(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】非コークス原料炭から冶金コークスを製造するための方法
(51)【国際特許分類】
C10B 53/08 20060101AFI20230308BHJP
C10B 19/00 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
C10B53/08
C10B19/00
(21)【出願番号】P 2020542411
(86)(22)【出願日】2019-02-06
(86)【国際出願番号】 IB2019050936
(87)【国際公開番号】W WO2019155367
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2021-06-24
(31)【優先権主張番号】201831004462
(32)【優先日】2018-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】518201418
【氏名又は名称】タタ スチール リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】500342709
【氏名又は名称】ザ ユニバーシティ オブ ノッティンガム
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダス ビデュット
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラ サンジェイ
(72)【発明者】
【氏名】パル アタヌ ランジャン
(72)【発明者】
【氏名】ダッシュ プラティク スワラップ
(72)【発明者】
【氏名】スーダン ムニシュ
(72)【発明者】
【氏名】ビナー エレナー
(72)【発明者】
【氏名】ドッズ クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】レスター エドワード ヘンリー
(72)【発明者】
【氏名】ウイリアムズ オーラ
(72)【発明者】
【氏名】キングマン サムエル
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特開昭49-121803(JP,A)
【文献】特開昭54-127905(JP,A)
【文献】特表2006-503927(JP,A)
【文献】特開平07-166166(JP,A)
【文献】国際公開第2009/047682(WO,A2)
【文献】特開2016-069463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10B 57/04
C10B 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非コークス原料炭のみからの冶金コークスを製造するための方法であって、
前記非コークス原料炭を高密度化してペレット(11)を形成することと、
前記ペレット(11)を複数のれんが(4)の中でマイクロ波炉(1)内に据えることと、
大気圧の不活性雰囲気の下に所定の温度において、前記マイクロ波炉(1)内の前記ペレット(11)を加熱し、それにおいて前記ペレット(11)が、前記加熱の間に熱分解を受けることと、
前記マイクロ波炉(1)内の前記ペレット(11)を、前記不活性雰囲気の下に冷却し、前記非コークス原料炭の前記ペレット(11)を前記冶金コークスに変換することと、
を包含し、
前記マイクロ波炉(1)内における前記ペレット(11)の加熱が、サセプタを伴うことなく行われ
、
前記ペレット(11)を加熱して380kg/m
3
乃至440kg/m
3
の範囲内の密度を有する冶金コークスを製造する、方法。
【請求項2】
前記非コークス原料炭を高密度化することは、
前記非コークス原料炭を圧砕して圧砕された非コークス原料炭を形成することと、
前記圧砕された非コークス原料炭を稠密化して前記ペレット(11)を形成することと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記圧砕された非コークス原料炭を稠密化して、前記非コークス原料炭のペレットを形成し、前記ペレットは、1100kg/m
3乃至1150kg/m
3の密度を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記不活性雰囲気は、前記マイクロ波炉(1)内に不活性ガスをパージすることによって作り出される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記不活性ガスは、前記ペレット(11)の加熱の前および前記ペレット(11)の加熱の間に、3分から8分に及ぶ時間期間にわたって、60リットル/分から90リットル/分に及ぶフローレートで前記マイクロ波炉(1)内にパージされる、請求項
4に記載の方法。
【請求項6】
前記ペレット(11)は、前記マイクロ波炉(1)内において、前記不活性雰囲気の下に5リットル/分乃至20リットル/分のレートの冷却に曝される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記加熱は、10分から40分に及ぶ時間期間にわたって、2kW乃至8kWの範囲内のマイクロ波出力強度において行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記所定の温度は、900℃から1100℃に及び、分当たり40℃乃至60℃のレートにおいて増加される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、概して化石燃料に関する。特に、排他的な意味ではないが、この開示は、石炭からコークスを製造することに関する。さらに、この開示の実施態様は、非コークス原料炭から冶金コークスを製造するための方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
溶鉱炉または冶金炉は、多様な冶金プロセスにおいて広く使用されている。1つの、溶鉱炉内において広く使用されているその種の冶金プロセスは、製錬である。溶鉱炉内における製錬は、鉱石から金属を抽出するためにコークスまたは冶金コークスの利用を必要とする。溶鉱炉内のコークスは、化学反応の吸熱要件のための熱を提供する。またコークスは、スラグおよび金属の溶解を助ける一方で還元剤としての機能も果たす。コークスは、また、スラグおよび金属が炉床を通過するために必要となる透過性支持体をマトリクスに提供し、それにより、上向きに溶鉱炉のスタックに向かうガスの通過を助ける。
【0003】
従来的に、冶金コークスは、コークスを焼くために外部熱源を使用することができる炉内において製造される。その種の冶金コークスのコークス化因子が、熱に曝露されるときの本質的な変化を助けていた。より詳しく言えば、冶金コークスの製造に使用される石炭が、コークス原料炭(coking-coal)と非コークス原料炭(non-coking coal)に類別された。一般に、コークス原料炭は、軟化する性質を有し、加熱されたときに流体となり、その後の加熱時に再固化する。したがって、上述の性質を有していない石炭は、非コークス原料炭と呼ばれた。しかしながら、コークス原料炭は、希少商品であり、したがって獲得して冶金コークスに変換することが困難である。それに加え、その他方においては、コークス製造者が豊富な非コークス原料炭を抱えている。その種の非コークス原料炭は、それらの高い灰分含有量に起因して、溶鉱炉内の冶金プロセスにおける使用のために容易に適するものとなり得ない。
【0004】
多年にわたって冶金コークスは、溶鉱炉内における使用のために商業的に製造されてきた。その種の冶金コークスは、コークス原料炭または非コークス原料炭を高いコア温度においてマイクロ波放射に曝露することによって得られた。石炭は、大サイズのグラフェン格子を持たないことから、マイクロ波に対して透過性である。これに起因して、非局在化π電子は、自由に移動してマイクロ波の電磁界と結合することが不可能である。したがって、コークス製造者は、湿分および黄鉄鉱等のより誘電率の高い石炭マトリクスを使用してマイクロ波との反応を高めている。これは、石炭マトリクスへの熱分解を改善するレセプタ物質の追加を伴ってのみ可能であった。
非コークス原料炭を冶金コークスに変換するための進行中の努力とともに、多くの方法が提案され、産業の中で採用されてきた。その種の方法には、マイクロ波炉内において石炭をコークス化するためのサセプタの使用を含めることができる。しかしながら、これらのサセプタは、マイクロ波放射の吸収を高めるために使用されるが、それによってサセプタの動作温度が、冶金コークスの製造を助ける1100℃を超えて増加する。
【0005】
同様に、コークス製造プロセスのいくつかにおいては、冶金コークスの製造に低ランク炭[すなわち、高揮発性瀝青炭]の使用が行われた。しかしながら、その種の冶金コークスの製造は、2.45GHzにおいて8kWを超える範囲内のマイクロ波エネルギー出力を使用しつつ、1時間を超える長い持続時間で低ランク炭を加熱することを必要とする。
【0006】
そのほかの冶金コークス製造プロセスは、非コークス原料炭サンプルを、マイクロ波を用いた約30℃/分乃至約35℃/分のレートの急速加熱の下に曝すことを必要とする。急速加熱とともに、非コークス原料炭サンプルは、約30分にわたって600KN/m2を超える荷重を受けた。再びこのサンプルは、炉内において5℃/分のレートで約900℃までの炭化を受け、約2時間にわたってその温度で保持された。その種のプロセスは、そのようにして製造される冶金コークス内に所望の性質を獲得するべく複数のプロセス・ステップを必要とした。
【0007】
いくつかのそのほかの従来的プロセスにおいては、商業的に製造される冶金コークスが、13,600kW/tの範囲内の厖大な電力要件を要求する約70分乃至約80分の石炭サンプルの加熱を必要とし、不経済かつコストの掛かるプロセスであった。
【0008】
このように従来的なコークス製造プロセスのいくつかは、マイクロ波吸収を改善するためにサセプタを利用し、そのほかのいくつかの場合においては、非コークス原料炭を使用した冶金コークスの製造が、過剰なプロセス時間およびエネルギー消費を必要とし、経済的ではなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この開示は、上に述べた1つまたは複数の限界および従来技術に関連付けされる任意のそのほかの限界を克服することに指向される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この開示内において請求されるとおりの方法を通じ、非コークス原料炭から冶金コークスを製造する従来的な方法の1つまたは複数の欠点が克服され、さらに追加の利点が提供される。追加の特徴および利点は、この開示の専門的事項を通じて実現される。開示のそのほかの実施態様および側面は、この中で詳細に述べられ、請求される開示の一部と見做される。
【0011】
この開示の1つの非限定的実施態様においては、非コークス原料炭から冶金コークスを製造するための方法が開示されている。当該方法は、非コークス原料炭を高密度化してペレットを形成することを包含する。その後、ペレットが、複数のれんがの中でマイクロ波炉内に据えられ、続いて、大気圧の不活性雰囲気の下に所定の温度においてマイクロ波炉内のペレットが加熱され、その加熱の間にペレットが熱分解を受ける。マイクロ波炉内のペレットを不活性雰囲気の下に冷却し、非コークス原料炭のペレットを冶金コークスに変換する。
【0012】
ある実施態様においては、マイクロ波炉内のペレットの加熱が、サセプタを伴うことなく行われる。
【0013】
ある実施態様においては、非コークス原料炭の高密度化が、非コークス原料炭を圧砕して圧砕された非コークス原料炭を形成すること、および圧砕された非コークス原料炭を高密度化してペレットを形成することを含む。
【0014】
ある実施態様においては、非コークス原料炭の高密度化が、非コークス原料炭を圧砕すること、および圧砕された非コークス原料炭を高密度化してペレットを形成することを含む。さらに、非コークス原料炭の圧砕は、ハンマーミル、微粉砕ミル、または任意のそのほかの、圧砕された非コークス原料炭が約80%乃至約90%の微粉度を有するようなミル内において行われる。
【0015】
ある実施態様においては、圧砕された非コークス原料炭の高密度化が、ペレットの密度が約1100kg/m3乃至約1150kg/m3の範囲内となるように圧縮機内において行われる。
【0016】
ある実施態様では、圧砕された非コークス原料炭の高密度化においてバインダーが使用されてペレットが形成される。
【0017】
ある実施態様においては、不活性雰囲気が、マイクロ波炉内に不活性ガスをパージすることによって作り出される。
【0018】
ある実施態様においては、不活性雰囲気が、マイクロ波炉内に不活性ガスをパージすることによって作り出される。不活性ガスは、ペレットの加熱の前およびペレットの加熱の間に、約3分から約8分に及ぶ時間期間にわたって、約60リットル/分から約90リットル/分に及ぶフローレートでマイクロ波炉内にパージされる。
【0019】
ある実施態様においては、ペレットが、マイクロ波炉内において、不活性雰囲気の下に約5リットル/分乃至約20リットル/分のレートの冷却に曝される。
【0020】
ある実施態様においては、加熱が、約10分から約40分に及ぶ時間期間にわたって、約2kW乃至約8kWの範囲内のマイクロ波出力強度において行われる。
【0021】
ある実施態様においては、所定の温度が、約900℃から約1100℃に及び、分当たり約40℃乃至60℃のレートにおいて増加される。
【0022】
ある実施態様においては、この方法によって製造される冶金コークスの密度が、約380kg/m3乃至約440kg/m3の範囲内である。
【0023】
理解されるものとするが、上に述べられている開示の側面および実施態様は、互いに任意に組み合わされて使用されることが許される。それらの側面および実施態様のうちのいくつかは、一緒に組み合わされてこの開示のさらなる実施態様を形成することができる。
【0024】
以上の概要は、例証しているだけに過ぎず、いかなる方法においても限定は意図されていない。上に述べられているその例証的な側面、実施態様、および特徴に加えて、図面および以下の詳細な説明を参照することによって、さらなる側面、実施態様、および特徴が明らかになるであろう。
【0025】
その開示の新規の特徴および特質は、付随する説明の中に示されている。しかしながら、開示自体や使用の好ましい態様をはじめ、それのさらなる目的ならびに利点は、以下の例証的な実施態様の詳細な説明を参照することによって、それを添付図面に関連して読むときに、もっともよい理解が得られるであろう。次に、例としてだけ、添付図面を参照して1つまたは複数の実施態様を説明するが、それらの図面においては、類似する参照番号が類似する要素を表している。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】この開示の実施態様に従って非コークス原料炭から冶金コークスを製造するためのシステムを略図的に図解した説明図である。
【
図2】この開示の実施態様に従って非コークス原料炭ペレットを据えるための耐火れんがを略図的に図解した説明図である。
【
図3】この開示の実施態様に従った、第1の所定の時間間隔にわたるマイクロ波炉内における処理後の非コークス原料炭ペレットの熱分解を示した
図2の複数の耐火れんがを図解した説明図である。
【
図4】この開示の実施態様に従った、第2の所定の時間間隔にわたるマイクロ波炉内における処理後の非コークス原料炭ペレットの熱分解を示した
図2の複数の耐火れんがを図解した説明図である。
【
図5】この開示の実施態様に従った、冶金コークスの円形テクスチャ形成をマイクロ波炉内の曝露時間における変動とともに図解したグラフである。
【
図6】この開示の実施態様に従って製造された冶金コークス上におけるレンズ形テクスチャの形成を図解した顕微鏡画像である。
【
図7】商業的に製造されたコークスとこの開示の実施態様に従って製造された冶金コークスの間の反射パーセンテージにおける比較を図解したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
これらの図面は、例証のみの目的のための開示の実施態様を描写している。この分野の当業者であれば、以下の説明から、この中で例証されている構造および方法の代替実施態様が、この中に述べられている開示の原理から逸脱することなく採用され得ることを容易に認識するであろう。
【0028】
以上は、この後に続く開示の詳細な説明がより良好に理解され得るために、この開示の特徴および技術的な利点が広く概説されている。この開示の追加の特徴および利点をこの後に説明するが、それらは、この開示の説明の実体を形成する。またこれも、この分野の当業者によって理解されるものとするが、その種の均等な方法は、この開示の範囲から逸脱しない。この開示の特質と考えられる新規の特徴は、動作の方法として、さらなる目的および利点とともに、添付図面に関連して考察される以下の説明から、より良好に理解されることになろう。しかしながら、図面のそれぞれが例証および説明だけの目的のために提供されていること、およびこの開示を限定する定義として意図されていないことは明白に理解されるものとする。
【0029】
この文中において、用語「例示的」は、「例、場合、または例証としての働きを供すること」を意味するべく使用される。「例示的」としてこの中で述べられている本発明の要旨のいずれかの実施態様または具体化が、必ずしもほかの実施態様より好ましいか、または有利であると解釈される必要はない。
【0030】
開示は、多様な修正および代替形式に影響されやすいが、それの具体的な実施態様を例として図中に示し、以下に詳細に説明する。しかしながら、理解される必要があるが、開示されている特定の形式に開示を限定することは意図されてなく、むしろその逆に、開示は、開示の精神および範囲内に入るすべての修正、均等、および代替を含むものとする。
【0031】
用語「包含する」、「包含している」、またはそのほかの任意のそれの変化形は、作用のリストを包含する方法が、それらの作用だけを含むのではなく、明白にリストされていないか、またはその種の方法に内在するそのほかの作用も含むことができるように、非排他的包含を含むことが意図されている。言い換えると、「・・・を包含する」によって修飾される方法の中の1つまたは複数の作用は、より多くの制約を伴わない限り、その方法の中におけるそのほかの作用または追加の作用の存在を排除しない。
【0032】
この開示の実施態様は、非コークス原料炭から冶金コークスを製造する方法に関係する。非コークス原料炭は、この分野において周知のとおり、一般に高い灰分含有量を有し、したがって、製錬のような冶金プロセスにおける使用に適するものとなり得ない。しかしながら、非コークス原料炭は、コークス原料炭と比較したときに、より低いコストで広く入手可能である。したがって、従来より、低品質の非コークス原料炭から冶金コークスを製造するべく多様なテクニックまたは方法が採用されてきた。1つのその種の一般的な方法は、マイクロ波放射または炉いずれかの使用によって非コークス原料炭を高温に曝すことであった。その種の非コークス原料炭を高温に曝すことが、本質的な構造を変更して微細構造変化の形成を導き、それによって冶金コークスが形成された。しかしながら、非コークス原料炭からの冶金コークスの製造におけるマイクロ波放射の利用は、周知のプロセスである。その種の冶金コークスの製造は、非コークス原料炭内のマトリクス変化を誘導するべくマイクロ波放射吸収を増加させるサセプタの利用を必要とした。また、背景のセクションの中で述べたいくつかの従来的なプロセスにおいては、その種のサセプタの使用が、冶金コークスを獲得するべく、より長い持続時間にわたって熱を生成するためにエネルギー消費が増加したが、それは望ましくない。
【0033】
この開示の実施態様に従った冶金コークスを製造するための方法は、非コークス原料炭の処理のためにサセプタを使用しない。当該開示の実施態様に従った方法は、非コークス原料炭の本質的な組成を高密度化するために、第1のステップとして非コークス原料炭を高密度化することを含む。その種の高密度化は、マイクロ波放射の吸収を助ける。また、その種の高密度化は、マイクロ波放射の吸収を助けて非コークス原料炭の温度を上昇させるマイクロ波サセプタの利用を食い止める。高密度化された非コークス原料炭は、その後、マイクロ波炉内において熱分解の対象とすることができ、それが、より短いリード時間および最小の電力使用を伴って、非コークス原料炭を冶金コークスに変換する。
【0034】
以下のこの開示の実施態様の詳細な説明においては、これの一部を形成し、かつ、この開示を実施することができる例証となる具体的な実施態様によって示されている添付図面を参照する。これらの実施態様は、この分野の当業者がこの開示を実施することを可能にするに充分に詳細に述べられているが、そのほかの実施態様が利用され得ること、およびこの開示の範囲から逸脱することなく変更が行われ得ることは理解されるものとする。したがって、以下の説明は、限定の意味で解釈されないものとする。
【0035】
この開示は、非コークス原料炭から冶金コークスを製造するための方法に関係する。冶金コークスを製造するための非コークス原料炭は、鉱石を製錬するための溶鉱炉内における利用のための要件に基づいて選択される。この開示の方法に使用される非コークス原料炭は、低い発熱量を伴い、高い灰分含有量を有する。非コークス原料炭は、さらに、るつぼ膨張指数(CSN)および粘結性等の選択テストに掛けられる。ある実施態様においては、非コークス原料炭のためのるつぼ膨張指数(CSN)を1乃至4の範囲内とすることができる。ある実施態様においては、加熱時に非コークス原料炭の粘結性が軟化して塑性物質を形成し、膨張して多孔質固体に固化する。
【0036】
選択された非コークス原料炭は、圧砕または粉砕に掛けることができ、それにおいて非コークス原料炭のサイズが、必要な寸法まで減じられる。例示的な実施態様においては、非コークス原料炭の圧砕を、ミルの中で非コークス原料炭が粉体形状になるまで行うことができる。例として、またテスト上の関心から、圧砕された非コークス原料炭が、3.50mmを超えない細粒まで縮小された。次に、粉体化された非コークス原料炭が、高密度化プロセスに掛けられた。高密度化プロセスは、デンシファイヤ内における粉体化された非コークス原料炭の高密度化を含む。
【0037】
ある実施態様においては、非コークス原料炭の高密度化が、非コークス原料炭の本質的な組成を高密度化し、それによって非コークス原料炭の密度が増加することを助ける。この高密度化は、結果として、非コークス原料炭に入射するマイクロ波放射(MR)の吸収をもたらし、サセプタまたは追加のレセプタ物質の利用を食い止める。高密度化においては、非コークス原料炭が、テスト目的に適したペレット(11)に形成され、ここではそれを非コークス原料炭ペレット(11)と呼ぶ。テスト要件のために、非コークス原料炭ペレット(11)は、粉体化された非コークス原料炭を高密度化することによって形成することができる。例として、非コークス原料炭ペレット(11)を、約30mmから約50mmまでに及ぶ寸法に高密度化することができ、それにおいては非コークス原料炭が約80%から約90%までの微粉度に粉砕される。それに加えて、粉砕された非コークス原料炭の高密度化の間に、粉砕された非コークス原料炭を結びつける目的に資するバインダーが、非コークス原料炭ペレット(11)の形成のために使用される。
【0038】
ある実施態様においては、非コークス原料ペレット(11)の製造に使用されるバインダーが、限定ではないが、水になる。
【0039】
ある実施態様においては、非コークス原料炭の圧砕が、ハンマーミル、微粉砕ミル、または任意のそのほかの、この目的に資するミル内において行われる。
【0040】
ある実施態様においては、テスト要件のために、高密度化された非コークス原料炭ペレット(11)が、約1100kg/m3乃至約1180kg/m3の範囲内の密度を有する。
【0041】
ある実施態様においては、粉砕された非コークス原料炭が、デンシファイヤ、ペレットプレス、または任意のそのほかの、この目的に資するデンシファイヤ内において高密度化される。
【0042】
この説明の中で参照されている非コークス原料炭ペレット(11)は、実験室テストのためのペレットに高密度化されるが、これらのペレットは、要件に基づいて任意の形状およびサイズのものとすることができる。
【0043】
図1は、この開示の例示的な実施態様であり、非コークス原料炭からの冶金コークスを製造するためのテストシステム(100)を図解している。テストシステム(100)は、チャンバ(1a)を有するマイクロ波炉(1)を含む。マイクロ波炉(1)内に提供されるチャンバ(1a)は、非コークス原料炭ペレット(11)を据えるために使用することができる。マイクロ波炉(1)は、マイクロ波発生器(2)に、マイクロ波放射(MR)がマイクロ波発生器(2)からマイクロ波炉(1)のチャンバ(1a)内に伝達されるように接続することができる。マイクロ波炉(1)とマイクロ波発生器(2)の間に、少なくとも1つの導波路(7)を備えることができる。少なくとも1つの導波路(7)は、発生されたマイクロ波放射(MR)をマイクロ波発生器(2)から受け取り、マイクロ波炉(1)内に伝達する。非コークス原料炭ペレット(11)を保持するために、複数の耐火れんが(4)を使用することができる。ある実施態様においては、複数の耐火れんが(4)が、ベース耐火れんが(4b)およびカバー耐火れんが(4a)を含むことができる。ベース耐火れんが(4b)には、非コークス原料炭ペレット(11)を保持する孔が画定される。同様にカバー耐火れんが(4a)にも、ベース耐火れんが(4b)内にある孔と整合する孔を画定することができる。それに加えて、ベース耐火れんが(4b)およびカバー耐火れんが(4a)に画定された孔には、効率的な熱分解のために生成された熱を閉じ込める耐熱性のグラウト(12)が塗られている。
【0044】
さらにテストシステム(100)は、少なくとも1つの導波路(7)に接続された少なくとも1つのチューナー装置(5)を包含する。少なくとも1つのチューナー装置(5)は、マイクロ波炉(1)に入るマイクロ波放射(MR)の量を調整する。少なくとも1つのチューナー装置(5)は、システムに関連付けされたコントロールユニット(10)によってコントロールすることができる。さらに、少なくとも1つのパージングシステム(3)がマイクロ波炉(1)に接続され、それにおいて少なくとも1つのパージングシステム(3)は、マイクロ波炉(1)のチャンバ(1a)内に不活性ガスを引き渡す。また、チャンバ(1a)と流体連通して、冶金コークスへの非コークス原料炭ペレット(11)の熱分解プロセスの間にチャンバ(1a)から大気を抜き取る抜き取りユニット(6)も配置されている。ある実施態様においては、抜き取りユニット(6)を、大気および熱分解に起因して形成されるガスを抜き取るために、少なくとも1つの排出口コンジット(9)によってマイクロ波炉(1)と接続することができる。
【0045】
ある実施態様においては、マイクロ波発生器(2)が、約2kW乃至約8kWの範囲内のマイクロ波出力強度を伴った大量のマイクロ波の発生に使用される産業グレード30のマイクロ波発生器(2)のうちの少なくとも1つである。
【0046】
ある実施態様においては、複数の耐火れんが(4)を、グレード30(ASTM C155-97分類C30)の耐火断熱れんがから選択することができる。テストシステム(100)内に使用されている複数の耐火れんがは、マイクロ波放射(MR)に対して透過性であると考えられる。
【0047】
ある実施態様においては、マイクロ波炉(1)が、マイクロ波炉(1)内で生成される熱を断熱する耐火れんが[図示せず]が裏打ちされた産業グレード30のマイクロ波炉(1)のうちの少なくとも1つである。テストシステム(100)内に使用されているマイクロ波炉(1)は、マイクロ波のチャンバ(1a)が高および低電界を経験する実験室スケールのマルチモードシステムに限られる。
【0048】
ある実施態様においては、少なくとも1つのチューナー装置(5)が、コンピュータコントロールされるマイクロ波チューナーのうちの少なくとも1つである。少なくとも1つのチューナー装置(5)は、約2000MHz乃至約4000MHzの範囲内の周波数を伝達するべくプログラムされる。
【0049】
ある実施態様においては、少なくとも1つのパージングシステム(3)が、窒素ガスパージングシステムである。窒素ガスをマイクロ波炉(1)のチャンバ(1a)内にパージして、不活性雰囲気を形成することができる。マイクロ波炉(1)のチャンバ(1a)内への窒素ガスのパージングは、約60リットル/分から約90リットル/分に及ぶフローレートにおいて行うことができる。テストシステム(100)の動作の間は、非コークス原料炭ペレット(11)がマイクロ波放射(MR)を受ける前、非コークス原料炭ペレット(11)がマイクロ波放射(MR)に曝露されている間、およびマイクロ波放射(MR)に曝露された後、窒素ガスがチャンバ(1a)内にパージされる。それに加えて、テスト要件のために、マイクロ波炉(1)のチャンバ(1a)内への窒素ガスのパージングは、約3分から約8分に及ぶ時間間隔を有する。
【0050】
ある実施態様においては、少なくとも1つの流入口コンジット(8)の助けによって窒素ガスをマイクロ波炉(1)内にパージすることができる。
【0051】
ある実施態様においては、不活性雰囲気が、マイクロ波放射(MR)に対する曝露前、その間、およびその後における冶金コークスの酸化を防止する。
【0052】
ある実施態様においては、画定された孔に塗るために使用されるグラウト(12)が、画定された、非コークス原料炭ペレット(11)が据えられる孔の断熱に使用される流体コンクリートのうちの少なくとも1つになる。
【0053】
テストシステムの準備
非コークス原料炭ペレット(11)に形成される高密度化された非コークス原料炭を、マイクロ波炉(1)のチャンバ(1a)内に据えることができる。非コークス原料炭ペレット(11)は、複数の耐火れんが内に画定された孔の中に据えられる。非コークス原料炭ペレット(11)を据えた後、抜き取りユニット(6)の助けを借りてマイクロ波炉(1)のチャンバ(1a)から大気を排出させることができる。その後、マイクロ波炉(1)のチャンバ(1a)が、窒素ガスを用いてパージされ、不活性雰囲気が作り出される。
【0054】
テストシステム内においてマイクロ波放射に曝される非コークス原料炭
マイクロ波発生器(2)から発生したマイクロ波放射(MR)は、複数の耐火れんが(4)に入射する。抜き取りユニット(6)は、非コークス原料炭ペレット(11)へのマイクロ波放射(MR)の入射の間にわたり継続的に燃焼ガスを抜き取る。同時に、少なくとも1つのパージングシステム(3)が、マイクロ波炉(1)のチャンバ(1a)内に窒素ガスをパージし、それによって不活性雰囲気が維持される。マイクロ波放射(MR)が非コークス原料炭ペレット(11)に入射するとき、非コークス原料炭ペレット(11)の熱分解が生じ、それにおいてはマイクロ波エネルギーが非コークス原料炭ペレット(11)に吸収される。コントロールユニット(10)は、吸収されるエネルギーおよびマイクロ波放射(MR)の負荷を継続的に監視する。非コークス原料炭ペレット(11)は、所定の時間間隔にわたってマイクロ波放射(MR)に曝露される。
【0055】
テスト要件により、マイクロ波炉(1)のチャンバ(1a)内の温度が、約900℃乃至約1100℃の範囲内に維持され、それにおいては、温度が約40℃乃至約60℃の範囲内で漸進的に増加される。それに加えて、マイクロ波炉(1)の出力強度は、約10分から約40分に及ぶ時間期間にわたって約2kW乃至約8kWの範囲内になる。
【0056】
非コークス原料炭ペレット(11)は、マイクロ波放射(MR)に曝露されたときに、コークスの炭素の様式に変化を添えて、結果として冶金コークスがもたらされる。
【0057】
最後に、曝露されて冶金コークスとなった非コークス原料炭ペレット(11)が、チャンバ(1a)内において、所定の時間期間にわたり、不活性雰囲気中において冷却される。冶金コークスのこの冷却は、冶金コークスの酸化を防止する。
【0058】
後処理
冶金コークスが冷却された後、その塊を取り出し、計量し、計測し、それに続いて非コークス原料炭の近似ならびに岩石学的評価を行った。近似解析は、それぞれのASTM標準により実行された。
【0059】
表1は、非コークス原料炭の近似および岩石学的評価を描写している。
【0060】
【0061】
表2は、マイクロ波放射(MR)に対する曝露前および後の非コークス原料炭の密度を例証している。
【0062】
【0063】
上の表2から、マイクロ波放射(MR)に曝される前の高密度化時における非コークス原料炭ペレット(11)の密度が、約1100kg/m3乃至約1180kg/m3の範囲内にあることが明らかである。また上の表2から、非コークス原料炭ペレット(11)からの揮発性組成物の解放が、約0.3分乃至約0.6分の範囲内において開始している。非コークス原料炭ペレット(11)からの揮発性組成物の解放は、約8.0分乃至約9.0分の範囲内で終了する。観察されるとおり、マイクロ波放射(MR)に対する曝露が増加すると、非コークス原料炭の密度が約380kg/m3乃至約440kg/m3に減じられ、結果として冶金コークスがもたらされる。
【0064】
表3は、多様な時間間隔にわたって非コークス原料炭から製造された冶金コークスのテクスチャを例証している。
【0065】
【0066】
上の表3から、マイクロ波放射(MR)に対する曝露の増加が、円形コークステクスチャの体積パーセンテージを増加することが明らかである。等方性材料が、そのテクスチャを望ましい円形コークステクスチャに変えている。この円形コークステクスチャは、溶鉱炉内側のコークスのガス化において非常に重要であり、コークスの反応性および反応後強度をコントロールする。
【0067】
図2は、複数の耐火れんが(4)を構成する孔が画定されたベース耐火れんが(4b)を図解しており、それにおいて孔には断熱のためにグラウト(12)が塗られる。同様に、カバー耐火れんが(4a)にもまた、ベース耐火れんが(4b)の孔と整合する孔が画定され、断熱のためにグラウト(12)が塗られる。ベース耐火れんが(4b)内に非コークス原料炭ペレット(11)が据えられると、ベース耐火れんが(4b)の上からカバー耐火れんが(4a)が被せられる。
【0068】
実験室テスト要件のために、画定される孔の直径は、30mm乃至約40mmの範囲内であり、非コークス原料炭のるつぼ膨張指数(CSN)は、1乃至4の範囲内である。
【0069】
図3は、約15分の曝露時間で6kWの定格マイクロ波出力強度のマイクロ波放射(MR)に曝露された複数の耐火れんが(4)を図解している。マイクロ波放射(MR)に対して事実上透過性の複数の耐火れんが(4)は、マイクロ波放射(MR)が透過して非コークス原料炭ペレット(11)によって吸収されることを可能にする。
図3に示されているとおり、非コークス原料炭ペレット(11)は、マイクロ波炉(1)のチャンバ(1a)内における加熱および冷却プロセスの間に熱分解を経験する。これは、非コークス原料炭ペレット(11)が15分内に、しかもサセプタ等の追加の要素の使用を伴うことなく冶金コークスに変換されることを示す。
【0070】
図4は、約20分の曝露時間で6kWの定格マイクロ波出力強度のマイクロ波放射(MR)に曝露された複数の耐火れんが(4)を図解している。非コークス原料炭ペレット(11)が曝される曝露時間が増加すると、冶金コークスの表面上における円形テクスチャの形成が増加する。複数の耐火れんが(4)に塗られるグラウト(12)は、マイクロ波炉(1)が動作しているときに生成される熱を保持する。
【0071】
図5は、非コークス原料炭を冶金コークスに変換する間の、曝露時間に対する円形テクスチャの体積の変動をプロットしたグラフを示している。テスト結果に基づいて、非コークス原料炭ペレット(11)が、10分、15分、および20分の範囲内においてマイクロ波放射(MR)曝露に曝される。テスト結果から、増加された曝露時間に基づくと、冶金コークスの円形テクスチャの形成が体積の増加とともに増加することが推論される。これは、この開示の方法を使用して非コークス原料炭から製造される冶金コークスが、製錬用の溶鉱炉内において使用するために必要とされる性質を有することを意味する。
【0072】
図6は、冶金コークス上におけるレンズ形テクスチャ(ビトリノイドV-タイプ12、13および14を含む中程度の揮発性石炭から生成されるバインダー相の炭素が、1.0から12.0ミクロンに及ぶ幅を有し、長さ(L)対幅(W)の比が2乃至4のレンズ形の形状になる。いくつかのシステムは、レンズ形領域をリーフレットと呼ぶ。細、中、粗カテゴリが、V-タイプ12、13および14と密に対応する)の形成の顕微鏡画像を示す。円形テクスチャ形成は、溶鉱炉内側のコークスのガス化において非常に重要であり、コークスの反応性および反応後強度をコントロールする。
【0073】
図7は、商業的に製造されるコークスと製造された冶金コークスの間における反射率(偏光顕微鏡を通じて測定)パーセンテージの比較グラフを示す。グラフから、この開示の方法を使用して製造された冶金コークスのパーセンテージ反射率が、商業的に製造されるコークスと比較してより低い反射率パーセンテージおよびより高い周波数を有することが明らかである。
【0074】
均等
この中にある実質的にあらゆる複数および/または単数の用語の使用について、この分野の当業者は、複数から単数に、および/または単数から複数に、文脈および/または応用が適切であれば直すことが可能である。多様な単数/複数の入れ換えが、明解さのために、この中で明示的に示されていることがある。
【0075】
この分野の当業者は理解されるであろうが、概して、これの中で、特に付随する特許請求の範囲(たとえば、付随する請求項の本文)の中で使用されている用語は、「拒まない」用語として通常は意図されている(たとえば、用語「含んでいる」は、「含んでいるが、限定ではない」として解釈されるべきであり、用語「有している」は、「少なくとも有している」として解釈されるべきであり、用語「含む」は、「含むが、限定ではない」として解釈されるべきである)。さらに、これもまたこの分野の当業者によって理解されることになろうが、導入される請求項の記述に具体的な数が意図されている場合には、その種の意図がその請求項の中で明示的に記述されていることになり、その種の記述がなければ、その種の意図は存在しない。たとえば、理解の補助として述べるが、以下の付随する請求項は、請求項の記述の導入に「少なくとも1つの」および「1つまたは複数の」という導入句の使用を含むことがある。しかしながら、その種の句の使用は、単に単数形で示されるか、または「ある」によって導入される請求項の記述が、その同じ請求項が導入句「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」を含み、かつ単に単数形で示されるか、または「ある」を含んでいる場合でさえ、その種の導入される請求項の記述を含む特定の請求項を、その種の1つだけの記述を含んでいる発明に限定することを含意しているものと解釈されるべきでない(たとえば、単に単数形で示されること、または「ある」は、通常、「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味していると解釈されるべきである);同じことが、導入される請求項の記述に対する「前記」の使用にも当て嵌まる。それに加えて、導入される請求項の記述に具体的な数が明示的に記述されている場合でさえ、この分野の当業者は認識されるであろうが、その種の記述は、通常、少なくとも記述されている数であることを意味するものと解釈されるべきである(たとえば、ほかの修飾語を伴わない「2つの」による記述は、通常、少なくとも2つ、または2つ以上であることを意味する)。さらにまた、「A、B、およびC等のうちの少なくとも1つ」に類似する慣用句が使用されている場合においては、概してその種の構文に、この分野の当業者がその慣用句を理解する意味が意図されている(たとえば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定ではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBを一緒に、AとCを一緒に、BとCを一緒に、および/またはAとBとCを一緒に有するシステムを含むことになる)。「A、B、またはC等のうちの少なくとも1つ」に類似する慣用句が使用されている場合においては、概してその種の構文に、この分野の当業者がその慣用句を理解する意味が意図されている(たとえば、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、限定ではないが、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBを一緒に、AとCを一緒に、BとCを一緒に、および/またはAとBとCを一緒に有するシステムを含むことになる)。さらに、この分野の当業者によって理解されることになろうが、2つまたはそれより多くの代替用語を提示する、実質的にあらゆる離接的な語および/または句は、説明の中であるか、請求項の中であるか、または図面の中であるかによらず、用語のうちの1つ、用語のいずれか、または両方の用語を含む可能性を企図するものと理解される必要がある。たとえば、「AまたはB」という語法は、「A」または「B」または「AとB」の可能性を含むものと理解される。
【0076】
以上、ここでは多様な側面および実施態様を開示してきたが、この分野の当業者には、そのほかの側面および実施態様が明らかになるであろう。この中に開示されている多様な側面および実施態様は、例証を目的としたものであって限定は意図されてなく、真の範囲および精神は、以下の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0077】
100 テストシステム
MR マイクロ波放射
1 マイクロ波炉
1a チャンバ
2 マイクロ波発生器
3 少なくとも1つのパージングシステム
4 複数の耐火れんが
4a カバー耐火れんが
4b ベース耐火れんが
5 少なくとも1つのチューナー装置
6 抜き取りユニット
7 少なくとも1つの導波路
8 少なくとも1つの流入口コンジット
9 少なくとも1つの排出口コンジット
10 コントロールユニット
11 非コークス原料炭ペレット
12 グラウト