッチ体6とラッチ受け7との係合を解かない状態で係合端9aはリンク体11の係合穴11aに係合されることとなる。このときは、主体部3とリンク体11とは第二軸13と切り替え部材9の係合端9aとの二箇所で接合されており、一方、リンク体11と開口形成体1とは第一軸12とラッチ体6及びラッチ受け7との二箇所で接合されている。したがって、このときは、主体部3は第一軸12を中心としても第二軸13を中心としても回動・開き出させることはできず、主体部3による開口形成体1の開口1aを閉塞させた状態が維持される。(以下、この状態を回動不能状態と称する。)
【0050】
一方、かかる切り替え部材9の係合端9aが後退位置にあるときは、ラッチ体6とラッチ受け7との係合を解かない状態で係合端9aはリンク体11の係合穴11aに係合しないこととなる(図13の左側参照)。このときは、主体部3とリンク体11とは第二軸13によってのみ接合されており、一方、リンク体11と開口形成体1とは第一軸12とラッチ体6及びラッチ受け7との二箇所で接合されている。したがって、このときは、リンク体11と開口形成体1とを分離させない状態でかかる主体部3を第二軸13を中心として回動・開き出させることができる。(以下、この状態を第二軸側回動状態と称する。)
【0051】
開き出された状態から閉じ操作された主体部3は、第一軸側回動状態のときは開口形成体1のラッチ受け7にラッチ体6を再び係合させることにより、また、第二軸側回動状態のときは開口形成体1側に残されたリンク体11の係合穴11aに切り替え部材9の係合端9aを再び係合させることにより、再び開口1aを閉塞させた状態に復帰される。
【0052】
これらの関係を記号を用いて分かりやすく示すと次のようになる。(なお、以下では、符号+はこの符号の左右のパーツが二箇所で接合して一体化していることを、符号/はこの符号の左右のパーツが一箇所でのみ接合していることを、それぞれ意味するものとして使用している。)
「第一軸側回動状態」→主体部3+リンク体11/開口形成体1
「回動不能状態」→主体部3+リンク体11+開口形成体1
「第二軸側回動状態」→主体部3/リンク体11+開口形成体1
【0053】
リンク体11の第一軸12はその一端側にあり、リンク体11の第二軸13はその他端側にあることから、第一軸側回動状態にあっては主体部3は第二軸13の位置される側を自由端とするように開き出す。一方、第二軸側回動状態にあっては主体部3は第一軸12の位置される側を自由端とするように開き出す。すなわち、主体部3は両開きとされる。
【0054】
ここで、この実施の形態にあっては、主体部3を両持ちとしている。すなわち、リンク体11を、第一リンク体11’と、第二リンク体11”とから構成させ、この二つのリンク体11’、11”を介して、主体部3を開口形成体1に組み付けさせている。図示の例では、前記開口1aにおける巾側の縁部1cの一方の側方にこの幅側の縁部1cに沿って長さを持った第一リンク体11’が配され、かつ、この巾側の縁部1cの他方の側方にこの幅側の縁部1cに沿って長さを持った第二リンク体11”が配されている。
【0055】
そして、前記主体部3の幅側の辺部3cの一方において、第一リンク体11’を介して主体部3が開口形成体1に組み合わされていると共に、
前記主体部3の幅側の辺部3cの他方において、第二リンク体11”を介して主体部3が開口形成体1に組み合わされている。
【0056】
また、それと共に、図7に特に示されるように、第二リンク体11”の第二軸13は第一リンク体11’の第一軸12を通る仮想の直線L1上に略位置され、
第二リンク体11”の第一軸12は第一リンク体11’の第二軸13を通る仮想の直線L2上に略位置されている。
【0057】
また、切り替え部材9は、第一リンク体11’に対する第一係合端9aaと、第二リンク体11”に対する第二係合端9abとを備えており、
切り替え部材9の第一係合端9aaが前進位置に移動されたとき第二係合端9abは後退位置に移動され、
切り替え部材9の第二係合端9abが前進位置に移動されたとき第一係合端9aaは後退位置に移動されるようになっている。
【0058】
切り替え部材9の第一係合端9aaが前進位置に移動されたとき、主体部3の幅側の辺部3cの一方側は前記第一軸側回動状態となる。これに対して、主体部3の幅側の辺部3cの他方側は前記第二軸側回動状態となる。ここで、第二リンク体11”の第二軸13は第一リンク体11’の第一軸12を通る仮想の直線L1上に略位置されることから、主体部3の回動・開き出しが可能となる。(図5図13
【0059】
切り替え部材9の第二係合端9abが前進位置に移動されたとき、主体部3の幅側の辺部3cの他方側は前記第一軸側回動状態となる。これに対して、主体部3の幅側の辺部3cの一方側は前記第二軸側回動状態となる。ここで、第二リンク体11”の第一軸12は第一リンク体11’の第二軸13を通る仮想の直線L2上に略位置されることから、前者の場合と反対の側を自由端とした主体部3の回動・開き出しが可能となる。(図6
【0060】
切り替え部材9の第一係合端9aaおよび第二係合端9abが共に前進位置にないときは第一係合端9aaおよび第二係合端9abは共に中間位置にあることとなる。このときは、主体部3の幅側の辺部3cの一方側および他方側において共に前記回動不能状態となるので、主体部3による開口形成体1の開口1aを閉塞させた状態が維持される。(図3図7
【0061】
このように主体部3を両持ちにした場合、特に、主体部3の回動・開きだしを安定的に行わせることができる。
【0062】
また、この実施の形態にあっては、第一リンク体11’の第二軸13および第二リンク体11”の第二軸13に巻装されたねじりコイルバネ18によって、この第二軸13を中心として開き出し回動される向きに主体部3が常時付勢されている。
【0063】
これにより、この実施の形態にあっては、主体部3の回動・開きだしがこのバネ18の付勢によってなされるようにすることができる。
【0064】
特に、この実施の形態にあっては、主体部3がいずれの向きから開く場合であっても、その回動・開きだしが前記バネ18の付勢によってなされるようにすることができる。
【0065】
また、この実施の形態にあっては、かかる主体部3を構成するリッドロア4における第二軸13の側方に、この第二軸13に備えられたギア13aに噛み合うピニオン19aを備えると共に、このピニオン19aの回転に制動を付与するダンパ装置19が備えられている。
【0066】
これにより、この実施の形態にあっては、主体部3の前記バネ18による回動・開きだしがゆっくりとなされるようにして、リッド装置2ないしはそれが適用される物品、機器、什器などに高級感などを付与させることができる。
【0067】
また、主体部3の二箇所の幅側の辺部3cにおいてはそれぞれ、リッドロア4にこのリッドロア4の幅方向に亘って、リッドロア4の下部において開放されたリンク体11の収納凹部4aが形成されている。
【0068】
リッドロア4におけるリッドアッパー5で塞がれる上面側には、その長さ方向に沿った縁部にそれぞれ、前記収納凹部4a間に亘る立ち上がり壁4bが形成されており、収納凹部4aを画成する側壁4cとこの立ち上がり壁4bとによって主体部3は上面開口の箱状を呈している(図1参照)。この主体部3の内側に臨んだ収納凹部4aの側壁4cの略中央には、この側壁4cを貫通する切り替え部材9の係合端9aの通し部4dが形成されている(図10参照)。図1中、符号4eはこの通し部4dに係合端9aを導入した切り替え部材9の押さえ部材である(なお、図1以外の各図では抑え部材4eの記載は省略している)。
【0069】
切り替え部材9は、図示の例にあっては、一方の収納凹部4aに形成された前記通し部4dと、他方の収納凹部4aに形成された前記通し部4dとにそれぞれ、その端部を常に入り込ませる長さを持った棒状をなすように構成されている。この端部が前記係合端9aとして機能するようになっている。
【0070】
リッドアッパー5が移動前位置にあるとき、前記突起9bは前記長穴16bの長さ方向略中程の位置に位置される。(図7
【0071】
リッドアッパー5が移動前位置から図7における上側に向けてスライド移動されると、切り替え部材9は図7における右側に移動され、この右側にある第一リンク体11’に備えられたラッチ体6におけるその回動軸6cを挟んでラッチ端6aと反対の側となる上端部6bをラッチ受け7との係合を解く向きに押すようになっている(図13)。一方、図示は省略するが、リッドアッパー5が移動前位置から図7における下側に向けて押し込まれると、切り替え部材9は同図における左側に移動され、この左側にある第二リンク体11”に備えられたラッチ体6におけるその回動軸6cを挟んでラッチ端6aと反対の側となる上端部6bをラッチ受け7との係合を解く向きに押す。
【0072】
切り替え部材9の両係合端9aは、リッドアッパー5が移動前位置にあるときは、通し部4dを通じて収納凹部4a内にあるリンク体11の係合穴11aにやや入り込んでいる。(図10
【0073】
リンク体11は、一端に第一軸12の軸穴11bを備え、他端に前記第二軸13の軸穴11cを備えると共に、前記主体部3の閉じ状態においては前記収納凹部4a内に完全に納まる太さを持った棒状をなすように構成されている。
【0074】
第一軸12は、図1において符号1dで示す開口形成体1の開口1aの縁部から上方に突き出す軸受け部の軸穴とリンク体11の第一軸12の軸穴11bとに通されている。
【0075】
第二軸13は、リッドロア4の収納凹部4aの外壁に形成された軸穴4f(図1参照)とリンク体11の第二軸13の軸穴11cとに通され、リッドロア4の内側に位置される軸端に前記ギア13aを備えている。
【0076】
リンク体11の長さ方向略中程の位置であって収納凹部4aへの収納時にリッドロア4の中央側に向けられる内側壁に前記係合穴11aが貫通状態に設けられている。主体部3を開いた状態から閉じ操作すると、切り替え部材9の係合端9aはリッドアッパー用付勢手段17の付勢により移動前位置に復動されるリッドアッパー5によって中間位置に位置づけられていることから、その係合端9aをリンク体11の外面に摺接させてやや後退され、これにより主体部3の閉じ位置への移動が許容される。主体部3の閉じ位置ではリッドアッパー用付勢手段17の付勢により切り替え部材9のこの係合端9aは再び中間位置に戻され、リンク体11の係合穴11aに入り込み係合される。
【0077】
ラッチ受け7は、図示の例では、開口形成体1の開口1aの巾側の縁部1cの側方であって、その略中程の位置において、この開口形成体1を構成する上面部14に形成された貫通穴7aによって構成されている。
【0078】
一方、ラッチ体6は、リンク体11の長さ方向略中程の位置においてこのリンク体11の下部に貫通状態に形成された窓穴11dから突き出すラッチ端6aを備えると共に、リンク体11の内部にあって係合穴11aの前方に位置される上端部6bを備えており、かつ、このラッチ端6aと上端部6bとの間において、回動軸6cをもってリンク体11の長さ方向に回動中心軸を沿わせる向きでこのリンク体11に回動可能に支持されている。ラッチ端6aは、リンク体11の外壁側に突き出す爪体6dによって構成されている。また、回動軸6cには付勢手段8としてのねじりコイルバネが巻装されており、このバネによってラッチ体6は主体部3の閉じ状態においてラッチ受け7としての貫通穴7aにラッチ端6aを入り込ませ爪体6dをこの貫通穴7aの内側の穴縁部に係合させる位置に位置づけられるようになっている。主体部3が閉じられた状態において切り替え部材9の係合端9aが前進位置に移動されると、この係合端9aがラッチ体6の上端部6bを押しラッチ体6はそのラッチ端6aとラッチ受け7としての貫通穴7aとの係合を解く向きに回動される。これにより、かかるリンク体11を主体部3の収納凹部4aに納めさせた状態でこの側では第一軸12を中心に主体部3は開かれる。(このリンク体11と反対の側のリンク体11はラッチ体6をラッチ受け7に係合させた状態で開口形成体1上に残される。)リッドアッパー5のスライド移動操作を止めれば係合端9aは中間位置に戻るので主体部3と一緒に持ち上がっているリンク体11におけるラッチ体6のラッチ端6aは付勢手段8としてのバネにより元の位置に戻される。主体部3を閉じる操作をするとこのラッチ端6aはラッチ受け7としての貫通穴7aの穴縁部に突き当てられ付勢手段8としてのバネの付勢に抗してやや回動してこの貫通穴7aに入り込み、入り込み位置で再び元の位置に戻りこの貫通穴7aに前記のように係合される。
【0079】
なお、当然のことながら、本発明は以上に説明した実施態様に限定されるものではなく、本発明の目的を達成し得るすべての実施態様を含むものである。
【符号の説明】
【0080】
x 軸線方向
1 開口形成体
4 リッドロア
5 リッドアッパー
6 ラッチ体
7 ラッチ受け
8 付勢手段
9 切り替え部材
10 連係部材

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13