(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-03-07
(45)【発行日】2023-03-15
(54)【発明の名称】トラッキングシステム、トラッキング方法及びトラッキングプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0201 20230101AFI20230308BHJP
【FI】
G06Q30/0201
(21)【出願番号】P 2021112008
(22)【出願日】2021-07-06
【審査請求日】2021-07-06
(73)【特許権者】
【識別番号】599158144
【氏名又は名称】バリューコマース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】三木 慎也
【審査官】松田 岳士
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-156235(JP,A)
【文献】特開2012-242976(JP,A)
【文献】特開2007-193613(JP,A)
【文献】特開2005-242753(JP,A)
【文献】特開2006-113884(JP,A)
【文献】特開2008-083803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのプロセッサを備え、
前記少なくとも一つのプロセッサが、
ウェブページ内における広告サイトへのリンクとして、前記ウェブページの閲覧者のトラッキングを識別するトラッキング識別子がURLパラメータに設定された前記広告サイトのURLを提供し、
前記閲覧者が前記リンクに基づいて前記広告サイトへ遷移した際に、当該リンクに含まれる前記トラッキング識別子を取得し、
取得した前記トラッキング識別子に基づいてトラッキングを実行
し、
前記ウェブページ内における広告サイトへのリンクがリダイレクトページ又は広告配信事業者のサーバーを介する場合に、前記ウェブページを表示する際又は当該リンクがクリックされた際に、当該リンクを前記トラッキング識別子がURLパラメータに設定された前記広告サイトのURLに変換する、
トラッキングシステム。
【請求項2】
少なくとも一つのプロセッサを備え、
前記少なくとも一つのプロセッサが、
ウェブページ内における広告サイトへのリンクとして、前記ウェブページの閲覧者のトラッキングを識別するトラッキング識別子がURLパラメータに設定された前記広告サイトのURLを提供し、
前記閲覧者が前記リンクに基づいて前記広告サイトへ遷移した際に、当該リンクに含まれる前記トラッキング識別子を取得し、
取得した前記トラッキング識別子に基づいてトラッキングを実行
し、
前記閲覧者が前記広告サイトへ遷移した後に当該広告サイトにおいてコンバージョンが発生した際に、当該コンバージョンに関連する前記トラッキング識別子を取得し、
取得した前記リンクに含まれる前記トラッキング識別子と、取得した前記コンバージョンに関連する前記トラッキング識別子とに基づいてトラッキングを実行する、
トラッキングシステム。
【請求項3】
前記少なくとも一つのプロセッサが、
前記閲覧者が前記広告サイトへ遷移した後に当該広告サイトにおいてコンバージョンが発生した際に、当該コンバージョンに関連する前記トラッキング識別子を取得し、
取得した前記リンクに含まれる前記トラッキング識別子と、取得した前記コンバージョンに関連する前記トラッキング識別子とに基づいてトラッキングを実行する、
請求項
1に記載のトラッキングシステム。
【請求項4】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記コンバージョンが発生した際に、当該コンバージョンに関連する契約情報をさらに取得する、
請求項
2又は3に記載のトラッキングシステム。
【請求項5】
前記ウェブページ内における広告サイトへのリンクが前記広告サイトのURLである場合に、前記少なくとも一つのプロセッサが、前記ウェブページを表示する際又は当該リンクがクリックされた際に、当該広告サイトのURLのURLパラメータに前記トラッキング識別子を設定する、
請求項1
~4の何れか一項に記載のトラッキングシステム。
【請求項6】
前記閲覧者が前記リンクに基づいて前記広告サイトへ遷移する際に、リダイレクトページ又は広告配信事業者のサーバーを介さない、
請求項1~5の何れか一項に記載のトラッキングシステム。
【請求項7】
所定の条件を満たす場合に、前記少なくとも一つのプロセッサが、前記リンクとして、前記広告サイトへの中継ページであるリダイレクトページのURLを提供する、
請求項1~5の何れか一項に記載のトラッキングシステム。
【請求項8】
前記所定の条件は、前記ウェブページを閲覧するための前記閲覧者のブラウザに関する条件、又は、前記ウェブページを閲覧するための前記閲覧者の端末に関する条件の少なくとも一つである、
請求項7に記載のトラッキングシステム。
【請求項9】
前記少なくとも一つのプロセッサが、広告に関する情報又は前記閲覧者による通信に関する情報の少なくとも一つを前記URLパラメータにさらに設定する、
請求項1~8の何れか一項に記載のトラッキングシステム。
【請求項10】
前記少なくとも一つのプロセッサが、前記閲覧者が前記リンクに基づいて前記広告サイトへ遷移した際又は前記閲覧者が前記リンクをクリックした際に、広告に関する情報、前記閲覧者による通信に関する情報又は前記閲覧者によるマウスクリックに関する情報の少なくとも一つをさらに取得する、
請求項1~9の何れか一項に記載のトラッキングシステム。
【請求項11】
前記広告サイトは、eTLD+1が共通である、
請求項1~10の何れか一項に記載のトラッキングシステム。
【請求項12】
少なくとも一つのプロセッサを備えるトラッキングシステムにより実行されるトラッキング方法であって、
ウェブページ内における広告サイトへのリンクとして、前記ウェブページの閲覧者のトラッキングを識別するトラッキング識別子がURLパラメータに設定された前記広告サイトのURLを提供するステップと、
前記閲覧者が前記リンクに基づいて前記広告サイトへ遷移した際に、当該リンクに含まれる前記トラッキング識別子を取得するステップと、
取得した前記トラッキング識別子に基づいてトラッキングを実行するステップと
を含
み、
前記提供するステップは、前記ウェブページ内における広告サイトへのリンクがリダイレクトページ又は広告配信事業者のサーバーを介する場合に、前記ウェブページを表示する際又は当該リンクがクリックされた際に、当該リンクを前記トラッキング識別子がURLパラメータに設定された前記広告サイトのURLに変換する、
トラッキング方法。
【請求項13】
少なくとも一つのプロセッサを備えるトラッキングシステムにより実行されるトラッキング方法であって、
ウェブページ内における広告サイトへのリンクとして、前記ウェブページの閲覧者のトラッキングを識別するトラッキング識別子がURLパラメータに設定された前記広告サイトのURLを提供するステップと、
前記閲覧者が前記リンクに基づいて前記広告サイトへ遷移した際に、当該リンクに含まれる前記トラッキング識別子を取得するステップと、
取得した前記トラッキング識別子に基づいてトラッキングを実行するステップと
、
前記閲覧者が前記広告サイトへ遷移した後に当該広告サイトにおいてコンバージョンが発生した際に、当該コンバージョンに関連する前記トラッキング識別子を取得するステップと、
取得した前記リンクに含まれる前記トラッキング識別子と、取得した前記コンバージョンに関連する前記トラッキング識別子とに基づいてトラッキングを実行するステップと
を含むトラッキング方法。
【請求項14】
ウェブページ内における広告サイトへのリンクとして、前記ウェブページの閲覧者のトラッキングを識別するトラッキング識別子がURLパラメータに設定された前記広告サイトのURLを提供するステップと、
前記閲覧者が前記リンクに基づいて前記広告サイトへ遷移した際に、当該リンクに含まれる前記トラッキング識別子を取得するステップと、
取得した前記トラッキング識別子に基づいてトラッキングを実行するステップと
をコンピュータに実行させるトラッキングプログラム
であって、
前記提供するステップは、前記ウェブページ内における広告サイトへのリンクがリダイレクトページ又は広告配信事業者のサーバーを介する場合に、前記ウェブページを表示する際又は当該リンクがクリックされた際に、当該リンクを前記トラッキング識別子がURLパラメータに設定された前記広告サイトのURLに変換する、
トラッキングプログラム。
【請求項15】
ウェブページ内における広告サイトへのリンクとして、前記ウェブページの閲覧者のトラッキングを識別するトラッキング識別子がURLパラメータに設定された前記広告サイトのURLを提供するステップと、
前記閲覧者が前記リンクに基づいて前記広告サイトへ遷移した際に、当該リンクに含まれる前記トラッキング識別子を取得するステップと、
取得した前記トラッキング識別子に基づいてトラッキングを実行するステップと
、
前記閲覧者が前記広告サイトへ遷移した後に当該広告サイトにおいてコンバージョンが発生した際に、当該コンバージョンに関連する前記トラッキング識別子を取得するステップと、
取得した前記リンクに含まれる前記トラッキング識別子と、取得した前記コンバージョンに関連する前記トラッキング識別子とに基づいてトラッキングを実行するステップと
をコンピュータに実行させるトラッキングプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、ウェブサイトの広告を閲覧するユーザーをトラッキングするトラッキングシステム、トラッキング方法及びトラッキングプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ウェブサイトの広告を閲覧するユーザーをトラッキングするコンピュータシステムが知られている。例えば、特許文献1には、ユーザが広告主サイト内で商品購入手続きを完了したときに、どのアフィリエイトサイトからアクセスしてきてどの広告主サイトでどの商品について購入完了したかをトラッキングするアフィリエイトASP(Application Service Provider)サーバが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の手法では、ユーザーがアフィリエイトサイト内で商品や広告にアクセスすると、一旦アフィリエイトASPサーバにアクセスさせ、トラッキングに必要なクッキーをアフィリエイトASPサーバにて発行し、広告主サイト内の商品又は広告素材URL(Uniform Resource Locator)にリダイレクトさせる。すなわち、ユーザーはリダイレクトサーバー(アフィリエイトASPサーバ)を経由することになる。ユーザーにとって、リダイレクトサーバーは不明な遷移先であり、アクセスするのにリスクがある。また、リダイレクトサーバーを経由するためページ遷移が遅くなる。そこで、閲覧者(ユーザー)の利便性に優れたトラッキングを行う仕組みが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面に係るトラッキングシステムは、少なくとも一つのプロセッサを備え、少なくとも一つのプロセッサが、ウェブページ内における広告サイトへのリンクとして、ウェブページの閲覧者のトラッキングを識別するトラッキング識別子がURLパラメータに設定された広告サイトのURLを提供し、閲覧者がリンクに基づいて広告サイトへ遷移した際に、当該リンクに含まれるトラッキング識別子を取得し、取得したトラッキング識別子に基づいてトラッキングを実行する。
【0006】
本発明の一側面に係るトラッキング方法は、少なくとも一つのプロセッサを備えるトラッキングシステムにより実行されるトラッキング方法であって、ウェブページ内における広告サイトへのリンクとして、ウェブページの閲覧者のトラッキングを識別するトラッキング識別子がURLパラメータに設定された広告サイトのURLを提供するステップと、閲覧者がリンクに基づいて広告サイトへ遷移した際に、当該リンクに含まれるトラッキング識別子を取得するステップと、取得したトラッキング識別子に基づいてトラッキングを実行するステップとを含む。
【0007】
本発明の一側面に係るトラッキングプログラムは、ウェブページ内における広告サイトへのリンクとして、ウェブページの閲覧者のトラッキングを識別するトラッキング識別子がURLパラメータに設定された広告サイトのURLを提供するステップと、閲覧者がリンクに基づいて広告サイトへ遷移した際に、当該リンクに含まれるトラッキング識別子を取得するステップと、取得したトラッキング識別子に基づいてトラッキングを実行するステップとをコンピュータに実行させる。
【0008】
このような側面においては、広告サイトへのリンクとして、閲覧者のトラッキングを識別するトラッキング識別子がURLパラメータに設定された広告サイトのURLが提供され、閲覧者は当該リンクに基づいて広告サイトへ遷移することができる。すなわち、閲覧者は、例えばリダイレクトサーバーを経由することなく広告サイトへ直接遷移することができる。また、このような側面においては、閲覧者がリンクに基づいて広告サイトへ遷移した際に、当該リンクに含まれるトラッキング識別子に基づいてトラッキングが実行される。以上の通り、閲覧者の利便性に優れたトラッキングを行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一側面によれば、閲覧者の利便性に優れたトラッキングを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】実施形態に係るトラッキングシステムの構成の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係るトラッキングシステムで用いられるコンピュータの一般的なハードウェア構成を示す図である。
【
図4】実施形態に係るトラッキングプログラムの構成の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係るトラッキングシステムのトラッキングフローの一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係るトラッキングシステムのトラッキングフローの変形例を示す図である。
【
図7】実施形態に係るトラッキングシステムの動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0012】
[用語]
本開示で用いる用語の説明を行う。
【0013】
「広告配信事業者」は、広告配信ネットワークを形成し、その配信ネットワークに広告を提供する事業者である。例えば、バリューコマース株式会社である。
【0014】
「一般ユーザー」は、インターネット上のコンテンツを閲覧しているユーザーである。
【0015】
「サイト運営者」は、サイトの運営を実施し、広告配信事業者から取得した広告タグを掲載する者である。一例として、広告タグのクリック又はコンバージョンが発生した場合等に、サイト運営者に報酬が支払われる。
【0016】
「広告主」は、広告配信事業者に広告を出稿する、広告の依頼者である。一例として、広告がクリックされる又は遷移先でコンバージョンが発生した場合等に、広告主はサイト運営者及び広告配信事業者に対して報酬を支払う。
【0017】
「広告掲載ページ」は、サイト運営者が運営する、広告配信事業者が発行した広告タグを掲載しているWebメディア・アプリメディアのコンテンツである。
【0018】
「広告掲載サイト」は、広告掲載ページを提供するサイトである。
【0019】
「広告配信事業者のリダイレクトサーバー」(又は単に「リダイレクトサーバー」)は、一般ユーザーに関する情報及び広告情報の取得を目的として、広告クリック時に経由させるサーバーである。リダイレクトサーバーは、広告配信事業者が管理する。
【0020】
「広告配信事業者のリダイレクトサーバーURL」(又は単に「リダイレクトサーバーURL」)は、広告配信事業者が発行する広告タグ内に含まれている広告遷移用のリンクURLである。リダイレクトサーバーURLは、広告配信事業者が管理するドメインのURLとなる。バリューコマース株式会社が提供するリダイレクトサーバーURLの具体例として、「ck.jp.ap.valuecommerce.com」及び「cks.jp.ap.valuecommerce.com」が挙げられる。
【0021】
「広告主のリンクURL」は、広告配信事業者のリンクURLからリダイレクトして遷移する広告主のリンクURLである。広告主のリンクURLは、広告主が広告配信事業者のシステムに入稿して管理されている。
【0022】
「広告タグ」は、広告配信事業者が発行するHTMLの広告タグである。サイト運営者はサイトに広告タグを実装することで広告を配信可能となる。広告タグは、広告主プログラム内の広告と広告掲載サイトの広告枠単位で、広告配信事業者が提供する管理画面からサイト運営者により発行される。広告タグの生成方式は「静的広告タグ」と「動的広告タグ」に分かれる。
【0023】
「静的広告タグ」は、サイト運営者が広告配信事業者から取得する広告タグである。静的広告タグは、テキスト広告など、遷移先の広告リンクが含まれる広告タグを掲載する方式である。バリューコマース株式会社が提供する静的広告タグの具体例として、テキスト・MyLink(登録商標)・Webサービスリンク・noscriptバナー等が挙げられる(LinkSwitch(登録商標)の配信を含む)。
【0024】
「動的広告タグ」は、サイト運営者が広告配信事業者から取得する広告タグである。動的広告タグは、バナー広告など、遷移先の広告リンクが含まれない広告タグを掲載する方式である。動的広告タグを用いた場合、広告掲載ページのコンテンツ表示時にサイトから広告配信事業者(のサーバー)へ通信を行い、遷移先の広告リンクやバナー情報を取得し、広告掲載ページに挿入する。バリューコマース株式会社が提供する動的広告タグの具体例として、バナー広告、HTML広告及びMyLinkBox(登録商標)等が挙げられる。
【0025】
「メディアタグ」は、サイト運営者が運営する広告掲載ページに実装する、広告配信事業者から提供されるJavaScript(登録商標)タグである。バリューコマース株式会社が提供するメディアタグの具体例として、ITPタグ、LinkSwitch(登録商標)タグ及びMyLinkBox(登録商標)タグ等が挙げられる。
【0026】
「トラッキング識別子」は、広告配信事業者が発行する、広告表示単位でユニークとなるコンバージョントラッキング用の識別子である。なお、後述の「従来のトラッキングフロー」においては、トラッキング識別子は広告クリック単位で発行される識別子である。
【0027】
「エントリータグ」は、広告主が運営するサイト内に実装する、広告配信事業者から提供されるJavaScript(登録商標)タグである。エントリータグは、広告主のリンクURLの遷移先で実装する。
【0028】
「エントリーシステム」は、広告主が運営するサイト内に実装する、広告配信事業者から提供されるサーバー側の実装プログラムである。エントリーシステムは、広告主のリンクURLの遷移先で動作する形で実装する。
【0029】
「コンバージョン計測タグ」は、広告主が運営するサイト内に実装する、広告配信事業者から提供されるJavaScript(登録商標)タグである。コンバージョン計測タグは、広告主コンバージョンページで実装する。コンバージョン計測タグは、コンバージョンを計測する。
【0030】
「コンバージョン計測システム」は、広告主が運営するサイト内に実装する、広告配信事業者から提供されるサーバー側の実装プログラムである。コンバージョン計測システムは、広告主コンバージョンページで動作する形で実装する。コンバージョン計測システムは、コンバージョンを計測する。
【0031】
「広告HTML」は、広告のイメージ画像、リンク先URL情報、スクリプトタグ等が含まれたHTML情報である。
【0032】
「成果計測ベンダ」は、複数の広告ネットワークを利用しており、レポートや分析手法を集約したい等の理由から、広告配信事業者とは別に成果計測を実施するベンダーである。成果計測ベンダは、広告主が利用する。
【0033】
「eTLD+1」は、eTLD(Effective Top Level Domain。実質的なトップレベルドメイン)に対して1階層分までを示すドメインである。eTLDの具体例として「co.jp」が挙げられる。eTLD+1の具体例として「yahoo.co.jp」が挙げられる。「shopping.yahoo.co.jp」と「auctions.yahoo.co.jp」とは、eTLD+1が同一である。
【0034】
[従来のトラッキングフロー]
図1を参照しながら、ウェブサイトの広告を閲覧するユーザーをトラッキングする従来のフロー(処理の流れ)について説明する。
図1は、従来のトラッキングフローを示す図である。
図1では、一般ユーザーが広告掲載ページを表示してから、広告をクリックし、遷移先の広告サイト(広告主ページ及び広告主コンバージョンページを含む)でコンバージョンが発生するまでのフローを示している。
【0035】
ステップS1(配信サーバーリクエスト)では、一般ユーザーが広告掲載ページを表示した際に、広告タグ(広告タグを読み込んだ一般ユーザーのブラウザ)が、広告配信事業者配信サーバーにバナー広告のリクエスト(配信サーバーリクエスト)を行う。続いて、広告配信事業者配信サーバーが、バナー広告のリクエストの応答として、広告配信事業者のリダイレクトサーバーURLを含む広告HTMLを返却する。続いて、返却された広告HTMLが広告掲載ページに挿入されて一般ユーザーに表示される。なお、ステップS1は動的広告(動的広告タグ)の場合のみ実行される。静的広告(静的広告タグ)の場合は、次のステップS2から始まる。
【0036】
ステップS2(クリック遷移)では、一般ユーザーが広告をクリックし、広告配信事業者のリダイレクトサーバーへ遷移する。例えば、一般ユーザーが、ステップS1にて挿入された広告HTMLに基づく広告をクリックすることで、当該広告HTMLに含まれた広告配信事業者のリダイレクトサーバーURLが示す広告配信事業者のリダイレクトサーバーへ遷移する。
【0037】
ステップS3(リダイレクト)では、広告配信事業者のリダイレクトサーバーが、トラッキング識別子をURLパラメータに付与し、広告主のリンクURLへリダイレクト処理を行う。
【0038】
ステップS4(トラッキング識別子保管)では、遷移後の広告主ページに実装されているエントリータグ又はエントリーシステムが、遷移後に、遷移時のURLパラメータに設定されているトラッキング識別子を、一般ユーザーのブラウザ内Cookie領域に保管する。なお、トラッキング識別子の管理場所は問わない。例えば、管理場所は、一般ユーザーのブラウザ内の各種領域であってもよいし、広告主サーバー内であってもよい。
【0039】
ステップS5(サイト内遷移)では、一般ユーザーの処理に基づくサイト内遷移により、広告主コンバージョンページに遷移する。なお、広告主コンバージョンページへの遷移は、離脱した後の再訪を含む。
【0040】
ステップS6(トラッキング識別子取り出し、コンバージョン通知)では、実装されているコンバージョン計測タグ又はコンバージョン計測システムが、コンバージョン発生時に、以下を実施する。まず、一般ユーザーのブラウザ内Cookie領域に保管されている(上述の通り管理場所は問わない)トラッキング識別子を取得する(取り出す)。次に、広告配信事業者のトラッキングサーバーに対して、コンバージョンに関するコンバージョンデータの送信(通知)を行う。コンバージョンデータ内には、取得したトラッキング識別子が含まれる。なお、コンバージョンデータの送信手段は問わない。例えば、送信手段は、http(Hypertext Transfer Protocol)又はhttps(Hypertext Transfer Protocol Secure)通信でもよいし、ファイルのSCP(Secure Copy Protocol)又はSFTP(SSH File Transfer Protocol)などのプロトコルを介した通信でもよい。
【0041】
広告配信事業者にて、ステップS3で生成・管理されたトラッキング識別子と、ステップS6で送信されたコンバージョンデータ内に含まれるトラッキング識別子との突合せを行うことで、コンバージョン発生の確認が可能となる。すなわち、コンバージョンのトラッキングを行うことができる。以上が、従来のトラッキングフローである。
【0042】
[システムの構成]
実施形態に係るトラッキングシステム10は、ウェブサイトの広告を閲覧するユーザーをトラッキングするためのコンピュータシステムである。
図2は、トラッキングシステム10の構成の一例を示す図である。本実施形態では、トラッキングシステム10は機能要素として格納部11、提供部12、取得部13及び実行部14を備える。
【0043】
格納部11は、トラッキングシステム10における算出等で利用される任意の情報及びトラッキングシステム10における算出の結果等を格納する。格納部11によって格納された情報は、トラッキングシステム10の各機能要素によって適宜参照されてもよい。
【0044】
提供部12は、広告掲載ページ(ウェブページ)内における広告サイト(広告主ページ及び広告主コンバージョンページを含む)へのリンクとして、広告掲載ページを閲覧する一般ユーザー(閲覧者)のトラッキングを識別するトラッキング識別子がURLパラメータに設定された広告サイトのURLを提供する。なお、提供とは、提供部12が全ての処理を行った上での提供の他、提供部12が一部の処理を行い、一般ユーザーのブラウザ等が残りの処理を行った上での提供も含む。一般ユーザーが(提供部12が提供した)リンクに基づいて広告サイトへ遷移する際に、リダイレクトページ又は広告配信事業者のサーバーを介さなくてもよい。広告サイトは、eTLD+1が共通であってもよい。
【0045】
提供部12は、広告掲載ページ内における広告サイトへのリンクがリダイレクトページ又は広告配信事業者のサーバーを介する場合に、広告掲載ページを表示する際又は当該リンクがクリックされた際に、当該リンクをトラッキング識別子がURLパラメータに設定された広告サイトのURLに変換してもよい。
【0046】
提供部12は、広告掲載ページ内における広告サイトへのリンクが広告サイトのURLである場合に、広告掲載ページを表示する際又は当該リンクがクリックされた際に、当該広告サイトのURLのURLパラメータにトラッキング識別子を設定してもよい。
【0047】
提供部12は、所定の条件を満たす場合に、リンクとして、広告サイトへの中継ページであるリダイレクトページのURLを提供してもよい。所定の条件は、広告掲載ページを閲覧するための一般ユーザーのブラウザに関する条件(例えば、当該ブラウザが所定のブラウザであること等)、又は、広告掲載ページを閲覧するための一般ユーザーの端末に関する条件(例えば、当該端末のオペレーティングシステムが所定のオペレーティングシステムであること等)の少なくとも一つであってもよい。
【0048】
提供部12は、広告に関する情報又は一般ユーザーによる通信に関する情報の少なくとも一つをURLパラメータにさらに設定してもよい。
【0049】
取得部13は、一般ユーザーが(提供部12が提供した)リンクに基づいて広告サイトへ遷移した際に、当該リンクに含まれるトラッキング識別子を取得する。
【0050】
取得部13は、一般ユーザーが広告サイトへ遷移した後に当該広告サイトにおいてコンバージョンが発生した際に、当該コンバージョンに関連するトラッキング識別子を取得してもよい。
【0051】
取得部13は、コンバージョンが発生した際に、当該コンバージョンに関連する契約情報(どのような商品がいくらでいくつ売れたという情報等)をさらに取得してもよい。
【0052】
取得部13は、一般ユーザーが(提供部12が提供した)リンクに基づいて広告サイトへ遷移した際又は一般ユーザーが当該リンクをクリックした際に、広告に関する情報、一般ユーザーによる通信に関する情報又は一般ユーザーによるマウスクリックに関する情報の少なくとも一つをさらに取得してもよい。
【0053】
実行部14は、(取得部13が)取得したトラッキング識別子に基づいてトラッキングを実行する。
【0054】
実行部14は、(取得部13が)取得した(提供部12が提供した)リンクに含まれるトラッキング識別子と、(取得部13が)取得したコンバージョンに関連するトラッキング識別子とに基づいてトラッキングを実行してもよい。
【0055】
トラッキングシステム10は一または複数のコンピュータで構成される。複数のコンピュータを用いる場合には、これらのコンピュータがインターネットやイントラネットなどの通信ネットワークを介して接続されることで、論理的に一つのトラッキングシステム10が構築される。
【0056】
図3はトラッキングシステム10を構成するコンピュータ100の一般的なハードウェア構成を示す図である。例えば、コンピュータ100はプロセッサ101、主記憶部102、補助記憶部103、通信制御部104、入力装置105及び出力装置106を備える。プロセッサ101は、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行する。主記憶部102は、例えばROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)で構成される。補助記憶部103は、例えばハードディスクまたはフラッシュメモリで構成され、一般に主記憶部102よりも大量のデータを記憶する。補助記憶部103は、少なくとも1台のコンピュータをトラッキングシステム10として機能させるためのトラッキングプログラム110を記憶する。通信制御部104は、例えばネットワークカードまたは無線通信モジュールで構成される。入力装置105は、例えばキーボード、マウス、タッチパネルなどで構成される。出力装置106は、例えばモニタおよびスピーカで構成される。
【0057】
トラッキングシステム10の各機能要素は、プロセッサ101又は主記憶部102の上にトラッキングプログラム110を読み込ませてそのプログラムを実行させることで実現される。トラッキングプログラム110は、トラッキングシステム10の各機能要素を実現するためのコードを含む。格納部11、提供部12、取得部13及び実行部14それぞれが別々のコンピュータ100に実装される場合には、それぞれのコンピュータ100に記憶されるトラッキングプログラム110は相異なってもよい。いずれにしても、プロセッサ101は、トラッキングプログラム110に従って、通信制御部104、入力装置105又は出力装置106を動作させ、主記憶部102又は補助記憶部103におけるデータの読み出し及び書き込みを行う。この処理によりトラッキングシステム10の各機能要素が実現される。処理に必要なデータ又はデータベースは、主記憶部102又は補助記憶部103内に格納されてもよい。
【0058】
トラッキングプログラム110は、例えば、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどの有形の記録媒体に固定的に記録された上で提供されてもよい。あるいは、トラッキングプログラム110は、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
【0059】
図4は、トラッキングプログラム110の構成の一例を示す図である。トラッキングプログラム110は、提供モジュール111、取得モジュール112及び実行モジュール113を備えて構成される。提供モジュール111、取得モジュール112及び実行モジュール113を実行させることにより実現される機能は、上述したトラッキングシステム10の提供部12、取得部13及び実行部14の機能とそれぞれ同様である。
【0060】
[システムの動作]
図5を参照しながら、トラッキングシステム10の動作を説明するとともに本実施形態に係るトラッキング方法について説明する。
図5は、トラッキングシステム10のトラッキングフローの一例を示す図である。
図5では、
図1と同様に、一般ユーザーが広告掲載ページを表示してから、広告をクリックし、遷移先の広告サイト(広告主ページ及び広告主コンバージョンページを含む)でコンバージョンが発生するまでのフローを示している。
図5に示すトラッキングフローは、広告掲載ページに含まれる静的広告タグを処理するフローである。
【0061】
ステップS10(トラッキング識別子付与)では、広告掲載ページに実装されているメディアタグ(例:「<script type="text/javascript" src="XXX"></script>」)(メディアタグを読み込んだ一般ユーザーのブラウザ)が、ページ表示時に以下を実施する。まず、ページ内の静的広告タグ(例:「<a href="XXX"><img src="XXX"></a>」)内にある広告配信事業者のリダイレクトサーバーURLを検索し、URLパラメータ(例:「sid=XXX&pid=XXX」)の情報を取得する。次に、トラッキングシステム10に通信(例:「https://XXX...」)を行い、URLパラメータの情報、ブラウザ情報(リファラー等)及びインプレッション日時等を送信する。次に、情報を受け取ったトラッキングシステム10が、その応答として、広告主のリンクURL、トラッキング識別子(例:「r088XXXX3DYK4tXQA」)及びトラッキング識別子の送信URL情報等を生成して返却する。これら生成は、受け取った情報と、トラッキングシステム10において予め対応付けられた各種情報とに基づいて行われる。次に、広告配信事業者のリダイレクトサーバーURLを広告主のリンクURLに変換する。また、返却されたトラッキング識別子等をURLパラメータに設定(付与)する。
【0062】
ステップS11(クリック遷移)では、一般ユーザーが広告をクリック後、広告主のリンクURLに遷移し、広告主ページへ到達する。例えば、一般ユーザーが、ステップS10にて変換された広告主のリンクURLに基づく広告をクリックすることで、当該広告主のリンクURLが示す広告主ページへ遷移する。
【0063】
ステップS12(クリック情報とトラッキング識別子を送信、トラッキング識別子保管)では、遷移後の広告主ページに実装されているエントリータグ(例:「<script type="text/javascript" src="XXX"></script>」)又はエントリーシステム(例:「<?php XXX ?>」。左記はPHPの例であるが、広告主によって実装する言語が異なる)が、ページ到達後に以下を実施する。まず、遷移時のURLパラメータからクリック情報及びトラッキング識別子を取り出し、トラッキングシステム10に送信する。クリック情報は、広告クリック時間、広告タグの情報、通信時に取得できる情報(リファラー情報、IPアドレス、UserAgent等)等を含む。次に、遷移時のURLパラメータに設定されているトラッキング識別子を、一般ユーザーのブラウザ内Cookie領域に保管する。なお、トラッキング識別子の管理場所は問わない。例えば、管理場所は、一般ユーザーのブラウザ内の各種領域であってもよいし、広告主サーバー内であってもよい。
【0064】
ステップS13(サイト内遷移)では、一般ユーザーの処理に基づくサイト内遷移により広告主コンバージョンページに遷移する。なお、広告主コンバージョンページへの遷移は、離脱した後の再訪を含む。
【0065】
ステップS14(トラッキング識別子取り出し、コンバージョン通知)では、コンバージョン発生時に実装されているコンバージョン計測タグ(例:「<script type="text/javascript" src="XXX"></script>」)又はコンバージョン計測システム(例:「<?php XXX ?>」。左記はPHPの例であるが、広告主によって実装する言語が異なる)が、以下を実施する。まず、一般ユーザーのブラウザ内Cookie領域に保管されている(上述の通り管理場所は問わない)トラッキング識別子を取得する(取り出す)。次に、トラッキングシステム10に対して、コンバージョンに関するコンバージョンデータ(例:「orderid=XXX&clickid=XXX&product_amount=XXX&...」)の送信(通知)を行う。コンバージョンデータ内には、取得したトラッキング識別子が含まれる。コンバージョンデータ内には、契約情報が含まれてもよい。なお、コンバージョンデータの送信手段は問わない。例えば、送信手段は、http又はhttps通信でもよいし、ファイルのSCP又はSFTPなどのプロトコルを介した通信でもよい。
【0066】
トラッキングシステム10にて、ステップS10で生成・管理後にステップS12で送信されたトラッキング識別子と、ステップS14で送信されたコンバージョンデータ内に含まれるトラッキング識別子との突合せを行うことで、コンバージョン発生の確認が可能となる。すなわち、トラッキングシステム10は、コンバージョンのトラッキングを行うことができる。
【0067】
[システムの動作の変形例]
上述の「システムの動作」の変形例を説明する。
図6は、トラッキングシステム10のトラッキングフローの変形例を示す図である。
図6に示すトラッキングフローは、
図5に示すトラッキングフローと異なり、広告掲載ページに含まれる動的広告タグを処理するフローであると共に、所定の条件を満たす場合に従来のトラッキングフローへ分岐するフローである。なお、
図6では、
図5に示すトラッキングフローとの共通部分(ステップS11以降)は図示を省略している。以下、
図6について、
図5との差分のみ説明する。
【0068】
ステップS10a(判定パラメータ付与)では、広告掲載ページに実装されているメディアタグ(例:「<script type="text/javascript" src="XXX"></script>」)が、ページ表示時に、リンクURL置換対象判定を行い、動的広告タグ(例:「<script type="text/javascript" src="XXX">XXX</script>」)内の広告配信事業者配信サーバーへのリクエストURLパラメータに制御用の情報(例:「vs=XXX&vp=XXX」)等を付与する。
【0069】
ステップS10b(配信サーバーリクエスト)では、動的広告タグが広告配信事業者のサーバに通信(例:「https://XXX...」)を行う(配信サーバーリクエスト)。置換対象の場合は、トラッキングシステム10は、トラッキング識別子がURLパラメーターにセットされた広告主のリンクURL等を含む広告HTML(例:「<a href="XXX"><img src="XXX"></a>」)を返却する。一方、置換対象外の場合は、トラッキングシステム10は、広告配信事業者のリダイレクトサーバーURLを含む広告HTMLを返却する。
【0070】
置換対象の場合のその後のフローは、
図5のステップS11以降と同様である。トラッキングシステム10にて、ステップS10bで生成・管理後に、ステップS12で送信されたトラッキング識別子と、ステップS14で送信されたコンバージョンデータ内に含まれるトラッキング識別子との突合せを行うことで、コンバージョン発生の確認が可能となる。すなわち、トラッキングシステム10は、コンバージョンのトラッキングを行うことができる。
【0071】
置換対象外の場合のその後のフローは、通常の広告配信事業者のリダイクトサーバーを経由したトラッキングとなる。以下、簡単に説明する。ステップS20(クリック遷移)では、一般ユーザーが広告をクリックし、広告配信事業者のリダイレクトサーバーへ遷移する。ステップS21(リダイレクト)では、広告配信事業者のリダイレクトサーバーが、トラッキング識別子をURLパラメータに付与し、成果計測ベンダ等へリダイレクト処理を行う。ステップS22(リダイレクト)では、成果計測ベンダ等が、広告主ページへリダイレクト処理を行う。ステップS23(サイト内遷移)では、一般ユーザーの処理に基づくサイト内遷移により、広告主コンバージョンページに遷移する。ステップS24(コンバージョン通知)では、広告主コンバージョンページが、成果計測ベンダ等に対して、コンバージョンに関するコンバージョンデータの送信(通知)を行う。ステップS25(コンバージョン通知)では、成果計測ベンダ等が、トラッキングシステム10に対して、コンバージョンに関するコンバージョンデータの送信(通知)を行う。
【0072】
なお、従来のトラッキングフローへ分岐する所定の条件は上記に限らない。例えば、所定の条件は、ウェブページを閲覧するための閲覧者のブラウザに関する条件、又は、ウェブページを閲覧するための閲覧者の端末に関する条件の少なくとも一つであってもよい。当該条件判定は、取得された閲覧者のブラウザ又は端末に関する情報に基づいて行われる。
【0073】
[トラッキング方法]
図7を参照しながら、トラッキングシステム10により実行されるトラッキング方法の一例について説明する。
図7は、トラッキングシステム10の動作の一例を示すフローチャートである。ステップS30では、トラッキングシステム10の提供部12が、ウェブページ内における広告サイトへのリンクとして、ウェブページの閲覧者のトラッキングを識別するトラッキング識別子がURLパラメータに設定された広告サイトのURLを提供する。ステップS31では、トラッキングシステム10の取得部13が、閲覧者がリンクに基づいて広告サイトへ遷移した際に、当該リンクに含まれるトラッキング識別子を取得する。ステップS32では、トラッキングシステム10の実行部14が、取得したトラッキング識別子に基づいてトラッキングを実行する。
【0074】
[効果]
本発明の一側面に係るトラッキングシステムは、少なくとも一つのプロセッサを備え、少なくとも一つのプロセッサが、ウェブページ内における広告サイトへのリンクとして、ウェブページの閲覧者のトラッキングを識別するトラッキング識別子がURLパラメータに設定された広告サイトのURLを提供し、閲覧者がリンクに基づいて広告サイトへ遷移した際に、当該リンクに含まれるトラッキング識別子を取得し、取得したトラッキング識別子に基づいてトラッキングを実行する。
【0075】
本発明の一側面に係るトラッキング方法は、少なくとも一つのプロセッサを備えるトラッキングシステムにより実行されるトラッキング方法であって、ウェブページ内における広告サイトへのリンクとして、ウェブページの閲覧者のトラッキングを識別するトラッキング識別子がURLパラメータに設定された広告サイトのURLを提供するステップと、閲覧者がリンクに基づいて広告サイトへ遷移した際に、当該リンクに含まれるトラッキング識別子を取得するステップと、取得したトラッキング識別子に基づいてトラッキングを実行するステップとを含む。
【0076】
本発明の一側面に係るトラッキングプログラムは、ウェブページ内における広告サイトへのリンクとして、ウェブページの閲覧者のトラッキングを識別するトラッキング識別子がURLパラメータに設定された広告サイトのURLを提供するステップと、閲覧者がリンクに基づいて広告サイトへ遷移した際に、当該リンクに含まれるトラッキング識別子を取得するステップと、取得したトラッキング識別子に基づいてトラッキングを実行するステップとをコンピュータに実行させる。
【0077】
このような側面においては、広告サイトへのリンクとして、閲覧者のトラッキングを識別するトラッキング識別子がURLパラメータに設定された広告サイトのURLが提供され、閲覧者は当該リンクに基づいて広告サイトへ遷移することができる。すなわち、閲覧者は、例えばリダイレクトサーバーを経由することなく広告サイトへ直接遷移することができる。また、このような側面においては、閲覧者がリンクに基づいて広告サイトへ遷移した際に、当該リンクに含まれるトラッキング識別子に基づいてトラッキングが実行される。以上の通り、閲覧者の利便性に優れたトラッキングを行うことができる。
【0078】
他の側面に係るトラッキングシステムでは、ウェブページ内における広告サイトへのリンクがリダイレクトページ又は広告配信事業者のサーバーを介する場合に、ウェブページを表示する際又は当該リンクがクリックされた際に、当該リンクをトラッキング識別子がURLパラメータに設定された広告サイトのURLに変換してもよい。この処理により、静的広告タグをより確実に変換することができる。
【0079】
他の側面に係るトラッキングシステムでは、ウェブページ内における広告サイトへのリンクが広告サイトのURLである場合に、ウェブページを表示する際又は当該リンクがクリックされた際に、当該広告サイトのURLのURLパラメータにトラッキング識別子を設定してもよい。この処理により、広告サイトへのリンクが広告サイトのURLである場合にも、URLパラメータにトラッキング識別子を確実に設定することができる。
【0080】
他の側面に係るトラッキングシステムでは、閲覧者が広告サイトへ遷移した後に当該広告サイトにおいてコンバージョンが発生した際に、当該コンバージョンに関連するトラッキング識別子を取得し、取得したリンクに含まれるトラッキング識別子と、取得したコンバージョンに関連するトラッキング識別子とに基づいてトラッキングを実行してもよい。この処理により、閲覧者のコンバージョンをより確実にトラッキングすることができる。
【0081】
他の側面に係るトラッキングシステムでは、コンバージョンが発生した際に、当該コンバージョンに関連する契約情報(どのような商品がいくらでいくつ売れたという情報等)をさらに取得してもよい。この処理により、コンバージョンに関連する契約情報をコンバージョンに紐付けて管理することができる。
【0082】
他の側面に係るトラッキングシステムでは、閲覧者がリンクに基づいて広告サイトへ遷移する際に、リダイレクトページ又は広告配信事業者のサーバーを介さなくてもよい。この処理により、閲覧者はリダイレクトページ又は広告配信事業者のサーバーを介することなく広告サイトへ直接遷移することができる(バウンスレス)。すなわち、閲覧者の利便性に優れたトラッキング(バウンスレストラッキング)を行うことができる。
【0083】
他の側面に係るトラッキングシステムでは、所定の条件を満たす場合に、リンクとして、広告サイトへの中継ページであるリダイレクトページのURLを提供してもよい。この処理により、閲覧者又は広告主に応じてトラッキング方法を変えることができる。例えば、成果計測ベンダを利用している広告主及び何らかの理由で直接遷移できない広告主については従来のトラッキングフローの導くことができる。
【0084】
他の側面に係るトラッキングシステムでは、所定の条件は、ウェブページを閲覧するための閲覧者のブラウザに関する条件(例えば、当該ブラウザが所定のブラウザであること等)、又は、ウェブページを閲覧するための閲覧者の端末に関する条件(例えば、当該端末のオペレーティングシステムが所定のオペレーティングシステムであること等)の少なくとも一つであってもよい。これにより、閲覧者のブラウザ又は閲覧者の端末に応じてトラッキング方法を変えることができる。
【0085】
他の側面に係るトラッキングシステムでは、広告に関する情報又は閲覧者による通信に関する情報の少なくとも一つをURLパラメータにさらに設定してもよい。この処理により、例えば、広告に関する情報又は閲覧者による通信に関する情報の少なくとも一つをトラッキング時に参照及び利用することができる。
【0086】
他の側面に係るトラッキングシステムでは、閲覧者がリンクに基づいて広告サイトへ遷移した際又は閲覧者がリンクをクリックした際に、広告に関する情報、閲覧者による通信に関する情報又は閲覧者によるマウスクリックに関する情報の少なくとも一つをさらに取得してもよい。この処理により、例えば、広告に関する情報、閲覧者による通信に関する情報又は閲覧者によるマウスクリックに関する情報の少なくとも一つをトラッキング時に参照及び利用することができる。
【0087】
他の側面に係るトラッキングシステムでは、広告サイトは、eTLD+1が共通であってもよい。これにより、例えば、データ送信元の範囲は広告主ドメインのeTLD+1を対象とすることができる。
【0088】
トラッキングシステム10によれば、サイト運営者は、既存のウェブサイトの広告タグを修正することなく、メディアタグを導入するだけで本開示のトラッキングを行うことができる。すなわち、サイト運営者の負担は少ない。
【0089】
トラッキングシステム10によれば、広告配信事業者が発行した広告タグを一般ユーザーがクリックした際に、広告配信事業者のリダイレクトサーバーを経由せずに広告主のリンクURLに遷移し、一般ユーザーのコンバージョン発生を検知することが可能となる。
【0090】
トラッキングシステム10によれば、一般ユーザーは、広告タグのクリック前に遷移URLを確認してクリックすることが可能になり、広告クリック時のリスクを削減できる。なお、現行は広告配信事業者のリダイレクトサーバーURLが(各種ブラウザが提供しているマウスオーバー等によるURL表示機能により)表示されるため、最終的な遷移先が不明であり、一般ユーザーとしてリスクがある。
【0091】
トラッキングシステム10によれば、一般ユーザーは広告配信事業者のリダイレクトサーバーを経由せずに広告主のリンクURLに遷移するため、ページ遷移が早くなるメリットがある。
【0092】
トラッキングシステム10によれば、ユーザープライバシーを重視するブラウザと一般ユーザーのニーズを満たすことが可能となる。
【0093】
トラッキングシステム10によれば、広告主のリンクURLに変換されることによりSEO(Search Engine Optimization)の視点からサイト運営者にメリットがある可能性がある。
【0094】
従来のトラッキングフローでは、リダイレクトサーバーでトラッキング識別子やクリック情報を発行・管理していた。トラッキングシステム10では、リダイレクトサーバーは不要であり、広告主ページからトラッキング識別子やクリック情報を送信する。
【0095】
トラッキングシステム10によれば、広告配信事業者のURLを広告タグクリックでの遷移前に、クリック情報とトラッキングに必要なトラッキング識別子とを付与して広告主のリンクURLに変換することができる。
【0096】
トラッキングシステム10によれば、広告タグクリック遷移後に、広告主が運営するサイトから広告配信事業者にクリック情報とトラッキング識別子とをデータ送信することができる。
【0097】
トラッキングシステム10によれば、コンバージョン発生時の通信で何れかの方法で広告主側で管理されていたコンバージョンデータを送信し、上述のデータ送信されたトラッキング識別子と突合することでトラッキング判定することができる。
【0098】
トラッキングシステム10によれば、広告主ページはeTLD+1が同じドメインのページを対象とすることができる。
【0099】
[変形例]
以上、本開示をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。本開示は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0100】
少なくとも一つのプロセッサにより実行されるトラッキング方法の処理手順は上記実施形態での例に限定されない。例えば、上述したステップの一部が省略されてもよいし、別の順序で各ステップが実行されてもよい。また、上述したステップのうちの任意の2以上のステップが組み合わされてもよいし、ステップの一部が修正又は削除されてもよい。あるいは、上記の各ステップに加えて他のステップが実行されてもよい。
【0101】
例えば、上述の「システムの動作」の一部の処理を省略してもよい。また、上述の「システムの動作の変形例」の一部の処理を省略してもよい。また、上述の「システムの動作」の一部の処理を、上述の「システムの動作の変形例」の一部の処理に置き換えてもよいし、その逆でもよい。また、上述の「システムの動作」に、上述の「システムの動作の変形例」の一部の処理を追加してもよいし、その逆でもよい。
【符号の説明】
【0102】
10…トラッキングシステム、11…格納部、12…提供部、13…取得部、14…実行部、100…コンピュータ、101…プロセッサ、102…主記憶部、103…補助記憶部、104…通信制御部、105…入力装置、106…出力装置、110…トラッキングプログラム、111…提供モジュール、112…取得モジュール、113…実行モジュール。