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特許72404033D医用画像の解剖学的ジオメトリに従った、構造化された畳み込みを通した1つまたはいくつかのニューラルネットワークによる3D医用画像の自動セグメンテーションプロセス
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  • 特許-3D医用画像の解剖学的ジオメトリに従った、構造化された畳み込みを通した1つまたはいくつかのニューラルネットワークによる3D医用画像の自動セグメンテーションプロセス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】3D医用画像の解剖学的ジオメトリに従った、構造化された畳み込みを通した1つまたはいくつかのニューラルネットワークによる3D医用画像の自動セグメンテーションプロセス
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20230308BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20230308BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
G06T7/00 350C
A61B6/03 360J
A61B6/03 360Q
A61B5/055 380
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020538889
(86)(22)【出願日】2019-01-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-06
(86)【国際出願番号】 EP2019050553
(87)【国際公開番号】W WO2019138001
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2022-01-06
(31)【優先権主張番号】62/615,525
(32)【優先日】2018-01-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515249134
【氏名又は名称】アンスティテュ・ドゥ・ルシェルシュ・シュール・レ・カンセール・ドゥ・ラパレイユ・ディジェスティフ-イ・エール・セ・ア・デ
(73)【特許権者】
【識別番号】520254196
【氏名又は名称】ビジブル・パシアン
(73)【特許権者】
【識別番号】520254200
【氏名又は名称】コンセルバトワール・ナショナル・デ・アーツ・エ・メティエ(セ・エヌ・ア・エム)
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソレ,リュック
(72)【発明者】
【氏名】トム,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】オステトレ,アレクサンドル
(72)【発明者】
【氏名】マレスコー,ジャック
【審査官】▲広▼島 明芳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0110632(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0061620(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0135561(US,A1)
【文献】特表2013-537445(JP,A)
【文献】特開2017-189384(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00 - 7/90
A61B 5/055
A61B 6/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a×b×nのディメンションの、すなわち各々がa×bのディメンションのn個の異なる2D画像から構成される3D医用画像において見られ得る解剖学的および病理学的構造物または器具についての情報を収容する知識データベースを利用する、医用画像の自動セグメンテーション方法であって、方法が、3つのプロセスステップ、すなわち、
a/2 × b/2 × nのディメンションの9つのサブ画像(1から9)を前記医用画像から抽出する、すなわち、9つの部分的にオーバーラップするa/2 × b/2のサブ画像を各2D画像から抽出することにある第1のステップ、
9つの畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が、各2D画像のこれら9つのサブ画像(1から9)の各々を解析し、セグメント化することにある第2のステップ、
n個の異なる2D画像の9つの解析およびセグメンテーションの結果を、したがってa/2 × b/2 × nのディメンションを有する9つのセグメント化されたサブ画像の結果を、最初の医用画像の単一のセグメンテーションに対応する、a×b×nのディメンションを有する単一の画像に結合することにある第3のステップ
を主に含み、
各々a/2 × b/2のディメンションの9つのサブ画像(1から9)が、a×bのディメンションの2D画像から以下のように、すなわち、
- 2D画像を、2対の対向する辺の仲介により、4つのサブ画像(1から4)に対称的に区分すること、
- 2D画像の2つの方向の各々に従って、1つの辺を間に共有し、前記画像の垂直な辺に向かって中心に配置された2つのサブ画像(5、6および7、8)を形成すること、
- 2D画像に向かって中心に配置され、前記画像の辺に平行な辺を有するサブ画像(9)を形成すること
により抽出されることを特徴とする、自動セグメンテーション方法。
【請求項2】
9つのサブ画像(1から9)のオーバーラップが、考慮される最初の2D画像の全面を共にカバーする、各々a/4 × b/4のディメンションの16個の断片的な相補的領域(AからP)を生成するように構成されることを特徴とする、請求項1に記載の自動セグメンテーション方法。
【請求項3】
自動セグメンテーション方法が、
- a×b×N(i)のディメンションのK個のセグメント化された医用画像から知識データベースを構築すること、
- a/2 × b/2 × N(i)のディメンションの画像の9つのサブセットを、知識データベースの各画像から作成すること、
- a/2 × b/2 × N(i)のディメンションの9つのサブ画像のセグメンテーション、および9つのサブ画像からの各サブセットの画像作成を可能とし、次いでこの選択をXおよびY方向に1からTボクセル分シフトさせ、したがって、各々が同じディメンションを有する4から(T+1)個の画像の9つのサブセットを提供すること
にあり、N(i)は画像iのZに沿ったスライスの数であり、iは1からKまで変化することを特徴とする、請求項1または2に記載の自動セグメンテーション方法。
【請求項4】
自動セグメンテーション方法が、9つの2D CNNを用いて、
- 1つの専用の2D CNNを用いて、およびa/2 × b/2のディメンションを有するn個のスライスを順次セグメント化することにより、9つのサブ画像(1から9)の各々を解析することと、次いで、
- 全ての9つのCNNにより提供された結果を結合して、前記結果のマージにより単一の最初の画像のセグメンテーションを提供することと
にあることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動セグメンテーション方法。
【請求項5】
自動セグメンテーション方法が、9つの3D CNNを用いて、
- 1つの専用の3D CNNを用いて、およびa/2 × b/2のディメンションを有するL個の連続するスライスの全てのサブセットを順次セグメント化することにより、9つのサブ画像の各々を解析することと、次いで、
- 全ての9つのCNNにより提供された解析結果を結合して、前記結果のマージにより単一の最初の画像のセグメンテーションを提供することと
にあり、Lは2からnまでの範囲を取り、a/2 × b/2のディメンションを有する3Dサブ画像のサブセットの数は、1とn-L+1の間で変化することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の自動セグメンテーション方法。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の方法を実行することにより医用画像の自動セグメンテーションを行うためのシステムであって、知識データベースからの情報を用いることにより、医用画像の少なくとも一部のセグメンテーションを行うように適合された9つの畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の協調動作をホストし、可能とする、少なくとも1つのコンピュータデバイスを含み、前記少なくとも1つのコンピュータデバイスはまた、医用画像の区分と、異なるCNNにより提供された部分的セグメンテーション結果のマージとを実施するプログラムをホストし、走らせることを特徴とする、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理の分野、より詳細には画像の処理および解析、特に医用画像のセグメンテーションに関連し、3D医用画像の解剖学的ジオメトリに従った、構造化された畳み込みを通した、1つまたはいくつかのニューラルネットワークによる3D医用画像の自動セグメンテーションプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ、MRI、超音波、CTまたはSPECタイプの画像のような医用イメージングデバイスから作られる3次元画像は、3D画像の基本単位であるボクセルのセットから構成される。ボクセルは、2D画像の基本単位であるピクセルを3Dに拡張したものである。各ボクセルは、2D関数F(x,y)または3D関数F(x,y,z)の結果と考えることができるグレーレベルまたは濃さと関連付けられ、ここでx、yおよびzは空間座標を表す(図1参照)。
【0003】
図2の図は、横断面図による3D医用画像セグメンテーションの定義を示す。
【0004】
典型的には、2Dまたは3Dの医用画像は、臨床医が状態を評価するため、ならびに治療戦略を確定し計画するために、描出する必要のある解剖学的および病理学的な構造物(器官、骨、組織、・・・)または人工的な要素(ステント、インプラント、・・・)のセットを含む。この点において、器官および病変が画像内で識別される必要があり、これは、2D画像の各ピクセルまたは3D画像の各ボクセルをラベル付けすることを意味する。このプロセスはセグメンテーションと呼ばれる。
【0005】
臨床ルーチンにおいて取得されるCTおよびMRI画像の場合、それらは、(X軸およびY軸に沿って)a×bのディメンションを有する(Z軸に沿った)n個の矩形または正方形の、一連の2D画像とみなされ得る。一般に、それらは、512×512ピクセルに等しい、X軸およびY軸に沿った標準的なディメンションであり、これは横断面のディメンションが通常a=b=512であることを意味する。次いで対照的に、スライスの数n(Z軸に沿ったディメンション)は非常に可変的であり、観察された領域のディメンションに依存する。
【0006】
したがって、横断面を全体として解析すること、またはより小さな、例えば4つの256×256のサブ画像に分割すること、それゆえ、解析を別々により高速に行うことが考えられ得る。作成されたこれら4つのサブ画像は、最初の画像の全ボクセルをカバーし、それらのディメンションはa/2 × b/2 × nである。
【0007】
図3Aは、ヒト被験体の医用画像を取得する場合に考えるべき3つの主要な面を示し、図3Bは、医用画像の横断面に沿ったスライスの、4つの256×256のサブ画像への分割を示す。
【0008】
セグメンテーションを行うための方法は多数存在する。これらの方法の中でも、ニューラルネットワークは、人工知能アルゴリズム専用のカテゴリの一部であり、自動であるという利点を有する。
【0009】
これらのアルゴリズムのバリエーションは多数存在するが、それらは依然として、医用イメージングに特定されない、特にそのコンテンツに特定されない、標準的なアーキテクチャベースに限定されたままであることが多い。
【0010】
しかし、医用イメージングにおける画像のコンテンツは、特にCTおよびMRI画像において、再出現性が非常に高い。画像の中央において、手術台(operating table)(イメージングプロシージャの間、通常その上に患者が横たわっている)がある患者の下部を除き、空気に囲まれた患者をシステマティックに有する。
【0011】
よって、写真1枚ごとに環境が変化する写真画像とは異なり、医用画像は、パスポート用ID写真と同様に、構造化および形式化されている;環境および位置が常に同じで人物の顔の細部のみが変化する。
【0012】
胸部の医用画像の場合、例えば常に肋骨が、背部では脊柱に、前部では胸骨に繋がっており、両肺を取り囲み、その間に心臓がある。もちろん、肺の位置の反転または肺の欠損などの変異が存在する場合もあるが、これらの例は通常の解剖学的変異と比較して非常に発生頻度が低い。他のエリア(頭部、腹部、骨盤、上肢または下肢)に関しても、同じ観察がなされ得、同じ原理が適用され得る。
【0013】
図4の画像は、3つの例として、様々な解剖学的エリア(胸部、腹部および骨盤)が相対的な器官の局在の規則的な分布を示す様子を示す。
【0014】
これらの発見に基づき、本発明者らは、この関連において前述のサブ画像分割が、他のサブ画像では見られない構造物を、この分割を用いてサブ画像内で定位することが可能であるという理由により、異なる意義を呈することを認識するに至った。
【0015】
例えば、図5に見られ得るように、サブ画像分割(ここでは腹部の512×512の横断面画像の256×256のサブ画像)は、非常に規則的な解剖学的構造物を含み、これは、関連付けられるネットワークがよりロバストでより効率的およびより特殊化されて開発されることを、可能にする。
【0016】
図5は、腹部の同じ横断面画像による様々な区分およびサブ画像抽出が、同じ領域において再出現する解剖学的構造物をシステマティックに定位することを可能とする様子を示す。
【0017】
例として図5の第1の画像において、胆嚢は左上のサブ画像に、右腎臓は左下のサブ画像に、左腎臓は右下のサブ画像に見出されることが非常に多い。脊柱は、画像2に認められるサブ画像にシステマティックに属する。肝臓はシステマティックに画像1または3の左側のサブ画像の一部になり、一方で脾臓は右側のサブ画像中にある。最後に、大動脈および大静脈は共に画像4のサブ画像中にあるが、画像3のサブ画像では、大静脈が左側のサブ画像、大動脈が右側のサブ画像と分かれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
よって、本発明の基本概念は、器官の特定の局在情報を活用する畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いた医用画像の新規な解析プロシージャを開発するべく、いくつかの特定のサブ画像分割を利用して、同じ領域において再出現する解剖学的構造物をシステマティックに定位するとともに、これらのサブ画像の別々の解析から収集される情報を活用および結合することを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
したがって、本発明は、その主たる目的として、a×b×nのディメンションの、すなわち各々がa×bのディメンションのn個の異なる2D画像から構成される3D医用画像において見られ得る解剖学的および病理学的構造物または器具についての情報を収容する知識データベースを利用する、医用画像の自動セグメンテーション方法に関し、
方法は、以下の3つのプロセスステップ、すなわち:
a/2 × b/2 × nのディメンションの9つのサブ画像を前記医用画像から抽出する、すなわち、9つの部分的にオーバーラップするa/2 × b/2のサブ画像を各2D画像から抽出することにある第1のステップ;
9つの畳み込みニューラルネットワークが、各2D画像のこれら9つのサブ画像の各々を解析し、セグメント化することにある第2のステップ;
n個の異なる2D画像の9つの解析およびセグメンテーションの結果を、したがってa/2 × b/2 × nのディメンションを有する9つのセグメント化されたサブ画像の結果を、最初の医用画像の単一のセグメンテーションに対応する、a×b×nのディメンションを有する単一の画像に結合することにある第3のステップ
を主に含むことを特徴とする。
【0020】
より正確には、本発明は、3つのステップから構成されるアルゴリズムを介して、a×b×nのディメンションを有する3D医用画像において見られ得る解剖学的および病理学的構造物または器具を知識データベースが学習した後の、自動セグメンテーションプロセスを提案する。第1のステップは、a/2 × b/2 × nのディメンションの9つのサブ画像を抽出することにあり、第2のステップは、9つの畳み込みニューラルネットワーク(CNN)がこれら9つのサブ画像のうちの1つを解析することにあり、第3のステップは、9つの解析の結果を、したがってa/2 × b/2 × nのディメンションを有する9つのセグメント化されたサブ画像の結果を、a×b×nのディメンションを有する単一の画像に結合することにある。出力は、最初の画像の単一のセグメンテーションである。この全体的アーキテクチャと、CNNに基づく9つのサブ画像解析におけるCNNに基づく元画像解析の区分とに、主な独自性がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】スキャナ、MRI、超音波、CTまたはSPECタイプの画像のような医用イメージングデバイスから作られる3次元画像は、3D画像の基本単位であるボクセルのセットから構成され、ボクセルは、2D画像の基本単位であるピクセルを3Dに拡張したものであり、各ボクセルは、2D関数F(x,y)または3D関数F(x,y,z)の結果と考えることができるグレーレベルまたは濃さと関連付けられ、ここでx、yおよびzは空間座標を表す、ことを示す図である。
図2】横断面図による3D医用画像セグメンテーションの定義を示す図である。
図3A】ヒト被験体の医用画像を取得する場合に考えるべき3つの主要な面を示す図である。
図3B】医用画像の横断面に沿ったスライスの、4つの256×256のサブ画像への分割を示す図である。
図4】3つの例として、様々な解剖学的エリア(胸部、腹部および骨盤)が相対的な器官の局在の規則的な分布を示す様子を示す図である。
図5】サブ画像分割(ここでは腹部の512×512の横断面画像の256×256のサブ画像)は、非常に規則的な解剖学的構造物を含み、これは、関連付けられるネットワークがよりロバストでより効率的およびより特殊化されて開発されることを可能にすることを示す図である。
図6】本発明の方法の処理ステップ、すなわち:最初のa×bの医用画像からの9つの(1から9の番号が付された)サブ画像の抽出をもたらす特定の画像分割と;専用のCNN(図6における丸い点の行)による各サブ画像の解析およびセグメンテーションと;最初の画像区分からの9つのサブ画像の複数の部分的オーバーラップおよびCNNの解析結果のマージとを、16個の相補的な断片的領域(AからPで示す)の定義およびグループ分けと共に図示する概略図である。
図7】3つの可能な方向への1ピクセル(または1ボクセル)のシフト(平行移動)を用いて、図6に示された例の第1のサブ画像(図6において番号1が付されたサブ画像)から生成された4つの異なる画像のサブセットを、例として示す図である。
図8】1または2ピクセル(またはボクセル)のシフト(平行移動)を用いて、図7と同じサブ画像から生成された9つの異なる画像のサブセットを、例として示す図である。
図9】最初の画像から抽出された9つのサブ画像(1から9)のうちの1つのセグメンテーションに各々専用化された9つの協調するCNNのグループによる、1つの2D画像(3D画像の1スライス)の処理(セグメンテーション)に伴うステップを図示する概略図であり、全てのサブ画像の個々のセグメンテーション結果は、単一の最初の画像のセグメンテーションに結合またはマージされることを示す。
図10図9と同様に、単一の画像セグメンテーションをもたらす、n(ここではn=5)個の2D画像のセット(3D画像のn個のスライスのセット)の処理(セグメンテーション)に伴うステップを図示する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
非限定的な例として示され、添付の図面を参照して説明される、少なくとも1つの好適な実施形態に関する下記の説明を用いて、本発明がよりよく理解されるであろう。
【0023】
図6は、本発明の方法の処理ステップ、すなわち:最初のa×bの医用画像からの9つの(1から9の番号が付された)サブ画像の抽出をもたらす特定の画像分割と;専用のCNN(図6における丸い点の行)による各サブ画像の解析およびセグメンテーションと;最初の画像区分からの9つのサブ画像の複数の部分的オーバーラップおよびCNNの解析結果のマージとを、16個の相補的な断片的領域(AからPで示す)の定義およびグループ分けと共に図示する概略図である。
【0024】
図7は、3つの可能な方向への1ピクセル(または1ボクセル)のシフト(平行移動)を用いて、図6に示された例の第1のサブ画像(図6において番号1が付されたサブ画像)から生成された4つの異なる画像のサブセットを、例として示す。
【0025】
図8は、1または2ピクセル(またはボクセル)のシフト(平行移動)を用いて、図7と同じサブ画像から生成された9つの異なる画像のサブセットを、例として示す。
【0026】
図9は、最初の画像から抽出された9つのサブ画像(1から9)のうちの1つのセグメンテーションに各々専用化された9つの協調するCNNのグループによる、1つの2D画像(3D画像の1スライス)の処理(セグメンテーション)に伴うステップを図示する概略図であり、全てのサブ画像の個々のセグメンテーション結果は、単一の最初の画像のセグメンテーションに結合またはマージされる。
【0027】
図10は、図9と同様に、単一の画像セグメンテーションをもたらす、n(ここではn=5)個の2D画像のセット(3D画像のn個のスライスのセット)の処理(セグメンテーション)に伴うステップを図示する概略図である。
【0028】
特に図6、9および10に模式的に示すように、本発明は、a×b×nのディメンションの、すなわち各々がa×bのディメンションのn個の異なる2D画像から構成される3D医用画像において見られ得る解剖学的および病理学的構造物または器具についての情報を収容する知識データベースを利用する、医用画像の自動セグメンテーション方法に関し、
方法は、3つのプロセスステップ、すなわち:
a/2 × b/2 × nのディメンションの9つのサブ画像(1から9)を前記医用画像から抽出する、すなわち、9つの部分的にオーバーラップするa/2 × b/2のサブ画像を各2D画像から抽出することにある第1のステップ;
9つの畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が、各2D画像のこれら9つのサブ画像(1から9)の各々を解析し、セグメント化することにある第2のステップ;
n個の異なる2D画像の9つの解析およびセグメンテーションの結果を、したがってa/2 × b/2 × nのディメンションを有する9つのセグメント化されたサブ画像の結果を、最初の医用画像の単一のセグメンテーションに対応する、a×b×nのディメンションを有する単一の画像に結合することにある第3のステップ
を主に含むことを特徴とする。
【0029】
器官、組織、物体および可能性のある類似の内部的特徴の特定の局在情報を活用する、専用化されたCNNの適合されたアーキテクチャを用いた並列処理と組み合わされた、処理される医用画像の特定の区分を提供することにより、本発明は、より高速でより正確でより効率的な医用画像のセグメンテーションを可能とする。
【0030】
典型的には、本発明の方法およびシステムにおいて用いられ得る、知られているCNNアルゴリズムとして、「U-Net」がある(例えば:「U-Net: Convolutional Networks for Biomedical Image Segmentation」、O. Ronnebergerら;MICCAI 2015、Part III、LNCS 3951、pp 234-‘’241、Springer IPSを参照)。
【0031】
「U-Net」は、「ResNet」または「DenseNet」などの他の知られているアーキテクチャと共に実現されてよい。
【0032】
CNNにより(特に、サブ画像のオーバーラップ領域における2つまたは3つの異なるCNNにより)提供される結果を結合するまたはマージするステップは、分類器の(加重)合計、乗算(積)または当業者に知られている類似の適合された予測アンサンブリングオペレーション(adapted prediction ensembling operation)により行われ得る。
【0033】
図6、9および10において明確で明瞭に示されている本発明の重要な特徴によれば、各々a/2 × b/2のディメンションの9つのサブ画像1から9が、a×bのディメンションの2D画像から以下のように抽出される:
- 2D画像を、2対の対向する辺の仲介により、4つのサブ画像1から4に対称的に区分する;
- 2D画像の2つの方向の各々に従って、1つの辺を間に共有し、前記画像の垂直な辺に向かって中心に配置された2つのサブ画像5、6および7、8を形成する;
- 2D画像に向かって中心に配置され、前記画像の辺に平行な辺を有するサブ画像9を形成する。
【0034】
上述の図6、9および10においても示しているように、9つのサブ画像1から9のオーバーラップは、考慮される最初の2D画像の全面を共にカバーする、各々a/4 × b/4のディメンションの16個の断片的な相補的領域AからPを生成するように構成される。
【0035】
医用画像の構造化状態およびコンテンツを利用することにより、知識データベースの学習スピードを増大させるべく、本発明の方法は:
- a×b×N(i)のディメンションのK個のセグメント化された医用画像から知識データベースを構築すること、
- a/2 × b/2 × N(i)のディメンションの画像の9つのサブセットを知識データベースの各画像から作成すること、
- a/2 × b/2 × N(i)のディメンションの9つのサブ画像のセグメンテーション、および9つのサブ画像からの各サブセットの画像作成を可能とし、次いでこの選択をXおよびY方向に1からTボクセル分シフトさせ、したがって、各々が同じディメンションを有する、4から(T+1)2個の画像の9つのサブセットを提供すること
であってもよく、N(i)は画像iのZに沿ったスライスの数であり、iは1からKまで変化する。
【0036】
図9に示す本発明の第1の実施形態によれば、自動セグメンテーション方法は、9つの2D CNNを用いて、
- 1つの専用の2D CNNを用いて、およびa/2 × b/2のディメンションを有するn個のスライスを順次セグメント化することにより、9つのサブ画像1から9の各々を解析することと、次いで、
- 全ての9つのCNNにより提供された結果を結合して、前記結果のマージにより単一の最初の画像のセグメンテーションを提供することと
にある。
【0037】
図10に示す本発明の第2の実施形態によれば、自動セグメンテーション方法は、9つの3D CNNを用いて、
- 1つの専用の3D CNNを用いて、およびa/2 × b/2のディメンションを有するL個の連続するスライスの全てのサブセットを順次セグメント化することにより、9つのサブ画像の各々を解析することと、次いで、
- 全ての9つのCNNにより提供された解析結果を結合して、前記結果のマージにより単一の最初の画像のセグメンテーションを提供することと
にあり、Lは2からnまでの範囲を取り、a/2 × b/2のディメンションを有する3Dサブ画像のサブセットの数は1とn-L+1の間で変化する。
【0038】
本発明はまた、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法を実行することにより医用画像の自動セグメンテーションを行うためのシステムであって、知識データベースからの情報を用いることにより医用画像の少なくとも一部のセグメンテーションを行うように適合された9つの畳み込みニューラルネットワーク(CNN)の協調動作をホストし、可能とする、少なくとも1つのコンピュータデバイスを含み、前記少なくとも1つのコンピュータデバイスはまた、医用画像の区分と、異なるCNNにより提供された部分的セグメンテーション結果のマージとを実施するプログラムをホストし、走らせることを特徴とする、システムを包含する。
【0039】
もちろん、本発明は、添付の図面において説明および表現されている2つの実施形態に限定されるものではない。本発明の保護範囲を超えることなく、特に様々な要素の構成の観点からの、または技術的均等物の置き換えによる変形が、依然可能である。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10